JP2020029946A - 管用ねじ継手及び管用ねじ継手の製造方法 - Google Patents

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Kazuya Ishii
一也 石井
後藤 邦夫
Kunio Goto
邦夫 後藤
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Abstract

【課題】優れた耐焼付き性を有し、さらに、水平井戸に用いた場合にも緩みが抑制される管用ねじ継手及びその製造方法を提供する。【解決手段】本実施形態の管用ねじ継手は、ピン(3)と、ボックス(4)と、Zn−Ni合金めっき層(100)とを備える。ピン(3)は、ねじ部(31)、金属シール部(32)及びショルダー部(33)を含む接触表面(34)を有する。ボックス(4)は、ねじ部(41)、金属シール部(42)及びショルダー部(43)を含む接触表面(44)を有する。Zn−Ni合金めっき層(100)は、ピン(3)の接触表面(34)上又はボックス(4)の接触表面(44)上の少なくとも一方に配置される。Zn−Ni合金めっき層(100)はグラファイトを含有する。【選択図】図5

Description

本発明は、管用ねじ継手及び管用ねじ継手の製造方法に関する。
油田や天然ガス田の採掘のために、油井管が使用される。油井管は、井戸の深さに応じて、複数の鋼管を連結して形成される。鋼管の連結は、鋼管の端部に形成された管用ねじ継手同士をねじ締めすることによって行われる。油井管は、検査等のために引き上げられ、ねじ戻しされ、検査された後、再びねじ締めされて、再度使用される。
管用ねじ継手は、ピン及びボックスを備える。ピンは、鋼管の端部の外周面に形成された雄ねじ部及びねじ無し金属接触部を含む。ボックスは、鋼管の端部の内周面に形成された雌ねじ部及びねじ無し金属接触部を含む。ねじ無し金属接触部はそれぞれ、金属シール部及びショルダー部を含む。鋼管同士がねじ締めされる際、雄ねじ部及び雌ねじ部、金属シール部同士並びにショルダー部同士が接触する。
ピン及びボックスのねじ部及びねじ無し金属接触部は、鋼管のねじ締め及びねじ戻し時に強い摩擦を繰り返し受ける。これらの部位に、摩擦に対する十分な耐久性がなければ、ねじ締め及びねじ戻しを繰り返した時にゴーリング(修復不可能な焼付き)が発生する。したがって、管用ねじ継手には、摩擦に対する十分な耐久性、すなわち、優れた耐焼付き性が要求される。
従来、耐焼付き性を向上するために、重金属入りのコンパウンドグリースが使用されてきた。管用ねじ継手の表面にコンパウンドグリースを塗布することで、管用ねじ継手の耐焼付き性を改善できる。しかしながら、コンパウンドグリースに含まれるPb等の重金属は環境に影響を与える可能性がある。このため、コンパウンドグリースを使用しない管用ねじ継手の開発が望まれている。
優れた耐焼付き性を発揮するねじ継手に関する技術が、特開平5−149485号公報(特許文献1)に提案されている。特許文献1に記載されたねじ継手は、ピン又はボックス表面に、金属マトリックス中に一つ、あるいは複数の非金属相又は他の金属相を分散共析させる分散めっき層を形成したことを特徴とする。これにより、重金属成分を含まないコンパウンドグリースを用いたねじ締め及びねじ戻しでも優れた耐焼付き性を発揮するねじ継手が得られる、と特許文献1に記載されている。
特許文献1のように、めっき層中に非金属材料を分散させて耐焼付き性を高めたり、摩擦係数を下げることで摺動性を高める検討が行われている。
特開2008−214666号公報(特許文献2)に記載のねじ部材は、基材表面にカーボンナノ材料と亜鉛成分を含有する低摩擦性の複合被覆層を形成したことを特徴とする。これにより、高い荷重下での低摩擦特性に優れ、過酷な環境に耐える締結特性の優れたねじ部材が得られる、と特許文献2に記載されている。
特開平5−331694号公報(特許文献3)に記載の複合めっき非鉄金属材は、表面に複合めっき層を備える。複合めっき層は、Ni、Fe、Co、Cu、Cr、Mn、Sn、Znよりなる群から選択される金属の1種以上、若しくはこれらの金属とP、B、Wの1種以上とからなるめっき材を基体とする。めっき基体中には、SiC、Al,Si、WC、TiC、TiNよりなる群から選択される硬質化粒子の1種以上と、BN、MoS、炭化弗素、グラファイト、雲母よりなる群から選択される潤滑性粒子の1種以上とが分散する。これにより、耐摩耗性、耐焼付き性、潤滑性、耐食性に優れ、摺動部や転動部を有する機械構造用部品材料として有用な複合めっき非鉄金属材が得られる、と特許文献3に記載されている。
特開平5−149485号公報 特開2008−214666号公報 特開平5−331694号公報
ところで、石油・天然ガス等の採掘回収率の向上を目的に、今後は深井戸化に加えて水平井戸の増加が予測されている。水平井戸とは、石油・天然ガスの埋蔵している地層(油層)まで垂直に掘削した後、油層に沿って水平方向又は水平方向から傾斜した方向に掘削した井戸をいう。実際に、近年、水平井戸の水平部分の長さは増大する傾向にある。水平井戸では、井戸の途中で、井戸の経路が垂直方向から水平方向に切り替わる。そのため、井戸の経路が垂直方向から水平方向に切り替わる屈曲部においては、高い応力が油井管全体に付与される。屈曲部においては、管用ねじ継手にも高い応力が付与される。さらに、水平井戸の掘削作業においては、油井管を円周方向に回転させながら井戸の中に押し進める必要がある。応力の高い状態で回転すれば、管用ねじ継手が緩み易くなる。管用ねじ継手が緩めば、油井管の気密性が低下する。したがって、管用ねじ継手には、水平井戸に用いた場合にも緩みの少ないことが求められる。
特許文献1〜特許文献3に開示された技術によれば、管用ねじ継手の耐焼付き性を高めることができる。しかしながら、特許文献1〜特許文献3に開示された技術を用いても、水平井戸に用いた場合には管用ねじ継手の緩みを十分に抑制できない場合があった。
本発明の目的は、優れた耐焼付き性を有し、さらに、水平井戸に用いた場合にも緩みが抑制される管用ねじ継手及びその製造方法を提供することである。
本実施形態の管用ねじ継手は、ピンと、ボックスと、Zn−Ni合金めっき層とを備える。ピンは、ねじ部、金属シール部及びショルダー部を含む接触表面を有する。ボックスは、ねじ部、金属シール部及びショルダー部を含む接触表面を有する。Zn−Ni合金めっき層は、ピンの接触表面上又はボックスの接触表面上の少なくとも一方に配置される。Zn−Ni合金めっき層はグラファイトを含有する。
本実施形態の管用ねじ継手の製造方法は、準備工程と、めっき工程とを備える。準備工程では、ピンと、ボックスと、めっき液とを準備する。ピンは、ねじ部、金属シール部及びショルダー部を含む接触表面を有する。ボックスは、ねじ部、金属シール部及びショルダー部を含む接触表面を有する。めっき液は、亜鉛イオン、ニッケルイオン及びグラファイトを含有する。めっき工程では、ピンの接触表面又はボックスの接触表面の少なくとも一方をめっき液に接触させて、電気めっきによりピンの接触表面上又はボックスの接触表面上の少なくとも一方にZn−Ni合金めっき層を形成する。
上記製造方法で製造された本実施形態の管用ねじ継手は、優れた耐焼付き性を有し、さらに、水平井戸に用いた場合にも緩みが抑制される。
図1は、実施例における、試験番号1、試験番号3及び試験番号7のバウデン摺動試験の結果を示す図である。 図2は、本実施形態によるカップリング型の管用ねじ継手の構成を示す図である。 図3は、本実施形態によるインテグラル型の管用ねじ継手の構成を示す図である。 図4は、管用ねじ継手の一例の断面図である。 図5は、本実施形態による管用ねじ継手の一例の断面図である。 図6は、図5とは異なる他の実施形態による管用ねじ継手の一例の断面図である。 図7は、図5及び図6とは異なる他の実施形態による管用ねじ継手の一例の断面図である。 図8は、ピン及びボックスが潤滑被膜を備える場合の管用ねじ継手の一例の断面図である。 図9は、図8とは異なる他の実施形態による管用ねじ継手の一例の断面図である。 図10は、図8及び図9とは異なる他の実施形態による管用ねじ継手の一例の断面図である。 図11は、実施例における、試験番号2、試験番号4及び試験番号5のバウデン摺動試験の結果を示す図である。 図12は、実施例における、試験番号6及び試験番号8のバウデン摺動試験の結果を示す図である。
以下、図面を参照して、本実施形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
本発明者らは、管用ねじ継手の耐焼付き性と、摩擦係数及び水平井戸に用いた場合の緩みとについて検討を行った。その結果、以下の知見を得た。
管用ねじ継手は所定のトルクによってねじ締め及びねじ戻しされる。上述のとおり、ピン及びボックスの接触表面は、ねじ締め及びねじ戻し時に、たとえば1.0GPa以上の高い面圧がかかった状態で摺動する。つまり、ピン及びボックスの接触表面は、強い摩擦を受ける。接触表面の摩擦係数が高ければ、ねじ締め及びねじ戻し時に生じる摩擦熱が高くなり、凝着や焼付きが生じ易くなる。金属同士の接触では、摩擦係数がたとえば0.4を超えると顕著に焼付きやすくなる。そのため、従来は、接触表面に潤滑剤を塗布したり、接触表面に摩擦係数の低いめっき層を形成したりして、接触表面の摩擦係数の低減が試みられてきた。たとえば、汎用のAPIドープを使用した場合、摩擦係数は0.05〜0.2程度になり、焼付きが抑制される。
しかしながら本発明者らは、摩擦係数を高めることで、トルクを高め、これにより、管用ねじ継手の緩みを抑制できることを見出した。
ねじ締め及びねじ戻し時のトルクは、接触表面の摩擦係数と比例関係にある。つまり、接触表面の摩擦係数が高ければ、ねじ締め及びねじ戻し時のトルクが高くなる。ねじ戻し時に高いトルクを維持すれば、緩みにくい管用ねじ継手が得られる。以下、ねじ戻し時に高いトルクを維持する性能を、高トルク維持特性という。
しかしながら、上述のとおり、摩擦係数を高めれば、焼付きが生じ易くなる。そのため、一般的には、耐焼付き性を高め、さらに高トルク維持特性を高めることは困難と考えられてきた。
しかしながら、本発明者らは、特定の合金めっきにグラファイトを含有させれば、耐焼付き性を高めつつ、高トルク維持特性が高まることを見出した。
図1は、実施例におけるバウデン摺動試験の結果を示す図である。図1を参照して、試験番号7の鋼板は、従来のCuめっきにグラファイトを含有させためっき層を備える。従来のCuめっきにグラファイトを含有させた場合、グラファイトの潤滑作用により、摺動回数250回程度まで、摩擦係数が約0.1と非常に低い値に抑制された。その後、Cuめっき層が破損及び剥離して、摩擦係数が一気に0.4を超えた。したがって、従来のCuめっきにグラファイトを含有させた場合には、高トルク維持特性は得られないことが分かった。また、グラファイトを含有しないZn−Ni合金めっき層を備える試験番号1の鋼板は、摺動回数2回で摩擦係数が0.4を超えた。
一方、グラファイトを含有するZn−Ni合金めっき層を有する試験番号3の鋼板は、摩擦係数が0.2を超え高摩擦係数となった後もしばらく焼付きを生じず、100回以上の摺動回数で摩擦係数が0.4を超えた。つまり、Zn−Ni合金めっき層がグラファイトを含有すれば、焼付くことなく0.2〜0.4程度の高摩擦係数が維持された。このことから、本発明者らは、Zn−Ni合金めっき層にグラファイトを含有することにより初めて、耐焼付き性を高めつつ、かつ、高トルク維持特性も高めることが可能であると知見した。
Zn−Ni合金めっき層がグラファイトを含有する場合、従来知られている潤滑性ではなく、高トルク維持特性を示す理由は定かではない。しかしながら、実施例において、グラファイトを含有するCuめっきを備える試験番号7の鋼板、及び、グラファイトを含有しないZn−Ni合金めっき層を備える試験番号1の鋼板では、試験後にめっき層の剥離が確認された。一方で、グラファイトを含有するZn−Ni合金めっき層を備える試験番号2〜試験番号5の鋼板は、試験後にめっき層の残存がより多く確認された。したがって、グラファイトは、Zn−Ni合金めっき層に含有された場合、Zn−Ni合金めっき層の剥離を抑制している可能性がある。また、Zn−Ni合金めっきは、従来のCuめっきと比較して硬度が高い。硬度が高ければ、ねじ締め時の顕著に高い面圧(たとえば、1.0GPa以上)で摺動する際に付与される応力に対しての抵抗力が高い。そのため、より摺動に対する抵抗力が高いZn−Ni合金めっき層がより多く残存し摺動することで、高い摩擦係数が維持された可能性がある。
以上の知見に基づいて完成した本実施形態の管用ねじ継手は、ピンと、ボックスと、Zn−Ni合金めっき層とを備える。ピンは、ねじ部、金属シール部及びショルダー部を含む接触表面を有する。ボックスは、ねじ部、金属シール部及びショルダー部を含む接触表面を有する。Zn−Ni合金めっき層は、ピンの接触表面上又はボックスの接触表面上の少なくとも一方に配置される。Zn−Ni合金めっき層はグラファイトを含有する。
本実施形態の管用ねじ継手は、Zn−Ni合金めっき層を備える。そのため、管用ねじ継手は、優れた耐焼付き性を有する。さらに、Zn−Ni合金めっき層はグラファイトを含有する。そのため、高トルク維持特性が高まり、水平井戸に用いた場合にも管用ねじ継手が緩みにくい。本明細書において、Zn−Ni合金、グラファイト及び不純物からなるめっき層を、Zn−Ni合金めっき層という。
好ましくは、上記Zn−Ni合金めっき層は、Zn−Ni合金めっき層の化学組成全体を100at%とした場合に、5〜35at%のNiを含有する。
この場合、Zn−Ni合金めっき層の硬度が高まる。
好ましくは、上記Zn−Ni合金めっき層は、Zn−Ni合金めっき層の化学組成全体を100at%とした場合に、グラファイトを30〜60at%含有する。
この場合、高トルク維持特性がさらに高まり、管用ねじ継手がさらに緩みにくくなる。
上記Zn−Ni合金めっき層の厚さは、1〜50μmであってもよい。
上記管用ねじ継手はさらに、ピンの接触表面上、ボックスの接触表面上、及び、Zn−Ni合金めっき層上からなる群から選択される少なくとも1つに潤滑被膜を備えてもよい。
この場合、管用ねじ継手の潤滑性が高まる。
本実施形態の管用ねじ継手の製造方法は、準備工程と、めっき工程とを備える。準備工程では、ピンと、ボックスと、めっき液とを準備する。ピンは、ねじ部、金属シール部及びショルダー部を含む接触表面を有する。ボックスは、ねじ部、金属シール部及びショルダー部を含む接触表面を有する。めっき液は、亜鉛イオン、ニッケルイオン及びグラファイトを含有する。めっき工程では、ピンの接触表面又はボックスの接触表面の少なくとも一方をめっき液に接触させて、電気めっきによりピンの接触表面上又はボックスの接触表面上の少なくとも一方にZn−Ni合金めっき層を形成する。
以下、本実施形態による管用ねじ継手及びその製造方法について詳述する。以下の説明において、at%とは、原子組成百分率をいう。
[管用ねじ継手]
管用ねじ継手は、ピン及びボックスを備える。図2は、本実施形態によるカップリング型の管用ねじ継手の構成を示す図である。図2を参照して、管用ねじ継手は、鋼管1とカップリング2とを備える。鋼管1の両端には、外面に雄ねじ部を有するピン3が形成される。カップリング2の両端には、内面に雌ねじ部を有するボックス4が形成される。ピン3とボックス4とをねじ締めすることによって、鋼管1の端に、カップリング2が取り付けられる。
一方で、カップリング2を使用せず、鋼管1の一方の端をピン3とし、他方の端をボックス4とした、インテグラル形式の油井管用ねじ継手を用いてもよい。図3は、本実施形態によるインテグラル型の管用ねじ継手の構成を示す図である。図3を参照して、管用ねじ継手は、鋼管1を備える。鋼管1の一方の端には、外面に雄ねじ部を有するピン3が形成される。鋼管1の他方の端には、内面に雌ねじ部を有するボックス4が形成される。ピン3とボックス4とをねじ締めすることによって、鋼管1同士を連結できる。本実施形態の管用ねじ継手は、カップリング方式及びインテグラル形式の両方の管用ねじ継手に使用できる。
ピン3及びボックス4はそれぞれ、ねじ部、金属シール部及びショルダー部を有する接触表面を備える。図4は、管用ねじ継手の断面図である。図4を参照して、ピン3は、雄ねじ部31、金属シール部32及びショルダー部33を備える。ボックス4は、雌ねじ部41、金属シール部42及びショルダー部43を備える。ピン3とボックス4とをねじ締めした時に接触する部分を、接触表面34及び44という。具体的には、ピン3とボックス4とをねじ締めすると、ねじ部同士(雄ねじ部31及び雌ねじ部41)、金属シール部同士(金属シール部32及び42)、及び、ショルダー部同士(ショルダー部33及び43)が互いに接触する。つまり、接触表面34は、ねじ部31、金属シール部32及びショルダー部33を含む。接触表面44は、ねじ部41、金属シール部42及びショルダー部43を含む。
図4では、ピン3においては、鋼管1の端から、ショルダー部33、金属シール部32及び雄ねじ部31の順で配置される。また、ボックス4においては、鋼管1又はカップリング2の端から、雌ねじ部41、金属シール部42及びショルダー部43の順で配置される。しかしながら、ねじ部31及び41、金属シール部32及び42、及び、ショルダー部33及び43の配置は図4の配置に限定されず、適宜変更できる。たとえば、図3において示す様に、ピン3においては、鋼管1の端から、雄ねじ部31、金属シール部32、ショルダー部33、金属シール部32及び雄ねじ部31の順で配置されてもよい。ボックス4においては、鋼管1又はカップリング2の端から、雌ねじ部41、金属シール部42、ショルダー部43、金属シール部42及び雌ねじ部41の順に配置されてもよい。また、接触表面34及び44は、ショルダー部33及び43を有しなくてもよい。
[Zn−Ni合金めっき層]
Zn−Ni合金めっき層100は、ピン3の接触表面34上及びボックス4の接触表面44上の少なくとも一方に配置される。Zn−Ni合金めっき層100は、Zn−Ni合金、グラファイト及び不純物からなる。Zn−Ni合金は、亜鉛(Zn)及びニッケル(Ni)を含有する。Zn−Ni合金は不純物を含有する場合がある。ここで、Zn−Ni合金めっき層100の不純物、及び、Zn−Ni合金の不純物とは、Zn、Ni及びグラファイト以外の物質で、管用ねじ継手の製造中等にZn−Ni合金めっき層100又はZn−Ni合金に含有され、本発明の効果に影響を与えない範囲の含有量で含まれる物質を含む。
Zn−Ni合金めっき層100中のNi含有量は特に限定されない。しかしながら、Zn−Ni合金めっき層100の化学組成全体を100at%とした場合に、Zn−Ni合金めっき層100中のNi含有量が5〜35at%であれば、Zn−Ni合金めっき層100の硬度が高まる。したがって、Zn−Ni合金めっき層100の化学組成全体を100at%とした場合に、Zn−Ni合金めっき層100は、5〜35at%のNiを含有することが好ましい。Zn−Ni合金めっき層100中のNi含有量の下限は、より好ましくは10at%である。Zn−Ni合金めっき層100中のNi含有量の上限は、より好ましくは30at%である。
Zn−Ni合金めっき層100に含まれる亜鉛(Zn)は、鋼管の主成分である鉄(Fe)と比較して卑な金属である。そのため、犠牲防食の効果があり、管用ねじ継手の耐食性が高まる。
[グラファイト]
グラファイト(黒鉛)は、炭素原子が六角形の格子状に結合しているシート(グラフェン)が積層した物質である。グラファイトは、カーボン(C)を含有し、残部は不純物からなる。グラフェンの層間の結合力は弱いため、グラフェン同士はその層間から剥離しやすい。そのため、グラファイトは一般的には潤滑剤として使用される。しかしながら、本実施形態では、Zn−Ni合金めっき層100がグラファイトを含有すれば、高トルク維持特性が高まり、管用ねじ継手の緩みが抑制される。
[グラファイト含有量]
Zn−Ni合金めっき層100におけるグラファイトの含有量は特に限定されない。しかしながら、Zn−Ni合金めっき層100の化学組成全体を100at%とした場合に、グラファイトの含有量が30at%以上であれば、Zn−Ni合金めっき層100の高トルク維持特性がさらに高まる。この場合、水平井戸に用いた場合にも管用ねじ継手の緩みがさらに抑制される。一方、Zn−Ni合金めっき層100の化学組成全体を100at%とした場合に、グラファイト含有量が60at%以下であれば、正常なZn−Ni合金めっき層100が安定して形成される。したがって、好ましくは、Zn−Ni合金めっき層100におけるグラファイト含有量は、Zn−Ni合金めっき層100の化学組成全体を100at%とした場合に、30〜60at%である。Zn−Ni合金めっき層100におけるグラファイト含有量の下限は、より好ましくは40at%である。Zn−Ni合金めっき層100におけるグラファイト含有量の上限は、より好ましくは55at%である。
[Zn−Ni合金めっき層中のNi含有量及びグラファイト含有量の測定方法]
Zn−Ni合金めっき層100のNi含有量及びグラファイト含有量は次の方法で測定する。はじめに、Zn−Ni合金めっき層100が形成された管用ねじ継手のサンプルを準備する。サンプルのZn−Ni合金めっき層100の表面に対して、電子線マイクロアナライザー(FE−EPMA、日本電子株式会社製JXA−8530F)を用い、EDS(エネルギー分散型X線分光法)による元素分析を行う。測定倍率1500〜5000倍で、加速電圧:15〜30kV、照射電流:最大1nAの電子ビームを照射し、C−kα線、Zn−kα線及びNi−kα線の各X線強度を測定する。各元素のX線強度を基に、C含有量(at%)、Zn含有量(at%)及びNi含有量(at%)を算出する。Ni含有量を、C、Zn及びNiの合計含有量で除した値をNi含有量(at%)とする。C含有量を、C、Zn及びNiの合計含有量で除した値をグラファイト含有量(at%)とする。Zn−Ni合金めっき層100の表面の任意の3箇所を測定し、平均含有量を用いる。
[Zn−Ni合金めっき層の厚さ]
Zn−Ni合金めっき層100の厚さは特に限定されない。Zn−Ni合金めっき層100の厚さはたとえば、1〜50μmである。Zn−Ni合金めっき層100の厚さが1μm以上であれば、十分な耐焼付き性を安定して得ることができる。Zn−Ni合金めっき層100の厚さが50μmを超えても、上記効果は飽和する。厚さの上限は好ましくは20μmである。
[Zn−Ni合金めっき層の厚さの測定方法]
Zn−Ni合金めっき層100の厚さは、次の方法で測定する。Zn−Ni合金めっき層100を形成した接触表面34又は44の4箇所に対して、Helmut Fischer GmbH製、渦電流位相式膜厚計PHASCOPE PMP910を用いて、Zn−Ni合金めっき層100の厚さを測定する。測定は、ISO(International Organization for Standardization)21968(2005)に準拠する方法で行う。測定箇所は、管用ねじ継手の管周方向の4箇所(0°、90°、180°、270°の4箇所)である。測定結果の算術平均を、Zn−Ni合金めっき層100の厚さとする。
[Zn−Ni合金めっき層のビッカース硬さ]
Zn−Ni合金めっき層100の硬度が高ければ、管用ねじ継手の耐焼付き性がさらに高まる。したがって、好ましくは、Zn−Ni合金めっき層100のビッカース硬さHvの下限は150であり、さらに好ましくは250である。Zn−Ni合金めっき層100のビッカース硬さHvの上限は、高い程好ましい。Zn−Ni合金めっき層100のビッカース硬さHvの上限はたとえば、600である。
[Zn−Ni合金めっき層のビッカース硬さ測定方法]
Zn−Ni合金めっき層100のビッカース硬さは次の方法で測定する。Zn−Ni合金めっき層100を備えるピン3又はボックス4を準備する。Zn−Ni合金めっき層100を備えるピン3又はボックス4を軸方向に垂直に切断する。現れたZn−Ni合金めっき層100の断面の任意の5点に対して、JIS Z2244(2009)に準拠した方法でビッカース硬さを測定する。測定には、株式会社フィッシャー・インストルメンツ製微小硬度計Fischer scope HM2000を用いる。試験温度は常温(25℃)、試験力(F)は5〜100mNとする。得られた測定結果5点の内、最大値及び最小値を除いた3点の算術平均を、Zn−Ni合金めっき層100のビッカース硬さHvとする。
[Zn−Ni合金めっき層の配置]
Zn−Ni合金めっき層100は、ピン3の接触表面34上及びボックス4の接触表面44上の少なくとも一方に配置されればよい。図5では、Zn−Ni合金めっき層100は、ピン3の接触表面34上及びボックス4の接触表面44上の両方に配置されている。しかしながら、Zn−Ni合金めっき層100の配置は図5に限定されない。図6に示す様に、Zn−Ni合金めっき層100は、ボックス4の接触表面44上のみに配置されてもよい。また、図7に示す様に、Zn−Ni合金めっき層100は、ピン3の接触表面34上のみに配置されてもよい。
また、Zn−Ni合金めっき層100は、接触表面34及び44上の少なくとも一方の全体に配置されてもよいし、一部にのみ配置されてもよい。金属シール部32及び42、ショルダー部33及び43は、ねじ締め最終段階で特に面圧が高くなる。したがって、Zn−Ni合金めっき層100を、接触表面34及び接触表面44上の少なくとも一方に部分的に配置する場合、金属シール部32、金属シール部42、ショルダー部33及びショルダー部43の少なくとも1か所に配置されてもよい。一方で、Zn−Ni合金めっき層100を接触表面34上及び接触表面44上の少なくとも一方の全体に配置すれば、管用ねじ継手の生産効率が高まる。
[潤滑被膜]
本実施形態の管用ねじ継手は、潤滑油無しでも、優れた耐焼付き性及び優れた高トルク維持特性を示し、緩みが抑制される。しかしながら、管用ねじ継手はさらに、ピン3の接触表面34上、ボックス4の接触表面44上、及び、Zn−Ni合金めっき層100上からなる群から選択される少なくとも1つに潤滑被膜200を備えてもよい。この場合、管用ねじ継手の潤滑性が高まる。潤滑被膜200は、図8に示すように、ピン3の接触表面34上のZn−Ni合金めっき層100上及びボックス4の接触表面44上のZn−Ni合金めっき層100上の両方に配置されてもよい。しかしながら、潤滑被膜200の配置は図8に限定されない。潤滑被膜200は、ピン3の接触表面34上のZn−Ni合金めっき層100上のみに配置されてもよいし、ボックス4の接触表面44上のZn−Ni合金めっき層100上のみに配置されてもよい。また、潤滑被膜200は、ピン3の接触表面34上又はボックス4の接触表面44上に直接配置されてもよい。たとえば、図9及び図10に示すとおり、ピン3の接触表面34上又はボックス4の接触表面44上にZn−Ni合金めっき層100が配置されない場合、潤滑被膜200は、ピン3の接触表面34上又はボックス4の接触表面44上に直接配置されてもよい。
また、潤滑被膜200は、ピン3の接触表面34上、ボックス4の接触表面44上、及び、Zn−Ni合金めっき層100上からなる群から選択される少なくとも1つの全体に配置されてもよい。潤滑被膜200は、ピン3の接触表面34上、ボックス4の接触表面44上、及び、Zn−Ni合金めっき層100上からなる群から選択される少なくとも1つの一部にのみ配置されてもよい。
潤滑被膜200は、固体であってもよいし、半固体状及び液体状であってもよい。潤滑被膜200は、周知の潤滑剤を使用できる。潤滑被膜200はたとえば、潤滑性粒子及び結合剤を含有する。潤滑被膜200は、必要に応じて、潤滑剤、溶媒及び他の成分を含有してもよい。
潤滑性粒子は、潤滑性を有する粒子であれば特に限定されない。潤滑性粒子はたとえば、黒鉛、MoS(二硫化モリブデン)、WS(二硫化タングステン)、BN(窒化ホウ素)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、CFx(フッ化黒鉛)及びCaCO(炭酸カルシウム)からなる群から選択される1種又は2種以上である。
結合剤はたとえば、有機結合剤及び無機結合剤からなる群から選択される1種又は2種である。有機結合剤はたとえば、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群から選択される1種又は2種である。熱硬化性樹脂はたとえば、ポリエチレン樹脂、ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂からなる群から選択される1種又は2種以上である。無機系結合剤はたとえば、アルコキシシラン及びシロキサン結合を含有する化合物からなる群から選択される1種又は2種である。
潤滑剤はたとえば、JET−LUBE株式会社製、SEAL−GUARD(商標)ECF(商標)である。他の潤滑剤はたとえば、ロジン、金属石鹸、ワックス及び潤滑性粉末を含有する潤滑剤である。ピン3の接触表面34上に配置される潤滑被膜200の化学組成と、ボックス4の接触表面44上に配置される潤滑被膜200の化学組成と、Zn−Ni合金めっき層100上に配置される潤滑被膜200の化学組成とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
潤滑被膜200の厚さは特に限定されない。潤滑被膜200の厚さはたとえば、30〜300μmである。潤滑被膜200の厚さが30μm以上であれば、管用ねじ継手のねじ締めの際に、ショルダー部33及び43同士が接触する際のトルク値を低下する効果が高まる。そのため、ねじ締めの際のトルク値の調整が容易になる。潤滑被膜200の厚さが300μmを超えても、ねじ締め時に過剰分の潤滑被膜200が接触表面34及び44上から排除されるため、上記効果は飽和する。
潤滑被膜200が固体の場合は、潤滑被膜200の厚さは次の方法で測定する。潤滑被膜200を備えたピン3又はボックス4を準備する。ピン3又はボックス4を管の軸方向に垂直に切断する。潤滑被膜200を含む断面に対して顕微鏡観察を行う。顕微鏡観察の倍率は500倍とする。これにより、潤滑被膜200の膜厚を求める。
潤滑被膜200が液体又は半固体の場合は、潤滑被膜200の厚さは次の方法で測定する。管用ねじ継手の金属シール部32又は42の任意の測定箇所(面積:5mm×20mm)をエタノールを染み込ませた脱脂綿で拭き取る。拭き取る前の脱脂綿の重量と、拭き取った後の脱脂綿の重量との差から、潤滑剤の塗布量を算出する。潤滑剤の塗布量と、潤滑剤の密度及び測定箇所の面積とから、潤滑被膜200の平均膜厚を算出する。
[Zn−Ni合金めっき層及び潤滑被膜の配置]
ピン3の接触表面34上又はボックス4の接触表面44上の少なくとも一方にZn−Ni合金めっき層100が配置され、ピン3の接触表面34上、ボックス4の接触表面44上、及び、Zn−Ni合金めっき層100上からなる群から選択される少なくとも1つに潤滑被膜200が配置されれば、その組み合わせは特に限定されない。Zn−Ni合金めっき層100のみを備える場合をパターン1とする。Zn−Ni合金めっき層100を備えさらにその上に潤滑被膜200を備える場合をパターン2とする。潤滑被膜200のみを備える場合をパターン3とする。Zn−Ni合金めっき層100も、潤滑被膜200も備えない場合をパターン4とする。上記条件を満たせば、ピン3の接触表面34及びボックス4の接触表面44はパターン1〜パターン4のいずれの場合も有り得る。具体的には、ピン3の接触表面34が、パターン1又はパターン2の場合、ボックス4の接触表面44はパターン1〜パターン4のいずれでもよい。また、ピン3の接触表面34が、パターン3又はパターン4の場合、ボックス4の接触表面44はパターン1又はパターン2のいずれかである。反対に、ボックス4の接触表面44が、パターン1又はパターン2の場合、ピン3の接触表面34はパターン1〜パターン4のいずれでもよい。また、ボックス4の接触表面44が、パターン3又はパターン4の場合、ピン3の接触表面34はパターン1又はパターン2のいずれかである。
[管用ねじ継手の母材]
管用ねじ継手の母材の化学組成は、特に限定されない。母材はたとえば、炭素鋼、ステンレス鋼及び合金鋼等である。合金鋼の中でも、Cr、Ni及びMo等の合金元素を含んだ二相ステンレス鋼及びNi合金等の高合金鋼は耐食性が高い。そのため、これらの高合金鋼を母材に使用すれば、管用ねじ継手の耐食性が高まる。
[製造方法]
本実施形態の管用ねじ継手の製造方法は、上記管用ねじ継手の製造方法である。管用ねじ継手の製造方法は、準備工程と、めっき層形成工程とを備える。
[準備工程]
準備工程では、ピン3、ボックス4及びめっき液を準備する。ピン3は、上述のとおり、ねじ部31、金属シール部32及びショルダー部33を含む接触表面34を有する。ボックス4は、上述のとおり、ねじ部41、金属シール部42及びショルダー部43を含む接触表面44を有する。ピン3の接触表面34及びボックス4の接触表面44の少なくとも一方に対して周知の前処理を実施してもよい。前処理はたとえば、脱脂である。脱脂により、接触表面34及び44の少なくとも一方の表面に付着している油及び油性の汚れ等を除去する。脱脂はたとえば、溶剤脱脂、アルカリ脱脂及び電解脱脂である。前処理としてさらに、酸洗を実施してもよい。酸洗により、接触表面34上及び44上の少なくとも一方の錆及び加工時に生じた酸化被膜等を除去できる。
めっき液は、亜鉛イオン、ニッケルイオン及びグラファイトを含有する。亜鉛イオン及びアニオンの塩(たとえば硫酸亜鉛)をめっき液に溶かすことによって、めっき液中に亜鉛イオンを含有させる。ニッケルイオン及びアニオンの塩(たとえば硫酸ニッケル)をめっき液に溶かすことによって、めっき液中にニッケルイオンを含有させる。アニオンはたとえば、硫酸イオン、塩化物イオン及びピロリン酸イオンからなる群から選択される1種又は2種以上である。めっき液には、好ましくは、亜鉛イオン:1〜100g/L、ニッケルイオン:1〜100g/Lが含有される。
めっき液はさらに、グラファイトを含有する。この場合、Zn−Ni合金めっき層100がグラファイトを含有する。その結果、Zn−Ni合金めっき層100の高トルク維持特性が高まり、水平井戸に用いた場合であっても管用ねじ継手の緩みが抑制される。本実施形態の製造方法では、粉状のグラファイトを用いることが好ましい。グラファイトの粒径は特に限定されない。グラファイトの粒径はたとえば、0.01〜30μmである。めっき液中での分散性やめっき膜厚とのバランスを考慮すると、グラファイト粒子のさらに好ましい粒径は、0.01〜10μmである。グラファイト粒子の粒径は、めっき液中に分散でき、グラファイトがZn−Ni合金めっき層100中に取り込まれる範囲で適宜設定できる。
めっき液中におけるグラファイトの含有量が3g/L以上であれば、Zn−Ni合金めっき層100中に安定的にグラファイトを取り込ませることができる。このため、Zn−Ni合金めっき層100の高トルク維持特性を安定的に高めることができる。一方、めっき液中におけるグラファイトの含有量が20g/L以下であれば、めっき槽内でのグラファイトの沈殿を抑制できる。したがって、めっき液中におけるグラファイトの含有量は好ましくは、3〜20g/Lである。めっき液中におけるグラファイトの含有量の下限は、より好ましくは5g/Lである。めっき液中におけるグラファイトの含有量の上限は、より好ましくは10g/Lである。
[分散剤]
好ましくは、めっき液はさらに分散剤を含有する。分散剤は、めっき液中においてグラファイトの分散性を向上させる。好ましくは、分散剤は、ポリアクリル酸及び塩化1ブチル‐1‐メチルピロリジニウムからなる群から選択される1種又は2種である。
ポリアクリル酸は、アクリル酸の重合体である。ポリアクリル酸又はポリアクリル酸の塩(たとえば、ポリアクリル酸ナトリウム)をめっき液に溶解することによって、めっき液にポリアクリル酸を含有させる。ポリアクリル酸は、低分子量のものが好ましい。これにより、グラファイトの分散性をさらに高めることができる。ポリアクリル酸の分子量の上限は、重量平均分子量で、好ましくは10000、より好ましくは2000である。ポリアクリル酸の分子量の下限は特に限定されない。ポリアクリル酸の分子量の下限はたとえば、重量平均分子量で、1000である。
塩化1ブチル‐1‐メチルピロリジニウム(BMP)は、化学式C20ClNで表され、第四級アンモニウムイオンに分類される、五員環(Nを含む複素環)化合物を含むイオン液体である。
めっき液における分散剤の含有量は特に限定されない。分散剤はめっき液に少量含有されれば、グラファイトの分散性が向上する。めっき液における分散剤の含有量はたとえば、1×10−6〜1×10−4mol/Lである。めっき液が、ポリアクリル酸及び塩化1‐ブチル‐1‐メチルピロリジニウムの両方を含有する場合、それぞれの含有量が1×10−6〜1×10−4mol/Lであることが好ましい。ポリアクリル酸の含有量(mol/L)とは、重量平均分子量に対するモル濃度をいう。
めっき液は、必要に応じて、電導度塩、アノード溶解促進剤、錯化剤、pH緩衝剤、界面活性剤、還元剤、安定剤及びその他の添加剤からなる群から選択される1種又は2種以上を含有してもよい。
[めっき層形成工程]
めっき層形成工程では、ピン3の接触表面34又はボックス4の接触表面44の少なくとも一方を上述しためっき液に接触させて、電気めっきによりZn−Ni合金めっき層100を形成する。
めっき装置はたとえば、めっき槽、撹拌装置、ろ過装置、温度調節器、陽極板及び水洗装置を備える。めっき槽内に上記めっき液を入れ、ピン3及びボックス4の少なくとも一方と陽極板とを浸漬する。ここで、鋼管1又はカップリング2全体をめっき液に浸漬してもよい。また、ピン3全体をめっき液に浸漬してもよいし、ピン3の接触表面34のみをめっき液に浸漬してもよい。また、ボックス4全体をめっき液に浸漬してもよいし、ボックス4の接触表面44のみをめっき液に浸漬しても良い。ピン3の接触表面34及びボックス4の接触表面44の少なくとも一方と陽極板とに通電することで、ピン3の接触表面34上及びボックス4の接触表面44上の少なくとも一方にZn−Ni合金めっき層100を形成する。
めっき槽内の温度、電流密度、pH及び撹拌速度等の条件は、適宜設定できる。電気めっきの条件はたとえば、めっき液pH:1〜10、めっき液温度:10〜60℃、電流密度:1〜100A/dm、撹拌速度:0.1〜1m/秒、及び、処理時間:1〜100分である。めっき工程完了後のピン3の接触表面34及びボックス4の接触表面44の少なくとも一方を、必要に応じて水洗及び乾燥する。水洗及び乾燥の方法は特に限定されない。
[成膜工程]
上述のZn−Ni合金めっき層100をピン3の接触表面34及びボックス4の接触表面44上の少なくとも一方に形成した後に、成膜工程を実施してもよい。成膜工程では、ピン3の接触表面34上、ボックス4の接触表面44上、及び、Zn−Ni合金めっき層100上からなる群から選択される少なくとも1つに潤滑被膜200を形成する。
ピン3の接触表面34上、ボックス4の接触表面44上、及び、Zn−Ni合金めっき層100上からなる群から選択される少なくとも1つに、上述の潤滑剤を塗布することで潤滑被膜200が形成できる。塗布方法は特に限定されない。塗布方法はたとえば、スプレー塗布、刷毛塗り及び浸漬である。スプレー塗布を採用する場合、潤滑剤を加熱して、流動性を高めた状態で噴霧してもよい。潤滑被膜200は、ピン3の接触表面34上、ボックス4の接触表面44上、及び、Zn−Ni合金めっき層100上からなる群から選択される少なくとも1つの一部に形成してもよい。しかしながら、潤滑被膜200は、ピン3の接触表面34上、ボックス4の接触表面44上、及び、Zn−Ni合金めっき層100上の全体に均一に形成することが好ましい。
以上の工程により、本実施形態の管用ねじ継手を製造できる。
以下、実施例を説明する。また、実施例中の%は、質量%を意味する。
[準備工程]
本実施例においては、ねじ継手の母材を想定して、市販の冷延鋼板を使用した。冷延鋼板は縦150mm×横100mm(めっき面は縦100mm×横100mm)であった。鋼種は、極低炭素鋼であった。鋼板の化学組成は、C:0.19%、Si:0.25%、Mn:0.8%、P:0.02%、S:0.01%、Cu:0.04%、Ni:0.1%、Cr:13%、Mo:0.04%、残部:Fe及び不純物であった。
試験番号1〜5のめっき浴の組成は以下のとおりであった。
・めっき液:ダインジンアロイ(大和化成株式会社製)
・グラファイト:TIMREX(商標)KS6(IMERYS・GRAPHITE&CARBON社製)1〜10g/L、粒子径<100nm(D90)
・ポリアクリル酸(シグマ アルドリッチ社製)、2×10−5mol/L、分子量(Mw)1800
・塩化1ブチル‐1‐メチルピロリジニウム(メルク株式会社製) 2×10−5mol/L
試験番号6〜8のめっき浴の組成は以下のとおりであった。
・めっき液:硫酸銅五水和物200g/L、硫酸50g/L(キシダ化学株式会社製)
・グラファイト:TIMREX(商標)KS6(IMERYS・GRAPHITE&CARBON社製)1〜10g/L、粒子径<100nm(D90)
・ポリアクリル酸(シグマ アルドリッチ社製)、2×10−5mol/L、分子量(Mw)1800
・塩化1ブチル‐1‐メチルピロリジニウム(メルク株式会社製) 2×10−5mol/L
[めっき層形成工程]
以下の条件で、各試験番号の鋼板表面にめっき層を形成した。
・めっき浴温度:25℃
・めっき電流密度:2A/dm
・めっき膜厚:5〜10μm
・撹拌速度:0.4m/秒
・めっきアノード(対極):不溶性陽極(酸化イリジウムコーティングTi板)
[めっき層の組成の測定試験]
めっき層を形成した各試験番号の鋼板に対して、上述の方法でNi含有量(at%)及びグラファイト含有量(at%)を測定した。試験番号6〜試験番号8については、EDXによる組成分析を行い、Cu及びCの合計含有量を100at%とし、C含有量の割合をグラファイト含有量(at%)とした。結果を表1に示す。
[めっき層の膜厚測定試験]
めっき層を形成した各試験番号の鋼板に対して、上述の方法でめっき層の膜厚を測定した。結果を表1に示す。
[めっき層のビッカース硬さ測定試験]
めっき層を形成した各試験番号の鋼板に対して、上述の方法でめっき層のビッカース硬さ(Hv0.005)を測定した。結果を表1に示す。
[バウデン摺動試験]
めっき層を形成した各試験番号の鋼板に対して、以下の条件でバウデン摺動試験を行った。焼付きを生じることなく、摩擦係数(μ)が0.2〜0.4を維持した回数を摺動回数として求めた。摺動回数を表1に示す。また、試験途中の摩擦係数の推移を図1に示す。
・鋼球:3/16”SUJ2
・荷重:3kgf(ヘルツ面圧:ave.1.5GPa)
・摺動幅:10mm
・摺動速度4mm/s
・潤滑油:なし(無塗油)
・試験温度:室温(25℃)
Figure 2020029946
[評価結果]
図11及び図12は、実施例におけるバウデン摺動試験の結果を示す図である。表1、図1、図11及び図12を参照して、グラファイトを含有するZn−Ni合金めっき層を備える試験番号2〜試験番号5の鋼板は、焼付きを生じることなく、0.2〜0.4の高い摩擦係数を維持した摺動回数が60回以上であり、優れた耐焼付き性を示し、さらに高トルク維持特性に優れた。そのため、管用ねじ継手は耐焼付き性に優れ、さらに、水平井戸に用いた場合であっても緩み難いといえる。
さらに、グラファイト含有量が30〜60at%の試験番号3〜試験番号5の鋼板は、グラファイト含有量が2.7at%の試験番号2の鋼板と比較して、摺動回数がさらに高く、さらに優れた高トルク維持特性を示した。この場合、管用ねじ継手はさらに緩み難いといえる。
一方、試験番号1の鋼板のZn−Ni合金めっき層は、グラファイトを含有しなかった。そのため、摺動回数が12回と少なく、高トルク維持特性及び耐焼付き性が劣った。
試験番号6の鋼板のめっき層は、Cuめっきであり、さらにグラファイトを含有しなかった。そのため、試験番号6の鋼板の摺動回数は2回と少なく、高トルク維持特性及び耐焼付き性が劣った。
試験番号7及び試験番号8の鋼板のめっき層は、Cuめっきであった。そのため、試験番号7及び試験番号8の鋼板の摺動回数は60回未満と少なく、高トルク維持特性及び耐焼付き性が劣った。
以上、本発明の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。
1 鋼管
2 カップリング
3 ピン
4 ボックス
31、41 ねじ部
32、42 金属シール部
33、43 ショルダー部
34、44 接触表面
100 Zn−Ni合金めっき層
200 潤滑被膜

Claims (6)

  1. 管用ねじ継手であって、
    ねじ部、金属シール部及びショルダー部を含む接触表面を有するピンと、
    ねじ部、金属シール部及びショルダー部を含む接触表面を有するボックスと、
    前記ピンの前記接触表面上又は前記ボックスの前記接触表面上の少なくとも一方に配置されるZn−Ni合金めっき層とを備え、
    前記Zn−Ni合金めっき層はグラファイトを含有する、管用ねじ継手。
  2. 請求項1に記載の管用ねじ継手であって、
    前記Zn−Ni合金めっき層は、前記Zn−Ni合金めっき層の化学組成全体を100at%とした場合に、5〜35at%のNiを含有する、管用ねじ継手。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の管用ねじ継手であって、
    前記Zn−Ni合金めっき層は、前記Zn−Ni合金めっき層の化学組成全体を100at%とした場合に、グラファイトを30〜60at%含有する、管用ねじ継手。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の管用ねじ継手であって、
    前記Zn−Ni合金めっき層の厚さは1〜50μmである、管用ねじ継手。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の管用ねじ継手であってさらに、
    前記ピンの前記接触表面上、前記ボックスの前記接触表面上、及び、前記Zn−Ni合金めっき層上からなる群から選択される少なくとも1つに潤滑被膜を備える、管用ねじ継手。
  6. 管用ねじ継手の製造方法であって、
    ねじ部、金属シール部及びショルダー部を含む接触表面を有するピンと、ねじ部、金属シール部及びショルダー部を含む接触表面を有するボックスと、亜鉛イオン、ニッケルイオン及びグラファイトを含有するめっき液とを準備する工程と、
    前記ピンの前記接触表面又は前記ボックスの前記接触表面の少なくとも一方を前記めっき液に接触させて、電気めっきにより前記ピンの前記接触表面上又は前記ボックスの前記接触表面上の少なくとも一方にZn−Ni合金めっき層を形成する工程を備える、管用ねじ継手の製造方法。
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