以下、本発明に係る評価装置、評価方法、及び評価プログラムの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
以下の説明においては、三次元グローバル座標系を設定して各部の位置関係について説明する。所定面の第1軸と平行な方向をX軸方向とし、第1軸と直交する所定面の第2軸と平行な方向をY軸方向とし、第1軸及び第2軸のそれぞれと直交する第3軸と平行な方向をZ軸方向とする。所定面はXY平面を含む。
(視線検出装置)
図1は、第1実施形態に係る視線検出装置100の一例を模式的に示す斜視図である。視線検出装置100は、認知機能障害および脳機能障害の評価を行う評価装置として用いられる。図1に示すように、視線検出装置100は、表示装置101と、ステレオカメラ装置102と、照明装置103とを備える。
表示装置101は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display:LCD)又は有機ELディスプレイ(organic electroluminescence display:OLED)のようなフラットパネルディスプレイを含む。本実施形態において、表示装置101は、表示画面101Sを有する。表示画面101Sは、画像を表示する。本実施形態において、表示画面101Sは、例えば被験者の視機能を評価するための指標を表示する。表示画面101Sは、XY平面と実質的に平行である。X軸方向は表示画面101Sの左右方向であり、Y軸方向は表示画面101Sの上下方向であり、Z軸方向は表示画面101Sと直交する奥行方向である。
ステレオカメラ装置102は、第1カメラ102A及び第2カメラ102Bを有する。ステレオカメラ装置102は、表示装置101の表示画面101Sよりも下方に配置される。第1カメラ102Aと第2カメラ102BとはX軸方向に配置される。第1カメラ102Aは、第2カメラ102Bよりも−X方向に配置される。第1カメラ102A及び第2カメラ102Bはそれぞれ、赤外線カメラを含み、例えば波長850[nm]の近赤外光を透過可能な光学系と、その近赤外光を受光可能な撮像素子とを有する。
照明装置103は、第1光源103A及び第2光源103Bを有する。照明装置103は、表示装置101の表示画面101Sよりも下方に配置される。第1光源103Aと第2光源103BとはX軸方向に配置される。第1光源103Aは、第1カメラ102Aよりも−X方向に配置される。第2光源103Bは、第2カメラ102Bよりも+X方向に配置される。第1光源103A及び第2光源103Bはそれぞれ、LED(light emitting diode)光源を含み、例えば波長850[nm]の近赤外光を射出可能である。なお、第1光源103A及び第2光源103Bは、第1カメラ102Aと第2カメラ102Bとの間に配置されてもよい。
照明装置103は、検出光である近赤外光を射出して、被験者の眼球111を照明する。ステレオカメラ装置102は、第1光源103Aから射出された検出光が眼球111に照射されたときに第2カメラ102Bで眼球111の一部(以下、これを含めて「眼球」とする)を撮影し、第2光源103Bから射出された検出光が眼球111に照射されたときに第1カメラ102Aで眼球111を撮影する。
第1カメラ102A及び第2カメラ102Bの少なくとも一方からフレーム同期信号が出力される。第1光源103A及び第2光源103Bは、フレーム同期信号に基づいて検出光を射出する。第1カメラ102Aは、第2光源103Bから射出された検出光が眼球111に照射されたときに、眼球111の画像データを撮影する。第2カメラ102Bは、第1光源103Aから射出された検出光が眼球111に照射されたときに、眼球111の画像データを撮影する。
眼球111に検出光が照射されると、その検出光の一部は瞳孔112で反射し、その瞳孔112からの光がステレオカメラ装置102に入射する。また、眼球111に検出光が照射されると、角膜の虚像である角膜反射像113が眼球111に形成され、その角膜反射像113からの光がステレオカメラ装置102に入射する。
第1カメラ102A及び第2カメラ102Bと第1光源103A及び第2光源103Bとの相対位置が適切に設定されることにより、瞳孔112からステレオカメラ装置102に入射する光の強度は低くなり、角膜反射像113からステレオカメラ装置102に入射する光の強度は高くなる。すなわち、ステレオカメラ装置102で撮影される瞳孔112の画像は低輝度となり、角膜反射像113の画像は高輝度となる。ステレオカメラ装置102は、撮影される画像の輝度に基づいて、瞳孔112の位置及び角膜反射像113の位置を検出することができる。
図2は、本実施形態に係る視線検出装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示すように、視線検出装置100は、表示装置101と、ステレオカメラ装置102と、照明装置103と、コンピュータシステム20と、入出力インターフェース装置30と、駆動回路40と、出力装置50と、入力装置60とを備える。
コンピュータシステム20と、駆動回路40と、出力装置50と、入力装置60とは、入出力インターフェース装置30を介してデータ通信する。コンピュータシステム20は、演算処理装置20A及び記憶装置20Bを含む。演算処理装置20Aは、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを含む。記憶装置20Bは、ROM(read only memory)及びRAM(random access memory)のようなメモリ又はストレージを含む。演算処理装置20Aは、記憶装置20Bに記憶されているコンピュータプログラム20Cに従って演算処理を実施する。
駆動回路40は、駆動信号を生成して、表示装置101、ステレオカメラ装置102、及び照明装置103に出力する。また、駆動回路40は、ステレオカメラ装置102で撮影された眼球111の画像データを、入出力インターフェース装置30を介してコンピュータシステム20に供給する。
出力装置50は、フラットパネルディスプレイのような表示装置を含む。なお、出力装置50は、印刷装置を含んでもよい。入力装置60は、操作されることにより入力データを生成する。入力装置60は、コンピュータシステム用のキーボード又はマウスを含む。なお、入力装置60が表示装置である出力装置50の表示画面に設けられたタッチセンサを含んでもよい。
本実施形態においては、表示装置101とコンピュータシステム20とは別々の装置である。なお、表示装置101とコンピュータシステム20とが一体でもよい。例えば視線検出装置100がタブレット型パーソナルコンピュータを含む場合、そのタブレット型パーソナルコンピュータに、コンピュータシステム20、入出力インターフェース装置30、駆動回路40、及び表示装置101が搭載されてもよい。
図3は、本実施形態に係る視線検出装置100の一例を示す機能ブロック図である。図3に示すように、入出力インターフェース装置30は、入出力部302を有する。駆動回路40は、表示装置101を駆動するための駆動信号を生成して表示装置101に出力する表示装置駆動部402と、第1カメラ102Aを駆動するための駆動信号を生成して第1カメラ102Aに出力する第1カメラ入出力部404Aと、第2カメラ102Bを駆動するための駆動信号を生成して第2カメラ102Bに出力する第2カメラ入出力部404Bと、第1光源103A及び第2光源103Bを駆動するための駆動信号を生成して第1光源103A及び第2光源103Bに出力する光源駆動部406とを有する。また、第1カメラ入出力部404Aは、第1カメラ102Aで撮影された眼球111の画像データを、入出力部302を介してコンピュータシステム20に供給する。第2カメラ入出力部404Bは、第2カメラ102Bで撮影された眼球111の画像データを、入出力部302を介してコンピュータシステム20に供給する。
コンピュータシステム20は、視線検出装置100を制御する。コンピュータシステム20は、表示制御部202と、光源制御部204と、画像データ取得部206と、入力データ取得部208と、位置検出部210と、曲率中心算出部212と、注視点検出部214と、領域設定部216と、判定部218と、演算部220と、記憶部222と、評価部224と、出力制御部226とを有する。コンピュータシステム20の機能は、演算処理装置20A及び記憶装置20Bによって発揮される。
表示制御部202は、被験者に対する設問となる設問情報を表示画面101Sに表示する第1表示動作と、被験者の注視点を目標位置に誘導する誘導対象物を前記表示画面に表示する第2表示動作と、第2表示動作の後に設問に対する回答となる複数の回答対象物を表示画面101Sの誘導位置と重ならない位置に配置して表示する第3表示動作と、を含む表示動作を行う。設問情報は、文字、図柄等を含む。誘導対象物は、表示画面101S上において所望の位置に注視点を誘導するためのアイキャッチ映像等を含む。アイキャッチ映像は、被験者が評価用画像の目標位置から見始めるようにするものである。目標位置は、評価用画像の表示開始時に、被験者を注視させたい評価用画像内の位置を設定可能である。複数の回答対象物は、例えば設問の正解となる特定対象物と、当該特定対象物とは異なる比較対象物とを含む。上記の設問情報、誘導対象物、回答対象物は、例えば被験者に視認させる評価用映像又は評価用画像に含まれている。表示制御部202は、このような評価用映像又は評価用画像を表示画面101Sに表示する。
光源制御部204は、光源駆動部406を制御して、第1光源103A及び第2光源103Bの作動状態を制御する。光源制御部204は、第1光源103Aと第2光源103Bとが異なるタイミングで検出光を射出するように第1光源103A及び第2光源103Bを制御する。
画像データ取得部206は、第1カメラ102A及び第2カメラ102Bを含むステレオカメラ装置102によって撮影された被験者の眼球111の画像データを、入出力部302を介してステレオカメラ装置102から取得する。
入力データ取得部208は、入力装置60が操作されることにより生成された入力データを、入出力部302を介して入力装置60から取得する。
位置検出部210は、画像データ取得部206で取得された眼球111の画像データに基づいて、瞳孔中心の位置データを検出する。また、位置検出部210は、画像データ取得部206で取得された眼球111の画像データに基づいて、角膜反射中心の位置データを検出する。瞳孔中心は、瞳孔112の中心である。角膜反射中心は、角膜反射像113の中心である。位置検出部210は、被験者の左右それぞれの眼球111について、瞳孔中心の位置データ及び角膜反射中心の位置データを検出する。
曲率中心算出部212は、画像データ取得部206で取得された眼球111の画像データに基づいて、眼球111の角膜曲率中心の位置データを算出する。
注視点検出部214は、画像データ取得部206で取得された眼球111の画像データに基づいて、被験者の注視点の位置データを検出する。本実施形態において、注視点の位置データとは、三次元グローバル座標系で規定される被験者の視線ベクトルと表示装置101の表示画面101Sとの交点の位置データをいう。注視点検出部214は、眼球111の画像データから取得された瞳孔中心の位置データ及び角膜曲率中心の位置データに基づいて、被験者の左右それぞれの眼球111の視線ベクトルを検出する。視線ベクトルが検出された後、注視点検出部214は、視線ベクトルと表示画面101Sとの交点を示す注視点の位置データを検出する。
領域設定部216は、第3表示動作が行われる表示期間において、表示装置101の表示画面101Sのうち特定対象物に対応した特定領域と、それぞれの比較対象物に対応した比較領域とを設定する。
判定部218は、第3表示動作が行われる表示期間において、視点の位置データに基づいて、注視点が特定領域及び比較領域に存在するか否かをそれぞれ判定し、判定データを出力する。判定部218は、例えば一定時間毎に注視点が特定領域及び比較領域に存在するか否かを判定する。一定時間としては、例えば第1カメラ102A及び第2カメラ102Bから出力されるフレーム同期信号の周期(例えば20[msec]毎)とすることができる。
演算部220は、判定部218の判定データに基づいて、表示期間における注視点の移動の経過を示す移動経過データ(注視点データと表記する場合がある)を算出する。移動経過データは、表示期間の開始時点から注視点が最初に特定領域に到達した到達時点までの到達時間データと、注視点が最初に特定領域に到達するまでに複数の比較領域の間で注視点の位置が移動する回数を示す移動回数データと、表示期間に注視点が特定領域または比較領域に存在した存在時間を示す存在時間データと、特定領域及び比較領域のうち表示時間において注視点が最後に存在していた領域を示す最終領域データと、を含む。
なお、演算部220は、映像の再生時間を管理する管理タイマと、表示画面101Sに映像が表示されてからの経過時間を検出する検出タイマTを有する。演算部220は、特定領域について、注視点が存在すると判定された判定回数をカウントするカウンタを有する。
評価部224は、移動経過データに基づいて、被験者の評価データを求める。評価データは、表示動作において表示画面101Sに表示される特定対象物を被験者が注視できているかを評価するデータである。
記憶部222は、上記の判定データ、移動経過データ(存在時間データ、移動回数データ、最終領域データ、到達時間データ)、及び評価データを記憶する。また、記憶部222は、表示画面に画像を表示する処理と、表示画面を観察する被験者の注視点の位置を検出する処理と、被験者に対する設問となる設問情報を表示画面に表示する第1表示動作と、被験者の注視点を目標位置に誘導する誘導対象物を表示画面に表示する第2表示動作と、第2表示動作の後に設問に対する回答となる複数の回答対象物を表示画面の誘導位置と重ならない位置に配置して表示する第3表示動作と、を含む表示動作を行う処理と、複数の回答対象物のうち特定対象物に対応した特定領域と、特定対象物とは異なる比較対象物に対応した比較領域とを設定する処理と、注視点の位置に基づいて、第3表示動作が行われる表示期間に注視点が特定領域及び比較領域に存在するか否かの判定を行う処理と、判定結果に基づいて、表示期間における注視点データを算出する処理と、注視点データに基づいて、被験者の評価データを求める処理とをコンピュータに実行させる評価プログラムを記憶する。
出力制御部226は、表示装置101及び出力装置50の少なくとも一方にデータを出力する。
次に、本実施形態に係る曲率中心算出部212の処理の概要について説明する。曲率中心算出部212は、眼球111の画像データに基づいて、眼球111の角膜曲率中心の位置データを算出する。図4及び図5は、本実施形態に係る角膜曲率中心110の位置データの算出方法を説明するための模式図である。図4は、1つの光源103Cで眼球111が照明される例を示す。図5は、第1光源103A及び第2光源103Bで眼球111が照明される例を示す。
まず、図4に示す例について説明する。光源103Cは、第1カメラ102Aと第2カメラ102Bとの間に配置される。瞳孔中心112Cは、瞳孔112の中心である。角膜反射中心113Cは、角膜反射像113の中心である。図4において、瞳孔中心112Cは、眼球111が1つの光源103Cで照明されたときの瞳孔中心を示す。角膜反射中心113Cは、眼球111が1つの光源103Cで照明されたときの角膜反射中心を示す。角膜反射中心113Cは、光源103Cと角膜曲率中心110とを結ぶ直線上に存在する。角膜反射中心113Cは、角膜表面と角膜曲率中心110との中間点に位置付けられる。角膜曲率半径109は、角膜表面と角膜曲率中心110との距離である。角膜反射中心113Cの位置データは、ステレオカメラ装置102によって検出される。角膜曲率中心110は、光源103Cと角膜反射中心113Cとを結ぶ直線上に存在する。曲率中心算出部212は、その直線上において角膜反射中心113Cからの距離が所定値となる位置データを、角膜曲率中心110の位置データとして算出する。所定値は、一般的な角膜の曲率半径値などから事前に定められた値であり、記憶部222に記憶されている。
次に、図5に示す例について説明する。本実施形態においては、第1カメラ102A及び第2光源103Bと、第2カメラ102B及び第1光源103Aとは、第1カメラ102Aと第2カメラ102Bとの中間位置を通る直線に対して左右対称の位置に配置される。第1カメラ102Aと第2カメラ102Bとの中間位置に仮想光源103Vが存在するとみなすことができる。角膜反射中心121は、第2カメラ102Bで眼球111を撮影した画像における角膜反射中心を示す。角膜反射中心122は、第1カメラ102Aで眼球111を撮影した画像における角膜反射中心を示す。角膜反射中心124は、仮想光源103Vに対応する角膜反射中心を示す。角膜反射中心124の位置データは、ステレオカメラ装置102で撮影された角膜反射中心121の位置データ及び角膜反射中心122の位置データに基づいて算出される。ステレオカメラ装置102は、ステレオカメラ装置102に規定される三次元ローカル座標系において角膜反射中心121の位置データ及び角膜反射中心122の位置データを検出する。ステレオカメラ装置102について、事前にステレオ較正法によるカメラ較正が実施され、ステレオカメラ装置102の三次元ローカル座標系を三次元グローバル座標系に変換する変換パラメータが算出される。その変換パラメータは、記憶部222に記憶されている。曲率中心算出部212は、ステレオカメラ装置102で撮影された角膜反射中心121の位置データ及び角膜反射中心122の位置データを、変換パラメータを使って、三次元グローバル座標系における位置データに変換する。曲率中心算出部212は、三次元グローバル座標系で規定される角膜反射中心121の位置データ及び角膜反射中心122の位置データに基づいて、三次元グローバル座標系における角膜反射中心124の位置データを算出する。角膜曲率中心110は、仮想光源103Vと角膜反射中心124とを結ぶ直線123上に存在する。曲率中心算出部212は、直線123上において角膜反射中心124からの距離が所定値となる位置データを、角膜曲率中心110の位置データとして算出する。所定値は、一般的な角膜の曲率半径値などから事前に定められた値であり、記憶部222に記憶されている。
このように、光源が2つある場合でも、光源が1つである場合の方法と同様の方法で、角膜曲率中心110が算出される。
角膜曲率半径109は、角膜表面と角膜曲率中心110との距離である。したがって、角膜表面の位置データ及び角膜曲率中心110の位置データが算出されることにより、角膜曲率半径109が算出される。
次に、本実施形態に係る視線検出方法の一例について説明する。図6は、本実施形態に係るキャリブレーション処理の一例を説明するための模式図である。キャリブレーション処理では、被験者に注視させるため、目標位置130が設定される。目標位置130は、三次元グローバル座標系において規定される。本実施形態において、目標位置130は、例えば表示装置101の表示画面101Sの中央位置に設定される。なお、目標位置130は、表示画面101Sの端部位置に設定されてもよい。出力制御部226は、設定された目標位置130に目標画像を表示する。直線131は、仮想光源103Vと角膜反射中心113Cとを結ぶ直線である。直線132は、目標位置130と瞳孔中心112Cとを結ぶ直線である。角膜曲率中心110は、直線131と直線132との交点である。曲率中心算出部212は、仮想光源103Vの位置データと、目標位置130の位置データと、瞳孔中心112Cの位置データと、角膜反射中心113Cの位置データとに基づいて、角膜曲率中心110の位置データを算出することができる。
次に、注視点検出処理について説明する。注視点検出処理は、キャリブレーション処理の後に実施される。注視点検出部214は、眼球111の画像データに基づいて、被験者の視線ベクトル及び注視点の位置データを算出する。図7は、本実施形態に係る注視点検出処理の一例を説明するための模式図である。図7において、注視点165は、一般的な曲率半径値を用いて算出された角膜曲率中心から求めた注視点を示す。注視点166は、キャリブレーション処理で求められた距離126を用いて算出された角膜曲率中心から求めた注視点を示す。瞳孔中心112Cは、キャリブレーション処理において算出された瞳孔中心を示し、角膜反射中心113Cは、キャリブレーション処理において算出された角膜反射中心を示す。直線173は、仮想光源103Vと角膜反射中心113Cとを結ぶ直線である。角膜曲率中心110は、一般的な曲率半径値から算出した角膜曲率中心の位置である。距離126は、キャリブレーション処理により算出した瞳孔中心112Cと角膜曲率中心110との距離である。角膜曲率中心110Hは、距離126を用いて角膜曲率中心110を補正した補正後の角膜曲率中心の位置を示す。角膜曲率中心110Hは、角膜曲率中心110が直線173上に存在すること、及び瞳孔中心112Cと角膜曲率中心110との距離が距離126であることから求められる。これにより、一般的な曲率半径値を用いる場合に算出される視線177は、視線178に補正される。また、表示装置101の表示画面101S上の注視点は、注視点165から注視点166に補正される。
[評価方法]
次に、本実施形態に係る評価方法について説明する。本実施形態に係る評価方法では、上記の視線検出装置100を用いることにより、被験者の認知機能障害および脳機能障害を評価する。
図8は、本実施形態に係る評価方法において、表示画面101Sに表示する設問情報I1の一例を示す図である。図8に示すように、表示制御部202は、第1表示動作として、被験者に対する設問である設問情報I1を表示画面101Sに表示する。本実施形態において、設問情報I1は、立方体の展開図として正しい図柄を注視する旨の設問である。表示制御部202は、設問情報I1として、例えば文章等の文字情報I1aと、図柄等の図柄情報I1bとを表示しているが、これに限定されず、文字情報I1aのみであってもよい。
表示制御部202は、設問情報I1を表示画面101Sに表示した後、第2表示動作として、誘導対象物E1を表示画面101Sに表示する。図9は、表示画面101Sに表示する誘導対象物E1の一例を示す図である。図9に示すように、表示制御部202は、第2表示動作において、上記設問情報I1を表示画面101S内の所定の目標位置P1に向けて縮小させた誘導対象物E1の映像を、アイキャッチ映像として表示画面101Sに表示する。ここでは、目標位置P1として、表示画面101Sの中央の位置を設定しているが、これに限定されない。なお、表示制御部202は、設問情報I1を表示画面101Sに表示した状態で、誘導対象物として設問情報I1とは異なる対象物を表示画面101Sに表示し、当該対象物を表示画面101S内の目標位置P1に向けて縮小させた映像をアイキャッチ映像として表示画面101Sに表示してもよい。
図10は、表示画面101Sに表示する回答対象物の一例を示す図である。図10に示すように、表示制御部202は、第2表示動作を行った後、第3表示動作として、複数の回答対象物M1〜M4として、それぞれ6つの正方形が連結された図柄を表示画面101Sに表示する。表示制御部202は、複数の回答対象物M1〜M4として、設問情報I1に対して正解となる特定対象物M1と、当該特定対象物M1とは異なり、設問情報I1に対して不正解となる比較対象物M2〜M4とを表示画面101Sに表示する。
表示制御部202は、複数の回答対象物M1〜M4を互いに重ならない位置に配置する。また、表示制御部202は、誘導位置と重ならない位置に複数の回答対象物M1〜M4を配置する。例えば、表示制御部202は、誘導位置を中心として複数の回答対象物M1〜M4を配置する。本実施形態において、誘導位置は、誘導対象物E1によって被験者の注視点を誘導する目標位置P1である。表示制御部202は、複数の回答対象物M1〜M4を誘導位置である目標位置P1から等距離となる位置に配置することができる。
図11は、第3表示動作が行われる表示期間に表示画面101Sに設定される領域の一例を示す図である。図11に示すように、第3表示動作が行われる表示期間において、領域設定部216は、特定対象物M1に対応した特定領域Aを設定する。また、領域設定部216は、比較対象物M2〜M4のそれぞれに対応した比較領域B〜Dを設定する。領域設定部216は、特定対象物M1の少なくとも一部を含む領域に特定領域Aを設定することができる。また、領域設定部216は、比較対象物M2〜M4の少なくとも一部を含む領域にそれぞれ比較領域B〜Dを設定することができる。この場合、領域設定部216は、特定領域Aと比較領域B〜Dとを互いに重ならない位置に設定する。なお、特定領域A及び比較領域B〜Dは、表示画面101Sには表示されない。
なお、図11では、表示画面101Sにおいて、例えば計測後に結果表示される注視点Pの一例を示しているが、当該注視点Pは、実際には表示画面101Sには表示されない。注視点の位置データの検出は、例えば第1カメラ102A及び第2カメラ102Bから出力されるフレーム同期信号の周期で(例えば20[msec]毎に)実施される。第1カメラ102A及び第2カメラ102Bは、同期して撮像する。
領域設定部216は、設問情報I1に対して正解となる特定対象物M1を含む矩形の範囲に特定領域Aを設定する。同様に、領域設定部216は、設問情報I1に対して不正解となる比較対象物M2〜M4を含む矩形の範囲にそれぞれ比較領域B〜Dを設定する。なお、特定領域A、比較領域B〜Dの形状については、矩形に限定されず、円形、楕円形、多角形等、他の形状であってもよい。
認知機能障害および脳機能障害の症状は、被験者の認知能力に影響することが知られている。被験者が認知機能障害および脳機能障害ではない場合、第3表示動作において表示画面101Sに表示される比較対象物M2〜M4を1つ1つ見て、正方形を組み立てることができないと判定し、最終的には特定対象物M1を発見して注視することができる。また、被験者が認知機能障害および脳機能障害である場合、上記のような組み立てができず、特定対象物M1を注視できないことがある。一方、回答対象物M1〜M4を表示画面101Sに表示する方式では、第3表示動作の開始時に、被験者の注視点が正解である特定対象物M1上に偶然配置されてしまう場合がある。このような場合、被験者が認知機能障害および脳機能障害であるか否かに関わらず正解として判定される可能性があるため、被験者を高精度に評価することが困難となる。
このため、例えば以下の手順を行うことにより、被験者を高精度に評価することが可能である。まず、第1表示動作として、表示画面101Sに設問情報I1を表示して被験者に確認させる。また、第2表示動作として、誘導対象物を表示画面101Sに表示して被験者の注視点を目標位置P1に誘導する。その後、第3表示動作として、誘導位置(目標位置P1)を中心として複数の回答対象物M1〜M4を表示画面101Sに表示する。
この手順を行うことにより、第3表示動作の開始時に被験者の注視点が複数の回答対象物M1〜M4のいずれかに移動または固定されることを抑制できる。これにより、開始時点に被験者が意図しない回答対象物を注視したことと同等となってしまうことを防止する。そのため、被験者が複数の比較対象物M2〜M4を1つ1つ注視しているか否か、被験者が最終的に正解となる特定対象物M1に到達できるか否か、被験者が特定対象物M1に到達するまでに要する時間の長さはどれだけか、被験者が特定対象物M1を注視できているか否か、等の観点から被験者を高精度に評価することが可能である。
第3表示動作において、被験者の注視点Pの位置データが検出された場合、判定部218は、被験者の注視点が特定領域A、及び複数の比較領域B〜Dに存在するかを判定し、判定データを出力する。
演算部220は、判定データに基づいて、表示期間における注視点Pの移動の経過を示す移動経過データを算出する。演算部220は、移動経過データとして、存在時間データと、移動回数データと、最終領域データと、到達時間データとを算出する。
存在時間データは、注視点Pが特定領域Aまたは比較領域B〜Dに存在した存在時間を示す。本実施形態では、判定部218により注視点が特定領域Aまたは比較領域B〜Dに存在すると判定された回数が多いほど、特定領域Aまたは比較領域B〜Dに注視点Pが存在した存在時間が長いと推定することができる。したがって、存在時間データは、特定領域Aまたは比較領域B〜Dに注視点が存在すると判定部218に判定された回数とすることができる。つまり、演算部220は、カウンタにおけるカウント値CNTA、CNTB、CNTC、CNTDを存在時間データとすることができる。
また、移動回数データは、注視点Pが最初に特定領域Aに到達するまでに複数の比較領域B〜Dの間で注視点Pの位置が移動する移動回数を示す。したがって、演算部220は、特定領域A及び比較領域B〜Dの領域間で注視点Pが何回移動したかをカウントし、注視点Pが特定領域Aに到達するまでのカウント結果を移動回数データとすることができる。
また、最終領域データは、特定領域A及び比較領域B〜Dのうち表示時間において注視点Pが最後に存在していた領域、つまり被験者が回答として最後に注視していた領域を示す。演算部220は、注視点Pが存在する領域を当該注視点Pの検出毎に更新することにより、表示期間が終了した時点における検出結果を最終領域データとすることができる。
また、到達時間データは、表示期間の開始時点から注視点が特定領域Aに最初に到達した到達時点までの時間を示す。したがって、演算部220は、表示期間の開始からの経過時間をタイマTによって測定し、注視点が最初に特定領域Aに到達した時点でフラグ値を1としてタイマTの測定値を検出することで、当該タイマTの検出結果を到達時間データとすることができる。
本実施形態において、評価部224は、存在時間データ、移動回数データ、最終領域データ、及び到達時間データに基づいて評価データを求める。
ここで、最終領域データのデータ値をD1、特定領域Aの存在時間データのデータ値をD2、到達時間データのデータ値をD3、移動回数データのデータ値をD4とする。ただし、最終領域データのデータ値D1は、被験者の最終的な注視点Pが特定領域Aに存在していれば(つまり、正解であれば)1、特定領域Aに存在していなければ(つまり、不正解であれば)0とする。また、存在時間データのデータ値D2は、特定領域Aに注視点Pが存在した秒数とする。なお、データ値D2は、表示期間よりも短い秒数の上限値が設けられてもよい。また、到達時間データのデータ値D3は、到達時間の逆数(例えば、1/(到達時間)÷10)(10:到達時間の最小値を0.1秒として到達時間評価値を1以下とするための係数)とする。また、移動回数データのデータ値D4は、カウンタ値をそのまま用いることとする。なお、データ値D4は、適宜上限値が設けられてもよい。
この場合、評価値ANSは、例えば、
ANS=D1・K1+D2・K2+D3・K3+D4・K4
と表すことができる。なお、K1〜K4は、重みづけのための定数である。定数K1〜K4については、適宜設定することができる。
上記式で示される評価値ANSは、最終領域データのデータ値D1が1である場合、存在時間データのデータ値D2が大きい場合、到達時間データのデータ値D3が小さい場合、移動回数データのデータ値D4の値が大きい場合に、値が大きくなる。つまり、最終的な注視点Pが特定領域Aに存在し、特定領域Aにおける注視点Pの存在時間が長く、表示期間の開始時点から特定領域Aに注視点Pが到達する到達時間が短く、注視点Pが各領域を移動する移動回数が多いほど、評価値ANSが大きくなる。
一方、評価値ANSは、最終領域データのデータ値D1が0である場合、存在時間データのデータ値D2が小さい場合、到達時間データのデータ値D3が大きい場合、移動回数データのデータ値D4が小さい場合に、値が小さくなる。つまり、最終的な注視点Pが特定領域Aに存在せず、特定領域Aにおける注視点Pの存在時間が短く、表示期間の開始時点から特定領域Aに注視点Pが到達する到達時間が長く、注視点Pが各領域を移動する移動回数が少ないほど、評価値ANSが小さくなる。
したがって、評価部224は、評価値ANSが所定値以上か否かを判断することで評価データを求めることができる。例えば評価値ANSが所定値以上である場合、被験者が認知機能障害および脳機能障害である可能性は低いと評価することができる。また、評価値ANSが所定値未満である場合、被験者が認知機能障害および脳機能障害である可能性は高いと評価することができる。
なお、評価部224は、上記した注視点データのうち少なくとも1つのデータに基づいて、被験者の評価値を求めてもよい。例えば、評価部224は、特定領域Aの存在時間データCNTAについて所定値以上であれば、被験者が認知機能障害および脳機能障害者である可能性が低いと評価することができる。また、評価部224は、比較領域B〜Dの存在時間データCNTB、CNTC、CNTDを用いて評価を行ってもよい。この場合、評価部224は、例えば特定領域Aの存在時間データCNTAと比較領域B〜Dの存在時間データCNTB、CNTC、CNTDの合計の比(特定領域A及び比較領域B〜Dの注視率の割合)が所定値以上であれば、被験者が認知機能障害および脳機能障害者である可能性が低いと評価することができる。また、評価部224は、特定領域Aの存在時間データCNTAと全体の注視時間の比(特定領域Aの注視時間と全体の注視時間の割合)が所定値以上であれば、被験者が認知機能障害および脳機能障害者である可能性が低いと評価することができる。また、評価部224は、最終領域が特定領域Aであれば、被験者が認知機能障害および脳機能障害者である可能性が低く、最終領域が比較領域B〜Dであれば、被験者が認知機能障害および脳機能障害者である可能性が高いと評価することができる。
また、評価部224は、評価値ANSの値を記憶部222に記憶させておくことができる。例えば、同一の被験者についての評価値ANSを累積的に記憶し、過去の評価値と比較した場合の評価を行ってもよい。例えば、評価値ANSが過去の評価値よりも高い値となった場合、脳機能が前回の評価に比べて改善されている旨の評価を行うことができる。また、評価値ANSの累積値が徐々に高くなっている場合等には、脳機能が徐々に改善されている旨の評価を行うことができる。
また、評価部224は、存在時間データ、移動回数データ、最終領域データ、及び到達時間データを個別又は複数組み合わせて評価を行ってもよい。例えば、多くの対象物を見ている間に、偶発的に特定領域Aに注視点Pが到達した場合には、移動回数データのデータ値D4は小さくなる。この場合には、上述した存在時間データのデータ値D2と併せて評価を行うことができる。例えば、移動回数が少ない場合であっても存在時間が長い場合には、正解となる特定領域Aを注視できていると評価することができる。また、移動回数が少ない場合であって存在時間も短い場合、偶発的に注視点Pが特定領域Aを通過したものがあると評価することができる。
また、移動回数が少ない場合において、最終領域が特定領域Aであれば、例えば正解の特定領域Aに注視点移動が少なくて到達したと評価することができる。一方、上述した移動回数が少ない場合において、最終領域が特定領域Aでなければ、例えば偶発的に注視点Pが特定領域Aを通過したものあると評価することができる。
本実施形態において、出力制御部226は、評価部224が評価データを出力した場合、評価データに応じて、例えば「被験者は認知機能障害および脳機能障害である可能性が低いと思われます」の文字データや、「被験者は認知機能障害および脳機能障害である可能性が高いと思われます」の文字データ等を出力装置50に出力させることができる。また、出力制御部226は、同一の被験者についての評価値ANSが過去の評価値ANSに比べて高くなっている場合、「脳機能が改善されています」等の文字データ等を出力装置50に出力させることができる。
図12は、表示画面101Sに表示する設問情報I2の一例を示す図である。図12に示すように、表示制御部202は、第1表示動作において、文字情報I2a及び図柄情報I2bを含む設問情報I2を表示画面101Sに表示する。図12に示す例において、設問情報I2は、図柄情報I2bとして示す図柄の中に存在する三角形の個数を求め、正しい数値を注視する旨の質問である。この場合、表示制御部202は、設問情報I2として、文字情報I2a及び図柄情報I2bの両方を表示する。
図13は、表示画面101Sに表示する誘導対象物E2の一例を示す図である。図13に示すように、表示制御部202は、第2表示動作において、設問情報I2のうち図柄情報I2bのみを目標位置P1に向けて縮小させた誘導対象物E2の映像を、アイキャッチ映像として表示画面101Sに表示する。このように、表示制御部202は、設問情報I2のうち一部の情報を誘導対象物E2として用いることができる。
図14は、表示画面101Sに表示する回答対象物の一例を示す図である。図14に示すように、表示制御部202は、第3表示動作として、それぞれ「9」〜「16」の数値を示す複数の回答対象物M5〜M8を表示画面101Sに表示する。表示制御部202は、複数の回答対象物M5〜M8として、設問情報I2に対して正解となる特定対象物M5と、当該特定対象物M5とは異なり、設問情報I2に対して不正解となる比較対象物M6〜M8とを表示画面101Sに表示する。
この場合においても、表示制御部202は、複数の回答対象物M5〜M8を互いに重ならない位置に配置する。また、表示制御部202は、誘導位置と重ならない位置に複数の回答対象物M5〜M8を配置する。例えば、表示制御部202は、誘導位置である目標位置P1を中心として複数の回答対象物M5〜M8を配置する。表示制御部202は、複数の回答対象物M5〜M8を誘導位置である目標位置P1から等距離となる位置に放射状に配置することができる。例えば、表示制御部202は、複数の回答対象物M5〜M8を、目標位置P1を中心とした同一円周上に等ピッチで配置することができる。
図15は、第3表示動作が行われる表示期間に表示画面101Sに設定される領域の一例を示す図である。図15に示すように、第3表示動作が行われる表示期間において、領域設定部216は、特定対象物M5に対応した特定領域Aを設定する。また、領域設定部216は、比較対象物M6〜M8のそれぞれに対応した比較領域B〜Dを設定する。この場合、領域設定部216は、特定領域Aと比較領域B〜Dとを互いに重ならない位置に設定する。
領域設定部216は、正解となる特定対象物M5が示す数値「13」を基準として、例えば1つ違いの数値「14」を示す比較対象物M6a、及び「12」を示す比較対象物M6bについては、比較領域Bとする。また、2つ違いの数値「15」を示す比較対象物M7a及び「11」を示す比較対象物M7bについては、比較領域Cとする。また、3つ以上違いの数値「16」を示す比較対象物M8a、「10」を示す比較対象物M8b、及び「9」を示す比較対象物M8cについては、比較領域Dとする。
この設定では、評価においてデータ値D1を求める際、被験者の最終的な注視点Pが特定領域Aに存在していない場合にデータ値D1を0にするのではなく、正解に近い数値を回答した順に一定のデータ値を付与することができる。例えば、被験者の最終的な注視点Pが比較領域Bに存在している場合には0.6、被験者の最終的な注視点Pが比較領域Cに存在している場合には0.2、被験者の最終的な注視点Pが比較領域Dに存在している場合には0、というようにデータ値D1を求めるようにしてもよい。
図16は、表示画面101Sに表示する誘導対象物E2の他の表示例を示す図である。図16に示すように、表示制御部202は、表示画面101Sの中央からずれた位置に目標位置P1aを設定してもよい。この場合、表示制御部202は、第2表示動作において、設問情報I2のうち図柄情報I2bのみを目標位置P1aに向けて縮小させた誘導対象物E2の映像を、アイキャッチ映像として表示画面101Sに表示する。
図17は、表示画面101Sに表示する回答対象物の他の表示例を示す図である。図17に示すように、表示制御部202は、第3表示動作として、複数の回答対象物M9〜M12を表示画面101Sに表示する。表示制御部202は、複数の回答対象物M9〜M12として、設問情報I2に対して正解となる特定対象物M9と、当該特定対象物M9とは異なり、設問情報I2に対して不正解となる比較対象物M10〜M12とを表示画面101Sに表示する。
表示制御部202は、上記同様に、複数の回答対象物M9〜M12を互いに重ならない位置に配置する。また、表示制御部202は、誘導位置と重ならない位置に複数の回答対象物M9〜M12を配置する。例えば、表示制御部202は、誘導位置である目標位置P1aを中心として複数の回答対象物M9〜M12を配置する。表示制御部202は、複数の回答対象物M9〜M12を誘導位置である目標位置P1aから等距離となる位置に配置することができる。例えば、表示制御部202は、複数の回答対象物M9〜M12を、目標位置P1aを中心とした円弧R上に等ピッチで配置することができる。また、図17に示すように、第3表示動作が行われる表示期間において、領域設定部216は、特定対象物M9に対応した特定領域Aを設定する。また、領域設定部216は、比較対象物M10〜M12のそれぞれに対応した比較領域B〜Dを設定する。この場合、領域設定部216は、特定領域Aと比較領域B〜Dとを互いに重ならない位置に設定する。
図18は、表示画面101Sに表示する指示情報の一例を示す図である。図18に示すように、表示制御部202は、第1表示動作を行う前に、被験者に対して設問情報の前提となる情報を記憶させるように指示する指示情報I3を表示することができる。指示情報I3は、人物の顔を示す画像情報I3bと、当該画像情報I3bで示された人物の顔を記憶するように指示する文字情報I3aとを含む。
図19は、表示画面101Sに表示する設問情報の一例を示す図である。図19に示すように、表示制御部202は、指示情報I3を一定時間表示した後、第1表示動作として、被験者に対する設問情報I4を表示する。図19に示す例において、設問情報I4は、画像情報I3bで示された人物の顔と同一人物を注視する旨の質問である。設問情報I4は、上記の質問内容を示す文字情報I4aと、画像情報I3bと同一の画像である画像情報I4bとを含む。
図20は、表示画面101Sに表示する誘導対象物E3の一例を示す図である。図20に示すように、表示制御部202は、第2表示動作において、設問情報I4のうち画像情報I4bのみを目標位置P1に向けて縮小させた誘導対象物E3の映像を、アイキャッチ映像として表示画面101Sに表示する。このように、表示制御部202は、設問情報I4のうち一部の情報を誘導対象物E3として用いることができる。
図21は、表示画面101Sに表示する回答対象物の一例を示す図である。図21に示すように、表示制御部202は、第3表示動作として、それぞれ異なる人物の顔の画像を示す複数の回答対象物M13〜M16を表示画面101Sに表示する。表示制御部202は、複数の回答対象物M13〜M16として、設問情報I4に対して正解となる特定対象物M13と、当該特定対象物M13とは異なり、設問情報I4に対して不正解となる比較対象物M14〜M16とを表示画面101Sに表示する。なお、正解となる特定対象物M13の画像は、上記の画像情報I3b及び画像情報I4bの画像と同一の画像である。表示制御部202は、複数の回答対象物M13〜M16を互いに重ならない位置に配置する。また、表示制御部202は、誘導位置と重ならない位置に複数の回答対象物M13〜M16を配置する。例えば、表示制御部202は、誘導位置を中心として複数の回答対象物M13〜M16を配置する。本実施形態において、誘導位置は、誘導対象物E3によって被験者の注視点を誘導する目標位置P1である。表示制御部202は、複数の回答対象物M13〜M16を誘導位置である目標位置P1から等距離となる位置に配置することができる。
また、図21には、第3表示動作が行われる表示期間に表示画面101Sに設定される領域の例が併せて示されている。図21に示すように、第3表示動作が行われる表示期間において、領域設定部216は、特定対象物M13に対応した特定領域Aを設定する。また、領域設定部216は、比較対象物M14〜M16のそれぞれに対応した比較領域B〜Dを設定する。この場合、領域設定部216は、特定領域Aと比較領域B〜Dとを互いに重ならない位置に設定する。
認知機能障害および脳機能障害の症状は、記憶力に影響することが知られている。被験者が認知機能障害および脳機能障害ではない場合、第3表示動作において表示画面101Sに表示される比較対象物M14〜M16を1つ1つ見て、第1表示動作において記憶した画像情報I4bの人物と比べた上で同一ではないと判定し、最終的には特定対象物M13を発見して注視することができる。一方、被験者が認知機能障害および脳機能障害である場合、特定対象物M13を記憶することができない場合、または記憶しても直ぐに忘れてしまう場合がある。そのため、上記のような比較ができず、特定対象物M13を注視できないことがある。本実施形態では、第3表示動作の開始時に被験者の注視点が複数の回答対象物M13〜M16のいずれかに移動または固定されることを抑制できるため、被験者の記憶力を高精度に評価することが可能である。
図22は、表示画面101Sに表示する回答対象物の他の表示例を示す図である。図22に示すように、表示制御部202は、誘導位置である目標位置P1から等距離となる位置に放射状に複数の回答対象物M17〜M20を配置することができる。例えば、表示制御部202は、複数の回答対象物M17〜M20を、目標位置P1を中心とした同一円周上に等ピッチで配置することができる。また、図22には、第3表示動作が行われる表示期間に表示画面101Sに設定される領域の例が併せて示されている。図22に示すように、領域設定部216は、特定対象物M17に対応した特定領域Aを設定する。また、領域設定部216は、正解となる特定対象物M17の特性(性別、表情等)を基準として、例えば性別が特定対象物M17と同じ女性である比較対象物M18については、比較領域Bとする。また、性別が男性であるがまゆ毛や鼻の形など、表情に比較的共通点が多い比較対象物M19については、比較領域Cとする。また、性別が男性であり表情に共通点が少ない比較対象物M20(M20a〜M20c)については、比較領域Dとする。この場合、領域設定部216は、特定領域Aと比較領域B〜Dとを互いに重ならない位置に設定する。
この設定では、評価においてデータ値D1を求める際、被験者の最終的な注視点Pが特定領域Aに存在していない場合にデータ値D1を0にするのではなく、正解に近い数値を回答した順に一定のデータ値を付与することができる。例えば、被験者の最終的な注視点Pが比較領域Bに存在している場合には0.6、被験者の最終的な注視点Pが比較領域Cに存在している場合には0.2、被験者の最終的な注視点Pが比較領域Dに存在している場合には0、というようにデータ値D1を求めるようにしてもよい。
次に、本実施形態に係る評価方法の一例について、図23を参照しながら説明する。図23は、本実施形態に係る評価方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態においては、表示制御部202は、映像の再生を開始させる(ステップS101)。評価用映像部分までの待ち時間を経過した後(ステップS102)、タイマTをリセットし(ステップS103)、カウンタのカウント値CNTAをリセットし(ステップS104)、フラグ値を0にする(ステップS105)。
注視点検出部214は、表示装置101に表示された映像を被験者に見せた状態で、規定のサンプリング周期(例えば20[msec])毎に、表示装置101の表示画面101Sにおける被験者の注視点の位置データを検出する(ステップS106)。位置データが検出された場合(ステップS107のNo)、判定部218は、位置データに基づいて注視点Pが存在する領域を判定する(ステップS108)。また、位置データが検出されない場合(ステップS107のYes)、後述するステップS130以降の処理を行う。
注視点Pが特定領域Aに存在すると判定された場合(ステップS109のYes)、演算部220は、フラグ値が1であるか否か、つまり、注視点Pが特定領域Aに到達したのが最初か否か(1:到達済み、0:未到達)を判定する(ステップS110)。フラグ値が1である場合(ステップS110のYes)、演算部220は、以下のステップS111からステップS113を飛ばして後述するステップS114の処理を行う。
また、フラグ値が1ではない場合、つまり、特定領域Aに注視点Pが到達したのが最初である場合(ステップS110のNo)、演算部220は、タイマTの計測結果を到達時間データとして抽出する(ステップS111)。また、演算部220は、特定領域Aに到達するまでに注視点Pが領域間の移動を何回行ったかを示す移動回数データを記憶部222に記憶させる(ステップS112)。その後、演算部220は、フラグ値を1に変更する(ステップS113)。
次に、演算部220は、直近の検出において注視点Pが存在した領域、つまり最終領域が特定領域Aであるか否かを判定する(ステップS114)。演算部220は、最終領域が特定領域Aであると判定した場合(ステップS114のYes)、以下のステップS115及びステップS116を飛ばして後述するステップS117の処理を行う。また、最終領域が特定領域Aではないと判定した場合(ステップS114のNo)、演算部220は、注視点Pが領域間で何回移動したかを示す積算回数を+1とし(ステップS115)、最終領域を特定領域Aに変更する(ステップS116)。また、演算部220は、特定領域Aでの存在時間データを示すカウント値CNTAを+1とする(ステップS117)。その後、演算部220は、後述するステップS130以降の処理を行う。
また、注視点Pが特定領域Aに存在しないと判定された場合(ステップS109のNo)、演算部220は、注視点Pが比較領域Bに存在するか否かを判定する(ステップS118)。注視点Pが比較領域Bに存在すると判定された場合(ステップS118のYes)、演算部220は、直近の検出において注視点Pが存在した領域、つまり最終領域が比較領域Bであるか否かを判定する(ステップS119)。演算部220は、最終領域が比較領域Bであると判定した場合(ステップS119のYes)、以下のステップS120及びステップS121を飛ばして後述するステップS130の処理を行う。また、最終領域が比較領域Bではないと判定した場合(ステップS119のNo)、演算部220は、注視点Pが領域間で何回移動したかを示す積算回数を+1とし(ステップS120)、最終領域を比較領域Bに変更する(ステップS121)。その後、演算部220は、後述するステップS130以降の処理を行う。
また、注視点Pが比較領域Bに存在しないと判定された場合(ステップS118のNo)、演算部220は、注視点Pが比較領域Cに存在するか否かを判定する(ステップS122)。注視点Pが比較領域Cに存在すると判定された場合(ステップS122のYes)、演算部220は、直近の検出において注視点Pが存在した領域、つまり最終領域が比較領域Cであるか否かを判定する(ステップS123)。演算部220は、最終領域が比較領域Cであると判定した場合(ステップS123のYes)、以下のステップS124及びステップS125を飛ばして後述するステップS130の処理を行う。また、最終領域が比較領域Cではないと判定した場合(ステップS123のNo)、演算部220は、注視点Pが領域間で何回移動したかを示す積算回数を+1とし(ステップS124)、最終領域を比較領域Cに変更する(ステップS125)。その後、演算部220は、後述するステップS130以降の処理を行う。
また、注視点Pが比較領域Cに存在しないと判定された場合(ステップS122のNo)、演算部220は、注視点Pが比較領域Dに存在するか否かを判定する(ステップS126)。注視点Pが比較領域Dに存在すると判定された場合(ステップS126のYes)、演算部220は、直近の検出において注視点Pが存在した領域、つまり最終領域が比較領域Dであるか否かを判定する(ステップS127)。また、注視点Pが比較領域Dに存在しないと判定された場合(ステップS126のNo)、後述するステップS130の処理を行う。また、演算部220は、最終領域が比較領域Dであると判定した場合(ステップS127のYes)、以下のステップS128及びステップS129を飛ばして後述するステップS130の処理を行う。また、最終領域が比較領域Dではないと判定した場合(ステップS127のNo)、演算部220は、注視点Pが領域間で何回移動したかを示す積算回数を+1とし(ステップS128)、最終領域を比較領域Dに変更する(ステップS129)。その後、演算部220は、後述するステップS130以降の処理を行う。
その後、演算部220は、検出タイマTの検出結果に基づいて、映像の再生が完了する時刻に到達したか否かを判断する(ステップS130)。演算部220により映像の再生が完了する時刻に到達していないと判断された場合(ステップS130のNo)、上記のステップS106以降の処理を繰り返し行う。
演算部220により映像の再生が完了する時刻に到達したと判断された場合(ステップS130のYes)、表示制御部202は、映像の再生を停止させる(ステップS131)。映像の再生が停止された後、評価部224は、上記の処理結果から得られる存在時間データと、移動回数データと、最終領域データと、到達時間データに基づいて、評価値ANSを算出し(ステップS132)、評価値ANSに基づいて評価データを求める。その後、出力制御部226は、評価部224で求められた評価データを出力する(ステップS133)。
以上のように、本実施形態に係る評価装置は、表示画面101Sと、表示画面101Sに表示される画像を観察する被験者の注視点の位置を検出する注視点検出部214と、被験者に対する設問となる設問情報を表示画面101Sに表示する第1表示動作と、被験者の注視点Pを所定の目標位置P1に誘導する誘導対象物を表示画面101Sに表示する第2表示動作と、第2表示動作の後に設問に対する回答となる複数の回答対象物を表示画面101Sの誘導位置と重ならない位置に配置して表示する第3表示動作と、を含む表示動作を行う表示制御部202と、複数の回答対象物のうち特定対象物に対応した特定領域Aと、特定対象物とは異なる比較対象物に対応した比較領域B〜Dとを設定する領域設定部216と、注視点Pの位置に基づいて、第3表示動作が行われる表示期間に注視点Pが特定領域A及び比較領域B〜Dに存在するか否かの判定を行う判定部218と、判定結果に基づいて、表示期間における注視点データを算出する演算部220と、注視点データに基づいて、被験者の評価データを求める評価部224とを備える。
また、本実施形態に係る評価方法は、表示画面101Sに表示される画像を観察する被験者の注視点の位置を検出することと、被験者に対する設問となる設問情報を表示画面101Sに表示する第1表示動作と、被験者の注視点Pを所定の目標位置P1に誘導する誘導対象物を表示画面101Sに表示する第2表示動作と、第2表示動作の後に設問に対する回答となる複数の回答対象物を表示画面101Sの誘導位置と重ならない位置に配置して表示する第3表示動作と、を含む表示動作を行うことと、複数の回答対象物のうち特定対象物に対応した特定領域Aと、特定対象物とは異なる比較対象物に対応した比較領域B〜Dとを設定することと、注視点Pの位置に基づいて、第3表示動作が行われる表示期間に注視点Pが特定領域A及び比較領域B〜Dに存在するか否かの判定を行うことと、判定結果に基づいて、表示期間における注視点データを算出することと、注視点データに基づいて、被験者の評価データを求めることとを含む。
また、本実施形態に係る評価プログラムは、表示画面101Sに表示される画像を観察する被験者の注視点の位置を検出する処理と、被験者に対する設問となる設問情報を表示画面101Sに表示する第1表示動作と、被験者の注視点Pを所定の目標位置P1に誘導する誘導対象物を表示画面101Sに表示する第2表示動作と、第2表示動作の後に設問に対する回答となる複数の回答対象物を表示画面101Sの誘導位置と重ならない位置に配置して表示する第3表示動作と、を含む表示動作を行う処理と、複数の回答対象物のうち特定対象物に対応した特定領域Aと、特定対象物とは異なる比較対象物に対応した比較領域B〜Dとを設定する処理と、注視点Pの位置に基づいて、第3表示動作が行われる表示期間に注視点Pが特定領域A及び比較領域B〜Dに存在するか否かの判定を行う処理と、判定結果に基づいて、表示期間における注視点データを算出する処理と、注視点データに基づいて、被験者の評価データを求める処理とをコンピュータに実行させる。
本実施形態によれば、第3表示動作の開始時に被験者の注視点が複数の回答対象物のいずれかに移動または固定されることを抑制できるため、偶然性を低減することができ、被験者を精度よく評価することができる。また、表示期間における注視点の移動の経過に基づいて、被験者の評価データを求めることができるため、被験者をより高精度に評価することができる。これにより、評価装置100は、被験者の評価を高精度に行うことが可能となる。
また、本実施形態に係る評価装置100において、領域設定部216は、特定領域Aと比較領域B〜Dとを互いに重ならない位置に設定する。これにより、被験者の回答を高精度に判別可能となるため、被験者をより高精度に評価することができる。
また、本実施形態に係る評価装置100において、表示制御部202は、複数の回答対象物を誘導位置から等距離となる位置に配置する。これにより、偶然性をより低減することができ、被験者の回答を高精度に判別可能となる。
また、本実施形態に係る評価装置100において、移動経過データは、表示期間の開始時点から注視点Pが特定領域Aに最初に到達した到達時点までの時間を示す到達時間データと、注視点Pが最初に特定領域Aに到達するまでに複数の比較領域B〜Dの間で注視点Pの位置が移動する回数を示す移動回数データと、表示期間に注視点Pが特定領域Aに存在した存在時間を示す存在時間データのうち少なくとも1つのデータと、特定領域A及び比較領域B〜Dのうち表示時間において注視点Pが最後に存在していた領域を示す最終領域データとを含む。これにより、高精度の評価データを効率的に得ることができる。
また、本実施形態に係る評価装置100において、評価部224は、移動経過データに含まれる少なくとも1つのデータに重みをつけて評価データを求める。これにより、各データに優先順位をつけることにより、より高精度の評価データを得ることができる。
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
図24は、第2表示動作を行った後の動作の一例を示す図である。図24に示すように、判定部218は、注視点の位置データに基づいて、第2表示動作の後に注視点が目標位置P1を含む所定領域Qに存在するか否かを検出し、所定領域Qに存在することが検出された場合に判定を行うようにしてもよい。所定領域Qとしては、例えば、目標位置P1を含み、第3表示動作において設定される特定領域A及び比較領域B〜Dに重ならない範囲に設定することができる。
図25は、本実施形態に係る評価方法の他の例を示すフローチャートである。図25では、注視点が所定領域Qに存在することが検出された場合に判定を行う動作を示している。図25に示すように、表示制御部202は、上記実施形態と同様に、映像の再生を開始させ(ステップS101)。評価用映像部分までの待ち時間を経過した後(ステップS102)、注視点検出部214は、表示装置101に表示された映像を被験者に見せた状態で、規定のサンプリング周期(例えば20[msec])毎に、表示装置101の表示画面101Sにおける被験者の注視点の位置データを検出する(ステップS140)。位置データが検出された場合(ステップS141のNo)、判定部218は、位置データに基づいて注視点Pが存在する領域を検出する(ステップS142)。
注視点Pが所定領域Qに存在すると判定された場合(ステップS143のYes)、タイマTをリセットし(ステップS103)、カウンタのカウント値CNTAをリセットし(ステップS104)、フラグ値を0にする(ステップS105)。そして、ステップS106以降の処理を行う。また、位置データが検出されない場合(ステップS141のYes)、及び注視点Pが所定領域Qに存在しないと判定された場合(ステップS143のNo)には、映像再生を停止し(ステップS144)、ステップS101以降の処理を繰り返し行わせる。これにより、被験者の注視点Pをより確実に目標位置P1又はその周囲の所定領域Qに位置させることができる。
また、図26は、第2表示動作を行った後の動作の他の例を示す図である。図26に示すように、注視点検出部214は、注視点の位置データに基づいて、第2表示動作の後の注視点Pの位置、つまり、誘導対象物により誘導された注視点Pの位置を求めてもよい。注視点Pの位置は、例えば表示画面101Sの原点位置(例えば、図中右下の角部)を基準とするX座標(Px)とY座標(Py)とに基づいて求めることができる。注視点検出部214は、求めた注視点Pの位置を算出位置P2として設定する。
図27は、表示画面101Sに表示する回答対象物の一例を示す図である。図27に示すように、表示制御部202は、第3表示動作として、誘導位置を中心として複数の回答対象物M1〜M4を配置する。この場合、誘導位置は、第2表示動作の後に算出した算出位置P2とする。表示制御部202は、複数の回答対象物M1〜M4を誘導位置である算出位置P2から等距離となる位置に配置することができる。また、領域設定部216は、このように配置された特定対象物M1に対応した特定領域Aを設定し、比較対象物M2〜M4のそれぞれに対応した比較領域B〜Dを設定する。
図28は、本実施形態に係る評価方法の他の例を示すフローチャートである。図28では、注視点Pの位置を算出し、算出位置P2を誘導位置として回答対象物M1〜M4を配置させる動作を示している。図28に示すように、上記実施形態と同様に、表示制御部202は、映像の再生を開始させ(ステップS101)。評価用映像部分までの待ち時間を経過した後(ステップS102)、注視点検出部214は、表示装置101に表示された映像を被験者に見せた状態で、規定のサンプリング周期(例えば20[msec])毎に、表示装置101の表示画面101Sにおける被験者の注視点の位置データを検出する(ステップS140)。位置データが検出された場合(ステップS141のNo)、判定部218は、位置データに基づいて注視点Pの位置である算出位置P2を設定する(ステップS145)。判定部218により算出位置P2が設定された場合、表示制御部202は、算出位置P2を中心として複数の回答対象物M1〜M4を配置する(ステップS146)。複数の回答対象物M1〜M4が配置された場合、タイマTをリセットし(ステップS103)、カウンタのカウント値CNTAをリセットし(ステップS104)、フラグ値を0にする(ステップS105)。そして、ステップS106以降の処理を行う。また、位置データが検出されない場合(ステップS141のYes)、映像再生を停止し(ステップS144)、ステップS101以降の処理を繰り返し行わせる。これにより、第2表示動作後の被験者の注視点Pの位置に基づいて複数の回答対象物M1〜M4の位置を設定するため、第3表示動作の開始時における被験者の注視点Pが複数の回答対象物M1〜M4上に配置されることをより確実に抑制できる。
また、上記各実施形態では、評価装置100を、認知機能障害および脳機能障害である可能性を評価する評価装置として用いる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、評価装置100は、発達障がいなどの認知機能障害および脳機能障害ではない被験者を評価する評価装置として用いてもよい。
また、第1表示動作において表示画面101Sに表示する設問情報は、上記実施形態に記載の質問に対して正しい図柄や数値を注視させる設問情報に限定されない。設問情報として、例えば複数の図柄のうち所定の条件に適合する図柄の数を被験者に記憶させ、記憶させた数を用いて被験者に計算を行わせる旨の設問であってもよい。
図29から図31は、表示画面101Sに表示する設問情報の例を示す図である。図29に示すように、表示制御部202は、設問情報I5と、複数のリンゴの図柄FA1及び複数のレモンの図柄FB1とを、表示画面101Sに表示する。設問情報I5は、複数の図柄のうちリンゴの図柄FA1の個数を求めさせることで、当該個数を記憶させるための設問である。また、領域設定部216は、リンゴの図柄FA1に対応した対応領域A1を設定する。領域設定部216は、リンゴの図柄FA1の少なくとも一部を含む領域に対応領域A1を設定することができる。
表示制御部202は、上記の設問情報I5と複数のリンゴの図柄FA1及び複数のレモンの図柄FB1とを所定期間表示画面101Sに表示する。注視点検出部214は、この期間、規定のサンプリング周期(例えば20[msec])毎に、表示装置101の表示画面101Sにおける被験者の注視点の位置データを検出する。注視点Pの位置データが検出された場合、判定部218は、被験者の注視点が対応領域A1に存在するかを上記サンプリング周期毎に判定し、判定データを出力する。演算部220は、判定データに基づいて、設問情報I5で指示されるリンゴの図柄FA1に対する注視時間を示す第1注視時間データを算出する。
設問情報I5と複数のリンゴの図柄FA1及び複数のレモンの図柄FB1とを所定期間表示画面101Sに表示した後、表示制御部202は、図30に示すように、設問情報I6と、複数のバナナの図柄FA2及び複数のイチゴの図柄FB2とを、表示画面101Sに表示する。設問情報I6は、複数の図柄のうちバナナの図柄FA2の個数を求めさせることで、当該個数を記憶させるための設問である。また、領域設定部216は、バナナの図柄FA2に対応した対応領域A2を設定する。領域設定部216は、バナナの図柄FA2の少なくとも一部を含む領域に対応領域A2を設定することができる。
表示制御部202は、上記の設問情報I6と複数のバナナの図柄FA2及び複数のイチゴの図柄FB2とを所定期間表示画面101Sに表示する。注視点検出部214は、この期間、規定のサンプリング周期(例えば20[msec])毎に、表示装置101の表示画面101Sにおける被験者の注視点の位置データを検出する。注視点Pの位置データが検出された場合、判定部218は、被験者の注視点が対応領域A2に存在するかを上記サンプリング周期毎に判定し、判定データを出力する。演算部220は、判定データに基づいて、設問情報I6で指示されるバナナの図柄FA2に対する注視時間を示す第2注視時間データを算出する。
設問情報I6と複数のバナナの図柄FA2及び複数のイチゴの図柄FB2とを所定期間表示画面101Sに表示した後、表示制御部202は、図31に示すように、設問情報I7として、リンゴの数とバナナの数との差を被験者に計算させる旨の設問を表示画面101Sに表示する。
設問情報I7を所定期間表示画面101Sに表示した後、表示制御部202は、第2表示動作として、誘導対象物を表示画面101Sに表示する。図32は、表示画面101Sに表示する誘導対象物の他の例を示す図である。図32に示すように、表示制御部202は、第2表示動作において、上記設問情報I7を含む画像全体を表示画面101S内の所定の目標位置に向けて縮小させた誘導対象物E4の映像を、アイキャッチ映像として表示画面101Sに表示する。ここでは、目標位置として、表示画面101Sの中央の位置を設定しているが、これに限定されない。
表示制御部202は、第2表示動作を行った後、第3表示動作を行う。図33は、表示画面101Sに表示する回答対象物の他の例を示す図である。図33に示すように、表示制御部202は、第3表示動作として、それぞれ「1」〜「8」の数値を示す複数の回答対象物M21〜M24を表示画面101Sに表示する。表示制御部202は、複数の回答対象物M21〜M24として、設問情報I7に対して正解となる特定対象物M21と、当該特定対象物M21とは異なり、設問情報I7に対して不正解となる比較対象物M22〜M24とを表示画面101Sに表示する。
表示制御部202は、複数の回答対象物M21〜M24を互いに重ならない位置に配置する。また、表示制御部202は、誘導位置と重ならない位置に複数の回答対象物M21〜M24を配置する。例えば、表示制御部202は、誘導位置である目標位置を中心として複数の回答対象物M21〜M24を配置する。表示制御部202は、複数の回答対象物M21〜M24を誘導位置である目標位置から等距離となる位置に放射状に配置することができる。例えば、表示制御部202は、複数の回答対象物M21〜M24を、目標位置を中心とした同一円周上に等ピッチで配置することができる。
第3表示動作が行われる表示期間において、領域設定部216は、特定対象物M21に対応した特定領域Aを設定する。また、領域設定部216は、比較対象物M22〜M24のそれぞれに対応した比較領域B〜Dを設定する。この場合、領域設定部216は、特定領域Aと比較領域B〜Dとを互いに重ならない位置に設定する。
領域設定部216は、正解となる特定対象物M21が示す数値「4」を基準として、例えば1つ違いの数値「5」を示す比較対象物M22a、及び「3」を示す比較対象物M22bについては、比較領域Bとする。また、2つ違いの数値「6」を示す比較対象物M23a及び「2」を示す比較対象物M23bについては、比較領域Cとする。また、3つ以上違う数値「7」を示す比較対象物M24a、「1」を示す比較対象物M24b、及び「8」を示す比較対象物M24cについては、比較領域Dとする。
この設定では、上記実施形態と同様、評価においてデータ値D1を求める際、被験者の最終的な注視点Pが特定領域Aに存在していない場合にデータ値D1を0にするのではなく、正解に近い数値を回答した順に一定のデータ値を付与することができる。例えば、被験者の最終的な注視点Pが比較領域Bに存在している場合には0.6、被験者の最終的な注視点Pが比較領域Cに存在している場合には0.2、被験者の最終的な注視点Pが比較領域Dに存在している場合には0、というようにデータ値D1を求めるようにしてもよい。
第3表示動作において、注視点検出部214は、規定のサンプリング周期(例えば20[msec])毎に、表示装置101の表示画面101Sにおける被験者の注視点の位置データを検出する。注視点Pの位置データが検出された場合、判定部218は、被験者の注視点が特定領域A、及び複数の比較領域B〜Dに存在するかを上記サンプリング周期毎に判定し、判定データを出力する。演算部220は、判定データに基づいて、表示期間における注視点Pの移動の経過を示す移動経過データを算出する。演算部220は、移動経過データとして、存在時間データと、移動回数データと、最終領域データと、到達時間データとを算出する。
評価部224は、第1表示動作において求められた第1注視時間データ及び第2注視時間データと、第3表示動作において求められた存在時間データ、移動回数データ、最終領域データ、及び到達時間データと、を用いて評価データを求める。なお、第3表示動作において求められた存在時間データ、移動回数データ、最終領域データ、及び到達時間データに基づいて評価データを求めることについては、上記実施形態と同様である。
認知機能障害または脳機能障害である可能性がある被験者は、例えば設問情報I5および設問情報I6で指示される図柄をよく見ない傾向がある。また、認知機能障害および脳機能障害である可能性が低い被検者は、表示画面101Sに表示される設問に従い、設問情報I5及び設問情報I6で指示される図柄をよく見る傾向がある。このことから、第1表示動作において求められる第1注視時間データ及び第2注視時間データを参照することにより、設問情報で指示される図柄に対する注視時間を評価に反映させることができる。
したがって、第1注視時間データと第2注視時間データとの和をD5とすると、評価値ANSは、例えば、
ANS=D1・K1+D2・K2+D3・K3+D4・K4+D5・K5
と表すことができる。なお、D1〜D4、K1〜K4は、上記実施形態と同様である。また、K5は、重み付けのための定数であり、K1〜K4と同様、適宜設定することができる。データ値D5は、適宜上限値が設けられてもよい。また、評価部224は、上記実施形態と同様、注視点データのうち少なくとも1つのデータに基づいて、被験者の評価値を求めてもよい。
次に、本実施形態に係る評価方法の一例について、図34及び図35を参照しながら説明する。図34は、第1表示動作における処理の他の例を示すフローチャートである。まず、図34に示すように、第1表示動作において、表示制御部202は、設問情報I5とリンゴの図柄FA1及びレモンの図柄FB1とを含む評価用映像の再生を開始させる(ステップS201)。評価用映像開始までの待ち時間を経過した後、タイマT1をリセットし(ステップS202)、カウンタのカウント値CNTA1をリセットする(ステップS203)。タイマT1は、設問情報I5とリンゴの図柄FA1及びレモンの図柄FB1とを含む評価用映像が終了するタイミングを得るためのタイマである。カウンタCNTA1は、第1注視時間データを示すカウント値CNTA1を計測するためのものである。タイマT1及びカウンタCNTA1は、例えば演算部220に設けられる。
注視点検出部214は、表示装置101に表示された映像を被験者に見せた状態で、規定のサンプリング周期(例えば20[msec])毎に、表示装置101の表示画面101Sにおける被験者の注視点の位置データを検出する(ステップS204)。位置データが検出されなかった場合(ステップS205のYes)、後述するステップS209以降の処理を行う。位置データが検出された場合(ステップS205のNo)、判定部218は、位置データに基づいて注視点Pが存在する領域を判定する(ステップS206)。
注視点Pが対応領域A1に存在すると判定された場合(ステップS207のYes)、演算部220は、対応領域A1での第1注視時間データを示すカウント値CNTA1を+1とする(ステップS208)。その後、演算部220は、後述するステップS209以降の処理を行う。注視点Pが対応領域A1に存在しないと判定された場合(ステップS207のNo)、後述するステップS209以降の処理を行う。
その後、演算部220は、タイマT1の検出結果に基づいて、映像の再生が完了する時刻に到達したか否かを判断する(ステップS209)。演算部220により映像の再生が完了する時刻に到達していないと判断された場合(ステップS209のNo)、上記のステップS204以降の処理を繰り返し行う。
演算部220により映像の再生が完了する時刻に到達したと判断された場合(ステップS209のYes)、表示制御部202は、映像の再生を停止させる(ステップS210)。映像の再生が停止された後、設問情報I6等の表示動作を行う。
図35は、第1表示動作及び第2表示動作における処理の他の例を示すフローチャートである。図35に示すように、表示制御部202は、まず、設問情報I6とバナナの図柄FA2及びイチゴの図柄FB2とを含む評価用映像の再生を開始させる(ステップS301)。評価用映像開始までの待ち時間を経過した後、タイマT2をリセットし(ステップS302)、カウンタのカウント値CNTA2をリセットする(ステップS303)。タイマT2は、設問情報I6とバナナの図柄FA2及びイチゴの図柄FB2とを含む評価用映像が終了するタイミングを得るためのタイマである。カウンタCNTA2は、第2注視時間データを示すカウント値CNTA2を計測するためのものである。タイマT2及びカウンタCNTA2は、例えば演算部220に設けられる。
注視点検出部214は、設問情報I5等の表示動作と同様に被験者の注視点の位置データを検出し(ステップS304)、位置データが検出されなかった場合(ステップS305のYes)、後述するステップS309以降の処理を行う。位置データが検出された場合(ステップS305のNo)、判定部218は、位置データに基づいて注視点Pが存在する領域を判定する(ステップS306)。
注視点Pが対応領域A2に存在すると判定された場合(ステップS307のYes)、演算部220は、対応領域A2での第2注視時間データを示すカウント値CNTA2を+1とする(ステップS308)。その後、演算部220は、後述するステップS309以降の処理を行う。注視点Pが対応領域A2に存在しないと判定された場合(ステップS307のNo)、後述するステップS309以降の処理を行う。
その後、演算部220は、タイマT2の検出結果に基づいて、映像の再生が完了する時刻に到達したか否かを判断する(ステップS309)。演算部220により映像の再生が完了する時刻に到達していないと判断された場合(ステップS309のNo)、上記のステップS304以降の処理を繰り返し行う。
演算部220により設問情報I6等を含む評価用映像の再生が完了する時刻に到達したと判断された場合(ステップS309のYes)、表示制御部202は、評価用映像のうち設問情報I7を含む部分を表示画面101Sに表示する。設問情報I7を所定時間表示した後、表示制御部202は、誘導対象物E4の映像をアイキャッチ映像として表示することで第2表示動作を行う(ステップS310)。誘導対象物E4の映像を表示した後、表示制御部202は、映像の再生を停止させる(ステップS311)。
ステップS311の後、表示制御部202は、複数の回答対象物M21〜M24を含む評価用映像を表示画面101Sに表示させることで第3表示動作を行う。第3表示動作を行った後、評価部224は、評価データを求める。その後、出力制御部226は、評価データを出力する。この第3表示動作における処理、評価データを求める処理及び評価データを出力する処理については、上記実施形態におけるステップS101〜ステップS133(図23参照)と同様である。
このように、表示制御部202が、第1表示動作において複数の図柄を表示すると共に、複数の図柄のうち所定の条件に適合する図柄の数を被験者に記憶させる第1の設問情報を表示し、第1の設問情報に基づいて記憶させた図柄の数を用いて被験者に計算させる第2の設問情報を表示する構成とすることで、より客観的で正確な評価を短時間に得ることが可能となり、健常者が間違えた場合の影響を軽減することができる。
図36及び図37は、表示画面101Sに表示する設問情報の他の例を示す図である。図36に示すように、表示制御部202は、指示情報I8と、複数のリンゴが入った袋の図柄(リンゴの図柄を図柄GA1とし、袋の図柄を図柄GA2とする)及び複数のミカンの図柄GB1とを、表示画面101Sに表示する。指示情報I8は、袋に入った複数のリンゴの図柄GA1の個数を求めさせることで、1つの袋あたりのリンゴの個数を記憶させるための指示である。また、領域設定部216は、リンゴの図柄GA1に対応した対応領域A1を設定する。領域設定部216は、リンゴの図柄GA1の少なくとも一部を含む領域に対応領域A1を設定することができる。図36では、2つのリンゴの図柄GA1を含む矩形の領域として対応領域A1が設定されているが、これに限定されず、1つずつのリンゴの図柄GA1に対応領域A1が設定されてもよい。
表示制御部202は、上記の指示情報I8と複数のリンゴの図柄GA1、袋の図柄GA2及び複数のミカンの図柄GB1とを所定期間表示画面101Sに表示する。注視点検出部214は、この期間、規定のサンプリング周期(例えば20[msec])毎に、表示装置101の表示画面101Sにおける被験者の注視点の位置データを検出する。注視点Pの位置データが検出された場合、判定部218は、被験者の注視点が対応領域A1に存在するかを上記サンプリング周期毎に判定し、判定データを出力する。演算部220は、判定データに基づいて、指示情報I8で指示されるリンゴの図柄GA1に対する注視時間を示す第1注視時間データを算出する。
指示情報I8と複数のリンゴの図柄GA1、袋の図柄GA2及び複数のミカンの図柄GB1とを所定期間表示画面101Sに表示した後、表示制御部202は、図37に示すように、設問情報I9と、複数の袋の図柄GA2及び複数のミカンの図柄GB2とを、表示画面101Sに表示する。設問情報I9は、袋の図柄GA2の個数に基づいて、当該袋に入っているリンゴの図柄GA1(図36参照)の個数を計算させる旨の設問である。具体的には、被験者が記憶した数値を用いて掛け算を行わせるための設問である。また、領域設定部216は、袋の図柄GA2に対応した対応領域A2を設定する。領域設定部216は、袋の図柄GA2の少なくとも一部を含む領域に対応領域A2を設定することができる。
表示制御部202は、上記の設問情報I9と複数の袋の図柄GA2及び複数のミカンの図柄GB2とを所定期間表示画面101Sに表示する。注視点検出部214は、この期間、規定のサンプリング周期(例えば20[msec])毎に、表示装置101の表示画面101Sにおける被験者の注視点の位置データを検出する。注視点Pの位置データが検出された場合、判定部218は、被験者の注視点が対応領域A2に存在するかを上記サンプリング周期毎に判定し、判定データを出力する。演算部220は、判定データに基づいて、設問情報I9で指示される袋の図柄GA2に対する注視時間を示す第2注視時間データを算出する。
設問情報I9と複数の袋の図柄GA2及び複数のミカンの図柄GB2とを所定期間表示画面101Sに表示した後、表示制御部202は、第2表示動作として、誘導対象物を表示画面101Sに表示する。図38は、表示画面101Sに表示する誘導対象物の他の例を示す図である。図38に示すように、表示制御部202は、第2表示動作において、上記設問情報I9、複数の袋の図柄GA2及び複数のミカンの図柄GB2を含む画像全体を表示画面101S内の所定の目標位置に向けて縮小させた誘導対象物E5の映像を、アイキャッチ映像として表示画面101Sに表示する。ここでは、目標位置として、表示画面101Sの中央の位置を設定しているが、これに限定されない。表示制御部202は、第2表示動作を行った後、第3表示動作を行う。第3表示動作以降の処理は、上記説明と同様である。
図39から図41は、表示画面101Sに表示する設問情報の他の例を示す図である。図39に示すように、表示制御部202は、設問情報I10と、複数のヤカンの図柄HA1及び複数の生き物(魚、カエル、イカ)の図柄HB1とを、表示画面101Sに表示する。設問情報I10は、複数の図柄のうちヤカンの図柄HA1の個数を求めさせることで、当該個数を記憶させるための設問である。この例では、上記各例に比べて、表示される図柄の種類が多いため、難易度が高くなっている。このような難易度が高い設問は、認知機能障害および脳機能障害のリスクが比較的低い被検者の評価に対応した設問となるため、例えば認知機能障害および脳機能障害の早期の発見等に有効である。また、領域設定部216は、ヤカンの図柄HA1に対応した対応領域A1を設定する。領域設定部216は、ヤカンの図柄HA1の少なくとも一部を含む領域に対応領域A1を設定することができる。
表示制御部202は、上記の設問情報I10と複数のヤカンの図柄HA1及び複数の生き物の図柄HB1とを所定期間表示画面101Sに表示する。注視点検出部214は、この期間、規定のサンプリング周期(例えば20[msec])毎に、表示装置101の表示画面101Sにおける被験者の注視点の位置データを検出する。注視点Pの位置データが検出された場合、判定部218は、被験者の注視点が対応領域A1に存在するかを上記サンプリング周期毎に判定し、判定データを出力する。演算部220は、判定データに基づいて、設問情報I10で指示されるヤカンの図柄HA1に対する注視時間を示す第1注視時間データを算出する。
設問情報I10と複数のヤカンの図柄HA1及び複数の生き物の図柄HB1とを所定期間表示画面101Sに表示した後、表示制御部202は、図40に示すように、設問情報I11と、複数のカップの図柄HA2及び複数の生き物(魚、カエル)の図柄HB2とを、表示画面101Sに表示する。設問情報I11は、複数の図柄のうちカップの図柄HA2の個数を求めさせることで、当該個数を記憶させるための設問である。また、領域設定部216は、カップの図柄HA2に対応した対応領域A2を設定する。領域設定部216は、カップの図柄HA2の少なくとも一部を含む領域に対応領域A2を設定することができる。
表示制御部202は、上記の設問情報I11と複数のカップの図柄HA2及び複数の生き物の図柄HB2とを所定期間表示画面101Sに表示する。注視点検出部214は、この期間、規定のサンプリング周期(例えば20[msec])毎に、表示装置101の表示画面101Sにおける被験者の注視点の位置データを検出する。注視点Pの位置データが検出された場合、判定部218は、被験者の注視点が対応領域A2に存在するかを上記サンプリング周期毎に判定し、判定データを出力する。演算部220は、判定データに基づいて、設問情報I11で指示されるカップの図柄HA2に対する注視時間を示す第2注視時間データを算出する。
設問情報I11と複数のカップの図柄HA2及び複数の生き物の図柄HB2とを所定期間表示画面101Sに表示する。その後、表示制御部202は、図41に示すように、設問情報I12として、カップの図柄HA2の数とヤカンの図柄HA1の数との差を被験者に計算させる旨の設問を表示画面101Sに表示する。この例では、時間的に後に表示されたカップの図柄HA2の数から、時間的に先に表示されたヤカンの図柄HA1の数を引いた値を計算させることになる。そのため、時間的に先に表示された図柄の数から後に表示された図柄の数を引いた数を計算させる場合に比べて、難易度が高くなる。
設問情報I12を所定期間表示画面101Sに表示した後、表示制御部202は、第2表示動作として、誘導対象物を表示画面101Sに表示する。図42は、表示画面101Sに表示する誘導対象物の他の例を示す図である。図42に示すように、表示制御部202は、第2表示動作において、上記設問情報I12を含む画像全体を表示画面101S内の所定の目標位置に向けて縮小させた誘導対象物E6の映像を、アイキャッチ映像として表示画面101Sに表示する。ここでは、目標位置として、表示画面101Sの中央の位置を設定しているが、これに限定されない。表示制御部202は、第2表示動作を行った後、第3表示動作を行う。第3表示動作以降の処理は、上記説明と同様である。