以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する部分は公知技術によるものとする。
図1は本発明の第1の実施形態の散薬分包システムの正面図であり、図2は本発明の第1の実施形態の散薬分包システムの正面断面図であり、図3は本発明の第1の実施形態の散薬分包システムの側面断面図である。
本発明の第1の実施形態の散薬分包システムは、2台の散薬分包機1と、その間で容器を移送するための機体外容器移送装置900と、機体外容器移送装置900の下方に設置された作業台901とを有する。
以下に、散薬分包機、機体外容器移送装置、作業台の順に、その構成を説明する。
≪散薬分包機≫
図4は本発明の第1の実施形態に係る散薬分包機の機能ブロック図であり、図5は本発明の第1の実施形態に係る散薬分包機の扉を閉めた状態の正面図であり、図6は本発明の第1の実施形態に係る散薬分包機の扉を開いた状態の正面図であり、図7は本発明の第1の実施形態に係る散薬分包機の奥側部分の立面図である。また、本発明の第1の実施形態に係る散薬分包機の側面断面は図3に記載がある。
散薬分包機1は、収容された散薬を収容し、それを排出口から放出できる散薬収容容器100と、散薬収容容器100を載置し、そこから散薬を放出できる第1の散薬放出部200と、第1の散薬放出部200から放出された散薬を一時保管できる散薬一時保管容器300と、散薬一時保管容器300を載置し、散薬一時保管容器300へ放出された散薬の重量を計測できる散薬計量部400と、計量済みの散薬の入った散薬一時保管容器300を載置し、その排出口から散薬を放出できる第2の散薬放出部500と、第2の散薬放出部500から放出された散薬を包装する散薬包装装置600と、散薬収容容器100と散薬一時保管容器300との両方を載置可能な散薬容器棚700と、散薬容器棚700、第1の散薬放出部200、第2の散薬放出部500、及び散薬計量部400の相互間で、散薬収容容器100または散薬一時保管容器300を移送可能な散薬容器移送装置800とを有する。
なお、散薬包装装置600は、散薬一時保管容器300を洗浄する散薬容器洗浄部690を有していてもよい。
なお、ここで、第1の散薬放出部200、散薬計量部400、第2の散薬放出部500、散薬容器棚700、及び、散薬容器移送装置800を総称して散薬計量放出装置(あるいは、散薬準備装置)としてもよい。
但し、これらの装置の切り分けは、これに限定されず、同等の機能を発揮できればどのような切り分けであってもよい。
以下に各構成要素につき、説明する。
<散薬収容容器100>
図8は本発明の第1の実施形態に係る散薬分包機1の散薬収容容器100の斜視図であり、図8(a)は上蓋が閉じた状態、図8(b)は上蓋が開いた状態を示す。
散薬収容容器100の本体101は、略直方体の、底面を有する箱型形状で、長手方向を略水平方向として置かれている。この姿勢を横置きとする。
散薬収容容器100は、本体101の上部に上蓋102、本体101の下部側面に散薬の排出口(図示せず)、排出口の出口部分に排出口を遮蔽する遮蔽部(遮蔽板)103を有する。遮蔽部103は機械に装着されると開放されるようになっており、排出口から散薬が放出されるようになっている。
更に、散薬収容容器100は、後述する散薬容器移送装置800による移動のために、遮蔽部103側の面の上部に一対の装着ガイド穴104a、104b、その下方に磁性体である鉄板105、底面外側に他の機器に載置され固定されるための鉄板106、及び同じく底面外側に種々の情報を保持できるRFIDタグ107を有している。
<第1の散薬放出部200>
図9は本発明の第1の実施形態に係る散薬分包機1の第1の散薬放出部200の側断面図である。第1の散薬放出部200は、主に、散薬収容容器100(または散薬一時保管容器300)を載置可能な容器載置台210と、容器載置台210に載置された容器を振動させて散薬を放出する振動台220とから構成される。
振動台220は、固定板221、固定板221の上に、複数のコイルスプリング222を介して設置される中間台223を有し、中間台223の上に複数の板バネ224を介して、容器載置台210が取り付けられる。
中間台223には第1の電磁石225が、容器載置台210には磁性を有する鉄材211が、それぞれ相対して僅かな間隙を保持して配置されている。
第2の電磁石213は、容器載置台210の上面に着磁面を露出させて設けられ、散薬収容容器100(または散薬一時保管容器300)の底面に取付けられた鉄板106(306)を吸着することで、容器載置台210に散薬収容容器100(または散薬一時保管容器300)を載置固定することができる。
更に、直動型電磁ソレノイド214が容器載置台210の下面に取付けられており、散薬収容容器100(または散薬一時保管容器300)の遮蔽部103(303)を開閉する機能を有する。
また、RFIDリーダ・ライタ215(後に図13に示す)が容器載置台210の上面に設置され、散薬収容容器100(または散薬一時保管容器300)の底面のRFIDタグ107(307)との間で、情報の読み取り、書き込みができるようになっている。
<散薬一時保管容器300>
図10は本発明の第1の実施形態に係る散薬分包機1の散薬一時保管容器300の斜視図である。散薬一時保管容器300は、実質的には、散薬収容装置100から上蓋102を取り外したものであり、散薬容器棚700などに載置される部分の形状が同一である。
そのようにすれば、容器の製造コストも低廉となり、機械の設計も単純化される。
図10(a)は底部が下側の通常の状態、図10(b)は上下180度回転させて底部が上側になった状態を示す。
図に示すように、散薬一時保管容器300の本体301の下部側面に散薬の排出口(図示せず)、排出口の出口部分に排出口を遮蔽する遮蔽部(遮蔽板)303を有する。遮蔽部303は機械に装着されると開放されるようになっており、排出口から散薬が放出されるようになっている。
更に、散薬一時保管容器300は、後述する散薬容器移送装置800による移動のために、遮蔽部303側の面の上部に一対の装着ガイド穴304a、304b、その下方に磁性体である鉄板305、底面外側に他の機器に載置され固定されるための鉄板306、及び同じく底面外側に種々の情報を記憶できるRFIDタグ307を有している。
本体301の上部には、上蓋を有せず、大きく開口しており、落下してくる散薬を受け取ることができるような構造となっている。
なお、散薬収容容器100と散薬一時保管容器300とは、全体形状がほぼ同一で、上蓋102の有無のみの相違としたが、散薬容器棚700などに載置される部分の形状さえ同一であれば、高さ、幅、奥行や、その他の外観が異なってもよい。各々の機能に特化した設計により、利便性が増す場合もあり得る。
あるいは、散薬収容容器100と散薬一時保管容器300とを、全く同一の構造としてもよい。両方とも上蓋ありとする、あるいは両方とも上蓋なしとするとして、周辺の構造を変更して、あるいは追加の機構を設けて使用してもよい。このようにすると、運用が容易になり、散薬容器のコストが低廉になるなどの効果が期待できる。
<散薬計量部400>
図11は本発明の第1の実施形態に係る散薬分包機1の散薬計量部400の斜視図である。上部に散薬の放出ができる第1の散薬放出部200を固定結合する散薬放出部保持部401を有し、その下に散薬一時保管容器300を載置できる散薬一時保管容器載置台402、散薬一時保管容器載置台402の上の重量を計測できる台はかり403から構成される。
なお、散薬放出部保持部401は、不要とすることも可能である。すなわち、散薬計量部400に保持させなくても、周囲の筐体などから部材を用いて保持するようにしてもよい。
散薬一時保管容器置台402は、後述する散薬容器棚700の容器載置台705と略同一の構成である。このようにすることで、散薬一時保管容器300が、散薬容器移送装置800によって移送されて載置されることができる。
台はかり403は、散薬一時保管容器置台402上の散薬一時保管容器300及び内蔵する散薬を含めた全重量が計測可能であって、散薬一時保管容器300に散薬が落下していくと、重量の値が増加していき、その増加分が散薬一時保管容器300内の散薬そのものの重量となる。よってこの重量があらかじめ処方箋に従って定められた重量となるところで、散薬収容容器100からの散薬の放出、落下を停止すれば、散薬一時保管容器300には、指定された重量の散薬が収容できることになる。
なお、散薬を計量できる機構として台はかりを例示したが、これに限定されず、重量を計測できるものであれば、ロードセルなどであってもよい。
また、少し構成が異なることになるが、散薬を計量できる機構を第1の散薬放出部200を支持する部分に設けてもよい。例えば、第1の散薬放出部200全体の重量を測定できる機構を散薬計量部37に(または第1の散薬放出部200内部に)設け、放出された散薬の重量を、差分(減じた重量)から算出するようにしてもよい。
しかしながら、この構成ではあくまでも放出された散薬の重量が算出されるだけであって、放出の過程で、散薬一時保管容器300に収容されずに、筐体内の空気中に飛散したり、別の部位に付着したりした散薬の微小な減量は知ることができない。従って、特に、新生児や幼児等への投薬の場合に精密な計量が要求される場合は、先に述べた散薬一時保管容器300側での計量の方が実用上は好適である。
<第2の散薬放出部500>
第2の散薬放出部500は、後述する散薬包装装置600の円盤配分部610の近傍に配置され、円盤配分部610へと散薬を放出する。
第2の散薬放出部500は、第1の散薬放出部200と略同一構造であるが、その概略を説明する
図12は本発明の第1の実施形態に係る散薬分包機1の第2の散薬放出部500の側断面図である。第2の散薬放出部500は、主に散薬一時保管容器300(または散薬収容容器100)を載置可能な容器載置台510と、容器載置台510に載置された容器を振動させて散薬を放出する振動台520とから構成される。
振動台520は、固定板521、固定板521の上に、複数のコイルスプリング522を介して設置される中間台523を有し、中間台523の上に複数の板バネ524を介して、容器載置台510が取り付けられる。
中間台523には第1の電磁石525が、容器載置台510には磁性を有する鉄材511が、それぞれ相対して僅かな間隙を保持して配置されている。
第2の電磁石513は、容器載置台510の上面に着磁面を露出させて設けられ、散薬一時保管容器300(または散薬収容容器100)の底面に取付けられた鉄板306(106)を吸着することで、容器載置台510に散薬一時保管容器300(または散薬収容容器100)を載置固定することができる。
更に、直動型電磁ソレノイド514が容器載置台510の下面に取付けられており、散薬一時保管容器300(または散薬収容容器100)の遮蔽部303(103)を開閉する機能を有する。
また、RFIDリーダ・ライタ515(後に図13に示す)が容器載置台510の上面に設置され、散薬一時保管容器300(または散薬収容容器100)の底面のRFIDタグ307(107)との間で、情報の読み取り、書き込みができるようになっている。
なお、第1の散薬放出部200と第2の散薬放出部500とは、略同一の構成としたが、その各々の機能の相違により、同一の技術思想であるが、細部において異なった構造とすることはあり得る。
<散薬包装装置600>
散薬包装装置600は、図7に示すように、第2の散薬放出部500から放出された散薬を円盤611上で受け取り、図示しない散薬切り出し部により散薬を所定量ずつ切り出す円盤配分部610と、円盤配分部610で切り出された散薬を下方へと落下させるホッパ・シュート620と、ホッパ・シュート620の出口に分包紙を配置し、その分包紙に散薬を封入して包装する散薬包装部630とを有する。
更に、散薬包装装置600は、ホッパ・シュート620の上方に散薬容器洗浄部690を有していてもよい。
図13は本発明の第1の実施形態に係る散薬分包機1の散薬包装装置600の円盤配分部610の斜視図である。
円盤配分部610は、左右2セットの左側円盤611aと右側円盤611bとを有し、その各々に対して第2の散薬放出部500を2台配置することができるため、1つの円盤配分部610に、4台の散薬放出部500a、500b、500c、500dが配置されることになる。更に、散薬分包機1全体としては、このような円盤配分部610が複数セット配置されることもある。
なお、これらの配置台数は例示であり、これより少なくてもよく、あるいは、多くてもよい。適宜、用途目的によって選択すればよい。
散薬切り出し部(図示せず)は円盤611上にドーナッツ状に形成された散薬を必要量ずつ切り出すことのできる機構であり、公知の技術によるものとする。
散薬容器洗浄部690は、散薬収容容器100または散薬一時保管容器300を、後述する散薬容器移送装置800の回転駆動部808によって反転させて、内部を種々の方法で洗浄できる機構である。
<散薬容器棚700>
散薬容器棚700は、図5及び図6に示すように、その前面に、ヒンジ701a、701b、701c、701dで保持されて、観音開きができる右扉702aと左扉702bとが取り付けられている。
また右扉702aの上部には透明カバー703aが、左扉702bの上部には透明カバー703bが取り付けられていて、扉が閉の状態でも、透明カバー703a、703bを介してその内側が装置前面側から目視可能となっている。
更に、右扉702a、左扉702bの下部には、それぞれタッチ式ディスプレイ704a、704bが取り付けられている。
この左右扉702を開けると、上下6段の棚になっていて、各段に6乃至7カ所の容器載置台705(後に図14に示す)が設けられており、この容器載置台705には、散薬収容容器100と散薬一時保管容器300とのいずれもが載置できるようになっている。
このように左右扉702を開けた状態で、散薬収容容器100と散薬一時保管容器300との合計42個を全て装置前面から目視可能で、かつ、取り付け・取り外し可能な状態で載置できるようになっている。
それぞれの位置を1番から42番の番号で示すと、左右扉702を開けたときは1番から42番までの全ての容器が目視可能で、左右扉702を閉めたときには1番から24番までの容器が透明カバー703を介して目視可能となる。
また、散薬容器棚700の左右脇には、2組の第1の散薬放出部200a、200b、散薬計量部400a、400bが設けられている。
なお、各々の容器載置台705の上面(容器を載置する面)には、散薬収容容器100または散薬一時保管容器300を載置固定するための電磁石(図示せず)及びそれらの容器に設けられたRFIDタグ107(307)との間で情報を読み取ったり、書き込んだりするためのRFIDリーダ・ライタ(図示せず)が設けられている。これらの電磁石及びRFIDリーダ・ライタは、第1の散薬放出部200及び第2の散薬放出部500において説明したのと、容器との相対位置関係において、等しい位置に設けられている。
また、このRFIDタグ107(307)には、例えば、
1)事前に散薬を充填したときに入力される「薬剤名称」「消費期限」「充填量」
2)処方の都度入力される「載置台番号」「処方番号」「払出し量」「現在予想残量」
などと関連つける符号が入力される。すなわちそれらの処方情報そのものであってもよいし、それらの詳細情報は本装置あるいは、上位の処方情報システムのデータベースとして保管され、RFID側は、このデータベース番号を参照する符号であってもよい。
また、扉の枚数・構造は、2枚の扉で観音開きが好適であるが、それに限定せず、1枚扉であっても、3枚以上の扉であってもよく、開閉も、片開き、スライド式、跳ね上げ式など、どのような方式であってもよく、散薬収容容器100及び散薬一時保管容器300の数、大きさなどにより、適宜、定めればよい。また、棚の段数、各段の容器載置台705の数についても6段×(6〜7)個に限定せず、適宜定めてよい。
ここで、扉702を設けたのは、塵埃の侵入を防止し、また、部外者によるアクセスを規制するものであり、錠剤管理上、鍵(図示せず)を取付ける場合もあるし、機械安全管理上、扉702の開閉検知装置(図示せず)を付加して、装置が動作中に扉の開閉があった場合に、この検知信号によって装置を停止する制御を行うようにしてもよい。
更に、透明カバー703を設けたのは、全ての散薬収容容器100及び散薬一時保管容器300を、装置の前面側に並べて、透明カバー703で覆われた部分を除き、係員が一目でそれを目視できるようにするためである。図示しないが、各散薬収容容器に対応した棚の部位にLED表示などによって、その容器残量を表示するようにしてもよい。
なお、容器載置台705自体も、右扉702aに対応する右側部分と左扉702bに対応する左側部分がヒンジ(図示せず)により、観音開きできるようにすることが好適である。このようにすると、機械後方の散薬容器移送装置800に機械前方からアクセスすることができ、メンテナンスが容易となるなどの利点がある。
<散薬容器移送装置800>
散薬容器移送装置800は、図3及び図7に示すように、機械正面から見て、散薬容器棚700の背面側に配設されており、互いに直交する3軸上を移動する第1の移動部801、第2の移動部803、第3の移動部805を有している。
ここで、第1の移動部801は、電動スライダであることが好ましく、鉛直方向(Z軸方向)に延伸する左右一対の電動シリンダ801a、801bで構成され、スライダに設けられたテーブル(可動部材)802a、802bが対向している。
第2の移動部803は、電動スライダであることが好ましく、第1の移動部801の対向するテーブル802a、802bの間に設置され、水平で左右の方向(X軸方向)にスライダが延伸しており、スライダにはテーブル(可動部材)804が設けられている。
第3の移動部805は、電動スライダであることが好ましく、第2の移動部803のスライダに設けられたテーブル804に設置され、水平で前後の方向(Y軸方向)にスライダが延伸している。
更に、第3の移動部805のスライダに設けられたテーブル(可動部材)806に、容器保持部807が設けられている。
さらに容器保持部807の先には180度回転を可能にするための回転駆動部(アクチュエータ)808が取り付けられており、更に、回転駆動部808の先には、その駆動によって回転させられる回転ヘッド809が設けられており、通常の姿勢の容器保持位置の回転ヘッド809aと把持した容器を180度反転した位置の回転ヘッド809bとの2つの位置の間を回転可能としている。
更に、回転ヘッド809の先端部には、2本のガイドピン810a、810b(後に図示)を有しており、これらのガイドピン810a、810bは散薬収容容器100(または散薬一時保管容器300)の装着ガイド穴104(304)に嵌合するようになっている。
更になお、回転ヘッド809の先端部には、電磁石811を有しており、これに通電することにより、散薬収容容器100(または散薬一時保管容器300)の側面鉄板105(305)と電磁力により結合できるようになっている。
≪機体外容器移送装置≫
図1から図3を用いてその構成を説明する。また、図17は本発明の第1の実施形態に係る散薬分包システムの機体外容器移送装置の動作説明図であり、適宜、参照する。
機体外容器移送装置900は、両側の散薬分包機1の間に、両側の散薬分包機1の前面の平面に略平行に設けられ、両端を散薬分包機1の筐体に固定された水平直線移動が可能な第1の移動部902と、第1の移動部902のテーブル(可動台)903の上に固定して設けられた同じく水平直線移動が可能な第2の移動部904と、第2の移動部904のテーブル(可動台)905の上に固定して設けられた容器移送棚906と、容器移送棚906の移動の際の安全を確保するための容器移送棚906を覆うトンネル状の固定のカバー907と、カバー907の前面部に設けられた扉909と、扉を開閉するためのヒンジ908と、扉の閉状態を維持し、扉開の場合は第1の移動部902及び第2の移動部903への電力を遮断する機能を有し、指令によって扉の閉状態を解除する機能を有した電磁ロック機構910と、容器交換を可能とする容器交換スイッチ911とを有する。
ここで、扉909とヒンジ908と電磁ロック機構910と容器交換スイッチ911とを総称して、容器脱着部とする。
なお、容器脱着部としては、このような構成に限定せず、機体外容器移送装置900から、容器を脱着できる機構であれば、どのようなものであってもよい。例えば、スイッチ押下によって容器が機体外容器移送装置900から、固着部分を自動的に解除し、水平または垂直にスライドして、操作者の前に提示されるようにしてもよいし、それ以外のいかなる方法であってもよい。
第1の移動部902は、電動スライダであることが好ましく、両方の散薬分包機1の前面と平行で水平方向に移動可能となっており、そのスライダには、上面が水平のテーブル(可動台)903が設けられている。
この部分をスライドさせることにより、テーブル903が、両側の散薬分包機1の間のほぼ全域を平行移動することができる。
第2の移動部904は、電動スライダであることが好ましく、第2の移動部904の固定側の中央付近が、第1の移動部902のテーブル903上に固定されて設置される。
すなわち、テーブル903のスライドにより、第2の移動部904の両端部分は、いずれか一方の散薬分包機の内部へと進入することになる。
なお、第1の移動部902、または第2の移動部904は、電動スライダによる平行移動可能な機構としたが、平行移動可能な機構であれば、電動スライダに限定せず、チェーンやワイヤや自走車などを使用した構成であってもよい。
容器移送棚906は、第2の移動部904のテーブル(可動部)905上に固定して設けられ、散薬収容容器100を4台水平状態で上下2段に2台ずつ、4台載置できるようになっている。なお、この段数、台数は例示であり、増減してもよい。
従って、第2の移動部904のテーブル905が第2の移動部904の延伸方向にスライドすると、容器移送棚906は、そのスライド方向にある散薬分包機の中の奥の方へ進入することになる。
なお、この容器移送棚906の各々の容器載置場所は、散薬分包機の散薬容器棚700の容器載置台705や第1の散薬放出部200と同様の容器載置機能を有しており、散薬収容容器100が載置される面には、図示しないがRFIFリーダが設置されており、載置された散薬収納容器100のRFIDタグに記録された薬剤情報を読み取ったり、書き込んだりすることができる。
なお、図示するように、機体外容器移送装置900は、待機状態(待機位置)、すなわち、第1の移動部902の上のテーブル903も、第2の移動部904の上のテーブル905も、両側の散薬分包機1の間の中央付近に位置している状態では、散薬分包機1の内部に進入している部分はないため、いずれの散薬分包機1においても、散薬の分包動作を妨害されることはない。
すなわち、散薬収容容器100や散薬一時保管容器300を、それぞれの散薬分包機1の散薬容器棚700の背面に移送して、機体外容器移送装置900との受け渡しを行う際に、機体外容器移送装置900の機構が、散薬分包機1内の散薬容器移送装置800の動作範囲に干渉してしまうと、その範囲には、散薬容器棚700を配置できなくなり、それぞれの散薬分包機1の容器収容容量を削減することとなって、本発明の課題を十分には解決できない。
この種の装置で多用されるベルト式移送装置では、散薬分包機1の間に掛け渡されるベルトが干渉要素になってしまうが、本発明の機体外容器移送装置900においては、第1の移動部902及び第2の移動部904に水平直進運動を行う電動スライダを用いることによって、移送を行わない待機位置では、双方の散薬分包機1の散薬容器移送装置700と干渉しない位置に退避することができるので、散薬容器棚700にデッドスペースを設ける必要がなくなるという利点がある。
≪作業台≫
作業台901は、機体外容器移送装置900の容器脱着部の近傍の下方に設けられる。作業台901は、人が立位または座位で作業するのに適切な高さの上面を有することが望ましく、容器脱着部から取り外した容器の処置や、容器脱着部に装填するための容器への散薬の補充などの作業を、機体外容器移送装置900の、しかも、容器脱着部の近傍で行うことができるので、作業効率が極めてよい。
≪散薬分包機の作用説明≫
まず、以上のごとく構成された散薬分包機1の作用を説明する。
<散薬収容容器・散薬一時保管容器 搭載ステップ>
あらかじめ係員によって、複数の種類の散薬を収容した散薬収容容器100を散薬容器棚700の適当な場所の容器載置台705に装着しておく。同様に複数の散薬一時保管容器300も容器載置台705の適当な場所に装着しておく。ただし、全ての容器載置台705に容器を装着せずに、複数の場所は空きとしておくことが望ましい。
なお、これらの装着作業は、後述する機体外容器移送装置900及び散薬容器移送装置800を用いて、人手によらず行うことも可能である。
また、それら装着された容器に関する情報は、事前に別の装置で書き込まれているものとし、これを図示しないRFIDリーダ・ライタで読み取って、容器載置台705の位置と、そこに載置されている容器の散薬情報を紐付けて、これを記憶テーブルに保存しておく。
<散薬収容容器の第1の散薬放出部への移送ステップ>
ここで、ある散薬に関する処方、例えば、散薬A 20gを21分割して個包化する処方が入力されたとする。
散薬Aが収容されている容器の位置を記憶テーブルから検索して、この位置の散薬収容容器100を散薬容器移送装置800によって、第1の散薬放出部200に載置する。
図14は本発明の第1の実施形態に係る散薬分包機1の散薬容器移送装置800の動作を示す斜視図である。
図14の右図に示すように、散薬容器移送装置800のテーブル806をスライドさせて散薬容器棚700の容器載置台705の散薬収容容器100に近接させ、テーブル806の先端に設けられた容器保持部807のガイドピン810a、810bを散薬収容容器100のガイド穴104a、104bに挿入しながら、電磁石811を作動させて散薬収容容器100の側面鉄板105を吸着し、図14の左図に示すようにしっかりと散薬収容容器100を保持する。
次に、散薬収容容器100は、容器保持部807に保持されたまま、散薬容器移送装置800の第3の移動部805、第2の移動部803、第1の移動部801によって、第1の散薬放出部200へと移送される。
図15は本発明の第1の実施形態に係る散薬分包機1の散薬容器移送装置800の別の動作を示す斜視図である。
図15(a)は容器保持部807が、散薬収容容器100を保持して、第1の散薬放出部200の容器載置台210の真上に接近した状態を示す。このようにして、散薬収容容器100が移送されてくる。
図15(b)は、(a)の状態から、Z軸下方向に移動して、散薬収容容器100が、その底部の鉄板106と容器載置台210に設けられた第2の電磁石213との吸着によって、容器載置台210に載置された状態である。このようにして、散薬収容容器100はしっかりと第1の散薬放出部200に載置される。
図15(c)は、(b)の状態から、電磁石811の励磁を止めるとともに、Y軸方向(後方)にテーブル806が移動して、散薬容器移送装置800が散薬収容容器100から離れた状態を示している。このようにして、散薬収容容器100の第1の散薬放出部200ヘの載置が完了する。
なお、第1の散薬放出部200から、散薬容器棚700の容器載置台705へと、散薬収容容器100を戻す場合には、これまでに述べた手順を逆に行えばよい。
<散薬一時保管容器の散薬計量部への移送ステップ>
次に、空の散薬一時保管容器300も同様のステップで散薬容器移送装置800によって散薬計量部400の散薬一時保管容器置台402に載置される。
先に述べたように、散薬一時保管容器置台402は、散薬容器棚700の容器載置台705と同様の構成であり、また、第1の散薬放出部200の容器載置台210とも(振動する点を除けば)略同様の構成であるため、同様の動作が実現できる。
<散薬収容容器から散薬一時保管容器への放出及び計量ステップ>
次に、第1の散薬放出部200の第1の電磁石225に交流的電気波形を入力すると、鉄材211が第1の電磁石225に引き寄せられたり、離れたりという振動的挙動を示す。
結果として容器載置台210は板バネ224を介して中間台223に取り付いているので、容器載置台210全体として、図面での上下方向と左右方向が合成された振動を行うことができる。
これによって、散薬Aが散薬一時保管容器300に落下し、その重量変化が台はかり403によって計量され、この場合は20gになった時点で振動を停止し、散薬落下を停止する。
その後、再度台はかり403で重量計測を行う。これは、台はかり403の重量指示値が完全に静定するまでに数秒を要するためであり、この値が、所定の誤差以内であれば、次のステップに進む。
なお、第1の散薬放出部200の散薬放出の方法は、電磁石によるものに限定されず、少量ずつ散薬を放出できるものであれば、圧電素子による振動発生であってもよく、あるいは、振動に限定されず螺旋スクリュー駆動や、それ以外のものであってもよい。
<散薬一時保管容器の戻しステップ>
しかしながら、このとき所定の誤差を超えてしまった場合には、当該散薬一時保管容器300は、散薬容器移送装置800で、散薬容器棚700の空いた容器載置台705に戻すとともに、そのRFIDタグ307に、計量失敗に関する情報を書き込んでおく。
なお、散薬一時保管容器300の戻し動作は、既に説明した動作を逆に行えばよいので説明を省略する。
これによって、人手によらず、自動で、計量ミスのあった散薬一時保管容器300を取り除くことができ、機械を停止することなく作業が進行できる。また、計量ミスのあった散薬一時保管容器300が散薬容器棚700に戻されるため、操作者が、適切なタイミングで容易に回収または廃棄処理をすることができ、作業の効率化、散薬の廃棄ロスの最小化が可能となる。
<散薬一時保管容器の第2の散薬放出部への移送>
正常な場合の次のステップでは、計量済みの散薬一時保管容器300を、散薬容器移送装置800を用いて、散薬包装装置600の円盤配分部610の近傍の第2の散薬放出部500へ移送し、容器載置台510に載置する。この移送及び載置方法も既に図15において説明した動作と同様であるので、図15の中に対応する番号を括弧書きして説明を省略する。
<散薬分配ステップ>
この後は、周知の円盤を用いた配分動作をおこなう。まず、「円盤撒き動作」として円盤611上にドーナツ状に全円周(360度)に渡って散薬を堆積させ、次に「配分動作」として堆積した散薬を図示しない切り出し部で、所定の(この場合は21分割)で配分し、ホッパ・シュート620に放出すると、これが散薬包装部630の分包紙に順次封入されていき、1処方21包の分包状態が完成するものである。
この円盤撒き動作と配分動作には時間を要する。この動作と並行して、散薬容器移送装置800は、先に計量した散薬収容容器100を散薬容器棚700の元の容器載置台705に戻しておき、次の処方の散薬が入った散薬収容容器100を第1の散薬放出部200に移送し、載置することができる。
次に空の散薬一時保管容器300を、散薬容器移送装置800によって、当該第1の散薬放出部200の直下の散薬計量部400の散薬一時保管容器置台402に装着する。
これで、次の処方の計量が可能となるので、円盤撒き動作や配分動作とは独立して計量動作を行うことができる。
1処方で2種類以上の散薬を混合する場合もあるので、この場合は左右2台の散薬計量部400a、400bを並行動作させることもできる。
<容器洗浄ステップ>
図16は本発明の第1の実施形態に係る散薬分包機1の散薬容器移送装置800の更に別の動作を示す斜視図であり、図16(a)が通常の位置、図16(b)が反転した位置を示す。
ここで、円盤配分部装置400で円盤撒き動作が完了して、空になった散薬一時保管容器37は、図に示すように、散薬容器移送装置800の回転駆動部808によって、通常の姿勢の容器保持位置の回転ヘッド809aの状態から、保持した容器を180度反転した位置の回転ヘッド809bの状態へ上下反転させてから、散薬容器洗浄部690に装着し、洗浄後に散薬容器棚700の容器載置台705の空いた場所に載置しておき、一連の動作が終わる。
<並べ直しステップ>
なお、散薬分包機1において、処方入力のないときには、先に計量に失敗した散薬一時保管容器300や、残量が不足した散薬収容容器100を、散薬容器棚700の左右扉302を閉めたときに容器が透明カバー303を介して目視可能となる位置に、容器移載装置800を用いて並べ直しておく。
こうすることで、機械内の全ての容器が前面から目視可能ではないが、交換必要な容器は、前面から容易に目視可能となる。
≪機体外容器移送装置の作用説明≫
<容器の装着・回収・機体間移送ステップ>
図17は本発明の第1の実施形態にかかる容器の機体間移送ステップの説明図である。ここで、図17(a)は待機状態(待機位置)であって、この状態で、操作員による散薬収容容器の脱着を行うことができる。それらの指示は、制御プログラムに従って、散薬分包機1のタッチ式のディスプレイ704より行われる。
例えば、どちらかの散薬分包機1のある薬剤の入った散薬収容容器100の薬剤残量が予め定めた値より小さくなった場合に、この散薬収容容器100を取り外して、再度薬剤を補充して装填したり、厳密な洗浄の必要があるとして指定された散薬の場合に、計量ならびに円盤撒きに終了した散薬一時保管容器300を回収したり、あるいは、両側の散薬分包機1の間で、散薬収容容器1を融通したりすることができる。
なお、この位置は、第1の移動部902の上のテーブル903も、第2の移動部904の上のテーブル905も、両側の散薬分包機1の間の中央付近に位置している状態であり、両側の散薬分包機1の散薬容器移送装置800の動作範囲と干渉しない位置である。
図17(b)は機体外容器移送装置900と図中で左側の散薬分包機1との間の容器の移載位置である。図17(a)の位置から、図17(b)の位置に移動する前には、左側の散薬分包機1の散薬容器移送装置800を、これと干渉する位置への動作を禁止する指令を発しておく。
その上で、第1の移動部902のテーブル(可動部)903を左側に移動し、同時に第2の移動部904のテーブル(可動部)905も左側に移動することで、容器棚906が図示される位置に移動する。
この位置は、散薬分包機1側の散薬容器移送装置800の動作領域であるので、散薬容器移送装置800が、テーブル905上の容器移送棚906に載置された散薬収容容器100または散薬一時保管容器300(本文中でこれらを容器と略すことがある)を、散薬分包機1の散薬容器棚700の容器載置台705に移載することができる。
この方法は、先に説明した、第1の散薬放出部200から、散薬容器棚700の容器載置台705へと、散薬収容容器100を戻す場合とほぼ同様の動作であるので説明を省略する。
また、図17(c)は機体外容器移送装置900と、図中で右側の散薬分包機1との間の容器の移載位置である。
ここでも、図17(a)の位置から、図17(c)の位置に移動する前には、右側の散薬分包機1の散薬容器移送装置800を、これと干渉する位置への動作を禁止する指令を発しておく。
その上で、第1の移動部902のテーブル(可動部)903を右側に移動し、同時に第2の移動部904のテーブル(可動部)905も右側に移動することで、容器棚906が図17(c)の位置に移動する。
この位置は、散薬分包機1側の散薬容器移送装置800の動作領域であるので、散薬容器移送装置800が、テーブル905上の容器移送棚906に載置された散薬収容容器100または散薬一時保管容器300を、先に説明したのと同様の方法で、散薬分包機1の散薬容器棚700の容器載置台705に移載することができる。
これまでは、散薬補充時に、散薬を充填した散薬収容容器100を装着する動作の流れであったが、散薬分包機1から散薬収容容器100や、散薬一時保管容器300を回収するのは、これまでの説明と逆の動作で実現することができる。
更に、一方の散薬分包機1(例えば左側の散薬分包機1)から他方の散薬分包機1(例えば右側の散薬分包機1)へと、調剤時に不足する薬剤品目を収容する散薬収容容器100を移送する場合には、先に述べたような手順で、左側の散薬分包機1からの回収動作を行い、引き続き、回収した散薬収容容器100をそのまま右側の散薬分包機1へと移送し、右側の散薬分包機1の散薬容器棚700の容器載置台705に載置し、右側の散薬分包機1での分包動作に備えればよい。
<容器脱着ステップ>
先に述べた容器の装着、回収などの作業の際には、機体外容器移送装置900から、散薬収容容器100または散薬一時保管容器300を取り出す必要が生じる場合がある。この場合に、それらの作業を安全かつ確実に実施させるために、容器脱着部が設けられる。
まず、容器脱着部の容器交換スイッチ911を押下する。それによって、第1の移動部902と第2の移動部904は、容器保管棚906を取り出しが容易なほぼ両側の散薬分包機1の間の中央付近に移動させ、更に、取り出すべき容器が扉909を開けた際にアクセス可能な位置に移動させる。
次に、図示しない手段(電動スライダの位置座標情報など)によって、取り出すべき容器が扉909を開けた際にアクセス可能な位置に移動していることが確認されると、扉909の電磁ロック機構910を解除し、手動での扉909の開放が可能となる。
同時に、電磁ロック機構910は、扉909が「開」であることを検知した場合に、安全のために、第1の移動部902と第2の移動部904とへの電力を遮断して、動き出すことのないようにする。
その後、操作員によって、散薬収容容器100への不足分の散薬の補充や散薬一時保管容器300の洗浄などの必要な作業が完了したら、これまでに述べたのと逆の手順で、散薬収容容器100や散薬一時保管容器300を機体外容器移送装置900へと戻してやればよい。
次に、本発明の第1の実施形態の第1の変形例について説明する。図18は本発明の第1の実施形態の第1の変形例及び第2の変形例を示す正面図である。
ここで第1の変形例の散薬分包システムは、これまでに説明した2台の散薬分包機に代えて、1台の散薬分包機1と、散薬分包機1から散薬包装装置600などを削除して散薬容器棚700と散薬容器移送装置800とを残した、散薬収容容器100の保管を主に行う散薬保管機2と、散薬分包機1と散薬保管機2との間で散薬収容容器100を移送し、授受する機体外容器移送装置900とを有する。
図18において、左側の散薬分包機1と中央の散薬保管機2とその間に設けられる機体外容器移送装置900とで、この第1の変形例が示される。
このシステムでは、散薬分包機1において不足する散薬が散薬保管機2に装着された散薬収容容器100に存在する場合は、当該散薬収容容器100を、機体外移送装置900を介して散薬分包機1へと移送し、散薬分包機1の計量・分割・包装などの機能を用いて分包処理を行わせるものである。
このようにすると、分包処理は、1台の散薬分包機1でしか行うことはできないが、散薬の収容種類数は、大きく増加させることができるため、分包処理の頻度は高くないが、散薬の種別が多い薬局においては、極めて大きな効果を奏する。
なお、散薬保管機2に第1の散薬放出部200及び散薬計量部400を付加して、散薬一時保管容器300も取り扱うようにし、計量済みの散薬一時保管容器300を散薬保管機2の散薬容器棚に保管しておき、それを散薬分包機1に移送するという変形例も、調剤薬局の状況によっては、有効な場合もあり得る。
また、図18において、中央の散薬保管機2と右側の散薬分包機1と機体外容器移送装置900とにおいても、当然、同様な機能を発揮することができる。
次に、本発明の第1の実施形態の第2の変形例につき、図18を用いて説明する。
この第2の変形例は、図に示すように、3台以上の機械を設置するものである。図においては、両側に散薬分包機1、中央に散薬保管機2、その間に2基の機体外容器移送装置900を設けたものである。
このようにすると、2台構成のシステムよりも、更に多数の散薬収容容器100を装着し、それらを活用することができるので、多品種の散薬を必要とする調剤薬局については極めて有用である。
なお、機械の構成は、図の例に限定されず、3台とも散薬分包機1であってもよいし、1台のみが散薬分包機1で、2台が散薬保管機2であってもよく、少なくとも散薬分包機1が1台あればよい。
また、台数についても、3台までに限定するものではなく、4台以上であってもよい。
次に、本発明の第1の実施形態の第3の変形例につき説明する。
第3の変形例は、図示しないが、単一の散薬分包機1と機体外容器移送装置900とからなる散薬分包システム10である。
すなわち、散薬分包機1に対して、散薬収容容器100や散薬一時保管容器300の装着、回収を行うために、機体外容器移送装置900を用いるものである。
散薬分包機1の散薬容器棚700は、全ての容器が機械前面を向いており、容器の交換を容易にしているが、機械の背面に電動スライダなどを用いた散薬容器移送装置800が配置されているので、安全上の観点から、係員が前面扉を開けた信号が発生すると、電動シリンダの動作を中止するように制御するなどの必要がある。
しかし、機体外容器移送装置900を用いると、機体外で容器の装着・回収作業が行えるため、安全性が極めて高く、更に、機械停止時間も短くすることができる。
特に、容器脱着部を併せて備えることによって、更に安全で、確実な作業が可能となる。
次に、図面を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する部分は公知技術によるものとする。
なお、この後で詳述するが、第1の実施形態と第2の実施形態との主な差異は、第1の実施形態は、散薬分包機において計量された散薬を一時保持する散薬一時保管容器を用いるが、第2の実施形態は、それを用いず計量された散薬をそのまま分包する点にある。
更に、第1の実施形態では、散薬収容容器の奥側の側壁面を保持して移送するのに対し、
第2の実施形態では、散薬収容容器の上面を保持して移送する点も異なっている。
その他にも差異の部分はあるが、それらの差異の部分を、今回とは別の組み合わせでの実施形態とすることも可能であり、それらも本発明の範囲に属する。
図19は本発明の第2の実施形態の散薬分包システムの正面図であり、図20は本発明の第2の実施形態の散薬分包システムの側面断面図である。
本発明の第2の実施形態の散薬分包システム1010は、2台の散薬分包機1100と、その間で容器を移送するための機体外容器移送装置1900と、機体外容器移送装置1900の下方に設置された作業台1901とを有する。
以下に、散薬分包機、機体外容器移送装置、作業台の順に、その構成を説明する。
≪散薬分包機≫
図21は本発明の第2の実施形態に係る散薬分包機1100のブロック図であり、図22は本発明の第2の実施形態に係る散薬分包機1100の斜視図であり、図23は本発明の第2の実施形態に係る散薬分包機の部分の斜視図であり、図24は本発明の第2の実施形態に係る散薬分包機の部分の正面図である。
なお、散薬分包機1100の側面断面図は、図20に示されている。
散薬分包機1100は、分包される散薬を収容している散薬収容容器1200と、散薬収容容器を保管している散薬収容容器保管棚1500と、散薬収容容器保管棚1500から散薬収容容器1200を移送する散薬収容容器移送装置1600と、散薬収容容器移送装置1600から、散薬収容容器1200の移送を受け、それを取付けて、散薬を放出する散薬放出装置1300と、散薬放出装置1300から放出された散薬を分配し包装する散薬包装装置1400とから構成される。
但し、これらの装置の切り分けは、これに限定されず、同等の機能を発揮できればどのような切り分けであってもよい。
以下に各構成要素につき、説明する。
<散薬収容容器1200>
本発明の一実施形態を、図面を用いて説明する。図25は本発明の一実施形態に係る散薬収容容器1200の斜視図であり、図26は本発明の一実施形態に係る散薬収容容器1200の断面図である。
散薬収容容器1200は、略直方体の、底面を有する箱型形状で、長手方向を略水平方向として置かれている。この姿勢を横置きとする。
また、全体の形状は、散薬収容容器1200を排出口1202が略水平方向であるように設置した際の、散薬収容容器1200の略直方体の奥行より高さが小さくなっている。
これは、散薬収容容器に散薬を装填する際の作業性に優れ、また、散薬収容容器保管棚の前面の単位面積当たりに最多個数の散薬収容容器を配置することができるためである。
散薬収容容器1200は、上部に上蓋1201、下部側面に散薬の排出口1202、排出口1202の出口部分に排出口1202を遮蔽する遮蔽部(遮蔽板)1203、遮蔽部1203を回動自在に保持する遮蔽部回動軸1204、遮蔽部1203よりも容器の外側部分に設けられた追加遮蔽部1205、追加遮蔽部1205を回動自在に保持する追加遮蔽部回動軸1206、遮蔽部1203及び追加遮蔽部1205を閉鎖方向に付勢している板バネ1207、遮蔽部1203の下端に設けられ、押されると遮蔽部1203が開放方向に回動できる押し板1208、底面外側に磁性体である鉄板1209を有している。
更に、散薬収容容器1200は、後述する散薬収容容器移動装置1600による移動のために、上蓋外側に磁性体である鉄板1211、遮蔽部側の側面の上部に一対の装着ガイド穴1212、1213、及び、底面に種々の情報を保持できるRFIDタグ1214を有している。
なお、閉鎖方向に付勢する手段は、板バネに限定せず、コイルバネなどの弾性体や慣性質量体などであってもよい。また、遮蔽部1203と追加遮蔽部1205とを共通の板バネ1207で付勢することは、部品点数の削減の効果は大きいが、各々の遮蔽部に別々の付勢手段を設けてもよい。遮蔽部の質量や開閉タイミングなどにより、別々の方が有利な場合もあり得る。
散薬収容容器1200を水平面に載置した場合の底面は、図に示すように、中央部が水平で、前方(排出口側)と後方(排出口と反対側)がやや上方に向かって傾斜している、なべ底状の形状をしている。これは、収容されている散薬の漏れ出しを防止するために排出口1202に近づきすぎないように、また、排出時に収容されている散薬の排出を容易にするために後方に集まりすぎないように意図したものである。
但し、底面が、水平あるいは非水平の全面均一な平面である場合もあり得る。散薬の性質、散薬収容容器の取り扱い方法などにより、加工が容易な均一平面とする方が有利な場合もあり得る。また、前方、後方のどちらか一方のみが、やや上方に向かって傾斜している場合でも、先に述べた効果はある程度得られる。
また、散薬収容容器1200の排出口1202近傍の底面と、遮蔽部1203とのなす角度Aは、30度程度となっている。これは、後述するように、散薬放出装置に散薬収容容器1200が載置される際には、排出口1202近傍の底面が水平に載置されるため、遮蔽部1203の遮蔽面の、水平面となす角度を、前記遮蔽部1203が開いた際に静止状態で散薬の崩れない角度(安息角という)以下となるようにしたものである。
この実施形態では、遮蔽部1203は、排出口1202の上方に回動中心を有する板状のもので、遮蔽板と呼んでもよい。但し、板状であることに限定されず、棒状や柱状あるいはその他の形状であって、少なくとも排出口1202を遮蔽する部分が平面であればよいとする。また、その開閉方法も、板状の端部を回動中心とするものに限定されず、スライド形式や、両開き扉など種々の形状が考えられる。
<散薬収容容器保管棚1500>
図27は本発明の第2の実施形態に係る散薬収容容器保管棚の斜視図である。
図20、図22及び図27に示すように、散薬収容容器保管棚1500は、左側扉部1501及び右側扉部1502と、各々の扉部に設けられた、4段で、各段に4台ずつの散薬収容容器1200を載置できる散薬収容容器載置台1503とを有する。
左側扉部1501はその左端の上下に軸受1504、1505を具備し、散薬分包機1100の本体に軸支され、右側扉部1502はその右端の上下に図示しない軸受を具備し、散薬分包機1100の本体に軸支され、観音開き状に開くことができる。
ここで、散薬収容容器載置台1503を、左右の扉部に設けたのは、扉部を開くことにより、後述する散薬収容容器移送装置1600へのアクセスを容易にするためである。
すなわち、散薬収容容器移送装置1600が、散薬分包機1100の前面から見て後方に設けられているため、散薬収容容器移送装置1600の調整や保守作業をする場合には、散薬分包機1100の背面から行う必要があり、そのため散薬分包機1100を壁面に接して配置できないという問題があったが、この扉部が開くことによって、散薬分包機1100の前面からの調整や保守が可能となり、散薬分包機1100の設置スペースの削減が可能となる。
なお、扉の枚数・構造は、2枚の扉で観音開きが好適であるが、それに限定せず、1枚扉であっても、3枚以上の扉であってもよく、開閉も、片開き、スライド式、跳ね上げ式など、どのような方式であってもよい。散薬収容容器1200の数、大きさなどにより、適宜、定めればよい。
更に、左側扉部1501の前側にはヒンジ1506、1507によって開閉自在の左側透明カバー1508、右側扉部の前側には図示しないヒンジによって開閉自在の図示しない右側透明カバーが設けられている。
透明カバーを設けたのは、塵埃の侵入を防止し、また、部外者によるアクセスを規制するものであり、錠剤管理上、鍵(図示せず)を取付ける場合もあるし、機械安全管理上、扉の開閉検知装置(図示せず)を付加して、装置が動作中に扉の開閉があった場合に、この検知信号によって装置を停止する制御を行うようにしてもよい。
また、カバーを透明にしたのは、全ての棚の散薬収容容器1200を、装置の前面側に並べて、係員が一目でそれを目視できるようにするためである。図示しないが、各散薬収容容器1200に対応した棚の部位にLED表示などによって、その容器残量を表示するようにしてもよい。
図28は本発明の第2の実施形態に係る散薬収容容器保管棚の部分の斜視図である。図の右側は、散薬収容容器1200が散薬収容容器載置台1503に装着された状態、図の左側は散薬収容容器1200が取り外された状態を示している。
散薬収容容器載置台1503には、散薬収容容器1200の底面側がはまり込む形状の溝部1509が設けられている。
更に、溝部1509にはその底部にRFIFリーダ1510が設置されており、RFIDタグの読み取りが可能なように、図示しない電気回路が設けられている。
また、散薬収容容器載置台1503への散薬収容容器1200の取付け状態は、図20に示すように装置側面から見て、1段目から4段目まで、全て前後方向が一致し、さらに底面は装置前方が若干持ち上がった、略水平状態で載置されている。さらに後述する散薬放出装置1300に取り付けられた散薬収容容器1200も同じ姿勢(位置関係)になっている。
なお、散薬収容容器1200は、係員によって装置前面側から散薬収容容器載置棚1503へ装着可能なようになっている。
<散薬収容容器移送装置1600>
図29は本発明の第2の実施形態に係る散薬収容容器移送装置1600の斜視図であり、散薬収容容器移送装置1600は、散薬収容容器保管棚1500の背面側に設けられており、互いに直交する3軸上を移動する第1の移動部1610、第2の移動部1620、第3の移動部1630を有している。
ここで、第1の移動部1610は、電動スライダであることが好ましく、鉛直方向(Z軸方向)に延伸する左右一対の電動スライダ1611、1612で構成され、スライダに設けられたテーブル1613が対向している。
第2の移動部1620は、電動スライダであることが好ましく、第1の移動部1610の対向するテーブル1613の間に設置され、水平で左右の方向(X軸方向)にスライダが延伸しており、スライダにはテーブル1621が設けられている。
第3の移動部1630は、電動スライダであることが好ましく、第2の移動部1620のスライダに設けられたテーブル1621に設置され、水平で前後の方向(Y軸方向)にスライダが延伸している。
更に、第3の移動部1630のスライダに設けられたテーブル1631に、散薬収容容器保持部1640が設けられている。
散薬収容容器保持部1640は、上面は第3の移動部1630のテーブル1631に固定されており、下面には、図28にも示すように、散薬収容容器保持部1640が散薬収容容器1200を保持する位置にきたときに、散薬収容容器1200の上面の鉄板1211に対向して近接する位置に電磁石1641が取付けられている。
更に、散薬収容容器保持部1640は、2本のガイドピン1642、1643を有しており、これらのガイドピン1642、1643は散薬収容容器1200側の装着ガイド穴1212、1213に嵌合するようになっている。
<散薬放出装置1300>
図30は本発明の第2の実施形態に係る散薬放出装置1300の断面図であり、図31は本発明の第2の実施形態に係る散薬放出装置1300と散薬収容容器1200との関係を示す斜視図である。
散薬放出装置1300は、固定板1303、固定具1304、計量部1305、振動ベース1306、板バネ1307、散薬収容容器取付部1308、第1の電磁石1309、鉄材1310、第2の電磁石1311、遮蔽部開閉部1312を有している。
固定板1303は、散薬放出装置1300全体を保持するもので、散薬分包機1100の筐体内に強固に固定されている。
固定具1304は、固定板1303の上に、脚部と脚部に支持される平板部を有して設けられ、その上に装置の要素が固定される。
計量部1305は、固定具1304の平板上に設置され、その上面に振動ベース1306が載置されるので、この振動ベース1306に搭載された全質量が計量部1305に負荷されることで、質量測定ができるようになっている。
計量部1305としては、台秤が好適であるが、それに限定されず、ロードセルなど、その上部に載置されるものの重量が計測できるものであればよい。
振動ベース1306は、散薬の出口方向(前方)が低く傾斜する脚部と、脚部に支持される傾斜平板部とを有する。
板バネ1307は、2セットあり、振動ベース1306の傾斜平板部の前方と後方とからから上方に延伸し、散薬収容容器取付部1308を保持する。
第1の電磁石1309は、振動ベース1306に固定され、一方、散薬収容容器取付部1308には磁性を有する鉄材1310が、それぞれ相対して僅かな間隙を保持して配置されている。これによって第1の電磁石1309に交流的電気波形を入力すると、鉄材310が第1の電磁石1309に引き寄せられたり、離れたりという振動的挙動を示す。
その結果として散薬収容容器取付部1308は板バネ1307を介して振動ベース1306に取り付いているので、散薬収容容器取付部1308全体として、図面での上下方向と左右方向が合成された振動を行うことができる。
これらの、振動ベース1306、第1の電磁石1309、板バネ1307、散薬収容容器取付部1308の鉄材1310を総称して、散薬放出部1320と呼ぶ。
但し、散薬放出部1320の構成は、電磁石によるものに限定されず、少量ずつ散薬を放出できるものであれば、圧電素子による振動発生であってもよく、あるいは、振動に限定されず螺旋スクリュー駆動や、それ以外のものであってもよい。
第2の電磁石1311は、散薬収容容器取付部1308の上面に着磁面を露出させた状態で設けられる。これは、散薬収容容器1200の底面に取付けられた鉄板1209を、通電により吸着し、散薬収容容器取付部1308に散薬収容容器1200を固定して保持することができる。
なお、図31に示すように、散薬収容容器取付部1308に取り付けられる散薬収容容器1200は、装置側面から見て、散薬収容容器載置台1503の1段目から4段目までに載置された状態と、前後方向が一致し、さらに底面は装置前方が若干持ち上がった、略水平状態で載置されている。
また、散薬収容容器取付部1308の底部には、散薬収容容器1200の底面に貼り付けられたRFIDタグ1214に対応する位置にRFIFリーダ1315が設置されている。
遮蔽部開閉部1312は、直動型電磁ソレノイドであり、散薬収容容器取付部1308の下面に取付けられ、散薬収容容器1200の遮蔽部1203に設けられた押し板1208を押すことにより、遮蔽部1203を開放する機能を有する。
なお、この遮蔽部開閉部1312は、直動型電磁ソレノイドと遮蔽部側の押し板1208とによる機構に限定せず、例えば、モータにリードスクリューを直結してモータの回転を直線運動として押し板1208を押したり、押し板を用いて、あるいは押し板を用いず、散薬放出装置1300側に設けた各種の駆動源を動作させて、リンク機構により遮蔽部1203を回動したりするなど、種々の公知の作動機構を用いてもよい。
<散薬包装装置1400>
本発明の第2の実施形態を、図面を用いて説明する。図32は本発明の第2の実施形態に係る散薬包装装置1400の円盤配分部1401の斜視図である。
散薬包装装置1400は、散薬放出装置1300から放出された散薬を円盤1402上で受け取り配分する円盤配分部1401と、円盤配分部1401で配分された散薬を下方へ落下させるホッパ・シュート1403と、ホッパ・シュート1403の出口に分包紙を配置し、その分包紙に散薬を封入して包装する散薬包装部1404とを有する。
円盤配分部1401は、左右2セットの左円盤配分部1401Aと右円盤配分部1401Bとから構成される。その各々に対して散薬放出装置1300が2台配置されているため、1つの円盤配分部1401に、4台の散薬放出装置1300が配置されることになる。更に、散薬分包機1100全体としては、このような円盤配分部1401が複数セット配置されることもある。
なお、これらの配置台数は例示であり、これより少なくてもよく、あるいは、多くてもよい。適宜、用途目的によって選択すればよい。
切り出された散薬は、ホッパ・シュート1403を介して下方に落下し、ホッパ・シュート1403の出口に対応して配置された分包紙に散薬を封入することのできる散薬包装部1404が配置されている。
≪機体外容器移送装置1900≫
図19及び図20を用いてその構成を説明する。また、図37は本発明の第2の実施形態に係る散薬分包システムの機体外容器移送装置の動作説明図であり、適宜、参照する。
機体外容器移送装置1900は、両側の散薬分包機1100の間に、両側の散薬分包機1100の前面の平面に略平行に設けられ、両端を散薬分包機1100の筐体に固定された水平直線移動が可能な第1の移動部1902と、第1の移動部1902のテーブル(可動台)1903の上に固定して設けられた同じく水平直線移動が可能な第2の移動部1904と、第2の移動部1904のテーブル(可動台)1905の上に固定して設けられた容器移送棚1906と、容器移送棚1906の移動の際の安全を確保するための容器移送棚1906を覆うトンネル状の固定のカバー1907と、カバー1907の前面部に設けられた扉1909と、扉を開閉するためのヒンジ1908と、扉の閉状態を維持し、扉開の場合は第1の移動部1902及び第2の移動部1903への電力を遮断する機能を有し、指令によって扉の閉状態を解除する機能を有した電磁ロック機構1910と、容器交換を可能とする容器交換スイッチ1911とを有する。
ここで、扉1909とヒンジ1908と電磁ロック機能1910と容器交換スイッチ1911とを総称して、容器脱着部とする。
なお、容器脱着部としては、このような構成に限定せず、機体外容器移送装置1900から、容器を脱着できる機構であれば、どのようなものであってもよい。例えば、スイッチ押下によって容器が機体外容器移送装置1900から、固着部分を自動的に解除し、水平または垂直にスライドして、操作者の前に提示されるようにしてもよいし、それ以外のいかなる方法であってもよい。
第1の移動部1902は、電動スライダであることが好ましく、両方の散薬分包機1100の前面と平行で水平方向に移動可能となっており、そのスライダには、上面が水平のテーブル(可動台)1903が設けられている。
この部分をスライドさせることにより、テーブル1903が、両側の散薬分包機1100の間のほぼ全域を平行移動することができる。
第2の移動部1904は、電動スライダであることが好ましく、第2の移動部1904の固定側の中央付近が、第1の移動部1902のテーブル1903上に固定されて設置される。
すなわち、テーブル1903のスライドにより、第2の移動部1904の両端部分は、いずれか一方の散薬分包機の内部へと進入することになる。
なお、第1の移動部1902、または第2の移動部1904は、電動スライダによる平行移動可能な機構としたが、平行移動可能な機構であれば、電動スライダに限定せず、チェーンやワイヤや自走車などを使用した構成であってもよい。
容器移送棚1906は、第2の移動部1904のテーブル(可動部)1905上に固定して設けられ、散薬収容容器1200を2台水平状態で載置できるようになっている。
これは、本発明の第1の実施形態と異なり、散薬収納容器1200における移送のための吸着する鉄板1211が上蓋外側に設けられているため、容器移送棚1906に対する脱着を上下方向で行わせるためであり、複数段としなかったものである。
なお、この段数、台数は例示であり、増減してもよい。
従って、第2の移動部1904のテーブル1905が第2の移動部1904の延伸方向にスライドすると、容器移送棚1906は、そのスライド方向にある散薬分包機1100の中の奥の方へ進入することになる。
なお、この容器移送棚1906の各々の容器載置場所は、散薬分包機1100の散薬収容容器保管棚1500の散薬収容容器載置台1503や散薬放出装置1300と同様の容器載置機能を有しており、散薬収容容器1100が載置される面には、図示しないがRFIFリーダが設置されており、載置された散薬収納容器1100のRFIDタグに記録された薬剤情報を読み取ったり、書き込んだりすることができる。
なお、図示するように、機体外容器移送装置1900は、待機状態(待機位置)、すなわち、第1の移動部1902の上のテーブル1903も、第2の移動部1904の上のテーブル1905も、両側の散薬分包機1100の間の中央付近に位置している状態では、散薬分包機1100の内部に進入している部分はないため、いずれの散薬分包機1100においても、散薬の分包動作を妨害されることはない。
すなわち、散薬収容容器1200を、それぞれの散薬分包機1100の散薬収容容器保管棚1500の背面に移送して、機体外容器移送装置1900との受け渡しを行う際に、機体外容器移送装置1900の機構が、散薬分包機1100内の散薬収容容器移送装置1600の動作範囲に干渉してしまうと、その範囲には、散薬収容容器保管棚1500を配置できなくなり、それぞれの散薬分包機1100の容器収容容量を削減することとなって、本発明の課題を十分には解決できない。
この種の装置で多用されるベルト式移送装置では、散薬分包機1100の間に掛け渡されるベルトが干渉要素になってしまうが、本発明の機体外容器移送装置1900においては、第1の移動部1902及び第2の移動部1904に水平直進運動を行う電動スライダを用いることによって、移送を行わない待機位置では、双方の散薬分包機1100の散薬収容容器移送装置1600と干渉しない位置に退避することができるので、散薬収容容器保管棚1500にデッドスペースを設ける必要がなくなるという利点がある。
≪作業台≫
作業台1901は、機体外容器移送装置1900の容器脱着部の近傍の下方に設けられる。作業台1901は、人が立位または座位で作業するのに適切な高さの上面を有することが望ましく、容器脱着部から取り外した容器の処置や、容器脱着部に装填するための容器への散薬の補充などの作業を、機体外容器移送装置1900の、しかも、容器脱着部の近傍で行うことができるので、作業効率が極めてよい。
次に、このような構成の本発明の一実施形態に係る動作について説明する。
≪散薬分包機における動作≫
<散薬収容容器載置ステップ>
図28の右側の図に示すように、散薬収容容器1200は、散薬を収容した状態で、散薬収容容器保管棚1500の所定の散薬収容容器載置台1503の溝部1509に載置される。
載置の方法は、係員による場合のほか、後述する機体外容器移送装置1900及び散薬収容容器移送装置1600を用いる場合もある。
ここで、溝部1509にはその背面にRFIFリーダ1510が設置され、一方、対向して散薬収容容器1200の底面にはRFIDタグ1214が貼り付けられているので、この双方が近接することによって、該当の溝部1509にどのような散薬収容容器1200が取付けられたかを認識することができる。
なお、このRFIDタグ1214には、例えば、
1)事前に散薬を充填したときに入力される「薬剤名称」「消費期限」「充填量」
2)処方の都度入力される「処方番号」「払出し量」「現在予想残量」
などが入力される。
<散薬収容容器保持ステップ>
散薬収容容器1200が散薬収容容保管棚1500に保管されている状態で、分包作業が必要になると、図示しない制御部が、散薬収容容器移送装置1600に指示して散薬収容容器保持部1640を所望の散薬収容容器1200のところへ移動させる。
ここで、散薬収容容器保持部1640は、第3の移動部1630のテーブル1631に固着しているので、第3の移動部1630が、必要があれば散薬収容容器保持部1640を装置前面から見て後方に水平移動し、次に、第2の移動部1620が、散薬収容容器保持部1640を装置前面から見て左右方向に水平移動し、次に、第1の移動部1610が散薬容器保持部1640を鉛直方向に移動し、最後に、第3の移動部1630が、散薬収容容器保持部1640を所望の散薬収容容器1200の直上部に近接させる。
すなわち、散薬収容容器保持部1640は、電磁石1641を有しており、その電磁石1641が散薬収容容器2100の上面の鉄板1211に対向して近接する位置に到達する。
更に、散薬収容容器保持部1640は、2本のガイドピン1642、1643を有しており、これらのガイドピン1642、643は、第3の移動部1630の電動スライダの装置前方方向の移動によって散薬収容容器1200側の装着ガイド穴1212、1213に嵌合し、位置決めされるようになっている。
ここで、図示しない制御部の指示で、電磁石1641が励磁されると、散薬収容容器1200は散薬収容容器保持部1640によってしっかりと保持される。
<散薬収容容器移送ステップ>
次に、散薬収容容器1200を散薬放出装置1300へと移送する。図29を例に説明する。
まず、散薬収容容器移送装置1600の第3の移動部1630が、散薬収容容器保持部1640を装置前面から見て後方(奥側)に水平移動させる。
次に、第2の移動部1620が、散薬収容容器保持部1640を装置前面から見て左右方向に水平移動させ、更に、第1の移動部1610が散薬容器保持部1640を鉛直方向に移動させ、最後に、第3の移動部1630が、散薬収容容器保持部1640を装置前面から見て前方(手前側)に水平移動させ、散薬収容容器保持部1640を散薬放出装置1300の所望の散薬収容容器取付部1308に近接させる。
図中に、第2の移動部1620、及び第2の移動部1620に連結する第3の移動部1630、第3の移動部に連結する散薬収容容器保持部1640が2個所示されているが、これは、図中の矢印のように、第1の移動部1610によってそれらの要素が鉛直方向に移動しうることを示したものであり、それらの要素が、複数存在することを示すものではない。
なお、このような散薬収容容器保持部1640の3軸方向(X−Y−Z軸方向)の座標移動は、この順序に限定するものではなく、水平と鉛直の移動順序が逆になってもよい。
また、ガイドピン1642、1643は補助保持手段として、万一電源が遮断された場合であっても、散薬収容容器1200が脱落することを防止している。
なお、第1の移動部1610、第2の移動部1620、第3の移動部1630のそれぞれの電動スライダは、スライダ自体に絶対座標センサを内蔵しているので、常時、XYZ座標位置を制御部1800に送信することができる。この絶対座標を知って、図示しない制御部は、散薬収容容器1200を所定の位置に移動させることができる。
これまでの説明では、散薬収容容器1200の移動を行う第1から第3の移動部1610、1620、1630を電動スライダの互いに直交する3軸構成としたが、その各軸をベルトやチェーンで機構的に移動させるものであっても、同様の効果を得ることができる場合もある。
<散薬収容容器取付ステップ>
次に、移送された散薬収容容器1200を散薬放出装置1300の散薬収容容器取付部1308に取り付ける。
図33は、本発明の一実施形態に係る散薬収容容器1200を、散薬収容容器取付部1308に取付け、取り外しを行う状況を示す斜視図である。また図34及び図35は本発明の一実施形態に係る散薬収容容器1200の取付け、取り外し動作における散薬収容容器1200の排出口1202近傍の動作を示す断面図である。
図33(a)に示すように、移送されてきた散薬収容容器1200が、散薬収容容器取付部1308の直上部に到着する。
次に、図33(b)に示すように、散薬収容容器1200は、第1の移動部1610の鉛直方向下方への動きによって、散薬収容容器取付部1308に当接し、その状態で、散薬放出装置1300の第2の電磁石1311が励磁され、散薬収容容器1200の底面に取付けられた鉄板1209を吸着することで、散薬放出装置1300に散薬収容容器1200がしっかりと固定される。
なお、その際に、散薬収容容器1200の底面に貼り付けられたRFIDタグ1214と、散薬収容容器取付部1308に設けられたRFIDリーダ1315とが近接することで、この間の情報の伝達がなされ、どの散薬収容容器1200が、4台の散薬放出装置1300のどれに取付けられたかを認識することができる。
また、図33(c)に示すように、散薬収容容器保持部1640は、散薬収容容器1200を散薬収容容器取付部1308に取り付けた後には、電磁石1641の励磁を止め、第3の移動部1630の後方(奥側)への動きにより、散薬収容容器1200から離間する。
<散薬収容容器の排出口の状態>
散薬収容容器1200は、散薬収容容器保管棚1500に保管されている状態では、図34(a)及び図35(a)のような、遮蔽部1203「閉」、追加遮蔽部1205「閉」の状態であるので、排出口1202は二重に閉鎖された状態になっており、多少、衝撃があったとしても散薬がこぼれることはない。
この状態で、散薬収容容器1200は、散薬収容容器保管棚1500に保管されており、更に、その状態(姿勢)を変えずに、散薬収容容器移送装置1600によって、散薬放出装置1300へと移送される。
ここで、図34(a)に示すように、排出口1202近傍の、散薬放出装置1300に取り付けられると水平になる底面と、遮蔽部1203の遮蔽面とのなす角度Aが、安息角以下になっているため、散薬放出装置1300に取り付けられたあとで、遮蔽部1203を開放しても散薬がこぼれ出る恐れは少ない。
散薬収容容器1200が、散薬収容容器取付部1308に取り付けられる際には、追加遮蔽部1205の左右に設けられた突起部1210が、容器取付ガイド体1313の斜面部1314に押し当てられることによって、追加遮蔽部1205は、開状態となる。このときは図34(b)の遮蔽部1203「閉」、追加遮蔽部1205「開」の状態になる。
この状態が散薬放出装置1300の待機状態となる。この状態では、散薬収容容器1200は、前方(排出口側)がやや低く傾斜した状態であり、遮蔽部1203近傍の底面が水平となっている。そのため、遮蔽部1203の遮蔽面と遮蔽部1203近傍の底面とのなす角度は、安息角となっており、静かに遮蔽部1203を開けた場合には、それだけでは散薬がこぼれ出すことはない。
<散薬放出ステップ>
次に、この散薬収容容器1200から薬剤Pを所定質量分放出するように指示があると、まず遮蔽部開閉部1312が駆動され、それにより散薬収容容器1200の遮蔽部1203が開く。このときは図34(c)及び図35(c)の遮蔽部1203「開」、追加遮蔽部1205「開」の状態になる。
この後、散薬排出口1202の下部にその面を配置させた散薬包装装置1400の円盤分配部1401の円盤1402を一定速度で回転させ、引き続き、第1の電磁石1314を駆動して、第3のベース1313に振動を与えると、これに結合されている散薬収容容器1200も振動するので、散薬排出口1202から散薬が回転する円盤1402にドーナツ状に堆積していく。
このとき計量部1305によって、第1のベース上の全質量は連続的に計量されており、あらかじめ定めた所定質量(例えば処方箋で指定された分量)に達したとき、すなわち、所定量が放出されて所定質量が減じたときに電磁石1314の振動を停止し、円盤1402の回転も停止する。
それと同時または若干の時間を置いて、遮蔽部開閉部1312の駆動が解除されると、排出口1202の遮蔽部1203は閉鎖される。
これによって、外部から振動等の外乱が加わっても、排出口1202近傍の散薬Pがこぼれ出すことはない。
<散薬包装ステップ>
次に、円盤配分部1401の円盤1402上にドーナツ状に形成された散薬の山を、円盤1402を所定角度ずつ回転停止して、制御部から指示される円周分割数(たとえば10等分)で配分し、図示しない切り出し部で切り出すことで1包分に分配する。
切り出された散薬は、ホッパ・シュート1403を介して下方に落下し、ホッパ・シュート1403の出口に設けられた散薬包装部1404の分包紙に薬剤Pが封入される。このようにして、例えば、1処方10包の分包状態が完成する。
<散薬収容容器取り外しステップ>
一連の処理が終了した後で、散薬収容容器1200を散薬収容容器取付部1308から取り外して、散薬収容容器保管棚1500に戻す際は、散薬収容容器保管棚1500から散薬収容容器取付部1308へ移送したのと逆の手順によればよい。
すなわち、図33(c)のように散薬収容容器保持部1640を散薬収容容器1200に近接させ、図33(b)のように電磁石1641を励磁して散薬収容容器1200を保持し、図33(a)のように散薬収容容器移送装置1600の第1の移動部1610の働きにより鉛直方向上方に移動させ、更に、第2の移動部1620、第3の移動部1630の働きにより、散薬収容容器1200を所定の散薬収容容器載置部1503へと戻す。
散薬収容容器1200を取り外す際には、遮蔽部1203及び追加遮蔽部1205は、閉鎖方向への共通の付勢手段である板バネ1207(図25及び図34(c)に示す、なお、図34(a)では図示を省略)が作用して、排出口1202が二重に遮蔽(閉鎖)され、移送中に姿勢変換を行わなくても、散薬のこぼれ出しの心配なく散薬収容容器保管棚1500へ戻すことができる。
なお、このステップは、散薬を配分する動作をしている最中でも、可能である。
≪機体外容器移送装置における動作≫
<容器の装着・回収・機体間移送ステップ>
図36は本発明の第1の実施形態にかかる容器の機体間移送ステップの説明図である。ここで、図36(a)は待機状態(待機位置)であって、この状態で、操作員による散薬収容容器1200の脱着を行うことができる。それらの指示は、制御プログラムに従って、散薬分包機1100の図示しない操作部より行われる。
例えば、どちらかの散薬分包機1100のある薬剤の入った散薬収容容器1200の薬剤残量が予め定めた値より小さくなった場合に、この散薬収容容器1200を取り外して、再度薬剤を補充して装填したり、両側の散薬分包機1100の間で、散薬収容容器1200を融通したりすることができる。
なお、この位置は、第1の移動部1902の上のテーブル1903も、第2の移動部1904の上のテーブル1905も、両側の散薬分包機1100の間の中央付近に位置している状態であり、両側の散薬分包機1100の散薬収容容器移送装置1600の動作範囲と干渉しない位置である。
図36(b)は機体外容器移送装置1900と図中で左側の散薬分包機1との間の容器の移載位置である。図36(a)の位置から、図36(b)の位置に移動する前には、左側の散薬分包機1100の散薬収容容器移送装置1600を、これと干渉する位置への動作を禁止する指令を発しておく。
その上で、第1の移動部1902のテーブル(可動部)1903を左側に移動し、同時に第2の移動部1904のテーブル(可動部)1905も左側に移動することで、容器棚1906が図示される位置に移動する。
この位置は、散薬分包機1100側の散薬収容容器移送装置1600の動作領域であるので、散薬収容容器移送装置1600が、テーブル1905上の容器移送棚1906に載置された散薬収容容器1200を、散薬分包機1100の散薬収容容器保管棚1500の散薬収容容器載置台1503に移載することができる。
この方法は、先に図33によって説明した、散薬収容容器取り外しステップ及びその逆の動作により、容器移送棚1906から散薬収容容器保管棚1500への移送が行われる。
ただし、図33(c)で示す散薬収容容器保持部1640の近接位置は、散薬分包システム1010全体の奥行を長くしないため、ガイドピン1642、1643にぎりぎり近づいた位置とすることが望ましい。
また、図36(c)は機体外容器移送装置1900と、図中で右側の散薬分包機1100との間の容器の移載位置である。
ここでも、図36(a)の位置から、図36(c)の位置に移動する前には、右側の散薬分包機1100の散薬収容容器移送装置1600を、これと干渉する位置への動作を禁止する指令を発しておく。
その上で、第1の移動部1902のテーブル(可動部)1903を右側に移動し、同時に第2の移動部1904のテーブル(可動部)1905も右側に移動することで、容器棚1906が図36(c)の位置に移動する。
この位置は、散薬分包機1100側の散薬収容容器移送装置1600の動作領域であるので、散薬収容容器移送装置1600が、テーブル1905上の容器移送棚1906に載置された散薬収容容器1200を、先に説明したのと同様の方法で、散薬収容容器保管棚1500の散薬収容容器載置台1503に移載することができる。
これまでは、散薬補充時に、散薬を充填した散薬収容容器1100を装着する動作の流れであったが、散薬分包機1100から散薬収容容器1200を回収するのは、これまでの説明と逆の動作で実現することができる。
更に、一方の散薬分包機1100(例えば左側の散薬分包機1100)から他方の散薬分包機1100(例えば右側の散薬分包機1100)へと、調剤時に不足する薬剤品目を収容する散薬収容容器1200を移送する場合には、先に述べたような手順で、左側の散薬分包機1100からの回収動作を行い、引き続き、回収した散薬収容容器1200をそのまま右側の散薬分包機1100へと移送し、右側の散薬分包機1100の散薬収容容器保管棚1500の散薬収容容器載置台1503に載置し、右側の散薬分包機1100での分包動作に備えればよい。
<容器脱着ステップ>
先に述べた容器の装着、回収などの作業の際には、機体外容器移送装置1900から、散薬収容容器1200を取り出す必要が生じる場合がある。この場合に、それらの作業を安全かつ確実に実施させるために、容器脱着部が設けられる。
まず、容器脱着部の容器交換スイッチ1911を押下する。それによって、第1の移動部1902と第2の移動部1904は、容器保管棚1906を取り出しが容易なほぼ両側の散薬分包機1100の間の中央付近に移動させ、更に、取り出すべき容器が扉1909を開けた際にアクセス可能な位置に移動させる。
次に、図示しない手段(電動スライダの位置座標情報など)によって、取り出すべき容器が扉1909を開けた際にアクセス可能な位置に移動していることが確認されると、扉1909の電磁ロック機構1910を解除し、手動での扉1909の開放が可能となる。
同時に、電磁ロック機構1910は、扉1909が「開」であることを検知した場合に、安全のために、第1の移動部1902と第2の移動部1904とへの電力を遮断して、動き出すことのないようにする。
その後、操作員によって、散薬収容容器1200への不足分の散薬の補充などの必要な作業が完了したら、これまでに述べたのと逆の手順で、散薬収容容器1200を機体外容器移送装置1900へと戻してやればよい。
次に、本発明の第2の実施形態の第1の変形例について説明する。
図37は本発明の第2の実施形態の散薬分包システムの変形例を示す正面図である。この第1の変形例の散薬分包システム1010は、これまでに説明した2台の散薬分包機に代えて、1台の散薬分包機1100と、散薬分包機から散薬包装装置などを削除して散薬収容容器保管棚1500と散薬収容容器移送装置1600とを残した、散薬収容容器1200の保管を主に行う散薬保管機1800と、散薬分包機1100と散薬保管機1800との間で散薬収容容器1200を移送し、授受する機体外容器移送装置1900とを有する。
このシステムでは、散薬分包機1100において不足する散薬が散薬保管機1800に装着された散薬収容容器1200に存在する場合は、当該散薬収容容器1200を、機体外移送装置1900を介して散薬分包機1100へと移送し、散薬分包機1100の計量・分割・包装などの機能を用いて分包処理を行わせるものである。
このようにすると、分包処理は、1台の散薬分包機1100でしか行うことはできないが、散薬の収容種類数は、大きく増加させることができるため、分包処理の頻度は高くないが、散薬の種別が多い薬局においては、極めて大きな効果を奏する。
次に、本発明の第2の実施形態の第2の変形例につき説明する。
図示は省略するが、この第2の変形例は、第1の実施形態の第2の変形例と類似の構成であり、3台以上の機械を設置するものであって、例えば、両側に散薬分包機1100、中央に散薬保管機1800、その間に2基の機体外容器移送装置1900を設けたものである。
このようにすると、2台構成のシステムよりも、更に多数の散薬収容容器1200を装着し、それらを活用することができるので、多品種の散薬を必要とする調剤薬局については極めて有用である。
なお、機械の構成は、説明した例に限定されず、3台とも散薬分包機1100であってもよいし、1台のみが散薬分包機1100で、2台が散薬保管機1800であってもよく、少なくとも散薬分包機1100が1台あればよい。
また、台数についても、3台までに限定するものではなく、4台以上であってもよい。
次に、本発明の第2の実施形態の第3の変形例につき説明する。
第3の変形例は、図示しないが、単一の散薬分包機1100と機体外容器移送装置1900とからなる散薬分包システム10である。
すなわち、散薬分包機1100に対して、散薬収容容器1200の装着、回収を行うために、機体外容器移送装置1900を用いるものである。
散薬分包機1100の散薬収容容器保管棚1500は、全ての容器が機械前面を向いており、容器の交換を容易にしているが、機械の背面に電動スライダなどを用いた散薬収容容器移送装置1600が配置されているので、安全上の観点から、係員が前面扉を開けた信号が発生すると、電動シリンダの動作を中止するように制御するなどの必要がある。
しかし、機体外容器移送装置900を用いると、機体外で容器の装着・回収作業が行えるため、安全性が極めて高く、更に、機械停止時間も短くすることができる。
特に、容器脱着部を併せて備えることによって、更に安全で、確実な作業が可能となる。
なお、散薬分包機1100についてのこれまでの説明で、電磁石に吸引される部分を、磁性体である鉄板あるいは鉄材として記述したが、電磁石に吸引されることができる物質であれば、鉄には限定されず、他の材料であってもよい。
更に、散薬分包機1100についてのこれまでの説明で、散薬放出装置、あるいは、散薬分包機に用いられる散薬収容容器については、排出口、排出口を遮蔽する遮蔽部のほかに、追加遮蔽部を有すること、あるいは/及び、遮蔽部と底面との角度が小さいことという特徴を有するとしたが、これらの特徴を有さない散薬収容容器を用いても、散薬放出装置側に遮蔽部開閉部を有するなどの特徴から、本発明の課題の解決には、ある程度の効果が得られる。