JP2020020646A - ボルトの緩み検知方法、疲労破壊防止方法、および機械構造体 - Google Patents

ボルトの緩み検知方法、疲労破壊防止方法、および機械構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】ボルトの緩み検知方法、疲労破壊防止方法、および機械構造体において、ボルトの緩みを簡単に検知する。【解決手段】ボルトの緩み検知方法は、ボルト10およびボルト10で締結される被締結部材20を含むボルト締結体1と、ひずみゲージ30とを準備し、ボルト締結体1のボルト10の頭部12と被締結部材20を跨ぐようにひずみゲージ30を貼り付け、ひずみゲージ30の出力が増加から減少に転じたことを検出することによりボルト10が緩んでいると判定する。【選択図】図1

Description

本発明は、ボルトの緩み検知方法、疲労破壊防止方法、および機械構造体に関する。
ボルトと、ボルトで締結される被締結部材とを含むボルト締結体に対して振動荷重または温度変化などが長期間にわたって作用すると、ボルトが次第に緩むことがある。このボルトの緩みに起因して、ボルトによる締め付け軸力が低下し、疲労破壊、部品脱落、または予期せぬ負荷が発生することがある。対策として、例えば特許文献1には、ひずみゲージをボルト締結体に貼り付けてボルトの軸力を測定し、ボルトの緩みを検知する方法が記載されている。
特開2010−281697号公報
特許文献1に記載のひずみゲージを用いたボルトの緩み検知方法はボルトの軸力を測定するものである。しかし、ボルトは回転するため、経時的に軸力を測定するためには専用の加工が必要となる。従って、既存の設備に容易に取り付けることができない。
本発明は、ボルトの緩み検知方法、疲労破壊防止方法、および機械構造体において、ボルトの緩みを簡便に検知することを課題とする。
本発明の第1の態様は、ボルトおよび前記ボルトで締結される被締結部材を含むボルト締結体と、ひずみゲージとを準備し、前記ボルト締結体の前記ボルトの頭部と前記被締結部材を跨ぐように前記ひずみゲージを貼り付け、前記ひずみゲージの出力が増加から減少に転じたことを検出することにより前記ボルトが緩んでいると判定することを含む、ボルトの緩み検知方法を提供する。
この方法によれば、ボルト締結体に貼り付けられたひずみゲージによって連続的にひずみを測定し、測定したひずみに基づいてボルトの緩みを簡便に検知できる。具体的には、ボルトが緩み方向に回転すると、ボルトと被締結部材との間に相対的に回転方向の位置ずれが生じる。ひずみゲージはボルトの頭部と被締結部材とを跨ぐように貼り付けられるため、この位置ずれによってひずみゲージに捩じり力および引っ張り力が付加され、測定するひずみが増加する。さらにボルトが緩み方向に一定以上回転すると、ひずみゲージが剥離し、測定するひずみが減少に転じる。または、ひずみゲージが断線することによって電気抵抗が無限大となり、測定するひずみがマイナスの異常値を示す。従って、測定するひずみが増加から減少に転じたことを検出することで、ボルトが一定以上緩んだことを検知できる。特に、上記方法では、ひずみゲージをボルト締結体に特別な加工なく貼り付けることができるため、簡単にひずみゲージを貼り付けることができる。従って、既存の設備において本方法を使用してボルトの緩みを簡便に検知できる。
前記ボルトの緩み検知方法では、前記ひずみゲージを前記ボルトの中心軸に沿う方向に対して前記ボルトの締め方向に傾斜させて貼り付けてもよい。
この方法によれば、ボルトが緩み方向に回転すると、まず、ひずみゲージの姿勢が、傾斜した姿勢からボルトの中心軸に沿う姿勢へと変化する。この間ではひずみゲージに圧縮の力が付加されるため、測定するひずみが減少する。次いで、ボルトが緩み方向にさらに回転すると、ひずみゲージの姿勢がボルトの中心軸に沿う姿勢から傾斜した姿勢へと変化する。この間ではひずみゲージに引っ張りの力が付加されるため、測定するひずみが増加する。そして、さらに一定以上ボルトが緩み方向に回転すると、ひずみゲージが剥離し、測定するひずみが減少に転じる。この2回目のひずみの減少、換言すればひずみが増加から減少に転じたことを検出することで、ボルトが一定以上緩んだことを検知できる。
前記ボルトの緩み検知方法では、前記ひずみゲージを前記ボルトの緩み方向に傾斜させて貼り付けてもよい。
この方法によれば、ボルトが緩み方向に回転すると、ひずみゲージに引っ張りの力が付加され、測定するひずみが増加するが、その後すぐにひずみゲージが剥離し、ひずみがすぐに減少に転じる。即ち、ひずみゲージが予め緩み方向に傾斜して貼り付けられることで、予め締め方向に傾斜して貼り付けられた場合または傾斜させずに貼り付けられた場合と比べて、剥離までの許容角度が小さくなる。従って、ひずみゲージを予め締め方向に傾斜させて貼り付けた場合または傾斜させないで貼り付けた場合と比べて、ボルトの緩みをすぐに検知できる。本方法は、ボルトの緩みをより厳しく評価したい箇所に有効に適用され得る。
前記ボルトの緩み検知方法では、前記ひずみゲージを前記ボルトの中心軸方向に沿って貼り付けてもよい。
この方法によれば、ボルトに対してひずみゲージを傾斜させずに貼り付けるため、容易にひずみゲージを貼り付けることができる。ひずみゲージはフィルム状であることが多く、傾斜して貼り付けるとヨレやしわなどの要因となるおそれがあるため、正確な貼り付けが困難となり得る。従って、貼り付けの容易さの観点では、ボルトに対してひずみゲージを傾斜させずに貼り付けることが好ましい。
本発明の第2の態様は、前記ボルトの緩み検知方法を使用して前記ボルトの緩みを検知した際に前記ボルト締結体を有する機器を停止する、疲労破壊防止方法を提供する。
この方法によれば、上記ボルトの緩み検知方法を使用することによってボルトの緩みを検知し、疲労破壊、部品脱落、または予期せぬ負荷が発生する前に機器を停止できる。従って、点検および修理等を適時に行うことができる。
本発明の第3の態様は、ボルトおよび前記ボルトで締結される被締結部材を含むボルト締結体と、前記ボルト締結体の前記ボルトの頭部と前記被締結部材を跨ぐように貼り付けられたひずみゲージと、前記ひずみゲージの出力を受け、前記ひずみゲージの出力が増加から減少に転じたことを検出する判定部とを備える、機械構造体を提供する。
この構成によれば、判定部にて上記ボルトの緩み検知方法と同様にしてボルトの緩みを検知できる。
前記機械構造体は、駆動部と、前記判定部で前記ひずみゲージの出力が増加から減少に転じたことを検出した際に前記駆動部を停止する駆動停止部とをさらに備えてもよい。
この構成によれば、機械構造体において、判定部にてボルトの緩みを検知し、疲労破壊、部品脱落、または予期せぬ負荷が発生する前に駆動停止部によって駆動部を停止できる。従って、点検および修理等を適時に行うことができる。
本発明によれば、ボルトの緩み検知方法、疲労破壊防止方法、および機械構造体において、ひずみゲージを使用することでボルトの緩みを簡便に検知できる。
本発明の一実施形態に係るボルトの緩み検知方法を適用するボルト締結体のボルトが緩む前の斜視図。 図1のボルト締結体のボルトが緩んだ後の斜視図。 ボルト締結体を有する機械構造体の概略図。 機械構造体が備える制御装置のブロック図。 ひずみゲージによって測定したひずみを仮想的に示すグラフ。 図5のひずみの移動平均を示すグラフ。 図5のひずみを所定回数ごとのサンプリングの平均値で表したグラフ。 ボルト締結体のボルトの緩み角度とひずみとの関係を示す実験データのグラフ。 第1変形例に係るボルトの緩み検知方法を適用するボルト締結体のボルトが緩む前の斜視図。 第2変形例に係るボルトの緩み検知方法を適用するボルト締結体のボルトが緩む前の斜視図。 図9,10のボルト締結体のボルトの緩み角度とひずみとの関係を示す実験データのグラフ。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るボルトの緩み検知方法を適用するボルト締結体1のボルト10が緩む前の斜視図を示している。
ボルト締結体1は、ボルト10と、ボルト10で締結される被締結部材20とを含んでいる。本実施形態では、ボルト10の緩みをひずみゲージ30を用いて簡単に検知する方法を以下で説明する。
ボルト10は、六角穴11が設けられた円柱状の頭部12と、頭部12から延びるねじ部(図示せず)とを有する。ただし、ボルト10の種類は六角穴付きボルトに限定されず、本発明は任意の種類のボルト10に適用可能である。
被締結部材20は、ボルト10が締結され得る部材であれば特に限定されず、様々な機械構造体の一部材であり得る。好ましくは、本実施形態のボルトの緩み検知方法を適用するボルト締結体1は、ボルト10の緩みにつながる繰返し外力を受ける製品の一部材である。例えば、当該機械構造体は、ポンプ、タービン、送風機、圧縮機、プラント、原子炉、発電設備、天井クレーン、アンローダ、リクレーマ、スタッカー、プレス、圧延機、または切断機などであってもよい。
ひずみゲージ30は、汎用の箔ゲージを使用できる。ただし、ひずみゲージ30は、取り扱いの簡便さからベース長が10mm以上のものを使用することが好ましい。ひずみゲージ30は、ボルト10の頭部12と被締結部材20を跨ぐようにボルト締結体1に貼り付けられる。本実施形態では、貼り付けに接着剤を使用している。ボルト締結体1では、ボルト10の頭部12の側面S1と被締結部材20のボルト取付面S2とによって垂直な角度が構成される。ひずみゲージ30は、側面S1とボルト取付面S2とに跨って貼り付けられるため、何らの手当を施さなければ90度程度折り曲げられ得る。
ひずみゲージ30を具体的に貼り付ける方法としては、まず、ひずみゲージ30のフィルム部31の長手方向の半分程度に接着剤を塗布し、ひずみゲージ30のフィルム部31の長手方向の中心がボルト10と被締結部材20の間に来るように、ひずみゲージ30を被締結部材20のボルト取付面S2に押さえつけて貼り付ける。次に、ひずみゲージ30の残りの未接着領域に接着剤を塗布してボルト10の頭部12の側面S1にひずみゲージ30を張り付ける。このように貼り付けた場合でも、ひずみゲージ30の全面をボルト締結体1に貼り付けることは難しく、ボルト10と被締結部材20とで形成される角部(ひずみゲージ30の折れ曲がり部分)にてひずみゲージ30は部分的にボルト締結体1から離れている。
本実施形態では、ひずみゲージ30は、ボルト10の中心軸L方向に沿ってボルト締結体1に貼り付けられる。即ち、ひずみゲージ30は、ボルト10の回転方向に対して傾斜せずにボルト締結体1に貼り付けられる。
ひずみゲージ30は、通常1つの面に貼り付けて使用するため、本実施形態のように2つの面に跨って貼り付けられることは少ない。本実施形態では、ひずみゲージ30が2つの面に跨って貼り付けられても正確にひずみを測定できるように、以下の3つの態様でひずみゲージ30をボルト締結体1に貼り付けている。
第1の態様では、ひずみゲージ30を何も介せずボルト締結体1に貼り付けている。第2の態様では、ひずみゲージ30をビニルテープ21を介してボルト締結体1に貼り付けている。第3の態様では、ひずみゲージ30を型取り材22を介してボルト締結体1に貼り付けている。型取り材22は、例えば粘土のような変形可能な材質であり得る。第2の態様および第3の態様では、ボルト10の頭部12と被締結部材20とによって形成される角部にビニルテープ21または型取り材22を貼り付け、角部の形状を丸くしている。これらにより、第2の態様および第3の態様では、ひずみゲージ30が鋭利に折れ曲がることを防止している。なお、第1の態様でも測定自体は可能であるが、測定精度および貼り付けの容易性等の観点から第2の態様または第3の態様が好ましい。
図2は、図1のボルト締結体1のボルト10が緩んだ後の斜視図を示している。即ち、図2は、図1の状態から、ボルト10が緩み方向に回転し、被締結部材20に対して相対的に位置がずれた状態を示している。この位置ずれにより、ひずみゲージ30は、捩じり力および引っ張り力を受ける。図示しないが、さらに一定以上緩み方向にボルト10が回転すると、ひずみゲージ30が剥離する。詳細には、未接着領域であるひずみゲージ30の折れ曲がり部から接着剤が剥がれ、最終的にボルト10の側面S1または被締結部材20の取付面S2からひずみゲージ30が完全に剥がれる。
図3は、図1,2のボルト締結体1を有する機械構造体100を示している。以下では、本実施形態のボルトの緩み検知方法を機械構造体100のボルト締結体1に適用する場合について説明する。
機械構造体100は、後述のモータ(駆動部)140にて回転駆動される被回転体を収容する被駆動部110を有している。本実施形態では、機械構造体100は、2つの被駆動部110を備えている。機械構造体100が前述の一例として挙げた送風機などの場合には被駆動部110に収容される被回転体には空冷ファンなどが想定されるが、特に限定されるものではない。図3では、空冷ファンなどが収容されるケーシングを想定して、被駆動部110の概形を矩形として図示している。被駆動部110、より正確には、その被駆動部110に収容される空冷ファンなどの被回転体は、ギアボックス130内のギア(図示せず)を介してモータ(駆動部)140に機械的に接続されている。従って、ギアボックス130内のギアを介して、モータ140からの動力を受けて、被駆動部110に収容される被回転体が回転される。この回転動作に伴い、機械構造体100には振動が発生している。なお、モータ140およびギアボックス130は、防振ゴム150を介して床面に設置されており、振動が低減されている。
ボルト締結体1は、機械構造体100の様々な部分に設けられるが、図示の例では被駆動部110とギアボックス130との接続部に使用されている。ボルト10は被駆動部110の内部に配置されており、図3では図示しないが被締結部材20は被駆動部110の内壁等であり得る。従って、ボルト締結体1は、外部から視認できない。ボルト締結体1には上記の振動が作用してボルト10が緩むことがあるため、図1,2のようにひずみゲージ30を使用してこの緩みを検知する。
ボルト締結体1に取り付けられたひずみゲージ30は、小型の通信機32に電気的に接続されている。通信機32は、ひずみゲージ30と同様に被駆動部110内に配置されている。通信機32は、ひずみゲージ30からの出力を受け、後述する制御装置40に当該出力を送信する。通信機32を使用することによって、ひずみゲージ30から制御装置40へのリード線の取り回しを省略できるとともに、目視点検不可能な閉じられた空間に配置されたボルト10の緩みを検知できる。なお、このような無線型のひずみゲージ30を使用することが好ましいが、リード線の配線が可能な箇所では有線型のひずみゲージ30を使用することもできる。即ち、制御装置40とひずみゲージ30をリード線で接続してもよい。換言すれば、本発明では、無線型または有線型のひずみゲージ30の両方を使用できる。
図3,4を参照して、機械構造体100は、制御装置40を備える。制御装置40は、通信機32から受けたひずみゲージ30の出力に基づいて本実施形態のボルトの緩み検知方法を使用し、ボルト10(図1,2参照)の緩みを検知する。制御装置40は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)のような記憶装置を含むハードウェアと、それに実装されたソフトウェアとにより構築されている。
本実施形態では、制御装置40は、通信部41と、アナログデジタル(A/D)変換部42と、判定部43と、駆動停止部44とを備える。
通信部41は、通信機32から送信されたひずみゲージ30の出力信号を受信する。なお、通信部41は、有線型のひずみゲージを使用した場合には省略され得る。
A/D変換部42は、通信部41で得られたアナログ信号をデジタル信号に変換する。
判定部43は、ボルト10の緩みが発生しているか否かを判定する。判定部43は、算出部43aと、記憶部43bとを有している。算出部43aは、A/D変換部42で変換されたデジタル信号から後述するひずみの平均値などを算出する。記憶部43bは、算出部43aにて算出された値を記憶する。また、算出部43aは、ひずみの平均値などの算出とともに、記憶部43bにて記憶された過去の値を参照して現在の値が増加しているか、または、減少しているかを判断する。後述するように、判定部43にてひずみが増加から減少に転じたと判定されると、ボルト10が緩んでいると判定する。
駆動停止部44は、判定部43にてボルト10が緩んでいると判定された際にモータ140を停止する。代替的には、ボルト10が緩んでいると判定した際に警報を発してもよい。この場合、駆動停止部44は省略されてもよい。好ましくは、測定したひずみをモニター等に表示させることで、ユーザがボルト10の緩みをより確実に認知できる。さらに言えば、ボルト10が緩んでいると判定された際、ユーザが機械構造体100の状態を確認した後に、必要に応じてモータ140等の駆動部を手動で停止してもよい。自動または手動に拘らず、このようにボルト10の緩みを検知した際に機械構造体100等の機器を停止することにより、機器の疲労破壊を防止できるが、このような疲労破壊防止方法も本発明には含まれる。
図5〜7を参照して、本実施形態のボルトの緩み検知方法を具体的に説明する。
図5は、ひずみゲージ30によって測定したひずみを仮想的に示すグラフである。横軸が時間tを示し、縦軸がひずみゲージ30によって測定したひずみεを示している。この値εは、制御装置40の通信部41にて受ける値と一致する。
図6は、図5のひずみ値εの移動平均値εaを示すグラフである。図6では、横軸が時間tを示し、縦軸が所定時間のひずみの平均値εaを示している。ひずみは、時間とともに増加傾向にあり、一定時間t1後に減少傾向に転じている。これは、時間とともにボルト10が緩み、時間t1まではひずみゲージ30に引っ張り力が付与されているが、時間t1にてひずみゲージ30がボルト締結体1から剥離し始めたことを表している。従って、判定部43では、ひずみが増加から減少に転じたことを時間t1後に検出することによりボルト10の緩みを検知したと判定する。
図7は、図5のひずみを所定回数ごとのサンプリングの平均値εbで表したグラフである。図7では、横軸がサンプリング回数Nを示し、縦軸が所定のサンプリング回数ごとのひずみの平均値εbを示している。本実施形態のボルトの緩み検知方法では、このように所定回数ごとのサンプリングの平均値εbを用いてボルト10の緩みを検知することもできる。なお、ひずみの挙動およびボルト10の緩み判定は、図6の場合と同様である。
図8は、図1,2のボルト締結体1のボルト10の緩み角度θとひずみεとの関係を示す実験データのグラフである。図8では、横軸がボルト10の緩み角度θを示し、縦軸がひずみゲージ30によって測定したひずみεを示している。以降、ボルト10の回転角度をθとすると、緩み方向を正の方向とし、締め方向を負の方向とする。図8では、2本の折れ線データが示されているが、△の点で示された点を繋いだ折れ線がビニルテープ21(図1,2参照)を使用した実験結果であり、□の点で示された点を繋いだ折れ線が型取り材22(図1,2参照)を使用した実験結果である。実験では、六角穴付ボルト(M12)10とベース長10mmのひずみゲージ30を使用し、ボルト10を緩み方向に徐々に回転させ、ボルト10の緩み角度θとひずみεの関係を得た。
図8における2本の折れ線はともに、ボルト10の緩み角度θが一定角度θ1に達するまではひずみεが増加し、角度θ1以降はひずみεが減少に転じている。これは、角度θ1までは、ひずみゲージ30がボルト10の回転によって引っ張りの力を受け、角度θ1にてひずみゲージ30がボルト締結体1から剥離し始めたことを示している。従って、図8の例では、判定部43は、2本の折れ線のデータに対してともに、ひずみが増加から減少に転じたことを角度θ1後に検出することによりボルト10の緩みを検知したと判定する。
本実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
ボルト締結体1に貼り付けられたひずみゲージ30によって連続的にひずみを測定し、測定したひずみに基づいてボルト10の緩みを簡便に検知できる。具体的には、ボルト10が緩み方向に回転すると、ボルト10と被締結部材20との間に相対的に回転方向の位置ずれが生じる。ひずみゲージ30はボルト10の頭部12と被締結部材20とを跨ぐように貼り付けられるため、この位置ずれによってひずみゲージ30に捩じり力および引っ張り力が付加され、測定するひずみが増加する。さらにボルト10が緩み方向に一定以上回転すると、ひずみゲージ30が剥離し、測定するひずみが減少に転じる。または、ひずみゲージ30が断線することによって電気抵抗が無限大となり、測定するひずみがマイナスの異常値を示す。従って、測定するひずみが増加から減少に転じたことを検出することで、ボルト10が一定以上緩んだことを検知できる。また、ひずみゲージ30をボルト締結体1に特別な加工なく貼り付けることができるため、簡単にひずみゲージ30を貼り付けることができる。従って、既存の設備において本実施形態の方法を使用してボルト10の緩みを簡便に検知できる。
ボルト10に対してひずみゲージ30を傾斜させずに貼り付けるため、容易にひずみゲージ30を貼り付けることができる。ひずみゲージ30を傾斜して貼り付けるとフィルム部31のヨレやしわなどの要因となり得るおそれがあるため、正確な貼り付けが困難となり得る。従って、貼り付けの容易さの観点では、ボルト10に対してひずみゲージ30を傾斜させずに貼り付けることが好ましい。
機械構造体100において、ボルト10の緩みを検知し、疲労破壊、部品脱落、または予期せぬ負荷が発生する前に駆動停止部44によってモータ140を停止できる。従って、点検および修理等を適時に行うことができる。
(第1変形例)
図9は、第1変形例に係るボルトの緩み検知方法を適用するボルト締結体1のボルト10が緩む前の斜視図である。
本変形例では、ひずみゲージ30は、ボルト10の中心軸Lに沿う方向に対してボルト10の締め方向に傾斜させて貼り付ける。好ましくは、少なくとも10度以上傾斜させる。ここで、ボルト10の締め方向にひずみゲージ30を傾斜させることは、被締結部材20に貼り付けたひずみゲージ30の基端31aに対し、ボルト10の頭部12に貼り付けたひずみゲージ30の先端31bを、ボルト10の中心軸Lに沿う方向に対してボルト10の締め方向に傾斜させることをいう。
(第2変形例)
図10は、第2変形例に係るボルトの緩み検知方法を適用するボルト締結体1のボルト10が緩む前の斜視図である。
本変形例では、ひずみゲージ30は、ボルト10の中心軸Lに沿う方向に対してボルト10の緩み方向に傾斜させて貼り付ける。好ましくは、少なくとも10度以上傾斜させる。ここで、ボルト10の緩み方向にひずみゲージ30を傾斜させることは、被締結部材20に貼り付けたひずみゲージ30の基端31aに対し、ボルト10の頭部12に貼り付けたひずみゲージ30の先端31bを、ボルト10の中心軸Lに沿う方向に対してボルト10の緩み方向に傾斜させることをいう。
図11は、図9,10のボルト締結体1のボルト10の緩み角度θとひずみεとの関係を示す実験データのグラフである。図11では、横軸がボルト10の緩み角度θを示し、縦軸がひずみゲージ30によって測定したひずみεを示している。図11では、2本の折れ線データが示されているが、△の点で示されたものがひずみゲージ30を締め方向に傾斜させて貼り付けたもの(第1変形例の図9参照)であり、□の点で示されたものがひずみゲージ30を緩み方向に傾斜させて貼り付けたもの(第2変形例の図10参照)である。実験では、六角穴付ボルト(M12)10とベース長10mmのひずみゲージ30を使用し、ボルト10を緩み方向に回転させ、ボルト10の緩み角度θとひずみεの関係を得た。
上記第1変形例によれば、ボルト10が緩み方向に回転すると、まず、ひずみゲージ30の姿勢が、傾斜した姿勢からボルト10の中心軸Lに沿う姿勢へと変化する。この間ではひずみゲージ30に圧縮の力が付加されるため、測定するひずみが減少する。次いで、ボルト10が緩み方向にさらに回転すると、ひずみゲージ30の姿勢がボルトの中心軸Lに沿う姿勢から傾斜した姿勢へと変化する。この間ではひずみゲージ30に引っ張りの力が付加されるため、測定するひずみが増加する。そして、ボルト10が緩み方向に角度θ2以上回転すると、ひずみゲージ30が剥離し、測定するひずみが減少に転じる。この2回目のひずみの減少、換言すればひずみが増加から減少に転じたことを角度θ2後に検出することによりボルト10の緩みを検知したと判定する。なお、角度θ2は角度θ1よりも大きい値となる。
上記第2変形例によれば、ボルト10が緩み方向に回転すると、ひずみゲージ30に引っ張りの力が付加され、測定するひずみが増加するが、その後すぐに角度θ3にてひずみゲージ30が剥離し、ひずみがすぐに減少に転じる。ひずみが増加から減少に転じたことを角度θ3後に検出することによりボルト10の緩みを検知したと判定する。本変形例では、ひずみゲージ30が予め緩み方向に傾斜して貼り付けられているため、予め締め方向に傾斜して貼り付けた場合または傾斜させずに貼り付けた場合と比べて、剥離までの許容角度が小さくなっている。従って、ひずみゲージ30を予め締め方向に傾斜させて貼り付けた場合または傾斜させないで貼り付けた場合と比べて、ボルト10の緩みをすぐに検知できる。よって、ボルト10の緩みをより厳しく評価したい箇所に本方法を有効に適用できる。なお、角度θ3は角度θ1,θ2よりも小さい値となる。
従って、上記第1,2変形例のように、ひずみゲージ30を貼り付ける傾斜角度を調節することによってひずみゲージ30の剥離までのボルト10の緩み角度を調節できる。
以上より、本発明の具体的な実施形態およびその変形例について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
例えば、ボルト10の緩み検知のために、複数枚のひずみゲージ30を使用してもよい。具体的には、誤判定を防ぐため、例えば4枚のゲージを貼り、4枚とも異常値を示すことでボルト10の緩みを検知したと判定してもよい。また、より厳しく評価するために、4枚のうち1枚でもひずみが増加から減少に転じたことでボルト10の緩みを検知したと判定してもよい。
また、ひずみゲージ30の断線強度が接着強度を下回るようにひずみゲージ30を加工してもよい。具体的には、ひずみゲージ30のフィルムの未接着領域に切れ込みを入れ、断線強度を低下させ、ひずみゲージ30の剥離よりも先に断線が発生させる。断線により、測定されるひずみはマイナスの異常値を示すため、このマイナスの異常値を検知した際にボルト10の緩みを検知したと判定してもよい。
また、上記実施形態ではひずみゲージ30を使用しているが、ひずみゲージ30に代えてクラックゲージ等の他のゲージを使用してもよい。また、ひずみが増加から減少に転じたときにボルト10が緩んだと判定する以外に、所定の閾値を超えたひずみを検出したときにボルト10の緩みを検知したと判定してもよい。所定の閾値は予め実験を行うことで決定されてもよい。
1 ボルト締結体
10 ボルト
11 六角穴
12 頭部
20 被締結部材
21 ビニルテープ
22 型取り材
30 ひずみゲージ
31 フィルム部
31a 基端
31b 先端
32 通信機
40 制御装置
41 通信部
42 アナログデジタル(A/D)変換部
43 判定部
43a 算出部
43b 記憶部
44 駆動停止部
100 機械構造体
110 被駆動部
130 ギアボックス
140 モータ(駆動部)
150 防振ゴム

Claims (7)

  1. ボルトおよび前記ボルトで締結される被締結部材を含むボルト締結体と、ひずみゲージとを準備し、
    前記ボルト締結体の前記ボルトの頭部と前記被締結部材を跨ぐように前記ひずみゲージを貼り付け、
    前記ひずみゲージの出力が増加から減少に転じたことを検出することにより前記ボルトが緩んでいると判定する
    ことを含む、ボルトの緩み検知方法。
  2. 前記ひずみゲージを前記ボルトの中心軸に沿う方向に対して前記ボルトの締め方向に傾斜させて貼り付ける、請求項1に記載のボルトの緩み検知方法。
  3. 前記ひずみゲージを前記ボルトの緩み方向に傾斜させて貼り付ける、請求項1に記載のボルトの緩み検知方法。
  4. 前記ひずみゲージを前記ボルトの中心軸方向に沿って貼り付ける、請求項1に記載のボルトの緩み検知方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のボルトの緩み検知方法を使用して前記ボルトの緩みを検知した際に前記ボルト締結体を有する機器を停止する、疲労破壊防止方法。
  6. ボルトおよび前記ボルトで締結される被締結部材を含むボルト締結体と、
    前記ボルト締結体の前記ボルトの頭部と前記被締結部材を跨ぐように貼り付けられたひずみゲージと、
    前記ひずみゲージの出力を受け、前記ひずみゲージの出力が増加から減少に転じたことを検出する判定部と
    を備える、機械構造体。
  7. 駆動部と、
    前記判定部で前記ひずみゲージの出力が増加から減少に転じたことを検出した際に前記駆動部を停止する駆動停止部と
    をさらに備える、請求項6に記載の機械構造体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112903263A (zh) * 2021-01-18 2021-06-04 中国神华煤制油化工有限公司 检测机构
WO2024024732A1 (ja) * 2022-07-27 2024-02-01 株式会社東海理化電機製作所 検出装置および検出方法

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