JP2020023633A - 含窒素芳香族ポリマーフィルム - Google Patents

含窒素芳香族ポリマーフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 フィルム形成時の良好なコーティング性を発現させるのに十分な低い塗工液粘度を達成しつつ、高い力学的特性を備え、フィルム形成時の塗工液粘度およびフィルムの力学的特性を容易に制御することができるポリマーフィルムを提供する。【解決手段】 フィルムの体積あたり粒子を55体積%以上含有する含窒素芳香族ポリマーフィルムであって、含窒素芳香族ポリマーが、数平均分子量10,000〜60,000のポリマー(A)と数平均分子量100,000〜400,000のポリマー(B)との混合物であることを特徴とする、含窒素芳香族ポリマーフィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は含窒素芳香族ポリマーフィルムに関し、詳しくは電子部材の材料に適した含窒素芳香族ポリマーフィルムに関する。
高分子ポリマーからなるフィルムは、電池、コンデンサー、電気二重層キャパシタ等の各種電子部材等の材料に広く用いられている。例えば電極間の隔壁材料であるセパレータでは、その要求特性として、電解質を保持した状態での導電性、高い電極間遮蔽性、低内部抵抗などが挙げられている。特に電気容量の大きい2次電池においては短絡時の発熱、発火を抑制することが求められている。
上述したセパレータの要求特性に応えるためには、セパレータ材料として汎用的に使用されている多孔ポリオレフィン系基材のみでは材料の熱的特性上困難であるため、高耐熱性の機能層を基材にコーティング付与する手法が施されている。この高耐熱性の機能層として、例えば無機粒子層が選択されている。
しかし、無機微粒子のみでは層を形成することが困難であるため、粒子間のバインダーとして高分子ポリマーを使用し、粒子含有ポリマーフィルムを基材にコーティングする。この際、粒子バインダーとして使用する高分子ポリマーにも当然高い耐熱性が求められるため、例えば含窒素芳香族ポリマー(以下、「アラミド」ということがある)などが使用されている。
一般的な含窒素芳香族ポリマーとして、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミドが挙げられる。しかし、当該ポリマーは有機溶媒に溶解しにくく、コーティング用の塗工液の調製が非常に困難である。また、仮に溶解できたとしても、当該ポリマーの液晶性ゆえ溶解液中で相互に分子がドメインを形成しやすく、再分散困難な不均一な様相に変化するため保存安定性が乏しい。
上記に対し、オキシジフェニレン成分を共重合成分として有する共重合ポリパラフェニレンテレフタルアミドは、屈曲成分を積極的に分子中に導入することで、有機溶媒に溶解しやすく、また、溶解液の安定性も優れている。しかし、当該ポリマーを溶解した溶液は粘度が高く、コーティングプロセスが困難である。溶液粘度を下げるためには、ポリマーの分子量を低減させる方法が考えられるが、低分子量化に伴いフィルム内のポリマー鎖同士の交絡点が減少し、フィルムの力学物性低下の原因となる。さらに、ポリマー分子量を精密かつ再現性良く制御することは一般的に困難である。そのため、ポリマー分子量を適宜操作し、コーティング装置やプロセスに応じて適切な粘度の塗工液を提供することは困難である。
特開2012−54230号公報
本発明は、フィルム形成時の良好なコーティング性を発現させるのに十分な低い塗工液粘度を達成しつつ、高い力学的特性を備え、フィルム形成時の塗工液粘度およびフィルムの力学的特性を容易に制御することができるポリマーフィルムを提供することを課題とする。
本発明は、フィルムの体積あたり粒子を55体積%以上含有する含窒素芳香族ポリマーフィルムであって、含窒素芳香族ポリマーが、数平均分子量10,000〜60,000のポリマー(A)と数平均分子量100,000〜400,000のポリマー(B)との混合物であることを特徴とする含窒素芳香族ポリマーフィルムである。
本発明によれば、フィルム形成時の良好なコーティング性を発現させるのに十分な低い塗工液粘度を達成しつつ、高い力学的特性を備え、フィルム形成時の塗工液粘度およびフィルムの力学的特性を容易に制御することができるポリマーフィルムを提供することができる。
低分子量ポリマー部分を低伸度なハードセグメント、高分子量ポリマー部分を高伸度なソフトセグメントとして表現したモデル図である。 低分子量ポリマーを単一で用いたフィルムのモデル図である。 高分子量ポリマーを単一で用いたフィルムのモデル図である。 低分子量ポリマーと高分子量ポリマーとのブレンドのフィルム系のモデル図である。
<芳香族ポリアミド>
本発明ではポリマー(A)およびポリマー(B)として含窒素芳香族ポリマーを用いる。含窒素芳香族ポリマーとしては、芳香族ポリアミド(以下、「アラミド」ということがある)、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミドを用いることができる。なかでも、芳香族ポリアミドが好ましく、物理的特性、耐熱性および低熱収縮特性の観点からパラ系芳香族ポリアミド(以下、「パラアラミド」ということがある)が好ましい。有機溶媒への溶解性と溶液の安定性の観点から、共重合ポリパラフェニレンテレフタルアミドが好ましい。好ましい共重合ポリパラフェニレンテレフタルアミドは、ポリパラフェニレンテレフタルアミドに共重合ジアミン成分として3,4’−オキシジフェニレンジアミンまたは4,4’−オキシジフェニレンジアミンを共重合したものである。この場合、3,4’−オキシジフェニレンジアミンまたは4,4’−オキシジフェニレンジアミンが全ジアミン成分に占める割合は、好ましくは25〜75モル%、さらに好ましくは30〜70モル%である。この範囲で上記の共重合成分を含有することにより、力学物性発現に寄与する分子間相互作用を維持しつつも、有機溶媒への溶解性を確保することができる。
<混合物>
ポリマー(A)の数平均分子量は10,000〜60,000であり、ポリマー(B)の数平均分子量は100,000〜400,000である。本発明ではこれらポリマー(A)とポリマー(B)の混合物を用いる。
ポリマー(A)のみを用いた場合には、塗工液の粘度を低くすることができコーティング性には優れるものの、ポリマー鎖同士の交絡点が減少するため低引張強度で低伸長である脆いフィルムとなる。他方、ポリマー(B)のみを用いた場合には、ポリマー鎖同士の交絡点が十分確保できるためフィルムの力学的物性は高水準となるが、塗工液の粘度が高くなりコーティング性が悪い。
ポリマー(A)とポリマー(B)との混合比率は、A/B=10重量%/90重量%〜90重量%/10重量%であることが好ましい。この範囲で用いることによって、ポリマー(A)とポリマー(B)とのポリマーブレンド効果を十分に発揮することができ、コーティング性と力学的物性を両立することができる。
<低分子量化>
ポリマーを低分子量化する方法として、重合条件の変更や、酸性溶液中への浸漬による方法を用いてもよい。しかし、前者はポリマー製造プロセスに多大な影響をおよぼす変更となるうえ、分子量の細やかな制御が必要であり、この制御は困難である。また後者は、酸性環境ではポリマーの分解反応が起こりにくく、過剰な温度や時間を設定する必要があるため望ましくない。
本発明において、ポリマー(A)およびポリマー(B)は、より分子量の大きい含窒素芳香族ポリマーをアルカリ浸漬処理して分子量を調整されたものであることが好ましい。アルカリ浸漬処理は、アルカリ性の溶液中にポリマーを浸漬することで、含窒素芳香族ポリマーを低分子量化する処理である。この処理での低分子量化を行うことで、アルカリ浸漬処理の条件を適宜設定することで、同一の含窒素芳香族ポリマーから様々な分子量を有するポリマーを得ることができる。
アルカリ浸漬処理により低分子量化する方法を用いる場合、浸漬処理の温度は例えば80〜140℃であり、アルカリの濃度は、例えばアルカリとしてNaOHを用いる場合に1〜10重量%、浸漬時間は例えば30分間〜2時間である。この条件よりもアルカリ濃度が高かったり温度が高かったり時間が長いと、アルカリによるポリマー分解が過剰に進行し、処理後のポリマーの劣化や力学的物性の低下が発生しやすくなることに加え、加熱工程や処理後の中和工程に多大なプロセスコストを要するため好ましくない。他方、この条件よりもアルカリ濃度が低かったり温度が低かったり時間が長いと、アルカリ分解によるポリマーの低分子量化が効果的に起こらず、コーティング溶液の低粘度化が達成されない。
<粒子>
本発明のポリマーフィルムは、粒子を55体積%以上、好ましくは55〜99体積%含有する。含有量が55体積%未満であると十分な多孔性を付与しつつセパレータとして用いたときの良好な耐熱性と低収縮性を得ることができない。99%体積を超えるとセパレータとて用いたときにその用途で必要なイオンの移動が阻害されやすく好ましくない。
粒子としては、有機粒子と無機粒子のいずれも用いることができる。良好な耐熱性を得る観点から無機粒子が好ましい。無機粒子を構成する物質として、金属、酸化物化合物、半導体元素、半導体化合物を例示することができる。具体的には、シリコン、シリコンカーバイト、ゲルマニウムなどの半導体材料、窒化ホウ素などの化合物、カーボンナノファイバ、グラファイトなどの炭素材料を例示することができる。また、カオリン、タルク、クレー、ハイドロタルサイト、珪藻土などの鉱物微粒子を例示することができる。さらに、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マイカ、ゼオライト、ガラスを例示することができる。無機粒子は耐熱性および化学的安定性の観点からも優れており、中でもシリカ、カオリン、カーボンブラック、アルミナが好ましい。
粒子の大きさは、例えば平均粒径10μm以下であり、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは0.01〜2μmある。粒子は複数の種類を併用してもよい。
<フィルムの製造方法>
本発明の含窒素芳香族ポリマーフィルムは、上記のポリマー(A)とポリマー(B)との混合物を有機溶剤に溶解して塗布液とし、この塗布液を基材に塗布して乾燥することで得ることができる。
有機溶剤への溶解は、溶液中のポリマー濃度が1.5〜4重量%となるようにし、溶液の粘度を常温下で400〜5000mPa・Sとすることが好ましい。ポリマー濃度が1.5重量%未満であるとフィルムの製膜後の乾燥時に収縮が大きくなり好ましくない。他方、4重量%を超えると、添加すべき粒子の量が過剰となりフィルムを製膜したときにフィルムで必要な粒子の体積を確保できる溶液の調製が困難になり好ましくない。また、溶液の粘度が400mPa・S未満であるか、5000mPa・Sを超えると、基材へのコーティングプロセスが困難となり好ましくない。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。測定は以下の方法で行った。
(1)ドープ粘度
ドープ粘度測定のためのサンプルを、室温25℃・湿度60%で制御された調温調湿室に24時間静置し、その後、以下の条件で測定した。
B型粘度計: BROOKFIELD Viscometer DV−I Prime
ローター: SC4−18、SC4−29
温度: 20℃
(2)数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって、以下の条件で測定した。
装置名: 高速液体クロマトグラフ LC−20Aシリーズ
カラムオーブン: CTO−20A
移動相: NMP
オートサンプラ: SIL−20AHT
LCワークステーション:LC solution
流量: 0.3ml/分
示差屈折計検出器: RID−10A
オーブン温度: 60℃
分子量標準試料: ポリスチレン
表中のAve Mnは、以下の式により算出した。
Ave Mn=Mn(A)×W(A)/100+Mn(B)×W(B)/100
Mn(A):ポリマーA(低分子量側のポリマー)の数平均分子量
W(A): ポリマーA(低分子量側のポリマー)の混合比率(重量%)
Mn(B):ポリマーB(高分子量側のポリマー)の数平均分子量
W(B): ポリマーB(高分子量側のポリマー)の混合比率(重量%)
(3)フィルム厚み
厚み計で測定した。
(4)フィルム目付
サンプルを5cm角に裁断してその重量を測定して目付を算出した。
(5)引張強度、破断伸度および弾性率
サンプルを幅10mm×長さ50mmの短冊状にカットし、テンシロン万能試験機(RTF−1210)を用いて引張試験を実施して測定した。引張速度は20mm/分とした。
実施例1
(ポリマーのアルカリ処理)
含窒素芳香族ポリマーとして以下の共重合ポリパラフェニレンテレフタルアミドを使用した。すなわち、パラフェニレンジアミン、共重合ジアミン成分およびパラテレフタル酸ジクロリドから重合され、共重合ジアミン成分が3,4’−オキシジフェニレンジアミンであり、共重合ジアミン成分が全ジアミン成分中に占める割合が50モル%である含窒素芳香族ポリマーを使用した。
このポリマーを5重量%の濃度の水酸化ナトリウム水溶液中に入れ、赤外線加熱式ミニカラー染色機(テクサム技研製)にて、130℃で1時間、アルカリ浸漬処理を実施した。処理後のポリマーを水洗により中和してポリマーサンプルとした。このポリマーサンプルの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定した。数平均分子量(Mn)が56,000の含窒素芳香族ポリマーを得た。
さらに、アルカリ処理条件を変更することで、数平均分子量(Mn)が178,000および318,000の2種類の含窒素芳香族ポリマーを得た。具体的には、3重量%の濃度の水酸化ナトリウム水溶液中に入れ、赤外線加熱式ミニカラー染色機(テクサム技研製)にて、130℃で1時間アルカリ浸漬処理を実施することで数平均分子量(Mn)が178,000の含窒素芳香族ポリマーを、アルカリ浸漬処理未実施条件にて数平均分子量(Mn)が318,000の含窒素芳香族ポリマーをそれぞれ作製した。
(ポリマー溶液の調製)
ポリマー(A)としてMn=56,000の上記の含窒素芳香族ポリマーを用い、ポリマー(B)としてMn=318,000の上記の含窒素芳香族ポリマーを用い、両者の混合比率がポリマー(A)/ポリマー(B)=50重量%/50重量%となるよう計量のうえ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中にポリマー濃度(ポリマー(A)およびポリマー(B)の合計)が3重量%となるよう添加して温度80℃で撹拌した。
このとき、ポリマーの混合物がNMPにより膨潤したことを確認し、塩化リチウムを全溶液の0.8重量%となるよう添加し、ポリマーをNMP中に溶解させた溶液(以後、この溶液を「ドープ」と呼称する)を作製した。このドープのドープ粘度を測定した。
(フィルムの作製)
上記で作製したポリマードープ中に含まれるポリマーの固形分重量と、ポリマーおよびアルミナの密度から、ドープ中のポリマー/アルミナ微粒子の体積分率が40/60となる重量のアルミナ微粒子を準備した。このアルミナ微粒子をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に添加し、アルミナ微粒子濃度が50重量%の分散液を作製した。先に作製したポリマードープを80℃で加熱および撹拌しながら、この分散液を添加することで、アルミナ微粒子を含有するポリマードープを調整した。
得られたポリマードープを、ガラス製の平滑な基材の上に、ステンレス製の塗工バーを用いて塗工し、その後100℃で15分間乾燥してNMPをある程度揮発させ、常温水浴中に塗工フィルムを30分間浸漬して凝固させた。その後水分を拭き取り80℃で10分間再乾燥し、フィルムサンプルを得た。このフィルムサンプルの粒子の含有率は60体積%であった。フィルムサンプルの引張強度、破断伸度および弾性率を測定した。
実施例2
実施例1と同じポリマーを用い、ポリマーの混合比率をポリマー(A)(低分子量側)/ポリマー(B)(高分子量側)=75重量%/25重量%としたほかは実施例1と同様にして実施した。
比較例1
Mn=318,000のポリマー単一でドープを調整した。ドープおよびフィルムサンプルの作製および物性評価を実施例1と同様に実施した。
比較例2
Mn=178,000のポリマー単一でドープを調整した。ドープおよびフィルムサンプルの作製および物性評価を実施例1と同様に実施した。
比較例3
Mn=56,000のポリマー単一でドープを調整した。ドープおよびフィルムサンプルの作製および物性評価を実施例1と同様に実施した。
評価結果を表1に示す。
Figure 2020023633
高分子量側のポリマーから考えた場合、数平均分子量が相対的に低いポリマーをブレンドすることにより、ドープ粘度を効果的に低下させられることが分かる(実施例1と比較例1の比較)。また、粘度低下効果の程度は、平均分子量(Ave Mn)と同等の分子量を持つ単一ポリマードープ系と概ね一致する(実施例1と比較例2の比較)。
しかし、比較例2のフィルムでは、その物性が比較例1のフィルムと比べて強度および伸度ともに低下しており、低分子量化に伴いフィルムの物性低下が発生しており、さらに分子量を下げた比較例3のフィルムにおいて、物性低下がより顕著に表れている。
他方、ポリマーブレンド系である実施例1のフィルムの物性は、高強度および高伸度を維持していることから、本系は良好なコーティング性(すなわち、塗工液の低い粘度)とフィルムの高い力学的特性とを両立している。
また、ブレンド比率を変更した実施例2においては、低分子量ポリマーの割合増加により、ドープ粘度が実施例1対比でさらに低下している。他方、高分子量ポリマーの割合は相対的に減少しているため、フィルムの物性は実施例1対比で低下している。
本発明では、二種類の分子量のポリマーを用い、それらの混合率を変更するという容易に変更可能なファクターにより、コーティング性やフィルムの物性を制御することができる。
上述したポリマーブレンド効果については、以下のように考察している。
低分子量ポリマーは、ポリマー鎖長が短いため屈曲性が低く、概ね伸長した形態をとっていると考えられる。したがって、当該ポリマー鎖は、引っ張られた際に伸び切ってしまい、ポリマー鎖本来の引張弾性率を早期に発現すると考えられる。他方、高分子量ポリマーは、ポリマー鎖長が長いため屈曲性が高く、糸毬のように絡まった形態をとっていると考えられる。したがって、当該ポリマー鎖は、引っ張られた際に絡まったポリマー鎖がほぐれる低剛性的な挙動を経るため、伸び切ったポリマー鎖の本来の引張弾性率を示すまでにタイムギャップがあると考えられる。
以上を踏まえ、低分子量ポリマー部分を低伸度なハードセグメント、高分子量ポリマー部分を高伸度なソフトセグメントとしてモデル化して考える(図1)。このモデルでは、フィルムの物性は、(i)セグメントそのものの構造(1次構造)と、(ii)セグメント間の絡み合い構造(2次構造)とによって記述できるとする。
低分子量ポリマー単一からなるフィルム系のモデル図を図2に示す。この系では、ハードセグメントが主に存在しており、分子量分布上マイナーなソフトセグメント(高分子量ポリマー鎖)が交絡を形成している(図2の2.1)。剛直なハードセグメントが多いため、初期の弾性率は高いことが予想されるが、ハードセグメント自身は低伸度であること、形成される交絡が少ないことから、破断応力に早期に到達する(図2の2.2)。その結果、応力集中したハードセグメント部で破断が生じるか(図2の2.3)、交絡が局所的に少ないソフトセグメント部で破断が生じる(図2の2.4)。
高分子量ポリマー単一からなるフィルム系のモデル図を図3に示す。この系では、ソフトセグメントが主に存在しており、したがって、引張物性はソフトセグメント同士で形成される交絡が支配的だと考えられる(図3の3.1)。そのため、伸度は高くなる。しかし、交絡は均一に形成されず、交絡の多い箇所、少ない箇所が点在する。そのため、力学上弱部に相当する、交絡の少ない箇所に応力が集中し(図3の3.2)、当該箇所のみ破断伸度を迎え、破断する(図3の3.3)。
低分子量ポリマーと高分子量ポリマーとのブレンドフィルム系のモデル図を図4に示す。この系では、ソフトセグメントとハードセグメントの双方が存在している(図4の4.1)ため、図2のモデルとの対比で、ソフトセグメントによる交絡は多く、高伸度性が確保されている。また図3と同様、ソフトセグメントが形成する交絡ムラは本系にも存在するが、剛直なハードセグメントの存在によって初期弾性率は上がり、そして、交絡の少ない箇所が集中的に伸長することが抑制されると考えられる(図4の4.2)。この結果、応力集中を防ぎながら系全体が比較的均一に伸長され、高弾性と高伸度が両立されると考えられる(図4の4.3)。
本発明の含窒素含有芳香族フィルムは、例えば二次電池のセパレータとして好適に用いることができる。
2.1 フィルム中にハードセグメントが主に存在し、分子量分布上マイナーなソフトセグメント(高分子量鎖)が交絡を形成している様子
2.2 剛直なハードセグメントが多く、ハードセグメント自身は低伸度であることと、形成される交絡が少ないことから、破断応力に早期に到達する様子
2.3 応力集中したハードセグメント部で破断が生じる様子
2.4 交絡が局所的に少ないソフトセグメント部で破断が生じる様子
3.1 ソフトセグメントが主に存在し、引張物性ではソフトセグメント同士で形成される交絡が支配的である様子
3.2 フィルムの伸度は高くなるものの、交絡は均一に形成されず、交絡の多い箇所や少ない箇所が点在し、力学上の弱部に相当する交絡の少ない箇所に応力が集中する様子
3.3 応力が集中した箇所のみが破断伸度を迎えてフィルムが破断する様子
4.1 ソフトセグメントとハードセグメントの双方が存在しているため、図2のモデル対比でソフトセグメントによる交絡は多く高伸度性が確保されている様子
4.2 ソフトセグメントが形成する交絡ムラが存在するが、剛直なハードセグメントの存在によりフィルムの初期弾性率は上がり、そして、交絡の少ない箇所が集中的に伸長することが抑制される様子
4.3 応力集中を防ぎながらフィルム全体が比較的均一に伸長され、高弾性・高伸度が両立される様子

Claims (3)

  1. フィルムの体積あたり粒子を55体積%以上含有する含窒素芳香族ポリマーフィルムであって、含窒素芳香族ポリマーが、数平均分子量10,000〜60,000のポリマー(A)と数平均分子量100,000〜400,000のポリマー(B)との混合物であることを特徴とする、含窒素芳香族ポリマーフィルム。
  2. ポリマー(A)およびポリマー(B)が共重合ポリパラフェニレンテレフタルアミドである、請求項1記載のフィルム。
  3. ポリマー(A)が、含窒素芳香族ポリマーをアルカリ溶液中に浸漬処理することにより数平均分子量を10,000〜60,000の範囲にされたポリマーであり、かつポリマー(B)が、含窒素芳香族ポリマーをアルカリ溶液中に浸漬処理することにより数平均分子量を100,000〜400,000の範囲にされたポリマーである、請求項1または2に記載のフィルム。
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