JP2020024131A - 磁石の磁気特性測定方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】固有保磁力の測定結果のばらつきを小さくすることが可能な磁石の磁気特性測定方法及び装置を提供する。【解決手段】本発明による磁石の磁気特性測定方法は、磁石の磁化方向が基準方向を向くように磁石を所定の測定位置に設置する設置ステップ(S12)と、磁石の温度が基準温度±1.0℃以内の状態で、磁石に第1の飽和パルス磁界を印加して磁石を磁化反転させたときの磁化状態の変化を記録して磁石の磁気特性を測定する磁気特性測定ステップ(S15)とを備える。【選択図】図2
Description
本発明は、磁石の磁気特性測定方法及び装置に関し、特にネオジム磁石等の高保磁力磁石の固有保磁力の測定に好適な方法及び装置に関する。
磁石の磁気特性の測定にはBHトレーサーと呼ばれる磁気特性測定装置が広く用いられている。磁気特性測定装置による磁石の磁気特性の測定では、励磁コイル内に設置された磁石に励磁コイルから発生する磁界を印加して磁石を磁気飽和させる。そしてこのときの磁石の磁化状態の変化をサーチコイルにより検出して磁化曲線(ヒステリシスループ)をトレースする。
一般的にネオジム磁石のような高保磁力磁石の磁気特性を測定する場合、残留磁束密度(Br)の測定には直流励磁型磁気特性測定装置が用いられ、固有保磁力(Hcj)の測定には高磁界を発するパルス励磁型磁気特性測定装置が用いられる。磁石の磁気特性の測定では磁石を磁気飽和させる必要があり、そのためには磁石に高磁界を印加する必要があるが、一般的な直流励磁型磁気特性装置の発生磁界は20〜30kOeであり、発生磁界が不十分である。一方、パルス励磁型磁気特性測定装置では80kOe以上の高磁界を発生させることが可能であり、高保磁力磁石の測定が可能である。
磁気特性測定方法に関し、例えば特許文献1には、交流を重畳した直流を用いて強磁性体の磁気特性を測定する方法が記載されている。この測定方法では、磁化コイル中に配設した強磁性体の試験片を磁化して磁気飽和させる。次に、交流を重畳させた直流電流を減磁コイルに供給して交番磁界を重畳させた直流磁界を発生させる。この磁界の強さを徐々に増加させ、センサ(ホール素子)の出力が最大のとき、すなわち試験片の磁化が消えたときの減磁コイルの発生する直流磁界の強さを試験片の磁気特性としている。
また特許文献2には、高磁界パルス励磁型磁気特性測定装置が記載されている。この磁気特性測定装置では、試料を一対の試料押さえ棒で挟んだ状態で、試料の周りに設けた励磁コイルから発生する磁界を印加して、試料の磁気特性を測定する。試料押さえ棒の少なくとも試料と接触する面の近辺には試料を加熱するヒーターが内蔵され、さらに、励磁コイルは巻線に接着剤を塗布しつつ巻いたものであり、励磁コイルの内壁及び/又は外壁には冷却媒体が流通する冷却用流路が設けられているので、高温下で高磁界の印加が可能である。
パルス励磁型磁気特性測定装置を用いた従来の磁気特性測定方法を図13に示す。まず測定装置内にセットされた磁石に例えば基準方向と逆向き(マイナス磁化方向)の飽和パルス磁界(第一パルス磁界)を印加する。これにより、磁石はプラス極が基準方向と反対方向を向いた磁気飽和状態で着磁される。このように、磁石を装置内で予め飽和着磁することにより、装置内にセットする前の磁石の磁化の向き、大きさ等の初期着磁状態が如何なる状態であっても、磁石のプラス極が必ず基準方向と逆方向を向いた磁気飽和状態から磁気特性の測定を開始することができる。
その後、磁石に基準方向(プラス磁化方向)の飽和パルス磁界(第二パルス磁界)を印加して磁化反転させたときの磁化状態の変化を記録する。続けて、磁石に基準方向と逆方向(マイナス磁化方向)の飽和パルス磁界(最終パルス磁界)を印加してさらに磁化反転させたときの磁化状態の変化を記録する。こうして、プラス磁化方向及びマイナス磁化方向に飽和パルス磁界を印加したときの磁石の磁化状態の変化から磁化曲線(4πI−Hカーブ)を求めることができる。磁石の固有保磁力Hcjは、最終パルス磁界を印加して求めた4πI−HカーブとH軸との交点から求めることができる。
しかしながら、図13に示した従来の磁気特性測定方法では、磁石の磁気特性の測定結果のばらつきが大きいという問題がある。近年、高保磁力磁石の磁気計測の高精度化が求められており、特に繰り返し測定精度の安定化の要求に応えるための解決策が求められている。
したがって、本発明の目的は、固有保磁力等の磁気特性の測定結果のばらつきを小さくすることが可能な磁石の磁気特性測定方法及び装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明による磁石の磁気特性測定方法は、磁石の磁化方向が基準方向を向くように前記磁石を所定の測定位置に設置する設置ステップと、前記磁石の温度が基準温度±1.0℃以内に制御された状態で、前記磁石に第1の飽和パルス磁界を印加して前記磁石を磁化反転させたときの磁化状態の変化を記録して前記磁石の磁気特性を測定する磁気特性測定ステップとを備えることを特徴とする。
本発明によれば、磁石の温度変化に起因する磁気特性の測定結果のばらつきを抑えることができる。
本発明による磁石の磁気特性測定方法は、前記設置ステップの後であって前記磁気特性測定ステップの前に、前記磁石に第2の飽和パルス磁界を印加する予備着磁ステップをさらに含むことが好ましい。この場合において、前記第2の飽和パルス磁界の向きは、前記磁石を磁化反転させる向きと逆向きであることが好ましい。これによれば、磁化反転による磁石の温度上昇を伴うことなく磁石を着磁させることができる。第2の飽和パルス磁界の向きが前記磁石を磁化反転させる向きである場合には、磁化反転による磁石の温度上昇を伴うが、毎回の測定で常にそのような向きの第2の飽和パルス磁界を印加する場合には、測定値のばらつきを低減することが可能である。
本発明による磁石の磁気特性測定方法は、前記磁気特性測定ステップの前に、前記磁石の温度を測定する温度測定ステップをさらに含み、前記磁気特性測定ステップは、前記温度測定ステップで測定された前記磁石の温度が基準温度±1.0℃以内であるとき前記磁石の磁気特性の測定を開始し、基準温度±1.0℃以外であるとき前記磁石の磁気特性の測定を保留することが好ましい。例えば、予備着磁ステップによって磁石の温度が上昇して基準温度±1.0℃以外になった場合には磁気特性測定ステップを保留し、磁石の温度が低下してから測定を開始するので、磁石の温度変化に起因する磁気特性の測定結果のばらつきを確実に抑えることができる。
本発明による磁石の磁気特性測定方法は、前記磁気特性測定ステップの前に、前記測定位置に設置された前記磁石の磁化方向を検出する磁化方向検出ステップと、前記磁石の磁化方向が前記基準方向を向いていない場合に警報を出力する警報出力ステップをさらに含むことが好ましい。これによれば、磁石の磁化方向が基準方向と反対方向に向けて設置されていることをユーザーに知らせることができ、磁石の向きを修正する機会を与えることができる。したがって、磁石の磁化方向に対して常に適切な向きの第1の飽和パルス磁界を印加することができ、磁石の温度変化に起因する磁気特性の測定結果のばらつきを低減することができる。
本発明による磁石の磁気特性測定方法は、前記磁気特性測定ステップの前に、前記測定位置に設置された前記磁石の磁化方向を検出する磁化方向検出ステップをさらに含み、前記磁気特性測定ステップは、前記磁化方向検出ステップで検出された前記磁石の磁化方向に基づいて、前記第1の飽和パルス磁界の向きを決定することが好ましい。これによれば、磁石の磁化方向を基準方向と反対方向に向けて設置してしまった場合であっても、磁石の向きを変えることなく、磁石の磁化方向に対して常に適切な向きの第1の飽和パルス磁界を印加することができる。したがって、磁石の温度変化に起因する磁気特性の測定結果のばらつきを低減することができる。
本発明による磁石の磁気特性測定方法は、前記予備着磁ステップの前に、前記測定位置に設置された前記磁石の磁化方向を検出する磁化方向検出ステップをさらに含み、前記予備着磁ステップは、前記磁化方向検出ステップで検出された前記磁石の磁化方向に基づいて、前記第2の飽和パルス磁界の向きを決定することが好ましい。これによれば、磁石の磁化方向を基準方向と反対方向に向けて設置してしまった場合であっても、磁石の向きを変えることなく、磁石の磁化方向に対して常に適切な向きの第2の飽和パルス磁界を印加することができる。したがって、磁石の温度変化に起因する磁気特性の測定結果のばらつきを低減することができる。
本発明による磁石の磁気特性測定方法は、前記設置ステップの前に、前記磁石に飽和磁界を印加する初期着磁ステップをさらに含むことが好ましい。これにより、上述の予備着磁ステップを省略することができ、予備着磁ステップに起因する磁石の温度上昇を防止して磁気特性の測定結果のばらつきを十分に低減することができる。
本発明において、前記磁気特性測定ステップは、前記飽和パルス磁界を発生させる励磁コイルの内側に設けられた温度調整用流路を用いて前記磁石の全周に熱媒体を流通させて前記磁石の温度を調整しながら前記磁石の磁気特性を測定することが好ましい。これによれば、磁石に飽和パルス磁界を印加したときの磁化反転による磁石の発熱の影響を抑えて、磁石の磁気特性を正確に測定することができる。また、励磁コイルからの熱の影響を低減して磁石の磁気特性の測定結果のばらつきを低減することができる。
前記飽和パルス磁界の大きさは、前記磁石の保磁力よりも50kOe以上大きいことが好ましい。これにより、ネオジム磁石などの高保磁力磁石の磁気特性を正確に測定することができる。
本発明による磁石の磁気特性測定装置は、所定の測定位置に設置された磁石を取り囲むように設けられ、前記磁石に印加する磁界を発生させる励磁コイルと、前記励磁コイルを駆動する励磁コイル駆動部と、前記磁石の磁化状態を検出するサーチコイルと、前記サーチコイルから出力される磁化信号を記録する磁化信号記録部と、前記励磁コイル駆動部及び磁化信号記録部の動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記磁石の温度が基準温度±1.0℃以内に制御された状態で前記磁石に第1の飽和パルス磁界を印加して前記磁石を磁化反転させたときの磁化状態の変化を記録して前記磁石の磁気特性を測定する磁気特性測定ステップを実施するように、前記励磁コイル駆動部及び前記磁化信号記録部を制御することを特徴とする。
本発明によれば、磁石の温度変化に起因する磁気特性の測定結果のばらつきを抑えることができる。
本発明において、前記制御部は、前記磁気特性測定ステップの前に、前記磁石に第2の飽和パルス磁界を印加する予備着磁ステップを実施するように、前記励磁コイル駆動部及び前記磁化信号記録部を制御することが好ましい。これによれば、磁化反転による磁石の温度上昇を伴うことなく磁石を着磁させることができる。
本発明において、前記第2の飽和パルス磁界の向きは、前記磁石を磁化反転させる向きと逆向きであることが好ましい。これによれば、磁化反転による磁石の温度上昇を伴うことなく磁石を着磁させることができる。
本発明による磁石の磁気特性測定装置は、前記磁石の温度を測定する温度測定部をさらに備え、前記制御部は、前記温度制御部で測定された前記磁石の温度が基準温度±1.0℃以内であるとき前記磁石の磁気特性の測定を開始し、基準温度±1.0℃以外であるとき前記磁石の磁気特性の測定を保留することが好ましい。これにより、磁石の温度変化に起因する磁気特性の測定結果のばらつきを確実に抑えることができる。
本発明による磁石の磁気特性測定装置は、前記磁石の磁化方向を検出する磁化方向検出部と、前記測定位置に設置された前記磁石の磁化方向が基準方向を向いていない場合に警報を出力する警報出力部をさらに備えることが好ましい。これによれば、磁石の磁化方向が基準方向と反対方向に向けて設置されていることをユーザーに知らせることができ、磁石の向きを修正する機会を与えることができる。したがって、磁石の磁化方向に対して常に適切な向きの第1の飽和パルス磁界を印加することができ、磁石の温度変化に起因する磁気特性の測定結果のばらつきを低減することができる。
本発明による磁石の磁気特性測定装置は、前記磁石の磁化方向を検出する磁化方向検出部をさらに備え、前記制御部は、前記磁化方向検出部によって検出された前記磁石の磁化方向に基づいて、前記励磁コイルが発生させる飽和パルス磁界の向きを制御することが好ましい。
本発明による磁石の磁気特性測定装置は、前記励磁コイルの内側に設けられ、前記測定位置に設置された前記磁石の全周に熱媒体を流通させる温度調整流路をさらに備えることが好ましい。これによれば、磁石に飽和パルス磁界を印加したときの磁化反転による磁石の発熱を熱媒体によって抑えることができ、これにより磁石の磁気特性を正確に測定することができる。また、励磁コイルからの熱の影響を低減して磁石の磁気特性の測定結果のばらつきを低減することができる。
このように、本発明によれば、固有保磁力等の磁気特性の測定結果のばらつきを小さくすることが可能な磁石の磁気特性測定方法及び装置を提供することができる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態による磁石の磁気特性測定装置の構成を示す模式図である。
図1に示すように、この磁気特性測定装置1は、測定試料としての磁石2を保持する一対の試料押さえ棒3a,3bと、磁石2に磁界を印加する励磁コイル4と、励磁コイル4を冷却する励磁コイル冷却装置5と、磁石2の磁化状態を検出するサーチコイル6とを備えている。また磁気特性測定装置1は、磁石2の上方及び下方にそれぞれ設けられ、磁石2の上方及び下方における磁界の強さを検出する磁界信号上部検出コイル及び磁界信号下部検出コイル(不図示)を備えている。
一対の試料押さえ棒3a,3bによって挟圧保持された磁石2には、励磁コイル4からの磁界が垂直に印加される。励磁コイル4は空芯コイルであり、励磁コイル4内に磁石2の測定位置が設けられている。励磁コイル4は励磁コイル駆動部7に接続されており、コンデンサバンク8に蓄えられている電荷を一気に放電することにより大きなパルス電流を供給して高磁界を発生させる。磁石2に印加される磁界の向きは、励磁コイル駆動部7から励磁コイル4に供給する電流の向きを変えることによって変更することができ、上向き又は下向きにすることができる。
励磁コイル4からの磁界によって磁化された磁石2の磁化状態はサーチコイル6によって検出される。サーチコイル6から出力される磁化信号は磁化信号記録部9に入力され、磁石2の磁化状態の変化が記録される。また試料押さえ棒3a,3bには熱電対3c,3dがそれぞれ設けられており、熱電対3c,3dは磁石2の温度を測定する温度測定部を構成している。熱電対3c,3dは温度指示計13に接続されており、温度指示計13は磁石2の温度を表示することができる。
磁石2と励磁コイル4との間には温度調整流路を構成する水冷パイプ11が設けられている。水冷パイプ11は磁石2及び一対の試料押さえ棒3a,3bを取り囲むように螺旋状に配設されており、水冷温調器12から水冷パイプ11に冷却媒体が送り込まれ、これにより磁石2の温度が調整される。したがって、励磁コイル4からの熱や磁石自身の発熱の影響を抑えて磁石2の温度上昇を防止することができる。
本実施形態による磁気特性測定装置1は、装置内にセットされた磁石2の磁化方向を検出する磁化方向検出部14を備えることが好ましい。磁石2の磁化方向は、例えば、着磁した磁石2から発生する磁場によってサーチコイル6に誘起される電流の向きから判断することができ、磁石2の磁化方向が上向きかそれとも下向きかを検出することができる。
磁化方向検出部14には警報出力部15が接続されており、磁石2の磁化方向が予め定めた基準方向(ここでは上向き)とは逆向き、つまり下向きにセットされている場合には、画面表示や警報音にてその旨を通知する。このようにすることで、磁石2を常に正しい向きで装置内にセットすることができる。なお装置内に磁石2を設置する向きの基準方向は、ユーザが任意に設定することができる。
本実施形態による磁気特性測定装置1は、いわゆるフルループ法による測定モード(フルループ測定モード)と、いわゆる片側ループ法による測定モード(片側ループ測定モード)のどちらか一方を選択して測定試料を測定可能に構成されていることが好ましい。
フルループ法は、上述した従来の磁気特性測定方法であり、磁気特性測定装置1内で予備着磁を行った後にプラス磁化方向及びマイナス磁化方向の飽和パルス磁界をそれぞれ1回ずつ印加して磁石2を磁化反転させたときの磁気特性を測定する方法である。すなわち、マイナス側、プラス側、マイナス側の順、あるいはプラス側、マイナス側、プラス側の順で飽和パルス磁界を印加したときの磁石の磁化状態の変化を記録して4πI−Hカーブのトレースを行う。
これに対し、片側ループ法は、磁気特性測定装置1内で予備着磁を1回だけ行うか、あるいは予備着磁をまったく行わずに磁化反転方向の飽和パルス磁界を1回だけ印加したときの磁石2の磁気特性を測定する方法である。このように、両方の測定モードを選択可能とすることにより、測定モードの選択の幅を広げて利便性を高めることができる。
次に、磁気特性測定装置1を用いた片側ループ法による磁気特性測定方法について詳細に説明する。
図2は、本発明の第1の実施の形態による磁石の磁気特性測定方法を示すフローチャートである。また、図3は、図2の磁気特性測定方法を説明するための模式図であり、図4は、図2の磁気特性測定方法における4πI−Hカーブ(J−Hカーブ)を示すグラフである。
図2〜図4に示すように、磁石の磁気特性の測定では、まず測定試料としての磁石2に飽和磁界を印加して磁石2を初期着磁させる(ステップS11)。具体的には、磁石2の保磁力よりも50kOe以上大きい飽和着磁磁界を印加して磁石2を磁化する。この初期着磁ステップS11は磁気特性測定装置1内にセットする前に装置外で行われる。
次に、磁石2の磁化方向が上方(基準方向)を向くように図1の磁気特性測定装置1内にセットする(ステップS12)。図4に示すように、このときの磁石2は、プラス極が基準方向を向いた状態で装置内の所定の測定位置、つまり励磁コイル4及びサーチコイル6の内側に設置される。このとき、磁石2が正しい向きで設置されたか否かが判定され、正しい向きで設置されていない場合には警報が出力される(ステップS13N、S17)。
次に、磁石2の磁化方向が上方(基準方向)を向くようにプラス磁化方向の飽和パルス磁界を印加して磁石2を予備着磁させる(ステップS14)。この予備着磁ステップS14での磁界掃引パターンを図4の矢印D1で示す。飽和パルス磁界の大きさは、磁石2の保磁力よりも50kOe以上大きいことが好ましい。この予備着磁ステップ14により磁石2は磁気飽和するが、磁化方向は反転しないので、磁化反転に伴う発熱も発生しない。
その後、磁石2の磁化方向が下方(基準方向と逆方向)を向くようにマイナス磁化方向の飽和パルス磁界を印加して磁石2を磁化反転させたときの磁化状態の変化をサーチコイル6で検出して記録する(ステップS15)。この磁気特性測定ステップS14での磁界掃引パターンを図4の矢印D2で示す。飽和パルス磁界の大きさは、磁石2の保磁力よりも50kOe以上大きいことが好ましい。
こうして磁石2の磁化状態の変化を記録した結果から4πI−Hカーブをトレースし、4πI−HカーブとH軸との交点から固有保磁力Hcjを求める(ステップS15)。
図13に示した従来の磁気特性測定方法であるフルループ法では、磁石2の初期着磁を装置内で実施して測定開始前の磁石の磁化方向を予め設定するので、装置内にセットするときの磁石2の向きや磁化の大きさは問われない。そのため、磁石2のプラス極を基準方向と逆方向に向けてセットした場合には、1回目のマイナス磁化方向の飽和パルス磁界(第一パルス磁界)の印加時に磁化反転しないが、磁石2のプラス極を基準方向に向けてセットした場合には、1回目のマイナス磁化方向の飽和パルス磁界の印加時に磁化反転する。磁石2の磁化反転が発生すると、急激な磁束変化による渦電流損失やヒステリシス損失によって磁石2の温度上昇が生じるため、磁化反転回数のばらつきは磁石2の温度のばらつきの原因となる。さらに、フルループ法ではプラス磁化方向とマイナス磁化方向にそれぞれ1回ずつ飽和パルス磁界を印加して磁化曲線を求めるので、最終パルス磁界の印加する直前において磁化反転回数は磁石2の向きの違いによって1回又は2回となり、磁化反転回数の増加により磁石2の発熱量も大きくなり、固有保磁力Hcjの測定結果のばらつきをさらに大きくする原因となっていた。
しかし、本実施形態において、予備着磁ステップS13において磁化反転は発生せず、磁石2の磁化反転は磁気特性測定中の1回だけである。すなわち、磁気特性測定開始前において磁石2の磁化反転は発生しない。そのため、磁気特性測定ステップS14の開始時点での磁石2の温度上昇を抑えることができ、磁石2の温度を基準温度±1.0℃以内に制御することができ、磁石2の温度上昇に起因する磁気特性の測定結果のばらつきを抑えることができる。
もし設置ステップS12において磁石2が逆向きにセットされた場合、予備着磁ステップS13を開始する前に磁化方向検出部14及び警報出力部15が逆向きの設置状態を検知して警報を出力するので(ステップS13N,S17)、磁石2を正しい向きでセットし直して測定を続行することができる。あるいは、磁石2が逆向きにセットされた場合には、基準方向そのものを逆向きに変更し、これにより予備着磁ステップS13及び磁気特性測定ステップS14で印加する飽和パルス磁界の向きをすべて逆向きにしてもよい。このようにすることで、基準方向に対して磁石2が正しい向きでセットされた状態を事後的に作り出すことができる。
図5は、本発明の第2の実施の形態による磁石の磁気特性測定方法を示すフローチャートである。また、図6は、図5の磁気特性測定方法を説明するための模式図であり、図7は、図5の磁気特性測定方法における4πI−Hカーブ(J−Hカーブ)を示すグラフである。
図5〜図7に示すように、本実施形態の特徴は、予備着磁ステップを行うことなく磁気特性測定ステップを行う点にある。すなわち、初期着磁された磁石2を用意し(ステップS21)、この磁石2の磁化方向が上方(基準方向)を向くように磁気特性測定装置1内にセットする(ステップS22)。このとき、磁石2が正しい向きで設置されたか否かが判定され、正しい向きで設置されていない場合には警報が出力される(ステップS23N、S26)。
その後、磁石2の磁化方向が下方(基準方向と逆方向)を向くようにマイナス磁化方向のパルス磁界を印加して磁石2を磁化反転させたときの磁化状態の変化をサーチコイル6で検出して記録する(ステップS24)。この磁気特性測定ステップS24での磁界掃引パターンを図7の矢印D2で示す。
こうして磁石2の磁化状態の変化を記録した結果から4πI−Hカーブをトレースし、4πI−HカーブとH軸との交点から固有保磁力Hcjを求める(ステップS25)。
本実施形態では、磁石2が予め初期着磁されているので、装置内で予備着磁ステップを実施しなくても正しい4πI−Hカーブを描くことができる。また、装置内で磁化反転を伴わない予備着磁ステップを実施することによる僅かな温度上昇もないので、磁石2の温度上昇に起因する磁気特性の測定精度のばらつきをさらに抑制することができる。さらに予備着磁ステップの省略によりスループットを向上させることができる。
図8は、本発明の第3の実施の形態による磁石の磁気特性測定方法を示すフローチャートである。また、図9は、図8の磁気特性測定方法を説明するための模式図であり、図10は、図8の磁気特性測定方法における4πI−Hカーブ(J−Hカーブ)を示すグラフである。
図8〜図10に示すように、本実施形態の特徴は、磁石2の磁化方向を基準方向と逆向きにセットして磁気特性の測定を行う点にある。すなわち、初期着磁された磁石2を用意し(ステップS31)、この磁石2の磁化方向が上方(基準方向)を向くように磁気特性測定装置1内にセットする(ステップS32)。このとき、磁石2が正しい向きで設置されたか否かが判定され、正しい向きで設置されていない場合には警報が出力される(ステップS33N、S37)。
次に、磁石2の磁化方向が下方(基準方向と逆方向)を向くようにマイナス磁化方向の飽和パルス磁界を印加して磁石2を予備着磁させる(ステップS34)。この予備着磁ステップS33での磁界掃引パターンを図10の矢印D1で示す。この予備着磁ステップS33により、磁石2の磁化反転が発生し、磁化反転を起こす際の急激な磁束変化による渦電流損失やヒステリシス損失によって磁石の温度上昇が生じる。しかし、予備着磁ステップS33において毎回必ず磁化反転する向きの磁界を印加した場合には、磁石2の温度のばらつきを抑えることができるので、繰り返し測定精度の安定化を図ることができる。
その後、磁石2の磁化方向が上方(基準方向)を向くようにプラス磁化方向の飽和パルス磁界を印加して磁石2を磁化反転させたときの磁化状態の変化をサーチコイル6で検出して記録する(ステップS35)。この磁気特性測定ステップS35での磁界掃引パターンを図10の矢印D2で示す。
こうして磁石2の磁化状態の変化を記録した結果から4πI−Hカーブのトレースし、4πI−HカーブとH軸との交点から固有保磁力Hcjを求める(ステップS35)。
以上説明したように、本実施形態による磁石の磁気特性測定方法は、決められた磁化反転回数となるように磁石2に対して決められた向きで飽和パルス磁界を印加して毎回の測定を行うので、磁気測定開始時点での磁石2の温度ばらつきを抑えて磁気特性の繰り返し測定精度を高めることができる。
また、本実施形態において、予備着磁ステップS34において磁石2が磁化反転したことで発生した熱を水冷パイプ11で冷却することにより、磁石2を短時間のうちに冷却して磁気特性測定ステップS34を開始することができる。さらに上記のように、磁石2が基準温度±1.0℃以内かどうかを熱電対3c,3dで計測し、この温度範囲内となるまで測定を保留し、温度範囲内になったときに測定を開始するので、磁石2の温度のばらつきに起因する磁気特性の測定結果のばらつきを小さくすることができる。
図11は、本発明の第4の実施の形態による磁石の磁気特性測定方法を示すフローチャートである。
図11に示すように、本実施形態の特徴は、磁気特性測定装置1内に設置された磁石2の磁化方向に合わせて基準方向を設定する点にある。すなわち、初期着磁された磁石2を用意し(ステップS41)、この磁石2の磁化方向が上方(基準方向)を向くように磁気特性測定装置1内にセットする(ステップS42)。このとき、磁石2の向きが判定され、磁石2の磁化方向を基準方向として設定する(ステップS43)。その後は第1の実施の形態と同様に、予備着磁ステップ(ステップS44)及び磁気特性測定ステップ(ステップS45)を行い、固有保磁力Hcjを求める(ステップS46)。こうして、予備着磁ステップ(ステップS44)及び磁気特性測定ステップ(ステップS45)における飽和パルス磁界の向きは、磁石2の設置時の向きに基づいて決定される。
本実施形態によれば、設置時に磁石2の向きに注意する必要がなく、磁石2を逆向きに設置した場合でも磁石2が磁化反転しないように予備着磁ステップを実施することができる。したがって、磁気特性の測定結果のばらつきを小さくするだけでなく、測定時の利便性を高めることができる。
図12は、本発明の第5の実施の形態による磁石の磁気特性測定方法を示すフローチャートである。
図12に示すように、本実施形態の特徴は、磁石2の温度が基準温度範囲外の場合には磁気特性の測定を直ちに開始しない点にある。すなわち、初期着磁された磁石2を用意し(ステップS51)、この磁石2の磁化方向が上方(基準方向)を向くように磁気特性測定装置1内にセットする(ステップS52)。そして、第1の実施の形態と同様に、予備着磁ステップを実施する(ステップS53)。
次に、磁気特性測定ステップ(ステップS55)を開始する前に磁石2の温度を測定する。そして、磁石2の温度が基準温度範囲内である場合には磁気特性の測定を開始し(ステップS54)、固有保磁力Hcjを求める(ステップS56)。ここで、基準温度範囲とは、少なくとも基準温度±1.0℃以内であり、基準温度は常温(例えば23℃)である。この場合において、基準温度範囲は、基準温度±0.5℃以内であることが好ましく、基準温度±0.2℃以内であることがさらに好ましい。上記のように、磁石2の温度は熱電対3c,3dで計測することができる。
一方、磁石2の温度が基準温度範囲外である場合には測定を保留する(ステップS54)。その後、磁石2の温度が基準温度範囲内となったときに磁気特性測定ステップ(ステップS55)を開始する。
第1及び第2の実施の形態のように、磁気特性測定ステップの前に磁石2の温度上昇が発生しない場合には問題ないが、第3の実施の形態のように予備着磁ステップS44において磁化反転することにより磁石2の温度が上昇し、その上昇幅が大きい場合には、磁石2の温度が下がるまで例えば1〜2分間待ってから測定を開始することにより、磁石2の温度ばらつきに起因する磁気特性の測定結果のばらつきを小さくすることができる。また特に、本実施形態では、予備着磁ステップS34において磁石2が磁化反転したことで発生した熱を水冷パイプ11で冷却することにより、磁石2を短時間のうちに冷却して磁気特性測定ステップS34を開始することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
測定試料として1個のネオジム磁石を用意し、図13に示した従来のフルループ法で試料の固有保磁力Hcjの測定を1日1回のペースで行った。測定するネオジム磁石は、一辺が7mmの立方体とし、毎測定前に一度6366kA/m(80kOe)以上の磁界で飽和着磁を行った。測定時の最大印加磁界は、6366kA/m(80kOe)とした。バックグラウンド測定は毎回実施し、測定結果に反映させた。
磁界掃引にはフルループ法を用いた。フルループ法では、マイナス方向に6366kA/m(80kOe)の飽和パルス磁界(第一パルス磁界)を印加したが、このとき磁化曲線は記録しなかった。続いてプラス方向に飽和パルス磁界(第二パルス磁界)を印加し、第一象限及び第四象限に磁化曲線を描いた。さらに続いて、マイナス方向に飽和パルス磁界(最終パルス磁界)を印加し、第二象限及び第三象限に磁化曲線を描いた。固有保磁力Hcjは、この最終パルス磁界の印加時に得られた磁化曲線から求めた。こうしてマイナス方向及びプラス方向に一回ずつ飽和パルス磁界を印加して予備着磁を行った後、マイナス方向に飽和パルス磁界をさらに印加して本着磁を行うと共に、このときの4πI−Hカーブから固有保磁力Hcjを求めた。
図14は、従来の磁気特性測定方法(フルループ法)で試料の固有保磁力Hcjの測定を1日1回のペースで行った結果を示すグラフである。図14に示すように、固有保磁力Hcjの測定値に大きな日間変動が見られた。測定値のばらつき(3σ/平均)は1.2%であった。図15は、図14の測定値の集計結果を示すヒストグラムであり、固有保磁力Hcjの測定結果を正規分布と比較すると、正規分布から大きく外れる値が多々あり、測定値に対して不確定な要因が関与していることが示唆された。
従来の磁気特性測定方法においてこのような測定値のばらつきが発生した原因は、試料の温度ばらつきであり、試料の温度ばらつきは励磁コイルからの熱の影響を受けていると推察した。図1に示した磁気特性測定装置を用いて試料を水冷しながら固有保磁力Hcjの15回の測定を行った。その結果、図16に示すように、固有保磁力Hcjの測定値は安定していなかったが、二極化の傾向が見られ、その差は0.5%もあった。
そこで、図16の固有保磁力Hcjの測定結果を測定直後の磁石の温度と比較したところ、図17に示すように、固有保磁力Hcjが高いときには磁石温度が低く、逆に固有保磁力Hcjが高いときには磁石温度が高いことが確認された。さらに図18の散布図から明らかなように、固有保磁力Hcjのばらつきと磁石温度との間には高い相関があることを確認できた。
磁石温度の二極化は、パルス磁界を印加したときに磁石内で発生する渦電流損やヒステリシス損が原因であると考え、最終パルス磁界印加時の磁石温度の違いが保磁力Hcjのばらつきの原因であることが予想された。そこで、磁石の磁化方向とパルス磁界の印加回数との関係について調べた。その結果、図19に示すように、プラス極を基準方向に向けてセットするプラス磁化スタートの場合には、パルス磁界を印加する度に磁極が反転し、これに伴って渦電流損やヒステリシス損が発生し、磁石温度が上昇した。一方、マイナス極を基準方向に向けてセットするマイナス磁化スタートの場合には、第一パルス磁界の印加時には磁極が反転しないので、磁石温度の上昇は見られなかった。第二パルス磁界の印加時には磁極が反転し、これに伴って渦電流損やヒステリシス損が発生し、磁石温度が上昇した。以上の結果から、磁石を最初にセットする向きが重要であることが明らかとなった。
保磁力の大きさが磁石温度に与える影響を評価するため、固有保磁力Hcjが異なる5種類のネオジム磁石(A材〜E材)を準備し、測定直後の磁石温度を調べた。その結果、図20に示すように、固有保磁力Hcjが高い磁石ほど、最終パルス磁界直後の磁石温度が高いことが分かった。この温度差はヒステリシス損失の差と予想されるが、比抵抗の違いも考えられる。
以上の結果を踏まえ、図2に示した片側ループ法で試料の固有保磁力Hcjの測定を行った。すなわち、マイナス極を基準方向に向けてセットするマイナス磁化スタートを行い、第二パルス磁界の印加は省略し、最終パルス磁界を印加したときの片側の4πI−Hカーブから固有保磁力Hcjを求めた。その結果を図21に示す。
図21に示すように、固有保磁力Hcjは約2120kA/mとなり、測定値のばらつきは図14と比べて非常に小さくなった。図22は、図21の測定値の集計結果を示すヒストグラムであり、固有保磁力Hcjの測定結果はきれいな正規分布になった。測定値の標準偏差σはばらつき(3σ/平均)は0.2%となった。
比較例及び実施例の評価結果を表1に示す。
表1から明らかなとおり、本発明の片側ループ法による測定結果(実施例)は、従来のフルループ法による測定結果(比較例)に比べてばらつきが小さく、繰り返し測定精度の安定化を図ることができた。
1 磁気特性測定装置
2 磁石
3a,3b 磁石押さえ棒
3c,3d 熱電対
4 励磁コイル
5 励磁コイル冷却装置
6 サーチコイル
7 励磁コイル駆動部
8 コンデンサバンク
9 磁化信号記録部
11 水冷パイプ
12 水冷温調器
13 温度指示計
14 磁化方向検出部
15 警報出力部
2 磁石
3a,3b 磁石押さえ棒
3c,3d 熱電対
4 励磁コイル
5 励磁コイル冷却装置
6 サーチコイル
7 励磁コイル駆動部
8 コンデンサバンク
9 磁化信号記録部
11 水冷パイプ
12 水冷温調器
13 温度指示計
14 磁化方向検出部
15 警報出力部
Claims (17)
- 磁石の磁化方向が基準方向を向くように前記磁石を所定の測定位置に設置する設置ステップと、
前記磁石の温度が基準温度±1.0℃以内に制御された状態で、前記磁石に第1の飽和パルス磁界を印加して前記磁石を磁化反転させたときの磁化状態の変化を記録して前記磁石の磁気特性を測定する磁気特性測定ステップとを備えることを特徴とする磁石の磁気特性測定方法。 - 前記設置ステップの後であって前記磁気特性測定ステップの前に、前記磁石に第2の飽和パルス磁界を印加する予備着磁ステップをさらに含む、請求項1に記載の磁石の磁気特性測定方法。
- 前記第2の飽和パルス磁界の向きは、前記磁石を磁化反転させる向きと逆向きである、請求項2に記載の磁石の磁気特性測定方法。
- 前記磁気特性測定ステップの前に、前記磁石の温度を測定する温度測定ステップをさらに含み、
前記磁気特性測定ステップは、前記温度測定ステップで測定された前記磁石の温度が基準温度±1.0℃以内であるとき前記磁石の磁気特性の測定を開始し、基準温度±1.0℃以外であるとき前記磁石の磁気特性の測定を保留する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の磁石の磁気特性測定方法。 - 前記磁気特性測定ステップの前に、前記測定位置に設置された前記磁石の磁化方向を検出する磁化方向検出ステップと、
前記磁石の磁化方向が前記基準方向を向いていない場合に警報を出力する警報出力ステップをさらに含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の磁石の磁気特性測定方法。 - 前記磁気特性測定ステップの前に、前記測定位置に設置された前記磁石の磁化方向を検出する磁化方向検出ステップをさらに含み、
前記磁気特性測定ステップは、前記磁化方向検出ステップで検出された前記磁石の磁化方向に基づいて、前記第1の飽和パルス磁界の向きを決定する、請求項1に記載の磁石の磁気特性測定方法。 - 前記予備着磁ステップの前に、前記測定位置に設置された前記磁石の磁化方向を検出する磁化方向検出ステップをさらに含み、
前記予備着磁ステップは、前記磁化方向検出ステップで検出された前記磁石の磁化方向に基づいて、前記第2の飽和パルス磁界の向きを決定する、請求項2又は3に記載の磁石の磁気特性測定方法。 - 前記設置ステップの前に、前記磁石に飽和磁界を印加する初期着磁ステップをさらに含む、請求項1乃至7に記載の磁石の磁気特性測定方法。
- 前記磁気特性測定ステップは、前記飽和パルス磁界を発生させる励磁コイルの内側に設けられた温度調整用流路を用いて前記磁石の全周に熱媒体を流通させて前記磁石の温度を調整しながら前記磁石の磁気特性を測定する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の磁石の磁気特性測定方法。
- 前記飽和パルス磁界の大きさは、前記磁石の保磁力よりも50kOe以上大きい、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の磁石の磁気特性測定方法。
- 所定の測定位置に設置された磁石を取り囲むように設けられ、前記磁石に印加する磁界を発生させる励磁コイルと、
前記励磁コイルを駆動する励磁コイル駆動部と、
前記磁石の磁化状態を検出するサーチコイルと、
前記サーチコイルから出力される磁化信号を記録する磁化信号記録部と、
前記励磁コイル駆動部及び磁化信号記録部の動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記磁石の温度が基準温度±1.0℃以内に制御された状態で前記磁石に第1の飽和パルス磁界を印加して前記磁石を磁化反転させたときの磁化状態の変化を記録して前記磁石の磁気特性を測定する磁気特性測定ステップを実施するように、前記励磁コイル駆動部及び前記磁化信号記録部を制御することを特徴とする磁石の磁気特性測定装置。 - 前記制御部は、前記磁気特性測定ステップの前に、前記磁石に第2の飽和パルス磁界を印加する予備着磁ステップを実施するように、前記励磁コイル駆動部及び前記磁化信号記録部を制御する、請求項11に記載の磁石の磁気特性測定装置。
- 前記第2の飽和パルス磁界の向きは、前記磁石を磁化反転させる向きと逆向きである、請求項12に記載の磁石の磁気特性測定装置。
- 前記磁石の温度を測定する温度測定部をさらに備え、
前記制御部は、前記温度制御部で測定された前記磁石の温度が基準温度±1.0℃以内であるとき前記磁石の磁気特性の測定を開始し、基準温度±1.0℃以外であるとき前記磁石の磁気特性の測定を保留する、請求項11乃至13のいずれか一項に記載の磁石の磁気特性測定装置。 - 前記磁石の磁化方向を検出する磁化方向検出部と、
前記測定位置に設置された前記磁石の磁化方向が基準方向を向いていない場合に警報を出力する警報出力部をさらに備える、請求項11乃至14のいずれか一項に記載の磁石の磁気特性測定装置。 - 前記磁石の磁化方向を検出する磁化方向検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記磁化方向検出部によって検出された前記磁石の磁化方向に基づいて、前記励磁コイルが発生させる飽和パルス磁界の向きを制御する、請求項11乃至14のいずれか一項に記載の磁石の磁気特性測定装置。 - 前記励磁コイルの内側に設けられ、前記測定位置に設置された前記磁石の全周に熱媒体を流通させる温度調整流路をさらに備える、請求項11乃至16のいずれか一項に記載の磁石の磁気特性測定装置。
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WO2024028935A1 (ja) * | 2022-08-01 | 2024-02-08 | 株式会社日立製作所 | 検査装置 |
-
2018
- 2018-08-07 JP JP2018148453A patent/JP2020024131A/ja active Pending
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