JP2018123346A - 管用ねじ継手及びその製造方法 - Google Patents

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Kazuya Ishii
一也 石井
後藤 邦夫
Kunio Goto
邦夫 後藤
雅也 木本
Masaya Kimoto
雅也 木本
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Abstract

【課題】耐焼付き性及び耐食性に優れる管用ねじ継手及びその製造方法を提供する。【解決手段】本実施形態の管用ねじ継手1は、ピン4及びボックス5と合金めっき層20とを備える。ピン4及びボックス5はそれぞれ、ねじ部41及び51及びねじ無し金属接触部42及び52を有する接触表面40及び50を備える。合金めっき層20は、5〜25質量%のコバルトと0.1〜5.0質量%のデキストリンとを含有し残部は亜鉛及び不純物からなる。合金めっき層20は、ピン4及びボックス5の少なくとも一方の接触表面40及び50上に配置される。【選択図】図3

Description

本発明は、管用ねじ継手及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、油井管用ねじ継手及びその製造方法に関する。
油田や天然ガス田の採掘のために、油井管が使用される。油井管は、井戸の深さに応じて、複数の鋼管を連結して形成される。鋼管の連結は、鋼管の端部に形成された管用ねじ継手同士をねじ締めすることによって行われる。油井管は、検査等のために引き上げられ、ねじ戻しされ、検査された後、再びねじ締めされて、再度使用される。
管用ねじ継手は、ピン及びボックスを備える。ピンは、鋼管の先端部の外周面に形成された雄ねじ部及びねじ無し金属接触部を含む。ボックスは、鋼管の先端部の内周面に形成された雌ねじ部及びねじ無し金属接触部を含む。ピン及びボックスのねじ部及びねじ無し金属接触部は、鋼管のねじ締め及びねじ戻し時に強い摩擦を繰り返し受ける。これらの部位に摩擦に対する十分な耐久性がなければ、ねじ締め及びねじ戻しを繰り返した時にゴーリング(修復不可能な焼付き)が発生する。したがって、管用ねじ継手には、摩擦に対する十分な耐久性、すなわち、優れた耐焼付き性が要求される。
従来、耐焼付き性を向上するために、ドープと呼ばれる重金属入りのコンパウンドグリースが使用されてきた。管用ねじ継手の表面にコンパウンドグリースを塗布することで、管用ねじ継手の耐焼き付き性を改善できる。しかしながら、コンパウンドグリースに含まれるPb、Zn及びCu等の重金属は環境に影響を与える可能性がある。このため、コンパウンドグリースを使用しない管用ねじ継手の開発が望まれている。
国際公開第2009/072486号(特許文献1)は、コンパウンドグリース無しでも耐焼付き性に優れる管用ねじ継手を提案する。
特許文献1に記載されている管用ねじ継手は、ねじ部とねじ無し金属接触部とを有する接触表面をそれぞれ備えたピンとボックスとを備える。ボックスの接触表面は、最上層として、塑性もしくは粘塑性型レオロジー挙動を有する固体潤滑被膜を有する。ピンの接触表面は、最上層として、紫外線硬化樹脂を主成分とする固体防食被膜を有する。これにより、コンパウンドグリースを使用せずに、錆の発生を抑制し、優れた耐焼付き性と気密性とを示し、かつ表面にべたつきがなく、外観や検査性に優れた管用ねじ継手が得られる、と特許文献1に記載されている。
管用ねじ継手の焼付きを抑制するには、硬度及び融点が高い金属を含むめっき層を形成することが有効である。そのため、従来、銅(Cu)めっき又はCu合金めっきが用いられてきた。Cuの硬度及び融点は高い。そのため、Cuがめっき層に含まれることによって、めっき層全体の硬度及び融点が高まる。したがって、管用ねじ継手の耐焼付き性が高まる。
Cu合金めっきによって管用ねじ継手の耐焼付き性を改善する技術が、特開2003−074763号公報(特許文献2)及び特開2008−215473号公報(特許文献3)に記載されている。
特許文献2に記載されている管用ねじ継手は、ピン部とカップリングとを含む。カップリングの両端には、雌ネジ及びメタル−メタルシール部を有するボックス部が設けられている。カップリングの雌ネジ及びメタル−メタルシール部の表面には、Cu−Sn合金層が一層配置されている。この管用ねじ継手を用いれば、グリーンドープ(Pbを含有しない潤滑剤)を使用しても従来よりシール性が良好で、且つゴーリングを格段に抑制することができる、と特許文献2に記載されている。
特許文献3に記載されている管用ねじ継手は、ピン及びボックスを含む。ピン及びボックスの少なくとも一方の接触表面は、Cu−Zn合金からなる第1のめっき層を有する。これにより、管用ねじ継手は、グリーンドープを塗布する場合、さらには無ドープの場合でも、十分な耐漏れ性と耐焼付き性とを示す、と特許文献3には記載されている。
国際公開第2009/072486号 特開2003−074763号公報 特開2008−215473号公報
ところで、油井管は、製造された後、船舶等により輸送され、使用されるまで一定期間保管される。油井管の輸送及び保管は、長期間に渡る場合がある。さらに、油井管の保管は屋外で行われる場合がある。屋外で長期に保管された場合、油井管用ねじ継手に錆が発生し、油井管用ねじ継手の気密性や耐焼付き性が低下する場合がある。したがって、油井管用ねじ継手には、上述の耐焼付き性に加え、優れた耐食性が要求される。
上述の特許文献1〜3に開示された技術を用いても、管用ねじ継手の耐焼付き性及び耐食性が低い場合がある。
本発明の目的は、耐焼付き性及び耐食性に優れる管用ねじ継手及びその製造方法を提供することである。
本実施形態の管用ねじ継手は、ピン及びボックスと合金めっき層とを備える。ピン及びボックスはそれぞれ、ねじ部及びねじ無し金属接触部を有する接触表面を備える。合金めっき層は、5〜25質量%のコバルトと0.1〜5.0質量%のデキストリンとを含有し残部は亜鉛及び不純物からなる。合金めっき層は、ピン及びボックスの少なくとも一方の接触表面上に配置される。
本実施形態の管用ねじ継手の製造方法は、ピン及びボックスを備える管用ねじ継手の製造方法である。ピン及びボックスはそれぞれ、ねじ部及びねじ無し金属接触部を有する接触表面を備える。本実施形態の製造方法は、準備工程と、合金めっき層形成工程とを備える。準備工程では、ピン及びボックスとめっき浴とを準備する。めっき浴は亜鉛イオン、コバルトイオン及びデキストリンを含有する。合金めっき層形成工程では、めっき浴を用いて、ピン及びボックスの少なくとも一方の接触表面上に合金めっき層を形成する。合金めっき層は、5〜25質量%のコバルトと0.1〜5.0質量%のデキストリンとを含有し残部は亜鉛及び不純物からなる。
本実施形態の管用ねじ継手は、耐焼付き性及び耐食性に優れる。
図1は、本実施形態による管用ねじ継手の構成を示す図である。 図2は、本実施形態による管用ねじ継手の断面図である。 図3は、本実施形態による管用ねじ継手の接触表面の断面図である。 図4は、図3とは異なる他の実施形態による管用ねじ継手の接触表面の断面図である。
以下、図面を参照して、本実施形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
本発明者らは、管用ねじ継手の耐焼付き性及び耐食性について種々検討を行った。その結果、以下の知見を得た。
管用ねじ継手の耐焼付き性を高めるには、高硬度及び高融点を有するめっき層をねじ部及びねじ無し金属接触部(以下、接触表面という。)に形成することが有効である。めっき層の硬度が高ければ、管用ねじ継手のねじ締め及びねじ戻しの際にめっき層が損傷を受けにくい。さらに、めっき層の融点が高ければ、管用ねじ継手のねじ締め及びねじ戻しの際、局所的に高温になった場合でもめっき層が溶け出しにくい。
そこで、本実施形態では、亜鉛及びコバルトを含有する合金めっき層を接触表面上に形成する。亜鉛及びコバルトを含有する合金の硬度及び融点は高い。したがって、管用ねじ継手の耐焼付き性を高めることができる。純金属の場合、亜鉛(Zn)は、従来めっきに用いられてきた銅(Cu)と比較して硬度及び融点が低い。しかしながら、亜鉛及びコバルトを含有する合金であれば、めっき層は十分な硬度及び融点を有し、耐焼付き性を高めることができる。
亜鉛を含有する合金を用いればさらに、管用ねじ継手の耐食性を高めることができる。亜鉛(Zn)は鉄(Fe)、ニッケル(Ni)及びクロム(Cr)と比較して卑な金属である。したがって、亜鉛(Zn)を含有する合金めっき層を接触表面に形成すれば、鋼材よりも優先的に合金めっき層が腐食される(犠牲防食)。これにより、管用ねじ継手の耐食性が高まる。
本実施形態の合金めっき層はさらに、デキストリンを含有する。合金めっき層がデキストリンを含有すれば腐食生成物が緻密になる。腐食生成物は、合金めっき層が腐食されて生成する物質の総称であり、亜鉛の酸化物を含む。合金めっき層が腐食される際、その初期段階で腐食生成物が合金めっき層表面を覆う。腐食生成物が緻密であれば、合金めっき層表面及び鋼材表面への酸素及び水等の腐食因子の接触が抑制される。これにより、腐食のさらなる進行が抑制される。この結果、管用ねじ継手の耐食性がさらに向上する。
以上の知見に基づいて完成した本実施形態の管用ねじ継手は、ピン及びボックスと合金めっき層とを備える。ピン及びボックスはそれぞれ、ねじ部及びねじ無し金属接触部を有する接触表面を備える。合金めっき層は、5〜25質量%のコバルトと0.1〜5.0質量%のデキストリンとを含有し残部は亜鉛及び不純物からなる。合金めっき層は、ピン及びボックスの少なくとも一方の接触表面上に配置される。
本実施形態の管用ねじ継手は、亜鉛、コバルト及びデキストリンを含有する合金めっき層を備える。そのため、耐焼付き性及び耐食性に優れる。
好ましくは、合金めっき層の厚さは、1〜20μmである。
この場合、管用ねじ継手の耐焼付き性及び耐食性と、合金めっき層の密着性とを両立しやすい。
好ましくは、上記管用ねじ継手はさらに、合金めっき層上に固体潤滑被膜を備える。
この場合、管用ねじ継手の潤滑性が高まる。
本実施形態の管用ねじ継手の製造方法は、ピン及びボックスを備える管用ねじ継手の製造方法である。ピン及びボックスはそれぞれ、ねじ部及びねじ無し金属接触部を有する接触表面を備える。本実施形態の製造方法は、準備工程と、合金めっき層形成工程とを備える。準備工程では、ピン及びボックスとめっき浴とを準備する。めっき浴は亜鉛イオン、コバルトイオン及びデキストリンを含有する。合金めっき層形成工程では、めっき浴を用いて、ピン及びボックスの少なくとも一方の接触表面上に合金めっき層を形成する。合金めっき層は、5〜25質量%のコバルトと0.1〜5.0質量%のデキストリンとを含有し残部は亜鉛及び不純物からなる。
好ましくは、上記製造方法はさらに、合金めっき層上に固体潤滑被膜を形成する工程を備える。
以下、本実施形態による管用ねじ継手及びその製造方法ついて詳述する。
[管用ねじ継手1]
管用ねじ継手は、ピン及びボックスを備える。図1は、本実施形態による管用ねじ継手の構成を示す図である。図1を参照して、管用ねじ継手1は、鋼管2とカップリング3とを備える。鋼管2の両端には、外面に雄ねじ部を有するピン4が形成される。カップリング3の両端には、内面に雌ねじ部を有するボックス5が形成される。ピン4とボックス5とをねじ締めすることによって、鋼管2の端に、カップリング3が取り付けられる。一方で、カップリング3を使用せず、鋼管2の一方の端をピン4とし、他方の端をボックス5とした、インテグラル方式の管用ねじ継手1もある。本実施形態の管用ねじ継手1は、カップリング方式及びインテグラル方式の両方の管用ねじ継手1に使用できる。
ピン4及びボックス5は、ねじ部及びねじ無し金属接触部を有する接触表面を有する。図2は、本実施形態による管用ねじ継手1の断面図である。図2を参照して、ピン4及びボックス5はそれぞれ、接触表面40及び50を含む。ピン4の接触表面40は、雄ねじ部41及びねじ無し金属接触部42を備える。ねじ無し金属接触部42は、金属シール部43及びショルダー部44を備える。ボックス5の接触表面50は、雌ねじ部51及びねじ無し金属接触部52を備える。ねじ無し金属接触部52は、金属シール部53及びショルダー部54を備える。
図2では、ピン4において、ショルダー部44、金属シール部43及び雄ねじ部41は、ピン4の先端から、ショルダー部44、金属シール部43及び雄ねじ部41の順で配置される。ボックス5において、ショルダー部54、金属シール部53及び雌ねじ部51は、ボックス5の先端から、雌ねじ部51、金属シール部53及びショルダー部54の順で配置される。しかしながら、接触表面40及び50の形状は図2に記載された形状に限定されない。たとえば、接触表面40及び50は、ショルダー部44及び54を含まなくてもよい。この場合、ピン4の金属シール部43及び雄ねじ部41は、ピン4の先端から、金属シール部43及び雄ねじ部41の順に配置される。ボックス5の金属シール部53及び雌ねじ部51は、ボックス5の先端から、雌ねじ部51及び金属シール部53の順に配置される。
図3は、本実施形態による管用ねじ継手の接触表面40及び50の断面図である。図3を参照して、管用ねじ継手1は、ピン4及びボックス5の少なくとも一方の接触表面40及び50上に合金めっき層20を備える。
[合金めっき層20]
合金めっき層20は、5〜25質量%のコバルトと0.1〜5.0質量%のデキストリンとを含有し残部は亜鉛及び不純物からなる。ここで、不純物とは亜鉛、コバルト及びデキストリン以外の物質で、管用ねじ継手1の製造中に合金めっき層20に含有され、本発明の効果に影響を与えない範囲の含有量で含まれる物質を含む。合金めっき層20の硬度及び融点は高い。そのため、管用ねじ継手1の耐焼付き性が高まる。合金めっき層20に含まれる亜鉛は、鉄と比較して卑な金属である。そのため、管用ねじ継手1の耐食性が高まる。合金めっき層20はデキストリンを含む。そのため、管用ねじ継手1の耐食性がさらに高まる。
[コバルト含有量]
合金めっき層20は、5〜25質量%のコバルトを含有する。この場合、合金めっき層20の組織は亜鉛とコバルトとの金属間化合物であるγ相を多く含む組織である。そのため、合金めっき層20の硬度が高まる。合金めっき層20の硬度が高ければ、管用ねじ継手1のねじ締め及びねじ戻し時に合金めっき層20が損傷を受けにくい。そのため、管用ねじ継手1の耐焼付き性が高まる。コバルトの含有量が5質量%未満であれば、合金めっき層20の組織がη相を多く含む組織になる。この場合、合金めっき層20の硬度は低い。合金めっき層20の硬度が低ければ、管用ねじ継手1の耐焼付き性が低下する。一方、コバルトの含有量が25質量%より多ければ、合金めっき層20の組織がα相を多く含む組織になる。この場合も、合金めっき層20の硬度は低い。合金めっき層20の硬度が低ければ、管用ねじ継手1の耐焼付き性が低下する。したがって、合金めっき層20のコバルト含有量は5〜25質量%である。
好ましくは、合金めっき層20のコバルト含有量の下限は10質量%であり、より好ましくは15質量%である。好ましくは、合金めっき層20のコバルト含有量の上限は20質量%である。
合金めっき層20のコバルト含有量は次の方法で測定する。測定は、エネルギー分散形X線分析装置(EDS)付き走査型電子顕微鏡(EDS:EDAX製Pegasus、SEM:(株)エリオニクス製ERA−8900FE)を用いて行う。合金めっき層表面の任意の3箇所を走査型電子顕微鏡にて観察し、組成分析する。測定倍率:1500〜5000倍、加速電圧:15〜30kV、照射電流:最大1nAの電子ビームを照射し、Co−kα線の強度を測定し、Coの含有量(質量%)を算出する。3箇所の平均値を採用し、Co含有量とする。
[デキストリン]
合金めっき層20はデキストリンを含有する。合金めっき層20がデキストリンを含有すれば、合金めっき層20の腐食生成物が緻密になる。合金めっき層20が腐食される際、その初期段階において、緻密な腐食生成物が合金めっき層20表面を覆う。これにより、腐食のさらなる進行が抑制される。このため、管用ねじ継手1の耐食性がさらに高まる。
デキストリンとはグルコース(C6105)がグリコシド結合で結合した多糖類の総称である。本実施形態では、重量平均分子量が102〜107の上記多糖類をデキストリンとする。デキストリンは、α‐1、4グリコシド結合及びα‐1、6グリコシド結合を含む。これらの結合の割合は特に限定されない。
デキストリンの重量平均分子量は液体クロマトグラフを用いて測定する。具体的には、移動相と反応液との2流路のフローシステムを持つ、日立製作所製L−7100型反応液体クロマトグラフ(検出器:UV/VIS検出器(365nm)、カラム:GC−W530)により測定する。測定条件は、移動相:0.1M NaCl、カラム温度:30℃、移動相流速:0.5mL/分、反応液:リン酸フェニルヒドラジン、反応液流速:0.5mL/分、反応温度:150℃とする。分子量校正曲線は、標準物質としてグルコース、マルトトリオース、プルランを用いて作成する。分析試料の調整は次のとおりに行う。測定対象のデキストリンを含む溶液に、1M炭酸ナトリウムを添加後、遠心分離(10000rpmで10分間)する。得られた上澄み液に1M塩酸を加えて分析試料とする。
合金めっき層20に含まれるデキストリンの重量平均分子量は次の方法で測定する。初めに、合金めっき層20を形成した管用ねじ継手1を準備する。管用ねじ継手1を0.8M、70〜80℃の硫酸に5分間浸漬して合金めっき層20を溶解する。次に、合金めっき層20を溶解した溶液を用いて、上述の方法により、デキストリンの重量平均分子量を測定する。
[デキストリン含有量]
合金めっき層20のデキストリン含有量は0.1〜5.0質量%である。デキストリン含有量が0.1質量%未満であれば、管用ねじ継手1の耐食性向上効果が得られない。一方、デキストリン含有量が5.0質量%より多ければ、合金めっき層20の硬度が低下する。この場合、管用ねじ継手1の耐焼付き性が低下する。したがって、デキストリンの含有量は0.1〜5.0質量%である。
好ましくは、合金めっき層20のデキストリン含有量の下限は0.5質量%であり、より好ましくは1.0質量%である。好ましくは、合金めっき層20のデキストリン含有量の上限は3.0質量%である。
合金めっき層20のデキストリン含有量は次の方法で測定する。上述の方法により、合金めっき層20を溶解する。デキストリンを含むめっき溶解液1mLに、5%フェノール液を1mL加えて混合する。次に、濃硫酸5mLを加えて混合する。10分間反応させて、デキストリンをグルコースに分解する。グルコースを含む液を、常温の水浴中で10分以上冷却した後、490nmでの吸光度を測定する。
合金めっき層20の厚さは、1〜20μmであることが好ましい。合金めっき層20の厚さが1μm以上であれば、管用ねじ継手1の耐焼付き性及び耐食性を安定して高めることができる。合金めっき層20の厚さが20μm以下であれば、めっきの密着性が安定する。したがって、合金めっき層の厚さは1〜20μmであることが好ましい。
合金めっき層20の厚さは次の方法で測定する。合金めっき層20を形成した管用ねじ継手1を、管用ねじ継手1の長手方向に対して直角に切断し、切断片を得る。切断面が観察面となるように切断片を樹脂に埋め込む。観察面を研磨し、観察試料を作製する。走査型電子顕微鏡(SEM)により合金めっき層20の断面観察をして、合金めっき層20の厚さを測定する。
[固体潤滑被膜21]
図4は、図3とは異なる他の実施形態による管用ねじ継手の接触表面40及び50の断面図である。図4を参照して、好ましくは、管用ねじ継手1はさらに、合金めっき層20上に固体潤滑被膜21を備える。この場合、管用ねじ継手1の潤滑性が高まる。固体潤滑被膜21は周知のものを使用できる。固体潤滑被膜21はたとえば、潤滑性粒子及び結合剤を含む。固体潤滑被膜21は、必要に応じて、溶媒及び他の成分を含有してもよい。
潤滑性粒子は、固体潤滑被膜21の表面の摩擦係数を低下させる。潤滑性粒子は、潤滑性を有する粒子であれば特に限定されない。潤滑性粒子はたとえば、黒鉛、MoS2(二硫化モリブデン)、WS2(二硫化タングステン)、BN(窒化ホウ素)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、CFx(フッ化黒鉛)及びCaCO3(炭酸カルシウム)からなる群から選択される1種又は2種以上である。好ましくは、黒鉛、フッ化黒鉛、MoS2及びPTFEが用いられる。
結合剤は、潤滑性粒子を固体潤滑被膜21中に結合させる。結合剤はたとえば、有機系樹脂及び無機系樹脂からなる群から選択される1種又は2種である。有機系樹脂を用いる場合は、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群から選択される1種を用いることができる。熱硬化性樹脂はたとえば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ウレア樹脂及びアクリル樹脂からなる群から選択される1種又は2種以上である。熱可塑性樹脂はたとえば、ポリアミドイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂及びエチレン酢酸ビニル樹脂からなる群から選択される1種又は2種以上である。
無機系樹脂を用いる場合は、ポリメタロキサンを用いることができる。ポリメタロキサンとは、金属−酸素結合の繰り返しが主鎖骨格である高分子化合物のことをいう。好ましくは、ポリチタノキサン(Ti−O)及びポリシロキサン(Si−O)が用いられる。これらの無機系樹脂は、金属アルコキシドを加水分解及び縮合させることで得られる。金属アルコキシドのアルコキシ基はたとえば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、ブトキシ基及びtert−ブトキシ基等の低級アルコキシ基である。
潤滑性粒子及び結合剤を溶解又は分散させる必要がある場合は、溶媒を用いる。溶媒は、固体潤滑被膜21に含まれる成分を分散又は溶解できるものであれば、特に限定されない。溶媒は、有機溶媒及び水からなる群から選択される1種又は2種を用いることができる。有機溶媒はたとえば、トルエン及びイソプロピルアルコールからなる群から選択される1種又は2種である。
固体潤滑被膜21は、必要に応じて、他の成分を含有できる。他の成分はたとえば、防錆剤、腐食抑制剤、界面活性剤、ワックス、摩擦調整剤及び顔料等である。潤滑性粒子、結合剤、溶媒及びその他の成分のそれぞれの含有量は、適宜設定される。
[管用ねじ継手1の母材]
管用ねじ継手1の母材の組成は、特に限定されない。母材はたとえば、炭素鋼、ステンレス鋼及び合金鋼等である。合金鋼の中でも、Cr、Ni及びMo等の合金元素を含んだ二相ステンレス鋼及びNi合金等の高合金鋼は耐食性が高い。そのため、これらの高合金鋼を母材に使用すれば、硫化水素や二酸化炭素等を含有する腐食環境において、優れた耐食性が得られる。
[製造方法]
本実施形態による管用ねじ継手1の製造方法は、準備工程と、合金めっき層形成工程とを備える。
[準備工程]
準備工程では、ピン4及びボックス5とめっき浴とを準備する。めっき浴は亜鉛イオン、コバルトイオン及びデキストリンを含有する。めっき浴はさらに、溶媒を含有する。溶媒は水であることが好ましい。亜鉛イオン及びアニオンの塩(たとえば硫酸亜鉛)を溶媒に溶かすことによって、めっき浴中に亜鉛イオンを含有させる。同様に、コバルトイオン及びアニオンの塩(たとえば硫酸コバルト)を溶媒に溶かすことによって、めっき浴中にコバルトイオンを含有させる。アニオンはたとえば、硫酸イオン、塩化物イオン及びピロリン酸イオンからなる群から選択される1種又は2種以上である。
めっき浴中における亜鉛イオンの含有量の下限は亜鉛換算で、好ましくは10g/L、より好ましくは20g/Lである。めっき浴中における亜鉛イオンの含有量の上限は亜鉛換算で、好ましくは55g/L、より好ましくは30g/Lである。めっき浴中におけるコバルトイオンの含有量の下限はコバルト換算で、好ましくは10g/L、より好ましくは30g/Lである。めっき浴中におけるコバルトイオンの含有量の上限はコバルト換算で、好ましくは50g/L、より好ましくは45g/Lである。
めっき浴はデキストリンを含有する。めっき浴中におけるデキストリンの含有量の下限は、好ましくは0.5g/L、より好ましくは1.0g/Lである。めっき浴中におけるデキストリンの含有量の上限は、好ましくは15g/L、より好ましくは10g/Lである。
めっき浴は必要に応じて、電導度塩、アノード溶解促進剤、錯化剤、pH緩衝剤、界面活性剤、還元剤、安定剤及びその他の添加剤からなる群から選択される1種又は2種以上を含有してもよい。
[合金めっき層形成工程]
合金めっき層形成工程では、上記めっき浴を用いて、ピン4及びボックス5の少なくとも一方の接触表面40及び50上に、合金めっき層20を形成する。合金めっき層20は、電気めっきにより形成される。電気めっきは、上記めっき浴に、ピン4及びボックス5の少なくとも一方の接触表面40及び50を浸漬し、通電することによって行う。電気めっきの条件は適宜設定できる。電気めっきの条件はたとえば、めっき浴pH:1〜10、めっき浴温度:10〜60℃、電流密度:1〜100A/dm2、及び、処理時間:0.1〜30分である。
[固体潤滑被膜形成工程]
好ましくは、上記製造方法は、合金めっき層20上に固体潤滑被膜21を形成する工程(固体潤滑被膜形成工程)を備える。固体潤滑被膜形成工程では、はじめに、固体潤滑被膜用組成物(以下、組成物とも称する。)を準備する。組成物は、上述の潤滑性粒子及び結合剤を混合することで形成される。組成物はさらに、上述の溶媒及び他の成分を含有してもよい。
得られた組成物を合金めっき層20上に塗布する。塗布の方法は特に限定されない。たとえば、スプレーガンを用いて、合金めっき層20上に組成物を噴霧する。組成物が塗布されたピン4又はボックス5を、加熱乾燥させる。これにより、組成物が硬化し、合金めっき層20上に固体潤滑被膜21が形成される。加熱乾燥の条件は、組成物に含まれる各成分の沸点及び融点等を考慮して、適宜設定できる。溶媒を用いない組成物に対しては、ホットメルト法を用いることができる。ホットメルト法では、組成物を加熱して流動状態にする。流動状態になった組成物をたとえば、温度保持機能を有するスプレーガンを用いて噴霧する。組成物を塗布したピン4又はボックス5を、空冷等により冷却する。これにより、組成物が硬化し、合金めっき層20上に固体潤滑被膜21が形成される。
[その他の工程]
上記製造工程はさらに、必要に応じて、合金めっき層形成工程の前に前処理工程を備えてもよい。前処理工程はたとえば、酸洗及びアルカリ脱脂である。前処理工程では、接触表面40及び50上に付着した油分等を洗浄する。前処理工程はさらに、機械研削仕上げ等の研削加工を備えてもよい。前処理工程は、合金めっき層形成工程の前であれば、準備工程の前に実施しても準備工程の後に実施してもよい。
上記製造工程はさらに、必要に応じて、燐酸塩被膜形成工程を備えてもよい。燐酸塩被膜形成工程では、合金めっき層20と固体潤滑被膜21との間に燐酸塩被膜を形成する。燐酸塩被膜により、固体潤滑被膜の密着性を高めることができる。燐酸塩はたとえば、燐酸亜鉛及び燐酸マンガンからなる群から選択される1種又は2種である。燐酸塩被膜形成工程は、周知の方法で実施できる。
以下、実施例を説明する。実施例において、ピンの接触表面をピン表面、ボックスの接触表面をボックス表面という。また、実施例中の%は、質量%を意味する。
基材には、高合金鋼の1種であるCr13%鋼(C:0.18%、Si:0.23%、Mn:0.8%、P:0.02%、S:0.01%、Cu:0.04%、Ni:0.1%、Cr:13%、Mo:0.04%、残部:Fe及び不純物)を用いた。このCr13%鋼を用いて、継目無鋼管及びカップリングを製造した。継目無鋼管のサイズは外径244.5mm、肉厚13.84mm、長さ1200mmであった。継目無鋼管の両端の外面には、切削加工によって雄ねじ部及びねじ無し金属接触部を有するピンを形成した。カップリングの両端の内面には、切削加工によって雌ねじ部及びねじ無し金属接触部を有するボックスを形成した。
[準備工程]
亜鉛イオン、コバルトイオン及びデキストリンを含有するめっき浴を準備した。めっき浴は、市販特級の硫酸亜鉛七水和物、硫酸コバルト七水和物、市販特級のデキストリン(キシダ化学製、重量平均分子量:102〜107)、塩化アンモニウム:0.5mol/L及びホウ酸:0.5mol/Lを純水に溶かして作製した。亜鉛イオン濃度、コバルトイオン濃度及びデキストリンの濃度をそれぞれ変化させて数種類のめっき浴を建浴した。
[合金めっき層形成工程]
試験番号1〜試験番号13のボックス表面に合金めっき層を形成した。具体的には、各試験番号のめっき浴にカップリングを浸漬し、通電することで合金めっき層を形成した。めっき条件は、めっき浴pH:3.5、めっき浴温度:35℃、電流密度:2〜20A/dm2(定電流電解法)であった。
試験番号14のボックス表面には、Cu−Sn−Zn合金めっき層を形成した。具体的には、銅イオン、錫イオン及び亜鉛イオンを含有するシアン浴を用いて、電気めっきによりボックス表面にCu−Sn−Zn合金めっき層を形成した。Cu−Sn−Zn合金めっき層は、Zn:約7%、Sn:約40%、Cu:約53%を含有した。
[固体潤滑被膜形成工程]
試験番号1〜試験番号14のボックス表面にさらに固体潤滑被膜を形成した。固体潤滑被膜形成用の組成物は、ポリアミドイミド樹脂:12質量%、ジメチルスルホキシド:45質量%、PTFE粒子:5質量%、純水:残部を含有した。この組成物を合金めっき層上にスプレー塗布した後、予備乾燥(85℃、10分)及び本加熱(280℃、30分)し、平均膜厚30μmの固体潤滑被膜を形成した。
ピン表面は、機械研削仕上げ(表面粗さ3μm)を施した後、固体防食被膜を形成した。固体防食被膜形成用の組成物は、アクリル樹脂系紫外線硬化型樹脂塗料、亜燐酸アルミニウム及びポリエチレンワックスを含有した。亜燐酸アルミニウム及びポリエチレンワックスの含有量は、アクリル樹脂系紫外線硬化型樹脂1に対して、それぞれ0.05及び0.01であった。この組成物をピン表面に塗布した後、組成物にUVランプ(空冷水銀ランプ、出力4kW、紫外線波長:260nm)で紫外線を照射して硬化させた。固体防食被膜の厚さは25μmであった。
[合金めっき層中のCo含有量測定試験]
各試験番号の合金めっき層中のCo含有量を上述の方法により測定した。結果を表1に示す。
[合金めっき層中のデキストリン含有量測定試験]
各試験番号の合金めっき層中のデキストリン含有量を上述の方法により測定した。結果を表1に示す。
[合金めっき層の膜厚測定試験]
各試験番号の合金めっき層の膜厚を上述の方法により測定した。結果を表1に示す。
[耐焼付き性評価試験]
各試験番号のピン及びボックスに対して耐焼付き性を評価した。具体的には、各試験番号のピン及びボックスを有する継目無鋼管及びカップリングを用いて、常温でねじ締め及びねじ戻しを繰り返した。ねじ締め及びねじ戻しは最大10回繰り返された。ねじ締めの締付けトルクは49351.8N・m(36400ft・lbs)であった。ねじ締め及びねじ戻しを1回行うごとに、ピン表面を目視観察した。目視観察により焼付きが発生した回数を測定した。結果を表1に示す。表1中、「>10」とあるのは、ねじ締め及びねじ戻しを10回繰り返しても焼付きが発生しなかったことを示す。
[塩水噴霧試験]
上記カップリングと同様の組成を有する試験片を用いて、塩水噴霧試験を実施した。試験片は、各試験番号のボックス表面と同様の合金めっき層及び固体潤滑被膜を備えた。試験片の大きさは幅:70mm、長さ:50mm、厚さ:1mmであった。塩水噴霧試験はJIS Z2371(2000)に記載された方法に基づいて実施した。試験時間は最大4500時間であった。目視観察により各試験番号の試験片表面に錆が発生した時間を計測した。結果を表1に示す。表1中、「>4500」とあるのは、4500時間経過後も発錆が確認されなかったことを示す。
Figure 2018123346
[評価結果]
表1を参照して、試験番号1〜試験番号5の管用ねじ継手は、ピン及びボックスの少なくとも一方の接触表面上に適切な合金めっき層を備えた。具体的には、試験番号1〜試験番号5の管用ねじ継手は、5〜25質量%のコバルトと0.1〜5.0質量%のデキストリンとを含有し残部は亜鉛からなる合金めっき層を備えた。そのため、試験番号1〜試験番号5の管用ねじ継手は、優れた耐焼付き性及び耐食性を示した。具体的には、試験番号1〜試験番号5の管用ねじ継手は、ねじ締め及びねじ戻しを10回繰り返しても焼付きが発生しなかった。さらに、試験番号1〜試験番号5の管用ねじ継手は、塩水噴霧試験において4500時間経過後も発錆が確認されなかった。
一方、試験番号6の管用ねじ継手は、合金めっき層のコバルト含有量が4.5質量%であった。さらに、試験番号6の管用ねじ継手の合金めっき層はデキストリンを含有しなかった。そのため、試験番号6の管用ねじ継手はねじ締め及びねじ戻しを8回繰り返すと焼付きが発生した。さらに、試験番号6の管用ねじ継手には、塩水噴霧試験において500時間経過後に発錆が確認された。
試験番号7の管用ねじ継手は、合金めっき層のコバルト含有量が4.5質量%であった。さらに、試験番号7の管用ねじ継手は、合金めっき層のデキストリン含有量が0.01質量%であった。そのため、試験番号7の管用ねじ継手はねじ締め及びねじ戻しを8回繰り返すと焼付きが発生した。さらに、試験番号7の管用ねじ継手には、塩水噴霧試験において500時間経過後に発錆が確認された。
試験番号8の管用ねじ継手の合金めっき層はデキストリンを含有しなかった。そのため、試験番号8の管用ねじ継手には、塩水噴霧試験において4000時間経過後に発錆が確認された。
試験番号9の管用ねじ継手は、合金めっき層のデキストリン含有量が0.05質量%であった。そのため、試験番号9の管用ねじ継手には、塩水噴霧試験において4000時間経過後に発錆が確認された。
試験番号10の管用ねじ継手は、合金めっき層のデキストリン含有量が5.50質量%であった。そのため、試験番号10の管用ねじ継手はねじ締め及びねじ戻しを9回繰り返すと焼付きが発生した。
試験番号11の管用ねじ継手は、合金めっき層のコバルト含有量が28質量%であった。さらに、試験番号11の管用ねじ継手は、合金めっき層のデキストリン含有量が0.02質量%であった。そのため、試験番号11の管用ねじ継手はねじ締め及びねじ戻しを8回繰り返すと焼付きが発生した。さらに、試験番号11の管用ねじ継手には、塩水噴霧試験において1200時間経過後に発錆が確認された。
試験番号12の管用ねじ継手は、合金めっき層のコバルト含有量が28質量%であった。そのため、試験番号12の管用ねじ継手はねじ締め及びねじ戻しを8回繰り返すと焼付きが発生した。さらに、試験番号12の管用ねじ継手には、塩水噴霧試験において1500時間経過後に発錆が確認された。
試験番号13の管用ねじ継手は、合金めっき層のコバルト含有量が28質量%であった。さらに、試験番号13の管用ねじ継手は、合金めっき層のデキストリン含有量が5.50質量%であった。そのため、試験番号13の管用ねじ継手はねじ締め及びねじ戻しを7回繰り返すと焼付きが発生した。さらに、試験番号13の管用ねじ継手には、塩水噴霧試験において2000時間経過後に発錆が確認された。
試験番号14の管用ねじ継手は、従来のCu−Sn−Zn合金めっき層を備えた。そのため、試験番号14の管用ねじ継手はねじ締め及びねじ戻しを8回繰り返すと焼付きが発生した。さらに、試験番号14の管用ねじ継手には、塩水噴霧試験において750時間経過後に発錆が確認された。
以上、本発明の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。
1 管用ねじ継手
4 ピン
5 ボックス
40、50 接触表面
41、51 ねじ部
42、52 ねじ無し金属接触部
20 合金めっき層
21 固体潤滑被膜

Claims (5)

  1. ねじ部及びねじ無し金属接触部を有する接触表面をそれぞれ備えるピン及びボックスと、
    前記ピン及び前記ボックスの少なくとも一方の前記接触表面上に、5〜25質量%のコバルトと0.1〜5.0質量%のデキストリンとを含有し残部は亜鉛及び不純物からなる合金めっき層とを備える、管用ねじ継手。
  2. 請求項1に記載の管用ねじ継手であって、
    前記合金めっき層の厚さは1〜20μmである、管用ねじ継手。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の管用ねじ継手であってさらに、
    前記合金めっき層上に固体潤滑被膜を備える、管用ねじ継手。
  4. ねじ部及びねじ無し金属接触部を有する接触表面をそれぞれ備えるピン及びボックスを備える管用ねじ継手の製造方法であって、
    前記ピン及び前記ボックスと、亜鉛イオン、コバルトイオン及びデキストリンを含有するめっき浴とを準備する工程と、
    前記めっき浴を用いて、前記ピン及び前記ボックスの少なくとも一方の前記接触表面上に、5〜25質量%のコバルトと0.1〜5.0質量%のデキストリンとを含有し残部は亜鉛及び不純物からなる合金めっき層を形成する工程とを備える、管用ねじ継手の製造方法。
  5. 請求項4に記載の管用ねじ継手の製造方法であってさらに、
    前記合金めっき層上に、固体潤滑被膜を形成する工程を備える、管用ねじ継手の製造方法。
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WO2020021704A1 (ja) * 2018-07-27 2020-01-30 日本製鉄株式会社 管用ねじ継手及びその製造方法

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