JP2020040242A - インサート成形方法及びフィルム - Google Patents
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Description
金型内にフィルムを配置する際に、フィルムを適切な位置に配置する技術が提案されている。例えば特許文献1には、加飾部と、加飾部を切断分離した余白部分である抜き捨て部とを備える加飾フィルムが提案されている。特許文献1に開示される先行技術によると、抜き捨て部には位置決めのための位置決めピン孔部が設けられ、該位置決めピン孔部に金型の位置決めピンを挿入し、金型を締めた後に射出成形により樹脂を注入して加飾フィルムと樹脂とを一体成形する。
しかしながら、上記従来技術は、フィルムと樹脂とを一体成形した後に、抜き捨て部を加飾部から切断分離するため、成形品に付着するピン孔部を成形品から除去する作業が必要となり、作業効率が低下するという問題がある。
図1は、本実施形態における成形品1の一構成例を示す図である。成形品1は、フィルム3と樹脂部5とを一体成形することにより生成される。成形品1の表面側にフィルム3が配設される。成形品1の背面側に樹脂部5が配設される。図例の成形品1は、電気製品などの操作パネルの一部又は全部を被覆する操作パネルカバーである。
図2は、フィルム3の一構成例を示す正面図である。フィルム3は、操作パネルカバーに対応する形状を有する。フィルム3の表面には操作パネル表示4が形成される。操作パネル表示4は、互いに色が異なる複数のインキをフィルム3の背面に印刷することにより形成される。フィルム3は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、或いはアクリルなどにより構成され、可撓性を有する。
図5は、フィルムシート25の一構成例を示す正面図である。本実施形態におけるフィルムシート25は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、或いはアクリルなどにより形成される略平面状のシートである。フィルムシート25は、フィルム3と抜き捨て部29とを備える。フィルム3と抜き捨て部29とは一体形成されてもよいし、互いに分離可能に形成されてもよい。また、フィルムシート25は、図示しない位置合わせ孔を抜き捨て部29内に備えてもよい。
図10は、本実施形態における処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態におけるインサート成形方法は、フィルムシート25に複数の互いに異なる色のインキを印刷する印刷工程S1と、フィルムシート25を、金型内に形成されるフィルム3の当接面に対応する形状に加工する形状加工工程S3と、フィルムシート25から抜き捨て部29を除去すると共にフィルム3を抽出する抽出工程S5と、フィルム3に形成される第1位置決め指標20と、金型47に形成され、第1位置決め指標20に対応する第2位置決め指標70に基づいて、フィルム3を金型47内に配置する位置決め工程S7と、フィルム3が配置された状態で金型47を閉める型締め工程S9と、閉めた状態の金型47内に樹脂を射出すると共に、フィルム3と樹脂とを一体成形する成形工程S11と、を備える。
図11は、本実施形態における印刷工程S1の一例を示すフローチャートである。図11(a)に示すように、まず、フィルムシート25の背面に一のインキを印刷して印刷位置指標33を形成する(ステップS103)。フィルムシート25における印刷位置指標33を形成すると、次に、印刷位置指標33を構成する一のインキとは異なるインキにより、操作部表示7と第3位置決め指標30とを形成する(ステップS105)。操作部表示7と第3位置決め指標30とは、同じインキにより形成されるため、操作部表示7と第3位置決め指標30とは、同じ一連の印刷作業により形成される。
形状加工工程S3は、フィルムシート25を金型内に形成されるフィルム3の当接面に対応する形状に加工する工程である。形状加工工程S3は、例えばフィルムシート25を熱曲げさせることにより、フィルム3の形状を立体曲面に加工する。後述するように、金型47は、フィルム3を配置する配置部57を備え、フィルム3は配置部57に当接するように配置される。形状加工工程S3は、金型47の配置部57にフィルム3が当接するようにフィルムシート25を配置し、金型47を閉じた状態でフィルムシート25を成形させることにより、フィルム3を配置部57に対応する形状に変形させる。
抽出工程S5は、フィルムシート25から抜き捨て部29を除去し、フィルム3を抽出する工程である。フィルムシート25から抜き捨て部29を除去し、フィルム3のみを抽出することにより、フィルム3のみを金型47に配置して樹脂と一体成形する。これにより、抜き捨て部29の切断片などがフィルム3に付着することを回避できる。また、これら切断片が金型47内に残留することを回避でき、作業効率が向上する。
位置決め工程S7は、フィルム3に形成される第1位置決め指標20と、金型47に形成される第2位置決め指標70とに基づいて、フィルム3を金型47内の配置部57に配置する工程である。図13は、フィルム3を金型47内に配置する場合の一例を示す図である。金型47は、固定金型50(47)と移動金型52(47)とを備える。固定金型50(47)は、フィルム3を配置する配置部57を備える。移動金型52(47)は、固定金型50(47)に対向する面において、配置部57の形状に対応する形状を備える。フィルム3が配置部57に配置された状態で、移動金型52を矢印F1方向に移動させることにより、型締めを行う。移動金型52(47)は、樹脂の流路となるランナー60を備える。型締められた状態で、樹脂はランナー60を経由して射出される。
図16は、フィルム3を金型47内に配置した状態で型締めを行う場合の一例を示す図である。型締め工程S9は、フィルム3が金型47内に配置された状態で金型47を閉める工程である。移動金型52(47)を移動させて固定金型50(47)に近接させ、互いに対向する面を密着させる。型締められると、固定金型50(47)と移動金型52(47)によって金型47内にキャビティ74が形成される。フィルム3はキャビティ74内において配置部57に当接した状態で配置される。
図17は、金型47内に樹脂が射出される場合の一例を示す図である。成形工程S11は、閉めた状態の金型47内に樹脂を射出すると共にフィルム3と樹脂とを一体成形する工程である。固定金型50(47)と移動金型52(47)とが密着して型締められることにより形成されるキャビティ74内に、ランナー60を経由して樹脂が射出される。成形工程S11は、キャビティ74内を充填する程度の樹脂を射出する。キャビティ74内に樹脂が充填されると、フィルム3と樹脂とが互いに融着して一体成形される。
以上、本発明に関する一実施形態を説明した。しかし、本発明は上述した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。例えば、上記実施形態において、印刷工程S1はインキをフィルム3の背面側に印刷する場合を例示したが、インキをフィルム3の表面側に印刷してもよい。
3 フィルム
5 樹脂部
7 操作部表示
10 透視窓部
12 窓枠部
20 第1位置決め指標
25 フィルムシート
29 抜き捨て部
30 第3位置決め指標
33 印刷位置指標
47 金型
50 固定金型
52 移動金型
57 配置部
60 ランナー
70 第2位置決め指標
74 キャビティ
80 押圧部
S1 印刷工程
S3 形状加工工程
S5 抽出工程
S7 位置決め工程
S9 型締め工程
S11 成形工程
Claims (15)
- 印刷された所定形状のフィルムを樹脂成形用の金型内に配置し、前記金型内に射出される樹脂と前記フィルムとを一体成形するインサート成形方法であって、
前記フィルムの所定位置に表示される第1位置決め指標と、前記金型に表示されるとともに前記第1位置決め指標に対応する第2位置決め指標に基づいて、前記フィルムを前記金型内の所定位置に配置する位置決め工程と、
前記フィルムが配置された状態で前記金型を閉める型締め工程と、
閉めた状態の前記金型内に樹脂を射出すると共に、前記フィルムと樹脂とを一体成形する成形工程と、
を備えるインサート成形方法。 - 前記第1位置決め指標と前記第2位置決め指標とは、互いに符合することを特徴とする請求項1に記載のインサート成形方法。
- 前記位置決め工程は、前記フィルムに表示される前記第1位置決め指標と前記金型に表示される前記第2位置決め指標とが符合する位置に前記フィルムを配置することを特徴とする請求項2に記載のインサート成形方法。
- 前記フィルムは、複数の前記第1位置決め指標を備え、
前記金型は、複数の前記第2位置決め指標を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインサート成形方法。 - 前記フィルムに複数の互いに異なる色のインキを印刷する印刷工程、
をさらに備え、
前記印刷工程は、
インキごとに前記フィルムに順に印刷し、
前記フィルムの背面側に前記第1位置決め指標を形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインサート成形方法。 - 前記印刷工程は、
前記フィルムと抜き捨て部とを備えるフィルムシートに、前記インキを印刷して前記フィルムに操作パネルに対応する操作パネル表示を形成し、
前記操作パネル表示内に操作部表示を形成すると共に、前記操作部表示の色と同じ色の前記インキを用いて、前記抜き捨て部内に前記第1位置決め指標と符合する第3位置決め指標を形成することを特徴とする請求項5に記載のインサート成形方法。 - 前記印刷工程は、
前記フィルムと抜き捨て部とを備えるフィルムシートに、前記インキを印刷して前記フィルムに操作パネルに対応する操作パネル表示を形成し、
前記操作パネル表示内に透視窓を形成すると共に、前記透視窓周縁の枠部の色と同じ色の前記インキを用いて、前記抜き捨て部内に前記第1位置決め指標と符合する第3位置決め指標を形成することを特徴とする請求項5に記載のインサート成形方法。 - 前記印刷工程は、前記第3位置決め指標を形成した後に、前記第1位置決め指標を形成することを特徴とする請求項6又は7に記載のインサート成形方法。
- 前記印刷工程は、
前記インキの印刷位置を特定する印刷位置指標を、前記抜き捨て部内に形成し、
前記第3位置決め指標を、前記印刷位置指標とは異なる位置に形成することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載のインサート成形方法。 - 前記フィルムシートを、前記金型内に形成される前記フィルムの当接面に対応する形状に加工する形状加工工程、
をさらに備え、
前記位置決め工程は、前記形状に加工された前記フィルムを、前記金型内に配置することを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載のインサート成形方法。 - 前記フィルムシートから前記抜き捨て部を除去すると共に前記フィルムを抽出する抽出工程、
をさらに備え、
前記位置決め工程は、抽出された前記フィルムを前記金型内に配置することを特徴とする請求項6乃至10のいずれかに記載のインサート成形方法。 - 前記位置決め工程は、前記第1位置決め指標と前記第2位置決め指標に基づいて前記フィルムを配置すると共に、前記フィルムを配置された位置に固定することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のインサート成形方法。
- 樹脂成形用の金型内に配置されると共に、前記金型が閉じられた状態で射出される樹脂と一体成形される所定形状を有するフィルムであって、
前記金型内における配置位置に対応する第1位置決め指標、
を備えるフィルム。 - 前記第1位置決め指標は、前記金型に表示される第2位置決め指標と符合することを特徴とする請求項13に記載のフィルム。
- 複数の互いに異なる色のインキを順に印刷することにより形成されるインキ層、
をさらに備え、
前記第1位置決め指標は、前記インキ層の背面側に形成されることを特徴とする請求項13又は14に記載のフィルム。
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