JP2020029447A - 腸溶性高分子及び抗付着剤を含有する顆粒 - Google Patents
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(1)腸溶性高分子及び抗付着剤を含有する顆粒であって、
当該腸溶性高分子がヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートであることを特徴とし、
当該抗付着剤が二酸化ケイ素(軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素等含む。)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム(天然ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、コロイド性含水ケイ酸アルミニウム等含む。)及びケイ酸マグネシウムアルミニウム(合成ケイ酸マグネシウムナトリウム等含む。)から選ばれることを特徴とする顆粒。
(2)前記抗付着剤が二酸化ケイ素(軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素等)であることを特徴とする、前記(1)に記載の顆粒。
(3)腸溶性高分子及び糖を含有する顆粒であって、
腸溶性高分子がヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートであることを特徴とし、
当該糖が薬物100.0重量部に対して50.0重量部以下であることを特徴とする顆粒。
(4)前記糖が薬物を含む部分の周囲を被覆するコーティング層に含まれる糖であることを特徴とする、前記(3)に記載の顆粒。
(5)前記糖がグルコース、スクロース、トレハロース、乳糖及び果糖から選ばれることを特徴とする、前記(3)又は(4)に記載の顆粒。
(6)前記糖がスクロースであることを特徴とする、前記(3)又は(4)に記載の顆粒。
(7)前記(1)〜(2)のいずれかに記載の顆粒である、前記(3)〜(6)のいずれかに記載の顆粒。
(8)酸に不安定な薬物を含む部分の周囲が腸溶性高分子を含むコーティング層によって被覆されており、酸に不安定な薬物がデュロキセチン塩酸塩である、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の顆粒。
(9)腸溶性高分子を含むコーティング層の周囲が腸溶性高分子を含まないコーティング層によって被覆されていない、前記(1)〜(8)のいずれかに記載の顆粒。
(10)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の顆粒を含有する、カプセル剤。
(11)粒子径が50.0〜700.0μmの範囲内にある賦形剤(1次核粒子)にコーティング(1次コーティング)して得られた顆粒(2次核粒子)を、更にコーティング(2次コーティング)して得られた顆粒(3次核粒子)を、また更にコーティング(3次コーティング)することによって顆粒を得る工程を含む、前記(1)〜(9)のいずれかに記載の顆粒の製造方法。
(12)前記賦形剤(1次核粒子)がスクロースを含有しない賦形剤である、前記(10)に記載の顆粒の製造方法。
本発明の顆粒の製造に使用される薬物として、具体的にはデュロキセチン塩酸塩、エソメプラゾールマグネシウム水和物、ラベプラゾールナトリウム等が挙げられるが、好ましくはデュロキセチン塩酸塩である。薬物(特にデュロキセチン塩酸塩)のメディアン径(d50)は1.0〜50.0μmが好ましく、より好ましくは1.0〜10.0μmである。デュロキセチン塩酸塩は、必要に応じて適宜乾式又は湿式粉砕を行い、任意の粒子径に調整することも可能である。尚、本明細書中のメディアン径等粒子径は一般的に用いられる任意の測定条件・方法によって測定すれば良く、例えばレーザー回析・散乱法によって測定(乾式測定、体積基準)することが可能である。薬物は本発明の顆粒の全重量に対して8.0〜30.0重量%、好ましくは10.0〜25.0重量%の範囲で当該顆粒中に含有される。
本発明αの顆粒は、ケイ酸系抗付着剤を含有する。ケイ酸系抗付着剤として具体的には、二酸化ケイ素(軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素等含む。)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム(天然ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、コロイド性含水ケイ酸アルミニウム等含む。)、ケイ酸マグネシウムアルミニウム(合成ケイ酸マグネシウムナトリウム等含む。)等が挙げられ、好ましくは二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムが挙げられ、より好ましくは二酸化ケイ素であり、更により好ましくは軽質無水ケイ酸である。本発明の顆粒においてケイ酸系抗付着剤は好ましくは腸溶性高分子を含むコーティング層又はその外側のコーティング層、より好ましくは腸溶性高分子を含むコーティング層に含まれる。薬物は本発明の顆粒の全重量に対して8.0〜30.0重量%、好ましくは10.0〜25.0重量%の範囲で当該顆粒中に含有される。
本発明βの顆粒は、一定範囲の低量の糖を含有する。糖は薬物100.0重量部に対して50.0重量部以下、好ましくは1.0〜30.0重量部、より好ましくは2.0〜25.0重量部、更により好ましくは5.0〜15.0重量部の範囲で当該顆粒中に含有される。当該一定範囲の低量の糖は薬物を含む部分の周囲を被覆するコーティング層に含まれる糖であることが望ましく、腸溶性高分子を含むコーティング層又は其の内側のコーティング層に含まれる糖であることがより望ましく、当該内側のコーティング層に含まれる糖であることが更により望ましい。糖として、具体的には、グルコース、スクロース、トレハロース、乳糖、果糖等が挙げられるが、スクロース(白糖を含む。)であることが好ましい。尚、本発明βの顆粒は本発明αの顆粒でもあることが望ましい。
本発明の顆粒はヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートである腸溶性高分子を含む。当該腸溶性高分子は、本発明の顆粒の全重量に対して10.0重量%以上、好ましくは15.0〜50.0重量%の範囲で当該顆粒中に含有される。当該腸溶性高分子は、本発明の顆粒においてデュロキセチン塩酸塩を含む部分(好ましくはデュロキセチン塩酸塩を含む内部が腸溶性高分子を含まないコーティング層によって被覆されているもの。)を被覆するコーティング層の中に含有されていることが好ましい。
尚、本発明において用いる必要がないその他の腸溶性高分子として具体的には、メタクリル酸コポリマー(メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD(固形分)、メタクリル酸コポリマーS等)、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸エステル、セルロースアセテートトリメリテート、カルボキシメチルエチルセルロースが挙げられる。
本発明の顆粒は、コーティング顆粒(核粒子の周囲がコーティング層によって被覆されたもの。)であることが望ましい。当該コーティング顆粒の製造において、核粒子は賦形剤、造粒物又はコーティング顆粒を用いることができるが、好ましくは賦形剤又は賦形剤を核粒子として1回以上コーティングした顆粒である。特に好ましいコーティング顆粒は、賦形剤(1次核粒子)にコーティング(1次コーティング)したもの(2次核粒子)を更にコーティング(2次コーティング)したもの(3次核粒子)をまた更にコーティング(3次コーティング)したものである。尚、上記各次のコーティングは、下記各次の層が形成されるように行われることが望ましく、下記各次の層の特徴を共通して有する複数の層を形成するために2回以上続けて行うことも可能である。
上記の各次のコーティングによって形成される各コーティング層には、1次コーティング層(薬物層)の場合には薬物(望ましくは腸溶性高分子ではないコーティング剤と併せて)が含まれるように、2次コーティング層(分離層)の場合には腸溶性高分子を含まず、腸溶性高分子ではないコーティング剤(望ましくは糖と併せて)が含まれるように、3次コーティング層(腸溶層)の場合には腸溶性高分子(望ましくはケイ酸系抗付着剤と併せて)が含まれるようにしてあることが望ましい。上記各次のコーティング層は含まれる成分組成が異なる複数の隣接した層(但し、上記各次の層の特徴は共通して有する。)からなるものであってもよい。腸溶性高分子が含まれるコーティング層の周囲は腸溶性高分子を含まないコーティング層によって被覆されていないことが望ましい。
核粒子となる賦形剤として、結晶セルロース、マンニトール、二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム等が挙げられるが、結晶セルロース又はマンニトールであることが望ましく、特に結晶セルロースであることが望ましい。尚、核粒子となる賦形剤はスクロースを含有しないものであることが好ましい。核粒子の粒子径{体積基準の累積90%粒子径(d90)に代えても良い。}は、望ましくは700.0μm未満、より望ましくは50.0〜700.0μm、更により望ましくは100.0〜500.0μmの範囲内にあることが望ましい。腸溶性高分子ではないコーティング剤として、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、メチルセルロース、エチルセルロース、タルク等が挙げられるが、特にヒプロメロース(好ましくはタルクと併せて)が望ましい。
当該コーティング顆粒は、其の全重量に対して賦形剤(1次核粒子)が5.0〜40.0重量%、好ましくは15.0〜35.0重量%、薬物が8.0〜30.0重量%、好ましくは10.0〜25.0重量%、ケイ酸系抗付着剤が0.5〜20.0重量%、好ましくは1.0〜10.0重量%、腸溶性高分子ではないコーティング剤が5.0重量%以上、好ましくは10.0〜35.0重量%、糖が0.5〜15.0重量%、好ましくは1.0〜8.0重量%、腸溶性高分子であるコーティング剤が10.0重量%以上、好ましくは15.0〜50.0重量%含有される。本明細書においてコーティング顆粒とは造粒物の一種であると扱う。
本発明の顆粒は遮光剤として酸化チタンを含有することが好ましく、其の量はデュロキセチン塩酸塩100.0重量部に対して好ましくは65.0重量部以上である。遮光剤は、本発明の顆粒の全重量に対して好ましくは10.0〜20.0重量%の範囲で当該顆粒中に含有される。遮光剤は、本発明の顆粒においてデュロキセチン塩酸塩を含む部分を被覆するコーティング層の中に含まれていることが好ましく、当該コーティング層は本発明の顆粒の全重量に対して25.0〜45.0重量%含有されることが好ましい。
本発明の顆粒(ペレット)をカプセル内に充てんすることでカプセル剤を製造することが可能である。1つのカプセル中にデュロキセチン塩酸塩は例えば22.4mg又は33.7mg含有される。
また、包装用シートとアルミ箔等でカプセル剤を挟んで覆い、加熱シールすることで、本発明の製剤を含むPTPシート製品を得ることは可能である。其の包装用シートに使用される具体的な素材としては、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等が挙げられる。尚、湿度に対する本発明の顆粒の安定性を改善するためには、乾燥機能を有した素材を用いてPTPシート製品を製造したり、PTPシート製品をアルミピロー包装したり、乾燥剤を瓶に封入する等の周知の方法を行うことが可能である。
(B:分離層)上記で得られた2次核粒子を噴流流動層造粒機に投入し、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを精製水に溶解した液にタルク及び酸化チタンを分散・懸濁させた液を噴霧・乾燥し、3次核粒子を得た。
(C:腸溶層)上記で得られた3次核粒子を噴流流動層造粒機に投入し、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(AS−LG/信越化学工業社製)を溶解させ、軽質無水ケイ酸(アドソリダー(登録商標)101/フロイント産業社製)を分散・懸濁させた精製水と10%アンモニア水の混液を噴霧・乾燥し、コーティング顆粒を得た。更に当該コーティング顆粒を3号カプセル(VCaps Plus/カプスゲル・ジャパン社製)に充填してカプセル剤を得た。
尚、上記の薬物並びに各添加剤は、下記表1に示すコーティング顆粒の処方となるような量で上記の製造に用いた。
「軽質無水ケイ酸(アドソリダー(登録商標)101/フロイント産業社製)」を「タルク(SK−C/勝光山鉱業所社製)」に置き換えたこと以外は実施例1と同様の製造方法によってカプセル剤を得た。
尚、薬物並びに各添加剤は、下記表1に示すコーティング顆粒の処方となるような量で上記の製造に用いた。
実施例1及び比較例1で製造したカプセル剤について其々、第17改正日本薬局方・一般試験法の溶出試験法(パドル法)により試験開始30分後、45分後、60分後のデュロキセチン塩酸塩の溶出率を求め、結果(n=3)を下記の表2に示した。
<使用した装置>
・溶出試験機/NTR‐6100型(富山産業製)
・紫外線吸光光度計/UV‐1600型(島津製作所製)
<測定条件>
・試験液:薄めたMcIlvaine緩衝液(pH6.0)(ナカライテスク製)
・試験液量:900mL
・パドル回転数:100rpm
・液温:37℃
・測定波長(デュロキセチン):288nm
尚、実施例1と下記参考例1の溶出率の比較から、コーティング顆粒の核粒子の粒子径が小さい方が溶出率は高くなることが考えられる。
(B:分離層)上記で得られた2次核粒子を噴流流動層造粒機に投入し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び白糖(シュクレーヌ/パールエース社製)を精製水に溶解した液にタルク及び酸化チタンを分散・懸濁させた液を噴霧・乾燥し、3次核粒子を得た。
(C:腸溶層)上記で得られた3次核粒子を噴流流動層造粒機に投入し、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(AS−LG/信越化学工業社製)を溶解させ、軽質無水ケイ酸(アドソリダー(登録商標)101/フロイント産業社製)を分散・懸濁させた精製水と10%アンモニア水の混液を噴霧・乾燥し、コーティング顆粒を得た。更に当該コーティング顆粒を3号カプセル(VCaps Plus/カプスゲル・ジャパン社製)に充填してカプセル剤を得た。
尚、上記の薬物並びに各添加剤は、下記表3に示すコーティング顆粒(実施例2)の処方となるような量で上記の製造に用いた。
尚、薬物並びに各添加剤は、下記表3に示すコーティング顆粒(実施例3)の処方となるような量で上記の製造に用いた。
尚、薬物並びに各添加剤は、下記表3に示すコーティング顆粒(実施例4)の処方となるような量で上記の製造に用いた。
尚、薬物並びに各添加剤は、下記表3に示すコーティング顆粒(実施例5)の処方となるような量で上記の製造に用いた。
実施例2と同様の製造方法によってカプセル剤を得た。
尚、薬物並びに各添加剤は、下記表3に示すコーティング顆粒(参考例1)の処方となるような量で上記の製造に用いた。
実施例2〜5及び参考例1で製造したカプセル剤について其々、第17改正日本薬局方・一般試験法の溶出試験法(パドル法)により試験開始30分後、45分後、60分後のデュロキセチン塩酸塩の溶出率を求め、結果(n=6)を下記の表4に示した。
<使用した装置>
・溶出試験機/NTR‐6100型(富山産業製)
・紫外線吸光光度計/UV‐1600型(島津製作所製)
<測定条件>
・試験液:薄めたMcIlvaine緩衝液(pH6.0)(ナカライテスク製)
・試験液量:900mL
・パドル回転数:100rpm
・液温:37℃
・測定波長(デュロキセチン):288nm
実施例2〜5で製造したカプセル剤を、温度50℃相対湿度75%の開放条件下で7日間保存した後に、デュロキセチン由来の総類縁体の量(%)を、高速液体クロマトグラフィー法(定量方法は面積百分率法を使用した。)によって測定した。其の測定結果(小数点第4位以下は四捨五入した。)は下記の表5に示す。
Claims (6)
- 腸溶性高分子及び抗付着剤を含む顆粒αを含有するカプセル剤であって、
顆粒αがデュロキセチン塩酸塩を含む部分の周囲が腸溶性高分子を含むコーティング層によって被覆されているものであって、
腸溶性高分子がヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートであることを特徴とし、
抗付着剤が二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム及びケイ酸マグネシウムアルミニウムから選ばれることを特徴とするカプセル剤。 - 抗付着剤が二酸化ケイ素であることを特徴とする、請求項1に記載のカプセル剤。
- 腸溶性高分子及び糖を含有する顆粒βを含有するカプセル剤であって、
顆粒βがデュロキセチン塩酸塩を含む部分の周囲が腸溶性高分子を含むコーティング層によって被覆されているものであって、
腸溶性高分子がヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートであることを特徴とし、
糖が薬物100.0重量部に対して30.0重量部以下であることを特徴とするカプセル剤。 - 糖がスクロースであることを特徴とする、請求項3に記載のカプセル剤。
- 顆粒αが顆粒βであることを特徴とする、請求項1又は2並びに請求項3又は4に記載のカプセル剤。
- 粒子径が50.0〜700.0μmの範囲内にある賦形剤に、
薬物をコーティングして得られた顆粒を、
更に腸溶性高分子でないコーティング剤によってコーティングして得られた顆粒を、
また更に腸溶性高分子によってコーティングすることによって顆粒α又は顆粒βを得る工程を含む、請求項1〜5のいずれかに記載のカプセル剤の製造方法。
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