JP2020019877A - 水分散ブロックポリイソシアネート組成物、水分散体、水系コーティング組成物及びコーティング基材 - Google Patents

水分散ブロックポリイソシアネート組成物、水分散体、水系コーティング組成物及びコーティング基材 Download PDF

Info

Publication number
JP2020019877A
JP2020019877A JP2018144119A JP2018144119A JP2020019877A JP 2020019877 A JP2020019877 A JP 2020019877A JP 2018144119 A JP2018144119 A JP 2018144119A JP 2018144119 A JP2018144119 A JP 2018144119A JP 2020019877 A JP2020019877 A JP 2020019877A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
blocked polyisocyanate
mass
polyisocyanate
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018144119A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7058571B2 (ja
Inventor
昌峰 洪
Changfeng Hong
昌峰 洪
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2018144119A priority Critical patent/JP7058571B2/ja
Publication of JP2020019877A publication Critical patent/JP2020019877A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7058571B2 publication Critical patent/JP7058571B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】相溶性が良好であり、両親媒性溶媒を含む塗液としたときの貯蔵安定性、並びに、塗膜としたときの外観、硬度及び密着性に優れる水分散ブロックポリイソシアネート組成物の提供。【解決手段】水分散ブロックポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネートと熱解離性ブロック剤とから得られるブロックポリイソシアネートを含み、アロファネート基及びイソシアヌレート基を含むポリイソシアネートから誘導される構成単位の割合がブロックポリイソシアネートの総質量に対して46質量%以上60質量%以下であり、アロファネート基/(アロファネート基+イソシアヌレート基)のモル比が2/100以上40/100以下であり、ポリカーボネートジオールから誘導される構成単位の割合がブロックポリイソシアネートの総質量に対して2質量%以上15質量%以下であり、且つ、ブロックポリイソシアネートは親水性化合物から誘導される構成単位を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、水分散ブロックポリイソシアネート組成物、水分散体、水系コーティング組成物及びコーティング基材に関する。
近年、環境保護の観点から、溶剤系塗料として利用されている常温架橋型の二液ウレタンコーティング組成物は水系化が望まれている。しかし、二液ウレタンコーティング組成物において、硬化剤として用いられるポリイソシアネートは、水に分散し難い。そのため、親水性基を有するポリイソシアネート組成物の開発が進められている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
国際公開第2001/088006号 国際公開第2016/104485号 特開昭57−034107号公報 特開昭61−275311号公報
H. Schnell, "Chemistry and Physics of Polycarbonates.", Polymer Reviews, Vol. 9, Interscience Publishers, 1964, p9-20.
しかしながら、特許文献1及び2に記載のポリイソシアネート組成物では、手撹拌での水分散性と、塗液状態での貯蔵安定性が不十分であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、相溶性が良好であり、両親媒性溶媒を含む塗液としたときの貯蔵安定性、並びに、塗膜としたときの外観、硬度及び密着性に優れる水分散ブロックポリイソシアネート組成物を提供する。前記水分散ブロックポリイソシアネート組成物を用いた水分散体、水系コーティング組成物及びコーティング基材を提供する。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
本発明の第1態様に係る水分散ブロックポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネートと熱解離性ブロック剤とから得られるブロックポリイソシアネートを含み、以下の1)〜4)に示す条件を満たす。
1)脂肪族ジイソシアネートモノマー及び脂環族ジイソシアネートモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のジイソシアネートモノマーから誘導され、且つ、アロファネート基及びイソシアヌレート基を含むポリイソシアネートから誘導される構成単位の割合が、前記ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、46質量%以上60質量%以下である;
2)アロファネート基/(アロファネート基+イソシアヌレート基)のモル比が、2/100以上40/100以下である;
3)ポリカーボネートジオールから誘導される構成単位の割合が、前記ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、2質量%以上15質量%以下である;
4)前記ブロックポリイソシアネートは、親水性化合物から誘導される構成単位を含む
前記脂肪族ジイソシアネートモノマーがヘキサメチレンジイソシアネートであってもよい。
前記親水性化合物がポリ(オキシアルキレン)モノアルキルエーテルであり、前記ポリ(オキシアルキレン)モノアルキルエーテルから誘導される構成単位の割合が、前記ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、5質量%以上26質量%以下であってもよい。
前記ポリ(オキシアルキレン)モノアルキルエーテルが、下記一般式(1)で表される化合物であってもよい。
Figure 2020019877
(一般式(1)中、R11は炭素数1以上4以下のアルキレン基である。R12は炭素数1以上4以下のアルキル基である。n11は6.0以上20.0以下の数である。)
前記ポリイソシアネートがウレタン基を更に含み、(ウレタン基)/(ウレタン基+アロファネート基+イソシアヌレート基)のモル比が、10/100以上25/100以下であってもよい。
前記熱解離性ブロック剤が、オキシム系化合物、ピラゾール系化合物、活性メチレン系化合物、アミン系化合物及び酸アミド系化合物からなる群より選ばれる1種以上を含んでもよい。
前記熱解離性ブロック剤がピラゾール系化合物又はオキシム系化合物であってもよい。
本発明の第2態様に係る水分散体は、上記第1態様に係る水分散ブロックポリイソシアネート組成物と溶剤とを含む。
本発明の第3態様に係る水系コーティング組成物は、上記第1態様に係る水分散ブロックポリイソシアネート組成物と少なくとも一種の主剤とを含む。
本発明の第4態様に係るコーティング基材は、基材と、上記第3態様に係る水系コーティング組成物によってコーティングされたコーティング膜と、を備える。
上記態様の水分散ブロックポリイソシアネート組成物によれば、相溶性が良好であり、両親媒性溶媒を含む塗液としたときの貯蔵安定性、並びに、塗膜としたときの外観、硬度及び密着性に優れる水分散ブロックポリイソシアネート組成物を提供することができる。上記態様の水分散体及び水系コーティング組成物は、貯蔵安定性に優れる。上記態様のコーティング基材は、外観、硬度及び密着性に優れたコーティング膜を備える。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
本明細書中では、組成物又は化合物が有する特定の官能基の量を「モル比」で表すことができる。すなわち、組成物又は化合物が有する特定の官能基の数を、アボガドロ数で除した値の次元をモル比として定義する。これにより、当該特定の官能基の量を他の特定の官能基の量に対して「モル比」として表す。なお、組成物が有する特定の官能基とは、組成物中に含まれる化合物が有する特定の官能基をいう。
なお、本明細書において、「ポリオール」とは、2つ以上のヒドロキシ基(−OH)を有する化合物を意味する。
本明細書において、「ポリイソシアネート」とは、イソシアネート基(−NCO)を有する単量体化合物が複数結合した反応物を意味する。
≪ブロックポリイソシアネート組成物≫
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネートと熱解離性ブロック剤とから得られるブロックポリイソシアネートを含み、以下の1)〜4)に示す条件を満たす。
1)脂肪族ジイソシアネートモノマー及び脂環族ジイソシアネートモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のジイソシアネートモノマーから誘導され、且つ、アロファネート基及びイソシアヌレート基を含むポリイソシアネートから誘導される構成単位の割合が、前記ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、46質量%以上60質量%以下である;
2)アロファネート基/(アロファネート基+イソシアヌレート基)のモル比が、2/100以上40/100以下である;
3)ポリカーボネートジオールから誘導される構成単位の割合が、前記ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、2質量%以上15質量%以下である;
4)前記ブロックポリイソシアネートは、親水性化合物から誘導される構成単位を含む
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物は、上記構成を有することで、相溶性が良好であり、両親媒性溶媒を含む塗液としたときの貯蔵安定性、並びに、塗膜としたときの外観、硬度及び密着性に優れる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の各構成について、以下に詳細を説明する。
<ブロックポリイソシアネート>
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物に含まれるブロックポリイソシアネートは、ポリイソシアネート、ポリカーボネートジオール、熱解離性ブロック剤及び親水性化合物の反応物である。すなわち、ブロックイソシアネートは、ポリカーボネートジオールがウレタン基を介してポリイソシアネートに結合しており、親水性化合物がウレタン基を介してポリイソシアネートに結合しており、且つ、ポリイソシアネート中の少なくとも一部のイソシアネート基がブロック剤でブロック化されている。
[ポリイソシアネート]
ブロックポリイソシアネートの製造に用いられるポリイソシアネートは、イソシアネート基(−NCO)を有する単量体化合物(以下、「イソシアネートモノマー」と称する場合がある)を複数反応させて得られる反応物である。また、ポリイソシアネートには、複数のイソシアネートモノマーと、イソシアネートモノマー以外の化合物(例えば、アルコール、水、アミン等)とを反応させて得られる反応物も含む。
前記イソシアネートモノマーとしては、炭素数4〜30のものが好ましい。前記イソシアネートモノマーとして具体的には、例えば、以下のものが例示される。これらイソシアネートモノマーは単独で使用しても、2種類以上併用してもよい。
(1)ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等の芳香族ジイソシアネート
(2)1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」と称する場合がある)、1,9−ノナメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソイシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート(MPDI)、リジンジイソシアネート(以下、「LDI」と称する場合がある)等の脂肪族ジイソシアネート
(3)イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」と称する場合がある)、1,3−又は1,4−ビス(ジイソシアネートメチル) シクロヘキサン(以下、「水添XDI」と称する場合がある)、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、「水添MDI」と称する場合がある)、2,5−又は2,6−ジイソシアネートノルボルナン、2,5−又は2,6−ジ(イソシアネートメチル)ノルボルナン等の脂環族ジイソシアネート
(4)4−イソシアネートメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネート(以下、「NTI」と称する場合がある)、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート(以下、「HTI」と称する場合がある)、ビス(2−イソシアナトエチル)2−イソシアナトグルタレート(以下、「GTI」と称する場合がある)、リジントリイソシアネート(以下、「LTI」と称する場合がある)等のトリイソシアネート
中でも、工業的に入手しやすいことから、前記イソシアネートモノマーとしては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群から選択される1種類以上のジイソシアネートが好ましく、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群から選択される1種類以上のジイソシアネートがより好ましく、黄変しにくい傾向があることから、HDI、IPDI、水添XDI又は水添MDIがさらに好ましい。
また、ブロックポリイソシアネートの製造に用いられるポリイソシアネートは、アロファネート基及びイソシアヌレート基を含む。アロファネート基/(アロファネート基+イソシアヌレート基)のモル比の下限値は、水分散性及び塗液としたときの貯蔵安定性の観点から、2/100であり、3/100が好ましく、4/100がより好ましい。
上記モル比の上限値は、塗膜としたときの硬度の観点から、40/100であり、35/100が好ましく、30/100がより好ましい。
すなわち、アロファネート基/(アロファネート基+イソシアヌレート基)のモル比は、2/100以上40/100以下であり、3/100以上35/100以下が好ましく、4/100以上30/100以下がより好ましい。
上記モル比が上記下限値以上であることで、水への分散性が向上し、容易に分散することができる。そのため、主剤への相溶性、塗膜としたときの外観、及び、両親媒性溶媒を含む塗液としたときの貯蔵安定性がより優れる傾向である。上記モル比が上記上限値以下であることで、塗膜としたときの硬度がより優れる傾向である。
一般に、「イソシアヌレート基」とは、3つのイソシアネート基を反応させてなる官能基であり、下記式(I)で示される基である。
一般に、「アロファネート基」とは、アルコールの水酸基とイソシアネート基とを反応させてなる官能基であり、下記式(II)で示される基である。
Figure 2020019877
ブロックポリイソシアネートの製造に用いられるポリイソシアネートは、アロファネート基及びイソシアヌレート基以外に、ウレトジオン基、イミノオキサジアジンジオン基、ビウレット基、オキサダイアジントリオン基、ウレタン基、アシル尿素基及び尿素基からなる群より選ばれる1種以上の官能基を含んでもよい。
一般に、「ウレトジオン基」とは、2つのイソシアネート基を反応させてなる官能基であり、下記式(III)で示される基である。
一般に、「イミノオキサジアジンジオン基」とは、一般に、「イミノオキサジアジンジオン基」とは、3つのイソシアネート基を反応させてなる官能基であり、下記式(IV)で示される基である。
一般に、「ビウレット基」とは、3つのイソシアネート基とビウレット化剤とを反応させてなる官能基であり、下記式(V)で表される基である。
一般に、「オキサダイアジントリオン基」とは、2つのイソシアネート基と1分子の二酸化炭素とを反応させてなる官能基であり、下記式(VI)で表される基である。
一般に、「ウレタン基」とは、1つのイソシアネート基と1つの水酸基とを反応させてなる官能基であり、下記式(VII)で表される基である。
一般に、「アシル尿素基」とは、1つのイソシアネート基と1つのカルボキシル基とを反応させてなる官能基であり、下記式(VIII)で表される基である。
一般に、「尿素基」とは、1つのイソシアネート基と1つの1級又は2級アミンとを反応させてなる官能基であり、下記式(IX)で表される基である。
Figure 2020019877
本実施形態のポリイソシアネート組成物において、塗膜としたときの硬度を良好に保つ観点から、脂肪族ジイソシアネートモノマー及び脂環族ジイソシアネートモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のジイソシアネートモノマーから誘導され、且つ、アロファネート基及びイソシアヌレート基を含むポリイソシアネートから誘導される構成単位の割合の下限値が、ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、46質量%であり、47質量%が好ましく、50質量%がより好ましい。
一方、得られる塗膜の外観を良好にする観点から、上記ポリイソシアネートから誘導される構成単位の割合の上限値が、ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、60質量%であり、57質量%が好ましい。
すなわち、上記ポリイソシアネートから誘導される構成単位の割合は、ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、46質量%以上60質量%以下であり、47質量%以上57質量%以下が好ましく、50質量%以上57質量%以下がより好ましい。
上記ポリイソシアネートから誘導される構成単位の割合が上記下限値以上であることで、塗膜としたときの硬度がより良好である傾向がある。一方、上記ポリイソシアネートから誘導される構成単位の割合が上記上限値以下であることで、両親媒性溶媒を含む塗料としたときの貯蔵安定性及び塗膜としたときの外観がより良好である傾向がある。
(ポリイソシアネートの製造方法)
ポリイソシアネートの製造方法について、以下に詳細を説明する。
ポリイソシアネートは、例えば、上記イソシアネートモノマーのイソシアネート基からイソシアヌレート基を形成するイソシアヌレート化反応、及び、イソシアネート基アルコールの水酸基からアロファネート基を形成するアロファネート化反応を、過剰のイソシアネートモノマーの存在下で行い、反応終了後に未反応のイソシアネートモノマーを除去して得ることができる。すなわち、上記反応により得られるポリイソシアネートは、上記イソシアネートモノマーが複数結合したものであり、且つ、アロファネート基及びイソシアヌレート基を有する反応物である。
また、上記の反応を別々に行ない、それぞれ得たポリイソシアネートを特定比率で混合してもよい。
製造の簡便さからは、上記反応を一度に行いポリイソシアネートを得ることが好ましく、各官能基のモル比を自由に調整する観点からは、別々に製造した後に混合することが好ましい。
〇イソシアヌレート基含有ポリイソシアネートの製造方法
イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートは、公知の方法で製造することができ、具体的には、上記イソシアネートモノマーをイソシアヌレート化反応触媒で多量化することで製造することができる。
イソシアヌレート化反応触媒としては、特に限定されないが、一般に塩基性を有するものが好ましい。イソシアヌレート化反応触媒として具体的には、例えば、以下に示すもの等が挙げられる。
(1)テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド、及び、前記テトラアルキルアンモニウムの酢酸塩、プロピオン酸塩、オクチル酸塩、カプリン酸塩、ミリスチン酸塩、安息香酸塩等の有機弱酸塩。
(2)ベンジルトリメチルアンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウム等のアリールトリアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド、及び、前記アリールトリアルキルアンモニウムの酢酸塩、プロピオン酸塩、オクチル酸塩、カプリン酸塩、ミリスチン酸塩、安息香酸塩等の有機弱酸塩。
(3)トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド、及び、前記ヒドロキシアルキルアンモニウムの酢酸塩、プロピオン酸塩、オクチル酸塩、カプリン酸塩、ミリスチン酸塩、安息香酸塩等の有機弱酸塩。
(4)酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、オクチル酸、カプリン酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸の錫、亜鉛、鉛等の金属塩。
(5)ナトリウム、カリウム等の金属アルコラート。
(6)ヘキサメチレンジシラザン等のアミノシリル基含有化合物。
(7)マンニッヒ塩基類。
(8)第3級アミン類とエポキシ化合物との混合物。
(9)トリブチルホスフィン等の燐系化合物。
中でも、触媒効率及び不要な副生成物を生じさせにくい観点からは、イソシアヌレート化反応触媒としては、4級アンモニウムのハイドロオキサイド又は有機弱酸塩が好ましく、テトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド、テトラアルキルアンモニウムの有機弱酸塩、又は、アルキルカルボン酸の金属塩がより好ましく、テトラアルキルアンモニウムの有機弱酸塩がさらに好ましい。
イソシアヌレート化反応触媒の添加量は、仕込んだイソシアネートモノマーの総質量に対して、10ppm以上1000ppm以下が好ましく、10ppm以上500ppm以下がより好ましく、10ppm以上100ppm以下がさらに好ましい。添加量が上記上限値以下であることで、製造工程の簡便性により優れる傾向にある。また、添加量が上記下限値以上であることで、反応効率により優れる傾向にある。
イソシアヌレート化反応温度としては、50℃以上120℃以下が好ましく、60℃以上90℃以下がより好ましい。イソシアヌレート化反応温度が上記上限値以下であることによって、ポリイソシアネートの着色等をより効果的に抑制できる傾向にある。
所望の転化率(仕込んだイソシアネートモノマーの質量に対する、イソシアヌレート化反応で生成したポリイソシアネートの質量の割合)になった時点で、イソシアヌレート化反応を、酸性化合物(例えば、リン酸、酸性リン酸エステル等)の添加によって停止する。
なお、ポリイソシアネートを得るためには、反応の進行を初期で停止する必要がある。しかしながら、イソシアヌレート化反応は、初期の反応速度が非常に速いため、反応の進行を初期で停止することに困難が伴い、反応条件、特に触媒の添加量及び添加方法は慎重に選択する必要がある。例えば、触媒の一定時間毎の分割添加方法等が好適なものとして推奨される。
イソシアヌレート化反応の転化率は、低粘度であること及びコーティング組成物としたときの硬化性の観点から、55%以下が好ましく、45%以下がより好ましい。
反応停止剤としては、例えば、リン酸酸性を示す化合物、リン酸酸性を示す化合物のモノアルキル又はジアルキルエステル、ハロゲン化酢酸、塩化ベンゾイル、スルホン酸エステル、硫酸等が挙げられる。リン酸酸性を示す化合物としては、例えば、リン酸、ピロリン酸、メタリン酸、ポリリン酸等が挙げられる。ハロゲン化酢酸としては、例えば、モノクロロ酢酸等が挙げられる。
反応停止剤を用いることにより、得られるポリイソシアネートの保存安定性がより向上する傾向にある。
〇アロファネート基含有ポリイソシアネートの製造方法
アロファネート基を有するポリイソシアネートは、公知の方法で製造することができ、具体的には、上記イソシアネートモノマーとアルコールとを混合し、アロファネート化反応触媒でアロファネート化することで製造することができる。なお、上記イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートの製造方法と同様に、反応終了後、反応停止剤を使用することができる。
アロファネート基の形成に用いられるアルコールは、炭素、水素及び酸素のみで形成されるアルコールが好ましい。
前記アルコールとして具体的には、以下に限定されるものではないが、例えば、非重合性アルコール、重合性アルコールが挙げられる。ここでいう「非重合性アルコール」とは、重合性基を有さないアルコールを意味する。一方、「重合性アルコール」とは、重合性基及び水酸基を有する単量体を重合して得られるアルコールを意味する。これらアルコールは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
非重合性アルコールとしては、例えば、モノアルコール類、ジオール類、トリオール類、テトラオール類等が挙げられる。
モノアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、n−ノナノール、2−エチルブタノール、2,2−ジメチルヘキサノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、エチルシクロヘキサノール等が挙げられる。
ジオール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、2−エチル−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
トリオール類としては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
テトラオール類としては、例えば、ペンタエリトリトール等が挙げられる。
重合性アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、アクリルポリオール類、エポキシ樹脂類、フッ素ポリオール類、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール類等が挙げられる。ポリオレフィンポリオール類としては、例えば、末端水酸基化ポリブタジエン及びその水素添加物等が挙げられる。
中でも、アルコールとしては、モノアルコール類、重合性アルコール又はこれらの混合物が好ましい。
アロファネート化反応触媒としては、以下に限定されないが、例えば、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、ジルコニウム、ジルコニル等のアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
錫のアルキルカルボン酸塩(有機錫化合物)としては、例えば、2−エチルヘキサン酸錫、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。
鉛のアルキルカルボン酸塩(有機鉛化合物)としては、例えば、2−エチルヘキサン酸鉛等が挙げられる。
亜鉛のアルキルカルボン酸塩(有機亜鉛化合物)としては、例えば、2−エチルヘキサン酸亜鉛等が挙げられる。
ビスマスのアルキルカルボン酸塩としては、例えば、2−エチルヘキサン酸ビスマス等が挙げられる。
ジルコニウムのアルキルカルボン酸塩としては、例えば、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム等が挙げられる。
ジルコニルのアルキルカルボン酸塩としては、例えば、2−エチルヘキサン酸ジルコニル等が挙げられる。これら触媒は、1種を単独又は2種以上を併用することができる。
また、上記イソシアヌレート化反応触媒もアロファネート化反応触媒となり得る。上記イソシアヌレート化反応触媒を用いて、アロファネート化反応を行なう場合は、イソシアヌレート基含有ポリイソシアネートも当然のことながら生成する。
中でも、アロファネート化反応触媒として、上記イソシアヌレート化反応触媒を用いて、アロファネート化反応とイソシアヌレート反応とを行うことが経済的生産上、好ましい。
上述したアロファネート化反応触媒の使用量の下限値は、仕込んだイソシアネートモノマーの質量に対して、10質量ppmが好ましく、20質量ppmがより好ましく、40質量ppmがさらに好ましく、80質量ppmが特に好ましい。
上述したアロファネート化反応触媒の使用量の上限値は、仕込んだイソシアネートモノマーの質量に対して、1000質量ppmが好ましく、800質量ppmがより好ましく、600質量ppmがさらに好ましく、500質量ppmが特に好ましい。
すなわち、上述したアロファネート化反応触媒の使用量は、仕込んだイソシアネートモノマーの質量に対して、10質量ppm以上1000質量ppm以下が好ましく、20質量ppm以上800質量ppm以下がより好ましく、40質量ppm以上600質量ppm以下がさらに好ましく、80質量ppm以上500質量ppm以下が特に好ましい。
また、アロファネート化反応温度の下限値としては、40℃が好ましく、60℃がより好ましく、80℃がさら好ましく、100℃が特に好ましい。
また、アロファネート化反応温度の上限値としては、180℃が好ましく、160℃がより好ましく、140℃がさらに好ましい。
すなわち、アロファネート化反応温度としては、40℃以上180℃以下が好ましく、60℃以上160℃以下がより好ましく、80℃以上140℃以下がさら好ましく、100℃以上140℃以下が特に好ましい。
アロファネート化反応温度が上記下限値以上であることによって、反応速度をより向上させることが可能である。アロファネート化反応温度が上記上限値以下であることによって、ポリイソシアネートの着色等をより効果的に抑制できる傾向にある。
〇その他官能基を有するポリイソシアネート
ウレトジオン基、イミノオキサジアジンジオン基、ビウレット基、オキサダイアジントリオン基、ウレタン基、アシル尿素基及び尿素基からなる群より選ばれる1種以上の官能基を有するポリイソシアネートについても、公知の方法で製造することができる。
例えば、ウレタン基を有するポリイソシアネートは、上記イソシアネートモノマーと、アルコールと、を混合し、必要に応じてウレタン化反応触媒を添加することで製造することができる。
アルコールとしては、上記アロファネート基を有するポリイソシアネートの製造方法において例示されたものと同様のものを用いることができる。
ウレタン化反応触媒としては、特に限定されないが、例えば、スズ系化合物、亜鉛系化合物、アミン系化合物等が挙げられる。
ウレタン化反応温度としては、40℃以上180℃以下とすることができ、50℃以上160℃以下が好ましく、60℃以上120℃以下がより好ましい。
ウレタン化反応温度が上記上限値以下であることによって、ポリイソシアネートの着色等をより効果的に抑制できる傾向にある。
また、ウレタン化反応時間としては、30分以上4時間以下が好ましく、1時間以上3時間以下がより好ましく、1時間以上2時間以下がさらに好ましい。
反応終了後の反応液から未反応のイソシアネートモノマーを薄膜蒸留、抽出等により除去し、ポリイソシアネートを得ることができる。未反応のイソシアネートモノマーを除去した方が、安全性の観点から、好ましい。
[ポリカーボネートジオール]
ブロックポリイソシアネートの製造に用いられるポリカーボネートジオールは、2つの水酸基(−OH)と1つのカーボネート基(−O−(C=O)−O−)とが脱水縮合してなる構造単位の繰り返しを有する。
ポリカーボネートジオールの数平均分子量は、特に限定されないが、300以上3000以下が好ましく、400以上2500以下がより好ましく、500以上2000以下がさらに好ましい。数平均分子量が上記範囲内であることにより、得られる水系コーティング組成物の柔軟性及び作業性がより優れる傾向にある。数平均分子量は、後述する実施例に記載の方法により算出することができる。
また、ポリカーボネートジオールは、炭素数2以上20以下の第一のジオールと、炭素数2以上20以下の第二のジオール(以下、第一のジオールと第二のジオールとを合わせて、単に「2種のジオール」と称する場合がある)と、カーボネート化合物と、を共重合してなる反応物であることが好ましい。これにより、作業性がより優れる傾向にある。なお、第二のジオールは、第一のジオール以外の炭素数2以上20以下のジオールであり、第一のジオールと同一のものを除く。
ポリカーボネートジオールから誘導される構成単位の割合の下限値は、塗料としたときの貯蔵安定性及び塗膜としたときの密着性の観点から、ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、2.0質量%であり、3.5質量%が好ましく、5.0質量%がより好ましい。一方、ポリカーボネートジオールから誘導される構成単位の割合の上限値は、塗膜としたときの硬度の観点から、15.0質量%であり、13.5質量%が好ましく、12.0質量%がより好ましい。
すなわち、ポリカーボネートジオールから誘導される構成単位の割合は、2.0質量%以上15.0質量%以下であり、3.5質量%以上13.5質量%以下が好ましく、5.0質量%以上12.0質量%以下がより好ましい。
ポリカーボネートジオールから誘導される構成単位の割合が上記下限値以上であることで、分子内水素結合をもつことができ、両親媒性溶媒を含む塗料としたときの貯蔵安定性及び塗膜としたときの密着性がより良好となる傾向がある。ポリカーボネートジオールから誘導される構成単位の割合が上記上限値以下であることで架橋に使用されるイソシアネート基が多くなり、塗膜としたときの硬度がより良好となる傾向がある。
(ポリカーボネートジオールの製造方法)
ポリカーボネートジオールの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、2種のジオールとカーボネート化合物とを脱アルコール反応及び脱フェノール反応のうち少なくともいずれかの反応をさせる方法、高分子量のポリカーボネートポリオールを2種のジオールを用いてエステル交換反応する方法等が挙げられる。また、2種のジオールとカーボネート化合物とを反応させる方法は、特に限定はなく公知の方法が挙げられ、非特許文献1に記載する種々の方法のいずれかを用いてもよい。
2種のジオールとしては、特に限定されないが、例えば、脂肪族ジオール及び芳香族ジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種のジオール等が挙げられる。中でも、2つの水酸基を有し、炭素数が2以上20以下のアルキレングリコールが好ましい。当該アルキレングリコールを用いることにより、水分散ブロックポリイソシアネート組成物を塗膜としたときの耐候性及び耐薬品性がより優れる傾向にある。アルキレングリコールを構成するアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。これらのジオールは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2種のジオールの具体例としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、p−キシリレンジオール、p−テトラクロロキシリレンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、ビスヒドロキシメチルテトラヒドロフラン、ジ(2−ヒドロキシエチル)ジメチルヒダントイン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、2,6’−ジヒドロキシエチルヘキシルエーテル、2,4’−ジヒドロキシエチルブチルエーテル、2,5’−ジヒドロキシエチルペンチルエーテル、2,3’−ジヒドロキシ−2’,2’−ジメチルエチルプロピルエーテル、チオグリコール等が挙げられる。
中でも、ジオールとしては、炭素数2以上11以下のジオールが好ましく、炭素数3以上6以下のジオールがより好ましい。
2種のジオールの組み合わせとしては、特に限定されないが、炭素数5のジオールと炭素数6のジオールとの組み合わせ、炭素数4のジオールの2種以上の異性体の組み合わせ、又は、炭素数4のジオールと炭素数6のジオールとの組み合わせが好ましい。このような2種のジオールを用いることにより、水分散ブロックポリイソシアネート組成物を塗膜としたときの伸展性、耐熱性及び耐水性(耐加水分解性)がより優れる傾向にある。
このような2種のジオールの好ましい組み合わせとして、具体的には、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及び2−メチル−1,3プロパンジオールからなる群より選ばれる異なる2種のジオールの組み合わせ等が挙げられる。中でも、1,6−ヘキサンジオールと1,5−ペンタンジオールとの組み合わせ、1,6−ヘキサンジオールと1,4−ブタンジオールとの組み合わせ、又は、1,4−ブタンジオールと2−メチル−1,3プロパンジオールの組み合わせが好ましい。
カーボネート化合物としては、特に限定されないが、例えば、アルキレンカーボネート、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、ホスゲンが挙げられ、より具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジフェニルカーボネートが挙げられる。中でも、製造の容易さの観点から、ジエチルカーボネートが好ましい。
[親水性化合物]
ブロックポリイソシアネートの製造に用いられる親水性化合物としては、例えば、ノニオン系親水性化合物、アニオン系親水性化合物、カチオン系親水性化合物等が挙げられる。これらの親水性化合物は、単独で用いることもでき、2種以上を併用することもできる。中でも、製造のしやすさから、ノニオン系親水性化合物又はアニオン系親水性化合物が好ましく、ノニオン系親水性化合物がより好ましい。
(ノニオン系親水性化合物)
ノニオン系親水性化合物としては、例えば、ポリ(オキシアルキレン)グリコール、ポリ(オキシアルキレン)モノアルキルエーテル等が挙げられる。水分散ブロックポリイソシアネート組成物の粘度を低くする観点から、ポリ(オキシアルキレン)モノアルキルエーテルが好ましい。
〇ポリ(オキシアルキレン)モノアルキルエーテル
ポリ(オキシアルキレン)モノアルキルエーテルは、特に限定されないが、下記一般式(1)で表される化合物(以下、「ポリ(オキシアルキレン)モノアルキルエーテル(1)」と称する場合がある)が好ましい。
Figure 2020019877
一般式(1)中、R11は炭素数1以上4以下のアルキレン基である。R12は炭素数1以上4以下のアルキル基である。n11は6.0以上20.0以下の数である。
・R11
一般式(1)中、R11は炭素数1以上4以下のアルキレン基である。アルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、環状(脂肪族環基)であってもよい。アルキレン基の炭素数は、1以上4以下が好ましく、1以上3以下がより好ましく、1以上2以下がさらに好ましい。
前記アルキレン基として具体的は、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、ジメチルメチレン基、シクロトリメチレン基、テトラメチレン基、ジメチルエチレン基、シクロテトラメチレン基等が挙げられる。
中でも、アルキレン基としては、メチレン基又はエチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
・R12
一般式(1)中、R12は炭素数1以上4以下のアルキル基である。アルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、環状(脂肪族環基)であってもよい。アルキル基の炭素数は、1以上4以下が好ましく、1以上3以下がより好ましく、1以上2以下がさらに好ましい。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基等が挙げられる。
中でも、アルキル基としては、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
・n11
一般式(1)中、n11はアルキレンオキシ基(−R11−O−)の繰り返し数である。ポリ(オキシアルキレン)モノアルキルエーテル(1)は、単一成分ではなく、重合度が異なる物質の集合体である。そのため、n11は重合度の平均値を表す。
n11の下限値としては、親水性付与の観点から、5.0が好ましく、5.2がより好ましく、5.4がさらに好ましく、6.0が特に好ましい。
一方、n11の上限値は、水分散性及び塗膜としたときの硬度の観点から、20.0が好ましく、18.0がより好ましく、16.0がさらに好ましい。
すなわち、n11は、5.0以上20.0以下が好ましく、5.2以上18.0以下がより好ましく、5.4以上16.0以下がさらに好ましく、6.0以上16.0以下が特に好ましい。
n11が上記下限値以上であることで、乳化力が増すため分散性が向上し、容易に分散することができる。そのため、主剤への分散性がより向上し、塗膜としたときの外観がより優れる傾向にある。n11が上記上限値以下であることで、ゲル化等の過度の粘度上昇をより防ぐことができ、容易に分散することができる傾向にある。さらに、塗膜としたときの硬度がより優れる傾向にある。
ポリ(オキシアルキレン)モノアルキルエーテル(1)として好ましいものとしては、例えば、下記式(1)−1で示される化合物(すなわち、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル)等が挙げられる。
Figure 2020019877
式(1)−1中、n111は6.0以上20.0以下である。
ポリ(オキシアルキレン)アルキルエーテルの市販品としては、例えば、日本油脂株式会社製の商品名「ユニオックスM400」、「ユニオックスM550」、「ユニオックスM1000」、「ユニオックスM2000」、日本乳化剤社の商品名「MPG−081」、「MPG−130」等が挙げられる。
ポリ(オキシアルキレン)モノアルキルエーテルの数平均分子量の下限値は、分散性の視点から200が好ましく、300がより好ましく、400がさらに好ましい。
一方、数平均分子量の上限値は、塗膜としたときの硬度の視点から、2000が好ましく、1200がより好ましく、1000がさらに好ましい。
すなわち、数平均分子量は、200以上2000以下が好ましく、300以上1200以下がより好ましく、400以上1000以下がさらに好ましい。
親水性化合物がポリ(オキシアルキレン)モノアルキルエーテルである場合、ポリ(オキシアルキレン)モノアルキルエーテルから誘導される構成単位の割合の下限値は、水分散性及び塗膜にしたときの外観の観点から、ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、5.0質量%が好ましく、6.0質量%がより好ましく、7.0質量%がさらに好ましい。
一方、ポリ(オキシアルキレン)モノアルキルエーテルから誘導される構成単位の割合の上限値は、両親媒性溶媒を含む塗液としたときの貯蔵安定性の観点から、ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、26.0質量%が好ましく、22.5質量%がより好ましく、20.0質量%がさらに好ましい。
すなわち、ポリ(オキシアルキレン)モノアルキルエーテルから誘導される構成単位の割合は、ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、5.0質量%以上26.0質量%以下が好ましく、6.0質量%以上22.5質量%以下がより好ましく、7.0質量%以上20.0質量%以下がさらに好ましい。
ポリ(オキシアルキレン)モノアルキルエーテルから誘導される構成単位の割合が上記下限値%以上であることにより、水分散性がより向上し、塗膜としたときの外観がより良好となる傾向がある。ポリ(オキシアルキレン)モノアルキルエーテルから誘導される構成単位の割合が上記上限値以下であることにより、両親媒性溶媒を含む塗液としたときの貯蔵安定性がより良好となる傾向がある。
(アニオン系親水性化合物)
アニオン系親水性化合物としては、例えば、カルボキシ基含有化合物、スルホン酸基含有化合物等が挙げられる。中でも、アニオン系親水性化合物としては、製造のしやすさ及び水系塗料における配合性から、カルボン酸基含有化合物が好ましい。カルボキシ基含有化合物としては、例えば、モノヒドロキシカルボン酸、ジヒドロキシカルボン酸及びそれらの誘導体等が挙げられる。中でも、カルボキシ基含有化合物としては、モノヒドロキシカルボン酸又はジヒドロキシカルボン酸が好ましく、モノヒドロキシカルボン酸がより好ましい。
カルボン酸基含有化合物又はスルホン酸基含有化合物を使用する場合には、水分散ブロックポリイソシアネート組成物製造後、中和剤で中和することが好ましい。中和剤としては、アルカリ金属類、アルカリ土類金属類、アンモニア、3級アミンが挙げられる。3級アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン等が挙げられる。
(カチオン系親水性化合物)
カチオン系親水性化合物としては、水酸基含有アミノ化合物が挙げられる。
水酸基含有アミノ化合物を使用する場合には、水分散ブロックポリイソシアネート組成物製造後、中和剤で中和することが好ましい。中和剤としては、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、2−エチルヘキサン酸等の有機酸が挙げられる。
(ウレタン基/(ウレタン基+アロファネート基+イソシアヌレート基)のモル比)
ブロックポリイソシアネートは、親水性化合物の親水性基とポリイソシアネートのイソシアネート基とが反応して形成されたウレタン基を有する。また、ブロックポリイソシアネートは、上述のポリイソシアネートで記載したように、ポリイソシアネートに由来するウレタン基を有してもよい。
本実施形態の水分散ブロックポリイソシアネート組成物において、ウレタン基/(ウレタン基+アロファネート基+イソシアヌレート基)のモル比の下限値は、水分散性及び両親媒性溶媒を含む塗液としたときの貯蔵安定性の観点から、10/100が好ましく、12/100がより好ましく、14/100がさらに好ましい。
また、上記モル比の上限値は、塗膜としたときの硬度の観点から、25/100が好ましく、22/100が好ましく、20/100がさらに好ましい。
すなわち、ウレタン基/(ウレタン基+アロファネート基+イソシアヌレート基)のモル比は、10/100以上25/100以下が好ましく、12/100以上22/100以下が好ましく、14/100以上20/100以下がさらに好ましい。
上記モル比が上記下限値以上であることで、水への分散性がより向上し、容易に分散することができる。そのため、主剤への分散性、両親媒性溶媒を含む塗液としたときの貯蔵安定性、及び、塗膜としたときの外観がより優れる傾向である。一方、上記モル比が上記上限値以下であることで、塗膜としたときの硬度がより優れる傾向である。
[熱解離性ブロック剤]
ブロックポリイソシアネートは、イソシアネート基の少なくとも一部が熱解離性ブロック剤によってブロックされている。熱解離性ブロック剤とは、活性水素を分子内に1個有する化合物であり、加熱によりイソシアネート基から解離する性質を有する。熱解離性ブロック剤として具体的には、例えば、アルコール系化合物、アルキルフェノール系化合物、フェノール系化合物、活性メチレン系化合物、メルカプタン系化合物、酸アミド系化合物、酸イミド系化合物、イミダゾール系化合物、尿素系化合物、オキシム系化合物、アミン系化合物、イミン系化合物、ピラゾール系化合物等が挙げられる。
熱解離性ブロック剤として、より具体的には、例えば、下記に示す化合物等が挙げられる。これらのブロック剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(1)アルコール系化合物:メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール。
(2)アルキルフェノール系化合物:炭素原子数4以上のアルキル基を置換基として有するモノ又はジアルキルフェノール類。例えば、n−プロピルフェノール、i−プロピルフェノール、n−ブチルフェノール、sec−ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、n−ヘキシルフェノール、2−エチルヘキシルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ノニルフェノール等のモノアルキルフェノール類;ジ−n−プロピルフェノール、ジイソプロピルフェノール、イソプロピルクレゾール、ジ−n−ブチルフェノール、ジ−t−ブチルフェノール、ジ−sec−ブチルフェノール、ジ−n−オクチルフェノール、ジ−2−エチルヘキシルフェノール、ジ−n−ノニルフェノール等のジアルキルフェノール類。
(3)フェノール系化合物:フェノール、クレゾール、エチルフェノール、スチレン化フェノール、ヒドロキシ安息香酸エステル。
(4)活性メチレン系化合物:マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン。
(5)メルカプタン系化合物:ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン。
(6)酸アミド系化合物:アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム。
(7)酸イミド系化合物:コハク酸イミド、マレイン酸イミド。
(8)イミダゾール系化合物:イミダゾール、2−メチルイミダゾール。
(9)尿素系化合物:尿素、チオ尿素、エチレン尿素。
(10)オキシム系化合物:ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム。
(11)アミン系化合物:ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、イソプロピルエチルアミン。
(12)イミン系化合物:エチレンイミン、ポリエチレンイミン。
(13)ピラゾール系化合物:ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール。
中でも、熱解離性ブロック剤は、オキシム系化合物、ピラゾール系化合物、活性メチレン系化合物、アミン系化合物及び酸アミド系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、両親媒性溶媒を含む塗液としたときの貯蔵安定性の観点から、ピラゾール系化合物又はオキシム系化合物がより好ましい。
<ブロックポリイソシアネート組成物の製造方法>
ブロックポリイソシアネート組成物は、特に限定されないが、例えば、上記ポリイソシアネートと上記親水性化合物と上記ポリカーボネートジオールと上記熱解離性ブロック剤とを反応させて得られる。
ポリイソシアネートのイソシアネート基と親水性化合物の親水性基又はポリカーボネートジオールの水酸基との反応、及び、ポリイソシアネートのイソシアネート基と熱解離性ブロック剤との反応を同時に行うこともでき、予めどちらかの反応を行った後に、2つ目の反応を行うこともできる。中でも、イソシアネート基と親水性化合物の親水性基及びポリカーボネートジオールの水酸基との反応を先に行い、親水性化合物及びポリカーボネートジオールから誘導される構成単位を有するポリイソシアネートを得た後、得られた各構成単位を有するポリイソシアネートと熱解離性ブロック剤との反応を行うことが好ましい。
反応工程においては、例えば、錫、亜鉛、鉛等の有機金属塩;3級アミン系化合物;ナトリウム等のアルカリ金属のアルコラート等を触媒として用いてもよい。
反応工程の反応温度は、−20℃以上150℃以下が好ましく、30℃以上100℃以下がより好ましい。反応温度が上記下限値以上であることで、反応性をより高くできる傾向にある。また、反応温度が上記上限値以下であることで、副反応をより抑制できる傾向にある。
親水性化合物が未反応状態で残存しないよう、完全にポリイソシアネートと反応させることが好ましい。未反応状態で残存しないことにより、水分散ブロックポリイソシアネート組成物の水分散安定性の低下をより抑制し、コーティング組成物として用いたときの硬化性の低下をより抑制する傾向にある。
<用途>
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物は、例えば、塗料組成物、粘着剤組成物、接着剤組成物、注型剤組成物等の硬化性組成物;繊維処理剤等の各種表面処理剤組成物;各種エラストマー組成物;発泡体組成物等の架橋剤;改質剤;添加剤等として用いられる。
塗料組成物として用いられる場合には、特に限定されないが、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、静電塗装、ベル塗装等により、各種素材に、プライマー、中塗り、上塗り等として好適に用いられる。また、この塗料組成物は、さらに、防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車塗装、プラスチック塗装に、美粧性、耐候性、耐酸性、防錆性、耐チッピング性、密着性等を付与するために、好適に用いられる。
粘着剤組成物及び接着剤組成物として用いられる場合には、特に限定されないが、例えば、自動車、建材、家電、木工、太陽電池用積層体等を接着させるために用いられる。中でも、テレビ、パソコン、デジタルカメラ、携帯電話等の家電の液晶ディスプレイ用等の光学部材は、各種機能を発現するため、各種被着体のフィルム及びプレートを積層させる必要がある。よって、各種被着体のフィルム及びプレート間には十分な粘着性又は接着性が要求されることから、本実施形態の水分散ブロックポリイソシアネート組成物は、粘着剤組成物及び接着剤組成物として好適に用いられる。
硬化性組成物として用いられる場合に、対象となる被着体としては、特に限定されないが、例えば、ガラス;アルミニウム、鉄、亜鉛鋼板、銅、ステンレス等の各種金属;木材、紙、モルタル、セラミック材料、コンクリート、石材等の多孔質部材;フッ素塗装、ウレタン塗装、アクリルウレタン塗装等がされた部材;シリコーン系硬化物、変性シリコーン系硬化物、ウレタン系硬化物等のシーリング材硬化物;塩化ビニル、天然ゴム、合成ゴム等のゴム類;天然皮革、人工皮革等の皮革類;植物系繊維、動物系繊維、炭素繊維、ガラス繊維、不織布等の繊維類;ポリエステル、アクリル、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリオレフィン等の樹脂類のフィルム及びプレート;紫外線硬化型アクリル樹脂層;印刷インキ、UVインキ等のインキ類等が挙げられる。
≪水分散体≫
本実施形態の水分散体は、上記水分散ブロックポリイソシアネート組成物と溶剤とを含む。
水分散体は、例えば、上記水分散ブロックイソシアネート組成物に水及び溶剤を添加して得られる。このような溶剤としては、特に限定されないが、例えば、1−メチルピロリドン、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エタノール、メタノール、iso−プロパノール、1−プロパノール、iso−ブタノール、1−ブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット等が挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。水への分散性の観点から、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル又はジプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。
≪水系コーティング組成物≫
本実施形態の水系コーティング組成物は、上記水分散ブロックポリイソシアネート組成物と、主剤とを含む。また、本実施形態の水系コーティング組成物は、上記水分散ブロックポリイソシアネート組成物及び主剤に加えて、水を含むことができ、水を主とする溶剤中に塗膜形成成分である樹脂類(主剤)が溶解又は分散している。本実施形態の水系コーティング組成物は、水以外に、有機溶剤をさらに含んでもよい。有機溶剤としては、両親媒性溶媒が好ましい。両親媒性溶媒としては、上記水分散体で例示されたものと同様のものが挙げられる。
<主剤>
本実施形態の水系コーティング組成物に含まれる主剤としては、分子内に活性水素含有基が2つ以上結合している化合物であれば特に限定されないが、例えば、ポリアミン、アルカノールアミン、ポリチオール、ポリオール、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポリ塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリルブタジエン共重合体、ポリブタジエン共重合体、スチレンブタジエン共重合体等が挙げられる。中でも、主剤としては、ポリオールを含むことが好ましい。
[ポリアミン]
ポリアミンとして具体的には、例えば、ジアミン類、3個以上のアミノ基を有する鎖状ポリアミン類、環状ポリアミン類が挙げられる。
ジアミン類としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
3個以上のアミノ基を有する鎖状ポリアミン類としては、例えば、ビスヘキサメチレントリアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタメチレンヘキサミン、テトラプロピレンペンタミン等が挙げられる。
環状ポリアミン類としては、例えば、1,4,7,10,13,16−ヘキサアザシクロオクタデカン、1,4,7,10−テトラアザシクロデカン、1,4,8,12−テトラアザシクロペンタデカン、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン等が挙げられる。
[アルカノールアミン]
本明細書において、「アルカノールアミン」とは、1分子中に、アミノ基と水酸基とを有する化合物を意味する。アルカノールアミンとして具体的には、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、モノ−又はジ−(−n−又は−イソ−)プロパノールアミン、エチレングリコール−ビス−プロピルアミン、ネオペンタノールアミン、メチルエタノールアミン等が挙げられる。
[ポリチオール]
ポリチオールとしては、特に限定されないが、例えば、ビス−(2−ヒドロチオエチロキシ)メタン、ジチオエチレングリコール、ジチオエリトリトール、ジチオトレイトール]が挙げられる。
[ポリオール]
ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール類、アクリルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、フッ素ポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリウレタンポリオール類、エポキシ樹脂類等が挙げられる。中でも、アクリル樹脂類又はポリエステル樹脂類が好ましい。
(ポリエステルポリオール類)
ポリエステルポリオール類としては、例えば、特に限定されないが、例えば、二塩基酸の単独又は混合物と、多価アルコールの単独又は混合物との縮合反応によって得られる生成物が挙げられる。
二塩基酸としては、特に限定されないが、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の二塩基酸が挙げられる。
多価アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、及び、グリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種の多価アルコールが挙げられる。
また、多価アルコールとしては、さらに、非糖類、糖アルコール系化合物、単糖類、二糖類、三糖類、四糖類等を用いてもよい。非糖類としては、例えば、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。糖アルコール系化合物としては、例えば、エリトリトール、D−トレイトール、L−アラビニトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、ラムニトール等が挙げられる。単糖類としては、例えば、アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等が挙げられる。二糖類としては、例えば、トレハロース、ショ糖、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース等が挙げられる。三糖類としては、例えば、ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトース等が挙げられる。四糖類としては、例えば、スタキオース等が挙げられる。
(アクリルポリオール類)
アクリルポリオール類としては、特に限定されないが、例えば、水酸基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体の単独又は混合物と、これと共重合可能な他のエチレン性不飽和結合含有単量体の単独又は混合物とを共重合したものが挙げられる。
水酸基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル等が挙げられる。
水酸基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体と共重合可能な他のエチレン性不飽和結合含有単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、不飽和カルボン酸、不飽和アミド、ビニル系単量体、加水分解性シリル基を有するビニル系単量体が挙げられる。
アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル等が挙げられる。
メタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル等が挙げられる。
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられる。
不飽和アミドとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等が挙げられる。
ビニル系単量体としては、例えば、メタクリル酸グリシジル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、フマル酸ジブチル等が挙げられる。
加水分解性シリル基を有するビニル系単量体としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(ポリエーテルポリオール類)
ポリエーテルポリオール類としては、例えば、ポリエーテルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属の水酸化物、又は、強塩基性触媒を使用して、多価アルコールの単独又は混合物に、アルキレンオキサイドの単独又は混合物を付加して得られるポリエーテルポリオール類、ポリアミン化合物にアルキレンオキサイドを反応させて得られるポリエーテルポリオール類、上記ポリエーテル類を媒体としてアクリルアミド等を重合して得られるいわゆるポリマーポリオール類が挙げられる。
アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
強塩基性触媒としては、例えば、アルコラート、アルキルアミン等が挙げられる。
多価アルコールとしては、上記ポリエステルポリオール類において例示されたものと同様のものが挙げられる。
アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド等が挙げられる。
ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン類等が挙げられる。
(フッ素ポリオール類)
フッ素ポリオール類とは、分子内にフッ素を含むポリオールであり、例えば、特許文献3及び特許文献4で開示されているフルオロオレフィン、シクロビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、モノカルボン酸ビニルエステル等の共重合体が挙げられる。
(ポリオレフィンポリオール類)
ポリオレフィンポリオール類としては、例えば、末端水酸基化ポリブタジエン及びその水素添加物等が挙げられる。
(ポリカーボネートポリオール)
ポリカーボネートポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、低分子カーボネート化合物、又は、該低分子カーボネート化合物を縮重合して得られるものが挙げられる。
低分子カーボネート化合物としては、例えば、ジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート等が挙げられる。
ジアルキルカーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート等が挙げられる。
アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート等が挙げられる。
ジアリールカーボネートとしては、例えば、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。
(ポリウレタンポリオール類)
ポリウレタンポリオール類としては、特に限定されないが、例えば、常法によりカルボキシ基を含有しないポリオールとイソシアネート成分とを反応させることにより得ることができる。又は、カルボキシ基を有するポリウレタンポリオールを塩基性物質により中和させて得られるものを用いることができる。
前記カルボキシ基を含有しないポリオールとしては、例えば、低分子量のものとして、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。また、例えば、高分子量のものとして、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールが挙げられる。
ポリウレタンポリオール類は、ウレタンディスパージョン又はウレタンアクリルエマルジョン等のエマルジョンの形状であってもよい。
(エポキシ樹脂類)
本明細書において、「エポキシ樹脂類」とは、1分子にエポキシ基を2個以上有する樹脂を意味する。エポキシ樹脂類として具体的には、例えば、グリシジルエーテル系エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル系樹脂、グリシジルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂、及び、これらエポキシ樹脂をアミノ化合物、ポリアミド化合物等で変性した樹脂類等が挙げられる。
グリシジルエーテル系エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等が挙げられる。
環状脂肪族エポキシ樹脂としては、例えば、脂環型ジエポキシアセタール、脂環式ジエポキシアジペート等が挙げられる。
グリシジルエステル系樹脂としては、例えば、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル−p−オキシ安息香酸、ダイマー酸グリシジルエステル等が挙げられる。
グリシジルアミン系樹脂としては、例えば、N,N−ジグリシジルアニリン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール等が挙げられる。
複素環式エポキシ樹脂としては、例えば、ヒダントイン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。ヒダントイン型エポキシ樹脂としては、例えば、ジグリシジルヒダントイン、グリシジルグリシドオキシアルキルヒダントイン等が挙げられる。
上記主剤となる樹脂類は、水に乳化、分散又は溶解させるために、樹脂類に含まれるカルボキシル基、スルホン基等を中和することが好ましい。
カルボキシル基又はスルホン基等を中和するための中和剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、アンモニア、モノエタノールアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン等が挙げられる。これら中和剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。中和剤としては、第三級アミンが好ましく、トリエチルアミン又はジメチルエタノールアミンがより好ましい。
<その他構成成分>
[メラミン樹脂]
本実施形態の水系コーティング組成物は、上記水分散ブロックポリイソシアネート組成物及び上記主剤に加えて、さらに、公知のメラミン樹脂を含んでもよい。
メラミン樹脂としては、例えば、メラミンとアルデヒドとの反応によって得られる、部分又は完全メチロール化メラミン樹脂等が挙げられる。前記アルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等が挙げられる。
また、この部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をアルコールによって部分的に又は完全にエーテル化したものも使用することができる。エーテル化に用いられるアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール等が挙げられる。
[その他添加剤]
本実施形態の水系コーティング組成物は、上記ブロックポリイソシアネート組成物及び上記主剤に加えて、その目的及び用途に応じて、さらに、無機顔料、有機顔料、体質顔料、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機リン酸塩、有機亜リン酸塩、増粘剤、レベリング剤、チキソ化剤、消泡剤、凍結安定剤、艶消し剤、架橋反応触媒、皮張り防止剤、分散剤、湿潤剤、充填剤、可塑剤、潤滑剤、還元剤、防腐剤、防黴剤、消臭剤、黄変防止剤、紫外線吸収剤、静電防止剤又は帯電調整剤、沈降防止剤等の一般的に塗料に加えられる各種添加剤を含むことができる。塗料への分散性を良くするために、さらに界面活性剤を添加してもよく、塗料の保存安定性を良くするために、さらに酸化防止剤、光安定剤、重合禁止剤を添加してもよい。
<水系コーティング組成物の製造方法>
水系コーティング組成物の製造方法としては、主剤としてポリオールを用いる場合は、例えば、ポリオールに水分散ブロックイソシアネート組成物をそのまま混合及び分散させてもよく、一旦水分散ブロックイソシアネート組成物を溶剤(特に、水及び両親媒性溶媒)と混合させた後、ポリオールと混合させてもよい。
<用途>
本実施形態の水系コーティング組成物は、例えば、建築用塗料、自動車用塗料、自動車補修用塗料、プラスチック用塗料、粘着剤、接着剤、家庭用水系塗料、その他コーティング剤、シーリング剤、インキ、注型材、エラストマー、フォーム、プラスチック原料、繊維処理剤に使用することができる。
≪コーティング基材≫
本実施形態のコーティング基材は、基材と、上述の水系コーティング組成物によってコーティングされたコーティング膜と、を備える。当該コーティング膜は、外観(例えば、光沢等)、硬度及び密着性に優れる。
基材としては、上記水分散ブロックポリイソシアネート組成物の用途において、被着体として例示されたものと同様のものが挙げられる。
本実施形態のコーティング基材は、各種基材に、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、静電塗装、ベル塗装等により上述の水系コーティング組成物を塗装し、硬化させることにより得られる。上述の水系コーティング組成物は加熱することで、水系コーティング組成物に含まれるブロックポリイソシアネートのイソシアネート基に結合した熱解離性ブロック剤が解離し、解離したイソシアネート基と主剤(特に、ポリオール)が有する活性水素含有基(特に、水酸基)とが反応することで、基材上にコーティング膜を形成させることができる。
本実施形態のコーティング基材は、必要に応じて、コーティング膜と基材との間に通常のプライマーを備えてもよい。
以下に、具体的な実施例及び比較例を示して本実施形態をより詳しく説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。
<物性の測定方法及び評価方法>
実施例及び比較例における、各種の物性及び評価は、以下のとおり測定及び評価した。
[物性1]収率
各合成例で得られたポリイソシアネートの収率は下記式から算出した。
収率(%) = 得られたポリイソシアネートの質量/仕込み原料の合計質量×100
[物性2]粘度
粘度は、E型粘度計(トキメック社製)を用いて25℃で測定した。測定に際しては、標準ローター(1°34’×R24)を用いた。回転数は、以下のとおりである。
(回転数)
100r.p.m.(128mPa・s未満の場合)
50r.p.m.(128mPa・s以上256mPa・s未満の場合)
20r.p.m.(256mPa・s以上640mPa・s未満の場合)
10r.p.m.(640mPa・s以上1280mPa・s未満の場合)
5r.p.m.(1280mPa・s以上2560mPa・s未満の場合)
2.5r.p.m.(2560mPa・s以上5120mPa・s未満の場合)
1.0r.p.m.(5120mPa・s以上10240mPa・s未満の場合)
0.5r.p.m.(10240mPa・s以上20480mPa・s未満の場合)
[物性3]イソシアネート基濃度
三角フラスコにポリイソシアネート前駆体1〜3gを精秤し(Wg)、その後トルエン20mLを添加し、ポリイソシアネートを溶解した。その後、2規定のジ−n−ブチルアミンのトルエン溶液10mLを添加し、混合後、15分間室温放置する。イソプロピルアルコール70mLを加え、混合した。この液を1規定塩酸溶液(ファクターF)で、指示薬に滴定した。この滴定値を(V2mL)とし、同様の操作をポリイソシアネートなしで行い、この滴定値を(V1mL)とし、下記式からポリイソシアネートのイソシアネート基含有量を算出した。
イソシアネート基含有量(質量%)=(V1−V2)×F×42/(W×1000)×100
[物性4]ポリイソシアネートの数平均分子量
ポリイソシアネートを試料として、ポリイソシアネートの数平均分子量を、下記の測定条件を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ測定によって、ポリスチレン基準の数平均分子量として求めた。
(測定条件)
装置:HLC−802A(東ソー社製)
カラム:G1000HXL×1本(東ソー社製)
G2000HXL×1本(東ソー社製)
G3000HXL×1本(東ソー社製)
キャリアー:テトラハイドロフラン
流速:0.6mL/分
試料濃度:1.0質量%
注入量:20μL
温度:40℃
検出方法:示差屈折計
[物性5]不揮発分
ポリイソシアネート組成物を試料として、溶剤希釈をした場合には、アルミニウム製カップの質量を精秤し、試料約1gを入れて、加熱乾燥前のカップ質量を精秤した。上記試料を入れたカップを105℃の乾燥機中で3時間加熱した。上記加熱後のカップを室温まで冷却した後、再度カップの質量を精秤した。試料中の乾燥残分の質量%を不揮発分として、下記式から不揮発分を算出した。なお、溶剤希釈なしの場合には、不揮発分は実質的に100%であるとして扱った。
不揮発分(質量%)=(加熱乾燥後のカップ質量−アルミニウム製カップ質量)/(加熱乾燥前のカップ質量−アルミニウム製カップ質量)×100%
[物性6]ポリイソシアネートの平均イソシアネート官能基数
ポリイソシアネートを試料として、下記式により、イソシアネート平均官能基数を求めた。
イソシアネート平均官能基数=ポリイソシアネート数平均分子量(Mn)×イソシアネート基含有量(質量%)×0.01)/42
[物性7]官能基のモル比
ポリイソシアネート又は水分散ブロックポリイソシアネート組成物を試料として、Bruker社製FT−NMR AVANCE600を用いて、重クロロホルムCDClを溶媒に、濃度5質量%、600MHz、積算回数256回で、プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し、イソシアヌレート基及びウレタン基の官能基数のモル比を確認した。HDI由来のβ位、γ位の全プロトンを基準として、各官能基について以下のシグナルの面積比を測定した。
イソシアヌレート基:3.85ppm付近のイソシアヌレート基に隣接するHDI由来のメチレン基の水素原子のシグナルの面積比
アロファネート基:8.50ppm付近のアロファネート基の窒素に結合した水素原子のシグナルの面積比
ウレタン基:4.90ppm付近のウレタン基の窒素に結合した水素原子のシグナルの面積比
次いで、イソシアヌレート基は面積比の1/6、アロファネート基及びウレタン基は面積比をモル数とし、アロファネート基/(アロファネート基+イソシアヌレート基)のモル比、及び、ウレタン基/(ウレタン基+アロファネート基+イソシアヌレート基)のモル比を算出した。
[物性8]ポリカーボネートジオールの数平均分子量
ポリカーボネートジオールを試料として、ポリカーボネートジオールの数平均分子量を、下記式から算出した。なお、ポリカーボネートジオールの水酸基価は、後述する「物性9」に記載の方法を用いて測定した。
数平均分子量=2/(ポリカーボネートジオールの水酸基価×10−3/56.11)
[物性9]ポリカーボネートジオールの水酸基価
ポリカーボネートジオールを試料として、ポリカーボネートジオールの水酸基価は、JIS K 0070:1992に従い、求めた。具体的には、無水酢酸12.5gをピリジン50mLでメスアップしアセチル化試薬を調製した。次に、100mLナスフラスコに、合成例で製造したポリカーボネートジオールを2.5〜5.0g精秤した。ナスフラスコに、アセチル化試薬5mLとトルエン10mLをホールピペットで添加後、冷却管を取り付けて、100℃で1hr撹拌加熱した。蒸留水2.5mLをホールピペットで添加し、さらに10min加熱撹拌した。2〜3分冷却後、エタノールを12.5mL添加し、指示薬としてフェノールフタレインを2〜3滴入れた後に、0.5mol/Lエタノール性水酸化カリウムで滴定した。
一方で、空試験として、アセチル化試薬5mL、トルエン10mL、蒸留水2.5mLを100mLナスフラスコに入れ、10分間加熱撹拌した後、同様に滴定を行った。この結果をもとに、下記式で水酸基価を計算した。
OH価(mg−KOH/g)={(b−a)×28.05×f}/e
上記式中、aは、試料の滴定量(mL)を表し、bは、空試験の滴定量(mL)を表し、eは、試料の質量(g)を表し、fは、滴定液のファクターを表す。
[物性10]ポリカーボネートジオールの共重合組成
ポリカーボネートジオールを試料として、ポリカーボネートジオールの共重合組成を、以下のように測定した。100mLのナスフラスコにサンプルを1g取り、エタノール30g、水酸化カリウム4gを入れて、100℃で1hr反応した。室温まで冷却後、指示薬にフェノールフタレインを2〜3滴添加し、塩酸で中和した。冷蔵庫で1hr冷却後、沈殿した塩を濾過で除去し、ガスクロマトグラフィーにより分析を行った。分析は、カラムとしてDB−WAX(J&W製)をつけたガスクロマトグラフィーGC−14B(島津製作所製)を用い、ジエチレングリコールジエチルエステルを内標として、検出器をFIDとして行った。なお、カラムの昇温プロファイルは、60℃で5分保持した後、10℃/minで250℃まで昇温した。
[水系コーティング組成物の製造]
実施例1〜15及び比較例1〜7で得られた水分散ブロックポリイソシアネート組成物を評価するために、水系コーティング組成物を作製した。
具体的には、実施例及び比較例で得られた各水分散ブロックポリイソシアネート組成物に対し、Setaqua6510(Allnex社製商品名、アクリルポリオール、固形分42%、水酸基4.2質量%)を、官能基比率(NCO/OH)=1.00となるように配合した。さらに、この混合物に、固形分が42%になるように脱イオン水を加え、ディスパー羽を使用し、500rpmで5分間撹拌し、水系コーティング組成物を作製した。
[評価1]主剤との相溶性
水系コーティング組成物を、ナノトラックUPA−EX150(日機装社製)により粒径の測定を行い、相溶性を以下の評価基準に従い、評価した。
(評価基準)
A:粒径が100nm以下
B:粒径が100nm超150nm以下
C:粒径が150nm超
[評価2]溶剤含有時の貯蔵安定性(分層確認)
水系コーティング組成物を、50℃で2週間保管し、貯蔵安定性を評価した。評価基準は、以下のとおりとした。なお、水系コーティング組成物に沈殿などが発生した場合は、「評価不可」とした。また、硬化剤は溶剤(両親媒性溶媒)により希釈しているため、今回の評価は溶剤含有時の貯蔵安定性の評価となる。
(評価基準)
A:沈殿物が発生しなかった。
B:沈殿物が発生した。
C:分層が発生した。
[評価3]硬度
水系コーティング組成物を、ガラス板上に、厚さ40μmの塗膜を塗装し、23℃/50%RHの雰囲気下で7日間乾燥させた。鉛筆硬度試験をJIS−K−5600−5−4に準じて行った。評価基準は、以下のとおりとした。
(評価基準)
A:H以上
B:B以上H以下
C:B以下
[評価4]塗膜の光沢
水系コーティング組成物を、ガラス板上に、厚さ50μmになるようにアプリケーター塗装し、室温下で15分間セッティングした後、160℃で、30分間焼き付けて硬化塗膜を得た。
定められた角度(60°)で、スガ社製の商品名「SUGA UGV−6P」を使用して光沢を測定した。評価基準は、以下のとおりとした。
(評価基準)
A:90以上
B:80以上90未満
C:80未満
[評価5]塗膜の密着性
水系コーティング組成物を、軟鋼板に、厚さ50μmになるようにアプリケーター塗装し、室温下で15分間静置した後、160℃で、30分間焼き付けて硬化塗膜を得た。密着性試験をJIS K5600−5−6に準じて行った。評価基準は、以下のとおりとした。
(評価基準)
A:100マス中90マス以上残っていた。
B:100マス中90マス未満残っていた。
<原料の合成>
[合成例1]ポリイソシアネートA−1の合成
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI:1000g、2−エチルヘキサノール:3.2gを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃、2時間保持した。その後、イソシアヌレート化反応触媒であるテトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、収率が40%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネートA−1を得た。得られたポリイソシアネートA−1の25℃における粘度は2700mPa・s、イソシアネート基濃度は21.7%、数平均分子量は670、平均イソシアネート官能基数は3.5であった。
[合成例2]ポリイソシアネートA−2の合成
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI:1000g、2−エチルヘキサノール:10.0gを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃、2時間保持した。その後、イソシアヌレート化反応触媒であるテトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、収率が42%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネートA−2を得た。得られたポリイソシアネートA−2の25℃における粘度は2300mPa・s、イソシアネート基濃度は21.5%、数平均分子量は665、平均イソシアネート官能基数は3.4であった。
[合成例3]ポリイソシアネートA−3の合成
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI:1000g、2−エチルヘキサノール:30.0gを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃、2時間保持した。その後、イソシアヌレート化反応触媒であるテトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、収率が34%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネートA−3を得た。得られたポリイソシアネートA−3の25℃における粘度は1500mPa・s、イソシアネート基濃度は20.7%、数平均分子量は590、平均イソシアネート官能基数は2.9であった。
[合成例4]ポリイソシアネートA−4の合成
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI:1000g、2−エチルヘキサノール:40.0gを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃、2時間保持した。その後、イソシアヌレート化反応触媒であるテトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、収率が31%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネートA−4を得た。得られたポリイソシアネートA−4の25℃における粘度は1100mPa・s、イソシアネート基濃度は20.1%、数平均分子量は560、平均イソシアネート官能基数は2.7であった。
[合成例5]ポリイソシアネートA−5の合成
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI:1000g、1,3−ブタンジオール:10.0gを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃、2時間保持した。その後、イソシアヌレート化反応触媒であるテトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、収率が42%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネートA−5を得た。得られたポリイソシアネートA−5の25℃における粘度は3150mPa・s、イソシアネート基濃度は21.0%、数平均分子量は744、平均イソシアネート官能基数は3.7であった。
[合成例6]ポリイソシアネートA−6の合成
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI:920g、IPDI:80g、2−エチルヘキサノール:10.0gを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃、2時間保持した。その後、イソシアヌレート化反応触媒であるテトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、収率が40%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDI、IPDIを除去し、ポリイソシアネートA−6を得た。得られたポリイソシアネートA−6の25℃における粘度は2900mPa・s、イソシアネート基濃度は21.5%、数平均分子量は680、平均イソシアネート官能基数は3.5であった。
[合成例7]ポリイソシアネートA−7の合成
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI:1000gを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃に保持し、イソシアヌレート化反応触媒であるテトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、収率が41%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネートA−7を得た。得られたポリイソシアネートA−7の25℃における粘度は2650mPa・s、イソシアネート基濃度は21.7%、数平均分子量は672、平均イソシアネート官能基数は3.5であった。
[合成例8]ポリイソシアネートA−8の合成
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI:1000g、2−エチルヘキサノール:40.0gを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃、2時間保持した。その後、イソシアヌレート化反応触媒であるテトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、収率が29%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネートA−8を得た。得られたポリイソシアネートA−8の25℃における粘度は850mPa・s、イソシアネート基濃度は20.2%、数平均分子量は540、平均イソシアネート官能基数は2.6であった。
合成例1〜8で得られたポリイソシアネートA−1〜A−8の各種物性を下記表1に示す。
Figure 2020019877
[合成例9]ポリカーボネートジオールB−1の合成
攪拌機、温度計、頭頂に還流ヘッドを有する真空ジャケット付きオルダーショウを備えた2Lセパラブルフラスコに、1,5−ペンタンジオール382g、1,6−ヘキサンジオール433g、エチレンカーボネート650gを仕込み、70℃で撹拌溶解した後、触媒として酢酸鉛三水和物を0.015g入れた。175℃に設定したオイルバスで加熱し、フラスコの内温140℃、真空度1.0〜1.5kPaで、還流ヘッドから還流比4で留分の一部を抜きながら、12時間反応した。その後、オルダーショウを単蒸留装置に取り替え、180℃に設定したオイルバスで加熱し、フラスコの内温140〜150℃、真空度を0.5kPaまで落として、セパラブルフラスコ内に残った、ジオールとエチレンカーボネートを除去した。その後、オイルバスの設定を185℃に上げ、フラスコの内温160〜165℃で、生成するジオールを除去しながら、さらに1.5時間反応した。この反応により、常温で粘稠な液体のポリカーボネートジオールB−1が得られた。得られたポリカーボネートジオールB−1の水酸基価は224.4(分子量500)、共重合組成は1,5−ペンタンンジオール/1,6−ヘキサンジオール=50/50(モル比)であった。
[合成例10]ポリカーボネートジオールB−2の合成
合成例9において、オルダーショウを単蒸留装置に取り替えた後、オイルバスの設定を185℃に上げ、フラスコの内温を160〜165℃にして、生成するジオールを除去する時間を2.3時間にしたこと以外は、合成例9と同様の方法でポリカーボネートジオールB−2を合成した。得られたポリカーボネートジオールB−2の水酸基価は56.1(分子量1000)、共重合組成は1,5−ペンタンンジオール/1,6−ヘキサンジオール=50/50(モル比)であった。
<水分散ブロックポリイソシアネート組成物の製造>
[実施例1]水分散ブロックポリイソシアネート組成物の製造
合成例1と同様の反応器に、合成例1で得られたポリイソシアネートA−1:100.0g、合成例9で得られたポリカーボネートジオールB−1:12.9g、親水性化合物であるポリエチレンオキサイド(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG−081」、エチレンオキサイド繰り返し単位の平均数:15.0):35.7gを、窒素雰囲気下、110℃で3時間保持した。その後、窒素雰囲気下、80℃で撹拌した。ブロック剤として3,5−ジメチルピラゾール40.6gを添加し、撹拌した。赤外スペクトルでイソシアネート基の特性吸収がなくなったことを確認し、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル80.3gを添加し、さらに30分間撹拌した。これにより、水分散ブロックポリイソシアネート組成物を得た。得られた水分散ブロックポリイソシアネート組成物の固形分は69.8%であった。さらに、水分散ブロックポリイソシアネート組成物を用いて、水系コーティング組成物を作製し、上記の方法に従って、評価を行った。評価結果を表2に示す。
[実施例2〜15及び比較例1〜7]水分散ブロックポリイソシアネート組成物の製造
表2及び3に記載のポリイソシアネート、ポリカーボネートジオール、ポリエチレンオキサイド、ブロック剤及び溶剤を用いた以外は、実施例1と同様の方法で反応を行い、各水分散ブロックポリイソシアネート組成物を得た。得られた水分散ブロックポリイソシアネート組成物を用いて、水系コーティング組成物を作製し、上記の方法に従って、評価を行った。評価結果を表2及び3に示す。
なお、表2及び3中に示す記号は、以下のとおりである。
C−1:日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG−081」、エチレンオキサイド繰り返し単位の平均数15.0
C−2:日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG−130」、エチレンオキサイド繰り返し単位の平均数9.0
D−1:3,5−ジメチルピラゾール
D−2:メチルエチルケトオキシム
Figure 2020019877
Figure 2020019877
表2及び表3から、実施例1〜15の水分散ブロックポリイソシアネート組成物は、相溶性が良好であり、溶剤含有時の貯蔵安定性、並びに、塗膜としたときの硬度、光沢及び密着性のいずれも優れていた。
実施例2、8及び11の水分散ブロックポリイソシアネート組成物において、ポリカーボネートジオールから誘導される構成単位が、ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、6.3質量%超である実施例2の水分散ブロックポリイソシアネート組成物は、溶剤含有時の貯蔵安定性及び塗膜としたときの密着性が特に優れていた。
実施例1〜6の水分散ブロックポリイソシアネート組成物において、HDI又はIPDI及び2−エチルヘキサノールから誘導されたポリイソシアネートA−1〜A−3及びA−6を含み、アロファネート基/アロファネート基+イソシアヌレート基のモル比が4/100〜30/100である実施例1〜3及び6の水分散ブロックポリイソシアネートは、塗膜としたときの硬度が特に優れていた。
実施例2、8及び12の水分散ブロックポリイソシアネート組成物において、ポリイソシアネートから誘導される構成単位の割合が、ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、50.4質量%超である実施例2の水分散ブロックポリイソシアネート組成物は、塗膜としたときの硬度が特に優れていた。
実施例2、7、11及び13の水分散ブロックポリイソシアネート組成物において、ポリカーボネートジオールから誘導される構成単位が、ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、6.8質量%であり、且つ、ポリエチレンオキサイドから誘導される構成単位が、ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、18.7質量%である実施例2の水分散ブロックポリイソシアネート組成物は、塗膜としたときの光沢が特に優れていた。
一方、アロファネート基を有しない比較例1の水分散ブロックポリイソシアネート組成物では、アロファネート基を有する実施例1の水分散ブロックポリイソシアネート組成物と比較して、相溶性及び溶剤含有時の貯蔵安定性が劣っていた。
アロファネート基/アロファネート基+イソシアヌレート基のモル比が45/100である比較例2の水分散ブロックポリイソシアネート組成物は、アロファネート基/アロファネート基+イソシアヌレート基のモル比が4/100〜40/100である実施例1〜6の水分散ブロックポリイソシアネート組成物と比較して、塗膜としたときの硬度が劣っていた。
親水性化合物であるポリエチレンオキサイドから誘導される構成単位を有しない比較例3の水分散ブロックポリイソシアネート組成物は、ポリエチレンオキサイドから誘導される構成単位を有する実施例2の水分散ブロックポリイソシアネート組成物と比較して、相溶性、溶剤含有時の貯蔵安定性、並びに、塗膜としたときの光沢及び密着性が劣っていた。
ポリイソシアネートから誘導される構成単位の割合が、ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、46質量%未満である比較例4の水分散ブロックポリイソシアネート組成物、又は、ポリカーボネートジオールから誘導される構成単位を有しない比較例5の水分散ブロックポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネートから誘導される構成単位の割合が、ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、46質量%以上であり、且つ、ポリカーボネートジオールから誘導される構成単位を有する実施例2の水分散ブロックポリイソシアネート組成物と比較して、溶剤含有時の貯蔵安定性、並びに、塗膜としたときの硬度、光沢及び密着性が劣っていた。
ポリカーボネートジオールから誘導される構成単位の割合が、ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、15質量%超である比較例6の水分散ブロックポリイソシアネート組成物は、ポリカーボネートジオールから誘導される構成単位の割合が、ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、15質量%以下である実施例2の水分散ブロックポリイソシアネート組成物と比較して、溶剤含有時の貯蔵安定性及び塗膜としたときの硬度が劣っていた。
ポリイソシアネートから誘導される構成単位の割合が、ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、46質量%未満であり、且つ、ポリカーボネートジオールから誘導される構成単位の割合が、ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、15質量%超である比較例7の水分散ブロックポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネートから誘導される構成単位の割合が、ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、46質量%以上であり、且つ、ポリカーボネートジオールから誘導される構成単位の割合が、ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、15質量%以下である実施例2の水分散ブロックポリイソシアネート組成物と比較して、溶剤含有時の貯蔵安定性、並びに、塗膜としたときの硬度及び密着性が劣っていた。
本実施形態の水分散ブロックポリイソシアネート組成物は、例えば、塗料組成物、粘着剤組成物、接着剤組成物、注型剤組成物等の硬化性組成物;繊維処理剤等の各種表面処理剤組成物;各種エラストマー組成物;発泡体組成物等の架橋剤;改質剤;添加剤等として好適に用いられる。

Claims (10)

  1. ポリイソシアネートと熱解離性ブロック剤とから得られるブロックポリイソシアネートを含み、以下の1)〜4)に示す条件を満たす、水分散ブロックポリイソシアネート組成物。
    1)脂肪族ジイソシアネートモノマー及び脂環族ジイソシアネートモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のジイソシアネートモノマーから誘導され、且つ、アロファネート基及びイソシアヌレート基を含むポリイソシアネートから誘導される構成単位の割合が、前記ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、46質量%以上60質量%以下である;
    2)アロファネート基/(アロファネート基+イソシアヌレート基)のモル比が、2/100以上40/100以下である;
    3)ポリカーボネートジオールから誘導される構成単位の割合が、前記ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、2質量%以上15質量%以下である;
    4)前記ブロックポリイソシアネートは、親水性化合物から誘導される構成単位を含む
  2. 前記脂肪族ジイソシアネートモノマーがヘキサメチレンジイソシアネートである、請求項1に記載の水分散ブロックポリイソシアネート組成物。
  3. 前記親水性化合物がポリ(オキシアルキレン)モノアルキルエーテルであり、
    前記ポリ(オキシアルキレン)モノアルキルエーテルから誘導される構成単位の割合が、前記ブロックポリイソシアネートの総質量に対して、5質量%以上26質量%以下である、請求項1又は2に記載の水分散ブロックポリイソシアネート組成物。
  4. 前記ポリ(オキシアルキレン)モノアルキルエーテルが、下記一般式(1)で表される化合物である、請求項3に記載の水分散ブロックポリイソシアネート組成物。
    Figure 2020019877
    (一般式(1)中、R11は炭素数1以上4以下のアルキレン基である。R12は炭素数1以上4以下のアルキル基である。n11は6.0以上20.0以下の数である。)
  5. 前記ポリイソシアネートがウレタン基を更に含み、
    (ウレタン基)/(ウレタン基+アロファネート基+イソシアヌレート基)のモル比が、10/100以上25/100以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水分散ブロックポリイソシアネート組成物。
  6. 前記熱解離性ブロック剤が、オキシム系化合物、ピラゾール系化合物、活性メチレン系化合物、アミン系化合物及び酸アミド系化合物からなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水分散ブロックポリイソシアネート組成物。
  7. 前記熱解離性ブロック剤がピラゾール系化合物又はオキシム系化合物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水分散ブロックポリイソシアネート組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の水分散ブロックポリイソシアネート組成物と溶剤とを含む、水分散体。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の水分散ブロックポリイソシアネート組成物と少なくとも一種の主剤とを含む、水系コーティング組成物。
  10. 基材と、請求項9に記載の水系コーティング組成物によってコーティングされたコーティング膜と、を備える、コーティング基材。
JP2018144119A 2018-07-31 2018-07-31 水分散ブロックポリイソシアネート組成物、水分散体、水系コーティング組成物及びコーティング基材 Active JP7058571B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018144119A JP7058571B2 (ja) 2018-07-31 2018-07-31 水分散ブロックポリイソシアネート組成物、水分散体、水系コーティング組成物及びコーティング基材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018144119A JP7058571B2 (ja) 2018-07-31 2018-07-31 水分散ブロックポリイソシアネート組成物、水分散体、水系コーティング組成物及びコーティング基材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020019877A true JP2020019877A (ja) 2020-02-06
JP7058571B2 JP7058571B2 (ja) 2022-04-22

Family

ID=69588097

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018144119A Active JP7058571B2 (ja) 2018-07-31 2018-07-31 水分散ブロックポリイソシアネート組成物、水分散体、水系コーティング組成物及びコーティング基材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7058571B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115340656A (zh) * 2022-08-22 2022-11-15 河南工程学院 一种兼具水分散和保护功能的改性异氰酸酯及其制备方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0971720A (ja) * 1995-06-30 1997-03-18 Asahi Chem Ind Co Ltd 自己乳化性ポリイソシアネート組成物、及びそれを用いた水系コーティング組成物
JP2004075782A (ja) * 2002-08-13 2004-03-11 Nippon Polyurethane Ind Co Ltd 自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物及びそれを用いた水性塗料
US20120238697A1 (en) * 2011-03-16 2012-09-20 Asahi Kasei Chemicals Corporation Cationic blocked polyisocyanate and aqueous composition comprising the same
WO2013061954A1 (ja) * 2011-10-25 2013-05-02 旭化成ケミカルズ株式会社 ブロックポリイソシアネートの水分散体、繊維処理剤組成物、及び布帛
WO2014208567A1 (ja) * 2013-06-27 2014-12-31 旭化成ケミカルズ株式会社 ポリイソシアネート組成物及びその製造方法、ブロックポリイソシアネート組成物及びその製造方法、樹脂組成物、硬化性樹脂組成物、並びに硬化物
WO2016104485A1 (ja) * 2014-12-26 2016-06-30 旭化成株式会社 ポリイソシアネート組成物及びその製造方法、ブロックポリイソシアネート組成物及びその製造方法、樹脂組成物、並びに硬化物

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0971720A (ja) * 1995-06-30 1997-03-18 Asahi Chem Ind Co Ltd 自己乳化性ポリイソシアネート組成物、及びそれを用いた水系コーティング組成物
JP2004075782A (ja) * 2002-08-13 2004-03-11 Nippon Polyurethane Ind Co Ltd 自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物及びそれを用いた水性塗料
US20120238697A1 (en) * 2011-03-16 2012-09-20 Asahi Kasei Chemicals Corporation Cationic blocked polyisocyanate and aqueous composition comprising the same
WO2013061954A1 (ja) * 2011-10-25 2013-05-02 旭化成ケミカルズ株式会社 ブロックポリイソシアネートの水分散体、繊維処理剤組成物、及び布帛
WO2014208567A1 (ja) * 2013-06-27 2014-12-31 旭化成ケミカルズ株式会社 ポリイソシアネート組成物及びその製造方法、ブロックポリイソシアネート組成物及びその製造方法、樹脂組成物、硬化性樹脂組成物、並びに硬化物
US20160369034A1 (en) * 2013-06-27 2016-12-22 Asahi Kasei Chemicals Corporation Polyisocyanate composition and method of manufacturing the same, blocked polyisocyanate composition and method of manufacturing the same, resin composition, curable resin composition and hardened material
WO2016104485A1 (ja) * 2014-12-26 2016-06-30 旭化成株式会社 ポリイソシアネート組成物及びその製造方法、ブロックポリイソシアネート組成物及びその製造方法、樹脂組成物、並びに硬化物

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115340656A (zh) * 2022-08-22 2022-11-15 河南工程学院 一种兼具水分散和保护功能的改性异氰酸酯及其制备方法
CN115340656B (zh) * 2022-08-22 2023-07-07 河南工程学院 一种兼具水分散和保护功能的改性异氰酸酯及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7058571B2 (ja) 2022-04-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6796155B2 (ja) ポリイソシアネート組成物及びその製造方法、ブロックポリイソシアネート組成物及びその製造方法、樹脂組成物、並びに硬化物
JP6633218B2 (ja) ポリイソシアネート組成物、ブロックポリイソシアネート組成物、コーティング組成物、水性コーティング組成物、及びコーティング基材
JP5178200B2 (ja) 高架橋性、低粘度ポリイソシアネート組成物及びそれを含む塗料組成物
JP7044797B2 (ja) 塗膜の耐水性及び硬度保持性を向上させる方法
JP2013224350A (ja) ポリイソシアネート組成物及びそれを含有する塗料組成物
JP7058571B2 (ja) 水分散ブロックポリイソシアネート組成物、水分散体、水系コーティング組成物及びコーティング基材
JP2021178937A (ja) ブロックポリイソシアネート組成物、樹脂組成物及び樹脂膜
EP3771720B1 (en) Blocked polyisocyanate composition, resin composition, resin film and laminate
JP7124226B2 (ja) ブロックポリイソシアネート組成物、一液型コーティング組成物、塗膜及び塗装物品
JP2007023209A (ja) 水性ブロックポリイソシアネート組成物及びこれを含む水性塗料組成物
JP6945012B2 (ja) 塗装方法及び塗膜
JP6626986B2 (ja) ポリイソシアネート組成物、塗料組成物、および塗膜
JP2021101007A (ja) ブロックポリイソシアネート組成物、親水性ポリイソシアネート組成物、樹脂組成物、樹脂膜及び積層体
JP2007023208A (ja) 水系ブロックポリイソシアネート組成物及びこれを含む水性塗料組成物
JP7474125B2 (ja) ブロックポリイソシアネート組成物、樹脂組成物、樹脂膜及び積層体
JP7401662B2 (ja) ブロックポリイソシアネート組成物、樹脂組成物、樹脂膜及び積層体
JP7267677B2 (ja) 硬化剤組成物及び水系コーティング組成物
JP2021195486A (ja) ブロックポリイソシアネート組成物及び樹脂組成物
JP2024082927A (ja) ブロックポリイソシアネート組成物、樹脂組成物、樹脂膜及び積層体
JP2024039019A (ja) ポリイソシアネート組成物、樹脂組成物及び樹脂硬化物
JP2022078680A (ja) ブロックポリイソシアネート組成物、樹脂組成物、樹脂膜及び積層体
JP2021113276A (ja) ブロックポリイソシアネート組成物、コーティング組成物及びコーティング基材
JP2023101150A (ja) ブロックポリイソシアネート組成物、樹脂組成物、樹脂膜及び積層体
JP2022178395A (ja) カプセル化ブロックポリイソシアネート及びその使用

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210324

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220117

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220405

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220412

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7058571

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150