JP2020034478A - 時計用部品および時計 - Google Patents

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Takeo Funekawa
剛夫 舟川
澁谷 宗裕
Munehiro Shibuya
宗裕 澁谷
矢野 邦彦
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栄一 永坂
Eiichi Nagasaka
栄一 永坂
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Abstract

【課題】所望の色が調整された時計用部品を提供すること。【解決手段】時計用部品100は、シリコンを主成分とする基体2と、下地層4と、光反射層10と、をこの順に備え、下地層4は、少なくとも、基体2の表面に設けられた第1のニッケル層41を有し、光反射層10は、下地層4の側から、酸化ニオブ層11と、酸化ケイ素層12とが交互に積層された多層構造を有するか、または下地層4の側から、酸化ケイ素層12と、酸化ニオブ層11とが交互に積層された多層構造を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、時計用部品および時計に関する。
時計および時計用外装部品には、美的外観が要求される。この目的を達成するために、時計外装部品等の表面に、光学膜として金属酸化物被膜を形成する方法が知られている。
例えば、特許文献1には、アルミニウム(Al)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、銅(Cu)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、アンチモン(Sb)、シリコン(Si)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、タングステン(W)、および亜鉛(Zn)の中から選ばれる少なくとも2つの金属の酸化物を主成分とする無機顔料からなる金属酸化物被膜が開示されている。また、特許文献1には、前記金属酸化物被膜が、L*a*b*表色系(CIE表色系)による色評価が30<L*<100、−60<a*<25、−25<b*<60の範囲の色度であり緑色系の色を呈し、高周波スパッタリング法によって形成されていることが開示されている。
特開2007−254851号公報
特許文献1には、2種以上の金属を含む複合酸化物からなるターゲットを用いて緑色系の色を呈する金属酸化物被膜を形成する方法が記載されているが、緑色系以外の色を呈する金属酸化物被膜の形成方法については何ら記載されていない。その上、特許文献1に記載の方法で緑色系の色を呈する金属酸化物被膜を得るためには、組成が厳密に調整されたターゲットを準備する必要がある。
したがって、特許文献1に記載の方法では、様々な色の調整を行うことは困難であり、ユーザーの多様化する色の要求に応えることは難しい。
本発明の時計用部品は、シリコンを主成分とする基体と、下地層と、光反射層と、をこの順に備え、前記下地層は、少なくとも、前記基体の表面に設けられた第1のニッケル層を有し、前記光反射層は、前記下地層の側から、酸化ニオブ層と、酸化ケイ素層とが交互に積層された多層構造を有するか、または前記下地層の側から、酸化ケイ素層と、酸化ニオブ層とが交互に積層された多層構造を有することを特徴とする。
本発明の時計用部品において、前記第1のニッケル層の層厚は5nm以上1000nm以下であることが好ましい。
本発明の時計用部品において、前記光反射層の層数は4以上であることが好ましい。
本発明の時計用部品において、前記光反射層の総層厚は、200nm以上2000nm以下であることが好ましい。
本発明の時計用部品において、前記光反射層において、酸化ケイ素層の1層あたりの層厚に対する酸化ニオブ層の1層あたりの層厚の比は、0.2以上5以下であることが好ましい。
本発明の時計用部品において、前記光反射層の最表層は、酸化ケイ素層であることが好ましい。
本発明の時計用部品において、前記下地層は、前記第1のニッケル層と、前記光反射層に接する第2のニッケル層とを有することが好ましい。
本発明の時計用部品において、前記下地層は、前記第1のニッケル層および前記第2のニッケル層の間に、さらに、酸化ケイ素層、酸化ニオブ層、酸化チタン層、酸化タンタル層、および酸化亜鉛層からなる群から選択される1種の層を有することが好ましい。
本発明の時計用部品において、前記第2のニッケル層の層厚は5nm以上1000nm以下であることが好ましい。
本発明の時計は、前記時計用部品を備えることを特徴とする。
本発明の第1実施形態に係る時計用部品の部分断面図。 Si基板およびSiO層からなる積層体、並びにSi基板およびNi層からなる積層体における波長と反射率との関係を示すグラフ。 Si基板およびNi層からなる積層体における波長および反射率の関係を示すグラフ。 Si基板およびNi層からなる積層体における波長および反射率の関係を示すグラフ。 本発明の第2実施形態に係る時計用部品の部分断面図。 本発明の第3実施形態に係る時計用部品の部分断面図。 本発明の一実施形態に係る機械式時計を文字板側から見た平面図。 本発明の一実施形態に係る機械式時計を裏蓋側から見た平面図。 本発明の一実施形態に係る時計用部品の製造に用いる蒸着装置の一例を模式的に示す図。 図9の蒸着装置を用いて作製した実施例1−1の時計用部品の測定サンプルの部分断面図。 実施例1−1における波長と反射率との関係を示すグラフ。 実施例1−2における波長と反射率との関係を示すグラフ。 実施例1−3における波長と反射率との関係を示すグラフ。 実施例1−4における波長と反射率との関係を示すグラフ。 実施例1−5における波長と反射率との関係を示すグラフ。 実施例1−6における波長と反射率との関係を示すグラフ。 実施例2−1における波長と反射率との関係を示すグラフ。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<時計用部品>
本実施形態に係る時計用部品は、シリコンを主成分とする基体を備える部品である。すなわち、本実施形態でいう時計用部品とは、シリコン製の時計用部品を意味する。
以下では、本実施形態に係る時計用部品を、「シリコン製の時計用部品」、「Si製の時計用部品」または、単に「時計用部品」と称して説明する。
本実施形態に係るSi製の時計用部品とは、時計用外装部品のほか、時計用内装部品、および時計の構成部品を固定するためのねじを含む概念である。
Si製の時計用外装部品としては、例えば、時針、分針、パワーリザーブ針、および秒針等の時計用針等が挙げられる。
Si製の時計用内装部品としては、例えば、ガンギ車、アンクル、香箱車、および番車等が挙げられる。
本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、シリコンをSi、ニッケルをNi、酸化ニオブをNb、および酸化ケイ素をSiOと称することがある。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態のSi製の時計用部品100の部分断面図である。
図1に示すSi製の時計用部品100は、シリコンを主成分とする基体2と、下地層4と、光反射層10と、をこの順に備える。
下地層4は、少なくとも、基体2の表面に設けられた第1のNi層41を有する。図1の場合、下地層4は第1のNi層41のみで構成される。
光反射層10は、下地層4の側から、高屈折率層であるNb層11と、前記高屈折率層よりも低屈折率層であるSiO層12とが交互に積層された多層構造を有する。なお、屈折率とは、波長550nmに対する屈折率の値をいう。
多層構造、すなわち光反射層10の層数は、n個である。nは2以上の整数であり、偶数であっても奇数であってもよい。図1の場合、光反射層10は、少なくとも、6層示されているが、これに限定されない。
また、図1において、下地層4の層厚はdで表され、光反射層10の総層厚はd10で表される。また、下地層4の側から数えたときの、光反射層10の一層目のNb層11の層厚はd11で表され、二層目のSiO層12の層厚はd12で表される。
図1中、下地層4の側から数えたときの、光反射層10の一層目、三層目・・の奇数の層に相当するNb層11の層厚は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。同様に、 二層目、四層目・・の偶数の層に相当するSiO層12の層厚は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。Nb層11の層厚およびSiO層12の層厚は、同一であっても異なっていてもよい。
ここで、第1のNi層41が基体2の表面に設けられていることの意義について図2〜4を参照して説明する。
図2は、Si基板および層厚2.2μmのSiO層からなる積層体、 並びにSi基板および層厚40nmのNi層からなる積層体における波長と反射率との関係を示すグラフである。
図3は、Si基板および層厚80nmのNi層からなる積層体における波長と反射率との関係を示すグラフである。
図4は、Si基板および層厚100nmのNi層からなる積層体における波長と反射率との関係を示すグラフである。なお、図2〜4において、Si基板は、全て同じサイズ(30mm×80mm×0.7mm(プレパラートサイズ))である。図2〜4中、Rは、入射角度を表す。
図2に示すように、Si基板および層厚40nmのNi層からなる積層体の反射率は、Si基板および層厚2.2μmのSiO層からなる積層体の反射率に比べ、干渉に由来するうねりが大きく低減されていることがわかる。
さらに、図2〜4に示すように、Si基板およびNi層からなる積層体の反射率は、Ni層の層厚が40nm、80nm、および100nmと厚くなるにつれて、干渉に由来するうねりが低減されていることがわかる。
したがって、基体2の表面に第1のNi層41を設けることにより、基体2の干渉特性を弱めることができる。すなわち、基体2の表面に設けられた第1のNi層41によって、基体2の色味、すなわちシリコン由来の色味を効果的に抑えることができる。
本実施形態によれば、この第1のNi層41によって、基体2の色味を抑えた上で、下地層4の上に多層構造の光反射層10を形成するので、光反射層10の層数および各層の膜厚等を調整することによって、所望の色が調整された時計用部品100が得られる。
さらに、下地層4の上に、高屈折率層の中からNb層11を選択し、かつ低屈折率層の中からSiO層12を選択して、これらを交互に積層させることにより、反射率を向上させることができる。これにより、宝飾性に優れた時計用部品100が得られやすくなる。
なお、下地層4は、少なくとも、基体2の表面に第1のNi層41を有することが好ましいが、所望の色を呈する時計用部品100を得る観点から、Niに代えて、Cr、Ti、およびNbからなる群から選ばれる1種を用いてもよい。すなわち、第1のNi層41に代えて、第1のCr層、第1のTi層、または第1のNb層を設けてもよい。
この態様においても、所望の色が調整された時計用部品100が得られる。
その理由は、以下のように推測される。
例えば、AlまたはAgを下地層として用いると、AlおよびAgは反射率がどちらも90%以上と高いため、その上に形成する光反射層での色調整が困難となる。ここでいう色調整とは、不要な波長の強度を減衰させ、必要な波長の強度は減衰させないことをいう。一方、Cr、Ti、およびNbは、Niと同様に、いずれも反射率が30%〜60%と適度であるため、Niに代えて、Cr、Ti、またはNbを用いても、シリコン由来の色味を効果的に抑える効果が発現されると考えられる。
また、第1のNi層41は、他の層を介して基体2の上に設けられていてもよい。
本明細書において、時計用部品100が青色を呈するとは、波長領域400nm以上550nm以下における強度の最大値が、400nm未満および550nm超え以外の波長領域の強度より大きいことを意味する。
時計用部品100が緑色を呈するとは、波長領域400nm以上600nm以下における強度の最大値が、400nm未満および600nm超えの波長領域の強度より大きいことを意味する。
時計用部品100が赤色を呈するとは、波長領域600nm以上800nm以下における強度の最大値が、600nm未満および800nm超えの波長領域の強度より大きいことを意味する。
時計用部品100がピンク色を呈するとは、波長領域350nm以上400nm以下における強度の最大値が、350nm未満および400nm超え(ただし波長領域550nm以上800nm以下を除く)の波長領域の強度より大きく、かつ波長領域550nm以上800nm以下における強度の最大値が、550nm未満および800nm超え(ただし波長領域350nm以上400nm以下を除く)の波長領域の強度より大きいことを意味する。
本明細書において、時計用部品の反射率は、以下のようにして測定する。
まず、基体としてのシリコン基板(30mm×80mm×0.7mm(プレパラートサイズ))を準備し、このシリコン基板の上に、本実施形態の時計用部品と同じ構成の下地層および光反射層を積層して測定サンプルを作製する。
この測定サンプルを用いて、光反射層の側から、入射角度0°のときの反射率を測定し、下記波長領域における反射率の最大値を本実施形態に係る「時計用部品の反射率」とする。なお、時計用部品がピンク色を呈する場合、2つの波長領域で測定された反射率のうち、小さい方の値を「時計用部品の反射率」とする。
・時計用部品が青色を呈する場合:400nm以上550nm以下
・時計用部品が緑色を呈する場合:400nm以上600nm以下
・時計用部品が赤色を呈する場合:600nm以上800nm以下
・時計用部品がピンク色を呈する場合:350nm以上400nm以下および550nm以上800nm以下
測定条件は以下の通りである。
・装置:顕微分光測定機(オリンパス社製、USPM―RU―W)
・測定環境 :25℃
以下、本実施形態に係るSi製の時計用部品100の構成について説明する。
(基体)
基体2はシリコンを主成分とする。
主成分とは、基材全体の質量に占める、シリコンの質量の割合が80質量%以上(好ましくは90質量%以上)であることを意味する。
シリコンの種類は特に限定されず、加工性の観点から適切なものを選択することができる。シリコンとしては、単結晶シリコン、および多結晶シリコンなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
基体2は、下地層4および光反射層10が形成されていない状態の時計用部品100である。
基体2としては、例えば、前述の時計用外装部品、時計用内装部品、および時計の構成部品を固定するためのねじが挙げられる。これらは1つ用いても2つ以上用いてもよい。
本実施形態の時計用部品100は、シリコンを主成分とする基体2を用いるので、金属製の基体を用いた場合に比べ、軽量化が実現される。
(下地層)
下地層4は、少なくとも、基体2の表面に設けられた第1のNi層41を有する。
下地層4の層厚dは、好ましくは5nm以上1000nm以下、より好ましくは5nm以上500nm以下、さらに好ましくは5nm以上300nm以下である。
第一実施形態の場合、下地層4の層厚dは、第1のNi層41の層厚に相当する。
下地層4の層厚dが、5nm以上であると、基体2の色味を抑える効果が発現されやすくなる。また、基体2との密着性が確保されやすくなる。
下地層4の層厚が、1000nm以下であると、反射率の向上効果が得られ易くなる。
(光反射層)
光反射層10は、下地層4の側から、Nb層11と、SiO層12とが交互に積層された多層構造を有する。
光反射層10の層数は2以上の整数である。
光反射層10の層数は、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、さらに好ましくは7以上、さらに好ましくは8以上、さらに好ましくは10以上である。光反射層10の層数の上限値は、製造適性の観点から、好ましくは50層以下である。
光反射層10の層数が2以上であると、反射率の向上効果が得られる。
光反射層10の総層厚は、好ましくは200nm以上2000nm以下、より好ましくは200nm以上1500nm以下、さらに好ましくは200nm以上1000nm以下である。
光反射層10の総層厚が、200nm以上であると、目的とする波長領域における反射スペクトルが得られやすくなる。
光反射層10の総層厚が、2000nm以下であると、目的とする波長領域における反射率を調整しやすくなる。
光反射層10において、SiO層12の1層あたりの層厚d12に対するNb層11の1層あたりの層厚d11の比は、好ましくは0.2以上5以下、より好ましくは0.2以上4以下、さらに好ましくは0.2以上3以下である。
以下では、SiO層12の1層あたりの層厚d12に対するNb層11の1層あたりの層厚d11の比を「d11/d12」と称することがある。
11/d12が0.2以上5以下であると、所望の色が調整しやすくなる。
光反射層10の最表層は、SiO層12であっても、Nb層11であってもよいが、SiO層12であることが好ましい。
SiO層12は化学的にも物理的にも比較的安定であるので、光反射層10の最表層がSiO層12であると、耐環境性に優れた時計用部品100が得られやすくなる。
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態のSi製の時計用部品100Aの部分断面図である。
Si製の時計用部品100Aは、下地層4Aが、第1のNi層41と、さらに、光反射層10に接して設けられた第2のNi層42とを有し、第1のNi層41および第2のNi層42の間に、光干渉層43が設けられている点において、第1実施形態に係る時計用部品と相違する。その他の点においては第1実施形態と同様であるため、説明を省略又は簡略化する。
光干渉層43としては特に限定されないが、反射率を向上させる観点から、酸化ケイ素層、酸化ニオブ層、酸化チタン層、酸化タンタル層、および酸化亜鉛層からなる群から選択される1種の層であることが好ましい。
第2実施形態では、第1のNi層41および第2のNi層42の間に、光干渉層43が設けられるので、反射率が向上し易くなる。さらに、付着力が良好なNi層が基体2および光反射層10にそれぞれ接して設けられるので、基体2、下地層4A、および光反射層10の密着性を高めることができる。
これにより、所望の色がより調整された時計用部品100Aが得られる。さらに、反射率が向上し、宝飾性に優れた時計用部品100Aが得られやすくなる。
下地層4Aが第1のNi層41および第2のNi層42を有する場合、第1のNi層41の層厚d41は、好ましくは5nm以上1000nm以下、より好ましくは5nm以上500nm以下、さらに好ましくは5nm以上300nm以下である。
第1のNi層41の層厚d41が5nm以上であると、基体2の色味を抑える効果が発現されやすくなる。また、基体2との密着性が確保されやすくなる。
第1のNi層41の層厚d41が、1000nm以下であると、反射率の向上効果が得られ易くなる。
第2のNi層42の層厚d42は、好ましくは5nm以上1000nm以下、より好ましくは5nm以上500nm以下、さらに好ましくは5nm以上300nm以下である。
第2のNi層42の層厚d42が5nm以上1000nm以下であると、基体2の色味を抑える効果が発現されやすくなる。また、光反射層10との密着性が確保されやすくなる。
光干渉層43の層厚d43は特に限定されないが、第1のNi層41の層厚d41および第2のNi層42の層厚d42に応じて適宜調整することが好ましい。
第2実施形態の時計用部品100Aにおいて、光反射層の総層厚d10および「d11/d12」は、第1実施形態の項で記載した総層厚d10および「d11/d12」と同様の範囲であることが好ましい。
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態のSi製の時計用部品100Bの部分断面図である。
Si製の時計用部品100Bは、光反射層10Aが、下地層4Aの側から、SiO層12と、Nb層11とが交互に積層された多層構造を有する点で、第2実施形態に係る時計用部品と相違する。図6中、光反射層10Aの総層厚は、d10Aで表される。
その他の点においては第2実施形態と同様であるため、説明を省略又は簡略化する。
第3実施形態によれば、所望の色が調整された時計用部品100Bが得られる。
なお、第3実施形態において、光反射層10Aの最表層は、Nb層11であっても、SiO層12であってもよいが、SiO層12であることが好ましい。
これにより、耐環境性に優れた時計用部品100Bとすることができる。
第3実施形態の時計用部品100Bにおいて、光反射層の総層厚d10Aおよび「d11/d12」は、第1実施形態の項で記載した総層厚d10および「d11/d12」と同様の範囲であることが好ましい。
[他の実施形態]
第1実施形態〜第3実施形態に係るSi製の時計用部品は、光反射層の最表層の上に、さらに機能層を設けてもよい。
例えば、機能層としては、防汚層および帯電防止層等が挙げられる。
第1実施形態〜第3実施形態に係るSi製の時計用部品が、機能層として、光反射層の上にさらに防汚層を有する場合、時計用部品の表面に汚れが付着しにくくなる。これにより、長期にわたって所望の色が調整された時計用部品が得られる。特に防汚層が撥水性の材料を含む場合には、表面に撥水性とともに滑り性も付与される。これにより、例えば、時計用部品が時計用外装部品である場合には、時計用外装部品に外部からの衝撃が加わっても、その衝撃を緩和することができる。その結果、時計用外装部品の耐擦傷性も向上する。
撥水性の材料としては特に限定されないが、フッ素系樹脂またはシリコン系樹脂が好ましく、中でもフッ素原子を含有する有機ケイ素化合物が好ましい。
防汚層の層厚は、特に限定されないが、反射率を低減しにくくする観点から、好ましくは0.001μm以上0.5μm以下、より好ましくは0.001μm以上0.03μm以下である。
なお、第2実施形態及び第3実施形態に係るSi製の時計用部品は、光干渉層43を有さなくてもよい。
以下において、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、および他の実施形態に係るSi製の時計用部品を特に区別しない場合は、総称して「本実施形態の時計用部品」と称することがある。
(時計用部品の特性)
本実施形態のSi製の時計用部品の反射率は、例えば、時計用部品が青色を呈する場合、波長領域400nm以上550nm以下おいて、入射角度0°のときの反射率が65%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。
また、時計用部品がピンク色を呈する場合、350nm以上400nm以下および波長領域550nm以上800nm以下において、入射角度0°のときの反射率が65%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。
なお、時計用部品の反射率は前述の測定方法で測定した値である。
(時計用部品の製造方法)
本実施形態のSi製の時計用部品は、例えば、以下の工程を経て製造することができる。
具体的には、シリコンを主成分とする基体を準備する工程と、シリコンを主成分とする基体の表面に、少なくとも、第1のNi層を有する下地層を形成する工程と、前記下地層の表面に、SiO層と、Nb層とを交互に積層するか、またはNb層と、SiO層とを交互に積層して光反射層を形成する工程と、を実施することで、本実施形態の時計用部品が得られる。
すなわち、上記の時計用部品の製造方法によれば、所望の色が調整された時計用部品が製造される。また、反射率が高く、宝飾性に優れた時計用部品が得られやすい。
・基体を準備する工程
基体を準備する工程は便宜上の工程である。基材は製造したものを用いてもよいし、入手したものを用いてもよい。基材は、下地層および光反射層などを形成する前の状態の時計用部品である。
シリコンを主成分とする基体は、金属製の基体に比べ、加工精度に優れ、かつ軽いものとなる。
・下地層を形成する工程
下地層を形成する工程は、例えば、下地層が、第1のNi層で構成される場合、基体の表面に、第1のNi層を形成する工程である。
下地層を形成する工程は、例えば、下地層が、基体の側から、第1のNi層と、光干渉層と、第2のNi層と、をこの順に有する場合、基体の表面に、第1のNi層と、光干渉層と、第2のNi層と、をこの順に形成する工程である。
下地層を構成する各層の形成方法としては特に限定されないが、例えば、真空蒸着法、物理気相成長法、および化学気相成長法などが挙げられる。
真空蒸着法としては、例えば、電子ビーム蒸着法、誘導加熱蒸着法、および抵抗加熱蒸着法等が挙げられる。なお、光干渉層を形成する場合、上記真空蒸着法に、酸素イオンビームによるアシスト法または酸素プラズマによるアシスト法等を組み合わせた方法を用いてもよい。
物理気相成長法としては、例えば、スパッタリング法、およびイオンプレーティング法等が挙げられる。
化学気相成長法としては、例えば、プラズマ、熱、および光等を利用した化学気相成長法等が挙げられる。
中でも、下地層の形成方法としては、基体の色味を抑える観点から、真空蒸着法が好ましく、電子ビーム蒸着法がより好ましい。
下地層の形成条件は、基体の形状、目的とする層厚に応じて適宜調整することが好ましい。下地層の形成条件の一例は実施例の項に記載する。
・光反射層を形成する工程
光反射層、すなわち、Nb層およびSiO層の形成方法としては、例えば、下地層形成工程の項で記載した方法が挙げられる。
中でも、光反射層の形成方法としては、真空蒸着法が好ましく、真空蒸着法に、酸素イオンによるアシスト法または酸素プラズマによるアシスト法を組み合わせた方法がより好ましく、電子ビーム蒸着法に、酸素イオンによるアシスト法を組み合わせた方法がさらに好ましい。
これにより、光反射層の膜密度が高められると考えられる。その結果、さらに所望の色が調整し易くなると考えられる。
光反射層を形成する工程において、光反射層を構成する複数の層は、製造工程を減らす観点から、互いに同一の方法で形成することが好ましいが、互いに異なる方法で形成してもよい。
光反射層の形成条件は、基体の形状、および目的とする層厚等に応じて適宜調整することが好ましい。光反射層の形成条件の一例は実施例の項に記載する。
[時計]
本実施形態の時計は、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、および他の実施形態に係るSi製の時計用部品の少なくともいずれかを備える。
時計の種類は特に限定されず、例えば、クオーツ時計、機械式時計および電子制御式機械式時計のいずれであってもよい。
中でも、本実施形態の時計は、シースルー構造の機械式時計であることが好ましい。本実施形態の時計が、シースルー構造の機械式時計であって、本実施形態のSi製の時計用部品を時計用内装部品として備える場合、時計内部の機構および動きを鮮明に見ることができる。
以下、本実施形態の時計の一例について具体的に説明する。なお、符号を付していない構成要素は図示していない。時計の構成部品を固定するためのねじ90については、一部のみに符号を付している。
図7は、本発明の一実施形態に係る機械式時計1を文字板側から見た平面図である。図8は、本発明の一実施形態に係る機械式時計1を裏蓋側から見た平面図である。
機械式時計1は、文字板側および裏蓋側から、ムーブメント20の一部を視認できるシースルー構造になっている。
以下、図7、8で示される主要部について説明する。
まず、機械式時計1を文字板側から見た平面図について、図7を参照して説明する。
機械式時計1は、円筒状の外装ケース5を備え、外装ケース5の内周側に、円盤状の文字板3が配置されている。文字板3には、窓8Aが設けられている。機械式時計1は、この窓8Aを通して、ムーブメント20の一部が視認されるように構成されている。
外装ケース5の二つの開口のうち、表面側の開口は、カバーガラスで塞がれており、裏面側の開口には裏蓋35が取り付けられている。
機械式時計1は、外装ケース5内に収容されたムーブメント20と、時刻情報を表示する時針14A、分針14B、ゼンマイによる持続時間を指示するパワーリザーブ針14C、およびスモールセコンド14Dを備えている。
時針14A、分針14B、パワーリザーブ針14C、およびスモールセコンド14Dは、ムーブメント20の指針軸に取り付けられ、ムーブメント20により駆動される。
外装ケース5の側面には、リューズ7が設けられている。リューズ7が操作されることにより、操作に応じた入力を行うことができる。
ムーブメント20の構成は図7の説明で詳述する。
図7に示す機械式時計1においては、文字板側から、当該文字板3に設けられた窓8Aを通して、ムーブメント20の一部を構成するガンギ車26、アンクル28、てん輪27、およびヒゲゼンマイ29などを視認することができる。
次に、機械式時計1を裏蓋側から見た平面図について、図8を参照して説明する。
裏蓋35は、外周部分を形成するリング状の枠材36と、当該枠材36にはめ込まれた透明部材で形成された窓8Bとで構成される。
ムーブメント20は、輪列30、テンプ受け13、手動巻上機構60、および自動巻上機構50などを備える。
輪列30は、地板の裏蓋側に設けられた、香箱車21、二番車(図示略)、三番車、四番車51、ガンギ車26、アンクル28、およびてん輪27などを備える。ここで、ガンギ車26およびアンクル28は脱進機80を構成し、てん輪27およびヒゲゼンマイ29は調速機70を構成する。
手動巻上機構60は、巻真、きち車、つづみ車、丸穴車61、角穴伝え車62、および角穴車63などを備える。図8では、丸穴車61、角穴伝え車62、および角穴車63が示されている。
自動巻上機構50は、回転錘、ベアリング、偏心車、爪レバー、および伝え車などを備える。図8では、伝え車52が示されている。
図8に示す機械式時計1においては、裏蓋側から、当該裏蓋35に設けられた窓8Bを通して、ムーブメント20の一部を構成する香箱車21、ガンギ車26、アンクル28、てん輪27、丸穴車61、角穴伝え車62、角穴車63、偏心車、および伝え車52などを視認することができる。
機械式時計1は、本実施形態に係るSi製の時計用部品を少なくとも1つ以上備える。
機械式時計1において、文字板側または裏蓋側からムーブメント20の構成部品を視認する態様は上記態様に限定されない。
例えば、窓8A、8Bのデザイン、大きさ、配置位置および窓の数などを適宜変更することにより、ムーブメント20の所望の構成部品を視認できるようにしてもよい。
また、文字板3の全体を透明部材で形成し、文字板側からムーブメント20の全体を視認できるようにしてもよいし、 裏蓋35の全体を透明部材で形成し、裏蓋側からムーブメント20の全体を視認できるようにしてもよい。
[変形例]
本発明は前述の実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその主旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
以下の材料を用いて、時計用部品の測定サンプルを作製した。
・基体 :シリコン基板(30mm×80mm×0.7mm(プレパラートサイズ))
・ニッケル :蒸着源
・酸化ニオブ :蒸着源
・酸化ケイ素:蒸着源
<青色の時計用部品>
〔実施例1−1〕
図9は、本実施形態に係る時計用部品の製造に用いる蒸着装置の一例を模式的に示す図である。図10は、図9の蒸着装置を用いて作製した実施例1−1の時計用部品の測定サンプルの部分断面図である。
まず、図9に示す蒸着装置200について説明する。符号を付していない構成要素は図示を省略している。
(蒸着装置)
蒸着装置200は、電子ビーム蒸着装置であり、真空容器210と、排気装置220と、ガス供給装置230とを備えている。真空容器210は、基体としてのシリコン基板2Aが設置される基体支持台211と、シリコン基板2Aを加熱するための基体加熱用ヒーターと、熱電子を発生するフィラメント217と、を備えている。
また、蒸着装置200は、Ni層を形成するための蒸着源212aを収納する収容部212Aと、Nb層を形成するための蒸着源213aおよびSiO層を形成するための蒸着源213bを収納する収容部213Bとを備えている。具体的には、収容部212Aには、蒸着源212aを入れるるつぼが用意され、収容部213Bには、2つのるつぼが用意されている。具体的には、Nb層を形成するための蒸着源213aを入れるるつぼと、SiO層を形成するための蒸着源213bを入れるるつぼとが用意されている。
この蒸着装置200では、電子銃により、るつぼに収容された蒸着源212a,213a,213bに熱電子214を照射して蒸発させ、シリコン基板2Aに下地層および光反射層を連続的に形成する。
さらに、蒸着装置200は、真空容器210の内部に導入したガスをイオン化して加速し、シリコン基板2Aに照射するためのイオン銃218を備えている。すなわち、蒸着装置200は、イオンビームの形成およびイオンによるアシスト蒸着の実施が可能である。
真空容器210の内部は、排気装置220に含まれるターボ分子ポンプまたはクライオポンプ221と、圧力調整バルブ222とにより、高真空、例えば1×10−4Paに保持することができる。一方、真空容器210の内部は、ガス供給装置230により所定のガス雰囲気とすることもできる。ガス供給装置230は、ガス容器231、流量制御装置232、圧力計235などを含む。ガス容器231には、アルゴン、窒素、および酸素などが用意される。ガスの流量は流量制御装置232により制御でき、真空容器210の内圧は圧力計235により制御できる。
この蒸着装置200における主な蒸着条件は、蒸着材料、電子銃の加速電圧および電流値、並びにイオンアシストの有無である。イオンアシストを利用する場合の条件は、イオンの種類(真空容器210の雰囲気)と、イオン銃218の加速電圧値およびイオン電流値とにより与えられる。以下において、特に記載しない限り、電子銃の加速電圧は5kV以上10kV以下の範囲、電流値は50mA以上500mA以下の範囲の中で、成膜レートなどをもとに選択される。また、イオンアシストを利用する場合は、イオン銃218が電圧値200V以上1kV以下の範囲、電流値が100mA以上500mA以下の範囲で、成膜レートなどをもとに選択される。
また、真空容器210には、残留した水分を除去するためのコールドトラップや、層厚を管理するための装置などをさらに設けることができる。層厚を管理する装置としては、例えば、反射型の光学膜厚計や水晶振動子膜厚計などがある。
基体加熱用ヒーターは、例えば赤外線ランプであり、シリコン基板2Aを加熱することによりガス出しあるいは水分飛ばしを行い、シリコン基板2Aの表面に形成される層の密着性を確保する。
(下地層の形成)
図10に示す実施例1−1の測定サンプルは以下のようにして作製した。
まず、真空容器210の内部を真空排気した後、基体加熱用ヒーターを用いて、シリコン基板2Aを加熱した。
次いで、電子ビーム真空蒸着法により、以下の順で下地層4Bを形成した。各層の層厚は、表1の層厚となるように成膜速度および成膜時間を調整した。
具体的には、電子ビームにより、加速電圧および電流を調整し、るつぼに収容されたNi層を形成するための蒸着源212aに熱電子214を照射して蒸着源212aを蒸発させ、シリコン基板2Aの表面に第1のNi層41を形成した。
次いで、電子ビームにより、加速電圧および電流を調整し、るつぼに収容された光干渉層としてのNb層43を形成するための蒸着源213aに熱電子214を照射して蒸着源213aを蒸発させ、第1のNi層41の表面にNb層43を形成した。
次いで、第1のNi層41の形成と同様にして、Nb層43の表面に第2のNi層42を形成した。
以上のようにして、総層厚d4Bが132.3nmの下地層4Bを形成した。
(光反射層の形成)
電子ビーム真空蒸着法に、酸素イオンによるアシスト法を組み合わせて、下地層4Bの上に、高屈折率層としてのNb層11と、低屈折率層としてのSiO層12とを交互に積層し、合計の層数が10である光反射層10Bを形成した。各層の層厚は、表1の層厚となるように成膜速度および成膜時間を調整した。
Nb層11およびSiO層12の形成は以下のように行った。
(Nb層)
電子ビームにより、加速電圧および電流を調整し、るつぼに収容されたNb層11を形成するための蒸着源213aに熱電子214を照射して蒸着源213aを蒸発させ、Nb層11を形成した。
Nb層11の成膜中、酸素ガスを用いた酸素イオンビームをシリコン基板2Aに向けて照射した。
(SiO層)
電子ビームにより、加速電圧および電流を調整し、るつぼに収容されたSiO層12を形成するための蒸着源213bに熱電子214を照射して蒸着源213bを蒸発させ、SiO層12を形成した。
SiO層12の成膜中、Nb層11の成膜と同様にして、酸素イオンビームをシリコン基板2Aに向けて照射した。
以上のようにして、総層厚d10Bが741nmの光反射層10Bを形成し、実施例1−1の測定サンプル100Cを得た。
また、作製した測定サンプルの断面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、各層の層厚を測定した。その結果、SEMで測定された値と、表1に示す各層の層厚とが一致することを確認した。
実施例1−2〜1−6および実施例2−1の各層の層厚についても同様に、SEMで測定された値と、表1または表2に示す各層の層厚とが一致することを確認した。
〔実施例1−2〜1−6〕
下地層及び光反射層の各層を表1に示す層厚にしたこと以外は実施例1−1と同様にして実施例1−2〜1−6の青色の時計用部品の測定サンプルを作製した。
[青色の時計用部品の評価]
(反射率)
実施例1−1〜1−6の測定サンプルに対して、顕微分光測定機(オリンパス社製、USPM―RU―W)を用いて、既述の方法により、反射率を測定した。
具体的には、波長領域400nm以上550nm以下において、入射角度0°のときの反射率の最大値を求め、その最大値を反射率とした。また、本評価では、入射角度15°、30°、45°、および60°のときの反射率も測定した。
入射角度0°のときの反射率について、下記の基準に基づき判定した。結果を図11〜16および表1に示す。
−基準−
A:入射角度0°のときの反射率が85%以上
B:入射角度0°のときの反射率が75%以上85%未満
C:入射角度0°のときの反射率が65%以上75%未満
D:入射角度0°のときの反射率が65%未満
Figure 2020034478
実施例1−1〜1−6の時計用部品は、波長領域400nm以上550nm以下において、入射角度0°のときの反射率がいずれも高い値を示した。また、入射角度15°、30°、45°、および60°のときの反射率も高い値を示した。
したがって、実施例1−1〜1−6によれば、青色に調整された時計用部品が得られた。また、得られた時計用部品は宝飾性を有していた。
中でも、光反射層が4層以上の実施例1−1〜1−4によれば、入射角度0°のときの反射率が85%以上と高く、より宝飾性に優れた時計用部品が得られた。
<ピンク色の時計用部品>
〔実施例2−1〕
下地層及び光反射層の各層を表2に示す層厚にしたこと以外は実施例1−1と同様にして実施例2−1のピンク色の時計用部品の測定サンプルを作製した。
[ピンク色の時計用部品の評価]
(反射率)
実施例1−1と同様の方法で、実施例2−1の反射率を測定した。
入射角度0°のときの反射率について、下記の基準に基づき判定した。結果を図17および表2に示す。
−基準−
A:波長領域350nm以上400nm以下および波長領域550nm以上800nm以下において、入射角度0°のときの反射率がどちらの波長領域においても85%以上
Figure 2020034478
実施例2−1の時計用部品は、波長領域350nm以上400nm以下および波長領域550nm以上800nm以下において、入射角度0°のときの反射率がどちらも高い値を示した。また、入射角度15°、30°、45°、および60°のときの反射率も高い値を示した。
したがって、実施例2−1によれば、ピンク色に調整された時計用部品が得られた。また、得られた時計用部品は宝飾性を有していた。
1…機械式時計、2…基体、2A…シリコン基板、3…文字板、4,4A,4B…下地層、5…外装ケース、7…リューズ、8A,8B…窓、10,10A,10B…光反射層、11…Nb層、12…SiO層、14A…時針、14B…分針、14C…パワーリザーブ針、14D…スモールセコンド、20…ムーブメント、21…香箱車、26…ガンギ車、27…てん輪、28…アンクル、29…ヒゲゼンマイ、30…輪列、35…裏蓋、36…枠材、41…第1のNi層、42…第2のNi層、43…光干渉層、50…自動巻上機構、51…四番車、52…伝え車、60…手動巻上機構、61…丸穴車、62…角穴伝え車、63…角穴車、70…調速機、80…脱進機、90…時計の構成部品を固定するためのねじ、100,100A,100B…時計用部品、100C…測定サンプル、200…蒸着装置、210…真空容器、211…基体支持台、212a,213a,213b…蒸着源、212A…収容部、213B…収容部、214…熱電子、217…フィラメント、218…イオン銃、220…排気装置、221…クライオポンプ、222…圧力調整バルブ、230…ガス供給装置、231…ガス容器、232…流量制御装置、235…圧力計。

Claims (10)

  1. シリコンを主成分とする基体と、
    下地層と、
    光反射層と、をこの順に備え、
    前記下地層は、少なくとも、前記基体の表面に設けられた第1のニッケル層を有し、
    前記光反射層は、前記下地層の側から、酸化ニオブ層と、酸化ケイ素層とが交互に積層された多層構造を有するか、または前記下地層の側から、酸化ケイ素層と、酸化ニオブ層とが交互に積層された多層構造を有することを特徴とする時計用部品。
  2. 請求項1に記載の時計用部品において、
    前記第1のニッケル層の層厚は5nm以上1000nm以下であることを特徴とする時計用部品。
  3. 請求項1または請求項2に記載の時計用部品において、
    前記光反射層の層数は4以上であることを特徴とする時計用部品。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の時計用部品において、
    前記光反射層の総層厚は、200nm以上2000nm以下であることを特徴とする時計用部品。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の時計用部品において、
    前記光反射層において、酸化ケイ素層の1層あたりの層厚に対する酸化ニオブ層の1層あたりの層厚の比は、0.2以上5以下であることを特徴とする時計用部品。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の時計用部品において、
    前記光反射層の最表層は、酸化ケイ素層であることを特徴とする時計用部品。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の時計用部品において、
    前記下地層は、前記第1のニッケル層と、前記光反射層に接する第2のニッケル層とを有することを特徴とする時計用部品。
  8. 請求項7に記載の時計用部品において、
    前記下地層は、前記第1のニッケル層および前記第2のニッケル層の間に、さらに、酸化ケイ素層、酸化ニオブ層、酸化チタン層、酸化タンタル層、および酸化亜鉛層からなる群から選択される1種の層を有することを特徴とする時計用部品。
  9. 請求項7または請求項8に記載の時計用部品において、
    前記第2のニッケル層の層厚は5nm以上1000nm以下であることを特徴とする時計用部品。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の時計用部品を備えることを特徴とする時計。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP4113217A1 (en) * 2021-06-28 2023-01-04 Seiko Epson Corporation Timepiece parts and timepiece

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