JP2020019731A - アムロジピンベシル酸塩の苦味抑制剤 - Google Patents

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萌子 長谷川
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Mikihiro Ishikura
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Abstract

【課題】アムロジピンベシル酸塩の苦味を抑制するための新たな方法を提供することである。【解決手段】シクロデキストリン及び/又はその誘導体を有効成分として含み、アムロジピンベシル酸塩1モルに対して0.1モル以上のシクロデキストリン及び/又はその誘導体が用いられる、アムロジピンベシル酸塩の苦味抑制剤を提供する。また、アムロジピンベシル酸塩とシクロデキストリン及び/又はその誘導体とを溶媒中で混合する工程を含み、シクロデキストリン及び/又はその誘導体はアムロジピンベシル酸塩1モルに対して0.1モル以上とする、アムロジピンベシル酸塩の苦味抑制方法を提供する。さらには、アムロジピンベシル酸塩とβ-シクロデキストリン及び/又はその誘導体とを溶媒中で混合して、苦味を低減させたアムロジピンベシル酸塩含有溶液を得る工程を含み、β-シクロデキストリン及び/又はその誘導体はアムロジピンベシル酸塩1モルに対して0.1モル以上とする、アムロジピンベシル酸塩含有医薬組成物の製造方法を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、アムロジピンベシル酸塩の苦味抑制剤、アムロジピンベシル酸塩の苦味抑制方法及びアムロジピンベシル酸塩含有医薬組成物の製造方法に関する。
先進国では国民の高齢化により、高齢者の高血圧症や狭心症などが増加している。しかし、高齢者にとっては過度な血圧降下は好ましくないことから、血圧降下剤の慎重投与が必要である。そのため、作用が穏やかなこと、持続性を有している点などから、ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬が高齢者の高血圧症に対する第一選択薬となっており、なかでも、アムロジピンベシル酸塩が多用されている。しかし、カルシウム拮抗作用を有するアムロジピンベシル酸塩は、極めて苦い味を有する。そのため、この苦味を抑制するためには、甘味剤、香料などを添加することによるマスキング、あるいは胃溶性高分子又は腸溶性高分子等のコーティング剤により薬物をコーティングする方法が必要であった。アムロジピンベシル酸塩を含有する医薬組成物としては、フィルムコーティング錠や素錠、口腔内崩壊錠などが知られている。また、その他にカラギーナンを用いることでベシル酸アムロジピンの苦味を隠蔽することが提案されている(特許文献1)。
特開2008−44870号公報
しかしながら、アムロジピンベシル酸塩は苦味が強く、甘味剤や香料によるマスキングでは、多量の甘味剤や香料を使用しなければならなかった。また、錠剤などのコーティングによるマスキングではコーティング剤の被覆量が多くなり、薬物の溶出性が低下することや、錠剤が大きくなってしまうなどの問題があった。そのため、甘味剤や香料によるマスキングや錠剤などのコーティングでは、アムロジピンベシル酸塩の苦味を十分に抑制できないという課題があった。
よって、本発明は、アムロジピンベシル酸塩の苦味を抑制するための新たな方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、アムロジピンベシル酸塩とシクロデキストリン及び/又はその誘導体とを溶媒中で混合することにより、アムロジピンベシル酸塩の苦味が抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明によれば以下の発明が提供される。
[1]シクロデキストリン及び/又はその誘導体を有効成分として含み、アムロジピンベシル酸塩1モルに対して0.1モル以上のシクロデキストリン及び/又はその誘導体が用いられる、アムロジピンベシル酸塩の苦味抑制剤。
[2]シクロデキストリン及び/又はその誘導体がβ−シクロデキストリン及びその誘導体である、[1]に記載の苦味抑制剤。
[3]β-シクロデキストリンの誘導体がヒドロキシプロピル化β-シクロデキストリンである、[1]又は[2]に記載の苦味抑制剤。
[4]アムロジピンベシル酸塩とシクロデキストリン及び/又はその誘導体とを溶媒中で混合する工程を含み、シクロデキストリン及び/又はその誘導体はアムロジピンベシル酸塩1モルに対して0.1モル以上とする、アムロジピンベシル酸塩の苦味抑制方法。
[5]シクロデキストリン及び/又はその誘導体がβ−シクロデキストリン及びその誘導体である、[4]に記載の苦味抑制方法。
[6]β-シクロデキストリンの誘導体がヒドロキシプロピル化β-シクロデキストリンである、[4]又は[5]に記載の苦味抑制方法。
[7]アムロジピンベシル酸塩とβ-シクロデキストリン及び/又はその誘導体とを溶媒中で混合して、苦味を低減させたアムロジピンベシル酸塩含有溶液を得る工程を含み、β-シクロデキストリン及び/又はその誘導体はアムロジピンベシル酸塩1モルに対して0.1モル以上とする、アムロジピンベシル酸塩含有医薬組成物の製造方法。
[8]上記医薬組成物が内服用液体製剤である、[7]に記載の製造方法。
カプセルや錠剤の形態のようにアムロジピンベシル酸塩の外側を被覆することで苦味を遮断する技術とは異なるアムロジピンベシル酸塩の苦味抑制方法及びそれに使用する苦味抑制剤を提供することができる。
以下に記載する本発明の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明は、シクロデキストリン及び/又はその誘導体を有効成分として含む、アムロジピンベシル酸塩の苦味抑制剤を提供する。
アムロジピンは、高血圧及び他の医学的適応症の治療用に開発されたカルシウムチャネル拮抗剤である。その化学名は、3−エチル−5−メチル−(+−)−2−[(2−アミノエトキシ)メチル]−4−(2−クロロフェニル)−l,4−ジヒドロ−6−メチルピリジン−3,5−ジカルボキシレートである。アムロジピンはモノベンゼンスルホナート塩、すなわちアムロジピンベシル酸塩として市販されている。アムロジピンベシル酸塩は苦味を有する。アムロジピンは、ジヒドロピリジン系化合物である。ジヒドロピリジン系のカルシウムチャネル拮抗剤としては、アムロジピンの他に、ニフェジピンやニカルジピンがある。
シクロデキストリン(本明細書中で「CD」と表記する場合がある)は、別名環状オリゴ糖といい、環状のα−1,4−グルカンであり、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼが澱粉等のα−1,4−グルカンに作用することにより、その分子内転移反応によって生成される。その重合度は主として6、7、8であり、それぞれα−CD、β−CD、γ−CDと呼ばれる。
本発明において、「苦味」とは、口腔内や咽頭部で感じる苦味や渋みを含む不快な違和感を総称するものである。本明細書において「苦味を抑制する」「苦味抑制」とは、苦味物質が口腔内に存在する場合に感じる苦味が、抑制、低減、隠ぺいまたはマスキングされることをいい、苦味と共に渋みを含む不快な違和感が抑制、低減、隠ぺいまたはマスキングされることを含んでもよい。「抑制」は、「苦味抑制剤」を使用しない場合に比較して、使用した場合に口腔内で感じる「苦味」が、いくらか減少することをいい、苦味を全く感じない場合や、ある程度感じるが患者にとって許容可能である場合を含んでもよい。本発明の苦味抑制剤は、シクロデキストリン及び/又はその誘導体を有効成分として含み、アムロジピンベシル酸塩の苦味を抑制することができる。
本発明が提供するアムロジピンベシル酸塩の苦味抑制剤は、アムロジピンベシル酸塩1モルに対して、わずか0.1モル以上のシクロデキストリン及び/又はその誘導体を用いるだけでも、苦味抑制効果を奏する。本発明の苦味抑制剤では、1モルのアムロジピンベシル酸塩に対して、0.1モル以上、0.2モル以上、0.5モル以上、1モル以上、2モル以上、3モル以上、4モル以上、5モル以上、10モル以上、20モル以上、21モル以上、22モル以上、23モル以上、24モル以上、25モル以上、26モル以上、27モル以上、28モル以上、29モル以上、30モル以上、あるいは40モル以上のシクロデキストリン及び/又はその誘導体を用いることができる。
本発明の苦味抑制剤は、一実施態様において、アムロジピンベシル酸塩1モルに対して3から50モルのシクロデキストリン及び/又はその誘導体が用いられる。1モルのアムロジピンベシル酸塩に対して、3モル以上のシクロデキストリン及び/又はその誘導体を用いることで、アムロジピンベシル酸塩の苦味が許容可能な程度に抑制されるためである。また、アムロジピンベシル酸塩1モルに対して、50モル以下のシクロデキストリン及び/又はその誘導体の添加であればコストが抑えられ、またアムロジピンベシル酸塩とシクロデキストリン及び/又はその誘導体との混合物を乾燥物としてもあまり嵩張らないためである。
本発明の苦味抑制剤は、好ましい実施態様において、アムロジピンベシル酸塩1モルに対して3から50モルのβ-シクロデキストリン及び/又はその誘導体が用いられる。1モルのアムロジピンベシル酸塩に対して、3モル以上のβ-シクロデキストリン及び/又はその誘導体を用いることで、3モル以上のα-又はγ-シクロデキストリン及び/又はその誘導体を用いた場合と比較して、アムロジピンベシル酸塩の苦味が顕著に抑制されるためである。
本発明の苦味抑制剤は、別の好ましい実施態様において、アムロジピンベシル酸塩1モルに対して、10から40モルのβ-シクロデキストリン及び/又はその誘導体が用いられる。1モルのアムロジピンベシル酸塩に対して、10モル以上のβ-シクロデキストリン及び/又はその誘導体を用いることで、10モル以上のα-又はγ-シクロデキストリン及び/又はその誘導体を用いた場合と比較して、アムロジピンベシル酸塩の苦味が顕著に抑制されるためである。また、アムロジピンベシル酸塩1モルに対して、40モル以下のシクロデキストリン及び/又はその誘導体の添加であればコストが抑えられ、またアムロジピンベシル酸塩とシクロデキストリン及び/又はその誘導体との混合物を乾燥物としても嵩張らないためである。
本発明の苦味抑制剤の有効成分であるシクロデキストリン及び/又はその誘導体は、その種類に制限ないが、特にβ−CD及び/又はその誘導体が好ましい。β−CD及び/又はその誘導体は、アムロジピンベシル酸塩の苦味を抑制する効果が高いためである。好ましい一実施態様では、本発明の苦味抑制剤の有効成分であるシクロデキストリン及び/又はその誘導体は、β−CDである。
本発明のシクロデキストリン誘導体としては、置換基として例えば炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を有するもの、炭素数1〜2のアルキル基を有するもの、1〜2残基からなる糖類を有するものが挙げられ、具体的には、ヒドロキシプロピル化CD、ヒドロキシブチル化CD、メチル化CD、マルトシル化CD(分岐CD)などが挙げられる。本発明の苦味抑制剤の有効成分であるシクロデキストリン及び/又はその誘導体は、ヒドロキシプロピル化β−CDであることができる。ヒドロキシプロピル化β−CDは水への溶解性が高いためである。
シクロデキストリンは、立体的に見れば、いわば底のないバケツ様またはドーナツ状の構造をしており、空洞外部が親水性であるのに対し、空洞内部が疎水性を示すという特徴を有する。この特徴により、CDは空洞内部に特定の有機分子(ゲスト分子)を包み込むように取込む現象(包接)を示し、包接複合体が形成される。一般にCDによるゲスト分子の包接は、シクロデキストリンの空洞のサイズ及びゲスト分子のサイズ又はゲスト分子の構造の一部のサイズが一致する場合に起こり得る。また、CD空洞内部は疎水性であるため、ゲスト分子が疎水性である場合の方が比較的包接されやすい傾向がある。
シクロデキストリンの中でも、β−CDは生産量が多く安価であるため、最もよく利用されている。しかし、β−CDは、α−CD及びγ−CDに比較して、水溶解性が低いため、可溶化には不利であるといわれている。水溶解性を改良するために、例えばヒドロキシプロピル化β−CDやメチル化β−CDなどの誘導体が開発されている。γ−CDは、3種類のCDの中で最も空洞が大きく、水溶解性が高い。α−CDは、β−CDやγ−CDに比較して空洞内径が小さいため、包接するゲスト分子の大きさもβ−CDやγ−CDに比較して小さい分子が包接されると考えられている。
ゲスト分子全体がシクロデキストリンより明らかに大きいものでも包接による効果が観察される場合があり、ゲスト分子が部分的にでも、ホストCDの空洞にフィットすればよいと考えられる。CDの包接能は、ホストCDとゲスト分子の化学的な相互作用により影響をうける。ホストCDとゲスト分子間の相互作用には、疎水作用、ファンデルワールス力、イオン−イオン相互作用、双極子相互作用、水素結合があり、これらの相互作用が協同的に機能していると考えられる。本発明は特定の理論に拘束されるものではないが、1つのアムロジピン分子に対して、複数のCD及び/又はその誘導体が作用していると考えられ、CD及び/又はその誘導体とアムロジピン分子の間には、包接以外にも、相互作用が存在すると考えられる。
本発明に用いるCD及び/又はその誘導体は、結晶品、非結晶粉末品、シラップなどの形態のものを用いてもよい。また、CD及び/又はその誘導体以外に、それらの生成や調製の過程の副産物として含まれる、例えば、マルトオリゴ糖、その他糖質などを含有しているものを用いてもよい。
本発明により提供されるアムロジピンベシル酸塩の苦味抑制剤は、水を含む溶媒中でアムロジピンベシル酸塩と混合することができる。CD又はその誘導体の包接作用は、CD又はその誘導体の水溶液の状態で生じるためである。
本発明により、アムロジピンベシル酸塩とシクロデキストリン及び/又はその誘導体とを溶媒中で混合する工程を含み、シクロデキストリン及び/又はその誘導体はアムロジピンベシル酸塩1モルに対して0.1モル以上とする、アムロジピンベシル酸塩の苦味抑制方法が提供される。
アムロジピンベシル酸塩とシクロデキストリン及び/又はその誘導体とを溶媒中で混合する工程は、溶媒に、アムロジピンベシル酸塩とシクロデキストリン及び/又はその誘導体とを溶解することにより実施することができ、アムロジピンベシル酸塩とシクロデキストリン及び/又はその誘導体は、いずれを先に溶媒に添加し溶解してもよく、同時に添加し溶解してもよい。あるいは、アムロジピンベシル酸塩を溶媒に溶解したアムロジピンベシル酸塩溶液にCDを粉末状若しくは溶液として添加し、撹拌することで調製することもできる。溶媒は、殺菌水や精製水、エタノールのような一価アルコール、グリセロールのような多価アルコール及びそれらの混合物から選択することができる。アムロジピンベシル酸塩の溶解度を高めるために、アムロジピンベシル酸塩をエタノール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの有機溶媒に先ず溶解し、次に水と混合することができる。CDの溶解度を高めるため、アムロジピンベシル酸塩とCD及び/又はその誘導体を加えた溶媒を、加熱撹拌することができる。加熱撹拌する際、例えば温度60〜85℃に溶媒を加熱することができる。
本発明の苦味抑制方法では、1モルのアムロジピンベシル酸塩に対して、0.1モル以上、0.2モル以上、0.5モル以上、1モル以上、2モル以上、3モル以上、4モル以上、5モル以上、10モル以上、20モル以上、21モル以上、22モル以上、23モル以上、24モル以上、25モル以上、26モル以上、27モル以上、28モル以上、29モル以上、30モル以上、あるいは40モル以上のシクロデキストリン及び/又はその誘導体を混合することができる。本発明の苦味抑制方法では、一実施態様において、シクロデキストリン及び/又はその誘導体はアムロジピンベシル酸塩1モルに対して3から50モルとすることができる。また、別の実施態様において、シクロデキストリン及び/又はその誘導体はアムロジピンベシル酸塩1モルに対して10から40モルとすることができる。
本発明の苦味抑制方法に用いられるシクロデキストリン及び/又はその誘導体は、その種類に特に制限ないが、特にβ−CD及び/又はその誘導体が好ましい。β−CD及び/又はその誘導体は、アムロジピンベシル酸塩の苦味を抑制する効果が高いためである。
本発明の苦味抑制方法では、好ましい一実施態様において、アムロジピンベシル酸塩1モルに対して、3から50モルのβ−シクロデキストリン及び/又はその誘導体を用いることができる。1モルのアムロジピンベシル酸塩に対して、3モル以上のβ-シクロデキストリン及び/又はその誘導体を用いることで、3モル以上のα-又はγ-シクロデキストリン及び/又はその誘導体を用いた場合と比較して、アムロジピンベシル酸塩の苦味が顕著に抑制されるためである。
本発明の苦味抑制方法では、別の好ましい一実施態様において、アムロジピンベシル酸塩1モルに対して、10から40モルのβ−シクロデキストリン及び/又はその誘導体を用いることができる。1モルのアムロジピンベシル酸塩に対して、10モル以上のβ-シクロデキストリン及び/又はその誘導体を用いることで、10モル以上のα-又はγ-シクロデキストリン及び/又はその誘導体を用いた場合と比較して、アムロジピンベシル酸塩の苦味が顕著に抑制されるためである。
本発明により苦味が抑制されたアムロジピンベシル酸塩溶液は、凍結乾燥または噴霧乾燥などの乾燥工程を経て粉末化することができる。
本発明により提供されるアムロジピンベシル酸塩の苦味抑制方法について、苦味抑制の評価は、パネラーによる官能評価試験及び/又は機器測定(味認識装置、味覚センサー)により実施することができる。苦味マスキングに関し、官能検査の結果と味覚センサー出力は高く相関しており、味覚センサーは苦味マスキングを検知可能であることが示されている(Ono et al. Journal of Pharmaceutical Sciences 100:1935-1943, 2011)。
本発明により、アムロジピンベシル酸塩とβ-シクロデキストリン及び/又はその誘導体とを溶媒中で混合して、苦味を低減させたアムロジピンベシル酸塩含有溶液を得る工程を含み、β-シクロデキストリン及び/又はその誘導体はアムロジピンベシル酸塩1モルに対して0.1モル以上とする、アムロジピンベシル酸塩含有医薬組成物の製造方法が提供される。
アムロジピンベシル酸塩とβ-シクロデキストリン及び/又はその誘導体とを溶媒中で混合して、苦味を低減させたアムロジピンベシル酸塩含有溶液を得る工程は、上記のアムロジピンベシル酸塩の苦味抑制方法と同様の方法で実施することができ、同様の溶媒を用いることができる。
本発明により提供される医薬組成物の製造方法では、上記のアムロジピンベシル酸塩の苦味抑制方法と同様のモル比で、アムロジピンベシル酸塩及びシクロデキストリン及び/又はその誘導体を用いることができる。
本発明の製造方法により製造されたアムロジピンベシル酸塩含有医薬組成物は、CDの他に、必要に応じて薬学的に許容可能な添加剤を含むことができる。薬学的に許容可能な添加剤として、賦形剤、分解剤、結合剤、コーティング剤、膨潤剤、流動促進剤(glidant)、滑剤、香味料、甘味料又は可溶化剤を挙げることができるが、これらに限定されない。より具体的には、薬学的に許容可能な添加剤、例えば、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ラクトース、マンニトール及びその他の糖、タルク、ラクトアルブミン、ゼラチン、デンプン、セルロース及びその誘導体、動物及び植物油、並びにポリエチレングリコールである。本発明の製造方法により製造された医薬組成物は、顆粒、粉末、被覆錠剤、マイクロカプセル、シロップ、ドライシロップ、エリキシル、懸濁液、エマルション、またはドロップなどいずれの形態で用いてもよい。
本発明の製造方法により製造されたアムロジピンベシル酸塩含有医薬組成物は、アムロジピンベシル酸塩が治療効果及び/又は予防効果を奏する疾患を患っているか若しくは患っていることが疑われる対象の治療剤または予防剤として用いることができる。具体的には、高血圧症・狭心症治療薬として用いることができる。投与の対象は、ヒトを含む哺乳動物である。
一実施態様では、本発明の製造方法により製造された医薬組成物は内服用液体製剤であることができる。本発明は特定の理論に拘束されるものではないが、本発明の製造方法では、CDはアムロジピンベシル酸塩の分子自体に作用し苦味をマスキングすると考えられ、液状でも苦味が抑制されており、内服用液体製剤としても、患者は苦味を感じにくい。内服用液体製剤は、用量調節も容易である。したがって、本発明の一実施態様によれば、嚥下能力が低下している患者に対しても投与でき、また、容易に用量調節ができるため高齢者への慎重投与に適した、アムロジピンベシル酸塩含有内服用液体製剤を提供することができる。アムロジピンベシル酸塩の臨床用量はアムロジピン換算で2.5mg〜10mg(1日1回投与)である。高齢者や嚥下障害のある患者にとって服用量が少ない方が服用は容易であることから、内服用液体製剤中のアムロジピンベシル酸塩濃度は、少なくとも0.347mg/mL(アムロジピン換算で0.25mg/mL)とすることが好ましい。
以下の例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。本明細書において特に記載の無い場合は「%」は質量%を意味し、また「固形分」当たりの割合(含有量)や「固形分」の含有割合(濃度)に言及した場合には、固形成分の質量に基づいて定められた割合を意味するものとする。
〔実施例1:アムロジピンベシル酸塩の不快な苦味の抑制〕
超純水にそれぞれ終濃度が10mM、0.5mMになるように塩化カリウム、アムロジピンベシル酸塩を溶解し、これをアムロジピンベシル酸塩溶液とした。ここに、終濃度が0〜20mMとなるようにα−CD、β−CD、γ−CD又はヒドロキシプロピル化β−CD(HP-β-CD)を加えて完全に溶解させた。
アムロジピンベシル酸塩溶液の苦味を、味認識装置「SA402B」(株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー製)および苦味センサーAC0を用いてCPA(Change of Membrane Potential by Absorption)値(mV)を測定することにより行った。アムロジピンベシル酸塩溶液のCD添加による苦味抑制効果は、CPA相対値により評価した。CD濃度が0mMの溶液のCPA値を100%とし、10mM塩化カリウムのみの溶液のCPA値を0%とした場合の、各CD添加濃度におけるCPA相対値を表1に示した。CPA相対値は、3回の測定データの平均値である。CPA相対値が高いほど苦味が強いことを示すため、表1に示した相対値が低いほど、CD添加による苦味抑制効果が高いことを示す。
表1に示すように、アムロジピンベシル酸塩溶液のCPA相対値に比べて、各種CDの添加によりCPA相対値が低減されており、その効果は添加濃度に依存していた。特に、β−CDを添加した場合により良好な苦味低減効果が見られた。
〔実施例2:β−CDによるアムロジピンベシル酸塩の不快な苦味の抑制〕
実施例1の方法で調製したアムロジピンベシル酸塩溶液に、終濃度が0−0.1mMとなるようにβ−CDを溶解した。
上記で調製した溶液のCPA相対値は、味認識装置および苦味センサーAC0を使用して実施例1の方法で実施した。結果を表2に示す。
このように、0.5mMアムロジピンベシル酸塩溶液に対して、添加するβ−CDが等モル以下の場合にも苦味低減効果を確認した。
〔実施例3:内服液の製造例〕
製造例1:アムロジピンベシル酸塩0.347mg/mL
1.精製水70mLに、アムロジピンベシル酸塩34.7mgを溶解する。
2.アムロジピンベシル酸塩水溶液に、β−CD681mgを溶解する。
3.上記混合液に香料を加え、更に精製水を加えて100mLとする。
製造例1の内服液は、苦味が抑制され、医薬品として許容できる味である。
製造例2:アムロジピンベシル酸塩1.73mg/mL
1.精製水70mLに、アムロジピンベシル酸塩173mgを溶解する。
2.アムロジピンベシル酸塩水溶液に、ヒドロキシプロピル化β−CD18.5gを溶解する。
3.上記混合液に香料を加え、更に精製水を加えて100mLとする。
製造例2の内服液は、苦味が非常に抑制され、医薬品として許容できる味である。

Claims (8)

  1. シクロデキストリン及び/又はその誘導体を有効成分として含み、アムロジピンベシル酸塩1モルに対して0.1モル以上のシクロデキストリン及び/又はその誘導体が用いられる、アムロジピンベシル酸塩の苦味抑制剤。
  2. シクロデキストリン及び/又はその誘導体がβ−シクロデキストリン及びその誘導体である、請求項1に記載の苦味抑制剤。
  3. β-シクロデキストリンの誘導体がヒドロキシプロピル化β-シクロデキストリンである、請求項1又は2に記載の苦味抑制剤。
  4. アムロジピンベシル酸塩とシクロデキストリン及び/又はその誘導体とを溶媒中で混合する工程を含み、シクロデキストリン及び/又はその誘導体はアムロジピンベシル酸塩1モルに対して0.1モル以上とする、アムロジピンベシル酸塩の苦味抑制方法。
  5. シクロデキストリン及び/又はその誘導体がβ−シクロデキストリン及びその誘導体である、請求項4に記載の苦味抑制方法。
  6. β-シクロデキストリンの誘導体がヒドロキシプロピル化β-シクロデキストリンである、請求項4又は5に記載の苦味抑制方法。
  7. アムロジピンベシル酸塩とβ-シクロデキストリン及び/又はその誘導体とを溶媒中で混合して、苦味を低減させたアムロジピンベシル酸塩含有溶液を得る工程を含み、β-シクロデキストリン及び/又はその誘導体はアムロジピンベシル酸塩1モルに対して0.1モル以上とする、アムロジピンベシル酸塩含有医薬組成物の製造方法。
  8. 前記医薬組成物が内服用液体製剤である、請求項7に記載の製造方法。
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