JP2020022985A - 鋳型造型用粘結剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温・高温環境に関わらず保存安定性に優れる鋳型造型用粘結剤組成物を提供する。【解決手段】フラン樹脂と、水と、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリンからなる群より選ばれる1種以上のアルコールと、尿素と、金属水酸化物とを含有する鋳型造型用粘結剤組成物。【選択図】 なし
Description
本発明は、鋳型造型用粘結剤組成物に関する。
酸硬化性自硬性鋳型は、珪砂等の耐火性粒子に、酸硬化性樹脂を含有する鋳型造型用粘結剤と、リン酸、有機スルホン酸、硫酸等を含有する硬化剤とを添加し、これらを混練した後、得られた混練砂を木型等の原型に充填し、酸硬化性樹脂を硬化させて製造される。酸硬化性樹脂には、フラン樹脂やフェノール樹脂等が用いられており、フラン樹脂には、フルフリルアルコール、フルフリルアルコール・尿素ホルムアルデヒド樹脂、フルフリルアルコール・ホルムアルデヒド樹脂、フルフリルアルコール・フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、その他公知の変性フラン樹脂等が用いられている(例えば、特許文献1及び2)。
フラン樹脂及び水を含有する鋳型造型用粘結剤組成物は、寒冷地から温暖地まで幅広い気候で用いられている。しかしながら、寒冷地の冬場の低温環境下(例えば―20℃以下)で保存すると凍結することがあり、温暖地の夏場の高温環境下(例えば35℃以上)ではフラン樹脂の沈殿が発生するという保存安定性の課題があり、地域の環境に応じて鋳型造型用粘結剤組成物の組成を調整する必要があった。
本発明は、低温・高温環境に関わらず保存安定性に優れる鋳型造型用粘結剤組成物を提供する。
本発明の鋳型造型用粘結剤組成物は、フラン樹脂と、水と、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリンからなる群より選ばれる1種以上のアルコールと、尿素と、金属水酸化物とを含有する。
本発明によれば、低温・高温環境に関わらず保存安定性に優れる鋳型造型用粘結剤組成物を提供することができる。
本実施形態の鋳型造型用粘結剤組成物(以下、単に「粘結剤組成物」ともいう)は、フラン樹脂と、水と、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリンからなる群より選ばれる1種以上のアルコールと、尿素と、金属水酸化物とを含有する。本実施形態の鋳型造型用粘結剤組成物は、低温・高温環境に関わらず保存安定性に優れる。
以下、本実施形態の粘結剤組成物に含有される成分について説明する。
<鋳型造型用粘結剤組成物>
〔フラン樹脂〕
本実施形態の鋳型造型用粘結剤組成物は、鋳型の硬化速度を向上させる観点及び鋳型の強度を向上させる観点から、酸硬化性樹脂としてフラン樹脂を含有する。当該フラン樹脂としては、従来公知のものが使用でき、例えば、フルフリルアルコール、フルフリルアルコールとアルデヒド類の縮合物、フルフリルアルコールとメラミンとアルデヒド類の縮合物、及びフルフリルアルコールと尿素とアルデヒド類の縮合物(以下、尿素変性フラン樹脂ともいう)よりなる群から選ばれる1種からなるものや、これらの群から選ばれる2種以上の混合物からなるものが使用できる。また、これらの群から選ばれる2種以上の共縮合物からなるものも使用できる。なかでも、フルフリルアルコール及び尿素変性フラン樹脂からなる群より選ばれる1種以上であるものが鋳型の硬化速度を向上させる観点及び鋳型の強度を向上させる観点から好ましい。
〔フラン樹脂〕
本実施形態の鋳型造型用粘結剤組成物は、鋳型の硬化速度を向上させる観点及び鋳型の強度を向上させる観点から、酸硬化性樹脂としてフラン樹脂を含有する。当該フラン樹脂としては、従来公知のものが使用でき、例えば、フルフリルアルコール、フルフリルアルコールとアルデヒド類の縮合物、フルフリルアルコールとメラミンとアルデヒド類の縮合物、及びフルフリルアルコールと尿素とアルデヒド類の縮合物(以下、尿素変性フラン樹脂ともいう)よりなる群から選ばれる1種からなるものや、これらの群から選ばれる2種以上の混合物からなるものが使用できる。また、これらの群から選ばれる2種以上の共縮合物からなるものも使用できる。なかでも、フルフリルアルコール及び尿素変性フラン樹脂からなる群より選ばれる1種以上であるものが鋳型の硬化速度を向上させる観点及び鋳型の強度を向上させる観点から好ましい。
前記アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキザール、パラホルムアルデヒド等が挙げられ、これらのうち1種以上を適宜使用できる。これらの中でも、経済性の観点から、パラホルムアルデヒドを用いるのが好ましい。
前記フラン樹脂の中でも、フルフリルアルコールは、非石油資源である植物から製造できるため、地球環境の観点から好ましい。
前記尿素変性フラン樹脂は、経済性の観点、鋳型の硬化速度を向上させる観点及び鋳型の強度を向上させる観点から、その構成するモノマー成分であるフルフリルアルコール1モルに対するアルデヒド類のモル比が、0.50〜8.0モルであることが好ましく、0.70〜4.0モルであることがより好ましく、1.0〜3.0モルであることが更に好ましい。
また、前記尿素変性フラン樹脂は、経済性の観点、鋳型の硬化速度を向上させる観点及び鋳型の強度を向上させる観点から、その構成するモノマー成分であるフルフリルアルコール1モルに対する尿素のモル比が、0.10〜4.0モルであることが好ましく、0.15〜2.0モルであることがより好ましく、0.20〜1.5モルであることが更に好ましい。
前記フラン樹脂を製造する場合、例えば、尿素変性フラン樹脂は、フルフリルアルコール100質量部に対し、尿素0.60〜30質量部及びパラホルムアルデヒド0.40〜50質量部反応させることにより得ることが出来る。経済性の観点、鋳型の硬化速度を向上させる観点及び鋳型の強度を向上させる観点から、フルフリルアルコール100質量部に対し、尿素1.0〜25質量部及びパラホルムアルデヒド1.0〜45質量部反応させることが好ましく、尿素1.5〜20質量部及びパラホルムアルデヒド1.5〜40質量部反応させることがより好ましい。
前記フラン樹脂を製造する際、フラン樹脂、原料のフルフリルアルコール、原料に含まれる水、反応中に生成する水等が含まれるが、経済性の観点から除去しなくてもよい。フラン樹脂組成物は、フラン樹脂、フルフリルアルコール及びフラン樹脂以外の成分、例えば水等を含有する。
前記粘結剤組成物におけるフラン樹脂の含有量は、鋳型の硬化速度を向上させる観点及び鋳型の強度を向上させる観点から、55質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、65質量%以上が更に好ましい。前記粘結剤組成物におけるフラン樹脂の含有量は、同様の観点から、98質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下が更に好ましい。また、前記粘結剤組成物におけるフラン樹脂の含有量は、鋳型の硬化速度を向上させる観点及び鋳型の強度を向上させる観点から、55〜98質量%が好ましく、60〜95質量%がより好ましく、65〜90質量%が更に好ましい。
〔水〕
前記粘結剤組成物は、当該粘結剤組成物を取扱いやすい粘度に調整する観点、及びフラン樹脂を希釈することによる鋳型強度の調整の観点から水を含有する。なお、フルフリルアルコールとアルデヒド類の縮合物などの各種縮合物を合成する場合、水溶液状の原料を使用したり縮合水が生成したりするため、縮合物は、通常、水との混合物の形態で得られるが、このような縮合物を粘結剤組成物に使用するにあたり、合成過程に由来するこれらの水をあえて除去する必要はない。ただし、水分が過剰になると、酸硬化性樹脂の硬化反応が阻害されるおそれがある。以上の観点から、前記粘結剤組成物における水の含有量は、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。また、前記粘結剤組成物における水の含有量は、同様の観点から、3〜25質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
前記粘結剤組成物は、当該粘結剤組成物を取扱いやすい粘度に調整する観点、及びフラン樹脂を希釈することによる鋳型強度の調整の観点から水を含有する。なお、フルフリルアルコールとアルデヒド類の縮合物などの各種縮合物を合成する場合、水溶液状の原料を使用したり縮合水が生成したりするため、縮合物は、通常、水との混合物の形態で得られるが、このような縮合物を粘結剤組成物に使用するにあたり、合成過程に由来するこれらの水をあえて除去する必要はない。ただし、水分が過剰になると、酸硬化性樹脂の硬化反応が阻害されるおそれがある。以上の観点から、前記粘結剤組成物における水の含有量は、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。また、前記粘結剤組成物における水の含有量は、同様の観点から、3〜25質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
〔アルコール〕
前記粘結剤組成物は、鋳型の強度低下を抑制しつつ低温環境下での凍結を防止する観点から、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリンからなる群より選ばれる1種以上であるアルコールを含有する。前記アルコールは、揮発しにくく引火の危険性が低いことから、エチレングリコール、及びグリセリンからなる群より選ばれる1種以上を含むものが好ましい。その割合は該アルコール中50質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましい。また、前記粘結剤組成物は、安定に取扱いできる観点から、エチレングリコール及びグリセリンを含むものであることがより好ましく、その割合は該アルコール中50質量%以上が好ましく、75質量%以上がよりである。エチレングリコール及びグリセリンであることが更により好ましい。
前記粘結剤組成物は、鋳型の強度低下を抑制しつつ低温環境下での凍結を防止する観点から、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリンからなる群より選ばれる1種以上であるアルコールを含有する。前記アルコールは、揮発しにくく引火の危険性が低いことから、エチレングリコール、及びグリセリンからなる群より選ばれる1種以上を含むものが好ましい。その割合は該アルコール中50質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましい。また、前記粘結剤組成物は、安定に取扱いできる観点から、エチレングリコール及びグリセリンを含むものであることがより好ましく、その割合は該アルコール中50質量%以上が好ましく、75質量%以上がよりである。エチレングリコール及びグリセリンであることが更により好ましい。
前記粘結剤組成物における前記アルコールの総含有量は、低温環境下での凍結を防止する観点から、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましい。前記粘結剤組成物における前記アルコールの総含有量は、鋳型の強度低下を抑制する観点から、10質量%以下が好ましい。また、前記粘結剤組成物における前記アルコールの含有量は、低温環境下での凍結を防止する観点、及び鋳型の強度低下を抑制する観点から、1〜10質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。
前記粘結剤組成物中の水100質量部に対する前記アルコールの総含有量は、低温環境下での凍結を防止する観点から、6質量部以上が好ましく、13質量部以上がより好ましく、26質量部以上が更に好ましい。前記粘結剤組成物中の水100質量部に対する前記アルコールの総含有量は、鋳型の強度低下を抑制する観点から、50質量部以下が好ましく、47質量部以下がより好ましく、34質量部以下が更に好ましい。また、前記粘結剤組成物中の水100質量部に対する前記アルコールの総含有量は、低温環境下での凍結を防止する観点、及び鋳型の強度低下を抑制する観点から、6〜50質量部が好ましく、13〜47質量部がより好ましく、26〜34質量部が更に好ましい。
〔尿素〕
前記粘結剤組成物は、樹脂の変性のために合成に加えた残留物として尿素を含有する。前記粘結剤組成物における尿素の含有量は、高温時の保存安定性の観点から、5.0質量%以下が好ましく、2.0質量%以下がより好ましい。また、鋳型強度を向上する観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましい。
前記粘結剤組成物は、樹脂の変性のために合成に加えた残留物として尿素を含有する。前記粘結剤組成物における尿素の含有量は、高温時の保存安定性の観点から、5.0質量%以下が好ましく、2.0質量%以下がより好ましい。また、鋳型強度を向上する観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましい。
〔金属水酸化物〕
前記粘結剤組成物は、高温時の保存安定性の観点から、金属水酸化物を含有する。水酸化物としては、アルカリ金属の水酸化物が好ましく、好ましい水酸化物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびそれらの混合物が挙げられる。これら水酸化物の含有量は、高温時の保存安定性の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。また、鋳型の硬化速度を低下させない観点から、0.5質量%以下好ましく、0.3質量%以下より好ましい。
前記粘結剤組成物は、高温時の保存安定性の観点から、金属水酸化物を含有する。水酸化物としては、アルカリ金属の水酸化物が好ましく、好ましい水酸化物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびそれらの混合物が挙げられる。これら水酸化物の含有量は、高温時の保存安定性の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。また、鋳型の硬化速度を低下させない観点から、0.5質量%以下好ましく、0.3質量%以下より好ましい。
また、尿素と金属水酸化物の質量比は任意に選べるが、高温安定性の観点から尿素:金属水酸化物が0.1:1〜100:1が好ましく、0.5:1〜50:1がより好ましい。
前記粘結剤組成物は、高温時の保存安定性の観点から、金属水酸化物を含有する。水酸化物としては、アルカリ金属の水酸化物が好ましく、好ましい水酸化物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびそれらの混合物が挙げられる。これら水酸化物の含有量は、高温時の保存安定性の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。また、鋳型の硬化速度を低下させない観点から、0.5質量%以下好ましく、0.3質量%以下より好ましい。
〔硬化促進剤〕
前記粘結剤組成物中には、硬化速度を向上させる観点及び鋳型の強度を向上させる観点から、硬化促進剤が含まれていてもよい。なお、硬化促進剤は、粘結剤組成物中に含まれるものに加えて、鋳型用組成物に別添してもよい。硬化促進剤としては、硬化速度を向上させ、鋳型の強度を向上させる観点から、下記一般式(1)で表される化合物(以下、硬化促進剤(1)という)、多価フェノール類、及び芳香族ジアルデヒドからなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
〔式中、X1及びX2は、それぞれ水素原子、CH3又はC2H5の何れかを表す。〕
前記粘結剤組成物中には、硬化速度を向上させる観点及び鋳型の強度を向上させる観点から、硬化促進剤が含まれていてもよい。なお、硬化促進剤は、粘結剤組成物中に含まれるものに加えて、鋳型用組成物に別添してもよい。硬化促進剤としては、硬化速度を向上させ、鋳型の強度を向上させる観点から、下記一般式(1)で表される化合物(以下、硬化促進剤(1)という)、多価フェノール類、及び芳香族ジアルデヒドからなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
〔式中、X1及びX2は、それぞれ水素原子、CH3又はC2H5の何れかを表す。〕
前記粘結剤組成物中の硬化促進剤の含有量は、硬化速度を向上させる観点及び鋳型の強度を向上させる観点から、0.50質量%以上であることが好ましく、1.8質量%以上であることがより好ましく、3.0質量%以上であることが更に好ましく、5.0質量%以上であることがより更に好ましい。粘結剤組成物中の硬化促進剤の含有量は、硬化促進剤のフラン樹脂への溶解性の観点及び鋳型の強度を向上させる観点から、63質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが更に好ましく、30質量%以下であることがより更に好ましい。
前記硬化促進剤(1)としては、2,5−ビス(ヒドロキシメチル)フラン、2,5−ビス(メトキシメチル)フラン、2,5−ビス(エトキシメチル)フラン、2−ヒドロキシメチル−5−メトキシメチルフラン、2−ヒドロキシメチル−5−エトキシメチルフラン、2−メトキシメチル−5−エトキシメチルフランが挙げられる。なかでも、鋳型の強度を向上させる観点から、2,5−ビス(ヒドロキシメチル)フランを使用するのが好ましい。
前記粘結剤組成物中の前記硬化促進剤(1)の含有量は、硬化速度を向上させる観点及び鋳型の強度を向上させる観点から、0.5質量%以上であることが好ましく、1.8質量%以上であることがより好ましく、3.0質量%以上であることが更に好ましく、5.0質量%以上であることがより更に好ましい。前記粘結剤組成物中の硬化促進剤(1)の含有量は、硬化促進剤(1)のフラン樹脂への溶解性の観点及び鋳型の強度を向上させる観点から、63質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが更に好ましく、30質量%以下であることがより更に好ましい。
前記多価フェノール類としては、例えばレゾルシン、ピロガロール、ヒドロキノン、フロログルシノール、メチレンビスフェノール、縮合型タンニン、加水分解型タンニン等が挙げられる。なかでも、鋳型の硬化速度を向上させる観点から、レゾルシンが好ましい。
前記粘結剤組成物中の前記多価フェノール類の含有量は、硬化速度を向上させる観点及び鋳型の強度を向上させる観点から、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることが更に好ましい。前記粘結剤組成物中の前記多価フェノール類の含有量は、多価フェノール類のフラン樹脂への溶解性の観点及び、鋳型の強度を向上させる観点から、25質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。
前記多価フェノール類としてレゾルシンを用いる場合、前記粘結剤組成物中のレゾルシンの含有量は、硬化速度を向上させる観点及び鋳型の強度を向上させる観点から、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることが更に好ましい。前記多価フェノール類としてレゾルシンを用いる場合、前記粘結剤組成物中のレゾルシンの含有量は、レゾルシンのフラン樹脂への溶解性の観点、及び鋳型の強度を向上させる観点から、25質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましいが、更には10質量%以下であることが好ましく、6質量%以下であることがより好ましい。
前記芳香族ジアルデヒドとしては、テレフタルアルデヒド、フタルアルデヒド及びイソフタルアルデヒド等、並びにそれらの誘導体等が挙げられる。前記粘結剤組成物中の芳香族ジアルデヒドの含有量は、芳香族ジアルデヒドをフラン樹脂に十分に溶解させる観点、及び芳香族ジアルデヒド自体の臭気を抑制する観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.50質量%以上であることがより好ましく、1質量%であることが更に好ましい。粘結剤組成物中の芳香族ジアルデヒドの含有量は、同様の観点から、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましい。
〔その他の添加剤〕
前記粘結剤組成物中には、更にシランカップリング剤等の添加剤が含まれていてもよい。例えば、前記粘結剤組成物中にシランカップリング剤が含まれていると、得られる鋳型の強度をより向上させることができるため好ましい。シランカップリング剤としては、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシランや、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン、ウレイドシラン、メルカプトシラン、スルフィドシラン、メタクリロキシシラン、アクリロキシシランなどが用いられる。好ましくは、アミノシラン、エポキシシラン、ウレイドシランである。より好ましくはアミノシラン、エポキシシランであり、更に好ましくはアミノシランである。アミノシランの中でも、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランが好ましい。シランカップリング剤の粘結剤組成物中の含有量は、鋳型の強度を向上させる観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。シランカップリング剤の粘結剤組成物中の含有量は、同様の観点から、0.50質量%以下が好ましく、0.30質量%以下がより好ましい。
前記粘結剤組成物中には、更にシランカップリング剤等の添加剤が含まれていてもよい。例えば、前記粘結剤組成物中にシランカップリング剤が含まれていると、得られる鋳型の強度をより向上させることができるため好ましい。シランカップリング剤としては、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシランや、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン、ウレイドシラン、メルカプトシラン、スルフィドシラン、メタクリロキシシラン、アクリロキシシランなどが用いられる。好ましくは、アミノシラン、エポキシシラン、ウレイドシランである。より好ましくはアミノシラン、エポキシシランであり、更に好ましくはアミノシランである。アミノシランの中でも、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランが好ましい。シランカップリング剤の粘結剤組成物中の含有量は、鋳型の強度を向上させる観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。シランカップリング剤の粘結剤組成物中の含有量は、同様の観点から、0.50質量%以下が好ましく、0.30質量%以下がより好ましい。
〔組成物のpH〕
本発明の粘結剤組成物の25℃におけるpHは成分の安定性から7〜12が好ましく、9〜12がより好ましい。この範囲にあることでより温度変化に対して各成分の状態の変化を抑制することができ、扱いやすく、粘結剤としての性能を安定化することができる。
本発明の粘結剤組成物の25℃におけるpHは成分の安定性から7〜12が好ましく、9〜12がより好ましい。この範囲にあることでより温度変化に対して各成分の状態の変化を抑制することができ、扱いやすく、粘結剤としての性能を安定化することができる。
<鋳型用組成物>
前記鋳型造型用粘結剤組成物は、耐火性粒子及び硬化剤と混合して鋳型用組成物とすることができる。本実施形態の鋳型用組成物は、前記鋳型造型用粘結剤組成物、耐火性粒子及び硬化剤を含有する。
前記鋳型造型用粘結剤組成物は、耐火性粒子及び硬化剤と混合して鋳型用組成物とすることができる。本実施形態の鋳型用組成物は、前記鋳型造型用粘結剤組成物、耐火性粒子及び硬化剤を含有する。
前記耐火性粒子としては、珪砂、クロマイト砂、ジルコン砂、オリビン砂、アルミナ砂、ムライト砂、合成ムライト砂等の従来公知のものを使用でき、また、使用済みの耐火性粒子を回収したものや再生処理したものなども使用できる。
硬化剤は、前記粘結剤組成物を硬化させる硬化剤である。具体的には、キシレンスルホン酸(特に、m−キシレンスルホン酸)及びトルエンスルホン酸(特に、p−トルエンスルホン酸)等のスルホン酸系化合物、リン酸系化合物、硫酸等が挙げられる。これらの化合物は、取り扱い性の観点から水溶液であることが好ましい。更に、硬化剤中にアルコール類、エーテルアルコール類及びエステル類よりなる群から選ばれる1種以上の溶剤や、カルボン酸類を含有させることができる。
本実施形態の鋳型用組成物において、前記耐火性粒子と前記粘結剤組成物と前記硬化剤との比率は適宜設定できる。中でも、鋳型の硬化速度を向上させる観点及び鋳型の強度を向上させる観点から、前記耐火性粒子100質量部に対して、前記粘結剤組成物が0.5質量部以上が好ましく、経済性の観点及び鋳物品質向上の観点から、前記耐火性粒子100質量部に対して、1.5質量部以下が好ましい。鋳型の硬化速度を向上させる観点及び鋳型の強度を向上させる観点から、前記耐火性粒子100質量部に対して、前記硬化剤が0.07質量部以上が好ましく、経済性の観点及び鋳物品質向上の観点から、前記耐火性粒子100質量部に対して、1.0質量部以下が好ましい。
更に、前記粘結剤組成物と前記硬化剤の質量比は、鋳型の硬化速度を向上させる観点及び鋳型の強度を向上させる観点から、前記粘結剤組成物100質量部に対して、前記硬化剤20質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましい。前記粘結剤組成物と前記硬化剤の質量比は、経済性の観点及び鋳物品質向上の観点から、前記粘結剤組成物100質量部に対して、前記硬化剤60質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましい。
〔鋳型の製造方法〕
前記鋳型用組成物を硬化させることによって鋳型を製造することができる。本実施形態の鋳型の製造方法において、従来の鋳型の製造プロセスをそのまま利用して鋳型を製造することができる。好ましい鋳型の製造方法として、前記耐火性粒子と前記鋳型造型用粘結剤組成物と、前記鋳型造型用粘結剤組成物を硬化させる硬化剤とを混合して鋳型用組成物を得る混合工程、及び前記鋳型用組成物を型枠に詰め、当該鋳型用組成物を硬化する硬化工程を有する鋳型の製造方法が挙げられる。
前記鋳型用組成物を硬化させることによって鋳型を製造することができる。本実施形態の鋳型の製造方法において、従来の鋳型の製造プロセスをそのまま利用して鋳型を製造することができる。好ましい鋳型の製造方法として、前記耐火性粒子と前記鋳型造型用粘結剤組成物と、前記鋳型造型用粘結剤組成物を硬化させる硬化剤とを混合して鋳型用組成物を得る混合工程、及び前記鋳型用組成物を型枠に詰め、当該鋳型用組成物を硬化する硬化工程を有する鋳型の製造方法が挙げられる。
以下、本発明を具体的に示す実施例等について説明する。
<フラン樹脂組成物の製造例>
〔フラン樹脂組成物:尿素変性フラン樹脂〕
三ツ口フラスコにフルフリルアルコール100質量部とパラホルムアルデヒド35質量部と尿素13質量部を混合し25質量%水酸化ナトリウム水溶液でpH9に調整した。反応混合物を100℃に昇温後、同温度で1時間反応させた。37質量%塩酸でpH4.5に調整し、更に100℃で1時間反応させた。その後、25質量%水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整し、尿素5質量部を添加して、100℃で30分反応させ、フラン樹脂組成物1を得た。フラン樹脂組成物1の組成は、尿素変性フラン樹脂71.7質量%、フルフリルアルコール19.5質量%、水8.8質量%であった。
〔フラン樹脂組成物:尿素変性フラン樹脂〕
三ツ口フラスコにフルフリルアルコール100質量部とパラホルムアルデヒド35質量部と尿素13質量部を混合し25質量%水酸化ナトリウム水溶液でpH9に調整した。反応混合物を100℃に昇温後、同温度で1時間反応させた。37質量%塩酸でpH4.5に調整し、更に100℃で1時間反応させた。その後、25質量%水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整し、尿素5質量部を添加して、100℃で30分反応させ、フラン樹脂組成物1を得た。フラン樹脂組成物1の組成は、尿素変性フラン樹脂71.7質量%、フルフリルアルコール19.5質量%、水8.8質量%であった。
<実施例1〜13、比較例1及び2>
表1に示す配合になるように酸硬化性樹脂、アルコール、尿素、水酸化ナトリウム、水(15質量%)、及びシランカップリング剤(N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン/0.16質量%)を添加、混合し、実施例1〜13、比較例1(アルコールを除く)、及び比較例2(アルコールおよび水酸化ナトリウムを除く)の粘結剤組成物を製造した。シランカップリング剤はN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業社製)を用いた。表1中、FFAはフルフリルアルコールを意味し、NaOHは水酸化ナトリウムを意味する。フルフリルアルコールは和光純薬工業社製を用いた。
表1に示す配合になるように酸硬化性樹脂、アルコール、尿素、水酸化ナトリウム、水(15質量%)、及びシランカップリング剤(N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン/0.16質量%)を添加、混合し、実施例1〜13、比較例1(アルコールを除く)、及び比較例2(アルコールおよび水酸化ナトリウムを除く)の粘結剤組成物を製造した。シランカップリング剤はN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業社製)を用いた。表1中、FFAはフルフリルアルコールを意味し、NaOHは水酸化ナトリウムを意味する。フルフリルアルコールは和光純薬工業社製を用いた。
<評価方法>
〔粘結剤組成物中の水分〕
JIS K 0068に示される化学製品の水分試験法にて測定した。
〔粘結剤組成物中の水分〕
JIS K 0068に示される化学製品の水分試験法にて測定した。
〔粘結剤組成物のpH〕
粘結剤組成物のpHは、当該粘結剤組成物と、当該粘結剤組成物と等質量のイオン交換水とを混合して、25℃にてpHメーターにて測定した。
粘結剤組成物のpHは、当該粘結剤組成物と、当該粘結剤組成物と等質量のイオン交換水とを混合して、25℃にてpHメーターにて測定した。
〔粘結剤組成物中の尿素含有量〕
フラン樹脂組成物中の尿素は、以下のようなLC/MS分析操作により測定することができる。
フラン樹脂組成物中の尿素は、以下のようなLC/MS分析操作により測定することができる。
<LC/MS分析条件>
カラム:TSK−gelAmido80(4.6mmφ×250mm)
移動相:アセトニトリル/水=95/5(アイソクラティック)
カラムオーブン:40℃
流速:1.0mL/min(MS導入スプリット:1/4)
検出:MSD(SIM):POSI検出 m/z:60.1±10
分解能0.5amu、DWELLTIME:250msec、イオン源ヒータ:300℃
分析時間:15分
サンプル調製:アセトン/水=95/5で希釈
カラム:TSK−gelAmido80(4.6mmφ×250mm)
移動相:アセトニトリル/水=95/5(アイソクラティック)
カラムオーブン:40℃
流速:1.0mL/min(MS導入スプリット:1/4)
検出:MSD(SIM):POSI検出 m/z:60.1±10
分解能0.5amu、DWELLTIME:250msec、イオン源ヒータ:300℃
分析時間:15分
サンプル調製:アセトン/水=95/5で希釈
〔低温安定性〕
製造直後の実施例1〜3及び比較例1、2の各粘結剤組成物を透明のガラス製試薬瓶に入れて密栓をし、−20℃で4日間保存し、目視により下記基準で評価した。
○:凍結しなかった。
×:凍結した。
製造直後の実施例1〜3及び比較例1、2の各粘結剤組成物を透明のガラス製試薬瓶に入れて密栓をし、−20℃で4日間保存し、目視により下記基準で評価した。
○:凍結しなかった。
×:凍結した。
〔高温安定性〕
製造直後の実施例1〜13及び比較例1と2の各粘結剤組成物を透明のガラス製試薬瓶に入れて密栓をし、35℃で3カ月間保存し、目視により下記基準で評価した。
○:沈殿が発生していなかった。
×:沈殿が発生していた。
製造直後の実施例1〜13及び比較例1と2の各粘結剤組成物を透明のガラス製試薬瓶に入れて密栓をし、35℃で3カ月間保存し、目視により下記基準で評価した。
○:沈殿が発生していなかった。
×:沈殿が発生していた。
〔鋳型強度〕
25℃、55%RHの条件下で、珪砂(フリーマントル)100質量部に対し、キシレンスルホン酸/硫酸系硬化剤〔花王クエーカー社製 カオーライトナー硬化剤 US−3/C−21=22%/78%〕0.40質量部を添加し、次いで表1に示す各実施例及び比較例に係る粘結剤組成物1.00質量部をそれぞれ添加し、これらを混練して鋳型用組成物(混練砂)を得た。混練直後の鋳型用組成物を直径50mm、高さ50mmの円柱形状のテストピース枠に充填したものを、3時間経過した時に抜型を行い、充填から24時間後に、JIS Z 2601に記載された方法で、圧縮強度(MPa)を測定し、「24時間後の圧縮強度」とした。当該「24時間後の圧縮強度」が高いほど鋳型強度に優れる。
25℃、55%RHの条件下で、珪砂(フリーマントル)100質量部に対し、キシレンスルホン酸/硫酸系硬化剤〔花王クエーカー社製 カオーライトナー硬化剤 US−3/C−21=22%/78%〕0.40質量部を添加し、次いで表1に示す各実施例及び比較例に係る粘結剤組成物1.00質量部をそれぞれ添加し、これらを混練して鋳型用組成物(混練砂)を得た。混練直後の鋳型用組成物を直径50mm、高さ50mmの円柱形状のテストピース枠に充填したものを、3時間経過した時に抜型を行い、充填から24時間後に、JIS Z 2601に記載された方法で、圧縮強度(MPa)を測定し、「24時間後の圧縮強度」とした。当該「24時間後の圧縮強度」が高いほど鋳型強度に優れる。
Claims (8)
- フラン樹脂と、水と、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリンからなる群より選ばれる1種以上のアルコールと、尿素と、金属水酸化物とを含有する鋳型造型用粘結剤組成物。
- 前記アルコールの総含有量が1〜10質量%である請求項1に記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
- 前記尿素の含有量が、0.1〜5.0質量%である請求項1又は2に記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
- 前記金属水酸化物の含有量が、0.01〜0.5質量%である請求項1〜3の何れか1項に記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
- 前記アルコールがエチレングリコール及びグリセリンを必須とする請求項1〜4の何れか1項に記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
- 前記鋳型造型用粘結剤組成物の25℃におけるpHが7〜12である請求項1〜5の何れか1項に記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
- 耐火性粒子と、請求項1〜6の何れか1項に記載の鋳型造型用粘結剤組成物と、当該鋳型造型用粘結剤組成物を硬化させる硬化剤とを含有する、鋳型用組成物。
- 耐火性粒子と、請求項1〜6の何れか1項に記載の鋳型造型用粘結剤組成物と、前記鋳型造型用粘結剤組成物を硬化させる硬化剤とを混合して鋳型用組成物を得る混合工程、及び前記鋳型用組成物を型枠に詰め、当該鋳型用組成物を硬化する硬化工程を含む鋳型の製造方法。
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JP2014501175A (ja) * | 2010-12-16 | 2014-01-20 | ヒユツテネス−アルベルトス ヘーミッシエ ヴエルケ ゲーエムベーハー | 鋳物工業用の低−放出性常温硬化性結合剤 |
JP2017154157A (ja) * | 2016-03-02 | 2017-09-07 | 群栄化学工業株式会社 | 鋳型造型用キットおよび鋳型造型用砂組成物とその製造方法 |
-
2018
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