JP2017214341A - 経口医薬製剤 - Google Patents

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祥太郎 生田
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Abstract

【課題】 構成成分である酸性条件下で変質する薬剤成分に由来する類縁物質の形成を抑制して製剤の長期保管を可能にする、経口医薬製剤を提供すること。【解決手段】 本発明の経口医薬組成物は、酸性条件下で変質する薬剤成分と有機系アルカリ化剤とを含有する。本発明によれば、口腔内崩壊錠のような剤形で提供することができるとともに、長期保存後においても、薬剤成分に由来する類縁物質の形成を抑制することができる。このため、高齢者等の患者の服用が容易になり、かつ薬剤成分の効能および安全性を長期にわたって保持することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、経口医薬製剤に関し、より詳細には、酸性条件下で変質する薬剤成分の安定性を保持することにより類縁物質の形成を抑制し得る経口医薬製剤に関する。
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)であるデュロキセチン塩酸塩(デュロキセチンと省略されることもある)は、酸性条件下で加水分解により変質するという性質を有する。このため、従来、デュロキセチンを用いる製剤には、腸溶性製剤が知られており(特許文献1)、実際には腸溶性カプセルとして販売されている(非特許文献1)。
このように、酸性条件下で変質する薬剤成分では、服用後の体内での無用な変質を避け、所定の効果を充分に発揮させることが所望されており、剤形の工夫が必要である。
一方、カプセル剤は、高齢者などの患者にとっては嚥下しにくく、より服用が容易な口腔内崩壊錠のような剤形の開発が所望されている。ここで、上記薬剤成分を口腔内崩壊錠の剤形で提供する一例として、当該薬剤成分と炭酸マグネシウムのようなアルカリ化剤とを併用することが考えられる。
しかし、このような薬剤成分とアルカリ化剤との併用によって、薬剤成分の安定性が損われ、保管中に類縁物質の発生を促すおそれがある点が懸念されている。
特開平8−040895号公報
「サインバルタ(登録商標)カプセル20mg,30mg」医薬品インタビューフォーム,2013年4月改訂(改訂第5版)
本発明は、上記問題の解決を課題とし、その目的とするところは、その構成成分である酸性条件下で変質する薬剤成分に由来する類縁物質の形成を抑制して、製剤の長期保管を可能にする、経口医薬製剤を提供することにある。
本発明は、酸性条件下で変質する薬剤成分と有機系アルカリ化剤とを含有する、経口医薬製剤である。
1つの実施形態では、上記酸性条件下で変質する薬剤成分は、デュロキセチン、ジダノシン、ジゴキシン、エリスロマイシン、パンクレアチン、プラバスタチン、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、またはこれらの薬学的に許容し得る塩である。
1つの実施形態では、上記有機系アルカリ化剤は、メグルミン、アルギニン、ヒスチジン、リジン、およびアミノアルキルメタクリレートコポリマーEからなる群から選択される少なくとも1種である。
1つの実施形態では、上記有機系アルカリ化剤は、上記酸性条件下で変質する薬剤成分1重量部に対して、0.1重量部から10重量部の割合で含有されている。
1つの実施形態では、本発明の経口医薬製剤は、錠剤の剤形を有する。
さらなる実施形態では、本発明の経口医薬製剤は、上記酸性条件下で変質する薬剤成分を含有するコア粒子と、該コア粒子を包囲しかつ上記有機系アルカリ化剤を含有する中間層と、該中間層を包囲するコーティング層とを備える。
本発明によれば、口腔内崩壊錠のような剤形で提供することができるとともに、長期保存後においても、薬剤成分に由来する類縁物質の形成を抑制することができる。このため、高齢者等の患者の服用が容易になり、かつ薬剤成分の効能および安全性を長期にわたって保持することができる。
実施例1および比較例1で得られた錠剤ならびに先発製剤のカプセル剤について行った溶出試験(回転バスケット法100rpm)の結果を示すグラフである。 実施例1および比較例1で得られた錠剤について、密封または開封下で40℃、75%RHにて保管した際に生じた総類縁物質の量の変化を表すグラフである。 実施例1および比較例1で得られた錠剤について、密封または開封下で40℃、75%RHにて保管した際に生じた種々の類縁物質のうち、各日数におけるHPLCチャートの最も大きなピーク面積値を示した類縁物質の量の変化を表すグラフである。
以下、本発明について詳述する。
本発明の経口医薬製剤は、酸性条件下で変質する薬剤成分を含有する。
本明細書中において、用語「酸性条件下で変質する薬剤成分」(以下、単に「薬剤成分」と省略することがある)とは、酸性物質を含有する水溶液または固体の状態において、変質(例えば、分解、置換、付加、脱離、重縮合、酸化、還元または中和、あるいはそれらの組み合わせによる化学反応を包含する)を通じてその物理的性質および/または化学的性質が経時的に変化する薬剤化合物を総称して言う。1つの実施形態では、本発明を構成する「酸性条件下で変質する薬剤成分」における「酸性条件」とは、例えば、pH1〜6、好ましくはpH1〜4の水溶液を包含する。
このような薬剤成分の例としては、必ずしも限定されないが、デュロキセチンなどのセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬;ジダノシンなどの核酸系逆転写酵素阻害薬;ジゴキシンなどの心不全治療薬;エリスロマイシンなどのマクロライド系抗生物質;パンクレアチンなどの消化酵素剤;プラバスタチンなどのHMG−CoA還元酵素阻害剤および/または高脂血症治療剤;、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールなどのプロトンポンプ阻害薬;ならびにこれらの薬学的に許容し得る塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、モノエタノールアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、置換ピリジニウム塩などの医薬的に許容し得るアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、非毒性金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩)が挙げられる。
本発明において、上記薬剤成分がデュロキセチンである場合、得られる経口医薬製剤に対して、特に優れた薬剤成分の安定性を提供することができる。デュロキセチンは、IUPAC名で(S)−(+)−N−メチル−3−(1−ナフチルオキシ)−3−(2−チエニル)プロピルアミンとも呼ばれ、例えば、我が国においては、うつ病・うつ状態、糖尿病性神経障害に伴う疼痛、線維筋痛症に伴う疼痛、慢性腰痛症に伴う疼痛の治療のために使用することができる。
本発明の経口医薬製剤はまた、有機系アルカリ化剤を含有する。
本発明において、有機系アルカリ化剤は、上記薬剤成分と共存させることにより、水溶液中でのpHを調節する等の役割を果たし、酸性条件下での当該薬剤成分の変質を防止することができる。さらに、有機系アルカリ化剤は、経口医薬製剤の保管の間に生じ得る、上記薬剤成分の変質による類縁物質の形成を抑制することができる。
ここで、本明細書において用いられる用語「類縁物質」とは、当該薬剤成分由来の類縁物質の総称を指して言う。上記薬剤成分の類縁物質のいくつかは、薬剤成分に対する拮抗作用などの副作用を有することから安全上問題であることが知られている。このような類縁物質としては、例えば、上記薬剤成分がデュロキセチンであり、そしてデュロキセチンまたは本発明の経口医薬製剤をHPLC分析にかけた際の溶出ピークの保持時間(Retention Time(RT))が、本明細書の実施例に示す分析条件である場合、約1.4分および約3.1分で表される溶出画分に含まれる化合物が挙げられる。
本発明を構成する有機系アルカリ化剤としては、必ずしも限定されないが、例えば、アミノ糖、アミノ酸、およびアミノアルキルメタクリレートコポリマーEならびにそれらの組合せが挙げられる。アミノ糖の例としては、メグルミンが挙げられる。アミノ酸の例としては、アルギニン、ヒスチジン、リジンが挙げられる。アミノアルキルメタクリレートコポリマーEの例としては、Eudragit(登録商標)(Evonik社製)が挙げられる。本発明においては、例えば、上記薬剤成分としてデュロキセチンを用いた場合、同デュロキセチンの安定性を最も効果的に保持し得るとの理由から、メグルミンを用いることが好ましい。
本発明の経口医薬製剤において、上記有機系アルカリ化剤は、共存する薬剤成分1重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜10重量部、より好ましくは0.2重量部〜5重量部の割合で含有されている。薬剤成分1重量部に対する有機系アルカリ化剤の含有量が0.1重量部を下回ると、上記薬剤成分の変質に伴う類縁物質の形成を充分に抑制できない場合がある。薬剤成分1重量部に対する有機系アルカリ化剤の含有量が10重量部を上回ると、もはや類縁物質の形成抑制にはそれ以上の変化は見られず、むしろ経口医薬製剤としての生産性を低下させるおそれがある。
なお、本発明においては、上記薬剤成分に対する有機系アルカリ化剤の作用を阻害しない範囲において、他のアルカリ化剤(例えば、炭酸マグネシウムのような無機系アルカリ化剤)を含有していてもよい。ただし、本発明の1つの実施形態では、本発明の経口医薬製剤については、上記有機系アルカリ化剤以外には、アルカリ化剤として炭酸マグネシウムを含有しないものであることがより好ましい。
本発明の経口医薬製剤は、本発明の効果を阻害しない範囲において、必要に応じて、通常の錠剤、散剤、顆粒剤、丸剤などに用いられるその他の成分を含有していてもよい。このようなその他の成分としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、流動化剤、および滑沢剤、ならびにそれらの組合せが挙げられる。
賦形剤は、薬学的に許容され得る一般的なものであって、従来結合剤としても機能し得るものを除いたものであれば特に限定されない。賦形剤の具体的な例としては、D−マンニトール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコール;ブドウ糖、乳糖、白糖(精製白糖を含む)、粉糖、トレハロース、デキストランなどの糖;グリセリン脂肪酸エステル;およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイトなどの無機粉体;ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
崩壊剤は、薬学的に許容され得る一般的なものであれば特に限定されない。崩壊剤の具体的な例としては、低置換度ヒドロキシピロピルセルロース(L−HPC)、クロスポビドン、カルボキシスターチナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、デンプン、部分α化デンプン、コーンスターチ、乳糖、クエン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、結晶セルロース、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルメロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
流動化剤は、薬学的に許容され得る一般的なものであれば特に限定されない。流動化剤の具体的な例としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、タルク、合成ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
滑沢剤としては、薬学的に許容され得る一般的なものであれば特に限定されない。滑沢剤の具体的な例としては、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、軽質無水ケイ酸、硬化油、グリセリン脂肪酸エステル、タルクが挙げられる。好ましくは、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、およびショ糖脂肪酸エステル、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
本発明の経口医薬製剤において、これら他の成分の含有量は特に限定されず、本発明の効果を阻害しない範囲において適切な量が当業者によって任意に選択され得る。
本発明の経口医薬製剤は、上記薬剤成分、有機系アルカリ化剤およびその他の成分に加え、例えば、これらを包囲して腸溶性のコーティング層を形成し得るコーティング剤を含有していてもよい。
このようなコーティング剤としては、薬学的に許容され得る一般的なものであれば特に限定されない。コーティング剤の具体的な例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸コポリマー、ヒプロメロースアセテートサクシネート、酸化チタン、およびポリエチレングリコール(マクロゴール6000)、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
さらに、コーティング剤には、他の基剤を含んでもよい。他の基剤としては、特に限定されないが、例えば、糖、糖アルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、クエン酸トリエチル、トリアセチン、マクロゴールなどのポリエチレングリコール(PEG)、ポリソルベート類、タルク、および酸化チタン、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、糖、糖アルコール、トリアセチン、マクロゴールなどのPEG、およびタルク、ならびにそれらの組み合わせである。糖としては、特に限定されないが、例えば、ブドウ糖、果糖、乳糖、白糖、還元麦芽糖、およびトレハロースが挙げられる。糖アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、D−マンニトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、およびラクチトールが挙げられる。
本発明の経口医薬製剤において、コーティング剤および他の基剤の各の含有量は特に限定されず、本発明の効果を阻害しない範囲において、それぞれ適切な量が当業者によって任意に選択され得る。
本発明の経口医薬製剤は、錠剤、散剤、顆粒剤、丸剤のような固体の剤形の他、注射剤、懸濁剤、乳剤、その他の液剤のような液体の剤形としても使用することができる。本発明においては、より多くの患者にとって服用し易く、保管や取扱も容易であるとの理由から、錠剤として使用することが好ましく、口腔内崩壊錠として使用されることがより好ましい。
また、本発明の経口医薬製剤は、錠剤として製剤化される場合、上記酸性条件下で変質する薬剤成分と有機系アルカリ化剤とは、外部に存在し得る酸性物質から薬剤成分を保護する役割を果たす限りにおいて、必ずしも一緒に混合されなくてもよく、例えば、当該薬剤成分を含有するコア粒子(ここで、薬剤成分は、例えばスプレーによって当該コア粒子の表面に分散するように配置されていてもよく、または当該コア粒子の内部で均一に分散するようにコア粒子を構成する他の成分とともに混合されていてもよい)と、当該コア粒子を包囲しかつ有機系アルカリ化剤を含有する中間層とで構成されていてもよい。さらに、本発明の経口医薬製剤は、上記コーティング剤を用いることにより、この中間層を包囲するコーティング層を備えていてもよい。
本発明においては、上記酸性条件下で変質する薬剤成分および有機系アルカリ化剤と、必要に応じて用いられる上記他の成分、コーティング剤および/他の基剤とが、当業者に公知の手法を用いて合わされ、所望の剤形に製剤化することができる。
このようにして本発明の経口医薬製剤を得ることができる。
本発明の経口医薬製剤は、その薬効成分として含有される上記薬剤成分の種類に応じて、種々の用法および用量にて患者に投与される。また、この投与が行われるまでの期間は、例えば、冷暗所に保管され得る。この保管の間、本発明の経口医薬製剤に含まれる薬剤成分は、有機系アルカリ化剤が共存することによって類縁物質の形成が抑制される。これにより、本発明の経口医薬製剤の保管期間が実質的に延長するとともに、保管期間を経たことによる薬剤成分の変質に対する懸念が払拭されるため、医療従事者および患者はいずれも、一層安心して当該経口医薬製剤を使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
デュロキセチン塩酸塩20mgを含有する総質量300mgの口腔内崩壊錠を、以下のようにして製造した。
まず、デュロキセチン塩酸塩179.2gおよびヒプロメロース44.8gを精製水1270gに懸濁させた、第1懸濁液を調製した。次いで、流動層造粒機(株式会社パウレック製:MP−01型)内で、平均粒子径160μmの結晶セルロース粒子で構成されるコア粒子にこの第1懸濁液を噴霧しかつ乾燥することによって、薬物層としてデュロキセチン塩酸塩が表面に略均一に配置された第1次粒子を得た。
次に、ヒプロメロース24g、タルク41.4gおよびメグルミン0.6gを精製水750gに添加して第2懸濁液を調製した。この第2懸濁液を、上記第1次粒子が入った造粒機内で噴霧しかつ乾燥することによって、メグルミンを含有する中間層1が表面に略均一に配置された第2次粒子を得た。
そして、ヒプロメロース3.9g、タルク2.1gおよび酸化チタン13.5gを精製水110gに添加して第3懸濁液を調製した。この第3懸濁液を、上記第2次粒子が入った造粒機内で噴霧しかつ乾燥することによって、メグルミンを含有する中間層1の上に酸化チタンを含有する中間層2が略均一に配置された第3次粒子を得た。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPCMP;信越化学工業株式会社製HP−55)43.2g、クエン酸トリエチル7.2g、タルク10.8gおよび酸化チタン10.8gを、精製水150gおよびエタノール600gに添加してコーティング液を調製した。このコーティング液を、上記第3次粒子が入った造粒機内で噴霧しかつ乾燥することによって中間層2の上に腸溶層が配置された第4次粒子を得た。さらに、この第4次粒子をD−マンニトールでさらにコーティングすることにより、腸溶層の上に最外層がさらに配置されたコーティング粒子を得た。
得られたコーティング粒子に含まれる各成分の含有量を表1に示す。
Figure 2017214341
次いで、上記コーティング粒子113.4gに、表2に示す賦形剤、崩壊剤、流動化剤および滑沢剤をそれぞれ添加し、混合機(筒井理化学器械株式会社製:S−3)に投入して混合し、打錠用の顆粒を得た。
Figure 2017214341
そして、得られた顆粒をロータリー打錠機(株式会社菊水製作所製:VIRGO)に投入して打錠し、重量300mg、錠剤径10.0mm、錠剤厚み約3.2mm、および硬度約30N、ならびに崩壊時間約20秒の錠剤(E1)を得た。
(比較例1)
コーティング粒子の中間層1を作製するための第2懸濁液として、ヒプロメロース24g、タルク9gおよび炭酸マグネシウム33gを用いたこと以外は実施例1と同様にして錠剤(CE1)を得た。
(試験例1:回転バスケット法(100rpm)による溶出試験)
実施例1で得られた錠剤、比較例1で得られた錠剤、および先発製剤(サインバルタカプセル20mg;日本イーライリリー株式会社製(4号カプセル))に対する溶出試験を行った。溶出試験は、上記錠剤およびカプセルについて、それぞれ6錠を用いて日本薬局方溶出試験法に従い行った。試験液として日本薬局方溶出試験第2液900mL(pH6.8)を用い、回転バスケット法(100rpm)により、試験開始から120分までの溶出率を測定した。得られた結果を図1に示す。
図1に示すように、実施例1で得られた錠剤は、先発製剤と比較して、比較的短時間で溶出が起きており、かつ試験開始60分以降は、先発製剤と略同様の溶出挙動を示していたことがわかる。これに対し、アルカリ化剤として炭酸マグネシウムを使用した比較例1の錠剤は、先発製剤よりも溶出開始の時間は短くなったものの、溶出率が試験開始120分の段階でも80%には到達せず、先発製剤と比較して溶出挙動が低下していたことがわかる。
(試験例2:類縁物質の形成確認試験)
実施例1および比較例1で得られた錠剤(各10錠)をそれぞれアルミ袋に移して密封し、40℃、75%相対湿度(RH)条件下にて30日間、暗所で保管し、錠剤製造時、15日間保管後、および30日間保存後の錠剤について、デュロキセチン塩酸塩の類縁物質を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により下記分析条件にて分析した。なお、類縁物質の量(%)は、HPLCのピーク面積において、デュロキセチン塩酸塩に対する類縁物質の百分率で算出した。
<HPLC分析条件>
カラム:内径4.6mm、長さ7.5cmのステンレス管に3μm液体クロマトグラフィー用オクチルシリル化シリカゲルを充填した。
移動相:リン酸二水素カリウム3.4gおよびトリエチルアミン15mLを、水1000mLに溶解し、リン酸7mL、テトラヒドロフラン153mLおよびメタノール550mLを加えて使用した。
流量:毎分1.5mL
温度:45℃
検出波長:230nm
得られた総類縁物質の量(%)の結果を図2に示し、そして類縁物質の個々最大値(%)(HPLCチャートの最も大きなピーク面積値を示した類縁物質の量)の結果を図3に示す。
一方、実施例1および比較例1で得られた錠剤(各10錠)をそれぞれアルミ袋に移し、これを密封することなく(開封したまま)、40℃、75%相対湿度(RH)条件下にて30日間暗所で保管し、上記と同様にして、デュロキセチン塩酸塩の類縁物質をHPLCにより分析し、かつ当該類縁物質の量(%)を算出した。得られた総類縁物質の量(%)の結果を図2に示し、そして類縁物質の個々最大値(%)(HPLCチャートの最も大きなピーク面積値を示した類縁物質の量)の結果を図3に示す。
図2に示すように、密封下で保管された実施例1の錠剤および密封下で保管された比較例1の錠剤は、採用したような保管日数の範囲では、保管日数の経過に関わらず、総類縁物質の量にほとんど変化が観察されず、両者の間には一見差異が生じていないようにも見える。しかし、類縁物質の形成がより促され易い、開封下で保管された比較例1の錠剤は、試験開始後15日の段階で総類縁物質の量が顕著に増加しており、試験開始後30日では総類縁物質の量が特に急激に増加していた。すなわち、比較例1で得られた錠剤は、保管による薬剤成分の変質を充分に抑制することができず、類縁物質の形成が避けられないものであったことがわかる。これに対し、開封下で保管された実施例1の錠剤については、保管日数の経過にしたがって、総類縁物質の量がほとんど増加せず、試験開始後30日でも0.5%に満たないものであった。すなわち、実施例1で得られた錠剤は、保管による薬剤成分の安定性が充分保持されていたことがわかる。
さらに、図3に示すように、密封下で保管された実施例1の錠剤および密封下で保管された比較例1の錠剤は、採用したような保管日数の範囲では、保管日数の経過に関わらず、類縁物質の個々最大値は常に低い状態に保たれており、両者の間には一見差異が生じていないようにも見える。しかし、類縁物質の形成がより促され易い、開封下で保管された比較例1の錠剤は、試験開始後15日の段階で類縁物質の個々最大値が顕著に増加しており、試験開始後30日では総類縁物質の量が一層急激に増加していた。すなわち、比較例1で得られた錠剤は、保管による薬剤成分の変質を充分に抑制することができず、保管の間に少なくとも1種以上の類縁物質が急激に形成されていたことがわかる。これに対し、開栓下で保管された実施例1の錠剤については、保管日数の経過にしたがって、総類縁物質の量がほとんど増加せず、試験開始後30日でも0.4%を明らかに下回るものであった。すなわち、実施例1で得られた錠剤は、保管による薬剤成分の安定性が充分保持されており、保管の間に特定の類縁物質が著しく形成されることもないとわかる。
図1〜3を総合的に考慮すると、実施例1で得られた錠剤は、先発製剤よりも短い期間において薬剤成分であるデュロキセチンを溶出し、かつ先発製剤と同様の溶出率を保持することができる。さらに、保管期間における類縁物質の形成を抑制するという優れた安定性も提供することができる。このような安定性の効果は、上記のように30日間という比較的短期間の保管日数においてもすでに観察されており、数年間に及ぶ医薬品の実質的な保管期間を考慮すると、その効果はより顕著なものであるということができる。
本発明によれば、長期保存が可能な経口医薬製剤を提供することができる。本発明の経口医薬製剤は、含まれる薬剤成分の類縁物質の形成を抑制することができるため、医薬的により安全で当該薬剤成分の効能を保持した製剤を提供することができる。本発明の経口医薬製剤は、口腔内崩壊錠(OD錠)などの種々の剤形で使用することができる。

Claims (6)

  1. 酸性条件下で変質する薬剤成分と有機系アルカリ化剤とを含有する、経口医薬製剤。
  2. 前記酸性条件下で変質する薬剤成分が、デュロキセチン、ジダノシン、ジゴキシン、エリスロマイシン、パンクレアチン、プラバスタチン、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、またはこれらの薬学的に許容し得る塩である、請求項1に記載の経口医薬製剤。
  3. 前記有機系アルカリ化剤が、メグルミン、アルギニン、ヒスチジン、リジン、およびアミノアルキルメタクリレートコポリマーEからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の経口医薬製剤。
  4. 前記有機系アルカリ化剤が、前記酸性条件下で変質する薬剤成分1重量部に対して、0.1重量部から10重量部の割合で含有されている、請求項1から3のいずれかに記載の経口医薬製剤。
  5. 錠剤の剤形を有する、請求項1から4のいずれかに記載の経口医薬製剤。
  6. 前記酸性条件下で変質する薬剤成分を含有するコア粒子と、該コア粒子を包囲しかつ前記有機系アルカリ化剤を含有する中間層と、該中間層を包囲するコーティング層とを備える、請求項5に記載の経口医薬製剤。
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