JP2020036818A - 画像解析装置、画像解析方法、及び眼科装置 - Google Patents

画像解析装置、画像解析方法、及び眼科装置 Download PDF

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【課題】リング像の解析をスムーズ且つ精度良く行うことができる画像解析装置及び画像解析方法と、この画像解析装置を備える眼科装置とを提供する。【解決手段】リング像の複数の第1位置でリング像の位置を検出して、第1位置ごとの検出点を得る第1位置検出部と、リング像の画質を検出する画質検出部と、画質検出部の検出結果に基づき、検出点の数を増加させるか否かを決定する増加決定部と、増加決定部が検出点の数の増加を決定した場合に、リング像の複数の第2位置でリング像の位置を検出して、第2位置ごとの検出点を得る第2位置検出部と、増加決定部が検出点の数の増加を決定した場合に、第1位置検出部及び第2位置検出部の双方が検出した検出点に対して近似楕円を設定し、且つ増加決定部が増加を否と決定した場合に第1位置検出部が検出した検出点に対して近似楕円を設定する楕円近似部と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、被検眼に投影された測定パターンの反射光に基づくリング像の解析を行う画像解析装置及び画像解析方法と、この画像解析装置を備える眼科装置と、に関する。
被検眼の眼特性として眼屈折力(球面度数、円柱度数、及び乱視軸角度等)を測定する眼科装置が良く知られている。この眼科装置では、被検眼の眼底にリング状の測定用パターンを投影することで、被検眼の眼底にて反射された測定用パターンの眼底反射光に基づくリング像を撮影し、このリング像を画像解析してリング像に近似する近似楕円を求め、この近似楕円の形状(長径、短径、及び軸角度)に基づき被検眼の眼屈折力を演算する。
ところで、白内障等の疾患により被検眼の中間透光体に混濁が生じている場合、リング像の線幅、リング輝度、及び形状等に劣化が生じるため、眼科装置では被検眼の眼屈折力を正確に演算することができない。そこで、特許文献1には、被検眼内で白内障等の疾患により混濁が生じている部位を事前に確認して、この混濁が生じている部位を避けて被検眼の眼屈折力の測定を行うことが記載されている。
特開2013−146546号公報
しかしながら、特許文献1に記載のように、被検眼の混濁が生じている部位を事前に確認してこの部位を避けて被検眼の眼屈折力の測定を行うと、リング像の解析を含む被検眼の眼屈折力の測定に手間がかかるという問題がある。また、被検眼Eが正常眼であるか否かが不明である場合には、被検眼内に混濁が生じている部位が存在するか否かを常に事前に確認する必要がある。このため、仮に被検眼は正常眼であった場合に、この確認作業の分だけ、リング像の解析(眼屈折力の測定)に余計な時間がかかるという問題が生じる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、リング像の解析をスムーズ且つ精度良く行うことができる画像解析装置及び画像解析方法と、この画像解析装置を備える眼科装置とを提供することを目的とする。
本発明の目的を達成するための画像解析装置は、被検眼の眼底に投影された測定用パターンの眼底反射光に基づくリング像を取得する画像取得部と、リング像の周方向に沿った複数の第1位置でリング像の位置を検出して、第1位置ごとの検出点を得る第1位置検出部と、リング像の画質を検出する画質検出部と、画質検出部の検出結果に基づき、検出点の数を増加させるか否かを決定する増加決定部と、増加決定部が検出点の数の増加を決定した場合に、リング像の周方向に沿った複数の第2位置であって且つ検出点が未検出の複数の第2位置でリング像の位置を検出して、第2位置ごとの検出点を得る第2位置検出部と、増加決定部が検出点の数の増加を決定した場合に、第1位置検出部及び第2位置検出部の双方が検出した検出点に対して近似楕円を設定し、且つ増加決定部が増加を否と決定した場合に第1位置検出部が検出した検出点に対して近似楕円を設定する楕円近似部と、を備える。
この画像解析装置によれば、被検眼に混濁が生じている場合、すなわちリング像の画質が低い場合には検出点の数を増加してリング像の楕円近似を行うことができ、且つ被検眼が正常眼である場合には検出点の検出数を減らすことができる。
本発明の他の態様に係る画像解析装置において、画像取得部により取得されたリング像のエッジを検出するエッジ検出部と、エッジ検出部の検出結果に基づき、リング像の仮中心を通る複数の経線方向ごとに、経線方向に沿ったリング像のエッジ強度を検出するエッジ強度検出部と、エッジ強度検出部の検出結果に基づき、経線方向ごとに、リング像のエッジ強度の変曲点の位置を検出点の位置として決定する位置決定部と、を備え、画質検出部が、リング像の画質として、エッジ強度検出部の検出結果に基づきリング像のエッジ強度及びリング幅を検出する。これにより、被検眼の混濁等により画質が低下しているリング像を判別することができる。
本発明の他の態様に係る画像解析装置において、画像取得部が、被検眼に測定用パターンを投影し且つ眼底反射光を受光してリング像を出力する眼科装置の光学系からリング像を取得し、楕円近似部が、増加決定部により検出点の数の増加が決定された場合に、光学系の光軸に対応するリング像内の光軸対応位置を近似楕円の中心位置として、双方が検出した検出点に対して近似楕円の設定を行う。リング像の欠損が大きい場合でもこのリング像の楕円近似を精度良く行うことができる。
本発明の他の態様に係る画像解析装置において、第2位置検出部が第2位置ごとの検出点を検出した場合に、双方が検出した検出点に基づき、検出点の数を再増加させるか否かを決定する再増加決定部と、再増加決定部が検出点の再増加を決定した場合に第2位置検出部及び楕円近似部を繰り返し作動させる繰り返し制御を実行し、且つ再増加決定部が再増加を否と決定した場合に繰り返し制御部を停止させる繰り返し制御部と、を備える。これにより、最初から第2位置検出部により多数の検出点の検出を行う場合と比較して第2位置検出部による検出点の検出数を減らすことができるので、被検眼に混濁が生じている場合でもリング像の解析をスムーズ且つ精度良く行うことができる。
本発明の他の態様に係る画像解析装置において、再増加決定部が、楕円近似部により新たに設定された近似楕円と新たな近似楕円の一つ前に設定された近似楕円とが一致しているか否かに基づき、再増加の可否を決定する。これにより、リング像の楕円近似の精度が上限に達するまで、第2位置検出部による検出点の検出を繰り返し実行させることができる。
本発明の目的を達成するための眼科装置は、被検眼の眼底に測定用パターンを投影する投影光学系と、眼底に投影された測定用パターンの眼底反射光に基づくリング像を出力する測定光学系と、上述の画像解析装置と、を備える。
本発明の目的を達成するための画像解析方法は、被検眼の眼底に投影された測定用パターンの眼底反射光に基づくリング像を取得する画像取得ステップと、リング像の周方向に沿った複数の第1位置でリング像の位置を検出して、第1位置ごとの検出点を得る第1位置検出ステップと、リング像の画質を検出する画質検出ステップと、画質検出ステップでの検出結果に基づき、検出点の数を増加させるか否かを決定する増加決定ステップと、増加決定ステップで検出点の数の増加を決定した場合に、リング像の周方向に沿った複数の第2位置であって且つ検出点が未検出の複数の第2位置でリング像の位置を検出して、第2位置ごとの検出点を得る第2位置検出ステップと、増加決定ステップで検出点の数の増加を決定した場合に、第1位置検出ステップ及び第2位置検出ステップの双方で検出した検出点に対して近似楕円を設定し、且つ増加決定ステップで増加を否と決定した場合に第1位置検出ステップで検出した検出点に対して近似楕円を設定する楕円近似ステップと、を有する。
本発明は、リング像の解析をスムーズ且つ精度良く行うことができる。
第1実施形態の眼科装置の概略図である。 光学系及び制御装置の概略構成を示すブロック図である。 第1実施形態の画像解析回路の機能ブロック図である。 エッジ検出部によるリング像のエッジ検出処理を説明するための説明図である。 第1位置検出部によるリング像の位置検出を説明するための説明図である。 エッジ強度検出部によるエッジ強度の検出と、位置決定部による変曲点位置TPの決定と、を説明するための説明図である。 位置決定部により決定されたリング像の経線方向ごとの検出点を説明するための説明図である。 白内障等の疾患により混濁が発生している被検眼のリング像の一例を示した説明図である。 第1位置検出部が図8に示したリング像から検出する各検出点の一例を示した説明図である。 第2位置検出部によるリング像の検出点の検出を説明するための説明図である。 増加決定部が第2位置検出部による各検出点の検出を実行しないと決定した場合の楕円近似部による近似楕円の設定処理を説明するための説明図である。 増加決定部が第2位置検出部による各検出点の検出を実行すると決定した場合の楕円近似部による近似楕円の設定処理を説明するための説明図である。 第1実施形態の眼科装置による被検眼の眼屈折力の測定処理、特に撮影画像の画像データの解析処理の流れを示すフローチャートである。 リング像に劣化が生じている場合の楕円近似部による近似楕円の設定の課題を説明するための説明図である。 楕円近似部による近似楕円の設定の変形例を説明するための説明図である。 第2実施形態の眼科装置の画像解析回路の機能ブロック図である。 再増加決定部の決定処理の具体例を説明するための説明図である。 第1実施形態の眼科装置による被検眼の眼屈折力の測定処理、特に撮影画像の画像データの解析処理の流れを示すフローチャートである。
[第1実施形態の眼科装置]
図1は、第1実施形態の眼科装置10の概略図である。図1に示すように、眼科装置10は、被検眼Eの眼特性として眼屈折力を測定可能なレフラクトメータ及びオートレフケラトメータ等であり、ベース12と、顔受け部13と、架台14と、測定ヘッド15と、を備える。
なお、図中のX軸方向は被検者を基準とした左右方向(被検眼Eの眼幅方向)であり、Y軸方向は上下方向であり、Z軸方向は被検者(被検眼E)に近づく前方向と被検者から遠ざかる後方向とに平行な前後方向(作動距離方向ともいう)である。
顔受け部13は、測定ヘッド15のZ軸方向の前方向側の位置において、ベース12と一体に設けられている。この顔受け部13は、Y軸方向に位置調整可能な顎受け13a及び額当て13bを有しており、眼科装置10による測定時に被検者の顔を支持する。
架台14は、ベース12上に設けられており、ベース12に対してXZ軸の各方向(前後左右方向)に移動可能である。この架台14上には、測定ヘッド15及び操作レバー16が設けられている。
操作レバー16は、架台14上で且つ測定ヘッド15のZ軸方向の後方向側(オペレータ側)の位置に設けられており、測定ヘッド15をXYZ軸の各方向に移動させる際に操作される操作部材である。例えば、操作レバー16がZ軸方向(前後方向)又はX軸方向(左右方向)に傾倒操作されると、不図示の電動駆動機構により測定ヘッド15がZ軸方向又はX軸方向に移動される。また、操作レバー16がその長手軸周りに回転操作されると、その回転操作方向に応じて、上述の電動駆動機構により測定ヘッド15がY軸方向(上下方向)に移動される。なお、操作レバー16の頂部には、眼科装置10による被検眼Eの測定を開始させるための測定ボタンが設けられている。
測定ヘッド15は、被検眼Eの眼屈折力の測定機能を有している。この測定ヘッド15のZ軸方向後方側の面にはモニタ17が設けられている。また、測定ヘッド15内には、眼屈折力の測定に対応した光学系18(撮像素子、各種光源、及び各種駆動部を含む)と、制御装置20とが設けられている。
モニタ17は、例えばタッチパネル式の液晶表示装置である。このモニタ17は、測定ヘッド15のアライメント等に利用される被検眼Eの前眼部の観察像、測定ヘッド15により得られた被検眼Eの眼屈折力の測定結果、及び測定に係る操作(設定)を行うための入力画面等を表示する。
図2は、光学系18及び制御装置20の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、光学系18は、固視標投影光学系22と、観察光学系24と、アライメント光学系26と、測定用パターン投影光学系28と、測定光学系30と、を備える。なお、これら各光学系の詳細構成については公知技術であるので、ここでは具体的な説明を省略する。
固視標投影光学系22は、被検眼Eを固視又は雲霧させるために、被検眼Eの眼底に固視標の視標光を投影する。観察光学系24は、被検眼Eの前眼部の観察するためのものであり、前眼部を撮像素子等で撮影して得られた観察像の画像データを制御装置20に出力する。これにより、制御装置20によってモニタ17に前眼部の観察像が表示される。
アライメント光学系26は、被検眼Eに対する測定ヘッド15のアライメント状態を検出するために設けられている。このアライメント光学系26は、各種のアライメント指標光(ケラトリング像、輝点像)を被検眼Eに向けて投影する。これにより、被検眼Eの角膜にて反射されたアライメント指標光の戻り光が既述の観察光学系24により撮影される。そして、この観察光学系24により得られた戻り光の画像データ(図示は省略)に基づき、検者による手動アライメント、又は制御装置20による自動アライメントが実行される。
測定用パターン投影光学系28は、本発明の投影光学系に相当するものであり、被検眼Eの眼底にリング状の測定用パターンを投影する。測定光学系30は、被検眼Eの眼底に投影されたリング状の測定用パターンの戻り光(眼底反射光)を撮像素子等で撮影(受光)する。これにより、測定用パターンの戻り光に基づくリング像34を含む撮影画像32の画像データが得られる。そして、測定光学系30は、撮影画像32の画像データを制御装置20へ出力する。
制御装置20は、各種のプロセッサ(Processor)及びメモリ等から構成された演算回路である。各種のプロセッサには、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びプログラマブル論理デバイス[例えばSPLD(Simple Programmable Logic Devices)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Arrays)]等が含まれる。なお、制御装置20の各種機能は、1つのプロセッサにより実現されてもよいし、同種または異種の複数のプロセッサで実現されてもよい。
制御装置20には、操作レバー16と、モニタ17と、既述の光学系18の各部と、記憶部40と、が接続されている。この制御装置20は、上述の演算回路によって実現、或いは演算回路がソフトウェア等を実行することにより実現される統括制御回路36と画像解析回路38とを含む。記憶部40には、制御装置20の動作用のプログラム42、及び被検眼Eの眼屈折力等の測定データなどが記憶されている。
統括制御回路36は、記憶部40に予め記憶されたプログラム42を実行することにより、光学系18を含む眼科装置10の各部の動作(例えば、前眼部の観察像の取得と表示、自動アライメント、及び撮影画像32の取得等)を統括制御する。
画像解析回路38は、本発明の画像解析装置に相当するものであり、記憶部40内のプログラム42を実行することにより、被検眼Eの撮影画像32の画像解析、すなわちリング像34に対する楕円近似と、被検眼Eの眼屈折力の演算とを実行する。
この画像解析回路38は、リング像34の線幅、リング輝度、及び形状等に劣化(以下、単にリング像34の劣化という)が生じている場合でも、このリング像34に対して高精度に近似する楕円を演算可能な構成(画像解析法)を採用している。
具体的に画像解析回路38は、エッジ検出されたリング像34の周方向に沿った複数の位置で複数の検出点P0(図7参照)を検出し、これら複数の検出点P0ごとにリング像34の画質を評価する。そして、画像解析回路38は、リング像34の画質の評価結果に基づき検出点P0の数の増加の可否を決定する。次いで、画像解析回路38は、検出点P0の数の増加を否と決定した場合には検出点P0に対して楕円近似を行う。一方、画像解析回路38は、検出点P0の数の増加を決定した場合にはリング像34から新たな複数の検出点P1(図10参照)を検出して、各検出点P0及び各検出点P1に対して楕円近似を行う。
[第1実施形態の画像解析回路の構成]
図3は、第1実施形態の画像解析回路38の機能ブロック図である。図3に示すように、画像解析回路38は、既述のプログラム42を実行することにより、画像取得部46、エッジ検出部48、第1位置検出部50、画質検出部52、増加決定部54、第2位置検出部56、楕円近似部58、及び眼特性演算部60として機能する。なお、本実施形態において「〜部」として説明するものは「〜回路」、「〜装置」、又は「〜機器」であってもよい。すなわち、「〜部」として説明するものは、ファームウェア、ソフトウェア、及びハードウェアまたはこれらの組み合わせのいずれで構成されても構わない。
画像取得部46は、測定光学系30に有線接続又は無線接続された不図示の画像入力インターフェースを介して、測定光学系30から撮影画像32の画像データを取得し、この画像データをエッジ検出部48へ出力する。
図4は、エッジ検出部48によるリング像34のエッジ検出処理を説明するための説明図である。図4及び既述の図3に示すように、エッジ検出部48は、撮影画像32の画像データに対してエッジ検出処理を施すことにより、リング像34のエッジを検出する。
具体的にエッジ検出部48は、撮影画像32の画像データに対して、平滑化及び微分を行うフィルタ、例えばラプラシアンガウシアンフィルタ[以下、LoG(Laplacian of Gaussian)フィルタ]66を用いたフィルタ処理を施す。これにより、リング像34の平滑化(例えばガウシンアンフィルタ)と、2次の微分フィルタ(例えばラプラシアンフィルタ)によるリング像34のエッジ検出とが実行される。このラプラシアンフィルタによるエッジ検出では、画像データの隣り合う画素同士の画素値の差分を演算するため、リング像34の輝度(リング輝度)が低い場合でも、リング像34のエッジが検出可能となる。そして、エッジ検出部48は、リング像34のエッジ検出結果を第1位置検出部50及び第2位置検出部56へそれぞれ出力する。
図5は、第1位置検出部50によるリング像34の位置検出を説明するための説明図である。図5及び既述の図3に示すように、第1位置検出部50は、エッジ検出部48によるリング像34のエッジ検出結果に基づき、リング像34の周方向に沿った複数の第1位置ごとにリング像34の位置を検出、より具体的には複数の経線方向dごとにリング像34の位置を検出する。この第1位置検出部50は、エッジ強度検出部50a及び位置決定部50bを含む。
なお、複数の経線方向dとは、第1位置検出部50によりリング像34の内側に設定されたリング像34の仮中心VCを通り且つリング像34と交わる複数の方向(直径方向)、換言すると仮中心VCからリング像34に向かって放射状に延びた複数の方向である。
図6は、エッジ強度検出部50aによるエッジ強度の検出と、位置決定部50bによる変曲点位置TPの決定と、を説明するための説明図である。図7は、位置決定部50bにより決定されたリング像34の経線方向dごとの検出点P0を説明するための説明図である。
図6及び既述の図3に示すように、エッジ強度検出部50aは、エッジ検出部48によるリング像34のエッジ検出結果に基づき、既述の図5に示した複数の経線方向dごとに、経線方向dに沿ったリング像34のエッジ強度を検出する。なお、図中の符号Edは、リング像34のエッジ位置を示す。そして、エッジ強度検出部50aは、経線方向dごとのエッジ強度の検出結果を、位置決定部50b及び後述の画質検出部52へ出力する。
位置決定部50bは、エッジ強度検出部50aによる経線方向dごとのエッジ強度の検出結果に基づき、経線方向dごとに、リング像34のエッジ強度を微分して変曲点位置TPを決定する。次いで、図7に示すように、位置決定部50bは、リング像34の経線方向dごとの変曲点位置TPをそれぞれ検出点P0の位置(XY座標)として決定する。これにより、第1位置検出部50によって、経線方向dごとに検出点P0が検出、すなわちリング像34の周方向に沿った複数の第1位置で検出点P0が検出される。なお、本実施形態では、例えば三十点の検出点P0の検出を行う。そして、第1位置検出部50は、各検出点P0の位置検出結果を後述の画質検出部52、第2位置検出部56、及び楕円近似部58へそれぞれ出力する。
図8は、白内障等の疾患により混濁が発生している被検眼Eのリング像34(撮影画像32)の一例を示した説明図である。図9は、第1位置検出部50が図8に示したリング像34から検出する各検出点P0の一例を示した説明図である。
図8及び図9に示すように、被検眼Eに混濁が生じている場合、既述のリング像34の劣化としてリング像34の欠損が発生することがある。なお、ここでいうリング像34の欠損には、リング像34のエッジ強度が低くなること、及びリング像34の幅であるリング幅(図6中のEd−Ed間の幅)が広くなることなども含まれる。このような場合には、各検出点P0の少なくとも一部が検出不能であったり或いは検出位置精度が悪くなったりする。このため、後述の画質検出部52により、リング像34の少なくとも一部が劣化(欠損等)している否かを示す指標として、リング像34の画質を検出する。
画質検出部52は、エッジ強度検出部50aから入力される経線方向dごとのエッジ強度の検出結果と、第1位置検出部50から入力される各検出点P0の位置検出結果とに基づき、リング像34の画質の検出を行う。具体的に画質検出部52は、リング像34の画質として、検出点P0(経線方向d)ごとのリング像34のエッジ強度の大きさ及びリング幅を検出する。これにより、リング像34に劣化(欠損等)が発生している場合には、この発生部分に対応するエッジ強度及びリング幅の検出値が正常値よりも低い値(ゼロを含む)で検出される。そして、画質検出部52は、検出点P0ごとのリング像34の画質(エッジ強度及びリング幅)の検出結果を増加決定部54へ出力する。
増加決定部54は、画質検出部52による画質の検出結果に基づき、リング像34が楕円近似部58による楕円近似を精度良く行えないレベルで劣化(欠損等)しているか否かを判別することで、検出点P0の数を増加させるか否か、すなわち新たな複数の検出点P1の検出を後述の第2位置検出部56に実行させるか否かを決定する。
例えば増加決定部54は、検出点P0ごとのリング像34のエッジ強度の平均値及びリング幅の平均値を求め、両平均値がそれぞれ所定の閾値以上となる場合には第2位置検出部56による検出点P1の検出を中止させ、逆に両平均値の少なくとも一方が閾値未満となる場合には第2位置検出部56に検出点P1の検出を実行させる。また別の方法として、増加決定部54は、エッジ強度及びリング幅の少なくとも一方が閾値未満となる検出点P0の数をカウントし、その数が所定の上限値以下となる場合には第2位置検出部56による検出点P1の検出を中止させ、逆にその数が上限値を上回る場合には第2位置検出部56に検出点P1の検出を実行させる。
これら閾値及び上限値は、リング像34の画質が楕円近似部58による楕円近似を一定精度以上で行うことが可能なものであるか否かを判定するための基準値であり、予め実験或いはシミュレーション等を行うことで定められる。そして、増加決定部54は、第2位置検出部56による検出点P1の検出を実行させるか否かの決定結果を第2位置検出部56及び楕円近似部58へ出力する。
図10は、第2位置検出部56によるリング像34の検出点P1の検出を説明するための説明図である。図10及び既述の図3に示すように、第2位置検出部56は、既述のエッジ検出部48によるリング像34のエッジ検出結果と、第1位置検出部50による各検出点P0の検出結果とに基づき、リング像34の周方向に沿った複数の第2位置であって且つ検出点P0が未検出の複数の第2位置で検出点P1を検出する。なお、第2位置(検出点P1)は、リング像34のエッジ強度及びリング幅の双方が既述の閾値の範囲内となる領域で検出することが好ましい。
第2位置検出部56は、既述の第1位置検出部50と基本的には同じ構成であり、エッジ強度検出部50aと同じ機能を有するエッジ強度検出部56aと、位置決定部50bと同じ機能を有する位置決定部56bと、を備える。
エッジ強度検出部56aは、既述のエッジ強度検出部50aによる検出で設定された各経線方向d(図中、2点鎖線で表示)とは異なる複数の経線方向d(図中、実線で表示)ごとに、経線方向dに沿ったリング像34のエッジ強度(図6参照)を検出する。そしてエッジ強度検出部56aは、経線方向dごとのエッジ強度の検出結果を位置決定部56bへ出力する。
位置決定部56bは、エッジ強度検出部56aによる経線方向dごとのエッジ強度の検出結果に基づき、リング像34の経線方向dごとの検出点P1の位置(XY座標)を決定する。これにより、第2位置検出部56により、リング像34の周方向に沿った複数の第2位置(検出点P0が未検出の位置)で検出点P1が検出される。
このように本実施形態では、リング像34が劣化(欠損等)している場合に、各検出点P0の検出に加えて各検出点P1の検出を実行することでその数を増加させることができる。なお、本実施形態では、例えば、検出点P0の数と同数以上の数の検出点P1の検出を行う。そして、第2位置検出部56は、各検出点P1の位置検出結果を楕円近似部58へ出力する。
図11は、増加決定部54が第2位置検出部56による各検出点P1の検出を実行しないと決定した場合の楕円近似部58による近似楕円AEの設定処理を説明するための説明図である。図12は、増加決定部54が第2位置検出部56による各検出点P1の検出を実行すると決定した場合の楕円近似部58による近似楕円AEの設定処理を説明するための説明図である。
図11に示すように、楕円近似部58は、増加決定部54が第2位置検出部56による各検出点P1の検出を実行しないと決定した場合、第1位置検出部50が検出した各検出点P0の位置に基づき、各検出点P0に対する近似楕円AEを設定する。また、図12に示すように、楕円近似部58は、増加決定部54が第2位置検出部56による各検出点P1の検出の実行を決定した場合、第1位置検出部50及び第2位置検出部56の双方が検出した各検出点P0,P1の位置に基づき、各検出点P0,P1に対する近似楕円AEを設定する。
ここで楕円近似部58は、例えば最小二乗法による楕円近似法を用いて、各検出点P0点に対する近似楕円AE(図11参照)の設定、或いは各検出点P0,P1に対する近似楕円AE(図12参照)の設定を行う。この場合には、最初に近似楕円AEの中心位置を決定することなく、各検出点P0或いは各検出点P0,P1の位置に基づき、近似楕円AEの中心位置及びその形状(長径、短径、及び軸角度)を決定することができる。その結果、最初に近似楕円AEの中心位置を決定してから各検出点P0或いは各検出点P0,P1に対する楕円近似を行う従来の楕円近似法と比較して、より高精度な近似楕円AEを求めることができる。
図3に戻って、眼特性演算部60は、公知の手法(特許2937373号公報等参照)を用いて楕円近似部58が設定した近似楕円AEの形状(長径、短径、及び軸角度)を解析し、この形状解析結果に基づき被検眼Eの眼屈折力を演算する。そして、眼特性演算部60は、被検眼Eの眼屈折力の演算結果を、統括制御回路36等を介してモニタ17及び記憶部40へそれぞれ出力する。
[第1実施形態の眼科装置の作用]
図13は、上記構成の第1実施形態の眼科装置10による被検眼Eの眼屈折力の測定処理、特に撮影画像32の画像データの解析処理(本発明の画像解析方法)の流れを示すフローチャートである。なお、測定光学系30による撮影画像32の撮影までの処理の流れは公知技術であるので、ここでは説明を省略する。
図13に示すように、測定光学系30による撮影画像32の撮影が実行されると(ステップS1)、測定光学系30から画像解析回路38の画像取得部46に対して撮影画像32の画像データが出力される。これにより、画像取得部46が撮影画像32の画像データを取得して、この画像データをエッジ検出部48へ出力する(ステップS2、本発明の画像取得ステップに相当)。
撮影画像32の画像データの入力を受けたエッジ検出部48は、既述の図4に示したように、この画像データに対してLoGフィルタ66を用いたフィルタ処理を施すことにより、リング像34のエッジを検出する(ステップS3)。これにより、リング像34のリング輝度の大小に関係なくリング像34の位置検出が可能となる。そして、エッジ検出部48は、リング像34のエッジ検出結果を第1位置検出部50へ出力する。
リング像34のエッジ検出結果が第1位置検出部50に入力されると、既述の図5から図9に示したように、エッジ強度検出部50aによるリング像34のエッジ強度の検出と、位置決定部50bによる変曲点位置TPの決定とが実行される。これにより、第1位置検出部50は、リング像34の周方向に沿った複数の第1位置ごとに検出点P0を検出し、各検出点P0の位置検出結果を画質検出部52、第2位置検出部56、及び楕円近似部58へそれぞれ出力する(ステップS4、本発明の第1位置検出ステップに相当)。なお、エッジ強度検出部50aは、リング像34のエッジ強度の検出結果を画質検出部52へ出力する。
各検出点P0の位置検出結果及びリング像34のエッジ強度の検出結果の入力を受けた画質検出部52は、これらの検出結果に基づき、リング像34の画質(エッジ強度及びリング幅)を検出し、その検出結果を増加決定部54へ出力する(ステップS5、本発明の画質検出ステップに相当)。
リング像34の画質の検出結果の入力を受けた増加決定部54は、この検出結果に基づき、リング像34の画質が楕円近似部58による楕円近似を精度良く行えないレベルであるか否かを判別することで、検出点P0の数を増加させるか否かを決定する(ステップS6、本発明の増加決定ステップに相当)。そして、増加決定部54は、第2位置検出部56及び楕円近似部58に対して決定結果を出力する。
増加決定部54が検出点P0の数の増加を決定した場合(ステップS6でYES)、第2位置検出部56が作動して、既述の図10に示したように、エッジ強度検出部56aによるリング像34のエッジ強度の検出と、位置決定部56bによる変曲点位置TPの決定とが実行される。これにより、第2位置検出部56は、リング像34の経線方向dごと、すなわちリング像34の周方向に沿った複数の第2位置(検出点P0が未検出の位置)で検出点P1の位置を検出し、各検出点P1の位置検出結果を楕円近似部58へ出力する(ステップS7、本発明の第2位置検出ステップに相当)。
このように本実施形態では、被検眼Eに混濁が生じている場合、すなわちリング像34に劣化(欠損等)が発生している場合には、リング像34の検出点P0の検出に加えて検出点P1の検出を行うことでその数を増加させることができる。
そして、楕円近似部58は、既述の図12に示したように、第1位置検出部50から入力された各検出点P0の位置検出結果と、第2位置検出部56から入力された各検出点P1の位置検出結果とに基づき、各検出点P0,P1に対する近似楕円AEを設定する(ステップS8、本発明の楕円近似ステップに相当)。
一方、増加決定部54が検出点P0の数の増加を否と決定した場合(ステップS6でNO)、すなわち被検眼Eが正常眼でありリング像34に劣化が発生していない場合には、楕円近似部58が作動する。この場合、楕円近似部58は、既述の図11に示したように、第1位置検出部50から入力された各検出点P0の位置に基づき、各検出点P0に対する近似楕円AEを設定する(ステップS8、本発明の楕円近似ステップに相当)。これにより、被検眼Eが正常眼である場合には、演算時間が増加する検出点P1の検出を省略することができるので、短時間でリング像34の解析(眼屈折力の演算)を行うことができる。
楕円近似部58による近似楕円AEの設定が完了すると、眼特性演算部60が、公知の手法により近似楕円AEの形状を解析すると共に、この解析結果に基づき被検眼Eの眼屈折力を演算する(ステップS9)。眼特性演算部60による眼屈折力の演算結果は、被検眼Eの眼屈折力の測定結果として記憶部40に記憶されると共に、モニタ17に表示される。
[本実施形態の効果]
以上のように本実施形態では、被検眼Eを撮影して得られたリング像34の画質に基づき、検出点P0の数を増加させるか否かを決定することができる。このため、被検眼Eに混濁が生じている場合には検出点P0の検出に加えて検出点P1の検出を行うことで、各検出点P0,P1の数を増加させた状態でリング像34の楕円近似を行うことができる。その結果、画質が低いリング像34であっても精度良く楕円近似を行うことができる。また、従来のように被検眼Eの混濁している部位を避けて検査を行う必要がないのでスムーズな検査を行うことができる。さらに、被検眼Eが正常眼である場合には、図13に示した一連の処理の中で演算時間の掛かる各検出点P1の検出が省略されるため、リング像34の解析に要する時間を短縮できる。その結果、リング像34の解析をスムーズ且つ精度良く行うことができる。
[第1実施形態のリング像の楕円近似の変形例]
図14は、リング像34に劣化が生じている場合の楕円近似部58による近似楕円AEの設定の課題を説明するための説明図である。図15は、楕円近似部58による近似楕円AEの設定の変形例を説明するための説明図である。
既述の通り、上記第1実施形態の楕円近似部58は、最初に近似楕円AEの中心位置を決定することなく、最小二乗法等を用いて各検出点P0,P1に対して近似楕円AEの設定を行う。このため、図14に示すように、例えばリング像34の約半周が欠損していると、楕円近似部58が、各検出点P0,P1に対して楕円近似を行った場合に近似楕円AE1ではなく近似楕円AE2を設定するおそれがある。
そこで、図15に示すように楕円近似部58は、増加決定部54が検出点P0の数の増加を決定した場合、最初に、光学系18の光軸(測定光学系30等の不図示の対物レンズの光軸)に対応するリング像34内の光軸対応位置OAを判別する。なお、光軸対応位置OAは、撮影画像32を撮影する測定光学系30の不図示の撮像素子の画素位置に基づき判別可能である。
次いで、楕円近似部58は、光軸対応位置OAを近似楕円AEの中心位置として、各検出点P0,P1に対して近似楕円AEの設定を行う。これにより、リング像34の欠損が大きい場合でも楕円近似部58がリング像34の楕円近似を精度良く行うことができる。
[第2実施形態の眼科装置]
図16は、第2実施形態の眼科装置10の画像解析回路38の機能ブロック図である。上記第1実施形態の眼科装置10では、増加決定部54が第2位置検出部56による検出点P1の検出実行を決定した場合に、第2位置検出部56による各検出点P1の検出を1回だけ行っているが、第2実施形態の眼科装置10では第2位置検出部56による各検出点P1の検出を複数回繰り返し行う。
図16に示すように、第2実施形態の眼科装置10は、画像解析回路38がさらに再増加決定部59として機能する点を除けば上記第1実施形態の眼科装置10と基本的に同じ構成である。上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
第2実施形態の第2位置検出部56は、後述の統括制御回路36の制御の下、後述の再増加決定部59が検出点P1の数の再増加を決定するごとに、リング像34の周方向に沿った新たな複数の第2位置であって且つ検出点P0,P1が未検出の新たな複数の第2位置で検出点P1を再検出する再検出処理を繰り返し実行する。ここで第2位置検出部56による各検出点P1の再検出方法は、上記第1実施形態での各検出点P1の検出方法と基本的に同じであるため具体的な説明は省略する。なお、この場合の1回毎の各検出点P1の検出数は、例えば各検出点P0の数と同数に設定される。
第2実施形態の楕円近似部58は、後述の統括制御回路36の制御の下、第2位置検出部56が新たな各検出点P1を再検出するごとに、全ての検出点P0,P1に対する新たな近似楕円AEの設定を繰り返し行う(図15参照)。
再増加決定部59は、第2位置検出部56が新たな各検出点P1を再検出するごとに、各位置検出部50,56の双方が検出した全ての検出点P0,P1(近似楕円AE)に基づいて、検出点P1の数を再増加させるか否か、すなわち第2位置検出部56による各検出点P1の再検出の可否を決定する。
図17は、再増加決定部59の決定処理の具体例を説明するための説明図である。なお、図中の「N」は任意の自然数であり、第2位置検出部56による各検出点P1の検出回数を示す。
図17に示すように、再増加決定部59は、第2位置検出部56が新たな各検出点P1を再検出するごとに、この再検出後に既述の楕円近似部58が全ての検出点P0,P1に対して新たに設定した近似楕円AEを参照する。そして、再増加決定部59は、パターンマッチング法等を用いて、楕円近似部58により新たに設定された近似楕円AEと、この新たな近似楕円AEの一つ前に楕円近似部58により設定された近似楕円AEとの位置、姿勢、及び形状等が一致(略一致を含む)している否かを判定する。
再増加決定部59は、楕円近似部58によって新たに設定された近似楕円AEとその一つ前に設定された近似楕円AEとが不一致の場合に、第2位置検出部56による各検出点P1の再検出の実行を決定し、その決定結果を統括制御回路36に出力する。
また逆に再増加決定部59は、楕円近似部58によって新たに設定された近似楕円AEとその一つ前に設定された近似楕円AEとが一致する場合に、第2位置検出部56による各検出点P1の再検出の中止を決定し、その決定結果を統括制御回路36へ出力する。これにより、各検出点P1の数をさらに増加させても近似楕円AEの位置、姿勢、及び形状等が変化しない場合、すなわちリング像34に対する楕円近似の精度がこれ以上は向上しない場合に、各検出点P1の再検出が中止される。
図16に戻って、第2実施形態の統括制御回路36は、1回目の第2位置検出部56による各検出点P1の検出及び楕円近似部58による近似楕円AEの設定が完了した場合に、第2位置検出部56及び楕円近似部58を繰り返し作動させる繰り返し制御を実行する。これにより、第2位置検出部56による新たな各検出点P1の再検出と、楕円近似部58による新たな近似楕円AEの設定とを経て、既述の再増加決定部59による決定処理が実行される。
また、統括制御回路36は、再増加決定部59から各検出点P1の再検出を実行する旨(検出点P1の数を増加させる旨)の決定結果の入力を受けた場合、本発明の繰り返し制御部として機能して、第2位置検出部56及び楕円近似部58の繰り返し制御を実行する。これにより、第2位置検出部56による新たな各検出点P1の再検出と、楕円近似部58による新たな近似楕円AEの設定と、再増加決定部59による決定処理と、が繰り返し実行される。
以下、再増加決定部59が各検出点P1の再検出の中止を決定するまで、各検出点P1の再検出と近似楕円AEの設定とが繰り返される。これにより、リング像34の楕円近似の精度を段階的に上限まで向上させることができる。
一方、統括制御回路36は、再増加決定部59から各検出点P1の再検出を停止する旨の決定結果の入力を受けた場合、前述の繰り返し制御を停止させる共に、既述の眼特性演算部60を作動させる。これにより、眼特性演算部60は、楕円近似部58によって設定された最新の近似楕円AEに基づき、被検眼Eの眼屈折力の演算を実行する。
図18は、第2実施形態の眼科装置10による被検眼Eの眼屈折力の測定処理、特に撮影画像32の画像データの解析処理の流れを示すフローチャートである。なお、ステップS8までの各処理は既述の図13に示した第1実施形態と基本的に同じであるので、ここでは具体的な説明は省略する。
図18に示すように、ステップS8が完了すると、統括制御回路36は、第2位置検出部56及び楕円近似部58を繰り返し作動させる繰り返し制御を実行する(ステップS8AでYES)。これにより、第2位置検出部56による新たな各検出点P1の再検出(ステップS7)と、楕円近似部58による新たな近似楕円AEの設定(ステップS8)と、が繰り返し実行される。
次いで、再増加決定部59は、楕円近似部58により新たに設定された近似楕円AEと、その一つ前に楕円近似部58により設定された近似楕円AEとが一致している否かを判定する。そして、再増加決定部59は、両者が不一致である場合には、各検出点P1の再検出の実行を決定し、その決定結果を統括制御回路36に出力する(ステップS8AでYES)。これにより、統括制御回路36の制御の下、第2位置検出部56及び楕円近似部58の繰り返し制御(ステップS7,S8)と、再増加決定部59による決定処理(ステップS8A)と、が実行される。以下、再増加決定部59が各検出点P1の再検出の中止を決定するまで、ステップS7,S8,S8Aが繰り返し実行される。
一方、再増加決定部59から両者が一致しているとの決定結果が統括制御回路36へ出力された場合(ステップS8AでNO)、統括制御回路36の制御の下、眼特性演算部60が楕円近似部58によって設定された最新の近似楕円AEに基づき、被検眼Eの眼屈折力の演算を行う(ステップS9)。
以上のように、第2実施形態の眼科装置10では、近似楕円AEの位置、姿勢、及び形状等が一定(略一定を含む)になるまで、すなわちリング像34の楕円近似の精度が上限に達するまで、各検出点P1の数を段階的に増加させているので、最初から多数の各検出点P1の検出を行う場合と比較して各検出点P1の検出数を減らすことができる。これにより、演算時間が掛かる検出点P1の検出処理の数を減らすことができる。その結果、被検眼Eに混濁が生じている場合でも、リング像34の解析をスムーズ且つ精度良く行うことができる。
[その他]
上記各実施形態の第1位置検出部50及び第2位置検出部56は、リング像34の周方向に沿って略等間隔でリング位置を検出しているが、リング像34の周方向に沿って不等間隔でリング位置の検出を行ってもよい。また、楕円近似が可能であれば必ずしもリング像34の全周に亘ってリング位置の検出を行わなくてもよい。また、上記各実施形態では、経線方向dごとに、リング像34のエッジ強度の変曲点位置TPを検出点P0,P1の位置として決定しているが、例えば経線方向dにおける両エッジ(図6中の「Ed」参照)の中間位置を検出点P0,P1の位置として決定してもよく、検出点P0,P1の位置の決定方法は特に限定はされない。
上記各実施形態では、測定用パターン投影光学系28から被検眼Eの眼底に対してリング状の測定パターンを投影し、測定光学系30にて測定パターンの眼底反射光(リング像の光束)を受光しているが、測定用パターン投影光学系28から眼底に対して点状の測定パターンを投影し、測定光学系30にて測定パターンの眼底反射光(リング像34の光束)を受光してもよい。すなわち、測定光学系30にてリング像34の光束が受光可能であれば、測定パターンの形状は特に限定されるものではない。
上記各実施形態のエッジ検出部48は、LoGフィルタ66を用いてリング像34のエッジ検出を行っているが、他の公知のフィルタ又は公知の解析方法を用いてリング像34のエッジ検出を行ってもよい。
上記各実施形態では、楕円近似部58が最小二乗法による楕円近似法で近似楕円AEを求めているが、近似楕円AEを求めることが可能な楕円近似法であれば特に限定はされない。
上記各実施形態では、画質検出部52が、リング像34の画質としてエッジ強度の大きさ及びリング幅を検出しているが、リング像34の画素の輝度値(最大値、最小値、又は平均値)及びリング像34の形状(楕円形状であるか否か等)などのリング像34の各種の画質を検出してもよい。この場合、増加決定部54は、画質検出部52が検出したリング像34の画質の種類に応じた判別方法でリング像34が劣化しているか否かを判定する。
上記各実施形態では、本発明の画像解析装置に相当する画像解析回路38が眼科装置10内に組み込まれているが、画像解析回路38が眼科装置10とは別体の演算装置(パーソナルコンピュータ及び携帯端末等)に組み込まれていてもよい。すなわち、演算装置のプロセッサ等を本発明の画像解析回路38として機能させてもよい。また、上記実施形態では、画像解析回路38に被検眼Eの眼屈折力(眼特性)の演算まで実行させているが、眼屈折力(眼特性)の演算については別の回路又は装置で行ってもよい。
上記実施形態では、被検眼Eの眼特性として眼屈折力を測定する眼科装置10を例に挙げて説明したが、被検眼Eの各種撮影画像に含まれるリング像34を画像解析して被検眼Eの眼屈折力以外の各種眼特性を測定する眼科装置に対しても本発明を適用可能である。
10…眼科装置,
20…制御装置,
30…測定光学系,
32…撮影画像,
34…リング像,
36…統括制御回路,
38…画像解析回路,
46…画像取得部,
48…エッジ検出部,
50…第1位置検出部,
50a…エッジ強度検出部,
50b…位置決定部,
52…画質検出部,
54…増加決定部,
56…第2位置検出部,
58…楕円近似部,
59…再増加決定部,
60…眼特性演算部

Claims (7)

  1. 被検眼の眼底に投影された測定用パターンの眼底反射光に基づくリング像を取得する画像取得部と、
    前記リング像の周方向に沿った複数の第1位置で前記リング像の位置を検出して、前記第1位置ごとの検出点を得る第1位置検出部と、
    前記リング像の画質を検出する画質検出部と、
    前記画質検出部の検出結果に基づき、前記検出点の数を増加させるか否かを決定する増加決定部と、
    前記増加決定部が前記検出点の数の増加を決定した場合に、前記リング像の周方向に沿った複数の第2位置であって且つ前記検出点が未検出の複数の第2位置で前記リング像の位置を検出して、前記第2位置ごとの前記検出点を得る第2位置検出部と、
    前記増加決定部が前記検出点の数の増加を決定した場合に、前記第1位置検出部及び前記第2位置検出部の双方が検出した前記検出点に対して近似楕円を設定し、且つ前記増加決定部が前記増加を否と決定した場合に前記第1位置検出部が検出した前記検出点に対して近似楕円を設定する楕円近似部と、
    を備える画像解析装置。
  2. 前記画像取得部により取得された前記リング像のエッジを検出するエッジ検出部と、
    前記エッジ検出部の検出結果に基づき、前記リング像の仮中心を通る複数の経線方向ごとに、前記経線方向に沿った前記リング像のエッジ強度を検出するエッジ強度検出部と、
    前記エッジ強度検出部の検出結果に基づき、前記経線方向ごとに、前記リング像のエッジ強度の変曲点の位置を前記検出点の位置として決定する位置決定部と、
    を備え、
    前記画質検出部が、前記リング像の画質として、前記エッジ強度検出部の検出結果に基づき前記リング像のエッジ強度及びリング幅を検出する請求項1に記載の画像解析装置。
  3. 前記画像取得部が、前記被検眼に前記測定用パターンを投影し且つ前記眼底反射光を受光して前記リング像を出力する眼科装置の光学系から前記リング像を取得し、
    前記楕円近似部が、前記増加決定部により前記検出点の数の増加が決定された場合に、前記光学系の光軸に対応する前記リング像内の光軸対応位置を前記近似楕円の中心位置として、前記双方が検出した前記検出点に対して前記近似楕円の設定を行う請求項1又は2に記載の画像解析装置。
  4. 前記第2位置検出部が前記第2位置ごとの前記検出点を検出した場合に、前記双方が検出した前記検出点に基づき、前記検出点の数を再増加させるか否かを決定する再増加決定部と、
    前記再増加決定部が前記検出点の再増加を決定した場合に前記第2位置検出部及び前記楕円近似部を繰り返し作動させる繰り返し制御を実行し、且つ前記再増加決定部が前記再増加を否と決定した場合に前記繰り返し制御部を停止させる繰り返し制御部と、
    を備える請求項1から3のいずれか1項に記載の画像解析装置。
  5. 前記再増加決定部が、前記楕円近似部により新たに設定された前記近似楕円と新たな前記近似楕円の一つ前に設定された前記近似楕円とが一致しているか否かに基づき、前記再増加の可否を決定する請求項4に記載の画像解析装置。
  6. 被検眼の眼底に測定用パターンを投影する投影光学系と、
    前記眼底に投影された前記測定用パターンの眼底反射光に基づくリング像を出力する測定光学系と、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の画像解析装置と、
    を備える眼科装置。
  7. 被検眼の眼底に投影された測定用パターンの眼底反射光に基づくリング像を取得する画像取得ステップと、
    前記リング像の周方向に沿った複数の第1位置で前記リング像の位置を検出して、前記第1位置ごとの検出点を得る第1位置検出ステップと、
    前記リング像の画質を検出する画質検出ステップと、
    前記画質検出ステップでの検出結果に基づき、前記検出点の数を増加させるか否かを決定する増加決定ステップと、
    前記増加決定ステップで前記検出点の数の増加を決定した場合に、前記リング像の周方向に沿った複数の第2位置であって且つ前記検出点が未検出の複数の第2位置で前記リング像の位置を検出して、前記第2位置ごとの前記検出点を得る第2位置検出ステップと、
    前記増加決定ステップで前記検出点の数の増加を決定した場合に、前記第1位置検出ステップ及び前記第2位置検出ステップの双方で検出した前記検出点に対して近似楕円を設定し、且つ前記増加決定ステップで前記増加を否と決定した場合に前記第1位置検出ステップで検出した前記検出点に対して近似楕円を設定する楕円近似ステップと、
    を有する画像解析方法。
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