JP2020032330A - ガス分離システム及びガス分離方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】返送ガスの量をできるだけ少なくしてコンプレッサー動力消費エネルギーを少なくし、混合ガスを高精製度で分離することができるガス分離システムを提供する。【解決手段】第1分離膜モジュールと、第1分離膜モジュールの非透過ガスを供給ガスとして第1分離膜モジュールとつながる第2分離膜モジュールと、第1分離膜モジュールの透過ガスを供給ガスとして第1分離膜モジュールとつながる第3分離膜モジュールと、第1分離膜モジュールの供給口とつながる配管途中に備えられたコンプレッサーとを有し、第2分離膜モジュールの透過ガスは、第3分離膜モジュールに供給され、第3分離膜モジュールの非透過ガスは、コンプレッサーによって所定の圧力に昇圧されて第1分離膜モジュールの供給ガスとされ、分離膜の分離係数は、被分離ガスの要求精製度を満足するのに必要な最小分離係数以上である。【選択図】図1
Description
本発明は、混合ガスを分離するためのガス分離システム及び分離方法に関する。
天然ガスやバイオガスには、CO2ガスやCH4ガスなどのガスが含まれている。これらのガスの内、CH4ガス等の炭化水素ガスは、エネルギー源として有用なガスである。例えば、CH4ガスは燃料として有用なガスであり、天然ガスやバイオガス等の多成分を含む混合ガスからCH4ガス等の燃料ガスを高精製度で分離する技術が近年注目されている。
混合ガスを分離する分離膜として、中空糸膜などの有機膜やゼオライト膜などの無機膜が利用されている。これらの分離膜に求められる特性として、高い分離係数を有することが要求される。例えば、CO2ガスとCH4ガスの混合ガスを1つの分離膜モジュールを用いて大量に、かつ高精製度で分離するためには、分離係数が約200以上の分離膜が必要となる。
分離係数が200以上の分離膜を製造するには、現状の生産技術においては、その分離係数の高い値ゆえに歩留まりが悪くなり、製造コストが非常に高くなる。この問題を解決するために、特許文献1に記載の発明では、複数の分離膜モジュールを組み合わせた分離装置によってガス分離を行っている。
特許文献1に記載の発明では、例えばCO2ガスとCH4ガスの混合ガスを分離する場合、図9に示すように、3つの分離膜モジュールと1つのコンプレッサーを備えるシステムであって、分離対象の被分離ガスを第1分離膜モジュールに供給し、第1分離膜モジュールの非透過ガスを第2分離膜モジュールに供給し、第2分離膜モジュールの非透過ガスをCH4ガスとして採取し、第1分離膜モジュールの透過ガスを第3分離膜モジュールに供給し、第3分離膜モジュールの透過ガスをCO2ガスとして採取している。
第2分離膜モジュールの透過ガスと第3分離膜モジュールの非透過ガスは、返送ガスとしてコンプレッサーで昇圧されて第1分離膜モジュールに供給される。この返送ガスの量が多いと、コンプレッサーは被分離ガス以外に返送ガスも加圧しなければならず、大きなコンプレッサーの動力消費となってしまう。コンプレッサー動力を抑えるためにも返送ガスの量が出来るだけ少なくなるようなシステムが好ましい。
本発明の課題は、混合ガスの分離システムであって、混合ガスを高精製度で分離することができ、返送ガスの量をできるだけ少なくしてコンプレッサー動力消費エネルギーを少なくすることができるガス分離システム及びガス分離方法を提供することである。
上記課題を解決すべく、本発明(1)は、第1分離膜モジュールと、第1分離膜モジュールの非透過ガスを供給ガスとして第1分離膜モジュールとつながる第2分離膜モジュールと、第1分離膜モジュールの透過ガスを供給ガスとして第1分離膜モジュールとつながる第3分離膜モジュールと、第1分離膜モジュールの供給口とつながる配管途中に備えられたコンプレッサーとを有し、2以上のガス成分を含む被分離ガスを第1分離膜モジュールに供給して、第3分離膜モジュールの透過ガスと第2分離膜モジュールの非透過ガスとして分離するガス分離システムであって、前記被分離ガスは、ガス圧力が第1分離膜モジュールの駆動圧力に満たない場合は前記コンプレッサーで加圧されて第1分離膜モジュールに供給され、前記第2分離膜モジュールの透過ガスは、前記第3分離膜モジュールに供給され、前記第3分離膜モジュールの非透過ガスは、前記コンプレッサーによって加圧されて前記第1分離膜モジュールの供給ガスとされ、前記第1〜3分離膜モジュールに用いられる分離膜の分離係数は、前記被分離ガスの要求精製度を満足するのに必要な最小分離係数以上であるガス分離システムである。
特許文献1に記載の従来技術と異なる特徴は、特許文献1に記載の発明では、第2分離膜モジュールの透過ガスを直接に第1分離膜モジュールに供給しているが、本発明(1)では、第3分離膜モジュールに供給している点である。このガスの通路のつなぎ方を変えることによって、返送ガスの量を大幅に少なくすることができる。返送ガスの量を少なくすることによって、ガスの昇圧のためのコンプレッサー動力消費を削減でき、省エネルギーのガス分離システムが可能となる。
また、この分離システムの分離膜モジュールに使用される分離膜の分離係数は、被分離ガスの要求精製度を満足するのに必要な最小分離係数以上であればよい。ここで、要求精製度とは、要求される精製の純度のことである。この最小分離係数の求め方は、例えばガス分離のシミュレーションソフトウェアを使って算出する方法がある。シミュレーションソフトウェア(Aspen Tech社製 Aspen Plus)上に本発明(1)のガス分離システムを構築し、各分離膜モジュールに分離係数を設定することで、各分離膜モジュールでの透過ガス、非透過ガスの流量および濃度が算出される。分離膜モジュールに用いられる分離膜の種類は特に限定されるものではない。被分離ガスに対応して適宜選択でき、中空糸膜のような有機膜であってもよい。耐久性・耐熱性・耐化学薬品性の観点から、多孔質セラミックの表面にゼオライト分離膜を形成した無機膜も好ましい。
本発明(2)は、前記最小分離係数が30であることを特徴とする本発明(1)に記載のガス分離システムである。分離係数が30付近から、返送ガスの量が大きく減少するので、分離係数が30以上であると返送ガスの量を大きく減らすことができるので好ましい。
本発明(3)は、真空ポンプが、前記第2分離膜モジュールの透過側と、前記第3分離膜モジュールの供給側との間に備えられている本発明(1)または(2)に記載のガス分離システムである。
例えば、CO2とCH4ガスの混合ガスを分離する場合、第2分離膜モジュールの透過側と、前記第3分離膜モジュールの供給側との間に真空ポンプを備えることは、CH4ガス損失をできる限り僅かに保つために好ましく、真空ポンプを用いて第3分離膜モジュールへの供給ガスの圧力を調節するためにも好ましい。
本発明(4)は、前記第1分離膜モジュール、第2分離膜モジュール及び第3分離膜モジュールに備えられている分離膜がゼオライト膜である本発明(1)〜(3)のいずれかに記載のガス分離システムである。
分離膜モジュールに備えられている分離膜がゼオライト膜であることによって、耐熱性、耐薬品性、耐水性等に優れた分離膜モジュールとすることができるために好ましい。
本発明(5)は、前記ゼオライト膜が8員環細孔を有するゼオライト膜である本発明(4)に記載のガス分離システムである。例えば、CO2ガス分子の分子径は0.33nm、CH4ガス分子の分子径は0.38nmであるため、細孔径が0.33nm以上0.38nm以下の8員環細孔を有するゼオライト構造が適している。
8員環細孔の構造を有するゼオライトには、ABW、AEI、AFX、APC、CHA、DDR、EAB、EPI、ERI、ESV、IHW、LEV、PHI、RHO、RTE、RTH、SIVなどが挙げられる。
本発明(6)は、8員環細孔を有するゼオライト膜がCHA型ゼオライト膜である本発明(5)に記載のガス分離システムである。
CHA型のゼオライト膜の細孔径は0.38nmであるので、例えば、CO2ガス分子はこの細孔を透過できるが、CH4ガス分子は透過できないので、CO2ガスとCH4ガスの混合ガスを分離するのに適している。また、CHA型のゼオライト膜は耐酸性にも優れており、酸性度の高い環境にも耐えられるので好ましい。
3種以上のガスが混合した混合ガスにおいても、適切なゼオライト細孔径を適宜選択することによって、透過するガス群と非透過のガス群に分離し、順次、分離されたガス群に対してさらに、ガス分離システムによってガス成分毎に分離することが可能となる。
本発明(7)は、被分離ガスの要求精製度を満足するための最小分離係数以上の分離係数を有する分離膜を備える第1〜第3分離膜モジュールによって、ガス圧が第1分離膜モジュールの駆動圧力未満の2成分以上のガス成分を含む被分離ガスをガス成分毎に分離するガス分離方法であって、被分離ガスをコンプレッサーで加圧して第1分離膜モジュールに供給するステップ(1)と、第1分離膜モジュールの非透過ガスを第2分離膜モジュールに供給するステップ(2)と、第2分離膜モジュールの非透過ガスを第1のガスとして分離するステップ(3)と、第1分離膜モジュールの透過ガスと第2分離膜モジュールの透過ガスを第3の分離膜モジュールに供給するステップ(4)と、第3分離膜モジュールの透過ガスを第2のガスとして分離するステップ(5)と、第3分離膜モジュールの非透過ガスを前記コンプレッサーで加圧して第1分離膜モジュールに供給するステップ(6)と、を備えるガス分離方法である。
本発明(7)によると、返送ガスの量を少なくすることができる。返送ガスの量を少なくすることによって、ガスの昇圧のためのコンプレッサー動力を削減することができ、省エネルギーのガス分離システムを構築する上で好ましい。また、このガス分離方法で使用される分離膜モジュールの分離膜の分離係数は被分離ガスの要求精製度を満足するための最小分離係数以上であればよいので、低コストの分離膜によって省エネルギーで、かつ高い分離精度のガス分離方法を実現することができる。
本発明(8)は、被分離ガスの要求精製度を満足するための最小分離係数以上の分離係数を有する分離膜を備える第1〜第3分離膜モジュールによって、ガス圧が第1分離膜モジュールの駆動圧力以上の2成分以上のガス成分を含む被分離ガスをガス成分毎に分離するガス分離方法であって、被分離ガスを第1分離膜モジュールに供給するステップ(1)と、第1分離膜モジュールの非透過ガスを第2分離膜モジュールに供給するステップ(2)と、第2分離膜モジュールの非透過ガスを第1のガスとして分離するステップ(3)と、第1分離膜モジュールの透過ガスと第2分離膜モジュールの透過ガスを第3の分離膜モジュールに供給するステップ(4)と、第3分離膜モジュールの透過ガスを第2のガスとして分離するステップ(5)と、第3分離膜モジュールの非透過ガスをコンプレッサーで加圧して第1分離膜モジュールに供給するステップ(6)と、を備えるガス分離方法である。
本発明(8)においては、被分離ガスのガス圧が第1分離膜モジュールの駆動圧力以上であるので、被分離ガスはコンプレッサーで加圧されずに、減圧バルブ等の圧力調整手段によって所定の圧力に調整されて第1分離膜モジュールに供給される。
本発明(8)によると本発明(7)と同様に、返送ガスの量を少なくすることができ、省エネルギーのガス分離システムを構築することができる。また、このガス分離方法で使用される分離膜モジュールの分離膜の分離係数は被分離ガスの要求精製度を満足するための最小分離係数以上であればよいので、低コストの分離膜によって省エネルギーで、かつ高い分離精度のガス分離方法を実現することができる。
本発明は、返送ガスの量をできるだけ少なくしてコンプレッサー動力消費エネルギーを少なくし、混合ガスを高精製度で分離することができるガス分離システム及びガス分離方法を提供することができる。
つぎに、本発明の実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は、本発明のガス分離システムを利用したガス分離装置の実施形態を示すブロック図である。このブロック図において、ガス流路の特定の位置における流量を示すために、特定の位置に[0]、[1]、[2]、[3]、[4]、[5]及び[6]の符号を付している。
位置[0]は、コンプレッサーの入口位置、位置[1]は第1分離膜モジュールの透過ガス(第1透過ガス)の流出位置、位置[2]は第1分離膜モジュールの非透過ガス(第1非透過ガス)の流出位置、位置[3]は第2分離膜モジュールの透過ガス(第2透過ガス)の流出位置、位置[4]は第2分離膜モジュールの非透過ガス(第2非透過ガス)の流出位置、位置[5]は第3分離膜モジュールの透過ガス(第3透過ガス)の流出位置、位置[6]は第3分離膜モジュールの非透過ガス(第3非透過ガス)の流出位置を示す。以下、本明細書においてこの符号が付された個所は同一の位置を示すものとし、「位置[i]」と記載する。
被分離ガスは、コンプレッサーによって第1分離膜モジュールの駆動圧力以上(例えば14.5Bar)まで加圧されて第1分離膜モジュールに入り、分離膜によって第1透過ガスと第1非透過ガスに分離される。例えば、CO2ガスとCH4ガスが50%ずつ混合しているガスの場合は、第1分離膜モジュールでは完全には分離されずに、第1透過ガス(CO2ガス)に第1非透過ガス(CH4ガス)が混入することになる。この混入度は分離膜の分離係数に依存する。
図1に示す実施形態は、被分離ガスがバイオガスのように、第1分離膜モジュールの駆動圧力よりも低い圧力しか有していない場合を想定している。被分離ガスは、図1に示すようにコンプレッサーで加圧されて第1分離膜モジュールに供給される。被分離ガスが天然ガスの場合においては、もともとの天然ガスの圧力が、第1分離膜モジュールが必要とする駆動圧力以上の場合がある。このような場合、被分離ガスは、コンプレッサーで加圧されずに、減圧バルブ等で分離膜モジュールが必要とする駆動圧力に減圧されて第1分離膜モジュールに供給される。
位置[1]のガスは全て第3分離膜モジュールに供給され、位置[1]の圧力は、例えば2.5barとなるように調整されている。位置[2]のガスは、第2分離膜モジュールに供給され、第2分離膜モジュールの位置[4]より非透過ガス(第1のガス)が流出する。位置[3]の透過ガスは、真空ポンプを通って第3分離膜モジュールに供給される。第3分離膜モジュールの透過ガス(第2のガス)は位置[5]より流出し、非透過ガスは位置[6]から位置[0]に返送され、コンプレッサーで昇圧されて再度第1分離膜モジュールに供給される。
実施例1
図1に示すガス分離システムによって、CO2ガスとCH4ガスとの混合ガスを被分離ガスとしたときのガス分離を、分離係数αが10、25、30及び50の場合でシミュレーション試験を行った。被分離ガスの流量は1Nm3/hrとし、CO2ガス濃度を50mol%とし、CH4ガス濃度を50mol%とした。
図1に示すガス分離システムによって、CO2ガスとCH4ガスとの混合ガスを被分離ガスとしたときのガス分離を、分離係数αが10、25、30及び50の場合でシミュレーション試験を行った。被分離ガスの流量は1Nm3/hrとし、CO2ガス濃度を50mol%とし、CH4ガス濃度を50mol%とした。
このときの位置[0]〜位置[6]におけるCO2ガスとCH4ガスの流量(m3/hr)を表1〜4に示す。位置[1]〜位置[6]におけるCO2ガスとCH4ガスの濃度(mol%)を表5〜8に示す。
表1は、分離係数αが10のとき、表2はαが25のとき、表3はαが30のとき、表4はαが50のときの成分毎の流量データを示している。
位置[6]における合計流量は、α=10のときは0.721で、α=25のときは0.609で、α=30のときは0.397で、α=50のときは0.076となり、分離係数αが大きくなるに伴って減少した。
位置[0]における合計流量は、被分離ガスの流量と位置[6]の流量の合計であり、α=10のときは1.721で、α=25のときは1.609で、α=30のときは1.397で、α=50のときは1.076となり、分離係数αが大きくなるに伴って減少した。
この傾向は、位置[1]、[2]及び[3]における合計流量についても同様の結果となった。
分離係数αが10の場合の各位置における流量を図2に、αが25の場合を図3に、αが30の場合を図4に、αが50の場合を図5に示す。この4つの図を比較すると、[0]〜[3]及び[6]の各位置におけるガスの流量は、分離係数αが大きくなればなるほど少なくなることが明確に示されている。
表5は、分離係数αが10のとき、表6はαが25のとき、表7はαが30のとき、表8はαが50のときの成分毎の濃度データを示している。
位置[3]の第2透過ガスのCO2濃度(mol%)を見ると、分離係数α=10のときは49.2で、α=25のときは75.9で、α=30のときは68.8で、α=50のときは81.9となり、分離係数αが大きくなるに伴って、第2透過ガスのCO2濃度は増加傾向にあるが、分離係数αが25と30との比較では分離係数αが30のときの方が25のときに比べて小さくなっている。これは位置[3]における第2透過ガスの流量が大きく減少していることに起因していると考えられる。
位置[5]の第3透過ガスのCO2濃度(mol%)を見ると、分離係数α=10のときは95.9で、α=25のときは99.4で、α=30のときは99.5で、α=50のときは99.5となり、分離係数αが大きくなるに伴って第3透過ガスのCO2濃度は増加し、分離係数αが30となって飽和している。
位置[2]の第1非透過ガスのCO2濃度(mol%)を見ると、分離係数α=10のときは22.9で、α=25のときは28.8で、α=30のときは17.3で、α=50のときは21.5となり、分離係数αが変動しても、第1非透過ガスのCO2濃度は、17.7〜28.8(mol%)で、傾向が見られず、第1非透過ガスには分離係数αが10〜50の範囲内においては、約2割前後のCO2ガスが混入するという結果であった。
位置[4]の第2非透過ガスのCO2濃度(mol%)を見ると、分離係数α=10〜50のときは1.5(mol%)の一定値となった。
位置[6]の第3非透過ガスのCO2濃度(mol%)を見ると、分離係数α=10のときは62.1で、α=25のときは83.2で、α=30のときは79.0で、α=50のときは45.5となり、分離係数αが変動しても、第3非透過ガスのCO2濃度は45.5〜83.2(mol%)で、傾向が見られなかった。これは位置[1]及び[3]における第1透過ガス及び第2透過ガスの流量が変動しているために傾向が見られないものと考えられる。
実施例2
次に、図1に示すガス分離システムを用いて、分離係数αが10、20、25、30、32、35、40、45及び50の9つのケースで、位置[4]におけるCH4ガス濃度が98.5(mol%)以上であり、位置[5]におけるCH4ガス濃度が0.5(mol%)以下となるかどうかのシミュレーション試験をし、位置[6]における返送量(m3/hr)の計算を行った。
次に、図1に示すガス分離システムを用いて、分離係数αが10、20、25、30、32、35、40、45及び50の9つのケースで、位置[4]におけるCH4ガス濃度が98.5(mol%)以上であり、位置[5]におけるCH4ガス濃度が0.5(mol%)以下となるかどうかのシミュレーション試験をし、位置[6]における返送量(m3/hr)の計算を行った。
この実施例2のシミュレーション試験では、実施例1のときと同じく、被分離ガスの流量を1Nm3/hrとし、CO2ガス濃度を50(mol%)とし、CH4ガス濃度を50(mol%)とした。実施例2の結果を、表9に示す。
位置[5]におけるCH4ガス濃度(mol%)は、分離係数αが10〜25に対しては0.6〜4.1(mol%)であり、分離係数αが30〜50に対しては0.5(mol%)となっていた。
位置[6]における返送量(m3/hr)は、分離係数が大きくなればなるほど少なくなっていた。被分離ガス1m3/hrに対する位置[6]における返送量の比を返送率(%)で表したものを、表9の右端欄に記載している。表9の返送率を見ると、分離係数αが25から30に変化すると返送率が大きく減少している。
分離係数αを横軸(X軸)に、返送率を縦軸(Y軸)とし折れ線グラフで表したものを図6に示している。この折れ線グラフを見ても、分離係数α=30を境として左側の返送率が大きく、右側の返送率が小さくなっているのがわかる。しかも、分離係数α=30以上であれば位置[5]における第3透過ガス(第2のガス)中のCH4ガス濃度が0.5(mol%)まで低下することから、より高い精製度が要求される場合、分離膜モジュールに用いる分離膜の最小分離係数αは、30であることが好ましいことがわかる。
実施例3
CO2ガスとCH4ガスの混合ガスであって、混合比が50mol%ずつの被分離ガスを、本願発明(図1参照)と特許文献1に記載のガス分離装置(図9参照)を用いてガス分離を行った時の結果を表10及び表11に示す。表10は、各位置におけるガス流量(m3/hr)と返送量(m3/hr)を示し、表11は、各位置におけるCH4濃度を示している。なお、各位置の符号の表記で、実施例3の位置にはダッシュ記号なしで、比較例1の位置にはダッシュ記号有りで記載している。
CO2ガスとCH4ガスの混合ガスであって、混合比が50mol%ずつの被分離ガスを、本願発明(図1参照)と特許文献1に記載のガス分離装置(図9参照)を用いてガス分離を行った時の結果を表10及び表11に示す。表10は、各位置におけるガス流量(m3/hr)と返送量(m3/hr)を示し、表11は、各位置におけるCH4濃度を示している。なお、各位置の符号の表記で、実施例3の位置にはダッシュ記号なしで、比較例1の位置にはダッシュ記号有りで記載している。
表11の位置[4],[4']における第2非透過ガス中CH4濃度の欄がCH4製品ガスの濃度であり、実施例3では98.5mol%であるのに対して、比較例1では93.8mol%であった。実施例3は、比較例1と比べて4.7mol%高い精製度であった。
図7は、実施例3の返送量と比較例1の返送量との差異を示す棒グラフである。
実施例4
次に、実施例3及び比較例1の試験条件と分離係数のみ異なったシミュレーション試験を行った。その試験を実施例4と比較例2として示す。分離膜の分離係数を10とした。その結果を下記表12と表13に示す。
次に、実施例3及び比較例1の試験条件と分離係数のみ異なったシミュレーション試験を行った。その試験を実施例4と比較例2として示す。分離膜の分離係数を10とした。その結果を下記表12と表13に示す。
表13の位置[4],[4']における第2非透過ガス中CH4濃度の欄がCH4製品ガスの濃度であり、実施例4では98.5mol%であるのに対して、比較例2では97.3mol%であった。実施例4は、比較例2と比べて1.2mol%高い精製度であった。
図8は、実施例4の返送量と比較例2の返送量との差異を示す棒グラフである。
Claims (8)
- 第1分離膜モジュールと、第1分離膜モジュールの非透過ガスを供給ガスとして第1分離膜モジュールとつながる第2分離膜モジュールと、第1分離膜モジュールの透過ガスを供給ガスとして第1分離膜モジュールとつながる第3分離膜モジュールと、第1分離膜モジュールの供給口とつながる配管途中に備えられたコンプレッサーとを有し、2以上のガス成分を含む被分離ガスを第1分離膜モジュールに供給して、第3分離膜モジュールの透過ガスと第2分離膜モジュールの非透過ガスとして分離するガス分離システムであって、
前記被分離ガスは、ガス圧力が第1分離膜モジュールの駆動圧力に満たない場合は前記コンプレッサーで加圧されて第1分離膜モジュールに供給され、
前記第2分離膜モジュールの透過ガスは、前記第3分離膜モジュールに供給され、
前記第3分離膜モジュールの非透過ガスは、前記コンプレッサーによって加圧されて前記第1分離膜モジュールの供給ガスとされ、
前記第1〜3分離膜モジュールに用いられる分離膜の分離係数は、前記被分離ガスの要求精製度を満足するのに必要な最小分離係数以上であるガス分離システム。 - 前記最小分離係数が30であることを特徴とする請求項1に記載のガス分離システム。
- 真空ポンプが、前記第2分離膜モジュールの透過側と、前記第3分離膜モジュールの供給側との間に備えられている請求項1または2のいずれかに記載のガス分離システム。
- 前記第1分離膜モジュール、第2分離膜モジュール及び第3分離膜モジュールに備えられている分離膜がゼオライト膜である請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス分離システム。
- 前記ゼオライト膜が8員環細孔を有するゼオライト膜である請求項4に記載のガス分離システム。
- 前記8員環細孔を有するゼオライト膜がCHA型ゼオライト膜である請求項5に記載のガス分離システム。
- 被分離ガスの要求精製度を満足するための最小分離係数以上の分離係数を有する分離膜を備える第1〜第3分離膜モジュールによって、ガス圧が第1分離膜モジュールの駆動圧力未満の2成分以上のガス成分を含む被分離ガスをガス成分毎に分離するガス分離方法であって、
被分離ガスをコンプレッサーで加圧して第1分離膜モジュールに供給するステップ(1)と、
第1分離膜モジュールの非透過ガスを第2分離膜モジュールに供給するステップ(2)と、
第2分離膜モジュールの非透過ガスを第1のガスとして分離するステップ(3)と、
第1分離膜モジュールの透過ガスと第2分離膜モジュールの透過ガスを第3の分離膜モジュールに供給するステップ(4)と、
第3分離膜モジュールの透過ガスを第2のガスとして分離するステップ(5)と、
第3分離膜モジュールの非透過ガスを前記コンプレッサーで加圧して第1分離膜モジュールに供給するステップ(6)と、を備えるガス分離方法。 - 被分離ガスの要求精製度を満足するための最小分離係数以上の分離係数を有する分離膜を備える第1〜第3分離膜モジュールによって、ガス圧が第1分離膜モジュールの駆動圧力以上の2成分以上のガス成分を含む被分離ガスをガス成分毎に分離するガス分離方法であって、
被分離ガスを第1分離膜モジュールに供給するステップ(1)と、
第1分離膜モジュールの非透過ガスを第2分離膜モジュールに供給するステップ(2)と、
第2分離膜モジュールの非透過ガスを第1のガスとして分離するステップ(3)と、
第1分離膜モジュールの透過ガスと第2分離膜モジュールの透過ガスを第3の分離膜モジュールに供給するステップ(4)と、
第3分離膜モジュールの透過ガスを第2のガスとして分離するステップ(5)と、
第3分離膜モジュールの非透過ガスをコンプレッサーで加圧して第1分離膜モジュールに供給するステップ(6)と、を備えるガス分離方法。
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