本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。以下では、電子制御ユニット(Electronic Control Unit)を、「ECU」と称する。
図1は、本開示の実施の形態に係る給電システムの全体構成図である。図1を参照して、この実施の形態に係る給電システム1は、給電ケーブル100と車両200と給電装置300とを備える。給電装置300は、コンセント301を有する充電スタンド302と、系統電源303とを備える。車両200は、充電ユニット210と、バッテリ220とを備える。給電ケーブル100は、制御ボックス10とコネクタ付ケーブル20とプラグ付ケーブル30A又は30Bとを備える。プラグ付ケーブル30A及び30Bのいずれか一方が制御ボックス10に接続されることによって、給電ケーブル100が形成される。
給電時においては、給電ケーブル100が給電装置300のコンセント301と車両200の充電ユニット210との両方に接続される。給電システム1は、給電ケーブル100を用いて給電装置300から充電ユニット210への給電を行なうように構成される。給電装置300から給電ケーブル100を通じて充電ユニット210に供給される電力によってバッテリ220が充電される。車両200は、バッテリ220に蓄えられた電力のみを用いて走行可能な電気自動車であってもよいし、バッテリ220に蓄えられた電力とエンジン(図示せず)の出力との両方を用いて走行可能なハイブリッド車であってもよい。
以下、給電ケーブル100を構成する制御ボックス10、コネクタ付ケーブル20、及びプラグ付ケーブル30A,30Bについて説明する。
制御ボックス10の一方端には、プラグ付ケーブル30A,30Bが交換可能に接続される接続口11が設けられており、制御ボックス10の他方端には、コネクタ付ケーブル20が接続されている。
コネクタ付ケーブル20は、充電ユニット210の給電口(たとえば、後述する図2に示すインレット213)に着脱可能なコネクタ21と、ケーブル22とを備える。コネクタ21はケーブル22の一方端(先端)に設けられており、ケーブル22の他方端(基端)は制御ボックス10に接続されている。
プラグ付ケーブル30A,30Bはそれぞれ、コンセント301に着脱可能なコンセントプラグ31A,31Bと、ケーブル32A,32Bと、接続口11に着脱可能な接続部33A,33Bとを備える。ケーブル32A,32Bの一方端にコンセントプラグ31A,31Bが設けられており、ケーブル32A,32Bの他方端に接続部33A,33Bが設けられている。この実施の形態では、接続口11及び接続部33A,33Bがねじ部(雌螺子/雄螺子)を有し、ねじ接続によって接続口11と接続部33A,33Bとが接続されるように構成される。ただし、接続部33A,33Bが接続口11に着脱できる範囲で、接続口11及び接続部33A,33Bの構造は限定されず、接続口11と接続部33A,33Bとの接続方式も限定されない。
プラグ付ケーブル30A,30B(より特定的には、ケーブル32A,32B)はそれぞれ、サーミスタ34A,34Bを内蔵している。サーミスタの抵抗値(電気抵抗)は温度変化に応じて変化するため、サーミスタ34A,34Bの抵抗値に基づいてプラグ付ケーブル30A,30Bの温度を検出することができる。この実施の形態では、サーミスタ34A及び34Bの各々として、PTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタを採用する。詳細は後述するが、サーミスタ34Aとサーミスタ34Bとでは、出力範囲(検出温度範囲に対応する抵抗範囲)が異なる。サーミスタ34A,34Bにより検出されるプラグ付ケーブル30A,30Bの温度は、給電制御などに用いられる。たとえば、プラグ付ケーブルの温度が過剰に高くなったときにバッテリ220の充電電流を制限するようにしてもよい。
充電スタンドは、一般に、普通充電器と急速充電器とに大別される。この実施の形態に係る給電ケーブル100は、たとえば普通充電器で使用される。普通充電器は、交流電力を出力する充電スタンドであり、住宅、公共施設、商業施設、宿泊施設、駐車場などに設置され得る。普通充電器には系統電源から交流電力が供給される。系統電源は、電力系統(電力会社等によって提供される電力網)から電力の供給を受ける交流電源である。系統電源の電圧は、国によって異なる。たとえば、日本及び米国では、系統電源の電圧が約200V、約100Vのいずれかである。一方、中国では、系統電源の電圧が約230Vで統一されている。
プラグ付ケーブル30A及び30Bのいずれか一方を接続口11に取り付けることによって、取り付けられたプラグ付ケーブル30A又は30Bが制御ボックス10に保持される。これにより、制御ボックス10とコネクタ付ケーブル20とプラグ付ケーブル30A又は30Bとを含む給電ケーブル100が形成される。プラグ付ケーブル30Bの電流容量は、プラグ付ケーブル30Aの電流容量よりも大きい。たとえば、プラグ付ケーブル30Aの電流容量は10Aであり、プラグ付ケーブル30Bの電流容量は16Aである。給電ケーブル100において使用されるプラグ付ケーブル(この実施の形態では、プラグ付ケーブル30A及び30Bのいずれか)は、ユーザによって選択され、ユーザによって制御ボックス10の接続口11に接続される。
図2は、給電ケーブル100、車両200、及び給電装置300の構成の詳細を示す図である。図2には、給電ケーブル100においてプラグ付ケーブル30Aが使用される例が示されている。
図2を参照して、充電スタンド302のコンセント301には、系統電源303から交流電力が供給される。コンセント301の最大出力電流は、たとえば8Aである。
給電ケーブル100は、制御ボックス10とコネクタ付ケーブル20とプラグ付ケーブル30Aとを含む。制御ボックス10は、接続口11を有し、制御部12と給電回路13とを内蔵する。また、給電ケーブル100は、内部に電力線と通信線とを含む。電力の伝送は電力線を通じて行なわれる。通信(情報のやり取り)は通信線を通じて行なわれる。たとえば、給電ケーブル100は、接続口11と制御部12とをつなぐ通信線SL1と、制御部12とコネクタ21とをつなぐ通信線SL2とを含む。給電ケーブル100では、接続口11に接続されたプラグ付ケーブル(たとえば、プラグ付ケーブル30A)に内蔵されるセンサ(たとえば、サーミスタ34A)の検出値が、接続口11及び通信線SL1を通じて制御部12に入力されるようになっている。制御部12には、サーミスタ34Aの抵抗値が逐次入力される。
給電ケーブル100のコンセントプラグ31Aが給電装置300のコンセント301に接続される(たとえば、差し込まれる)ことによって、給電ケーブル100と給電装置300とが互いに電気的に接続される。これにより、給電装置300の系統電源303から給電ケーブル100の給電回路13に電力が供給される。給電回路13は、制御部12によってON/OFF制御される給電リレー(図示せず)を含む。給電リレーは、給電ケーブル100を通じて電力の伝送(ひいては、給電)を行なうときにON状態(導通状態)にされる。なお、給電回路13の構成は、上記に限られず適宜変更可能である。たとえば、給電回路13は、給電リレーに加えて又は代えて、電流及び/又は電圧を変更可能に構成される電力変換回路を含んでいてもよい。
車両200は、充電ユニット210及びバッテリ220に加えて、走行駆動部230と、駆動輪240と、車両ECU250とをさらに備える。なお、この実施の形態に係る充電ユニット210は、本開示に係る「受電装置」の一例に相当する。
充電ユニット210は、制御部211と、充電回路212と、インレット213とを備える。インレット213は、給電口として機能する。給電ケーブル100のコネクタ21がインレット213に接続されることによって、給電ケーブル100の給電回路13と車両200の充電回路212とが互いに電気的に接続される。これにより、給電回路13から出力された電力が、充電回路212に供給されるようになる。また、充電ユニット210においては、制御部211とインレット213とが通信可能に接続されている。給電ケーブル100においては、制御部12とコネクタ21とが通信線SL2を介して通信可能に接続されている。このため、コネクタ21とインレット213とが接続されることによって、給電ケーブル100の制御部12と車両200の制御部211とが通信可能に接続される。
充電回路212は、たとえば、フィルタ回路、整流回路、電流調整回路、及び各部の状態(温度、電流、電圧等)を検出する各種センサ(いずれも図示せず)を含む。充電回路212における各部の状態を示すセンサの検出結果は制御部211へ出力され、さらに制御部211から車両ECU250へ送信される。電流調整回路は、電流の大きさを調整するためのスイッチを含み、電流調整回路におけるスイッチがON/OFF制御されることによって、給電装置300から給電ケーブル100を通じてバッテリ220へ供給される電流(すなわち、充電電流)の大きさが調整される。制御部211は、車両ECU250からの指示(制御信号)に従って充電回路212を制御する。
制御部211は、充電回路212を制御して、給電装置300から給電ケーブル100(より特定的には、ケーブル内部の電力線)を通じて供給される電力を用いてバッテリ220の充電を行なう。給電装置300の電力は充電ユニット210を通じてバッテリ220へ供給される。
走行駆動部230は、PCU(Power Control Unit)231とMG(Motor Generator)232とを含み、バッテリ220に蓄えられた電力を用いて車両200を走行させるように構成される。PCU231は、車両ECU250によって制御される。
バッテリ220は、車両ECU250によって充電制御される車載バッテリである。バッテリ220は、MG232により駆動輪240を駆動するための電力をPCU231へ供給する。PCU231は、インバータとコンバータと(いずれも図示せず)を含んで構成される。MG232は、回転電機であって、たとえば三相交流モータジェネレータである。MG232は、PCU231によって駆動され、駆動輪240を回転させる。また、MG232は、車両200の制動時等に回生発電を行なうことも可能である。
バッテリ220は、たとえば二次電池(リチウムイオン電池又はニッケル水素電池等)と、車両ECU250によってON/OFF制御される充電リレー及びSMR(システムメインリレー)と、バッテリ220の状態を監視する監視ユニットと(いずれも図示せず)を含んで構成される。監視ユニットは、バッテリ220の状態(温度、電流、電圧等)を検出する各種センサを含み、検出結果を出力する。充電リレーは、バッテリ220の充電時にON状態(導通状態)にされる。SMRは、バッテリ220の電力を用いた走行時にON状態(導通状態)にされる。監視ユニットの検出結果(各種センサの検出値)は車両ECU250に入力され、車両ECU250は、監視ユニットの出力に基づいてバッテリ220の状態(SOC(State Of Charge)等)を取得する。
制御部12と制御部211と車両ECU250との各々は、演算装置、記憶装置、入出力ポート、及び通信ポート(いずれも図示せず)を含んで構成される。演算装置は、たとえばCPU(Central Processing Unit)を含むマイクロプロセッサによって構成される。記憶装置は、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、プログラム等を保存するストレージ(ROM(Read Only Memory)及び書き換え可能な不揮発性メモリ)とを含む。記憶装置に記憶されているプログラムを演算装置が実行することで、各種制御が実行される。各種制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
ところで、普通充電器のコンセントの最大出力電流は、普通充電器によって異なる。また、1つの普通充電器が複数のコンセントを有する場合には、コンセントごとに最大出力電流が異なることがある。この実施の形態では、コンセントの最大出力電流が小さい場合には、電流容量の小さいプラグ付ケーブル30Aが使用され、コンセントの最大出力電流が大きい場合には、電流容量の大きいプラグ付ケーブル30Bが使用される。たとえば、図2に示す例では、コンセント301の最大出力電流(8A)がプラグ付ケーブル30Aの電流容量(10A)以下であるため、プラグ付ケーブル30Aが使用されている。このように、コンセントの最大出力電流に応じて給電ケーブル100におけるプラグ付ケーブルを交換することによって、給電ケーブル100の電流容量をコンセントの最大出力電流に対応させることができる。
ただし、給電ケーブル100の電流容量は上記のように変更され得るため、給電ケーブル100を用いて給電を行なう場合には、給電ケーブル100の電流容量を検出して、給電ケーブル100を流れる電流が給電ケーブル100の電流容量を超えないように受電電流(たとえば、充電電流)を制御することが求められる。そして、こうした制御を行なうためには、給電ケーブル100の電流容量を的確に検出することが求められる。
そこで、給電ケーブル100では、制御ボックス10が以下に説明するような構成を有し、こうした構成によって、給電ケーブル100の電流容量が検出されるとともに、給電ケーブル100の電流容量を示すケーブル容量信号が生成される。給電ケーブル100の電流容量は、給電ケーブル100を構成する各部分(制御ボックス10、コネクタ付ケーブル20、プラグ付ケーブル30A又は30B)の電流容量や、給電ケーブル100の規格適合性などによって決まる。ただし、給電ケーブル100を構成するプラグ付ケーブルの電流容量がボトルネックになり、給電ケーブル100の電流容量とプラグ付ケーブルの電流容量とが概ね等しくなることが多い。
制御ボックス10によって生成されたケーブル容量信号は、制御ボックス10から制御部211(ひいては、車両ECU250)へ送信される。さらに、充電ユニット210においては、上記のケーブル容量信号に基づいて、給電ケーブル100を流れる電流が給電ケーブル100の電流容量を超えないように充電電流が制御される。
図3は、制御ボックス10の構成の詳細を示す図である。図2とともに図3を参照して、制御ボックス10の制御部12は、通信部121と、プラグ特定部122と、信号生成部123と、給電制御部124とを含む。通信部121は、制御ボックス10の外部と通信を行なうように構成される。通信部121は、通信線SL1によって接続口11と接続されるとともに、通信線SL2によってコネクタ21と接続されている。通信部121は、接続口11に入力される信号(たとえば、サーミスタ34A,34Bの抵抗値)を通信線SL1を通じて受信することができる。また、通信部121は、通信線SL2及びコネクタ21を介して充電ユニット210の制御部211と通信可能に構成される。
プラグ特定部122は、プラグ付ケーブルの特徴を用いて、接続口11に接続されたプラグ付ケーブルを特定するように構成される。以下、図1及び図4を用いて、プラグ付ケーブルの特徴について説明する。
図1を参照して、この実施の形態では、制御ボックス10の接続口11に2種類のプラグ付ケーブル30A及び30Bが接続され得る。これらプラグ付ケーブル30A及び30Bは、電流容量別に異なる特徴を有する。より具体的には、プラグ付ケーブル30Aに内蔵されるサーミスタ34Aと、プラグ付ケーブル30Bに内蔵されるサーミスタ34Bとでは、出力範囲が異なる。図4は、サーミスタ34A,34Bの出力範囲を示す図である。図4では、プラグ付ケーブル30A、30Bをそれぞれ「プラグ付ケーブルA」、「プラグ付ケーブルB」と記載している。
図4を参照して、抵抗値RAminから抵抗値RAmaxまでの抵抗範囲ΔRAは、サーミスタ34Aの出力範囲を示している。サーミスタ34AはPTCサーミスタであるため、サーミスタ34Aの検出温度範囲においては、温度が高くなるほどサーミスタ34Aの抵抗値が上昇する。抵抗値RAminは、サーミスタ34Aで検出可能な最低温度のときのサーミスタ34Aの抵抗値に相当し、抵抗値RAmaxは、サーミスタ34Aで検出可能な最高温度のときのサーミスタ34Aの抵抗値に相当する。
また、抵抗値RBminから抵抗値RBmaxまでの抵抗範囲ΔRBは、サーミスタ34Bの出力範囲を示している。サーミスタ34BもPTCサーミスタであるため、サーミスタ34Bの検出温度範囲においては、温度が高くなるほどサーミスタ34Bの抵抗値が上昇する。抵抗値RBminは、サーミスタ34Bで検出可能な最低温度のときのサーミスタ34Bの抵抗値に相当し、抵抗値RBmaxは、サーミスタ34Bで検出可能な最高温度のときのサーミスタ34Bの抵抗値に相当する。
図4に示されるように、抵抗値RAminは抵抗値RBmaxよりも高い。すなわち、抵抗範囲ΔRAの全範囲が抵抗範囲ΔRBの最高値(抵抗値RBmax)よりも高く、抵抗範囲ΔRAと抵抗範囲ΔRBとは重複していない。
再び図3を参照して、プラグ特定部122は、接続口11に接続されたプラグ付ケーブルに内蔵されるサーミスタの抵抗値を通信部121から取得することができる。そして、プラグ特定部122は、サーミスタの抵抗値に基づいて、接続口11に接続されたプラグ付ケーブルを特定することができる。たとえば、図4に示される抵抗値RBmaxと抵抗値RAminとの間に閾値Rxを設定することで、サーミスタの抵抗値が閾値Rxよりも高い場合には、接続口11に接続されたプラグ付ケーブルがプラグ付ケーブル30Aであると特定し、サーミスタの抵抗値が閾値Rxよりも低い場合には、接続口11に接続されたプラグ付ケーブルがプラグ付ケーブル30Bであると特定することができる。
信号生成部123は、プラグ特定部122から特定結果(すなわち、接続口11に接続されたプラグ付ケーブルがプラグ付ケーブル30A及び30Bのいずれであるかを示す情報)を取得することができる。信号生成部123は、プラグ特定部122から取得した特定結果を用いて給電ケーブル100の電流容量を求めて、ケーブル容量信号を生成するように構成される。
たとえば、プラグ特定部122によって特定されたプラグ付ケーブルの識別情報と給電ケーブル100の電流容量(すなわち、識別情報が示すプラグ付ケーブルが接続口11に接続されたときの給電ケーブル100の電流容量)との関係を示す情報(以下、「容量検出情報」とも称する)が、予め制御部12の記憶装置に記憶されていてもよい。そして、信号生成部123は、こうした容量検出情報を参照して、プラグ特定部122によって特定されたプラグ付ケーブルの識別情報(すなわち、特定結果)から給電ケーブル100の電流容量を求めてもよい。なお、容量検出情報は、マップでもテーブルでも数式でもモデルでもよい。
また、プラグ付ケーブル30A及び30Bの各々の電流容量(10A、16A)が制御部12の記憶装置に記憶されていてもよい。プラグ特定部122は、特定されたプラグ付ケーブルの電流容量を制御部12の記憶装置から読み出して信号生成部123へ送信してもよい。そして、信号生成部123は、プラグ特定部122によって特定されたプラグ付ケーブルの電流容量(すなわち、特定結果)を用いて給電ケーブル100の電流容量を算出してもよい。
信号生成部123は、上記のように給電ケーブル100の電流容量を求めて、給電ケーブル100の電流容量を示すケーブル容量信号を生成する。そして、通信部121は、ケーブル容量信号を信号生成部123から取得して通信線SL2及びコネクタ21を通じて充電ユニット210へ送信する。
給電制御部124は、給電回路13を制御するように構成される。たとえば、給電回路13に含まれる給電リレー(図示せず)が、給電制御部124によって制御される。給電リレーは、給電ケーブル100の一端(たとえば、コンセントプラグ31A又は31B)から他端(たとえば、コネクタ21)までをつなぐ電力線の途中に設けられている。車両200と給電装置300とが互いに給電ケーブル100を介して接続された状態において、給電リレーがON状態になると、給電装置300から車両200への電力の供給が可能になり、給電リレーがOFF状態になると、給電装置300から車両200への電力供給路が遮断される。給電リレーは、初期においてはOFF状態になっている。給電制御部124は、所定の給電開始条件が成立すると、給電リレーをON状態にし、給電終了を示す信号を受信すると、給電リレーをOFF状態にするように構成される。給電開始条件の例については後述する。給電終了を示す信号は、たとえば、バッテリ220の充電が終了したときに車両ECU250から制御ボックス10へ送信される。また、給電制御部124は、所定の給電禁止条件が成立しているときには、給電リレーをON状態にしないように構成されてもよい。たとえば、過電流又は漏電が検知されたときに給電禁止条件が成立するようにしてもよい。また、内蔵サーミスタで検出されるプラグ付ケーブルの温度が過剰に高いときに給電禁止条件が成立するようにしてもよい。
なお、制御部12において、通信部121、プラグ特定部122、信号生成部123、及び給電制御部124は、たとえば、演算装置と、演算装置により実行されるプログラムとによって具現化される。ただしこれに限られず、これらの一部又は全部が所定の電子回路によって具現化されてもよい。
図5は、給電ケーブル100の制御ボックス10(より特定的には、制御部12)により実行される給電準備の処理手順を示すフローチャートである。図5に示される処理は、たとえば制御部12が車両200又は給電装置300から電力の供給を受けて電源オンされることによって開始される。
図5を参照して、ステップ(以下、単に「S」とも表記する)11では、制御部12がサーミスタの信号を検知したか否かを判断する。より具体的には、プラグ付ケーブル30A及び30Bのいずれかが接続口11に接続されると、接続口11に接続されたプラグ付ケーブルのサーミスタ34A又は34Bの信号(より特定的には、抵抗値を示す信号)が接続口11及び通信線SL1を通じて制御部12に入力される。S11では、こうしたサーミスタの信号が、制御部12に入力されたか否かが判断される。そして、サーミスタの信号が制御部12に入力されていない(S11にてNO)と判断されている間は、S11の処理が繰り返し行なわれる。
サーミスタの信号が制御部12に入力された(S11にてYES)と判断されると、制御部12は、S12において、そのサーミスタの信号が示す抵抗値(以下、単に「サーミスタの抵抗値」とも称する)が所定の閾値Rxよりも高いか否かを判断する。この判断は前述したプラグ特定部122(図3)によって実行され、この判断により、接続口11に接続されたプラグ付ケーブルが特定される。より具体的には、閾値Rxは、サーミスタ34Bの出力範囲よりも高く、かつ、サーミスタ34Aの出力範囲よりも低くなるように設定される(図4参照)。このため、サーミスタの抵抗値が閾値Rxよりも高いこと(S12にてYES)は、接続口11に接続されたプラグ付ケーブルがプラグ付ケーブル30Aであることを意味し、サーミスタの抵抗値が閾値Rx以下であること(S12にてNO)は、接続口11に接続されたプラグ付ケーブルがプラグ付ケーブル30Bであることを意味する。
そして、上記の判断結果(すなわち、プラグ特定部122による特定結果)に基づいてS131又はS132の処理が実行される。S131,S132の処理は前述した信号生成部123(図3)によって実行される。S12にてYESと判断された場合には、信号生成部123は、S131において、前述した容量検出情報を参照してプラグ付ケーブル30Aに対応する給電ケーブル100の電流容量を取得し、取得した給電ケーブル100の電流容量を示すケーブル容量信号を生成する。他方、S12にてNOと判断された場合には、信号生成部123は、S132において、前述した容量検出情報を参照してプラグ付ケーブル30Bに対応する給電ケーブル100の電流容量を取得し、取得した給電ケーブル100の電流容量を示すケーブル容量信号を生成する。
続けて、制御部12は、S14において、上記S131,S132のいずれかにおいて生成されたケーブル容量信号を車両200へ送信する。この送信は、前述した通信部121(図3)によって実行される。通信部121は、信号生成部123により生成されたケーブル容量信号を通信線SL2を通じて充電ユニット210の制御部211へ送信する。
S14の処理後、制御部12は、給電回路13の給電リレーをON状態にする(S15)。この給電リレーの制御は、前述した給電制御部124(図3)によって実行される。この実施の形態では、S14の処理が実行されることによって給電開始条件が成立し、S15において、給電制御部124が給電リレーをON状態にする。そして、S15の処理が行なわれると、図5の一連の処理が終了する。
図6は、車両ECU250により実行される充電準備の処理手順を示すフローチャートである。図6に示される処理は、駐車中の車両200に給電ケーブル100が接続されることによって開始される。
図6を参照して、S21では、車両ECU250がケーブル容量信号を受信したか否かを判断する。ケーブル容量信号は、図5のS14において給電ケーブル100の制御ボックス10から充電ユニット210の制御部211へ送信される信号である。制御部211は、制御ボックス10からケーブル容量信号を受信すると、受信したケーブル容量信号を車両ECU250へ送信する。すなわち、S21では、車両ECU250が制御部211からケーブル容量信号を受信したか否かが判断される。そして、車両ECU250がケーブル容量信号を受信していない(S21にてNO)と判断されている間は、S21の処理が繰り返し行なわれる。
車両ECU250がケーブル容量信号を受信した場合(S21にてYES)には、車両ECU250は、S22において、受信したケーブル容量信号が示す給電ケーブル100の電流容量を制御部211に設定する。これにより、制御部211が、設定された給電ケーブル100の電流容量に基づいて、バッテリ220に供給される電流(すなわち、充電電流)を調整するようになる。そして、S22の処理が行なわれると、図6の一連の処理が終了する。
図6の処理後、制御部211は、たとえば充電開始時において、ケーブル容量信号が示す給電ケーブル100の電流容量と車両200側の電流容量とを比較して、小さいほうの電流容量を超えないように充電電流を制限する。通常は、車両200側の電流容量よりも給電ケーブル100の電流容量のほうが小さいため、給電ケーブル100の電流容量を超えないように充電電流が調整される。ただし、低温時などにおいては、給電ケーブル100の電流容量よりも車両200側の電流容量のほうが小さくなることがある。この場合には、車両200側の電流容量を超えないように充電電流が調整される。制御部211は、充電回路212(より特定的には、前述した電流調整回路)を制御することによって充電電流を調整する。また、車両200側の電流容量は、たとえば車両ECU250又は制御部211の記憶装置に予め記憶されている。なお、図6の処理は、車両ECU250に代えて制御部211によって実行されてもよい。
以上説明したように、この実施の形態に係る給電システム1では、制御ボックス10の接続口11に交換可能に接続されるプラグ付ケーブル30A,30Bが電流容量別に異なる特徴を有する。より具体的には、プラグ付ケーブル30Aとプラグ付ケーブル30Bとでは、内蔵されるサーミスタの出力範囲が異なる(図4参照)。そして、給電システム1は、接続口11に接続されたプラグ付ケーブルの上記特徴(すなわち、内蔵されるサーミスタの出力)を用いて、給電ケーブル100の電流容量を検出する手段(制御部12)を備える。こうした給電システム1によれば、電流容量が変更され得る給電ケーブル100を用いて給電を行なう場合であっても、給電ケーブル100の電流容量を的確に検出することが可能になる。
なお、給電ケーブルの電流容量を検出する方法としては、コンセントの電圧から給電ケーブルの電流容量を推定する方法も考えられる。しかし、系統電源の電圧が統一されている国においては、コンセントの電圧から給電ケーブルの電流容量を推定することは困難である。また、コンセントにバーコードを、給電ケーブルにバーコードリーダーを設けて、バーコードから読み取ったコンセントの情報に基づいて給電ケーブルの電流容量を推定する方法も考えられる。しかしこの方法では、コンセントに予めバーコードを設けることが要求される。このため、使用し得るコンセントの数が増えると、バーコードを追加するための費用が高額になる。また、バーコードを貼り間違える可能性がある。一方、この実施の形態に係る給電システム1では、給電ケーブル100の構成のみによって、給電ケーブル100の電流容量を検出することができる。給電ケーブル100は、給電装置300(コンセント等)の構成によらずケーブル容量信号を生成することができるとともに、生成されたケーブル容量信号を車両200へ送信することができる。この実施の形態に係る給電システム1によれば、系統電源の電圧が統一されている国においても、給電ケーブル100の電流容量を検出することができる。
給電ケーブル100では、プラグ付ケーブル(給電ケーブル100の一部)を交換することによって給電ケーブル100の電流容量を変更できるため、給電ケーブル100の全部を交換する場合よりも低コストで給電ケーブル100の電流容量を変更できる。
上記実施の形態では、プラグ付ケーブルに内蔵されるサーミスタとして、PTCサーミスタを採用しているが、PTCサーミスタに代えてNTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタを採用してもよい。
上記実施の形態では、プラグ付ケーブル30Aとプラグ付ケーブル30Bとで、内蔵されるサーミスタの出力範囲が異なるようにしている。しかし、電流容量別に異なる特徴は、こうした特徴に限られない。
たとえば、プラグ付ケーブル30A及び30Bの一方のみにサーミスタを内蔵させるようにしてもよい。以下、図7を用いて、上記実施の形態に係る給電システム1においてプラグ付ケーブル30Bのサーミスタ34Bを割愛した変形例(以下、「第1の変形例」とも称する)について説明する。すなわち、第1の変形例においては、プラグ付ケーブル30Bにサーミスタが内蔵されていない。第1の変形例においては、図5の処理の代わりに、たとえば図7に示す処理が実行される。図7は、図5の処理の第1の変形例を示すフローチャートである。
図7を参照して、S31では、制御部12が、接続口11にプラグ付ケーブルが接続されたか否かを判断する。そして、接続口11にプラグ付ケーブルが接続されていない(S31にてNO)と判断されている間は、S31の処理が繰り返し行なわれる。S31における判断の方法は任意であるが、たとえば以下に示す方法を採用することができる。
制御部12は、たとえば、接続口11にプラグ付ケーブルが接続されることによる電気特性の変化(たとえば、給電回路13における抵抗変化)を検知したときに、接続口11にプラグ付ケーブルが接続されたと判断してもよい。また、プラグ付ケーブルが接続されることによってON状態になるスイッチを接続口11に設けて、接続口11におけるスイッチの状態に基づいてプラグ付ケーブルの接続の有無が判断されるようにしてもよい。また、制御部12に対する入力装置(ボタン、スライドスイッチ、タッチパネル等)を設けて、ユーザの入力に基づいてプラグ付ケーブルの接続の有無が判断されるようにしてもよい。ユーザは、接続口11にプラグ付ケーブルを接続したときに入力装置を操作することによって、プラグ付ケーブルが接続されたことを制御部12に知らせることができる。
接続口11にプラグ付ケーブルが接続された(S31にてYES)と判断されると、制御部12は、S32において、サーミスタの信号を検知したか否かを判断する。この判断により、接続口11に接続されたプラグ付ケーブルが特定される。
より具体的には、プラグ付ケーブル30Aが接続口11に接続されると、サーミスタ34Aの信号が制御部12に入力される。他方、プラグ付ケーブル30Bにはサーミスタが内蔵されていないため、プラグ付ケーブル30Bが接続口11に接続されても、サーミスタの信号は制御部12に入力されない。このため、サーミスタの信号が制御部12に入力されたこと(S32にてYES)は、接続口11に接続されたプラグ付ケーブルがプラグ付ケーブル30Aであることを意味し、サーミスタの信号が制御部12に入力されないこと(S32にてNO)は、接続口11に接続されたプラグ付ケーブルがプラグ付ケーブル30Bであることを意味する。
そして、上記の判断結果に基づいてS131又はS132の処理が実行される。S32にてYESと判断された場合には、制御部12はS131の処理を実行し、S32にてNOと判断された場合には、制御部12はS132の処理を実行する。図7におけるS131,S132,S14,S15については、図5と同じであるため、説明を割愛する。
以上説明したように、第1の変形例に係る給電システムにおいても、接続口11に接続されたプラグ付ケーブルの特徴(すなわち、サーミスタの有無)を用いて、給電ケーブルの電流容量を検出することができる。
また、制御ボックス10の接続口に交換可能に接続される複数種のプラグ付ケーブルが、異なる構造の接続部を有していてもよい。以下、図8及び図9を用いて、上記実施の形態に係る給電システム1において、制御ボックス10の代わりに制御ボックス10Aを採用し、プラグ付ケーブル30A,30Bの代わりにプラグ付ケーブル30C,30Dを採用した変形例(以下、「第2の変形例」とも称する)について説明する。
図8は、第2の変形例に係る給電システムにおいて採用される制御ボックス10A及びプラグ付ケーブル30C,30Dを示す図である。図8を参照して、プラグ付ケーブル30C,30Dはそれぞれ、給電装置のコンセントに着脱可能なコンセントプラグ31C,31Dと、ケーブル32C,32Dと、制御ボックス10Aの接続口11Aに着脱可能な接続部33C,33Dとを備える。プラグ付ケーブル30Dの電流容量は、プラグ付ケーブル30Cの電流容量よりも大きい。
接続口11Aと接続部33C,33Dとは、ねじ接続によって接続される。すなわち、接続口11A及び接続部33C,33Dはねじ部を有する。ただし、接続部33Cと接続部33Dとでは、ねじ部の長さが異なる。図8に示されるように、接続部33Cのねじ部は、接続部33Dのねじ部よりも長い。そして、接続口11Aには、接続部33C及び33Dのいずれが接続されたかを判別するためのスイッチ(図示せず)が設けられている。より具体的には、接続部33Cのねじ部は届くが、接続部33Dのねじ部は届かない位置に押しボタン式のスイッチが設けられている。このため、接続部33Cが接続口11Aに接続された場合には、接続口11Aのスイッチが接続部33Cのねじ部によって押されてON状態になる。しかし、接続部33Dが接続口11Aに接続された場合には、接続口11AのスイッチはOFF状態を維持する。
第2の変形例においては、図5の処理の代わりに、たとえば図9に示す処理が実行される。図9は、図5の処理の第2の変形例を示すフローチャートである。
図8とともに図9を参照して、S41では、制御部12が、接続口11Aにプラグ付ケーブルが接続されたか否かを判断する。この判断方法は任意である。制御部12は、たとえば、接続口11Aにプラグ付ケーブルが接続されることによる電気特性の変化を検知したときに、接続口11Aにプラグ付ケーブルが接続されたと判断してもよい。そして、接続口11Aにプラグ付ケーブルが接続されていない(S41にてNO)と判断されている間は、S41の処理が繰り返し行なわれる。
接続口11Aにプラグ付ケーブルが接続された(S41にてYES)と判断されると、制御部12は、S42において、前述した接続口11AのスイッチがON状態であるか否かを判断する。この判断により、接続口11Aに接続されたプラグ付ケーブルが特定される。
より具体的には、接続部33Cのねじ部は長いため、プラグ付ケーブル30Cが接続口11Aに接続されると、接続口11AのスイッチがON状態になる。他方、接続部33Dのねじ部は短いため、プラグ付ケーブル30Dが接続口11Aに接続されても、接続口11Aのスイッチはオンされない。このため、接続口11AのスイッチがON状態であること(S42にてYES)は、接続口11Aに接続されたプラグ付ケーブルがプラグ付ケーブル30Cであることを意味し、接続口11AのスイッチがOFF状態であること(S42にてNO)は、接続口11Aに接続されたプラグ付ケーブルがプラグ付ケーブル30Dであることを意味する。
そして、上記の判断結果に基づいてS131又はS132の処理が実行される。S42にてYESと判断された場合には、制御部12はS131の処理を実行し、S42にてNOと判断された場合には、制御部12はS132の処理を実行する。図9におけるS131,S132,S14,S15については、図5と同じであるため、説明を割愛する。
以上説明したように、第2の変形例に係る給電システムにおいても、接続口11に接続されたプラグ付ケーブルの特徴(すなわち、接続部の構造の違い)を用いて、給電ケーブルの電流容量を検出することができる。
上記実施の形態及び変形例では、制御ボックス10の接続口に2種類のプラグ付ケーブルが接続され得る例を示しているが、制御ボックス10の接続口に3種類以上のプラグ付ケーブルが接続可能であってもよい。それらプラグ付ケーブルが電流容量別に異なる特徴を有していれば、その特徴を用いて、給電ケーブルの電流容量を検出することができる。
上記実施の形態及び変形例では、給電ケーブルにおける制御ボックスとコネクタ付ケーブルとを分離できない構成にしているが、制御ボックスとコネクタ付ケーブルとが着脱可能に接続されるようにしてもよい。
上記実施の形態及び変形例では、給電ケーブルの接続口に接続されたプラグ付ケーブルの特徴を用いて給電ケーブルの電流容量を検出する手段を給電ケーブル(より特定的には、制御ボックス)に設けているが、こうした手段は、車両200又は給電装置300に設けられてもよい。
上記実施の形態及び変形例では、受電装置として充電ユニット210を採用しているが、受電装置は、充電ユニット210のような車載充電器に限られない。受電装置は、他の乗り物(船、飛行機等)、無人移動体(無人搬送車、ドローン等)、又は携帯機器(スマートフォン、ノートパソコン等)に搭載される充電器であってもよいし、建物(住宅、工場等)又は家庭用電気機械器具に設けられた受電装置であってもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。