JP2020021702A - 多芯通信ケーブル - Google Patents
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本発明に係る多芯通信ケーブル10は、図1〜図4に示すように、2本の同軸電線1,1からなる同軸電線組2を2組以上含むケーブル10である。そして、同軸電線1は、中心導体11と絶縁体12と外部導体13と外被体14とをその順で有している。外被体14は着色テープを横巻きして構成され、同軸電線1の表面に現れる螺旋状の色及び/又は幅によって識別され、その螺旋状の色及び/又は幅は着色テープの色、ラップ及び巻ピッチから選ばれるいずれか1又は1以上を組み合わせて構成されている。
同軸電線1は、図1〜図3に示すように、中心導体11と、中心導体11の外周に長手方向Yに連続した絶縁体12と、その絶縁体12の外周に設けられた外部導体13と、その外部導体13の外周に設けられた外被体14とで構成されている。
中心導体11は、同軸電線1の長手方向Yに延びる1本の素線で構成される、又は複数本の素線を撚り合わせて構成される。素線は、良導電性金属であればその種類は特に限定されないが、銅線、銅合金線、アルミニウム線、アルミニウム合金線、銅アルミニウム複合線等の良導電性の金属導体、又はそれらの表面にめっき層が施されたものを好ましく挙げることができる。高周波用の観点からは、銅線、銅合金線が特に好ましい。めっき層としては、はんだめっき層、錫めっき層、金めっき層、銀めっき層、ニッケルめっき層等が好ましい。素線の断面形状も特に限定されないが、断面形状が円形又は略円形の線材であってもよいし、角形形状であってもよい。
絶縁体12は、中心導体11の外周に、長手方向Yに連続して設けられている低誘電率の絶縁層である。絶縁体12の材料は特に限定されないが、例えばPFA、ETFE、FEP等の低誘電率のフッ素系樹脂が好ましく、良好な高周波伝送特性を示すことができる。絶縁体12の材料に着色剤を含有させてもよい。こうした絶縁体12の形成方法は特に限定されないが、押し出し、塗布等を挙げることができる。絶縁体12の構造形態は、中実構造でも中空構造でも発泡構造であってもよい。中空構造と発泡構造は、構造体内部に空隙を有するので誘電率をさらに小さくすることができる。絶縁体12の厚さも特に限定されないが、0.2〜0.5mm程度の範囲内とすることが好ましい。
外部導体13は、絶縁体12の外周に設けられている。外部導体13は、後述する全体を覆うシールド層6とは区別して設けられている。この外部導体13は、金属細線13aを横巻きしたもので構成されている。外部導体13の厚さは、使用する金属細線13aの線径や撚り本数によっても異ななり、特に限定されない。
金属樹脂テープ13bは、必須の構成ではないが、図3に示すように、上記金属細線13aと後述する外被体14との間に設けられていることが好ましい。金属樹脂テープ13bを設けた場合は、金属細線13aとともに「外部導体13」を構成する。金属樹脂テープ13bを設ける場合は、金属層面を金属細線側にして横巻きする。
外被体14は、外部導体13の外周に設けられている。この外被体14は、着色テープ(本願では着色テープも符号14を用いる。)を横巻きして構成され、同軸電線1の表面に現れる螺旋状の色及び/又は幅によって個々の同軸電線1をその役割等に応じて識別する。具体的には、着色テープ14を横巻きするので、同軸電線1の表面には、着色テープ14の色、ラップ及び巻ピッチを組み合わせて種々の識別性の違いを表すことができる。その結果、各同軸電線1の役割毎にコネクタ等に接続したり配線したりする場合に、識別が容易になって接続・配線作業を容易且つ正確に行うことができるので、間違いをなくすることができる。
多芯通信ケーブル10は、図1に示すように、芯材3と、芯材3の外周に配置された2組以上の同軸電線組2と、2以上の同軸電線組2を覆い束ねる押さえ巻きテープ5と、押さえ巻きテープ5を覆うシールド層6と、シールド層6を覆う樹脂押し出しシース7とで少なくとも構成されている。なお、2組以上の同軸電線組2を覆う、押さえ巻きテープ5、シールド層6及び樹脂押し出しシース7等を、外被シース4と呼んでもよい。この多芯通信ケーブル10は、上記した同軸電線2本からなる同軸電線組2を2組以上含み、例えば図1の例では、同軸電線組2が4含まれている態様を示している。同軸電線組2の数は、少なくとも2以上の複数であればよく、上限も特に限定されないが、4〜8程度とすることができる。
芯材3は、多芯通信ケーブル10の中心に位置するものであり、種々の態様とすることができる。例えば、巻芯として機能する高張力のテンションメンバとすれば、多芯通信ケーブル10の軸方向の強度と屈曲性を補強するように作用する。その例としては、複数の繊維からなる繊維糸又はその繊維糸を束ねた繊維束が好ましく用いられる。繊維束又は繊維糸を構成する繊維としては、例えば、テトロン(登録商標)等のポリエステル繊維や、ケブラ(登録商標)等の全芳香族ポリアミド繊維や、ベクトラン(登録商標)等のポリアリレート繊維、ガラス繊維等を挙げることができる。また、芯材3は、異なる材質の繊維や、外径の異なる繊維糸を任意に複合させたものであってもよい。芯材3は、これらの繊維束又は繊維糸を集合線、撚り線又は編み込み線にして同心円状(真円形)の断面になっている。なお、「dtex」は繊維糸を重量換算で示すものであり、1dtexは、長さ10000mで1gであることを意味する。
芯材3は、芯材押さえ巻きテープ8で覆われていることが好ましい。芯材押さえ巻きテープ8としては、芯材3がばらけないように押さえることができるものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエステルテープ等を好ましく挙げることができる。その厚さも特に限定されず、0.003〜0.01mmの範囲内であることが好ましい。こうした芯材押さえ巻きテープ8で巻かれた後の芯材3の外径は、その役割や用途に応じて任意に選択され、特に限定されない。なお、テープ幅は、巻ピッチ等によって任意に選択され、特に限定されない。
外被シース4は、押さえ巻きテープ5、シールド層6及び樹脂押し出しシース7等で構成されている。押さえ巻きテープ5は、2以上の同軸電線組2を覆い束ねるように設けられている。押さえ巻きテープ5は、複数の同軸電線組2がばらけないように押さえることができるものであれば特に限定されないが、ポリエステルテープ、紙テープ等を挙げることができ、特に和紙テープを好ましく挙げることができる。これら押さえ巻きテープ5の厚さも特に限定されず、0.003〜0.01mmの範囲内であることが好ましい。こうした押さえ巻きテープ5で巻かれた後の外径は特に限定されないが、例えばmmの範囲内とすることができる。なお、テープ幅は、巻ピッチ等によって任意に選択される。なお、押さえ巻きテープ5は、同軸電線組2とともに信号線等が必要に応じて設けられている場合には、それらをまとめて巻き押さえるように作用する。
先ず、図2及び図4(A)に示す形態の同軸電線1を作製した。各同軸電線1について、中心導体11として、直径0.10mmの錫めっき軟銅線を7本撚りしたAWG30(外径約0.3mm)を用いた。次に、中心導体11の外周に厚さ0.24mmのFEP樹脂(デュポン社製)層を押出し形成して外径を0.78mmにした。次に、外部導体13を形成した。外部導体13は、直径0.05mmの錫めっき軟銅線(金属細線13aであり、TCWと略す。)を48本用いて左横巻きに14mmのピッチP1で巻いた。外部導体13を設けた後の外径は0.88mmであった。その後、外被体14として、厚さ0.004mmで幅2mmの融着層付き着色PFEテープ(樹脂テープ14a)を用い、融着層14bの側を外部導体側にして、外部導体13の巻き方向とは逆の右巻きで巻いた。そのときの巻ピッチP2は4mmで、1/2.2ラップで巻いた。各同軸電線1の外径は0.89mmであった。着色PFEテープ14の表面に表れる螺旋幅Lは2.0mmであり、重なっている部分14’の長さL1は1.7mmであり、L1≦L、の関係式になっていた。
実施例1において、着色PFEテープ14の巻ピッチP2を4mmとし、1/4ラップで巻いた。それ以外は実施例1と同じにして実施例2の多芯通信ケーブル10を作製した。着色PFEテープ14の表面に表れる螺旋幅Lは4.0mmであり、重なっている部分14’の長さL1は1.2mmであり、L/3≦L2、の関係式になっていた。この多芯通信ケーブルを構成する同軸電線は、重なっていない部分14”の長さL2が多く占め、濃い着色ラインが細い螺旋として表れた。
2 同軸電線組
3 芯材
4 外被シース
5 押さえ巻きテープ
6 シールド層
7 樹脂押し出し層
8 芯材押さえ巻きテープ
10 多芯通信ケーブル
11 中心導体
12 絶縁体
13 外部導体
13a 金属細線
13b 金属樹脂テープ
14 外被体(着色テープ)
14a 樹脂テープ
14b 融着層
14’ 重なっている部分
14” 重なっていない部分
Y 長手方向
P1 金属細線の横巻ピッチ
P2 金属樹脂テープの横巻ピッチ
P3 樹脂テープの横巻ピッチ
L 表面に表れる螺旋幅
L1 重なっている部分の長さ
L2 重なっていない部分の長さ
Claims (7)
- 2本の同軸電線からなる同軸電線組を2組以上含み、前記2組以上の同軸電線組を外被シースで覆ってなる多芯通信ケーブルであって、前記同軸電線は、中心導体と絶縁体と外部導体と外被体とをその順で有し、前記外被体が着色テープを横巻きして構成され、前記同軸電線の表面に現れる螺旋状の色及び/又は幅によって識別される、ことを特徴とする多芯通信ケーブル。
- 前記螺旋状の色及び/又は幅は、前記着色テープの色、ラップ及び巻ピッチから選ばれるいずれか1又は1以上を組み合わせて構成されている、請求項1に記載の多芯通信ケーブル。
- 前記着色テープが融着層付き樹脂テープであり、該融着層付き樹脂テープをラップ巻きしてなる、請求項1又は2に記載の多芯通信ケーブル。
- 前記着色テープと前記外部導体との間であって該着色テープの直下に、前記着色テープの横巻き方向とは逆向きで横巻きされた金属樹脂テープが設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多芯通信ケーブル。
- 前記着色テープの厚さが2〜10μmの範囲内である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多芯通信ケーブル。
- 前記着色テープが1/2未満のラップで横巻きされている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の多芯通信ケーブル。
- 前記外被シースが、内側から外側に向かって、1又は2以上の押さえ巻きテープと、シールド層と、樹脂押し出し層とをその順で有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の多芯通信ケーブル。
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