JP2020016834A - 光学系、それを備える測距装置及び車載システム - Google Patents

光学系、それを備える測距装置及び車載システム Download PDF

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Abstract

【課題】 F値が十分に小さくかつ諸収差を良好に補正することができる光学系、それを備える測距装置及び車載システムを提供すること。【解決手段】 光学系は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズL1、負の屈折力の第2レンズL2、正の屈折力の第3レンズL3を有し、第1レンズL1及び第3レンズL3の少なくとも一方は、シリコン材料で構成され、シリコン材料で構成されるレンズの波長1.5μmにおける屈折率をNp、第2レンズL2の波長1.5μmにおける屈折率をNnとするとき、1.3<Np−Nnなる条件式を満足する。【選択図】 図1

Description

本発明は、赤外光に対応する光学系に関し、例えば車載システムや監視システム等の測距装置に好適なものである。
対象物(物体)までの距離を計測する測距装置として、照明装置により対象物を照明し、対象物からの反射光を受光するまでの時間やその反射光の位相に基づいて対象物までの距離を算出するものが知られている。このような測距装置においては、霧等の障害物による測距性能への影響が少なく、かつ人間の目に対する影響が少ない赤外光(赤外線)を用いることが求められている。
特許文献1には、赤外光に対する透過率が高いシリコンレンズにより構成される光学系を備える測距装置が記載されている。
特開平7−285403号公報
一般的に、赤外光に対応する赤外線センサは可視光センサと比較して感度が低いため、赤外光を用いる測距装置においてはF値が十分に小さい(明るい)光学系を採用することが求められる。しかしながら、特許文献1においては、光学系のF値について一切考慮されておらず、F値を十分に小さくしつつ球面収差や像面湾曲等の諸収差を良好に補正するための光学系の構成について一切記載されていない。
本発明は、F値が十分に小さくかつ諸収差を良好に補正することができる光学系、それを備える測距装置及び車載システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための、本発明の一側面としての光学系は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ、負の屈折力の第2レンズ、正の屈折力の第3レンズを有し、前記第1レンズ及び前記第3レンズの少なくとも一方は、シリコン材料で構成され、前記シリコン材料で構成されるレンズの波長1.5μmにおける屈折率をNp、前記第2レンズの波長1.5μmにおける屈折率をNnとするとき、1.3<Np−Nnなる条件式を満足することを特徴とする。
本発明によれば、F値が十分に小さくかつ諸収差を良好に補正することができる光学系、それを備える測距装置及び車載システムを提供することができる。
実施例1に係る光学系の要部概略図。 実施例1に係る光学系のMTF図。 実施例2に係る光学系の要部概略図。 実施例2に係る光学系のMTF図。 実施例3に係る光学系の要部概略図。 実施例3に係る光学系のMTF図。 実施形態に係る撮像装置の模式図。 実施形態に係る測距装置の模式図。 実施形態に係る車載システムの機能ブロック図。 実施形態に係る車両の模式図。 実施形態に係る車載システムの動作例を示すフローチャート。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図面は、便宜的に実際とは異なる縮尺で描かれている場合がある。また、各図面において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明を省略する。
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1に係る光学系の光軸を含む断面における要部概略図である。図1において、左方が物体側(前方)であり、右方が像側(後方)である。また、図1においては、軸上像高に集光される軸上光束のマージナル光線と、一方の最軸外像高に集光される最軸外光束のマージナル光線のみを示し、それ以外の光線を省略している。
本実施例に係る光学系は、不図示の物体からの光を集光することで、像面IM1に物体の像を形成する結像光学系である。すなわち、本実施例に係る光学系は、全系において正の屈折力を有する。なお、本実施例に係る光学系を撮像装置や測距装置に適用する場合は、像面IM1の位置に受光素子(撮像素子)の受光面(撮像面)が配置される。
本実施例に係る光学系は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力(パワー)の第1レンズL11、負の屈折力の第2レンズL12、正の屈折力の第3レンズL13を有する。第1レンズの物体側には、物体からの光を制限することで光学系のF値(Fno)を決定する絞りS1が隣接して配置されている。本実施例において、第1レンズL11及び第3レンズL13はシリコン材料で構成されており、第2レンズL12はS−BSL7(株式会社オハラ)で構成されている。
ただし、ここでのシリコン材料とは、シリコン(Si)を主成分とする材料を示し、シリコンのみから成るものに限らず、微小量のシリコン以外の物質(不純物)を含有するものも含むものとする。なお、シリコンの屈折率はその結晶構造によって異なる場合があり、シリコン材料の屈折率はその製造元によって異なる場合があるが、少なくともシリコン材料を採用すれば本実施例と同様の効果を得ることができる。また、第2レンズL12の材料は、S−BSL7に限られるものではなく、後述する条件式(1)を満足する材料であれば本実施例と同様の効果を得ることができる。
このように、光学系において、正レンズの少なくとも一つをシリコン材料で構成しつつ、負レンズの少なくとも一つをシリコン材料よりも屈折率が低い材料で構成することで、F値を十分に小さくしつつ諸収差を良好に補正することができる。このことについて、以下で詳細に説明する。
光学系において、F値を小さくした場合、最も物体側のレンズに対する最軸外光線の入射角が大きくなるため、その最軸外光線を像面に配置される受光面に集光するためには、各レンズによって最軸外光線を大きく屈折させる必要がある。その場合、各レンズの屈折力が大きくなることに伴い、球面収差が大きく発生してしまう。また、光学系のF値を小さくした場合、特に光学系の画角を大きくすると像面湾曲が発生し易くなる。
光学系における像面湾曲はペッツバール和と相関があるため、像面湾曲を良好に補正するためには、ペッツバール和を十分に小さくすることが必要になる。ここで、第1レンズL11の焦点距離及び屈折率をf1及びn1、第2レンズL12の焦点距離及び屈折率をf2及びn2、第3レンズL13の焦点距離及び屈折率をf3及びn3とするとき、ペッツバール和Psumは以下の式(A)で表される。ただし、ここでの屈折率n1,n2,n3の夫々は、同一の波長に対する屈折率を示している。
Psum=1/f1n1+1/f2n2+1/f3n3 (A)
レンズに用いられる材料の屈折率は正であるため、式(A)より、ペッツバール和を小さくするためには少なくとも一つのレンズに負の焦点距離を持たせればよいことがわかる。すなわち、正の焦点距離(正の屈折力)を有する正レンズと負の焦点距離(負の屈折力)を有する負レンズとを組み合わせて光学系を構成することが望ましい。そこで、本実施例に係る光学系においては、第1レンズL11及び第3レンズL13を正レンズとし、第2レンズL12を負レンズとすることで、ペッツバール和を十分に小さくしている。
なお、物体の像を受光面に形成するためには、光学系の全系の屈折力を正の値にする必要がある。この構成において、なるべく少ない数のレンズでペッツバール和を小さくするためには、負レンズの数を少なくすることが望ましい。また、球面収差及び像面湾曲の両方を良好に補正するためには、複数の正レンズを用いることが望ましい。これらを考慮して、本実施例に係る光学系は、2枚の正レンズと1枚の負レンズで構成されている。ただし、必要に応じて光学系を4枚以上のレンズで構成してもよいが、全系の小型化のためには本実施例のように光学系を3枚のレンズで構成することがより好ましい。
このように少ない数のレンズで光学系を構成した場合にペッツバール和を十分に小さくするためには、式(A)より、負レンズの焦点距離の絶対値を十分に小さくし、正レンズの合成焦点距離に近づければよいということがわかる。しかし、上述したように、特にF値を小さくした場合には、球面収差の発生を抑制するために各レンズの屈折力の絶対値を小さくすることが求められる。すなわち、球面収差の発生を抑制しつつ像面湾曲を良好に補正するためには、正レンズと負レンズにできるだけ大きな屈折率差を持たせることが望ましい。
上述したS−BSL7のように、主に可視の波長帯域で使用される一般的な硝材(ガラス材料)の波長1.5μmにおける屈折率は、最小で約1.43、最大で約2.11である。そのため、光学系の各レンズをこのような一般的な硝材のみで構成した場合、正レンズと負レンズの屈折率差は最大でも約0.68しか確保できないため、F値を十分に小さくしつつ像面湾曲を良好に補正することが困難になる。
そこで、本実施例においては、負レンズを一般的な硝材で構成しつつ、正レンズの少なくとも一つを一般的な硝材よりも屈折率が十分に高いシリコン材料で構成している。シリコン材料は、波長1.2μm〜14.0μmの帯域の赤外光を透過させることができる上に、波長1.5μmにおける屈折率が約3.479であり、一般的な硝材と比較して非常に高い。上述したように、一般的な硝材の波長1.5μmにおける屈折率は1.43〜2.11程度であるため、本実施例に係る光学系によれば、正レンズと負レンズの屈折率差を最大で約1.37〜2.05と十分に確保することができる。
言い換えると、シリコン材料で構成される正レンズの波長1.5μmにおける屈折率をNp、負レンズの波長1.5μmにおける屈折率をNnとするとき、本実施例に係る光学系は以下の条件式(1)を満足している。
1.3<Np−Nn (1)
ここでは、赤外光を用いる測距装置に光学系を適用することを想定しているため、屈折率の基準となる波長を1.5μmとしている。波長1.5μmの光は、赤外光の中でも特に人間の目に対する影響が少ない波長1.4μm〜2.6μmの帯域に含まれており、この波長帯域の光を射出する光源はアイセーフレーザ(eye−safe laser)呼ばれている。よって、後述する測距装置に用いられる光源としては、アイセーフレーザを採用することが望ましい。
シリコン材料で正レンズを構成しつつ、条件式(1)を満たす材料で負レンズを構成することで、正レンズと負レンズの屈折率差を十分に確保することができる。これにより、各レンズの屈折力の増大を抑制しつつペッツバール和を十分に小さくすることができるため、光学系のF値を小さくした場合にも球面収差及び像面湾曲を良好に補正することが可能になる。条件式(1)の下限値を下回る場合、正レンズと負レンズの屈折率差が不十分になり、F値を小さくした場合に球面収差及び像面湾曲を良好に補正することが困難になる。
さらに、以下の条件式(1a)を満足することが望ましく、条件式(1b)を満足することがより好ましい。条件式(1a)又は(1b)の上限値を上回る場合、各レンズの材料の自由度が低下してしまい、所望の性能を有する光学系を構成することが難しくなる。
1.5<Np−Nn<2.1 (1a)
1.7<Np−Nn<2.0 (1b)
なお、本実施例においては、第1レンズL11及び第3レンズL13の両方がシリコン材料で構成されているが、少なくとも一方がシリコン材料で構成されていれば本発明の効果を得ることができる。ただし、特にF値が小さい光学系においては、軸外光線が大きな入射角で入射するため、諸収差が発生し易くなる。よって、諸収差をより良好に補正するためには、少なくとも最も物体側に配置された第1レンズL11をシリコン材料で構成することが望ましく、第1レンズL11及び第3レンズL13の両方をシリコン材料で構成することがより好ましい。
上述したように、F値が小さい光学系においては、球面収差の発生を抑制しつつ像面湾曲を良好に補正することが必要になる。このとき、球面収差は、軸外光線の光軸に対する入射位置が比較的高くなるレンズで発生し易いため、最も物体側に配置された第1レンズL11とその像側に配置された第2レンズL12の焦点距離の比の値を適切に設定することが望ましい。すなわち、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
−1.5<f1/f2<−0.7 (2)
条件式(2)を満足することで、第1レンズL11及び第2レンズL12の焦点距離を適切に設定することができ、F値が小さい光学系において球面収差及び像面湾曲をバランス良く補正することが可能になる。条件式(2)を満足しない場合、第2レンズL12の焦点距離の絶対値に対して第1レンズL11の焦点距離の値が大きくなり過ぎるか小さくなり過ぎてしまい、球面収差及び像面湾曲の何れかの補正が不十分になってしまう。さらに、以下の条件式(2a)を満足することがより好ましい。
−1.3<f1/f2<−0.8 (2a)
また、第2レンズL12よりも像側に配置されるレンズの合成焦点距離をfrとするとき、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。本実施例においては、第2レンズL12よりも像側に配置されるレンズは第3レンズL13のみであるため、fr=f3である。
−4.0<f2/fr<−2.0 (3)
条件式(3)を満足することにより、第2レンズL12とその像側に配置されるレンズの焦点距離を適切に設定することができ、より良好に像面湾曲を補正することが可能になる。条件式(3)を満足しない場合、合成焦点距離frに対して第2レンズL12の焦点距離の絶対値が大きくなり過ぎるか小さくなり過ぎてしまい、像面湾曲をより良好に補正することが難しくなる。さらに、以下の条件式(3a)を満足することがより好ましい。
−3.0<f2/fr<−1.5 (3a)
また、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
0.1<fr/f1<1.0 (4)
条件式(4)を満足することにより、第1レンズL11と第2レンズL12の像側に配置されるレンズの焦点距離を適切に設定することができ、像面湾曲及び球面収差をより良好に補正することが可能になる。条件式(4)の上限値を上回る場合、第1レンズL11の焦点距離よりも合成焦点距離frが大きくなってしまい、球面収差又は像面湾曲の補正が不十分になってしまう。条件式(4)の下限値を下回る場合、合成焦点距離frに対して第1レンズL11の焦点距離が大きくなり過ぎてしまい、球面収差又は像面湾曲の補正が不十分になってしまう。
さらに、以下の条件式(4a)を満足することがより好ましい。
0.2<fr/f1<0.6 (4a)
また、本実施例に係る光学系の(全系の)焦点距離をfとするとき、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
0.1<f1/f<4.0 (5)
条件式(5)を満足することにより、球面収差をより良好に補正することができる。条件式(5)の上限値を上回る場合、第1レンズL11の屈折力が小さくなり過ぎてしまい、球面収差を良好に補正することが難しくなる。条件式(5)の下限値を下回る場合、第1レンズL11の屈折力が大きくなり過ぎてしまい、諸収差が発生し易くなってしまう。さらに、以下の条件式(5a)を満足することがより好ましい。
1.5<f1/f<3.5 (5a)
また、以下の条件式(6)を満足することが望ましい。
−4.0<f2/f<−0.1 (6)
条件式(6)を満足することにより、光学系のF値を小さくした場合に球面収差及び像面湾曲をより良好に補正することができる。条件式(6)を満足しない場合、第2レンズL12の屈折力の絶対値が大きくなり過ぎるか小さくなり過ぎてしまい、球面収差及び像面湾曲をバランス良く補正することが難しくなる。さらに、以下の条件式(6a)を満足することがより好ましい。
−3.0<f2/f<−1.0 (6a)
また、以下の条件式(7)を満足することが望ましい。
0.1<fr/f<3.0 (7)
条件式(7)を満足することにより、像面湾曲をより良好に補正することができる。条件式(7)の上限値を上回る場合、第2レンズL12よりも像側の合成系の屈折力が小さくなり過ぎてしまい、像面湾曲を良好に補正することが難しくなる。条件式(7)の下限値を下回る場合、第2レンズL12よりも像側の合成系の屈折力が大きくなり過ぎてしまい、諸収差が発生し易くなってしまう。さらに、以下の条件式(7a)を満足することがより好ましい。
0.3<fr/f<2.0 (7a)
また、本実施例に係る光学系のF値をFnoとするとき、以下の条件式(8)を満足することが望ましい。
0.6<Fno<1.0 (8)
光学系を一般的な硝材のみで構成した場合、F値を1.0よりも小さくすることは困難である。一方、本実施例では、光学系の一部のレンズをシリコン材料で構成することで、F値を1.0よりも小さくすることを可能にしている。具体的には、本実施例に係る光学系のF値は0.68である。なお、条件式(8)の下限値を下回る場合、諸収差を良好に補正することが難しくなる。
図2は、本実施例に係る光学系のMTF(Modulation Transfer Function)曲線を示す図である。図2において、横軸は空間周波数[本/mm]を示し、縦軸はMTF値(コントラスト値)を示している。一般的な赤外線センサの画素ピッチは数十μmであるため、10本/mmの空間周波数においてMTF値が30%以上あれば、良好な結像性能が実現されていると言える。図2に示すように、本実施例に係る光学系においては、10本/mmの空間周波数に対するMTF値の最小値a1は48%であるため、良好な結像性能が実現できている。
[実施例2]
以下、本発明の実施例2に係る光学系について説明する。本実施例に係る光学系において、上述した実施例1に係る光学系と同等の構成については説明を省略する。
図3は、本実施例に係る光学系の光軸を含む断面における要部概略図である。本実施例に係る光学系は、絞りS2を通過した光を像面IM2に集光する結像光学系である。本実施例に係る光学系の実施例1に係る光学系に対して異なる点は、各レンズ面の形状及び配置である。
実施例1に係る光学系と同様に、本実施例に係る光学系は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズL21、負の屈折力の第2レンズL22、正の屈折力の第3レンズL23から成る。また、第1レンズL21及び第3レンズL23はシリコン材料で構成されており、第2レンズL22はS−BSL7(株式会社オハラ)で構成されている。
図4は、本実施例に係る光学系のMTF曲線を示す図である。図4に示すように、本実施例に係る光学系においては、10本/mmの空間周波数に対するMTF値の最小値a2は50%であるため、良好な結像性能が実現できている。
[実施例3]
以下、本発明の実施例3に係る光学系について説明する。本実施例に係る光学系において、上述した実施例1に係る光学系と同等の構成については説明を省略する。
図5は、本実施例に係る光学系の光軸を含む断面における要部概略図である。本実施例に係る光学系は、絞りS3を通過した光を像面IM3に集光する結像光学系である。本実施例に係る光学系は、実施例1に係る光学系とは異なり、4枚のレンズで構成されている。
具体的に、本実施例に係る光学系は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズL31、負の屈折力の第2レンズL32、正の屈折力の第3レンズL33、正の屈折力の第4レンズL34から成る。本実施例において、第1レンズL31、第3レンズL33、及び第4レンズL34はシリコン材料で構成されており、第2レンズL32はS−BSL7(株式会社オハラ)で構成されている。
図6は、本実施例に係る光学系のMTF曲線を示す図である。図6に示すように、本実施例に係る光学系においては、10本/mmの空間周波数に対するMTF値の最小値a3は83%であるため、良好な結像性能が実現できている。
[数値実施例]
以下、上述した実施例1乃至3に対応する数値実施例1乃至3を示す。各数値実施例において、面番号は、物体面から数えたときの各光学面の順番である。r[mm]は第i番目の光学面の曲率半径を示し、d[mm]は第i番目の光学面と第(i+1)番目の光学面の間隔を示す。なお、非球面については、面番号の横に*(アスタリスク)を付している。
各非球面の形状を示す光軸方向におけるサグ量Z[mm]は、以下の式で表される。ただし、kは円錐定数(コーニック定数)、hは光軸からの径方向における距離[mm]、A〜Eの夫々は4次項〜12次項の非球面係数である。ここでは、4次項〜12次項の非球面係数のみを用いているが、必要に応じて16次以上の項の非球面係数を用いてもよい。なお、非球面における曲率半径rは、近軸曲率半径の値を示しており、サグ量Zの基準となるベース球面(基準球面)の曲率半径に相当する。また、各数値実施例の非球面係数の値における「E±X」は、「10±X」を意味する。
Figure 2020016834
(数値実施例1)
面番号 r d 材料
物体面 0 ∞ ∞
絞り 1 ∞ 0.00
第1レンズ 2 18.05 2.76 シリコン材料
3 25.27 4.39
第2レンズ 4* -16.39 1.50 S−BSL7
5 35.00 1.98
第3レンズ 6* 24.99 4.51 シリコン材料
7 -62.49 4.85
像面 8 ∞

面番号4 面番号6
r -16.39 24.99
k 0.00E+00 0.00E+00
A -3.41E-04 -1.07E-06
B -2.39E-06 -7.48E-07
C 1.84E-07 6.01E-09
D -3.12E-09 -1.82E-11
E 1.92E-11 -2.05E-15
(数値実施例2)
面番号 r d 材料
物体面 0 ∞ ∞
絞り 1 ∞ 0.00
第1レンズ 2 18.01 2.76 シリコン材料
3 25.20 3.93
第2レンズ 4* -16.86 1.30 S−BSL7
5 31.18 2.31
第3レンズ 6* 24.98 4.58 シリコン材料
7 -64.61 5.12
像面 8 ∞

面番号4 面番号6
r -16.86 24.98
k 0.00E+00 0.00E+00
A -3.24E-04 -2.70E-06
B -1.76E-06 -6.54E-07
C 1.56E-07 5.16E-09
D -2.73E-09 -1.55E-11
E 1.71E-11 -5.86E-16
(数値実施例3)
面番号 r d 材料
物体面 0 ∞ ∞
絞り 1 ∞ 0.00
第1レンズ 2 14.29 2.94 シリコン材料
3 16.74 4.64
第2レンズ 4* -22.06 1.30 S−BSL7
5 14.39 0.50
第3レンズ 6* 11.61 2.68 シリコン材料
7 15.75 2.34
第4レンズ 8 23.96 3.10 シリコン材料
9 -398.30 2.50
像面 10 ∞

面番号4 面番号6
r -22.06 11.61
k 0.00E+00 0.00E+00
A 6.32E-04 -1.91E-04
B -2.74E-05 2.92E-06
C 6.07E-07 -6.58E-08
D -6.75E-09 6.25E-10
E 3.07E-11 -3.02E-12
表1に、上述した各実施例に係る光学系についての各条件式に関する値を示す。なお、表1において、f4は第4レンズL34の焦点距離を示し、各焦点距離の単位は[mm]である。また、実施例3における合成焦点距離frは、第3レンズL33及び第4レンズL34の合成焦点距離である。表1に示すように、何れの実施例に係る光学系も各条件式を満足している。
Figure 2020016834
[撮像装置]
図7は、本発明の実施形態に係る撮像装置20の要部概略図である。本実施形態に係る撮像装置20は、上述した各実施例の何れかに係る光学系(撮像光学系)21と、光学系21によって形成される物体の像を光電変換する受光素子22と、受光素子22を保持するカメラ本体(筐体)23とを備える。光学系21は、鏡筒(保持部材)により保持され、カメラ本体23に接続されている。カメラ本体23には、受光素子22により取得された画像を表示する表示部24が接続されていてもよい。
受光素子22としては、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子(光電変換素子)を用いることができる。撮像装置20を測距装置に適用する場合は、受光素子22として赤外光を光電変換することができる赤外線センサを採用することが望ましい。なお、光学系21とカメラ本体23とは互いに着脱可能に構成されていてもよい。すなわち、光学系21及び鏡筒を交換レンズ(レンズ装置)として構成してもよい。
なお、本実施形態に係る撮像装置20を、移動可能な移動体(移動装置)に設けてもよい。また、上述した各実施例に係る光学系は、デジタルスチルカメラや銀塩フィルム用カメラ、ビデオカメラ、車載カメラ、監視カメラ等の撮像装置に限らず、望遠鏡や双眼鏡、プロジェクタ、デジタル複写機等の種々の光学装置に適用することができる。
[測距装置]
図8は、本発明の実施形態に係る測距装置100の光軸を含む断面における要部概略図(模式図)である。本実施形態に係る測距装置100は、対象物(物体)からの反射光を受光するまでの時間やその反射光の位相に基づいて対象物までの距離を算出する、LiDAR(Light Detection And Ranging)という技術を用いている。図8において、不図示の対象物は測距装置100の右側に配置されているものとする。
測距装置100は、照明部1と、照明部1により照明された対象物からの光(反射光又は散乱光)を受光する受光部(撮像部)2とを有する。照明部1は、光源部11と、光源部11からの光を対象物に導光(照射)する光学系(照明光学系)12とを備える。受光部2は、上述した各実施例のいずれかに係る光学系(受光光学系)21と、光学系21からの光を受光して信号を出力する受光素子22とを備える。すなわち、受光部2として上述した撮像装置20を用いてもよい。
光源部11は、少なくとも光源を有しており、必要に応じて光源からの光を光学系12に導光する光学素子や、光源からの光を偏向することで光学系12を介して対象物を走査する走査部を備えていてもよい。走査部としては、ガルバノミラーやMEMSミラーなどの可動ミラーや、電圧の印加により屈折率が変化する結晶素子や液晶素子などの光学素子を採用することができる。特に、後者の光学素子によれば、ミラーを駆動するための機構(駆動部)を設ける必要がなくなるため、装置全体の小型化と低コスト化を実現することができる。
また、測距装置100は、照明部1が射出する照明光を制御する第1制御部(照明制御部)31と、受光素子22の出力に基づいて対象物までの距離に関する情報(距離情報)を取得する第2制御部(距離算出部)32とを備えている。第1制御部31は、例えば光源を制御することで照明光をパルス光としたり、照明光の強度変調を行って信号光を生成したりすることができる。第2制御部32は、照明部1の光源から照明光が出射した時刻から、受光素子22が対象物からの光を受光した時刻までの時間に基づいて、対象物の距離情報を取得することができる。
なお、対象物からの光を受光するまでの時間ではなく、対象物からの光の位相に基づいて距離情報を取得してもよい。具体的には、照明部1における光源の信号の位相と受光素子22から出力される信号の位相との差分(位相差)を求め、その位相差に光速を乗じることで、対象物の距離情報を取得してもよい。また、太陽光などの十分な照明光が得られる環境で使用する場合は、受光部2及び第2制御部32のみで測距装置100を構成してもよい。
このようなLiDARを用いた測距装置は、対象物としての車両や人、障害物等を識別し、その対象物の距離情報に応じて自車両を制御する車載システムに好適なものである。なお、LiDARを用いた測距装置としては、照明部の光軸と受光部の光軸とが一致する同軸系か、あるいは照明部の光軸と受光部の光軸とが一致しない非同軸系を採用することができる。本実施形態に係る光学系21は、図8に示したような非同軸系に特に好適なものである。
このように、上述した各実施例に係る光学系21を測距装置100に適用することで、可視光センサと比較して感度が低い赤外線センサを受光素子22として用いた場合にも、対象物の距離情報を高精度に取得することができる。また、対象物が測距装置100から大きく離れている場合など、受光素子22に到達する対象物からの反射光の強度が微弱である場合にも、上述した各実施例に係る光学系21が好適である。
[車載システム]
図9は、本実施形態に係る測距装置100及びそれを備える車載システム(運転支援装置)600の構成図である。車載システム600は、自動車(車両)等の移動可能な移動体(移動装置)により保持され、測距装置100により取得した車両の周囲の対象物(障害物)の距離情報に基づいて、車両の運転を支援するための装置である。図10は、車載システム600を含む車両700の模式図である。図10においては、測距装置100の測距範囲50を車両700の前方に設定した場合を示しているが、測距範囲50を車両700の後方や側方などに設定してもよい。
図9に示すように、車載システム600は、測距装置100と、車両情報取得装置200と、制御装置(ECU:エレクトロニックコントロールユニット)300と、警告装置400とを備える。測距装置100は、上述した照明部1、受光部2、第1制御部31、及び第2制御部32を備えている。本実施形態に係る第2制御部32は、距離算出部及び衝突判定部としての機能を有する。
図11は、本実施形態に係る車載システム600の動作例を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに沿って、車載システム600の動作を説明する。
まず、ステップS1では、照明部1により車両の周囲の対象物を照明し、対象物からの反射光を受光することで受光部2が出力する信号に基づいて、第2制御部32により対象物の距離情報を取得する。また、ステップS2では、車両情報取得装置200から車両の車速、ヨーレート、舵角などを含む車両情報の取得を行う。そして、ステップS3では、第2制御部32によって、ステップS2で取得された距離情報が予め設定された設定距離の範囲内に含まれるか否かの判定を行う。
これにより、車両の周囲の設定距離内に障害物が存在するか否かを判定し、車両と障害物との衝突可能性を判定することができる。なお、ステップS1及びS2は、上記の順番とは逆の順番で処理を行ってもよいし、互いに並列して処理を行ってもよい。第2制御部32は、設定距離内に障害物が存在する場合は「衝突可能性あり」と判定し(ステップS4)、設定距離内に障害物が存在しない場合は「衝突可能性なし」と判定する(ステップS5)。
次に、第2制御部32は、「衝突可能性あり」と判定した場合、その判定結果を制御装置300や警告装置400に対して通知する。このとき、制御装置300は、第2制御部32での判定結果に基づいて車両を制御し(ステップS6)、警告装置400は、第2制御部32での判定結果に基づいて運転者への警告を行う(ステップS7)。なお、判定結果の通知は、制御装置300及び警告装置400の少なくとも一方に対して行えばよい。
制御装置300は、車両に対して、例えばブレーキをかける、アクセルを戻す、各輪に制動力を発生させる制御信号を生成してエンジンやモータの出力を抑制するなどの制御を行う。また、警告装置400は、車両のユーザ(運転者)に対して、例えば警告音を発する、カーナビゲーションシステムなどの画面に警告情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどの警告を行う。
以上、本実施形態に係る車載システム600によれば、上記の処理により障害物の検知を行うことができ、車両と障害物との衝突を回避することが可能になる。特に、上述した各実施例に係る光学系を車載システム600に適用することで、高い測距精度を実現することができるため、障害物の検知及び衝突判定を高精度に行うことが可能になる。
なお、本実施形態では、車載システム600を運転支援(衝突被害軽減)に適用したが、これに限らず、車載システム600をクルーズコントロール(全車速追従機能付を含む)や自動運転などに適用してもよい。また、車載システム600は、自動車等の車両に限らず、例えば船舶や航空機、産業用ロボットなどの移動体に適用することができる。また、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)や監視システム等の物体認識を利用する種々の機器に適用することができる。
[変形例]
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形及び変更が可能である。
例えば、各実施例に係る光学系においては、第1レンズの物体側に絞りが配置されているが、絞りの位置はこれに限られるものではなく、例えば第1レンズと第2レンズの間に絞りを配置してもよい。また、各実施例に係る光学系においては、第2レンズ及び第3レンズの夫々の物体側のレンズ面を非球面としているが、必要に応じて他のレンズ面を非球面としたり、全てのレンズ面を球面としたりしてもよい。
上述した実施形態においては、第2制御部が衝突判定部(判定部)としての機能を有する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、車載システムにおいて、第2制御部とは別体の衝突判定部を設けてもよい。すなわち、第2制御部は、少なくとも距離算出部(距離情報取得部)としての機能を有していればよい。また、必要に応じて第1の制御部及び第2の制御部を測距装置の外部(例えば車両の内部)に設けてもよい。
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ

Claims (21)

  1. 物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ、負の屈折力の第2レンズ、正の屈折力の第3レンズを有し、
    前記第1レンズ及び前記第3レンズの少なくとも一方は、シリコン材料で構成され、
    前記シリコン材料で構成されるレンズの波長1.5μmにおける屈折率をNp、前記第2レンズの波長1.5μmにおける屈折率をNnとするとき、
    1.3<Np−Nn
    なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
  2. 1.3<Np−Nn<2.1
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
  3. 前記第1レンズの焦点距離をf1、前記第2レンズの焦点距離をf2とするとき、
    −1.5<f1/f2<−0.7
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
  4. 前記第2レンズの焦点距離をf2、前記第2レンズよりも像側に配置されるレンズの合成焦点距離をfrとするとき、
    −4.0<f2/fr<−2.0
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の光学系。
  5. 前記第1レンズの焦点距離をf1、前記第2レンズよりも像側に配置されるレンズの合成焦点距離をfrとするとき、
    0.1<fr/f1<1.0
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の光学系。
  6. 前記第1レンズの焦点距離をf1、前記光学系の焦点距離をfとするとき、
    0.1<f1/f<4.0
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の光学系。
  7. 前記第2レンズの焦点距離をf2、前記光学系の焦点距離をfとするとき、
    −4.0<f2/f<−0.1
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の光学系。
  8. 前記第2レンズよりも像側に配置されるレンズの合成焦点距離をfr、前記光学系の焦点距離をfとするとき、
    0.1<fr/f<3.0
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の光学系。
  9. 前記光学系のF値をFnoとするとき
    0.6<Fno<1.0
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の光学系。
  10. 前記第1レンズは、シリコン材料で構成されることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の光学系。
  11. 前記第3レンズは、シリコン材料で構成されることを特徴とする請求項10に記載の光学系。
  12. 前記第1レンズ、前記第2レンズ、及び前記第3レンズから成ることを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載の光学系。
  13. 請求項1乃至12の何れか一項に記載の光学系と、該光学系によって形成された物体の像を受光する受光素子とを有することを特徴とする撮像装置。
  14. 請求項13に記載の撮像装置と、前記受光素子の出力に基づいて前記物体の距離情報を取得する制御部を備えることを特徴とする測距装置。
  15. 前記物体を照明する照明部を有することを特徴とする請求項14に記載の測距装置。
  16. 前記照明部は、光源からの光を偏向して前記物体を走査する走査部を備えることを特徴とする請求項15に記載の測距装置。
  17. 前記走査部は、電圧の印加により屈折率が変化する光学素子を含むことを特徴とする請求項16に記載の測距装置。
  18. 請求項14乃至17の何れか一項に記載の測距装置と、該測距装置によって得られた前記物体の距離情報に基づいて車両と前記物体との衝突可能性を判定する判定部とを備えることを特徴とする車載システム。
  19. 前記車両と前記物体との衝突可能性が有ると判定された場合に、前記車両の各輪に制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置を備えることを特徴とする請求項18に記載の車載システム。
  20. 前記車両と前記物体との衝突可能性が有ると判定された場合に、前記車両の運転者に対して警告を行う警告装置を備えることを特徴とする請求項18又は19に記載の車載システム。
  21. 請求項13に記載の撮像装置を備え、該撮像装置を保持して移動可能であることを特徴とする移動装置。
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