本発明は、使い捨て着用物品の伸縮構造、及びこの伸縮構造を有するパンツタイプ使い捨て着用物品に関するものである。
使い捨て着用物品においては、各部のフィット性を改善するために伸縮構造を設けることが一般的となっている。例えば、パンツタイプやテープタイプの使い捨ておむつにおいては、胴周り部に胴周り方向の伸縮構造を設けたり、脚周り部に脚周りに沿う方向の伸縮構造を設けたりすることが広く行われている。さらに、パンツタイプやテープタイプの使い捨ておむつはもちろん、生理用ナプキンを含めた使い捨て着用物品全般にわたり、立体ギャザーや平面ギャザーと呼ばれる前後方向の伸縮構造を設けることも広く行われている(例えば、特許文献1〜3参照)。
このような使い捨て着用物品の伸縮構造の代表的なものは、重なり合う第1不織布層及び第2不織布層の間に、伸縮方向に沿ってかつ互いに間隔を空けて設けられた細長状の弾性部材を備えるものである。第1不織布層及び第2不織布層は面状の伸縮領域を形成するとともに、弾性部材を被覆、隠蔽する役割を担い、第1不織布層及び第2不織布層間に内蔵される弾性部材は、弾性伸縮のための力を生み出す役割を担うものである。弾性部材は、伸縮方向に伸長された状態で、少なくとも伸縮領域の両端部に位置する部分が第1不織布層及び第2不織布層に固定される。この固定により、弾性部材と第1不織布層及び第2不織布層とが一体化され、第1不織布層及び第2不織布層は弾性部材の収縮力により収縮して襞(皺状のものも含む。自然長状態だけでなく、弾性部材が伸長した状態でも形成される。以下、単に襞ともいう。)が形成され、またこの収縮状態から弾性部材の収縮力に抗して伸長されると、襞が展開される。通常、第1不織布層及び第2不織布層は弾性伸長限界では襞が無い展開状態となり、弾性部材の収縮に伴って襞が寄り、自然長状態では最も密に襞が寄る。
このような伸縮構造では、第1不織布層及び第2不織布層が互いに自由であると、一方の不織布層が他方の不織布層に対して部分的又は全体的に浮いて不必要な襞や膨らみを生じるおそれがあり、装着時のフィット性の悪化やずれの原因ともなるため、第1不織布層及び第2不織布層はそのほぼ全体にわたり直接的又は間接的に接合されている必要がある。また、弾性部材により伸縮性を生み出すため、弾性部材は伸縮領域の伸縮方向の全体にわたり延在され、かつ少なくとも伸縮領域の伸縮方向の両端部に位置する部分は第1不織布層及び第2不織布層に対して固定され、自然長状態では弾性部材の収縮に伴い第1不織布層及び第2不織布層も収縮されている必要がある。つまり、第1不織布層及び第2不織布層間の接合と、第1不織布層及び第2不織布層に対する弾性部材の固定とが必要となるのである。
現在では、弾性部材を第1不織布層及び第2不織布層に固定する手段としては、ほとんどの場合、ホットメルト接着剤が選択されている。一方、第1不織布層及び第2不織布層間の接合形態は、ホットメルト接着剤の使用量を低減するために、超音波溶着等の溶着により行うことも多くなってきているが、ホットメルト接着剤により行う形態も根強く利用されている。例えば、弾性部材の通過位置でホットメルト接着剤を介して第1不織布層及び第2不織布層を接合することにより、第1不織布層及び第2不織布層の接合と、第1不織布層及び第2不織布層に対する弾性部材の固定とを兼ねる兼用形態の他、伸縮方向に間欠的に配された、伸縮方向と直交する方向に連続するホットメルト接着剤を介して第1不織布層及び第2不織布層を接合する形態や、伸縮方向と直交する方向に間欠的に配された、伸縮方向に実質的に連続するホットメルト接着剤を介して第1不織布層及び第2不織布層を接合する形態が知られている。(特許文献1〜6参照)
他方、主に通気性を改善するために、第1不織布層及び第2不織布層として、厚み方向に貫通する孔を設けた有孔不織布を用いたものが提案されている(例えば特許文献7〜9参照)。
有孔不織布としては、図16(d)に示すように孔14の周縁が繊維の切断端により形成されている打ち抜きタイプの孔を有するものの他、図16(a)〜(c)に示すように、孔14の周縁に繊維の切断端がほとんど無く、ピンが繊維間に挿入されて押し広げられて形成されたピン挿入タイプの孔14を有するものがある。後者は、製造時に廃材(打ち抜きにより生じる切れ端)が発生しないため好ましいものである。
ピン挿入タイプの有孔不織布は、ピン出口側(ピン挿入側と反対側)における孔14の縁部に繊維がピン出口側に押し出されることにより突出部(バリ)14eが形成される。
しかし、この場合、突出部の存在によって有孔不織布の厚みが増加し、その結果として伸縮構造をつかんだり、触れたりしたときの肉厚感が増加することは避けられない。
特開2004−229857号公報
特開2013−132331号公報
特開2014−207973号公報
特開2017−064126号公報
特開2017−064133号公報
特開2017−164034号公報
特開2015−107223号公報
特開2015−128573号公報
特開2015−192862号公報
そこで、本発明の主たる課題は、ピン挿入タイプの有孔不織布を用いた伸縮構造における、肉厚感を低減することにある。
上記課題を解決した使い捨て着用物品の伸縮構造等は以下のとおりである。
<第1の態様>
一部又は全部が重なり合う第1不織布層及び第2不織布層と、これら第1不織布層及び第2不織布層の間に伸縮方向と直交する直交方向に間隔を空けて配置された、伸縮方向に沿って延びる複数本の細長状の弾性部材とを有し、
前記弾性部材は、少なくとも伸縮領域における前記伸縮方向の両端部が前記第1不織布層及び第2不織布層に固定されており、
前記伸縮領域は、前記第1不織布層及び第2不織布層が接合されたシート接合部を有しており、
前記第1不織布層及び第2不織布層の少なくとも一方は、厚み方向に貫通する孔が配列された有孔不織布である、
使い捨て着用物品の伸縮構造において、
前記孔の径は、前記有孔不織布における厚み方向の一方から他方に向かうにつれて小さくなっており、
前記有孔不織布の少なくとも一方の面における前記孔の縁部は、繊維が厚み方向に押し出された突出部となっている、
前記孔の伸縮方向の寸法は0.3〜3.0mmであり、
前記孔の直交方向の寸法は0.3〜5.0mmであり、
前記有孔不織布は、繊度0.1〜5.0dtex、目付け15〜20g/m2、厚み0.3〜0.8mmの長繊維不織布である、
ことを特徴とする使い捨て着用物品の伸縮構造。
(作用効果)
本発明者は、特定範囲の繊度、目付け及び厚みを有する長繊維不織布に、ピンの挿入により、特定範囲の寸法の孔を形成すると、孔の縁部に形成される突出部が特に低くなることを知見した。突出部が低くなる理由は、以下のとおりであると考えられる。すなわち、不織布にピンを挿入し始めると、ピンの近傍の繊維がピン出口側に向かって徐々に押されていく。ここで、不織布の繊維が厚み方向に押し出されやすいと、ピン挿入孔の形成時、ピンの近傍の繊維のほとんどがピン出口側に押し出され、突出部の高さが高くなる。例えば、短繊維不織布はこの傾向が強い。
これに対して、上述の特定範囲の長繊維不織布の場合、ピン挿入孔の形成時、繊維が厚み方向に押し出されにくい。これは、ピンの挿入により力が加わる繊維は、不織布全体にわたり絡まりながら連続(連続繊維)しており、ピンの挿入により力が加わる部分の繊維の移動がその外側につながる部分により抑制されるためである。さらに、上述の特定範囲の長繊維不織布は、基本的に適度に低い繊維密度を有するため、厚み方向と直交する方向への繊維の移動が比較的に容易である。この結果、上述の特定範囲の長繊維不織布にピンを挿入し、上述の特定範囲の寸法の孔を形成すると、ピンの挿入時、ピンの近傍の繊維がピンの挿入方向を中心とした放射方向に押し出されながらピン出口側に向かって移動するため、突出部は形成されるもののその高さは低くなる。また、そのため、孔の縁部には周囲よりも繊維密度の高い高密度部が形成される。
本伸縮構造は上記知見に基づくものであり、上述の有孔不織布を用いることにより、一方の面における孔の縁部に突出部を有するピン挿入タイプの有孔不織布でありながら、伸縮構造の肉厚感を低減できるものである。
<第2の態様>
前記第1不織布層及び第2不織布層のうち、装着者の肌側に位置する方は、繊度1.0〜8.0dtex、目付け18〜25g/m2、厚み0.5〜2.0mmの無孔の短繊維不織布であり、装着者の肌側と反対側に位置する方が前記有孔不織布である、
第1の態様の使い捨て着用物品の伸縮構造。
(作用効果)
使い捨て着用物品の伸縮構造は肌に接する部分に採用されることが多い。また、使い捨て着用物品では、肌触りを向上させる場合には短繊維不織布を用いることが望ましい。しかし、前述のように短繊維不織布を用いてピン挿入タイプの有孔不織布を用いると、孔の縁部に形成される突出部が高くなってしまう。よって、本態様の伸縮構造のように、装着者の肌側に位置する方は無孔の短繊維不織布とし、良好な肌触りを確保しつつ、装着者の肌側と反対側に位置する方は有孔の長繊維不織布とし、肉厚感を抑制するのは一つの好ましい形態である。また、長繊維不織布は、短繊維不織布よりも強度に優れるため、伸縮構造の強度を確保する上でも、本態様の伸縮構造は好ましいものである。
<第3の態様>
前記有孔不織布における前記突出部を有する面が、対向する不織布層側に位置しており、
前記シート接合部は、前記直交方向に間隔を空けて、かつ前記伸縮方向に実質的に連続する横縞状パターンで塗布された接着剤を介して、前記第1不織布層及び第2不織布層が接合されたものであり、
前記孔の配列は、前記直交方向に間隔を空けて並ぶ孔の列が、伸縮方向に間隔を空けて並ぶものである、
第1又は2の態様の使い捨て着用物品の伸縮構造。
(作用効果)
本伸縮構造のように横縞状のパターンのシート接合部を有する伸縮構造は、概ね第1不織布層及び第2不織布層が互いに沿うような波状をなして表裏両面に襞が形成されるため、自然長状態での手触りが柔軟(手触りが滑らかで、襞が厚み方向に潰れやすくなる)になる特徴を有する。このように第1不織布層及び第2不織布層が互いに沿う伸縮構造では、有孔不織布の突出部の高さに起因する肉厚感の増加を特に感じやすくなる。
また、有孔不織布における突出部が外側に露出していると肌触りを悪化させるおそれがある。このため、有孔不織布における突出部を有する面は、伸縮構造の内部に隠れるように、対向する不織布層側に位置することが好ましい。
しかし、この場合、伸縮方向に実質的に連続するシート接合部を接着剤で形成すると次のような問題点を有する。すなわち、接着剤の塗布位置と孔の位置とを正確に合わせることが困難なため、一部の接着剤の塗布部分が伸縮方向に間隔を空けて並ぶ多数の孔と重なる可能性がある。また、シート接合部の直交方向の中心間隔と、孔の列における孔の直交方向の中心間隔とが異なる場合も同様である。ここで、有孔不織布における突出部を有する面が、対向する不織布層側に位置していると、孔を有する位置では突出部でしか第1不織布層及び第2不織布層が接触せず、突出部の近傍では第1不織布層及び第2不織布層が離間した状態となるため、突出部及びその近傍の接着が弱くなるおそれがある。この結果、伸縮を繰り返す等により外力が加わると、シート接合部が剥離し、剥離部分において局所的に襞が大きくなり、外観が顕著に悪化する。
これに対して、前述の特定範囲の有孔不織布を用い、孔の縁部に形成される突出部の高さを低く抑えると、前述の各種の利点を有しつつ、突出部及びその近傍における第1不織布層及び第2不織布層の接着力の低下を抑えることも可能となる。
なお、シート接合部が「伸縮方向に実質的に連続」しているとは、特許文献4にも記載のように、対象領域を少なくとも伸縮方向と直交する方向(展開状態で第1不織布層及び第2不織布層に平行で、かつ弾性伸縮部材と直交する方向)から見て連続する(途切れなく続く)ことを意味し、その限りにおいて、シート接合部が伸縮方向に連続する(第1不織布層及び第2不織布層が伸縮方向に連続的に接合されている)形態だけでなく、シート接合部が伸縮方向に間欠的に配置される(第1不織布層及び第2不織布層が伸縮方向に間欠的に接合されている)形態も含む意味である。
<第4の態様>
前記孔は、前記伸縮方向の寸法が0.3〜3.0mm、前記直交方向の寸法が0.3〜5.0mmであり、
前記列における前記孔の前記直交方向の間隔が1.0〜5.0mmであり、
前記列の前記伸縮方向の間隔が2.5〜10.0mmであり、
前記直交方向における前記シート接合部の間隔が5〜10mmであり、
前記直交方向における前記シート接合部の寸法:0.5〜5.0mmである
第3の態様の使い捨て着用物品の伸縮構造。
(作用効果)
孔及びシート接合部の配置は適宜定めることができるが、本態様の範囲内であることが好ましい。
<第5の態様>
前記有孔不織布における前記突出部を有する面が、対向する不織布層側に位置しており、
前記シート接合部は、前記第1不織布層及び第2不織布層が接着剤を介して接合された部分であり、
前記接着剤は、前記伸縮方向に間隔を空けて、かつ前記直交方向に連続する縦縞状パターンで塗布されており、
前記孔の配列は、前記直交方向に間隔を空けて並ぶ孔の列が、伸縮方向に間隔を空けて並ぶものである、
第1又は2の態様の使い捨て着用物品の伸縮構造。
(作用効果)
本伸縮構造のように、縦縞状パターンで接着剤塗布されることによりシート接合部が形成されていると、自然長状態を含め、ある程度収縮した状態では、シート接合部は伸縮方向と直交する方向に連続する溝となり、その溝間の非接合部では第1不織布層及び第2不織布層が互いに反対向きに(表裏両側に)同程度に膨出して襞が形成される。この構造は、襞の位置及び形状がシート接合部により決まるため、綺麗にそろった襞を形成しやすいという利点を有する。
また、有孔不織布における突出部が外側に露出していると肌触りを悪化させるおそれがある。このため、有孔不織布における突出部を有する面は、伸縮構造の内部に隠れるように、対向する不織布層側に位置することが好ましい。
しかし、この場合、接着剤が縦縞状パターンで塗布されていると次のような問題点を有する。すなわち、接着剤の塗布位置と孔の位置とを正確に合わせることが困難なため、一部の接着剤の塗布部分が孔の列と重なる可能性がある。また、接着剤の塗布部分の伸縮方向の中心間隔と、孔の列の伸縮方向の中心間隔とが異なる場合も同様である。ここで、有孔不織布における突出部を有する面が、対向する不織布層側に位置していると、孔を有する位置では突出部でしか第1不織布層及び第2不織布層が接触せず、突出部の近傍では第1不織布層及び第2不織布層が離間した状態となるため、突出部及びその近傍の接着が弱くなるおそれがある。この結果、伸縮を繰り返す等により外力が加わると、シート接合部が剥離し、剥離部分において局所的に襞が大きくなり、外観が顕著に悪化する。
これに対して、前述の特定範囲の有孔不織布を用い、孔の縁部に形成される突出部の高さを低く抑えると、前述の各種の利点を有しつつ、突出部及びその近傍における第1不織布層及び第2不織布層の接着力の低下を抑えることも可能となる。
<第6の態様>
前記孔は、前記伸縮方向の寸法が0.3〜3.0mm、前記直交方向の寸法が0.3〜5.0mmであり、
前記列における前記孔の前記直交方向の間隔が2.5〜10.0mmであり、
前記列の前記伸縮方向の間隔が0.5〜5.0mmであり、
前記伸縮方向における前記シート接合部の寸法が0.5〜4mmであり、
前記伸縮方向における前記シート接合部の間隔が4〜8mmである、
第5の態様の使い捨て着用物品の伸縮構造。
(作用効果)
孔及びシート接合部の配置は適宜定めることができるが、本態様の範囲内であると好ましい。
<第7の態様>
前身頃から後身頃にわたる一体的な外装体、又は前身頃及び後身頃に別々に設けられた外装体と、この外装体の幅方向中間部に取り付けられた、股間部の前後両側にわたる内装体と、前身頃における外装体の両側部と後身頃における外装体の両側部とがそれぞれ接合されたサイドシール部と、ウエスト開口及び左右一対の脚開口とを備え、
前記前身頃及び後身頃の少なくとも一方における前記外装体は、少なくとも前後方向の一部の範囲における前記サイドシール部間に対応する幅方向範囲にわたり、第1〜6のいずれか1つの態様の伸縮構造を、その伸縮領域の伸縮方向が幅方向となるように備えている、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨て着用物品。
(作用効果)
前述の伸縮構造は、パンツタイプの使い捨て着用物品の外装体に好適なものである。
本発明によれば、ピン挿入タイプの有孔不織布を用いた伸縮構造における、肉厚感を低減することができる、等の利点がもたらされる。
展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの内面を示す、平面図である。
展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、平面図である。
図1の2−2断面図である。
図1の3−3断面図である。
(a)図1の4−4断面図、及び(b)図1の5−5断面図である。
パンツタイプ使い捨ておむつの斜視図(孔省略)である。
展開状態の内装体の外面を外装体の輪郭とともに示す、平面図である。
展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、平面図である。
(a)図8の4−4断面図、及び(b)図8の5−5断面図である。
孔の配列例を示す平面図である。
展開状態の外装体の要部を拡大して示す平面図である。
要部を示す(a)図11の6−6断面図、(b)図11の7−7断面図、及び(c)収縮状態の断面図である。
展開状態の外装体の要部を拡大して示す平面図である。
要部を示す(a)図13の6−6断面図、(b)図13の7−7断面図、及び(c)収縮状態の断面図である。
要部を示す(a)展開状態の直交方向断面図、(b)展開状態の伸縮方向断面図、及び(c)収縮状態の幅方向断面図である。
有孔不織布の拡大断面図である。
展開状態の外装体の要部を拡大して示す平面図である。
(a)自然長の状態の外装体の外面を示す正面図、(b)自然長の状態の外装体の内面を示す正面図、(c)ある程度伸長した状態の外装体の外面を示す正面図である。
展開状態の外装体の要部を拡大して示す平面図である。
要部を示す(a)図19の6−6断面図、(b)図19の7−7断面図、及び(c)収縮状態の断面図である。
展開状態の外装体の要部を拡大して示す平面図である。
要部を示す(a)図21の6−6断面図、(b)図21の7−7断面図、及び(c)収縮状態の断面図である。
(a)自然長の状態の外装体の要部外面を示す正面図、(b)ある程度伸長した状態の外装体の要部外面を示す正面図である。
以下、パンツタイプ使い捨ておむつの例について、添付図面を参照しつつ詳説する。断面図における点模様部分はその表側及び裏側に位置する各構成部材を接合する接合手段としての接着剤を示している。ホットメルト接着剤は、スロット塗布、連続線状又は点線状のビード塗布、スパイラル状、Z状等のスプレー塗布、又はパターンコート(凸版方式でのホットメルト接着剤の転写)等、公知の手法により塗布することができる。これに代えて又はこれとともに、弾性部材の固定部分では、ホットメルト接着剤を弾性部材の外周面に塗布し、弾性部材を隣接部材に固定することができる。ホットメルト接着剤としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、オレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在するが、特に限定無く使用できる。各構成部材を接合する接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段を用いることもできる。
図1〜図6に示されるパンツタイプ使い捨ておむつは、前身頃Fを構成する前側外装体12F及び後身頃Bを構成する後側外装体12Bと、前側外装体12Fから股間部を経て後側外装体12Bまで延在するように外装体12F,12Bの内側に設けられた内装体200とを備えている。前側外装体12Fの両側部と後側外装体12Bの両側部とが接合されて、サイドシール部12Aが形成されている。この結果、外装体12F,12Bの前後端部により形成される開口が装着者の胴を通すウエスト開口WOとなり、内装体200の幅方向両側において外装体12F,12Bの下縁及び内装体200の側縁によりそれぞれ囲まれる部分が脚を通す脚開口LOとなる。内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装体12F,12Bは着用者の身体に対して内装体200を支えるための部分である。図中の符号Yは展開状態におけるおむつの全長(前身頃Fのウエスト開口WOの縁から後身頃Bのウエスト開口WOの縁までの前後方向長さ)を示しており、符号Xは展開状態におけるおむつの全幅を示している。
また、本パンツタイプ使い捨ておむつは、サイドシール部12Aを有する前後方向範囲(ウエスト開口WOから脚開口LOの上端に至る前後方向範囲)として定まる胴周り領域Tと、脚開口LOを形成する部分の前後方向範囲(前身頃Fのサイドシール部12Aを有する前後方向領域と後身頃Bのサイドシール部12Aを有する前後方向領域との間)として定まる中間領域Lとを有する。胴周り領域Tは、概念的にウエスト開口の縁部を形成する「ウエスト部」Wと、これよりも下側の部分である「ウエスト下方部」Uとに分けることができる。通常、胴周り領域T内に幅方向WDの伸縮応力が変化する境界(例えば弾性部材の太さや伸長率が変化する)を有する場合は、最もウエスト開口WO側の境界よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなり、このような境界が無い場合は吸収体56又は内装体200よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなる。これらの前後方向長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト部Wは15〜40mm、ウエスト下方部Uは65〜120mmとすることができる。一方、中間領域Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うようにコ字状又は曲線状に括れており、ここが装着者の脚を入れる部位となる。この結果、展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつは、全体として略砂時計形状をなしている。
(内外接合部)
内装体200の外装体12F,12Bに対する固定は、特に限定されず、例えばホットメルト接着剤により行うことができる。図示例では、内装体200の裏面、つまりこの場合は液不透過性シート11の裏面及び起き上がりギャザー60の付根部分65に塗布されたホットメルト接着剤を介して外装体12F,12Bの内面に対して固定されている。この内装体200と外装体12F,12Bとを固定する内外接合部201は、両者が重なる領域のほぼ全体に設けることができ、例えば内装体200の幅方向両端部を除いた部分に設けることもできる。
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3〜図5に示されるように、身体側となるトップシート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、トップシート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、トップシート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側部から装着者の脚周りに接するように延び出た起き上がりギャザー60を示している。
(トップシート)
トップシート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
トップシート30の両側部は、吸収要素50の側縁で裏側に折り返しても良く、また折り返さずに吸収要素50の側縁より側方にはみ出させても良い。
トップシート30は、裏側の部材に対する位置ずれを防止する等の目的で、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により裏側に隣接する部材に固定することが望ましい。図示例では、トップシート30はその裏面に塗布されたホットメルト接着剤により中間シート40の表面及び包装シート58のうち吸収体56の表側に位置する部分の表面に固定されている。
(中間シート)
トップシート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、トップシート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、トップシート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、SMS不織布、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド不織布又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m2が好ましく、25〜60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.0〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、おむつの全長と同一でもよいし、吸収要素50の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
中間シート40は、裏側の部材に対する位置ずれを防止する等の目的で、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により裏側に隣接する部材に固定することが望ましい。図示例では、中間シート40はその裏面に塗布されたホットメルト接着剤により包装シート58のうち吸収体56の表側に位置する部分の表面に固定されている。
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。液不透過性シート11には、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。この他にも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂又は疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
液不透過性シート11は、図示のように吸収要素50の裏側に収まる幅とする他、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回り込ませて吸収要素50のトップシート30側面の両側部まで延在させることもできる。この延在部の幅は、左右それぞれ5〜20mm程度が適当である。
(起き上がりギャザー)
起き上がりギャザー60は、横漏れを防止するためのものであり、内装体200の両側部に沿って前後方向LDの全体にわたり延在し、内装体200の側部から表側に起立するものである。図示例の起き上がりギャザー60は、付け根側部分が幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側部分が幅方向外側に向かって斜めに起立するものであるが、これに限定されるものではなく、全体として幅方向中央側に起立する形態等、適宜の変更が可能である。
より詳細に説明すると、図示例の起き上がりギャザー60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザー不織布62を、先端となる部分で幅方向WDに折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状のギャザー弾性部材63を長手方向に沿って伸長状態で、幅方向WDに間隔を空けて複数本固定してなるものである。起き上がりギャザー60のうち先端部と反対側に位置する基端部(幅方向WDにおいてシート折り返し部分と反対側の端部)は、内装体200における液不透過性シート11より裏側の側部に固定された付根部分65とされ、この付根部分65以外の部分は付根部分65から延び出る本体部分66(折り返し部分側の部分)とされている。また、本体部分66は、幅方向中央側に延びる付け根側部分と、この付け根側部分の先端で折り返され、幅方向外側に延びる先端側部分とを有している。この形態は面接触タイプの起き上がりギャザー60であるが、幅方向外側に折り返されない線接触タイプの起き上がりギャザー60も採用することができる。そして、本体部分66のうち前後方向両端部が倒伏状態でトップシート30の側部表面に対して固定された倒伏部分67とされる一方で、これらの間に位置する前後方向中間部は非固定の自由部分68とされ、この自由部分68の少なくとも先端部に前後方向LDに沿うギャザー弾性部材63が伸長状態で固定されている。
以上のように構成された起き上がりギャザー60では、ギャザー弾性部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、本体部分66のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分68とされているため、自由部分68のみが図3に矢印で示すように身体側に当接するように起立する。特に、付根部分65が内装体200の裏側に位置していると、股間部及びその近傍において自由部分68が幅方向外側に開くように起立するため、起き上がりギャザー60が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。
(吸収要素)
吸収要素50は特に限定されるものではないが、本例では吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有するものとなっている。包装シート58は省略することもできる。
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
吸収体56は長方形形状でも良いが、図7にも示すように、前端部、後端部及びこれらの間に位置し、前端部及び後端部と比べて幅が狭い括れ部56Nとを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体と起き上がりギャザー60の、脚周りへのフィット性が向上するため好ましい。
また、吸収体56の寸法は排尿口位置の前後左右にわたる限り適宜定めることができるが、前後方向LD及び幅方向WDにおいて、内装体200の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。なお、符号56Xは吸収体56の幅を示している。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子54としては、この種の使い捨ておむつに使用されるものをそのまま使用できる。
高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が70秒以下、特に40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が遅すぎると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
包装シート58の包装形態は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻き付け、且つその前後縁部を吸収体56の前後からはみ出させ、巻き重なる部分及び前後はみ出し部分の重なり部分をホットメルト接着剤、素材溶着等の接合手段により接合する形態が好ましい。
(外装体)
外装体12F,12Bは、前身頃Fを構成する部分である前側外装体12Fと、後身頃Bを構成する部分である後側外装体12Bとからなり、前側外装体12F及び後側外装体12Bは股間側で連続しておらず、前後方向LDに離間されている(外装二分割タイプ)。この離間距離12dは例えば全長Yの40〜60%程度とすることができる。また、図8及び図9に示すように、外装体12が、前身頃Fから後身頃Bにかけて股間を通り連続する一体的なものとすることもできる(外装一体タイプ)。
外装二分割タイプのパンツタイプ使い捨ておむつでは、前側外装体12F及び後側外装体12Bとの間に内装体200が露出するため、内装体200の裏面に液不透過性シート11が露出しないように、前側外装体12Fと内装体200との間から、後側外装体12Bと内装体200との間にかけて、内装体200の裏面を覆うカバー不織布20を備えていると好ましい。カバー不織布20の素材は特に限定されず、例えば外装体12の外側不織布層12S又は内側不織布層12Hと同様の素材(後述する有孔不織布層でも、無孔不織布層でもよい)とすることができる。カバー不織布20の前後方向範囲は、前側外装体12F及び後側外装体12Bに重なる部分を有している限り特に限定されず、内装体200の前端から後端までの全体にわたり前後方向LDに延在していてもよく、図7に示すように、前側外装体12Fと内装体200とが重なる領域の前後方向中間位置から後側外装体12Bと内装体200とが重なる領域の前後方向中間位置まで前後方向LDに延在していてもよい。
外装体12F,12Bは、胴周り領域Tと対応する前後方向範囲である胴周り部を有する。また、本形態では、前側外装体12Fには中間領域Lと対応する部分を有していないが、後側外装体12Bは胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る臀部カバー部Cを有している。図示しないが、前側外装体12Fにも胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る鼠蹊カバー部を設けたり、鼠径カバー部は設けるものの臀部カバー部は設けない形態としたり、前側外装体12F及び後側外装体12Bの両方に中間領域Lと対応する部分を設けなくても良い。また、図示例では、臀部カバー部Cの下縁は、前側外装体12Fの下縁と同様、幅方向WDに沿う直線状に形成しているが、幅方向外側に向かうにつれてウエスト開口側に位置するようになる曲線とすることもできる。
外装体12F,12Bは、図2〜図5に示されるように、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hにより表裏が形成されている。いうまでもないが、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hのいずれか一方が本発明の第1不織布層に相当し、他方が本発明の第2不織布層に相当する、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hは、図5に示すように、一枚のシート材をウエスト開口側に折目が位置するように折り畳んで形成する他、図9に示すように、二枚のシート材を貼り合わせて形成することもできる。また、これらシート材のうち最も内側に位置する部分12rを内装体200のウエスト開口WO側の端部まで延在させることもできる(図9例を参照)。また、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの少なくとも一方は、その一部が他の部分と異なるシート材により形成されていても良い。
外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの構成繊維としては、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維(単成分繊維の他、芯鞘等の複合繊維も含む)の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等、特に限定なく選択することができ、これらを混合して用いることもできる。不織布層12S,12Hの柔軟性を高めるために、構成繊維を捲縮繊維とするのは好ましい。また、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの構成繊維は、親水性繊維(親水化剤により親水性となった疎水性繊維を含む)であっても、疎水性繊維若しくは撥水性繊維(撥水剤により撥水性となった撥水性繊維を含む)であってもよい。また、不織布は一般に繊維の長さや、シート形成方法、繊維結合方法、積層構造により、短繊維不織布、長繊維不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド(エアスルー)不織布、ニードルパンチ不織布、ポイントボンド不織布、積層不織布(スパンボンド層間にメルトブローン層を挟んだSMS不織布、SMMS不織布等)等に分類されるが、これらのどの不織布も、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hとして用いることができる。
外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの構成繊維の繊度及び目付けは適宜定めることができるが、通常の場合、それぞれ1.8〜6.0dtex程度、10〜30g/m2程度であると好ましい。
(有孔不織布について)
図2、図8、図11及び図12に示すように、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの少なくとも一方は、厚み方向に貫通する孔14が散在する有孔不織布とされる。図11及び図12に示すように、装着者の肌側となる内側不織布層12Hが無孔不織布であり、外側不織布層12Sが有孔不織布であると、孔14の肌触りへの影響を無くすことができる。また、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hのうち一方にしか孔14がないため、装着時に肌が露出することがなく、孔14を通じた漏れを防止することができる。図示しないが、装着者の肌側となる内側不織布層12Hを有孔不織布とし、外側不織布層12Sを無孔不織布としてもよい。図13及び図14に示すように、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの両方が有孔不織布であり、一方の有孔不織布の孔14と、他方の有孔不織布の孔14とが重ならない構造であるのも好ましい。この場合、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの両方を有孔不織布とすることにより、より高い通気性を獲得することができる。また、一方の有孔不織布の孔14と、他方の有孔不織布の孔14とが重ならないため、装着時に肌が露出することがなく、孔14を通じた漏れを防止することができる。図15に示すように、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの両方が有孔不織布であり、一方の有孔不織布の孔14と、他方の有孔不織布の孔14とが完全に又は部分的に重なっていてもよい。また、図示しないが、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの両方が有孔不織布である場合において、大部分(例えば50%以上の面積)では、一方の有孔不織布の孔14と他方の有孔不織布の孔14とが重ならないものの、一部では、一方の有孔不織布の孔14と他方の有孔不織布の孔14とが重なっていてもよい。
個々の孔14の平面形状(開口形状)は、適宜定めることができる。孔14は、図10(b)に示すような長孔形とするほか、図10(e)(f)に示すような真円形、図10(a)(d)に示すような楕円形、三角形、長方形、ひし形等の多角形、星形、雲形等、任意の形状とすることができる。図10(c)に示すように異なる形状の孔が混在していてもよいが、その場合、伸縮方向の寸法がほぼ同じであることが好ましく、すべての孔が単一の形状であるとより好ましい。個々の孔14の寸法は、直交方向XDの寸法(最も長い部分の寸法)14Lは0.3〜5.0mm、特に0.6〜2.0mmとするのが好ましく、伸縮方向EDの寸法(最も長い部分の寸法)14Wは0.3〜3.0mm、特に0.4〜1.5mmとするのが好ましい。孔14の形状が、長孔形、楕円形、長方形、ひし形等のように一方向に長い形状(一方向の全長がこれと直交する方向の全長よりも長い形状)の場合、長手方向の寸法(最も長い部分の寸法)はこれと直交する方向の寸法(最も長い部分の寸法)の1.2〜2.5倍であることが好ましい。また、孔14の形状が一方向に長い形状の場合、孔14の長手方向が前後方向LDであることが望ましいが、幅方向WDや斜め方向であってもよい。
個々の孔14の面積及び面積率は適宜定めればよいが、面積は0.07〜11.8mm2(特に0.19〜2.4mm2)程度であることが好ましく、面積率は1.0〜15.0%(特に5.0〜10.0%)程度であることが好ましい。
孔14の平面配列は適宜定めることができる。一つの好ましい例は、伸縮方向EDと直交する直交方向XDに間隔を空けて並ぶ孔14の列が、伸縮方向EDに間隔を空けて並ぶものである。例えば、図10(a)(c)(d)に示すように、孔14の配列は、直交方向XDに所定の間隔で直線的に並ぶ孔14の列が伸縮方向EDに所定の間隔を空けて繰り返す行列状であると好ましい。この場合、図10(a)に示すように、孔14の伸縮方向EDの間隔14xが孔14の直交方向XDの間隔14yよりも短い配列とする他、図10(c)に示すように、孔14の伸縮方向EDの間隔14xと孔14の直交方向XDとの間隔14yがほぼ等しい配列、又は図10(d)に示すように、孔14の伸縮方向EDの間隔14xが孔14の直交方向XDの間隔14yよりも長い配列とすることができる。また、図10(b)(e)に示すように、直交方向XDに所定の間隔で直線的に並ぶ孔14の列が、伸縮方向EDに間隔を空けてかつ直交方向XDの位置がずれるように並ぶ配列とすることができる。図10(b)に示す例は、隣り合う孔14の列において孔14の配置が互い違いとなる、いわゆる千鳥状(六角格子状)の配列である。また、図10(f)に示すように、隣り合う孔14の列の間が直交方向XDに連続する部分を有する限り、孔14が直交方向に沿う中心線を有する波線状に並ぶものも、伸縮方向EDと直交する方向に並ぶ孔14の列が、伸縮方向EDに間隔を空けて並ぶものに含まれる。
孔14の直交方向間隔14y及び伸縮方向間隔14xはそれぞれ一定であっても、変化してもよい。孔14の直交方向間隔14y及び伸縮方向間隔14xは適宜定めることができるが、通気性を考慮すると、それぞれ14yは0.9〜8.0mm、14xは2.0〜10mm、特に14yは1.0〜3.0mm、14xは3.0〜5.0mmの範囲内とすることが望ましい。
有孔不織布は、図16(d)に示すように孔14の周縁が繊維の切断端により形成されている打ち抜きタイプのものではなく、図16(a)〜(c)に示すように、孔14の周縁に繊維の切断端がほとんど無く、ピンが繊維間に挿入されて押し広げられて孔14が形成されたものである。ピン挿入タイプの有孔不織布は、ピン出口側(ピン挿入側と反対側)における孔14の縁部に繊維がピン出口側に押し出されることにより突出部(バリ)14eが形成される。この突出部14eが外側に露出していると肌触りを悪化させるおそれがある。このため、有孔不織布におけるピン出口側の面(突出部14eを有する面)は、伸縮構造の内部に隠れるように、対向する不織布層側に位置することが好ましい。
ピン挿入タイプの孔14は、孔14の径がピン挿入側から反対側に向かうにつれて小さくなるものである。これには、孔14の径が不織布層の厚み方向の全体にわたり減少し続けるもののほか、厚み方向の中間で孔14の径の減少がほぼなくなるものも含まれる。このようなピン挿入タイプの孔には、図16(a)(c)に示すように、ピン出口側における孔14の縁部に繊維がピン出口側に押し出された突出部(バリ)14eが形成され、ピン挿入側には突出部14eが形成されないものと、図16(b)に示すように、ピン出口側における孔14の縁部に繊維がピン出口側に押し出された突出部14eが形成されるとともに、これよりも低い突出部14eがピン挿入側に形成されるものとが含まれる。さらに、前者のタイプの孔14には、図16(a)に示すように突出部14eの突出高さ14hがほぼ均一であるものと、図16(c)に示すように突出部14eが、突出高さ14iが最も高い対向部分と、これと直交する方向に対向する対向部分であって突出高さ14jが最も低い対向部分とを有するものとが含まれる。突出部14eは孔の周方向に連続して筒状になっていることが望ましいが、一部又は全部の孔14の突出部14eが、孔14の周方向の一部のみに形成されていてもよい。突出高さ14h,14i,14j(光学顕微鏡を用いて測定される圧力を加えない状態での見かけの高さ)は0.2〜1.2mm程度であることが好ましい。また、突出部14eにおける、最も高い突出高さ14iは、最も低い突出高さ14jの1.1〜1.4倍程度であることが好ましい。突出部14eの突出高さは孔14の周方向に変化してもよい。
例えば、図10(a)(b)(d)に示す例のような一方向に長い形状の孔14をピンの挿入により形成すると、孔14の縁部の繊維が外側又は垂直方向に退けられ、孔14の長手方向の対向部分の突出高さiが、長手方向と直交する方向の対向部分の突出高さjよりも高い突出部(バリ)14eが形成される。孔14の突出部14eは、繊維密度がその周囲の部分と比べて低くなっていてもよいが、同程度又は高くなっているのが好ましい。
特徴的には、有孔不織布は、繊度0.1〜5.0dtex(より好ましくは1.0〜3.0dtex)、目付け15〜20g/m2(より好ましくは15〜18g/m2)、厚み0.3〜0.8mm(より好ましくは0.4〜0.7mm)の長繊維不織布とされる。この特定範囲の繊度、目付け及び厚みを有する長繊維不織布に、ピンの挿入により、前述の特定範囲の寸法の孔14を形成すると、孔14の縁部に形成される突出部14eが特に低くなる。よって、この有孔不織布を用いた場合、一方の面における孔14の縁部に突出部14eを有するピン挿入タイプの有孔不織布でありながら、伸縮構造の肉厚感を低減することができる。特に、有孔不織布における突出部14eを有する面が、対向する不織布層側に位置する場合、肉厚感の増加が顕著となるだけでなく、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの間に空気が保持されやすくなり、通気性の低減により蒸れやすくなるおそれがある。よって、このような構造では、突出部の高さの抑制が特に重要となる。
より詳細には、上記特定範囲の長繊維不織布の場合、ピン挿入孔の形成時、繊維が厚み方向に押し出されにくい。これは、ピンの挿入により力が加わる繊維は、不織布全体にわたり絡まりながら連続(連続繊維)しており、ピンの挿入により力が加わる部分の繊維の移動がその外側につながる部分により抑制されるためである。さらに、上述の特定範囲の長繊維不織布は、基本的に適度に低い繊維密度を有するため、厚み方向と直交する方向への繊維の移動が比較的に容易である。この結果、上述の特定範囲の長繊維不織布にピンを挿入し、上述の特定範囲の寸法の孔14を形成すると、ピンの挿入時、ピンの近傍の繊維がピンの挿入方向を中心とした放射方向に押し出されながらピン出口側に向かって移動するため、突出部14eは形成されるもののその高さは低くなる。また、そのため、孔14の縁部には周囲よりも繊維密度の高い高密度部が形成される。
この原理からも分かるように、繊維が太すぎたり、繊維の密度が高すぎたりすると、ピン挿入時に繊維が移動しにくくなり、突出部14eが高くなりやすい。また、繊維の密度が低すぎるとピン挿入後に繊維形状が復元し、孔14の形状が維持しにくくなる。これに対し、上記範囲内の長繊維不織布であれば、突出部14eの高さを抑制しつつ、しっかりとした孔14を形成することができる。
長繊維不織布は特に限定されるものではないが、一層又は複数層のスパンボンド不織布(SS、SSS等)、メルトブローン不織布、一層又は複数層のメルトブローン不織布層を一層又は複数層のスパンボンド不織布層で挟んだ積層不織布(SMS、SSMMS等)を用いることができる。繊維の結合法は特に限定されないが、結合強度を考慮するとサーマルボンド法が好ましく、熱風法のように不織布全体にわたり均一に結合するものよりも、繊維の自由度が高いポイント接着(ポイントボンド)法が好ましい。
本例の外装体12の伸縮構造のように肌に接する部分では、肌触りを向上させるために繊度1.0〜8.0dtex(より好ましくは1.5〜4.0dtex)、目付け18〜25g/m2(より好ましくは20〜25g/m2)、厚み0.5〜2.0mm(より好ましくは0.7〜1.5mm)の短繊維不織布を用いることが好ましい。しかし、前述のように短繊維不織布を用いてピン挿入タイプの有孔不織布を用いると、孔14の縁部に形成される突出部14eが高くなってしまう。よって、装着者の肌側に位置する内側不織布層12Hは無孔の短繊維不織布とし、良好な肌触りを確保しつつ、装着者の肌側と反対側に位置する外側不織布層12Sは有孔の長繊維不織布とし、肉厚感を抑制するのは一つの好ましい形態である。また、長繊維不織布は、短繊維不織布よりも強度に優れるため、伸縮構造の強度を確保する上でも、本態様の伸縮構造は好ましいものである。この場合、短繊維不織布としては、繊維長10〜100mm程度のものが好ましい。また、短繊維不織布の繊維の結合法は特に限定されないが、結合強度を考慮するとサーマルボンド法が好ましく、熱風法のように不織布全体にわたり均一に結合するものが好ましい。
有孔不織布のMD方向(幅方向)の剛軟度は、穿孔加工前の無孔の状態で35〜100mm、特に40〜70mmであると好ましく、穿孔加工後の状態では10〜50mm、特に15〜40mmであると好ましい。
(伸縮領域)
外装体12F,12Bには、外側不織布層12S及び内側不織布層12H間に細長状の弾性部材19が設けられ、弾性部材19の伸縮に伴って幅方向WDに弾性伸縮する伸縮領域A2が形成されている。すなわち、この伸縮領域A2は、自然長の状態では外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが弾性部材の収縮に伴って収縮し、多数の襞80を有する状態となる。また、この伸縮領域A2を幅方向WDに伸長すると、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが襞80なく伸び切る所定の伸長率まで伸長する。弾性部材19としては、細長状のものであれば、糸状、紐状、帯状を問わず用いることができる。また、弾性部材19としては合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。
弾性部材19は、少なくとも伸縮領域A2における伸縮方向EDの両端部が外側不織布層12S及び内側不織布層12Hに固定される。この弾性部材19の固定には、後述する直交方向XDに連続するシート接合部70の形成の結果として、シート接合部70の位置で弾性部材19が外側不織布層12S及び内側不織布層12Hに固定されることも含まれる。
弾性部材19の固定手段は特に限定されないが、ホットメルト接着剤19Hを用いることが好ましい。例えば、図17に示すように、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段により、弾性部材19における伸縮方向EDの両端部の外周面にホットメルト接着剤19Hを間欠的に塗布した後、この弾性部材19を外側不織布層12S及び内側不織布層12H間に挟むことができる。この場合、弾性部材19は、その配置部位で、伸縮領域における伸縮方向EDの両端部のみが外側不織布層12S及び内側不織布層12Hにホットメルト接着剤19Hを介して固定される。図11及び図13に示すように、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段により弾性部材19の外周面にホットメルト接着剤を連続的に塗布した後、この弾性部材19を外側不織布層12S及び内側不織布層12H間に挟むこともできる。この場合、弾性部材19は、その配置部位で、伸縮領域A2における伸縮方向EDの両端部はもちろん、その長手方向全体が外側不織布層12S及び内側不織布層12Hに固定される。他には、図21に示すように、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの少なくとも一方の対向面における、弾性部材19の伸縮方向EDの両端部の配置位置にホットメルト接着剤を塗布した後、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの間に弾性部材19を挟むこともできる。この場合、ホットメルト接着剤は、直交方向XDに連続していてもよいし、直交方向XDに間欠的に配置されていてもよい。さらに、これらの場合、ホットメルト接着剤の連続部分は複数本の弾性部材にわたっていてもよい。
また、伸縮領域A2の直交方向XDの全体にわたり弾性部材19の固定位置を同じとしてもよいが、複数の弾性部材19と交差する一部の範囲を異なるものとすることができる。例えば、ウエスト部Wについては弾性部材19の伸縮方向EDの全体にわたり固定し、ウエスト部W以外については弾性部材19の伸縮方向EDの両端部のみを固定することができる。
図示例のようなパンツタイプ使い捨ておむつの場合、弾性部材19、すなわち伸縮領域は以下の部位に設けることが望ましい。すなわち、外装体12F,12Bのウエスト部Wにおける外側不織布層12S及び内側不織布層12H間には、幅方向WDの全体にわたり連続するように、複数のウエスト部弾性部材17が前後方向に間隔を空けて取り付けられている。また、ウエスト部弾性部材17のうち、ウエスト下方部Uに隣接する領域に配設される1本又は複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。このウエスト部弾性部材17としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度設けるのが好ましく、これによるウエスト部Wの幅方向WDの伸長率は150〜400%、特に220〜320%程度であるのが好ましい。また、ウエスト部Wは、その前後方向LDの全てに同じ太さのウエスト部弾性部材17を用いたり、同じ伸長率にしたりする必要はなく、例えばウエスト部Wの上部と下部で弾性部材17の太さや伸長率が異なるようにしてもよい。
また、外装体12F,12Bのウエスト下方部Uにおける外側不織布層12S及び内側不織布層12H間には、細長状弾性部材からなるウエスト下方部弾性部材15が複数本、前後方向に間隔を空けて取り付けられている。
ウエスト下方部弾性部材15としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度設けるのが好ましく、これによるウエスト下方部Uの幅方向WDの伸長率は200〜350%、特に240〜300%程度であるのが好ましい。
また、後側外装体12Bの臀部カバー部Cにおける外側不織布層12S及び内側不織布層12H間には、細長状弾性部材からなるカバー部弾性部材16が複数本、前後方向に間隔を空けて取り付けられている。
カバー部弾性部材16としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度設けるのが好ましく、これによるカバー部の幅方向WDの伸長率は150〜300%、特に180〜260%であるのが好ましい。
前側外装体12Fに鼠径カバー部を設ける場合には同様にカバー部弾性部材を設けることができる。
(非伸縮領域)
図示例のウエスト下方部Uや臀部カバー部Cのように、吸収体56を有する前後方向範囲に弾性部材15,16を設ける場合には、その一部又は全部において吸収体56の幅方向WDの収縮を防止するために、吸収体56と幅方向WDに重なる部分の一部又は全部を含む幅方向中間(好ましくは内外接合部201の全体を含む)が非伸縮領域A1とされ、その幅方向両側が伸縮領域A2とされる。ウエスト部Wは幅方向WDの全体にわたり伸縮領域A2とされるのが好ましいが、ウエスト下方部Uと同様に、幅方向中間に非伸縮領域A1を設けても良い。
伸縮領域A2及び非伸縮領域A1は、内側不織布層12Hと、外側不織布層12Sとの間に、弾性部材15,16を供給し、弾性部材15,16を伸縮領域A2における少なくとも伸縮方向EDの両端部でホットメルト接着剤を介して固定し、非伸縮領域A1となる領域では固定せず、非伸縮領域A1となる領域において、弾性部材15,16を幅方向中間の1か所で加圧及び加熱により切断するか、又は弾性部材15,16のほぼ全体を加圧及び加熱により細かく切断し、伸縮領域A2に伸縮性を残しつつ非伸縮領域A1では伸縮性を殺すことにより構築することができる。前者の場合、図4に示すように、非伸縮領域A1には、伸縮領域A2の弾性部材15,16から連続する切断残部が不要弾性部材18として単独で自然長まで収縮した状態で、外側不織布層12S及び内側不織布層12H間に残ることとなり、後者の場合、図示しないが、伸縮領域A2の弾性部材15,16から連続する切断残部、及び両方の伸縮領域A2の弾性部材15,16と連続しない弾性部材の切断片が不要弾性部材として単独で自然長まで収縮した状態で、外側不織布層12S及び内側不織布層12H間に残ることになる。
(外側不織布層及び内側不織布層の接合構造:横縞状パターン)
図11及び図12に示される伸縮領域A2は、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが接合されたシート接合部70を有しており、このシート接合部70が、直交方向XDに間隔を空けて、かつ伸縮方向EDに実質的に連続する横縞状パターンで形成されている。このように、シート接合部70が、少なくとも伸縮方向EDと直交する直交方向XDに間隔を空けて形成されていると、良好な通気性、柔軟性を確保することができる。また、この場合、各シート接合部70で外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが一体化していることにより、襞80が互いに沿うような波状に形成される。そして、この影響を受けて、隣り合うシート接合部70の間の領域においても、概ね、シート接合部70における外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの形状に続くように、図12(c)に示すように、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが互いに沿うような波状をなしてその表裏両面に襞80が形成される。このように外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが互いに沿う伸縮構造では、有孔不織布の突出部の高さに起因する肉厚感の増加を特に感じやすくなるため、前述の特定範囲の有孔不織布を用いることが望ましい。
シート接合部70は、伸縮領域A2の伸縮方向EDの全体にわたり連続していてもよいが、複数の襞80が形成される一部の範囲のみ連続していてもよい。また、伸縮領域A2の直交方向XDの全体にわたり、シート接合部70が伸縮方向に連続していてもよく、複数の弾性部材19と交差する一部の範囲のみ(例えばウエスト部のみ)連続していてもよい。
シート接合部70を直交方向XDに間欠配置した場合、隣り合うシート接合部70の間の領域では外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが自由に変形できる。また、厚み方向に貫通する孔14が配列された有孔不織布は、単独で変形可能な状態では孔14を有する部分が弱く折れ曲がりやすい。このため、図示例と異なり、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの少なくとも一方が有孔不織布であるとともに、シート接合部70を挟んで一方の領域に孔14があるのに、他方の領域に孔14がなかったりすると、一方の領域には孔14が折れ目となるような襞80が形成されるのに対して、他方の領域にはこれと揃わない(直交方向XDに続かない)襞80が形成される。つまり、襞80が枝分かれしたり、谷部が部分的に広くなったりし、全体として整った襞80が形成されにくい。
これに対して、図示例では 孔14の配列が、直交方向XDに間隔を空けて並ぶ孔14の列が、伸縮方向EDに間隔を空けて並ぶものとなっている。また、孔14の列における孔14の直交方向XDの間隔14yが、シート接合部70の直交方向XDの間隔70yより狭くなっている。この結果、図18に示すように、隣り合うシート接合部70の間の領域のすべてに孔14が存在するとともに、その孔14が伸縮方向EDと直交する方向に列をなしているため、シート接合部70により区切られた領域のすべてにわたり、孔14が折れ目となるような一続きの襞80が形成されやすくなる。つまり、襞80が枝分かれしたり、谷部が部分的に広くなったりしにくくなり、全体として、孔14の列に沿って延びる整った襞80が形成されやすくなる。
例えば、孔14の列における孔14の直交方向XDの間隔14yが、シート接合部70の直交方向XDの間隔70yの1/6以上1/2未満であると、隣り合うシート接合部70の間の領域のすべてに2つ以上の孔14が存在するため、孔14が折れ目となるような一続きの襞80が、より一層形成されやすくなる。よって、より一層整った襞80が形成されやすくなる。また、図2に示す例では、ウエスト部Wでは、孔14の列における孔14の直交方向XDの間隔14yは、ウエスト部弾性部材19の直交方向XDの間隔より長いため、シート接合部70が弾性部材19と重なる部位に配置されたホットメルト接着剤19Hにより形成されていると、上記条件を満たさないが、ウエスト部W以外では上記条件を満たすものとなっている。もちろん、伸縮領域A2のすべてが上記間隔14y,70yの大小関係を満たすことが望ましいが、この例のように伸縮領域A2のすべてが上記14y,70yの大小関係を満たす必要はない。
シート接合部70を横縞状パターンとする場合、例えば、図11及び図13に示す例のように、シート接合部70は、弾性部材19と重なる部位に配置されたホットメルト接着剤19Hにより形成されているだけでもよい。このようなシート接合部70は、ホットメルト接着剤19Hを塗布した弾性部材19を外側不織布層12S及び内側不織布層12Hで挟むことにより製造することができるものであり、使い捨て着用物品の分野では広く用いられている。しかし、このシート接合部70の構造では、シート接合部70で外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが弾性部材19とともに収縮し、繊維構造が密になる。そのため、図18に示すように、原理的にシート接合部70で襞80が分断されやすい。これに対して、前述の孔14の配列、及び孔14とシート接合部70との配置関係を採用すると、襞80の形成に関して孔14の影響が支配的になるため、シート接合部70で襞80が分断されやすいにもかかわらず、全体として、孔14の列に沿って延びる整った襞80が形成されやすくなる。
弾性部材19と重なる部位にホットメルト接着剤19Hを配置するのに代えて(又はこれとともに)図17に示すように、直交方向XDに隣り合う弾性部材19の間に位置する領域に、伸縮方向EDに実質的に連続するシート接合部70を形成することもできる。後者の場合、シート接合部70は、ホットメルト接着剤により形成するほか、ヒートシールや超音波シール等の素材溶着により形成してもよい。この他、弾性部材19の両端部を固定するためのホットメルト接着剤19Hが、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hを接合していてもよいことはいうまでもない。
有孔不織布における突出部14eを有する面が、対向する不織布層側に位置する場合、伸縮方向EDに実質的に連続するシート接合部70をホットメルト接着剤19Hで形成すると次のような問題点を有する。すなわち、ホットメルト接着剤19Hの塗布位置と孔14の位置とを正確に合わせることが困難なため、一部のホットメルト接着剤19Hの塗布部分が伸縮方向EDに間隔を空けて並ぶ多数の孔14と重なる可能性がある。また、シート接合部70の直交方向XDの中心間隔と、孔14の列における孔14の直交方向XDの中心間隔とが異なる場合も同様である。ここで、有孔不織布における突出部14eを有する面が、対向する不織布層側に位置していると、孔14を有する位置では突出部14eでしか外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが接触せず、突出部14eの近傍では外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが離間した状態となるため、突出部14e及びその近傍の接着が弱くなるおそれがある。この結果、伸縮を繰り返す等により外力が加わると、シート接合部70が剥離し、剥離部分において局所的に襞80が大きくなり、外観が顕著に悪化する。これに対して、前述の特定範囲の有孔不織布を用い、孔14の縁部に形成される突出部14eの高さを低く抑えると、前述の各種の利点を有しつつ、突出部14e及びその近傍における外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの接着力の低下を抑えることも可能となる。
シート接合部70を横縞状パターンとする場合、直交方向XDにおけるシート接合部70の寸法70Lは適宜定めることができるが、短いことが好ましく、直交方向XDにおける隣り合う弾性部材19の間隔19yの0.2〜0.6倍、特に0.3〜0.5倍であることが好ましい。
シート接合部70を横縞状パターンとする場合、孔14の径が、対向する不織布層側と反対側から対向する不織布層側(例えば図11及び図12に示す例では外側不織布層12Sの外側から内側)に向かうにつれて小さくなっていると、図12及び図14に示す例のように、対向する不織布層と反対側の面が谷折りとなるように折れやすい。よって、襞80はより綺麗に整ったものとなる。また、この場合に形成される襞80では、襞と襞との間の底部に孔14の列が位置するようになり、図18(a)に示すように、自然長時には孔14が襞と襞との間に隠れるものの、使用時などに伸長した状態では図18(c)に示すように孔14が露出する。この変化により通気性向上が図られるのはもちろん、外観の変化であることにより通気性に優れた商品であることを使用者に訴求しやすいという利点ももたらされる。さらに、一部のシート接合部70は孔14を通るような配置となっていてもよいが、その場合に、シート接合部70がホットメルト接着剤19Hにより形成されていると、孔14からホットメルト接着剤19Hが露出する。しかし、襞と襞との間の底部に孔14の列が位置すると、孔14から露出するホットメルト接着剤19Hが肌に触れにくいという利点も有する。
特に、装着者の肌側となる内側不織布層12Hが無孔不織布であり、外側不織布層12Sが有孔不織布である場合に、有孔不織布の孔14の径が、対向する不織布層側と反対側から対向する不織布層側に向かうにつれて小さくなっていると、図12(c)及び図18(b)に示すように、内側不織布層12Hに形成される襞80は薄い襞となり、外側不織布層12Sに形成される襞80は緩やかに折れ曲がる厚い襞となる。したがって、内側不織布層12Hと肌との接触面積が少なく、かつ襞と襞との間の隙間が大きくなるため、特に通気性に優れたものとなる。外側不織布層12Sの襞80は、倒れるなどの美観を損ねる変形が発生しにくく、形状安定性に優れたものとなる。
前述のように、孔14の配列は限定されるものではないが、襞80の形状に影響するものである。よって、シート接合部70を横縞状パターンとする場合、直交方向XDに所定の間隔で直線的に並ぶ孔14の列が伸縮方向EDに所定の間隔を空けて繰り返す行列状であると、特に襞80が直交方向XDに沿って直線的に延び、綺麗に整ったものとなりやすいため好ましい。
シート接合部70を横縞状パターンとする場合、具体的な孔14及びシート接合部70の寸法・配置は適宜定めることができるが、以下の範囲内であると特に好ましい。
孔14の伸縮方向EDの寸法14W:0.3〜3.0mm(特に0.4〜1.5mm)
孔14の直交方向XDの寸法14L:0.3〜5.0mm(特に0.6〜2.0mm)
列における孔14の直交方向XDの間隔14y:1.0〜5.0mm(特に1.0〜3.0mm)
列の伸縮方向EDの間隔14x:2.5〜10.0mm(特に3.0〜6.0mm)
直交方向XDにおけるシート接合部70の間隔:5〜10mm(特に5.0〜7.0mm)
直交方向XDにおけるシート接合部70の寸法70L:0.5〜5.0mm(特に1.0〜3.0mm)
孔14及びシート接合部70は、伸縮領域A2だけに設けることもできるが、図8及び図9に示す例のように、非伸縮領域A1を含むより広範囲の領域にわたり設けることができる。
(外側不織布層及び内側不織布層の接合構造:縦縞状パターン)
図19及び図20に示される伸縮領域A2は、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hがホットメルト接着剤14Hを介して接合されたシート接合部70を有しており、このホットメルト接着剤14Hが、伸縮方向EDに間隔を空けて、かつ直交方向XDに連続する縦縞状パターンで塗布されていてもよい。このように、ホットメルト接着剤14Hによるシート接合部70が、伸縮方向EDに間隔を空けて形成されているため、通気性、柔軟性を確保することができる。また、ホットメルト接着剤14Hが伸縮方向EDに間隔を空けて、かつ直交方向XDに連続する縦縞状パターンで塗布されることによりシート接合部70が形成されている場合、自然長状態を含め、ある程度収縮した状態では、図23にも示すように、シート接合部70は伸縮方向EDと直交する方向に連続する溝となり、その溝間の非接合部分では外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが互いに反対向きに(表裏両側に)同程度に膨出して襞が形成される。ホットメルト接着剤14Hは、伸縮領域A2の直交方向XDの全体にわたり連続していてもよいが、複数の弾性部材19と交差する一部の範囲のみ(例えばウエスト部を除く範囲のみ)連続していてもよい。
ホットメルト接着剤14Hが縦縞状パターンで塗布される場合、一部のホットメルト接着剤14Hの塗布線と孔14の列とが重なることにより、シート接合部となるべき部分に外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが接合されない欠落部が形成される可能性がある。ここで、孔14の列における孔14の直交方向XDの間隔14yが孔14の直交方向XDの寸法14Lより狭いと、シート接合部70は長い欠落部を介して断続する点線状になったり、シート接合部70の縁に長い凹状の欠落部が多数形成されたりすることとなる。このようにシート接合部70の欠落が大きくなると、襞80の側縁にも大きな凹凸ができたり、部分的に隣の襞80と合体したりしやすくなるため、直線状の整った外観となりにくい。
このため、ホットメルト接着剤14Hと重なる孔14を有しない構造が理想的である。しかし、既製の有孔不織布を用いて本伸縮構造を製造する場合、正確な位置決めは困難であるため、一部の接着線と孔14の列とが重なることは避けられず、前述の欠落部の形成を確実に回避することは困難である。また、接着剤の塗布部分の伸縮方向の中心間隔と、孔の列の伸縮方向の中心間隔とが異なる場合も同様である。そこで、図示例のように、孔14の列における孔14の直交方向XDの間隔14yが孔14の直交方向XDの寸法14Lより広くするのは好ましい。これにより、一部のシート接合部70に欠落部が形成されるとしても、そのシート接合部70の直交方向XDに占める欠落部の割合が半分未満となるため、欠落部による襞80の形状への影響はより小さくて済む。よって、図23に示すように、襞80の側縁に凹凸が形成されたり、部分的に隣の襞80と合体したりするとしても、その程度を抑制することができる。
孔14の列における孔14の直交方向XDの間隔14yは、孔14の直交方向XDの寸法14Lより広ければ適宜定めることができるが、孔14の直交方向XDの寸法14Lの3倍以上であると、シート接合部70の欠落部(孔14と重なる部分)により、襞80の側縁に凹凸が形成されたり、部分的に隣の襞80と合体したりしたとしても、ほとんど目立たないものとなる。また、孔14の列における孔14の直交方向XDの間隔14yが孔14の直交方向XDの寸法14Lの20倍を超えると、単位面積当たりの孔14の数が少なくなり、有孔不織布を採用する利益に乏しいものとなる。より好ましい範囲は3〜10倍である。
また、有孔不織布における突出部14eを有する面が、対向する不織布層側に位置する場合、一部のホットメルト接着剤19Hの塗布部分が孔14の列と重なると、次のような問題点を有する。すなわち、有孔不織布における突出部14eを有する面が、対向する不織布層側に位置していると、孔14を有する位置では突出部14eでしか外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが接触せず、突出部14eの近傍では外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが離間した状態となるため、突出部14e及びその近傍の接着が弱くなるおそれがある。この結果、伸縮を繰り返す等により外力が加わると、シート接合部70が剥離し、剥離部分において局所的に襞80が大きくなり、外観が顕著に悪化する。これに対して、前述の特定範囲の有孔不織布を用い、孔14の縁部に形成される突出部14eの高さを低く抑えると、前述の各種の利点を有しつつ、突出部14e及びその近傍における外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの接着力の低下を抑えることも可能となる。
また、孔14の列における孔14の直交方向XDの間隔14yは、弾性部材19の直交方向XDの間隔19y以上であるのも好ましい。これにより、隣り合う弾性部材19の間の領域のすべてに、各列の孔14が1つ以下しか存在しないため、孔14の有無による折れ曲がりやすさの変化が少ないものとなり、より一層整った襞80が形成されやすくなる。
また、図示例では、伸縮領域A2のすべてにおいて上記間隔14y,寸法14Lの大小関係を満たしているが、伸縮領域A2のすべてが上記間隔14y,寸法14Lの大小関係を満たす必要はない。例えば、図示しないが、ウエスト部Wでは、上記間隔14y,寸法14Lの大小関係を満たさないが、ウエスト部W以外では上記間隔14y,寸法14Lの大小関係を満たすものとなっていてもよい。上記間隔14y、19yの関係も同様であり、伸縮領域A2のすべてで満たしていても、また、伸縮領域A2の一部で満たしていなくてもよい。
孔14の列の伸縮方向EDの間隔14xは適宜定めることができるが、シート接合部70の伸縮方向EDの間隔70yよりも小さいと、図示例のように、各襞80に1つ以上の孔14が存在することとなり、各襞80における外側不織布層12S及び内側不織布層12H間の空間と外部との通気性が向上するため好ましい。なお、このように孔14の列の伸縮方向EDの間隔を狭くすると、ホットメルト接着剤14Hの塗布線が孔14の列と重なる確率が高くなるが、その場合であっても、前述のように孔14の列における孔14の直交方向XDの間隔14yが孔14の直交方向XDの寸法14Lより広いため、襞80の形状の崩れは抑制することができる。
外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの両方が有孔不織布であり、かつ孔14と孔14とが重なるおそれがあると、孔14と孔14とが重なる部分にホットメルト接着剤14Hの塗布線が重なることにより、孔14内にホットメルト接着剤14Hがはみ出して、装着感等の問題を引き起こすおそれがある。よって、図19及び図20に示すように、装着者の肌側となる内側不織布層12Hが無孔不織布であり、外側不織布層12Sが有孔不織布である構造や、図21及び図22に示すように、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの両方が有孔不織布であり、一方の有孔不織布の孔14と、他方の有孔不織布の孔14とが重ならない構造であることが望ましい。
前述のように、孔14の配列は限定されるものではないが、有孔不織布は孔14を有する部分で折れ曲がりやすいものであるため、襞80の形状に影響するものである。よって、孔14の配列は、直交方向XDに所定の間隔で直線的に並ぶ孔14の列が伸縮方向EDに所定の間隔を空けて繰り返す行列状であると、特に襞80が直交方向XDに沿って直線的に延び、綺麗に整ったものとなりやすいため好ましい。
ホットメルト接着剤14Hを縦縞状パターンで塗布する場合、具体的な孔14及びシート接合部70の寸法・配置は適宜定めることができるが、以下の範囲内であると特に好ましい。すなわち、シート接合部70が欠落部を有すると、応力が集中しやすい等の理由で、シート接合部70の面積が単に減少するよりも接着部分が剥離しやすくなる。そして、このような接着部分の剥離が発生すると、襞80の一部又は全体の崩れにより、襞80の外観の悪化がより一層顕著となるおそれがある。これに対し、孔14及びシート接合部70の配置が本範囲内であると、シート接合部70が欠落部を有する場合であっても、剥離しにくいものとなる。
孔14の伸縮方向EDの寸法14W:0.3〜5.0mm(特に1.0〜2.0mm)
孔14の直交方向XDの寸法14L:0.3〜3.0mm(特に1.0〜1.5mm)
列における孔14の直交方向XDの間隔14y:2.5〜10.0mm(特に3.0〜5.0mm)
列の伸縮方向EDの間隔14x:0.5〜5.0mm(特に1.0〜2.0mm)
伸縮方向におけるシート接合部の寸法:0.5〜4mm(特に1.0〜2.0mm)
伸縮方向におけるシート接合部の間隔:4〜8mm(特に6〜8mm)
孔14及びシート接合部70は、伸縮領域A2だけに設けることもできるが、図8及び図9に示す例と同様に、非伸縮領域A1を含むより広範囲の領域にわたり設けることができる。
シート接合部70は、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hがホットメルト接着剤14Hを介して接合された部分であるが、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが溶着された部分であってもよい。つまり、シート接合部70の形成に際し、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの溶着が、伸縮方向EDに間隔を空けて、かつ直交方向XDに連続する縞状パターンでなされていてもよい。この場合、弾性部材19の通過位置で弾性部材19と外側不織布層12S及び内側不織布層12Hとが溶着していても、溶着していなくてもよい。いずれにせよ、弾性部材19を介在させた状態で外側不織布層12S及び内側不織布層12Hを溶着するために、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの溶融部分は、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの少なくとも一方で直交方向XDに連続することとなる。なお、溶着が直交方向XDに連続的になされることには、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの少なくとも一方で溶着加工跡が連続する限り、溶着加工と弾性部材19との交差位置で外側不織布層12S及び内側不織布層12Hと弾性部材19とがそれぞれ溶着して外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが間接的に溶着することにより溶着が連続する形態だけでなく、溶着加工と弾性部材19との交差位置で弾性部材19が介在するために外側不織布層12S及び内側不織布層12H間の溶着が連続しない形態も含まれる。
(外側不織布層及び内側不織布層の接合構造:他のパターン)
また、シート接合部は、千鳥状等の、伸縮方向及び直交方向の両方向に間欠的なパターンであってもよい。
<有孔不織布の評価試験>
表1に示される比較例1、比較例2、実施例1及び実施例2の有孔不織布を用意し、厚みを測定した。測定結果を表1に示した。比較例1、比較例2、実施例1及び実施例2の有孔不織布は、表1に示される比較例3〜6の無孔不織布に、ピン挿入加工により孔を形成したものである。
以下の接着性評価試験を行った。すなわち、表1に示される比較例1、比較例2、実施例1及び実施例2の有孔不織布をそれぞれ縦横各10cmの正方形に切断した。また、比較例3の無孔不織布をそれぞれ縦横各10cmの正方形に切断したものを有孔不織布と同数用意した。ホットメルト接着剤を塗布した細長状弾性部材を伸長率200%に伸長した状態で、有孔不織布における突出部を有する面に一本だけ配置し、その上に、無孔不織布を周囲及びMD方向及びCD方向が有孔不織布と一致するように重ね合わせ、有孔不織布及び無孔不織布を貼り合わせたサンプルを作製した。弾性部材は、孔を通りMD方向に延びるように配置した。有孔不織布及び無孔不織布を貼り合わせてから5分経過した後、サンプルの伸縮方向の両端部を指で摘み、最大伸び(弾性限界伸び)まで伸ばした後に自然長に戻す操作を10回繰り返した後、接着部分の剥離の有無を目視で確認し、1か所でも接着部分の剥離があった場合には×と評価し、少しも接着部分の剥離がなかった場合には〇と評価した。評価結果を表1に示した。
表1に示されるように、実施例1及び2の有孔不織布は、比較例1及び2の有孔不織布と比べて、孔の部分の厚み増加率が低いものとなった。また、接着性評価試験の結果も、実施例1及び2の有孔不織布は無孔不織布と同程度に優れる結果となった。
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・前後方向」とは図中に符号LDで示す方向(縦方向)を意味し、「幅方向」とは図中にWDで示す方向(左右方向)を意味し、前後方向と幅方向とは直交するものである。
・「MD方向」及び「CD方向」とは、製造設備における流れ方向(MD方向)及びこれと直交する横方向(CD方向)を意味し、いずれか一方が前後方向となるものであり、他方が幅方向となるものである。不織布のMD方向は、不織布の繊維配向の方向である。繊維配向とは、不織布の繊維が沿う方向であり、例えば、TAPPI標準法T481の零距離引張強さによる繊維配向性試験法に準じた測定方法や、前後方向及び幅方向の引張強度比から繊維配向方向を決定する簡易的測定方法により判別することができる。
・「表側」とはパンツタイプ使い捨ておむつを着用した際に着用者の肌に近い方を意味し、「裏側」とはパンツタイプ使い捨ておむつを着用した際に着用者の肌から遠い方を意味する。
・「表面」とは部材の、パンツタイプ使い捨ておむつを着用した際に着用者の肌に近い方の面を意味し、「裏面」とはパンツタイプ使い捨ておむつを着用した際に着用者の肌から遠い方の面を意味する。
・閉じた平面形状に関して「中心」とは、中心を有しない図形の場合には重心を意味する。
・「面積率」とは単位面積に占める対象部分の割合を意味し、対象領域(例えば不織布)における対象部分(例えば孔)の総和面積を当該対象領域の面積で除して百分率で表すものである。対象部分が間隔を空けて多数設けられる形態では、対象部分が10個以上含まれるような大きさに対象領域を設定して、面積率を求めることが望ましい。例えば、孔の面積率は、例えばKEYENCE社の商品名VHX−1000を使用し、測定条件を20倍として、以下の手順で測定することができる。
(1)20倍のレンズにセットし、ピントを調節する。穴が4×6入るように不織布の位置を調整する。
(2)孔の領域の明るさを指定し、孔の面積を計測する。
(3)「計測・コメント」の「面積計測」の色抽出をクリックする。孔の部分をクリックする。
(4)「一括計測」をクリックし、「計測結果ウィンドを表示」にチェックを入れ、CSVデータで保存をする。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。例えば、伸長率が200%とは、伸長倍率が2倍であることと同義である。
・「ゲル強度」は次のようにして測定されるものである。人工尿(尿素:2wt%、塩化ナトリウム:0.8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.03wt%、硫酸マグネシウム七水和物:0.08wt%、及びイオン交換水:97.09wt%を混合したもの)49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter−MAX ME−500)でゲル強度を測定する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を温度100℃の環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から、試料採取用の型板(100mm×100mm)を使用し、100mm×100mmの寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、100倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES−G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:0.098N/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。有孔不織布の「孔を有する部分の厚み」は、孔及びその縁部の突出部を少なくとも1つ含むように10か所で測定を行い、その平均値とする。有孔不織布の「孔の無い部分の厚み」は、孔及びその縁部の突出部の無い部分10か所で測定を行い、その平均値とする。ただし、孔及びその縁部の突出部の無い部分の面積が小さく、測定ができない場合には、孔の有無以外(繊維組成、繊度、目付け、厚み等)はすべて同じ仕様の不織布を用意して測定を行うものとする。
・「剛軟度」は、JIS L 1096:2010「織物及び編物の生地試験方法」の「8.21.1 A法(45°カンチレバー法)」を意味する。有孔不織布における穿孔加工前(無孔不織布)の値は、穿孔加工前の無孔不織布が入手できない場合には、孔の有無以外(繊維組成、繊度、目付け、厚み等)はすべて同じ仕様の不織布を用意して測定を行うものとする。
・吸水量は、JIS K7223−1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
・吸水速度は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内で行うものとする。
本発明は、パンツタイプ使い捨ておむつやテープタイプ使い捨ておむつの他、パッドタイプ使い捨ておむつ、使い捨て水着、おむつカバー、生理用ナプキン等、使い捨て着用物品全般に利用できるものである。
11…液不透過性シート、12…外装体、12A…サイドシール部、12B…後側外装体、12F…前側外装体、12H…内側不織布層、12S…外側不織布層、14…孔、14e…突出部、18…不要弾性部材、19…弾性部材、19H…ホットメルト接着剤、20…カバー不織布、200…内装体、201…内外接合部、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…起き上がりギャザー、62…ギャザー不織布、A1…非伸縮領域、A2…伸縮領域、C…臀部カバー部、L…中間領域、LD…前後方向、LO…脚開口、T…胴周り領域、U…ウエスト下方部、W…ウエスト部、WD…幅方向、WO…ウエスト開口、70…シート接合部、XD…直交方向、ED…伸縮方向、80…襞。
本発明は、使い捨て着用物品の伸縮構造、及びこの伸縮構造を有するパンツタイプ使い捨て着用物品に関するものである。
使い捨て着用物品においては、各部のフィット性を改善するために伸縮構造を設けることが一般的となっている。例えば、パンツタイプやテープタイプの使い捨ておむつにおいては、胴周り部に胴周り方向の伸縮構造を設けたり、脚周り部に脚周りに沿う方向の伸縮構造を設けたりすることが広く行われている。さらに、パンツタイプやテープタイプの使い捨ておむつはもちろん、生理用ナプキンを含めた使い捨て着用物品全般にわたり、立体ギャザーや平面ギャザーと呼ばれる前後方向の伸縮構造を設けることも広く行われている(例えば、特許文献1〜3参照)。
このような使い捨て着用物品の伸縮構造の代表的なものは、重なり合う第1不織布層及び第2不織布層の間に、伸縮方向に沿ってかつ互いに間隔を空けて設けられた細長状の弾性部材を備えるものである。第1不織布層及び第2不織布層は面状の伸縮領域を形成するとともに、弾性部材を被覆、隠蔽する役割を担い、第1不織布層及び第2不織布層間に内蔵される弾性部材は、弾性伸縮のための力を生み出す役割を担うものである。弾性部材は、伸縮方向に伸長された状態で、少なくとも伸縮領域の両端部に位置する部分が第1不織布層及び第2不織布層に固定される。この固定により、弾性部材と第1不織布層及び第2不織布層とが一体化され、第1不織布層及び第2不織布層は弾性部材の収縮力により収縮して襞(皺状のものも含む。自然長状態だけでなく、弾性部材が伸長した状態でも形成される。以下、単に襞ともいう。)が形成され、またこの収縮状態から弾性部材の収縮力に抗して伸長されると、襞が展開される。通常、第1不織布層及び第2不織布層は弾性伸長限界では襞が無い展開状態となり、弾性部材の収縮に伴って襞が寄り、自然長状態では最も密に襞が寄る。
このような伸縮構造では、第1不織布層及び第2不織布層が互いに自由であると、一方の不織布層が他方の不織布層に対して部分的又は全体的に浮いて不必要な襞や膨らみを生じるおそれがあり、装着時のフィット性の悪化やずれの原因ともなるため、第1不織布層及び第2不織布層はそのほぼ全体にわたり直接的又は間接的に接合されている必要がある。また、弾性部材により伸縮性を生み出すため、弾性部材は伸縮領域の伸縮方向の全体にわたり延在され、かつ少なくとも伸縮領域の伸縮方向の両端部に位置する部分は第1不織布層及び第2不織布層に対して固定され、自然長状態では弾性部材の収縮に伴い第1不織布層及び第2不織布層も収縮されている必要がある。つまり、第1不織布層及び第2不織布層間の接合と、第1不織布層及び第2不織布層に対する弾性部材の固定とが必要となるのである。
現在では、弾性部材を第1不織布層及び第2不織布層に固定する手段としては、ほとんどの場合、ホットメルト接着剤が選択されている。一方、第1不織布層及び第2不織布層間の接合形態は、ホットメルト接着剤の使用量を低減するために、超音波溶着等の溶着により行うことも多くなってきているが、ホットメルト接着剤により行う形態も根強く利用されている。例えば、弾性部材の通過位置でホットメルト接着剤を介して第1不織布層及び第2不織布層を接合することにより、第1不織布層及び第2不織布層の接合と、第1不織布層及び第2不織布層に対する弾性部材の固定とを兼ねる兼用形態の他、伸縮方向に間欠的に配された、伸縮方向と直交する方向に連続するホットメルト接着剤を介して第1不織布層及び第2不織布層を接合する形態や、伸縮方向と直交する方向に間欠的に配された、伸縮方向に実質的に連続するホットメルト接着剤を介して第1不織布層及び第2不織布層を接合する形態が知られている。(特許文献1〜6参照)
他方、主に通気性を改善するために、第1不織布層及び第2不織布層として、厚み方向に貫通する孔を設けた有孔不織布を用いたものが提案されている(例えば特許文献7〜9参照)。
有孔不織布としては、図16(d)に示すように孔14の周縁が繊維の切断端により形成されている打ち抜きタイプの孔を有するものの他、図16(a)〜(c)に示すように、孔14の周縁に繊維の切断端がほとんど無く、ピンが繊維間に挿入されて押し広げられて形成されたピン挿入タイプの孔14を有するものがある。後者は、製造時に廃材(打ち抜きにより生じる切れ端)が発生しないため好ましいものである。
ピン挿入タイプの有孔不織布は、ピン出口側(ピン挿入側と反対側)における孔14の縁部に繊維がピン出口側に押し出されることにより突出部(バリ)14eが形成される。
しかし、この場合、突出部の存在によって有孔不織布の厚みが増加し、その結果として伸縮構造をつかんだり、触れたりしたときの肉厚感が増加することは避けられない。
特開2004−229857号公報
特開2013−132331号公報
特開2014−207973号公報
特開2017−064126号公報
特開2017−064133号公報
特開2017−164034号公報
特開2015−107223号公報
特開2015−128573号公報
特開2015−192862号公報
そこで、本発明の主たる課題は、ピン挿入タイプの有孔不織布を用いた伸縮構造における、肉厚感を低減することにある。
上記課題を解決した使い捨て着用物品の伸縮構造等は以下のとおりである。
<第1の態様>
一部又は全部が重なり合う第1不織布層及び第2不織布層と、これら第1不織布層及び第2不織布層の間に伸縮方向と直交する直交方向に間隔を空けて配置された、伸縮方向に沿って延びる複数本の細長状の弾性部材とを有し、
前記弾性部材は、少なくとも伸縮領域における前記伸縮方向の両端部が前記第1不織布層及び第2不織布層に固定されており、
前記伸縮領域は、前記第1不織布層及び第2不織布層が接合されたシート接合部を有しており、
前記第1不織布層及び第2不織布層の少なくとも一方は、厚み方向に貫通する孔が配列された有孔不織布である、
使い捨て着用物品の伸縮構造において、
前記孔の径は、前記有孔不織布における厚み方向の一方から他方に向かうにつれて小さくなっており、
前記有孔不織布の少なくとも一方の面における前記孔の縁部は、繊維が厚み方向に押し出された突出部となっており、
前記孔の伸縮方向の寸法は0.3〜3.0mmであり、
前記孔の直交方向の寸法は0.3〜5.0mmであり、
前記有孔不織布は、繊度0.1〜5.0dtex、目付け15〜20g/m2、厚み0.3〜0.8mmの長繊維不織布である、
ことを特徴とする使い捨て着用物品の伸縮構造。
(作用効果)
本発明者は、特定範囲の繊度、目付け及び厚みを有する長繊維不織布に、ピンの挿入により、特定範囲の寸法の孔を形成すると、孔の縁部に形成される突出部が特に低くなることを知見した。突出部が低くなる理由は、以下のとおりであると考えられる。すなわち、不織布にピンを挿入し始めると、ピンの近傍の繊維がピン出口側に向かって徐々に押されていく。ここで、不織布の繊維が厚み方向に押し出されやすいと、ピン挿入孔の形成時、ピンの近傍の繊維のほとんどがピン出口側に押し出され、突出部の高さが高くなる。例えば、短繊維不織布はこの傾向が強い。
これに対して、上述の特定範囲の長繊維不織布の場合、ピン挿入孔の形成時、繊維が厚み方向に押し出されにくい。これは、ピンの挿入により力が加わる繊維は、不織布全体にわたり絡まりながら連続(連続繊維)しており、ピンの挿入により力が加わる部分の繊維の移動がその外側につながる部分により抑制されるためである。さらに、上述の特定範囲の長繊維不織布は、基本的に適度に低い繊維密度を有するため、厚み方向と直交する方向への繊維の移動が比較的に容易である。この結果、上述の特定範囲の長繊維不織布にピンを挿入し、上述の特定範囲の寸法の孔を形成すると、ピンの挿入時、ピンの近傍の繊維がピンの挿入方向を中心とした放射方向に押し出されながらピン出口側に向かって移動するため、突出部は形成されるもののその高さは低くなる。また、そのため、孔の縁部には周囲よりも繊維密度の高い高密度部が形成される。
本伸縮構造は上記知見に基づくものであり、上述の有孔不織布を用いることにより、一方の面における孔の縁部に突出部を有するピン挿入タイプの有孔不織布でありながら、伸縮構造の肉厚感を低減できるものである。
<第2の態様>
前記第1不織布層及び第2不織布層のうち、装着者の肌側に位置する方は、繊度1.0〜8.0dtex、目付け18〜25g/m2、厚み0.5〜2.0mmの無孔の短繊維不織布であり、装着者の肌側と反対側に位置する方が前記有孔不織布である、
第1の態様の使い捨て着用物品の伸縮構造。
(作用効果)
使い捨て着用物品の伸縮構造は肌に接する部分に採用されることが多い。また、使い捨て着用物品では、肌触りを向上させる場合には短繊維不織布を用いることが望ましい。しかし、前述のように短繊維不織布を用いてピン挿入タイプの有孔不織布を用いると、孔の縁部に形成される突出部が高くなってしまう。よって、本態様の伸縮構造のように、装着者の肌側に位置する方は無孔の短繊維不織布とし、良好な肌触りを確保しつつ、装着者の肌側と反対側に位置する方は有孔の長繊維不織布とし、肉厚感を抑制するのは一つの好ましい形態である。また、長繊維不織布は、短繊維不織布よりも強度に優れるため、伸縮構造の強度を確保する上でも、本態様の伸縮構造は好ましいものである。
<第3の態様>
前記有孔不織布における前記突出部を有する面が、対向する不織布層側に位置しており、
前記シート接合部は、前記直交方向に間隔を空けて、かつ前記伸縮方向に実質的に連続する横縞状パターンで塗布された接着剤を介して、前記第1不織布層及び第2不織布層が接合されたものであり、
前記孔の配列は、前記直交方向に間隔を空けて並ぶ孔の列が、伸縮方向に間隔を空けて並ぶものである、
第1又は2の態様の使い捨て着用物品の伸縮構造。
(作用効果)
本伸縮構造のように横縞状のパターンのシート接合部を有する伸縮構造は、概ね第1不織布層及び第2不織布層が互いに沿うような波状をなして表裏両面に襞が形成されるため、自然長状態での手触りが柔軟(手触りが滑らかで、襞が厚み方向に潰れやすくなる)になる特徴を有する。このように第1不織布層及び第2不織布層が互いに沿う伸縮構造では、有孔不織布の突出部の高さに起因する肉厚感の増加を特に感じやすくなる。
また、有孔不織布における突出部が外側に露出していると肌触りを悪化させるおそれがある。このため、有孔不織布における突出部を有する面は、伸縮構造の内部に隠れるように、対向する不織布層側に位置することが好ましい。
しかし、この場合、伸縮方向に実質的に連続するシート接合部を接着剤で形成すると次のような問題点を有する。すなわち、接着剤の塗布位置と孔の位置とを正確に合わせることが困難なため、一部の接着剤の塗布部分が伸縮方向に間隔を空けて並ぶ多数の孔と重なる可能性がある。また、シート接合部の直交方向の中心間隔と、孔の列における孔の直交方向の中心間隔とが異なる場合も同様である。ここで、有孔不織布における突出部を有する面が、対向する不織布層側に位置していると、孔を有する位置では突出部でしか第1不織布層及び第2不織布層が接触せず、突出部の近傍では第1不織布層及び第2不織布層が離間した状態となるため、突出部及びその近傍の接着が弱くなるおそれがある。この結果、伸縮を繰り返す等により外力が加わると、シート接合部が剥離し、剥離部分において局所的に襞が大きくなり、外観が顕著に悪化する。
これに対して、前述の特定範囲の有孔不織布を用い、孔の縁部に形成される突出部の高さを低く抑えると、前述の各種の利点を有しつつ、突出部及びその近傍における第1不織布層及び第2不織布層の接着力の低下を抑えることも可能となる。
なお、シート接合部が「伸縮方向に実質的に連続」しているとは、特許文献4にも記載のように、対象領域を少なくとも伸縮方向と直交する方向(展開状態で第1不織布層及び第2不織布層に平行で、かつ弾性伸縮部材と直交する方向)から見て連続する(途切れなく続く)ことを意味し、その限りにおいて、シート接合部が伸縮方向に連続する(第1不織布層及び第2不織布層が伸縮方向に連続的に接合されている)形態だけでなく、シート接合部が伸縮方向に間欠的に配置される(第1不織布層及び第2不織布層が伸縮方向に間欠的に接合されている)形態も含む意味である。
<第4の態様>
前記孔は、前記伸縮方向の寸法が0.3〜3.0mm、前記直交方向の寸法が0.3〜5.0mmであり、
前記列における前記孔の前記直交方向の間隔が1.0〜5.0mmであり、
前記列の前記伸縮方向の間隔が2.5〜10.0mmであり、
前記直交方向における前記シート接合部の間隔が5〜10mmであり、
前記直交方向における前記シート接合部の寸法:0.5〜5.0mmである
第3の態様の使い捨て着用物品の伸縮構造。
(作用効果)
孔及びシート接合部の配置は適宜定めることができるが、本態様の範囲内であることが好ましい。
<第5の態様>
前記有孔不織布における前記突出部を有する面が、対向する不織布層側に位置しており、
前記シート接合部は、前記第1不織布層及び第2不織布層が接着剤を介して接合された部分であり、
前記接着剤は、前記伸縮方向に間隔を空けて、かつ前記直交方向に連続する縦縞状パターンで塗布されており、
前記孔の配列は、前記直交方向に間隔を空けて並ぶ孔の列が、伸縮方向に間隔を空けて並ぶものである、
第1又は2の態様の使い捨て着用物品の伸縮構造。
(作用効果)
本伸縮構造のように、縦縞状パターンで接着剤塗布されることによりシート接合部が形成されていると、自然長状態を含め、ある程度収縮した状態では、シート接合部は伸縮方向と直交する方向に連続する溝となり、その溝間の非接合部では第1不織布層及び第2不織布層が互いに反対向きに(表裏両側に)同程度に膨出して襞が形成される。この構造は、襞の位置及び形状がシート接合部により決まるため、綺麗にそろった襞を形成しやすいという利点を有する。
また、有孔不織布における突出部が外側に露出していると肌触りを悪化させるおそれがある。このため、有孔不織布における突出部を有する面は、伸縮構造の内部に隠れるように、対向する不織布層側に位置することが好ましい。
しかし、この場合、接着剤が縦縞状パターンで塗布されていると次のような問題点を有する。すなわち、接着剤の塗布位置と孔の位置とを正確に合わせることが困難なため、一部の接着剤の塗布部分が孔の列と重なる可能性がある。また、接着剤の塗布部分の伸縮方向の中心間隔と、孔の列の伸縮方向の中心間隔とが異なる場合も同様である。ここで、有孔不織布における突出部を有する面が、対向する不織布層側に位置していると、孔を有する位置では突出部でしか第1不織布層及び第2不織布層が接触せず、突出部の近傍では第1不織布層及び第2不織布層が離間した状態となるため、突出部及びその近傍の接着が弱くなるおそれがある。この結果、伸縮を繰り返す等により外力が加わると、シート接合部が剥離し、剥離部分において局所的に襞が大きくなり、外観が顕著に悪化する。
これに対して、前述の特定範囲の有孔不織布を用い、孔の縁部に形成される突出部の高さを低く抑えると、前述の各種の利点を有しつつ、突出部及びその近傍における第1不織布層及び第2不織布層の接着力の低下を抑えることも可能となる。
<第6の態様>
前記孔は、前記伸縮方向の寸法が0.3〜3.0mm、前記直交方向の寸法が0.3〜5.0mmであり、
前記列における前記孔の前記直交方向の間隔が2.5〜10.0mmであり、
前記列の前記伸縮方向の間隔が0.5〜5.0mmであり、
前記伸縮方向における前記シート接合部の寸法が0.5〜4mmであり、
前記伸縮方向における前記シート接合部の間隔が4〜8mmである、
第5の態様の使い捨て着用物品の伸縮構造。
(作用効果)
孔及びシート接合部の配置は適宜定めることができるが、本態様の範囲内であると好ましい。
<第7の態様>
前身頃から後身頃にわたる一体的な外装体、又は前身頃及び後身頃に別々に設けられた外装体と、この外装体の幅方向中間部に取り付けられた、股間部の前後両側にわたる内装体と、前身頃における外装体の両側部と後身頃における外装体の両側部とがそれぞれ接合されたサイドシール部と、ウエスト開口及び左右一対の脚開口とを備え、
前記前身頃及び後身頃の少なくとも一方における前記外装体は、少なくとも前後方向の一部の範囲における前記サイドシール部間に対応する幅方向範囲にわたり、第1〜6のいずれか1つの態様の伸縮構造を、その伸縮領域の伸縮方向が幅方向となるように備えている、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨て着用物品。
(作用効果)
前述の伸縮構造は、パンツタイプの使い捨て着用物品の外装体に好適なものである。
本発明によれば、ピン挿入タイプの有孔不織布を用いた伸縮構造における、肉厚感を低減することができる、等の利点がもたらされる。
展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの内面を示す、平面図である。
展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、平面図である。
図1の2−2断面図である。
図1の3−3断面図である。
(a)図1の4−4断面図、及び(b)図1の5−5断面図である。
パンツタイプ使い捨ておむつの斜視図(孔省略)である。
展開状態の内装体の外面を外装体の輪郭とともに示す、平面図である。
展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、平面図である。
(a)図8の4−4断面図、及び(b)図8の5−5断面図である。
孔の配列例を示す平面図である。
展開状態の外装体の要部を拡大して示す平面図である。
要部を示す(a)図11の6−6断面図、(b)図11の7−7断面図、及び(c)収縮状態の断面図である。
展開状態の外装体の要部を拡大して示す平面図である。
要部を示す(a)図13の6−6断面図、(b)図13の7−7断面図、及び(c)収縮状態の断面図である。
要部を示す(a)展開状態の直交方向断面図、(b)展開状態の伸縮方向断面図、及び(c)収縮状態の幅方向断面図である。
有孔不織布の拡大断面図である。
展開状態の外装体の要部を拡大して示す平面図である。
(a)自然長の状態の外装体の外面を示す正面図、(b)自然長の状態の外装体の内面を示す正面図、(c)ある程度伸長した状態の外装体の外面を示す正面図である。
展開状態の外装体の要部を拡大して示す平面図である。
要部を示す(a)図19の6−6断面図、(b)図19の7−7断面図、及び(c)収縮状態の断面図である。
展開状態の外装体の要部を拡大して示す平面図である。
要部を示す(a)図21の6−6断面図、(b)図21の7−7断面図、及び(c)収縮状態の断面図である。
(a)自然長の状態の外装体の要部外面を示す正面図、(b)ある程度伸長した状態の外装体の要部外面を示す正面図である。
以下、パンツタイプ使い捨ておむつの例について、添付図面を参照しつつ詳説する。断面図における点模様部分はその表側及び裏側に位置する各構成部材を接合する接合手段としての接着剤を示している。ホットメルト接着剤は、スロット塗布、連続線状又は点線状のビード塗布、スパイラル状、Z状等のスプレー塗布、又はパターンコート(凸版方式でのホットメルト接着剤の転写)等、公知の手法により塗布することができる。これに代えて又はこれとともに、弾性部材の固定部分では、ホットメルト接着剤を弾性部材の外周面に塗布し、弾性部材を隣接部材に固定することができる。ホットメルト接着剤としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、オレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在するが、特に限定無く使用できる。各構成部材を接合する接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段を用いることもできる。
図1〜図6に示されるパンツタイプ使い捨ておむつは、前身頃Fを構成する前側外装体12F及び後身頃Bを構成する後側外装体12Bと、前側外装体12Fから股間部を経て後側外装体12Bまで延在するように外装体12F,12Bの内側に設けられた内装体200とを備えている。前側外装体12Fの両側部と後側外装体12Bの両側部とが接合されて、サイドシール部12Aが形成されている。この結果、外装体12F,12Bの前後端部により形成される開口が装着者の胴を通すウエスト開口WOとなり、内装体200の幅方向両側において外装体12F,12Bの下縁及び内装体200の側縁によりそれぞれ囲まれる部分が脚を通す脚開口LOとなる。内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装体12F,12Bは着用者の身体に対して内装体200を支えるための部分である。図中の符号Yは展開状態におけるおむつの全長(前身頃Fのウエスト開口WOの縁から後身頃Bのウエスト開口WOの縁までの前後方向長さ)を示しており、符号Xは展開状態におけるおむつの全幅を示している。
また、本パンツタイプ使い捨ておむつは、サイドシール部12Aを有する前後方向範囲(ウエスト開口WOから脚開口LOの上端に至る前後方向範囲)として定まる胴周り領域Tと、脚開口LOを形成する部分の前後方向範囲(前身頃Fのサイドシール部12Aを有する前後方向領域と後身頃Bのサイドシール部12Aを有する前後方向領域との間)として定まる中間領域Lとを有する。胴周り領域Tは、概念的にウエスト開口の縁部を形成する「ウエスト部」Wと、これよりも下側の部分である「ウエスト下方部」Uとに分けることができる。通常、胴周り領域T内に幅方向WDの伸縮応力が変化する境界(例えば弾性部材の太さや伸長率が変化する)を有する場合は、最もウエスト開口WO側の境界よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなり、このような境界が無い場合は吸収体56又は内装体200よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなる。これらの前後方向長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト部Wは15〜40mm、ウエスト下方部Uは65〜120mmとすることができる。一方、中間領域Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うようにコ字状又は曲線状に括れており、ここが装着者の脚を入れる部位となる。この結果、展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつは、全体として略砂時計形状をなしている。
(内外接合部)
内装体200の外装体12F,12Bに対する固定は、特に限定されず、例えばホットメルト接着剤により行うことができる。図示例では、内装体200の裏面、つまりこの場合は液不透過性シート11の裏面及び起き上がりギャザー60の付根部分65に塗布されたホットメルト接着剤を介して外装体12F,12Bの内面に対して固定されている。この内装体200と外装体12F,12Bとを固定する内外接合部201は、両者が重なる領域のほぼ全体に設けることができ、例えば内装体200の幅方向両端部を除いた部分に設けることもできる。
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3〜図5に示されるように、身体側となるトップシート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、トップシート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、トップシート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側部から装着者の脚周りに接するように延び出た起き上がりギャザー60を示している。
(トップシート)
トップシート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
トップシート30の両側部は、吸収要素50の側縁で裏側に折り返しても良く、また折り返さずに吸収要素50の側縁より側方にはみ出させても良い。
トップシート30は、裏側の部材に対する位置ずれを防止する等の目的で、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により裏側に隣接する部材に固定することが望ましい。図示例では、トップシート30はその裏面に塗布されたホットメルト接着剤により中間シート40の表面及び包装シート58のうち吸収体56の表側に位置する部分の表面に固定されている。
(中間シート)
トップシート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、トップシート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、トップシート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、SMS不織布、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド不織布又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m2が好ましく、25〜60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.0〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、おむつの全長と同一でもよいし、吸収要素50の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
中間シート40は、裏側の部材に対する位置ずれを防止する等の目的で、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により裏側に隣接する部材に固定することが望ましい。図示例では、中間シート40はその裏面に塗布されたホットメルト接着剤により包装シート58のうち吸収体56の表側に位置する部分の表面に固定されている。
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。液不透過性シート11には、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。この他にも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂又は疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
液不透過性シート11は、図示のように吸収要素50の裏側に収まる幅とする他、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回り込ませて吸収要素50のトップシート30側面の両側部まで延在させることもできる。この延在部の幅は、左右それぞれ5〜20mm程度が適当である。
(起き上がりギャザー)
起き上がりギャザー60は、横漏れを防止するためのものであり、内装体200の両側部に沿って前後方向LDの全体にわたり延在し、内装体200の側部から表側に起立するものである。図示例の起き上がりギャザー60は、付け根側部分が幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側部分が幅方向外側に向かって斜めに起立するものであるが、これに限定されるものではなく、全体として幅方向中央側に起立する形態等、適宜の変更が可能である。
より詳細に説明すると、図示例の起き上がりギャザー60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザー不織布62を、先端となる部分で幅方向WDに折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状のギャザー弾性部材63を長手方向に沿って伸長状態で、幅方向WDに間隔を空けて複数本固定してなるものである。起き上がりギャザー60のうち先端部と反対側に位置する基端部(幅方向WDにおいてシート折り返し部分と反対側の端部)は、内装体200における液不透過性シート11より裏側の側部に固定された付根部分65とされ、この付根部分65以外の部分は付根部分65から延び出る本体部分66(折り返し部分側の部分)とされている。また、本体部分66は、幅方向中央側に延びる付け根側部分と、この付け根側部分の先端で折り返され、幅方向外側に延びる先端側部分とを有している。この形態は面接触タイプの起き上がりギャザー60であるが、幅方向外側に折り返されない線接触タイプの起き上がりギャザー60も採用することができる。そして、本体部分66のうち前後方向両端部が倒伏状態でトップシート30の側部表面に対して固定された倒伏部分67とされる一方で、これらの間に位置する前後方向中間部は非固定の自由部分68とされ、この自由部分68の少なくとも先端部に前後方向LDに沿うギャザー弾性部材63が伸長状態で固定されている。
以上のように構成された起き上がりギャザー60では、ギャザー弾性部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、本体部分66のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分68とされているため、自由部分68のみが図3に矢印で示すように身体側に当接するように起立する。特に、付根部分65が内装体200の裏側に位置していると、股間部及びその近傍において自由部分68が幅方向外側に開くように起立するため、起き上がりギャザー60が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。
(吸収要素)
吸収要素50は特に限定されるものではないが、本例では吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有するものとなっている。包装シート58は省略することもできる。
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
吸収体56は長方形形状でも良いが、図7にも示すように、前端部、後端部及びこれらの間に位置し、前端部及び後端部と比べて幅が狭い括れ部56Nとを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体と起き上がりギャザー60の、脚周りへのフィット性が向上するため好ましい。
また、吸収体56の寸法は排尿口位置の前後左右にわたる限り適宜定めることができるが、前後方向LD及び幅方向WDにおいて、内装体200の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。なお、符号56Xは吸収体56の幅を示している。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子54としては、この種の使い捨ておむつに使用されるものをそのまま使用できる。
高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が70秒以下、特に40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が遅すぎると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
包装シート58の包装形態は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻き付け、且つその前後縁部を吸収体56の前後からはみ出させ、巻き重なる部分及び前後はみ出し部分の重なり部分をホットメルト接着剤、素材溶着等の接合手段により接合する形態が好ましい。
(外装体)
外装体12F,12Bは、前身頃Fを構成する部分である前側外装体12Fと、後身頃Bを構成する部分である後側外装体12Bとからなり、前側外装体12F及び後側外装体12Bは股間側で連続しておらず、前後方向LDに離間されている(外装二分割タイプ)。この離間距離12dは例えば全長Yの40〜60%程度とすることができる。また、図8及び図9に示すように、外装体12が、前身頃Fから後身頃Bにかけて股間を通り連続する一体的なものとすることもできる(外装一体タイプ)。
外装二分割タイプのパンツタイプ使い捨ておむつでは、前側外装体12F及び後側外装体12Bとの間に内装体200が露出するため、内装体200の裏面に液不透過性シート11が露出しないように、前側外装体12Fと内装体200との間から、後側外装体12Bと内装体200との間にかけて、内装体200の裏面を覆うカバー不織布20を備えていると好ましい。カバー不織布20の素材は特に限定されず、例えば外装体12の外側不織布層12S又は内側不織布層12Hと同様の素材(後述する有孔不織布層でも、無孔不織布層でもよい)とすることができる。カバー不織布20の前後方向範囲は、前側外装体12F及び後側外装体12Bに重なる部分を有している限り特に限定されず、内装体200の前端から後端までの全体にわたり前後方向LDに延在していてもよく、図7に示すように、前側外装体12Fと内装体200とが重なる領域の前後方向中間位置から後側外装体12Bと内装体200とが重なる領域の前後方向中間位置まで前後方向LDに延在していてもよい。
外装体12F,12Bは、胴周り領域Tと対応する前後方向範囲である胴周り部を有する。また、本形態では、前側外装体12Fには中間領域Lと対応する部分を有していないが、後側外装体12Bは胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る臀部カバー部Cを有している。図示しないが、前側外装体12Fにも胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る鼠蹊カバー部を設けたり、鼠径カバー部は設けるものの臀部カバー部は設けない形態としたり、前側外装体12F及び後側外装体12Bの両方に中間領域Lと対応する部分を設けなくても良い。また、図示例では、臀部カバー部Cの下縁は、前側外装体12Fの下縁と同様、幅方向WDに沿う直線状に形成しているが、幅方向外側に向かうにつれてウエスト開口側に位置するようになる曲線とすることもできる。
外装体12F,12Bは、図2〜図5に示されるように、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hにより表裏が形成されている。いうまでもないが、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hのいずれか一方が本発明の第1不織布層に相当し、他方が本発明の第2不織布層に相当する、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hは、図5に示すように、一枚のシート材をウエスト開口側に折目が位置するように折り畳んで形成する他、図9に示すように、二枚のシート材を貼り合わせて形成することもできる。また、これらシート材のうち最も内側に位置する部分12rを内装体200のウエスト開口WO側の端部まで延在させることもできる(図9例を参照)。また、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの少なくとも一方は、その一部が他の部分と異なるシート材により形成されていても良い。
外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの構成繊維としては、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維(単成分繊維の他、芯鞘等の複合繊維も含む)の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等、特に限定なく選択することができ、これらを混合して用いることもできる。不織布層12S,12Hの柔軟性を高めるために、構成繊維を捲縮繊維とするのは好ましい。また、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの構成繊維は、親水性繊維(親水化剤により親水性となった疎水性繊維を含む)であっても、疎水性繊維若しくは撥水性繊維(撥水剤により撥水性となった撥水性繊維を含む)であってもよい。また、不織布は一般に繊維の長さや、シート形成方法、繊維結合方法、積層構造により、短繊維不織布、長繊維不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド(エアスルー)不織布、ニードルパンチ不織布、ポイントボンド不織布、積層不織布(スパンボンド層間にメルトブローン層を挟んだSMS不織布、SMMS不織布等)等に分類されるが、これらのどの不織布も、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hとして用いることができる。
外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの構成繊維の繊度及び目付けは適宜定めることができるが、通常の場合、それぞれ1.8〜6.0dtex程度、10〜30g/m2程度であると好ましい。
(有孔不織布について)
図2、図8、図11及び図12に示すように、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの少なくとも一方は、厚み方向に貫通する孔14が散在する有孔不織布とされる。図11及び図12に示すように、装着者の肌側となる内側不織布層12Hが無孔不織布であり、外側不織布層12Sが有孔不織布であると、孔14の肌触りへの影響を無くすことができる。また、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hのうち一方にしか孔14がないため、装着時に肌が露出することがなく、孔14を通じた漏れを防止することができる。図示しないが、装着者の肌側となる内側不織布層12Hを有孔不織布とし、外側不織布層12Sを無孔不織布としてもよい。図13及び図14に示すように、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの両方が有孔不織布であり、一方の有孔不織布の孔14と、他方の有孔不織布の孔14とが重ならない構造であるのも好ましい。この場合、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの両方を有孔不織布とすることにより、より高い通気性を獲得することができる。また、一方の有孔不織布の孔14と、他方の有孔不織布の孔14とが重ならないため、装着時に肌が露出することがなく、孔14を通じた漏れを防止することができる。図15に示すように、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの両方が有孔不織布であり、一方の有孔不織布の孔14と、他方の有孔不織布の孔14とが完全に又は部分的に重なっていてもよい。また、図示しないが、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの両方が有孔不織布である場合において、大部分(例えば50%以上の面積)では、一方の有孔不織布の孔14と他方の有孔不織布の孔14とが重ならないものの、一部では、一方の有孔不織布の孔14と他方の有孔不織布の孔14とが重なっていてもよい。
個々の孔14の平面形状(開口形状)は、適宜定めることができる。孔14は、図10(b)に示すような長孔形とするほか、図10(e)(f)に示すような真円形、図10(a)(d)に示すような楕円形、三角形、長方形、ひし形等の多角形、星形、雲形等、任意の形状とすることができる。図10(c)に示すように異なる形状の孔が混在していてもよいが、その場合、伸縮方向の寸法がほぼ同じであることが好ましく、すべての孔が単一の形状であるとより好ましい。個々の孔14の寸法は、直交方向XDの寸法(最も長い部分の寸法)14Lは0.3〜5.0mm、特に0.6〜2.0mmとするのが好ましく、伸縮方向EDの寸法(最も長い部分の寸法)14Wは0.3〜3.0mm、特に0.4〜1.5mmとするのが好ましい。孔14の形状が、長孔形、楕円形、長方形、ひし形等のように一方向に長い形状(一方向の全長がこれと直交する方向の全長よりも長い形状)の場合、長手方向の寸法(最も長い部分の寸法)はこれと直交する方向の寸法(最も長い部分の寸法)の1.2〜2.5倍であることが好ましい。また、孔14の形状が一方向に長い形状の場合、孔14の長手方向が前後方向LDであることが望ましいが、幅方向WDや斜め方向であってもよい。
個々の孔14の面積及び面積率は適宜定めればよいが、面積は0.07〜11.8mm2(特に0.19〜2.4mm2)程度であることが好ましく、面積率は1.0〜15.0%(特に5.0〜10.0%)程度であることが好ましい。
孔14の平面配列は適宜定めることができる。一つの好ましい例は、伸縮方向EDと直交する直交方向XDに間隔を空けて並ぶ孔14の列が、伸縮方向EDに間隔を空けて並ぶものである。例えば、図10(a)(c)(d)に示すように、孔14の配列は、直交方向XDに所定の間隔で直線的に並ぶ孔14の列が伸縮方向EDに所定の間隔を空けて繰り返す行列状であると好ましい。この場合、図10(a)に示すように、孔14の伸縮方向EDの間隔14xが孔14の直交方向XDの間隔14yよりも短い配列とする他、図10(c)に示すように、孔14の伸縮方向EDの間隔14xと孔14の直交方向XDとの間隔14yがほぼ等しい配列、又は図10(d)に示すように、孔14の伸縮方向EDの間隔14xが孔14の直交方向XDの間隔14yよりも長い配列とすることができる。また、図10(b)(e)に示すように、直交方向XDに所定の間隔で直線的に並ぶ孔14の列が、伸縮方向EDに間隔を空けてかつ直交方向XDの位置がずれるように並ぶ配列とすることができる。図10(b)に示す例は、隣り合う孔14の列において孔14の配置が互い違いとなる、いわゆる千鳥状(六角格子状)の配列である。また、図10(f)に示すように、隣り合う孔14の列の間が直交方向XDに連続する部分を有する限り、孔14が直交方向に沿う中心線を有する波線状に並ぶものも、伸縮方向EDと直交する方向に並ぶ孔14の列が、伸縮方向EDに間隔を空けて並ぶものに含まれる。
孔14の直交方向間隔14y及び伸縮方向間隔14xはそれぞれ一定であっても、変化してもよい。孔14の直交方向間隔14y及び伸縮方向間隔14xは適宜定めることができるが、通気性を考慮すると、それぞれ14yは0.9〜8.0mm、14xは2.0〜10mm、特に14yは1.0〜3.0mm、14xは3.0〜5.0mmの範囲内とすることが望ましい。
有孔不織布は、図16(d)に示すように孔14の周縁が繊維の切断端により形成されている打ち抜きタイプのものではなく、図16(a)〜(c)に示すように、孔14の周縁に繊維の切断端がほとんど無く、ピンが繊維間に挿入されて押し広げられて孔14が形成されたものである。ピン挿入タイプの有孔不織布は、ピン出口側(ピン挿入側と反対側)における孔14の縁部に繊維がピン出口側に押し出されることにより突出部(バリ)14eが形成される。この突出部14eが外側に露出していると肌触りを悪化させるおそれがある。このため、有孔不織布におけるピン出口側の面(突出部14eを有する面)は、伸縮構造の内部に隠れるように、対向する不織布層側に位置することが好ましい。
ピン挿入タイプの孔14は、孔14の径がピン挿入側から反対側に向かうにつれて小さくなるものである。これには、孔14の径が不織布層の厚み方向の全体にわたり減少し続けるもののほか、厚み方向の中間で孔14の径の減少がほぼなくなるものも含まれる。このようなピン挿入タイプの孔には、図16(a)(c)に示すように、ピン出口側における孔14の縁部に繊維がピン出口側に押し出された突出部(バリ)14eが形成され、ピン挿入側には突出部14eが形成されないものと、図16(b)に示すように、ピン出口側における孔14の縁部に繊維がピン出口側に押し出された突出部14eが形成されるとともに、これよりも低い突出部14eがピン挿入側に形成されるものとが含まれる。さらに、前者のタイプの孔14には、図16(a)に示すように突出部14eの突出高さ14hがほぼ均一であるものと、図16(c)に示すように突出部14eが、突出高さ14iが最も高い対向部分と、これと直交する方向に対向する対向部分であって突出高さ14jが最も低い対向部分とを有するものとが含まれる。突出部14eは孔の周方向に連続して筒状になっていることが望ましいが、一部又は全部の孔14の突出部14eが、孔14の周方向の一部のみに形成されていてもよい。突出高さ14h,14i,14j(光学顕微鏡を用いて測定される圧力を加えない状態での見かけの高さ)は0.2〜1.2mm程度であることが好ましい。また、突出部14eにおける、最も高い突出高さ14iは、最も低い突出高さ14jの1.1〜1.4倍程度であることが好ましい。突出部14eの突出高さは孔14の周方向に変化してもよい。
例えば、図10(a)(b)(d)に示す例のような一方向に長い形状の孔14をピンの挿入により形成すると、孔14の縁部の繊維が外側又は垂直方向に退けられ、孔14の長手方向の対向部分の突出高さiが、長手方向と直交する方向の対向部分の突出高さjよりも高い突出部(バリ)14eが形成される。孔14の突出部14eは、繊維密度がその周囲の部分と比べて低くなっていてもよいが、同程度又は高くなっているのが好ましい。
特徴的には、有孔不織布は、繊度0.1〜5.0dtex(より好ましくは1.0〜3.0dtex)、目付け15〜20g/m2(より好ましくは15〜18g/m2)、厚み0.3〜0.8mm(より好ましくは0.4〜0.7mm)の長繊維不織布とされる。この特定範囲の繊度、目付け及び厚みを有する長繊維不織布に、ピンの挿入により、前述の特定範囲の寸法の孔14を形成すると、孔14の縁部に形成される突出部14eが特に低くなる。よって、この有孔不織布を用いた場合、一方の面における孔14の縁部に突出部14eを有するピン挿入タイプの有孔不織布でありながら、伸縮構造の肉厚感を低減することができる。特に、有孔不織布における突出部14eを有する面が、対向する不織布層側に位置する場合、肉厚感の増加が顕著となるだけでなく、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの間に空気が保持されやすくなり、通気性の低減により蒸れやすくなるおそれがある。よって、このような構造では、突出部の高さの抑制が特に重要となる。
より詳細には、上記特定範囲の長繊維不織布の場合、ピン挿入孔の形成時、繊維が厚み方向に押し出されにくい。これは、ピンの挿入により力が加わる繊維は、不織布全体にわたり絡まりながら連続(連続繊維)しており、ピンの挿入により力が加わる部分の繊維の移動がその外側につながる部分により抑制されるためである。さらに、上述の特定範囲の長繊維不織布は、基本的に適度に低い繊維密度を有するため、厚み方向と直交する方向への繊維の移動が比較的に容易である。この結果、上述の特定範囲の長繊維不織布にピンを挿入し、上述の特定範囲の寸法の孔14を形成すると、ピンの挿入時、ピンの近傍の繊維がピンの挿入方向を中心とした放射方向に押し出されながらピン出口側に向かって移動するため、突出部14eは形成されるもののその高さは低くなる。また、そのため、孔14の縁部には周囲よりも繊維密度の高い高密度部が形成される。
この原理からも分かるように、繊維が太すぎたり、繊維の密度が高すぎたりすると、ピン挿入時に繊維が移動しにくくなり、突出部14eが高くなりやすい。また、繊維の密度が低すぎるとピン挿入後に繊維形状が復元し、孔14の形状が維持しにくくなる。これに対し、上記範囲内の長繊維不織布であれば、突出部14eの高さを抑制しつつ、しっかりとした孔14を形成することができる。
長繊維不織布は特に限定されるものではないが、一層又は複数層のスパンボンド不織布(SS、SSS等)、メルトブローン不織布、一層又は複数層のメルトブローン不織布層を一層又は複数層のスパンボンド不織布層で挟んだ積層不織布(SMS、SSMMS等)を用いることができる。繊維の結合法は特に限定されないが、結合強度を考慮するとサーマルボンド法が好ましく、熱風法のように不織布全体にわたり均一に結合するものよりも、繊維の自由度が高いポイント接着(ポイントボンド)法が好ましい。
本例の外装体12の伸縮構造のように肌に接する部分では、肌触りを向上させるために繊度1.0〜8.0dtex(より好ましくは1.5〜4.0dtex)、目付け18〜25g/m2(より好ましくは20〜25g/m2)、厚み0.5〜2.0mm(より好ましくは0.7〜1.5mm)の短繊維不織布を用いることが好ましい。しかし、前述のように短繊維不織布を用いてピン挿入タイプの有孔不織布を用いると、孔14の縁部に形成される突出部14eが高くなってしまう。よって、装着者の肌側に位置する内側不織布層12Hは無孔の短繊維不織布とし、良好な肌触りを確保しつつ、装着者の肌側と反対側に位置する外側不織布層12Sは有孔の長繊維不織布とし、肉厚感を抑制するのは一つの好ましい形態である。また、長繊維不織布は、短繊維不織布よりも強度に優れるため、伸縮構造の強度を確保する上でも、本態様の伸縮構造は好ましいものである。この場合、短繊維不織布としては、繊維長10〜100mm程度のものが好ましい。また、短繊維不織布の繊維の結合法は特に限定されないが、結合強度を考慮するとサーマルボンド法が好ましく、熱風法のように不織布全体にわたり均一に結合するものが好ましい。
有孔不織布のMD方向(幅方向)の剛軟度は、穿孔加工前の無孔の状態で35〜100mm、特に40〜70mmであると好ましく、穿孔加工後の状態では10〜50mm、特に15〜40mmであると好ましい。
(伸縮領域)
外装体12F,12Bには、外側不織布層12S及び内側不織布層12H間に細長状の弾性部材19が設けられ、弾性部材19の伸縮に伴って幅方向WDに弾性伸縮する伸縮領域A2が形成されている。すなわち、この伸縮領域A2は、自然長の状態では外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが弾性部材の収縮に伴って収縮し、多数の襞80を有する状態となる。また、この伸縮領域A2を幅方向WDに伸長すると、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが襞80なく伸び切る所定の伸長率まで伸長する。弾性部材19としては、細長状のものであれば、糸状、紐状、帯状を問わず用いることができる。また、弾性部材19としては合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。
弾性部材19は、少なくとも伸縮領域A2における伸縮方向EDの両端部が外側不織布層12S及び内側不織布層12Hに固定される。この弾性部材19の固定には、後述する直交方向XDに連続するシート接合部70の形成の結果として、シート接合部70の位置で弾性部材19が外側不織布層12S及び内側不織布層12Hに固定されることも含まれる。
弾性部材19の固定手段は特に限定されないが、ホットメルト接着剤19Hを用いることが好ましい。例えば、図17に示すように、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段により、弾性部材19における伸縮方向EDの両端部の外周面にホットメルト接着剤19Hを間欠的に塗布した後、この弾性部材19を外側不織布層12S及び内側不織布層12H間に挟むことができる。この場合、弾性部材19は、その配置部位で、伸縮領域における伸縮方向EDの両端部のみが外側不織布層12S及び内側不織布層12Hにホットメルト接着剤19Hを介して固定される。図11及び図13に示すように、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段により弾性部材19の外周面にホットメルト接着剤を連続的に塗布した後、この弾性部材19を外側不織布層12S及び内側不織布層12H間に挟むこともできる。この場合、弾性部材19は、その配置部位で、伸縮領域A2における伸縮方向EDの両端部はもちろん、その長手方向全体が外側不織布層12S及び内側不織布層12Hに固定される。他には、図21に示すように、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの少なくとも一方の対向面における、弾性部材19の伸縮方向EDの両端部の配置位置にホットメルト接着剤を塗布した後、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの間に弾性部材19を挟むこともできる。この場合、ホットメルト接着剤は、直交方向XDに連続していてもよいし、直交方向XDに間欠的に配置されていてもよい。さらに、これらの場合、ホットメルト接着剤の連続部分は複数本の弾性部材にわたっていてもよい。
また、伸縮領域A2の直交方向XDの全体にわたり弾性部材19の固定位置を同じとしてもよいが、複数の弾性部材19と交差する一部の範囲を異なるものとすることができる。例えば、ウエスト部Wについては弾性部材19の伸縮方向EDの全体にわたり固定し、ウエスト部W以外については弾性部材19の伸縮方向EDの両端部のみを固定することができる。
図示例のようなパンツタイプ使い捨ておむつの場合、弾性部材19、すなわち伸縮領域は以下の部位に設けることが望ましい。すなわち、外装体12F,12Bのウエスト部Wにおける外側不織布層12S及び内側不織布層12H間には、幅方向WDの全体にわたり連続するように、複数のウエスト部弾性部材17が前後方向に間隔を空けて取り付けられている。また、ウエスト部弾性部材17のうち、ウエスト下方部Uに隣接する領域に配設される1本又は複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。このウエスト部弾性部材17としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度設けるのが好ましく、これによるウエスト部Wの幅方向WDの伸長率は150〜400%、特に220〜320%程度であるのが好ましい。また、ウエスト部Wは、その前後方向LDの全てに同じ太さのウエスト部弾性部材17を用いたり、同じ伸長率にしたりする必要はなく、例えばウエスト部Wの上部と下部で弾性部材17の太さや伸長率が異なるようにしてもよい。
また、外装体12F,12Bのウエスト下方部Uにおける外側不織布層12S及び内側不織布層12H間には、細長状弾性部材からなるウエスト下方部弾性部材15が複数本、前後方向に間隔を空けて取り付けられている。
ウエスト下方部弾性部材15としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度設けるのが好ましく、これによるウエスト下方部Uの幅方向WDの伸長率は200〜350%、特に240〜300%程度であるのが好ましい。
また、後側外装体12Bの臀部カバー部Cにおける外側不織布層12S及び内側不織布層12H間には、細長状弾性部材からなるカバー部弾性部材16が複数本、前後方向に間隔を空けて取り付けられている。
カバー部弾性部材16としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度設けるのが好ましく、これによるカバー部の幅方向WDの伸長率は150〜300%、特に180〜260%であるのが好ましい。
前側外装体12Fに鼠径カバー部を設ける場合には同様にカバー部弾性部材を設けることができる。
(非伸縮領域)
図示例のウエスト下方部Uや臀部カバー部Cのように、吸収体56を有する前後方向範囲に弾性部材15,16を設ける場合には、その一部又は全部において吸収体56の幅方向WDの収縮を防止するために、吸収体56と幅方向WDに重なる部分の一部又は全部を含む幅方向中間(好ましくは内外接合部201の全体を含む)が非伸縮領域A1とされ、その幅方向両側が伸縮領域A2とされる。ウエスト部Wは幅方向WDの全体にわたり伸縮領域A2とされるのが好ましいが、ウエスト下方部Uと同様に、幅方向中間に非伸縮領域A1を設けても良い。
伸縮領域A2及び非伸縮領域A1は、内側不織布層12Hと、外側不織布層12Sとの間に、弾性部材15,16を供給し、弾性部材15,16を伸縮領域A2における少なくとも伸縮方向EDの両端部でホットメルト接着剤を介して固定し、非伸縮領域A1となる領域では固定せず、非伸縮領域A1となる領域において、弾性部材15,16を幅方向中間の1か所で加圧及び加熱により切断するか、又は弾性部材15,16のほぼ全体を加圧及び加熱により細かく切断し、伸縮領域A2に伸縮性を残しつつ非伸縮領域A1では伸縮性を殺すことにより構築することができる。前者の場合、図4に示すように、非伸縮領域A1には、伸縮領域A2の弾性部材15,16から連続する切断残部が不要弾性部材18として単独で自然長まで収縮した状態で、外側不織布層12S及び内側不織布層12H間に残ることとなり、後者の場合、図示しないが、伸縮領域A2の弾性部材15,16から連続する切断残部、及び両方の伸縮領域A2の弾性部材15,16と連続しない弾性部材の切断片が不要弾性部材として単独で自然長まで収縮した状態で、外側不織布層12S及び内側不織布層12H間に残ることになる。
(外側不織布層及び内側不織布層の接合構造:横縞状パターン)
図11及び図12に示される伸縮領域A2は、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが接合されたシート接合部70を有しており、このシート接合部70が、直交方向XDに間隔を空けて、かつ伸縮方向EDに実質的に連続する横縞状パターンで形成されている。このように、シート接合部70が、少なくとも伸縮方向EDと直交する直交方向XDに間隔を空けて形成されていると、良好な通気性、柔軟性を確保することができる。また、この場合、各シート接合部70で外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが一体化していることにより、襞80が互いに沿うような波状に形成される。そして、この影響を受けて、隣り合うシート接合部70の間の領域においても、概ね、シート接合部70における外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの形状に続くように、図12(c)に示すように、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが互いに沿うような波状をなしてその表裏両面に襞80が形成される。このように外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが互いに沿う伸縮構造では、有孔不織布の突出部の高さに起因する肉厚感の増加を特に感じやすくなるため、前述の特定範囲の有孔不織布を用いることが望ましい。
シート接合部70は、伸縮領域A2の伸縮方向EDの全体にわたり連続していてもよいが、複数の襞80が形成される一部の範囲のみ連続していてもよい。また、伸縮領域A2の直交方向XDの全体にわたり、シート接合部70が伸縮方向に連続していてもよく、複数の弾性部材19と交差する一部の範囲のみ(例えばウエスト部のみ)連続していてもよい。
シート接合部70を直交方向XDに間欠配置した場合、隣り合うシート接合部70の間の領域では外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが自由に変形できる。また、厚み方向に貫通する孔14が配列された有孔不織布は、単独で変形可能な状態では孔14を有する部分が弱く折れ曲がりやすい。このため、図示例と異なり、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの少なくとも一方が有孔不織布であるとともに、シート接合部70を挟んで一方の領域に孔14があるのに、他方の領域に孔14がなかったりすると、一方の領域には孔14が折れ目となるような襞80が形成されるのに対して、他方の領域にはこれと揃わない(直交方向XDに続かない)襞80が形成される。つまり、襞80が枝分かれしたり、谷部が部分的に広くなったりし、全体として整った襞80が形成されにくい。
これに対して、図示例では 孔14の配列が、直交方向XDに間隔を空けて並ぶ孔14の列が、伸縮方向EDに間隔を空けて並ぶものとなっている。また、孔14の列における孔14の直交方向XDの間隔14yが、シート接合部70の直交方向XDの間隔70yより狭くなっている。この結果、図18に示すように、隣り合うシート接合部70の間の領域のすべてに孔14が存在するとともに、その孔14が伸縮方向EDと直交する方向に列をなしているため、シート接合部70により区切られた領域のすべてにわたり、孔14が折れ目となるような一続きの襞80が形成されやすくなる。つまり、襞80が枝分かれしたり、谷部が部分的に広くなったりしにくくなり、全体として、孔14の列に沿って延びる整った襞80が形成されやすくなる。
例えば、孔14の列における孔14の直交方向XDの間隔14yが、シート接合部70の直交方向XDの間隔70yの1/6以上1/2未満であると、隣り合うシート接合部70の間の領域のすべてに2つ以上の孔14が存在するため、孔14が折れ目となるような一続きの襞80が、より一層形成されやすくなる。よって、より一層整った襞80が形成されやすくなる。また、図2に示す例では、ウエスト部Wでは、孔14の列における孔14の直交方向XDの間隔14yは、ウエスト部弾性部材19の直交方向XDの間隔より長いため、シート接合部70が弾性部材19と重なる部位に配置されたホットメルト接着剤19Hにより形成されていると、上記条件を満たさないが、ウエスト部W以外では上記条件を満たすものとなっている。もちろん、伸縮領域A2のすべてが上記間隔14y,70yの大小関係を満たすことが望ましいが、この例のように伸縮領域A2のすべてが上記14y,70yの大小関係を満たす必要はない。
シート接合部70を横縞状パターンとする場合、例えば、図11及び図13に示す例のように、シート接合部70は、弾性部材19と重なる部位に配置されたホットメルト接着剤19Hにより形成されているだけでもよい。このようなシート接合部70は、ホットメルト接着剤19Hを塗布した弾性部材19を外側不織布層12S及び内側不織布層12Hで挟むことにより製造することができるものであり、使い捨て着用物品の分野では広く用いられている。しかし、このシート接合部70の構造では、シート接合部70で外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが弾性部材19とともに収縮し、繊維構造が密になる。そのため、図18に示すように、原理的にシート接合部70で襞80が分断されやすい。これに対して、前述の孔14の配列、及び孔14とシート接合部70との配置関係を採用すると、襞80の形成に関して孔14の影響が支配的になるため、シート接合部70で襞80が分断されやすいにもかかわらず、全体として、孔14の列に沿って延びる整った襞80が形成されやすくなる。
弾性部材19と重なる部位にホットメルト接着剤19Hを配置するのに代えて(又はこれとともに)図17に示すように、直交方向XDに隣り合う弾性部材19の間に位置する領域に、伸縮方向EDに実質的に連続するシート接合部70を形成することもできる。後者の場合、シート接合部70は、ホットメルト接着剤により形成するほか、ヒートシールや超音波シール等の素材溶着により形成してもよい。この他、弾性部材19の両端部を固定するためのホットメルト接着剤19Hが、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hを接合していてもよいことはいうまでもない。
有孔不織布における突出部14eを有する面が、対向する不織布層側に位置する場合、伸縮方向EDに実質的に連続するシート接合部70をホットメルト接着剤19Hで形成すると次のような問題点を有する。すなわち、ホットメルト接着剤19Hの塗布位置と孔14の位置とを正確に合わせることが困難なため、一部のホットメルト接着剤19Hの塗布部分が伸縮方向EDに間隔を空けて並ぶ多数の孔14と重なる可能性がある。また、シート接合部70の直交方向XDの中心間隔と、孔14の列における孔14の直交方向XDの中心間隔とが異なる場合も同様である。ここで、有孔不織布における突出部14eを有する面が、対向する不織布層側に位置していると、孔14を有する位置では突出部14eでしか外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが接触せず、突出部14eの近傍では外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが離間した状態となるため、突出部14e及びその近傍の接着が弱くなるおそれがある。この結果、伸縮を繰り返す等により外力が加わると、シート接合部70が剥離し、剥離部分において局所的に襞80が大きくなり、外観が顕著に悪化する。これに対して、前述の特定範囲の有孔不織布を用い、孔14の縁部に形成される突出部14eの高さを低く抑えると、前述の各種の利点を有しつつ、突出部14e及びその近傍における外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの接着力の低下を抑えることも可能となる。
シート接合部70を横縞状パターンとする場合、直交方向XDにおけるシート接合部70の寸法70Lは適宜定めることができるが、短いことが好ましく、直交方向XDにおける隣り合う弾性部材19の間隔19yの0.2〜0.6倍、特に0.3〜0.5倍であることが好ましい。
シート接合部70を横縞状パターンとする場合、孔14の径が、対向する不織布層側と反対側から対向する不織布層側(例えば図11及び図12に示す例では外側不織布層12Sの外側から内側)に向かうにつれて小さくなっていると、図12及び図14に示す例のように、対向する不織布層と反対側の面が谷折りとなるように折れやすい。よって、襞80はより綺麗に整ったものとなる。また、この場合に形成される襞80では、襞と襞との間の底部に孔14の列が位置するようになり、図18(a)に示すように、自然長時には孔14が襞と襞との間に隠れるものの、使用時などに伸長した状態では図18(c)に示すように孔14が露出する。この変化により通気性向上が図られるのはもちろん、外観の変化であることにより通気性に優れた商品であることを使用者に訴求しやすいという利点ももたらされる。さらに、一部のシート接合部70は孔14を通るような配置となっていてもよいが、その場合に、シート接合部70がホットメルト接着剤19Hにより形成されていると、孔14からホットメルト接着剤19Hが露出する。しかし、襞と襞との間の底部に孔14の列が位置すると、孔14から露出するホットメルト接着剤19Hが肌に触れにくいという利点も有する。
特に、装着者の肌側となる内側不織布層12Hが無孔不織布であり、外側不織布層12Sが有孔不織布である場合に、有孔不織布の孔14の径が、対向する不織布層側と反対側から対向する不織布層側に向かうにつれて小さくなっていると、図12(c)及び図18(b)に示すように、内側不織布層12Hに形成される襞80は薄い襞となり、外側不織布層12Sに形成される襞80は緩やかに折れ曲がる厚い襞となる。したがって、内側不織布層12Hと肌との接触面積が少なく、かつ襞と襞との間の隙間が大きくなるため、特に通気性に優れたものとなる。外側不織布層12Sの襞80は、倒れるなどの美観を損ねる変形が発生しにくく、形状安定性に優れたものとなる。
前述のように、孔14の配列は限定されるものではないが、襞80の形状に影響するものである。よって、シート接合部70を横縞状パターンとする場合、直交方向XDに所定の間隔で直線的に並ぶ孔14の列が伸縮方向EDに所定の間隔を空けて繰り返す行列状であると、特に襞80が直交方向XDに沿って直線的に延び、綺麗に整ったものとなりやすいため好ましい。
シート接合部70を横縞状パターンとする場合、具体的な孔14及びシート接合部70の寸法・配置は適宜定めることができるが、以下の範囲内であると特に好ましい。
孔14の伸縮方向EDの寸法14W:0.3〜3.0mm(特に0.4〜1.5mm)
孔14の直交方向XDの寸法14L:0.3〜5.0mm(特に0.6〜2.0mm)
列における孔14の直交方向XDの間隔14y:1.0〜5.0mm(特に1.0〜3.0mm)
列の伸縮方向EDの間隔14x:2.5〜10.0mm(特に3.0〜6.0mm)
直交方向XDにおけるシート接合部70の間隔:5〜10mm(特に5.0〜7.0mm)
直交方向XDにおけるシート接合部70の寸法70L:0.5〜5.0mm(特に1.0〜3.0mm)
孔14及びシート接合部70は、伸縮領域A2だけに設けることもできるが、図8及び図9に示す例のように、非伸縮領域A1を含むより広範囲の領域にわたり設けることができる。
(外側不織布層及び内側不織布層の接合構造:縦縞状パターン)
図19及び図20に示される伸縮領域A2は、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hがホットメルト接着剤14Hを介して接合されたシート接合部70を有しており、このホットメルト接着剤14Hが、伸縮方向EDに間隔を空けて、かつ直交方向XDに連続する縦縞状パターンで塗布されていてもよい。このように、ホットメルト接着剤14Hによるシート接合部70が、伸縮方向EDに間隔を空けて形成されているため、通気性、柔軟性を確保することができる。また、ホットメルト接着剤14Hが伸縮方向EDに間隔を空けて、かつ直交方向XDに連続する縦縞状パターンで塗布されることによりシート接合部70が形成されている場合、自然長状態を含め、ある程度収縮した状態では、図23にも示すように、シート接合部70は伸縮方向EDと直交する方向に連続する溝となり、その溝間の非接合部分では外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが互いに反対向きに(表裏両側に)同程度に膨出して襞が形成される。ホットメルト接着剤14Hは、伸縮領域A2の直交方向XDの全体にわたり連続していてもよいが、複数の弾性部材19と交差する一部の範囲のみ(例えばウエスト部を除く範囲のみ)連続していてもよい。
ホットメルト接着剤14Hが縦縞状パターンで塗布される場合、一部のホットメルト接着剤14Hの塗布線と孔14の列とが重なることにより、シート接合部となるべき部分に外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが接合されない欠落部が形成される可能性がある。ここで、孔14の列における孔14の直交方向XDの間隔14yが孔14の直交方向XDの寸法14Lより狭いと、シート接合部70は長い欠落部を介して断続する点線状になったり、シート接合部70の縁に長い凹状の欠落部が多数形成されたりすることとなる。このようにシート接合部70の欠落が大きくなると、襞80の側縁にも大きな凹凸ができたり、部分的に隣の襞80と合体したりしやすくなるため、直線状の整った外観となりにくい。
このため、ホットメルト接着剤14Hと重なる孔14を有しない構造が理想的である。しかし、既製の有孔不織布を用いて本伸縮構造を製造する場合、正確な位置決めは困難であるため、一部の接着線と孔14の列とが重なることは避けられず、前述の欠落部の形成を確実に回避することは困難である。また、接着剤の塗布部分の伸縮方向の中心間隔と、孔の列の伸縮方向の中心間隔とが異なる場合も同様である。そこで、図示例のように、孔14の列における孔14の直交方向XDの間隔14yが孔14の直交方向XDの寸法14Lより広くするのは好ましい。これにより、一部のシート接合部70に欠落部が形成されるとしても、そのシート接合部70の直交方向XDに占める欠落部の割合が半分未満となるため、欠落部による襞80の形状への影響はより小さくて済む。よって、図23に示すように、襞80の側縁に凹凸が形成されたり、部分的に隣の襞80と合体したりするとしても、その程度を抑制することができる。
孔14の列における孔14の直交方向XDの間隔14yは、孔14の直交方向XDの寸法14Lより広ければ適宜定めることができるが、孔14の直交方向XDの寸法14Lの3倍以上であると、シート接合部70の欠落部(孔14と重なる部分)により、襞80の側縁に凹凸が形成されたり、部分的に隣の襞80と合体したりしたとしても、ほとんど目立たないものとなる。また、孔14の列における孔14の直交方向XDの間隔14yが孔14の直交方向XDの寸法14Lの20倍を超えると、単位面積当たりの孔14の数が少なくなり、有孔不織布を採用する利益に乏しいものとなる。より好ましい範囲は3〜10倍である。
また、有孔不織布における突出部14eを有する面が、対向する不織布層側に位置する場合、一部のホットメルト接着剤19Hの塗布部分が孔14の列と重なると、次のような問題点を有する。すなわち、有孔不織布における突出部14eを有する面が、対向する不織布層側に位置していると、孔14を有する位置では突出部14eでしか外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが接触せず、突出部14eの近傍では外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが離間した状態となるため、突出部14e及びその近傍の接着が弱くなるおそれがある。この結果、伸縮を繰り返す等により外力が加わると、シート接合部70が剥離し、剥離部分において局所的に襞80が大きくなり、外観が顕著に悪化する。これに対して、前述の特定範囲の有孔不織布を用い、孔14の縁部に形成される突出部14eの高さを低く抑えると、前述の各種の利点を有しつつ、突出部14e及びその近傍における外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの接着力の低下を抑えることも可能となる。
また、孔14の列における孔14の直交方向XDの間隔14yは、弾性部材19の直交方向XDの間隔19y以上であるのも好ましい。これにより、隣り合う弾性部材19の間の領域のすべてに、各列の孔14が1つ以下しか存在しないため、孔14の有無による折れ曲がりやすさの変化が少ないものとなり、より一層整った襞80が形成されやすくなる。
また、図示例では、伸縮領域A2のすべてにおいて上記間隔14y,寸法14Lの大小関係を満たしているが、伸縮領域A2のすべてが上記間隔14y,寸法14Lの大小関係を満たす必要はない。例えば、図示しないが、ウエスト部Wでは、上記間隔14y,寸法14Lの大小関係を満たさないが、ウエスト部W以外では上記間隔14y,寸法14Lの大小関係を満たすものとなっていてもよい。上記間隔14y、19yの関係も同様であり、伸縮領域A2のすべてで満たしていても、また、伸縮領域A2の一部で満たしていなくてもよい。
孔14の列の伸縮方向EDの間隔14xは適宜定めることができるが、シート接合部70の伸縮方向EDの間隔70yよりも小さいと、図示例のように、各襞80に1つ以上の孔14が存在することとなり、各襞80における外側不織布層12S及び内側不織布層12H間の空間と外部との通気性が向上するため好ましい。なお、このように孔14の列の伸縮方向EDの間隔を狭くすると、ホットメルト接着剤14Hの塗布線が孔14の列と重なる確率が高くなるが、その場合であっても、前述のように孔14の列における孔14の直交方向XDの間隔14yが孔14の直交方向XDの寸法14Lより広いため、襞80の形状の崩れは抑制することができる。
外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの両方が有孔不織布であり、かつ孔14と孔14とが重なるおそれがあると、孔14と孔14とが重なる部分にホットメルト接着剤14Hの塗布線が重なることにより、孔14内にホットメルト接着剤14Hがはみ出して、装着感等の問題を引き起こすおそれがある。よって、図19及び図20に示すように、装着者の肌側となる内側不織布層12Hが無孔不織布であり、外側不織布層12Sが有孔不織布である構造や、図21及び図22に示すように、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの両方が有孔不織布であり、一方の有孔不織布の孔14と、他方の有孔不織布の孔14とが重ならない構造であることが望ましい。
前述のように、孔14の配列は限定されるものではないが、有孔不織布は孔14を有する部分で折れ曲がりやすいものであるため、襞80の形状に影響するものである。よって、孔14の配列は、直交方向XDに所定の間隔で直線的に並ぶ孔14の列が伸縮方向EDに所定の間隔を空けて繰り返す行列状であると、特に襞80が直交方向XDに沿って直線的に延び、綺麗に整ったものとなりやすいため好ましい。
ホットメルト接着剤14Hを縦縞状パターンで塗布する場合、具体的な孔14及びシート接合部70の寸法・配置は適宜定めることができるが、以下の範囲内であると特に好ましい。すなわち、シート接合部70が欠落部を有すると、応力が集中しやすい等の理由で、シート接合部70の面積が単に減少するよりも接着部分が剥離しやすくなる。そして、このような接着部分の剥離が発生すると、襞80の一部又は全体の崩れにより、襞80の外観の悪化がより一層顕著となるおそれがある。これに対し、孔14及びシート接合部70の配置が本範囲内であると、シート接合部70が欠落部を有する場合であっても、剥離しにくいものとなる。
孔14の伸縮方向EDの寸法14W:0.3〜5.0mm(特に1.0〜2.0mm)
孔14の直交方向XDの寸法14L:0.3〜3.0mm(特に1.0〜1.5mm)
列における孔14の直交方向XDの間隔14y:2.5〜10.0mm(特に3.0〜5.0mm)
列の伸縮方向EDの間隔14x:0.5〜5.0mm(特に1.0〜2.0mm)
伸縮方向におけるシート接合部の寸法:0.5〜4mm(特に1.0〜2.0mm)
伸縮方向におけるシート接合部の間隔:4〜8mm(特に6〜8mm)
孔14及びシート接合部70は、伸縮領域A2だけに設けることもできるが、図8及び図9に示す例と同様に、非伸縮領域A1を含むより広範囲の領域にわたり設けることができる。
シート接合部70は、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hがホットメルト接着剤14Hを介して接合された部分であるが、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが溶着された部分であってもよい。つまり、シート接合部70の形成に際し、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの溶着が、伸縮方向EDに間隔を空けて、かつ直交方向XDに連続する縞状パターンでなされていてもよい。この場合、弾性部材19の通過位置で弾性部材19と外側不織布層12S及び内側不織布層12Hとが溶着していても、溶着していなくてもよい。いずれにせよ、弾性部材19を介在させた状態で外側不織布層12S及び内側不織布層12Hを溶着するために、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの溶融部分は、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの少なくとも一方で直交方向XDに連続することとなる。なお、溶着が直交方向XDに連続的になされることには、外側不織布層12S及び内側不織布層12Hの少なくとも一方で溶着加工跡が連続する限り、溶着加工と弾性部材19との交差位置で外側不織布層12S及び内側不織布層12Hと弾性部材19とがそれぞれ溶着して外側不織布層12S及び内側不織布層12Hが間接的に溶着することにより溶着が連続する形態だけでなく、溶着加工と弾性部材19との交差位置で弾性部材19が介在するために外側不織布層12S及び内側不織布層12H間の溶着が連続しない形態も含まれる。
(外側不織布層及び内側不織布層の接合構造:他のパターン)
また、シート接合部は、千鳥状等の、伸縮方向及び直交方向の両方向に間欠的なパターンであってもよい。
<有孔不織布の評価試験>
表1に示される比較例1、比較例2、実施例1及び実施例2の有孔不織布を用意し、厚みを測定した。測定結果を表1に示した。比較例1、比較例2、実施例1及び実施例2の有孔不織布は、表1に示される比較例3〜6の無孔不織布に、ピン挿入加工により孔を形成したものである。
以下の接着性評価試験を行った。すなわち、表1に示される比較例1、比較例2、実施例1及び実施例2の有孔不織布をそれぞれ縦横各10cmの正方形に切断した。また、比較例3の無孔不織布をそれぞれ縦横各10cmの正方形に切断したものを有孔不織布と同数用意した。ホットメルト接着剤を塗布した細長状弾性部材を伸長率200%に伸長した状態で、有孔不織布における突出部を有する面に一本だけ配置し、その上に、無孔不織布を周囲及びMD方向及びCD方向が有孔不織布と一致するように重ね合わせ、有孔不織布及び無孔不織布を貼り合わせたサンプルを作製した。弾性部材は、孔を通りMD方向に延びるように配置した。有孔不織布及び無孔不織布を貼り合わせてから5分経過した後、サンプルの伸縮方向の両端部を指で摘み、最大伸び(弾性限界伸び)まで伸ばした後に自然長に戻す操作を10回繰り返した後、接着部分の剥離の有無を目視で確認し、1か所でも接着部分の剥離があった場合には×と評価し、少しも接着部分の剥離がなかった場合には〇と評価した。評価結果を表1に示した。
表1に示されるように、実施例1及び2の有孔不織布は、比較例1及び2の有孔不織布と比べて、孔の部分の厚み増加率が低いものとなった。また、接着性評価試験の結果も、実施例1及び2の有孔不織布は無孔不織布と同程度に優れる結果となった。
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・前後方向」とは図中に符号LDで示す方向(縦方向)を意味し、「幅方向」とは図中にWDで示す方向(左右方向)を意味し、前後方向と幅方向とは直交するものである。
・「MD方向」及び「CD方向」とは、製造設備における流れ方向(MD方向)及びこれと直交する横方向(CD方向)を意味し、いずれか一方が前後方向となるものであり、他方が幅方向となるものである。不織布のMD方向は、不織布の繊維配向の方向である。繊維配向とは、不織布の繊維が沿う方向であり、例えば、TAPPI標準法T481の零距離引張強さによる繊維配向性試験法に準じた測定方法や、前後方向及び幅方向の引張強度比から繊維配向方向を決定する簡易的測定方法により判別することができる。
・「表側」とはパンツタイプ使い捨ておむつを着用した際に着用者の肌に近い方を意味し、「裏側」とはパンツタイプ使い捨ておむつを着用した際に着用者の肌から遠い方を意味する。
・「表面」とは部材の、パンツタイプ使い捨ておむつを着用した際に着用者の肌に近い方の面を意味し、「裏面」とはパンツタイプ使い捨ておむつを着用した際に着用者の肌から遠い方の面を意味する。
・閉じた平面形状に関して「中心」とは、中心を有しない図形の場合には重心を意味する。
・「面積率」とは単位面積に占める対象部分の割合を意味し、対象領域(例えば不織布)における対象部分(例えば孔)の総和面積を当該対象領域の面積で除して百分率で表すものである。対象部分が間隔を空けて多数設けられる形態では、対象部分が10個以上含まれるような大きさに対象領域を設定して、面積率を求めることが望ましい。例えば、孔の面積率は、例えばKEYENCE社の商品名VHX−1000を使用し、測定条件を20倍として、以下の手順で測定することができる。
(1)20倍のレンズにセットし、ピントを調節する。穴が4×6入るように不織布の位置を調整する。
(2)孔の領域の明るさを指定し、孔の面積を計測する。
(3)「計測・コメント」の「面積計測」の色抽出をクリックする。孔の部分をクリックする。
(4)「一括計測」をクリックし、「計測結果ウィンドを表示」にチェックを入れ、CSVデータで保存をする。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。例えば、伸長率が200%とは、伸長倍率が2倍であることと同義である。
・「ゲル強度」は次のようにして測定されるものである。人工尿(尿素:2wt%、塩化ナトリウム:0.8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.03wt%、硫酸マグネシウム七水和物:0.08wt%、及びイオン交換水:97.09wt%を混合したもの)49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter−MAX ME−500)でゲル強度を測定する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を温度100℃の環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から、試料採取用の型板(100mm×100mm)を使用し、100mm×100mmの寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、100倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES−G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:0.098N/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。有孔不織布の「孔を有する部分の厚み」は、孔及びその縁部の突出部を少なくとも1つ含むように10か所で測定を行い、その平均値とする。有孔不織布の「孔の無い部分の厚み」は、孔及びその縁部の突出部の無い部分10か所で測定を行い、その平均値とする。ただし、孔及びその縁部の突出部の無い部分の面積が小さく、測定ができない場合には、孔の有無以外(繊維組成、繊度、目付け、厚み等)はすべて同じ仕様の不織布を用意して測定を行うものとする。
・「剛軟度」は、JIS L 1096:2010「織物及び編物の生地試験方法」の「8.21.1 A法(45°カンチレバー法)」を意味する。有孔不織布における穿孔加工前(無孔不織布)の値は、穿孔加工前の無孔不織布が入手できない場合には、孔の有無以外(繊維組成、繊度、目付け、厚み等)はすべて同じ仕様の不織布を用意して測定を行うものとする。
・吸水量は、JIS K7223−1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
・吸水速度は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内で行うものとする。
本発明は、パンツタイプ使い捨ておむつやテープタイプ使い捨ておむつの他、パッドタイプ使い捨ておむつ、使い捨て水着、おむつカバー、生理用ナプキン等、使い捨て着用物品全般に利用できるものである。
11…液不透過性シート、12…外装体、12A…サイドシール部、12B…後側外装体、12F…前側外装体、12H…内側不織布層、12S…外側不織布層、14…孔、14e…突出部、18…不要弾性部材、19…弾性部材、19H…ホットメルト接着剤、20…カバー不織布、200…内装体、201…内外接合部、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…起き上がりギャザー、62…ギャザー不織布、A1…非伸縮領域、A2…伸縮領域、C…臀部カバー部、L…中間領域、LD…前後方向、LO…脚開口、T…胴周り領域、U…ウエスト下方部、W…ウエスト部、WD…幅方向、WO…ウエスト開口、70…シート接合部、XD…直交方向、ED…伸縮方向、80…襞。