JP2020023585A - 免疫細胞へオリゴヌクレオチドを送達する方法 - Google Patents

免疫細胞へオリゴヌクレオチドを送達する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、一般的な治療上の使用に好適な改善された脂質−治療用核酸組成物を提供することである。【解決手段】本発明が解決しようとする課題は、核酸ベース薬、例えば、dsRNAを、ステロール;中性脂質;PEGまたはPEG修飾脂質;および特定のカチオン性脂質を有する製剤と複合体化させることによって解決される。【選択図】なし

Description

関連出願
本出願は2009年5月5日に出願された米国特許仮出願第61/175,777号;2009年8月14日に出願された米国特許仮出願第61/234,045号;2009年9月15日に出願された米国特許仮出願第61/242,761号;2009年10月15日に出願された米国特許仮出願第61/251,991号;および2009年11月6日に出願された米国特許仮出願第61/258,848号の恩典を主張する。これらの先行出願の各々は、すべての目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
政府支援
本明細書で記載される研究は、少なくとも一部、国立アレルギー感染病研究所(National Institute of Allergy and Infectious Diseases)により認可番号HHSN266200600012Cの下で与えられた米国政府からの資金を用いて実施された。そのため、政府は本発明に一定の権利を有し得る。
技術分野
本発明は、免疫細胞への核酸ベース薬の送達の分野に関する。
治療用核酸としては、例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、プラスミド、および免疫刺激核酸が挙げられる。これらの核酸は様々な機序を介して作用する。siRNAまたはmiRNAの場合、これらの核酸はRNA干渉(RNAi)と呼ばれる過程により、特定のタンパク質の細胞内レベルを下方制御することができる。siRNAまたはmiRNAの細胞質中への導入に続いて、これらの二本鎖RNAコンストラクトは、RISCと呼ばれるタンパク質に結合することができる。siRNAまたはmiRNAのセンス鎖は、RISC複合体から置換され、結合されたsiRNAまたはmiRNAの配列に相補的な配列によりmRNAを認識し、結合することができる鋳型をRISC内で提供する。相補的mRNAに結合すると、RISC複合体は、mRNAを切断し、切断された鎖を放出する。RNAiは、タンパク質合成のためにコードする対応するmRNAの特定の破壊を標的とすることにより、特定のタンパク質の下方制御を提供することができる。
siRNAおよびmiRNAコンストラクトは標的タンパク質に対して誘導される任意のヌクレオチド配列を用いて合成することができるので、RNAiの治療用途は著しく広範囲である。今日まで、siRNAコンストラクトは、インビトロおよびインビボモデルの両方において標的タンパク質を特異的に下方制御する能力を示している。さらに、siRNAコンストラクトは現在、臨床研究において評価されている。
最近の進歩にもかかわらず、当技術分野においては、一般的な治療上の使用に好適な改善された脂質−治療用核酸組成物の必要が未だ存在する。これらの組成物は、たとえば高効率で核酸をカプセル化し、高い薬物:脂質比を有し、カプセル化された核酸を血清中での分解およびクリアランスから保護し、全身送達に好適であり、カプセル化された核酸の細胞内送達を提供するものである。さらに、これらの脂質−核酸粒子は、耐容性がよく、十分な治療指数を提供すべきであり、そのため、有効量の核酸での患者治療には、患者への有意の毒性および/または危険を伴わないことが必要である。
Biochim Biophys Acta. 1979 Oct 19;557(l):9-23
本発明は、例えば、脂質を含む製剤と複合体化された核酸ベース薬を提供することにより、例えば、薬剤を免疫細胞に、薬剤の免疫細胞中への取り込みを可能にするのに十分な時間接触させることにより、核酸ベース薬を免疫細胞に送達する(または免疫細胞中の遺伝子を発現停止させる)方法を提供する。1つの実施形態では、対象の選択された区画、例えば、選択された組織または臓器の免疫細胞は、薬剤送達および遺伝子サイレンシングために標的とされる。1つの実施形態では、方法は、本明細書で記載される細胞型または区画に基づく選択性を提供するために、対象、核酸ベース薬、脂質含有製剤、または送達経路の1つ以上を選択することを含む。
核酸ベース薬は、例えば、RNAベースコンストラクト、例えば二本鎖RNA(dsRNA)、一本鎖RNA(ssRNA)、アンチセンスRNA、マイクロRNA、またはリボザイムである。1つの実施形態では、核酸ベース薬はdsRNAである。本明細書で記載される組成物、例えば、脂質含有製剤と複合体化された核酸ベース薬は、免疫細胞への、特に、対象の腹膜腔の免疫細胞内への増強された送達を有する。このように、特色とされる組成物は、自己免疫および炎症性障害の治療における使用に特に好適である。
特色とされる方法は、1つの細胞型または区画(例えば、組織または臓器)、あるいは細胞型/区画の組み合わせへの選択的送達を可能にする。
1つの実施形態では、方法は、例えば、細胞への侵入の測定、サイレンシングの測定、または対象における治療反応の検出により、選択的送達またはサイレンシングを確認することを含む。
本明細書で開示される方法は、インビトロ、インビボおよびエクスビボで使用することができる。
1つの実施形態では、治療薬、例えばdsRNAは、免疫細胞で発現される遺伝子、例えば、CD45、CD33、CDl1、CD25、CD8、CD29、CDl1(例えば、CDlIa、b、またはc)、CD19、CD69、CD33、CD122、IL−2、またはIL−6を標的とする。
別の実施形態では、第2のdsRNAが、免疫細胞中の遺伝子を標的とするように、例えば、優性効果を生成させるように、例として、発現停止された第2の標的遺伝子を有する細胞に、他の免疫細胞の活性に影響を与えさせるように投与される。いくつかの実施形態では、第2のdsRNAは、免疫応答の負の制御因子(例えば、PDL−I(CD274分子)、IL−1O(インターロイキン−10)、またはTGFβ(トランスフォーミング増殖因子β)遺伝子、例えば、TGFβl遺伝子またはTGFβ2遺伝子)を標的とする。別の実施形態では、第2のdsRNAは、活性炎症促進性刺激(例えば、TNFα(腫瘍壊死因子α)、IL−18、などを標的とする。
免疫細胞は対象の局所組織、例えば対象の腹膜腔、または骨髄中に存在し得る。免疫細胞は、例えば、白血球、例えばリンパ球とすることができる。免疫細胞は、例えば、マクロファージ、樹状細胞、単球、好中球、B細胞、T細胞(例えば、制御性T細胞(「Treg」)、またはナチュラルキラー(NK)細胞とすることができる。1つの実施形態では、免疫細胞は血流中に存在し、免疫細胞は、細胞が核酸ベースの治療薬を取り込んだ後対象の局所組織を標的にする。
1つの実施形態では、核酸ベース薬は、静脈内または腹腔内注射により対象(例えば、ほ乳類、例えばヒト)の免疫細胞に送達される。別の実施形態では、核酸ベース薬は、対象の特定の組織内の免疫細胞に、例えば対象の腹膜腔または骨髄に送達される。別の実施形態では、核酸ベース薬は対象の血流中の免疫細胞に送達され、その後、免疫細胞は、特定の組織、例えば腹膜腔、または骨髄あるいは炎症部位まで移動し、それにより取り込まれる。
別の実施形態では、核酸ベース薬は同時係属出願、2009年6月10日に出願されたU.S.S.N61/185,800号;2009年11月10日に出願されたPCT/US2009/063933号;2009年11月10日に出願されたPCT/US2009/063931号;2009年11月10日に出願されたPCT/US2009/063927号;2010年1月29日に出願されたPCT/US2010/22614号;および2010年1月28日に出願されたU.S.S.N.61/299291号において記載される脂質を含む製剤に複合体化される。これらの出願の各々の内容は、すべての目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
例えば、核酸ベース薬、例として、dsRNAは、ステロール;中性脂質;PEGまたはPEG修飾脂質;および下記からなる群より選択されるカチオン性脂質を有する製剤と複合体化させることができる:
(i)式(I)の構造を有する脂質、その塩または異性体
(式中、
cyは任意に置換された環状、任意に置換された複素環式もしくは複素環、任意に置換されたアリールまたは任意に置換されたヘテロアリールであり;
およびRはそれぞれ独立して各出現に対し任意に置換されたC10〜C30アルキル、任意に置換されたC10〜C30アルケニル、任意に置換されたC10〜C30アルキニル、任意に置換されたC10〜C30アシルまたは−リンカー−リガンドであり;
XおよびYはそれぞれ独立してOもしくはS、アルキルまたはN(Q);であり、および
QはH、アルキル、アシル、ω−アミノアルキル、ω−(置換)アミノアルキル、ω−ホスホアルキルまたはω−チオホスホアルキルである);
(ii)式(II)の構造を有する脂質
(式中、R10およびR20は独立してアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、それぞれ、任意で置換されることができ、R30およびR40は独立して低級アルキルであり、あるいは、R30およびR40は一緒になり任意に置換された複素環を形成することができる);
(iii)下記構造を有する脂質
(式中、各Rは独立してH、アルキル、
であり;
ただし、少なくとも1つのRは
であることを条件とし;
ここで、R100は、各出現に対し、独立してH、R103
であり、
ここでR103は、1つ以上の置換基で任意に置換され;
102は、各出現に対し、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニルであり;それらはそれぞれ、1つ以上の置換基で任意に置換され;
103は、各出現に対し、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニルであり;それらはそれぞれ、1つ以上の置換基で任意に置換され;
Yは、各出現に対し、独立してO、NR104、またはSであり;
104は、各出現に対し、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニルであり;それらはそれぞれ、1つ以上の置換基で任意に置換される)、ならびに
(iv)下記構造を有する脂質:
(式中、
およびRはそれぞれ独立して各出現に対し任意に置換されたC10〜C30アルキル、任意に置換されたC10〜C30アルコキシ、任意に置換されたC10〜C30アルケニル、任意に置換されたC10〜C30アルケニルオキシ、任意に置換されたC10〜C30アルキニル、任意に置換されたC10〜C30アルキニルオキシ、または任意に置換されたC10〜C30アシルであり;
Eは−O−、−S−、−N(Q)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)−、−N(Q)C(O)−、−C(O)N(Q)−、−N(Q)C(O)O−、−OC(O)N(Q)−、S(O)、−N(Q)S(O)2N(Q)−、−S(O)2−、−N(Q)S(O)2−、−SS−、−0−N=、=N−0−、−C(O)−N(Q)−N=、−N(Q)−N=、−N(Q)−O−、−C(O)S−、アリーレン、ヘテロアリーレン、シクロアルキレン、またはヘテロシクリレンであり;および
QはH、アルキル、ω−アミノアルキル、ω−(置換)アミノアルキル、ω−ホスホアルキルまたはω−チオホスホアルキルであり;
はH、任意に置換されたC〜C10アルキル、任意に置換されたC〜C10アルケニル、任意に置換されたC〜C10アルキニル、任意に置換されたアルキル複素環、任意に置換された複素環アルキル、任意に置換されたアルキルホスフェート、任意に置換されたホスホアルキル、任意に置換されたアルキルホスホロチオエート、任意に置換されたホスホロチオアルキル、任意に置換されたアルキルホスホロジチオエート、任意に置換されたホスホロジチオアルキル、任意に置換されたアルキルホスホネート、任意に置換されたホスホノアルキル、任意に置換されたアミノ、任意に置換されたアルキルアミノ、任意に置換されたジ(アルキル)アミノ、任意に置換されたアミノアルキル、任意に置換されたアルキルアミノアルキル、任意に置換されたジ(アルキル)アミノアルキル、任意に置換されたヒドロキシアルキル、任意に置換されたポリエチレングリコール(PEG、分子量100〜40K)、任意に置換されたmPEG(分子量120〜40K)、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換された複素環、またはリンカー−リガンドである)。
1つの実施形態では、式(V)の脂質は6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル4−(ジメチルアミノ)ブタノエート(「DLin−M−C3−DMA」、「MC3」、および「脂質M」とも呼ばれる)であり、下記構造を有する:
この実施形態では、RおよびRはどちらもリノレイルであり、EはC(O)Oであり、Rはジメチルアミノプロピルである。
1つの実施形態では方法は、下記のうちの1つ以上を可能にする:
a.腹膜B細胞、T細胞、マクロファージ、または樹状細胞における核酸ベース薬の優先送達または遺伝子サイレンシング;
b.骨髄Bおよび/またはT細胞への最小送達または遺伝子サイレンシング;
c.骨髄マクロファージまたは樹状細胞における優先送達または遺伝子サイレンシング;
d.脾臓B細胞またはマクロファージにおける優先送達または遺伝子サイレンシング;
e.パイエル板の細胞における最小送達または遺伝子サイレンシング;または
f.肝細胞への最小送達。
1つの実施形態では、方法は、肝臓またはパイエル板内のB細胞、T細胞、マクロファージ、または樹状細胞が、製剤と複合体化された薬剤の送達を免れ、または遺伝子サイレンシングを免れるように、核酸ベース薬の送達を提供する。
1つの実施形態では、本明細書で記載される脂質製剤と複合体化された核酸ベース薬の平均粒子サイズは、少なくとも直径約100nm(例えば、少なくとも直径約110nm、少なくとも直径約120nm、少なくとも直径約150nm、少なくとも直径約200nm、少なくとも直径約250nm、または少なくとも直径約300nm)である。
いくつかの実施形態では、粒子の多分散指数(PDI)は約0.5未満(例えば、約0.4未満、約0.3未満、約0.2未満、または約0.1未満)である。
1つの態様では、関節炎(例えば、関節リウマチまたはアテローム性動脈硬化)のような自己免疫障害を有する対象を治療する方法が提供される。方法は対象に脂質含有製剤と複合体化されたdsRNAを投与することを含み、dsRNAは免疫細胞で発現される遺伝子、例えば、マクロファージ中のCD45遺伝子を標的とする。
別の態様では、リポソームを調製する方法が提供される。方法は、ステロール、中性脂質、およびカチオン性脂質を含む混合物(混合物はPEGまたはPEG修飾脂質を実質的に含まない)を提供すること;任意で、混合物をリポソームの形成を可能にする条件下で維持すること(リポソームの平均直径は少なくとも100nmである);前記混合物にPEGまたはPEG修飾脂質を添加すること;によって、前記リポソームを調製することを含む。
本発明の1つ以上の実施形態の詳細を下記説明において記載する。本発明の他の特徴、目的および利点は説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
チオグリコレート−活性化マクロファージにおけるインビボでのLNP01 siRNA遺伝子サイレンシングの結果を示す。図1Aは、LNP01−siRNAの取込み後のマクロファージの蛍光標識細胞選別の結果を示すパネルである。図1Bは、CD45 siRNAによるマクロファージにおけるCD45遺伝子発現の下方制御を示すグラフである。 脾臓のB細胞、骨髄系細胞および樹状細胞におけるAlexa488−標識siRNAの取り込みを示すFACSスキャンのパネルである。 LNP01 siRNAはマクロファージに送達された(図3A、第3パネル)が、遺伝子発現のサイレンシングはなかったことを示す。AD−3176 siRNAは、ICAM2 RNAを標的とし、AD−1661 siRNAは、血清因子VII RNAを標的とする。 図4Aは、i.v.(静脈内)またはi.p.(腹腔内)注射により投与された場合のLNP08−製剤化siRNAの取り込みを示すFACSスキャンのパネルである。図4Bは、i.v.またはi.pによるLNP08−製剤化siRNAの投与後に腹膜腔から単離されたマクロファージおよび樹状細胞におけるCD45遺伝子発現の下方制御(「ノックダウン」またはKD)を示す棒グラフである。 図5Aおよび5Bは、i.v.(図5A)またはi.p.(図5B)により投与された場合、CD45およびルシフェラーゼLNP08 siRNAsが骨髄白血球により取り込まれたことを示すFACS分析である。図5Cは、LNP08 CD45 siRNAはi.v.またはi.p.投与後白血球において遺伝子発現を停止させたことを示す棒グラフである。 i.p.またはi.vによるLNP08 siRNA注射後の腹膜腔のリンパ球中のCD45レベルを示す棒グラフである。 i.p.またはi.vによるLNP08 siRNA注射後の脾臓細胞のリンパ球(図7A)および白血球(図7B)中のCD45レベルを示す棒グラフである。 i.p.またはi.vによるLNP08 siRNA注射後のパイエル板(図8A)または肝臓組織(図8B)由来の白血球(図7B)中のCD45レベルを示す棒グラフである。 脂質A−製剤化siRNAのi.v.投与後の腹膜腔、脾臓、骨髄(BM)および肝臓中のマクロファージおよび樹状細胞におけるCD45サイレンシングのレベルを示す棒グラフである。 図10Aおよび10Bは、腹膜腔のマクロファージ(図10A)および樹状細胞(図10B)への脂質A−製剤化CD45 siRNAの取り込みを示すFACS分析である。図10Cは腹膜腔のマクロファージおよび樹状細胞におけるCD45サイレンシングを示す棒グラフである。 図11Aおよび11Bは、異なる用量レベルでの腹膜腔のマクロファージ(図11A)および樹状細胞(図11B)への脂質A−製剤化CD45 siRNAの取り込みを示すFACS分析である。図11Cは様々な用量レベルでの腹膜腔のマクロファージおよび樹状細胞におけるCD45サイレンシングを示す棒グラフである。 腹膜腔、骨髄、脾臓および血液中のマクロファージ、単球、B細胞およびT細胞による脂質A−製剤化siRNAの取り込みの時間経過を示すFACSスキャンのパネルである。 血中単球、脾臓マクロファージ、および腹膜腔の大マクロファージによる脂質A−製剤化siRNAの取り込みの時間経過を示すグラフである。 i.v.投与後の骨髄(図14A)、脾臓(図14B)、血液(図14C)および腹膜腔(図14D)の単球およびマクロファージにおけるCD45 siRNAのサイレンシング効果を示す棒グラフである。 図15Aは、i.v.またはi.p.投与後の、脂質A−製剤化CD45およびルシフェラーゼsiRNAの取り込みを示すFACSスキャンのパネルであり、図15Bは、i.v.またはi.p.投与後の、白血球におけるCD45遺伝子発現の下方制御を示す棒グラフである。 i.p.またはi.v.による脂質T−製剤化siRNAの注射後の、腹膜腔のリンパ球におけるCD45レベルを示す棒グラフである。 図17AおよびBは、CD45およびルシフェラーゼ脂質T−製剤化siRNAは、i.v.(図17A)またはi.p.(図17B)により注射された場合、骨髄白血球により取り込まれたことを示すFACSスキャンである。図17Cは、骨髄白血球における脂質T−製剤化CD45 siRNAによるサイレンシングを示す棒グラフである。 i.p.またはi.v.によるマウスへの脂質T−製剤化siRNAの注射後の、肝臓(図18A)、脾臓(図18B)またはパイエル板の白血球におけるCD45レベルを示す棒グラフである。 様々な用量でのi.v.投与後の、腹膜腔のマクロファージにおける脂質T−製剤化siRNAの用量依存取り込み(図19A)および遺伝子サイレンシング(図19B)を示す。 様々な用量でのi.v.投与後の、脾臓のマクロファージおよび樹状細胞における脂質T−製剤化siRNAの取り込み(図20A)および遺伝子サイレンシング(図20B)を示す。 図21Aは、様々な脂質A−製剤化CD45 siRNAの注射後の、マクロファージおよび樹状細胞におけるCD45サイレンシングを示す棒グラフである。図21Bは、様々な脂質A−製剤化FVII siRNAの注射後の、肝臓におけるFVII サイレンシングを示す棒グラフである。 様々な脂質A組成物を用いて製剤化されたsiRNAの注射後の、肝臓におけるFVIIノックダウンおよびマクロファージ(図22A)または樹状細胞(図22B)におけるCD45ノックダウンを比較する相関プロットである。 図23Aおよび23Bはリポソームサイズ(図23A)および多分散指数(PDI)により測定されるサイズ分布(図23B)に対するインキュベーション時間の効果を示すグラフである。図23Cは、リポソーム融合反応の開始後の指示された時間で収集されたリポソームのサイズ分布プロファイルを示すグラフである。 図24Aは、様々な粒子サイズを有する脂質A−製剤化FVII siRNAの注射後の、肝臓におけるFVIIサイレンシングを示す棒グラフである。図24Bは、様々な粒子サイズを有する脂質A−製剤化CD45 siRNAの注射後の、腹膜細胞におけるCD45サイレンシングを示す棒グラフである。図24Cは、様々な粒子サイズを有する脂質A−製剤化CD45 siRNAの注射後の、脾細胞におけるCD45サイレンシングを示す棒グラフである。図24Dは、様々な粒子サイズを有する脂質A−製剤化siRNAsの注射後の、肝臓におけるFVIIサイレンシングおよびマクロファージにおけるCD45サイレンシングを比較した相関プロットである。 LNP−01(図25A)またはLNP08(図25B)を用いて製剤化された場合の、インビトロでの初代マクロファージにおけるCD45の用量依存サイレンシングを示す棒グラフである。 siRNAがLNP08を用いて製剤化された場合の、腹膜腔のマクロファージおよび樹状細胞におけるCD45発現の用量依存サイレンシングを示す棒グラフである。 図27Aおよび27Bは、マクロファージおよび樹状細胞による脂質M−製剤化siRNAの取り込みを示すFACS分析である。図27Cは、脂質M−製剤化siRNAによる用量依存サイレンシングを示す棒グラフである。 腹膜腔(図28A)、脾臓(図28B)、骨髄(図28C)、または肝臓(図28D)の細胞による、脂質A−(XTC)または脂質M−(MC3−)製剤化siRNAの複数回投与後のCD45サイレンシングを示す棒グラフである。
本発明は、例えば、脂質含有製剤と複合体化された核酸ベース薬、例えば治療薬を提供し、薬剤を免疫細胞に、薬剤の免疫細胞への取り込みを可能にするのに十分な時間接触させることにより、核酸ベース薬を免疫細胞に送達する方法を提供する。核酸ベース薬は、例えば、RNAベースコンストラクト、例えば二本鎖RNA(dsRNA)、アンチセンスRNA、マイクロRNA、またはリボザイムである。
脂質製剤
本明細書で開示される組成物、すなわち、脂質製剤(脂質含有製剤とも呼ばれる)と複合体化された核酸ベース薬を含む組成物は、核酸ベース薬を免疫細胞、例えば対象内の免疫細胞に送達するのに好適である。送達方法は、薬剤、例えば、dsRNAを含む組成物を動物に投与すること、任意で、免疫細胞において標的遺伝子の発現を評価することを含む。典型的には、核酸ベース薬および脂質製剤を含む組成物は免疫細胞に、核酸が脂質製剤と複合体化されていない場合よりも大きな程度まで取り込まれる。例えば、薬剤の免疫細胞への取り込みは、薬剤が脂質製剤と複合体化されていない場合よりも少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%以上)である。
免疫細胞を標的とする組成物に好適な脂質製剤としては、式Aのカチオン性脂質、中性脂質、ステロールおよびPEGまたはPEG修飾脂質を有する製剤が挙げられ、ここで、式Aは、
であり、式中、RおよびRは独立してアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、それぞれ任意に置換することができ、RおよびRは独立して低級アルキルであり、またはRおよびRは一緒になり任意に置換された複素環を形成する。1つの実施形態では、RおよびRはオレオイル、パミトイル、ステロイル、リノレイルから独立して選択され、RおよびRはメチルである。別の実施形態では、RおよびRはオレオイル、パミトイル、ステロイル、リノレイルから独立して選択され、RおよびRはメチルである。
1つの実施形態では、式Aの脂質は2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(脂質AまたはXTCとも呼ばれる)であり、下記構造を有する:
1つの実施形態では、製剤は10〜75%の式Aのカチオン性脂質、0.5〜50%の中性脂質、5〜60%のステロール、および0.1〜20%のPEGまたはPEG修飾脂質を含む。
別の実施形態では、製剤は25〜75%の式Aのカチオン性脂質、0.5〜15%の中性脂質、5〜50%のステロール、および0.5〜20%のPEGまたはPEG修飾脂質を含む。
別の実施形態では、製剤は35〜65%の式Aのカチオン性脂質、3〜12%の中性脂質、15〜45%のステロール、および0.5〜10%のPEGまたはPEG修飾脂質を含む。
さらに別の実施形態では、製剤は45〜65%の式Aのカチオン性脂質、5〜10%の中性脂質、25〜40%のステロール、および0.5〜5%のPEGまたはPEG修飾脂質を含む。
1つの実施形態では、製剤は10〜50%の式Aのカチオン性脂質、10〜50%の中性脂質、20〜50%のステロール、および0.5〜15%のPEGまたはPEG修飾脂質を含む。
1つの実施形態では、製剤は20〜40%の式Aのカチオン性脂質、20〜40%の中性脂質、25〜45%のステロール、および0.5〜5%のPEGまたはPEG修飾脂質を含む。
1つの実施形態では、製剤は25〜35%の式Aのカチオン性脂質、25〜35%の中性脂質、35〜45%のステロール、および1〜2%のPEGまたはPEG修飾脂質を含む。
1つの実施形態では、製剤は約30%の式Aのカチオン性脂質、30%の中性脂質、38.5%のステロール、および0.5%のPEGまたはPEG修飾脂質を含む。1つの実施形態では、カチオン性脂質は脂質Aであり、中性脂質はDSPC(ジステアロイルホスファチジルコリン)であり、ステロールはコレステロールであり、PEG(ポリエチレングリコール)脂質はPEG−DMGまたはPEG−DSGである。いくつかの実施形態では、PEGはPEG−Cerl4またはPEG−Cerl8である。
1つの実施形態では、製剤は25〜35%の式Aのカチオン性脂質、25〜35%の中性脂質、25〜35%のステロール、および5〜15%のPEGまたはPEG修飾脂質を含む。
1つの実施形態では、製剤は約30%の式Aのカチオン性脂質、30%の中性脂質、30%のステロール、および10%のPEGまたはPEG修飾脂質を含む。1つの実施形態では、カチオン性脂質は脂質Aであり、中性脂質はDSPC(ジステアロイルホスファチジルコリン)であり、ステロールはコレステロールであり、PEG(ポリエチレングリコール)脂質はPEG−Cerl4またはPEG−Cerl8である。いくつかの実施形態では、PEGはPEG−Cerl8である。
別の実施形態では、製剤は約60%の式Aのカチオン性脂質、約7.5%の中性脂質、約31%のステロール、および約1.5%のPEGまたはPEG修飾脂質を含む。1つの実施形態では、式Aのカチオン性脂質は2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソランであり、中性脂質はDSPC(ジステアロイルホスファチジルコリン)であり、ステロールはコレステロールであり、PEG(ポリエチレングリコール)脂質はPEG−DMG(l−(モノメトキシポリエチレングリコール)−2,3−ジミリストイルグリセロール)であり、ここで、PEGは約2,000の平均分子量を有する。
別の実施形態では、製剤は約57.5%の式Aのカチオン性脂質、約7.5%の中性脂質、約31.5%のステロール、および約3.5%のPEGまたはPEG修飾脂質を含む。1つの実施形態では、式Aのカチオン性脂質は脂質A(2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン)であり、中性脂質はDSPCであり、ステロールはコレステロールであり、PEG脂質はPEG−DMGである。
1つの実施形態では、脂質:dsRNAの比は少なくとも約0.5、少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6である。1つの実施形態では、脂質:siRNAの比は約1〜約20、約3〜約15、約4〜約15、約5〜約13の間である。1つの実施形態では、脂質:siRNAの比は、約0.5〜約12の間である。
1つの実施形態では、本明細書で記載される脂質製剤と複合体化された核酸ベース薬の平均粒子サイズは、少なくとも直径約100nm(例えば、少なくとも直径約110nm、少なくとも直径約120nm、少なくとも直径約150nm、少なくとも直径約200nm、少なくとも直径約250nm、または少なくとも直径約300nm)である。
いくつかの実施形態では、粒子の多分散指数(PDI)は約0.5未満(例えば、約0.4未満、約0.3未満、約0.2未満、または約0.1未満)である。
1つの実施形態では、核酸ベース薬と複合体化させるのに好適な脂質製剤は、押出法、インライン混合法、または本明細書で記載される任意の方法により生成される。
押出法(プレフォームド法またはバッチプロセスとも呼ばれる)は、空のリポソーム(すなわち核酸なし)を最初に調製し、続いて、空のリポソームに核酸を添加する方法である。小細孔ポリカーボネート膜または非対称セラミック膜を通してリポソーム組成物を押し出すと、比較的明確なサイズ分布が得られる。典型的には、懸濁液は、所望のリポソーム複合体サイズ分布が達成されるまで、1度以上膜を通して循環される。リポソームは連続してより小さな細孔の膜を通して押し出すことができ、リポソームサイズの段階的な減少が達成される。場合によっては、形成される脂質−核酸組成物は、いずれのサイジングなしで使用することができる。これらの方法は、U.S.5,008,050号;US4,927,637号;US4,737,323号;Biochim Biophys Acta. 1979 Oct 19;557(l):9-23; Biochim Biophys Acta. 1980 Oct 2;601(3):559-7; Biochim Biophys Acta. 1986 Jun 13;858(l):161-8;およびBiochim. Biophys. Acta 1985 812, 55-65において開示されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
インライン混合法は、脂質および核酸の両方が並行して混合チャンバに添加される方法である。混合チャンバは単純なT−コネクタまたは、当業者に知られている任意の他の混合チャンバとすることができる。これらの方法は、米国特許第6,534,018号およびU.S.6,855,277号;U.S.公開2007/0042031号およびPharmaceuticals Research, Vol. 22, No. 3, Mar. 2005, p. 362-372において開示されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、リポソームは少なくとも約100nmの平均直径を有する粒子の形成を可能にする方法を使用して調製することができる。方法は、ステロール、中性脂質、およびカチオン性脂質を含む混合物(混合物はPEGまたはPEG修飾脂質を実質的に含まない)を提供すること;任意で、混合物をリポソームの形成を可能にする条件下で維持すること(リポソームの平均直径は少なくとも100nmである);ならびに、前記混合物にPEGまたはPEG修飾脂質を添加すること;によって、前記リポソームを調製することを含む。
いくつかの実施形態では、方法はまた、核酸(例えば、本明細書で記載される核酸)をリポソーム中に組み込み、核酸含有薬を形成させることを含む。核酸は一本鎖または二本鎖核酸とすることができる。核酸は、本明細書で記載されるRNA干渉核酸を含むことができる。
いくつかの実施形態では、リポソームの形成を可能にする条件は、いくつかあるパラメータの中で特に、pH、イオン強度および/またはナトリウム濃度、温度の調節を含む。いくつかの実施形態では、混合物のpHは酸性である(例えば、混合物中のカチオン性脂質は本質的にプロトン化されている)。いくつかの実施形態では、混合物のpHは、カチオン性脂質のpKaより低い(例えば、カチオン性脂質より少なくとも1.0低い)。いくつかの実施形態では、pHは約5.5未満である(例えば、約5.2、約4.8、約3.2または約3.0)。
いくつかの実施形態では、混合物約50mM未満(例えば、約25mM以下、約15mM以下、または約10mM以下)のナトリウムなどのカチオン濃度を有する。
いくつかの実施形態では、混合物はプロトン性溶媒、例えばエタノールを含む。
例示的なカチオン性脂質としては本明細書で記載されるもの、例えば、式I〜IVのいずれかのカチオン性脂質が挙げられる。いくつかの実施形態では、カチオン性脂質は脂質Aを含む。例示的な中性脂質としては、本明細書で記載される任意の中性脂質、例えばDSPCが挙げられる。例示的なステロールとしては、本明細書で記載される任意のステロール、例えばコレステロールが挙げられる。
いくつかの実施形態では、方法は、例えば、リポソームの形成を可能にする条件下で維持した後、PEG修飾脂質、例えば本明細書で記載されるPEG修飾脂質(例えば、PEG−DMG、PEG−DSG、PEG−CerC14またはPEG−CerC18)を含有させることを含み、ここで、リポソームの平均直径は少なくとも100nm(例えば、少なくとも150nm、少なくとも200nm、少なくとも250nm、または少なくとも300nm)である。
ステロール、中性脂質、カチオン性脂質、およびPEGまたはPEG修飾脂質の相対比は一般に本明細書で記載される通りである。リポソームが核酸(例えば、核酸ベース薬)を含む場合でも、成分比は、一般に本明細書で記載される通りである。
1つの実施形態では、リポソーム(核酸を含むか、または含まないかのいずれか)の平均粒子サイズは、少なくとも直径約100nm(例えば、少なくとも直径約110nm、少なくとも直径約120nm、少なくとも直径約150nm、少なくとも直径約200nm、少なくとも直径約250nm、または少なくとも直径約300nm)である。
いくつかの実施形態では、リポソームの多分散指数(PDI)は約0.5未満(例えば、約0.4未満、約0.3未満、約0.2未満、または約0.1未満)である。いくつかの実施形態では、リポソームの平均粒子サイズは、少なくとも直径約100nm、例えば、少なくとも直径約110nm、少なくとも直径約120nm、少なくとも直径約150nm、少なくとも直径約200nm、少なくとも直径約250nm、または少なくとも直径約300nm)であり、PDIは、約0.5未満(例えば、約0.4未満、約0.3未満、約0.2未満、または約0.1未満)である。本発明の製剤は、当業者に知られている任意の方法により調製することができることが、さらに理解される。
さらなる実施形態では、押出法により調製された代表的な製剤は、表1に描出され、ここで、脂質Aは式Aの化合物であり、式中RおよびRはリノレイルであり、RおよびRはメチルである:
さらなる実施形態では、インライン混合法により調製された代表的な製剤は、表2に描出され、ここで、脂質Aは式Aの化合物であり、式中RおよびRはリノレイルであり、RおよびRはメチルである:
1つの実施形態では、脂質製剤は、少なくとも75%、少なくとも80%または少なくとも90%封入される。
いくつかの実施形態では、表1または表2中の製剤の脂質Aは、別の脂質、例えば脂質Tまたは脂質Mと置換される。
さらに別の実施形態では、核酸ベース薬と複合体化された製剤は、下記で記載されるように、LNP05、LNP06、LNP07、LNP08、またはLNP09を含む:
1つの実施形態では、脂質含有製剤はさらに、アポリポタンパク質を含む。本明細書では、「アポリポタンパク質」または「リポタンパク質」は、当業者に知られているアポリポタンパク質ならびにそれらの変異体および断片、およびアポリポタンパク質作動薬、類似体または下記で記載されるそれらの断片を示す。
脂質製剤の他の好適な実施形態は、同時係属出願である、2009年4月21日に出願されたU.S.S.N.61/171,439号、;2009年3月2日に出願されたU.S.S.N.61/156,851号および2009年5月5日に出願されたU.S.S.N.61/175,770号において開示されている。これらの仮出願の各々の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
1つの態様では、核酸ベース薬は構造
を有する脂質粒子と複合体化され、式中、cyは任意に置換された環状、任意に置換された複素環式もしくは複素環、任意に置換されたアリールまたは任意に置換されたヘテロアリールであり;RおよびRはそれぞれ独立して各出現に対し任意に置換されたC10〜C30アルキル、任意に置換されたC10〜C30アルケニル、任意に置換されたC10〜C30アルキニル、任意に置換されたC10〜C30アシルまたは−リンカー−リガンドであり;XおよびYはそれぞれ独立してOもしくはS、アルキルまたはN(Q)であり、;および、QはH、アルキル、アシル、アルキル、アシル、アルキルアミノ またはアルキルホスフェートである。
1つの実施形態では、核酸ベース薬は、中性脂質および粒子凝集を低減させることができる脂質を有する脂質粒子と複合体化される。1つの実施形態では、脂質粒子は本質的には(i)少なくとも1つの本発明の脂質;(ii)DSPC、DPPC、POPC、DOPEおよびSMから選択される中性脂質;(iii)ステロール、例えばコレステロール;ならびに(iv)peg−脂質、例えばPEG−DMGまたはPEG−DMAから、約20〜60%カチオン性脂質:5〜25%中性脂質:25〜55%ステロール:0.5〜15%PEG−脂質のモル比で構成される。1つの実施形態では、脂質は光学的に純粋である。
いくつかの実施形態では、脂質設計は、様々なpKaを有する頭部基、カチオン性、1°、2°および3°、モノアミン、ジおよびトリアミン、オリゴアミン/ポリアミン、低pKa頭部基−イミダゾールおよびピリジン、グアニジンを有し、アニオン性、両性イオンおよび疎水性尾部は、対称および非対称鎖、より長いおよびより短い、飽和および不飽和鎖を含み、骨格は、骨格グリセリドおよび他の非環式類似体、エーテル、エステル、ホスフェートおよび類似体、スルホネートおよび類似体との環状、スピロ、二環状および多環状結合、ジスルフィド、アセタールおよびケタールのようなpH感受性結合、イミンおよびヒドラゾン、およびオキシムを含む。
1つの実施形態では、カチオン性脂質は、構造
を有し、式中、
およびRはそれぞれ独立して各出現に対し任意に置換されたC10〜C30アルキル、任意に置換されたC10〜C30アルケニル、任意に置換されたC10〜C30アルキニル、任意に置換されたC10〜C30アシルまたは−リンカー−リガンドであり;
XおよびYはそれぞれ独立してOもしくはS、アルキルまたはN(Q)であり;
QはH、アルキル、アシル、アルキルアミノまたはアルキルホスフェートであり;および
およびRはそれぞれ独立してH、R、−Z’−R、−(A−Z’−R、アシル、スルホネートまたは
であり;
は独立して各出現に対しOまたはSであり;
は独立して各出現に対しO、S、N(Q)、アルキルまたはアルコキシであり;
QはH、アルキル、ω−アミノアルキル、ω−(置換)アミノアルキル、ω−ホスホアルキルまたはω−チオホスホアルキルであり;
、A、およびAはそれぞれ独立してO、S、CH、CHFまたはCFであり;
Z’はO、S、N(Q)またはアルキルであり;
iおよびjは独立して0〜10であり;ならびに
はH、任意に置換されたC〜C10アルキル、任意に置換されたC〜C10アルケニル、任意に置換されたC〜C10アルケニル、アルキル複素環、アルキルホスフェート、アルキルホスホロチオエート、アルキルホスホネート、アルキルアミン、ヒドロキシアルキル、ω−アミノアルキル、ω−(置換)アミノアルキル、ω−ホスホアルキル、ω−チオホスホアルキル、ポリエチレングリコール(PEG、分子量100〜40K)、mPEG(分子量120〜40K)、ヘテロアリール、複素環またはリンカー−リガンドである。
脂質製剤の他の好適な実施形態は、同時係属出願である、2009年4月21日に出願されたU.S.S.N.61/171,439号、または2009年7月15日に出願されたU.S.S.N.61/225,898号において開示されており、これらの内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
別の実施形態では、核酸ベース薬と複合体化させるのに好適な製剤は脂質T(LNP12、C12−200、またはTechGlとも呼ばれる)を含む。脂質Tは、例えば、Love et al. "Lipid-like materials for low-dose, in vivo gene silencing" Proc Natl Acad Sci U S A. 2010 107:1864-9(参照により組み込まれる)において記載される。
さらなる実施形態では、核酸ベース薬と複合体化させるために、押出法またはインライン混合法により調製された代表的な製剤が、表3に描出されており、ここで、脂質Tは
またはそれらの組み合わせである。
1つの実施形態では、脂質を含み、核酸ベース薬と複合体化される製剤はステロール;中性脂質;PEGまたはPEG修飾脂質;および式(I)のカチオン性脂質を含むことができ、
式中、
各XおよびXは、各出現に対し、独立してC1〜6アルキレンであり;
nは0、1、2、3、4、または5であり;
Aは各出現に対しNRまたは1〜3つのRで任意に置換された環状部分であり;
BはNRまたは1〜2つのRで任意に置換された環状部分であり;
各Rは独立してH、アルキル、
であり;
ただし、少なくとも1つのRは
であることを条件とし;
は、各出現に対し、独立してH、R
であり、
は、各出現に対し、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニルであり;それらはそれぞれ、1つ以上の置換基で任意に置換され;
は、各出現に対し、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニルであり;それらはそれぞれ、1つ以上の置換基(例えば、親水性置換基)で任意に置換され;
Yは、各出現に対し、独立してO、NR、またはSであり;
は、各出現に対し、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニルであり;それらはそれぞれ、1つ以上の置換基で任意に置換される。
1つの実施形態では、式(I)の化合物は、少なくとも2または3つの窒素を含み、別の実施形態では、nは1、2、または3である。別の実施形態では、少なくとも1つのAは環状部分、例えば窒素含有環状部分、ピペリジニル(piperidinyl)またはピペリジニル(piperizinyl)部分である。別の実施形態では、少なくとも1つのBは環状部分、例えば、窒素含有環状部分である。別の実施形態では、少なくとも1つのBはピペリジニル(piperidinyl)またはピペリジニル(piperizinyl)部分である。
1つの実施形態では、製剤はステロール;PEGまたはPEG修飾脂質、中性脂質および式(II)のカチオン性脂質を含み:
式(II)
各XおよびXは、各出現に対し、独立してC1〜6アルキレンであり;
nは0、1、2、3、4、または5であり;
各Rは独立してH、アルキル、
であり、
あるいは2つのRはそれらに結合している窒素と一緒になり環を形成し;
ただし、少なくとも1つのRは
であることを条件とし;
は、各出現に対し、独立してH、R
であり;
式中、Rは1つ以上の置換基で任意に置換され;
は、各出現に対し、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニルであり;それらはそれぞれ、1つ以上の置換基で任意に置換され;
は、各出現に対し、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニルであり;それらはそれぞれ、1つ以上の置換基(例えば、親水性置換基)で任意に置換され;
Yは、各出現に対し、独立してO、NR、またはSであり;
は、各出現に対し、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニルであり;それらはそれぞれ、1つ以上の置換基で任意に置換される。
別の実施形態では、脂質を含み、核酸ベース薬と複合体化される製剤はステロール;中性脂質;PEGまたはPEG修飾脂質;および式(III)、(VI)の化合物またはその混合物を含み
式中、各Rは独立してH、アルキル、
であり;
ただし、少なくとも1つのRは
であることを条件とし;
式中、Rは、各出現に対し、独立してH、R
であり;
式中、Rは1つ以上の置換基で任意に置換され;
は、各出現に対し、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニルであり;それらはそれぞれ、1つ以上の置換基で任意に置換され;
は、各出現に対し、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニルであり;それらはそれぞれ、1つ以上の置換基で任意に置換され;
Yは、各出現に対し、独立してO、NR、またはSであり;
は、各出現に対し、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニルであり;それらはそれぞれ、1つ以上の置換基で任意に置換される。
1つの実施形態では、製剤は脂質Tを含む。脂質Tは、ステロール;中性脂質;PEGまたはPEG修飾脂質;および式(III)、(VI)の化合物またはその混合物を含み、
式中、各Rは独立してH、アルキル、
であり;
ただし、少なくとも1つのRは
であることを条件とし;
式中、Rは、各出現に対し、独立してH、R
であり;
式中、Rは1つ以上の置換基で任意に置換され;
は、各出現に対し、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニルであり;それらはそれぞれ、1つ以上の置換基で任意に置換され;
は、各出現に対し、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニルであり;それらはそれぞれ、1つ以上の置換基で任意に置換され;
Yは、各出現に対し、独立してO、NR、またはSであり;
は、各出現に対し、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニルであり;それらはそれぞれ、1つ以上の置換基で任意に置換され;
ならびに、下記式(V)もしくは式(VI)の化合物、または下記式(V)および式(VI)の混合物を含む組成物である。
1つの実施形態では、本明細書で記載される脂質製剤と複合体化された核酸ベース薬の平均粒子サイズは、少なくとも直径約100nm(例えば、少なくとも直径約110nm、少なくとも直径約120nm、少なくとも直径約150nm、少なくとも直径約200nm、少なくとも直径約250nm、または少なくとも直径約300nm)である。
別の実施形態では、脂質を含む製剤は、式(V)の化合物、下記式の化合物を含み:
式中、
およびRはそれぞれ独立して各出現に対し任意に置換されたC10〜C30アルキル、任意に置換されたC10〜C30アルコキシ、任意に置換されたC10〜C30アルケニル、任意に置換されたC10〜C30アルケニルオキシ、任意に置換されたC10〜C30アルキニル、任意に置換されたC10〜C30アルキニルオキシ、または任意に置換されたC10〜C30アシルであり;
Eは−O−、−S−、−N(Q)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)−、−N(Q)C(O)−、−C(O)N(Q)−、−N(Q)C(O)O−、−OC(O)N(Q)−、S(O)、−N(Q)S(O)N(Q)−、−S(O)−、−N(Q)S(O)−、−SS−、−0−N=、=N−0−、−C(O)−N(Q)−N=、−N(Q)−N=、−N(Q)−O−、−C(O)S−、アリーレン、ヘテロアリーレン、シクロアルキレン、またはヘテロシクリレンであり;および
QはH、アルキル、ω−アミノアルキル、ω−(置換)アミノアルキル、ω−ホスホアルキルまたはω−チオホスホアルキルであり;
はH、任意に置換されたC〜C10アルキル、任意に置換されたC〜C10アルケニル、任意に置換されたC〜C10アルキニル、任意に置換されたアルキル複素環、任意に置換された複素環アルキル、任意に置換されたアルキルホスフェート、任意に置換されたホスホアルキル、任意に置換されたアルキルホスホロチオエート、任意に置換されたホスホロチオアルキル、任意に置換されたアルキルホスホロジチオエート、任意に置換されたホスホロジチオアルキル、任意に置換されたアルキルホスホネート、任意に置換されたホスホノアルキル、任意に置換されたアミノ、任意に置換されたアルキルアミノ、任意に置換されたジ(アルキル)アミノ、任意に置換されたアミノアルキル、任意に置換されたアルキルアミノアルキル、任意に置換されたジ(アルキル)アミノアルキル、任意に置換されたヒドロキシアルキル、任意に置換されたポリエチレングリコール(PEG、分子量100〜40K)、任意に置換されたmPEG(分子量120〜40K)、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換された複素環、またはリンカー−リガンドである。
1つの実施形態では、式(V)の脂質は6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル4−(ジメチルアミノ)ブタノエート(「DLin−M−C3−DMA」、「MC3」、および「脂質M」とも呼ばれる)であり、下記構造を有する:
この実施形態では、
およびRはどちらもリノレイルであり、EはC(O)Oであり、Rはジメチルアミノプロピルである。
1つの実施形態では、脂質はラセミ混合物である。
1つの実施形態では、脂質は1つのジアステレオマーに富み、例えば、脂質は少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも80%または少なくとも70%ジアステレオマー過剰である。
1つの実施形態では、脂質はキラルに純粋であり、例えば単一異性体である。
1つの実施形態では、脂質は1つの異性体に富む。
1つの実施形態では、本発明の製剤は少なくとも75%、少なくとも80%または少なくとも90%封入される。
免疫細胞で発現される標的遺伝子
本明細書で記載される組成物、例えば、脂質含有製剤と複合体化される核酸ベース薬は、増強された免疫細胞への取り込みにより特徴づけられる。このように、核酸ベース薬(例えば、dsRNA)の標的遺伝子は、典型的には免疫細胞で発現される遺伝子である。例えば、標的遺伝子はCD33、CD4、CD25、CD8、CD29、CD11(例えば、CD11a、b、およびc)、CD19、CD40、CD31、CD45、CD38、CD116、CD28、NK1.1、TCR−β、GR−I、CD69、CD122、IL−2、またはIL−6とすることができる。
標的遺伝子、例えばCD45の発現の効果は、生物試料、例えば血液、血清、尿または組織試料中のCD45レベルを測定することにより評価される。1つの実施形態では、患者、例えば、関節炎を有する患者の滑液由来の標的遺伝子発現レベルがアッセイされる。
1つの実施形態では、腹膜腔由来の細胞中のmRNAレベルが評価される。別の実施形態では、少なくとも2つの型の評価が実施され、例えば、タンパク質レベルの評価(例えば、血液中)、およびmRNAレベルの測定(例えば、腹膜腔由来の細胞中)の両方が実施される。
別の実施形態では、核酸ベース薬および脂質含有製剤を含む組成物が免疫細胞、例えば白血球、例として、リンパ球、例えばB細胞またはT細胞により取り込まれる。組成物は、例えば、マクロファージ、樹状細胞、制御性T細胞(Treg)、NK(ナチュラルキラー)細胞、単球、骨髄系細胞、顆粒球、または好中球により吸収される。他の実施形態では、組成物は、例えば、[CD5CD11細胞](例えば、T細胞);[CD19IgM細胞]または[CD19IgD細胞](例えば、B細胞);CD5CD11bCD11c細胞](例えば、骨髄系細胞);または[CD5CD11bCD11c細胞](例えば、樹状細胞)により取り込まれる。いくつかの実施形態では、組成物はCD11b細胞、例えば、マクロファージもしくは顆粒球、またはCD11c細胞により取り込まれる。別の実施形態では、コンストラクトの核酸ベース薬、例えばdsRNA、は、免疫細胞において発現される遺伝子、例えば、CD45遺伝子の発現を阻止する。
本明細書で記載される組成物の増強された取り込みを有する免疫細胞は腹膜腔または骨髄中に存在することができる。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、例えば血漿または血液中の循環細胞であり、他の実施形態では、あるいはさらに、標的免疫細胞は、脾臓、または肝臓中に存在する。他の実施形態では、脂質組成物の増強された取り込みを有する免疫細胞は、炎症部位、例えば関節炎関節に存在する。典型的には、組成物は、腹膜腔内の免疫細胞、例えばマクロファージおよび樹状細胞において増強された取り込みを示す。
1つの実施形態では、候補の核酸ベース薬の投与後様々な時間点で、生物試料、例えば流体試料、例として、血液、血漿、もしくは血清、または組織試料が被験体からとられ、標的タンパク質またはmRNA発現レベルに対する薬剤の効果について試験される。例えば、1つの実施形態では、候補薬剤はCD45を標的とするdsRNAであり、生物試料は、CD45タンパク質またはmRNAレベルに対する効果について試験される。1つの実施形態では、CD45タンパク質の血漿レベルは、例えば、免疫組織化学アッセイまたは発色アッセイを使用してアッセイされる。別の実施形態では、例えば、腹膜腔または骨髄の細胞由来のCD45mRNAレベルは、アッセイ、例えば分岐DNAアッセイ、またはノーザンブロットまたはRT−PCRアッセイにより試験される。
1つの実施形態では、組成物、例えば脂質製剤と複合体化された核酸ベース薬は毒性について評価される。さらに別の実施形態では、組成物で処置された対象は、身体的効果について、例えば、体重またはケージサイド挙動の変化によりモニタすることができる。1つの実施形態では、関節炎を有する患者の滑液は罹患組織の滑液中のマクロファージの数の減少に対してモニタされる。
核酸ベース薬
本明細書で記載される組成物、例えば、本明細書で記載される脂質−製剤化組成物において使用するのに好適な核酸ベース薬としては、一本鎖DNAもしくはRNA、または二本鎖DNAもしくはRNA、またはDNA−RNAハイブリッドが挙げられる。例えば、二本鎖DNAは構造遺伝子、調節および終結領域を含む遺伝子、または自己複製系例えばウイルスまたはプラスミドDNAとすることができる。二本鎖RNAは、例えばdsRNAまたは別のRNA干渉試薬とすることができる。一本鎖核酸は、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、マイクロRNA、または三本鎖形成オリゴヌクレオチドとすることができる。免疫賦活性オリゴヌクレオチドまたは三本鎖形成オリゴヌクレオチドもまた、免疫細胞へのターゲティングを増強するのに有用な組成物において使用するのに好適である。これらの薬剤はまた、下でより詳細に記載される。
本明細書では「アルキル」は1〜24個の炭素原子を含む直鎖または分枝、非環状または環状、飽和脂肪族炭化水素を意味する。代表的な飽和直鎖アルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、などが挙げられ;一方、飽和分枝アルキルとしては、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチル、などが挙げられる。代表的な飽和環状アルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、などが挙げられ;一方、不飽和環状アルキルとしては、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニル、などが挙げられる。
「アルケニル」は隣接する炭素原子間の少なくとも1つの二重結合を含む、上で定義されるアルキルを意味する。アルケニルは、cisおよびtrans異性体の両方を含む。代表的な直鎖および分枝アルケニルとしてはエチレニル、プロピレニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル、などが挙げられる。
「アルキニル」はさらに、隣接する炭素原子間の少なくとも1つの三重結合を含む、上で定義される任意のアルキルまたはアルケニルを意味する。代表的な直鎖および分枝アルキニルとしては、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ブチニルなどが挙げられる。
「アシル」は下で定義されるように、結合点の炭素がオキソ基で置換された、任意のアルキル、アルケニル、またはアルキニルを意味する。例えば、−C(=O)アルキル、−C(=O)アルケニル、および−C(=O)アルキニルはアシル基である。
「複素環」は、飽和、不飽和、または芳香族のいずれかであり、1または2つの、窒素、酸素および硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を含む、5〜7員単環または7〜10員二環状複素環を意味し、ここで、窒素および硫黄ヘテロ原子は、任意で酸化されてもよく、窒素ヘテロ原子は任意で四級化されてもよく、上記複素環のいずれかがベンゼン環に縮合された二環状環が含まれる。複素環はいずれのヘテロ原子または炭素原子を介して結合されてもよい。複素環は、下で定義されるヘテロアリーを含む。複素環としては、モルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizynyl)、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロプリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、などが挙げられる。
「任意に置換されたアルキル」「任意に置換されたアルケニル」「任意に置換されたアルキニル」「任意に置換されたアシル」および「任意に置換された複素環」という用語は、置換される場合、少なくとも1つの水素原子が、置換基と置換されることを意味する。オキソ置換基(=0)の場合、2つの水素原子が置換される。この点において、置換基としては、オキソ、ハロゲン、複素環、−CN、−OR、−NR、−NRC(=0)R、−NRS0、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=0)NR、−SOおよび−SONR(式中、nは0、1または2である)が挙げられ、RおよびRは同じかまたは異なり、独立して水素、アルキルまたは複素環であり、前記アルキルおよび複素環置換基はそれぞれ、1つ以上のオキソ、ハロゲン、−OH、−CN、アルキル、−OR、複素環、−NR、−NRC(=0)R−NRSO、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=0)NR、−SOおよび−SONRで、さらに置換され得る。
「ハロゲン」はフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。
いくつかの実施形態では、核酸ベース薬と共に使用するための脂質製剤は、保護基の使用を必要とし得る。保護基方法は当業者によく知られている(例えば、PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS, Green, T.W. et. al, Wiley-Interscience, New York City, 1999を参照されたい)。簡単に言うと、本発明との関連では保護基は官能基の望まれていない反応性を減少させ、または排除する任意の基である。保護基は、ある反応中にある官能基の反応性をマスクするためにそれに付加され、その後、除去され、元の官能基を曝露させることができる。いくつかの実施形態では、「アルコール保護基」が使用される。「アルコール保護基」は、アルコール官能基の反応性を減少させ、または排除する任意の基である。保護基は、当技術分野でよく知られた技術を用いて添加し、除去することができる。
核酸-脂質粒子
ある実施形態では、本明細書で特色とされる組成物は、脂質粒子と複合体化された核酸ベース薬を含む。特定の実施形態では、核酸は、脂質粒子中に完全にカプセル化される。本明細書では「核酸」という用語は任意のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを含むことを意味する。50までのヌクレオチドを含む断片は一般に、オリゴヌクレオチドと呼ばれ、より長い断片はポリヌクレオチドと呼ばれる。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは20〜50ヌクレオチドの長さである。
本発明との関連では、「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」という用語は、自然発生塩基、糖および糖間(バックボーン)結合から構成されるヌクレオチドまたはヌクレオシドモノマーのポリマーまたはオリゴマーを示す。「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」という用語はまた、同様に機能する、非自然発生モノマーを含むポリマーまたはオリゴマー、またはその一部を含む。そのような修飾または置換オリゴヌクレオチドはしばしば、例えば、細胞取り込みの増強およびヌクレアーゼ存在下での安定性の増加などの特性のために、天然型にとって代わられる。
オリゴヌクレオチドはデオキシリボオリゴヌクレオチまたはリボオリゴヌクレオチドとして分類される。デオキシリボオリゴヌクレオチドは、この糖の5’および3’炭素でホスフェートに共有結合により結合され交互非分枝ポリマーを形成するデオキシリボースと呼ばれる5−炭素糖から構成される。リボオリゴヌクレオチドは、同様の繰り返し構造から構成され、5−炭素糖はリボースである。
本発明による脂質−核酸粒子中に存在する核酸として、知られている任意の型の核酸が挙げられる。本明細書で使用される核酸は一本鎖DNAもしくはRNA、または二本鎖DNAもしくはRNA、またはDNA−RNAハイブリッドとすることができる。二本鎖DNAの例としては、構造遺伝子、調節および終結領域を含む遺伝子、ならびに自己複製系、例えばウイルスまたはプラスミドDNAが挙げられる。二本鎖RNAの例としては、siRNAまたは他のRNA干渉試薬が挙げられる。一本鎖核酸としては、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、マイクロRNA、または三本鎖形成オリゴヌクレオチドが挙げられる。
核酸ベース薬は様々な長さを有することができ、長さは一般に核酸の特定の形態に依存する。例えば、特定の実施形態では、プラスミドまたは遺伝子は約1,000〜100,000ヌクレオチド残基の長さとすることができる。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは約10〜100ヌクレオチドの長さの範囲とすることができる。様々な関連する実施形態では、オリゴヌクレオチド(一本鎖、二本鎖、および三本鎖を含む)は、約10〜約50ヌクレオチド、約20〜約50ヌクレオチド、約15〜約30ヌクレオチド、約20〜約30ヌクレオチドの長さの範囲とすることができる。
特定の実施形態では、組成物中に存在するオリゴヌクレオチド(またはその鎖)は、標的ポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズし、またはそれに相補的である。「特異的にハイブリダイズできる」および「相補的」は、DNAまたはRNA標的とオリゴヌクレオチドの間に安定で特異的な結合が生じるのに十分な程度の相補性を示すために使用される用語である。オリゴヌクレオチドは、特異的にハイブリダイズできるその標的核酸配列に対し100%相補的である必要はないことは理解される。オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの標的への結合が、標的分子の正常機能を阻害し、それらの有用性または発現の損失を引き起こし、特異結合が望まれる条件下、すなわち、インビボアッセイまたは治療療法の場合の、またはインビトロアッセイの場合の生理的条件下、またはアッセイが実施される条件下で、オリゴヌクレオチドの非標的配列への非特異結合を回避するのに十分な程度の相補性が存在する場合に、特異的にハイブリダイズできる。このように、他の実施形態では、このオリゴヌクレオチドは、標的とする、または特異的にハイブリダイズする遺伝子領域またはmRNA配列と比較して1、2、または3つの塩基置換を含む。
1つの実施形態では、本明細書で記載される脂質製剤と複合体化された核酸ベース薬の平均粒子サイズは、少なくとも直径約100nm(例えば、少なくとも直径約110nm、少なくとも直径約120nm、少なくとも直径約150nm、少なくとも直径約200nm、少なくとも直径約250nm、または少なくとも直径約300nm)である。
いくつかの実施形態では、粒子の多分散指数(PDI)は約0.5未満(例えば、約0.4未満、約0.3未満、約0.2未満、または約0.1未満)である。
使用方法
例えば、脂質含有製剤と複合体化された核酸ベース薬を有する、本明細書で特徴づけられる組成物は、薬剤を免疫細胞に、例えば、インビトロまたはインビボで送達させるのに使用される。細胞に導入するための典型的な核酸はdsRNA、免疫刺激オリゴヌクレオチド、プラスミド、アンチセンスおよびリボザイムである。これらの方法は、本明細書で特徴づけられる粒子または組成物を細胞と、細胞内送達が起こるのに十分な時間の間、接触させることにより実施することができる。
本明細書で記載される組成物は、免疫細胞において発現される遺伝子の過剰発現または望まれない発現により特徴づけられる障害を治療するために使用することができる。例えば、脂質含有製剤と複合体化された核酸ベース薬、例えばdsRNAを含む組成物は、自己免疫障害、例えば関節炎、アテローム性動脈硬化症、乾癬、ループスまたはIBD(例えば、クローン病または潰瘍性大腸炎)を治療するために使用することができる。例えば、本明細書で特徴づけられる組成物は、樹状細胞への増強された取り込みを有することができ、この場合、例えば核酸ベース薬はCD45発現を標的とし、結果として、1つ以上のIBDの症状が軽減できる。
別の実施形態では、脂質製剤と複合体化された核酸ベース薬、例えばdsRNAを含む組成物は、炎症性障害、例えば関節炎を治療するために使用することができる。さらに別の実施形態では、脂質製剤と複合体化された核酸ベース薬、例えばdsRNAを含む組成物は、癌、例えば血液悪性腫瘍、例として、急性骨髄性白血病(AML)または骨髄異形成症候群を治療するために使用される。他の実施形態では特徴づけられる組成物の免疫細胞への取り込みの増強は、非ホジキンリンパ腫、前立腺癌、結腸直腸癌、多発性骨髄腫、または非小細胞肺癌の治療に有用である。
1つの実施形態では、本明細書で特徴づけられる組成物はエクスビボ療法で使用される。例えば、脂質製剤と複合体化された核酸ベース薬を含む組成物は免疫細胞(例えば、樹状細胞)とインビトロで接触させることができ、そのため、薬剤が細胞により取り込まれ、標的遺伝子の発現が減少される。その後、細胞は、障害、例えば癌または自己免疫疾患を治療するために患者に(例えば、注射により)伝達される。1つの実施形態では、免疫細胞(例えば、樹状細胞)は患者から抽出され、脂質製剤中の核酸ベース薬と接触され、そのため薬剤は細胞に取り込まれ、そこで、遺伝子発現を減少させ、その後、細胞は患者に再導入される。このエクスビボ療法は、患者において障害、例えば癌、例として、非ホジキンリンパ腫を治療するのに有効である。
本明細書で特色とされる組成物は、ほとんどすべての細胞型に吸着され得るが、特に、免疫細胞を標的とし、それらに吸着される。いったん吸着されると、核酸−脂質粒子は、細胞の一部により取り込まれるか、脂質を細胞膜と交換することができるか、あるいは、細胞と融合することができる。複合体の核酸部分の伝達または組み込みはこれらの経路のいずれか1つを介して起こり得る。いくつかの実施形態では、粒子がエンドサイトーシスにより細胞に取り込まれる場合、粒子はエンドソーム膜と相互作用することができ、おそらく非二重層相の形成によりエンドソーム膜の不安定化が起こり、カプセル化核酸の免疫細胞の細胞質への導入が得られる。同様に、粒子の細胞原形質膜との直接融合の場合、融合が起きた時、リポソーム膜は免疫細胞膜に統合され、リポソームの中身は細胞内液と一緒になる。細胞と脂質−核酸組成物との接触は、インビトロで実施される場合、生物学的に適合可能な媒質中で起こる。組成物濃度は、特定の適用によって広く変動し得るが、一般に、約1μmol〜約10mmolの間である。1つの実施形態では、脂質−核酸組成物による細胞の処置は、生理的温度(約37℃)で、約1〜24時間、例えば約2〜8時間の間実施される。インビトロ適用では、核酸の送達は、植物源か動物源か、脊椎動物か無脊椎贓物か、およびいずれの組織または型に関係なく、培養液中で増殖させた免疫細胞(例えば、マクロファージまたは樹状細胞)に対して実施することができる。1つの実施形態では、細胞は動物細胞、例えば、ほ乳類細胞、例えばヒト細胞である。
典型的な適用としては、特定の細胞標的をノックダウンまたは発現停止させるためにdsRNAの細胞内送達を提供するよく知られた手順を使用するものが挙げられる。また、適用は、治療的に有用なポリペプチドをコードするDNAまたはmRNA配列の送達を含む。このように、欠損または不存在遺伝子産物を供給することにより遺伝性疾患に対し療法が提供される(すなわち、デュシェンヌ型ジストロフィーに対しては、Kunkel, et al., Brit. Med. Bull. 45(3):630-643 (1989)を参照されたく、嚢胞性線維症では、Goodfellow, Nature 341 : 102-103 (1989)を参照されたい)。本明細書で特徴づけられる組成物の他の用途としては、アンチセンスオリゴヌクレオチドの細胞への導入が挙げられる(Bennett, et al, MoI. Pharm. 41:1023-1033 (1992)を参照されたい)。
また、脂質製剤と複合体化された核酸ベース薬を含む組成物は、当業者に知られた方法を用いてインビボで核酸を細胞への送達するために使用することができる。DNAまたはmRNA配列の送達に関しては、Zhu, et al., Science 261 :209-211 (1993)(参照により本明細書に組み込まれる)は、DOTMA−DOPE複合体を使用した、サイトメガロウイルス(CMV)−クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)発現プラスミドの静脈内送達を記載する。Hyde, et al., Nature 362:250-256 (1993)(参照により本明細書に組み込まれる)は、リポソームを用いた嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)遺伝子のマウスの気道上皮および肺内肺胞への送達を記載する。Brigham, et al., Am. J. Med. Sci. 298:278-281 (1989)(参照により本明細書に組み込まれる)は、マウス肺の、細胞内酵素、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)をコードする機能原核細胞遺伝子によるインビボトランスフェクションを記載する。このように脂質製剤と複合体化された核酸ベース薬を含む組成物は感染症の治療に使用することができる。
インビボ投与では、医薬組成物は典型的には非経口で、すなわち、関節内、静脈内、腹腔内、皮下、筋内、または真皮下に、例えば埋め込み装置により投与される。特定の実施形態では、医薬組成物は静脈内または腹腔内に、ボーラス注入により投与される。一例として、Stadler, et al.,米国特許第5,286,634号(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。細胞内核酸送達はまた、Straubringer, et al., METHODS IN ENZYMOLOGY, Academic Press, New York. 101:512-527 (1983); Mannino, et al., Biotechniques 6:682-690 (1988); Nicolau, et al., Crit. Rev. Ther. Drug Carrier Syst. 6:239-271 (1989)、およびBehr, Acc. Chem. Res. 26:274-278 (1993) においても記載されている。脂質ベースの治療薬を投与するさらに他の方法は、例えば、Rahman et al, 米国特許第3,993,754号; Sears, 米国特許第4,145,410号; Papahadjopoulos et al, 米国特許第4,235,871号; Schneider, 米国特許第4,224,179号;Lenk et al, 米国特許第4,522,803号;およびFountain et al, 米国特許第4,588,578号において記載される。
他の方法では、医薬調製物は、その調製物を組織に直接適用することにより、標的組織と接触させることができる。適用は局所「開放」または「閉鎖」手順により実施され得る。「局所」は、医薬調製物の、環境に曝露された組織、例えば皮膚、中咽頭、外耳道、などへの直接適用を意味する。「開放」手順は、患者の皮膚を切開し、医薬調製物が適用される下の組織を直接可視化することを含む手順である。これは、外科的処置、例えば肺にアクセスするための開胸術、内臓脂肪にアクセスするための腹式開腹術、または他の直接的な標的組織への外科的アプローチにより一般に達成される。「閉鎖」手順は、内部標的組織が直接可視化されないが、皮膚内の小さな創傷を通して器機を挿入することによりアクセスされる侵襲的手順である。例えば、調製物は、ニードル洗浄により腹膜に投与され得る。同様に、医薬調製物は、脊髄麻酔または脊髄のメトリザミド造影のために普通実施されるように、腰椎穿刺中注入、続く患者の適切な位置決めにより髄膜または脊髄に投与される。また、調製物は、内視鏡装置により投与され得る。
脂質−核酸組成物はまた、肺に吸入されるエアロゾルで(Brigham, et al, Am. J. Sci. 298(4):278-281 (1989)を参照されたい)または疾患部位での直接注射により(Culver, Human Gene Therapy, Mary Ann Liebert, Inc., Publishers, New York, pp.70-71 (1994))投与することができる。
免疫細胞への取り込みを増強させるための組成物の使用方法は、様々な宿主、例えばほ乳類宿主、例えばヒト、非ヒト霊長類霊長類、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジなどで実施することができる。
脂質−治療薬粒子のための用量は治療薬対脂質の比および患者の年齢、体重および病状に基づく投与する医師の意見に依存するであろう。
1つの実施形態では、本発明は、標的ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの発現を調節する方法を提供する。これらの方法は一般に、細胞を、標的ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの発現を調節することができる核酸と結合された脂質粒子と接触させることを含む。本明細書では、「調節する」という用語は、標的ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの発現を変化させることを指す。異なる実施形態では、調節は、増加または増強を意味することができ、あるいは、減少または低減を意味することができる。標的ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの発現レベルを測定する方法は、当技術分野で知られており、使用可能であり、例えば、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)および免疫組織化学技術を使用する方法が挙げられる。特定の実施形態では、標的ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの発現レベルは、適切な対照値に比べ、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、または50%超増加または減少される。例えば、ポリペプチドの発現の増加が所望される場合、核酸は所望されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターとすることができる。他方、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの発現の減少が所望される場合、核酸は、例えば、標的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズし、よって標的ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの発現を妨害するポリヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチド、dsRNA、またはマイクロRNAとすることができる。また、核酸は、そのようなアンチセンスオリゴヌクレオチド、dsRNA、またはマイクロRNAを発現するプラスミドとすることができる。
1つの特定の実施形態では、本発明は、細胞に、式Aのカチオン性脂質、中性脂質、ステロール、PEGまたはPEG修飾脂質から、例えば、約35〜65%の式Aのカチオン性脂質、3〜12%の中性脂質、15〜45%のステロール、および0.5〜10%のPEGまたはPEG修飾脂質のモル比で構成される、または本質的に構成される脂質粒子を提供することを含み、脂質粒子はポリペプチドの発現を調節することができる核酸と結合される、細胞によるポリペプチドの発現を調節する方法を提供する。特定の実施形態では、脂質モル比は約60/7.5/31/1.5または57.5/7.5/31.5/3.5(モル%脂質A/DSPC/Chol/PEG−DMG)または約50/10/30/10、または50/10/38.5/1.5(モル%脂質A/DSPC/Chol/PEG−CerC14またはPEG−CerC18)である。別の実施形態群では、これらの組成物中の中性脂質は、DPPC、POPC、DOPEまたはSMと置換される。1つの実施形態では、本明細書で記載される脂質製剤と複合体化された核酸ベース薬の平均粒子サイズは、少なくとも直径約100nm(例えば、少なくとも直径約110nm、少なくとも直径約120nm、少なくとも直径約150nm、少なくとも直径約200nm、少なくとも直径約250nm、または少なくとも直径約300nm)である。いくつかの実施形態では、粒子の多分散指数(PDI)は約0.5未満(例えば、約0.4未満、約0.3未満、約0.2未満、または約0.1未満)である。
1つの特定の実施形態では、本発明は、細胞に、式Aのカチオン性脂質、中性脂質、ステロール、PEGまたはPEG修飾脂質から、例えば、約10〜50%の式Aのカチオン性脂質、10〜50%の中性脂質、20〜50%のステロール、および0.5〜15%のPEGまたはPEG修飾脂質のモル比で構成される、または本質的に構成される脂質粒子を提供することを含み、脂質粒子はポリペプチドの発現を調節することができる核酸と結合される、細胞によるポリペプチドの発現を調節する方法を提供する。特定の実施形態では、脂質モル比は約30/30/30/10または30/30/38.5/1.5(脂質A/DSPC/Chol/PEG−DMGまたはPEG−DSGのモル%)である。別の実施形態群では、これらの組成物中の中性脂質は、DPPC、POPC、DOPEまたはSMと置換される。いくつかの実施形態では、PEG修飾脂質はPEG−CerC18である。1つの実施形態では、本明細書で記載される脂質製剤と複合体化された核酸ベース薬の平均粒子サイズは、少なくとも直径約100nm(例えば、少なくとも直径約110nm、少なくとも直径約120nm、少なくとも直径約150nm、少なくとも直径約200nm、少なくとも直径約250nm、または少なくとも直径約300nm)である。いくつかの実施形態では、粒子の多分散指数(PDI)は約0.5未満(例えば、約0.4未満、約0.3未満、約0.2未満、または約0.1未満)である。
1つの特定の実施形態では、本治療薬は、dsRNA、マイクロRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドならびに、dsRNA、マイクロRNA又はアンチセンスオリゴヌクレオチドを発現することができるプラスミドから選択されるが、この場合、dsRNA、マイクロRNA又はアンチセンスRNAは、あるポリペプチドの発現を低下させるように、そのポリペプチド又はその相補体をコードするポリヌクレオチドに特異的に結合するポリヌクレオチドを含む。
他の実施形態では、本核酸は、あるポリペプチドもしくはその機能的変異体又はその断片の発現が上昇するように、そのポリペプチドもしくは機能的変異体又はその断片をコードするプラスミドである。
関連する実施形態では、本発明は、例えば、脂質含有製剤と複合体化された核酸系薬剤を有する医薬組成物を対象に提供することによって対象におけるポリペプチドの過剰発現を特徴とする疾患又は障害を治療する方法を提供するが、この場合、核酸系薬剤は、dsRNA、マイクロRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドならびに、dsRNA、マイクロRNA又はアンチセンスオリゴヌクレオチドを発現することができるプラスミドから選択され、このdsRNA、マイクロRNA又はアンチセンスRNAは、そのポリペプチド又はその相補体をコードするポリヌクレオチドに特異的に結合するポリヌクレオチドを含む。
1つの実施形態では、本医薬組成物は、例えば、式Aの陽イオン性脂質約35−65%、中性脂質3−12%、ステロール15−45%及びPEG又はPEG修飾脂質PEG−DMG、PEG−C−DOMG又はPEG−DMA0.5−10%のモル比で、脂質A、DSPC、Chol及びPEG−DMG、PEG−C−DOMG又はPEG−DMAからなるか又は基本的にそれらからなり、治療用核酸と会合している脂質粒子を含む。特定の実施形態において、脂質のモル比は、およそ60/7.5/31/1.5又は57.5/7.5/31.5/3.5(脂質A/DSPC/Chol/PEG−DMGのモル%)又はおよそ50/10/30/10又は50/10/38.5/1.5(脂質A/DSPC/Chol/PEG−CerC14又はPEG−CerC18のモル%)である。別の実施形態群において、これらの組成物中の中性脂質は、DPPC、POPC、DOPE又はSMで置き換えられる。1つの実施形態において、本明細書中に記載の脂質製剤と複合体化された核酸系薬剤の平均粒径は少なくとも直径約100nmである(例えば、少なくとも直径約110nm、少なくとも直径約120nm、少なくとも直径約150nm、少なくとも直径約200nm、少なくとも直径約250nm又は少なくとも直径約300nm)。あるいくつかの実施形態において、この粒子の多分散度指数(PDI)は約0.5未満である(例えば、約0.4未満、約0.3未満、約0.2未満又は約0.1未満)。
1つの実施形態では、本医薬組成物は、例えば、式Aの陽イオン性脂質約10−50%、中性脂質10−50%、ステロール20−50%及びPEG又はPEG修飾脂質0.5−15%のモル比で、式Aの陽イオン性脂質、中性脂質、ステロール、PEG修飾脂質のPEGからなるか又は基本的にそれらからなり、治療用核酸と会合している脂質粒子を含む。特定の実施形態において、脂質のモル比は、およそ30/30/30/10又は30/30/38.5/1.5である(脂質A/DSPC/Chol/PEG−DMG又はPEG−DSGのモル%)。別の実施形態群において、これらの組成物中の中性脂質は、DPPC、POPC、DOPE又はSMで置き換えられる。あるいくつかの実施形態において、PEG修飾脂質はPEG−CerC18である。1つの実施形態において、本明細書中に記載の脂質製剤と複合体化された核酸系薬剤の平均粒径は少なくとも直径約100nmである(例えば、少なくとも直径約110nm、少なくとも直径約120nm、少なくとも直径約150nm、少なくとも直径約200nm、少なくとも直径約250nm又は少なくとも直径約300nm)。あるいくつかの実施形態において、この粒子の多分散度指数(PDI)は約0.5未満である(例えば、約0.4未満、約0.3未満、約0.2未満又は約0.1未満)。
別の関連実施形態では、本発明は、例えば本明細書中に記載のような医薬組成物を対象に提供することによって対象におけるポリペプチドの発現低下を特徴とする疾患又は障害を治療する方法を含むが、この場合、この治療薬は、そのポリペプチド又はその機能的変異体もしくは断片をコードするプラスミドである。1つの実施形態において、本明細書中に記載の脂質製剤と複合体化された核酸系薬剤の平均粒径は少なくとも直径約100nmである(例えば、少なくとも直径約110nm、少なくとも直径約120nm、少なくとも直径約150nm、少なくとも直径約200nm、少なくとも直径約250nm又は少なくとも直径約300nm)。あるいくつかの実施形態において、この粒子の多分散度指数(PDI)は約0.5未満である(例えば、約0.4未満、約0.3未満、約0.2未満又は約0.1未満)。
本発明は、核酸系薬剤が免疫刺激性のオリゴヌクレオチドである本明細書中に記載の医薬組成物を対象に提供することを含む、対象において免疫反応を誘導する方法をさらに提供する。ある種の実施形態において、この免疫反応は、例えば式Aの陽イオン性脂質約35−65%、中性脂質3−12%、ステロール15−45%及びPEG又はPEG修飾脂質PEG−DMG、PEG−C−DOMG又はPEG−DMA0.5−10%のモル比で、脂質A、DSPC、Chol及びPEG−DMG、PEG−C−DOMG又はPEG−DMAからなるか又は基本的にそれらからなり、治療用核酸と会合している、液性又は粘膜免疫反応である。特定の実施形態において、脂質のモル比は、およそ60/7.5/31/1.5又は57.5/7.5/31.5/3.5(脂質A/DSPC/Chol/PEG−DMGのモル%)又はおよそ50/10/30/10又は50/10/38.5/1.5(脂質A/DSPC/Chol/PEG−CerC14又はPEG−CerC18のモル%)である。別の実施形態群において、これらの組成物中の中性脂質は、DPPC、POPC、DOPE又はSMで置き換えられる。1つの実施形態において、本明細書中に記載の脂質製剤と複合体化された核酸系薬剤の平均粒径は少なくとも直径約100nmである(例えば、少なくとも直径約110nm、少なくとも直径約120nm、少なくとも直径約150nm、少なくとも直径約200nm、少なくとも直径約250nm又は少なくとも直径約300nm)。あるいくつかの実施形態において、この粒子の多分散度指数(PDI)は約0.5未満である(例えば、約0.4未満、約0.3未満、約0.2未満又は約0.1未満)。
本発明は、核酸系薬剤が免疫刺激性のオリゴヌクレオチドである、本明細書中に記載の医薬組成物を対象に提供することを含む、対象において免疫反応を誘導する方法をさらに提供する。ある種の実施形態において、この免疫反応は、例えば、式Aの陽イオン性脂質約10−50%、中性脂質10−50%、ステロール20−50%及びPEG又はPEG修飾脂質0.5−15%のモル比で、式Aの陽イオン性脂質、中性脂質、ステロール、PEG又はPEG修飾脂質からなるか又は基本的にそれらからなり、その脂質粒子が治療用核酸と会合している、液性又は粘膜免疫反応である。特定の実施形態において、脂質のモル比は、およそ30/30/30/10又は30/30/38.5/1.5(脂質A/DSPC/Chol/PEG−DMG又はPEG−DSGのモル%)である。別の実施形態群において、これらの組成物中の中性脂質は、DPPC、POPC、DOPE又はSMで置き換えられる。あるいくつかの実施形態において、このPEG修飾脂質はPEG−CerC18である。1つの実施形態において、本明細書中に記載の脂質製剤と複合体化された核酸系薬剤の平均粒径は、少なくとも直径約100nmである(例えば、少なくとも直径約110nm、少なくとも直径約120nm、少なくとも直径約150nm、少なくとも直径約200nm、少なくとも直径約250nm又は少なくとも直径約300nm)。あるいくつかの実施形態において、この粒子の多分散度指数(PDI)は約0.5未満である(例えば、約0.4未満、約0.3未満、約0.2未満又は約0.1未満)。
いくつかの実施形態では、第二の核酸系薬剤(例えば第二のdsRNA)及び/又は1以上のさらなる治療法と併用して、リポソーム製剤と複合体化された核酸系薬剤を含有する医薬組成物を投与することができる。例えば、癌の治療のために、化学療法剤とともに又は放射線療法と組み合わせて本明細書中で取り上げる組成物を投与することができる。代表的な化学療法剤としては、以下に限定されないが、テモゾロミド、ダウノルビシン、ダウノマイシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、エソルビシン、ブレオマイシン、マホスファミド、イホスファミド、シトシン、アラビノシド、ビス−クロロエチルニトロスウレア(chloroethylnitrosurea)、ブスルファン、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、プレドニゾン、ヒドロキシプロゲステロン、テストステロン、タモキシフェン、ダカルバジン、プロカルバジン、ヘキサメチルメラミン、ペンタメチルメラミン、ミトキサントロン、アムサクリン、クロラムブシル、メチルシクロヘキシルニトロスウレア(methylcyclohexylnitrosurea)、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、シクロホスファミド、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−アザシチジン、ヒドロキシウレア、デオキシコホルマイシン、4−ヒドロキシペルオキシシクロホスホール−アミド、5−フルオロウラシル(5−FU)、5−フルオロデオキシウリジン(5−FUdR)、メトトレキサート(MTX)、コルヒチン、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド(VP−16)、トリメトレキサート、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、テニポシド、シスプラチン及びジエチルスチルベストロール(DES)が挙げられる。全般的には、「The Merck Manual of Diagnosis and Therapy」、第15版、1987、pp.1206−1228、Berkowら編、Rahway、N.Jを参照のこと。本発明で取り上げられるdsRNAとともに使用される場合、このような化学療法剤は、個々に(例えば、5−FU及びオリゴヌクレオチド)、連続して(例えば、しばらくの間5−FU及びオリゴヌクレオチドを使用し、続いてMTX及びオリゴヌクレオチドを使用)又は1以上のその他のこのような化学療法剤と組み合わせて(例えば、5−FU、MTX及びオリゴヌクレオチド又は5−FU、放射線療法及びオリゴヌクレオチド)、使用することができる。
炎症性疾患の治療に対して、非ステロイド抗炎症剤もしくはコルチコステロイドなどの抗炎症剤又はリビビリン(ribivirin)、ビダラビン、アシクロビルもしくはガンシクロビルなどの抗ウイルス剤と併用して、核酸系薬剤及び脂質製剤を含有する組成物を投与することができる。全般的には、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy、第15版、Berkowら編、1987、Rahway、N.J.、それぞれ2499−2506及び46−49頁)を参照のこと。その他の非RNAi化学療法剤もまた本発明の範囲内である。2以上の併用化合物を一緒に又は連続して使用することができる。
さらなる実施形態では、ワクチン又は抗原と組み合わせて、本医薬組成物が対象に提供される。従って、本発明自体が、免疫刺激性のオリゴヌクレオチドと複合体化され、免疫反応が所望される抗原とも会合する脂質粒子を有するワクチンを提供する。特定の実施形態において、この抗原は、腫瘍抗原であるか又は例えば、ウイルス、細菌もしくは寄生生物などの感染体と関連する。
様々な腫瘍抗原、感染体抗原及び他の疾患に関連する抗原は当技術分野で周知であり、本明細書中で引用する参考文献にこれらの例が記載されている。本発明での使用に適切な抗原の例としては、以下に限定されないが、ポリペプチド抗原及びDNA抗原が挙げられる。抗原の具体例は、A型肝炎、B型肝炎、天然痘、ポリオ、炭疽菌、インフルエンザ、チフス、破傷風、麻疹、ロタウイルス、ジフテリア、百日咳、結核及び風疹抗原である。1つの実施形態において、この抗原はB型肝炎組み換え抗原である。その他の態様において、この抗原はA型肝炎組み換え抗原である。別の態様において、この抗原は腫瘍抗原である。このような腫瘍関連抗原の例は、MUC−1、EBV抗原及びバーキットリンパ腫関連抗原である。さらなる態様において、この抗原はチロシナーゼ関連タンパク質腫瘍抗原組み換え抗原である。当業者は本発明での使用に適切なその他の抗原が分かるであろう。
本発明での使用に適切な腫瘍関連抗原としては、1つの腫瘍タイプを示し得、数種の腫瘍間で共通であり及び/又は正常細胞と比較して腫瘍細胞で特に発現されるかもしくは過剰発現され得る、突然変異及び非突然変異分子の両方が挙げられる。タンパク質及び糖タンパク質に加えて、炭水化物、ガングリオシド、糖脂質及びムチンの腫瘍特異的な発現パターンもまた記録されている。対象となる癌ワクチンでの使用のための代表的な腫瘍関連抗原としては、癌遺伝子、腫瘍抑制遺伝子及び腫瘍細胞に特有の突然変異又は再編成があるその他の遺伝子のタンパク質産物、再活性化胚遺伝子産物、腫瘍胎児抗原、組織特異的(腫瘍特異的ではない)分化抗原、成長因子受容体、細胞表面糖残基、外来ウイルスタンパク質及び多くのその他の自己タンパク質が挙げられる。
腫瘍関連抗原の具体的な実施形態としては、例えば、突然変異が生じた抗原、例えばRas p21癌原遺伝子、腫瘍抑制因子p53及びBCR−abl癌遺伝子のタンパク質産物ならびにCDK4、MUM1、カスパーゼ8及びβカテニン;過剰発現される抗原、例えばガレクチン4、ガレクチン9、炭酸脱水酵素、アルドラーゼA、PRAME、Her2/neu、ErbB−2及びKSA、腫瘍胎児抗原、例えばαフェトタンパク質(AFP)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG);自己抗原、例えば癌胎児性抗原(CEA)及びメラニン細胞分化抗原、例えばMart1/Melan A、gp100、gp75、チロシナーゼ、TRP1及びTRP2;前立腺関連抗原、例えばPSA、PAP、PSMA、PSM−P1及びPSM−P2;再活性化胚遺伝子産物、例えばMAGE1、MAGE3、MAGE4、GAGE1、GAGE2、BAGE、RAGE及びその他の癌精巣抗原、例えばNY−ESO1、SSX2及びSCP1;ムチン、例えばMuc−1及びMuc−2;ガングリオシド、例えばGM2、GD2及びGD3、中性糖脂質及び糖タンパク質、例えばルイス(y)及びグロボ−H;及び糖タンパク質、例えばTn、トムゼン−フリーデンライヒ抗原(TF)及びsTnが挙げられる。また、本明細書中の腫瘍関連抗原には、細胞全体及び腫瘍細胞溶解液ならびにその免疫原性部分、ならびにB細胞リンパ腫に対して使用するための、Bリンパ球のモノクローナル増殖時に発現される免疫グロブリンイディオタイプも含まれる。
病原体としては、以下に限定されないが、感染体、例えば哺乳動物、とりわけヒトに感染するウイルスなどが挙げられる。感染性ウイルスの例としては、以下に限定されないが、レトロウイルス科(Retroviridae)(例えば、HIV−1(HTLV−III、LAV又はHTLV−III/LAV又はHIV−IIIとも呼ばれる。)などのヒト免疫不全ウイルス);及びHIV−LPなどの他の分離株;ピコルナウイルス科(Picornaviridae)(例えば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス;エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス);カルシウイルス科(Calciviridae)(例えば胃腸炎を引き起こす株);トガウイルス科(Togaviridae)(例えば、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス);フラウイルス科(Flaviridae)(例えば、デングウイルス、脳炎ウイルス、黄熱ウイルス);コロナウイルス科(Coronaviridae)(例えばコロナウイルス);ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);コロナウイルス科(Coronaviridae)(例えばコロナウイルス);ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);フィロウイルス科(Filoviridae)(例えばエボラウイルス);パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)(例えば、パラインフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス);オルトミクソウイルス科(例えば、Orthomyxoviridae)(例えばインフルエンザウイルス);ブンガウイルス科(Bungaviridae)(例えば、ハンタンウイルス、ブンガウイルス、フレボウイルス及びナイロウイルス);アレナウイルス科(Arena viridae)(出血熱ウイルス);レオウイルス科(Reoviridae)(例えばレオウイルス、オルビビウルス及びロタウイルス);ビルナウイルス科(Birnaviridae);ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)(B型肝炎ウイルス);パルボウイルス科(Parvoviridae)(パルボウイルス);パポバウイルス科(Papovaviridae)(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス);アデノウイルス科(Adenoviridae)(殆どのアデノウイルス);ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)、単純ヘルペスウイルス(HSV)1及び2、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス);ポックスウイルス科(Poxviridae)(天然痘ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);及びイリドウイルス科(Iridoviridae)(例えばアフリカブタコレラウイルス);及び未分類のウイルス(例えば、海綿状脳症の病原因子、デルタ肝炎の病原体(B型肝炎ウイルスの欠陥サテライト(defective satellite)であると思われる。)、非A非B型肝炎の病原体(クラス1=内部感染(internally transmitted);クラス2=非経口感染(即ちC型肝炎);ノーウォーク及び関連ウイルス及びアストロウイルス)が挙げられる。
また、グラム陰性及びグラム陽性細菌も脊椎動物において抗原となり得る。このようなグラム陽性細菌としては、以下に限定されないが、パスツレラ(Pasteurella)種、ブドウ球菌(Staphylococci)種及び連鎖球菌(Streptococcus)種が挙げられる。グラム陰性細菌としては、以下に限定されないが、大腸菌(エスケリキア・コリ、Escherichia coli)、シュードモナス(Pseudomonas)種及びサルモネラ(Salmonella)種が挙げられる。感染性細菌の具体例としては、以下に限定されないが、ヘリコバクターピロリ(Helicobacterpyloris)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophilia)、ミコバクテリア(Mycobacteria)種(例えば、M.ツベルクローシス(M.tuberculosis)、M.アビウム(M.avium)、M.イントラセルラーレ(M.intracellulare)、M.カンサイ(M.kansaii)、M.ゴルドナエ(M.gordonae)、黄色ブドウ球菌(スタフィロコッカス・アウレウス、Staphylococcus aureus)、淋菌(ナイセリア・ゴノレエ、Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(ナイセリア・メニンギティディス、Neisseria meningitidis)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)(A群レンサ球菌)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)(B群レンサ球菌)、ストレプトコッカス(Streptococcus)(ビリダン(viridans)群)、ストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス・ボビス(Streptococcus bovis)、ストレプトコッカス(Streptococcus)(嫌気性種)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、病原性カンピロバクター(Campylobacter)種、エンテロコッカス(Enterococcus)種、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)、炭疽菌(バチルス・アントラシス、Bacillus anthracis)、コリネバクテリウム・ジフテリエ(Corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)種、エリジペロスリックス・ルジオパシエ(Erysipelothrix rhusiopathiae)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、破傷風菌(クロストリジウム・テタニ、Clostridium tetani)、エンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、パスツレラ・ムルトシダ(Pasturella multocida)、バクテロイデス(Bacteroides)種、フゾバクテリウム・ヌクレエータム(Fusobacterium nucleatum)、ストレプトバチルス・モニリフォルミス(Streptobacillus moniliformis)、トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)、トレポネーマ・ペルテニュ(Treponema pertenue)、レプトスピラ(Leptospira)、リケッチア(Rickettsia)及びアクチノマイセス・イスラエリー(Actinomyces israelii)が挙げられる。
病原体のさらなる例としては、以下に限定されないが、哺乳動物及びとりわけヒトに感染する感染性真菌が挙げられる。感染性真菌の例としては、以下に限定されないが、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、ブラストマイセス・デルマチチジス(Blastomyces dermatitidis)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)が挙げられる。感染性寄生生物の例としては、マラリア原虫(プラスモディウム・ファルシパルム、Plasmodium falciparum)、四日熱マラリア原虫(プラスモディウム・マラリア、Plasmodium malariae)、卵形マラリア原虫(プラスモディウム・オバレ、Plasmodium ovale)及び三日熱マラリア原虫(プラスモディウム・ビバクス、Plasmodium vivax)などのマラリア原虫属(Plasmodium)が挙げられる。その他の感染性生物(即ち原生生物)としてはトキソプラズマ・ゴンジ(Toxoplasma gondii)が挙げられる。
RNA干渉核酸
特定の実施形態において、免疫細胞を標的とするための組成物中で使用される核酸系薬剤をRNA干渉(RNAi)分子と会合させる。関心のある遺伝子又はポリヌクレオチドの発現を妨害するために、RNAi分子を用いたRNA干渉法を使用し得る。この5年間、低分子干渉RNA(siRNA又はdsRNA)は、次世代の標的化オリゴヌクレオチド薬として開発されてきており、アンチセンスODN及びリボザイムに基本的に取って代わるようになってきた。dsRNAは、30ヌクレオチド長未満、通常は19から24ヌクレオチド長、例えば、19から21ヌクレオチド長の相補性領域を通常は有するRNA2本鎖である。いくつかの実施形態において、dsRNAは約10から約15塩基対であり、他の実施形態において、dsRNAは約25から約30塩基対長である。別の実施形態において、dsRNAは少なくとも15塩基対長である。1つの実施形態において、dsRNAのセンス及びアンチセンス鎖の一方又は両方が約10から15ヌクレオチド長であり、その他の実施形態において、この鎖の一方又は両方が約25から約30ヌクレオチド長である。1つの実施形態において、このdsRNAの一方又は両方が19から24ヌクレオチド長、例えば、19から21ヌクレオチド長である。dsRNAは、RNAi誘導サイレンシング複合体(RNAi−induced silencing complex、RISC)として知られる細胞質多タンパク質複合体と会合し得る。dsRNAが結合したRISCは相同mRNA転写産物の分解に介在し、従ってタンパク質発現を極めて特異的にノックダウンするためにdsRNAを設計することができる。他のアンチセンス技術とは異なり、dsRNAは、非コードRNAを通じて遺伝子発現を調節するために進化した自然の機構を通じて機能する。これは一般に、それらの活性がインビトロ及びインビボでアンチセンスODN又はリボザイムの何れよりも強力である理由と考えられる。例えばde Fougerolles、A.ら、Nature Reviews 6:443−453(2007)に記載のように、現在のところ、臨床的に意義のある標的を標的とするdsRNAを含む様々なRNAi試薬が医薬として開発中である。
最初に記載されたRNAi分子は、RNAセンス及びRNAアンチセンス鎖の両方を含むRNA:RNAハイブリッドであったが、現在、DNAセンス:RNAアンチセンスハイブリッド、RNAセンス:DNAアンチセンスハイブリッド及びDNA:DNAハイブリッドがRNAiを仲介できることが分かっている(Lamberton、J.S.及びChristian、A.T.(2003)Molecular Biotechnology 24:111−119)。従って、本発明は、これらの様々なタイプの2本鎖分子の何れかを含むRNAi分子の使用を含む。さらに、RNAi分子を使用し、様々な形態で細胞に導入し得ることを理解されたい。従って、本明細書中で使用される場合、RNAi分子は、以下に限定されないが、2本の個別の鎖、即ちセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む2本鎖ポリヌクレオチド、例えば低分子干渉RNA(siRNA);2本鎖領域を形成する相補的配列のヘアピンループを含むポリヌクレオチド、例えば、shRNAi分子及び、単独で又は別のポリヌクレオチドと組み合わせて2本鎖ポリヌクレオチドを形成可能である1以上のポリヌクレオチドを発現する発現ベクターを含む、細胞においてRNAi反応を誘導することができるあらゆる全ての分子を包含する。
RNA干渉(RNAi)を使用して、標的ポリヌクレオチドの発現を特異的に阻害することができる。dsRNA、siRNA又はshRNAを細胞又は生物に導入することによって、本発明に従い、遺伝子及び核酸発現の2本鎖RNA介在抑制を遂行し得る。siRNAは、2本鎖RNA又はRNA及びDNAの両方を含むハイブリッド分子、例えばRNA鎖1本とDNA鎖1本、であり得る。dsRNAの細胞への直接導入によって、哺乳動物細胞においてRNAiを引き起こし得ることが明らかになっている(Elshabir、S.M.ら、Nature 411:494−498(2001))。さらに、哺乳動物細胞での抑制がRNAレベルで起こったが、これは標的とする遺伝子に特異的であり、RNAとタンパク質抑制との間には強い相関があった(Caplen、N.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:9746−9747(2001))。さらに、HeLa S3、COS7、293、NIH/3T3、A549、HT−29、CHO−KI及びMCF−7細胞を含む多岐にわたる細胞株が、ある程度のsiRNAサイレンシングを起こしやすかったことが分かった(Brown、D.ら、TechNotes 9(1):1−7、worldwide web ambion.com/techlib/tn/91/912.htmlで入手可能(2002年9月1日))。
特異的ポリヌクレオチドを標的とするRNAi分子は、当技術分野で公知の手順に従い、容易に調製することができる。有効なsiRNA分子の構造的特長が特定されている。Elshabir、S.M.ら(2001)Nature 411:494−498及びElshabir、S.M.ら(2001)、EMBO 20:6877−6888。従って、当業者にとって当然のことながら、特異的な遺伝子又は転写産物を標的とするために、多岐にわたる様々なsiRNA分子を使用し得る。ある種の実施形態において、本発明によるsiRNA分子は2本鎖であり、16から30又は18から25ヌクレオチド長(その間の各整数を含む。)である。ある種の実施形態において、siRNAは19、20、21、22又は23塩基対長である。ある種の実施形態において、dsRNAは、0から7ヌクレオチドの3’突出部又は0から4ヌクレオチドの5’突出部を有する。1つの実施形態において、siRNA分子は2つのヌクレオチド3’突出部を有する。1つの実施形態において、siRNAは、2つのヌクレオチド3’突出部があるセンス及びアンチセンス鎖21ヌクレオチド長(即ちセンス鎖とアンチセンス鎖との間に19ヌクレオチドの相補領域がある。)である。ある種の実施形態において、突出部はUU又はdTdT3’突出部である。
1つの実施形態において、dsRNA(例えばsiRNA)の少なくとも一方の末端が1から4個、通常は1又は2個のヌクレオチドの、1本鎖ヌクレオチド突出部を有する。少なくとも1個のヌクレオチド突出部を有するdsRNAは、平滑末端であるものよりも予想外に優れた阻害特性を有する。さらに、存在するヌクレオチド突出部が1つだけである場合、その全体的な安定性に影響を及ぼすことなく、dsRNAの干渉活性が強化され得る。突出部が1つだけであるdsRNAは特に安定であり、インビボならびに様々な細胞、細胞培養液、血液及び血清において有効であることが証明されている。一般に、1本鎖突出部はアンチセンス鎖の3’末端に位置するか又は、あるいは、センス鎖の3’末端に位置する。dsRNAは平滑末端も有し得、通常、これはアンチセンス鎖の5’末端に位置する。このようなdsRNAは安定性及び阻害活性が高く、従って、低投与量、即ち1日あたり5mg/kg(受容者の体重)未満での投与が可能になる。1つの実施形態において、dsRNAのアンチセンス鎖は、3’末端及び/又は5’末端に1から10ヌクレオチドの突出部を有する。1つの実施形態において、dsRNAのセンス鎖は、3’末端及び/又は5’末端に1から10ヌクレオチドの突出部を有する。別の実施形態において、突出部の1以上のヌクレオチドがヌクレオシド三リン酸で置換される。
dsRNA分子は、1個の塩基対ミスマッチであっても抑制効果が低下することが示されているため、一般に、標的DNA分子の一方の鎖に完全に相補的である。その他の実施形態において、dsRNAは、例えば2’−デオキシ−又は2’−O−メチル修飾などの修飾骨格組成を有し得る。しかし、ある種の実施形態において、dsRNAの鎖全体が2’デオキシ又は2’−O−修飾塩基の何れかで構成されることはない。
別の実施形態において、本発明は、細胞において遺伝子発現を阻害するためのベクターを含む細胞を提供する。このベクターは、免疫細胞中の遺伝子を標的とするdsRNAの少なくとも1本の鎖をコードするヌクレオチド配列に操作可能に連結される制御配列を含む。
1つの実施形態において、dsRNA標的部位は、AAジヌクレオチド配列の出現について標的mRNA転写配列を精査することによって選択される。3’に隣接するおよそ19ヌクレオチドと組み合わせた各AAジヌクレオチド配列は、dsRNA標的部位となる可能性がある。1つの実施形態において、制御領域に結合するタンパク質がsiRNPエンドヌクレアーゼ複合体の結合を妨害し得るので、dsRNA標的部位は、5’及び3’非翻訳領域(UTR)又は開始コドン付近の領域内(およそ75塩基内)に位置しないように選択する(Elshabir、S.ら、Nature 411:494−498(2001);Elshabir、S.ら、EMBO J.20:6877−6888(2001))。さらに、www.ncbi.nlmのNCBIサーバーで利用可能なBLASTN 2.0.5などの適切なゲノムデータベースと標的部位候補を比較し、他のコード配列と相同性が非常に高い標的配列候補を除外することができる。
特定の実施形態において、短いヘアピンRNAは、核酸−脂質粒子の核酸成分を構成する。短いヘアピンRNA(shRNA)は、配列特異的に標的遺伝子の発現を低下させることができるヘアピンRNA形態である。短いヘアピンRNAは、一般に細胞環境でより安定であり、分解されにくいので、遺伝子発現の抑制においてdsRNAを上回る長所があり得る。このような短いヘアピンRNA介在性の遺伝子抑制は、様々な正常及び癌細胞株ならびに、マウス及びヒト細胞を含む哺乳動物細胞で有効であることが確認されている。Paddison、P.ら、Genes Dev.16(8):948−58(2002)。さらに、改変shRNAをコードする染色体遺伝子が組み込まれているトランスジェニック細胞株が作製されている。これらの細胞は、構成的にshRNAを合成することができ、それにより、子孫細胞に受け継がれ得る、長期にわたるか又は構成的な遺伝子抑制が促される。Paddison、P.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99(3):1443−1448(2002)。
shRNAはステムループ構造を含有する。ある種の実施形態において、shRNAは、通常は19から29ヌクレオチド長又はその間の何れかの長さの様々なステム長を含有し得る。ある種の実施形態において、ヘアピンは19から21ヌクレオチドのステムを含有し、一方、その他の実施形態において、ヘアピンは27から29ヌクレオチドのステムを含有する。ある種の実施形態において、ループの長さは4から23ヌクレオチド長であるが、このループの長さは、23ヌクレオチドより長い(抑制活性に顕著な影響を及ぼさない。)場合もある。shRNA分子は、例えば、効力低下を引き起こさないshRNAステムの2本鎖間のG−Uミスマッチなどのミスマッチを含有し得る。実際に、ある種の実施形態において、shRNAは、例えば細菌中で増殖中にヘアピンを安定化するためにヘアピンステム中に1又は数個のG−U対形成を含むように設計される。しかし、通常は、標的mRNAに結合するステム部分(アンチセンス鎖)とそのmRNAとの間の相補性が必要であり、この領域の僅か1個の塩基対ミスマッチでも抑制作用が欠如し得る。5’及び3’突出部は、shRNA機能に必須ではないと思われるので必要ではないが、存在してもよい(Paddisonら(2002)Genes & Dev.16(8):948−58)。
マイクロRNA
マイクロRNA(miRNA)は、植物及び動物のゲノム中のDNAから転写されるがタンパク質には翻訳されない、非常に保存性が高い低分子RNA分子の1クラスである。プロセシングを受けたmiRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に組み込まれ、発生、細胞増殖、アポトーシス及び分化のキーとなる制御因子として同定されている、1本鎖の〜17から25ヌクレオチド(nt)RNA分子である。これらは、特異的mRNAの3’−非翻訳領域に結合することによって、遺伝子発現の制御に関与すると考えられている。RISCは、翻訳阻害、転写産物切断又はその両者を通じて、遺伝子発現の下方制御に介在する。RISCは、多岐にわたる真核生物の核における転写抑制にも関わる。
今日まで同定されてきたmiRNA配列数は多数にのぼり、増加の一途をたどっており、例えば、「miRBase:microRNA sequences,targets and gene nomenclature」Griffiths−Jones S、Grocock RJ、van Dongen S、Bateman A、Enright AJ.NAR、2006、34、Database Issue、D140−D144;「The microRNA Registry」Griffiths−Jones S.NAR、2004、32、Database Issue、D109−D111;及びまたmicrorna.dot.sanger.dot.ac.dot.uk/sequences/のworldwide webでも代表的な例を見出すことができる。
アンチセンスオリゴヌクレオチド
1つの実施形態において、核酸は、標的ポリヌクレオチドに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。「アンチセンスオリゴヌクレオチド」又は単に「アンチセンス」という用語は、標的とするポリヌクレオチド配列に相補的なオリゴヌクレオチドを含むものとする。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、選択された配列に相補的なDNA又はRNAの1本鎖である。アンチセンスRNAの場合、これらは、相補的RNA鎖に結合することによって、その相補的RNA鎖の翻訳を妨害する。特異的で相補的な(コード又は非コード)RNAを標的とするためにアンチセンスDNAを使用することができる。結合が起こる場合、酵素RNase HによってこのDNA/RNAハイブリッドが分解され得る。特定の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約10から約50ヌクレオチド、例えば約15から約30ヌクレオチドを含有する。この用語は、所望の標的遺伝子に対して正確には相補的ではないものであり得るアンチセンスオリゴヌクレオチドも包含する。従って、本発明は、非標的特異的活性がアンチセンスで見いだされる例又は標的配列との1以上のミスマッチを含有するアンチセンス配列が特定の使用に典型的である例において使用することができる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、タンパク質合成の、有効かつ標的指向化される阻害剤であり、結果として、標的とする遺伝子によるタンパク質合成を特異的に阻害するために使用することができることが分かっている。タンパク質合成阻害に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの有効性は十分に確証されている。例えば、ポリガラクツロナーゼ及びムスカリン2型アセチルコリン受容体の合成は、それらの個々のmRNA配列に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドにより阻害される(米国特許第5,739,119号及び米国特許第5,759,829号)。さらに、アンチセンス阻害の例は、核タンパク質サイクリン、多剤耐性遺伝子(MDG1)、ICAM−1、E−セレクチン、STK−1、線条体GABA受容体及びヒトEGFで明らかになっている(Jaskulskiら、Science.1988 Jun 10;240(4858):1544−6;Vasanthakumar及びAhmed、Cancer Commun.1989;1(4):225−32;Perisら、Brain Res Mol Brain Res.1998 Jun 15;57(2):310−20;米国特許第5,801,154号;米国特許第5,789,573号;米国特許第5,718,709号及び米国特許第5,610,288号)。さらに、アンチセンスコンストラクトは、例えば癌など様々な異常な細胞増殖を阻害し、治療するために使用できることも記載されている(米国特許第5,747,470号;米国特許第5,591,317号及び米国特許第5,783,683号)。
アンチセンスオリゴヌクレオチド作製方法は当技術分野で公知であり、いかなるポリヌクレオチド配列を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを作製するためにも容易に改変することができる。ある一定の標的配列に特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチド配列の選択は、選択した標的配列の分析及び二次構造決定、T、結合エネルギー及び相対的安定性に基づく。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、それらの、宿主細胞中での標的mRNAに対する特異的結合を抑制するか又は妨害するであろう二量体、ヘアピン又はその他の二次構造の相対的な形成不能性に基づき選択され得る。あるいくつかの実施形態において、mRNAの標的領域は、AUG翻訳開始コドンに又はその付近にこれらの領域を含むように及びこれらの配列がmRNAの5’領域に実質的に相補的になるように選択される。例えばOLIGOプライマー分析ソフトウェア(Molecular Biology Insights)のv.4及び/又はBLASTN2.0.5アルゴリズムソフトウェア(Altschulら、Nucleic Acids Res.1997、25(17):3389−402)を用いて、これらの二次構造分析及び標的部位選択の判断を行うことができる。
リボザイム
別の実施形態によると、核酸−脂質粒子がリボザイムと会合している。リボザイムは、エンドヌクレアーゼ活性を保持する特異的触媒ドメインを有するRNA−タンパク質複合体である(Kim及びCech、Proc Natl Acad Sci USA.1987 Dec;84(24):8788−92;Forster及びSymons、Cell.1987 Apr 24;49(2):211−20)。例えば、多数のリボザイムが、非常に特異的に(オリゴヌクレオチド基質において、いくつかのリン酸エステルのうち1個しか切断されないことが多い。)リン酸エステル転移反応を加速する(Cechら、Cell.1981 Dec;27(3Pt2):487−96;Michel及びWesthof、J MoI Biol.1990 Dec 5;216(3):585−610;Reinhold−Hurek及びShub、Nature.1992 May 14;357(6374):173−6)。この特異性は、化学反応前に基質が特異的塩基対形成相互作用を介してリボザイムの内部ガイド配列(「IGS」)に結合するという要件に起因している。
少なくとも6個の基本的な種類の天然の酵素性RNAが現在知られている。それぞれが、生理的条件下でRNAホスホジエステル結合の加水分解をトランスで触媒することができる(従って他のRNA分子を切断できる。)。一般に、酵素性核酸は、標的RNAに最初に結合することにより作用する。このような結合は、標的RNAを切断するように作用する酵素性核酸分子の酵素性部分に対して非常に近接するよう保持されている酵素性核酸の標的結合部分を通じて起こる。従って、この酵素性核酸は、相補的塩基対形成を通じて最初に標的RNAを認識してこれに結合し、適正な部位に結合すると、酵素的に作用して標的RNAを切断する。このような標的RNAの重要な切断により、コードされるタンパク質の合成に対するその指揮能力が破壊される。酵素性核酸が結合し、そのRNA標的を切断した後、これは別の標的を探すためにそのRNAから放出され、繰り返し新しい標的に結合してこれを切断することができる。
酵素性核酸分子は、例えばハンマーヘッド、ヘアピン、δ型肝炎ウイルス、グループIイントロン又はRNaseP RNA(RNAガイド配列と会合)又はアカパンカビ(Neurospora)VS RNAモチーフで形成され得る。ハンマーヘッドモチーフの具体例は、Rossiら、Nucleic Acids Res.1992 Sep 11;20(17):4559−65により記載されている。ヘアピンモチーフの例は、Hampelら(欧州特許出願公開第EP0360257号)、Hampel及びTritz、Biochemistry 1989 Jun 13;28(12):4929−33;Hampelら、Nucleic Acids Res.1990 Jan 25;18(2):299−304及び米国特許第5,631,359号により記載されている。δ型肝炎ウイルスモチーフの例は、Perrotta及びBeen、Biochemistry.1992 Dec 1;31(47):11843−52により記載されており;RNasePモチーフの例は、Guerrier−Takadaら、Cell.1983 Dec;35(3Pt2):849−57により記載されており;アカパンカビ(Neurospora)VS RNAリボザイムモチーフは、Collins(Saville及びCollins、Cell.1990 May 18;61(4):685−96;Saville及びCollins、Proc Natl Acad Sci USA.1991 Oct 1;88(19):8826−30;Collins及びOlive、Biochemistry.1993 Mar 23;32(11):2795−9)により記載されており;グループIイントロンの例は、米国特許第4,987,071号に記載されている。本発明により使用される酵素性核酸分子の重要な特徴は、それが、1以上の標的遺伝子DNA又はRNA領域に相補的である特異的基質結合部位を有するということ及びそれが、分子にRNA切断活性を付与する基質結合部位内又はその周囲のヌクレオチド配列を有するということである。従って、リボザイムコンストラクトは、本明細書中で言及される特異的モチーフに限定する必要はない。
何らかのポリヌクレオチド配列に標的指向化されたリボザイムを作製する方法は当技術分野で公知である。国際出願公開WO93/23569号及び国際出願公開WO94/02595号(それぞれが、参照により具体的に本明細書中に組み込まれる。)に記載されるようにリボザイムを設計し、その文献中で記載のように、インビトロ及びインビボで試験するために合成することができる。
リボザイム結合アームの長さを変化させるか又は血清リボヌクレアーゼによるそれらの分解を防ぐ修飾があるリボザイムを化学合成することによって、リボザイム活性を最適化することができるが(例えば、国際出願公開WO92/07065号;国際出願公開WO93/15187号;国際出願公開WO91/03162号;欧州特許出願公開第92110298.4号;米国特許第5,334,711号;及び国際出願公開WO94/13688号(酵素的RNA分子の糖部分に対してなし得る様々な化学修飾を記載)参照)、修飾により細胞におけるそれらの有効性が向上し、ステムII塩基を除去するとRNA合成時間が短縮され、化学的必要条件が少なくなる。
本明細書中で取り上げられる組成物及び方法での使用に適切なオリゴヌクレオチド(ODN)のさらなる具体的核酸配列は、米国特許出願第60/379,343号、米国特許出願第09/649,527号、国際公開第WO02/069369号、国際公開第WO01/15726号、米国特許第6,406,705号及びRaneyら、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、298:1185−1192(2001)に記載されている。ある種の実施形態において、ODNは、ホスホジエステル(「PO」)骨格又はホスホロチオアート(「PS」)骨格及び/又はCpGモチーフにおいて少なくとも1つのメチル化シトシン残基を有する。
核酸修飾
1990年代に、DNAに基づくアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)及びリボザイム(RNA)によって、薬物設計及び開発に対する大胆な新しい枠組みがもたらされたが、エンドヌクレアーゼ及びエキソヌクレアーゼ活性ならびに細胞内送達がうまくいかないことにより、インビボでそれらを使用することができない。オリゴヌクレオチド(オリゴ)薬物がヌクレアーゼ酵素により認識されるのを防いだがそれらの作用機構を阻害しなかった化学修飾へと幅広く研究を行った後、分解に関する問題は効果的に克服された。この研究は大きな成功を収め、インビボにおいては、未修飾分子の場合、未変化状態であるのが数分であるのに対して、今日開発中のアンチセンスODN薬物は、数日間未変化状態であり続ける(Kurreck、J.2003.Antisense technologies.Improvement through novel chemical modifications.Eur J Biochem 270:1628−44)。しかし、細胞内送達及び作用機構の問題があるために、現在のところ、アンチセンスODN及びリボザイムを臨床用の製品とする上で制限がある。
RNA2本鎖は、本質的にヌクレアーゼに対して1本鎖DNA又はRNAよりも安定しており、アンチセンスODNとは異なり、未修飾dsRNAは、それらが細胞質に接近すると良好な活性を示す。そうではあるが、アンチセンスODN及びリボザイムを安定化するために開発した化学修飾は、化学修飾がどの程度耐容性があり得、薬物動態及び薬力学的活性が促進され得るか否かを判定するために、体系的にdsRNAにも適用されている。dsRNA2本鎖によるRNA干渉には、アンチセンス及びセンス鎖(これらは異なる機能を有する。)が必要である。両者とも、dsRNAをRISCに移行できるようにすることが必要であるが、一旦移行すると、2本の鎖が分離し、そのセンス鎖が分解され、一方でアンチセンス鎖は留まってRISCを標的mRNAに導く。RISCへの移行は、標的mRNAの認識及び切断よりも構造的に厳格性が低いプロセスである。結果として、センス鎖の多くの様々な化学修飾が可能であるが、アンチセンス鎖が耐えられる変化は限られたもののみである(Zhangら、2006)。
当技術分野で公知のように、ヌクレオシドは塩基−糖の組み合わせである。ヌクレオチドは、ヌクレオシドの糖部分に共有結合したリン酸基をさらに含むヌクレオシドである。ペントフラノシル糖を含むこれらのヌクレオシドに対して、糖の2’、3’又は5’ヒドロキシル部分の何れかにリン酸基が連結され得る。オリゴヌクレオチド形成において、リン酸基が隣接するヌクレオシドに互いに共有結合し、直線状のポリマー性化合物を形成する。同様に、この直線状ポリマー性構造の個々の末端をさらに連結して、環状構造を形成することができる。オリゴヌクレオチド構造内で、リン酸基は、一般に、オリゴヌクレオチドのヌクレオシド間骨格を形成するといわれる。RNA及びDNAの正常な結合又は骨格は、3’から5’のホスホジエステル結合である。
本発明による脂質−核酸粒子で使用される核酸は、公知である何らかの形態の核酸を含む。従って、この核酸は、ヌクレアーゼ耐性及び血清安定性を向上させるために以前に使用されたタイプの修飾核酸であり得る。しかし、驚くべきことに、天然核酸ポリマーのホスホジエステル結合に対する修飾がない核酸から脂質−核酸粒子を製剤化することによって、許容可能な治療用製品を調製することもできる。従って、あるいくつかの実施形態において、核酸系薬剤には、未修飾ホスホジエステル結合(即ち結合の全てがホスホジエステル結合である核酸)が含まれる。
骨格修飾
本発明において有用なアンチセンス、dsRNA及びその他のオリゴヌクレオチドとしては、以下に限定されないが、修飾を受けた骨格又は非天然ヌクレオシド間結合を含有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。修飾を受けた骨格を有するオリゴヌクレオチドとしては、骨格中にリン原子を保持するもの及び骨格中にリン原子を有さないものが挙げられる。ヌクレオシド間骨格にリン原子を持たない修飾オリゴヌクレオチドも、オリゴヌクレオシドであるとみなすことができる。修飾オリゴヌクレオチド骨格としては、例えば、ホスホロチオアート、キラルホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチル及びその他のアルキルホスホネート(3’−アルキレンホスホネート及びキラルホスホネートを含む。)、ホスフィネート、ホスホロアミダート(3’−アミノホスホロアミダート及びアミノアルキルホスホロアミダートを含む。)、チオノホスホロアミダート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、ホスホロセレナート、メチルホスホネート又はO−ホスホトリエステル結合及び通常の3’−5’結合を有するボラノリン酸、これらの2’−5’連結類似体及びヌクレオシド単位の連続的な対が3’−5’から5’−3’又は2’−5’から5’−2に連結されている、逆の極性を有するものが挙げられる。
様々な塩、混合塩及び遊離塩形態も含まれる。上記結合の調製を教示する代表的な米国特許としては、以下に限定されないが、米国特許第3,687,808号;同第4,469,863号;同第4,476,301号;同第5,023,243号;同第5,177,196号;同第5,188,897号;同第5,264,423号;同第5,276,019号;同第5,278,302号;同第5,286,717号;同第5,321,131号;同第5,399,676号;同第5,405,939号;同第5,453,496号;同第5,455,233号;同第5,466,677号;同第5,476,925号;同第5,519,126号;同第5,536,821号;同第5,541,306号;同第5,550,111号;同第5,563,253号;同第5,571,799号;同第5,587,361号;及び同第5,625,050号が挙げられる。
ある種の実施形態において、その中にリン原子を含まない修飾オリゴヌクレオチド骨格は、短鎖アルキル又はシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合ヘテロ原子及びアルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間結合又は1以上の短鎖ヘテロ原子もしくは複素環ヌクレオシド間結合により形成される骨格を有する。これらには、例えば、モルホリノ結合(一部ヌクレオシドの糖部分から形成される。);シロキサン骨格;スルフィド、スルホキシド及びスルホン骨格;ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファメート骨格;メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格;スルホネート及びスルホンアミド骨格;アミド骨格を有するもの;及びN、O、S及びCHの混合構成部分を有するその他のものが含まれる。上記オリゴヌクレオシドを記載する代表的な米国特許としては、以下に限定されないが、米国特許第5,034,506号;同第5,166,315号;同第5,185,444号;同第5,214,134号;同第5,216,141号;同第5,235,033号;同第5,264,562号;同第5,264,564号;同第5,405,938号;同第5,434,257号;同第5,466,677号;同第5,470,967号;同第5,489,677号;同第5,541,307号;同第5,561,225号;同第5,596,086号;同第5,602,240号;同第5,610,289号;同第5,602,240号;同第5,608,046号;同第5,610,289号;同第5,618,704号;同第5,623,070号;同第5,663,312号;同第5,633,360号;同第5,677,437号;及び同第5,677,439号が挙げられる。
ホスホジエステル結合の非架橋酸素がイオウで置換される、ホスホロチオアート骨格修飾は、ヌクレアーゼ分解に対して核酸薬を安定化するために使用される最早の最も一般的な手段の1つである。一般に、活性にあまり影響を与えることなく、両方のdsRNA鎖に対してPS修飾を幅広く行うことができると考えられている(Kurreck、Eur.J.Biochem.270:1628−44、2003)。しかし、PSオリゴは、非特異的にタンパク質と強く結合し、その結果、特にi.v.投与時に毒性が生じることが知られている。従って、PS修飾は通常3’及び5’末端の1又は2個の塩基に制限される。ボラノリン酸リンカー(表3、#2)は、PSよりも明らかに安定であり、dsRNA活性を促進し、毒性が低い最新の修飾である(Hallら、Nucleic Acid Res.32:5991−6000、2004)。
その他の有用な核酸誘導体としては、架橋酸素原子(ホスホエステル結合を形成するもの)が−S−、−NH−、−CH−などで置換されている核酸分子が挙げられる。ある種の実施形態において、使用される、アンチセンス、dsRNA又はその他の核酸への変更は、核酸に付随する負電荷に完全には影響を与えない。従って、本発明は、アンチセンス、dsRNA及び、結合の一部が例えば中性メチルホスホネート又はホスホロアミダート結合で置換されているその他の核酸の使用を企図する。中性結合が使用される場合、ある種の実施形態において、そのように置換されるのは核酸結合の80%未満であるか又はそのように置換されるのは核酸結合の50%未満である。
塩基修飾
塩基修飾は骨格及び糖に対する修飾ほど一般的ではない。0.3−6で示される修飾は全て、ヌクレアーゼに対してdsRNAを安定化し、活性には殆ど影響がないと思われる(Zhangら、Curr.Top.Med.Chem.6:893−900、2006)。
従って、オリゴヌクレオチドには、核酸塩基(当技術分野で単に「塩基」と呼ばれることが多い。)修飾又は置換も含まれ得る。本明細書中で使用される場合、「未修飾」又は「天然」核酸塩基としては、プリン塩基アデニン(A)及びグアニン(G)ならびにピリミジン塩基チミン(T)、シトシン(C)及びウラシル(U)が挙げられる。修飾核酸塩基としては、5−メチルシトシン(5−me−C又はm5c)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、6−メチル及び、アデニン及びグアニンのその他のアルキル誘導体、2−プロピル及び、アデニン及びグアニンのその他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミン及び2−チオシトシン、5−ハロウラシル及びシトシン、5−プロピニルウラシル及びシトシン、6−アゾウラシル、シトシン及びチミン、5−ウラシル(シュードウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール,8−チオアルキル、8−ヒドロキシル及びその他の8−置換アデニン及びグアニン、5−ハロ、特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチル及びその他の5−置換ウラシル及びシトシン、7−メチルグアニン及び7−メチルアデニン、8−アザグアニン及び8−アザアデニン、7−デアザグアニン及び7−デアザアデニン及び3−デアザグアニン及び3−デアザアデニンなど、他の合成及び天然核酸塩基が挙げられる。
ある種の核酸塩基は、オリゴマー化合物の結合親和性を向上させるために特に有用である。これらの核酸塩基としては、例えば、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジン及びN−2、N−6及びO−6置換プリン(2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシル及び5−プロピニルシトシンを含む。)が挙げられる。5−メチルシトシン置換は、0.6−1.2℃、核酸2本鎖の安定性を向上させることが分かっている(Sanghvi、Y.S.、Crooke、S.T.及びLebleu、B.編、Antisense Research and Applications 1993、CRC Press、Boca Raton、276−278頁)。これらは、特定の実施形態において2’−O−メトキシエチル糖修飾と組み合わせられ得る。ある種のこれらの修飾核酸塩基ならびにその他の修飾核酸塩基の調製を教示する米国特許としては、以下に限定されないが、上述の米国特許第3,687,808号ならびに米国特許第4,845,205号;同第5,130,302号;同第5,134,066号;同第5,175,273号;同第5,367,066号;同第5,432,272号;同第5,457,187号;同第5,459,255号;同第5,484,908号;同第5,502,177号;同第5,525,711号;同第5,552,540号;同第5,587,469号;同第5,594,121号、同第5,596,091号;同第5,614,617号;同第及び5,681,941号が挙げられる。
糖修飾
糖類における修飾の殆どは、好都合な反応部位を与えるRNA糖環の2’−OHで起こる(Manoharan、Curr.Opin.Chem.Biol.8:570−9、2004号;Zhangら、Curr.Top.Med.Chem.6:893−900、2006)。2’−F及び2’−OME(0.7及び8)は一般的なものであり、両者とも安定性を向上させ、2’−OME修飾は鎖あたり4ヌクレオチド未満に制限される限り、活性を低下させることはない(Holenら、Nucleic Acids Res.31:2401−7、2003)。2’−O−MOE(0.9)は、修飾塩基がその分子の中央領域に限定される場合、dsRNAにおいて最も有効である(Prakashら、J.Med.Chem 48:4247−53、2005)。活性の喪失なくdsRNAを安定させることが分かっているその他の修飾は0.10−14で示す。
修飾オリゴヌクレオチドはまた1以上の置換糖部分も含有し得る。例えば、本発明は、2’位に次のうち1つを含むオリゴヌクレオチドを含む:OH;F;O−、S−もしくはN−アルキル、O−アルキル−O−アルキル、O−、S−もしくはN−アルケニル又はO−、S−もしくはN−アルキニル(このアルキル、アルケニル及びアルキニルは、置換又は未置換C−C10アルキル又はC−C10アルケニル及びアルキニルであり得る。)。典型的な実施形態は、例えば、O[(CHO]CH、O(CHOCH、O(CHON(CH、O(CHNH、O(CHCH、O(CHONH及びO(CHON[(CHCH)](式中、n及びmは1から約10である。)を含む。その他のオリゴヌクレオチドは、2’位に次のもののうち1つを含む:C−C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリル、アラルキル、O−アルカリル又はO−アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SOCH、ONO、NO、N、NH、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基(RNA cleaving group)、レポーター基、挿入剤、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善するための基又はオリゴヌクレオチドの薬力学特性を改善するための基及び同様の特性を有するその他の置換基。ある修飾には、2’−メトキシエトキシ(2’−O−−CHCHOCH、2’−O−(2−メトキシエチル)又は2’−MOEとしても知られる。)(Martinら、Helv.Chim.Acta 1995、78、486−504)、即ちアルコキシアルコキシ基が含まれる。その他の修飾には、2’−ジメチルアミノオキシエトキシ、即ちO(CHON(CH基(2’−DMAOEとしても知られる。)及び2’−ジメチルアミノエトキシエトキシ(2’−DMAEOE)が含まれる。
さらなる修飾には、2’−メトキシ(2’−O−−CH)、2’−アミノプロポキシ(2’−OCHCHCHNH)及び2’−フルオロ(2’−F)が含まれる。同様の修飾は、オリゴヌクレオチドのその他の位置、特に3’末端ヌクレオチド又は2’−5’結合オリゴヌクレオチドの糖の3’位及び5’末端ヌクレオチドの5’位でもなされ得る。オリゴヌクレオチドは、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分などの糖模倣物も有し得る。このような修飾糖構造の調製を教示する代表的な米国特許としては、以下に限定されないが、米国特許第4,981,957号;同第5,118,800号;同第5,319,080号;同第5,359,044号;同第5,393,878号;同第5,446,137号;同第5,466,786号;同第5,514,785号;同第5,519,134号;同第5,567,811号;同第5,576,427号;同第5,591,722号;同第5,597,909号;同第5,610,300号;同第5,627,053号;同第5,639,873号;同第5,646,265号;同第5,658,873号;同第5,670,633号;及び同第5,700,920号が挙げられる。
その他のオリゴヌクレオチド模倣物において、ヌクレオチド単位の、糖及びヌクレオシド間結合の両方、即ち骨格が新規の基で置換されるが、この塩基単位は適切な核酸標的化合物とハイブリッド形成するよう維持される。このようなあるオリゴマー化合物、即ち優れたハイブリッド形成特性を有することが示されているオリゴヌクレオチド模倣物は、ペプチド核酸(PNA)と呼ばれる。PNA化合物において、オリゴヌクレオチドの糖−骨格が、アミド含有骨格、特にアミノエチルグリシン骨格で置換される。この核酸塩基は保持され、骨格のアミド部分のアザ窒素原子と直接又は間接的に結合する。PNA化合物の調製を教示する代表的な米国特許としては、以下に限定されないが、米国特許第5,539,082号;同第5,714,331号;及び同第5,719,262号が挙げられる。PNA化合物のさらなる教示はNielsenら(Science、1991、254、1497−1500)で見出すことができる。
あるいくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドはホスホロチオアート骨格を含み、オリゴヌクレオシドは、上述の米国特許第5,489,677号の、−−CH−−NH−−O−−CH−−、−−CH−−N(CH)−−O−−CH−(メチレン(メチルイミノ)又はMMI骨格と呼ばれる。)−−CH−−O−−N(CH)−−CH−−、−−CH−−N(CH)−−N(CH)−−CH−−及び−−O−−N(CH)−−CH−−CH−−(式中、ネイティブのホスホジエステル骨格は−−O−−P−−O−−CH−−で表される。)などのヘテロ原子骨格及び上述の米国特許第5,602,240号のアミド骨格を含む。その他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、上述の米国特許第5,034,506号のモルホリノ骨格構造を含む。
キメラオリゴヌクレオチド
ある化合物の位置全てが均一に修飾される必要はなく、実際に、1つの化合物に又はオリゴヌクレオチド内の1つのヌクレオシドにさえも、上述の修飾の複数が組み込まれ得る。あるいくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドはキメラオリゴヌクレオチドである。「キメラオリゴヌクレオチド」又は「キメラ」とは、本発明の内容においては、2以上の化学的に別個の領域を含有し、それぞれが少なくとも1ヌクレオチドで構成されるオリゴヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチドは通常、1以上の有益な特性(例えば、ヌクレアーゼ耐性向上、細胞への取り込み促進、RNA標的に対する結合親和性向上など)を付与する修飾ヌクレオチドの少なくとも1つの領域及びRNase H切断に対する基質である領域を含有する。
1つの実施形態において、キメラオリゴヌクレオチドは、標的結合親和性を向上させるように修飾された少なくとも1領域を含む。その標的に対するオリゴヌクレオチドの親和性は通常、オリゴヌクレオチド及び標的が解離(解離は分光光度計で検出)する温度であるオリゴヌクレオチド/標的ペアのTm値を測定することによって決定される。Tm値が高いほど、標的に対するオリゴヌクレオチドの親和性が大きい。あるいくつかの実施形態において、標的mRNA結合親和性を向上させるように修飾されたオリゴヌクレオチド領域は、2’−O−アルキル、2’−O−アルキル−O−アルキル又は2’−フルオロ−修飾ヌクレオチドなど、糖の2’位が修飾された少なくとも1個のヌクレオチドを含む。このような修飾は通常オリゴヌクレオチドに組み込まれ、これらのオリゴヌクレオチドは、ある標的に対して2’−デオキシオリゴヌクレオチドよりも高いTm値を有する(即ち標的結合親和性がより高い。)ことが示されている。このような親和性向上効果は、標的遺伝子発現のオリゴヌクレオチド阻害を大きく促進することである。
別の実施形態において、キメラオリゴヌクレトイド(nucletoide)は、RNAse Hに対する基質として作用する領域を含む。言うまでもなく、オリゴヌクレオチドが本明細書中に記載の様々な修飾の何らかの組み合わせを含み得ることを理解されたい。
オリゴヌクレオチドの別の適切な修飾は、活性、細胞分布もしくはオリゴヌクレオチドの細胞取り込みを促進する1以上の部分又は複合物へのオリゴヌクレオチドの化学的結合を含む。このような複合物及びその調製方法は当技術分野で公知である。
当業者にとって当然のことながら、治療効果などのインビボでの有用性に対して妥当な経験則は、ある配列のチオ化型のものが遊離形態で機能するならば、同じ配列の、何らかの化学物質の封入粒子もまた有効であろうということである。封入粒子はまたインビボでも幅広く有用であり得、アンチセンス療法に反応性があることが知られていない条件及びモデルで有効性を示す。当業者にとって公知であるが、本発明を応用すれば、アンチセンス療法に現在反応する古いモデルを見出し得る。さらに、当業者は、本発明を使用することによって、使用されなくなっているアンチセンス配列又は化学物質を再検討し、有効性を見出し得る。
本発明に従い使用されるオリゴヌクレオチドは、好都合に及び日常的に、固相合成の周知の技術を通じて作製することができる。このような合成のための装置は、Applied Biosystemsを含む数社から発売されている。このような合成のためのいかなる他の手段も使用でき;オリゴヌクレオチドの実際の合成は十分に当業者の能力の範囲内である。ホスホロチオアート及びアルキル化誘導体などの他のオリゴヌクレオチドを調製するための類似技術を使用することも周知である。
脂質粒子
脂質粒子中で本薬剤及び/又はアミノ脂質を製剤処方することができる。脂質粒子としては、以下に限定されないがリポソームが挙げられる。本明細書中で使用される場合、リポソームは、内部の水性部分を取り囲む脂質含有膜を有する構造である。リポソームは、1以上の脂質膜を有し得る。本発明は、ユニラメラ(unilamellar)と呼ばれる単層リポソーム及びマルチラメラ(multilamellar)と呼ばれる多層リポソームの両方を企図する。核酸と複合体化される場合、脂質粒子は、例えばFelgner、Scientific Americanに記載のようなDNA層間に挟まれた陽イオン性脂質二重層から構成されるリポプレックスでもあり得る。
脂質粒子は1以上のさらなる脂質及び/又はコレステロールなどのその他の成分をさらに含み得る。脂質酸化を防ぐため又はリポソーム表面上にリガンドを結合させるためなど、様々な目的で、その他の脂質がリポソーム組成物に含まれ得る。両親媒性、中性、陽イオン性及び陰イオン性脂質を含め、脂質はいくつでも存在し得る。このような脂質は単独で又は組み合わせて使用することができる。存在し得るさらなる脂質成分の具体例を下記で示す。
脂質粒子に存在し得るさらなる成分としては、ポリアミドオリゴマー(例えば米国特許第6,320,017号参照)などの二重層安定化成分、ペプチド、タンパク質、界面活性剤、ホスファチジルエタノールアミンにカップリングされたPEG及びセラミドと複合体化されたPEG(米国特許第5,885,613号参照)などの脂質−誘導体が挙げられる。
脂質粒子は、第二のアミノ脂質又は陽イオン性脂質、中性脂質、ステロール及び、形成中に脂質粒子の凝集を低下させる(これは、粒子が立体的に安定化し、これにより形成中の電荷誘導性凝集が妨げられる結果であり得る。)ために選択される脂質の1以上を含み得る。
核酸製剤への複合体化に適切な脂質の例は、ポリエチレングリコール(PEG)修飾脂質、モノシアロガングリオシドGm1及びポリアミドオリゴマー(「PAO」)、例えば(米国特許第6,320,017号に記載)などである。PEG、Gm1又はATTAのような、形成中の凝集を防ぐ、非荷電であり親水性であり立体障害部分があるその他の化合物も脂質とカップリングさせることができる。ATTA−脂質は、例えば米国特許第6,320,017号に記載されており、PEG−脂質複合物は、例えば米国特許第5,820,873号、同第5,534,499号及び同第5,885,613号に記載されている。通常、凝集を抑制するために選択される脂質成分の濃度は約1から15%(脂質のモル%)である。
本発明において有用であるPEG修飾脂質(又は脂質−ポリオキシエチレン複合物)の具体例は、脂質小胞の表面にPEG部分を固定するための様々な「アンカー」脂質部分を有し得る。適切なPEG修飾脂質の例としては、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジン酸、参照により本明細書中に組み込まれる同時係属U.S.S.N.08/486,214に記載のPEG−セラミド複合物(例えば、PEG−CerC14又はPEG−CerC20)、PEG修飾ジアルキルアミン及びPEG修飾1,2−ジアシルオキシプロパン−3−アミンが挙げられる。PEG修飾ジアシルグリセロール及びジアルキルグリセロールが代表的である。
PEG又はATTAなどの立体的に大きい部分が脂質アンカーと複合体化されている実施形態において、脂質アンカーの選択は、複合物が脂質粒子とどのタイプの結合を有するかに依存する。粒子が循環から除去されるまで、おそらく数日間、mePEG(分子量2000)−ジアステアロイルホスファチジルエタノールアミン(PEG−DSPE)がリポソームと会合し続けることは周知である。PEG−CerC20などのその他の複合物は同様の滞留能を有する。しかし、PEG−CerC14は、血清に曝露されるとこの製剤から急速に放出され、一部のアッセイではT1/2が60秒未満となる。米国特許出願第08/486,214号で示されるように、少なくとも3つの特徴、即ちアシル鎖の長さ、アシル鎖の飽和度及び立体障害頭部基の大きさが放出速度に影響を与える。これらの特性が適切に改変されている化合物は本発明に有用であり得る。一部の治療への応用に関しては、PEG修飾脂質がインビボで核酸−脂質粒子から迅速に失われることが望ましいものであり得、従ってPEG修飾脂質は比較的短い脂質アンカーを保持することになろう。その他の治療への応用において、核酸−脂質粒子は、血漿循環寿命がより長いことが好ましいものであり得、これ故にPEG修飾脂質の脂質アンカーは比較的長いものとなろう。代表的な脂質アンカーとしては、長さが約C14から約C22、例えば約C14から約C16などであるものが挙げられる。あるいくつかの実施形態において、PEG部分、例えばmPEG−NHの大きさは、約1000、2000、5000、10,000、15,000又は20,000ダルトンである。
注目すべきは、凝集妨害化合物が、正しく機能するために必ずしも脂質複合体化を必要とするわけではないないことである。溶液中の遊離PEG又は遊離ATTAは凝集を妨害するのに十分であり得る。形成後に粒子が安定である場合、対象に投与する前にPEG又はATTAを透析により除去することができる。
脂質粒子中に存在する場合、中性脂質は、生理的pHで非荷電又は中性の両性イオン形態の何れかで存在する多くの脂質種の何れでもあり得る。このような脂質としては、例えばジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、ジヒドロスフィンゴミエリン、セファリン及びセレブロシドが挙げられる。本明細書中に記載の粒子での使用のための中性脂質の選択は通常、例えば、リポソームの大きさ及び血流中でのリポソームの安定性を考慮することにより行われる。通常、中性脂質成分は、2個のアシル基を有する脂質(即ち、ジアシルホスファチジルコリン及びジアシルホスファチジルエタノールアミン)である。鎖長及び飽和度が様々である様々なアシル鎖基を有する脂質が入手可能であるか又は周知の技術により単離もしくは合成できる。ある実施形態群において、C14からC22の範囲の炭素鎖長を有する飽和脂肪酸を含有する脂質が使用される。別の実施形態群において、C14からC22の範囲の炭素鎖長の一価又は二価不飽和脂肪酸を有する脂質が使用される。さらに、飽和及び不飽和脂肪酸鎖の混合物を有する脂質を使用することができる。通常、本発明で使用される中性脂質は、DOPE、DSPC、POPC又は何らかの関連ホスファチジルコリンである。本発明において有用な中性脂質はまた、スフィンゴミエリン、ジヒドロスフィンゴミエリン又は、セリン及びイノシトールなどの他の頭部基を有するリン脂質からも構成され得る。
存在する場合、脂質混合物のステロール成分は、リポソーム、脂質小胞又は脂質粒子調製の分野で従来から使用されるステロールの何れかであり得る。代表的ステロールはコレステロールである。
上記で具体的に記載したものに加えて、生理的pH前後で正味の正電荷を有するその他の陽イオン性脂質も本脂質粒子に含まれ得る。このような陽イオン性脂質としては、以下に限定されないが、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド(「DODAC」);N−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル−N,N−N−トリエチルアンモニウムクロリド(「DOTMA」);N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムブロミド(「DDAB」);N−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(「DOTAP」);1,2−ジオレイルオキシ−3−トリメチルアミノプロパンクロリド塩(「DOTAP.Cl」);3β−(N−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)−カルバモイル)コレステロール(「C−Chol」)、N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N−2−(スペルミンカルボキサミド)エチル)−N,N−ジメチルアンモニウムトリフルオロアセテート(「DOSPA」)、ジオクタデシルアミドグリシルカルボキシスペルミン(「DOGS」)、1,2−ジレオイル(dileoyl)−sn−3−ホスホエタノールアミン(「DOPE」)、1,2−ジオレオイル−3−ジメチルアンモニウムプロパン(「DODAP」)、N,N−ジメチル−2,3−ジオレイルオキシ)プロピルアミン(「DODMA」)及びN−(1,2−ジミリスチルオキシプロプ−3−イル)−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(「DMRIE」)が挙げられる。さらに、例えば、リポフェクチン(LIPOFECTIN)(GIBCO/BRLから入手可能なDOTMA及びDOPEを含む。)及びリポフェクタミン(LIPOFECTAMINE)(GIBCO/BRLから入手可能なDOSPA及びDOPEを含む。)など、多くの陽イオン性脂質の市販製剤を使用することができる。特定の実施形態において、陽イオン性脂質はアミノ脂質である。
本脂質粒子での使用に適切な陰イオン性脂質としては、以下に限定されないが、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N−ドデカノイルホスファチジルエタノーロアミン(N−dodecanoyl phosphatidylethanoloamine)、N−スクシニルホスファチジルエタノールアミン、N−グルタリルホスファチジルエタノールアミン、リシルホスファチジルグリセロール及び中性脂質に連結されるその他の陰イオン性修飾基が挙げられる。
多くの実施形態において、両親媒性脂質が脂質粒子に含まれる。「両親媒性脂質」は、脂質物質の疎水性部分が疎水相に向き、親水性部分が水相に向いている何らかの適切な材料を指す。このような化合物としては、以下に限定されないが、リン脂質、アミノ脂質及びスフィンゴ脂質が挙げられる。代表的なリン脂質としては、スフィンゴミエリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、パルミトイルオレオイルホスファトジルコリン(phosphatdylcholine)、リソホスファチジルコリン、リソホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン又はジリノレイルホスファチジルコリンが挙げられる。スフィンゴ脂質、糖スフィンゴ脂質ファミリー、ジアシルグリセロール及びβ−アシルオキシ酸などのその他のリン欠損化合物も使用することができる。さらに、このような両親媒性脂質は、トリグリセリド及びステロールなどのその他の脂質と容易に混合することができる。
プログラム可能な融合脂質も脂質粒子に含まれるものとして適切である。このような脂質粒子は、細胞膜と融合し、あるシグナル事象が起こるまでそれらの負荷物を送達する傾向を殆ど示さない。これにより、生体又は疾患部位に注射後、脂質粒子が細胞と融合する前に、脂質粒子がより均一に分布できるようになる。シグナル事象は例えばpH、温度、イオン環境又は時間の変化であり得る。後者の場合、ATTA−脂質複合物又はPEG−脂質複合物など、融合遅延又は「遮蔽(cloaking)」成分は、長時間にわたり脂質粒子膜から単純に放出され得る。代表的脂質アンカーとしては、長さが約C14から約C22、例えば約C14から約C16などであるものが挙げられる。あるいくつかの実施形態において、PEG部分、例えばmPEG−NHの大きさは約1000、2000、5000、10,000、15,000又は20,000ダルトンである。
1つの実施形態において、本明細書中に記載の脂質製剤と複合体化された本核酸系薬剤の平均粒径は、少なくとも直径約100nmである(例えば、少なくとも直径約110nm、少なくとも直径約120nm、少なくとも直径約150nm、少なくとも直径約200nm、少なくとも直径約250nm又は少なくとも直径約300nm)。
あるいくつかの実施形態において、本粒子の多分散度指数(PDI)は約0.5未満である(例えば、約0.4未満、約0.3未満、約0.2未満又は約0.1未満)。
脂質粒子が身体において適切に分布するまでに、脂質粒子は、十分に遮蔽剤(cloaking agent)を喪失し、融合性となる。その他のシグナル事象とともに、炎症部位での温度上昇など、疾患部位又は標的細胞と関連するシグナルを選択することが望ましい。
核酸製剤に複合体化された脂質粒子は、標的指向化部分、例えば細胞タイプ又は組織に特異的な標的指向化部分も含み得る。リガンド、細胞表面受容体、糖タンパク質、ビタミン(例えばリボフラビン)、葉酸及びモノクローナル抗体(例えばβインテグリン(βI)に対する抗体)などの様々な標的指向化部分を用いた脂質粒子の標的指向化が既に記載されている(例えば、米国特許第4,957,773号及び同第4,603,044号参照)。標的指向化部分にはタンパク質全体又はその断片が含まれ得る。標的指向化の機構には、通常、標的指向化部分が標的、例えば細胞表面受容体との相互作用に利用可能であるように、標的指向化剤が脂質粒子表面上に位置することが必要である。例えばSapra、P.及びAllen、TM、Prog.Lipid Res.42(5):439−62(2003);及びAbra、RMら.、J.Liposome Res.12:1−3、(2002)に記載のものを含め、当技術分野で様々な異なる標的指向化剤及び方法が公知であり、利用可能である。
標的指向化のための、ポリエチレングリコール(PEG)鎖などの親水性ポリマー鎖の表面コーティング付きの、脂質粒子、即ちリポソームの使用が提案されている(Allenら、Biochimica et Biophysica Acta 1237:99−108(1995);DeFreesら、Journal of the American Chemistry Society 118:6101−6104(1996);Blumeら、Biochimica et Biophysica Acta 1149:180−184(1993);Klibanovら、Journal of Liposome Research 2:321−334(1992);米国特許第5,013556号;Zalipsky、Bioconjugate Chemistry 4:296−299(1993);Zalipsky、FEBS Letters 353:71−74(1994);Zalipsky、Stealth Liposomes Chapter 9(Lasic及びMartin、編)CRC Press、Boca Raton Fl(1995))。ある方法において、脂質粒子を標的指向化するための抗体などのリガンドが、脂質粒子を形成する脂質の極性頭部基と連結される。別の方法において、標的指向化リガンドは、親水性ポリマーコーティングを形成するPEG鎖の遠位末端に連結される(Klibanovら、Journal of Liposome Research 2:321−334(1992);Kirpotinら、FEBS Letters 388:115−118(1996))。
標的指向化剤をカップリングするための標準的方法を使用することができる。例えば、ホスファチジルエタノールアミンを使用することができ、これは、標的指向化剤又は、脂質誘導体化ブレオマイシンなどの誘導体化脂溶性化合物の連結のために活性化することができる。例えばタンパク質Aを組み込むリポソームを用いて、抗体で標的指向化したリポソームを構築することができる(Renneisenら、J.Bio.Chem.、265:16337−16342(1990)及びLeonettiら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)87:2448−2451(1990)参照)。抗体複合体化のその他の例は、参照により本明細書中に組み込まれる教示である米国特許第6,027,726号で開示されている。標的指向化部分の例としては、新生物又は腫瘍に関連する抗原を含む細胞成分に特異的なその他のタンパク質を挙げることもできる。標的指向化部分として使用されるタンパク質は共有結合を介してリポソームに連結され得る(Heath、Covalent Attachment of Proteins to Liposomes、149 Methods in Enzymology 111−119(Academic Press、Inc.1987)参照)。その他の標的指向化方法にはビオチン−アビジン系が含まれる。
定義
便宜上、明細書、実施例及び添付の特許請求の範囲中で使用される一定の用語及び句の意味を以下で与える。本明細書の他の部分での用語の使用と、この節で与えられるその定義との間に明らかな乖離がある場合、この節中の定義が優先される。
「G」、「C」、「A」、「T」及び「U」はそれぞれ、一般に、塩基としてグアニン、シトシン、アデニン、チミジン及びウラシルを含有するヌクレオチドを示す。しかし、「リボヌクレオチド」又は「ヌクレオチド」の用語が、下記でさらに詳述されるような修飾ヌクレオチド又は代替置換(surrogate replacement)部分も指し得ることを理解されたい。当業者にとって当然のことながら、グアニン、シトシン、アデニン及びウラシルは、このような置換部分を有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの塩基対形成特性を実質的に変化させることなく、その他の部分によって置換され得る。例えば、制限なく、その塩基としてイノシンを含むヌクレオチドは、アデニン、シトシン又はウラシルを含有するヌクレオチドと塩基対形成し得る。これ故に、ウラシル、グアニン又はアデニンを含有するヌクレオチドは、例えばイノシンを含有するヌクレオチドによって、本発明で取り上げられるdsRNAのヌクレオチド配列において置換され得る。別の例において、標的mRNAとG−Uゆらぎ塩基対を形成するために、オリゴヌクレオチドのあらゆる場所のアデニン及びシトシンをグアニン及びウラシルでそれぞれ置換することができる。このような置換部分を含有する配列は、本発明で取り上げられる組成物及び方法に適切である。
本明細書中で使用される場合、「標的配列」は、一次転写産物のRNAプロセシングの産物であるmRNAを含め、遺伝子転写中に形成されるmRNA分子のヌクレオチド配列の連続部分を指す。
本明細書中で使用される場合、「配列を含む鎖」という用語は、標準的なヌクレオチド命名法を用いて言及される配列により述べられるヌクレオチドの鎖を含むオリゴヌクレオチドを指す。
本明細書中で使用される場合及び別段の断りがない限り、「相補的な」という用語は、ヌクレオチド対の内容で使用するとき、古典的なワトソン−クリック対、即ちGC、AT又はAUを意味する。これは、例えばrbose修飾又はリン酸骨格修飾によってヌクレオチドの一方又は両方が本明細書中に記載のように修飾されている古典的ワトソン−クリック対形成にも及ぶ。これは、塩基対形成特性を実質的に変化させないイノシン又はその他のものとの対形成も含み得る。
当業者にとって当然のことながら、本明細書中で使用される場合及び別段の断りがない限り、「相補的な」という用語は、第二のヌクレオチド配列に関連して第一のヌクレオチド配列を述べるために使用されるとき、第一のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドが、ある一定の条件下で第二のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドとハイブリッド形成し、2本鎖構造を形成する能力を指す。相補性とは、生理的条件下、例えば生体内で遭遇し得るような生理的に適切な条件下で、ハイブリッド形成を可能にするための、完全な相補性、実質的な相補性及び十分な相補性を含み得る。完全相補性とは、第一及び第二の配列の対全てにおいて個々の対に対する上記で定義するとおりの相補性を指す。配列が本明細書中の第二の配列に関して「実質的に相補的」である場合、この2つの配列は完全に相補的であり得るか又はこれらは、ハイブリッド形成時に1以上の、しかし通常は4個以下、3又は2個のミスマッチ塩基対を形成し得、一方で、その最終的な適用に最も適切な条件下でハイブリッド形成する能力を保持している。実質的な相補性とは、ストリンジェントな条件下でのハイブリッド形成としても定義することができ、この場合、ストリンジェントな条件は、400mM NaCl、40mM PIPES pH6.4、1mM EDTA、50℃又は70℃で12から16時間、その後洗浄という段階を含み得る。当業者は、ハイブリッド形成したヌクレオチドの最終的な適用に従い、2つの配列の相補性の試験に最も適切な一連の条件を決定することができる。
しかし、2つのオリゴヌクレオチドが、ハイブリッド形成時に1以上の1本鎖突出部を形成するように設計される場合、このような突出部は、相補性の判定に関してミスマッチとはみなさない。例えば、21ヌクレオチド長の1本のオリゴヌクレオチド及び23ヌクレオチド長の別のオリゴヌクレオチドを含むdsRNA(長い方のオリゴヌクレオチドが、短い方のオリゴヌクレオチドに完全に相補的である21ヌクレオチドの配列を含む場合)も「完全に相補的」と言うことができる。
「相補的」配列は、本明細書中で使用される場合、それらのハイブリッド形成能に関して上記の必要条件が満たされる限り、非ワトソン−クリック塩基対及び/又は非天然及び修飾ヌクレオチドから形成される塩基対も含み得るか又はそれらから完全に形成され得る。このような非ワトソン−クリック塩基対としては、以下に限定されないが、G:Uゆらぎ塩基対形成又はフーグスティーン塩基対形成が挙げられる。
生理的条件下、例えば生体内で遭遇し得るような生理的に適切な条件下でハイブリッド形成を可能にする、「相補的」、「完全に相補的」、「実質的に相補的」及び十分な相補性という用語は、本明細書中で、それらの使用の内容から理解されるであろうように、dsRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖との間又はdsRNAのアンチセンス鎖と標的配列との間の塩基マッチングに関して使用され得る。
本明細書中で使用される場合、「相補的」、例えばメッセンジャーRNA(mRNA)の少なくとも一部と実質的に相補的であるポリヌクレオチドとは、関心のある(例えばCD45をコードする)mRNAの連続部分に相補的である、例えば実質的に相補的である、ポリヌクレオチドを指す。例えば、ポリヌクレオチドは、その配列がCD45をコードするmRNAの連続的な部分と実質的に相補的である場合、CD45mRNAの少なくとも一部と相補的である。
「2本鎖RNA」又は「dsRNA」という用語は、本明細書中で使用される場合、逆平行で、上記で定義のように実質的に相補的な2本の核酸鎖を含む2本鎖構造を有する、リボ核酸分子又はリボ核酸分子の複合体を指す。2本鎖構造を形成するこの2本の鎖は、1つのより大きいRNA分子の異なる部分であり得るか又はこれらは個別のRNA分子であり得る。この2本の鎖が、より大きい1つの分子の一部であり、従って、2本鎖構造を形成する一方の鎖の3’末端と、別個の他方の鎖の5’末端との間のヌクレオチドの連続鎖により連結される場合、この連結RNA鎖は「ヘアピンループ」と呼ばれる。この2本の鎖が、2本鎖構造を形成する一方の鎖の3’末端と、別個の他方の鎖の5’末端との間のヌクレオチドの連続鎖以外によって共有結合される場合、この連結構造は「リンカー」と呼ばれる。RNA鎖は同じであるか又は異なる数のヌクレオチドを有し得る。塩基対の最大数は、dsRNAの最短鎖におけるヌクレオチド数である。2本鎖構造に加えて、dsRNAは1以上のヌクレオチド突出部を含み得る。dsRNAは、本明細書中で使用される場合、「低分子干渉RNA」、「siRNA」、「siRNA剤」、「iRNA剤」又は「RNAi剤」とも呼ばれる。
本明細書中で使用される場合、「ヌクレオチド突出部」は、dsRNAの一方の鎖の3’末端が他方の鎖の5’末端を越えて伸びているか又はその逆である場合に対形成していないヌクレオチド又はdsRNAの2本鎖構造から突出するヌクレオチドを指す。「平滑」又は「平滑末端」は、そのdsRNAの末端に対形成していないヌクレオチドがないこと、即ちヌクレオチド突出部がないことを意味する。「平滑末端化」dsRNAは、その全長にわたり2本鎖であるdsRNAであり、即ちその分子の何れの末端にもヌクレオチド突出部がない。
「アンチセンス鎖」という用語は、標的配列に実質的に相補的である領域を含むdsRNAの鎖を指す。本明細書中で使用される場合、「相補性の領域」という用語は、配列、例えば本明細書中に記載のような標的配列に実質的に相補的であるアンチセンス鎖における領域を指す。相補性領域が標的配列に完全に相補的でない場合、分子の内部又は末端領域にミスマッチが存在し得る。一般に、最も許容性が高いミスマッチは、末端領域、例えば、5’及び/又は3’末端の6、5、4、3又は2ヌクレオチド内に存在する。
「センス鎖」という用語は、本明細書中で使用される場合、そのアンチセンス鎖の領域に実質的に相補的である領域を含むdsRNAの鎖を指す。
配列を比較することにより判定される場合、「同一性」という用語は、2以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。同一性とは、このような配列の線の間の一致により判定される場合、ポリヌクレオチド配列間の配列関連性の度合いも意味する。2つのポリヌクレオチド配列間の同一性を評価するための方法は多数存在すると同時に、この用語は当業者にとって周知である(例えば、Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje、G.、Academic Press(1987);及びSequence Analysis Primer、Gribskov.、M.及びDevereux、J.編、M.Stockton Press、New York(1991)を参照)。「実質的に同一」とは、本明細書中で使用される場合、dsRNAのセンス鎖と標的遺伝子の対応部分との間の相同性の度合いが非常に高い(例えば100%配列同一性)ことを意味する。しかし、本発明において配列同一性が90%又は95%より大きいdsRNAを使用することができ、従って遺伝子突然変異、系統多型(strain polymorphism)又は進化的分岐に起因して予想され得る配列変動も許容され得る。100%同一性が一般的ではあるが、dsRNAは、RNAと標的遺伝子との間に1個又は複数の塩基対ランダムミスマッチを含有し得る。
「細胞への導入」とは、当業者により理解されるように、dsRNAに言及する場合、細胞への取り込み又は吸収を促進することを意味する。dsRNAの吸収又は取り込みは、自発的拡散性の又は能動的な細胞プロセスを通じて又は助剤もしくは装置によって起こり得る。この用語の意味はインビトロでの細胞に限定されず;dsRNAはまた、細胞が生きている生物の一部である場合も、「細胞に導入」され得る。このような例において、細胞への導入は生物への送達を含む。例えば、インビボ送達の場合、dsRNAを組織部位に注射するか又は全身的に投与を行うことができる。インビボ送達は、米国特許第5,032,401号及び同第5,607,677号及び米国公開第2005/0281781号に記載のものなど、β−グルカン送達系によるものでもあり得る。米国特許第5,032,401号及び同第5,607,677号及び米国公開第2005/0281781号は、それらの全体において参照により本明細書によって組み込まれる。細胞へのインビトロ導入には、電気穿孔法及びリポフェクションなどの当技術分野で公知の方法が含まれる。
「抑制(サイレンス、silence)」及び「の発現を阻害」、「の発現を下方制御」、「の発現を抑制」などの用語は、それらが免疫細胞で発現される遺伝子、例えばマクロファージで発現される、例えばCD45を指す限り、本明細書中で、CD45遺伝子が転写され、CD45遺伝子の発現が阻害されるように処理されたか又は処理されている第一の細胞又は細胞群から単離され得るCD45 mRNAの量が、第一の細胞又は細胞群と実質的に同一であるがそのように処理されていない第二の細胞又は細胞群(対照細胞)と比較した場合に減少していることにより明らかとなるような、CD45遺伝子発現の少なくとも部分的な抑制を指す。阻害度は通常、
((対照細胞中のmRNA)−(処理済み細胞中のmRNA))/(対照細胞中のmRNA)・100%として表される。
あるいは、阻害度は、例えば、ある一定の表現型、例えばアポトーシスを示す細胞又は多くの細胞において発現されるか又はそれらにより分泌される、CD45遺伝子によりコードされるタンパク質の量など、CD45遺伝子発現と機能的に関連があるパラメータの低下として与えられ得る。原則として、構成的に又はゲノム操作によってCD45を発現する何らかの細胞において、何らかの適切なアッセイにより、CD45遺伝子サイレンシングを判定し得る。しかし、あるdsRNAがある一定の程度までCD45遺伝子の発現を阻害するか否かを判定するためには基準が必要であり、従って、本発明に基準が包含される場合、下記の実施例で提供されるアッセイがこのような基準として役立つ。
例えば、ある一定の例において、実施例で下に記載のとおりのアッセイによって遺伝子発現が測定される場合、核酸系薬剤、例えばdsRNAの投与によって、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%又は少なくとも約50%、CD45遺伝子の発現が抑制される。1つの実施形態において、少なくとも約60%、少なくとも約70%又は少なくとも約80%、CD45遺伝子が抑制される。別の実施形態において、少なくとも約85%、少なくとも約90%又は少なくとも約95%、CD45遺伝子が抑制される。
本明細書中で使用される場合、「SNALP」という用語は、安定な核酸−脂質粒子を指す。SNALPは、iRNA剤又はiRNA剤が転写されるプラスミドなどの核酸を含む内部の少量の水性部分を覆う脂質の小胞を指す。SNALPは例えば米国特許出願公開第20060240093号、同第20070135372号及び2008年4月15日出願のUSSN61/045,228に記載されている。これらの出願書類は参照により本明細書により組み込まれる。
「治療する」、「治療」などの用語は、疾患又は障害の緩和又は改善を指す。本明細書中、下記で引用される他の状態の何れかとそれが関連する限りの内容において(例えば自己免疫又は炎症性障害などのCD45介在性の状態)、「治療する」、「治療」などの用語は、このような状態に付随する少なくとも1つの症状を緩和もしくは改善するか又はこのような状態の進行を遅延させるかもしくは回復に向かわせることを意味する。
「治療上適切な」組成物は、適切な用量で投与される場合、疾患もしくは障害又は疾患もしくは障害の症状を改善し得る。
本明細書中で使用される場合、「CD45介在性の状態又は疾患」という用語及び関連用語及び句は、不適切な、例えば正常より高いCD45活性を特徴とする状態又は障害を指す。不適切なCD45機能活性は、正常ではCD45を発現しない細胞におけるCD45発現又はCD45発現上昇の結果として生じ得る(例えば、炎症性障害又は自己免疫疾患の症状につながる。)。CD45介在性の状態又は疾患には、不適切なCD45機能活性が完全に又は部分的に介在し得る。しかし、CD45介在性の状態又は疾患は、CD45の調節の結果、原因となる状態又は障害にある程度の効果をもたらすものである(例えばCD45阻害剤によって少なくとも一部の患者で患者の健康がある程度改善する。)。
本明細書中で使用される場合、「自己免疫疾患」は、身体中の物質及び組織に対する身体の過剰反応から生じる何らかの障害である。本明細書中に記載の組成物を用いた治療に適切な代表的な自己免疫疾患としては、関節炎(例えば関節リウマチ)、アテローム性動脈硬化症、紅斑性狼瘡、乾癬、炎症性腸疾患(IBD)(例えばクローン病又は潰瘍性大腸炎)、糖尿病(例えばI型糖尿病)、慢性免疫不全症及び自己免疫不全症(Autoimmune deficiency syndrome、AIDS)が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、「炎症性障害」は、炎症が付随する何らかの障害である。炎症性障害は自己免疫障害でもあり得る。本明細書中に記載の組成物を用いた治療に適切な代表的な炎症性障害としては、関節炎(例えば関節リウマチ)、炎症性腸疾患(IBD)(例えばクローン病又は潰瘍性大腸炎)が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、「治療的有効量」及び「予防的有効量」という句は、自己免疫又は炎症性疾患又はこのような障害の明らかな症状、例えば、関節もしくは筋肉痛、腫脹、衰弱又は炎症の治療、予防又は管理において治療的効果をもたらす量を指す。治療的に有効な具体的量は、通常の医師が容易に決定でき、例えば自己免疫障害のタイプ、患者の病歴及び年齢、疾患ステージ及びその他の薬剤の投与など、当技術分野で公知の因子に依存して変動し得る。
本明細書中で使用される場合、「医薬組成物」は、薬理学的有効量のdsRNA及び医薬的に許容可能な担体を含む。本明細書中で使用される場合、「薬理学的有効量」、「治療的有効量」又は単純に「有効量」は、所望の薬理学的、治療的又は予防的結果を得るのに有効なRNAの量を指す。例えば、疾患又は障害に関連する測定可能なパラメータが少なくとも25%低下する場合にその臨床治療が有効とみなされるとき、その疾患又は障害の治療用薬物の治療的有効量は、そのパラメータを少なくとも25%低下させるのに必要な量である。
「医薬的に許容可能な担体」という用語は、治療剤の投与のための担体を指す。このような担体としては、以下に限定されないが、食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール及びそれらの組み合わせが挙げられる。細胞培養液はこの用語から特に除外される。経口投与される薬物の場合、医薬的に許容可能な担体としては、以下に限定されないが、不活性希釈剤、崩壊剤、結合剤、滑剤、甘味剤、香味料、着色剤及び保存料などの医薬的に許容可能な賦形剤が挙げられる。適切な不活性希釈剤としては、炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウム、リン酸ナトリウム及びリン酸カルシウム及びラクトースが挙げられるが、コーンスターチ及びアルギン酸が適切な崩壊剤である。結合剤としてはデンプン及びゼラチンを挙げることができ、一方、存在する場合、滑剤は一般にステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクとなろう。必要に応じて、錠剤は、消化管での吸収を遅延させるためにモノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルなどの材料で被覆され得る。
本明細書中で使用される場合、「形質転換細胞」とは、dsRNA分子が発現され得るベクターが導入されている細胞である。
医薬組成物
例えば核酸系薬剤、例えば脂質製剤と複合体化されたdsRNAを含む、本明細書中で提供される組成物は、医薬組成物を提供するための医薬的に許容可能な担体も含み得る。本医薬組成物は、遺伝子の発現又は活性に関連する疾患又は障害を治療するために有用である。このような医薬組成物は送達方式に基づき製剤化される。一例は、非経口送達を介した全身投与のために製剤化される組成物である。
特定される薬剤を含む医薬組成物は、標的遺伝子、例えばCD45遺伝子の発現を阻害するのに十分な投与量で投与される。一般に、dsRNA剤の適切な用量は、1日あたり0.01から200.0ミリグラム/キログラム受容者体重の範囲、一般には1日あたり0.02から50mg/キログラム体重の範囲である。例えば、dsRNAは、1回の投与あたり0.01、0.1、0.05mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、20mg/kg、30mg/kg、40mg/kg又は50mg/kgで投与することができる。本医薬組成物は、1日1回投与してもよいし、又は本dsRNAは、1日を通じて適切な間隔で2、3回以上、各分割用量(sub dose)で投与してもよいし、又は連続的な点滴もしくは放出制御製剤を通じた送達を使用することもできる。その場合、各分割用量(sub dose)中に含有されるdsRNAは、1日総投与量を達成するために相応してより少量となるはずである。投与量単位は、例えば数日間にわたりdsRNAを持続放出させる従来の持続放出製剤を用いて、数日間にわたる送達のために調合することもできる。持続放出製剤は当技術分野で周知であり、本明細書中に記載の核酸系薬剤とともに使用され得るものなどの薬剤の膣内送達に特に有用である。この実施形態において、投与量単位は、1日用量の対応する複数倍を含有する。
当業者にとって当然のことながら、以下に限定されないが、疾患又は障害の重症度、治療歴、全身健康状態及び/又は対象の年齢及び存在する他の疾患を含め、ある種の因子が、効率的に対象を治療するために必要とされる投与量及びタイミングに影響し得る。さらに、治療的有効量の組成物を用いた対象の治療は、単回の治療又は一連の治療を含み得る。本明細書中の他の部分に記載のように、従来の方法を用いて又は適切な動物モデルを使用したインビボでの試験に基づいて、本発明に包含される個々のdsRNAに対する有効投与量及びインビボ半減期の推定を行うことができる。
特定の実施形態において、取り上げられる脂質−核酸に基づく粒子を含有する医薬組成物は標準的技術に従い調製され、医薬的に許容可能な担体をさらに含む。一般に、医薬的に許容可能な担体として生理食塩水が使用される。その他の適切な担体としては、アルブミン、リポタンパク質、グロブリンなどの安定性を促進するための糖タンパク質を含め、例えば、水、緩衝水、0.9%食塩水、0.3%グリシンなどが挙げられる。食塩水又はその他の塩含有担体を含有する組成物において、担体は通常、脂質粒子形成後に添加される。従って、脂質−核酸組成物の形成後、生理食塩水などの医薬的に許容可能な担体中で本組成物を希釈することができる。
得られた医薬製剤は、従来の周知の安定化技術によって安定化することができる。次に、水溶液を使用のために封入するか又は無菌状態下でろ過し、凍結乾燥し、この凍結乾燥製剤を投与前に滅菌水溶液と合わせることができる。本組成物は、生理的状態に近い状態に対して必要とされるように、pH調整及び緩衝化剤、等張性調整剤など、例えば酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムなど、医薬的に許容可能な補助物質を含有し得る。さらに、脂質縣濁液は、保存時にフリーラジカル及び脂質−過酸化障害から脂質を保護する脂質保護剤を含み得る。α−トコフェロールなどの脂溶性のフリーラジカル捕捉剤及びフェリオキサミンなどの水溶性鉄特異的キレート剤が適切である。
医薬製剤中の脂質粒子又は脂質−核酸粒子の濃度は幅広く変動し得、即ち約0.01%未満から、通常は約0.05〜5%又は少なくとも約0.05〜5%から10〜30重量%までに及び、選択される特定の投与方式に従い、主に液量、粘度などにより選択される。例えば、治療に伴う流体負荷を低下させるために濃度を高くし得る。これは、アテローム性動脈硬化症関連のうっ血性心不全又は重度の高血圧に罹患している患者において特に所望され得る。あるいは、投与部位の炎症を軽減するために、刺激性の脂質からなる複合体を希釈して濃度を低下させることができる。ある実施形態群において、本核酸は、標識が結合され、(相補的核酸の存在を示すことによって)診断に使用される。この例において、投与される複合体の量は、使用される特定の標識、診断される疾患状態及び医師の判断に依存するが、通常は、約0.01から約50mg/キログラム体重の間、例えば約0.1から約5mg/kg体重の間などであろう。
上記のように、脂質−治療薬(例えば核酸)粒子は、ポリエチレングリコール(PEG)−修飾リン脂質、PEG−セラミド又はガングリオシドGM1−修飾脂質又は凝集を防ぐかもしくは制限するのに有効なその他の脂質を含み得る。このような成分の添加は単純に複合体凝集を防ぐだけではない。むしろこれは、循環寿命の延長及び標的組織への脂質−核酸組成物の送達を促進するための手段も提供し得る。
本発明はまた、キット形態で脂質−治療薬組成物も提供する。本キットは、通常、キットの様々な要素を保持するために区画化されている容器を含む。本キットは、それらの再水和又は希釈及び投与のための説明書とともに、粒子又は医薬組成物、例えば乾燥又は濃縮形態など、を含有する。ある種の実施形態において、この粒子は活性薬剤を含み、一方でその他の実施形態において、それらは活性薬剤を含まない。
脂質製剤と複合体化された核酸系薬剤を含有する本医薬組成物は、局所又は全身治療が所望されるか否か及び治療しようとする部位に依存して多くの方法で投与し得る。投与は、局所、肺、例えば、噴霧器によるものを含む、粉剤又はエアロゾルの吸入又は吹送によって;気管内、鼻腔内、表皮及び経皮)、経口又は非経口であり得る。投与は、例えば関節内への直接的な関節内注射による、胃腸管への直接的な送達のための直腸投与による、子宮頸部及び膣への送達のための膣内投与による、眼への送達のための硝子体内投与によるなど、局所送達を通じて特定の組織へ選択的に局在するように設計することもできる。非経口投与としては、静脈内、動脈内、関節内、皮下、腹腔内もしくは筋肉内注射;又は頭蓋内、例えば、髄腔内又は脳室内の投与が挙げられる。
局所投与用の医薬組成物及び製剤としては、経皮パッチ剤、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、滴剤、坐剤、噴霧剤、液剤及び粉剤を挙げることができる。従来の医薬担体、水性、粉末又は油性の基材、増粘剤などが必要又は望ましい場合がある。コーティングを施したコンドーム、手袋なども有用であり得る。代表的な局所製剤としては、核酸系薬剤、例えばdsRNAが、脂質、リポソーム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド、キレート剤又は界面活性剤などの局所送達成分と混合されているものが挙げられる。代表的な脂質及びリポソームとしては、中性(例えばジオレオイルホスファチジルDOPEエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルコリンDMPC、ジステアロイルホスファチジルコリン)陰性(例えばジミリストイルホスファチジルグリセロールDMPG)及び陽イオン性(例えばジオレオイルテトラメチルアミノプロピルDOTAP及びジオレオイルホスファチジルエタノールアミンDOTMA)が挙げられる。dsRNAは、リポソーム内に封入され得るか又はそれらと、特に陽イオン性リポソームと複合体と形成し得る。あるいは、dsRNAは、脂質、特に陽イオン性脂質と複合体化され得る。代表的な脂肪酸及びエステルとしては、以下に限定されないが、アラキドン酸、オレイン酸、エイコサン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプラート、トリカプラート、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1−モノカプラート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリン又はC1−10アルキルエステル(例えばイソプロピルミリステートIPM)、モノグリセリド、ジグリセリド又は医薬的に許容可能なそれらの塩が挙げられる。局所製剤は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる1999年5月20日出願の米国特許出願第09/315,298号で詳述されている。
経口投与のための組成物及び製剤としては、粉剤もしくは顆粒剤、マイクロ粒子、ナノ粒子、水中もしくは非水性媒体中の懸濁液もしくは溶液、カプセル剤、ゲルカプセル剤、サシェ剤、錠剤又は小型錠剤が挙げられる。増粘剤、香味料、希釈剤、乳化剤、分散助剤又は結合剤が望ましい場合がある。代表的な経口製剤は、核酸系薬剤、例えばdsRNAが、1以上の浸透促進剤、界面活性剤及びキレート剤と組み合わせられて投与されるものである。代表的な界面活性剤としては、脂肪酸及び/又はそのエステルもしくは塩、胆汁酸及び/又はその塩が挙げられる。代表的な胆汁酸/塩としては、ケノデオキシコール酸(CDCA)及びウルソデオキシケノデオキシコール酸(UDCA)、コール酸、デヒドロコール酸、デオキシコール酸、グルコール酸、グリコール酸、グリコデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロ−24,25−ジヒドロ‐フシジン酸ナトリウム及びグリコジヒドロフシジン酸ナトリウムが挙げられる。代表的な脂肪酸としては、アラキドン酸、ウンデカン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1−モノカプレート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリンもしくはモノグリセリド、ジグリセリド又は医薬的に許容可能なそれらの塩(例えばナトリウム塩)が挙げられる。浸透促進剤の組み合わせ、例えば胆汁酸/塩と組み合わせた脂肪酸/塩、も一般的である。典型的な組み合わせは、ラウリン酸、カプリン酸及びUDCAのナトリウム塩である。その他の浸透促進剤としては、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−20−セチルエーテルが挙げられる。核酸系薬剤、例えば脂質製剤と複合体化されたdsRNAは、噴霧乾燥した粒子を含む顆粒形態又はマイクロ粒子もしくはナノ粒子を形成するように複合体化された形態で経口送達し得る。核酸系薬剤との使用のための複合体化剤としては、例えば、ポリアミノ酸;ポリイミン;ポリアクリレート;ポリアルキルアクリレート、ポリオキシエタン、ポリアルキルシアノアクリレート;陽イオン化ゼラチン、アルブミン、デンプン、アクリレート、ポリエチレングリコール(PEG)及びデンプン;ポリアルキルシアノアクリレート;DEAE誘導体化ポリイミン、ポルラン、セルロース及びデンプンが挙げられる。代表的な複合体化剤としては、例えば、キトサン、N‐トリメチルキトサン、ポリ−L−リジン、ポリヒスチジン、ポリオルニチン、ポリスペルミン、プロタミン、ポリビニルピリジン、ポリチオジエチルアミノメチルエチレンP(TDAE)、ポリアミノスチレン(例えばp−アミノ)、ポリ(メチルシアノアクリレート)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(ブチルシアノアクリレート)、ポリ(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(イソヘキシルシアノアクリレート)、DEAE−メタクリレート、DEAE−ヘキシルアクリレート、DEAE−アクリルアミド、DEAE−アルブミン及びDEAE−デキストラン、ポリメチルアクリレート、ポリヘキシルアクリレート、ポリ(D,L‐乳酸)、(DL−乳酸グリコール酸)コポリマー(PLGA)、アルギネート及びポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。dsRNAのための経口製剤及びそれらの調製は、各々がそれらの全体において参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第08/886,829号(1997年7月1日出願)、同第09/108,673号(1998年7月1日出願)、同第09/256,515号(1999年2月23日出願)、同第09/082,624号(1998年5月21日出願)及び同第09/315,298号(1999年5月20日出願)で詳細に記載されている。
非経口、髄腔内又は脳室内投与のための組成物及び製剤は、緩衝剤、希釈剤及び、以下に限定されないが、浸透促進剤、担体化合物及びその他の医薬的に許容可能な担体又は賦形剤などのその他の適切な添加物も含有し得る滅菌水溶液を含み得る。
医薬組成物としては、以下に限定されないが、溶液剤、乳剤及びリポソーム含有製剤が挙げられる。これらの組成物は、以下に限定されないが、予め調製された液剤、自己乳化型の固体及び自己乳化型の半固体を含む様々な成分から調製され得る。
医薬製剤は、単位剤形で好都合に与えられ得るが、医薬業界で周知の従来技術に従い調製され得る。このような技術には、有効成分を医薬担体又は賦形剤と混合する工程が含まれる。一般に、この製剤は、有効成分を液体担体又は微粉固体担体又はその両方と均一かつ完全に混合し、次いで必要に応じて生成物を成形することにより調製される。
本明細書中で取り上げられる組成物は、以下に限定されないが、錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、液体シロップ剤、軟ゲル剤、坐剤及び浣腸剤などの多くの可能な投与形態の何れかへと製剤化され得る。本組成物は、水性、非水性又は混合媒体中の懸濁液としても製剤化され得る。水性懸濁液は、この懸濁液の粘性を高める物質、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール及び/又はデキストランなどをさらに含有し得る。懸濁液には安定化剤も含み得る。
1つの実施形態において、本医薬組成物は、泡剤(foams)として製剤化し、使用し得る。医薬用泡剤には、以下に限定されないが、乳剤、マイクロエマルジョン、クリーム剤、ゼリー剤及びリポソームなどの製剤が挙げられる。実際は基本的に類似しているが、これらの製剤の成分及び最終生成物の粘稠度は異なる。このような組成物及び製剤の調製は一般に製薬及び製剤分野の当業者にとって公知であり、本明細書中で取り上げられる組成物の製剤化に適用し得る。
本発明は、その適用において、次の記述に記載の成分の構築及び配合の詳細に限定されない。本発明は、他の実施形態を行うことが可能であり、様々な方法で実施可能であるか又は遂行可能である。また、本明細書中で使用される表現及び用語は、説明を目的とするものであり、限定するものとみなすべきではない。本明細書中での「含む(including)」、「含む(comprising)」又は「有する(having)」、「含有する(containing)」、「含む(involving)」及びその変形物の使用は、本明細書中で後に列挙するもの及びそれらの同等物ならびにさらなるものを包含するものとする。
実施例
次の実施例は、説明のために提供されるものであり、主張する発明を限定するものではない。
実施例1
LNP01と複合体化されたCD45siRNAは、チオグリコール酸活性化マクロファージにおいてCD45遺伝子発現を抑制した。
マウス(n=4)にチオグリコール酸をIP注射により投与して、マクロファージを活性化した。チオグリコール酸投与から3日及び5日後、LNP01を配合した10mg/kg CD45、ICAM2又はGFP siRNAをこのマウスにIP注射によって投与し、次いで第4日にマウスを屠殺した(LNP01製剤は、例えば国際出願公開第WO2008/042973号に記載)。マクロファージを単離し、フローサイトメトリーによって分析してsiRNAの取り込みを測定し、遺伝子発現におけるsiRNAの影響を評価した。CD45及びGFP LNP01−siRNAはマクロファージによって取り込まれたが、ICAM2 siRNAは取り込まれなかった。CD45siRNAの取り込みの結果、CD45遺伝子発現が65%低下した。図1A及び1Bを参照のこと。
実施例2
LNP01中のAlexa488−標識siRNAが免疫細胞により取り込まれた。
マウスにLNP01中の5mg/kgのAlexa488−siRNAを注射し、2時間後に屠殺した。脾臓、肝臓及び骨髄からの白血球をフローサイトメトリーによって分析した。CD5、CD11であるものとしてT細胞を同定し、B細胞をCD19、IgM/IgDであるものとして同定し、骨髄細胞をCD5、CD11b、CD11cとして同定し;CD5、CD11b、CD11cとして樹状細胞を特定した。骨髄CD11b細胞には、マクロファージ及び顆粒球が含まれる。この結果から、B細胞、骨髄細胞及び樹状細胞によってAlexa488−siRNAが取り込まれたことが示唆された。B細胞はT細胞よりも効率的にsiRNAに結合した(図2)。
実施例3
全身送達されたLNP01配合siRNAを用いて、肝臓マクロファージにおいてサイレンシングは観察されなかった。
Balb/cマウス(1群あたりn=4)に、ICAM2(AD3176)又は第VII因子(AD−1661)LNP01配合siRNAを静脈注射により7.5mg/kgで投与した。第1、3及び4日にマウスにi.v.注射し、次いで第6日に屠殺した。脾臓及び肝臓マクロファージにおけるICAM2発現及び血清第VII因子の発現をFACS分析により測定した。この結果から、血清第VII因子発現が第VII因子siRNAによって阻害されたが、肝臓及び脾臓マクロファージにおけるICAM2発現は抑制されなかった(図3A及び3B)ことが示唆された。この結果から、マクロファージがsiRNAを吸収したが、標的遺伝子サイレンシングがなかったことが示唆された。
実施例4
SNALP(安定な核酸脂質粒子)リポソーム製剤はsiRNAを白血球に標的指向化した。
SNALPリポソーム中のリポソーム中に配合されたCy3−標識siRNA(Tekmira Pharmaceuticals(British Columbia、Canada))は、以前ラットにおけるDMA及びDAP製剤によって、マクロファージに富む領域への局在を示した。従って、マクロファージにおける遺伝子サイレンシングについてこれらのsiRNAを試験した。
次の4種類の異なるSNALPリポソームとともにCD45及びICAM2 siRNAを製剤処方した。
DLinDMA:DSPC:Chol:PEG−DMG(40:10:40:10モル比)
DLinDAP:DSPC:Chol:PEG−DMG(40:10:40:10モル比)
DODMA:DSPC:Chol:PEG−DMG(25:20:45:10モル比)
DLinDMA:Chol:PEG−DMG(50:40:10モル比)。
リポソーム配合siRNAを静脈内及び腹腔内投与した。
これらの製剤を用いて、脾臓においてサイレンシングは観察されなかった。
実施例5
脾臓LNP−SNALP局在から白血球取り込みが示唆される。
Cy3−SNALP−CD45をマウスに静脈内及び腹腔内投与した。1.5時間後、siRNAの取り込み先は、主にマクロファージ、繊維芽細胞、赤血球及び白血球を含有する脾臓の血管に富む組織である「赤脾髄」であった。4時間後、このsiRNAは依然として主に赤脾髄に局在していたが、主にリンパ球が存在する脾臓の境界域に移動し始めていた。10時間後、siRNA取り込み先は主に、(i)Bリンパ球を含有する胚中心及び(ii)境界域を含むリンパ系組織である、白髄であった。24時間後、siRNA取り込みは、主に白髄及び胚中心で観察された。
実施例6
LNP08(XTC)配合CD45siRNAはマウス腹腔の白血球においてCD45発現を抑制した。
ナイーブC57BL/6マウス(n=3)に3mg/kgでCD45siRNA又はLuc siRNAの何れかを含有するLNP08製剤を静脈内又は腹腔内注射により注入した。注射から3日後、脾臓、骨髄、腹腔、パイエル板及び肝臓からの白血球の分析を行った。細胞表面マーカーCD45、GR−1、CD11b(Mac1)、CD11c、CD45、NK1.1、CD19及びTCR−βの組み合わせに対する抗体を用いて白血球を染色した。
CD45siRNAのi.v.又はi.p.注射の何れかの後、CD45が腹腔のCD11b及びCD11c細胞で(マクロファージ及び樹状細胞で)下方制御されることが観察された(図4A及び4B)。当業者は、一般に、i.v.投与によるsiRNAの結果、有効な遺伝子サイレンシングが起こらないと考えてきたので、i.v.によるsiRNAの投与後に観察されるサイレンシング活性は驚くべきものであった。
i.p.及びi.v.により投与した場合、LNP08配合CD45及びルシフェラーゼsiRNAは両者とも、骨髄白血球に取り込まれ(図5A及び5B)、CD45siRNAは、両投与経路によって遺伝子発現を抑制することができた(図5C)。ここでも、i.v.によるsiRNA投与が遺伝子発現を下方制御するのに有効であったことは特に驚くべきことであった。
i.p.によるsiRNA注射後のB細胞、NK(ナチュラルキラー)細胞及びT細胞及びi.v.注射後のB細胞及びNK細胞を含め、腹腔のリンパ球におけるCD45発現に対する軽度の作用も観察された(図6)。ここでも、i.v.投与後に遺伝子発現の下方制御が見出されるのは驚くべきことであった。
脾臓細胞において、CD45siRNAは、i.p.注射後のB細胞リンパ球及びi.p.注射後のCD11b+白血球で発現を低下させた(図7A及び7B)。
CD45siRNAは、パイエル板の、B細胞、NK細胞、T細胞又はCD11bGR−1細胞(図8A)においても肝臓の白血球(図8B)においてもCD45遺伝子発現に対して効果がなかった。
製剤取り込みとサイレンシングとの間の相関関係を調べるために、脂質XTCを含有する脂質A製剤も試験した。3mg/kg、n=3匹のマウスで、CD45(GFP)又はルシフェラーゼsiRNAの何れかを含有する脂質A製剤をi.v.によりマウスに注射した。CD45及びGFPは多量に存在しかつ非常に安定なタンパク質である。注射から3日後、脾臓、骨髄、腹腔、パイエル板、肝臓及びリンパ節から白血球を分析した。タンパク質レベルでのサイレンシングについてフローサイトメトリーにより白血球亜集団をアッセイした。
分析のために生細胞全てをゲーティングした。細胞表面マーカーに基づき個々の集団を同定し、個別にゲーティングした。各集団に対してCD45の平均蛍光強度(MFI)を測定し、siRNA処置マウスと対照マウスとの間のMFIの%差をとることによって、%ノックダウンを計算した。
CD45サイレンシングは、腹腔のマクロファージ及び樹状細胞でもっとも強く観察された(図9)。脾臓、骨髄及び肝臓で観察されたサイレンシングはそれより弱く、リンパ球(T細胞、B細胞及びナチュラルキラー細胞)では顕著なノックダウンは観察されなかった。ApoE−/−マウスでは、脾臓及び腹腔骨髄細胞で野生型マウスと同程度のノックダウンが認められた。図9で示す結果は、独立した4回の実験にわたり平均した。
FACS(蛍光活性化細胞分類)分析から、腹腔のマクロファージ及び樹状細胞による脂質A配合CD45siRNAの取り込みが示された(図10A及び10B)。注射から72時間後(図10C)、腹膜白血球でCD45サイレンシングが観察され、GFPトランスジェニックマウスにおいてGFPsiRNAによって同様の結果が見られた。
用量反応実験において、0.3mg/kgではマクロファージ及び樹状細胞サイレンシングの両方が観察されたが、0.1mg/kgでは観察されなかった(図11C)。図11A及び11Bから、投与量レベルが高いほどsiRNAの取り込みが多かったことが示される。
別の一連の実験において、Alexa647標識siRNAを封入する脂質A製剤を1mg/kgでi.v.注射した(1群あたりマウスn=3匹)。FACSを使用して、腹腔、骨髄、脾臓、大動脈周囲リンパ節及び血液のマクロファージ、単球、B細胞及びT細胞による脂質の取り込みを測定した。この結果を図12で示す。大動脈周囲リンパ節では骨髄よりも取り込みが少なかった。
この実験の結果から、脂質A製剤が血液単球により効率的に取り込まれ、最大取り込みが15分までに達成されたことが示された。血液単球は、LNP取り込み後、腹腔に移動し得る(図13参照)。脾臓マクロファージでの取り込みは、血液で見られた取り込みよりも少なく、腹腔の骨髄細胞で観察された取り込みは大きかったが、取り込み速度は脾臓及び血液単球に対して観察されたものよりも遅かった。腹腔で高取り込みが観察されたのは、腹腔で高いサイレンシングが観察されたことと矛盾しない。
実施例7
LNP09配合siRNAは脾臓、血液及び腹腔の白血球での遺伝子発現を抑制した。
先行実験から、投与後72時間までに、脂質配合dsRNAによってサイレンシングを示す殆どのマクロファージが腹腔に局在するようになることが示された。従って、脂質配合dsRNAが腹腔の細胞に対して標的指向化されるのか又は他所に局在化した細胞が最初にdsRNAを取り込み、次いでその細胞が腹腔に移動するのか否かという疑問を解明するために、さらなる実験を計画した。
ナイーブC57BL/6マウス(n=3)にLNP09−(XTC−)配合CD45dsRNA又はルシフェラーゼdsRNAを注射した。3mg/kgで静脈内に注射した。白血球(マクロファージ及び単球を含む。)を脾臓、末梢血液、骨髄及び腹腔から、投与後15分、1時間及び2時間後に単離し、さらなる活性化刺激を与えずに、この細胞をインビトロで72時間培養した。次いで細胞を回収し、フローサイトメトリーによりCD45レベルを定量した。表面マーカー:CD45、GR−1、CD11b(Mac1)及びCD11cの組み合わせに対する抗体で白血球を染色した。結果を図14Aから14Dで示す。
図14Aは、CD45dsRNA投与後、骨髄から単離された白血球が何らサイレンシング活性を示さなかったことを示す。図14Bは、脾臓組織から単離された白血球で最初の1時間にわたりサイレンシングが向上しており、次の1時間を通じてこのサイレンシングレベルが維持されることを示す。図14Dは、腹腔から単離された白血球では、2時間にわたりCD45遺伝子サイレンシング効果上昇が明らかになったことを示す。対照的に、図14Cは、血流中の白血球において最初の遺伝子サイレンシング効果が認められたが、その後の時点ではCD45サイレンシングがあったと認められた細胞が僅かだったことを示す。
これらの実験から、サイレンシングは、末梢白血球(血流及び脾臓中の白血球)で起こり、50−60%のサイレンシングに到達し、これはエクスビボでの注射から3日後までに腹腔で見られる効果に匹敵することが明らかになった。
この結果から、siRNA含有LNP製剤によって末梢白血球を首尾よく標的とすることができることが示された。腹腔は移動部位及び/又は後のリポソーム移動経路の何れかであり得る。
実施例8
脂質T配合CD45siRNAはマウス腹腔の白血球においてCD45発現を抑制した。
ナイーブC57BL/6マウス(n=3)に、CD45siRNA(AD3215)又はLuc siRNAの何れかを含有する脂質製剤を3mg/kgでi.v.又はi.p.注射により注入した。この製剤は、次のモル%で脂質T、DSPC、コレステロール及びPEGを含んでいた:
AD3215siRNAは、下で示されるようなセンス及びアンチセンス鎖をそれぞれ有する:
注射から3日後、脾臓、骨髄、腹腔、パイエル板及び肝臓からの白血球を分析した。細胞表面マーカーCD45、GR−1、CD11b(Mac1)、CD11c、CD45、NK1.1、CD19及びTCR−βの組み合わせに対する抗体で白血球を染色した。CD11bは、マクロファージに豊富にある骨髄細胞マーカーであり;CD11cは樹状細胞ならびに他の骨髄細胞で高密度で見出される骨髄細胞マーカーであり;GR−1は顆粒球マーカーであり;CD19はB細胞マーカーであり、TCR−βはT細胞マーカーであり、NK1.1はナチュラルキラー細胞に対するマーカーである。
腹腔のマクロファージ及び樹状細胞においてCD45siRNAによるサイレンシングが観察され(図15A及び15B)、一方、リンパ球でのCD45は観察されなかった(図16)。ここでも、実に驚くべきことに、i.v.注射によるsiRNA投与後に遺伝子サイレンシング活性が観察された。
i.p.又はi.v.による投与後、CD45siRNAは骨髄白血球にも取り込まれ(図17A及び17B)、siRNAは、何れの投与経路でも、白血球の遺伝子発現を抑制するのに有効であった(図17C)。ここでも、実に驚くべきことに、i.v.注射によるsiRNA投与後、遺伝子サイレンシング活性が観察された。
肝臓(図18A)、脾臓(図18B)の白血球又はパイエル板リンパ球(図18C)におけるCD45遺伝子発現に対する影響についても、CD45siRNAを試験した。
一連の第二の実験において、脂質Tを含有する脂質製剤(TechG1)であるLNP12中で製剤処方したdsRNAを上述のようにナイーブC57BL/6マウス(n=3)にi.v.注射により投与した。注射から3日後、脾臓、骨髄、腹腔、肝臓及びリンパ節から白血球を分析した。フローサイトメトリーによるタンパク質レベルでのサイレンシングについて白血球亜集団をアッセイした。生細胞全てを分析のためにゲーティングした。細胞表面マーカーに基づき個々の集団を同定し、個別にゲーティングした。各集団に対してCD45の平均蛍光強度(MFI)を測定し、siRNA処置マウスと対照マウスとの間のMFIの%差としてノックダウン%を計算した。
これらの実験から、腹腔のマクロファージにおいて、約90%ノックダウンが明らかになった(図19A及び19B)。脾臓のマクロファージ及び樹状細胞においてサイレンシング向上も観察された(図20A及び20B)。脂質Tを含有する脂質製剤(例えばLNP12)が脂質A(XTC)又は脂質M(MC3)を含有する脂質製剤よりも脾臓において活性をより効果的に抑制することが認められた。
i.v.単回ボーラス投与から調べた場合の、ナイーブマウスにおける非標的指向化リポソームに対するIC50値を下記の表で示す。最大サイレンシングは腹腔で観察された。脂質Tは、現在のところ白血球サイレンシングに対する最も有効な脂質成分であることが証明された(IC50=0.3mg/kg)。
実施例9
免疫細胞標的指向化促進のための脂質A含有製剤の最適化
免疫細胞への薬剤送達性が向上したリポソーム製剤を特定するために、siRNAによる免疫細胞における第VII因子(FVII)、肝臓−特異的遺伝子及びCD45(EC3.1.34)を標的とするsiRNAを含有する様々な脂質粒子を製剤処方した。CD45siRNA又はLuc/第VII因子(9:1)siRNAの何れかを含有する、様々な量の脂質A、DSPC、コレステロール及びPEG−脂質(PEG−ジミリストイルグリセロール(PEG−DMG)であるC14−PEG又はPEG−ジスチリルグリセロール(PEG−DSG)であるC18−PEGの何れかであり;双方の場合とも、PEG部分の平均分子量が約2,000である。)を含む全部で8種類の製剤を、3mg/kgの量でナイーブC57BL/6マウスにi.v.投与することによって試験した(N=3)。脂質Aを含有するベース製剤は肝臓サイレンシングに対して白血球サイレンシングよりも10倍活性が高いので、第VII因子siRNAの使用量はより少量であった。siRNAの総用量をCD45siRNA製剤の場合と同等とするために、Luc siRNAを第VII因子製剤に添加した。注射から3日後、白血球を腹腔から回収し、第VII因子を血清から定量した。マクロファージ特異的マーカーとしてCD45、GR−1、CD11b(Mac1)及び樹状細胞(DC)マーカーとしてCD11cを含む表面マーカーの組み合わせに対する抗体で白血球を染色した。
試験した脂質A含有製剤は以下のとおりであった。
siRNA3215、1955及び1661は、それぞれCD45、ルシフェラーゼ(Luc)及び第VII因子を標的とする。
Mac1+マクロファージ又はCD11c+樹状細胞(DC)におけるCD45のサイレンシングを図21Aで示す。肝臓におけるFVIIのサイレンシングは図21Bで示す。CD45及びFVIIサイレンシングに対する相関プロットを図22A及び22Bで示す。
マクロファージにおいて、一部の製剤は、CD45の強いサイレンシングを示した(例えば、N/O又はE/F>G/H>P/Q>J/K)。同様に、一部の製剤が樹状細胞においてCD45の強いサイレンシングを示した(例えば、E/F>G/H>N/O>P/Q>J/K)。
結論として、E/F、G/H、J/K、N/O及びP/Qなどの製剤は免疫細胞(マクロファージ及び樹状細胞の両方)において強いサイレンシングを示した。一部の製剤(例えばN/O及びP/Q)では、肝臓と比較した場合に、免疫細胞においてより選択的なサイレンシングであると思われた。
実施例10
様々なサイズのリポソームの調製
様々な粒径のリポソーム製剤が特異的免疫細胞標的指向化において有効であるかを調べるために、様々なサイズのリポソーム粒子を調製するための新しい方法を開発した。次の手順は、リポソーム粒子が、融合を妨害する薬剤(例えばPEG−脂質)の非存在下で、ある一定の条件下で融合反応を起こし得るという考え方に基づくものであった。このような融合反応の進行を慎重に監視することによって、大きなサイズのリポソームを再現性よく調製することができる。
酢酸ナトリウム緩衝液(0.3M、pH5.2)を脂質予混合溶液に添加することによって、リポソームを調製した。各脂質保存溶液から、この脂質予混合溶液(エタノール中、脂質A/コレステロール/DSPC=50:10:30モル比を含有する20.4mg/mL総脂質濃度)を調製した。この脂質予混合溶液にはPEG−脂質は含有されなかった。
脂質予混合溶液に酢酸ナトリウム緩衝液を添加した後、脂質Aに対する酢酸の0.5というモル比で混合物を水和させた(得られた混合物のエタノール濃度は約97%であった。)。続いて、激しく攪拌しながらこの混合物を1.85体積のクエン酸緩衝液(10mM、pH3.0)と混合することによって脂質を水和した。次に、融合を誘導するために37℃でリポソーム溶液をインキュベートした。様々な時点で一定分量を採取した。
インキュベーション中のリポソームの大きさの変化を調べるために、一定分量のリポソーム溶液を回収し、希釈(1:500)してそれらのサイズを測定した。Zetasizer nano ZS(Malvern Instruments、Worcestershire、UK)を用いてリポソーム粒径(d、nm)及びリポソームの多分散度指数(PDI)を測定した。リポソームのサイズは時間関数的に大きくなった(図23A)。温度、ナトリウム濃度及びpHを含め、ある一定のパラメータがリポソーム直径の拡大速度に影響を与えることが分かった。例えば、リポソームの拡大は、高温であるほど速かった。対照的に、ナトリウム濃度が低い場合、凝集及びリポソーム拡大速度が低下し:100mM以上のナトリウム濃度では、リポソームの凝集があまりに高速であったためサイズの拡大を監視できず、一方で、本明細書中で使用するようにナトリウム濃度を低下させると、融合反応の進行が制御しやすくなった。
融合反応におけるリポソーム粒子の無作為な融合の結果、融合反応が進行するにつれて、サイズ分布が安定して向上するようになると予想される。驚くべきことに、リポソームサイズが時間関数的に安定して拡大した一方で(図23A)、リポソームの多分散度指数(PDI)は低いままであり(図23B)、つまり、リポソームのサイズ分布が融合事象によるサイズ拡大にかかわらず、極めて均一なままであったことが示唆される。従って、サイズ分布プロファイルは殆ど平行にシフトした(例えば図23C参照)。
PEG−脂質の添加が融合を抑制し、リポソームをそのサイズに維持することに役立ち得るかどうかを調べるために、融合反応開始後、融合反応中の一定分量のリポソームを様々な時点で採取し(t=0から150分)、総脂質の3.5%の最終PEGモル濃度でPEG脂質水溶液(保存液=35%(v/v)エタノール中、10mg/mL PEG−C14)と激しく攪拌しながら混合した。結果から、PEG−脂質を添加すると、リポソームのさらなる拡大を効果的に抑制しながら、明らかに顕著なさらなる融合事象なくリポソームのサイズが維持されたことが分かった。
PEG脂質の添加後、siRNA溶液(保存液=35%エタノール中の1.5mg/mL siRNA)の半量を添加することによって空のリポソームにsiRNAを投入し、続いて37℃で30分間インキュベーションを行った。続いて、混合物をPBS中で一晩透析した。結果として、多分散度指数が低い様々なサイズのリポソームが得られた。この方法を用いて、〜200nmの粒径のリポソーム及び300nmを超えるか又はさらに600nmを超えるものを容易に調製することができた。
これらの結果から、PEG−脂質が、融合反応中のリポソームサイズの拡大を効果的に抑制するために役立ち得ることが示された。従って、融合を妨害するPEG−脂質などの成分がない混合物中で融合反応を行い、続いて、所望のリポソームサイズが得られるまで融合反応を継続させた後、PEG−脂質を添加することによって、様々なサイズのリポソームを好都合に得ることができる。この反応は、サイズ及びサイズ分布について容易に監視し(例えばPDIを測定することによる。)、さらなる融合を阻害する薬剤(例えばPEG−脂質)を添加するか又は希釈によって停止することができる。この方法を用いて得られるリポソームは、PDI値が比較的低いことから分かるように、驚くべきことにサイズが均一である。
実施例11
免疫細胞標的指向化促進のための脂質粒径の最適化
様々な粒径を有するリポソーム製剤の、免疫細胞を選択的に標的とする能力を試験するために、PEG−C14(PEG−DMG)又はPEG−C18(PEG−DSG)の何れかを使用して、基本的に上述の実施例9に記載のような方法を用いて第VII因子(FVII)、肝臓特異的遺伝子又は免疫細胞に存在するCD45(EC3.1.34)を標的とするsiRNAを含有する様々な脂質粒子を製剤処方した。全部で8対の脂質粒子を調製した。これらの脂質粒子は、脂質製剤における組成物の性質及び/又は量又は粒径の何れかが異なる。3mg/kgの量でナイーブC57BL/6マウスにi.v.投与することによって、CD45siRNA又はLuc/第VII因子(9:1)siRNAの何れかを含有する脂質粒子を試験した(N=3)。siRNA3215、1955及び1661は、それぞれCD45、ルシフェラーゼ(Luc)及び第VII因子を標的とする。脂質Aを含有するベース製剤は肝臓サイレンシングに対して、白血球サイレンシングに対する場合よりも10倍活性が高いので、第VII因子siRNAの使用量はより少量であった。siRNAの総用量をCD45siRNA製剤の場合と同等にするために、Luc siRNAを第VII因子製剤に添加した。
注射から3日後、白血球を腹腔及び脾臓から回収し、製造者のプロトコールに従い、発色アッセイ(Coaset Factor VII、DiaPharma Group、OH又はBiophen FVII、Aniara Corporation、OH)を用いて第VII因子を血清から定量した。マクロファージ特異的マーカーとしてCD45、GR−1、CD11b(Mac1)及び樹状細胞(DC)マーカーとしてCD11cを含む表面マーカーの組み合わせに対する抗体で白血球を染色した。試験した製剤は下記表5で示すとおりである。示されるようなC14−PEG(PEG−ジミリストイルグリセロール(PEG−DMG))又はC18−PEG(PEG−ジスチリルグリセロール(PEG−DSG))の何れかを製剤中で使用した。両ケースにおいて、C14−PEG及びC18−PEGのPEG部分の平均分子量は約2,000である。
結果を図24A−24Dで示す。図24Aは、肝臓におけるFVIIのサイレンシングを示す。図24Bは腹膜CD11c+樹状細胞(DC)又はMac1+マクロファージにおけるCD45のサイレンシングを示す。図24Cは、CD11c+又はMac1+脾臓細胞におけるCD45のサイレンシングを示す。図24DはマクロファージにおけるCD45サイレンシング及び肝臓におけるFVIIサイレンシングに対する相関プロットを示す。
図24A及び24Dで示されるように、同じ配合を有し、粒径のみが異なる脂質粒子は、顕著に異なるFVIIのサイレンシングを示した。例えば、製剤E/Fは製剤T/Uよりも強いFVIIのサイレンシングを示し、この製剤T/Uは製剤R/Sよりもかなり強いFVIIサイレンシングを示した。図24Bから24Dで示されるように、粒径が異なる製剤ではCD45サイレンシングに対する効果が大きく低下した。よりサイズが大きいリポソーム製剤は白血球におけるサイレンシングを劇的に低下させなかったが、肝臓細胞でのサイレンシングを顕著に低下させるようであった。図24Dで示されるように、製剤P/Q及びR/Sは、肝臓と比較した場合、免疫細胞においてより選択的なサイレンシングであると思われた。
さらに、図24B及び24Cで示されるように、同様の粒径である製剤CC/DD及びE/Fは、マクロファージにおいて同様のCD45サイレンシングを示した。
実施例12
リポソーム製剤は、インビトロで初代マクロファージにおいて用量依存的に遺伝子発現を抑制する。
LNP−01は、インビトロで用量依存的に初代マクロファージにおいてCD45サイレンシングを示した(図25A)。IC50値を測定したところ、約100nMとなった。インビトロでのLNP08製剤を用いた初代マクロファージにおけるCD45サイレンシングも用量依存的であった(図25B)。LNP08製剤を用いた場合のIC50値を測定したところ、約5nMとなった。
LNP08製剤も、腹腔のマクロファージ及び樹状細胞においてインビボで用量依存的にCD45をサイレンシングすることが分かった(図26)。細胞中でsiRNAが蓄積するにもかかわらず、脂質製剤LNP−0l、DODMA又はDLinDMAを用いた場合にインビボでの全身性サイレンシングは観察されなかった。
実施例13
脂質M配合siRNA(MC3を配合)は、脂質A(XTC)配合siRNAよりも勾配が緩い用量反応を示し、IC50が低かった。
用量反応実験の結果を図27A−Cで示す。脂質M配合siRNAを用いた場合、脂質A(XTC)配合siRNAの場合よりも勾配が緩い用量反応が観察された。脂質M配合siRNAもIC50がより低く、サイレンシングの最大値が低かった。マクロファージ及び樹状細胞への脂質M配合siRNAの取り込みを示すFACS分析を図27A及び27Bで示す。サイレンシングのデータを図27Cに示す。サイレンシングは用量依存的であった。3mg/kgの用量以下では樹状細胞においてサイレンシングは殆ど観察されなかった。
脂質M(MC3)及び構造的に類似する脂質は、少なくとも2009年11月10日出願のPCT/US2009/063933号;2009年11月10日出願のPCT/US2009/063931号;2009年11月10日出願のPCT/US2009/063927号;2010年1月29日出願のPCT/US2010/22614号;2009年6月10日出願のU.S.S.N.61/185,800号;及び2010年1月28日出願のU.S.S.N.61/299291号で開示されている。これらの出願書類の各内容は、全ての目的のためにそれらの全体において本明細書中に参照により組み込まれる。
実施例14
反復投与計画によりサイレンシングが促進された。
サイレンシングが向上され得るかどうかか、及び腹腔以外の場所において、より効率的に白血球に到達させられ得るかを調べるために、次のプロトコールに従いLNP−siRNAの複数回投与を行った。ナイーブC57BL/6マウスに、3日間連続して又は1回、脂質A(XTC)又は脂質M(MC3)含有製剤を1mg/kgでi.v.注射した(n=2)。最後の注射から3日後、腹腔、脾臓、骨髄、肝臓及び血液から白血球及びリンパ球を分析した。結果を図28Aから28Dで示す。
複数回投与の結果として、腹腔単球において及びB細胞においてある程度のサイレンシングの向上が認められた。脂質A及び脂質M含有製剤の両方で、脾臓樹状細胞でサイレンシングの向上が認められた(図28A及び28B)。また、複数回投与の結果、脂質Aを3回投与して、骨髄マクロファージ、樹状細胞及びB細胞において初めて検出可能な信頼性のあるサイレンシングが得られた(図28C)。従って、反復投与計画により、白血球サイレンシングに対するさらなる標的器官がもたらされ、より多くの細胞型に到達させることができる。
本発明の少なくとも1実施形態のいくつかの態様について説明してきたが、当然のことながら、当業者は様々な改変、修飾及び改善を容易に行うことができることを理解されたい。かかる改変、修飾及び改善は、本開示の一部であるものとし、本発明の精神及び範囲内に包含されるものとする。従って、前述の記載は単なる例にすぎない。

Claims (33)

  1. ステロール;中性脂質;PEGまたはPEG修飾脂質;および下記からなる群より選択されるカチオン性脂質を含む製剤と複合体化された核酸ベース薬を提供することを含む、核酸ベース薬を免疫細胞に送達する方法:
    (i)式(I)の構造を有するカチオン性脂質、その塩または異性体
    (式中、
    cyは任意に置換された環状、任意に置換された複素環式もしくは複素環、任意に置換されたアリールまたは任意に置換されたヘテロアリールであり;
    およびRはそれぞれ独立して各出現に対し任意に置換されたC10〜C30アルキル、任意に置換されたC10〜C30アルケニル、任意に置換されたC10〜C30アルキニル、任意に置換されたC10〜C30アシルまたは−リンカー−リガンドであり;
    XおよびYはそれぞれ独立してOもしくはS、アルキルまたはN(Q)であり;および
    QはH、アルキル、アシル、ω−アミノアルキル、ω−(置換)アミノアルキル、ω−ホスホアルキルまたはω−チオホスホアルキルである);
    (ii)式(II)の構造を有するカチオン性脂質
    (式中、R10およびR20は独立してアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、それぞれ、任意で置換されることができ、R30およびR40は独立して低級アルキルであり、あるいは、R30およびR40は一緒になり任意に置換された複素環を形成することができる);
    (iii)下記構造を有するカチオン性脂質
    (式中、各Rは独立してH、アルキル、
    であり;
    ただし、少なくとも1つのRは
    であることを条件とし;
    ここで、R100は、各出現に対し、独立してH、R103
    であり、
    ここでR103は、1つ以上の置換基で任意に置換され;
    102は、各出現に対し、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニルであり;それらはそれぞれ、1つ以上の置換基で任意に置換され;
    103は、各出現に対し、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニルであり;それらはそれぞれ、1つ以上の置換基で任意に置換され;
    Yは、各出現に対し、独立してO、NR104、またはSであり;
    104は、各出現に対し、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニルであり;それらはそれぞれ、1つ以上の置換基で任意に置換される)、ならびに
    (iv)下記構造を有するカチオン性脂質:
    (式中、
    およびRはそれぞれ独立して、各出現に対し、任意に置換されたC10〜C30アルキル、任意に置換されたC10〜C30アルコキシ、任意に置換されたC10〜C30アルケニル、任意に置換されたC10〜C30アルケニルオキシ、任意に置換されたC10〜C30アルキニル、任意に置換されたC10〜C30アルキニルオキシ、または任意に置換されたC10〜C30アシルであり;
    Eは−O−、−S−、−N(Q)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)−、−N(Q)C(O)−、−C(O)N(Q)−、−N(Q)C(O)O−、−OC(O)N(Q)−、S(O)、−N(Q)S(O)N(Q)−、−S(O)−、−N(Q)S(O)−、−SS−、−0−N=、=N−0−、−C(O)−N(Q)−N=、−N(Q)−N=、−N(Q)−O−、−C(O)S−、アリーレン、ヘテロアリーレン、シクロアルキレン、またはヘテロシクリレンであり;および
    QはH、アルキル、ω−アミノアルキル、ω−(置換)アミノアルキル、ω−ホスホアルキルまたはω−チオホスホアルキルであり;および
    はH、任意に置換されたC〜C10アルキル、任意に置換されたC〜C10アルケニル、任意に置換されたC〜C10アルキニル、任意に置換されたアルキル複素環、任意に置換された複素環アルキル、任意に置換されたアルキルホスフェート、任意に置換されたホスホアルキル、任意に置換されたアルキルホスホロチオエート、任意に置換されたホスホロチオアルキル、任意に置換されたアルキルホスホロジチオエート、任意に置換されたホスホロジチオアルキル、任意に置換されたアルキルホスホネート、任意に置換されたホスホノアルキル、任意に置換されたアミノ、任意に置換されたアルキルアミノ、任意に置換されたジ(アルキル)アミノ、任意に置換されたアミノアルキル、任意に置換されたアルキルアミノアルキル、任意に置換されたジ(アルキル)アミノアルキル、任意に置換されたヒドロキシアルキル、任意に置換されたポリエチレングリコール(PEG、分子量100〜40K)、任意に置換されたmPEG(分子量120〜40K)、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換された複素環、またはリンカー−リガンドである)。
  2. 前記製剤は、10〜75%の式(I)、(II)、(III)またはそれらの混合物のカチオン性脂質、0.5〜50%の中性脂質、5〜60%のステロール、および0.1〜20%のPEGまたはPEG修飾脂質を含む、請求項1記載の方法。
  3. 前記核酸ベース薬は、RNAベースコンストラクトである、請求項1記載の方法。
  4. 前記核酸ベース薬は、二本鎖RNA(dsRNA)である、請求項1記載の方法。
  5. 前記dsRNAは、免疫細胞で発現される遺伝子を標的とする、請求項4記載の方法。
  6. 前記免疫細胞は、ヒトの腹膜腔または骨髄内にある、請求項1記載の方法。
  7. 前記免疫細胞は、白血球である、請求項1記載の方法。
  8. 前記免疫細胞は、マクロファージ、樹状細胞、単球、好中球、B細胞、T細胞、またはナチュラルキラー(NK)細胞である、請求項1記載の方法。
  9. 前記免疫細胞は、リンパ球である、請求項1記載の方法。
  10. 前記送達は、インビトロまたはインビボで実施される、請求項1記載の方法。
  11. 前記核酸ベース薬は、静脈内または腹腔内注射により対象の免疫細胞に送達される、請求項1記載の方法。
  12. 前記核酸ベース薬は、少なくとも100nmの平均粒子サイズを有する、請求項1記載の方法。
  13. ステロール;中性脂質;PEGまたはPEG修飾脂質;および下記からなる群より選択される脂質を含む製剤と複合体化されたdsRNAを対象に投与することを含む、自己免疫障害を有する対象を治療する方法:
    (i)式(I)の構造を有するカチオン性脂質、その塩または異性体
    (式中、
    cyは任意に置換された環状、任意に置換された複素環式もしくは複素環、任意に置換されたアリールまたは任意に置換されたヘテロアリールであり;
    およびRはそれぞれ独立して各出現に対し任意に置換されたC10〜C30アルキル、任意に置換されたC10〜C30アルケニル、任意に置換されたC10〜C30アルキニル、任意に置換されたC10〜C30アシルまたは−リンカー−リガンドであり;
    XおよびYはそれぞれ独立してOもしくはS、アルキルまたはN(Q)であり;および
    QはH、アルキル、アシル、ω−アミノアルキル、ω−(置換)アミノアルキル、ω−ホスホアルキルまたはω−チオホスホアルキルである);
    (ii)式(II)の構造を有するカチオン性脂質
    (式中、R10およびR20は独立してアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、それぞれ、任意で置換されることができ、R30およびR40は独立して低級アルキルであり、あるいは、R30およびR40は一緒になり任意に置換された複素環を形成することができる);
    (iii)下記構造を有するカチオン性脂質
    (式中、各Rは独立してH、アルキル、
    であり;
    ただし、少なくとも1つのRは
    であることを条件とし;
    ここで、R100は、各出現に対し、独立してH、R103
    であり、
    ここでR103は、1つ以上の置換基で任意に置換され;
    102は、各出現に対し、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニルであり;それらはそれぞれ、1つ以上の置換基で任意に置換され;
    103は、各出現に対し、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニルであり;それらはそれぞれ、1つ以上の置換基で任意に置換され;
    Yは、各出現に対し、独立してO、NR104、またはSであり;
    104は、各出現に対し、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニルであり;それらはそれぞれ、1つ以上の置換基で任意に置換される)、ならびに
    (iv)下記構造を有するカチオン性脂質:
    (式中、
    およびRはそれぞれ独立して、各出現に対し、任意に置換されたC10〜C30アルキル、任意に置換されたC10〜C30アルコキシ、任意に置換されたC10〜C30アルケニル、任意に置換されたC10〜C30アルケニルオキシ、任意に置換されたC10〜C30アルキニル、任意に置換されたC10〜C30アルキニルオキシ、または任意に置換されたC10〜C30アシルであり;
    Eは−O−、−S−、−N(Q)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)−、−N(Q)C(O)−、−C(O)N(Q)−、−N(Q)C(O)O−、−OC(O)N(Q)−、S(O)、−N(Q)S(O)N(Q)−、−S(O)−、−N(Q)S(O)−、−SS−、−0−N=、=N−0−、−C(O)−N(Q)−N=、−N(Q)−N=、−N(Q)−O−、−C(O)S−、アリーレン、ヘテロアリーレン、シクロアルキレン、またはヘテロシクリレンであり;および
    QはH、アルキル、ω−アミノアルキル、ω−(置換)アミノアルキル、ω−ホスホアルキルまたはω−チオホスホアルキルであり;および
    はH、任意に置換されたC〜C10アルキル、任意に置換されたC〜C10アルケニル、任意に置換されたC〜C10アルキニル、任意に置換されたアルキル複素環、任意に置換された複素環アルキル、任意に置換されたアルキルホスフェート、任意に置換されたホスホアルキル、任意に置換されたアルキルホスホロチオエート、任意に置換されたホスホロチオアルキル、任意に置換されたアルキルホスホロジチオエート、任意に置換されたホスホロジチオアルキル、任意に置換されたアルキルホスホネート、任意に置換されたホスホノアルキル、任意に置換されたアミノ、任意に置換されたアルキルアミノ、任意に置換されたジ(アルキル)アミノ、任意に置換されたアミノアルキル、任意に置換されたアルキルアミノアルキル、任意に置換されたジ(アルキル)アミノアルキル、任意に置換されたヒドロキシアルキル、任意に置換されたポリエチレングリコール(PEG、分子量100〜40K)、任意に置換されたmPEG(分子量120〜40K)、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換された複素環、またはリンカー−リガンドである)。
  14. 前記核酸ベース薬は、RNAベースコンストラクトである、請求項13記載の方法。
  15. 前記核酸ベース薬は、二本鎖RNA(dsRNA)である、請求項13記載の方法。
  16. 前記対象は、関節炎を有する、請求項13記載の方法。
  17. 前記製剤と複合体化されたdsRNAは、静脈内注射により投与される、請求項13記載の方法。
  18. 前記製剤と複合体化されたdsRNAは、腹腔内注射により投与される、請求項12記載の方法。
  19. リポソームを調製する方法であって、
    ステロール、中性脂質、およびカチオン性脂質を含む混合物(前記混合物はPEGまたはPEG修飾脂質を実質的に含まない)を提供すること;
    前記混合物をリポソームの形成を可能にする条件下で維持すること(前記リポソームの平均直径は少なくとも100nmである);
    前記混合物にPEGまたはPEG修飾脂質を添加すること;よって、前記リポソームを形成させることを含む、方法。
  20. 核酸を前記リポソームに組み込むことをさらに含む、請求項19記載の方法。
  21. 前記混合物のpHは、酸性である、請求項19記載の方法。
  22. 前記混合物は、ナトリウムを含む、請求項19記載の方法。
  23. 前記ナトリウムの濃度は、約10mMである、請求項22記載の方法。
  24. 前記ステロールは、コレステロールである、請求項19記載の方法。
  25. 前記中性脂質は、DSPCである、請求項19記載の方法。
  26. 前記カチオン性脂質は、式I、II、III、またはIVのいずれかの脂質から選択される、請求項19記載の方法。
  27. 前記カチオン性脂質は、脂質Aである、請求項19記載の方法。
  28. 前記混合物にPEG修飾脂質を添加することを含む、請求項19記載の方法。
  29. 前記PEG修飾脂質は、PEG−DSG、PEG−DMG、PEG−CerC14またはPEG−CerC18からなる群より選択される、請求項19記載の方法。
  30. 前記リポソームの平均直径は少なくとも150nmである、請求項19記載の方法。
  31. 前記リポソームは、0.4未満の多分散指数(PDI)を有する、請求項19記載の方法。
  32. 前記リポソームは、0.4未満の多分散指数(PDI)を有する、請求項30記載の方法。
  33. 請求項19記載の方法により製造された生成物。
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