JP2020029910A - 制震装置及び制震装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】制震装置の構成を簡易にする。【解決手段】制震装置1は、一方と他方との間の相対的な距離が可変である第1接続端部15A及び第2接続端部15Bと、第1接続端部15Aの移動に伴って変形し、変形によって弾性エネルギを保存可能なバネ16と、弾性エネルギから変換された運動エネルギを保存する慣性質量17と、慣性質量17の作動を不可とする第1形態と、作動を可能とする第2形態とを、相互に切り替え可能なロック機構18と、ロック機構18における第1形態及び第2形態を相互に切り替える制御部20と、を備える。【選択図】図3
Description
本発明は、制震装置及び制震装置の制御方法に関する。
構造物に適用される制震技術が検討されている。例えば、制震技術には、構造物に取り付けたオイルダンパによって、地震等に起因して構造物に与えられるエネルギを吸収する技術がある。一般に、オイルダンパの減衰係数は一定である。その結果、制震装置自身が有する剛性だけでなく、制震装置を構造物に取り付ける連結部材の剛性や、制震装置が設けられる周囲の架構の変形に起因する剛性による制約の理由から、吸収可能なエネルギの量には限界が存在する。
特許文献1は、付加振動系によって構造物の振動を適切に抑制する振動抑制装置を開示する。この装置は、オイルダンパに錘を組み合わせることによってエネルギの吸収量の向上を図る。具体的には、特許文献1の技術は、設置された建物に対する負剛性効果あるいは建物周期への同調によりストロークの拡張を図る。しかし、周辺架構の変形に起因する剛性の制約を無視することはできず、エネルギの吸収量は、一般的なオイルダンパを用いた場合とほぼ同等である。
特許文献2は、制震構造物用可変減衰装置を開示し、特許文献3は減衰係数切替型油圧ダンパを開示する。これらの装置は、オイルダンパの流路に設けられた開閉制御弁を有する。そして、開閉制御弁の開度を、全開及び全閉のいずれに制御することにより、エネルギの吸収量の向上を図る。この制御によれば、上述した剛性に起因する制約下において、エネルギの吸収量を最大化することができる。
特許文献4は、油圧ダンパ開閉制御弁の制御方法を開示する。この制御方法が適用される装置は、油圧ダンパ及び開閉制御弁に加えて、さらに油圧タンクを有する。この油圧タンク及び開閉制御弁によれば、構造物に与えられたエネルギを回生するとともに、回生したエネルギを制震に転用することができる。その結果、エネルギの吸収量がさらに向上する。
特許文献4に開示された装置は、エネルギ回生のための構成要素として、油圧タンクと3個の開閉制御弁とを備えている。従って、油圧ダンパへの付加構成要素の構造が複雑化する。
そこで、本発明は、構成を簡易にできる制震装置及び制震装置の制御方法を提供することを目的とする。
本発明の一形態に係る制震装置は、一方と他方との間の相対的な距離が可変である第1接続端部及び第2接続端部と、第1接続端部の移動に伴って変形し、変形によって弾性エネルギを保存可能なバネ部と、弾性エネルギから変換された運動エネルギを保存する慣性質量部と、慣性質量部の作動を不可とする第1形態と、作動を可能とする第2形態とを、相互に切り替え可能な連結部と、連結部における第1形態及び第2形態を相互に切り替える制御部と、を備える。
制震装置は、第1の接続端部から入力されるエネルギを弾性エネルギとしてバネ部に保存することができる。また、制震装置は、当該弾性エネルギを運動エネルギとして慣性質量部に保存することができる。そして、制震装置は、運動エネルギを利用して、バネ部を変形させることができる。その結果、制震装置は、第1の接続端部から入力されるエネルギを回生する機構を簡易にすることができる。
一形態において、制御部は、第1接続端部が所定の方向へ移動しているとき、連結部を第1形態とする第1制御と、第1制御の後に、第1接続端部の移動の方向が所定の方向とは逆方向に反転したと判断されたとき、連結部を第2形態に切り替える第2制御と、第2制御の後に、連結部を第2形態に維持することにより、バネ部を所定の方向とは逆方向へ変形させるように慣性質量部の運動エネルギをバネ部に移動させた後に、連結部を第1形態に切り替える第3制御と、を行ってもよい。
制震装置は、第1の制御において、第1の接続端部から入力されるエネルギを弾性エネルギとしてバネ部に保存する。次に、第2の制御において、当該弾性エネルギを運動エネルギとして慣性質量部に保存する。そして、第3の制御において、運動エネルギを利用して、バネ部を変形させる。その結果、これらの制御によれば、第1の接続端部から入力されるエネルギを回生する機構を簡易にすることができる。
一形態に係る制震装置は、ピストンによって仕切られた第1及び第2油圧室を有するオイルダンパと、第1及び第2油圧室との間で作動油を相互に移動させる流路と、流路に設けられて開状態と閉状態とを相互に切り替え可能な開閉制御弁と、運動エネルギを回転運動として保存する回転錘と、流路に設けられて、流路を流れる作動油が有する流体エネルギと回転錘の運動エネルギとを相互に変換するエネルギ変換部と、を備え、連結部は、開閉制御弁を含み、バネ部は、オイルダンパに起因する剛性要素を含み、慣性質量部は、回転錘を含み、制御部は、第1制御及び第3制御では、開閉制御弁を閉状態とすることにより、連結部を第1形態とし、第2制御では、開閉制御弁を開状態とすることにより、連結部を第2形態としてもよい。この構成によれば、第1の接続端部から入力されるエネルギを回生する機構を好適に簡易にすることができる。
本発明の別の形態は、制震装置の制御方法であって、制震装置は、一方と他方との間の相対的な距離が可変である第1接続端部及び第2接続端部と、第1接続端部の移動に伴って変形し、変形によって弾性エネルギを保存可能なバネ部と、弾性エネルギから変換された運動エネルギを保存する慣性質量部と、慣性質量部の作動を不可とする第1形態と、作動を可能とする第2形態とを、相互に切り替え可能な連結部と、連結部における第1形態及び第2形態を相互に切り替える制御部と、を備え、第1接続端部が所定の方向へ移動しているとき、連結部を第1形態とする第1ステップであって、バネ部が所定の方向へ向けて変形することにより、バネ部に弾性エネルギが保存される第1ステップと、第1ステップの後に、第1接続端部の移動の方向が所定の方向とは逆方向に反転したとき、連結部を第2形態に切り替える第2ステップであって、バネ部に保存された弾性エネルギを慣性質量部へ運動エネルギとして移動させる第2ステップと、第2ステップの後に、連結部を第2形態に維持することにより、バネ部を所定の方向とは逆方向へ変形させるように慣性質量部の運動エネルギをバネ部に移動させた後に、連結部を第1形態に切り替える第3ステップと、を有する。
制震装置の制御方法は、第1のステップにおいて、第1の接続端部から入力されるエネルギを弾性エネルギとしてバネ部に保存する。次に、第2のステップにおいて、当該弾性エネルギを運動エネルギとして慣性質量部に保存する。そして、第3のステップにおいて、運動エネルギを利用して、バネ部を変形させる。その結果、これらのステップによれば、第1の接続端部から入力されるエネルギを回生する機構を簡易にすることができる。
本発明のさらに別の形態である制振装置は、シリンダと、シリンダ内を往復動するピストンと、ピストンで仕切られて両側に設けられた一対の油圧室と、一対の油圧室を互いに接続する流路と、流路に接続された慣性質量部と、慣性質量部と油圧室との間で、流路に設けられて開状態と閉状態とを相互に切り替え可能な開閉制御弁と、開閉制御弁の開閉を制御する制御部と、を備える。このような構成を有する制震装置は、外部から入力されるエネルギを回生する機構を簡易にすることができる。
本発明によれば、構成を簡易にできる制震装置及び制震装置の制御方法が提供される。
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[制震装置の構成]
図1に示すように制震装置1は、構造物の構造躯体100に連結部材であるブレース101等を介して連結される。そして、制震装置1は、地震や風などに起因する建物の揺れを低減する。具体的には、制震装置1は、揺れによって構造躯体100に生じる歪エネルギを除荷及び吸収する。
図1に示すように制震装置1は、構造物の構造躯体100に連結部材であるブレース101等を介して連結される。そして、制震装置1は、地震や風などに起因する建物の揺れを低減する。具体的には、制震装置1は、揺れによって構造躯体100に生じる歪エネルギを除荷及び吸収する。
図2は、制震装置1の基本構成を示す。制震装置1は、油圧機構を用いたエネルギ吸収装置である。制震装置1は、オイルダンパ2と、油圧回路部3と、を有する。
オイルダンパ2は、シリンダ4と、ピストン6と、連結端7(第1接続端部)と、連結端8(第2接続端部)と、を有する。シリンダ4は、筒状を呈する。シリンダ4の内部には、ピストン6が往復移動可能に配置されている。ピストン6は、シリンダ4の内部を2個の空間に仕切る。従って、シリンダ4の内部には、2個の油圧室9L(第1油圧室)及び油圧室9R(第2油圧室)が形成される。油圧室9L、9Rは、作動油が充填されている。シリンダ4は、油圧室9Lに連通するポート4aと、油圧室9Rに連通するポート4bと、を有する。ポート4a、4bは、それぞれ油圧回路部3に接続されている。従って、作動油は、ポート4a、4b及び油圧回路部3を介して、油圧室9Lから油圧室9Rへ移動することができ、油圧室9Rから油圧室9Lへ移動することもできる。連結端7は、ピストン6の軸端をブレース101に連結する。連結端8は、シリンダ4の筐体を構造躯体100に連結する。
油圧回路部3は、流路11と、油圧ユニット12(慣性質量部)と、制御弁13と、を有する。なお、制御弁13は、連結部を構成する。また、油圧ユニット12及び制御弁13は、エネルギ回生機構を構成する。つまり、制震装置1は、慣性質量である油圧ユニット12を利用して、作動油が有する圧力エネルギや流れの運動エネルギと、別のエネルギ(後述する回転錘12Sの慣性エネルギ)と、を相互に変換することにより、振動のエネルギを制震に利用するエネルギ回生機構である。流路11は、油圧室9Lと油圧室9Rとを接続する。この接続とは、油圧室9Lと油圧室9Rとの間で作動油が行き来できることをいう。流路11には、油圧ユニット12と、制御弁13とが配置されている。具体的には、油圧ユニット12は、制御弁13を介して油圧室9Lと接続されている。また、油圧ユニット12は、油圧室9Rと接続されている。
油圧ユニット12は、歯車12G(エネルギ変換部)と、回転錘12Sと、を有する(図4等参照)。油圧ユニット12は、作動油の流れと回転錘12Sの回転とを相互に変換する。つまり、油圧ユニット12は、作動油の流れを受けて回転錘12Sを回転させる。また、油圧ユニット12は、回転錘12Sの回転を受けて作動油の流れを生じさせる。換言すると、油圧ユニット12は、油圧室9L、9Rの内部圧力の差に応じて回転錘12Sを回転させるモータとして機能する。また、油圧ユニット12は、回転錘12Sのエネルギを利用して、油圧室9L、9Rの内部圧力の差を発生させるポンプとして機能する。
要するに、制震装置1は、シリンダ4と、シリンダ4内を往復動するピストン6と、ピストン6で仕切られて両側に設けられた一対の油圧室9L、9Rと、一対の油圧室9L、9Rを互いに接続する流路11と、流路11に接続された慣性質量部である油圧ユニット12と、油圧ユニット12と油圧室9L、9Rとの間で、流路11に設けられて開状態と閉状態とを相互に切り替え可能な制御弁13と、制御弁13の開閉を制御する制御部20と、を備える、ものとしてよい。
この構成によれば油圧回路部3を単純化し、慣性質量として回転錘を利用することで制震装置1をコンパクトかつ単純にすることができる。
図3は、構造躯体100に設置された制震システムとしての制震装置1の力学モデルを示す。制震装置1は、力学的要素として、第1接続端部15A及び第2接続端部15Bと、バネ16(バネ部)と、慣性質量17(慣性質量部)と、ロック機構18(連結部)と、制御部20と、を有する。バネ16の一端は、第1接続端部15Aを介してブレース101に連結される。バネ16の他端は、慣性質量17及びロック機構18に連結される。慣性質量17及びロック機構18は、互いに並列に連結され、第2接続端部15Bを介して、構造躯体100に連結される。
バネ16は、弾性エネルギを保存する。バネ16は、例えば、図1の制震装置1における作動油の弾性を力学モデルとして示した剛性要素である。なお、バネ16には、作動油に加えて、ピストン6の軸における剛性、ブレース101等の取付部材の剛性及び局所的な構造躯体100の変形に起因する剛性を含むものとしてもよい。慣性質量17は、運動エネルギを保存する。ロック機構18は、制御部20によって制御されて、バネ16の他端に対して構造躯体100の変位を伝達する態様(剛結モード)と、バネ16に保存された運動エネルギを慣性質量17へ運動エネルギとして移動させる態様(可変モード)と、を相互に切り替える。
構造躯体100の変位を伝達するとは、例えば、バネ16に対して構造躯体100を剛結するものともいえる。つまり、構造躯体100の変位を伝達する態様であるとき、ロック機構18は、剛体であるとみなせる。換言すると、ロック機構18は、減衰係数が極めて大きい状態である。
例えば、ロック機構18を剛結モードであるとき、ブレース101と構造躯体100との間隔の変化に起因して、第1接続端部15Aと第2接続端部15Bとの間に相対変位が生じたとする。この相対変位によって、バネ16は、伸びる又は縮む。つまり、ブレース101と構造躯体100との間隔が変化は、弾性エネルギとしてバネ16に保存される。続いて、例えば、バネ16が縮んだ状態であるとき、ブレース101と構造躯体100との間隔を保持しつつロック機構18を可変モードとすると、バネ16が自然長さまで伸びる。この伸びは、ロック機構18により許容される。この変位によって、慣性質量17の運動(例えば回転運動)が生じる。つまり、バネ16に保存されていた弾性エネルギは、運動エネルギとして慣性質量17に保存される。
以下、図4〜図9を参照しつつ、制震装置の制御方法について説明する。なお、図4〜図6に示す制御弁13L、13R及び逆止弁14L、14Rにおいて、黒く塗りつぶされた三角形は閉状態であることを示す。逆に、白抜きの三角形は開状態であることを示す。さらに、油圧室9L、9Rのハッチングの濃淡は、内部圧力の程度を示す。濃いハッチングは、内部圧力が相対的に高いことを示し、薄いハッチングは内部圧力が相対的に低いことを示す。また、図7及び図8は、荷重と層間変形(x)(図3参照)との関係、荷重とバネ16の変形(xk)(図3参照)との関係、荷重と回転錘12Sの変位(xm)(図3参照)との関係を示す。なお、荷重(F)とは、油圧室9R、9Lの差圧にピストン6の断面積を乗じた値を意味する。また、変位(xm)とは、図3において、第2接続端部15Bと接続点P0との間の間隔の変化量を意味する。
[第1制御]
構造躯体100に変形が生じていないとき(図4の(a)部及び同(c)部参照)、制御弁13L、13Rは閉状態である(図4の(b)部参照)。このとき、油圧室9L、9Rの間において作動油の移動は生じない。つまり、ロック機構18の減衰係数は、最大値(C=Cmax)である。また、油圧室9L、9Rの内部圧力は、互いに等しい。
構造躯体100に変形が生じていないとき(図4の(a)部及び同(c)部参照)、制御弁13L、13Rは閉状態である(図4の(b)部参照)。このとき、油圧室9L、9Rの間において作動油の移動は生じない。つまり、ロック機構18の減衰係数は、最大値(C=Cmax)である。また、油圧室9L、9Rの内部圧力は、互いに等しい。
構造躯体100に層間変形(x=δ)が生じたとき(図4の(d)部、同(f)部及び図7の(a)部参照)、制御弁13L、13Rは閉状態(図4の(e)部参照)であるので、層間変形は、バネ16の変形(xk=δ)を生じさせる(図4の(f)部参照)。つまり、振動により構造躯体100の層間変形が生じると、バネ16のみが層間変形と同じ量だけ変形(x=xk=δ)する。このバネ16の変形によって、歪エネルギは、弾性エネルギとしてバネ16に保存される。この歪エネルギ及び弾性エネルギは、例えば、図7の(b)部における符号A、B、δを頂点とする三角形の面積として示される。なお、この状態では、回転錘12Sの変位(回転)は、ゼロである(図7の(c)部参照)。
上記の過程までが、第1ステップである。つまり、第1制御では、層間変形が最大値となるまでの期間において、制御弁13を閉状態とする。この状態は、制震装置1の第1形態である。また、換言すると、第1形態とは、図3に示す力学モデルにおいて、慣性質量17の作動を不可とする形態であると定義してもよい。また、第1制御とは、図3に示す力学モデルにおいて、第1接続端部15Aが所定の方向へ移動しているとき、連結部であるロック機構18を第1形態とする動作としてよい。
[第2制御]
層間変形(δ)が最大値に達したとき、制御弁13Rを閉状態から開状態に切り替える(図5の(b)部参照)。つまり、ロック機構18の減衰係数は、最小値(C=Cmin)である。制御弁13Rを開状態とすると、高圧側の油圧室9Rから作動油が制御弁13R、油圧ユニット12及び逆止弁14Lを介して油圧室9Lに移動し始める。この作動油の移動に伴って、バネ16は自然長に向けて伸び始める(図5の(a)部及び同(c)部参照)。このとき、層間変形の変化はゼロとみなせる。つまり、層間変形は、最大値(δ)が維持される。一方、バネ16の自然長への復帰は、荷重(F)の低下をもたらす(図7の(d)部、同(e)部及び同(f)部参照)。
層間変形(δ)が最大値に達したとき、制御弁13Rを閉状態から開状態に切り替える(図5の(b)部参照)。つまり、ロック機構18の減衰係数は、最小値(C=Cmin)である。制御弁13Rを開状態とすると、高圧側の油圧室9Rから作動油が制御弁13R、油圧ユニット12及び逆止弁14Lを介して油圧室9Lに移動し始める。この作動油の移動に伴って、バネ16は自然長に向けて伸び始める(図5の(a)部及び同(c)部参照)。このとき、層間変形の変化はゼロとみなせる。つまり、層間変形は、最大値(δ)が維持される。一方、バネ16の自然長への復帰は、荷重(F)の低下をもたらす(図7の(d)部、同(e)部及び同(f)部参照)。
一方、油圧ユニット12は、流路11を通過する作動油によって油圧ユニット12の回転錘12Sを回転させるモータとして機能する。つまり、バネ16の伸びは、回転錘12Sの変位(回転)をもたらす(図7の(f)部参照)。その結果、バネ16に保存された弾性エネルギは、作動油の流体エネルギを介して、回転錘12Sの運動エネルギとして保存される。このとき、慣性質量である回転錘12Sは、初期条件として変位(δ)を与えられた自由振動状態である。
制御弁13Rを閉状態から開状態に切り替えた後に所定の時間が経過すると、油圧室9Lの内部圧力及び油圧室9Rの内部圧力は、互いに均衡する(図5の(e)部参照)。このとき、バネ16の変形(xk)はゼロである(図5の(d)部、同(f)部及び図7の(d)部参照)。つまり、バネ16の弾性エネルギはゼロである。
圧力差が解消され、バネ16の変形がゼロとなったとき(図7の(e)部参照)、作動油の流れは止まるはずである。ここで、回転錘12Sは運動エネルギを保存している。具体的には、回転錘12Sは、左向きに回転している。その結果、回転錘12Sは、油圧ユニット12の駆動源となり、歯車12Gを回転させる。従って、歯車12Gは、作動油を油圧室9Rから油圧室9Lへ移動させるポンプとして機能する。要するに、内部圧力の差がゼロとなった後も、作動油は、回転錘12Sからエネルギを与えられて、油圧室9Rから油圧室9Lへ移動し続ける(図6の(a)部及び同(c)部参照)。
このように回転錘12Sを用いた油圧ユニット12によれば、作動油からエネルギを受ける状態と、作動油へエネルギを与える状態と、が円滑に切り替わる。つまり、エネルギを受ける状態と、エネルギを与える状態とを切り替えるときに、制御弁の状態を切り替えるなどという機械的な動作を必要としない。
この作動油の移動は、回転錘12Sの運動エネルギがゼロとなるまで継続する。その結果、油圧室9Lの内部圧力は、油圧室9Rの内部圧力よりも高くなる(図6の(b)部参照)。換言すると、当初とは逆の圧力差が生じる。この圧力差は、バネ16に引張変形を生じさせる(図8の(b)部のA−D参照)。この変形は、当初の層間変形に起因するバネ16の圧縮変形とは向きが逆である。つまり、回転錘12Sの運動エネルギを、バネ16を引張変形させる弾性エネルギに再び変換している。
なお、回転錘12Sの最大変形(αδ)は、回転錘12S、ロック機構18、バネ16を含む1自由度系の振動性状に依存する。振動系の振動周期が建物の周期と比べて十分短いとし、ロック機構18が開状態であるとき、減衰係数がゼロであるとすれば、α=1である。バネ16に保存された弾性エネルギは、消失することなく再利用される。実際には、減衰はゼロではないので、α<1である。そして、最大振幅点からの除荷に相当する状態(図4の(d)部等)までの一連の動作が建物周期と比較して十分に短く、層間変形が一定であると仮定すれば、エネルギ再利用における質量の変位を規定する係数αは、h<1であるとき、式(1)により示される。
上記の過程が、第2ステップである。つまり、第2ステップでは、層間変形が最大値となったときに、制御弁13Lの閉状態を維持しつつ、制御弁13Rを閉状態から開状態に切り替える。この状態は、制震装置1の第2形態である。つまり、第2ステップでは、バネ16を圧縮変形させる弾性エネルギが回転錘12Sの運動エネルギに変換された後に、回転錘12Sの運動エネルギがバネ16を引張変形させる弾性エネルギに変換される。また、換言すると、第2形態とは、図3に示す力学モデルにおいて、慣性質量17の作動を可能とする形態であるとしてもよい。また、第2制御とは、図3に示す力学モデルにおいて、第1制御の後に、第1接続端部15Aの移動の方向が所定の方向とは逆方向に反転したと判断されたとき、連結部であるロック機構18を第2形態に切り替える動作としてよい。
[第3制御]
回転錘12Sの回転が止まったとき(図6の(d)部及び同(f)部参照)、制御弁13Rを開状態から閉状態に切り替える(図6の(e)部参照)。この状態は、制震装置1の第3形態である。そして、当初とは逆向きの層間変形が作用する(図8の(d)部のD―E参照)。この変形は、バネ16の引張変形を生じさせる(図8の(e)部のAーD参照)。
回転錘12Sの回転が止まったとき(図6の(d)部及び同(f)部参照)、制御弁13Rを開状態から閉状態に切り替える(図6の(e)部参照)。この状態は、制震装置1の第3形態である。そして、当初とは逆向きの層間変形が作用する(図8の(d)部のD―E参照)。この変形は、バネ16の引張変形を生じさせる(図8の(e)部のAーD参照)。
上記の過程が、第3ステップである。つまり、第3ステップでは、回転錘12Sの回転が停止したときに、制御弁13Lの閉状態を維持しつつ、制御弁13Rを開状態から閉状態に切り替える。要するに、第3制御とは、図3に示す力学モデルにおいて、第2制御の後に、ロック機構18を第2形態に維持することにより、バネ16を所定の方向とは逆方向へ変形させるように、慣性質量17の運動エネルギをバネ16に移動させた後に、ロック機構18を第1形態に切り替える動作としてよい。
第1〜第3制御を繰り返すと、図9に示す荷重と変形との関係を得る。構造躯体100の振動(変形)は、横軸として示される。従って、構造躯体100の振動は、図9ではX軸方向の往復動として理解してよい。そして、バネ16へ保存される弾性エネルギの量は、変形量として縦軸に示される。そうすると、構造躯体100が振動を繰り返すごとに、バネ16の変位が大きくなることがわかる。つまり、バネ16に保存される弾性エネルギが大きくなる。その結果、制震装置1によって除荷吸収されるエネルギも大きくなっていく。
上記のとおり、制震装置1では、第1ステップから第2ステップへの移行のタイミングと、第2ステップから第3ステップへの移行のタイミングと、が重要である。換言すると、制震装置1では、制御弁13L、13Rにおける閉状態から開状態へ切り替えるタイミングと、制御弁13L、13Rにおける開状態から閉状態へ切り替えるタイミングと、が重要である。上記の説明では、第1ステップから第2ステップへの移行タイミングは、層間変形が最大値となったときと説明した。層間変形が最大値となるタイミングは、例えば、構造躯体100の変形により生じる加速度、速度又は変位の履歴に基づいて得てもよい。また、層間変形が最大値となるタイミングは、例えば、油圧室9L、9Rの内部圧力又は荷重の履歴に基づいて得てもよい。
[作用効果]
制震装置1は、構造躯体100を変形させる歪エネルギを弾性エネルギとしてバネ16に保存し、当該弾性エネルギを運動エネルギとして慣性質量17に保存する。そして、第2制御において、運動エネルギを利用することにより、エネルギ吸収量が向上する。その結果、この構成によれば、歪エネルギを回生する機構を簡易にすることができる。
制震装置1は、構造躯体100を変形させる歪エネルギを弾性エネルギとしてバネ16に保存し、当該弾性エネルギを運動エネルギとして慣性質量17に保存する。そして、第2制御において、運動エネルギを利用することにより、エネルギ吸収量が向上する。その結果、この構成によれば、歪エネルギを回生する機構を簡易にすることができる。
要するに、制震装置1は、構造躯体100の振動エネルギを制震装置1と周辺部のバネ16(例えばブレース101等)に弾性エネルギとして保存する。そして、振動の向きが逆転するタイミングで、バネ16に保存された弾性エネルギを慣性質量17の運動エネルギに変換する。さらに、エネルギ吸収量を大きくするタイミングで、当該運動エネルギを利用する。この動作によれば、構造躯体100の振動エネルギを効率よく吸収することができる。さらに、慣性質量17を用いることで、油圧回路を単純化できる。
[実施例1]
図10に示す実施例1の制震装置1Aは、オイルダンパ2と、油圧回路部3Aと、を有する。実施例1の制震装置1Aは、スイッチ回路部22の開閉制御をコントローラ37によって行う。このような動作は、いわゆるセミアクティブ型と呼ばれる。
図10に示す実施例1の制震装置1Aは、オイルダンパ2と、油圧回路部3Aと、を有する。実施例1の制震装置1Aは、スイッチ回路部22の開閉制御をコントローラ37によって行う。このような動作は、いわゆるセミアクティブ型と呼ばれる。
油圧回路部3Aは、油圧ユニット12と、第1回路部21Lと、第2回路部21Rと、補助回路部25と、を有する。第1回路部21Lは、油圧室9L、油圧ユニット12、制御回路部23及び補助回路部25に接続されている。第2回路部21Rの接続先も同様である。さらに、第2回路部21Rの回路構成は、第1回路部21Lと同じである。従って、第1回路部21Lについて詳細に説明し、必要に応じて第2回路部21Rの説明を補足する。
油圧ユニット12は、作動油の流れと回転錘12Sの回転運動とを相互に変換する。つまり、油圧ユニット12は、作動油の流れと回転運動とを相互に変換する歯車12Gと当該歯車12Gに連結された回転錘12Sと、を有する。さらに、油圧ユニット12は、ポート12a、12bを有する。ポート12aは、第1回路部21Lのスイッチ回路部22に接続されている。ポート12bは、第2回路部21Rのスイッチ回路部22に接続されている。作動油の流れによって歯車12Gに回転が生じると、回転錘12Sにも回転が生じる。逆に、回転錘12Sによって歯車12Gが回転させられると、作動油の流れを生じさせる。
第1回路部21Lは、スイッチ回路部22と、制御回路部23と、を有する。スイッチ回路部22は、油圧室9Lと、油圧ユニット12と、制御回路部23と、補助回路部25と、に接続されている。
スイッチ回路部22は、開閉制御弁24と、逆止弁27と、を有する。また、説明の都合上、スイッチ回路部22は、いくつかの接続点P1、P2、P3、P4、P5を有するものとする。接続点P1は、接続点P4、P5に接続されている。接続点P2は、油圧ユニット12に接続されている。接続点P3は、接続点P4及び制御回路部23に接続されている。接続点P4は、補助回路部25に接続されている。接続点P5は、制御回路部23及びシリンダ4のポート4aに接続されている。
開閉制御弁24は、作動油の圧力差を利用して弁体を移動させることにより、開状態と閉状態とを相互に切り替える。開閉制御弁24は、ポート24a、24b、24cを有する。開閉制御弁24は、ポート24aが接続点P1に接続され、ポート24bが接続点P2に接続され、ポート24cが接続点P3に接続される。
逆止弁27は、ポート27a、27bを有する。逆止弁27は、ポート27bからポート27aへの作動油の移動を許す。一方、逆止弁27は、ポート27aからポート27bへの作動油の移動を規制する。逆止弁27は、ポート27aが接続点P5に接続され、ポート27bが接続点P2に接続される。
なお、スイッチ回路部22は、必要に応じてオリフィスを有してもよい。例えば、オリフィスは、接続点P3、P4の間に設けられる。
制御回路部23は、ソレノイドバルブ36を有する。ソレノイドバルブ36は、電磁石の磁力を利用して弁体を移動させることにより、開状態と閉状態とを相互に切り替える。具体的には、ソレノイドバルブ36は、コントローラ37から提供される制御信号に基づいて、開状態と閉状態とを相互に切り替える。ソレノイドバルブ36は、ポート36a、36b、36fを有する。ポート36aは、スイッチ回路部22の接続点P3に接続される。ポート36bは、補助回路部25に接続される。ポート36fは、スイッチ回路部22の接続点P5に接続される。
補助回路部25は、第1回路部21Lのスイッチ回路部22における接続点P4と、第2回路部21Rのスイッチ回路部22における接続点P4と、を接続する管路L1を有する。この管路L1には、逆止弁33、34が設けられる。また、補助回路部25は、第1回路部21Lにおけるソレノイドバルブ36のポート36bと、第2回路部21Rにおけるソレノイドバルブ36のポート36bと、を接続する管路L2を有する。管路L2には、アキュムレータ32が接続されている。また、ポート36aと接続点P3との間にはオリフィスが設けられている。
さらに、制震装置1Aは、コントローラ37と、センサ38L、38Rとを有する。センサ38L、38Rは、油圧室9L、9Rの内部圧力を得る。そして、当該内部圧力に関する情報を、コントローラ37に出力する。コントローラ37は、センサ38L、38Rから得た内部圧力に基づいて、ソレノイドバルブ36を制御するための制御信号を生成し、制御信号をソレノイドバルブ36に出力する。つまり、コントローラ37は、油圧室9L、9Rの内部圧力をセンサ38L、38Rにより取得し、当該内部圧力を利用して、ソレノイドバルブ36を制御する。つまり、実施例1の制震装置1Aは、コントローラ37から提供される制御信号によって第1制御、第2制御及び第3制御を切り替える。
[制震装置の動作]
例えば、剛結モードから可変モードへの切り替え動作について説明する。
例えば、剛結モードから可変モードへの切り替え動作について説明する。
初期状態であるとき、制震装置1Aは、第1態様である。従って、スイッチ回路部22は、いずれも閉状態である。つまり、油圧室9L、9Rの間で作動油の移動は生じない。この状態において、例えば、ブレース101が紙面右方向に移動したとする。作動油の移動は生じないので、ピストン6によって油圧室9R内の作動油が押圧される。その結果、油圧室9R内の作動油の内部圧力が次第に高まる。そして、この内部圧力は、センサ38Rによって測定され、コントローラ37に逐次送信される。そして、内部圧力が上昇から下降に転じたことをコントローラ37が判断すると、コントローラ37は、第2回路部21Rのソレノイドバルブ36に制御信号を提供し、ソレノイドバルブ36を閉状態から開状態に切り替える。なお、閉応対から開状態への切り替えは、内部圧力の時間変化がゼロ(すなわち、傾きがゼロ)となった状態を条件としてもよい。これらの条件は、いずれもブレース101の移動方向が逆転(反転)したことを検知するものである。
その結果、開閉制御弁24のポート24cに与えられる圧力が下がり、開閉制御弁24は閉状態から開状態に切り替わる。この切り替えによって剛結モードから可変モードに変化する。そうすると、油圧室9Rから油圧室9Lへの作動油の移動が生じる。作動油は、ポート4b、開閉制御弁24、油圧ユニット12、逆止弁27、ポート4aを介して、油圧室9Lに至る。作動油が油圧ユニット12を通過するとき、作動油は、歯車12Gを回転させ、その結果、回転錘12Sの回転が生じる。つまり、作動油が有するエネルギが運動エネルギとして回転錘12Sに蓄えられる。
[実施例2]
実施例2として、実施例1とは異なる構成を有する制震装置を例示する。実施例2の制震装置は、油圧室9L及び油圧室9Rの内部圧力に基づいてスイッチ回路部22の態様を切り替える点において第1実施例の制震装置1Aと共通する。一方、実施例1の制震装置は、センサ38L、38R及びコントローラ37によってスイッチ回路部22の制御を行うのに対し、実施例2の制震装置は油圧回路の構成によってスイッチ回路部22を制御を行う点で相違する。
実施例2として、実施例1とは異なる構成を有する制震装置を例示する。実施例2の制震装置は、油圧室9L及び油圧室9Rの内部圧力に基づいてスイッチ回路部22の態様を切り替える点において第1実施例の制震装置1Aと共通する。一方、実施例1の制震装置は、センサ38L、38R及びコントローラ37によってスイッチ回路部22の制御を行うのに対し、実施例2の制震装置は油圧回路の構成によってスイッチ回路部22を制御を行う点で相違する。
図11に示す実施例2の制震装置1Bは、オイルダンパ2と、油圧回路部3Bと、を有する。実施例2の制震装置1Bは、油圧室9L、9Rの内部圧力に対応して第1制御、第2制御作及び第3制御が切り替わるパッシブ型の装置である。従って、制震装置1Bは、油圧回路部3Bにおける制御回路部23B(制御部)によって動作が制御される。
制震装置1Bは、制震装置1Aと異なる構成として、制御回路部23Bを有する。その他の油圧ユニット12、スイッチ回路部22、補助回路部25の構成は、制震装置1Aのものと共通する。以下、制御回路部23Bについて詳細に説明する。
制御回路部23Bは、スプール弁26と、リリーフ弁28と、タンク29と、逆止弁31と、を有する。また、制御回路部23Bは、接続点P6〜P10を有する。
スプール弁26は、ポート26a、26b、26c、26d、26e、26fを有する。スプール弁26は、ポート26e、26fの圧力差を利用して弁体を移動させることにより、開状態と閉状態とを相互に切り替える。スプール弁26のポート26aは、スイッチ回路部22に接続されている。ポート26aとスイッチ回路部22との間には、オリフィスが設けられている。リリーフ弁28は、ポート28aが接続点P8に接続され、ポート28bが接続点P6に接続されている。タンク29は、ポート29aが逆止弁31のポート31aに接続され、ポート29bが接続点P9に接続されている。逆止弁31は、ポート31aがタンク29のポート29aに接続され、ポート31bが接続点P10に接続されている。
また、タンク29と逆止弁31との間には、オリフィスが設けられている。接続点P6は、補助回路部25とスプール弁26のポート26bに接続されている。接続点P7は、スプール弁26のポート26d、26fと、スイッチ回路部22に接続されている。接続点P7とポート26dとの間にはオリフィスが設けられている。接続点P8は、スプール弁26のポート26eと、接続点P9と、に接続されている。接続点P9は、スプール弁26のポート26cに接続されている。接続点P10は、スイッチ回路部22の接続点P4に接続されている。
油圧回路部3Bは、制御回路部23Bがスイッチ回路部22に与える圧力に応じて、スイッチ回路部22の動作を切り替える。制御回路部23Bが与える圧力は、スプール弁26の動作に基づく。スプール弁26は、ポート26e、26fの圧力差に応じて、開状態と閉状態とを切り替える。このような制震装置1Bによっても、構造躯体100に生じる振動を好適に減衰することができる。
[変形例]
以上、本発明について説明したが、上記本発明の構成に限定されることなく様々な形態で実施してよい。
以上、本発明について説明したが、上記本発明の構成に限定されることなく様々な形態で実施してよい。
制震装置は、オイルダンパの利用を前提としない。慣性質量を利用したエネルギ回生の原理は、装置自体の剛性と取付部材などの周辺の剛性を表すバネと慣性質量及びロック機構を備えていればよい。ロック機構は、慣性質量の変位を固定/自由に切り替えるいわゆるON/OFFスイッチとして機能する。このロック機構として、いくつかの機構を利用できる。例えば、歯車とクラッチとを利用する機械式の機構、摩擦力を可変とする機構、ラチェットの歯を開閉制御する機構が挙げられる。
慣性質量は、並進する質量体としてもよい。
回転慣性を利用する場合には、油圧ポンプ/油圧モータに代えて、ボールねじ及びボールナットを用いてもよい。
なお、上記の実施形態及び実施例1、2では、油圧室9L、9Rの内部圧力に基づいて、油圧回路部3の動作を切り替えた。例えば、油圧回路部3の動作は、内部圧力に代えて、構造躯体100の揺れ(変位、速度、加速度)に基づいて制御してもよい。例えば、変位とは、ブレース101とシリンダ4との間に設けられた距離センサによって得られる長さの変化量を用いて制御してもよい。
また、図3に示す力学モデルにおいて、制震装置1は、慣性質量17及びロック機構18のそれぞれに並列に接続された第2のバネ部を有してもよい。この第2のバネ部は、図2に示す構成において、流路11に接続される圧力タンクとして適用されてもよい。
また、図10及び図11に示す油圧回路は、並列に設置される2個のリリーフ弁をさらに備えてもよい。これらのリリーフ弁は、油圧室9L、9Rの間に接続される。例えば、一方のリリーフ弁は、必要に応じて、油圧室9Lから油圧室9Rへの作動油の移動を許すことができる。他方のリリーフ弁は、その逆に、必要に応じて、油圧室9Rから油圧室9Lへの作動油の移動を許すことができる。これらのリリーフ弁によれば、油圧室9L、9Rにおいて、油圧室9Lから油圧室9Rへ向かう向き、及び油圧室9Rから油圧室9Lへ向かう向き、のそれぞれについて、過剰な圧力差を逃がすことができる。リリーフ弁において、一方の端部は、ポート4bと接続点P4とを接続する流路に接続されている。また、他方の端部は、ポート4aと接続点P5とを接続する流路に接続されている。なお、油圧室9L、9Rの圧力に基づいて制御を行う場合には、油圧室9L、9Rの圧力差がリリーフ弁の作動荷重を超過したとき、制御弁の制御を行わないように制御の態様を変更してよい。
1,1A,1B…制震装置、2…オイルダンパ、3…油圧回路部、4…シリンダ、6…ピストン、7,8…連結端、9L,9R…油圧室、11…流路、12…油圧ユニット(慣性質量部)、13L,13R…制御弁、14L,14R,27,31,34…逆止弁、12G…歯車(エネルギ変換部)、12S…回転錘、16…バネ、17…慣性質量、18…ロック機構(連結部)、3A,3B…油圧回路部、23…制御回路部(制御部)、21L…第1回路部、21R…第2回路部、22…スイッチ回路部、24…開閉制御弁、26…スプール弁、28…リリーフ弁、29…タンク、32…アキュムレータ、36…ソレノイドバルブ、37…コントローラ(制御部)、38L,38R…センサ、100…構造躯体、101…ブレース(バネ部)。
Claims (5)
- 一方と他方との間の相対的な距離が可変である第1接続端部及び第2接続端部と、
前記第1接続端部の移動に伴って変形し、前記変形によって弾性エネルギを保存可能なバネ部と、
前記弾性エネルギから変換された運動エネルギを保存する慣性質量部と、
前記慣性質量部の作動を不可とする第1形態と、前記作動を可能とする第2形態とを、相互に切り替え可能な連結部と、
前記連結部における前記第1形態及び前記第2形態を相互に切り替える制御部と、を備える、制震装置。 - 前記制御部は、
前記第1接続端部が所定の方向へ移動しているとき、前記連結部を第1形態とする第1制御と、
前記第1制御の後に、前記第1接続端部の移動の方向が前記所定の方向とは逆方向に反転したと判断されたとき、前記連結部を前記第2形態に切り替える第2制御と、
前記第2制御の後に、前記連結部を前記第2形態に維持することにより、前記バネ部を前記所定の方向とは逆方向へ変形させるように前記慣性質量部の前記運動エネルギを前記バネ部に移動させた後に、前記連結部を前記第1形態に切り替える第3制御と、を行う、請求項1に記載の制震装置。 - ピストンによって仕切られた第1及び第2油圧室を有するオイルダンパと、
前記第1及び第2油圧室との間で作動油を相互に移動させる流路と、
前記流路に設けられて開状態と閉状態とを相互に切り替え可能な開閉制御弁と、
前記運動エネルギを回転運動として保存する回転錘と、
前記流路に設けられて、前記流路を流れる前記作動油が有する流体エネルギと前記回転錘の前記運動エネルギとを相互に変換するエネルギ変換部と、を備え、
前記連結部は、前記開閉制御弁を含み、
前記バネ部は、前記オイルダンパに起因する剛性要素を含み、
前記慣性質量部は、前記回転錘を含み、
前記制御部は、
前記第1制御及び前記第3制御では、前記開閉制御弁を閉状態とすることにより、前記連結部を前記第1形態とし、
前記第2制御では、前記開閉制御弁を開状態とすることにより、前記連結部を前記第2形態とする、請求項2に記載の制震装置。 - 制震装置の制御方法であって、
前記制震装置は、
一方と他方との間の相対的な距離が可変である第1接続端部及び第2接続端部と、
前記第1接続端部の移動に伴って変形し、前記変形によって弾性エネルギを保存可能なバネ部と、
前記弾性エネルギから変換された運動エネルギを保存する慣性質量部と、
前記慣性質量部の作動を不可とする第1形態と、前記作動を可能とする第2形態とを、相互に切り替え可能な連結部と、
前記連結部における前記第1形態及び前記第2形態を相互に切り替える制御部と、を備え、
前記第1接続端部が所定の方向へ移動しているとき、前記連結部を第1形態とする第1ステップであって、前記バネ部が前記所定の方向へ向けて変形することにより、前記バネ部に前記弾性エネルギが保存される前記第1ステップと、
前記第1ステップの後に、前記第1接続端部の移動の方向が前記所定の方向とは逆方向に反転したとき、前記連結部を前記第2形態に切り替える第2ステップであって、前記バネ部に保存された前記弾性エネルギを前記慣性質量部へ前記運動エネルギとして移動させる前記第2ステップと、
前記第2ステップの後に、前記連結部を前記第2形態に維持することにより、前記バネ部を前記所定の方向とは逆方向へ変形させるように前記慣性質量部の前記運動エネルギを前記バネ部に移動させた後に、前記連結部を前記第1形態に切り替える第3ステップと、を有する、制震装置の制御方法。 - シリンダと、前記シリンダ内を往復動するピストンと、
前記ピストンで仕切られて両側に設けられた一対の油圧室と、
前記一対の油圧室を互いに接続する流路と、
前記流路に接続された慣性質量部と、
前記慣性質量部と前記油圧室との間で、前記流路に設けられて開状態と閉状態とを相互に切り替え可能な開閉制御弁と、
前記開閉制御弁の開閉を制御する制御部と、を備える制震装置。
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JP2018155636A JP2020029910A (ja) | 2018-08-22 | 2018-08-22 | 制震装置及び制震装置の制御方法 |
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