以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
<塗布装置の全体構成>
図1は、本実施形態に従った塗布装置の模式図である。図1に示す本発明の実施形態である塗布装置は、処理室と、当該処理室の内部に配置されたY軸テーブル2と、X軸テーブル1と、Z軸テーブル3と、塗布機構と、観察光学系6と、当該観察光学系6に接続されたCCDカメラ7と、制御部とを主に備えている。制御部は、モニタ9と、制御用コンピュータ10と、操作パネル8とを含む。塗布機構は複数の塗布部材4を含む。図1に示した塗布装置では、2つの塗布部材4が設置されている。塗布部材4は塗布針ホルダを含む。塗布針ホルダは塗布針部24(図4参照)を含む。塗布針部24は塗布針24a(図4参照)と塗布針外筒24b(図4参照、なお以下では外筒24bと呼ぶ)とを有する。当該塗布針部24の詳細な構成は後述する。
処理室の内部においては、当該処理室の底部上にY軸テーブル2が設置されている。このY軸テーブル2は、Y軸方向に移動可能になっている。具体的には、Y軸テーブル2の下面にガイド部が設置されている。当該ガイド部は、処理室の底面に設置されたガイドレールに摺動可能に接続されている。また、Y軸テーブル2の下面にはボールねじが接続されている。当該ボールねじをモータなどの駆動部材により動作させることにより、Y軸テーブル2はガイドレールに沿って(Y軸方向に)移動可能になっている。また、Y軸テーブル2の上部表面上は、基板などの処理対象材5を搭載する搭載面となっている。
Y軸テーブル2上には、X軸テーブル1が設置されている。X軸テーブル1は、Y軸テーブル2をX軸方向に跨ぐように設置された構造体上に配置されている。X軸テーブル1には、Z軸テーブル3が接続された移動体がX軸方向に移動可能に設置されている。移動体は、たとえばボールねじを用いてX軸方向に移動可能となっている。なお、X軸テーブル1は上記構造体を介して処理室の底面に固定されている。そのため、上述したY軸テーブル2は、X軸テーブル1に対してY軸方向に移動可能になっている。
X軸テーブル1に接続された移動体には、上述のようにZ軸テーブル3が設置されている。Z軸テーブル3には、観察光学系6および塗布部材4が接続されている。観察光学系6は塗布対象の処理対象材5の塗布位置を観察するためのものである。CCDカメラは、観察した画像を電気信号に変換する。Z軸テーブル3は、これらの観察光学系6および塗布部材4をZ軸方向に移動可能に保持している。
これらのY軸テーブル2、X軸テーブル1、Z軸テーブル3、観察光学系6および塗布部材4を制御するための制御用コンピュータ10および操作パネル8、さらに制御用コンピュータに付随するモニタ9は、処理室の外部に設置されている。モニタ9は、上述したCCDカメラ7で変換された画像データや、制御用コンピュータ10からの出力データを表示する。操作パネル8は、制御用コンピュータ10への指令を入力するために用いられる。
<塗布部材および塗布針ホルダの構成>
図2および図3は、図1に示した塗布装置の塗布部材4を示す模式図である。図4は、図3に示した塗布装置における塗布針ホルダの構成を説明するための模式図である。上述した塗布部材4に関して、図2および図3を参照してより詳しく説明する。なお、図1に示した塗布装置に設置された2つの塗布部材4は同様の構成を備える。
図1に示したZ軸テーブル3に固定された塗布部材4は、塗布針部24を含む塗布針ホルダ20を含む。塗布針ホルダ20の塗布針部24は上述したように塗布針24aと外筒24bとを含む。外筒24bは、塗布針24aの外周を囲む円筒形状の部材である。外筒24bは第1駆動部80により塗布針24aに対して相対的に移動可能になっている。また、塗布部材4は、塗布針ホルダ20を塗布針24aの延在方向に移動させる第2駆動部40と、塗布する材料である液体材料を保持する容器21とをさらに含む。なお、塗布針ホルダ20は第2駆動部40に対して着脱自在に接続されている。塗布針ホルダ20を第2駆動部40に接続する構造は任意の構造を採用できる。
塗布針ホルダ20は、図4に示すように塗布針部24と、塗布針支持板20cと、第1駆動部80と、ホルダ外殻20aとを主に含む。ホルダ外殻20aの内部に第1駆動部80と塗布針支持板20cとが配置されている。塗布針部24はその一部がホルダ外殻20aの下部より外側に突出した状態で配置されている。
ホルダ外殻20aの内部において、塗布針24aの根元部は塗布針支持板20cの先端部に固定されている。なお、塗布針24aの根元部とは、塗布針24aにおいてホルダ外殻20aの内部に位置し、塗布針支持板20cに面する端部である。塗布針24aの先端とは、上記塗布針24aの根元部と反対側の端部である。外筒24bの根元部は可動板20fに固定されている。なお、外筒24bの根元部とは、外筒24bにおいてホルダ外殻20aの内部に位置し、可動板20fに面する端部である。また、異なる観点から言えば、外筒24bの根元部とは、塗布針24aの上記根元部を囲む外筒24bの部分である。可動板20fには外筒24bが固定された部分に塗布針24aを挿通させるための穴が形成されている。塗布針24aは可動板20fの当該穴を介して外筒24bの内部に配置されている。第1駆動部80は、上記可動板20fと、電磁ソレノイド20dと、可動軸20eと、バネ20gとを含む。可動板20fは、可動軸20eの一端が固定された第1部分と、バネ20gの一端が固定された第2部分とを含む。バネ20gは、可動板20fに固定された一端と反対側の他端が塗布針支持板20cに固定されている。バネ20gは、可動板20fを塗布針24aの先端側に付勢する。なお、バネ20gの他端はホルダ外殻20aの内壁に固定されていてもよい。
可動軸20eは電磁ソレノイド20dにより移動可能になっている。電磁ソレノイド20dは塗布針ホルダ側電極20bに電気的に接続されている。塗布針ホルダ側電極20bは、塗布針ホルダ20が固定される可動部46の可動部側電極46aに接続される。当該可動部側電極46aおよび塗布針ホルダ側電極20bを介して、電磁ソレノイド20dには塗布部材4の外部から電力が供給される。
図4に示すように、塗布針ホルダ20では、可動板20fにおいて外筒24b側の第1面と反対側の第2面にバネ20gおよび電磁ソレノイド20dが接続されている。より詳しく言えば、電磁ソレノイド20dは可動軸20eを介して可動板20fの第2面に接続されている。バネ20g、可動軸20eおよび電磁ソレノイド20dは可動板20fから見て外筒24bと反対側に配置されている。また、塗布針24aは外筒24bの内部に配置されている。塗布針24aおよび外筒24bにおいて上記根元部と反対側の端部である先端は、可動板20fから見て上記バネ20gおよび電磁ソレノイド20dと反対側に位置する。バネ20gと電磁ソレノイド20dとは、塗布針支持板20cを挟むように配置されている。塗布針24aの延在方向に沿うように、バネ20gと電磁ソレノイド20dとの中心軸が配置されている。なお、バネ20gの中心軸とはコイルバネであるバネ20gを構成する線材が巻回されている巻回中心を意味する。電磁ソレノイド20dの中心軸とは、電磁ソレノイド20dを構成する導電線が巻回されている巻回中心を意味する。
可動軸20eおよび可動板20fを介して、電磁ソレノイド20dにより外筒24bは移動可能である。たとえば、電磁ソレノイド20dが動作して可動軸20eを上方(塗布針24aの根元部と反対側の端部である先端部側から離れる方向)へ移動させることで、外筒24bは塗布針24aの根元部側へ、つまり塗布針支持板20cに近づく方向に当該塗布針24aに対して相対的に移動する。また、電磁ソレノイド20dの動作が停止すると、バネ20gの付勢力により可動板20fおよび外筒24bは塗布針24aの先端部側へ、つまり塗布針支持板20cから離れる方向に塗布針24aに対して相対的に移動する。
第2駆動部40については任意の構成を採用できる。たとえば、図2および図3に示すように第2駆動部40は、サーボモータ41と、カム43と、軸受44と、カム連結板45と、可動部46とを含む。サーボモータ41は、たとえば図1に示したZ軸方向に沿った方向に回転軸が延びるように設置されている。サーボモータ41の回転軸にはカム43が接続されている。カム43は、サーボモータ41の回転軸を中心として回転可能になっている。
カム43は、サーボモータ41の回転軸に接続された中心部と、当該中心部の一方端部に接続されたフランジ部とを含む。フランジ部の上部表面(サーボモータ41側の表面)はカム面となっている。このカム面は、中心部の外周に沿って円環状に形成されている。また、図2および図3に示すように、カム面はフランジ部の底面からの距離が変動するようにスロープ状に形成されている。たとえば、カム面はフランジ部の底面からの距離が最も大きくなっている上端フラット領域と、この上端フラット領域から間隔を隔てて配置され、フランジ部の底面からの距離が最も小さい下端フラット領域と、上端フラット領域と下端フラット領域との間を接続するスロープ部とを含む。
このカム43のカム面に接するように軸受44が配置されている。軸受44は、図2および図3に示すようにカム43から見て特定の方向(サーボモータ41の右側)に配置されている。軸受44は、サーボモータ41の回転軸が回転することでカム43が回転したとき、カム面に接触した状態を保つ。この軸受44にカム連結板45が接続されている。カム連結板45において、軸受44と接続された一方端部と反対側の他方端部は可動部46に固定されている。可動部46には塗布針ホルダ収納部が接続されている。この塗布針ホルダ収納部に上述した塗布針ホルダ20が収納されている。たとえば、塗布針ホルダ20において塗布針ホルダ収納部に面する表面に磁石などの第1接続部材が配置されていてもよい。また、塗布針ホルダ収納部側にも磁石または磁性体など、上述した塗布針ホルダ20側の第1接続部材を固定できる第2接続部材が配置されていてもよい。
塗布針ホルダ20下には容器21が配置されている。容器21に塗布針部24は挿入された状態で保持されている。
可動部46には固定ピンが設置されている。また、サーボモータ41を保持している架台には他方の固定ピンが設置されている。これら2つの固定ピンの間を繋ぐようにバネが設置されている。このバネにより、可動部46は容器21側に向けた引張り力を受けた状態になっている。また、このバネによる引張り力は、可動部46およびカム連結板45を介して軸受44に作用する。このバネ50の引張り力によって、軸受44はカム43のカム面に押圧された状態を維持している。
また、可動部46および塗布針ホルダ収納部は、上記架台に設置されたリニアガイドに接続されている。リニアガイドは、Z軸方向に延びるように配置されている。そのため、可動部46および塗布針ホルダ収納部はZ軸方向に沿って移動可能になっている。
<塗布部材の動作>
上述した塗布部材4においては、サーボモータ41を駆動することにより当該サーボモータ41の回転軸を回転させてカム43を回転させる。この結果、カム43のカム面は、Z軸方向における高さが変化するため、図2および図3に示すように、カム43の右側においてカム面に接触している軸受44のZ軸方向における位置もサーボモータ41の駆動軸の回転に応じて変動する。そして、この軸受44のZ軸方向での位置変動に応じて、可動部46および塗布針ホルダ収納部48がZ軸方向に移動する。この結果、塗布針ホルダ収納部48に保持されている塗布針ホルダ20もZ軸方向に移動する。このようにして、当該塗布針ホルダ20に設置されている塗布針部24のZ軸方向における位置を変化させることができる。なお、図2では塗布針部24がZ軸方向において相対的に上側に変位した状態を示し、図3では塗布針部24がZ軸方向において相対的に下側に変位した状態を示す。
<塗布針ホルダの動作>
図5および図7は、図2および図3に示した塗布部材における塗布針ホルダ20の動作を説明するための模式図である。図6は、図5における領域VIの拡大模式図である。図8は、図7における領域VIIIの拡大模式図である。図5および図6は塗布待機状態を示し、図7および図8は塗布状態を示している。
図5および図6に示すように、塗布待機状態では、外筒24bは塗布針24aに対して相対的に下降した状態で待機している。電磁ソレノイド20dの下端と可動板20fとの間の距離は距離L1となっている。この時、塗布針24aの先端は外筒24bの奥に収納された状態となっている。外筒24bの先端と塗布針24aの先端との間であって外筒24bの内部に、液体材料70の一部が保持された状態になっている。
図7および図8に示す塗布状態では、外筒24bが電磁ソレノイド20dの動作により塗布針24aに対して相対的に上昇した状態となる。磁ソレノイド20dの下端と可動板20fとの間の距離は、図5に示した距離L1より小さい距離L2となっている。この時、塗布待機状態において外筒24bの先端側の内部に保持されていた液体材料70の一部が押し出され、塗布針24a先端に溜まる。この溜まった液体材料を処理対象材の表面に塗布することにより、液体材料を処理対象材の表面に供給する。このような塗布待機状態と塗布状態とを繰り返し実施する。
たとえば、上記のように液体材料を処理対象材に塗布した後、塗布針24a先端が液体材料の容器21内に収納される。その後、電磁ソレノイド20dの動作により外筒24bを塗布針24aに対して相対的に下降させる。この結果、図5および図6に示すように、塗布針24aの先端が外筒24bの内部に収納され、当該外筒24bの先端側の内部に液体材料70の一部が再度保持される。なお、あらかじめ外筒24bを電磁ソレノイド20dの動作により塗布針24aに対して相対的に下降させた状態で、つまり外筒24bの先端側の内部に空間を形成した状態で、塗布針24a先端を液体材料の容器21内部に収納してもよい。この場合も、塗布針24aの先端が収納された外筒24bの先端側の内部に液体材料70の一部が流入する。
なお、液体材料70の粘度が高くなると、上記のように外筒24bの先端側の内部に予め空間が形成された状態で外筒24bの先端部が容器21の内部に収納しても、当該外筒24bの先端側の内部に液体材料70が流入し難くなる場合がある。このため、塗布針24a先端を液体材料の容器21内に収納してから、外筒24bを塗布針24aに対して相対的に下降させる方法を採用することが好ましい。この場合、外筒24bを塗布針24aに対して相対的に下降させる動作により、外筒24bの先端側の内部空間に液体材料70を吸引する効果をえることができ、当該内部空間に液体材料70を効率的に流入させることができる。
外筒24bを上下させるアクチュエータとしては、上述した電磁ソレノイド20dに限らず、任意の機構を採用できる。たとえば、外筒24bを塗布針24aに対して相対的に移動させるアクチュエータとして、エアシリンダ、電動シリンダ等の任意のアクチュエータ、またはカム機構やクランク機構等の往復動機構を利用してもよい。なお、当該アクチュエータとして電磁ソレノイド20dを利用すると、塗布針ホルダ20の小型化、軽量化や外筒24bの動作時間の短縮化といった効果が得られる。
<塗布方法の概念>
図9は、比較例としての塗布方法を説明するための模式図である。図10は、本実施形態に従った塗布方法を説明するための模式図である。図9に示す比較例としての塗布方法と対比しながら、図10に示す本実施形態に従った塗布方法を説明する。なお、図9および図10は、ともに処理対象材5の表面に先に塗布されている液体材料75に他の液体材料を塗布する場合を示している。
図9に示す比較例としての塗布針方式では、先端部の幅が徐々に狭くなり、フラットな先端面を有する塗布針124を用いる。まず図9(A)に示すように、塗布針124のフラットな先端面に付着する液体材料70の量は、ほぼ液体材料70の粘度で決まる。そのため、当該先端面に付着する液体材料70の量を任意に制御することは困難であった。一般に、塗布針124の先端面に付着する液体材料70の量は微量である。このような塗布針124を用いて、図9(B)に示すように、処理対象材5の表面に先に塗布されている液体材料75に重ねて液体材料70を塗布する。この場合、図9(C)に示すように、先に塗布されていた液体材料75と塗布針124の先端に付着していた液体材料70とが混合した混合液体材料77が、塗布針124の先端側にも付着する。上述した液体材料70、75が2液性の接着剤である場合、塗布針124の先端で当該接着剤が固まってしまい、その後の塗布に悪影響を及ぼす。また、上記液体材料70、75が2液性の接着剤では無い場合でも、塗布針124先端に付着した液体材料70が、先に塗布されていた液体材料75で汚染されてしまうと、塗布針124が収容される塗布材料の容器に保持されている液体材料70も汚染される。
一方、図10に示した本実施形態に従った塗布方法では、まず図10(A)に示すように塗布針24aに対して外筒24bが相対的に下降した状態で、外筒24bの第1端26と塗布針24aの先端25との間の空間に液体材料の一部70aが保持された状態となっている。その後、外筒24bを塗布針24aに対して相対的に上昇させる。この結果、図10(B)に示すように外筒24bの第1端26より内側の空間から当該第1端26より外側に液体材料70a(図10(A)参照)が押し出され、液滴71となる。塗布針24aの先端25は外筒24bの第1端26と同一面上に位置してもよい。あるいは、塗布針24aの先端25は外筒24bの第1端26より内側に配置されていてもよいし、当該第1端26より外側に配置されてもよい。このように液滴71となるべき液体材料70aが外筒24bの内部に保持されていたため、液滴71の体積は図9に示した比較例における塗布針124の先端に付着する液体材料70の体積より大きくなる。
次に、図10(C)に示すように、塗布針24aおよび外筒24bを処理対象材5に相対的に近づける。ここでは、塗布部材4の構成から塗布針24aおよび外筒24bを処理対象材5に向けて矢印に示す方向に移動させている。なお、処理対象材5を塗布針24aおよび外筒24bに向けて移動させてもよい。この結果、塗布針24aおよび外筒24bの先端側に保持されている液滴71が処理対象材5の表面の液体材料75に接触する。このとき、液滴71の下端を処理対象材5の表面の液体材料75に接触させる。この結果、液滴71の大部分を処理対象材5側へ移動させ、液体材料75と液滴71を構成する液体材料とが混合した液体材料72が処理対象材5の表面上に配置される。一方、処理対象材5側から塗布針24aの先端25側に、液滴71と液体材料75とが混合した液体材料72が這い上がることを抑制できる。このため、塗布工程後において、塗布針24aの先端25に残存する液体材料71aが、先に処理対象材5に塗布されていた液体材料75により汚染される可能性は低い。この結果、安定した塗布すなわち液体材料の供給が可能となる。なお、上記のような塗布工程後、図10(D)に示すように、塗布針24aおよび外筒24bを処理対象材5側から矢印の方向に移動させる。上記のような塗布方法において、先に処理対象材5に塗布されていた液体材料75を2液性接着剤の1液目の材料とし、後から塗布される液体材料の液滴71を2液性接着剤の2液目の材料としてもよい。なお、処理対象材5としては、平板、曲面状の表面を有する固体状の部材であってもよいが、液体やゲル状の部材であってもよく、液体材料75を配置できる表面を有する対象物であればよい。
図10に示した本実施形態に係る塗布方法により、2液性接着剤の1液目の上に2液目を塗布する場合でも、塗布針24aの先端25が1液目による汚染される可能性を低減できる。この結果、安定した塗布が可能となる。
<塗布方法の具体例>
上述した本実施形態に係る塗布装置を用いた塗布方法の具体例を説明する。図11は、本実施形態に従った塗布方法のフローチャートである。図11および適宜図5〜図10を用いて、本実施形態に従った塗布方法を説明する。
図11に示すように、本実施形態に係る塗布方法P−Aでは、まず塗布プロセスを開始する(S10)。具体的には、たとえば制御用コンピュータ10により塗布装置の各機器の制御が開始される。このとき、たとえば塗布部材4が処理対象材5と対向する位置に配置されるように、X軸テーブル1、Y軸テーブル2、Z軸テーブル3などが制御される。また、図5および図6に示すように、このとき塗布針ホルダ20の塗布針24aの先端25は外筒24bの内部に位置する。また、外筒24bの先端部は容器21の内部に配置された状態となっている。外筒24bの先端側の内部には液体材料70aが配置されている。
次に、塗布針ホルダの下降を開始する(S20)。具体的には、塗布針ホルダ20が第2駆動部40により容器21側に移動する。この結果、外筒24bおよび塗布針24aがともに容器21の底面から突出した状態となる。このとき、塗布針24aの先端25は図10(A)に示すように外筒24bの第1端26より後退した状態となっている。外筒24bの第1端26と塗布針24aの先端25との間には液体材料70aが保持されている。
その後、塗布針ホルダの下降を停止する(S30)。この結果、先端部の内側に液体材料70aを保持した外筒24bが、図10(A)に示すように処理対象材5の表面と間隔を隔てて配置された状態となる。
次に、外筒24bを上昇させる(S40)。具体的には、図7および図8で説明したように、電磁ソレノイド20dを駆動して外筒24bを当該外筒24bの根元側に引き上げる。この結果、図10(B)に示すように、塗布針24aの先端25が外筒24bの第1端26側に相対的に移動し、外筒24bの第1端26より下側に液滴71が形成される。
次に、塗布針ホルダの下降を再度開始する(S50)。この結果、液滴71を保持した塗布針24aが処理対象材5に近づく。そして、液滴71が処理対象材5の表面に接することで、当該液滴71の少なくとも一部が処理対象材5の表面上に付着する。このようにして、液体材料が処理対象材5の表面に塗布されるように供給される塗布工程(S60)が実施される。なお、塗布工程(S60)を実施するため、塗布針24aの先端25または外筒24bの第1端26のうち処理対象材5に近い一方と処理対象材5の表面との間の距離は、ゼロを越え液滴71の直径未満となっていることが好ましい。この場合、塗布針24aまたは外筒24bが処理対象材5に直接接触することなく、液体材料を下降対象材55の表面に塗布できる。上記液滴71の直径は、液滴71を構成する液体材料の粘性などを考慮して決定できる。また、当該直径は外筒24bの内部に塗布針24aの先端25が後退する距離を変更することで調整できる。
次に、上記塗布工程(S60)が実施された後、塗布針ホルダの上昇を開始する(S70)。この時、図10(D)に示すように外筒24bの第1端26と塗布針24aの先端25とはほぼ同じ位置となっている。
次に、外筒24bの先端が容器21の内部配置した時点で、塗布針ホルダの上昇を停止する(S80)。この時、外筒24bの第1端26の位置は、容器21の内部において塗布針24aに対して相対的に下降した場合にも、容器21の外部に当該第1端26が露出しないように、容器21内に保持された液体材料70の内部に侵入した状態とすることが好ましい。
その後、外筒24bを塗布針24aに対して相対的に下降させる(S90)。この結果、図5および図6に示すように、外筒24bの第1端26より塗布針24aの先端25が後退した状態となる。このとき、外筒24bの第1端26側における内部に容器21内部の液体材料70の一部が配置される。上記のようなプロセスを実施した後、塗布プロセスは終了する(S100)。液体材料70の塗布を繰り返す場合、上記の各工程(S10)〜(S100)を繰り返す。
<塗布方法の変形例>
図12は、本実施形態に従った塗布方法の変形例のフローチャートである。図12および適宜図5〜図11を用いて、本実施形態に従った塗布方法の変形例を説明する。
図12に示した塗布方法においては、図11に示した塗布方法と同様に工程(S10)〜(S30)を実施する。その後、図12に示すように塗布針ホルダ20を低速で下降させながら外筒24bを上昇させる(S140)。この工程(S140)では、塗布針ホルダ20が第2駆動部40により容器21側に移動する。また、この工程(S140)における塗布針ホルダ20の下降速度は、工程(S20)〜(S30)における塗布針ホルダ20の下降速度より低くなっている。また、同時に外筒24bが塗布針24aに対して相対的に上昇する。具体的には、図11の工程(S40)と同様に、図7および図8で説明した電磁ソレノイド20dを駆動して、外筒24bを当該外筒24bの根元側に引き上げる。なお、この工程(S140)において、塗布針ホルダ20の下降開始のタイミングと、外筒24bの上昇開始のタイミングは同じでもよいし、塗布針ホルダ20の下降開始のタイミングより、外筒24bの上昇開始のタイミングが後でも先でもよい。
次に、塗布針ホルダ20が下降している途中で、外筒24bの塗布針24aに対する相対的な上昇が完了する(S150)。この結果、図11の工程(S40)と同じく、図10(B)に示すように、塗布針24aの先端25が外筒24bの第1端26側に相対的に移動し、外筒24bの第1端26より下側に液滴71が形成される。
上記のように液滴71が形成された状態で、塗布針ホルダ20の下降が継続すると、液滴71を保持した塗布針24aが処理対象材5に近づく。そして、液滴71が処理対象材5の表面に接することで、当該液滴71の少なくとも一部が処理対象材5の表面上に付着する。このようにして、液体材料が処理対象材5の表面に塗布される塗布工程(S60)が実施される。この塗布工程(S60)および工程(S70)〜(S100)は、図11に示した工程(S60)〜(S100)と基本的に同様である。
<作用効果>
本開示に従った塗布部材4は、処理対象材に液体を供給するための塗布針24aと、外筒24bと、第1駆動部80と、第2駆動部40とを備える。外筒24bは、塗布針24aの外周を囲み、塗布針24aの先端に近い側に位置する第1端26を含む。第1駆動部80は、塗布針24aの延在方向である第1方向において、塗布針24aに対して外筒24bを相対的に移動させる。第2駆動部40は、塗布針24aおよび外筒24bを第1方向に移動させる。第1駆動部80は、塗布針24aの先端25が外筒24bの第1端26より外筒24bの内部に後退している第1状態(図6、図10(A)参照)と、塗布針24aの先端25が第1状態より外筒24bの第1端26側に移動した第2状態(図8、図10(B)、図10(C)、図10(D)参照)とを切替えるように構成されている。
また、異なる観点から言えば、本開示に従った塗布針ホルダ20は、処理対象材に液体を塗布するための塗布針24aと、外筒24bと、第1駆動部80とを備える。外筒24bは、塗布針24aの外周を囲み、塗布針24aの先端25に近い側に位置する第1端26を含む。第1駆動部80は、塗布針24aの延在方向である第1方向において、塗布針24aに対して外筒24bを相対的に移動させる。第1駆動部80は、塗布針24aの先端25が外筒24bの第1端26より外筒24bの内部に後退している第1状態と、塗布針24aの先端25が第1状態より外筒24bの第1端26側に移動した第2状態とを切替えるように構成されている。
上述したように、本開示に従った塗布部材4および塗布針ホルダ20では、塗布針24aに外筒24bを設けている。また、塗布材料容器である容器21内では、塗布針24aの先端25を外筒24bの先端である第1端26より奥側に収納した第1状態とし、外筒24b内において塗布針24aの先端25より前側の部分に、塗布する液体材料70aを溜めることができる。一方、塗布する時は、容器21から塗布針部24を突出させた状態で、塗布する前に、外筒24bを電磁ソレノイド20dにより引き上げることで第2状態とし、溜めておいた液体材料70aを押し出す。異なる観点から言えば、外筒24bを塗布針ホルダ20の塗布針支持板20cに近づく方向に相対的に後退させた第2状態では、塗布針24aの先端25に一定量の液体材料70aが付着した状態となっている。この結果、塗布針24aの先端25に球状の液滴71として液体材料を保持した状態で、処理対象材5の塗布対象面に当該液滴71の下端を接触させて塗布する。これにより、2液性接着剤を塗布する場合でも、2液性接着剤における2液目の接着剤の塗布時に、1液目の接着剤と接触した2液目の接着剤が塗布針24aの先端25に残り辛くなる。このため、塗布針方式で2液性接着剤などの液体材料を安定して塗布することが可能となる。
上記塗布部材4および上記塗布針ホルダ20において、第1駆動部80は、電磁ソレノイド20dを含む。電磁ソレノイド20dを用いることで、塗布部材4および塗布針ホルダ20の小型化、軽量化を図ることができる。また、他の機械式のアクチュエータを用いる場合と比較して、外筒24bの上昇、下降といった動作速度を大きくし、外筒24bの移動に要する時間を短縮できる。
本開示に従った塗布装置は、上記塗布部材4または塗布針ホルダ20と、保持台としてのY軸テーブル2とを備える。保持台としてのY軸テーブル2は、塗布針24aにより液体材料70を塗布される処理対象材5を保持する。このようにすれば、安定して液体材料70の塗布が可能な塗布部材4または塗布針ホルダ20を用いることで、処理対象材5に対する2液性接着剤などの液体材料の塗布針24aによる塗布を安定的に行うことができる。
上記塗布装置は、液体材料70を保持する容器21を備える。また、異なる観点から言えば、上記塗布装置は、塗布針ホルダ20に加えて、液体材料70を保持する容器21と、第2駆動部40とを備える。第2駆動部40は、塗布針24aおよび外筒24bを第1方向に移動させる。容器21は、保持台としてのY軸テーブル2に保持される処理対象材5に面するように配置されている。塗布部材4の第2駆動部40は、塗布針24aの先端25および外筒24bの第1端26が容器21の内部に位置する第3状態(図2、図5、図6参照)と、塗布針24aの先端25および外筒24bの第1端26が容器21の外部に位置する第4状態(図3、図4、図7、図8参照)とを切替えるように構成されている。第1駆動部80は、図6に示す通り第3状態において第1状態となり、図8に示す通り第4状態において第2状態となるように、塗布針24aに対して外筒24bを相対的に移動させる。つまり、上記塗布装置は、塗布針24aの先端25および外筒24bの第1端26が容器21を貫通して液体材料を処理対象材5に塗布するよう構成されている。
この場合、容器21の内部において、図10(A)に示すように外筒24bの第1端26側の内部に液体材料70aを保持することができる一方、塗布時には図10(B)、図10(C)に示すように外筒24bの第1端26より外側に液体材料からなる液滴71を形成し、当該液滴71を処理対象材5の表面に接触させることができる。この結果、2液性接着剤などの液体材料を安定して塗布できる。
本開示に従った塗布方法では、上記塗布部材4を第1状態とし、塗布針24aの先端25と外筒24bの第1端26との間に位置する外筒24bの内部領域に液体材料70aを保持する工程(図11および図12の工程(S90))を実施する。また、上記塗布方法では、塗布部材4を第1状態から第2状態とすることにより、外筒24bの第1端26より外側に液体材料の少なくとも一部71を突出させる工程(図11の工程(S40)または図12の工程(S140)および工程(S150))を実施する。また、上記塗布方法では、第1端26より外側に突出させた液体材料の少なくとも一部71(図10(B)参照)を処理対象材5に接触させる工程(図11および図12の工程(S60))を実施する。このようにすれば、塗布針方式で2液性接着剤などの液体材料を安定して塗布することが可能となる。
<第1の変形例の構成および作用効果>
図13は、本実施形態に従った塗布部材および塗布針ホルダの第1の変形例を説明するための模式図である。
図13に示した塗布部材および塗布針ホルダの第1の変形例は、基本的には図1〜図10に示した塗布部材4および塗布針ホルダ20と同様の構成を備えるが、外筒24bの第1端26および当該第1端26に連なる側面の部分の構成が、図1〜図10に示した塗布部材および塗布針ホルダ20と異なっている。すなわち、図13に示した外筒24bでは、第1端26および第1端26に連なる外周側面部分27に撥液処理部24cが形成されている。撥液処理部24cとは、たとえば撥液処理剤を塗布した領域である。撥液処理剤としては、たとえばフッ素系処理剤などを用いることができる。
このように、撥液処理部24cを形成することにより、図10(B)に示すように塗布針24aの先端25に液体材料からなる液滴71を形成する場合、当該液滴71が外筒24bの外周側面部分27や第1端26に液体材料が残留し、形成される液滴71のサイズが小さくなる、あるいは液滴71の形状が球形からずれたいびつな形状になる、といった問題の発生を抑制できる。このため、塗布時に液体材料を塗布針24aの先端25から処理対象材5へ安定して塗布できるので、塗布針24aに塗布工程の後で汚染された液体材料が付着する可能性を低減できる。
<第2の変形例の構成および作用効果>
図14および図15は、本実施形態に従った塗布部材および塗布針ホルダの第2の変形例を説明するための模式図である。なお、図14は塗布針24aの先端25が外筒24bの第1端26より外筒24bの内部に後退している第1状態を示す。図15は、塗布針24aの先端25が第1状態より外筒24bの第1端26側に移動した第2状態を示す。
図14および図15に示した塗布部材および塗布針ホルダの第2の変形例は、基本的には図1〜図10に示した塗布部材4および塗布針ホルダ20と同様の構成を備えるが、外筒24bの先端部の構成が、図1〜図10に示した塗布部材および塗布針ホルダ20と異なっている。すなわち、図14および図15に示した塗布部材4および塗布針ホルダ20では、外筒24bにおける第1端26が形成された側の端部がテーパ形状を有するテーパ形状部24dとなっている。テーパ形状部24dは、外径が第1端26から離れるにしたがって大きくなるようなテーパ形状を有している。また、テーパ形状部24dは、厚さが外筒24bの先端に向かうにつれて徐々に薄くなっている。また、テーパ形状部24dは、外筒24bの延在方向に対して傾斜するように延びる表面を有する。
このようにすれば、図10(B)に示すように塗布針24aの先端25に液滴71を形成するときに、図10(B)に示すような球形に近い形状の液滴71を形成しやすくなる。
<第3の変形例の構成および作用効果>
図16および図17は、本実施形態に従った塗布部材および塗布針ホルダの第3の変形例を説明するための模式図である。図16は塗布針24aの先端25が外筒24bの第1端26より外筒24bの内部に後退している第1状態を示す。図17は、塗布針24aの先端25が第1状態より外筒24bの第1端26側に移動した第2状態を示す。
図16および図17に示した塗布部材および塗布針ホルダの第2の変形例は、基本的には図14および図15に示した塗布部材4および塗布針ホルダ20と同様の構成を備えるが、外筒24bの先端部の構成が、図14および図15に示した塗布部材および塗布針ホルダ20と異なっている。すなわち、図16および図17に示した塗布部材4および塗布針ホルダ20では、外筒24bの先端部におけるテーパ形状部24dの表面に撥液処理部24cが形成されている。撥液処理部24cは、テーパ形状部24dから、当該テーパ形状部24dに連なる外筒24bの側面上にまで延在している。なお、撥液処理部24cはテーパ形状部24dのみに形成してもよい。この場合、図14および図15に示した塗布部材4および塗布針ホルダ20による効果に加えて、図13に示した塗布部材4および塗布針ホルダ20による効果も同時に奏することができる。
<第4の変形例の構成および作用効果>
本実施の形態の第4の変形例においても上記各例と同様に、図1の塗布装置による、処理対象材への供給がなされる。塗布装置の備える塗布機構は複数の塗布部材4としてたとえば2つの塗布部材4を含む。これら2つの塗布部材4のうち一方の塗布部材4は第1の塗布針ホルダを含んでいる。これら2つの塗布部材4のうち他方の塗布部材4は第2の塗布針ホルダを含んでいる。このように第4の変形例では、塗布装置が、複数の塗布針ホルダとして第1の塗布針ホルダおよび第2の塗布針ホルダを備えている。このように第1の塗布針ホルダと第2の塗布針ホルダとを有するのは、複数の異なる液体材料を単一の塗布装置で供給する目的を有するためである。
図18は、本実施の形態の第4の変形例における、図6が示す領域と同領域の拡大模式図である。図18を参照して、第4の変形例においては、第2の塗布針ホルダに含まれる塗布針部24(図4参照)は、塗布針24eと外筒24fとを有している。塗布針24eは図6の塗布針24aと同様の構成を有している。外筒24fは図6の外筒24bと同様の構成を有している。つまり第4の変形例においては、第2の塗布針ホルダが、上記の図6の塗布針ホルダと同様の構成上の特徴を有している。ただし第2の塗布針ホルダは、上記の図13〜図17のいずれかの塗布針ホルダと同様の構成上の特徴を有してもよい。いずれにせよ、第2の塗布針ホルダは、本実施の形態の上記の各例のいずれかの塗布針ホルダと同様の構成上の特徴を有している。
第4の変形例においては、塗布針部24に含まれる塗布針24eは、塗布針24eの先端から液体材料70を滴下することにより、処理対象材に液体材料70を供給可能である。つまり塗布針24eは、処理対象材と非接触の状態の液体材料70を、処理対象材の上方から落とすことにより、処理対象材に液体材料70を滴下供給する。この点において本変形例は、液滴が処理対象材に接触するまで塗布針が下降することにより液体材料が塗布供給される上記の各例とは異なる特徴を有している。
なお第1の塗布針ホルダも、上記の本実施の形態の各例のいずれかの塗布針ホルダと同様の構成上の特徴を有してもよい。すなわち第1の塗布針ホルダも、図18の塗布針ホルダと同様の構成上の特徴を有してもよいし、上記の図13〜図17のいずれかの塗布針ホルダと同様の構成上の特徴を有してもよい。第1の塗布針ホルダについても、そこに含まれる塗布針部24が、液体材料を滴下する塗布針24eを有してもよい。また第4の変形例においても、上記の各例における塗布装置の特徴が適宜組み合わせられてもよい。
次に、第4の変形例における処理対象材への液体材料の塗布または滴下による供給方法について説明する。図19は、第4の変形例に特徴的な液体材料の供給方法のフローチャートである。図19を参照して、第4の変形例に特徴的な液体材料の供給方法P−Bは、大筋で図11に示す塗布方法と同様である。ただし供給方法P−Bにおいては、図11における塗布工程(S60)の代わりに滴下工程(S260)がなされる。この点において図19は図11と異なっている。ただし滴下工程(S260)以外については、供給方法P−Bは基本的に図11の塗布方法P−Aと同様である。
図20は、第4の変形例に特徴的な液体材料の供給方法を説明するための模式図である。図20(A)に示すように、たとえば図18の構成、すなわち塗布針24eおよび外筒24fを有する塗布針ホルダが用いられる。ただし図13〜図17のいずれかの構成を有する塗布針ホルダが用いられてもよい。この塗布針部に対して図10(A)と同様に、塗布針24eの先端25は外筒24fの第1端26より後退した状態となる。ただしここでは、図10(A)に比べて先端25の第1端26に対する後退量が多いことが好ましい。このようにすれば、外筒24fの第1端26と塗布針24eの先端25との間に、より多くの量の液体材料70aを保持することができる。図20(A)は図19の工程(S10)〜(S30)に対応する。
図20(B)に示すように、図10(B)と同様に、外筒24fを上昇させる。これにより、外筒24fの第1端26より下側に液滴71が形成される。図20(B)は図19の工程(S40)に対応する。ただし塗布針24eのストローク量が図10(B)より多いため、液滴71は図10(B)より大きくてもよい。
図20(C)に示すように、塗布針ホルダが再度下降される(S50)。ここで特に液滴71が図10(C)より大きい。このため、液滴71を保持した塗布針24eは、処理対象材5に近づく動きにより、液滴71が処理対象材5の表面に接する前に、塗布針24eの先端から払い落とされ、落下する。これにより、処理対象材5の表面の上、またはその表面に先に供給されていた液体材料75の上に液滴71が接触される。図20(C)は図19の工程(S50)〜(S60)に対応する。このように塗布針24eの先端25から液体材料71を落下するように滴下することにより、処理対象材5に液体材料75が供給される。
図20(D)に示すように、以降は図10(D)と同様に図19の工程(S70)以降の各工程がなされ、塗布プロセスが終了する。
図21は、比較例の塗布方法のフローチャートである。図21および図9を参照して、図9の比較例の塗布方法P−Cにおいては、図6または図13〜図18の構成を有さない、任意の構成を有する塗布針ホルダに取り付けられた塗布針が用いられる。あるいは塗布方法P−Cにおいては、そのような塗布針ホルダを有さない塗布針が用いられてもよい。塗布方法P−Cにおいては、図9(A)の塗布針124が、図9(B)のように下降する(S350)。塗布針124に付着した液体材料70が、処理対象材5の表面、またはその表面に先に塗布されている液体材料75に接触する。これにより液体材料70は、当該処理対象材5の表面または液体材料75の表面上に塗布される(S360)。その後、図9(C)のように塗布針124が上昇し(S370)、塗布プロセスが終了する。
図22は、本実施形態の第4の変形例における液体材料の塗布方法を構成する第1の塗布工程と第2の塗布工程との第1例を概略的に示すフローチャートである。図23は、本実施形態の第4の変形例における液体材料の塗布方法を構成する第1の塗布工程と第2の塗布工程との第2例を概略的に示すフローチャートである。図22を参照して、第4の変形例の塗布方法においては、処理対象材に第1の液体材料を塗布する第1の塗布工程(S1)と、第1の塗布工程(S1)の後に、処理対象材に第1の液体材料とは異なる第2の液体材料を塗布する第2の塗布工程(S2)とを備える。なおここで処理対象材に液体材料を塗布するとは、処理対象材上に既に供給された液体材料の上に重なるように液体材料を塗布または滴下することも含める。図22の第1例においては、第1の塗布工程(S1)は比較例の塗布方法P−C(図21、図9参照)が用いられ、第2の塗布工程(S2)に第4の変形例の供給方法P−B(図19、図18、図20参照)が用いられる。図23の第2例においては、第1の塗布工程(S1)は上記各例の塗布方法P−A(図11、図10参照)が用いられ、第2の塗布工程(S2)に第4の変形例の供給方法P−B(図19、図20参照)が用いられる。
いずれにせよ、第4例においては、少なくとも第2の塗布工程において、図18〜図20に示す、第2の塗布針ホルダを用いた供給方法P−Bの滴下による液体材料70などの供給がなされる。第1の塗布工程においては図23の例のように、図6または図13〜図18の構成を有する第2の塗布針ホルダが用いられ、塗布方法P−Aにより液体材料が供給されてもよい。あるいは第1の塗布工程においても第2の塗布工程と同様に図18、図20の第2の塗布針ホルダを用いて供給方法P−Bにより供給されてもよい。また第1の塗布工程においては図22の例のように図9の比較例のような塗布針(塗布針ホルダ)が用いられ、塗布方法P−Cによる塗布が行なわれてもよい。
上記の第4の変形例の作用効果は以下の通りである。第4の変形例に係る塗布装置は、複数の塗布針ホルダとして第1の塗布針ホルダおよび第2の塗布針ホルダを備える塗布装置である。第2の塗布針ホルダは図6および図13〜図18のいずれか(たとえば図18)と同様の構成を有する。第2の塗布針ホルダは、先端25から液体材料70a(図20参照)を滴下することにより処理対象材5に液体材料70aを供給可能な塗布針24eを含む。
これにより、たとえば既に処理対象材5の上に液体材料75が塗布された上にさらに他の材料である液体材料70aを供給する場合において、第2の塗布針ホルダに含まれる塗布針24eに液体材料75が付着することが抑制される。液体材料70aおよび塗布針24eは液体材料75と非接触の状態で液体材料75上に滴下されることで供給されるためである。このため、塗布材料容器である容器21内に元々収納される液体材料70a以外の材料であるたとえば液体材料75が混入することによる容器21内の汚染を抑制できる。
上記第4の変形例の塗布装置において、第1の塗布針ホルダも第2の塗布針ホルダと同様に、図6および図13〜図18のいずれかと同様の構成を有してもよい。すなわち第1の塗布針ホルダも、たとえば先端25から液体材料70a(図20参照)を滴下することにより処理対象材5に液体材料70aを供給可能な塗布針24eを含んでもよい。このようにすれば、第1の塗布針ホルダに含まれる塗布針に起因する容器21内の汚染を抑制することもできる。
第4の変形例に係る塗布方法は、処理対象材5に第1の液体材料75を塗布する第1の塗布工程S1と、第1の塗布工程S1の後に処理対象材5に第2の液体材料70aを塗布する第2の塗布工程S2とを備える。第2の塗布工程S2においては、図6および図13〜図18のいずれかと同様の構成を有する(たとえば図18の)第2の塗布針ホルダが用いられる。第2の塗布工程S2においては、塗布針24eの先端25から第2の液体材料70aを滴下することにより処理対象材5に第2の液体材料S2が供給される。
これにより、たとえば既に処理対象材5の上に液体材料75が塗布された上にさらに他の材料である液体材料70aを供給する場合において、第2の塗布針ホルダに含まれる塗布針24eに液体材料75が付着することが抑制される。液体材料70aおよび塗布針24eは液体材料75と非接触の状態で液体材料75上に滴下されることで供給されるためである。このため、塗布材料容器である容器21内に元々収納される液体材料70a以外の材料であるたとえば液体材料75が混入することによる容器21内の汚染を抑制できる。
上記第4の変形例の塗布方法において、第1の塗布工程においては、図6または図13〜図18のいずれかの構成を有する第1の塗布針ホルダまたは第2の塗布針ホルダが用いられてもよい。しかし第1の塗布工程においては、図9の比較例の塗布針が用いられてもよい。そして塗布針の先端から処理対象材5に第1の液体材料が供給される。このように第1の塗布工程に用いられる塗布部材はその選択の自由度を高めることができる。
なお第4の変形例においては、図1の塗布装置に含まれる塗布部材4の数は2つに限らず3つ以上であってもよい。この場合においては、3つ以上の多数の塗布部材4のうち1つを除くすべては第2の塗布針ホルダとして、たとえば図18に示すような構成を有する塗布針を含み、そこから滴下により液体材料が供給されるものであることが好ましい。他の1つは第1の塗布針ホルダとして、たとえば図18に示すような構成を有するものであってもよいし、図6、図13〜図17のいずれかの構成を有するものであってもよい。あるいは第1の塗布針ホルダの塗布針は、図9の比較例の構成であってもよい。
3つ以上の塗布部材4を有する場合、最初に第1の塗布針ホルダの塗布針により塗布針の先端から処理対象材5に第1の液体材料75が供給される(図20参照)。以降、すなわち第2工程以降(第3工程、第4工程なども含む)においては第2の塗布針ホルダが用いられ、図20の滴下工程P−Bのように先端25から液体材料70aが滴下されることにより処理対象材5に液体材料72が供給可能な塗布針24eを含むことが好ましい。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行ったが、上述の実施の形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は上述の実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。