以下、本発明を実施形態をもって説明するが、本発明は、後述する実施形態に限定されるものではない。図1は、本実施形態の物流管理システム100の概略図である。物流管理システム100は、ネットワーク110を介して遠隔的に荷主が配送を依頼し、荷主からの依頼に対応して物流業者が集配を指令し、さらに集配状況のモニタを可能としている。物流管理システム100は、荷主サイトに設置された発注端末112と、集配を管理する物流者サイトに設置された物流端末114とを含んでいる。
発注端末112は、運送するべき荷物を指定して物流管理サーバ116に登録することにより、荷物の運送を依頼する。本実施形態において。用語「荷主」とは、荷物に対する権利を有する人、団体、または企業を意味し、用語「物流者」とは、荷物の運搬を実際に行う、運送業者を意味する。したがって、例えば一般ユーザが、例えば通販会社で商品を購入し、通販会社が物流者に荷物の搬送を依頼する場合、「荷主」には、荷物の購入者または通販会社などの仲介業者を含み、さらに、着荷主、発荷主の両方を含む。
発注端末112は、物流管理サーバ116に対して荷物の配送状況を問い合わせ、物流管理サーバ116から、当該荷物の現在位置、配送完了予定時刻など現在の配送状況を略リアルタイムで取得する。また、物流端末114は、物流管理サーバ116に対して発注端末112からの新規な荷物集配の依頼の有無を問い合わせ、物流管理サーバ116に対して荷物の集配のための運行管理および要員管理などを依頼している。
発注端末112および物流端末114は、パーソナルコンピュータやワークステーション、またはサーバコンピュータから構成することができ、中央処理装置(CPU)、RAM、ROM、ハードディスクなどを実装し、適切なオペレーティングシステム(OS)の制御の下でオブジェクト指向プログラミング言語やレガシープログラミング言語などを実行し、各種処理を実行するための機能手段を提供している。また、発注端末112、物流端末114は、物流管理サーバ116に対してアクセスするための専用のクライアント−サーバアプリケーションを実装することもできるが、より好ましい実施形態では、発注端末112、物流端末114は、Internet Explorer(登録商標)、Mozilla(登録商標)、Opera(登録商標)FireFox(登録商標)、Chrome(登録商標)などのブラウザソフトウェアを搭載し、物流管理サーバ116に対して、HTTPプロトコルやFTPプロトコルを使用してアクセスし、JAVA(登録商標)、JAVAAPPLET(登録商標)、JAVASCRIPT(登録商標)などのアプリケーションプログラムを介して各種サービスの提供を受ける構成とされている。
物流管理サーバ116は、それぞれ発注端末112および物流端末114からの発注要求または運行管理要求を受領し、発注要求に基づいて集配計画の作成を支援する。物流管理サーバ116は、現在集配業務を行っている運搬車両に搭載されたモバイル端末130,140から、それぞれの運搬車両132,142の集配状況を、無線ネットワークを介した通信により取得し、略リアルタイムで集配状況の更新を行っている。本実施形態で、「略リアルタイム」とは、モバイル端末130,140から定期的にその位置情報および日時情報が送付され、更新されることを意味する。
物流管理サーバ116は、このために、受注DB118、動態DB120および運行DB122を管理しており、発注端末112からの受注、運搬車両の集配状況の管理、および新規受注に基づく運行計画作成支援を行っている。物流管理サーバ116は、上述した処理を実行するためにWebサーバおよびFTPサーバとして機能し、さらにリレーショナルデータベース(RDB)やオブジェクト指向データベース(OODB)などのデータベースアプリケーションを実装し、物流に関連するデータ取得要求を取得し、SQL(Structured Query Language)や、XML(eXtensible Markup Language)などを利用して、要求を処理し、それぞれ発注端末112または物流端末114に対して要求された情報を提供している。
物流管理サーバ116は、Windows(登録商標)200X、UNIX(登録商標)、Linux(登録商標)といったOSの制御下で動作するサーバプログラムを実装し、DB2(登録商標)、Oracle(登録商標)、ACCESS(登録商標)などのRDBや、CASHEなどのOODBを搭載し、各種の要求を処理している。
運搬車両132,142は、トラックなどの車両の他、バイク、モータ付自転車などの荷物の集配を行うことができる車両であり、各運搬車両132,142には、モバイル端末130,140が搭載されている。モバイル端末130,140は、これまで知られたいかなる端末、例えばカーナビ装置、携帯電話、スマートフォン、PDA(Personal Data Assistant)、ミニノートコンピュータ、iPad(登録商標)などのパッド型コンピュータを利用して実装することができる。
モバイル端末130,140は、Windows CE(登録商標)などの適切なOSの下で、本実施形態の物流管理システム100に送付するための時刻情報、位置情報などを取得することができ、定期的に無線ネットワークを介して物流管理サーバ116に取得した情報を、RFC959などに規定されるFTP(File Transfer Protocol)や、RFC2228などに規定されるFTPSなどのプロトコルで送付することができる限り、端末の種類・形式には特に制限されるものではない。
また、モバイル端末130,140は、位置情報をGPS(Global Positioning System)などを利用して取得することもできるし、またGPSに代えて特定の無線通信方式における無線局の位置情報をその位置情報として取得することができる。本実施形態の無線ネットワーク150は、種々の通信方式の通信基盤を利用することができ、例えばIEEE802.xなどの規格で規定される無線通信、Bluetooth(登録商標)、DoPa、FOMA、PHS、7.2Mbpsのデータ転送速度を可能とするハイスピードFOMA、または32Mbpsのレートでデータ通信する次世代高速無線通信方式や3G、4G、5G、LTE、WiMAX(登録商標)などの通信方式またはその他の移動体通信方式を利用して構成することができる。
図2は、本実施形態の物流管理サーバ116の機能ブロック200を示す図である。物流管理サーバ116は、上述したようにWebサーバとして実装されており、ネットワークインタフェースNICを介してインターネットといったネットワーク110から各種情報および要求を受領する。さらに物流管理サーバ116は、運行管理部210と、動態管理部220と、発注管理部230を備えている。運行管理部210は、発注端末からの集配要求を受領し、特定の物流端末114からのアクセスに応じて運送業者の集配資源情報を参照して配送計画作成を支援する。また、運行管理部210は、運行DB122に作成した配送計画を登録し、管理している。
動態管理部220は、運搬車両132、142から送付される位置情報、時刻情報などを受領して動態DB120に登録された特定の運搬車両の現在情報を更新する。動態DB120は、発注端末112から特定の運搬車両が担当する荷物がどのような配送状況にあるかの問合わせを受領すると、運搬車両の配送状況を検索して、後述する発注管理部230に検索された情報を渡すことで、発注管理部230による対応する地図情報や道路情報などの取得、現在位置や予定配送時刻などを表示させるためのオブジェクトの地図データへの合成、集配計画テーブルの生成および地図データへの合成などの処理を可能とさせている。
発注管理部230は、本実施形態では、フロントエンドサーバの機能を有しており、発注端末112からの荷物集配要求を受領して、受注DB118に登録し、運行管理部210および動態管理部220による貨物追跡を可能とする。また、発注管理部230は、発注端末112からの荷物の現状問合わせ要求を受領すると、問合わせを受けた発注者の荷物を搬送している運搬車両の最新の荷物配送状況を検索し、その位置情報に対応する地図データおよび配送予定時刻などを表示するためのオブジェクトを地図データに合成してHTMLデータを作成し、発注端末112に対して現状問合わせ要求のレスポンスとしてダウンロードさせている。
図2に示した物流管理サーバ116の各機能部のうち、運行管理部210と発注管理部230とは、Webサーバ機能部として構成され、動態管理部220は、FTPサーバ機能部として構成される。また、物流管理サーバ116は、Webサーバ、FTPサーバ、およびデータサーバのサーバネットワークとして構成することもでき、適宜、システム容量、コストおよび設置環境を考慮して実装することができる。
また、物流管理サーバ116は、データベースアクセス部240を含んでいる。データベースアクセス部240は、RDBやOODBに対するデータの登録や検索、検索結果の作成などを行う処理部であり、SQLパーザを含んで実装され、SQLなどで作成されたクエリ文を解析し、各データベースに対するデータ追加、検索結果生成、データ削除、データ更新などの処理を可能としている。運行管理部210、動態管理部220、および発注管理部230が取得した各データは、データベースアクセス部240、ストレージインタフェース250を介してハードディスク装置(図示せず)などにデータベースのデータとして格納されている。
なお、図2に説明した各機能部は、サーバプログラムの実行により単一内でのサーバの機能手段として実装することができる。また、他の実施形態では、図2の各機能部をそれぞれ特定機能に専用化したアプライアンスサーバとして実装し、各アプライアンスサーバをイーサネット(登録商標)などにより相互接続したサーバネットワークとして構成することもできる。さらに、図2の物流管理サーバの機能は、クラウドなどのコンピューティング基盤上に構成することができる。
図3は、本実施形態で動態管理部220が取得する運搬車両の配送状況を取得するための、例えばモバイル端末130の機能ブロックを示す。モバイル端末140についても同様の構成を用いることができるので、以下、例示的にモバイル端末130について具体的に説明する。なお、図3には、モバイル端末130のネットワークトランザクションを説明するために動態管理部220およびネットワークについても併せて示している。
図3に示すように、モバイル端末130は、無線ネットワーク150およびネットワーク110といったネットワークを介して物流管理サーバ116の動態管理部220との間でデータ送受信を行う。データ送受信は、FTPプロトコルまたはHTTPプロトコルを使用して行うことができ、適宜Secure Socketレベルでのトランザクションを利用することができる。以下、説明を簡略化するためにデータ転送プロトコルとして、FTPプロトコルおよびHTTPプロトコルを使用するものとして説明する。
モバイル端末130は、無線ネットワークインタフェース310を備えており、適切な通信方式およびプロトコルの下で、動態管理部220に対して運搬車両の最新の位置情報および時刻情報などを動態管理部220に送付する。さらにモバイル端末130は、本実施形態の業務を実行するためのアプリケーション320とGPSアプリケーション330と、GPSモジュール340とを含んでいる。アプリケーション320は、定期的にGPSモジュール340を起動して、緯度、経度といった位置情報を取得し、取得した時刻を日時情報としてパケットにカプセル化する。
さらに、モバイル端末130は、その機能ブロックとしてOS360および外付け機器のためのAPI(Application Program Interface)350を備えていて、OS360や、外付け機器(図示せず)からの割り込み要求に対応している。さらにモバイル端末は、デバイスドライバ380を備えていて、ハードウェア層(HDW)に対する制御を可能としている。モバイル端末130は、それ自体が通信機能を備えていても良いし、USBなどのバスを介して無線通信手段が接続され、当該無線通信手段を介してネットワーク上のデータトランザクションを可能とすることができる。
モバイル端末130と物流管理サーバ116との間のデータトランザクションについて以下に説明する。モバイル端末130が作成したパケットは、ソケットインタフェースおよび無線ネットワークインタフェース310を介してソケット通信により無線ネットワーク150およびインターネットを経由して物流管理サーバ116のネットワークインタフェースNICにより抽出され、動態管理部220に渡される。
動態管理部220は、パケットの送信元を、パケットを解析してIPアドレス、UIDなどのモバイル端末を固有に識別するモバイル端末IDをネットワーク上で固有に識別する値を取得する。そして動態管理部220は、取得したモバイル端末IDを使用してデータベースアクセス部240に対して動態DB120の検索を依頼し、データベース上でモバイル端末IDが割り当てられた運搬車両を識別し、データベースの該当する運搬車両の現在状況の値を更新する。なお。モバイル端末IDとして、例えば3G〜5Gなどの無線通信基盤を利用する場合、モバイル端末IDは、UIDを使用することができる。
図4は、発注端末112の機能ブロックを示す。なお、図4においても、物流管理サーバ116との間のデータトランザクションを説明するために、発注管理部230およびインターネットなどのネットワーク110を併せて記載している。発注端末112は、ネットワークインタフェースNICと、GUI制御部410と、ブラウザ420とを含んでいる。ネットワークインタフェースNICは、発注端末112が作成した要求は、要求パケットとしてカプセル化し、ソケットインタフェースを介してNICからネットワーク110へと送出され、物流管理サーバ116側のNICにより抽出されて、発注管理部230に渡される。
さらに、発注端末112は、OS430と、デバイスドライバ440と、ハードウェア450とを含んでいて、各部の制御および外付け装置の制御などを可能としている。発注端末112と物流管理サーバ116との間のデータトランザクションを説明すると、発注端末112は、荷主からの新規な荷物の配送要求パケットを、例えばブラウザ420に表示されたウェブページを介して物流管理サーバ116に送付する。
物流管理サーバ116は、集配要求パケットを受領して解析し、送信元IPアドレスや、ユーザIDまたはパスワードなどから、固有の荷主識別値(以下、荷主IDとして参照する。)を識別する。なお、物流管理サーバ116と発注端末112との間において物流管理サーバ116にアクセスする際には、例えばTelnet、SSHなどのアクセスプロトコル、HTTPおよびLDAP(Light weight Directory Access Protocol)を使用するアクセス管理が使用できることは言うまでもない。
荷主IDが識別されると、発注管理部230は、荷主IDを検索キーとしてSQL文にセットし、データベースアクセス部240に渡す。データベースアクセス部240は、受注DB118にアクセスし、当該荷主IDの新規レコードに追加する。その後、適切なタイミングで運行管理部210および動態管理部220が希望され、新規受注に対応する運行計画の作成および運行計画に従った動態管理が行われる。
図5は、本実施形態の物流端末114の機能ブロックを示す。図5には、図3、図4と同等に、データトランザクションを説明する目的で、物流管理サーバ116の運行管理部210も併せて示す。物流端末114は、アクセスサイトが、運行管理部210に割り当てられたURLであることを除き、発注端末112と同様の機能ブロック構成を有しているので、詳細な説明は行わない。物流端末114は、物流管理サーバ116に対して、新規な発注を受け取りこれを受注データとして、当該受注に対応するための配送計画の作成支援を依頼する。物流管理サーバ116は、当該物流端末114からの配送計画作成依頼を受領すると、物流者のアクセス権限を認証し、認証後、物流者が利用可能な物流手段、具体的には運搬車両、運転者などの資源を割り当てるためのウェブページを物流端末114に送付し、配送計画作成を支援する。
そして、物流端末114は、入力した配送計画を、物流管理サーバ116に送付する。当該配送計画を受領した物流管理サーバ116は、受領した配送計画を運行計画データとして、運行DB122に登録する。そして、物流管理サーバ116は、適切なタイミングで特定のモバイル端末130のための集配リストを作成し、作成した集配リストを該当するモバイル端末130に送付し、運搬車両および運転者によるモバイル端末130を利用した集配業務を可能とする。なお、集配リストの配付は、業務開始時または業務中であって、既に決まっている配送計画内で無理なく追加できる新規な発注がある場合には業務中に実行される。
また、本実施形態の運行管理部210は、GUI表示部211、操作受付部212、算出部213の各機能ブロックを含んで構成される。GUI表示部211は、物流管理業務を行う物流端末114上に表示する種々のGUI(Graphical User Interface)を管理、生成する手段であり、GUI制御部510を介してGUIを画面に表示する。以下では、GUIを物流端末114のブラウザ520の画面に表示する場合を例に説明するが、実施形態を限定するものではない。操作受付部212は、物流端末114のブラウザ520で行われる操作を受け付ける手段である。上記の操作とは、例えば、マウスのクリック、ドラッグアンドドロップ、キーボードによる文字やコマンドの入力、タッチパネル上でのタッチ、スワイプ、ピンチイン、ピンチアウトなどの種々の動作による操作が挙げられる。算出部213は、各種DBにアクセスして、運行管理計画に基づく種々の評価値を算出する手段である。ここで、種々の評価値とは、例えば、作業時間、走行時間、運賃、荷物の量などが挙げられる。なお、GUI表示部211は、算出部213が算出した各種評価値をGUIの表示に反映することができる。
なお、以下に説明する実施形態では、運行管理部210がGUI表示部211、操作受付部212、算出部213を備える構成としているが、実施形態を限定するものではない。例えば他の実施形態として、物流端末114がGUI表示部211、操作受付部212、算出部213に相当する機能ブロックを備える構成であってもよいし、物流端末114と物流管理サーバ116との協働によって各機能ブロックを実現する構成であってもよい。
なお、上述した機能ブロックは、CPUが本実施形態のプログラムを実行することで、各ハードウェアを機能させることにより、実現される機能手段に相当する。また、各実施形態に示した機能手段は、全部がソフトウェア的に実現されても良いし、その一部または全部を同等の機能を提供するハードウェアとして実装することもできる。
図6は、本実施形態の運行管理部210が提供する運行計画の作成を支援するためのGUIの構成を示す図である。図6(a)は、物流端末114に表示される画面の例を示しており、図6(b)は、GUIの詳細な構成を示している。本実施形態のGUIは、配車計画を作成するためのインターフェースであり、図6(b)に示すように、GUIには、カレント行ルート地図、カレント行詳細表示欄、スコア表示選択プルダウン、スコアボード、配車ボード、カレント行車両情報、受注地図、トータルスコア、受注リストなどが表示される。なお、GUIの構成は、図6示すものに限定されず、任意の構成であって良い。また、GUIを構成する各部の名称も説明の便宜のためのものであって、実施形態を限定するものではない。以下では、GUIを構成する各部の詳細について、図7〜9を以て説明する。
図7は、本実施形態の配車ボードを説明する図である。配車ボードは、運搬車両フィールド710と、運搬車両の行き先(以下、「現場」として参照する)を示す図形オブジェクト(以下、「アイコン」として参照する)を配置する配車セル720とを含んで構成され、各行を運搬車両ごとに対応付けたマトリクス状の表示をする。
運搬車両フィールド710には、行番号を示すオブジェクトや、運搬車両の種類を示す図形オブジェクト(以下、「車両オブジェクト」として参照する)などを格納して配置することができる。車両オブジェクトは、運搬車両の種類に応じた形態とすることができ、例えば通常の車両の他、冷蔵車、冷凍車を示す形態を表示したり、積載荷重に応じた形態で表示したりできる。配車セル720は、運搬車両がアイコンに対応する各地点を巡回する順序を示すものであり、図7では、左から右に向かう順序で運行する設定を行う例を示している。また、配車ボードは、作業時間フィールド730、走行時間フィールド740、重量フィールド750、運賃フィールド760を含んで構成され、運行する現場が配置された各運搬車両の作業量などを集計することができる。
図7の例では、1行目から5行目までの運搬車両について、各現場を示すアイコンが配置されている。ここでは、1行目の車両は現場A、B、Cの順に運行するようにアイコンが配置され、2行目の車両は現場D、E、Fの順に運行するようにアイコンが配置され、3行目の車両は現場G、H、Iの順に運行するようにアイコンが配置され、4行目の車両は現場J、K、Lの順に運行するようにアイコンが配置され、5行目の車両は現場M、N、Oの順に運行するようにアイコンが配置されている。
なお、運搬車両フィールド710に格納する各種オブジェクトは、任意の手順で配置することができる。すなわち、4行目のように巡回する現場のアイコンを配置したうえで車両オブジェクトを配置してもよいし、6行目のようにアイコンを配置する前に車両オブジェクトを配置してもよい。これによって、運搬車両に対して適切な巡回ルートを設定したり、巡回するルートに対して適切な運搬車両を選択したりできる。また、車両オブジェクトは、各運搬車両を識別することを可能とし、例えば、「1号車」、「2号車」のようにして、運搬車両を識別することができる。
配車セル720は、運行する順序を示すものであり、2行目の車両のEF間や3行目の車両のGH間ようにブランクとなる配車セルがあったとしても、巡回する順序を定義する上では差し支えない。また、各行の配車セル720に配置されたアイコンは、単に運搬車両が運行する順序を示すものであって、異なる行、すなわち各運搬車両間における時間的な前後を示すものではない。例えば図7は、2行目の車両が現場Fの作業を行うよりも前に、必ずしも3行目の車両が現場Gの作業を行うことが設定されていることを示すものではない。
配車ボード上での各運搬車両に対する現場の振り分ける配車計画の作成は、所定のプログラムに基づいて自動的に行われてもよいし、現場の振り分け作業を行う運行管理業務の担当者(以下、「担当者」として参照する)が操作することによって行ってもよい。また、図7の5行目のように、直近の操作によって選択されている運搬車両の行(以下、「カレント行」として参照する)は、他の行と色を変えたり、強調したりすることで区別することができる。また、図7の5行目における現場Oの右隣りのセルように、カレント行のうち、特定の操作などによって選択されている配車セル720(以下、「カレントセル」として参照する)がある場合には、他の配車セル720と色を変えたり、強調したりすることで区別することができる。
作業時間フィールド730には、各運搬車両が、配車セルにおいて設定された順序で巡回した場合の作業時間が表示される。例えば、図7の1行目の車両が現場A、B、Cの順で運行すると、作業に要する時間が45分である場合には、1行目の作業時間フィールド730には、「00:45」と表示される。
走行時間フィールド740には、各運搬車両が、配車セルにおいて設定された順序で巡回した場合の走行時間が表示される。例えば、図7の1行目の車両が現場A、B、Cの順で運行した場合において要する走行時間が4時間2分であるとすると、1行目の走行時間フィールド740には、「04:02」と表示される。
重量フィールド750には、各運搬車両が運搬する荷物の重量が表示される。例えば、図7の1行目の車両の場合には、現場Aに運搬する荷物の重量と、現場Bに運搬する荷物の重量と、現場Cに運搬する荷物の重量とを合計した値が表示される。一例として、現場A、B、Cに運搬する荷物の重量の合計が63kgである場合には、1行目の重量フィールド750には、「63kg」と表示される。
運賃フィールド760には、各運搬車両が運行することによって生じる運賃の総額が表示される。例えば、図7の1行目の車両の場合には、現場Aへの運行による運賃と、現場Bへの運行による運賃と、現場Cへの運行による運賃とを合計した金額が12402円である場合には、1行目の運賃フィールド760には、「12402円」と表示される。
上記の作業時間フィールド730、走行時間フィールド740、重量フィールド750、運賃フィールド760に表示される種々の値は、受注DB118を参照して、算出部213によって評価値として算出される。なお、上記の例では、主に図7の1行目の車両について説明したが他の運搬車両についても同様にして表示される。
図7に示すように配車ボードを構成することで、各運搬車両が運行する現場や作業量などが理解しやすくできる。また、配車ボード上での配車作業を行うことにより、視覚的な理解がしやすくなるほか、操作性を向上することができる。
図8は、本実施形態の受注リストを説明する図である。受注リストは、受注DB118に基づいて作成され、表示される受注案件の一覧であり、一例として図8のような構成とすることができる。図8に示す受注リストは、チェックボックスフィールド810、現場IDフィールド820、作業種別フィールド830、受注番号フィールド840、現場名称フィールド850、現場住所フィールド860を含んで構成される。なお、図8の受注リストの構成は、一例であって、実施形態を限定するものではない。
チェックボックスフィールド810には、受注案件を選択するためのチェックボックスを、受注案件ごとに表示する。例えば、複数の受注案件に対して同一の操作をする場合に、該当する受注案件のチェックボックスをクリックするなどしてチェックを入れることで選択することができる。また、最上段のチェックボックスにチェックを入れることで、全受注案件を選択できる構成としてもよい。このようにチェックボックスを利用して複数の受注案件を選択できるようにすることで、効率的に配車作業を行うことができ、また操作性も向上できる。
現場IDフィールド820は、配車ボードの配車セルに配置するアイコンと対応した、各受注案件の現場を識別するIDを格納して表示するフィールドである。例えば、現場IDにはアルファベットを使用することができ、図8に示すようにAから順次割り当てることができる。
作業種別フィールド830は、各現場で行う作業の種別を格納して表示するフィールドである。作業種別フィールド830には、例えば、納品作業を示す「納」や、荷物を載積する作業を示す「積」などの表示を格納することができる。受注番号フィールド840は、各受注案件に割り当てられた、受注案件を識別するための固有の番号を格納して、表示するフィールドである。なお、受注番号は数字に限らず、アルファベットなどと組み合わされた構成としてもよい。
現場名称フィールド850は、各受注案件において運行する行き先となる現場を示す名称を格納して表示するフィールドである。現場の名称の例としては、施設名、会社名、店舗名などを挙げることができるが、これらに限定するものではなく、任意の名称を設定できる。現場住所フィールド860は、各現場の住所を格納して表示するフィールドである。
なお、受注リストにおける表示では、配車ボードに配車された案件(以下、「配車済案件」として参照する)と、配車されていない案件(以下、「未配車案件」として参照する)とを区別して表示することが好ましい。例えば、図8に示すように、配車済案件をグレーアウトして表示することで、運行管理業務の担当者などの理解を容易にすることができる。
図9は、本実施形態のGUIを構成する各部を説明する図であり、図9(a)はスコアボードを、図9(b)はカレント行詳細表示欄を、図9(c)はカレント行車両情報を、図9(d)はトータルスコアをそれぞれ示している。以下に各部の詳細について説明する。
図9(a)に示すスコアボードは、運搬車両表示911と、運行現場数912と、運転手名表示913と、稼働時間帯表示914とが、運搬車両ごとに表示される構成である。スコアボードなどの操作によって現場の配車割り当てが行われると、算出部213は、スコアボードに表示する各種評価値を算出し、算出結果に基づいてGUI表示部211がスコアボードの表示を更新する。なお、配車ボードの運搬車両フィールド710に車両オブジェクトが配置されていれば、運搬車両表示911には、当該車両オブジェクトと号車番号とを表示することができる。
図9(b)に示すカレント行詳細表示欄は、カレント行として選択されている運搬車両が運行する各現場の詳細な情報を表示する。カレント行詳細表示欄には、順番フィールド921、現場IDフィールド922、現場名称フィールド923、指定時刻フィールド924、開始時刻フィールド925、選択チェックボックスフィールド926、高速道路使用チェックボックスフィールド927が含まれる。カレント行表示欄は、配車ボード上で選択されるカレント行が変更されると、選択されたカレント行の配車情報に基づいて、算出部213が受注DB118などを参照して、表示を更新する。開始時刻フィールド925は、各現場での作業を開始する目安となる時刻を表示するフィールドである。また、各現場への到着時刻などが指定されている場合には、指定時刻フィールド924に時刻を入力することで、他の現場への到着時刻を修正し、開始時刻フィールド925の表示を変更することができる。また、高速道路使用チェックボックスのチェックによって、各現場への移動に高速道路を使用するか否かを指定できる。
図9(c)に示すカレント行車両情報は、カレント行として選択されている運搬車両の詳細な情報を表示する。カレント行車両情報に表示する情報の例としては、図9(c)に示すように、運搬車両表示931、運行現場数表示932、運転手名表示933、運転手を識別する登録番号表示934、当該運搬車両の拠点名称表示935、運搬車両の荷物の積載重量表示936、運搬車両の初期重量表示937、稼働時間表示938などが挙げられる。なお、図9(a)の運搬車両表示911と同様に、配車ボードの運搬車両フィールド710に車両オブジェクトが配置されていれば、運搬車両表示931には、当該車両オブジェクトと号車番号とを表示することができる。また、図9(c)に示す上記の各種表示は一例であって、実施形態を限定するものではない。
図9(d)に示すトータルスコアには、配車ボード上で現場が割り当てられた運搬車両について、作業時間、走行時間、重量、運賃などを集計した結果が表示される。トータルスコアは、車種選択プルダウン941と、トータルスコア表示942とを含んで構成される。トータルスコアでは、全車種選択の他に、車種選択プルダウン941において特定の車種を選択して、該当する車種について集計した結果を表示することができる。
ここまで、本実施形態において表示されるGUIについて、図6〜9を以て説明した。GUIには、上述した以外にも、カレント行として選択されている運搬車両の運行ルートを、地図に重畳して表示するカレント行ルート地図や、受注リストに含まれる受注案件を示すアイコンを、地図に重畳して表示する受注地図などを含んでもよい。また、上述したものの他、GUIには、操作の用に供される種々のボタンなどを含むことができる。
図10は、本実施形態の運行管理部210が実行する処理のフローチャートである。運行管理部210は、配車などの運行管理業務の開始に伴い、ステップS1000から処理を開始する。ステップS1001において、GUI表示部211は、担当者が使用する物流端末114のブラウザ520の画面上に、図6に示したようなGUIを表示する。
次に、ステップS1002において、操作受付部212は、運行管理業務の担当者による種々の操作を受け付ける。なお、ステップS1002において行われる操作は、主として、受注案件の各現場を各運搬車両に割り当てる操作であり、例えば、配車ボード内の各配車セル720に、現場を示すアイコンを配置するなどの操作が挙げられる。
その後、ステップS1003において、算出部213は、配車ボードに割り当てられた現場に基づいて受注DB118を参照して、運行ルートや運行に要する時間、運賃などを算出する。ステップS1003で各種データを算出した後、ステップS1001に処理を戻す。そして、ステップS1003において算出された結果をGUIに反映して表示する。以降、上述した処理を繰り返すことで、担当者は運搬車両の配車の状態を確認しながら、配車業務を行うことができる。また、適宜GUIの表示を更新することができるので、効率的に配車作業を行うことができ、また作業の操作性も向上できる。
ここまで、本実施形態の運行管理部210が実行する処理について説明した。以下では、GUIを介して行われる操作やGUIの表示について、図11〜26を参照して、より具体的な例を以て説明する。まず、受注リストから配車計画を作成する場合について説明する。図11〜13は、受注リストから配車計画を作成するGUIの各部の例を示す図である。
図11(a)は配車ボードの初期状態であり、同図に示すように、担当者はまず配車ボード上で配車する運搬車両を選択する。図11(a)の例では、1行目の車両の一番左の配車セル720が選択され、カレントセルとして表示されている。次に、担当者は、図11(b)に示すような受注リストの中から、配車する現場を選択する操作を行う。ここで、担当者が現場Cを選択したとすると、図11(c)に示すように、図11(a)のカレントセルに現場Cを示すアイコンが配置される。このとき、次の操作に備えるため、図11(c)に示すように、カレントセルが、1つ右隣の配車セルに移動することが好ましい。このように現場を選択した後にカレントセルが隣のセルに移動することで、続けて新たな現場を割り当てることができるので、操作性が向上する。
また、運行する現場が割り当てられたことに伴い、作業時間フィールド730、重量フィールド750、運賃フィールド760が更新される。具体的には、算出部213が受注データベース118を参照することによって各種表示事項を算出し、GUI表示部が表示内容を更新して表示する。図11(c)の例では、受注リストの現場Cの受注案件に対応した作業時間、重量、運賃が各フィールドに表示されている。なお、図11の例では、行き先となる現場が1つしか選択されていないため、運搬車両の移動が定義できないので、走行時間フィールド740は更新されない。
さらに、配車ボードの作業時間フィールド730などと同様に、GUIの各部も更新され、図11(d)に示すように表示される。カレント行ルート地図には、現場Cを示すアイコンが、地図上の当該現場の住所に対応する位置に重畳して表示される。また、算出部213は受注データベース118を参照することによって各種表示事項を算出し、算出結果に基づいてGUI表示部211はスコアボードの現場数表示や稼働時間帯表示、カレント行詳細表示欄などを更新して表示する。なお、カレント行車両情報やトータルスコアについても、同様に表示が更新される。
図11では、受注リストに含まれる受注案件を1つずつ選択することで配車計画を作成する例を示したが、図12に示すように、受注リストのチェックボックスを用いて複数の受注案件を配車してもよい。図12(a)は、図11(a)と同様に、1行目の車両の一番左の配車セル720が選択され、カレントセルとして表示されている例を示している。次に、担当者は受注リストの中から、配車する受注案件のチェックボックスにチェックを入れる。ここでは、図12(b)に示すように現場A〜Cの受注案件についてチェックを入れた場合について考える。図12(b)のようにチェックを入れた後、配車を指示する操作を行うと、配車ボードは図12(c)に示すような表示に更新される。すなわち、1行目の車両にA、B、Cの順に各現場を示すアイコンが配置されるとともに、各フィールドの値が更新される。
また、GUIに含まれるその他の領域についても、図12(c)の各フィールドと同様に、図12(d)に示すような表示に更新される。カレント行ルート地図は、現場A、B、Cの位置を地図上に重畳して表示するとともに、現場A、B、Cの順で移動する運行ルートを表示する。また、スコアボードやカレント行詳細表示欄も、図12(d)に示すような表示に更新される。さらに、カレント行車両情報やトータルスコアについても、同様に表示が更新される。
さらに現場の割り当ては、図11や図12に示す方法以外にも、図13に示すように、受注リストの全案件を一括して行うこともできる。図13(a)は、図11(a)、図12(a)と同様に、配車ボードの初期状態を示している。次に、担当者は、図13(b)に示すように、受注リストの最上段のチェックボックスにチェックを入れ、配車を指示する操作を行う。
担当者の操作に伴って、配車ボードは、図13(c)に示すような表示に更新される。すなわち、1行目の車両には現場D、E、F、G、H、N、Pが、2行目の車両には現場A、B、C、Jが、3行目の車両にはI、R、S、Kが、4行目の車両にはT、Q、M、O、Lがそれぞれ割り当てられる。なお、各運搬車両への現場の割り当ては、種々の方法のうち任意のものを適用することができるが、一例として、走行時間や現場数などに上限値を設定して、各車両について上限値に達するまで現場を割り当てるといった方法が挙げられる。また、現場の割り当てに伴い、各運搬車両の作業時間フィールド730、走行時間フィールド740、重量フィールド750、運賃フィールド760についても、図13(c)のように表示が更新される。
また、図11、図12と同様に、図13(d)に示すような表示の更新が行われる。図13では、1行目がカレント行として選択されていることから、カレント行ルート地図は、1行目の車両に割り当てられた現場D、E、F、G、H、N、Pの位置を地図上に重畳して表示するとともに、現場D、E、F、G、H、N、Pの順で移動する運行ルートを表示する。また、カレント行詳細表示欄についても、1行目の車両の配車計画に対応した表示に更新される。なお、他の運搬車両がカレント行として選択された場合であっても、上記と同様に、当該運搬車両に対応した関連と行ルート地図やカレント行詳細表示欄が表示される。
また、図13(d)に示すように、スコアボードの表示も更新される。すなわち、配車ボードの運行計画に基づく、各種の表示内容がスコアボードの表示に反映されて、表示が更新される。なお図13では、1行目の車両、2行目の車両についての表示を例示しているが、他の運搬車両についても、同様にして表示が更新される。さらに、カレント行車両情報やトータルスコアについても、同様に表示が更新される。
ここまで、受注リストから配車計画を作成する場合について説明したが、GUIを構成する受注地図から配車計画を作成してもよい。以下に、受注地図から配車計画を作成する場合について説明する。図14〜16は、受注地図から配車計画を作成するGUIの各部の例を示す図である。
図14(a)は、図11(a)などと同様に、配車ボードの初期状態を示しており、カレントセルとして、1行目の一番左の配車セルが選択されている。また、GUIの受注地図は、受注リストに基づいて図14(b)に示す画像が表示されているものとする。1行目の車両を現場C、Eへ運行させる場合には、担当者は、受注地図の現場C、Eをクリックなどの操作によって選択する。担当者が受注案件の現場を選択すると、図14(c)に示すように、配車ボードの1行目の車両には現場C、Eを示すアイコンが割り当てられた表示に更新される。また、配車ボードの作業時間フィールド730なども、図11などと同様にして、各値が算出され、表示が更新される。
カレント行ルート地図には、現場C、Eを示すアイコンが、地図上の当該現場の住所に対応する位置に重畳して表示される。また、算出部213は、現場Cから現場Eへ移動するための運行ルートを算出し、GUI表示部211は当該運行ルートを地図上に重畳して表示する。さらに、図14(d)に示すGUIのその他の表示領域についても、算出部213は受注データベース118を参照することによって各種表示事項を算出し、算出結果に基づいてGUI表示部211はスコアボードの現場数表示や稼働時間帯表示、カレント行詳細表示欄などを更新して表示する。なお、カレント行車両情報やトータルスコアも、同様にして表示が更新される。
図14では受注地図に表示されている現場から、担当者が1つずつ現場を選択して配車計画を作成する例について示したが、受注地図に表示される現場を一括して選択する実施形態であってもよい。例えば、図15(a)に示すように、受注案件を示すアイコンが複数含まれている受注地図に対して、担当者が任意の選択範囲を設定する操作を行う。選択範囲は、例えばマウスによるドラッグ操作で指定される位置の軌跡によって設定することができ、操作受付部212が当該操作を受け付け、GUI表示部211は軌跡を受注地図に重畳した画像を表示する。
図15(a)の例における選択範囲には、現場D、E、F、G、H、N、Pが含まれていることから、これらの現場を巡回する配車計画を作成する。図15(b)には、受注地図から範囲を選択して配車計画を作成した場合の配車リストの例を示す。算出部213は、上記の現場を巡回する場合の作業時間や走行時間などを算出し、GUI表示部211は、配車ボードの各フィールドの表示を更新する。なお、カレント行ルート地図、カレント行車両情報や、トータルスコアなどのGUIに含まれる他の表示領域についても、各種表示事項を算出部213が算出し、GUI表示部211が算出結果に基づいて、表示を更新する。
さらに、受注地図から範囲を選択して配車計画を作成する実施形態においては、複数の選択範囲を設定することができる実施形態としてもよい。図16は、受注地図から複数の選択範囲を設定して配車計画を作成する例を示している。図16(a)は、複数の選択範囲を設定した受注地図を示しており、ここでは、現場N、E、Gを含む領域と、現場P、H、Fを含む領域と、現場M、D、Tを含む領域と、現場O、R、S、Qを含む領域が、それぞれ選択範囲として設定された場合を例示している。設定された選択範囲は、運搬車両ごとに割り当てられ、配車ボードには、図16(b)に示すように、各選択範囲に含まれる現場を示すアイコンが、運搬車両ごとに割り当てられた表示がされる。
また、配車ボードの各フィールドの表示事項も、算出部213が算出し、GUI表示部211が表示を更新する。なお、図15などと同様に、カレント行ルート地図、カレント行車両情報や、トータルスコアなどのGUIに含まれる他の表示領域についても、各種表示事項を算出部213が算出し、GUI表示部211が算出結果に基づいて、表示を更新する。
ここまで、受注リストや受注地図から現場を選択して配車計画を作成する実施形態について説明した。しかしながら、ここまで説明した実施形態によって作成した配車計画が効率的でない場合がある。そこで、以下では、より効率的な配車計画を作成する実施形態について説明する。図17は、近接する現場を車両に割り当てる配車を行うGUIの各部の例を示す図である。
図17では、距離が近い2つの現場を、1つの運搬車両に割り当てている(以下、「2in1配車」として参照する)。これによって、運搬車両が走行する距離が短くなり、走行時間を短縮できることから、効率的な運行計画を立案することができる。なお、図17では、距離が近い2つの現場をまとめる2in1配車について説明しているが、まとめる現場の数は2に限定されず、3ないしそれ以上の数の現場をまとめて、各運搬車両に割り当ててもよい。
例えば、図17(a)では、現場Dと現場Oとは近距離にあり、現場Eと現場Nとは近距離にあることから、1つの運搬車両が巡回することで、効率的に運行できる蓋然性が高い。そこで、図17(b)に示すように、現場Dと現場Oとを組み合わせて1行目の車両に、現場Eと現場Nとを組み合わせて2行目の車両に、それぞれ配車する。同様にして、受注地図に含まれる各現場について、近距離にある現場を1つの運搬車両が巡回するような運行計画を作成する。
2in1配車では、算出部213が、受注DB118から各現場の住所を参照して、位置の近い現場を抽出することで、配車計画を作成する。このとき算出部213は、単に最も近い現場同士を組み合わせるのではなく、例えば現場の組み合わせを総当たり検索して、1つの運搬車両にまとめる現場を算出してもよい。図17(a)の例では、現場Iは現場Bよりも現場Jのほうが近い。しかしながら、現場Iと現場Jを1つの運搬車両にまとめて配車すると、現場Aと組み合わせる他の現場はいずれも距離が遠く、効率的な配車とすることができなくなる。そこで算出部213は、各現場の相互の位置関係を加味して、効率的に現場をまとめた配車計画を算出することが好ましい。図17の例では、現場Iは、現場Bと組み合わせて配車し、現場Jは、現場Aと組み合わせて配車することで、効率的な配車計画を作成することができる。
上記の2in1配車では、算出部213が、比較的近距離にある現場を抽出して、まとめて配車することで、効率的な配車計画の立案を可能としているが、算出部213は、条件を設定し、当該条件に基づいて複数の現場をまとめて配車する構成であってもよい。図18は、所定の条件を上限として配車を行うGUIの各部の例を示す図である。
例えば、各運搬車両について、運行する走行時間の条件をあらかじめ設定しておき、当該条件を満たすように現場をまとめて配車する。図18において、一例として1行目の車両に対して走行時間の上限が45分以内という条件が設定されていた場合について考える。具体的には、図18(b)に示すように、1行目の車両は現場R、S、O、D、Fが配車されると42分走行することになり、これ以上現場を追加すると上記条件を満たさなくなるとする。この場合、1行目の車両にさらに現場を追加する配車計画を作成せず、他の運搬車両がその他の現場を巡回する運行計画を作成する。このようにして、運搬車両ごとに設定された条件を満たすような配車計画を作成することで、運転手の負担を軽減しつつ、効率的な配車計画とすることができる。
また、運行計画の効率化をする別の方法として、担当者が配車順の入れ替え操作を行ってもよい。図19は、運行計画の配車順の入れ替えを行うGUIの各部の例を示す図である。例えば、図19(a)に示すような運行計画が作成されていた場合において、1行目の車両の走行する運行ルート地図が図19(b)に示すようなものであった場合を考える。
図19(b)では、現場Aと現場Cは比較的近距離に位置しているにも関わらず、配送順序としては連続しておらず、現場A、B、Cの順で巡回することによって走行時間が長くなっている。そこで、担当者は、現場Aと現場Cが配車ボード上で連続するように、アイコンを移動する操作を行う。例えば、図19(c)に示すように、現場Bを現場Cの後ろの配車セル720に移動することで、現場Aと現場Cとが連続する順序とすることができる。これによって、1行目の車両は、現場A、C、Bの順で巡回する運行計画が設定される。また、このように配送する順番を入れ替えることで、図19(d)に示すような運行ルート地図が表示され、担当者は、入れ替え操作前の図19(b)と比べて効率的な運行計画が立案されたことが理解しやすくなる。
図19に示した運行順序の入れ替え操作は、算出部213による処理によって行われてもよい。具体的には、算出部213が、設定された運行順序についての最適化処理を行うことで、効率的な運行計画を作成する。図20は、運行計画の最適化を行うGUIの各部の例を示す図である。図20(a)、(b)は、図19(a)、(b)と同様に、作成された運行計画を示す配車ボードと、当該運行計画に基づいて1行目の車両の走行する運行ルート地図である。
このとき、担当者がGUIを構成する最適化処理ボタンを押すなどの操作を行い、操作受付部212が当該操作を受け付ける。算出部213は、操作受付部212の最適化処理操作の受け付けを契機に、最適化した運行ルートの算出を行う。その後、最適化した運行ルートに基づいて、GUI表示部211は、配車ボードを図20(c)のような表示に更新する。図20(c)では、図19(c)と同様に、1行目の車両について現場A、C、Bの順番で運行する運行計画が設定されている。また、図20(d)に示すように、1行目の車両についての運行ルート地図も、現場A、C、Bの順に巡回する運行ルートが地図に重畳して表示されている。また、このように運行ルートを最適化することで、担当者は、最適化処理前の図20(b)と比べて効率的な運行計画が立案されたことが理解しやすくなる。
次に、運行計画に案件を追加する場合について説明する。例えば、運行計画を設定した後、さらに任意の受注案件を追加する場合がある。この場合において、受注リストに未配車案件が複数あると、どの案件を追加するかが担当者にとって分かりにくい場合がある。そこで、次に割り当てる案件の候補をランキング形式で表示する構成としてもよい。図21は、割り当てる案件をランキング形式で表示するGUIの各部の例を示す図である。
図21(a)に示すような運行計画がされた配車ボードにおいて、1行目の車両が現場Cの後に他の現場への運行を追加する場合について考える。このとき、担当者が受注リストの「配車候補ランキング」タブを選択するなどの操作を行うと、図21(b)に示すような配車候補のランキングを表示した受注リストが表示される。このとき算出部213は、1行目の車両が現場Cの後に行く現場の候補となる現場の未配車案件を算出する。候補となる現場を算出する例としては、現場Cからの走行時間が少ない順にソートして表示してもよい。図21(b)に示す例では、現場Lは現場Cからの走行時間が最も短いために、ランキング形式の受注リストにおいて、最上部に表示され、走行時間が短い現場が順に表示されている。また、このとき、未配車案件の各現場と現場Cとの位置関係を示す地図を併せて表示してもよい。
図21に示したように、次の現場の候補となる受注案件をランキング形式で表示することで、すでに作成された運行計画に新たな現場を追加する場合に、担当者が配車する現場を判断する基準が分かりやすくできる。なお、図21の例では、走行時間の短い順にソートしたランキングを表示する例を示したが、走行時間の長い順や荷物の重量の順などでソートして表示してもよい。
また、運行計画に案件を追加する別の方法について説明する。例えば、運行計画を設定した後、さらに特定の受注案件を追加する場合がある。この場合、算出部213は、当該受注案件を作成された運行計画のうち、どこに受注案件を追加するのが効率的であるかを算出し、算出結果を担当者に提示する。図22は、最適配車位置を表示するGUIの各部の例を示す図である。
例えば、図22(a)に示すように、1〜4行目の各車両に現場A〜Oが割り当てられているとする。このとき、図22(b)に示す受注リストのうち、現場Pの受注案件を追加するのが効率的であるかを算出部213が算出する。具体的には、図22(a)のように運行計画が作成された配車ボードのうち、ブランクとなっている任意の位置にカレントセルが置かれている場合について考える。このとき、担当者は、受注リストから現場Pの受注案件を選択し、現場Pを配車する最適な位置を算出する操作を行う。算出部213は、上記の操作を受けて、走行距離、運搬車両の積載重量などに基づいて、最適に現場Pを配車できる位置を算出する。
図21(c)は、最適な配車位置を表示した配車ボードの例を示しており、例えば、現場Hから現場Iへ移動する間に現場Pへ運行するのが最適であると算出された場合には、2行目の現場Iの位置にカレントセルが移動する。このようにして、受注案件を追加する最適な位置を配車ボード上に表示することで、現場を追加する作業を行う担当者にとっての理解を容易にすることができる。
運行計画の作成において、算出部213は、各種の評価値が上位の受注案件を算出し、GUI表示部211は、受注地図にヒートマップを重畳して表示してもよい。図23は、受注地図上にヒートマップを表示するGUIの各部の例を示す図であり、受注地図は、図23(a)に示すような、プルダウン2301を含む構成としてもよい。
プルダウン2301は、図23(a)に示すように、時間指定、作業時間、荷物数量、重量などを選択するプルダウンであり、選択した項目のうち上位の受注案件を、受注地図上で強調して表示することができる。例えば、プルダウン2301で重量を選択した場合には、算出部213は受注DB118を参照して、重量が大きい案件を抽出する。その結果、例えば重量が大きい案件の上位3件として、現場J、O、Fが抽出されたとすると、図23(b)に示すように、現場J、O、Fがヒートマップなどによって強調された画像が受注地図として表示される。
このように、選択された項目が上位の案件を強調して表示することで、担当者は、どの案件を優先して配車するかの判断が容易に行うことができる。なお、図23の例では、上位3件を強調しているが、3件に限らず任意の数であってもよい。また、強調して表示する案件は、上位のものに限定されず、例えば下位の案件を強調して表示してもよい。
作成した運行計画は、スコアを運搬車両の車種ごとに評価して、担当者などに提示する構成としてもよい。運行会社は、複数の車種の運搬車両を備えていることが一般である。そこで、各車種がどのように稼働しているかの把握を容易とするために、図24に示すようなGUIを表示してもよい。図24は、車種ごとにトータルスコアを表示するGUIの各部の例を示す図である。
配車ボードに表示する運搬車両は、必ずしも図7などに示したように車両番号で表示する必要はなく、図24(a)のように運搬車両の車種で区別するような表示としてもよい。図24(a)では、1、2行目の車両は通常の運搬車両として指定され、3〜5行目の車両は冷蔵車として指定された場合の配車ボードの例を示している。
このような場合、図24(b)に示すようなトータルスコアでは、車種選択プルダウンでは、選択項目として、「全車種」、「通常車両」、「冷蔵車」などが表示される。ここで、図24(c)のように「冷蔵車」を選択した場合には、算出部213は、冷蔵車に該当する車種の各スコアを算出する。そして、GUI表示部211は、算出されたスコアをトータルスコアとして表示する。
このようにして、選択された車種ごとにスコアを算出して表示することによって、担当者は、特定の車種がどのような運行計画で稼働するかの把握が容易となる。
ここまで説明してきた運行計画によって、運搬車両の運転手の業務の改善が期待できる。運行計画を運転手の業務にさらに活用するために、各現場の到着指定時刻を設定する構成としてもよい。図25は、到着時刻を指定するカレント行詳細表示欄の例を示す図である。
図25(a)は、到着時刻を指定する前のカレント行詳細表示欄を示しており、0:00を最初の現場の開始時刻として、順次各現場の開始時刻が算出され、表示されている。ここで、図25(b)に示すように、現場Eの到着時刻が13:00として指定された場合には、この時刻を基準に、その他の現場の到着時刻を算出して表示する。このようにして、各現場の到着時刻を基準として他の現場の作業開始時刻を算出し、表示することで、運転手の作業の目安が分かりやすくできる。特に、最初の現場の開始時刻が、逆算して算出されることから、運転手が業務を開始する時刻を把握しやすくできる。なお、到着時刻を指定する現場の数は、図25(b)に示すように1箇所だけでなくてもよく、複数の現場で到着時刻を指定できる構成としてもよい。
また、時間帯によっては道路の混雑状況などが変わることがあるので、時間帯に応じて所要時間に一定の係数を乗じて、所要時間の調整を行ってもよい。このようにすることで、より実際の運行状況に則した運行計画を立案することができる。
また、運行計画を運転手の業務改善に活用する他の方法としては、運行計画の情報とともに、各受注案件の現場の写真などを運転手の端末に送信する方法などが挙げられる。図26は、現場の詳細情報を表示するGUIの各部の例を示す図である。図26(a)は、受注DB118に基づく受注リストの例である。好ましい実施形態では、受注DB118は、受注案件ごとに配送先となる現場の周辺地域の画像を対応付けて格納する。
図26(b)は、受注案件の現場の周辺地図と、現場の写真とを表示した現場図表示画面の例である。現場の写真には、一例として、STREET VIEW(登録商標)などのAPIから提供される画像を使用することができる。図26(b)のように、受注案件と現場周辺の写真とを対応付けて表示することで、担当者にとっては、現場付近の道幅などを把握することができ、適切な運搬車両を選定しやすくできる。また、運転手にとっては、現場付近の景観などを把握することができるので、道の間違いなどを防止することができる。
以上、説明した本発明の実施形態によれば、配車スケジュールの理解が容易な運行計画を立案することができる情報処理装置、プログラムおよびシステムを提供することができる。
上述した本発明の実施形態の各機能は、C、C++、C#、Java(登録商標)等で記述された装置実行可能なプログラムにより実現でき、本実施形態のプログラムは、ハードディスク装置、CD−ROM、MO、DVD、フレキシブルディスク、EEPROM、EPROM等の装置可読な記録媒体に格納して頒布することができ、また他装置が可能な形式でネットワークを介して伝送することができる。
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
また、上述した実施形態の各機能はそれぞれ別個に実施される必要はなく、説明した各機能を任意に組み合わせて実施することも可能である。