JP2020028900A - 金型の製造方法 - Google Patents

金型の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020028900A
JP2020028900A JP2018155889A JP2018155889A JP2020028900A JP 2020028900 A JP2020028900 A JP 2020028900A JP 2018155889 A JP2018155889 A JP 2018155889A JP 2018155889 A JP2018155889 A JP 2018155889A JP 2020028900 A JP2020028900 A JP 2020028900A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
shot
mold
treatment
machining
manufacturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018155889A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6563571B1 (ja
Inventor
昇平 中野
Kohei Nakano
昇平 中野
高憲 滝北
Takanori Takikita
高憲 滝北
健二 土屋
Kenji Tsuchiya
健二 土屋
衛 高橋
Mamoru Takahashi
衛 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
RTM KK
Original Assignee
RTM KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=67692159&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP2020028900(A) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by RTM KK filed Critical RTM KK
Priority to JP2018155889A priority Critical patent/JP6563571B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6563571B1 publication Critical patent/JP6563571B1/ja
Publication of JP2020028900A publication Critical patent/JP2020028900A/ja
Ceased legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】金型の製造方法で、特に、ダイカスト金型製造時の表面処理工程の改善により、金型の長寿命化を図ることができる金型の製造方法を提供する。【解決手段】(A)鋼材を機械加工あるいは放電加工の後に、鋼材の表面にショットブラスト処理を行って、加工変質層を除去する工程と、(B)ショットブラスト処理の後に、ショットピーニング処理を行って、表面粗さを整えかつ圧縮残留応力を付与する工程と、を有する金型の製造方法である。また、(C)前記ショットピーニング処理後に、窒化処理を行う工程と、を有する金型の製造方法である。【選択図】図6

Description

本発明は、金型の製造方法に関し、特に、ダイカスト金型製造時の表面処理工程の改善により、金型の長寿命化を図ることができる金型の製造方法に関する。
ダイカストは生産性に優れ、高品質の鋳物を提供できることから、現在アルミ鋳物の大部分はダイカスト製品である。また、その製品の多くは自動車部品であり、近年の高性能化、軽量化により部品の高品質化、軽量化が求められている。そのため、ダイカスト金型にも高品質化、長寿命化が求められ、鋼材の高性能化や多くの表面処理が提案、実用化がなされている。
また、金型の製造の工程としては、一般的に、以下の(1)〜(12)の工程で行われている。
(1)設計
(2)加工データ作成
(3)荒加工
(4)仕上げ加工
(5)機械加工(マシニング加工)
(6)放電加工
(7)研磨
(8)寸法検査(金型部品)
(9)組み立て
(10)試打ち
(11)寸法検査(製品)
※必要に応じて金型修正
(12)表面処理(窒化処理など)
かかる金型の製造方法に関して、非特許文献1には、金型寿命を左右する要因は、金型材料、熱処理、鋳造条件など多岐に渡り、金型製作時の要因についても指摘されているが、一般的に、上記のように、金型の加工には、機械加工および放電加工が用いられ、いずれの場合にも加工後には、鋼材の加工面に変質層(溶融再凝固層)が生じ、変質層除去のための研磨を行う必要がある。具体的には、上記工程のマシニング加工面あるいは放電加工面の粗さ(Rz)は、通常、5〜20μm程度であり、この面を平滑にすると共に加工時の変質層を除去するため「磨き(研磨)」を行っている。また、上記の工程(7)の研磨は、現在でも多くの場合、手作業で行われており、多くの人手、時間および費用を費やしている。これは、非特許文献2〜4に開示されているように、放電加工面には変質層が生じ、この変質層は局部溶解と再凝固による脆弱な層や微小クラックがあり、また引張り残留応力があることから完全に除去しないと金型寿命に悪影響を及ぼすものである。
また、金型の加工に放電加工を使用せず、機械加工のみで加工を完了させた場合でも加工面の凹凸(ツールマーク)が残り、これがクラックの発生起点となるといわれている。さらに、引張り残留応力もあるといわれており、機械加工の場合でも加工面の研磨が必要とされている(非特許文献5)。
さらに、上記のように、機械加工後研磨あるいは放電加工後研磨した後に試打ちを行い、製品の寸法確認ができた後に、窒化処理などの表面処理を行っている。これは、寸法確認前に窒化処理などの表面処理を行うと、製品の寸法不具合があった場合に金型の寸法修正が容易でないからである。
また、上記工程(12)の金型表面処理については非常に多くの処理が実際に行われている。ショットピーニングによる金型表面の平滑化と圧縮残留応力が金型寿命に良好な効果をもたらすことも知られており、さらにショットピーニングと窒化処理を組み合わせる技術も提案されている。(特許文献1および特許文献2)。
日原政彦、「ダイカスト金型の寿命向上と対策」、株式会社軽金属通信ある社、平成6年9月 日原政彦、八代浩二、「ダイカスト金型鋼の寿命に関する研究」、山形県工業技術センター 研究報告、1993年、No.7、p53―59 日原政彦、萩原茂、八代浩二、佐野正明、「生産用金型の高度化・高精度化技術の開発(第3報)」、山形県工業技術センター 研究報告、1996年、No.10、p1 増井清徳、曽根匠、佐藤幸弘、南久、「金型製作における放電加工面のトラブル事例とその対策」、電気加工学会誌、2000年、Vol.34、No.76、p42―49 竹山秀彦、「大学講義 切削加工」、丸善出版、1997年、p132
特開2011−23531号公報 特開2004−14836号公報
金型の製造において、従来から変質層除去のために、上記工程(7)の研磨が行われているが、研磨作業は、主に手作業で行われるため、時間と費用を費やすという問題点があった。そのため、研磨にかわる変質層の除去方法が求められていた。
また、機械加工後研磨あるいは放電加工後研磨した後に試打ちを行っているが、試打ち時に金型に微細なクラックが入り、それが金型の寿命に悪影響を及ぼしている場合もある。そのため、試打ち時には、窒化処理のような金型表面を硬くすることなく微細クラックの発生を防止できる処理を施し、試打ち後に窒化処理を施すことが求められている。また、上記工程10の試打ちは、金型の表面処理をする前に製品の寸法検査を行い、必要な場合には金型修正をするために必要な工程であるが、この試打ちの際に微細なクラックが生じ、この微細クラックがあると窒化処理を行った後にもクラックの起点となり金型寿命に悪影響を及ぼすおそれがある。しかしながら、この試打ち時のクラックに注目して金型製造の工程に言及している事例は見当たらないのが現状である。
さらに、特許文献1および2記載の技術は、それぞれ省力化、費用削減あるいは金型寿命延長に効果があると考えられるが、金型製造工程全体としての費用削減、工期短縮および金型の高品質化に最適とは言い難いものであった。また、高寿命の金型を低コストで製造するために、上述のように各工程で様々な工夫が行われているが、処理内容と処理工程が必ずしも明確ではなかった。
そこで、本発明の目的は、前記の従来技術の問題点を解決し、従来、問題点であると指摘されながらもその対応が十分ではなかった試打ち時の微細クラックに着目し、その前後の金型製造工程の処理内容を適切にすることにより、短工期、低コストで金型の長寿命化を図ることができる金型の製造方法を提供するものである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ショットブラスト処理の後にショットピーニング処理を行うことによって、前記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の金型の製造方法は、
(A)鋼材を機械加工あるいは放電加工の後に、前記鋼材の表面にショットブラスト処理を行って、加工変質層を除去する工程と、
(B)前記ショットブラスト処理の後に、ショットピーニング処理を行って、表面粗さを整えかつ圧縮残留応力を付与する工程と、
を有することを特徴とするものである。
また、本発明の金型の製造方法は、
(A)鋼材を機械加工あるいは放電加工の後に、前記鋼材の表面にショットブラスト処理を行って、加工変質層を除去する工程と、
(B)前記ショットブラスト処理の後に、ショットピーニング処理を行って、表面粗さを整えかつ圧縮残留応力を付与する工程と、
(C)前記ショットピーニング処理後に、窒化処理を行う工程と、
を有することを特徴とするものである。さらに、前記窒化処理後の前記鋼材における表面硬化層深さが、50〜100μmであることが好ましい。さらに好ましくは、前記窒化処理において、通常のガス窒化などにより鋼材表面に生じる所謂「白層」が生じない窒化処理が望ましい。
また、本発明の金型の製造方法は、前記ショットブラスト処理が、F10〜F320のアルミナあるいは炭化けい素のショット材を用い、0.2MPa〜0.6MPaの空気圧で行うショットブラスト処理であり、前記ショットピーニング処理が、#120〜#320相当のガラスビーズ、スチールビーズ、ジルコンビーズまたはジルコニアビーズのピーニング材を用い、0.2MPa〜0.6MPaの空気圧で行うショットピーニング処理であることが好ましい。なお、本発明において、「F」および「#」は、JIS R6001によるものである。
本発明によると、ダイカスト金型製造時の表面処理工程の改善により、金型の長寿命化を図ることができる金型の製造方法を提供することができる。
放電加工後(試料No.1−1)の表面の写真である。 放電加工後(試料No.1−1)の表面の断面の写真である。 放電加工後にショットブラスト処理した後(試料No.1−2)の表面の写真である。 放電加工後にショットブラスト処理した後(試料No.1−2)の表面の断面の写真である。 放電加工後にショットブラスト処理し、さらにショットピーニング処理した後(試料No.1−3)の表面の写真である。 放電加工後にショットブラスト処理し、さらにショットピーニング処理した後(試料No.1−3)の表面の断面の写真である。 放電加工後にショットピーニング処理した後(試料No.1−4)の表面の写真である。 放電加工後にショットピーニング処理した後(試料No.1−4)の表面の断面の写真である。 熱疲労試験に使用する熱疲労試験機を示す図である。 熱疲労試験における熱サイクルを示すグラフである。 機械加工仕上げ後に、#400ペーパー仕上げを行った試験片(試験片3−1)の試験後の表面状態の写真である。 機械加工仕上げの後に、ショットブラスト処理し、さらにショットピーニング処理を行った試験片試験片(3−2)の試験後の表面状態の写真である。 機械加工仕上げ後に、#400ペーパー仕上げを行い、窒化処理無しの試験片(試験片4−1)の試験後の表面状態の写真である。 機械加工仕上げの後に、ショットブラスト処理し、さらにショットピーニング処理を行い、窒化処理なしの試験片(試験片4−2)の試験後の表面状態の写真である。 機械加工仕上げの後に、ショットブラスト処理し、さらにショットピーニング処理を行い、窒化処理を行った試験片(試験片4−3)の試験後の表面状態の写真である。
以下、本発明の金型の製造方法(金型製造における鋼材の表面処理方法)ついて具体的に説明する。
本発明の金型の製造方法は、(A)鋼材を機械加工あるいは放電加工の後に、前記鋼材の表面にショットブラスト処理を行って、加工変質層を除去する工程と、(B)前記ショットブラスト処理の後に、ショットピーニング処理を行って、表面粗さを整えかつ圧縮残留応力を付与する工程と、を有することを特徴とするものである。このように、機械加工あるいは放電加工後にショットブラスト処理、そしてショットピーニング処理を行うことで、鋼材の加工面の変質層および引張り残留応力を取り除き、表面粗さを整えると共に圧縮残留応力を付与することができ、その結果、研磨作業の時間と費用を軽減し、加えて試打ち時の微小クラックの発生を防止することができる。なお、機械加工は、オークマ株式会社製の立形マシニングセンタMB−46VA(商品名)等の機械加工機を使用して行うことができ、放電加工は、株式会社牧野フライス製作所製のEDGE3(商品名)等の放電加工機を使用して行うことができる。
また、本発明の金型の製造方法は、(A)鋼材を機械加工あるいは放電加工の後に、前記鋼材の表面にショットブラスト処理を行って、加工変質層を除去する工程と、(B)前記ショットブラスト処理の後に、ショットピーニング処理を行って、表面粗さを整えかつ圧縮残留応力を付与する工程と、(C)前記ショットピーニング処理後に、窒化処理を行う工程と、を有することを特徴とするものである。このように、ショットピーニング後に試打ちを行い、その試打ち後に、窒化処理を行うことにより、金型寿命を延ばすことができ、試打ち時には、窒化処理のような金型表面を硬くすることは行わずに、ショットブラスト処理と、その後のショットピーニング処理で、微細クラックの発生を防止し、試打ち後に窒化処理を施すことが必要である。
試打ち時に微細クラックを生じさせないことはその後の金型寿命を長く保つために重要なことであり、このためには、金型加工後に鋼材の表面変質層を除去し、クラック発生を抑制する処理を施すことが望ましい。そこで、鋭意検討した結果、変質層の除去にはショットブラストが効果的であり、表面改質と圧縮残留応力の付与にはショットピーニングが有効であることを見出したものである。その結果、本発明では、アルミダイカスト金型製造時に適切な金型表面処理を適切な工程で行うことにより、従来よりも工期を短縮し、費用を低減し、かつ長寿命な金型を提供することができるものである。
ショットブラスト処理は、投射材(ショット材(ショットメディア))と呼ばれる粒体を加工物に衝突させる処理のことであり、一般に汚れ除去、清掃に用いられており、使用するメディアもブラスト条件も様々である。変質層の除去にはある水準の研掃力が必要であるが、あまり研掃力が強く、表面を必要以上に粗くしてしまうことは好ましくない。そのため、機械加工あるいは放電加工の仕上げ状態を考慮したショット材やショットブラスト条件を選択する必要があり、適切な条件のショットブラスト処理が必要である。また、ショットブラスト処理後のショットピーニング処理は、無数の鋼鉄あるいは非鉄金属の小さな球体を高速で金属表面に衝突させる処理のことであり、表面粗さを整え圧縮残留応力を付与するものである。この場合も、ショットブラスト処理の仕上がり状態を考慮して、最適なショット材を用いること、あるいはピーニング条件とする必要がある。
そのため、本発明の金型の製造方法は、前記ショットブラスト処理が、F10〜F320のアルミナあるいは炭化けい素のショット材を用い、0.2MPa〜0.6MPaの空気圧で行うショットブラスト処理であり、前記ショットピーニング処理が、#120〜#320相当のガラスビーズ、スチールビーズ、ジルコンビーズまたはジルコニアビーズのピーニング材を用い、0.2MPa〜0.6MPaの空気圧で行うショットピーニング処理であることが好ましい。また、本発明の金型の製造方法は、F54〜F240のアルミナあるいは炭化けい素のショット材を用い、0.3MPa〜0.5MPaの空気圧で行うショットブラスト処理であり、前記ショットピーニング処理が、#120〜#240のガラスビーズ、スチールビーズ、ジルコンビーズまたはジルコニアのピーニング材を用い、0.3MPa〜0.5MPaの空気圧で行うショットピーニング処理であることが、より好ましい。このショットブラスト条件とすることで、金型表面の変質層の除去の作業時間がより短くなり、表面粗さを不要に粗くしないバランスで処理することができる。
また、本発明において、ショットブラスト処理とショットピーニング処理の工程は、その順序を逆にすることは不可である。これは、下記実施例にも示しているが、鋼材の加工面へのショットピーニング処理では変質層を除去することは困難であり、また、ショットピーニング処理後にショットブラスト処理を行うとショットブラスト処理後にショットピーニング処理行った場合と比較して、鋼材を平滑面とすることは困難であるからである。
さらに、本発明において、ショットブラスト処理とショットピーニング処理後に、窒化処理を行うこともできる。上記のように、金型加工後にショットブラスト処理を行って変質層を除去し、さらにショットピーニング処理により表面改質を行い圧縮残留応力を付与することにより、短工期、低コストで試打ち時のクラック防止効果の高い金型を提供することができ、試打ち時にクラックの発生が防止できていれば、その後の窒化処理の効果が、微細クラックのある状態で窒化処理を施した場合より大きくなる。さらにまた、窒化処理の前処理として、ショットブラスト処理による表面研掃を行うことにより表面を清浄化、活性化し、窒化処理が行われやすくすると共に、表面の極微細なクラックを除去することができ、さらにショットピーニング処理を行うことにより表面粗さを整えかつ圧縮残留応力を付与することができる。
また、本発明において、上記のように、これらの前処理により窒化による表面硬化による金型の長寿命化効果が一層発揮されるが、窒化処理による硬化層の深さ(表面硬化層深さ)としては、金型の耐ヒートクラック性から50〜100μmが効果的であり、かつ表面に所謂白層を生じないことが好ましい。さらに、窒化処理後にショットピーニング処理を行うことにより、より大きい圧縮残留効果が付与され、金型寿命が更にのばすことができる。
本発明において、前記窒化処理の方法としては、前記鋼材を窒化処理することができ、本発明の効果が得られれば特に限定されないが、イオン窒化法、プラズマ窒化法、ガス窒化法、ガス軟窒化法等の方法を挙げることができる。また、窒化処理の条件としては、前記鋼材を窒化処理することができ、本発明の効果が得られれば特に限定されないが、ガス軟窒化法が好ましい。
また、窒化処理温度が500〜600℃であり、窒化層が金型表面から50〜100μmであることが好ましい。窒化処理として、鋼材の表面に、鉄と窒素の化合物(Fe4NおよびFe2〜3N)、所謂「白層」を生じないように窒化の条件をコントロールすることにより、金型使用中にクラックが生じた際に再度窒化処理が可能となる。
さらに、本発明において、前記金型(ダイカスト金型)としては、例えば、アルミニウム合金、マグネシウム合金などの鋳造に用いられるダイカスト金型等を挙げることができる。かかる金型の鋼材としては、本発明の効果が得られれば特に限定されないが、例えば、JIS G 4404 SKD61等を挙げることができる。
さらに、本発明において、本発明の効果が損なわれない範囲で、通常の金型の製造方法に使用できる工程を追加できる。例えば、本発明の金型製造方法中に、放電被覆あるいは酸化処理の工程を含んでいてもよい。
以下、本発明について、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
下記表1記載の条件で、SKD61熱処理材の鋼材を処理した。放電加工は、株式会社牧野フライス製作所製のEDGE3放電加工機(商品名)を用い、通常の金型製作時の放電加工条件で行った。また、処理後の鋼材の表面および断面を株式会社キーエンス製のVHX−6000デジタルマイクロスコープ(商品名)で撮影した。さらに、処理後の鋼材の表面粗さを株式会社ミツトヨ製のサーフテスト SJ−400を用いて測定し、表1に併記した。表面粗さとは、JIS B 0601:2001に規定される方法で測定したものである。
図1は、放電加工後(試料No.1−1)の表面の写真であり、図2は、放電加工後(試料No.1−1)の表面の断面の写真であり、図3は、放電加工後にショットブラスト処理した後(試料No.1−2)の表面の写真であり、図4は、放電加工後にショットブラスト処理した後(試料No.1−2)の表面の断面の写真であり、図5は、放電加工後にショットブラスト処理し、さらにショットピーニング処理した後(試料No.1−3)の表面の写真であり、図6は、放電加工後にショットブラスト処理し、さらにショットピーニング処理した後(試料No.1−3)の表面の断面の写真であり、図7は、放電加工後にショットピーニング処理した後(試料No.1−4)の表面の写真であり、図8は、放電加工後にショットピーニング処理した後(試料No.1−4)の表面の断面の写真である。図1から、放電加工後の表面は粗く、図2から、処理後の鋼材の断面には白い変質層が生じていることが確認できる。また、図3および図4からショットブラスト後は表面変質層が除去され表面が滑らかになっていることが確認できる。さらに、図7と図8から、放電加工後にショットピーニングのみを施した試料の表面と断面では、表面変質層が除去されていないことが確認できる。一方、図5と図6から、放電加工後にショットブラスト処理し、さらにショットピーニング処理を行うことで、試料No.1−2および試料No.1−4と比較して、滑らかになっていることが確認できる。このことは、表1の表面粗さの結果からも確認できる。
(実施例2)
下記表2記載の条件で、SKD61熱処理材の鋼材を処理した。機械加工は、オークマ株式会社製の立形マシニングセンタMB−46VA(商品名)で行った。また、処理後の鋼材の表面粗さを株式会社ミツトヨ製のサーフテスト SJ−400を用いて測定し、さらに、処理後の圧縮残留応力(MPa)をX線回折残留応力測定装置により測定して、表2に併記した。なお、表2中、ショットブラスト処理は、F240アルミナ、0.4MPaのエアー圧でブラストする条件で行い、ショットピーニング処理は、#120Zrビーズ、0.6MPaエアー圧でピーニングする条件で行った。
表2の結果から、SKD61熱処理材の鋼材を機械加工した後の処理が、「機械加工後に、ショットブラスト処理し、さらにショットピーニング処理」した場合と「機械加工後に、ショットピーニング処理し、さらにショットブラスト処理」した場合で、表面粗さ及び残留応力に与える影響が大きく異なり、機械加工後にショットブラスト処理を行い、その後にショットピーニング処理を行った方が、表面粗さは小さく圧縮残留応力は大きくなり、鋼材の表面を改善でき、金型の長寿命化を図ることができた。
(実施例3)
下記表3記載の条件で、SKD61熱処理材の鋼材を処理した。また、下記表3記載の条件で、処理後の鋼材に対し、下記熱疲労試験を行い、表面状態の写真を撮影した。
(熱疲労試験)
図9は、熱疲労試験に使用する熱疲労試験機を示す図であり、図10は、熱疲労試験における熱サイクルを示すグラフである。図9(A)は加熱・加圧中の状態を示す図であり、図9(B)は冷却中の状態を示す図であり、図9中、1は加熱ヒーター、2は加熱ブロック、3は試験片、4はシリンダー、5は水槽、6はシリンダー4に連結されたロッド、2aは熱電対、矢印aは加熱・加圧時のロッド6の動き方向、矢印bは冷却加熱のロッド6の切替方向を示す。図9(A)に示すように、試験片3をロッド6の先に設置し、シリンダー4を矢印a方向に加熱・加圧する。その後、試験片3が560℃に達したら、図9(B)に示すように、試験片3を矢印b方向に回転させて水の入った水槽5で冷却する。これを図10に示すように、表中記載のサイクルの回数、繰り返し行い、表面状態の写真を撮影した。
図11は、機械加工仕上げ後に、#400ペーパー仕上げを行った試験片(試験片3−1)の試験後の表面状態の写真である。浸透探傷試験により多数のクラックが生じていることが確認できた。一方、図12は、機械加工仕上げの後に、ショットブラスト処理し、さらにショットピーニング処理を行った試験片(試験片3−2)の試験後の表面状態の写真である。クラックは、確認できなかった。このことから、研磨処理を行った場合と比較して、本発明の金型の製造方法を実施することにより、クラックの発生を防止して鋼材の表面を改善でき、金型の長寿命化を図ることができた。
(実施例4)
下記表4記載の条件で、SKD61熱処理材の鋼材を処理した。また、下記表4記載の条件で、処理後の鋼材に対し、上記熱疲労試験を行い、表面状態の写真を撮影した。なお、窒化処理の条件は、ガス軟窒化法で行い、窒化処理による硬化層の深さ(表面硬化層深さ)が50μmとなる窒化処理を行った。
図13は、機械加工仕上げ後に、#400ペーパー仕上げを行い、窒化処理無しの試験片(試験片4−1)の試験後の表面状態の写真である。浸透探傷試験により多数のクラックが生じていることが確認できた。また、図14は、機械加工仕上げの後に、ショットブラスト処理し、さらにショットピーニング処理を行い、窒化処理なしの試験片(試験片4−2)の試験後の表面状態の写真である。さらに、図15は、機械加工仕上げの後に、ショットブラスト処理し、さらにショットピーニング処理を行い、窒化処理を行った試験片(試験片4−3)の試験後の表面状態の写真である。ショットブラスト後にショットピーニングを施し、更に窒化処理を施すとクラックの発生はより抑制されることが確認できた。
(実施例5)
放電加工面をショットブラストで研掃した場合の研掃時間と表面粗さについて実験し、結果を下記表5に示す。表5中、放電加工条件は上記実施例1と同様の条件で行い、試験片は50mm×90mm×5mmtのSKD61材を使用した。ショット材が細かい場合には、表面粗さは細かいが研掃時間は長くなった。また、ショット圧が低い程表面粗さは細かくなるが時間が長くかかった。一方、ショット材が粗くなると、研掃時間は短くなるが、表面粗さは粗くなった。従って、放電加工面あるいは機械加工面の仕上がり粗さにより効率的に表面変質層を除去するためのショットブラスト条件を選定する必要がある。さらに、金型表面の要求仕上げ粗さを満足する必要がある。従来は、金型表面の粗さは平滑な方が望ましいとされていたが、近年は場合によっては金型表面に凹凸があった方が鋳物品質が良くなる例もあり、金型表面性状に対する要求は多様化している。そのため、表面を平滑に仕上げる場合には、ショット材は細かい方が望ましく、またショット圧は低い方が望ましいが、作業効率の点からはショット材がF220より低いと時間がかかり過ぎ経済的に成り立ちがたい。また、ショット圧についても同様に、0.2MPa以下であると非効率である。反対に、ショット材が粗く、ショット圧を高くすると、作業効率は上がるが下記実施例6に示すように、ショットブラスト後のショットピーニングで粗さの調整を行う事が困難な場合が生じる。通常金型全面の粗さを100μm程度以上に処理する要求はほとんどないことから、ショット材をF10より粗くする必要性はなく、またショット圧についても一般の工場で使用される空気圧である0.6MPaより大きくする必要性はない。
(実施例6)
ショットブラスト面をショットピーニング処理で滑らかにした場合の実験を行い、結果を下記表6に示す。試験片は50mm×90mm×5mmtのSKD61板を使用し、その試験片にF220、F54、およびF10のアルミナを投射してショットブラスト処理を行い、さらに、その試験片に#120のジルコンビーズを60秒投射した。ピーニング圧を上げると表面粗さは小さくなるが、0.4MPa以上では、ピーニング圧を大きくしても表面粗さの低下の割合は小さくなっている。そのため、ショットピーニングの場合も、作業効率の点からはショットブラストの場合とほぼ同様のことが言え、0.2〜0.6MPa、特に0.3〜0.5MPaでの処理が効率的である。
1 加熱ヒーター
2 加熱ブロック
2a 熱電対
3 試験片
4 シリンダー
5 水槽
6 ロッド
矢印a 加熱・加圧方向
矢印b 冷却加熱の切替方向


Claims (4)

  1. (A)鋼材を機械加工あるいは放電加工の後に、前記鋼材の表面にショットブラスト処理を行って、加工変質層を除去する工程と、
    (B)前記ショットブラスト処理の後に、ショットピーニング処理を行って、表面粗さを整えかつ圧縮残留応力を付与する工程と、
    を有することを特徴とする金型の製造方法。
  2. (A)鋼材を機械加工あるいは放電加工の後に、前記鋼材の表面にショットブラスト処理を行って、加工変質層を除去する工程と、
    (B)前記ショットブラスト処理の後に、ショットピーニング処理を行って、表面粗さを整えかつ圧縮残留応力を付与する工程と、
    (C)前記ショットピーニング処理後に、窒化処理を行う工程と、
    を有することを特徴とする金型の製造方法。
  3. 前記窒化処理後の前記鋼材における表面硬化層深さが、50〜100μmである請求項2記載の金型の製造方法。
  4. 前記ショットブラスト処理が、F10〜F320のアルミナあるいは炭化けい素のショット材を用い、0.2MPa〜0.6MPaの空気圧で行うショットブラスト処理であり、
    前記ショットピーニング処理が、#120〜#320相当のガラスビーズ、スチールビーズ、ジルコンビーズまたはジルコニアビーズのピーニング材を用い、0.2MPa〜0.6MPaの空気圧で行うショットピーニング処理である
    請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の金型の製造方法。


JP2018155889A 2018-08-23 2018-08-23 金型の製造方法 Ceased JP6563571B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018155889A JP6563571B1 (ja) 2018-08-23 2018-08-23 金型の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018155889A JP6563571B1 (ja) 2018-08-23 2018-08-23 金型の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6563571B1 JP6563571B1 (ja) 2019-08-21
JP2020028900A true JP2020028900A (ja) 2020-02-27

Family

ID=67692159

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018155889A Ceased JP6563571B1 (ja) 2018-08-23 2018-08-23 金型の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6563571B1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112518593A (zh) * 2020-12-03 2021-03-19 天津众达精密机械有限公司 一种用于加工铸件的抛丸清理方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6563571B1 (ja) 2019-08-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6286470B2 (ja) 金型の表面処理方法
JP5671507B2 (ja) ゴルフクラブヘッドのフェース板の製造方法
JP2011036949A (ja) ダイス鋼工具の製造方法および転造ダイス
CN106736326A (zh) 汽车模具表面强化处理方法
CN102747198A (zh) 金属冲压模具表面硬化加工工艺
CN114226751B (zh) 一种h13钢模具的激光增材修复方法
JPH1029160A (ja) 高硬度金属製品のショットピ−ニング方法及び高硬度金属製品
TW201317364A (zh) 複合螺絲的製造方法
CN110586944A (zh) 金属3d打印零件的激光表面改性方法
CN102943159A (zh) 一种减少模具热处理变形的新工艺
CN109234506B (zh) 一种激光辅助机械喷丸形成梯度纳米结构的复合方法
JP2020028900A (ja) 金型の製造方法
KR20180053150A (ko) 국부가열 및 초음파 나노크리스탈 표면개질을 이용한 표면처리방법
JP5225596B2 (ja) 熱間金型用合金鋼の強化方法及び該方法による熱疲労き裂の発生を抑止して成る熱間金型用合金鋼
JP2002060845A (ja) ダイカスト金型の高寿命化方法
JP2003253422A (ja) マンドレルあるいは成形金型などの工具の高寿命化方法および高寿命化されたマンドレルあるいは成形金型などの工具
JP6274743B2 (ja) 高い圧縮残留応力を得るショットピーニング方法
JP6818207B1 (ja) 金型の冷却孔の表面処理方法
JP2003191166A (ja) 金型寿命の改善方法および金型
KR101168707B1 (ko) Al합금 주조재의 마이크로 쇼트피닝에 의한 표면처리방법
JP4821978B2 (ja) プレス工具の表面処理方法および該方法で表面処理されたプレス工具
JP2008073706A (ja) 疲労強度に優れた金型およびその加工方法
JP6255656B2 (ja) 金型補修方法および該金型補修方法により補修した金型
JP2005095960A (ja) 金属材の応力腐食割れ防止方法
KR101124260B1 (ko) 타이타늄합금소재의 나사 형성 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180823

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190624

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190628

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190712

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190717

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190724

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6563571

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

RVOP Cancellation by post-grant opposition