JP2022091430A - 塩素含有樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

塩素含有樹脂組成物及びその成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】加熱加工時の高温環境下における経時の耐熱性に優れるとともに耐候性にも優れた塩素含有樹脂組成物を提供する。【解決手段】塩素含有樹脂と、下記一般式(1):TIFF2022091430000009.tif43156(式中、R1、R2は同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、フェニルアルキル基又は水素原子を表す。Xは、硫黄原子又は酸素原子を表す。)で表されるアミノウラシル化合物及び/又はアミノチオウラシル化合物と、ハイドロタルサイト類化合物と、有機酸亜鉛と、特定の構造のジカルボニル化合物の金属塩とを含むことを特徴とする塩素含有樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、塩素含有樹脂組成物及びその成形体に関する。
ポリ塩化ビニルに代表される塩素含有樹脂は、柔軟性が高く加工しやすいうえ、機械的強度等の物性にも優れるため、電線、パイプ、継手、異型等の多様な用途に広く使用されている。一方で、塩素含有樹脂は耐熱性(熱安定性ともいう)に課題があり、加工時や使用時の熱に不安定で加熱により分解が生じるため、耐熱性や加工性向上の観点から、塩素含有樹脂とともに安定剤が併用されるのが通常である。安定剤として従来は、鉛系安定剤または有機錫系安定剤が広く使用されてきたが、昨今の環境問題への意識の高まりと共に、近年は低毒性安定剤(主にCaZn系安定剤)が使用されることが多くなってきている。さらに近年、海外では、有毒性物質が多く含まれる安定剤が未だ使用されているものの、生態学的理由から様々な規制を受けている重金属類を含まない安定剤を使用する傾向がみられる。重金属類を含まない安定剤の成分としては、アミノウラシル化合物、アミノチオウラシル化合物やピロロジアジン化合物、ハイドロタルサイトが知られている(特許文献1~4参照)。
また塩素含有樹脂には、加熱時の着色を抑制するため初期着色防止剤が添加されることがある。初期着色防止剤としては、ジベンゾイルメタン(DBM)やステアロイルベンゾイルメタン(SBM)等が知られている(特許文献5参照)。
特開平11-263875号公報 特開平10-158454号公報 米国特許第3436362号明細書 特開平8-269279号公報 国際公開第2006/035867号
上記のとおり、塩素含有樹脂組成物に使用する初期着色防止剤としてDBMやSBMが用いられているが、これらの初期着色防止剤は初期の耐熱性向上には効果があるものの、比較的長時間高温に晒された場合の耐熱性が充分とはいえず、加熱加工時の高温環境下で経時的に変色するという課題がある。更に塩素含有樹脂組成物には用途によって耐候性に優れることが求められる場合があるが、これらの初期着色防止剤を用いると塩素含有樹脂組成物の耐候性が悪化するという課題がある。
本発明は、上記現状に鑑み、加熱加工時の高温環境下における経時の耐熱性に優れるとともに耐候性にも優れた塩素含有樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、加熱加工時の高温環境下における経時の耐熱性、及び耐候性に優れた塩素含有樹脂組成物について検討し、塩素含有樹脂と、アミノウラシル化合物及び/又はアミノチオウラシル化合物と、ハイドロタルサイト類化合物と、有機酸亜鉛とを含む組成物に対して所定の構造のジカルボニル化合物を添加すると、塩素含有樹脂組成物が加熱加工時の高温環境下における経時の耐熱性に優れ、更に耐候性にも優れたものとなることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、塩素含有樹脂と、下記一般式(1):
Figure 2022091430000001
(式中、R、Rは同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、フェニルアルキル基又は水素原子を表す。Xは、硫黄原子又は酸素原子を表す。)で表されるアミノウラシル化合物及び/又はアミノチオウラシル化合物と、ハイドロタルサイト類化合物と、有機酸亜鉛と、下記一般式(2):
Figure 2022091430000002
(式中、R、Rは同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、フェニルアルキル基又は水素原子を表す。Zは、メチレン基、エチレン基又はプロピレン基を表す。)で表されるジカルボニル化合物の金属塩とを含むことを特徴とする塩素含有樹脂組成物である。
上記塩素含有樹脂組成物は、更に過塩素酸を担持したハイドロタルサイト類化合物を含むことが好ましい。
上記ジカルボニル化合物の金属塩は、亜鉛塩又はカルシウム塩であることが好ましい。
上記アミノウラシル化合物及び/又はアミノチオウラシル化合物は、6-アミノ-1,3-ジアルキルウラシルであって、該アルキル基は同一又は異なって、炭素数が1~12の直鎖又は分岐したアルキル基であることが好ましい。
上記ハイドロタルサイト類化合物はマグネシウム元素(Mg)及び/又は亜鉛元素(Zn)と、アルミニウム元素(Al)を含むことが好ましい。
本発明はまた、本発明の塩素含有樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形体でもある。
本発明の塩素含有樹脂組成物は、従来から初期着色防止剤として使用されているジベンゾイルメタンやステアロイルベンゾイルメタンを用いた場合に比べて長期の耐熱性、及び耐候性に優れることから加熱加工性に優れ、屋外で使用される用途を含め、幅広い用途に好適に使用することができる。
以下、本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
1.塩素含有樹脂組成物
本発明の塩素含有樹脂組成物は、下記一般式(1):
Figure 2022091430000003
(式中、R、Rは同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、フェニルアルキル基又は水素原子を表す。Xは、硫黄原子又は酸素原子を表す。)で表されるアミノウラシル化合物及び/又はアミノチオウラシル化合物と、ハイドロタルサイト類化合物と、有機酸亜鉛とを含み、更に下記一般式(2):
Figure 2022091430000004
(式中、R、Rは同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、フェニルアルキル基又は水素原子を表す。Zは、メチレン基、エチレン基又はプロピレン基を表す。)で表されるジカルボニル化合物の金属塩とを含むことを特徴とする。
上記式(2)で表されるジカルボニル化合物の金属塩の1つであるアセチルアセトンカルシウムは、初期着色防止剤としての機能を有する化合物であるが、DBMやSBMに比べて機能が劣るものであった。しかし、塩素含有樹脂に上記式(1)で表されるアミノウラシル化合物及び/又はアミノチオウラシル化合物と、ハイドロタルサイト類化合物と、有機酸亜鉛を添加した組成物に対して上記式(2)で表されるジカルボニル化合物の金属塩を用いた場合には、DBMやSBMを用いた場合と同等の初期着色防止能が得られるとともに、DBMやSBMを用いた場合よりも長期の着色防止能に優れた組成物となり、更に耐候性についてもDBMやSBMを用いた場合よりも大幅に優れた組成物になる。上記式(1)で表されるアミノウラシル化合物及び/又はアミノチオウラシル化合物やハイドロタルサイト類化合物は重金属類を含まない安定剤成分であるため、本発明の塩素含有樹脂組成物は環境に配慮した組成物であって、かつ長期の耐熱性、及び耐候性にも優れた有用な組成物である。
本発明の塩素含有樹脂組成物における上記式(2)で表されるジカルボニル化合物の金属塩の含有量は、塩素含有樹脂100重量部に対して、0.01~5重量部であることが好ましい。このような割合で含むことで、得られる塩素含有樹脂組成物がより長期の耐熱性に優れたものとなる。上記式(2)で表されるジカルボニル化合物の金属塩の含有量は、より好ましくは、塩素含有樹脂100重量部に対して、0.03~3重量部であり、更に好ましくは、0.05~1重量部である。
本発明の塩素含有樹脂組成物における上記式(1)で表されるアミノウラシル化合物及び/又はアミノチオウラシル化合物の含有量は、塩素含有樹脂100重量部に対して、0.01~5重量部であることが好ましい。より好ましくは、塩素含有樹脂100重量部に対して、0.05~3重量部であり、更に好ましくは、0.1~1.5重量部である。
本発明の塩素含有樹脂組成物におけるハイドロタルサイト類化合物の含有量は、塩素含有樹脂100重量部に対して、0.01~5重量部であることが好ましい。より好ましくは、0.05~3重量部であり、更に好ましくは、0.1~1.5重量部である。
本発明の塩素含有樹脂組成物における有機酸亜鉛の含有量は、塩素含有樹脂100重量部に対して、0.01~5重量部含むことが好ましい。このような割合であることで、塩素含有樹脂組成物が耐候性により優れた組成物となる。有機酸亜鉛の含有量はより好ましくは、0.05~4重量部であり、更に好ましくは、0.1~2重量部である。
1)塩素含有樹脂
本発明の塩素含有樹脂組成物が含む塩素含有樹脂としては、塩素原子を含む樹脂(重合体)である限り特に限定されないが、塩化ビニル系樹脂が好ましい。これにより、柔軟性や難燃性に優れる成形体が得られる。
塩化ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン等の単独重合体;塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-エチレン共重合体、塩化ビニル-プロピレン共重合体、塩化ビニル-スチレン共重合体、塩化ビニル-イソブチレン共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-ウレタン共重合体、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル-スチレン-無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル-スチレン-アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル-ブタジエン共重合体、塩化ビニル-イソプレン共重合体、塩化ビニル-塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル-メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル-マレイミド共重合体等の共重合体;等が挙げられる。
なお、塩素含有樹脂と塩素非含有樹脂とのブレンド品を使用してもよいし、また塩化ビニル系樹脂を得るための重合方法は特に限定されない。
2)アミノウラシル化合物、アミノチオウラシル化合物
本発明の塩素含有樹脂組成物が含むアミノウラシル化合物及び/又はアミノチオウラシル化合物は、上記一般式(1)で表される構造の化合物である。
上記一般式(1)中、R、Rは同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、フェニルアルキル基、又は水素原子を表すが、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、又はフェニルアルキル基のいずれかである場合、炭素数1~8のものが好ましく、より好ましくは、炭素数1~4のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基である。
また、R、Rは、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、フェニルアルキル基のいずれであってもよいが、アルキル基であることが好ましい。
上記一般式(1)中、R、Rがアルキル基、アルケニル基、フェニルアルキル基であってアルキル基部分に置換基を有するものである場合、置換基としては、炭素数1~20のアルコキシ基やシクロアルキル基、及び、ヒドロキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
、Rがフェニルアルキル基であってフェニル基部分に置換基を有するものである場合、置換基としては、上記のものに炭素数1~20のアルキル基を加えたものが挙げられる。
上記一般式(1)で表されるアミノウラシル化合物及び/又はアミノチオウラシル化合物としては、6-アミノ-1,3-ジアルキルウラシルであって、該アルキル基は同一又は異なって、炭素数が1~12の直鎖あるいは分岐したアルキル基であるものが好ましいが、炭素数が1~8の直鎖あるいは分岐したアルキル基であるものがより好ましい。
炭素数が1~8の直鎖又は分岐したアルキル基としては、メチル基やエチル基、若しくは、直鎖又は分岐したプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基のいずれであってもよいが、これらの中でも炭素数1~4のものが好ましい。
3)ハイドロタルサイト類化合物
本発明の塩素含有樹脂組成物が含むハイドロタルサイト類化合物は特に制限されないが、マグネシウム元素(Mg)及び/又は亜鉛元素(Zn)と、アルミニウム元素(Al)とを含むものが好ましい。
上記ハイドロタルサイト類化合物として特に好ましくは、下記一般式(3):
{(Mg)(Zn)}(Al)(OH)(An-x/n・mHO (3)
(式中、An-は、n価の層間アニオンを表す。x、y及びzは、0<x<1、0≦y<1、0.2≦z≦0.4、x+y+z=1を満たす数であって、かつx+yとzとの比{(x+y)/z}は2.2以下である。n及びmは、それぞれ1≦n≦4、及び、0≦mを満たす数である。)で表されるものである。これにより、塩素含有樹脂組成物の耐熱性や熱安定性がより向上する。
上記一般式(3)中、n価の層間アニオンとしては特に限定されないが、反応性及び環境負荷低減の観点から、水酸化物イオン(OH)、炭酸イオン(CO 2-)及び硫酸イオン(SO 2-)からなる群より選択される少なくとも1種が好適である。中でも、炭酸イオンが好ましい。
x、y及びzは、0<x<1、0≦y<1、0.2≦z≦0.4、x+y+z=1を満たす数であって、かつx+yとzとの比{(x+y)/z}は2.2以下である。
ここで、y=0であるものは、Mg/Al系ハイドロタルサイトと称され、0<yであるものは、亜鉛変性ハイドロタルサイトと称される。本発明では、これらのいずれも好適に使用できる。
x+yとzとの比{(x+y)/z}は、好ましくは2.1以下、より好ましくは2.05以下である。下限は特には限定されないが1.9以上が好ましく、より好ましくは2.0以上である。
nは、1≦n≦4を満たす数であり、層間アニオンの価数によって適宜調整すればよい。
ハイドロタルサイト類化合物は、吸油量が50ml/100g以下であることが好ましい。これにより、本発明の塩素含有樹脂組成物から得られる成形品の光沢が向上する。ハイドロタルサイト類化合物の吸油量は、より好ましくは、45ml/100g以下であり、更に好ましくは30ml/100g以下である。また、耐熱性の観点から5ml/100g以上であることが好ましい。より好ましくは10ml/100g以上である。
ハイドロタルサイト類化合物の吸油量は、JIS K5101-13-1(2004年:精製あまに油法)に準拠して測定する。
上記ハイドロタルサイト類化合物の粒子の形状は特に限定されず、例えば、板状、球状、円盤状等が挙げられる。中でも、板又は円盤状であることが好ましい。
なお、粒子形状は、走査型電子顕微鏡等によって観察することができる。
上記ハイドロタルサイト類化合物粒子の平均粒子径は、例えば、0.1μm以上、2.0μm以下であることが好ましい。これにより、塩素含有樹脂への分散性が向上し、本発明の作用効果がより向上する。より好ましくは0.3μm以上であり、また、より好ましくは1.5μm以下である。
ハイドロタルサイト類化合物粒子の平均粒子径は、例えば、レーザー回折粒度分布測定装置(HORIBA製LA950)を用いてD50として測定することができる。D50とは、体積基準での50%積算粒径を意味する。
上記ハイドロタルサイト類化合物の比表面積(SSAとも称す)は、例えば、1m/g以上、50m/g以下であることが好ましい。これにより、塩素含有樹脂への分散性が向上し、本発明の作用効果がより向上する。より好ましくは5m/g以上、更に好ましくは10m/g以上であり、また、より好ましくは40m/g以下、更に好ましくは30m/g以下である。
比表面積がこの範囲であると、耐熱性に優れた樹脂組成物を得ることが出来る。
本明細書中、比表面積は、BET法により得られたBET比表面積(SSAとも称す)を意味する。BET法は、窒素等の気体粒子を固体粒子に吸着させ、吸着した量から比表面積を測定する気体吸着法であり、圧力Pと吸着量Vとの関係からBET式によって単分子吸着量VMを求めることで、比表面積が定まる。
具体的には、以下の条件によりBET比表面積を測定する。
〔比表面積の測定条件〕
使用機:マウンテック社製、Macsorb Model HM-1220
吸着ガス:窒素(N
外部脱気装置の脱気条件:105℃-15分
比表面積測定装置本体の脱気条件:105℃-5分
上記ハイドロタルサイト類化合物は、粉体中の粒子が被覆層を有していてもよい。この場合、当該被覆層を有する粒子を含むハイドロタルサイト類化合物の物性が、上記物性(粒子形状、平均粒子径、比表面積等)を満たすことが好ましい。被覆層としては特に限定されないが、表面処理剤を用いて表面処理を行って被覆したものであることが好ましい。
上記表面処理剤としては特に限定されず、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩(金属石ケン)、アニオン界面活性剤、リン酸エステル、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等のカップリング剤が挙げられる。なお、1種又は2種以上を使用することができる。
より具体的な表面処理剤としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸、これら高級脂肪酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等の金属塩;ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールの硫酸エステル塩、ポリエチレングリコールエーテルの硫酸エステル塩、アミド結合硫酸エステル塩、エーテル結合スルホン酸塩;エステル結合スルホネート、アミド結合アルキルアリールスルホン酸塩、エーテル結合アルキルアリールスルホン酸塩等のアニオン界面活性剤;オルトリン酸とオレイルアルコール、ステアリルアルコール等とのモノ又はジエステル又はこれらの混合物であって、それらの酸型又はアルカリ金属塩又はアミン塩等のリン酸エステル;ビニルエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート等のチタンカップリング剤;アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミネートカップリング剤;を挙げることができる。
上記表面処理剤の使用量は特に限定されないが、例えば、最終的に得られる被覆層を有する粒子を含むハイドロタルサイト100質量%に対し、表面処理剤による被覆量が0.1~30質量%の範囲となるように表面処理剤の使用量を調節することが好ましい。より好ましくは0.1~20質量%の範囲である。
4)ジカルボニル化合物の金属塩
本発明の塩素含有樹脂組成物が含むジカルボニル化合物の金属塩は、下記一般式(2):
Figure 2022091430000005
(式中、R、Rは同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、フェニルアルキル基又は水素原子を表す。Zは、メチレン基、エチレン基又はプロピレン基を表す。)で表されるジカルボニル化合物の金属塩である。
上記一般式(2)中、R、Rは同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、フェニルアルキル基、又は水素原子を表すが、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、又はフェニルアルキル基のいずれかである場合、炭素数1~8のものが好ましく、より好ましくは、炭素数1~4のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基である。
また、R、Rは、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、フェニルアルキル基のいずれであってもよいが、アルキル基であることが好ましい。
上記一般式(2)中、R、Rがアルキル基、アルケニル基、フェニルアルキル基であってアルキル基部分に置換基を有するものである場合、置換基としては、炭素数1~20のアルコキシ基やシクロアルキル基、及び、ヒドロキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
、Rがフェニルアルキル基であってフェニル基部分に置換基を有するものである場合、置換基としては、上記のものに炭素数1~20のアルキル基を加えたものが挙げられる。
上記一般式(2)中、Zは、メチレン基、エチレン基又はプロピレン基を表すが、メチレン基であることが好ましい。
上記一般式(2)で表されるジカルボニル化合物の金属塩の金属種としては特に制限されないが、カルシウム、亜鉛、マグネシウム等が挙げられ、これらの中でも、カルシウム又は亜鉛が好ましい。
5)有機酸亜鉛
本発明の塩素含有樹脂組成物が含む有機酸亜鉛における有機酸としては特に限定されないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、2-エチルヘキシル酸、ネオデカン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸、安息香酸、モノクロル安息香酸、p-t-ブチル安息香酸、ジメチルヒドロキシ安息香酸、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸、トルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、クミン酸、n-プロピル安息香酸、アミノ安息香酸、N,N-ジメチルアミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸、サリチル酸、p-t-オクチルサリチル酸、エライジン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、オクチルメルカプトプロピオン酸等の1価有機カルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヒドロキシフタル酸、クロルフタル酸、アミノフタル酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、メタコン酸、イタコン酸、アコニット酸、チオジプロピオン酸等の2価有機カルボン酸;等の他、2価有機カルボン酸のモノエステル又はモノアミド化合物、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、メロファン酸、ピロメリット酸等の3価又は4価の有機カルボン酸のジ又はトリエステル;等が挙げられる。中でも、炭素数12~20の高級脂肪酸が好ましい。具体的には、適度な滑性と塩素含有樹脂との相溶性がある、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸の亜鉛塩等が好ましい。より好ましくは、ステアリン酸亜鉛である。
6)過塩素酸を担持したハイドロタルサイト類化合物
本発明の塩素含有樹脂組成物は更に、過塩素酸を担持したハイドロタルサイト類化合物を含むことが好ましい。過塩素酸を担持したハイドロタルサイト類化合物を含むことで塩素含有樹脂組成物が長期の耐熱性に更に優れたものとなる。
過塩素酸を担持したハイドロタルサイト類化合物は、過塩素酸がハイドロタルサイト類の粒子に物理的あるいは化学的に担持されたものであって、担持されたことによりハイドロタルサイト類化合物の構造が過塩素酸によって変化したものである。過塩素酸を担持したハイドロタルサイト類化合物としては、過塩素酸イオンを含むハイドロタルサイト類化合物が好ましく、上記一般式(2)で表されるハイドロタルサイト類化合物の、An-で表されるn価の層間アニオンとして、過塩素酸イオン(ClO )を含むものを好適に用いることができる。この場合、n価の層間アニオンとして、過塩素酸イオンのみを含むものであってもよく、他のアニオンを含むものであってもよい。他のアニオンとしては、水酸化物イオン(OH)、炭酸イオン(CO 2-)及び硫酸イオン(SO 2-)等が挙げられる。このとき、耐候性の低下が懸念されることから過塩素酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を含むことは好ましくない。
本発明の塩素含有樹脂組成物が過塩素酸を担持したハイドロタルサイト類化合物を含む場合、塩素含有樹脂100重量部に対して、0.01~1重量部含むことが好ましい。このような割合で含むことで、塩素含有樹脂組成物がより長期の耐熱性に優れたものとなる。より好ましくは、塩素含有樹脂100重量部に対して、0.03~0.7重量部であり、更に好ましくは、0.05~0.3重量部である。
7)離型剤
本発明の塩素含有樹脂組成物は更に、その他の成分として、離型剤(外部滑剤とも言う)を含んでいてもよい。離型剤としては、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられるが、これらの中でもジペンタエリスリトールヘキサステアレートを含むことが好ましい。これにより、本発明の塩素含有樹脂組成物のかすれや筋引きの発生を抑制することができる。
本発明の塩素含有樹脂組成物が離型剤を含む場合、その含有量は特に限定されず、例えば、塩素含有樹脂100重量部に対して0.01~5.0重量部であることが好ましい。より好ましくは、0.01~2.0重量部である。
8)充填剤
本発明の塩素含有樹脂組成物は更に、充填剤を含んでいてもよい。これにより、成形品の寸法安定性や成形品の強度が向上するので、成形体用途に好ましい樹脂組成物となる。
充填剤としては特に限定されず、無機塩類、無機酸化物、無機水酸化物等の無機粉体が挙げられ、例えば、亜鉛、チタン、鉄、セリウム、バリウム、カルシウム、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、ストロンチウム、硼素、ジルコニウム等の塩類、酸化物、水酸化物、複合酸化物が挙げられる。塩類としては特に限定されず、例えば、硫酸塩、炭酸塩、塩化塩、酢酸塩、硝酸塩等が挙げられる。具体的には、例えば、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、シリカ、酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、硫酸マグネシウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ケイ酸亜鉛、チタン酸亜鉛、チタン酸バリウム、タルク等が挙げられ、中でも、炭酸カルシウムが好適である。
上記塩素含有樹脂組成物が充填剤を含む場合、その含有量は特に限定されないが、プレートアウトの発生を抑制する点から、塩素含有樹脂100重量部に対して40重量部以下であることが好ましい。より好ましくは30重量部以下である。また下限は1重量部以上が好ましく、より好ましくは2重量部以上、更に好ましくは3重量部以上である。最も好ましくは、比表面積が20m/g以下である炭酸カルシウムの含有量がこれらの好ましい範囲内にあることである。
9)その他の成分
本発明の塩素含有樹脂組成物は更に、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。例えば、耐熱助剤、加工助剤、内部滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、架橋助剤、可塑剤、顔料等の各種添加剤が挙げられる。添加剤はそれぞれ特に限定されないが、例えば、耐熱助剤としては、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタリスリトール等の多価アルコール化合物や、エポキシ樹脂等のエポキシ化合物が挙げられ、加工助剤としては、アクリル樹脂や塩素化ポリエチレン等が挙げられ、内部滑剤としてはステアリン酸モノグリセライド、パルミチン酸モノグリセライド、ステアリン酸、パルミチン酸、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ポリエチレンワックス等が挙げられ、紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、芳香族ベンゾエート系化合物等が挙げられ、酸化防止剤としてはフェノール系化合物等が挙げられる。架橋助剤としてはトリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられ、可塑剤としてはジオクチルフタレート(DOP)やトリオクチルトリメリテート(TOTM)、ジオクチルアジペート(DOA)等が挙げられ、顔料としては酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。
2.成形体
本発明の塩素含有樹脂組成物は、重金属系の安定化剤を含むことなく塩素含有樹脂が安定化され、かつ長期の耐熱性及び耐候性にも優れた組成物であり、近年の環境への配慮の要求に応えつつ、優れた特性を発揮する組成物であるため、パイプ、窓枠等の成形体の材料として好適に用いることができる。このような、本発明の塩素含有樹脂組成物を用いてなる成形体もまた、本発明の1つである。
成形体の形状は特に限定されず、板状、シート状、フィルム状、膜状等の平面形状の他、ひも状、棒状、ペレット状、管状、窓枠状等のいずれの形状であってもよい。
本発明を詳細に説明するために以下に具体例を挙げるが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「%」及び「wt%」とは「重量%(質量%)」を意味する。なお、各物性の測定方法は以下の通りである。
1.原料
表1に記載の原料は以下のとおりである。
[塩素含有樹脂]
塩化ビニル樹脂:信越化学工業社製、TK-1000、重合度1000
[ハイドロタルサイト類化合物]
ハイドロタルサイトHT-1:MgAl(OH)12CO・3HO 堺化学工業社製、Mg/Al系ハイドロタルサイト(Mg/Al=2.0、BET比表面積=8m/g、平均粒子径0.8μm、吸油量28ml/100g)
[有機酸亜鉛]
ステアリン酸亜鉛:堺化学工業社製、SZ-P
[充填剤]
重質炭酸カルシウム:日東粉化社製、ソフトンKS-1200
[顔料]
酸化チタン:堺化学工業社製、R-3L-SN
[加工助剤]
アクリル系樹脂:株式会社カネカ社製、カネエースPA-20
[外部滑剤]
エステル系ワックス(ジペンタエリスリトールヘキサステアレート):理研ビタミン社製、リケスターSL-02
ポリエチレンワックス:三井化学社製、ハイワックス220MP
[アミノウラシル化合物]
6-アミノ-1,3-ジメチルアミノウラシル:東京化成工業製、試薬
[耐熱助剤]
トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート:四国化成工業株式会社製、セイク
ジペンタエリスリトール:広栄化学工業社製、ジペンタリット
[過塩素酸担持ハイドロタルサイト類化合物]
過塩素酸担持ハイドロタルサイト:協和化学社製、アルカマイザー5
[有機酸カルシウム]
ステアリン酸カルシウム:堺化学工業社製、SC-P
[初期着色防止剤]
アセチルアセトンカルシウム:ロディア社製、ロディアスタブX77
アセチルアセトン亜鉛:東京化成工業製、試薬
DBM:ロディア社製、ロディアスタブ83P
SBM:ロディア社製、ロディアスタブ50
2.実施例1~4、比較例1~11
表1に記載の配合割合で、塩化ビニル樹脂に各添加剤を配合し、得られた塩化ビニル樹脂組成物をロール表面温度180℃に調整した8インチロール機(KANSAI ROLL社製)にて5分間混練し、厚さ3mmのロールシートを作成した。このシートを用い、実施例1、2、比較例1~3の塩化ビニル樹脂組成物について下記の方法でプレス耐熱性評価を行った。また、下記の方法でプレス耐候性評価を行った。結果を表1に示す。
<プレス耐熱性評価>
上記で作成したシートを7枚重ね、プレス表面温度180℃のプレス機(TOYOSEIKI MINI TEST PRESS-10)を用い、厚さ2mmになるように100kg/cmにて5分間および、10分間および20分間保持した。5分間および、10分間および20分間保持後のプレスシートについて、色差計(日本電色工業製、同時側光方式分光式色差計 SQ-2000)を用いてb値を測定した。また、5分間保持したプレスシートをイニシャルとして、20分間保持後のプレスシートの色差△E値を求めた。
なお、△E値が13以下では、色調が良好であり問題が発生する可能性は低く、△E値が13以上では成型加工機の故障等のトラブルが発生するおそれがあるとされる。
<プレス耐候性評価>
上記で作成したシートを7枚重ね、プレス表面温度170℃のプレス機(TOYOSEIKI MINI TEST PRESS-10)を用い、厚さ2mmになるように100kg/cmにて10分間保持して試験片を作成した。各試験片をサンシャインウェザーメータ(スガ試験機株式会社、サンシャインウェザーメータ S80型)で、サンシャイン条件(室温:40℃、パネル温度:63℃、照射:120分、スプレー18分、水圧0.8kg/cm)にて、240時間および480時間保持した際の色相を、比較例毎に保持前のプレスシートをイニシャルとして色差計(日本電色工業製、同時側光方式分光式色差計 SQ-2000)にて測定し、色差△E値を求めた。
Figure 2022091430000006
実施例1、2と比較例1~3との比較、及び、実施例3、4と比較例4~6との比較から、塩素含有樹脂にアミノウラシル化合物及び/又はアミノチオウラシル化合物とハイドロタルサイト類化合物と有機酸亜鉛とを添加した組成物に対して、所定の構造のジカルボニル化合物の金属塩を含むことで、加熱加工時の経時の耐熱性と耐候性に優れた組成物となることが確認された。
また実施例3、4と比較例7~9との比較から、組成物が加熱加工時の経時の耐熱性と耐候性に優れたものとなるためには、所定の構造のジカルボニル化合物の金属塩を含むだけでは十分でなく、アミノウラシル化合物及び/又はアミノチオウラシル化合物を含むことも重要であることが確認された。
更にアミノウラシル化合物及び/又はアミノチオウラシル化合物を含まない組成物である比較例8、9と比較例10、11とを比較すると、初期着色防止剤として所定の構造のジカルボニル化合物の金属塩を用いた比較例8、9よりもDBMやSBMを用いた比較例10、11のほうが初期の耐熱性に優れ、長期の耐熱性についてもほとんど差異がない。この比較から、所定の構造のジカルボニル化合物の金属塩がDBMやSBMよりも長期の耐熱性、及び耐候性に優れる効果を発揮するのは、塩素含有樹脂、アミノウラシル化合物及び/又はアミノチオウラシル化合物、ハイドロタルサイト類化合物、及び、有機酸亜鉛含む組成物に対して使用された場合であることが確認された。

Claims (6)

  1. 塩素含有樹脂と、下記一般式(1):
    Figure 2022091430000007
    (式中、R、Rは同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、フェニルアルキル基又は水素原子を表す。Xは、硫黄原子又は酸素原子を表す。)で表されるアミノウラシル化合物及び/又はアミノチオウラシル化合物と、ハイドロタルサイト類化合物と、有機酸亜鉛と、下記一般式(2):
    Figure 2022091430000008
    (式中、R、Rは同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、フェニルアルキル基又は水素原子を表す。Zは、メチレン基、エチレン基又はプロピレン基を表す。)で表されるジカルボニル化合物の金属塩とを含むことを特徴とする塩素含有樹脂組成物。
  2. 前記塩素含有樹脂組成物は、更に過塩素酸を担持したハイドロタルサイト類化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の塩素含有樹脂組成物。
  3. 前記ジカルボニル化合物の金属塩は、亜鉛塩又はカルシウム塩であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塩素含有樹脂組成物。
  4. 前記アミノウラシル化合物及び/又はアミノチオウラシル化合物は、6-アミノ-1,3-ジアルキルウラシルであって、該アルキル基は同一又は異なって、炭素数が1~12の直鎖又は分岐したアルキル基であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の塩素含有樹脂組成物。
  5. 前記ハイドロタルサイト類化合物はマグネシウム元素(Mg)及び/又は亜鉛元素(Zn)と、アルミニウム元素(Al)を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の塩素含有樹脂組成物。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の塩素含有樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形体。
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