<実施形態>
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
まず、図1および図2を参照して、実施形態にかかる自動バレー駐車システムの概略について説明する。ここで、自動バレー駐車システムとは、白線などといった区画線Lで区画された1以上の駐車領域Rを有する駐車場Pにおいて、以下に説明するような自動駐車および自動出庫を含む自動運転の一例としての自動バレー駐車を実現するための自動運転制御システムである。
図1は、実施形態にかかる自動バレー駐車システムにおける自動駐車の概念を説明するための例示的かつ模式的な図であり、図2は、実施形態にかかる自動バレー駐車システムにおける自動出庫の概念を説明するための例示的かつ模式的な図である。
図1に示されるように、自動駐車とは、駐車場P内の降車領域P1において車両Vから乗員Xが降車した後、当該降車領域P1に停車した車両Vが所定の指示に応じて降車領域P1から空きの駐車領域Rへ自動で移動して駐車する自動運転のことである(矢印C1参照)。降車領域P1は、「第1の領域」の一例である。
また、図2に示されるように、自動出庫とは、自動駐車が完了した後、駐車領域Rに停車した車両Vが所定の呼び出しに応じて出庫して駐車領域Rから所定の第2領域としての乗車領域P2へ自動で移動して停車する自動運転のことである(矢印C2参照)。乗車領域P2は、「第2の領域」の一例である。
なお、実施形態において、自動駐車の際に実行される所定の指示と、自動出庫の際に実行される所定の呼び出しとは、いずれも、たとえば乗員Xによる端末装置Tの操作によって実現される。また、実施形態において、降車領域P1は、乗車領域として利用することもでき、乗車領域P2は、降車領域として利用することもできる。
ここで、図1および図2に示されるように、実施形態にかかる自動バレー駐車システムは、駐車場Pに設けられた管制装置101と、車両Vに搭載された車両制御システム102と、を有している。管制装置101と車両制御システム102とは、駐車場P内に分散して設置される後述する複数の中継装置500(図3〜図7参照)を介した無線通信によって互いに通信可能に構成されている。
管制装置101は、駐車場P内における車両Vの自動運転の管制を行う機能を有している。より具体的に、管制装置101は、駐車場Pの地図データを管理し、当該地図データを車両V(車両制御システム102)に提供する機能を有している。地図データは、区画線Lやマーカ(不図示)などといった、駐車場Pの路面に固定的に設置された路面標示に関する正規の標示データを含んでいる。区画線Lに関する正規の標示データからは、区画線Lの先端の位置や区画線Lが延びる方向などを特定することができ、マーカに関する正規の標示データからは、マーカの設置位置やマーカが有する模様などを特定することができる。さらに、地図データは、後述する複数の中継装置500(図3〜図7参照)の設置位置を特定するためのデータも含んでいる。
また、管制装置101は、駐車場P内の状況を撮像する1以上の監視カメラ103から得られる画像データを含む、駐車場P内に設けられる各種の場内センサ(不図示)から出力されるデータを取得し、取得したデータに基づいて駐車場P内の状況を監視し、監視結果に基づいて、駐車領域Rの空きの管理などを含む、駐車場Pの管理を行うように構成されている。以下では、駐車場P内の状況を監視するために管制装置101が受け取る情報を総称してセンサデータと記載することがある。
なお、実施形態において、駐車場Pにおける降車領域P1、乗車領域P2、駐車領域R、および監視カメラ103の数や配置などは、図1および図2に示される例に制限されるものではない。実施形態の技術は、図1および図2に示された駐車場Pとは異なる様々な構成の駐車場に適用可能である。
次に、図3を参照して、実施形態にかかる管制装置101のハードウェア構成について説明する。なお、図3に示されるハードウェア構成は、あくまで一例であり、実施形態にかかる管制装置101のハードウェア構成は、様々に設定(変更)可能である。
図3は、実施形態にかかる管制装置101のハードウェア構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。図3に示されるように、実施形態にかかる管制装置101は、PC(Personal Computer)などといった一般的な情報処理装置と同様のハードウェア構成を有している。
図3に示される例において、管制装置101は、CPU(Central Processing Unit)301と、ROM(Read Only Memory)302と、RAM(Random Access Memory)303と、通信インターフェース(I/F)304と、入出力インターフェース(I/F)305と、SSD(Solid State Drive)306と、を有している。これらのハードウェアは、バス350を介して互いに接続されている。
CPU301は、管制装置101を統括的に制御するハードウェアプロセッサである。CPU301は、ROM302などに記憶された各種の制御プログラム(コンピュータプログラム)を読み出し、当該各種の制御プログラムに規定されたインストラクションにしたがって各種の機能を実現する。
ROM302は、上述した各種の制御プログラムの実行に必要なパラメータなどを記憶する不揮発性の主記憶装置である。
RAM303は、CPU301の作業領域を提供する揮発性の主記憶装置である。
通信インターフェース304は、管制装置101と外部装置との間の通信を実現するインターフェースである。通信インターフェース304は、複数の中継装置500と有線によって接続されている。これら複数の中継装置500は、予め設定された通信可能範囲内で無線信号を送受信可能に構成されており、駐車場P内において管制装置101との通信を中継するアクセスポイントとして機能する。
なお、実施形態において、複数の中継装置500は、それぞれの通信可能範囲の少なくとも一部がオーバーラップすることで駐車場P内の領域の全域が少なくともいずれかの通信可能範囲にカバーされるように、駐車場P内に分散して設置されているものとする。
入出力インターフェース305は、管制装置101と外部装置との接続を実現するインターフェースである。外部装置としては、たとえば、管制装置101のオペレータが使用する入出力デバイスなどが考えられる。
SSD306は、書き換え可能な不揮発性の補助記憶装置である。なお、実施形態にかかる管制装置101においては、補助記憶装置として、SSD306に替えて(またはSSD306に加えて)、HDD(Hard Disk Drive)が設けられてもよい。
次に、図4を参照して、実施形態にかかる車両制御システム102のシステム構成について説明する。なお、図4に示されるシステム構成は、あくまで一例であり、実施形態にかかる車両制御システム102のシステム構成は、様々に設定(変更)可能である。
図4は、実施形態にかかる車両制御システム102のシステム構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。図4に示されるように、車両制御システム102は、制動システム401と、加速システム402と、操舵システム403と、変速システム404と、障害物センサ405と、走行状態センサ406と、通信インターフェース(I/F)407と、車載カメラ408と、モニタ装置409と、車両制御装置410と、車載ネットワーク450と、を有している。
制動システム401は、車両Vの減速を制御する。制動システム401は、制動部401aと、制動制御部401bと、制動部センサ401cと、を有している。
制動部401aは、たとえば、ブレーキペダルなどを含んだ、車両Vを減速させるための装置である。
制動制御部401bは、たとえば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したコンピュータにより構成されるECU(Electronic Control Unit)である。制動制御部401bは、車両制御装置410からの指示に基づいてアクチュエータ(不図示)を駆動し、制動部401aを作動させることで、車両Vの減速度合を制御する。
制動部センサ401cは、制動部401aの状態を検出するための装置である。たとえば、制動部401aがブレーキペダルを含む場合、制動部センサ401cは、制動部401aの状態として、ブレーキペダルの位置または当該ブレーキペダルに作用している圧力を検出する。制動部センサ401cは、検出した制動部401aの状態を車載ネットワーク450に出力する。
加速システム402は、車両Vの加速を制御する。加速システム402は、加速部402aと、加速制御部402bと、加速部センサ402cと、を有している。
加速部402aは、たとえば、アクセルペダルなどを含んだ、車両Vを加速させるための装置である。
加速制御部402bは、たとえば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したコンピュータにより構成されるECUである。加速制御部402bは、車両制御装置410からの指示に基づいてアクチュエータ(不図示)を駆動し、加速部402aを作動させることで、車両Vの加速度合を制御する。
加速部センサ402cは、加速部402aの状態を検出するための装置である。たとえば、加速部402aがアクセルペダルを含む場合、加速部センサ402cは、アクセルペダルの位置または当該アクセルペダルに作用している圧力を検出する。加速部センサ402cは、検出した加速部402aの状態を車載ネットワーク450に出力する。
操舵システム403は、車両Vの進行方向を制御する。操舵システム403は、操舵部403aと、操舵制御部403bと、操舵部センサ403cと、を有している。
操舵部403aは、たとえば、ステアリングホイールやハンドルなどを含んだ、車両Vの転舵輪を転舵させる装置である。
操舵制御部403bは、たとえば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したコンピュータにより構成されるECUである。操舵制御部403bは、車両制御装置410からの指示に基づいてアクチュエータ(不図示)を駆動し、操舵部403aを作動させることで、車両Vの進行方向を制御する。
操舵部センサ403cは、操舵部403aの状態を検出するための装置である。たとえば、操舵部403aがステアリングホイールを含む場合、操舵部センサ403cは、ステアリングホイールの位置または当該ステアリングホイールの回転角度を検出する。なお、操舵部403aがハンドルを含む場合、操舵部センサ403cは、ハンドルの位置または当該ハンドルに作用している圧力を検出してもよい。操舵部センサ403cは、検出した操舵部403aの状態を車載ネットワーク450に出力する。
変速システム404は、車両Vの変速比を制御する。変速システム404は、変速部404aと、変速制御部404bと、変速部センサ404cと、を有している。
変速部404aは、たとえば、シフトレバーなどを含んだ、車両Vの変速比を変更するための装置である。
変速制御部404bは、たとえば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したコンピュータにより構成されるECUである。変速制御部404bは、車両制御装置410からの指示に基づいてアクチュエータ(不図示)を駆動し、変速部404aを作動させることで、車両Vの変速比を制御する。
変速部センサ404cは、変速部404aの状態を検出するための装置である。たとえば、変速部404aがシフトレバーを含む場合、変速部センサ404cは、シフトレバーの位置または当該シフトレバーに作用している圧力を検出する。変速部センサ404cは、検出した変速部404aの状態を車載ネットワーク450に出力する。
障害物センサ405は、車両Vの周囲に存在しうる障害物に関する情報を検出するための装置である。障害物センサ405は、たとえば、障害物までの距離を検出するソナーなどといった測距センサを含んでいる。障害物センサ405は、検出した情報を車載ネットワーク450に出力する。
走行状態センサ406は、車両Vの走行状態を検出するための装置である。走行状態センサ406は、たとえば、車両Vの車輪速を検出する車輪速センサや、車両Vの前後方向または左右方向の加速度を検出する加速度センサや、車両Vの旋回速度(角速度)を検出するジャイロセンサなどを含んでいる。走行状態センサ406は、検出した走行状態を車載ネットワーク450に出力する。
通信インターフェース407は、車両制御システム102と外部装置との間の通信を実現するインターフェースである。詳細は後述するが、通信インターフェース407は、駐車場P内に分散して設置される複数の中継装置500のうちの少なくとも1つとの間で無線信号の送受信を実行することで1つの中継装置500と無線通信を確立し、当該1つの中継装置500を介して管制装置101と通信を行うために設けられている。
車載カメラ408は、車両Vの周辺の状況を撮像することで車両Vの周辺の状況を検出するセンサである。たとえば、車載カメラ408は、車両Vの前方、後方、および側方(左右両方)の路面を含む領域を撮像するように複数設けられる。車載カメラ408によって得られた画像データは、車両Vの周辺の状況の監視(障害物の検出も含む)に使用される。車載カメラ408は、得られた画像データを車両制御装置410に出力する。なお、以下では、車両制御システム102に設けられる、車載カメラ408を含む各種の車載センサから得られるデータを総称してセンサデータと記載することがある。
モニタ装置409は、車両Vの車室内のダッシュボードなどに設けられる。モニタ装置409は、表示部409aと、音声出力部409bと、操作入力部409cと、を有している。
表示部409aは、車両制御装置410の指示に応じて画像を表示するための装置である。表示部409aは、たとえば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electroluminescent Display)などによって構成される。
音声出力部409bは、車両制御装置410の指示に応じて音声を出力するための装置である。音声出力部409bは、たとえば、スピーカによって構成される。
操作入力部409cは、車両V内の乗員の入力を受け付けるための装置である。操作入力部409cは、たとえば、表示部409aの表示画面に設けられるタッチパネルや、物理的な操作スイッチなどによって構成される。操作入力部409cは、受け付けた入力を車載ネットワーク450に出力する。
車両制御装置410は、車両制御システム102を統括的に制御するための装置である。詳細は後述するが、車両制御装置410は、車両Vの現在位置を推定する機能と、推定した現在位置を考慮して車両Vの走行制御を実行する機能と、を有しており、これらの機能によって、駐車場P内における自動運転を実現する。
車両制御装置410は、CPU410aと、ROM410bと、RAM410cと、SSD410dと、表示制御部410eと、音声制御部410fと、を有したECUとして構成されている。
CPU410aは、車両制御装置410を統括的に制御するハードウェアプロセッサである。CPU410aは、ROM410bなどに記憶された各種の制御プログラム(コンピュータプログラム)を読み出し、当該各種の制御プログラムに規定されたインストラクションにしたがって各種の機能を実現する。
ROM410bは、上述した各種の制御プログラムの実行に必要なパラメータなどを記憶する不揮発性の主記憶装置である。
RAM410cは、CPU410aの作業領域を提供する揮発性の主記憶装置である。
SSD410dは、書き換え可能な不揮発性の補助記憶装置である。なお、実施形態にかかる車両制御装置410においては、補助記憶装置として、SSD410dに替えて(またはSSD410dに加えて)、HDDが設けられてもよい。
表示制御部410eは、車両制御装置410で実行される各種の処理のうち、主として、車載カメラ408から得られた画像データに対する画像処理や、モニタ装置409の表示部409aに出力する画像データの生成などを司る。
音声制御部410fは、車両制御装置410で実行される各種の処理のうち、主として、モニタ装置409の音声出力部409bに出力する音声データの生成などを司る。
車載ネットワーク450は、制動システム401と、加速システム402と、操舵システム403と、変速システム404と、障害物センサ405と、走行状態センサ406と、通信インターフェース407と、モニタ装置409の操作入力部409cと、車両制御装置410と、を通信可能に接続する。
ところで、上記のような管制装置101、車両制御装置410、および中継装置500を備えた車両通信制御システムとしての自動バレー駐車システムにおいては、車両Vの走行に伴い、車両Vとの間で無線通信を確立可能な中継装置500が変わることがあるので、中継装置500の切り替えを適切に実行することが望まれる。
そこで、実施形態は、管制装置101および車両制御装置410に次の図5に示されるような機能を持たせ、車両制御装置410を車両通信制御装置として機能させることで、中継装置500の切り替えを適切に実行することを実現する。
図5は、実施形態にかかる管制装置101および車両制御装置410の機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。図5に示される機能は、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現される。すなわち、図5に示される例において、管制装置101の機能は、CPU301がROM302などに記憶された所定の制御プログラムを読み出して実行した結果として実現され、車両制御装置410の機能は、CPU410aがROM410bなどに記憶された所定の制御プログラムを読み出して実行した結果として実現される。なお、実施形態では、図5に示される機能の少なくとも一部が専用のハードウェア(回路)によって実現されてもよい。
図5に示されるように、実施形態にかかる管制装置101は、通信制御部511と、センサデータ取得部512と、駐車場データ管理部513と、誘導経路生成部514と、切替要否判定部515と、指示出力部516と、を有している。
通信制御部511は、中継装置500を介して車両制御装置410との間で実行される無線通信を制御する。より具体的に、通信制御部511は、駐車場P内に分散して設置される複数の中継装置500の全てと通信可能に構成されており、これら複数の中継装置500のうち、車両制御装置410と無線通信を確立した1つの中継装置500を介して、車両制御装置410と通信を行う。
センサデータ取得部512は、駐車場P内に設けられる監視カメラ103を含む各種の場内センサからセンサデータを取得する。センサデータ取得部512により取得されるセンサデータ(特に監視カメラ103から得られる画像データ)は、たとえば、駐車領域Rの空き状況の把握などに利用することができる。
駐車場データ管理部513は、駐車場Pに関するデータ(情報)を管理する。たとえば、駐車場データ管理部513は、駐車場Pの地図データの管理や、駐車領域Rの空き状況の把握、駐車場P内において自動運転を実行している車両Vに関する情報の把握などを行う。
誘導経路生成部514は、自動駐車および自動出庫が行われる際に車両制御装置410に指示する誘導経路を生成する。より具体的に、誘導経路生成部514は、自動駐車が行われる際においては、降車領域P1から空いている1つの駐車領域Rへと至る概略的な経路を誘導経路として生成し、自動出庫が行われる際においては、車両Vが現在駐車している駐車領域Rから乗車領域P2へと至る概略的な経路を誘導経路として生成する。
切替要否判定部515は、車両制御装置410が無線通信に使用する中継装置500の切り替えの要否を判定する。また、指示出力部516は、切替要否判定部515の判定結果に応じて、通信制御部511を介して車両制御装置410に対する指示を出力する。なお、切替要否判定部515および指示出力部516が実行する制御については後で詳細に説明するため、ここではこれ以上の説明を省略する。
一方、図5に示されるように、実施形態にかかる車両制御装置410は、機能的構成として、通信制御部521と、センサデータ取得部522と、標示データ取得部523と、地図データ取得部524と、位置推定部525と、経路取得部526と、走行制御部527と、信号強度取得部528と、中継切替部529と、を有している。なお、図5に示される例では、これらの機能の全てが単一のECUとしての車両制御装置410内に実現されているが、実施形態では、これらの機能が複数のECU内に分散して実現されてもよい。
通信制御部521は、中継装置500を介して管制装置101との間で実行される無線通信を制御する。より具体的に、通信制御部521は、駐車場P内に分散して設置される複数の中継装置500のうちの少なくとも1つとの間で無線信号の送受信を実行することで1つの中継装置500と無線通信を確立し、当該1つの中継装置500を介して管制装置101と通信を行う。
センサデータ取得部522は、車両制御システム102に設けられる各種の車載センサによって得られるセンサデータを取得する。以下、センサデータとして、車載カメラ408によって得られる画像データが使用される場合について主として説明する。画像データは、車両Vの周辺の路面の状況を表す情報を含んでいるものとする。
標示データ取得部523は、センサデータ取得部522により取得される画像データに基づく画像認識処理を実施することで、前述した区画線Lやマーカなどといった、駐車場Pの路面に設置された路面標示に関する(計算上の)標示データを取得する。
地図データ取得部524は、通信制御部521を介して駐車場Pの地図データを管制装置101から取得する。前述したように、地図データには、路面標示に関する正規の標示データと、複数の中継装置500の設置位置を特定するためのデータと、が含まれている。
位置推定部525は、標示データ取得部523により取得された計算上の標示データと、地図データ取得部524により取得された地図データに含まれる正規の標示データと、を照合することで、車両Vの実位置を推定する。
より具体的に、位置推定部525は、まず、センサデータ取得部522により取得されるセンサデータを利用したいわゆるオドメトリと呼ばれる手法により、車両Vの計算上の実位置を推定する。そして、位置推定部525は、標示データ取得部523により取得された計算上の標示データに基づいて、車両Vに対する路面標示の相対位置を算出し、当該相対位置と、オドメトリに基づいて推定される車両Vの計算上の実位置と、に基づいて、路面標示の計算上の絶対位置を算出する。そして、位置推定部525は、路面標示の計算上の絶対位置と、正規の標示データに基づいて特定される路面標示の正規の絶対位置と、を照合し、オドメトリに基づいて推定される車両Vの計算上の実位置を必要に応じて補正することで、車両Vの(正規の)実位置を推定する。
経路取得部526は、車両Vの自動運転で辿るべき走行経路としての誘導経路を、通信制御部521を介して管制装置101から取得する。
走行制御部527は、制動システム401や加速システム402、操舵システム403、変速システム404などを介して車両Vの走行状態を制御することで、駐車場P内における自動運転を実行する。たとえば、走行制御部527は、自動運転として、降車領域P1からの発進制御や、降車領域P1から駐車領域Rへの走行制御(駐車制御を含む)、駐車領域Rから乗車領域P2への走行制御(出庫制御を含む)、乗車領域P2への停車制御などを実行する。
より具体的に、走行制御部527は、経路取得部526により取得された誘導経路と、位置推定部525により推定された車両Vの実位置と、に基づいて車両Vの走行状態を制御することで、誘導経路に基づいた自動運転を実行する。なお、走行制御部527は、車載カメラ408によって得られる画像データを含む、車両制御システム102に設けられる各種の車載センサから出力されるデータを、制御に利用することができる。これにより、走行制御部527は、自動運転中の状況の変化に応じて誘導経路を調整しながら自動運転を実行することが可能である。
信号強度取得部528は、複数の中継装置500との間で送受信される無線信号の車両Vの位置における信号強度(受信強度)を取得する。一般に、ある中継装置500の通信可能範囲内に車両Vが位置している場合、その中継装置500と車両Vとの間の距離が短いほど、受信強度は強くなる。なお、実施形態において、中継装置500は、自身の識別情報を無線信号に含めて送信するように構成されている。したがって、実施形態において、信号強度取得部528は、2以上の中継装置500からの無線信号が車両Vに到達した場合であっても、それぞれの無線信号がどの中継装置500から受信されたものかを特定することが可能である。
ここで、実施形態において、信号強度取得部528は、上記のように取得した受信強度に関する情報を、通信制御部521により管制装置101に通知するように構成されている。そして、管制装置101の切替要否判定部515は、通知された受信強度に関する情報に基づいて、車両制御装置410が無線通信に使用する中継装置500の切り替えの要否を判定するように構成されている。
たとえば、複数の中継装置500のうちの1つの中継装置500(第1の中継装置とする)との無線通信が確立した状態で車両Vが走行している状況において、第1の中継装置とは異なる他の中継装置500(第2の中継装置とする)との間での無線信号の送受信が可能になった場合を考える。この場合、切替要否判定部515は、第1の中継装置との間で送受信される無線信号としての第1の無線信号の受信強度と、第2の中継装置との間で送受信される無線信号としての第2の無線信号の受信強度と、に基づく所定の条件が成立するか否かを判断する。
所定の条件は、たとえば、第1の無線信号の受信強度が低下傾向を示しており、かつ、第2の無線信号の受信強度が上昇傾向を示していることである。この条件が成立した場合、第1の中継装置と引き続き無線通信を確立し続けるよりは、第2の中継装置と新たに無線通信を確立した方が、今後車両Vの走行が進んだときに無線通信が途切れないことが見込まれる。したがって、この条件によれば、中継装置500の切り替えを適切に実行することができる。
なお、実施形態では、上記に加えて、第1の無線信号の受信強度と第2の無線信号の受信強度との差の予測値が所定時間後に所定以下の大きさになることも、所定の条件に含まれうる。所定時間は、第1の無線信号の受信強度と第2の無線信号の受信強度とが等しくなるまでの時間よりも短く設定される。この条件が成立した場合、現段階で第1の中継装置の中継能力が第2の中継装置の中継能力よりも高かったとしても、それらの差が所定時間後に確実に縮まり、それ以降は第1の中継装置の中継能力よりも第2の中継装置の中継能力の方が高くなっていくことが見込まれる。したがって、この条件によれば、中継装置の切り替えを適切に実行することができる。
このように、切替要否判定部515は、上記の所定の条件が成立すると判断した場合、中継装置500の切り替えが必要だと判断し、上記の所定の条件が成立しないと判断した場合、中継装置500の切り替えが不要だと判断する。
そして、管制装置101の指示出力部516は、中継装置500の切り替えが必要であると切替要否判定部515により判断された場合、中継装置500の切り替えを車両制御装置410に実行させるための中継切替指示を出力し、通信制御部511を介して中継切替指示を送信する。
そして、車両制御装置410の中継切替部529は、上記の中継切替指示が通信制御部521を介して受信されると、無線通信を確立する対象の中継装置500の切り替えを実行する。
ところで、中継装置500の切り替えが開始してから完了するまでの間は、管制装置101と車両制御装置410との通信が途切れ、車両Vが管制装置101の管制下から外れることになる。したがって、たとえば人が通行する可能性がある場所などといった、車両Vが管制装置101の管制下から外れるのが望ましくない場所では、中継装置500の切り替えを行う以前に、車両Vの停止を実行したり速度の低減を実行したりするなど、車両Vの走行状態を変更することが望まれる。
そこで、実施形態において、車両制御装置410の信号強度取得部518は、上記の受信強度に関する情報に加えて、車両Vの現在位置に関する情報も、管制装置101に通知する。そして、管制装置101の切替要否判定部515は、中継装置500の切り替えの要否に加えて、車両Vの現在位置が、中継装置500を切り替える以前に走行状態を変化させる必要がある場所に該当するか否かを判断する。
そして、管制装置101の指示出力部516は、切替要否判定部515の判定結果に基づいて、必要に応じて、上記の中継切替指示を出力する以前に、車両制御装置410に車両Vの走行状態を変更させるための走行状態変更指示を、通信制御部511を介して車両制御装置410に送信する。そして、車両制御装置410の走行制御部527は、走行状態変更指示が通信制御部521を介して受信されると、中継切替部529が無線通信を確立する対象を実際に切り替える以前に、車両Vの位置に応じて、車両Vの走行状態を変更する。
なお、上記の走行状態変更指示に基づく車両Vの走行状態の変更が実行された場合、走行状態の変更に引き続き実行される中継装置500の切り替えが完了した後は、走行状態を元の状態に復帰させる必要がある。したがって、この場合、車両制御装置410の中継切替部529は、中継装置500の切り替えが完了した旨を、通信制御部521を介して管制装置101に通知する。そして、管制装置101の指示出力部516は、中継装置500の切り替えが完了した旨の通知が通信制御部511を介して受信されると、車両Vの走行状態を元の状態に復帰させるための走行状態復帰指示を、通信制御部511を介して車両制御装置410に送信する。
ここで、第1の中継装置から第2の中継装置への上述したような切り替えにおいて、切り替え先としての第2の中継装置が1つしか存在しない場合は、選択の余地はないが、切り替え先としての第2の中継装置が2つ以上存在する場合は、2つ以上の候補から1つの候補を選択する必要がある。そこで、実施形態は、第2の中継装置の個数に応じて、以下に説明するような方法で、中継装置500の切り替えを実行する。
図6は、実施形態において中継装置500の切り替え先の候補が1つしか存在しない場合における中継装置500の切り替えの一例を説明するための例示的かつ模式的な図である。この図6に示される例では、上記の基本的な説明内容のみに基づいて、中継装置500の切り替えが実行される。
図6に示される例では、中継装置601の通信可能範囲R601と中継装置602の通信可能範囲R602とが重なる領域の近傍の位置X600に、車両Vが存在している。この車両Vは、中継装置601の通信可能範囲R601内から、中継装置602の通信可能範囲R602へと向かう矢印A1方向に沿って走行する。したがって、図6に示される例では、車両Vが無線通信を既に確立している対象としての第1の中継装置が中継装置601に該当し、車両Vが次に無線通信を確立する候補としての第2の中継装置が中継装置602に該当する。
また、図6に示される例では、第1の中継装置としての中継装置601が送信する第1の無線信号の信号強度が、中継装置601の設置位置である位置X601でピークを迎える実線L601で表されており、第2の中継装置としての中継装置602が送信する第2の無線信号の信号強度が、中継装置602の設置位置である位置X602でピークを迎える実線L602で表されている。
上記の実線L601およびL602からは、第1の中継装置としての中継装置601が送信する第1の無線信号の、車両Vの現在位置である位置X600における受信強度が低下傾向を示しており、かつ、第2の中継装置としての中継装置602が送信する第2の無線信号の、車両Vの現在位置である位置X600における受信強度が上昇傾向を示していることが分かる。また、上記の実線L601およびL602からは、第1の無線信号の受信強度と第2の無線信号の受信強度との差の予測値が時間経過とともに現在値Dよりも小さくなっていき、所定時間後に所定以下の大きさになることが分かる。
したがって、図6に示される例では、前述した所定の条件が全て成立するので、車両Vが無線通信を確立する対象が、中継装置601から中継装置602に切り替わる。
なお、図6に示される例では、車両Vが、ハッチングが付された領域R600に向かって走行している。領域R600が、車両Vが管制装置101の管制下から外れることが望ましくない領域(位置)として予め設定されているものとすると、無線通信を確立する対象の切り替えが実際に実行される以前に、たとえば領域R600の手前での停止や速度の低減が実行されるなどといった、走行状態の変更が実行される。
図7は、実施形態において中継装置500の切り替え先の候補が2つ以上存在する場合における中継装置の切り替えの一例を説明するための模式的な図である。この図7に示される例では、切り替え先の候補が1つしか存在しない上記の例と異なり、切り替え先の候補が1つに絞り込まれた上で、中継装置500の切り替えが実行される。
図7に示される例では、3つの中継装置701〜703の通信可能範囲R701〜R703が重なる領域の近傍に、車両Vが存在している。この車両Vは、中継装置701の通信可能範囲R701内から、中継装置702および703の通信可能範囲R702およびR703へと向かう矢印A2方向に沿って走行する。したがって、図7に示される例では、車両Vが無線通信を既に確立している対象としての第1の中継装置が中継装置701に該当し、車両Vが次に無線通信を確立する候補としての第2の中継装置が中継装置702および703に該当する。
前述したように、実施形態では、切り替え先の候補としての第2の中継装置が複数存在する場合、それら複数の候補から1つの候補が選択される。切り替え先の候補を1つに絞り込む方法としては、次の2つの方法が考えられる。
1つ目の方法は、車両Vの(今後の)走行経路を参照する方法である。すなわち、中継装置500を切り替えた後の無線信号の送受信の品質(速度)の低下を抑制するためには、車両Vの走行経路から遠い位置にある中継装置500よりも、車両Vの走行経路に近い位置にある中継装置500を切り替え先として選択した方が望ましい。なお、中継装置500の設置位置は、駐車場データ管理部513により管理されている地図データに基づいて特定することができる。
したがって、この1つ目の方法において、管制装置101の切替要否判定部515は、切り替え先の候補が複数存在する場合、車両Vの走行経路に関する情報を車両制御装置410から取得し、取得した情報と地図データとに基づいて、たとえば車両Vの走行経路に最も近い位置に設置された候補を、切り替え先の1つの中継装置500として選択する。そして、切替要否判定部515は、選択した1つの中継装置500を対象として上記の所定の条件の成否を判断し、指示出力部516は、中継切替指示(および必要に応じて車両状態変更指示)を出力する。そして、車両制御装置410は、管制装置101の指示出力部516からの指示に応じて、中継切替部529による中継装置500の切り替え(および必要に応じて走行制御部527による走行状態の変更)を実行する。
たとえば、図7に示される例において、車両Vの今後の走行経路が、中継装置702側に向かう矢印A21方向に沿ったものであれば、中継装置701から中継装置702への切り替えが実行され、車両Vの今後の走行経路が、中継装置703側に向かう矢印A22方向に沿ったものであれば、中継装置701から中継装置703への切り替えが実行される。
このように、実施形態において、車両制御装置410の中継切替部529は、次に無線通信を確立する対象として複数の候補が存在する場合、車両Vの走行経路に関する情報に基づいて選択された1つの候補を対象とした上記の所定の条件の成否に応じて、無線通信を確立する対象の切り替えを実行しうる。
2つ目の方法は、複数の第2の中継装置がそれぞれ送信する複数の第2の無線信号の受信強度が示す傾向を比較する方法である。すなわち、受信強度の上昇傾向が現時点で最も大きい中継装置500を切り替え先として選択すれば、中継装置500を切り替えた後の無線信号の送受信の品質(速度)が期待できる。
したがって、この2つ目の方法において、管制装置101の切替要否判定部515は、第2の中継装置として複数の候補が存在する場合、当該複数の候補のうち第2の無線信号の受信強度の上昇傾向が最も大きい1つの候補を、切り替え先の1つの中継装置500として選択する。そして、切替要否判定部515は、選択した1つの中継装置500を対象として上記の所定の条件の成否を判断し、指示出力部516は、切替要否判定部515の判断結果に応じて、中継切替指示(および必要に応じて車両状態変更指示)を出力する。そして、車両制御装置410は、管制装置101の指示出力部516からの指示に応じて、中継切替部529による中継装置500の切り替え(および必要に応じて走行制御部527による走行状態の変更)を実行する。
たとえば、図7に示される例において、中継装置702からの無線信号の受信強度の上昇傾向が、中継装置703からの無線信号の受信強度の上昇傾向よりも大きい場合は、中継装置701から中継装置702への切り替えが実行され、逆の場合は中継装置701から中継装置703への切り替えが実行される。
このように、実施形態において、車両制御装置410の中継切替部529は、次に無線通信を確立する対象として複数の候補が存在する場合、当該複数の候補のうち無線信号の受信強度の上昇傾向が最も大きい1つの候補を対象とした上記の所定の条件の成否に応じて、無線通信を確立する対象の切り替えを実行しうる。
次に、図8〜図11を参照して、実施形態にかかる自動バレー駐車システムで実行される処理について説明する。
図8は、実施形態にかかる管制装置101および車両制御装置410が自動駐車の際に実行する処理の流れを示した例示的かつ模式的なシーケンス図である。この図8に示される処理シーケンスは、乗員Xが降車領域P1で端末装置Tを操作することで、自動駐車のトリガとなる所定の指示を行った場合に開始する。
図8に示される処理シーケンスでは、まず、S801において、管制装置101の通信制御部511と、車両制御装置410の通信制御部521とが、複数の中継装置500のうちの1つを介して通信を確立する。このS801において通信が確立すると、識別情報(ID)の送受信による認証や、管制装置101の監視下での自動運転を実現するための運行権限の譲受などが実行される。
また、S801で通信が確立すると、管制装置101は、S802において、駐車場Pの地図データを車両制御装置410に通信制御部511を介して送信する。
そして、管制装置101の駐車場データ管理部513は、S803において、センサデータ取得部512により取得される情報などに基づいて、駐車領域Rの空きを確認し、空いている1つの駐車領域Rを、車両Vに与える目標駐車領域として指定する。
そして、管制装置101の誘導経路生成部514は、S804において、自動駐車の際に車両Vが辿るべき、降車領域P1から、S803で指定した目標駐車領域へと至る誘導経路を生成する。
そして、管制装置101は、S805において、S804で生成された誘導経路を車両制御装置410に通信制御部511を介して送信する。
一方、車両制御装置410の位置推定部525は、S802で管制装置101から送信された地図データが通信制御部521を介して受信された後のS806において、降車領域P1内における初期位置を推定する。初期位置とは、降車領域P1からの発進の起点となる、降車領域P1内における車両Vの現在位置(実位置)である。初期位置の推定には、上述した自動運転中における実位置の推定と同様に、車載カメラ408によって得られる画像データに基づく画像認識処理の結果が利用されうる。なお、図8に示される例では、S806の処理がS805の処理の前に実行されているが、S806の処理は、S805の処理の後に実行されてもよい。
S806で初期位置が推定され、かつ、S805で管制装置101から送信された誘導経路が通信制御部521を介して受信されると、車両制御装置410の走行制御部527は、S807において、S806で推定された初期位置などに基づいて、実際の自動駐車の際に辿るべき、誘導経路に基づいた実際の走行経路を生成する。
そして、車両制御装置410の走行制御部527は、S808において、降車領域P1からの発進制御を実行する。
そして、車両制御装置410の走行制御部527は、S809において、S807で生成された走行経路に沿った走行制御を実行する。このS809の処理は、標示データ取得部523により取得された標示データを利用した前述のような実位置の推定を伴って実行される。
そして、車両制御装置410の走行制御部527は、S810において、目標駐車領域への駐車制御を実行する。
そして、S810における駐車制御が完了すると、車両制御装置410は、S811において、駐車完了の通知を管制装置101に通信制御部521を介して送信する。
以上のようにして、自動バレー駐車における自動駐車が実現される。
なお、実施形態では、S808〜S810の処理の際に、車両制御装置410と管制装置101との間の通信の中継に使用される中継装置500の切り替えが実行されうるが、この切り替えの際に実行される処理の流れの詳細については、後述するため、ここではこれ以上の説明を省略する。
図9は、実施形態にかかる管制装置101および車両制御装置410が自動出庫の際に実行する処理の流れを示した例示的かつ模式的なシーケンス図である。この図9に示される処理シーケンスは、乗員Xが乗車領域P2で端末装置Tを操作することで、自動出庫のトリガとなる所定の呼び出しを行った場合に開始する。
図9に示される処理シーケンスでは、まず、S901において、管制装置101の通信制御部511と、車両制御装置410の通信制御部521とが、複数の中継装置500のうちの1つを介して通信を確立する。このS901において通信が確立すると、図8に示されるS801において通信が確立した場合と同様に、識別情報(ID)の送受信による認証や、管制装置101の監視下での自動運転を実現するための運行権限の譲受などが実行される。
また、S901で通信が確立すると、管制装置101は、S902において、駐車場Pの地図データを車両制御装置410に通信制御部511を介して送信する。
そして、管制装置101の駐車場データ管理部513は、S903において、センサデータ取得部512により取得される情報などに基づいて、通信相手の車両制御装置410を搭載した車両Vが現在位置している駐車領域Rを確認する。
そして、管制装置101の誘導経路生成部514は、S904において、自動出庫の際に車両Vが辿るべき、S903で確認された駐車領域Rから、乗車領域P2へと至る誘導経路を生成する。
そして、管制装置101は、S905において、S904で生成された誘導経路を車両制御装置410に通信制御部511を介して送信する。
一方、車両制御装置410の位置推定部525は、S902で管制装置101から送信された地図データが通信制御部521を介して受信された後のS906において、車両Vが現在止まっている駐車領域R内における出庫位置を推定する。出庫位置とは、駐車領域Rからの出庫の起点となる、駐車領域R内における車両Vの現在位置(実位置)である。出庫位置の推定には、上述した自動運転中における実位置の推定と同様に、車載カメラ408によって得られる画像データに基づく画像認識処理の結果が利用されうる。なお、図9に示される例では、S906の処理がS905の処理の前に実行されているが、S906の処理は、S905の処理の後に実行されてもよい。
S906で出庫位置が推定され、かつ、S905で管制装置101から送信された誘導経路が通信制御部521を介して受信されると、車両制御装置410の走行制御部527は、S907において、S906で推定された出庫位置などに基づいて、実際の自動出庫の際に辿るべき、誘導経路に基づいた実際の走行経路を生成する。
そして、車両制御装置410の走行制御部527は、S908において、駐車領域Rからの出庫制御を実行する。
そして、車両制御装置410の走行制御部527は、S909において、S907で生成された走行経路に沿った走行制御を実行する。この走行制御も、図8に示されるS809における走行制御と同様に、標示データ取得部523により取得された標示データを利用した前述のような実位置の推定を伴って実行される。
そして、車両制御装置410の走行制御部527は、S910において、乗車領域P2への停車制御を実行する。
そして、S910における停車制御が完了すると、車両制御装置410は、S911において、出庫完了の通知を管制装置101に通信制御部521を介して送信する。
以上のようにして、自動バレー駐車における自動出庫が実現される。
なお、実施形態では、図8に示されるS808〜S810の処理と同様、S908〜S910の処理の際に、車両制御装置410と管制装置101との間の通信の中継に使用される中継装置500の切り替えが実行されうるが、この切り替えの際に実行される処理の流れの詳細については、後述するため、ここではこれ以上の説明を省略する。
図10は、実施形態にかかる管制装置101および車両制御装置410が中継装置500の切り替えのために実行する処理の流れを示した例示的かつ模式的なシーケンス図である。この図10に示される処理シーケンスは、図8に示されるS808〜S810や、図9に示されるS908〜S910などにおいて車両Vの自動運転が実行されている間に繰り返し実行される。
図11に示される処理シーケンスでは、まず、S1001において、車両制御装置410の信号強度取得部528は、通信制御部521を介して受信される無線信号の信号強度としての受信強度に関する情報を取得する。ここで言及している無線信号は、現在無線通信を確立している対象の第1の中継装置からの第1の無線信号と、次に無線信号を確立する対象の第2の中継装置からの第2の無線信号と、の両方を含みうる。
そして、S1002において、車両制御装置410の信号強度取得部528は、S1001で取得された受信強度に関する情報を、通信制御部521を介して管制装置101に送信する。このとき、車両制御装置410は、受信強度に関する情報の他、位置推定部525により取得された車両Vの現在位置に関する情報や、経路取得部526により取得された車両Vの走行経路に関する情報なども、通信制御部521を介して管制装置101に送信する。
そして、S1003において、管制装置101の切替要否判定部515は、S1002で車両制御装置410から管制装置101に送信された情報に基づいて、管制装置101と車両制御装置410との間の通信に利用される1つの中継装置500の切り替えの要否を判断する。この判断には、前述した所定の条件などが利用される。
そして、S1003において中継装置500の切り替えが必要と判断された場合、S1004において、管制装置101の指示出力部516は、中継装置500の切り替えを車両制御装置410に実行させるための中継切替指示を、通信制御部511を介して車両制御装置410に送信する。このとき、必要に応じて、走行状態の変更を車両制御装置410に実行させるための走行状態変更指示も、管制装置101から車両制御装置410に送信される。
そして、S1005において、車両制御装置410は、S1004で管制装置101から車両制御装置410に送信された指示に応じた制御を実行する。たとえば、S1004で中継切替指示が送信された場合、車両制御装置410の中継切替部529は、中継装置500の切り替えを実行する。また、S1004で中継切替指示に加えて走行状態変更指示が送信された場合、車両制御装置410の中継切替部529が中継装置500の切り替えを実行するとともに、車両制御装置410の走行制御部527が走行状態の変更を実行する。
なお、S1003において中継装置500の切り替えが不要と判断された場合は、S1004およびS1005の処理は実行されない。以下、S1003以降において管制装置101が実行する処理について詳細に説明する。
図11は、実施形態にかかる管制装置101が中継装置500の切り替えの要否を判定するために実行する処理を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。
図11に示される処理フローでは、まず、S1101において、管制装置101の切替要否判定部515は、車両制御装置410により送信された受信強度に関する情報を、通信制御部511を介して取得する。このとき、切替要否判定部515は、前述したように、受信強度に関する情報の他、車両Vの現在位置に関する情報や、車両Vの走行経路に関する情報なども、通信制御部511を介して取得する。
そして、S1102において、管制装置101の切替要否判定部515は、S1101で取得された情報に基づいて、車両Vが無線通信を確立する対象の切り替え先となる中継装置500の候補が複数存在するか否かを判断する。すなわち、切替要否判定部515は、S1101で取得された受信強度に関する情報に基づいて、車両制御装置410が、現在無線通信を確立している対象としての第1の中継装置から送信される第1の無線信号の他に、次に無線通信を確立する対象の候補としての2つ以上の第2の中継装置からそれぞれ送信される2つ以上の第2の無線信号を受信しているか否かを判断する。
S1102において、切り替え先の候補が複数存在すると判断された場合、S1103に処理が進む。そして、S1103において、切替要否判定部515は、前述したような車両Vの走行経路を考慮する方法および受信強度の上昇傾向を比較する方法のうちいずれかの方法に基づいて、複数の候補から1つの候補を選択する。そして、S1104に処理が進む。
なお、S1102において、切り替え先の候補が複数存在しないと判断された場合、選択の余地は無いので、S1103の処理は実行されず、そのままS1104に処理が進む。
S1104において、管制装置101の切替要否判定部515は、S1101で取得された情報に基づいて、車両Vにとって中継装置500の切り替えが必要か否かを判断する。この判断は、第1の無線信号の受信強度と第2の無線信号の受信強度とに基づく前述した所定の条件の成否に基づいて実行される。
S1104において、中継装置500の切り替えが不要と判断された場合、すなわち前述した所定の条件が成立しないと判断された場合、そのまま処理が終了する。しかしながら、S1104において、中継装置500の切り替えが必要と判断された場合、すなわち前述した所定の条件が成立すると判断された場合、S1105に処理が進む。
S1105において、管制装置101の切替要否判定部515は、S1101で取得された情報に基づいて、車両Vの走行状態の変更が必要か否かを判断する。たとえば、切替要否判定部515は、車両Vが管制装置101の管制下から外れるのが望ましくないとして予め設定された場所で中継装置500の切り替えが実行されるのを回避するために、車両Vの走行状態の変更の要否を判断する。
S1105において、走行状態の変更が不要だと判断された場合、S1106に処理が進む。そして、S1106において、管制装置101の指示出力部516は、車両制御装置410の中継切替部529に中継装置500の切り替えを実行させるための中継切替指示を、通信制御部511を介して車両制御装置410に送信する。
そして、S1107において、管制装置101の指示出力部516は、車両制御装置410の中継切替部529による中継装置500の切り替えが完了したか否かを判断する。たとえば、中継装置500の切り替えが完了した場合にその旨の通知が車両制御装置410から管制装置101に送信されるものとすると、S1107において、管制装置101の指示出力部516は、車両制御装置410からの通知が通信制御部511を介して受信されたか否かに応じて、中継装置500の切り替えが完了したか否かを判断する。
なお、S1107の処理は、中継装置500の切り替えが完了したと判断されるまで繰り返し実行される。そして、S1107において、中継装置500の切り替えが完了したと判断された場合、処理が終了する。
一方、S1105において、走行状態の変更が必要だと判断された場合、S1108に処理が進む。そして、S1108において、管制装置101の指示出力部516は、車両制御装置410の走行制御部527に走行状態の変更を実行させるための走行状態変更指示を、通信制御部511を介して車両制御装置410に送信する。
そして、S1109において、管制装置101の指示出力部516は、中継切替指示を車両制御装置410に送信し、S1110において、管制装置101の指示出力部516は、中継装置500の切り替えが完了したか否かを判断する。なお、S1109およびS1110の処理は、それぞれ、S1106およびS1107の処理と同様であるため、ここではこれ以上の説明を省略する。
S1110において、中継装置500の切り替えが完了したと判断された場合、S1111に処理が進む。そして、S1111において、管制装置101の指示出力部516は、S1108の走行状態変更指示に応じて変更された走行状態を元の状態に復帰させるための走行状態復帰指示を、通信制御部511を介して車両制御装置410に送信する。そして、処理が終了する。
以上説明したように、実施形態にかかる車両通信制御装置としての車両制御装置410は、車両に搭載されており、通信制御部521および中継切替部529を備えている。通信制御部521は、車両Vが走行する所定の領域としての駐車場P内に設置される複数の中継装置500のうちの少なくとも1つとの間で無線信号を送受信することで1つの中継装置500と無線通信を確立し、当該1つの中継装置500を介して外部装置としての管制装置101と通信を行う。中継切替部529は、複数の中継装置500のうちの第1の中継装置との無線通信が確立した状態で車両Vが走行している状況において、第1の中継装置とは異なる第2の中継装置との間での無線信号の送受信が可能になった場合、第1の中継装置との間で送受信される無線信号としての第1の無線信号の受信強度と、第2の中継装置との間で送受信される無線信号としての第2の無線信号の受信強度と、に基づく所定の条件の成否に応じて、無線通信を確立する対象としての1つの中継装置500を、第1の中継装置から第2の中継装置に切り替える。
実施形態にかかる車両制御装置410によれば、現在無線通信を確立している対象としての第1の中継装置からの第1の無線信号の受信強度と、次に無線通信を確立する対象の候補としての第2の中継装置からの第2の無線信号の受信強度と、の両方を考慮して、中継装置500の切り替えを適切に実行することができる。
実施形態にかかる車両制御装置410において、上記の所定の条件は、第1の無線信号の受信強度が低下傾向を示しており、かつ、第2の無線信号の受信強度が上昇傾向を示していることを含む。このような条件によれば、第1の中継装置と引き続き無線通信を確立し続けるよりは、第2の中継装置と新たに無線通信を確立した方が、今後車両の走行が進んだときに無線通信が途切れないことが見込まれる場合に、中継装置500の切り替えを適切に実行することができる。
なお、実施形態にかかる車両制御装置410において、上記の所定の条件は、第1の無線信号の受信強度と第2の無線信号の受信強度との差の予測値が所定時間後に所定以下の大きさになることをさらに含みうる。このような条件によれば、現段階で第1の中継装置の中継能力が第2の中継装置の中継能力よりも高かったとしても、それらの差が所定時間後に所定以下に縮まり、それ以降は第1の中継装置の中継能力よりも第2の中継装置の中継能力の方が高くなっていくことが見込まれる場合に、中継装置500の切り替えを適切に実行することができる。
また、実施形態にかかる車両制御装置410において、中継切替部529は、第2の中継装置として複数の候補が存在する場合、車両Vの走行経路に関する情報に基づいて選択された1つの候補を対象とした上記の所定の条件の成否に応じて、無線通信を確立する対象としての1つの中継装置500を、第1の中継装置から、選択された1つの候補に切り替えうる。このような構成によれば、中継装置500の切り替え先の候補が複数存在する場合に、車両Vの走行経路を考慮して、中継装置500の切り替えを適切に実行することができる。
なお、実施形態にかかる車両制御装置410において、中継切替部529は、第2の中継装置として複数の候補が存在する場合、上記の走行経路を利用した方法とは異なる方法で、候補を1つに絞ることも可能である。すなわち、中継切替部529は、第2の中継装置として複数の候補が存在する場合、当該複数の候補のうち第2の無線信号の受信強度の上昇傾向が最も大きいものとして選択された1つの候補を対象とした所定の条件の成否に応じて、無線通信を確立する対象としての1つの中継装置500を、第1の中継装置から、選択された1つの候補に切り替えうる。このような構成によっても、中継装置500の切り替え先の候補が複数存在する場合に、それら複数の候補のそれぞれに対応した第2の無線信号の受信強度の上昇傾向を考慮して、中継装置500の切り替えを適切に実行することができる。
また、実施形態にかかる車両制御装置410は、無線通信を確立する対象としての1つの中継装置500を中継切替部529が切り替える以前に、車両Vの位置に応じて、車両Vの走行状態を変更する走行制御部527をさらに備えている。このような構成によれば、たとえば中継装置500の切り替えが不適切な場所で実行されるのを回避するなど、中継装置500の切り替えが実際に実行される際における車両Vの位置を制御することができる。
また、実施形態にかかる車両制御装置410において、走行制御部527は、駐車場P内における車両Vの自動運転を実行する。また、通信制御部521は、駐車場P内における車両Vの自動運転の管制を行うとともに上記の所定の条件の成否の判断を実行する管制装置101と、1つの中継装置500を介して通信を行う。また、中継切替部529は、管制装置101による判断の結果に応じて、無線通信を確立する対象としての1つの中継装置100を切り替える。このように構成すれば、管制装置101を利用して中継装置500の切り替えの要否を容易に判断し、判断結果に応じて中継装置500の切り替えを容易に実行することができる。
なお、実施形態にかかる車両制御装置410において、走行制御部527は、駐車場P内の降車領域P1に停車した車両Vが所定の指示に応じて降車領域P1から駐車領域Rへと自動で移動して駐車する自動駐車と、駐車領域Rに停車した車両Vが所定の呼び出しに応じて出庫して駐車領域Rから乗車領域P2へと自動で移動して停車する自動出庫と、を含む自動バレー駐車を自動運転として実行する。このような構成によれば、自動バレー駐車の実行時に必要となりうる中継装置500の切り替えを適切に実行することができる。
<変形例>
なお、上述した実施形態では、本開示の技術が自動バレー駐車システムに適用される場合が例示されている。しかしながら、本開示の技術は、車両通信制御装置と管制装置と中継装置とを備えた一般的な車両通信制御システムであれば、自動バレー駐車システム以外のシステムにも適用可能である。
また、上述した実施形態では、走行制御機能を有する車両制御装置410が中継装置500の切替機能も有している構成が例示されている。しかしながら、変形例として、中継装置500の切替機能を有する車両通信制御装置が、走行制御機能を有する車両制御装置410とは物理的または論理的に別個に設けられてもよい。
また、上述した実施形態では、中継装置500の切り替えの要否の判断を管制装置101側で実行する構成が例示されている。しかしながら、変形例として、中継装置500の切り替えの要否の判断を車両制御装置410側で実行する構成も考えられる。この場合、地図データを車両制御装置410に予め持たせておけば、走行状態の変更の要否の判断も車両制御装置410側で実行することができる。
以上、本発明の実施形態および変形例を説明したが、上述した実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態および変形例は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述した実施形態および変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。