JP2020024779A - 二次電池用電極、二次電池、それらの製造方法 - Google Patents

二次電池用電極、二次電池、それらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電池の安全性を向上させる。【解決手段】電極活物質、電極イオン伝導材、および多孔体を含み、電極イオン伝導材が多孔体で保持され、多孔体は、三次元網目構造を有し、多孔体の平均空孔径は1nm以上100nm以下である二次電池用電極、または、電極活物質、多孔体の原料となる前駆体、および電極イオン伝導材を混合して混合物を作製する工程と、混合物を加熱して、二次電池用電極内で多孔体および電極イオン伝導材の混合物である電極電解質を作製する工程と、を含む二次電池用電極の製造方法。【選択図】図4

Description

本発明は、二次電池用電極、二次電池、それらの製造方法に関する。
電極の導電性を向上させるために電極にイオン液体を含有させるとして、特許文献1には、リチウム複酸化物を含み、複数の空隙を有する活物質成形体を形成する工程(S1)と、前記複数の空隙に固体電解質を形成する工程(S2)と、リチウムイオンを伝導する電解液を含浸させたポリマーゲルフィルムを、前記固体電解質が形成された前記活物質成形体に貼り付ける工程(S3)とを含む技術が開示されている。また、特許文献2には、平均粒径がDaである電極材粒子と平均粒径がDbである固体粒子とイオン液体とを液体媒体に分散させて分散液を得る工程、分散液を支持体上に塗布して分散液膜を形成する工程、分散液膜から液体媒体を除去して支持体上に電極膜を形成する工程、支持体を除去して電極膜を単離する工程を含むことを特徴とする方法が開示されている。
特開2015−153452号公報 特開2009−231829号公報
特許文献1では、支持体(基材)に電解液(イオン液体およびリチウム塩を含む)およびモノマーを含む前駆体溶液を活物質成形体の空隙に浸み込ませているが、活物質材料の平均粒径(D50)が300nm以上5μm以下であるために、当該活物質材料によるイオン液体の保持能力は不十分であり、電池としての安全性が低下する可能性がある。また、特許文献2では、単に電極材粒子、固体粒子、イオン液体を液体媒体に分散させた分散液に基づき電極を作製しているため、粒子が電極内の空隙に均一に配置せず、固体粒子によるイオン液体の保持能力は不十分であり、電池としての安全性が低下する可能性がある。
本発明は、電池の安全性を向上させることを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の特徴は、例えば以下の通りである。
電極活物質、電極イオン伝導材、および多孔体を含み、電極イオン伝導材が多孔体で保持され、多孔体は、三次元網目構造を有し、多孔体の平均空孔径は1nm以上100nm以下である二次電池用電極。
電極活物質、電極イオン伝導材、および多孔体を含み、電極イオン伝導材が多孔体で保持され、多孔体は、三次元網目構造を有し、多孔体の平均空孔径は1nm以上100nm以下である二次電池用電極の製造方法であって、電極活物質、多孔体の原料となる前駆体、および電極イオン伝導材を混合して混合物を作製する工程と、混合物を加熱して、二次電池用電極内で多孔体および電極イオン伝導材の混合物である電極電解質を作製する工程と、を含む二次電池用電極の製造方法。
本発明により、電池の安全性を向上できる。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の一実施形態に係る二次電池の断面図である。 本発明の一実施形態に係る二次電池の断面図である。 本発明の一実施形態に係る二次電池の要部の断面図である。 本発明の一実施形態に係る二次電池の正極電解質の断面図である。 電解質中のSiOの細孔分曲線を示す図である。 実施例および比較例の評価結果である。
以下、図面等を用いて、本発明の実施形態について説明する。以下の説明は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。また、本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
本明細書では、二次電池としてリチウムイオン二次電池を例にして説明するが、本発明の技術的思想は、リチウムイオン二次電池の他、ナトリウムイオン二次電池、マグネシウムイオン二次電池、アルミニウムイオン二次電池などに対しても適用することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る二次電池(全固体二次電池)の断面図である。図1に示すように、二次電池100は、正極70、負極80、電池ケース30及び電解質層50を有する。電池ケース30は、電解質層50、正極70、負極80、を収容する。電池ケース30の材料としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等、非水電解質に対し耐食性のある材料から選択することができる。
二次電池100内で正極70、電解質層50、負極80で構成される電極体が積層されている。正極70は、正極集電体10及び正極合剤層40を有する。正極集電体10の両面に正極合剤層40が形成されている。負極80は、負極集電体20及び負極合剤層60を有する。負極集電体20の両面に負極合剤層60が形成されている。正極集電体10および負極集電体20は電池ケース30の外部に突出しており、突出した複数の正極集電体10同士、複数の負極集電体20同士が、例えば超音波接合などで接合されることで、二次電池100内で並列接続が形成される。
正極合剤層40、電解質層50、負極合剤層60、インターコネクタ90、が積層されて二次電池100内で直列接続が構成されたバイポーラ型の二次電池としてもよい。図2は、本発明の一実施形態に係る二次電池の断面図である。
図2の二次電池100は、正極合剤層40、負極合剤層60、及び電解質層50を複数層含む。図中のバイポーラ型二次電池200のうち最外の正極合剤層40および負極合剤層60は、正極集電体10および負極集電体20と接続される。また、電池ケース30内で隣り合う正極合剤層40および負極合剤層60の間には集電体としてのインターコネクタ90が配置される。隣り合う負極80と正極70の間に配置される集電材料であるインターコネクタ90には、電子伝導性が高いこと、イオン伝導性がないこと、負極合剤層60と正極合剤層40に接触する面がそれぞれの電位によって酸化還元反応を示さないこと、などが挙げられる。インターコネクタ90に用いることにできる材料としては、以下の正極集電体10および負極集電体20に用いることのできる材料を含む。具体的には、アルミニウム箔やSUS箔を挙げることができる。または、正極集電体10と負極集電体20とをクラッド成型および電子伝導性スラリーで貼り合わせることもできる。
図3は、本発明の一実施形態に係る二次電池の要部の断面図である。正極合剤層40は、正極活物質42、正極導電剤43、正極電解質44、それらを結着するための正極バインダ、を有している。負極合剤層60は、負極活物質62、負極導電剤63、負極電解質64、それらを結着するための負極バインダ、を有している。電解質層50は、電解質バインダ53および電解質55を有する。電解質55は、無機粒子51および電解質イオン導電材52を有する。正極導電剤43または負極導電剤63を電極導電剤、正極バインダまたは負極バインダを電極バインダと称する場合がある。正極電解質44または負極電解質64を電極電解質と称する場合がある。
<電極バインダ>
正極バインダとしては、スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロ−ス、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(ビニリデンフルオリド−co−ヘキサフルオロプロピレン)共重合体(PVdF−HFP)及びこれらの混合物等が挙げられるが、これに限られない。
<電極導電剤>
正極合剤層40または負極合剤層60の導電性向上を意図した電極導電剤としては、導電性繊維(例えば、気相成長炭素、カーボンナノチューブ、ピッチ(石油、石炭、コールタールなどの副生成物)を原料に高温で炭化して製造した繊維、アクリル繊維から製造した炭素繊維など)が好適に用いられる。また、正極導電剤43は、正極活物質よりも電気抵抗率の低い材料であって、正極の充放電電位(通常、2.5〜4.5V)にて酸化溶解しない材料を使用してもよい。例えば、耐食性金属(チタンや金など)、炭化物(SiCやWCなど)、窒化物(Si3N4やBNなど)が挙げられる。高比表面積の炭素材料(例えば、カーボンブラックや活性炭など)も使用できるが、これに限られない。
<正極活物質42>
正極活物質42の材料として、例えば、遷移金属を含むリチウム複合酸化物が好ましく、具体例としては、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiMnO、LiMn、LiMnO、LiMn12、LiMnMO(M=Fe,Co,Ni,Cu,Zn)、Li1−xMn(M=Mg,B,Al,Fe,Co,Ni,Cr,Zn,Ca、x=0.01〜0.1)、LiMn2−x(M=Co,Ni,Fe,Cr,Zn,Ta、x=0.01〜0.2)、LiCo1−x(M=Ni,Fe,Mn、x=0.01〜0.2)、LiNi1−x(M=Mn,Fe,Co,Al,Ga,Ca,Mg、x=0.01〜0.2)、LiNi1−x−yMnCo(x=0.1〜0.8、y=0.1〜0.8、x+y=0.1〜0.9)、LiFeO、LiFePO、LiMnPOなどが挙げられるが、これに限られない。また、正極活物質42の表面には、正極電解質44との間での副反応を抑制するための保護皮膜を形成していてもよい。正極活物質42に適用可能な保護皮膜としてはカーボンなどの導電性材料の他、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タングステン、酸化モリブデンなどの酸化物皮膜やリチウム伝導性を示すチタン酸リチウム、ニオブ酸リチウム、また、NASICON型酸化物、LISICON型酸化物、ガーネット型酸化物等の酸化物系固体電解質を適用することができる。これにより、例えばSiO形成時に使用するギ酸で損傷を防げる。
<正極電解質44>
正極電解質44には、リチウム伝導性が高く、かつ、安全な材料であることが望まれる。図4は、本発明の一実施形態に係る二次電池の正極電解質の断面図である。
図4のように、本発明の一実施形態に係る正極電解質44は多孔体45とこれに保持された電極イオン伝導材46を有する。多孔体45は三次元網目構造を有している。電極イオン伝導材46内をリチウムイオンが伝導することで電池の充放電が進行する。
電極イオン伝導材46が電池使用時に流動し正極70の外に流出すると、イオン伝導経路の欠損となるだけでなく、漏れ出た電極イオン伝導材46が電池事故の要因となる場合がある。対して、図4のように、正極活物質42や正極導電剤43の間に生じる空隙部に酸化物からなる多孔体45を充填し、その孔内に電極イオン伝導材46を包含した構成とすることで電極イオン伝導材46の漏液を防ぐことができる。また、図4の正極電解質44をバイポーラ型二次電池に適用した場合、正極電解質44が漏液した際の内部短絡を防止できる。
多孔体45は酸化物およびその表面がOHやHなどの官能基で修飾された誘導体である。酸化物の具体例としては、SiO、TiO、CeO、ZrO、Alなどのいずれか一種以上を挙げることができる。これら材料は電極イオン伝導材46を吸着し、非流動化することで、作製した電極を固体状に保つことができる。
これら酸化物自体にはLi伝導性はないが、広く検討されているLi含有のイオン伝導性酸化物を適用することができる。例えば、ペロブスカイト型酸化物、NASICON型酸化物、LISICON型酸化物、ガーネット型酸化物等の酸化物系固体電解質や、硫化物系固体電解質、βアルミナ等が挙げられる。ペロブスカイト型酸化物としては、例えば、LiaLa1−aTiO等のように表されるLi−La−Ti系ペロブスカイト型酸化物、LibLa−bTaO等のように表されるLi−La−Ta系ペロブスカイト型酸化物、LicLa−cNbO等のように表されるLi−La−Nb系ペロブスカイト型酸化物等が挙げられる(前記式中、0<a<1、0<b<1、0<c<1である)。NASICON型酸化物としては、例えば、Li+lAllTi−l(PO(以下LATP)等の結晶を主晶とするLi(前記式中、Xは、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、Sb及びSeからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、Yは、Ti、Zr、Ge、In、Ga、Sn及びAlからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、0≦l≦1であり、m、n、o、p及びqは任意の正数である)で表される酸化物等が挙げられる。LISICON型酸化物としては、例えば、LiXO−LiYO(前記式中、Xは、Si、Ge、及びTiから選択される少なくとも1種の元素であり、Yは、P、As及びVから選択される少なくとも1種の元素である)で表される酸化物等が挙げられる。ガーネット型酸化物としては、例えば、LiLaZr12等のLi−La−Zr系酸化物等が挙げられる。
多孔体45は、三次元的に貫通した網目状空隙を有することが望ましい。電極イオン伝導材46が含まれる空間が網目状となっていることで、正極電解質44内のイオン伝導方向が三次元となり、また、二次電池の振動や外部からの圧力によって電極イオン伝導材46の漏液を防ぐことができる。
多孔体45内の空孔径は広く分布しているが、その平均値である平均空孔系が1nm以上100nm以下であることが望ましい。これよりも小さいことで電極イオン伝導材46の保持能力が向上する。平均空孔径が100nm以下の微細な穴の中に保持された電極イオン伝導材46が電極外に漏洩することが少なくなり、漏液成分の化学的反応などによる電池の発熱、発火を防ぐことができる。
多孔体45内の空孔径として、望ましくは1nm以上50nm以下であり、さらに5nm以上20nm以下であることが望ましい。これら範囲よりも小さいとイオン伝導経路が遮断されやすくなり、大きくなると電池内のイオン伝導の流れに偏りが生じやすくなり、結果として電池性能が低下する恐れがある。この平均空孔径は既存の水銀圧入法やガス吸着法(BET法)などの細孔分布計測技術により評価することができる。
電極イオン伝導材46は常温溶融塩(イオン液体)とも呼ばれ、室温で液体となるカチオンとアニオンの集合体である。常温溶融塩としては、電解質として機能する公知のイオン液体を利用可能であるが、イオン伝導性(導電性)の観点から、特にN,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(DEME−TFSI)やN−メチル−N−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(PP13−TFSI)を好ましく用いることができる。
電極イオン伝導材46にリチウムイオン伝導性を付与するため、上記に代表される液体にリチウム塩を溶解させる必要がある。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、リチウムビスオキサレートボラート(LiBOB)、およびリチウムイミド塩(例えば、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、LiFSI)等を好ましく用いることができる。これらのリチウム塩を単独または複数組み合わせて使用してもよい。
また、電極イオン伝導材46として、グライム類(R−O(CHCHO)n−R’(R、R’は飽和炭化水素、nは整数)で表される対称グリコールジエーテルの総称)とリチウム塩からなる錯体を利用することができる。電極イオン伝導材46に類似の性質を示す公知のグライム類を利用可能であるが、イオン伝導性(導電性)の観点から、テトラグライム(テトラエチレンジメチルグリコール、G4)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル、G3)、ペンタグライム(ペンタエチレングリコールジメチルエーテル、G5)、ヘキサグライム(ヘキサエチレングリコールジメチルエーテル、G6)を好ましく用いることができる。
正極電解質44を正極70の中に形成させる手法としては特に限定されないが、一例として、ゾルゲル法を活用した手法を挙げることができる。多孔体45の原料となる液体上の前駆体と電極イオン伝導材46を混合し、前駆体の反応触媒となる酸およびアルカリを加え、適切な温度に加熱することで、電極イオン伝導材46と多孔体45の前駆体がミクロに相分離した状態でゾルゲル反応が進行し、多孔体45と電極イオン伝導材46の混合物を得ることができる。
作製した正極電解質44は非常に柔らかく加圧によって変形するため、電極材料と混合し加圧することで、図3の構造の電極を得ることができる。具体的には、この電解質を正極活物質42や正極導電剤43、正極バインダらと混合し、シート状に塗布、乾燥、加圧することで正極活物質42間の空隙に正極電解質44が充填した正極70を得ることができる。あるいは、正極活物質42や正極導電剤43、正極バインダとともに、多孔体45の前駆体と電極イオン伝導材46を混合したものをシート形成し、その後加熱によって正極70内でゾルゲル反応を進行させることで図3の正極70を得ることもできる。換言すれば、正極活物質42、多孔体45の原料となる前駆体、電極イオン伝導材46を混合して混合物を作製する工程と、混合物を加熱して、二次電池用電極内で多孔体45および電極イオン伝導材46の混合物である電極電解質を作製する工程と、により正極70を得る。これにより、電極の作製プロセスが簡素化される。
多孔体45がSiOの場合の前駆体としてはオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を挙げることができる。たとえばTEOSと電極イオン伝導材46をギ酸などの酸触媒の共存化で反応させることでSiOからなる多孔体45の中に電極イオン伝導材46が保持された構造物を得ることができる。そのほか、チタンエトキシドなどの金属有機アルコキシ化合物を用い、加熱処理することで様々な材料からなる多孔体45を得ることができる。
正極電解質44内の多孔体45と電極イオン伝導材46の比率について特に限定されるものではないが、全体(多孔体45と電極イオン伝導材46)に対する電極イオン伝導材46の体積分率として10%以上90%以下で用いることができる。望ましくは50%以上85%以下、さらに望ましくは40%以上80%以下とするとよい。電極イオン伝導材46の比率が低いとイオン伝導性が低く、比率が高いと多孔体45が形成されにくくなり、電極イオン伝導材46の漏液の原因となる。
正極電解質44単体のイオン伝導度としては、10−6S/cm以上であれば正極70内のイオン伝導体として機能するが、伝導度が高まると高速での充電、放電が可能となるため望ましい。望ましい伝導度としては10−4S/cm以上、さらに望ましくは10−3S/cmである。
<正極集電体10>
正極集電体10として、二次電池製造プロセス中の加熱や二次電池の運転温度に耐えられる耐熱性を有する低抵抗導電体であることが望ましいが、これに限られない。例えば、金属箔(厚さ10μm以上100μm以下)、穿孔金属箔(厚さ10μm以上100μm以下、孔径0.1mm以上10mm以下)、エキスパンドメタル、発泡金属板、ガラス状炭素板などが挙げられる。また、金属種としては、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、貴金属(例えば、金、銀、白金)などを用いることができる。これら金属箔上に密着性および耐食性向上を狙いとしたカーボン、ポリマー被覆を施したものを使用してもよい。特に正極電解質44の前駆体の反応触媒として酸性材料を用いる場合、被覆を施すことで集電箔からの金属溶出を抑制でき、望ましい。
<正極70>
正極活物質42、正極導電剤43、正極電解質44、正極バインダ、及び有機溶媒を混合した正極スラリーを、ドクターブレード法、ディッピング法、又はスプレー法等によって正極集電体10へ付着させた後、有機溶媒を乾燥させ、ロールプレスによって加圧成形することにより、正極70を作製することができる。また、塗布から乾燥までを複数回行うことにより、複数の正極合剤層40を正極集電体10に積層化させることも可能である。正極活物質と活物質内には正極電解質44が含まれ、正極内のリチウムイオンの伝導経路として機能する。
<負極活物質62>
負極活物質62の材料として、例えば、炭素系材料(例えば、黒鉛、易黒鉛化炭素材料、非晶質炭素材料)、導電性高分子材料(例えば、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリアセチレン)、リチウム複合酸化物(例えば、チタン酸リチウム:LiTi12)、金属リチウム、リチウムと合金化する金属(例えば、アルミニウム、シリコン、スズ)を用いることができるが、これに限られない。
<負極電解質64>
負極電解質64として、正極電解質44と同様のものを用いることができる。この際、正極電解質44と負極電解質64の構成材料や比率、製造方法が同一でもよいし、異なっていてもよい。
<負極集電体20>
負極集電体20も、正極集電体10と同様に、二次電池製造プロセス中の加熱や二次電池の運転温度に耐えられる耐熱性を有する低抵抗導電体であることが望ましいが、これに限られない。例えば、金属箔(厚さ10μm以上100μm以下)、穿孔金属箔(厚さ10μm以上100μm以下、孔径0.1mm以上10mm以下)、エキスパンドメタル、発泡金属板、ガラス状炭素板などが挙げられる。また、金属種としては、銅、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、貴金属(例えば、金、銀、白金)などを用いることができる。
<負極80>
負極活物質62、負極導電剤63、負極電解質64、水を微量含んだ有機溶媒を混合した負極スラリーを、ドクターブレード法、ディッピング法、スプレー法等によって負極集電体20およびインターコネクタの負極面へ付着させた後、有機溶媒を乾燥させ、ロールプレスによって加圧成形することにより、負極を作製することができる。また、塗布から乾燥までを複数回行うことにより、複数の負極合剤層60を負極集電体20およびインターコネクタに積層化させることも可能である。負極活物質と活物質内には負極電解質64含まれ、負極内のリチウムイオンの伝導経路として機能する。
<電解質層50>
電解質層50は、電解質バインダ53および電解質55を有する。電解質55の作製方法として、電解質55の粉末を成型ダイス等を用いてペレット状に圧縮成型する方法や、電解質バインダ53を電解質55の粉末に添加・混合し、シート化する方法などがある。電解質55に電解質バインダ53の粉末を添加・混合することにより、柔軟性の高いシート状の電解質層50を作製できる。または、電解質55に、分散溶媒に電解質バインダ53を溶解させた結着剤の溶液を添加・混合し、分散溶媒を留去することで、電解質層50を作製できる。
<電解質55>
電解質55は、無機粒子51および電解質イオン導電材52を有する。電解質イオン導電材52が無機粒子51に担持されることにより電解質55が構成される。電解質55の作製方法としては例えば以下の方法が挙げられる。電解質イオン導電材52と無機粒子51とを特定の体積分率で混合し、メタノール等の有機溶媒を添加し・混合して、電解質55のスラリーを調合する。その後、該スラリーをシャーレに広げ、有機溶媒を留去して電解質55の粉末が得られる。
<無機粒子51>
無機粒子51としては、電気化学的安定性の観点から、絶縁性粒子でありイオン液体やグライム類等の有機溶媒に不溶であることが好ましい。例えば、シリカ(SiO)粒子、γ−アルミナ(Al)粒子、セリア(CeO)粒子、ジルコニア(ZrO)粒子を好ましく用いることができる。また、他の公知の金属酸化物粒子を用いてもよい。
有機溶媒の保持量は無機粒子51の比表面積に比例すると考えられるため、無機粒子51の一次粒子の平均粒径は、1nm以上10μm以下が好ましい。該範囲よりも平均粒径が大きいと、無機粒子51が十分な量の有機溶媒を適切に保持できず電解質55の形成が困難になる可能性がある。また、該範囲よりも平均粒径が小さいと、粒子間の表面間力が大きくなって粒子同士が凝集し易くなって、電解質55の形成が困難になる可能性がある。無機粒子51の一次粒子の平均粒径は、1nm以上50nm以下がより好ましく、1nm以上10nm以下が更に好ましい。なお、無機粒子51の平均粒径とは、レーザー散乱法を利用した公知の粒径分布測定装置を用いて測定することができる平均粒径である。
無機粒子51としてSiO粒子(平均粒径:7nm、ゼータ電位:約−20mV)を用いると、高耐熱性の電解質55が得られる。
無機粒子51としてγ−Al粒子(平均粒径:5nm、ゼータ電位:約−5mV)を用いると、二次電池の充放電回数を延ばすことが可能となる。正確な理由は未解明であるが、耐還元性の高いアルミナ粒子を用いることで充放電サイクル中の負極側でのリチウムデンドライト析出を抑制できるためと考えられる。
無機粒子51としてCeO粒子(ゼータ電位:約30mV)やZrO粒子(ゼータ電位:約40mV)を用いると、高イオン伝導性の電解質層50が得られる。無機粒子51としてCeO粒子(ゼータ電位:約30mV)やZrO粒子(ゼータ電位:約40mV)を用いると、高イオン伝導性の電解質55が得られる。無機粒子51としてゼータ電位が高い粒子を用いる場合、無機粒子51表面への有機溶媒分子の吸着が弱まり、有機溶媒分子が比較的自由に熱運動できるようになると考えられる。その結果、有機溶媒分子からリチウムイオンが移動し易くなり、リチウムイオン伝導が促進されたためと考えられる。
<電解質イオン導電材52>
電解質イオン導電材52は、電極イオン伝導材46と同様のものを用いることができる。この際、電解質イオン導電材52と電極イオン伝導材46の構成材料や比率、製造方法が同一でもよいし、異なっていてもよい。
<電解質バインダ53>
電解質バインダ53は、フッ素系の樹脂が好適に用いられる。フッ素系の樹脂としては、PVDFやPTFEが好適に用いられる。PVDFやPTFEを用いることで、電解質層50と電極集電体の密着性が向上するため、電池性能が向上する。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
LiTFSIとテトラグライム(G4)を物質量比で1:1となるようにとりわけ、ガラス瓶内でマグネティックスターラを用いて撹拌、溶解させ、電極イオン伝導材46を得た。SiO(多孔体45)の前駆体としてオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)と上記で得られた電極イオン伝導材46を混合した。この際、TEOSに対する電極イオン伝導材46の物質量比を2となるようにした。ここへTEOSのゾルゲル反応開始剤としてギ酸を少量添加した。これら混合物を大気中で30分間撹拌した。
撹拌物をシャーレにキャストし、大気中で6時間、60℃加熱処理を施したのち、真空乾燥機に入れ、真空中で3日間、110℃で加熱し、ゾルゲル反応を進行させた。反応物中にはギ酸はなく、反応物中のSiOと電極イオン伝導材46の体積分率はおよそ2であることを確認した。得られた反応物は透明のフィルム状態であり、これを乳鉢で粉砕したものを正極電解質44として得た。正極電解質44内の組成は電極イオン伝導材46が76体積パーセントであった。
上記で得られた正極電解質44、正極活物質42としてLiNi0.33Mn0.33Co0.33、正極導電剤43としてカーボンブラックを混合し、正極バインダとしてPVdFバインダ溶液(溶剤N−メチル−2ピロリドン)を添加することで正極スラリーを得た。この際、正極活物質42、正極導電剤43、正極電解質44、正極バインダの重量比を70:7:14:9とした。
上記で得られた正極スラリーを、ブレードコーターを用いてステンレス鋼からなる集電箔(正極集電体10)に塗工し、80℃でNMPを乾燥後、120℃で真空乾燥させ、5MPaで加圧し、Φ10mmに打ち抜き、正極70を得た。重量測定から、1cm当たり正極重量は15mg/cmとした。
上記で作製した電極イオン伝導材46とSiOナノ粒子を体積分率80:20(Vol%)で混合し、これにメタノールを添加した後に30分間攪拌した。その後、得られた混合液をシャーレに広げ、メタノールを留去して粉末状かつ半固体状の電解質(SiO電解質粉末)を得た。ここへ、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末5質量%を添加して、よく混合しながら加圧により伸ばすことでシート状の電解質層50(厚み約200μm)に加工した。該薄膜は直径15mmのサイズで打ち抜いた。
アルゴンで充填したグローブボックス内に上記で得られた正極70と上記で得られた電解質層50を入れ、電解質層50の片面に正極70、他面にリチウム箔を配置した状態で2032サイズのコイン型電池セルホルダに入れ、かしめ機により密閉することでリチウムイオン二次電池を作製した。
イオン液体とTEOSの物質量比を1.0とした以外はすべて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。本実施例における正極電解質44内の組成は電極イオン伝導材46が62体積パーセントであった。
イオン液体とTEOSの物質量比を0.5とした以外はすべて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。本実施例における正極電解質44内の組成は電極イオン伝導材46が45体積パーセントであった。
イオン液体とTEOSの物質量比を3.5とした以外はすべて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。本実施例における正極電解質44内の組成は電極イオン伝導材46が85体積パーセントであった。
TEOSに対する電極イオン伝導材46の物質量比が2となるように両者を混合、撹拌した。ここへ反応触媒としてのギ酸を加えた。上記で得られた混合物、正極活物質42としてLiNi0.33Mn0.33Co0.33粉末、正極導電剤43としてカーボンブラックを混合し、正極バインダとしてのPVdFバインダ溶液(溶剤N−メチル−2ピロリドン)を添加することで正極スラリーを得た。この際、正極活物質42、正極導電剤43、TEOS−電極イオン伝導材46の混合物、正極バインダの重量比を70:7:14:9とした。
上記で得られた正極スラリーを、ブレードコーターを用いてステンレス鋼からなる集電箔に塗工し、大気化、80℃で乾燥させた後、真空乾燥機に入れ、110℃で3日間加熱させることで、集電箔に塗布した正極70内でTEOSの反応を進行させた。5MPaで加圧し、Φ10mmに打ち抜き正極70を得た。重量測定から、1cm当たり正極重量は15 mg/cmとした。上記で得られた正極70を用いた以外はすべて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
パウレック社製の転動流動コーティング装置MP−01を用いて、正極活物質42としてLiNi0.33Mn0.33Co0.33の粉末表面にLi−Nbの有機アルコキシド化合物を付着させ、400℃で熱処理することで、正極活物質42の表面に10nm厚のLiNbO皮膜を形成した。LiNbOの皮膜を形成した正極活物質42の粉末を用いた以外はすべて実施例5と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
多孔体45をTiO、電極イオン伝導材46と混ぜる前駆体をTEOSからチタンエトキシドとした以外はすべて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
多孔体45をリチウム伝導性のあるLi−Al−Ti−P−O(LATP)、電極イオン伝導材46と混ぜる前駆体をTEOSからリチウム、チタン、アルミニウムを含んだ金属有機アルコキシ混合物とした以外はすべて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例1で得られた正極電解質44を負極電解質64として、負極活物質62を黒鉛材料、負極導電剤63をカーボンブラック、負極バインダをPVdFバインダ溶液(溶剤N−メチル−2ピロリドン)とした負極スラリーを作製した。この際、負極活物質62、負極導電剤63、負極電解質64、負極バインダの重量比を70:7:14:9とした。
上記で得えられた負極スラリーを、ブレードコーターを用いてステンレス鋼からなる集電箔(負極集電体20)に塗工し、80℃でNMPを乾燥後、120℃で真空乾燥させ、5MPaで加圧し、Φ10mmに打ち抜き負極80を得た。重量測定から、1cm当たり負極重量は7.5 mg/cmとした。
アルゴンで充填したグローブボックス内に上記で得られた負極80と実施例1で得られた電解質層50を入れ、電解質層50の片面にLi金属、他面に負極80を配置した状態で2032サイズのコイン型電池セルホルダに入れ、かしめ機により密閉することで黒鉛を負極活物質とした負極80からなるリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例9においてLi金属の代わりに実施例1で用いた正極70を適用した以外はすべて実施例9と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
一枚のステンレス箔の両面に実施例10の正極スラリーおよび実施例10の負極スラリーをそれぞれ塗工し、プレス後、Φ11に打ち抜いてバイポーラ電極を2枚得た。実施例10の電解質層50を3枚準備し、その周囲を外形16mm、内径Φ10mmのドーナツ型のポリイミドテープを貼り絶縁化した。
正極70/電解質層50/バイポーラ電極/電解質層50/バイポーラ電極/負極80の順に積層したものをコイン電池セル容器に入れ、かしめ機で密閉し、バイポーラ型のリチウムイオン二次電池を作製した。この際、バイポーラ電極中の負極合剤層60および正極合剤層40は、接合した電解質層50を介しそれぞれ正極70および負極80と対向するようにした。
<比較例1>
実施例1の電極イオン伝導材46、ナノ粒子としてSiOナノ粒子(粒径7nm)を体積分率が80:20(Vol%)となるよう混合し、電解質を得た。この電解質を正極70および負極80の電解質として用いた以外はすべて実施例10と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
<比較例2>
正極電解質44および負極電解質64として比較例1で作製した電解質を用いた以外はすべて実施例11と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。
<電池評価>
作製した実施例1〜実施例10および比較例1のコイン型のリチウムイオン二次電池に関し、ソーラトロン社製の1480ポテンシオスタットを用いて、0.1Cレートで充電した後、SOC=100%で1時間保持し、交流インピーダンス装置を用いて、交流抵抗を評価した。交流抵抗を適切な等価回路でフィッティングし、負極抵抗を分離評価した。その後、0.1Cレートで放電した。上限電位を4.2V、下限電位を2.7Vとし、充電容量と放電容量を測定した。放電時の平均電圧としてSOC=50%での電圧を得た。
<バイポーラ型電池の評価>
作製した実施例11および比較例2のコイン型のリチウムイオン二次電池に関し、ソーラトロン社製の1480ポテンシオスタットを用いて、0.1Cレートで充電した後、SOC=100%で1時間保持し、交流インピーダンス装置を用いて、交流抵抗を評価した。その後、0.1Cレートで放電した。上限電位を4.2V、下限電位を2.7Vとし、充電容量と放電容量を測定した。放電時の平均電圧としてSOC=50%での電圧を得た。
<電極電解質のイオン伝導度の評価>
各実施例で作製した電極電解質の伝導度を測定した。電極電解質をSUS製のペレット金型に入れ、5MPaで一軸プレスすることで白色のペレット試料を得た。イオン伝導度の評価は、次のように行った。作製した電極電解質膜の両面をSUS箔で挟み、これをブロッキング電極とした。これをSUS製の外装体中に密閉し、恒温槽内にて3時間以上放置した後に、交流インピーダンス測定によってイオン伝導度を評価した。結果ではイオン伝導度をσで表し単位は[S/cm]とする。
<電極電解質の細孔分布測定>
実施例1で作製した電極電解質が多孔構造を有していることを確認するため、窒素ガスをプローブとしたガス吸着測定によりその細孔分布を評価した。作製した電極電解質からイオン液体を除去するため、エタノールで洗浄し、200℃で真空乾燥した。この試料をサンプル管に入れた。サンプル管の重量変化から試料重量を測定した。その後、Quantachome社製のAutosorb(R)にセットし、液体窒素温度におけるガス吸着挙動を解析した。同様に比較例1における正極70および負極80の電解質中のSiOの細孔分布を測定した。
<結果および結果の考察>
図6に実施例1〜実施例11、比較例1〜比較例2の評価結果をまとめる。
図6中のLogσは得られたイオン伝導を10を底とする対数表示としたものである。また、図6中のプレス時液漏れとは、電極作製時に電極から電極イオン伝導材46が漏れ出たかどうかを目視で判断した結果であり、電極形状とはその際の欠陥の有無を判断したものである。電池容量は設計値に対して得られた電池容量の相対値を百分率で表したものである。
実施例1〜実施例11はいずれも電極作製後の液漏れは観測されず、作製した三次元網目状の多孔内に適切に電極イオン伝導材46が保持されることが分かる。一方、比較例1および比較例2で用いた電解質の電極イオン伝導材46/SiOの体積比率は、実施例1と同程度であるが、液漏れしていた。この差は電極内のSiOの形状によるものと思われる。
図5には、実施例1および比較例1で用いた電解質中のSiOの細孔分曲線を示す。通常のSiOナノ粒子を用いたものでは比表面積は大きいが、明瞭な細孔分布はみられていない。一方、実施例1では100nm以下である100から150オングストローム(10から15nm)に明確なピークが見られ、この大きさの細孔が形成されていると考えられる。
実施例1〜実施例4はイオン液体と多孔体の物質量比率を変えたものであり、イオン伝導度の値は電極イオン伝導材46が増加するにつれて高まることが分かる。一方、電極イオン伝導材46の比率が3.5、換言すれば、電極イオン伝導材46および多孔体45に対する電極イオン伝導材46の体積分率が85%、での実施例4では作製電池に若干クラックが発生しており、電極安定性の点ではこれよりも電極イオン伝導材46の比率が低いことが望ましいことが分かる。
実施例5〜実施例6は、SiOからなる多孔体45の形成を電極塗布後に実施したものであるが、比較例1と比べて同等以上の性能が得られている。多孔体45を電極塗布後に形成することで、電極の作製プロセスが簡素化され望ましいといえる。実施例5と実施例6を比較すると実施例6の方が電池の容量が大きい。実施例5では活物質がSiO形成時に使用するギ酸で損傷を受けていると予想される一方で、実施例6ではLiNbOで被覆することで損傷を防ぐことができたといえる。
実施例7〜実施例8は、多孔体45の材料をSiOからTiO、LATPに変更したものである。材料を変更しても液保持の効果は維持されており、三次元網目構造による液保持の効果が得られるといえる。さらに、Li伝導性のあるLATPを用いたものでは電池容量が高い。これは、多孔体45もLi含有のイオン伝導性酸化物とすることで電極全体の抵抗が下がったためと考えられる。
実施例9は、多孔体45の材料を適用した黒鉛負極とリチウム金属からなる負極半電池であるが、黒鉛重量当たりの容量が理論値に近い360mAh/gであり、さらに50%SOCにおける電位が0.15Vであり、適切に負極が動作することが確認された。実施例9で作製した黒鉛と実施例1で作製したNCM正極を用いた実施例10の電池電圧は黒鉛負極−NCM正極に固有の電池電圧を示しており、さらに電池内で三積層した実施例11でも適切に3倍の電圧が得られている。一方、比較例1および比較例2を見ると三積層電池の電圧は7.2Vと低い。これは電極内より漏れ出た液体が積層電池内の短絡原因となったと思われる。
10 正極集電体
20 負極集電体
30 電池ケース
40 正極合剤層
42 正極活物質
43 正極導電剤
44 正極電解質
45 多孔体
46 電極イオン伝導材
50 電解質層
51 無機粒子
52 電解質イオン導電材
53 電解質バインダ
55 電解質
60 負極合剤層
62 負極活物質
63 負極導電剤
64 負極電解質
70 正極
80 負極
90 インターコネクタ
100 二次電池
200 バイポーラ型二次電池

Claims (8)

  1. 電極活物質、電極イオン伝導材、および多孔体を含み、
    前記電極イオン伝導材が前記多孔体で保持され、
    前記多孔体は、三次元網目構造を有し、
    前記多孔体の平均空孔径は1nm以上100nm以下である二次電池用電極。
  2. 請求項1に記載の二次電池用電極において、
    前記多孔体の平均空孔径は1nm以上50nm以下である二次電池用電極。
  3. 請求項1に記載の二次電池用電極において、
    前記電極イオン伝導材および前記多孔体に対する前記電極イオン伝導材の体積分率が40%以上80%以下である二次電池用電極。
  4. 請求項1に記載の二次電池用電極において、
    前記多孔体はLi含有のイオン伝導性酸化物である二次電池用電極。
  5. 請求項1に記載の二次電池用電極において、
    前記電極活物質の表面に保護皮膜が形成されている二次電池用電極。
  6. 請求項1に記載の二次電池用電極を有する二次電池。
  7. 電極活物質、電極イオン伝導材、および多孔体を含み、
    前記電極イオン伝導材が前記多孔体で保持され、
    前記多孔体は、三次元網目構造を有し、
    前記多孔体の平均空孔径は1nm以上100nm以下である二次電池用電極の製造方法であって、
    前記電極活物質、前記多孔体の原料となる前駆体、および前記電極イオン伝導材を混合して混合物を作製する工程と、
    前記混合物を加熱して、前記二次電池用電極内で前記多孔体および前記電極イオン伝導材の混合物である電極電解質を作製する工程と、を含む二次電池用電極の製造方法。
  8. 請求項7に記載の二次電池用電極の製造方法において、
    前記前駆体は金属有機アルコキシ化合物である二次電池用電極。
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