JP7212804B1 - 使い捨て着用物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】有孔不織布からなるトップシートの皺を抑制する。【解決手段】上記課題は、トップシート30の孔配列領域は、第1孔71が配列された第1配列を、幅方向WDに間隔を空けて複数有し、第1配列は、隣接する第1孔71の中心を繋ぐ仮想線VLが波状をなすものであり、第1配列は、トップシート30の前後方向LDの全体にわたり第1孔71を有することなく前後方向LDに連続する第1帯91を有し、仮想線VLにおける各ピーク間部分94の前後少なくとも一方側に、各第1帯91上に配置された第2孔72の群からなる第2配列を有し、幅方向WDに隣り合う第1配列の間には、トップシート30の前後方向LDの全体にわたり第1孔71を有することなく前後方向LDに連続する第2帯92を有し、第2帯92は、前後方向LDに間欠的に配置された第3孔73の群からなる第3配列を有する、使い捨て着用物品により解決される。【選択図】図6

Description

本発明は、有孔不織布からなるトップシートを備えた使い捨て着用物品に関するものである。
使い捨ておむつや生理用ナプキン等の使い捨て着用物品の多くは、布のような外観及び肌触りとするためにトップシートに不織布が使用されている。この不織布としては、繊維間隙以外に孔を有しない無孔不織布の他、表裏に貫通する孔を多数有する有孔不織布が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
有孔不織布は、通気性や通液性を向上する機能美を付加するものとしても効果があるため、孔は見栄えの良いパターンで配列されることが一般的である。
しかしながら、有孔不織布からなるトップシートを用いて使い捨て着用物品を製造した場合、前後方向に延びる皺がトップシート表面に形成されやすいという問題点があった。
特開2021-078871号公報
そこで、本発明の主たる課題は、有孔不織布からなるトップシートの皺を抑制すること等にある。
本発明者は、有孔不織布からなるトップシートの皺形成メカニズムについて鋭意研究した結果、トップシートの前後方向の全体にわたり孔を有することなく所定の幅で前後方向に連続する無孔帯と、前後方向に間欠的に孔を有しつつ所定の幅で前後方向に連続する有孔帯(無孔帯以外の部分)とを有する場合、無孔帯の伸縮性及び有孔帯の伸縮性が異なるため、無孔帯に皺が形成されるとの知見を得た。以下に述べる使い捨て着用物品は、このような知見に基づいてなされたものである。
<第1の態様>
排泄物の液分を吸収して保持する吸収体と、前記吸収体の表側に設けられた有孔不織布からなるトップシートとを有し、
前記トップシートは、装着者の肌に接触可能な肌接触領域を有し、
前記肌接触領域は、表裏に貫通する孔が配列された孔配列領域を有し、
前記孔配列領域は、第1孔が配列された第1配列を、幅方向に間隔を空けて複数有し、
前記第1配列は、隣接する前記第1孔の中心又は重心を繋ぐ仮想線が、幅方向の一方側に突出する一方のピークとその反対側に突出する他方のピークとが前後方向に交互に繰り返しつつ連続する波状をなすものであり、
前記第1配列は、前記トップシートの前後方向の全体にわたり第1孔を有することなく所定の幅で前後方向に連続する第1帯を、幅方向に間隔を空けて複数有し、
前記仮想線における各ピーク間部分の前後少なくとも一方側に、各第1帯上に配置された第2孔の群からなる第2配列を有し、
幅方向に隣り合う前記第1配列の間には、前記トップシートの前後方向の全体にわたり第1孔を有することなく所定の幅で前後方向に連続する第2帯をそれぞれ有し、
前記第2帯は、前記仮想線の1波長あたりに1つ以上の割合で前後方向に間欠的に配置された第3孔の群からなる第3配列を有し、
前記第3前記第2孔の幅方向の寸法が前記第1帯の幅よりも長く、孔の幅方向の寸法が前記第2帯の幅よりも長く、前記孔配列領域に、前記トップシートの前後方向の全体にわたり孔を有することなく所定の幅で前後方向に連続する無孔帯が無い、
ことを特徴とする使い捨て着用物品。
(作用効果)
本使い捨て着用物品のトップシートは、波状の第1の配列で形成された第1孔を有することを基本とする。トップシートの孔は、ある程度粘性のある液分(以下、粘性液分ともいう)の吸収性を向上させるものであり、これが波状に配列されていることにより粘性液分の前後方向の移動を抑制しやすい等の利点を有する。しかし、この基本配列のみでは第1帯及び第2帯が無孔帯となるため、第1帯及び第2帯の前後方向の適所に第2孔及び第3孔を形成し、孔配列領域に無孔帯が形成されないようになっている。したがって、有孔不織布からなるトップシートにおいて、孔配列領域の皺を抑制することができる。
<第2の態様>
前記第2孔及び前記第3孔は、前記第1配列に沿って配置されている、
第1の態様の使い捨て着用物品。
(作用効果)
このように第1配列の近くに第2孔及び第3孔を配置することにより、第1配列のパターンが埋没せずに強調されて美観が向上するだけでなく、粘性液分の移動抑制作用が向上するようになる。
<第3の態様>
前記第1帯及び前記第2帯のすべてが同じ幅を有し、
前記第1孔、前記第2孔及び前記第3孔のすべてが、同じ形状及び同じ寸法を有する、
第1又は2の態様の使い捨て着用物品。
(作用効果)
本態様のように均一な寸法関係を有することにより、製造が容易になるとともに、トップシートの特性もより均一になるため好ましい。
<第4の態様>
前記第1帯の幅方向の寸法及び前記第2帯の幅方向の寸法はそれぞれ0.4~3mm
であり、
前記第2孔の幅方向の寸法は前記第1帯の幅方向の寸法の1.3~10倍であり、
前記第3孔の幅方向の寸法は前記第2帯の幅方向の寸法の1.3~10倍であり、
前記孔配列領域における孔の面積率は8~14%である、
第1~3のいずれか1つの態様の使い捨て着用物品。
(作用効果)
孔の寸法等は適宜定めることができるが、本態様の範囲内であると好ましい。
<第5の態様>
前記一方のピークからその次の前記他方のピークまでに位置する前記第1孔の数が3以上である、
第1~4のいずれか1つの態様の使い捨て着用物品。
(作用効果)
第1孔の数は適宜定めることができるが、本態様の範囲内であると好ましい。
<第6の態様>
前記有孔不織布は、JIS L 1913:2010「一般不織布試験方法」に規定された「6.3引張強さ及び伸び率(ISO法)」に準じて「6.3.1標準時の試験」を行ったときの、1kg荷重時の伸び率がMD方向25~45%、CD方向70~90%で
ある、第1~5のいずれか1つの態様の使い捨て着用物品。
(作用効果)
本態様のような伸び特性を有する有孔不織布をトップシートに用いた場合、前述の第1~3配列による皺抑制作用が顕著となるため好ましい。
<第7の態様>
幅方向に隣り合う前記仮想線がそれぞれ逆位相の関係にある、
第1~6のいずれか1つの態様の使い捨て着用物品。
(作用効果)
隣り合う仮想線が逆位相の関係にある場合、第1配列の外観はモロッカン柄(立涌柄)となる。このような配列では、幅方向に隣り合う一対の仮想線の間に、第1孔の無い略楕円状領域が前後方向に繰り返し形成され、かつ全体としてはこの略楕円状領域が他の領域を介さないように互い違いに配置されることとなる。このような略楕円状領域が存在すると、略楕円状領域内から周囲に移動する粘性液分は第1孔に捕捉されやすくなるため、粘性液分の移動があらゆる方向に抑制される。ただし、第1配列のみでは前述のように皺の形成が問題となるため、第2配列及び第3配列を組み合わせることが望ましい。
本発明によれば、有孔不織布からなるトップシートの皺を抑制できる、等の利点がもたらされる。
展開状態のテープタイプ使い捨ておむつの内面を示す、平面図である。 展開状態のテープタイプ使い捨ておむつの外面を示す、平面図である。 図1の6-6断面図である。 図1の7-7断面図である。 (a)図1の8-8断面図、(b)図1の9-9断面図、及び(c)図1の10-10断面図である。 有孔不織布の孔の配列パターンの例を示す平面図である。 有孔不織布の孔の配列パターンの例を示す平面図である。 有孔不織布の孔の配列パターンの例を示す平面図である。 有孔不織布の孔部分の断面図である。 有孔不織布の孔の配列パターンの要部を拡大して示す平面図である。 有孔不織布の孔の配列パターンの要部を拡大して示す平面図である。 有孔不織布の孔の配列パターンの要部を拡大して示す平面図である。
図1~図5はテープタイプ使い捨ておむつの一例を示している。図中の符号Xは連結テープ13を除いたおむつの全幅を示しており、符号Yはおむつの全長を示している。また、断面図における点模様部分は各構成部材を接合する接合手段としての接着剤を示している。ホットメルト接着剤は、スロット塗布、連続線状又は点線状のビード塗布、スパイラル状、Z状、波状等のスプレー塗布、又はパターンコート(凸版方式でのホットメルト接着剤の転写)等、公知の手法により塗布することができる。これに代えて又はこれとともに、弾性部材の固定部分では、ホットメルト接着剤を弾性部材の外周面に塗布し、弾性部材を隣接部材に固定することができる。ホットメルト接着剤としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、ポリオレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在するが、特に限定無く使用できる。各構成部材を接合する接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段を用いることもできる。
また、以下の説明における不織布としては、部位や目的に応じて公知の不織布を適宜使用することができる。不織布の構成繊維としては、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維(単成分繊維の他、芯鞘等の複合繊維も含む)の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等、特に限定なく選択することができ、これらを混合して用いることもできる。不織布の柔軟性を高めるために、構成繊維を捲縮繊維とするのは好ましい。また、不織布の構成繊維は、親水性繊維(親水化剤により親水性となったものを含む)であっても、疎水性繊維若しくは撥水性繊維(撥水剤により撥水性となったものを含む)であってもよい。また、不織布は一般に繊維の長さや、シート形成方法、繊維結合方法、積層構造により、短繊維不織布、長繊維不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド(エアスルー)不織布、ニードルパンチ不織布、ポイントボンド不織布、積層不織布(同一又は類似の不織布層が積層されたSSS不織布等の他、異なる不織布層が積層された、スパンボンド層間にメルトブローン層を挟んだSMS不織布、SMMS不織布等を含む)等に分類されるが、これらのどの不織布も用いることができる。積層不織布は、すべての層を含む一体の不織布として製造され、すべての層にわたる繊維結合加工がなされたものを意味し、別々に製造された複数の不織布をホットメルト接着剤等の接合手段により貼り合わせたものは含まない。
本テープタイプ使い捨ておむつは、前後方向LDの中央より前側に延びる腹側部分Fと、前後方向LDの中央より後側に延びる背側部分Bとを有している。また、本テープタイプ使い捨ておむつの形状は、製品の前後方向の中央よりも前側から、製品の前後方向中央よりも後側まで延びる股間部分Mと、製品の前後方向の中央よりも前側に離れた位置で、左右両側に突出する前ウイング80と、製品の前後方向の中央よりも後側に離れた位置で、左右両側に突出する後ウイング81とを有するものとなっている。さらに、本テープタイプ使い捨ておむつは、股間部を含む範囲に内蔵された吸収体56と、吸収体56の表側を覆う液透過性のトップシート30と、吸収体56の裏側を覆う液不透過性シート11と、液不透過性シート11の裏側を覆い、製品外面を構成する外装不織布12とを有するものである。
以下、各部の素材及び特徴部分について順に説明する。
(吸収体)
吸収体56は、排泄液を吸収し、保持する部分であり、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100~300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30~120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1~16dtex、好ましくは1~10dtex、さらに好ましくは1~5dtexである。
吸収体56の平面形状は適宜定めることができ、長方形とする他、前後方向LDの中間が脚周りに沿うように括れた形状とすることもできる。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子としては、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用できる。高吸収性ポリマー粒子の粒径は特に限定されないが、例えば500μmの標準ふるい(JIS Z8801-1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)、及びこのふるい分けでふるい下に落下する粒子について180μmの標準ふるい(JIS Z8801-1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)を行ったときに、500μmの標準ふるい上に残る粒子の割合が30重量%以下で、180μmの標準ふるい上に残る粒子の割合が60重量%以上のものが望ましい。
高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん-アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん-アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が70秒以下、特に40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が遅すぎると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、通常の場合、50~350g/m2とすることができる。
(包装シート)
高吸収性ポリマー粒子の抜け出しを防止するため、あるいは吸収体56の形状維持性を高めるために、吸収体56は包装シート58で包んでなる吸収要素50として内蔵させることができる。包装シート58としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。繊維目付けは、5~40g/m2、特に10~30g/m2のものが望ましい。
この包装シート58は、図3に示すように、一枚で吸収体56の全体を包む構造とするほか、上下2枚等の複数枚のシートで吸収体56の全体を包むようにしてもよい。包装シート58は省略することもできる。
(トップシート)
トップシート30は、前後方向では製品前端から後端まで延び、幅方向WDでは吸収体56よりも側方に延びているが、例えば後述する起き上がりギャザー60の起点が吸収体56の側縁よりも幅方向WDの中央側に位置する場合等、必要に応じて、トップシート30の幅を吸収体56の全幅より短くする等、適宜の変形が可能である。
トップシート30は、装着者の肌に接する肌接触領域を有する。図示例の場合、肌接触領域は展開状態で左右の起き上がりギャザー60の間に位置する領域である。また、トップシート30は、表裏に貫通する孔70が所定のパターンで配列された孔配列領域を有する有孔不織布であると好ましい。孔70の形状、寸法、配列パターン等は適宜定めることができる。なお、図1では図面の見やすさのため、トップシート30の一部にのみ孔70を図示しているが、これは孔配列領域を示すものではない。
有孔不織布は特に限定されるものではないが、柔軟性の観点からエアスルー不織布等の短繊維不織布が好適であり、また繊度は1~5dtex程度、特に1~3dtex程度であると好ましく、目付けは10~30g/m2程度であると好ましい。
孔配列領域は、トップシート30における前後方向LDの中間の領域のみとしたり、トップシート30における幅方向WDの中間領域のみとしたりすることができる(一部に孔70の無い領域を有していてもよい)。また、孔配列領域はトップシート30の全体としたりすることができる。すなわち、孔配列領域は肌接触領域に設けられる限り、それ以外の領域(例えば幅方向WDの両側においてギャザーシート62が接着された領域等)まで広がっていてもよい。なお、孔配列領域は、すべての孔70に外接する矩形領域を意味する。
個々の孔70の平面形状(開口形状)は、適宜定めることができる。孔70は、図10(a)に示すような真円形、図10(b)に示すような楕円形、三角形、長方形、ひし形等の多角形、長孔形、星形、雲形等、任意の形状とすることができ、すべて同一の形状であってもよいが、異なる形状の孔70が混在していてもよい。個々の孔70の寸法は特に限定されないが、前後方向の寸法(最も長い部分の寸法)70Lは0.5~4.0mm、特に1.0~2.0mmとするのが好ましく、幅方向の寸法(最も長い部分の寸法)70Wは0.5~4.0mm、特に1.0~2.0mmとするのが好ましい。孔70の形状は、一方向の寸法がこれと直交する方向の寸法の1.2~2.5倍である一方向に長い形状(一方向の全長がこれと直交する方向の全長よりも長い形状)であってもよいし、前後方向の寸法及び幅方向の寸法はほぼ同じ(例えばな外方の寸法が短い方の寸法の1.2倍未満)であってもよい。なお、トップシート30をなす有孔不織布のMD方向は、多くの場合、前後方向LDに等しいものとなる。
孔配列領域における孔70の間隔は適宜定めればよいが、孔配列領域に占めるすべての孔70の面積率は8~14%程度であることが好ましい。また、一つの孔70の面積は0.19~13.00mm2程度であることが好ましい。
孔70の断面形状は特に限定されない。例えば、孔70は、周縁が繊維の切断端により形成されている打ち抜きタイプの孔であっても、孔70の周縁に繊維の切断端がほとんど無く、ピンが繊維間に挿入されて押し広げられて形成された非打ち抜きタイプの孔70(縁部の繊維密度が高い)であってもよい。打ち抜きタイプの孔70は、図9(d)に示すように、孔70の径が厚み方向中間に向かうにつれて小さくなるものであっても、図示しないが厚み方向一方側に向かうにつれて小さくなるものであってもよい。
非打ち抜きタイプの孔70は、孔70の径がピン挿入側から反対側に向かうにつれて小さくなるものである。これには、孔70の径が不織布層の厚み方向の全体にわたり減少し続けるもののほか、厚み方向の中間で孔70の径の減少がほぼなくなるものも含まれる。このような非打ち抜きタイプの孔には、図9(a)(c)に示すように、ピン挿入側と反対側における孔70の縁部に繊維がピン挿入側と反対側に押し出された突出部(バリ)70eが形成され、ピン挿入側には突出部70eが形成されないものと、図9(b)に示すように、ピン挿入側と反対側における孔70の縁部に繊維がピン挿入側と反対側に押し出された突出部70eが形成されるとともに、ピン挿入側には繊維がピン挿入側に押し出されて形成された突出部70eが形成されるものとが含まれる。さらに、前者のタイプの孔70には、図9(a)に示すように突出部70eの突出高さ70hがほぼ均一であるものと、図9(c)に示すように突出部70eが、突出高さ70iが最も高い対向部分と、これと直交する方向に対向する対向部分であって突出高さ70jが最も低い対向部分とを有するものとが含まれる。突出部70eは孔の周方向に連続して筒状になっていることが望ましいが、一部又は全部の孔70の突出部70eが、孔70の周方向の一部のみに形成されていてもよい。突出高さ70h,70i,70j(光学顕微鏡を用いて測定される圧力を加えない状態での見かけの高さ)は0.2~1.2mm程度であることが好ましい。また、突出部70eにおける、最も高い突出高さ70iは、最も低い突出高さ70jの1.1~1.4倍程度であることが好ましい。突出部70eの突出高さは孔70の周方向に変化してもよい。
例えば、一方向に長い形状の孔70をピンの挿入により形成すると、孔70の縁部の繊維が外側又は垂直方向に退けられ、孔70の長手方向の対向部分の突出高さ70iが、長手方向と直交する方向の対向部分の突出高さ70jよりも高い突出部(バリ)70eが形成される。孔70の突出部70eは、繊維密度がその周囲の部分と比べて低くなっていてもよいが、同程度又は高くなっているのが好ましい。
特に、有孔不織布が、繊度0.1~5.0dtex(より好ましくは1.0~3.0dtex)、目付け15~20g/m2(より好ましくは15~18g/m2)、厚み0.3~0.8mm(より好ましくは0.3~0.6mm)の長繊維不織布である場合、ピンの挿入により孔70を形成すると、孔70の縁部に形成される突出部70eが低くなる。より詳細には、上記特定範囲の長繊維不織布の場合、ピン挿入孔の形成時、繊維が厚み方向に押し出されにくい。これは、ピンの挿入により力が加わる繊維は、不織布全体にわたり絡まりながら連続(連続繊維)しており、ピンの挿入により力が加わる部分の繊維の移動がその外側につながる部分により抑制されるためである。さらに、上述の特定範囲の長繊維不織布は、基本的に適度に低い繊維密度を有するため、厚み方向と直交する方向への繊維の移動が比較的に容易である。この結果、上述の特定範囲の長繊維不織布にピンを挿入し、上述の特定範囲の寸法の孔70を形成すると、ピンの挿入時、ピンの近傍の繊維がピンの挿入方向を中心とした放射方向に押し出されながらピン出口側に向かって移動するため、突出部70eは形成されるもののその高さは低くなる。また、そのため、孔70の縁部には周囲よりも繊維密度の高い高密度部が形成される。そして、この高密度部により、孔70の周囲と孔70との陰影がより強くなり、孔70の視認性が向上するという利点がある。
(トップシートの固定)
トップシート30は、ホットメルト接着剤を介して、トップシート30の裏側に配置された裏側の部材に接着されていると好ましい。このトップシート30の固定領域は、少なくとも孔配列領域の全体にわたる限り、それ以外の領域まで(例えばトップシート30の全体)及んでいても、孔配列領域のみとなっていてもよい。裏側の部材は、図示例の場合、中間シート40、包装シート58、及び液不透過性シート11となっているが、これに限定されるものではない。
(中間シート)
トップシート30を透過した液を速やかに吸収体56へ移行させるために、トップシート30より液の透過速度が速い、中間シート40(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体56へ移行させて吸収体56による吸収性能を高め、吸収した液の吸収体56からの「逆戻り」現象を防止するためのものである。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、不織布等の液透過性のシートを用いることができる。中間シート40としては、特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは17~80g/m2が好ましく、18~60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.0~10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
図示例の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。また、中間シート40は、おむつの全長にわたり設けてもよいが、図示例のように排泄位置を含む前後方向LDの中間部分にのみ設けてもよい。
(液不透過性シート)
液不透過性シート11は、特に限定されるものではないが、透湿性を有するものが好ましい。液不透過性シート11としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを好適に用いることができる。また、液不透過性シート11としては、不織布を基材として防水性を高めたものも用いることができる。
液不透過性シート11は、前後方向LD及び幅方向WDにおいて吸収体56と同じか又はより広範囲にわたり延びていることが望ましいが、他の遮水手段が存在する場合等、必要に応じて、前後方向LD及び幅方向WDにおいて吸収体56の端部を覆わない構造とすることもできる。
(外装不織布)
外装不織布12は液不透過性シート11の裏側全体を覆い、製品外面を布のような外観とするものである。外装不織布12の繊維目付けは10~50g/m2、特に15~30g/m2であると好ましいが、これに限定されるものではない。外装不織布12は省略することもでき、その場合には液不透過性シート11を製品の側縁まで延ばすことができる。
(起き上がりギャザー)
トップシート30上を伝わって横方向に移動する排泄物を阻止し、いわゆる横漏れを防止するために、表面の幅方向WDの両側には、装着者の肌側に立ち上がる起き上がりギャザー60が設けられていると好ましい。もちろん、起き上がりギャザー60は省略することもできる。
起き上がりギャザー60を採用する場合、その構造は特に限定されず、公知のあらゆる構造を採用できる。図示例の起き上がりギャザー60は、実質的に幅方向WDに連続するギャザーシート62と、このギャザーシート62に前後方向LDに沿って伸長状態で固定された細長状のギャザー弾性部材63とにより構成されている。このギャザーシート62としては撥水性不織布を用いることができ、またギャザー弾性部材63としては糸ゴム等を用いることができる。ギャザー弾性部材63は、図1及び図2に示すように各側で複数本設ける他、各側に1本のみ設けることができる。
ギャザーシート62の内面は、トップシート30の側部上に幅方向WDの接合始端を有し、この接合始端から幅方向の外側の部分は各サイドフラップSFの内面、つまり図示例では液不透過性シート11の側部及びその幅方向の外側に位置する外装不織布12の側部にホットメルト接着剤などにより接合されている。
脚周りにおいては、起き上がりギャザー60の接合始端より幅方向の中央側は、製品前後方向両端部ではトップシート30上に固定されているものの、その間の部分は非固定の自由部分であり、この自由部分がギャザー弾性部材63の収縮力により立ち上がり、身体表面に密着するようになる。
(エンドフラップ、サイドフラップ)
図示例のテープタイプ使い捨ておむつは、吸収体56の前側及び後側にそれぞれ延出する、吸収体56を有しない一対のエンドフラップEFと、吸収体56の両方の側縁よりも側方にそれぞれ延出する、吸収体56を有しない一対のサイドフラップSFとを有している。サイドフラップSFは、図示例のように、吸収体56を有する部分から連続する本体シート(外装不織布12等)からなるものであっても、他の素材を取り付けて形成してもよい。
(平面ギャザー)
各サイドフラップSFには、糸ゴム等の細長状弾性部材からなるサイド弾性部材64が前後方向LDに沿って伸長された状態で固定されており、これにより各サイドフラップSFの脚周り部分が平面ギャザーとして構成されている。サイド弾性部材64は、図示例のように、ギャザーシート62の接合部分のうち接合始端近傍の幅方向の外側において、ギャザーシート62と液不透過性シート11との間に設けるほか、サイドフラップSFにおける液不透過性シート11と外装不織布12との間に設けることもできる。サイド弾性部材64は、図示例のように各側で複数本設ける他、各側に1本のみ設けることもできる。
平面ギャザーは、サイド弾性部材64の収縮力が作用する部分(図中ではサイド弾性部材64が図示された部分)である。よって、平面ギャザーの部位にのみサイド弾性部材64が存在する形態の他、平面ギャザーよりも前側、後側又はその両側にわたりサイド弾性部材64が存在しているが、平面ギャザーの部位以外ではサイド弾性部材64が一か所又は多数個所で細かく切断されていたり、サイド弾性部材64を挟むシートに固定されていなかったり、あるいはその両方であったりすることにより、平面ギャザー以外の部位に収縮力が作用せず(実質的には、サイド弾性部材64を設けないことに等しい)に、平面ギャザーの部位にのみサイド弾性部材64の収縮力が作用する構造も含まれる。
(前ウイング)
本テープタイプ使い捨ておむつは、製品の前後方向の中央よりも前側に離れた位置で、左右両側に突出する前ウイング80を有している。前ウイング80は省略する(つまり、製品の最も幅の狭い部分から製品の前端まで幅が変化しない形状とする)こともできる。
前ウイング80の幅方向WDの寸法は適宜定めることができるが、例えば物品全長Yの5~20%(特に7~15%)とすることができる。前ウイング80の幅方向WDの寸法は、後述する後ウイング81の幅方向WDの寸法とほぼ同じにすることができる。
(後ウイング)
本テープタイプ使い捨ておむつは、製品の前後方向の中央よりも後側に離れた位置で、左右両側に突出する後ウイング81を有している。
後ウイング81の幅方向WDの寸法は適宜定めることができ、前ウイング80の幅方向の寸法と同じにするほか、前ウイング80の幅方向の寸法よりも小さく又は大きくすることもできる。
(中間部分)
前ウイング80と後ウイング81との間における製品の両方の側縁82は、例えば、前後方向LDに対する鋭角側交差角が±2度未満の方向を中心として、当該中心と直交する方向に±5mmの幅の範囲を通るほぼ直線状の部分を有することができる。前ウイング80と後ウイング81との間における製品の両方の側縁82は、波状や弧状をなしていてもよい(図示略)し、図示例のように直線状であってもよい。
(ウイングの形成)
図示例のように、サイドフラップSFの側部を凹状に切除することにより、前ウイング80の下縁から、前ウイング80と後ウイング81との間における製品の両方の側縁82を経て後ウイング81の下縁に至る凹状縁の全体を形成することができる。この場合、サイドフラップSFの積層構造により前ウイング80及び後ウイング81の積層構造が決まり、図示例ではギャザーシート62及び外装不織布12により前ウイング80及び後ウイング81が形成される。図示しないが、サイドフラップSFから側方に突出する前延長シートを設け、前ウイング80の全体又は先端側の一部を前延長シートにより形成してもよい。同様に、サイドフラップSFから側方に突出する後延長シートを設け、後ウイング81の全体又は先端側の一部を後延長シートにより形成してもよい。前延長シート及び後延長シートとしては各種の不織布を用いることができる。
(連結部)
後ウイング81には、着用時に腹側部分Fと着脱可能に連結される連結部13Aを備えている。すなわち、着用に際しては、後ウイング81の両側部を装着者の腹側に持ち込み、後ウイング81の連結部13Aを腹側部分Fの外面に連結する。連結部13Aとしては、メカニカルファスナー(面ファスナー)のフック材(雄材)を設ける他、粘着剤層を設けてもよい。フック材は、その連結面に多数の係合突起を有するものであり、係合突起の形状としては、レ字状、J字状、マッシュルーム状、T字状、ダブルJ字状(J字状のものを背合わせに結合した形状のもの)等、公知のあらゆる形状を採用することができる。
連結部13Aは、後ウイング81に直接的に取り付けることができるほか、図示例のように、連結部13Aを有する連結テープ13を後ウイング81に取り付けることもできる。連結テープ13の構造は特に限定されないが、図示例では、サイドフラップSFに固定されたテープ取付部13C、及びこのテープ取付部13Cから突出するテープ本体部13Bと、このテープ本体部13Bの幅方向WD中間部に設けられた連結部13Aとを有し、この連結部13Aより先端側が摘み部となっている。テープ取付部13Cからテープ本体部13Bまでを形成するシート材としては、不織布、プラスチックフィルム、ポリラミ不織布、紙やこれらの複合素材を用いることができる。
腹側部分Fの外面における連結部13Aの連結箇所は、適宜定めることができ、左右の前ウイング80の間に位置する本体部のみを連結個所とするものであってもよいし、本体部の側部から前ウイング80の基端側までの範囲を連結個所とするもであってもよい。これらの連結個所は、連結部13Aの連結が容易になっていることが好ましい。例えば、連結部13Aがメカニカルファスナー(面ファスナー)のフック材(雄材)である場合、腹側部分Fの外面における連結個所を、メカニカルファスナーのループ材(雌材)又は不織布で形成すればよい。ループ材としては、プラスチックフィルムにループ糸を縫い付けたものも知られているが、繊維の連続方向が幅方向WDの長繊維不織布(繊度2.0~4.0dtex、目付け20~50g/m2、厚み0.3~0.5mm程度のスパンボンド不織布等)に、少なくとも幅方向WDに間欠的に繊維相互を溶着した溶着部を設けたものが通気性、柔軟性の観点から好ましい。図示例のように腹側部分Fの外面における連結個所を含む領域が外装不織布12で形成されている場合、何も付加せずに、外装不織布12にフック材を連結することができる。必要に応じて、腹側部分Fの外面における連結個所にのみループ材を貼り付けてもよい。また、連結部13Aが粘着材層の場合には、粘着性に富むような表面が平滑なプラスチックフィルムを、腹側部分Fの外面における連結個所に貼り付けることもできる。
(トップシートの孔の配列)
トップシート30の孔配列領域は、図6及び図10(a)に示すように、第1孔71が配列された第1配列を、幅方向WDに間隔を空けて複数有する。この第1配列は、隣接する第1孔71の中心又は重心を繋ぐ仮想線VLが、幅方向WDの一方側に突出する一方のピークP1とその反対側に突出する他方のピークP2とが前後方向LDに交互に繰り返しつつ連続する波状をなすものであると好ましい。すなわち、トップシート30の孔70は、ある程度粘性のある液分(以下、粘性液分ともいう)の吸収性を向上させるものであり、これが波状に配列されていることにより粘性液分の前後方向LDの移動を抑制しやすい等の利点を有する。しかし、この第1配列のみでは、第1配列の範囲内に、トップシート30の前後方向LDの全体にわたり第1孔71を有することなく所定の幅で前後方向LDに連続する第1帯91(図6中の左端の第1配列のみ点模様で図示)を、幅方向WDに間隔を空けて複数有することとなる。また、隣り合う第1配列の間には、トップシート30の前後方向LDの全体にわたり第1孔71を有することなく所定の幅で前後方向LDに連続する第2帯92(図6中の左端のものみ点模様で図示)をそれぞれ有することとなる。そして、これら第1帯91及び第2帯92が無孔帯となり、皺が形成されやすくなる。
そこで、図示例のように、仮想線VLにおける各ピーク間部分94の前後少なくとも一方側に、各第1帯91上に配置された第2孔72の群からなる第2配列を有し、第2帯92は、仮想線VLの1波長あたりに1つ以上の割合で前後方向LDに間欠的に配置された第3孔73の群からなる第3配列を有し、第2孔72の幅方向WDの寸法が第1帯91の幅よりも長く、第3孔73の幅方向WDの寸法が第2帯92の幅よりも長く、孔配列領域に無孔帯が形成されないようになっていると、孔配列領域の皺を効果的に抑制することができるため好ましい。
特に、トップシート30をなす有孔不織布が、JIS L 1913:2010「一般不織布試験方法」に規定された「6.3引張強さ及び伸び率(ISO法)」に準じて「6.3.1標準時の試験」を行ったときの、1kg荷重時の伸び率がMD方向25~45%、CD方向70~90%であると、前述の第1~3配列による皺抑制作用が顕著となるため好ましいが、これに限定されるものではない。
第1配列を定める仮想線VLは、図7に示すように幅方向WDに隣り合う他の仮想線VLに対して位相が揃っていてもよいし、図6に示すようにズレていてもよい。特に図6に示すように、幅方向WDに隣り合う仮想線VLがそれぞれ逆位相の関係にある場合、第1配列の外観はモロッカン柄(立涌柄)となる。このような配列では、幅方向WDに隣り合う一対の仮想線VLの間に、第1孔71の無い略楕円状領域93が前後方向LDに繰り返し形成され、かつ全体としてはこの略楕円状領域93が他の領域を介さないように互い違いに配置されることとなる。このような略楕円状領域93が存在すると、略楕円状領域93内から周囲に移動する粘性液分は第1孔71に捕捉されやすくなるため、粘性液分の移動があらゆる方向に抑制される。
第1配列を定める仮想線VLの形状は、波状である限り、三角波状や矩形波状であってもよいが、正弦波状等のように徐々に変化する形状が好ましい。また、仮想線VLは全振幅TAが8~15mmであり、波長WLが全振幅TAの2.0~2.5倍であると好ましい。一方、仮想線VLは、一方のピークP1からその次の他方のピークP2までに位置する第1孔71の数が3以上であると好ましく、特に4~10であると好ましく、4~6であるとより好ましい。
第2孔72及び第3孔73は、例えば図12(b)に示すように幅方向WDに沿って直線状に配列されていてもよい。第2孔72及び第3孔73は図10(a)(b)、図11(a)(b)図12(a)に示すように第1配列に沿って近くに配置されていると、第1配列のパターンが埋没せずに強調されて美観が向上するだけでなく、第1孔71、第2孔72及び第3孔73により囲まれる無孔領域が大きく確保されるものでありながら、粘性液分の移動抑制作用が向上するため好ましい。一例としては、第2孔72及び第3孔73は、仮想線VLに対する最小距離が1.5~8mm程度であると好ましく、1.5~5mm程度であると好ましい。このように、第2孔72からなる第2配列及び第3孔73からなる第3配列はそれぞれ規則的な配列であると好ましい。
第2孔72は、図6及び図7に示すように各ピーク間部分94に対して前後いずれか一方側に設ける他、図8に示すように各ピーク部分の前後両側に設けることができる。図6等に示すように、一部の略楕円状領域93には第2孔72が存在しなくてもよいし、図7に示すようにすべての略楕円状領域93に第2孔72が配置されていてもよい。また、図11(a)に示すように略楕円状領域93の幅方向WDの一方側と他方側とで第2孔72の前後方向LDの位置が異なっていてもよいし、他の図に示すように同じ(左右対称)であってもよい。
第2孔72及び第3孔73の総数は適宜定めることができるが、多過ぎるのは好ましくないため、第2孔72及び第3孔73の総数は、第1孔71の総数の120%以下であると好ましく、100%以下であるとより好ましく、80%以下程度であると特に好ましい。
各部の形状及び寸法は適宜定めることができる。例えば、第1帯91及び第2帯92のすべてが同じ幅を有し、かつ第1孔71、第2孔72及び第3孔73のすべてが、同じ形状及び同じ寸法を有すると、均一な寸法関係を有することにより、製造が容易になるとともに、トップシート30の特性もより均一になるため好ましい。しかし、例えば、すべての第1帯91の幅が同一であり、すべての第2帯92の幅が同一であるものの、第1帯91の幅と第2帯92の幅とが異なっていてもよいし、複数ある第1帯91の幅が異なっていたり、複数ある第2帯92の幅が異なっていたりしてもよい。また、すべての第1孔71の幅が同じであり、すべての第2孔72の幅が同じであり、かつすべての第3孔73の幅が同じであるものの、第1孔71、第2孔72及び第3孔73の幅のいずれか一種又は二種が他のいずれか一種又は二種と異なっていてもよい。
第1孔71、第2孔72、第3孔73の形状は、図10(a)等に示すような真円形、図10(b)等に示すような楕円形のほか、三角形、長方形、ひし形等の多角形、星形、雲形、又は図12(a)に示すようなスリット形等、任意の形状とすることができる。図11(b)に示す例からも分かるように、第1孔71、第2孔72、第3孔73のいずれか一種又は二種の形状が他のいずれか一種又は二種と異なっていてもよい。第1孔71、第2孔72、第3孔73のいずれか一種又は複数種に異なる形状の孔70が混在していてもよい。
一例としては、第1帯91の幅方向WDの寸法及び第2帯92の幅方向WDの寸法はそれぞれ0.4~3mmであり、第2孔72の幅方向WDの寸法は第1帯91の幅方向WDの寸法の1.3~10倍(特に1.3~3倍)であり、第3孔73の幅方向WDの寸法は第2帯92の幅方向WDの寸法の1.3~10倍(特に1.3~3倍)であり、孔配列領域における孔70の面積率は8~14%であると好ましい。
トップシート30は、第1配列が定まる限り第1孔71、第2孔72及び第3孔73以外の孔70を有していてもよいが、有していないことが好ましい。
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「前後方向」とは図中に符号LDで示す方向(縦方向)を意味し、「幅方向」とは図中にWDで示す方向(左右方向)を意味し、前後方向と幅方向とは直交するものである。
・「MD方向」及び「CD方向」とは、製造設備における流れ方向(MD方向)及びこれと直交する横方向(CD方向)を意味し、製品の部分によっていずれか一方が前後方向となるものであり、他方が幅方向となるものである。不織布のMD方向は、不織布の繊維配向の方向である。繊維配向とは、不織布の繊維が沿う方向であり、例えば、TAPPI標準法T481の零距離引張強さによる繊維配向性試験法に準じた測定方法や、前後方向及び幅方向の引張強度比から繊維配向方向を決定する簡易的測定方法により判別することができる。
・「表側」とは着用した際に着用者の肌に近い方を意味し、「裏側」とは着用した際に着用者の肌から遠い方を意味する。
・「表面」とは、「表側」の面を意味し、「裏面」とは「裏側」の面を意味する。
・「面積率」とは単位面積に占める対象部分の割合を意味し、対象領域(例えばカバー不織布)における対象部分(例えば孔)の総和面積を当該対象領域の面積で除して百分率で表すものである。対象部分が間隔を空けて多数設けられる形態では、対象部分が10個以上含まれるような大きさに対象領域を設定して、面積率を求めることが望ましい。例えば、孔の面積率は、例えばKEYENCE社の商品名VHX-1000を使用し、測定条件を20倍として、以下の手順で測定することができる。
(1)20倍のレンズにセットし、ピントを調節する。が4×6入るように不織布の位置を調整する。
(2)孔の領域の明るさを指定し、孔の面積を計測する。
(3)「計測・コメント」の「面積計測」の色抽出をクリックする。孔の部分をクリックする。
(4)「一括計測」をクリックし、「計測結果ウィンドを表示」にチェックを入れ、CSVデータで保存をする。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。例えば、伸長率が200%とは、伸長倍率が2倍であることと同義である。
・「ゲル強度」は次のようにして測定されるものである。人工尿(尿素:2wt%、塩化ナトリウム:0.8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.03wt%、硫酸マグネシウム七水和物:0.08wt%、及びイオン交換水:97.09wt%を混合したもの)49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter-MAX ME-500)でゲル強度を測定する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を温度100℃の環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から、試料採取用の型板(100mm×100mm)を使用し、100mm×100mmの寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、100倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES-G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:0.098N/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。有孔不織布の厚みは、孔及びその周囲の突出部以外の部分で測定する。
・吸水量は、JIS K7223-1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
・吸水速度は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
・「展開状態」とは、収縮(弾性部材による収縮等、あらゆる収縮を含む)や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内で行うものとする。
本発明は、パンツタイプ使い捨ておむつやテープタイプ使い捨ておむつの他、パッドタイプ使い捨ておむつ、使い捨て水着、おむつカバー、生理用ナプキン等、使い捨て着用物品全般に利用できるものである。
11…液不透過性シート、20…外装不織布、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…起き上がりギャザー、62…ギャザーシート、70…孔、70e…突出部、71…第1孔、72…第2孔、73…第3孔、91…第1帯、92…第2帯、93…略楕円状領域、94…ピーク間部分、LD…前後方向、P1…一方のピーク、P2…他方のピーク、VL…仮想線、WD…幅方向。

Claims (7)

  1. 排泄物の液分を吸収して保持する吸収体と、前記吸収体の表側に設けられた有孔不織布からなるトップシートとを有し、
    前記トップシートは、装着者の肌に接触可能な肌接触領域を有し、
    前記肌接触領域は、表裏に貫通する孔が配列された孔配列領域を有し、
    前記孔配列領域は、第1孔が配列された第1配列を、幅方向に間隔を空けて複数有し、
    前記第1配列は、隣接する前記第1孔の中心又は重心を繋ぐ仮想線が、幅方向の一方側に突出する一方のピークとその反対側に突出する他方のピークとが前後方向に交互に繰り返しつつ連続する波状をなすものであり、
    前記第1配列は、前記トップシートの前後方向の全体にわたり第1孔を有することなく所定の幅で前後方向に連続する第1帯を、幅方向に間隔を空けて複数有し、
    前記仮想線における各ピーク間部分の前後少なくとも一方側に、各第1帯上に配置された第2孔の群からなる第2配列を有し、
    幅方向に隣り合う前記第1配列の間には、前記トップシートの前後方向の全体にわたり第1孔を有することなく所定の幅で前後方向に連続する第2帯をそれぞれ有し、
    前記第2帯は、前記仮想線の1波長あたりに1つ以上の割合で前後方向に間欠的に配置された第3孔の群からなる第3配列を有し、
    前記第2孔の幅方向の寸法が前記第1帯の幅よりも長く、前記第3孔の幅方向の寸法が前記第2帯の幅よりも長く、前記孔配列領域に、前記トップシートの前後方向の全体にわたり孔を有することなく所定の幅で前後方向に連続する無孔帯が無い、
    ことを特徴とする使い捨て着用物品。
  2. 前記第2孔及び前記第3孔は、前記第1配列に沿って配置されている、
    請求項1記載の使い捨て着用物品。
  3. 前記第1帯及び前記第2帯のすべてが同じ幅を有し、
    前記第1孔、前記第2孔及び前記第3孔のすべてが、同じ形状及び同じ寸法を有する、
    請求項1又は2記載の使い捨て着用物品。
  4. 前記第1帯の幅方向の寸法及び前記第2帯の幅方向の寸法はそれぞれ0.4~3mmであり、
    前記第2孔の幅方向の寸法は前記第1帯の幅方向の寸法の1.3~10倍であり、
    前記第3孔の幅方向の寸法は前記第2帯の幅方向の寸法の1.3~10倍であり、
    前記孔配列領域における孔の面積率は8~14%である、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の使い捨て着用物品。
  5. 前記一方のピークからその次の前記他方のピークまでに位置する前記第1孔の数が3以上である、
    請求項1~4のいずれか1項に記載の使い捨て着用物品。
  6. 前記有孔不織布は、JIS L 1913:2010「一般不織布試験方法」に規定された「6.3引張強さ及び伸び率(ISO法)」に準じて「6.3.1標準時の試験」を行ったときの、1kg荷重時の伸び率がMD方向25~45%、CD方向70~90%である、請求項1~5のいずれか1項に記載の使い捨て着用物品。
  7. 幅方向に隣り合う前記仮想線がそれぞれ逆位相の関係にある、
    請求項1~6のいずれか1項に記載の使い捨て着用物品。
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