JP2020026445A - 塩素含有樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱膨張黒鉛を含みながら、金型の腐食の発生も抑えられた塩素含有樹脂組成物を提供する。【解決手段】塩素含有樹脂100重量部に対して、1〜30重量部の熱膨張黒鉛と、0.1重量部以上、3重量部未満のハイドロタルサイトとを含むことを特徴とする塩素含有樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、塩素含有樹脂組成物に関する。
ポリ塩化ビニルに代表される塩素含有樹脂は、柔軟性が高く加工しやすいうえ、機械的強度等の物性にも優れるため、樹脂パイプの材料等の様々な用途に広く使用されている。塩素含有樹脂は、様々な機能を付与する添加剤を添加して用いられることも一般的であり、例えば、塩素含有樹脂に対して熱膨張黒鉛を混合した材料を使用した、火災時に熱膨張黒鉛が膨張することを利用した耐火パイプや耐火継手が実用化されている(特許文献1、2参照)。
特開2009−40940号公報 特開平10−95887号公報
上述のとおり塩素含有樹脂に対して熱膨張黒鉛を混合した材料が従来より用いられているが、膨張黒鉛には硫酸等の酸が含まれており、金型を使用した成形時にその酸が少量遊離することにより押出金型が腐食し、金型の寿命が短くなるという課題があった。金型寿命は製品の製造コストに影響するため、熱膨張黒鉛を含みながら、金型の腐食の発生も抑えられた材料の開発が求められていた。
本発明は、上記現状に鑑み、熱膨張黒鉛を含みながら、金型の腐食の発生も抑えられた塩素含有樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、従来の熱膨張黒鉛を含む塩素含有樹脂組成物に比べて金型の腐食の発生が抑えられた組成物について検討し、塩素含有樹脂に対して所定量の熱膨張黒鉛と、所定量のハイドロタルサイトとを含む組成物とすると、熱膨張黒鉛を含みながら金型の腐食の発生も抑えられた塩素含有樹脂組成物となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、塩素含有樹脂100重量部に対して、1〜30重量部の熱膨張黒鉛と、0.1重量部以上、3重量部未満のハイドロタルサイトとを含むことを特徴とする塩素含有樹脂組成物である。
上記ハイドロタルサイトは、(Mg+Zn)/Alのモル比が2.0以上、3.0以下であり、かつ、BET比表面積が30m/g以下であることが好ましい。
上記塩素含有樹脂組成物は、更に鉛系安定剤、非鉛系安定剤、及び、有機スズ系安定剤の少なくとも1つを含むことが好ましい。
本発明はまた、本発明の塩素含有樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形体でもある。
本発明の塩素含有樹脂組成物は、熱膨張黒鉛を含む組成物でありながら、成形時の金型の腐食の発生も抑制されたものであるから、耐火パイプや耐火継手等の材料として好適に使用することができる。
以下、本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
1.塩素含有樹脂組成物
本発明の塩素含有樹脂組成物は、塩素含有樹脂100重量部に対して、1〜30重量部の熱膨張黒鉛と、0.1重量部以上、3重量部未満のハイドロタルサイトとを含むことを特徴とする。
熱膨張黒鉛を含む塩素含有樹脂組成物に対してハイドロタルサイトを添加することで押出或いは射出成形時の酸の発生を抑え、金型の腐食を抑制することができる。ここで、ハイドロタルサイトの代わりに酸を中和する成分である水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等を添加することも考えられるが、これらを使用した場合、酸と反応して形成される塩が成形体表面に噴出する等の問題が発生することになる。特に水酸化カルシウムは酸を捕捉する効果は確認できるものの、塩素含有樹脂組成物のゲル化を著しく早めるため、押出成形が困難になる。ハイドロタルサイトを含む本発明の塩素含有樹脂組成物はこれらの不具合の発生もなく、押出成形や射出成形等に好適に用いることができる。
以下に、本発明の塩素含有樹脂組成物を構成する各成分について順に説明する。
[塩素含有樹脂]
本発明において塩素含有樹脂としては、塩素原子を含む樹脂(重合体)である限り特に限定されないが、塩化ビニル系樹脂が好ましい。これにより、柔軟性や難燃性に優れる成形体が得られる。
塩化ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン等の単独重合体;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−ウレタン共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−マレイミド共重合体等の共重合体;等が挙げられる。なお、塩素含有樹脂と塩素非含有樹脂とのブレンド品を使用してもよいし、また塩化ビニル系樹脂を得るための重合方法は特に限定されない。
[熱膨張黒鉛]
本発明における熱膨張黒鉛としては、熱膨張黒鉛として一般に使用されるいずれのものも用いることができ、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで、黒鉛の層間に無機酸を挿入する酸処理をした後、pH調整して得られる黒鉛の1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の塩素含有樹脂組成物は、塩素含有樹脂100重量部に対して、1〜30重量部の熱膨張黒鉛を含む。このような割合で熱膨張黒鉛を含むことで、高温時に樹脂組成物を膨張させる効果を発揮することができるが、熱膨張黒鉛の含有量は、塩素含有樹脂100重量部に対して、1〜20重量部であることが好ましい。より好ましくは、1〜10重量部である。
[ハイドロタルサイト]
本発明におけるハイドロタルサイトとしては、マグネシウム元素(Mg)及び/又は亜鉛元素(Zn)と、アルミニウム元素(Al)とを含むものが好ましい。特に好ましくは、下記一般式(1):
{(Mg)(Zn)}(Al)(OH)(An−x/n・mHO (1)
(式中、An−は、n価の層間アニオンを表す。x、y及びzは、0<x<1、0≦y<1、0.2≦z≦0.4、x+y+z=1を満たす数であって、かつx+yとzとの比{(x+y)/z}は3.0以下である。n及びmは、それぞれ1≦n≦4、及び、0≦mを満たす数である。)で表されるものである。
上述したように、本発明の塩素含有樹脂組成物はハイドロタルサイトを含むことで熱膨張黒鉛からの酸の発生を抑制することができるが、それに加えて、耐熱性や熱安定性も向上することになる。
上記一般式(1)中、n価の層間アニオンとしては特に限定されないが、反応性及び環境負荷低減の観点から、水酸化物イオン(OH)、炭酸イオン(CO 2−)及び硫酸イオン(SO 2−)からなる群より選択される少なくとも1種が好適である。中でも、炭酸イオンが好ましい。
x、y及びzは、0<x<1、0≦y<1、0.2≦z≦0.4、x+y+z=1を満たす数であって、かつx+yとzとの比{(x+y)/z}は3.0以下である。
ここで、y=0であるものは、Mg/Al系ハイドロタルサイトと称され、0<yであるものは、亜鉛変性ハイドロタルサイトと称される。本発明では、これらのいずれも好適に使用できる。
上記ハイドロタルサイトは、(Mg+Zn)/Alのモル比が2.0以上、3.0以下であり、かつ、BET比表面積が30m/g以下であることが好ましい。すなわち、ハイドロタルサイトが上記一般式(1)で表されるものである場合、{(x+y)/z}が2.0以上、3.0以下であり、かつ、BET比表面積が30m/g以下であることが好ましい。このようなハイドロタルサイトは、2次凝集が少なく、塩素含有樹脂に対する分散性が優れ、ブツとなりにくく、また該ハイドロタルサイトを含む樹脂組成物は成型性に優れたものとなる。
ハイドロタルサイトの(Mg+Zn)/Alのモル比は、より好ましくは、2.0以上、2.5以下であり、更に好ましくは、2.0以上、2.1以下である。
なお、ハイドロタルサイトが亜鉛元素(Zn)を含まないMg/Al系のものである場合、(Mg+Zn)/Alは、Mg/Alを意味する。
上記ハイドロタルサイトのBET比表面積は、より好ましくは、20m/g以下であり、更に好ましくは、15m/g以下である。また、ハイドロタルサイトのBET比表面積は、5m/g以上であることが好ましい。30m/gを超えると、2次凝集が多くなり塩素含有樹脂に対する分散性が低下する。一方、5m/g未満であると、酸の発生を抑制することが難しくなる。
BET比表面積は、例えばJIS Z8830の規定に従って、市販の比表面積・細孔分布測定装置を用いて測定することができる。
nは、1≦n≦4を満たす数であり、層間アニオンの価数によって変わる。
本発明の塩素含有樹脂組成物は、塩素含有樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上、3重量部未満のハイドロタルサイトを含む。このような割合でハイドロタルサイトを含むことで、熱膨張黒鉛からの酸の発生を抑える効果を十分に発揮することができる。ハイドロタルサイトの含有量が0.1重量部より少ないと、酸の発生を十分に抑えることができない。一方、3重量部以上になると、押出し成形時に発泡し、製品の外観不良や物性不良となる。
ハイドロタルサイトの含有量は、塩素含有樹脂100重量部に対して、0.1〜2.0重量部であることが好ましい。このような割合であると、熱膨張黒鉛からの酸の発生を抑える効果を十分に発揮しつつ、塩素含有樹脂組成物の成形時の発泡もより少なくなる。より好ましくは、0.5〜1.5重量部である。
[安定剤]
本発明の塩素含有樹脂組成物は、更に鉛系安定剤、非鉛系安定剤、及び、有機スズ系安定剤の少なくとも1つを含むことが好ましい。これらの安定剤を含むことで、塩素含有樹脂組成物が加工時の熱安定性に優れたものとなる。
鉛系安定剤としては、鉛白、塩基性亜硫酸鉛、二塩基性亜硫酸鉛、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜燐酸鉛、シリカゲル共沈硅酸鉛等の無機系鉛安定剤;ステアリン酸鉛、ラウリン酸鉛、安息香酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、ナフテン酸鉛等の有機酸鉛安定剤が挙げられる。
非鉛系安定剤としては、バリウム亜鉛系安定剤、カルシウム亜鉛系安定剤、マグネシウム亜鉛系安定剤、バリウム亜鉛系安定剤、バリウムカドミウム系安定剤等が挙げられる。カルシウム亜鉛系安定剤としては、有機酸亜鉛が挙げられる。
上記有機酸亜鉛における有機酸としては特に限定されないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、2−エチルヘキシル酸、ネオデカン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸、安息香酸、モノクロル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、ジメチルヒドロキシ安息香酸、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸、トルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、クミン酸、n−プロピル安息香酸、アミノ安息香酸、N,N−ジメチルアミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸、サリチル酸、p−t−オクチルサリチル酸、エライジン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、オクチルメルカプトプロピオン酸等の1価有機カルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヒドロキシフタル酸、クロルフタル酸、アミノフタル酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、メタコン酸、イタコン酸、アコニット酸、チオジプロピオン酸等の2価有機カルボン酸;等の他、2価有機カルボン酸のモノエステル又はモノアミド化合物、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、メロファン酸、ピロメリット酸等の3価又は4価の有機カルボン酸のジ又はトリエステル;等が挙げられる。中でも、炭素数12〜20の高級脂肪酸が好ましい。具体的には、適度な滑性と塩素含有樹脂との相溶性がある、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸の亜鉛塩等が好ましい。
有機スズ系安定剤としては、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマー等が挙げられる。
上記安定剤は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合、上記のものの中でも、有機酸鉛安定剤、有機酸亜鉛のいずれか一方又は両方と、無機系鉛安定剤とを併用することが好ましい。これらを含むことで、塩素含有樹脂組成物が耐熱性、耐水性、耐候性、成型安定性がより優れた組成物となる。
本発明の塩素含有樹脂組成物における安定剤の含有量は特に限定されないが、塩素含有樹脂100重量部に対して1〜10重量部であることが好ましい。これにより、塩素含有樹脂組成物が耐水性、耐候性、耐熱性により優れる。より好ましくは、塩素含有樹脂100重量部に対して1〜5重量部であり、更に好ましくは、1〜3重量部である。
[離型剤]
本発明の塩素含有樹脂組成物は更に、離型剤を含んでいてもよい。離型剤としては、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられるが、これらの中でもジペンタエリスリトールヘキサステアレートを含むことが好ましい。これにより、本発明の塩素含有樹脂組成物のかすれや筋引きの発生を抑制することができる。
本発明の塩素含有樹脂組成物が離型剤を含む場合、その含有量は特に限定されず、例えば、塩素含有樹脂100質量部に対して0.01〜5.0質量部であることが好ましい。より好ましくは、0.01〜2.0質量部である。
[充填剤]
本発明の塩素含有樹脂組成物は更に、充填剤を含んでいてもよい。これにより、成形品の寸法安定性や成形品の強度が向上するので、成形体用途に好ましい樹脂組成物となる。
充填剤としては特に限定されないが、具体的には、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、マイカ、タルク等が挙げられ、中でも、炭酸カルシウムが好適である。
炭酸カルシウムの中でも、比表面積(BET比表面積)が25m/g未満であるものが好ましい。より好ましくは23m/g以下、更に好ましくは20m/g以下、特に好ましくは18m/g以下であり、また、下限は0.1m/g以上が好ましい。より好ましくは0.5m/g以上である。上記範囲を超える場合には、加工時にプレートアウトを生じる等の悪影響を与えるおそれがある。
上記樹脂組成物が充填剤を含む場合、その含有量は特に限定されないが、プレートアウトの発生を抑制する点から、塩素含有樹脂100質量部に対して40質量部以下であることが好ましい。より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは1〜30質量部である。また下限は1質量部以上が好ましく、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上である。最も好ましくは、比表面積が20m/g以下である炭酸カルシウムの含有量がこれらの好ましい範囲内にあることである。
[その他の成分]
本発明の塩素含有樹脂組成物は更に、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。例えば、耐熱助剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、架橋助剤、可塑剤等の各種添加剤が挙げられる。添加剤はそれぞれ特に限定されないが、例えば、耐熱助剤としてはジペンタリスリトール等の多価アルコール化合物や、エポキシ樹脂等のエポキシ化合物が挙げられ、滑剤としてはステアリン酸モノグリセライド、パルミチン酸モノグリセライド、ステアリン酸、パルミチン酸、ポリエチレンワックス等が挙げられ、紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、芳香族ベンゾエート系化合物等が挙げられ、酸化防止剤としてはフェノール系化合物等が挙げられ、架橋助剤としてはトリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられ、可塑剤としてはジオクチルフタレート(DOP)やトリオクチルトリメリテート(TOTM)、ジオクチルアジペート(DOA)等が挙げられる。
2.成形体
本発明の塩素含有樹脂組成物は、熱膨張黒鉛を含みながら金型の腐食の発生が抑制された組成物であることから、耐火パイプや耐火継手等の材料として好適に用いることができる。このような、本発明の塩素含有樹脂組成物を用いてなる成形体もまた、本発明の1つである。
成形体の形状は特に限定されず、板状、シート状、フィルム状、膜状等の平面形状の他、ひも状、棒状、ペレット状、管状等のいずれの形状であってもよい。
本発明を詳細に説明するために以下に具体例を挙げるが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「%」及び「wt%」とは「重量%(質量%)」を意味する。なお、各物性の測定方法は以下の通りである。
1.原料
後述の表1に記載する原料は以下のとおりである。
[塩素含有樹脂]
塩化ビニル系樹脂:信越化学工業社製、ポリ塩化ビニルTK−1000、重合度1000
[熱膨張黒鉛]
熱膨張黒鉛:エア・ウォーター社製、SS−3
[ハイドロタルサイト]
ハイドロタルサイトHT−1:MgAl(OH)12CO・3HO 堺化学工業社製、Mg/Al系ハイドロタルサイト(Mg/Al=2.0、BET比表面積=8m/g)
ハイドロタルサイトHT−6:MgAl(OH)16CO・4HO 堺化学工業社製、Mg/Al系ハイドロタルサイト(Mg/Al=3.0、BET比表面積=15m/g)
ハイドロタルサイトHT−7:Mg3.5Zn0.5Al(OH)12CO・3HO 堺化学工業社製、(Mg+Zn)/Al系ハイドロタルサイト((Mg+Zn)/Al=2.0、BET比表面積=8m/g)
ハイドロタルサイトDHT−4A:Mg4.3Al(OH)12.6CO・3.5HO 協和化学工業社製、Mg/Al系ハイドロタルサイト(Mg/Al=2.15、BET比表面積=12m/g)
[安定剤]
ステアリン酸鉛:堺化学工業社製、SL−1000
三塩基性硫酸鉛:堺化学工業社製、TL−7000
[ハイドロタルサイトとの比較物質]
塩基性炭酸バリウム:堺化学工業社製、BW−K
水酸化マグネシウム:神島化学社製、#200
消石灰:日の丸鉱業社製
2.実施例1〜7、比較例1〜8
20Lヘンシェルミキサーに塩化ビニル系樹脂6kgを入れ、それ以外の成分を、塩化ビニル系樹脂に対して表1に記載の重量比となるように添加し、40℃まで撹拌混合して塩素含有樹脂組成物を調製した。得られた塩素含有樹脂組成物について、以下の方法により銅板表面変色、ブツ及び成形発泡性の評価を行った。結果を表1に示す。
<銅板表面変色>
上記のようにして得られた塩素含有樹脂組成物のコンパウンドを粉末のまま、5cm×10cm×厚さ0.1mmの銅箔に1g薄く乗せた後、銅箔を160℃に加熱したオーブンで60分加熱処理し、取出して冷却後、表面のコンパウンドを除去して銅箔表面の変色性を確認し、5段階(表面変色が少ない5→表面変色が多い1)で評価した。
<ブツ>
上記のようにして得られた塩素含有樹脂組成物のコンパウンドを160℃の6インチロールにて混練し、0.3mm厚のシートを作成し、その表面に存在するブツを確認し、5段階(ブツが少ない5→ブツが多い1)で評価した。
<成形発泡性>
上記20Lミキサーにて調整した塩素含有樹脂組成物のコンパウンドを金型温度210℃に設定したシートダイを装備した東洋精機製1軸押出機(シリンダー温度180℃)に投入し、押出されたテープ状シートの表面を観察し、発泡状態を確認し、全く発泡していないものを◎、ほとんど発泡していないものを○、やや発泡が認められるものを△、発泡が認められるものを×とした。
Figure 2020026445
表1の実施例1〜7と比較例1〜6の比較から、塩素含有樹脂と熱膨張黒鉛にハイドロタルサイトを添加した組成物ではハイドロタルサイトの代わりに塩基性炭酸バリウム、水酸化マグネシウム又は消石灰を添加した組成物に比べて銅板表面変色が少ないことが確認され、これにより塩素含有樹脂組成物に対して熱膨張黒鉛とハイドロタルサイトとを含む本発明の塩素含有樹脂組成物は、金型の腐食の発生が抑制された組成物であることが確認された。
また塩素含有樹脂と熱膨張黒鉛に塩基性炭酸バリウム、水酸化マグネシウム又は消石灰のいずれかの塩基性化合物を添加した組成物では、ブツの発生が多く確認された。これは、熱膨張黒鉛から遊離した酸と塩基性化合物との反応により生成した塩が表面に噴出したものと考えられる。これに対し、本発明の塩素含有樹脂組成物はブツの発生が少なく熱膨張黒鉛やハイドロタルサイトが均一に分散した組成物であることが確認された。
また実施例1〜4と比較例7との比較、及び実施例7と比較例8との比較から、塩素含有樹脂100重量部に対するハイドロタルサイトの割合が3重量部未満であることで、樹脂組成物が成形発泡性に優れたものとなることが確認された。また発泡はハイドロタルサイトから遊離した結晶水の影響であると考えられるが、実施例1〜4の比較から、ハイドロタルサイトの割合が3重量部未満の範囲の中でも更に少ないほうが成形発泡性に優れることが確認された。
更に、実施例1と5との比較や、実施例4と7との比較から、ハイドロタルサイトとしてMg/Alのモル比が2.0〜2.1であり、かつ、BET比表面積が30m/g以下であるものを用いることで、銅板表面変色を抑制する効果により優れることが確認された。
更に、実施例1と6との比較からハイドロタルサイトとしてMg/Alのモル比、及びBET比表面積が同じものであれば、ハイドロタルサイトがMg/Al系、Mg/Zn/Al系のいずれのものであっても同等の効果が得られることが確認された。

Claims (4)

  1. 塩素含有樹脂100重量部に対して、1〜30重量部の熱膨張黒鉛と、0.1重量部以上、3重量部未満のハイドロタルサイトとを含むことを特徴とする塩素含有樹脂組成物。
  2. 前記ハイドロタルサイトは、(Mg+Zn)/Alのモル比が2.0以上、3.0以下であり、かつ、BET比表面積が30m/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の塩素含有樹脂組成物。
  3. 更に鉛系安定剤、非鉛系安定剤、及び、有機スズ系安定剤の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の塩素含有樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の塩素含有樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形体。
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