以下、本発明の第1の実施形態に係る縦型多段ポンプ1の構成を、図1乃至図10を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る縦型多段ポンプ1の構成を示す平面図、図2は、縦型多段ポンプ1の構成を示す断面図、図3は、縦型多段ポンプの構成を一部断面で示す上面図である。図1乃至図3に示すように、縦型多段ポンプ1は、モータ11と、主軸12と、ポンプ13と、インバータ部14と、を備える。また、縦型多段ポンプ1は、例えば、固定金具200が取り付けられ、壁面600等に固定される。
モータ11は、モータフレーム11aと、モータフレーム11a内に設けられる固定子と、通電時に回転する回転子と、を備える。
主軸12は、モータ11により回転可能に構成される。主軸12は、ポンプ13に設けられる複数のインペラが固定可能に重力方向に延設される。主軸12は、例えば、モータ主軸21と、ポンプ主軸22と、軸継手23と、を備える。
モータ主軸21は、回転子に固定される。モータ主軸21は、回転子の回転に伴い回転する。また、モータ主軸21は、モータフレーム11a内で軸受により支持される。
ポンプ主軸22は、ポンプ13に配置される。ポンプ主軸22は、ポンプ13に設けられる複数のインペラ42、52が固定可能に形成される。また、ポンプ主軸22は、後述する最上段のインペラ42のインペラボス部42c及び最下段のインペラ52のインペラボス部52cに当接する、スリーブ22aを有する。
軸継手23は、モータ主軸21の回転に伴いポンプ主軸22を回転可能に、モータ主軸21とポンプ主軸22を連結する。
ポンプ13は、吸込口31aを形成する第1吸込ケーシング31と、上方へ向かう流れを形成する第1ポンプ群32Aと、第1ポンプ群32Aの上方に配置され、下方へ向かう流れを形成する第2ポンプ群33Aと、流路ケーシング34と、第2ポンプ群33Aの上方に配置されるケーシングカバー35と、メカニカルシール36と、を備える。
なお、第1ポンプ群32A及び第2ポンプ群33Aは、収納したインペラ42、52が互いに逆向きに配置されることで、水の圧送方向が軸方向で互いに逆向きに設定される。即ち、第1ポンプ群32Aは水の流れ方向が上方向に、第2ポンプ群33Aは水の流れ方向が下方向に設定される。
図4及び図5に示すように、第1吸込ケーシング31は、水平方向に水を吸い込むとともに、最下段の第1ポンプ32に連通する吸込口31aを形成し、吸込フランジ31bを有している。第1吸込ケーシング31は、第1締結部材111を締結する第1締結部31cを複数有する。
第1ポンプ群32Aは、複数の第1ポンプ32を積層することで構成される。第1ポンプ32は、下方から吸い込んだ水を上方に圧送する。第1ポンプ32は、第1ポンプケーシング41と、ポンプ主軸22に固定され、第1ポンプケーシング41に収納される第1インペラ42と、を備える。
第1ポンプケーシング41は、例えば、円状の吐出し口41aと、内部に第1インペラ42を収納する収納部41bと、一次側に連結された第1ポンプケーシング41の収納部41bに配置され、第1ポンプケーシング41の外周側から収納部41bの中心側に向かって形成された、吐出し口41aに連通する戻し流路41cと、戻し羽根41dを備えている。
戻し流路41cは、二次側の第1ポンプケーシング41の吸込口に水を誘導する複数の戻し羽根41dを有する。戻し流路41cは、吐出し口41aを介して、二次側の第1ポンプケーシング41の収納部41bと連続する水の流れを形成する。
また、第1ポンプケーシング41は、上下に隣り合う第1ポンプケーシング41、第1吸込ケーシング31及び流路ケーシング34と連結可能に形成されている。これら第1ポンプケーシング41、第1吸込ケーシング31及び流路ケーシング34は、ボルト等の第1締結部材111により一体に固定される。第1ポンプケーシング41、第1吸込ケーシング31及び流路ケーシング34間は、内部の水が漏水することを防止可能にOリング等のシール部材により密封されている。
また、第1ポンプケーシング41は、第1インペラ42と所定の隙間により離間する開口と、ポンプ主軸22及びインペラボス部42cが配置される開口とを備えており、第1インペラ42と対向する開口の内周縁部には、ライナリング41eが設けられる。
また、最上段と最下段の第1ポンプケーシング41は、ポンプ主軸22に設けられたスリーブ22aと当接する水中軸受41fを有する。
第1インペラ42は、例えばステンレスや樹脂等で形成される。第1インペラ42は、第1インペラ42の外周側に設けられた吐出部42aと、第1インペラ42の一方の主面側に設けられた吸込部42bと、第1インペラ42の他方の主面側から軸方向に延びるインペラボス部42cと、を備えている。第1インペラ42は、吸込部42bを軸方向で下方に向け第1ポンプケーシング41内に収納される。
第2ポンプ33は、上方から吸い込んだ水を下方に圧送可能に構成される。第2ポンプ33は、第2ポンプケーシング51と、ポンプ主軸22に固定され、第2ポンプケーシング51に収納される第2インペラ52と、を備える。即ち、第2ポンプ33は、第1ポンプ32と比較して、第2ポンプケーシング51及び第2インペラ52を逆向きに配置することで水の圧送方向を逆向きに設定される。このため、多段の第1ポンプ群32Aは、水の流れ方向で最下段が一次側、最上段が二次側になり、そして、多段の第2ポンプ群33Aは、水の流れ方向で最上段が一次側、最下段が二次側になる。
第2ポンプケーシング51は、例えば、円状の吐出し口51aと、内部に第2インペラ52を収納する収納部51bと、一次側に連結された第2ポンプケーシング51の収納部51bに配置され、第2ポンプケーシング51の外周側から収納部51bの中心側に向かって形成された、吐出し口51aに連通する戻し流路51cと、戻し羽根51dと、を備えている。
戻し流路51cは、二次側の第2ポンプケーシング51の吸込口に水を誘導する複数の戻し羽根51dを有する。戻し流路51cは、第2ポンプケーシング51を接続させた際に、吐出し口51aを介して、二次側の第2ポンプケーシング51の収納部51bと連続する水の流れを形成する。
また、第2ポンプケーシング51は、上下に隣り合う第2ポンプケーシング51及び流路ケーシング34と連結可能に形成されている。これら第2ポンプケーシング51及び流路ケーシング34は、第1締結部材111により一体に固定される。第2ポンプケーシング51及び流路ケーシング34間は、Oリング等のシール部材により内部の水が漏水しないよう密封されている。
また、第2ポンプケーシング51は、第2インペラ52と所定の隙間により離間する開口と、ポンプ主軸22及びインペラボス部52cが配置される開口とを備えており、第2インペラ52と対向する開口の内周縁部には、ライナリング51eが設けられる。
また、最上段と最下段の第2ポンプケーシング51は、ポンプ主軸22に設けられたスリーブ22aと当接する水中軸受51fを有する。
第2インペラ52は、例えばステンレスや樹脂等で形成される。第2インペラ52は、第2インペラ52の外周側に設けられた吐出部52aと、第2インペラ52の一方の主面側に設けられた吸込部52bと、第2インペラ52の他方の主面側から軸方向に延びるインペラボス部52cと、を備えている。第2インペラ52は、第1インペラ42とは逆向きに、即ち、吸込部52bを上方に向け、第2ポンプケーシング51内に収納される。
なお、本実施形態では、第1ポンプ群32A及び第2ポンプ群33Aは、第1インペラ42の枚数と第2インペラ52の枚数を同数としている。
図1に示すように、流路ケーシング34は、例えば、複数の第2ポンプケーシング51の外周を覆い、第2ポンプケーシング51の周囲に、第1ポンプ32の最上段から第2ポンプ33の最上段へ続く上方に向かって流れる第1流路101を構成する。また、流路ケーシング34は、第2ポンプ33の最下段から後述する吐出口74の開口端に向かって流れる第2流路102を構成する。
図1に示すように、流路ケーシング34は、例えば、複数の第2ポンプケーシング51の外周を覆う管ケーシング61と、第2吸込ケーシング62と、吐出口74を有する中央ケーシング63と、を備える。流路ケーシング34は、管ケーシング61、第2吸込ケーシング62及び中央ケーシング63により、第1ポンプ32の最上段から第2ポンプ33の最上段へ続く第1流路101を構成する。また、流路ケーシング34は、例えば、中央ケーシング63により、第2ポンプ33の最下段から吐出口74へ続く第2流路102を構成する。
管ケーシング61は、複数の第2ポンプケーシング51の外周を覆う円筒状に形成される。図2に示すように、管ケーシング61は、下端が中央ケーシング63に接続され、上端がケーシングカバー35に接続される。管ケーシング61は、覆った複数の第2ポンプケーシング51の外周面と管ケーシング61の内周面の間に、第1流路101の一部を構成する。
図2に示すように、第2吸込ケーシング62は、最上段の第2ポンプ33及びケーシングカバー35の間に配置され、管ケーシング61とケーシングカバー35の接続を支持する。また、図2に示すように、第2吸込ケーシング62は、管ケーシング61が構成する第1流路101により誘導された水を第2ポンプ33に流入可能に、複数の吸込み口62aを有する。
図6及び図7に示すように、中央ケーシング63は、円筒状に構成された円筒部71と、円筒部71の軸方向で中心を区画する板部72と、板部72の一方の主面に設けられ、管ケーシング61に連通する筒部73と、吐出口74と、を備える。
円筒部71は、管ケーシング61と水密に連結するインロー部71aと、第1締結部材111が貫通する挿通孔71bと、を有する。インロー部71aは、管ケーシング61と係合可能に構成され、管ケーシング61と水密に係合する。挿通孔71bは、円筒部71の外周面の一部が突出することで、第1締結部材111が軸方向に挿通可能に形成される。
板部72は、外径が円筒部71の内径より若干小さく形成されるとともに、吐出口74の開口端に連続する。板部72は、一方の主面側が、円筒部71の内周面に沿って、区画した円筒部71の下方から管ケーシング61に連続する開口を形成する。また、板部72は、板部72の他方の主面側に、区画した円筒部71の上方から吐出口74に連続する開口を形成する。
また、板部72の中央部には、ポンプ主軸22に設けられ、最上段に位置する第1インペラ42のインペラボス部42c及び最下段に位置する第2インペラ52のインペラボス部52cに当接したスリーブ22aと、微小な隙間を介して相対する円筒状のライナリング部72aが設けられる。
また、板部72は、最上段に位置する第1ポンプケーシング41の一部に当接する支持部72bを有する。本実施形態では、支持部72bは、4つ設けられる。
筒部73は、板部72の上面に、対称位置で複数、例えば一対設けられる。筒部73は、下端が板部72に一体に形成され、且つ、下端が円筒部71の内周面との隙間に開口を構成する。図7に示すように、筒部73は、板部72の一部を開口する開口形状が円弧状に形成され、板部72を補強するリブにより2つの円弧状に区画されている。
また、筒部73は、円筒部71の外周面に連通する第1開口部73aを有する。第1開口部73aは、呼び水漏斗37が接続可能に構成される。
図7に示すように、中央ケーシング63は、板部72の上面側のそれぞれにおいて、筒部73が構成する開口断面積の和が、当該筒部73が構成する投影断面積を減じた円筒部71の開口断面積の1/2以下に設定される。
吐出口74は、円筒部71の外周面の一部に連続して設けられ、円筒状に構成される。また、吐出口74は、他部材に連結される吐出しフランジ74aを有する。吐出口74は、円筒部71の外周面から、板部72が区画した円筒部71の上方に形成された第2流路102から吐出口74の開口に連続する。吐出口74は、例えば、第1吸込ケーシング31の吸込口31aの吸い込み方向と吐出口74の吐出し方向とが平行となる向きに配置される。吐出口74の二次側には、例えば仕切弁400が配置される。
また、吐出口74の開口端と連続する第2流路102を構成する吐出口74の一部には、複数の第2開口部102aが設けられる。第2開口部102aは、圧力計300、開閉弁及びドレンプラグ等が接続される。
中央ケーシング63は、第1流路101の一部である上昇流路63Aを構成し、また、第2流路102の一部である下降流路63Bを構成する。
上昇流路63Aは、中央ケーシング63の板部72に区画された下方側の空間から一対の筒部73へと連続する流路である。下降流路63Bは、中央ケーシング63の板部72に区画された上方側の筒部73を除く空間から吐出口74へと連続する流路である。上昇流路63Aは、板部72の下方側の二つの開口面積の和が板部72の上方側の二つの開口断面積の和の2倍以上に設定される。
図2、図3、図8及び図9に示すように、ケーシングカバー35は、上部フランジ81と、下部フランジ82と、を備える。図2に示すように、ケーシングカバー35は、上部フランジ81がモータ11に連結される。また、ケーシングカバー35は、第2ポンプ群33Aの上方に配置され、下部フランジ82が流路ケーシング34の上部を覆う。具体的には、ケーシングカバー35は、下部フランジ82が管ケーシング61及び第2吸込ケーシング62の上部を覆う。また、ケーシングカバー35は、上部フランジ81及び下部フランジ82の間に軸継手23が連結される。
ケーシングカバー35は、管ケーシング61の上部を覆うことで、上方への水の流出を防止するとともに、第2ポンプ群33Aと管ケーシング61の間を通過した水を第2吸込ケーシング62の吸込み口62aへ誘導する流路を構成する。
図2、図8及び図9に示すように、上部フランジ81は、第1取付部81aを有する。第1取付部81aは、ボルト等の第3締結部材113によって、L字型の形状の固定金具200が固定可能に構成される。また、第1取付部81aは、例えば、吸込口31a及び吐出口74の軸心方向に設けられる。
図1及び図10に示すように、固定金具200は、例えば、ボルト等の第3締結部材113によって壁面600または第1取付部81aに固定される薄板状の第1部200aと、第1部200aと一体に設けられ、第1部200aの長手方向に対して直交する方向に延びる、第3締結部材113によって第1取付部81aまたは壁面600に取り付けられる薄板状の第2部200bと、を有する。また、固定金具200は、例えば、第1部200a及び第2部200bに第3締結部材113の取付箇所が複数設けられることで、壁面600及び第1取付部81aへの固定位置が任意に構成される。このような固定金具200は、側面視でL字型の形状に形成される。
具体例として、図10に示すように、第1部200aは、円形状の複数の第1挿通孔201と、長穴形状の第2挿通孔202と、を備える。第1部200aは、例えば、長手方向に直交する断面形状がL字型に一体に形成された互いに直交する2つの壁部を有する。第1部200aは、一方の壁部に複数の第1挿通孔201を備え、他方の壁部に第2挿通孔202を備える。
第2部200bは、円形状の複数の第1挿通孔201と、長穴形状の第2挿通孔202と、を備える。第2部200bは、例えば、長手方向に直交する断面形状がL字型に一体に形成された互いに直交する2つの壁部を有する。第2部200bは、一方の壁部に第1挿通孔201を備え、他方の壁部に第2挿通孔202を備える。
第1挿通孔201は、第3締結部材113が挿通可能に、例えば第3締結部材113のボルト径と略同じ径または若干大きい径に形成される。第2挿通孔202は、第3締結部材113が任意の位置且つ複数挿通可能に、例えば第3締結部材113のボルト径と略同じ幅且つ一方向に長い形状に形成される。固定金具200は、第1部200aまたは第2部200bの複数の第1挿通孔201に挿通された複数の第3締結部材113により壁面600に固定され、第2部200bまたは第1部200aの第2挿通孔202の任意の位置に挿通された複数の第3締結部材113により第1取付部81aに固定される。
第1取付部81aに取り付けられた固定金具200は、平行に配置された吸込口31a及び吐出口74の吸い込み及び吐出し方向に直交する方向で壁面600等に固定可能に構成される。これにより、例えば、吸込口31a及び吐出口74に接続される配管が壁面600等に干渉することを防止できる。
図2、図3及び図8に示すように、下部フランジ82は、第2取付部82aと、第2締結部82bと、第3開口部82cと、を有する。第2取付部82aは、ボルト等の第2締結部材112によって、インバータ部14が第2締結部材112を軸に回転し、後述するベース板93の被取付部93aの端面が第2取付部82aに当接することにより、所定の傾斜角度で取付け可能に構成される。第2締結部82bは、第1締結部材111が締結可能に構成された穴部と座面である。第3開口部82cは、第2吸込ケーシング62の内側に連通し、例えば排気弁500が接続される。
メカニカルシール36は、ケーシングカバー35の下部フランジ82に収容され、貫通したポンプ主軸22が回転摺動可能に、下部フランジ82とポンプ主軸22との間の隙間を密封する。また、メカニカルシール36は、ケーシングカバー35が第2吸込ケーシング62の上部を覆うことで、第2吸込ケーシング62の内側に配置される。
呼び水漏斗37は、中央ケーシング63の第1開口部73aに接続され、中央ケーシング63に呼び水を流入可能に構成される。呼び水漏斗37は、例えば、メカニカルシール36の摺動部より上方に配置される。また、呼び水漏斗37は、開閉弁37aを有する。開閉弁37aは、中央ケーシング63の第1開口部73aから呼び水漏斗37への水の流出を防止する。
インバータ部14は、例えば、インバータ91と、直流リアクトル92と、ベース板93と、フード94と、を備える。
インバータ91は、配線により商用電源及びモータ11に接続される。インバータ91は、例えば、商用電源より供給される交流電力を所定の周波数に変換し、変換した交流電力をモータ11に供給する。ここで、所定の周波数は、例えば、商用周波数よりも高い周波数である。
直流リアクトル92は、配線によりインバータ91に接続され、インバータ91における交流電力の変換時に発生する高調波を抑制するとともに、電源力率を改善する。
ベース板93は、インバータ91及び直流リアクトル92が固定可能に構成される。また、ベース板93は、第2取付部82aに取り付けられる。例えば、ベース板93は、第2締結部材112によって第2取付部82aに回転可能に取付けられる、被取付部93aを有する。被取付部93aは、例えば、第2締結部材112が挿通可能、且つ、第2締結部材112によって端面が第2取付部82aに当接することでベース板93が所定の傾斜角度で取付け可能に構成される。ここで、所定の傾斜角度とは、配線等の作業時にベース板93に固定されたインバータ91の端子台が目視しやすい等、作業性を向上できる角度である。
フード94は、インバータ91に被せてベース板93に取り付けられる。フード94は、内側への水滴の侵入を防止する。
このように構成された縦型多段ポンプ1では、モータ11の駆動によりモータ主軸21が回転すると、軸継手23を介して連結されたポンプ主軸22が回転する。ポンプ主軸22が回転することで、ポンプ主軸22に固定されている第1インペラ42及び第2インペラ52が追従して回転する。
第1インペラ42が回転することで、第1インペラ42の吸込部42bから水が吸い込まれ、第1インペラ42内で吸い込まれた水が増圧して第1インペラ42の吐出部42aから水が吐き出される。このように、第1インペラ42の吸込部42bから吸い込まれた水は、第1インペラ42内部及び第1ポンプケーシング41を介して、順次第1インペラ42内を通過し、第1吸込ケーシング31の吸込口31aから中央ケーシング63の上昇流路63Aへと水が揚水される。
続いて、上昇流路63Aへ揚水された水は、第2ポンプ群33Aと管ケーシング61の間の第1流路101を介して最上段の第2ポンプ33へ誘導される。最上段の第2ポンプ33へ誘導された水は、回転する第2インペラ52の吸込部42bから吸い込まれ、第2インペラ52内で増圧して第2インペラ52の吐出部42aから吐き出される。このように、第2インペラ52の吸込部42bから吸い込まれた水は、第2インペラ52内部及び第2ポンプケーシング51を介して、順次第2インペラ52内を通過し、最上段の第2ポンプ33から中央ケーシング63の下降流路63Bへと下方向に圧送される。
そして、下降流路63Bへ圧送された水は、中央ケーシング63の吐出口74へ誘導され、吐き出される。
このように、ポンプ13を通過する水は、第1ポンプ32及び第2ポンプ33の各段を通過する毎に、第1インペラ42及び第2インペラ52により順次増圧される。これにより、第1ポンプケーシング41及び第2ポンプケーシング51の内周面に作用する圧力は、第1ポンプ32及び第2ポンプ33の段毎に順次増大する。
ここで、メカニカルシール36は、最上段の第2ポンプ33及びケーシングカバー35の間、換言すると、第1ポンプ群32Aの二次側であって第2ポンプ群33Aの一次側である位置に設けられた第2吸込ケーシング62の内側に配置されている。よって、メカニカルシール36には、最上段の第1ポンプ32の二次側の圧力が作用する。即ち、メカニカルシール36に作用する圧力は、第2ポンプ群33Aによりさらに増圧された吐出口74の吐出し圧力よりも低くなる。一例として、本実施形態に示すように、第1インペラ42及び第2インペラ52が同数設けられる例において、メカニカルシール36に作用する圧力は、吐出口74の吐出し圧力の約50%となる。
よって、メカニカルシール36は、圧力による負荷が低減されることから、主軸12の回転速度を上げることによる負荷に対応できる。これにより、縦型多段ポンプ1は、インバータ部14により主軸12の回転速度を上げることで、メカニカルシール36の耐用限度を満たしつつ、高圧を得ることができる。即ち、このように構成された縦型多段ポンプ1によれば、より高耐久であるメカニカルシール36を要することなく高圧を得ることができる。
また、メカニカルシール36の寿命は、PV値に反比例するとされており、圧力による負荷が低減されることで長寿命化することができる。
また、モータ11は、モータ11に接続されたインバータ91により、商用電源による回転速度よりも高い回転速度を定格回転速度とすることができる。また、インバータ91に接続された直流リアクトル92により、モータ11に供給される交流電力の力率改善も可能となる。なお、第1ポンプ群32A及び第2ポンプ群33Aの第1インペラ42及び第2インペラの段数を低減することにより主軸12の長さを短縮することで、回転時の主軸12のたわみを抑制できる。これにより、回転時の主軸12のたわみによるインペラ42、52とライナリング41e、51eとの接触を防止することが可能となる。
また、縦型多段ポンプ1は、第1ポンプケーシング41及び第2ポンプケーシング51の内周面に作用する圧力が第1ポンプ32及び第2ポンプ33の段毎に順次増大するが、第2ポンプケーシング51の強度は、最下段の第2ポンプケーシング51内の圧力に耐えられる強度とすることを要さない。
具体的に説明すると、第2ポンプケーシング51の内周面に作用する圧力は、第1ポンプケーシング41の内周面に作用する圧力に比べ高圧となる。具体的には、最上段の第2ポンプ33の内周面には、最上段の第1ポンプ32の内周面に作用する圧力と同等の圧力が作用し、以降の第2ポンプ33の内周面には、各段に設けられた第2インペラ52によりさらに順次増圧された圧力が作用する。例えば、最下段の第2ポンプケーシング51の内周面には、最上段の第1ポンプ32の内周面に作用する圧力に加えて、第2ポンプ群33Aで増圧される圧力が作用する。このように、各ポンプケーシング41、51に生じる内圧は、段を追う毎に高圧となる。
しかし、複数の第2ポンプケーシング51の外周面には、管ケーシング61の内周面と複数の第2ポンプケーシング51の外周が構成する第1流路101の一部を流れる水による圧力が作用する。具体的には、複数の第2ポンプケーシング51の外周面には、第1ポンプ群32Aの二次側の圧力と同等の圧力が作用する。これにより、第2ポンプケーシング51の径方向に作用する圧力は、当該第2ポンプケーシング51の内周面に作用する圧力及び外周面に作用する圧力の差圧となる。よって、管ケーシング61及び複数の第2ポンプケーシング51の外周面の間に第1流路101の一部を構成することで、第1流路101を通過する水の圧力により各段の第2ポンプケーシング51に作用する径方向の圧力が低減される。
また、管ケーシング61の内周面に作用する圧力は、第1ポンプ群32Aの二次側の圧力と同等である。したがって、管ケーシング61は、吐出口74の吐出し圧力に耐えられる強度とすることを要さず、第1ポンプ群32Aの二次側の圧力に耐えられる強度を有していればよい。一例として、本実施形態に示すように、第1インペラ42及び第2インペラ52が同数設けられる例において、管ケーシング61は、吐出口74の吐出し圧力の約50%の圧力に耐えられる強度を有していればよい。
また、中央ケーシング63に作用する圧力は、上昇流路63Aを構成する円筒部71の内周面及び板部72の一方の主面側に作用する圧力が、第1ポンプ群32Aの二次側の圧力と同等の圧力であり、下降流路63Bを構成する板部72の他方の主面側に作用する圧力が、第2ポンプ群33Aの二次側の圧力と同等の圧力となる。
このため、板部72に作用する圧力は、一方の主面側に作用する第1ポンプ群32Aの二次側の圧力と同等の圧力と、他方の主面側に作用する第2ポンプ群33Aの二次側の圧力と同等の圧力との差圧となる。このため、中央ケーシング63は、下降流路63Bの周囲に上昇流路63Aを構成することで、二次側を通過する水により生じる圧力ではなく、差圧に耐えられる強度を有していればよい。
このように、縦型多段ポンプ1によれば、増圧された水によりメカニカルシール36、複数の第1ポンプケーシング41、複数の第2ポンプケーシング51、管ケーシング61及び中央ケーシング63が求められる強度を低減することができる。よって、縦型多段ポンプ1は、肉厚を増加する等、吐出口74及び吐出しフランジ74aの強度を向上する変更のみで、より高圧に対応可能となる。
また、複数の第1ポンプ32においては、各第1インペラ42により順次水が増圧されるため、各第1ポンプ32間に圧力差が生じ、ポンプ主軸22に下方向のスラスト荷重が加わる。
一方、複数の第2ポンプ33においては、各第2インペラ52により順次水が増圧されるため、各第2ポンプ33間に圧力差が生じ、ポンプ主軸22に上方向のスラスト荷重が加わる。
よって、複数の第1ポンプ32により生じるスラスト荷重と複数の第2ポンプ33により生じるスラスト荷重とが軸方向で逆向きに作用することで、ポンプ主軸22に生じるスラスト荷重の合力を低減することができる。これにより、ポンプ主軸22に加わるスラスト荷重が低減されることから、ポンプ主軸22は、モータ主軸21を支持するモータ11内の軸受により支持可能となる。
このように構成された縦型多段ポンプ1によれば、ポンプ主軸22に加わるスラスト荷重が低減されることから、モータ11内の軸受によってポンプ主軸22に加わるスラスト荷重を支持することができる。これにより、モータ11内の軸受とは別に主軸12にポンプ軸受を設ける必要がなく、製造コストを低減できる。また、メカニカルシール36が配置される第2吸込ケーシング62内部の圧力が低減されることから、メカニカルシール36を長寿命化することができる。
また、最上段の第1ポンプケーシング41及び最下段の第2ポンプケーシング51は、第1インペラ42及び第2インペラ52を収納する収納部41b、51bを有していないが、戻し流路41c、51c及び戻し羽根41d、51dを有することから、前段の第1インペラ42または前段の第2インペラ52から吐出された水を、減速及び昇圧しつつ吐出し口41a、51aに誘導することができる。これにより、縦型多段ポンプ1は、最上段の第1ポンプケーシング41及び最下段の第2ポンプケーシング51が戻し流路41c、51c及び戻し羽根41d、51dを有さない構成に比べ、ポンプ効率を向上することができる。
また、中央ケーシング63の上昇流路63Aは、連通する管ケーシング61が、複数の第2ポンプケーシング51の外周を覆う構成であることから、上昇流路63Aの全長を短くすることができる。これにより、上昇流路63Aを通過する水の損失を低減することができる。
また、中央ケーシング63は、上昇流路63Aが吐出し側の断面積に対して吸い込み側の断面積が2倍以上の大きさに形成されるため、通過する水の損失を低減することができる。
また、中央ケーシング63の上昇流路63Aは、対称位置で一対設けられる。これにより、一対の上昇流路63Aを通過する水流によってポンプ主軸22に生じるラジアル荷重がそれぞれ逆向きに作用するため、ポンプ主軸22にラジアル方向の偏荷重が生じることを防止できる。
また、中央ケーシング63は、筒部73が対称位置で設けられることから、水平方向に180度回転して組み付けることもできる。中央ケーシング63は、水平方向に180度回転して組み付けることで、吐出口74及び第1吸込ケーシング31の吸込口31aを同一方向に向けることができる。
また、中央ケーシング63の板部72には、上昇流路63Aを通過する水流及び下降流路63Bを通過する水流によって板部72に大きな応力が生じる。ここで、板部72は、複数の支持部72bを有し、支持部72bが第1ポンプケーシング41の一部に当接することで、当該応力によって板部72がたわむことを防止できる。
また、第1流路101及び第2流路102は、複数の第2ポンプケーシング51の外周を覆う管ケーシング61、第2吸込ケーシング62及び中央ケーシング63により構成される。これにより、縦型多段ポンプ1は、第1流路101及び第2流路102を構成するための配管を別途備える必要がなく、小型化することができる。縦型多段ポンプ1を小型化することにより、縦型多段ポンプ1の給水装置への組み込みが容易となる。
また、呼び水漏斗37は、例えば、中央ケーシング63の第1開口部73aに接続され、メカニカルシール36の摺動部より上方に配置されることで、流入した呼び水を、中央ケーシング63のみを介して第1ポンプ32に流入できる。これにより、最下段の第1ポンプ32から複数の吸込み口62aの開口部まで呼び水を流入する呼び水作業を迅速に行うことができる。また、例えば吐出口74の二次側に配置された仕切弁400を閉止することで、メカニカルシール36の摺動部まで呼び水を流入することが可能となる。
また、インバータ部14は、ベース板93がケーシングカバー35の下部フランジ82に傾斜して取り付けられている。これにより、インバータ部14は、例えば、インバータ91や直流リアクトル92の配線時に、インバータ部14が傾斜していることで端子台を目視しやすくする等、作業性を向上することができる。
また、インバータ91は、防滴用のフード94を被せてベース板93に取り付けられている。これにより、例えば、第2吸込ケーシング62の内側に配置されたメカニカルシール36や、ケーシングカバー35の下部フランジ82と管ケーシング61との接続部から漏水があった際に、インバータ91に水滴が侵入することが防止される。
また、第1締結部材111は、中央ケーシング63の挿通孔71bを貫通し、第1吸込ケーシング31の第1締結部31c及び下部フランジ82の第2締結部82bで締結されることで、第1吸込ケーシング31のフランジ面と中央ケーシング63のフランジ面との平行度を規制することができる。
また、縦型多段ポンプ1を壁面600等に固定する固定金具200は、縦型多段ポンプ1の上方に位置するケーシングカバー35の上部フランジ81に取付けられる。これにより、壁面600等に固定された固定金具200は、例えば地震の発生時に、全高が高く上方に重いモータ11が配置された縦型多段ポンプ1の転倒を、小さい力で抑制することができる。
また、第1取付部81aは、吸込口31a及び吐出口74の軸心方向に設けられ、固定金具200が取り付けられる。固定金具200は、第1部200a及び第2部200bに締結部材の取付箇所が複数設けられることで、壁面600及び第1取付部81aへの固定位置が任意に構成される。これにより、縦型多段ポンプ1は、吸込口31a及び吐出口74が壁面600に対して左右のいずれに位置していてもL字型の形状の固定金具200が取り付けられ、壁面600に固定することができる。また、ここで固定金具200がボルト等の第3締結部材113の固定位置を任意に構成されることで、縦型多段ポンプ1は、固定金具200によって固定される壁面600との距離が任意に調節される。このような縦型多段ポンプ1は、第1取付部81a及び固定金具200により、寸法や設置条件に応じ、吸い込み及び吐出し方向や、壁面600との位置関係を選択的に壁面600に固定できる。
上述したように、本発明の一実施形態に係る縦型多段ポンプ1によれば、低コストで高揚程を得ることができる。
なお、本実施形態では、中央ケーシング63が吐出口74を有する例を説明したが、これに限定されない。縦型多段ポンプ1は、例えば、第1吸込ケーシング31が吐出口74を有していてもよい。
このような縦型多段ポンプ1は、例えば、複数の第2ポンプ33の周囲を覆う管ケーシング61と同様に、複数の第1ポンプ32の周囲に、中央ケーシング63の下降流路63B及び第1吸込ケーシング31の吐出口74に連通する管ケーシングを備えることで、最下段の第2ポンプ33から吐出口74に連通する第2流路102を構成する。
また、本実施形態では、第1インペラ42及び第2インペラ52が同数設けられる例を説明したが、これに限定されず、適宜設定可能である。例えば、第1インペラ42が第2インペラ52よりも多く設けられてもよい。
このように構成された縦型多段ポンプ1によれば、複数の第1ポンプ32によりポンプ主軸22に作用するスラスト荷重と、複数の第2ポンプ33によりポンプ主軸22に作用するスラスト荷重との合力が、下方向に作用する。これにより、縦型多段ポンプ1の駆動時にポンプ主軸22に作用する力は、下方向に作用することから、ポンプ主軸22を支持するモータ11の軸受に逆スラストが作用することを防止できる。
また、本実施形態では、複数設けられる最下段の第2ポンプケーシング51が、ポンプ主軸22に設けられたスリーブ22aと当接する水中軸受51fを有する例を説明したが、これに限定されない。水中軸受51fは、例えば、中央ケーシング63のライナリング部72aに設けられる構成であってもよい。即ち、水中軸受51fは、ポンプ主軸22に生じるラジアル荷重を支持可能であれば、設けられる位置は適宜設定可能である。
なお、中央ケーシング63のライナリング部72aに水中軸受51fを設けた場合は、この水中軸受51fは、中央ケーシング63とポンプ主軸22との間で漏れが生じることも防止できるため、中央ケーシング63にライナリング部72aを設ける必要がない。
また、上述した例では、第1開口部73aに呼び水漏斗37が接続可能に構成される例を説明したが、これに限定されない。例えば、呼び水漏斗37は、ポンプ13に一体に設けられている構成でもよい。また、例えば、ポンプ13は、呼び水漏斗37に限定されず、他の呼び水装置が設けられることで呼び水を流入可能に構成されていてもよい。即ち、ポンプ13の第1流路101を構成する部位に呼び水を流入可能な構成であれば、適宜設定可能である。
また、本実施形態では、縦型多段ポンプ1が、吸い込み及び吐出し方向や、壁面600との位置関係を選択的に壁面600に固定できる例として、吸込口31a及び吐出口74の軸心方向に第1取付部81aが設けられ、固定金具200の第1部200a及び第2部200bに締結部材の取付箇所が複数設けられる例を説明したが、これに限定されない。
縦型多段ポンプ1は、例えば、第1取付部81aが吸込口31a及び吐出口74の軸心周りに対称位置に一対に設けられ、いずれか一方の第1取付部81aに固定金具200が取り付けられることで、吸込み及び吐出し方向が選択的に壁面600に固定される構成であってもよい。なお、この例においても、縦型多段ポンプ1は、固定金具200が締結部材の固定位置を任意に構成されることで、壁面600との距離が任意に調節される。このように、縦型多段ポンプ1を壁面600に固定する構成は、吸込み及び吐出し方向や、壁面600との位置関係を選択的に壁面600に固定できる構成であれば適宜設定可能である。
また、固定金具200の第1挿通孔201は、第2挿通孔202と同様に、第3締結部材113が任意の位置且つ複数挿通可能な、例えば第3締結部材113のボルト径と略同じ幅且つ一方向に長い長穴形状であってもよい。即ち、固定金具200は、第1挿通孔201及び第2挿通孔202の双方が、第3締結部材113が任意の位置且つ複数挿通可能に形成されていてもよい。このような固定金具200により壁面600に固定される縦型多段ポンプ1は、壁面600との距離が任意に調節され、且つ、壁面600に沿う方向で壁面600に対する位置が任意に調節される。
なお、縦型多段ポンプ1は、モータ11に電力を供給する配電盤に、漏電遮断器及びノイズフィルタを含むボードを内蔵していてもよい。このように構成された縦型多段ポンプ1は、電源高調波等のノイズ対策も容易にできる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
本発明の一態様として、縦型多段ポンプは、モータと、前記モータに接続され、前記モータの定格回転速度を、商用電源による最高回転速度よりも高く設定したインバータと、重力方向に延設され、前記モータにより回転する主軸と、前記主軸に設けられたメカニカルシールと、第1ポンプケーシング及び前記主軸に固定される第1インペラを有し、下方から吸い込んだ水を上方に圧送する複数の第1ポンプと、前記複数の第1ポンプケーシングの上方に配置され、第2ポンプケーシング及び前記主軸に固定される第2インペラを有し、上方から吸い込んだ水を下方に圧送する複数の第2ポンプと、前記複数の第2ポンプケーシングの外周を覆い、前記第2ポンプケーシングの周囲に、前記第1ポンプの最上段から前記第2ポンプの最上段へ続く上方に向かって流れる第1流路を構成する流路ケーシングと、前記流路ケーシング及び前記複数の第2ポンプの上方を覆い、前記メカニカルシールを収容するケーシングカバーと、を備え、前記流路ケーシングは、水平方向に水を吐き出す吐出口、並びに、前記第1ポンプの最上段に連通し前記第1流路の一部を構成する上昇流路及び前記第2ポンプの最下段に連通し前記吐出口に向かって流れる第2流路に仕切る板部を有する中央ケーシングと、前記複数の第2ポンプケーシングの外周を覆い、前記中央ケーシングの前記上昇流路から前記第2ポンプの最上段へ続く上方に向かって流れる前記第1流路の他部を構成する管ケーシングと、最上段の前記第2ポンプ及び前記ケーシングカバーの間に配置され、前記管ケーシングと前記ケーシングカバーの接続を支持し、前記第2ポンプケーシング及び前記管ケーシングが構成する前記第1流路より誘導された水を前記第2ポンプに流入可能に複数の吸込み口を有する第2吸込ケーシングと、を備え、前記中央ケーシングは、外周に沿って複数形成されるとともに対向する位置に配置された前記上昇流路を構成する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1]モータと、
前記モータに接続され、前記モータの定格回転速度を、商用電源による最高回転速度よりも高く設定したインバータと、
重力方向に延設され、前記モータにより回転する主軸と、
前記主軸に設けられたメカニカルシールと、
第1ポンプケーシング及び前記主軸に固定される第1インペラを有し、下方から吸い込んだ水を上方に圧送する複数の第1ポンプと、
前記複数の第1ポンプケーシングの上方に配置され、第2ポンプケーシング及び前記主軸に固定される第2インペラを有し、上方から吸い込んだ水を下方に圧送する複数の第2ポンプと、
前記複数の第2ポンプケーシングの外周を覆い、前記第2ポンプケーシングの周囲に、前記第1ポンプの最上段から前記第2ポンプの最上段へ続く上方に向かって流れる第1流路を構成する流路ケーシングと、
前記流路ケーシング及び前記複数の第2ポンプの上方を覆い、前記メカニカルシールを収容するケーシングカバーと、
を備える縦型多段ポンプ。
[2]前記流路ケーシングは、
水平方向に水を吐き出す吐出口、並びに、前記第1ポンプの最上段に連通し前記第1流路の一部を構成する上昇流路及び前記第2ポンプの最下段に連通し前記吐出口に向かって流れる第2流路に仕切る板部を有する中央ケーシングと、
前記複数の第2ポンプケーシングの外周を覆い、前記中央ケーシングの前記上昇流路から前記第2ポンプの最上段へ続く上方に向かって流れる前記第1流路の他部を構成する管ケーシングと、
最上段の前記第2ポンプ及び前記ケーシングカバーの間に配置され、前記管ケーシングと前記ケーシングカバーの接続を支持し、前記第2ポンプケーシング及び前記管ケーシングが構成する前記第1流路より誘導された水を前記第2ポンプに流入可能に複数の吸込み口を有する第2吸込ケーシングと、
を備える[1]に記載の縦型多段ポンプ。
[3]前記中央ケーシングは、外周に沿って複数形成されるとともに対向する位置に配置された前記上昇流路を構成する[2]に記載の縦型多段ポンプ。
[4]前記中央ケーシングの前記上昇流路に接続され、前記ケーシングカバーに収容された前記メカニカルシールの摺動部より上方に配置された呼び水漏斗をさらに備える[3]に記載の縦型多段ポンプ。
[5]前記複数の第1ポンプの下方を覆い、水平方向に水を吸い込み前記第1ポンプの最下段に連通する吸込口及び第1締結部を有する吸込ケーシングと、
挿通孔を有する前記中央ケーシングと、
第2締結部を有する前記ケーシングカバーと、
前記挿通孔を貫通し、前記第1締結部及び前記第2締結部で締結される締結部材と、 を備える[2]乃至[4]のいずれか一項に記載の縦型多段ポンプ。
[6]L字型の固定金具をさらに備え、
前記吸込ケーシングの前記吸込口及び前記中央ケーシングの前記吐出口は、前記吸込口の吸い込み方向及び前記吐出口の吐出し方向が平行に配置され、
前記ケーシングカバーは、前記モータに締結される上部フランジ、並びに、前記上部フランジに前記吸込口及び前記吐出口の軸心方向に設けられ、前記吸い込み方向及び前記吐出し方向に直交する向きに前記固定金具を固定する取付部を有する[5]に記載の縦型多段ポンプ。
[7]前記インバータを固定したベース板を有し、前記ベース板が所定の傾斜角度で前記ケーシングカバーに取り付けられた[1]乃至[6]のいずれか一項に記載の縦型多段ポンプ。