JP2020016730A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】再転写の影響による局所的な画像濃度ムラなどの画像不良を抑制しつつ、転写部における放電に起因する像担持体の劣化を抑制することが可能な画像形成装置を提供する。【解決手段】画像形成装置100は、画像形成領域を被転写体7の移動方向に複数に分割した複数の分割領域ごとに、上流側の画像形成部UYが形成するトナー像のトナー量と相関する第1の指標値と、下流側の画像形成部UKが形成するトナー像のトナー量と相関する第2の指標値と、を取得する取得部51と、複数の分割領域のそれぞれが下流側の画像形成部UKの転写部N1Kを通過している際の下流側の画像形成部UKの転写バイアスを第1及び第2の指標値に基づいて決定する制御部50と、を有する構成とする。【選択図】図5

Description

本発明は、電子写真方式や静電記録方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置に関するものである。
従来、電子写真方式などを用いた画像形成装置として、複数の画像形成部がそれぞれ備える感光体などの像担持体に形成されたトナー像を被転写体上に重ね合わせるようにして転写するタンデム型の画像形成装置がある。タンデム型の画像形成装置には、複数の像担持体にそれぞれ形成されたトナー像を、記録材担持体に担持された被転写体としての記録材に転写する直接転写方式がある。また、複数の像担持体にそれぞれ形成されたトナー像を、被転写体としての中間転写体に転写した後に記録材に転写する中間転写方式がある。記録材担持体、中間転写体としては、それぞれ無端状のベルトで構成された記録材担持ベルト、中間転写ベルトが広く用いられている。なお、タンデム型の画像形成装置における画像形成部や転写部に関し、上流、下流とは、特に言及しない場合も被転写体の移動方向に関する上流、下流を意味するものとする。
このような画像形成装置では、転写部に印加される転写バイアスの設定によっては、転写部において放電が発生することで、感光体などの像担持体の表面が摩耗して劣化することがある。
特許文献1では、区分けした領域内での画素量に応じて1次転写バイアスの設定を切り替えることで、1次転写部における放電を抑制する構成が提案されている(特許文献1)。
特開2010−8494号公報
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、1次転写部における再転写の影響については考慮されていない。そのため、下流側の1次転写部における1次転写バイアスを切り替えることによって、上流側の1次転写部で中間転写体に1次転写された画像に局所的に再転写ムラが発生し、画像濃度ムラなどの画像不良が発生する可能性がある。
したがって、本発明の目的は、再転写の影響による局所的な画像濃度ムラなどの画像不良を抑制しつつ、転写部における放電に起因する像担持体の劣化を抑制することが可能な画像形成装置を提供することである。
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、被転写体の移動方向に沿って配置され、それぞれが被転写体の画像形成領域にトナー像を形成する第1及び第2の画像形成部であって、前記移動方向において前記第1の画像形成部は前記第2の画像形成部よりも上流に配置されており、前記第2の画像形成部はトナー像を担持する像担持体と、転写部で前記像担持体から被転写体にトナー像を転写させる転写手段と、を有する第1及び第2の画像形成部と、前記転写手段に前記転写のための転写バイアスを印加する印加手段と、前記画像形成領域を前記移動方向に複数に分割した複数の分割領域ごとに、前記第1の画像形成部が形成するトナー像のトナー量である第1のトナー量と相関する第1の指標値と、前記第2の画像形成部が形成するトナー像のトナー量である第2のトナー量と相関する第2の指標値と、を取得する取得部と、前記複数の分割領域のそれぞれが前記転写部を通過している際の前記転写バイアスを前記第1及び第2の指標値に基づいて決定する制御部と、を有することを特徴とする画像形成装置である。
本実施例によれば、再転写の影響による局所的な画像濃度ムラなどの画像不良を抑制しつつ、転写部における放電に起因する像担持体の劣化を抑制することが可能となる。
画像形成装置の概略断面図である。 画像形成装置の要部の制御態様を示す概略ブロック図である。 分割領域を説明するための模式図である。 実施例1の制御のフローチャート図である。 1次転写バイアスの設定の変更態様の例を示す模式図である。 1次転写バイアスの切り換えタイミングを説明するためのチャート図である。 1次転写バイアスの設定を説明するためのグラフ図及び実施例1の効果を示す表である。 実施例2の制御のフローチャート図である。 1次転写バイアスの設定の変更態様の例を示す模式図である。 1次転写バイアスの切り換えタイミングを説明するためのチャート図である。 1次転写バイアスの設定を説明するためのグラフ図及び実施例2の効果を示す表である。 再転写による画像濃度ムラを説明するためのグラフ図である。 従来の1次転写バイアスの変更態様の例を示す模式図である。 従来の1次転写バイアスの変更態様の例を示す模式図である。 転写バイアスの決定処理の他の例を示すフローチャート図である。
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
[実施例1]
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本実施例の画像形成装置100の概略構成を示す模式的な断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いてフルカラー画像の形成が可能な中間転写方式を採用したタンデム型の複合機(複写機、プリンタ、ファクシミリ装置の機能を有する)である。
画像形成装置100は、複数の画像形成部(画像形成ユニット)として、それぞれイエロー(Y)マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成する4個の画像形成部UY、UM、UC、UKを有する。各画像形成部UY、UM、UC、UKは、後述する被転写体としての中間転写ベルト7の移動方向に沿って一定の間隔をあけて一列に配置されている。各画像形成部UY、UM、UC、UKにおける同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、いずれかの色用の要素であることを表す符号の末尾のY、M、C、Kを省略して総括的に説明することがある。本実施例では、画像形成部Uは、後述する感光ドラム1、帯電ローラ2、露光装置3、現像装置4、1次転写ローラ5、ドラムクリーニング装置6などを有して構成される。
画像形成部Uは、像担持体としての回転可能なドラム型(円筒形)の感光体(電子写真感光体)である感光ドラム1を有する。感光ドラム1は、図中矢印R1方向に回転駆動される。回転する感光ドラム1の表面は、帯電手段としてのローラ状の帯電部材である帯電ローラ2によって、所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に一様に帯電処理される。帯電ローラ2には、帯電電源(図示せず)から、負極性の直流電圧成分を含む帯電電圧が印加される。帯電処理された感光ドラム1の表面は、各画像形成部Uに対応する画像情報に応じて露光手段としての露光装置3によって走査露光され、感光ドラム1上に静電像(静電潜像)が形成される。本実施例では、露光装置3は、画像情報に応じて変調したレーザー光を、感光ドラム1の回転軸方向(主走査方向)に沿って走査するレーザースキャナー装置である。感光ドラム1上に形成された静電像は、現像手段としての現像装置4によって各画像形成部Uに対応する色のトナーが供給されて現像(可視化)され、感光ドラム1上にトナー像が形成される。
本実施例では、現像装置4は、現像剤として非磁性トナー粒子(トナー)と磁性キャリア粒子(キャリア)とを含む2成分現像剤を用いる。現像装置4は、回転可能な現像剤担持体としての現像スリーブ41によって、現像剤を感光ドラム1との対向部(現像部)に搬送する。そして、現像スリーブ41に現像電圧(現像バイアス)が印加されることによって、静電像に応じて、現像スリーブ41上の現像剤からトナーが感光ドラム1に転移する。現像スリーブ41には、現像電源(図示せず)から、負極性の直流電圧成分と交流電圧成分とが重畳された現像電圧が印加される。本実施例では、一様に帯電処理された後に画像情報に応じて露光されることで電位の絶対値が低下した感光ドラム1上の露光部(イメージ部)に、感光ドラム1の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーが付着する。つまり、本実施例では、現像時のトナーの帯電極性であるトナーの正規の帯電極性は負極性である。各現像装置4Y、4M、4C、4Kには、トナーとして、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーが収納されている。
各感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに対向するように、中間転写体としての移動可能(回転可能)な無端状のベルトで構成された中間転写ベルト7が配置されている。中間転写ベルト7は、複数の張架ローラ(支持ローラ)としての駆動ローラ71、テンションローラ72及び2次転写対向ローラ73に架け渡されて、所定の張力で張架されている。中間転写ベルト7は、駆動ローラ71が回転駆動されることによって、図中矢印R2方向に回転(周回移動)する。中間転写ベルト7の内周面側には、各感光ドラム1に対応して、1次転写手段としてのローラ状の1次転写部材である1次転写ローラ5が配置されている。1次転写ローラ5は、中間転写ベルト7を介して感光ドラム1に向けて押圧され、中間転写ベルト7と感光ドラム1とが接触する1次転写部(1次転写ニップ)N1を形成する。上述のように感光ドラム1上に形成されたトナー像は、1次転写部N1において、1次転写ローラ5の作用により、回転駆動されている中間転写ベルト7上に1次転写される。1次転写工程時に、1次転写ローラ5には、印加手段としての1次転写電源E1から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である1次転写バイアス(1次転写電圧)が印加される。例えば、フルカラー画像の形成時には、各感光ドラム1上に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が、各1次転写部N1において、重ね合わされるようにして中間転写ベルト7上に順次1次転写される。
中間転写ベルト7の外周面側において、2次転写対向ローラ73に対向する位置には、2次転写手段としてのローラ状の2次転写部材である2次転写ローラ8が配置されている。2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7を介して2次転写対向ローラ73に向けて押圧され、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8とが接触する2次転写部(2次転写ニップ)N2を形成する。上述のように中間転写ベルト7上に形成されたトナー像は、2次転写部N2において、2次転写ローラ8の作用により、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8とに挟持されて搬送される紙(用紙)などの記録材(転写材、シート)P上に2次転写される。2次転写工程時に、2次転写ローラ8には、2次転写電源E2から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧である2次転写バイアス(2次転写電圧)が印加される。このように、被転写体としての中間転写ベルト7は、各感光ドラム1から1次転写されたトナー像を記録材Pに2次転写するために搬送する。記録材Pは、記録材収容部(カセット、トレイなど)からから給送ローラなどによってレジストローラ対11まで搬送される。この記録材Pは、レジストローラ対11によって、中間転写ベルト7上のトナー像とタイミングが合わされて2次転写部N2に供給される。また、レジストローラ対11によって2次転写部N2へと搬送される記録材Pはは、搬送ガイド12によって案内される。
トナー像が転写された記録材Pは、定着手段としての定着装置9へと搬送される。定着装置9は、未定着のトナー像を担持した記録材Pを加熱及び加圧することで、記録材P上にトナー像を定着(溶融、固着)させる。トナー像が定着された記録材Pは、画像形成装置100の装置本体の外部に排出(出力)される。
また、1次転写工程時に中間転写ベルト7上に転写されずに感光ドラム1上に残留したトナー(1次転写残トナー)は、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置6によって、感光ドラム1上から除去されて回収される。また、中間転写ベルト7の外周面側において、駆動ローラ71に対向する位置には、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置10が配置されている。2次転写工程時に記録材P上に転写されずに中間転写ベルト7上に残留したトナー(2次転写残トナー)は、ベルトクリーニング装置10によって、中間転写ベルト7上から除去されて回収される。
本実施例では、各画像形成部Uにおいて、感光ドラム1と、これに作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像装置4及びドラムクリーニング装置6とは、一体的に画像形成装置100の装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ12を構成している。また、本実施例では、帯電ローラ2、露光装置3、現像装置4などによって、感光ドラム1上にトナー像を形成するトナー像形成手段が構成される。
2.制御態様
図2は、本実施例の画像形成装置100の要部の制御態様を示す概略ブロック図である。制御部50は、演算処理を行う中心的素子である演算制御手段としてのCPU51、記憶手段としてのROM52、RAM53などのメモリ(記憶媒体)などを有して構成される。書き換え可能なメモリであるRAM53には、制御部50に入力された情報、検知された情報、演算結果などが格納され、ROM53には制御プログラム、予め求められた1次転写バイアスに関するデータテーブルなどが格納されている。CPU51とROM52、RAM53などのメモリとは互いにデータの転送や読込みが可能となっている。
制御部50は、画像形成装置100の各部を統括的に制御してシーケンス動作を行わせる。制御部50は、画像読取り装置(図示せず)やパーソナルコンピュータなどの外部のホスト装置(図示せず)とされる画像入力部120から画像形成信号(画像データ、制御指令)などが入力される。そして、制御部50は、この画像形成信号に従って画像形成装置100の各部を制御して、ジョブの画像形成動作を実行させる。なお、ジョブ(プリントジョブ)とは、一の開始指示により開始される単一又は複数の記録材Pに画像を形成して出力する一連の動作のことを言う。
特に、本実施例との関係では、制御部50は、1次転写電源E1の駆動装置(駆動回路)である1次転写バイアス制御装置60を制御することによって、1次転写電源E1から1次転写ローラ5に印加する1次転写バイアスを制御する。本実施例では、1次転写電源E1は、各画像形成部Uに対してそれぞれ独立して設けられている。また、本実施例では、画像形成時(1次転写時)に1次転写電源E1から1次転写ローラ5に印加される1次転写バイアスは、目標電圧値となるように定電圧制御される。そして、詳しくは後述するように、制御部50は、その目標電圧値を分割ビデオカウント値に応じて変更することが可能とされている。ただし、1次転写バイアスは目標電流値となるように定電流制御されてもよい。
3.ビデオカウント
従来、ビデオカウントを利用し、トナー補給制御などに用いている画像形成装置がある。つまり、画像処理時の多値のビデオデータや、中間調処理後の2値のビデオデータなどを処理して、画素ごとにその階調値やドット数から、画素ごとのデジタル画像信号の出力レベルをビデオカウント値として積算する。また、このビデオカウント値から、出力画像の印字比率(印字率)を求める。また、この印字比率から、消費されるトナー量を計算し、現像時のトナー補給量に変換する。そして、このトナー補給量に基づいて、現像装置内に必要量のトナーを補給することにより、現像装置内のトナー濃度を一定に保つ。
本実施例では、画像形成領域を副走査方向に所定の長さ単位ごとに複数に分割して、分割された領域(ここでは、「分割領域」あるいは「区分」ともいう。)ごとのビデオカウントの積算値(「分割ビデオカウント値」)を取得する。また、本実施例では、後述するように、ビデオカウントにより画素ごとの画像データの出力レベル(濃度レベル)の積算値を取得し、副走査方向に分割された領域ごとのトナー載り量(mg/cm)の情報を取得する。なお、「主走査方向」は、感光ドラム1や中間転写ベルト7の表面の移動方向(記録材Pの搬送方向)と略直交する方向である。また、「副走査方向」は、主走査方向と略直交する方向(記録材Pの搬送方向と略平行な方向)である。また、「画像形成領域」は、画像形成に使用する記録材Pのサイズに応じて設定されている、1枚の記録材Pに形成される画像に関する、感光ドラム1、中間転写ベルト7、あるいは記録材P上の画像が形成され得る領域である。本実施例では、簡単のため、画像形成領域のサイズは記録材Pのサイズと同じであるものとする。
図3は、A4サイズ(横送り)の記録材Pに画像を形成する場合を例に複数の分割領域を模式的に示したものである。本実施例では、画像形成領域(本実施例では記録材Pのサイズと同じ)が副走査方向(図3中上下方向)に分割された領域ごとに画像データが保管される。A4サイズの場合、画像データは、副走査方向に7分割される(各分割領域を区分1〜7とする)。本実施例では、各分割領域の副走査方向の幅は、記録材Pの副走査方向の長さLを7等分(L/7)したものである。つまり、A4サイズ(横送り)の場合、そのサイズは210mm(副走査方向)×297mm(主走査方向)であるので、各分割領域の副走査方向の幅は30mm(=210mm/7)となる。
画像入力部120から制御部50に入力された画像データの処理フローについて説明する。画像入力部120から制御部50に入力された画像データは、ビデオカウント手段(ビデオカウント部)としてのCPU51により、画像データから濃度値(本実施例ではCMYK)に変換される。また、CPU51によって、濃度値であるCMYKデータに変換された画像データは、各画素の色成分ごとの多値データが積算される。つまり、CPU51は、画像データの1画素あたりの各色成分データが複数ビットで表現される多値のデータを、各画素の色成分ごとに所定単位で積算する。8ビット(0〜255)の階調を有する各色成分において、1画素目のYデータが“100”という値で、2画素目のYデータが“50”という値の場合に、1画素目と2画素目の積算値は“150”となる。A4サイズ、600dpiの画像データの場合は、1ページあたり、7015画素(主走査方向)×4962画素(副走査方向)の合計34808430画素分の各色成分データが積算される。
本実施例では、A4サイズ(横送り)の場合、上述の7個の分割領域ごとの総画素分の各色成分データがそれぞれ積算(計数、カウント)される。そして、本実施例では、その積算値(計数値、カウント値)である「分割ビデオカウント値」を用いて、各1次転写部N1Y、N1M、N1C、N1Kにおける各分割領域のトナー載り量が算出される。
4.再転写による画像不良
前述のように、1次転写バイアスの設定によっては、1次転写時に1次転写部N1において放電が発生して、感光ドラム1の表面が摩耗して劣化することがある。1次転写部N1における放電を抑制するためには、画素量に応じて1次転写バイアスの設定を切り替えることが有効である。
ここで、一の画像形成部Uで形成される画像の画素量に応じて当該一の1次転写部N1における1次転写バイアスの設定を切り替えることが考えられる(特許文献1)。しかし、この場合、前述のように、再転写の影響により画像濃度ムラなどの画像不良が発生する可能性がある。
図12は、一例として、最下流の画像形成部UKにおけるKトナー像の1次転写効率とCトナー像の再転写効率との関係を示すグラフ図である。1次転写効率とは、一の画像形成部Uにおける感光ドラム1上に形成されたトナー像のトナーのうち、当該一の画像形成部Uの1次転写部N1で中間転写ベルト7上に転写されたトナーの割合を示す指標である。ここでは、1次転写効率は、重量基準の百分率で表す。また、再転写効率とは、一の画像形成部Uよりも上流の画像形成部Uの1次転写部N1で中間転写ベルト7上に1次転写されたトナー像のうち、当該一の画像形成部Uの1次転写部N1で感光ドラム1上に転移するトナーの割合を示す指標である。ここでは、再転写効率は、重量基準の百分率で表す。図12に示すように、1次転写バイアスの絶対値を大きくすると1次転写効率が増大する傾向があるが、1次転写バイアスの絶対値を大きくし過ぎると再転写効率も増大してしまう傾向がある。
図13は、再転写の影響を考慮せずに1次転写バイアスの設定を切り替える場合の切り替え態様の例を示す模式図である。図13の左図は、本実施例と同様にA4サイズ(横送り)の画像形成領域を7個の分割領域に区分けした場合の各分割領域に形成されるトナー像の模式図である。同図の例では、区分3及び区分4にそれぞれYトナー像(図中Sy3及びSy4)及びMトナー像(図中Sm3及びSm4)が形成され、更に区分4にはCトナー像(図中Sc4)及びKトナー像(図中Sk4)が形成される。図13の右図は、各1次転写部N1Y、N1M、N1C、N1Kにおける1次転写バイアスの設定の推移を示すチャート図である。同図の例では、再転写の影響を考慮していないため、概略、一の画像形成部Uの1次転写部N1に印加される1次転写バイアスの設定は、当該一の画像形成部Uで形成されたトナー像がある分割領域に対応する期間のみV2(|V2|>|V1|)に設定される。それ以外の期間は、当該一の画像形成部Uの1次転写部N1に印加される1次転写バイアスの設定はV1とされる。このような1次転写バイアスの切り替えを行うことによって、当該一の画像形成部Uにおいて1次転写するトナー像がない分割領域に対応する期間では1次転写バイアスの絶対値を小さくして放電を抑制することができる。したがって、感光ドラム1の表面の摩耗による劣化を抑制することができる。
しかし、上述のような1次転写バイアスの設定の変更方法では、再転写の影響により画像濃度ムラなどの画像不良が発生することがある。例えば、図13において、区分3と区分4とに、同一の濃度のYトナー像と同一の濃度のMトナー像とが形成されるものとする。この場合、Cの1次転写部N1C又はKの1次転写部N1Kにおいて区分3と区分4との間で1次転写バイアスの設定を切り替えてしまうと、区分3のYトナー像及びMトナー像と、区分4のYトナー像及びMトナー像との間で、再転写効率が変わることがある。そのため、区分3のYトナー像及びMトナー像と、区分4のYトナー像及びMトナー像との間で、濃度段差が発生して、画像濃度ムラが発生することがある。
そこで、本実施例では、概略、次のような制御を行う。一の画像形成部Uで形成されるトナー像及び当該一の画像形成部Uよりも上流の画像形成部Uで形成されるトナー像の分割ビデオカウント値に基づいて、当該一の画像形成部Uの1次転写部N1における各分割領域のトナー載り量を求める。そして、求めた当該一の画像形成部Uの1次転写部N1における各分割領域のトナー載り量に応じて、当該一の1次転写部N1において各分割領域に対して印加する1次転写バイアスを、第1の値V1と第2の値V2(|V2|>|V1|)との間で切り替える。
5.各1次転写部におけるトナー載り量
次に、本実施例における各1次転写部N1における各分割領域のトナー載り量の計算方法について説明する。
上述の分割ビデオカウント値をSabとする。aはトナー像の色を指定するものであり、a=y、m、c、kはそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを表す。bは分割領域を指定するものであり、b=1〜7はそれぞれ区分1〜7を表す。また、各1次転写部N1における各分割領域のトナー載り量をTnb(mg/cm)とする。nは1次転写部N1の位置(いずれの色用であるか)を指定するものであり、n=y、m、c、kはそれぞれ1次転写部N1Y、N1M、N1C、N1Kを表す。bは上記同様分割領域を指定するものであり、b=1〜7はそれぞれ区分1〜7を表す。SabとTnbとは下記式の関係を有する。
Tyb=αSyb
Tmb=αSyb+βSmb
Tcb=αSyb+βSmb+γScb
Tkb=αSyb+βSmb+γScb+δSkb
α、β、γ、δは、分割ビデオカウント値をトナー載り量に変換するための比例定数である。例えば、α=β=γ=δ=1、Sy1=50、Sm1=10、Sc1=3の場合、Cの1次転写部N1Cにおける区分1のトナー載り量Tc1は63(Tc1=63)となる。
このように、A4サイズ(横送り)の場合、7個の分割領域ごとの総画素分の各色成分データがカウントされ、その積算値である分割ビデオカウント値を用いて、各1次転写部N1Y、N1M、N1C、N1Kにおける各分割領域のトナー載り量が算出される。
6.1次転写バイアスの設定の変更
1次転写バイアスは、感光ドラム1から中間転写ベルト7へトナー像を転写させるために1次転写部N1に印加する電圧である。一方、1次転写バイアスを印加することで、1次転写部N1で放電が発生し、この放電により感光ドラム1の表面が摩耗して劣化し、画像不良の原因となることがある。そのため、この放電は、感光ドラム1の寿命を決定する一つの要因である。そこで、本実施例では、上述のように、各1次転写部N1における各分割領域のトナー載り量に応じて各1次転写部N1において各分割領域に対して印加する1次転写バイアスを最適化する。これにより、再転写の影響による画像不良を抑制しつつ、感光ドラム1の寿命を延ばすことができる。
図4(a)、(b)は、本実施例における1次転写バイアスの制御の手順の概略を示すフローチャート図である。なお、ここでは、A4サイズ(横送り)の1枚の記録材Pに画像を形成するジョブを例として説明する。
図4(a)を参照して、CPU51は、ジョブの開始指示が入力されると、ジョブを開始させる(S101)。そして、CPU51は、画像データが入力されると(S102)、前述のように画像データを濃度値(本実施例ではCMYK)に変換して(S103)、色成分ごとに各分割領域の分割ビデオカウント値Sabを取得する(S104)。次に、CPU51は、分割ビデオカウント値Sabを用いて、各1次転写部N1における各分割領域のトナー載り量Tnbを算出する(S105)。次に、CPU51は、算出した各1次転写部N1における各分割領域のトナー載り量Tnbの値に応じて、各1次転写部N1における各分割領域に対する1次転写バイアスをV1又はV2に設定することを決定する(S106)。その後、CPU51は、画像形成を開始させる(S107)。そして、CPU51は、画像形成が終了したたらジョブを終了させる(S108)。
図4(b)は、図4(a)のS106における処理の手順の概略を示すフローチャート図である。本実施例では、CPU51は、各1次転写部N1における各分割領域のトナー載り量Tnbが0(Tnb=0)であるか否かを判断する(S161)。そして、CPU51は、Tnbが0の場合は、その1次転写部N1におけるその分割領域に対する1次転写バイアスは、予めROM52に保存されているV1に設定する(S162)。一方、CPU51は、Tnb>0の場合は、その1次転写部N1におけるその分割領域に対する1次転写バイアスは、予めROM52に保存されているデータテーブルから読み出したV2(|V2|>|V1|)に設定する(S163)。1次転写バイアスのデータテーブルは、図12を参照して説明したものと同様の図7(a)に示す1次転写バイアスと1次転写効率及び再転写効率との関係に基づいて設定されている。本実施例では、V1=1000V、V2=2000Vに設定した。なお、図7(a)は、一例として、最下流の画像形成部UKにおけるKトナー像の1次転写効率とCトナー像の再転写効率との関係を示しているが、他の画像形成部Uについても同様の関係が予め調べられて上記データテーブルが記憶されている。また、最上流の画像形成部UYに関しては、再転写の問題は発生しないが、V1、V2は他の画像形成部Uと同じ値に設定されている。CPU51は、上記1次転写バイアスの設定を決定する処理を、全ての1次転写部N1における全ての分割領域に対して実行する(S164)。
なお、複数の記録材Pに画像を形成するジョブの場合、画像形成を開始する前に全てのページについての各1次転写部N1における各分割領域に対する1次転写バイアスの設定を決定することができる。あるいは、当該ページの画像形成(より詳細には1次転写)が開始するまでに、他のページの画像形成と並行して当該ページについての1次転写バイアスの設定を決定するようにしてもよい。
図5(a)、(b)は、本実施例における1次転写バイアスの設定の切り替え態様の例を示す模式図である。図5(a)、(b)のそれぞれの左図は、A4サイズ(横送り)の記録材Pに画像を形成する場合における、各分割領域に形成されるトナー像の模式図である。また、図5(a)、(b)のそれぞれの右図は、各1次転写部N1Y、N1M、N1C、N1Kにおける1次転写バイアスの設定の推移を示すチャート図である。
図5(a)の例では、区分3及び区分4にそれぞれCトナー像(図中Sc3及びSc4)及びKトナー像(図中Sk3及びSk4)が形成され、更に区分4にはYトナー像(図中Sy4)及びMトナー像(図中Sm4)が形成される。また、図5(b)の例では、区分3及び区分4にそれぞれYトナー像(図中Sy3及びSy4)及びMトナー像(図中Sm3及びSm4)が形成され、更に区分4にはCトナー像(図中Sc4)及びKトナー像(図中Sk4)が形成される。
特に、図5(b)の例の画像データは、図13を参照して課題について説明した例の画像データと同じである。図13の例では、再転写の影響を考慮していない。そのため、図13に示すように、Cトナー像及びKトナー像が形成されない区分3に対しては、C、Kの1次転写部N1C、N1Kにおける1次転写バイアスはV1に設定される。これに対して、本実施例では再転写の影響を考慮している。つまり、上流側の1次転写部N1で形成されるトナー像のトナー載り量を考慮している。そのため、図5(b)に示すように、Cトナー像及びKトナー像が形成されない区分3に対しても、Yトナー像及びMトナー像が形成されているため、C、Kの1次転写部N1C、N1Kにおける1次転写バイアスはV2に設定される。これにより、本実施例では、再転写の影響による画像濃度ムラを抑制しつつ、1次転写バイアスの絶対値を小さくして放電を抑制することで感光ドラム1の表面の摩耗による劣化を抑制することができる。
7.1次転写バイアス切り替えタイミング
次に、本実施例における1次転写バイアスの切り替えのタイミングについて説明する。図6は、Cの1次転写部N1Cにおける1次転写バイアスの切り替えタイミングを説明するための模式図である。図6の左図は、A4サイズ(横送り)の記録材Pに画像を形成する場合における、各分割領域に形成されるトナー像の模式図である。同図の例の画像データは、図5(a)の例の画像データと同じである。図6の右図は、Cの1次転写部N1Cにおける1次転写バイアスの設定の推移を示すチャート図である。Tswは、電圧の切り替えにかかる時間である。また、Tdivは、各分割領域が1次転写部N1Cを通過するのに必要な時間である。V1からV2への切り替えは、Tnb≠0の分割領域(図示の例では区分3)が1次転写部N1Cに到達する時より前に完了するタイミングで行う。本実施例では、1次転写バイアスをV1からV2(又はV2からV1)へ切り替えるのに必要な時間Tswは30msである。そのため、本実施例では、区分3の先端が1次転写部N1Cに到達する30ms前にV1からV2への切り替えを開始する。また、区分3、4が1次転写部N1Cを通過する間はV2を保つ。そして、区分4が1次転写部N1Cを通過し終える時より後にV2からV1へ切り替える。
8.効果
図7(b)は、再転写の影響を考慮した本実施例の制御と、再転写の影響を考慮しない比較例の制御とで再転写ムラを調べた結果を示す。ここでは、図5(b)(本実施例)、図13(比較例)に示すように画像を形成した場合の区画3と区画4とでのYトナー像及びMトナー像の濃度差を調べた。再転写の影響を考慮しない比較例の制御の場合には再転写ムラによって3%の濃度ムラが発生することがあった。一方、再転写の影響を考慮した本実施例の制御の場合は、再転写ムラによる濃度ムラは0.1%未満に抑制することができた。
このように、本実施例の画像形成装置100は、被転写体7の移動方向に沿って配置され、それぞれが被転写体7の画像形成領域にトナー像を形成する第1の画像形成部(例えばYの画像形成部UY)及び第2の画像形成部(例えばKの画像形成部UK)を有する。上記移動方向において、第1の画像形成部UYは第2の画像形成部UKよりも上流に配置されている。第2の画像形成部UKはトナー像を担持する像担持体1Kと、転写部N1Kで像担持体1Kから被転写体7にトナー像を転写させる転写手段5Kと、を有する。また、画像形成装置100は、転写手段5Kに転写のための転写バイアスを印加する印加手段E1Kを有する。また、画像形成装置100は、画像形成領域を上記移動方向に複数に分割した複数の分割領域ごとに、第1の画像形成部UYが形成するトナー像のトナー量である第1のトナー量と相関する第1の指標値と、第2の画像形成部UKが形成するトナー像のトナー量である第2のトナー量と相関する第2の指標値と、を取得する取得部を有する。本実施例では、ビデオカウント部として機能するCPU51が取得部を構成する。また、画像形成装置100は、複数の分割領域のそれぞれが転写部N1Kを通過している際の上記転写バイアスを第1及び第2の指標値に基づいて決定する制御部50を有する。本実施例では、制御部50は、複数の分割領域のそれぞれについて、次のように上記転写バイアスを決定する。つまり、第1及び第2の指標値が示す転写部N1Kにおける第1及び第2のトナー量の総和が所定の閾値以下の場合に、上記転写バイアスを第1の値V1とする。また、第1及び第2の指標値が示す転写部N1Kにおける第1及び第2のトナー量の総和が上記閾値よりも大きい場合に、上記転写バイアスを第1の値よりも絶対値が大きい第2の値V2とする。特に、本実施例では、上記閾値は0(mg/cm)である。そのため、本実施例では、上記閾値以下の場合とは、上記閾値と等しい場合である。
ここで、本実施例では、上流側の第1の画像形成部(例えばYの画像形成部UY)が形成するトナー量と、下流側の第2の画像形成部(例えばKの画像形成部UK)が形成するトナー量と、の総和を用いて、上記転写バイアスを決定した。これにより、比較的簡易な制御で本発明を具現化することができる。斯かる制御は、より詳細には、複数の分割領域のそれぞれについて、次のように上記転写バイアスを制御することに対応する。つまり、第1のトナー量が第1所定量以下かつ第2のトナー量が第2所定量以下の場合に、上記転写バイアスを第1の値V1とする(例えば図5(b)における区分1〜2、区分5〜7)。また、第1のトナー量が第1所定量以下かつ第2のトナー量が第2所定量より大きい場合に、上記転写バイアスを第1の値よりも絶対値が大きい第2の値V2とする(例えば図5(a)における区分3)。また、第1のトナー量が第1所定量より大きくかつ第2のトナー量が第2所定量以下の場合に、上記転写バイアスを第1の値よりも絶対値が大きい第3の値V3とする。この第3の値V3は、本実施例のように第2の値V2と等しくてよい(例えば図5(b)における区分3)。ただし、第1のトナー量が第1所定量より大きくかつ第2のトナー量が第2所定量より大きい分割領域(例えば図5(b)における区分4)との間での再転写ムラを十分に抑制できれば、第3の値は第2の値V2とは異なっていてよい。例えば、第3の値V3は、第2の値V2と同極性で第2の値V2よりも絶対値が小さい値とすることができる。また、第1のトナー量が第1所定量より大きくかつ第2のトナー量が第2所定量より大きい場合に、上記転写バイアスを第2の値V2とする(例えば図5(b)における区分4)。典型的には、本実施例のように、第1所定量と第2所定量とは同じとされるが、これらは異なっていてもよい。本実施例では、第1及び第2所定量は0(mg/cm)である。そのため、本実施例では、上記所定量以下の場合とは、上記所定量と等しい場合である。
したがって、制御部50は、第1及び第2のトナー量の総和の代わりに、第1、第2のトナー量のそれぞれを用いて各分割領域についての転写バイアスを決定することもできる。図15は、この場合の転写バイアスの決定処理の手順の概略を示すフローチャート図である。ここでは、分割ビデオカウント値に基づいて求められる上流側の画像形成部が形成する各分割領域のトナー像のトナー量をT、下流側の画像形成部が形成する各分割領域のトナー量のトナー量をTとする。また、上記第1所定量をA、上記第2所定量をB(本実施例ではA=B=0(mg/cm))とする。また、上記第1の値をV1、上記第2の値をV2、上記第3の値をV3(本実施例ではV3=V2)とする。制御部50のCPU51は、下流側の画像形成部における一の分割領域についての転写バイアスを決定するにあたり、TA>Aを満たすか否かを判断する(S301)。S301で満たさないと判断した場合、CPU51はT>Bを満たすか否かを判断する(S302)。そして、S302で満たさないと判断した場合、CPU51は転写バイアスを第1の値V1に決定する(S303)。また、S302で満たすと判断した場合、CPU51は転写バイアスを第2の値V2に決定する(S304)。一方、S301で満たすと判断した場合、CPU51はT>Bを満たすか否かを判断する(S305)。そして、S305で満たさないと判断した場合、CPU51は転写バイアスを第3の値V3に決定する(S306)。また、S305で満たすと判断した場合、CPU51は転写バイアスを第2の値V2に決定する(S307)。CPU51は、このような転写バイアスを決定する処理を、全ての分割領域に対して実行する(S308)。
本実施例では、取得部51は、画像形成領域を上記移動方向に複数に分割した領域ごとに、第1及び第2の画像形成部UY、UKがそれぞれ形成するトナー像の画像濃度又は印字率と相関するビデオカウント値をカウントして、第1及び第2の指標値を取得する。本実施例では、被転写体は、第1及び第2の画像形成部によって形成されたトナー像を記録材Pに転写するために搬送する中間転写体である。また、本実施例では、例えば第2の画像形成部をKの画像形成部UKとする場合、第1の画像形成部は、より詳細にはY、M、Cの画像形成部UY、UM、UCである。
以上説明したように、本実施例によれば、再転写の影響による局所的な画像濃度ムラなどの画像不良を抑制しつつ、1次転写部N1における放電に起因する感光ドラム1の劣化を抑制することが可能となる。これにより、長期にわたって高画質の画像を形成することが可能となる。
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
実施例1では、各1次転写部N1における各分割領域のトナー載り量Tnbが0であるか否かに応じて、その1次転写部N1のその分割領域に対する1次転写バイアスをV1又はV2に設定した。これに対し、本実施例では、1次転写バイアスの切り替えに比較的長い時間が必要な場合でも、適正な1次転写バイアスの切り替えを行える構成について説明する。
ここで、1次転写バイアスをV1からV2(又はV2からV1)へ切り替えるのに必要な時間を「切り替え時間」とする。また、中間転写ベルト7の表面の移動速度を「速度」とする。また、各分割領域の副走査方向の幅を「幅」とする。また、1個の分割領域が1箇所の1次転写部N1を通過するのにかかる時間を「通過時間」とする。また、Tnb=0である連続した分割領域の数を“区分数”とする。このとき、本実施例では、次式、
(通過時間)×(区分数)>(切り替え時間)×2
を満たす場合に、1次転写バイアスをV1(|V1|<|V2|)に設定する。上記式を「条件式」とする。ただし、(通過時間)=(幅)/(速度)である。
図8(a)、(b)は、本実施例における1次転写バイアスの制御の手順の概略を示すフローチャート図である。なお、ここでは、A4サイズ(横送り)の1枚の記録材Pに画像を形成するジョブを例として説明する。図8(a)に示す本実施例におけるS201〜S208の処理の全体的な流れは、図4(a)に示す実施例1におけるS101〜S108の処理の全体的な流れと同じである。ただし、本実施例における図8(a)のS206の処理が、実施例1における図4(a)のS106の処理とは異なる。
図8(b)は、図8(a)のS206における処理の手順の概略を示すフローチャート図である。本実施例では、CPU51は、各1次転写部N1における各分割領域のトナー載り量Tnbが0(Tnb=0)であるか否かを判断する(S261)。また、本実施例では、CPU51は、Tnb=0の場合は、1次転写バイアスの設定の変更を行うかを判断するために、その1次転写部N1におけるその分割領域が条件式を満たすか否かを判断する(S262)。そして、CPU51は、条件式を満たす場合(つまり、(通過時間)×(区分数)>(切り替え時間)×2の場合)は、その1次転写部N1におけるその分割領域に対する1次転写バイアスは、予めROM52に保持されているV1に設定する(S263)。一方、CPU51は、S261でTnb>0の場合、あるいはS262で条件式を満たさない場合(つまり、(通過時間)×(区分数)≦(切り替え時間)×2の場合)は、次のようにする。つまり、その1次転写部N1におけるその分割領域に対する1次転写バイアスは、予めROM52に保存されているデータテーブルから読み出したV2に設定する(S264)。1次転写バイアスのデータテーブルは、図12を参照して説明したものと同様の図11(a)に示す1次転写バイアスと1次転写効率及び再転写効率との関係に基づいて設定されている。本実施例では、V1=500V、V2=1500Vに設定した。なお、図11(a)は、一例として、最下流の画像形成部UKにおけるKトナー像の1次転写効率とCトナー像の再転写効率との関係を示しているが、他の画像形成部Uについても同様の関係が予め調べられて上記データテーブルが記憶されている。また、最上流の画像形成部UYに関しては、再転写の問題は発生しないが、V1、V2は他の画像形成部Uと同じ値に設定されている。
本実施例では、1次転写バイアスの切り替え時間は70msである。また、A4サイズ(横送り)の画像データを7分割する場合、各分割領域の副走査方向の幅は30mmである。また、中間転写ベルト7の表面の移動速度が320mm/sの場合、1個の分割領域が1箇所の1次転写部N1を通過するのに93msかかる。この場合、1次転写バイアスをV2からV1に変更し、更にV1からV2に変更するのには、140ms以上の時間が必要であるため、連続した2区分以上の分割領域においてトナー載り量Tnbが0の場合に、1次転写バイアスをV1に設定する。
図9(a)、(b)は、本実施例における1次転写バイアスの設定の切り替え態様の例を示す模式図である。図9(a)、(b)のそれぞれ左図は、A4サイズ(横送り)の記録材Pに画像を形成する場合における、各分割領域に形成されるトナー像の模式図である。また、図9(a)、(b)のそれぞれの右図は、各1次転写部N1Y、N1M、N1C、N1Kにおける1次転写バイアスの設定の推移を示すチャート図である。
図9(a)の例では、区分2及び区分5にそれぞれKトナー像(図中Sk2及びSk5)が形成され、更に区分4にはCトナー像(図中Sc4)が形成される。また、図9(b)の例では、区分2及び区分3にそれぞれYトナー像(図中Sy2及びSy3)及びMトナー像(図中Sm2及びSm3)が形成される。また、区分3にCトナー像(図中Sc3)及びKトナー像(図中Sk3)が形成される。更に、区分5にはKトナー像(図中Sk5)が形成される。図9(a)、(b)に示すように、本実施例では連続した2区分以上の分割領域においてトナー載り量Tnbが0の場合に、1次転写バイアスはV1に設定される。それ以外の場合は、1次転写バイアスはV2に設定される。
図10は、Kの1次転写部N1Kにおける1次転写バイアスの切り替えタイミングを説明するための模式図である。図10の左図は、A4サイズ(横送り)の記録材Pに画像を形成する場合における、各分割領域に形成されるトナー像の模式図である。同図の例の画像データは、図9(a)の例の画像データと同じである。図10の右図は、Kの1次転写部N1Kにおける1次転写バイアスの設定の推移を示すチャート図である。Tswは、電圧の切り替えにかかる時間である。また、Tdivは、各分割領域が1次転写部N1Kを通過するのに必要な時間である。V1からV2への切り替えは、Tnb≠0の分割領域(図示の例では区分2)が1次転写部N1Kに到達する時より前に完了するタイミングで行う。本実施例では、1次転写バイアスをV1からV2(又はV2からV1)へ切り替えるのに必要な時間Tswは70msである。そのため、本実施例では、区分2の先端が1次転写部N1Kに到達する70ms前にV1からV2への切り替えを開始する。また、区分3、4、5が1次転写部N1Kを通過する間はV2を保つ。そして、区分5が1次転写部N1Kを通過し終える時より後にV2からV1へ切り替える。
図11(b)は、再転写の影響を考慮した本実施例の制御と、再転写の影響を考慮しない比較例の制御とで再転写ムラを調べた結果を示す。ここでは、図9(b)(本実施例)、図14(比較例)に示すように画像を形成した場合の区画2と区画3とでのYトナー像及びMトナー像の濃度差を調べた。なお、図14に示す比較例は、図9(b)に示す本実施例の場合と同じ画像、同じ切り換え時間で、再転写の影響を考慮せずに1次転写バイアスの切り換えを行った場合の例である。再転写の影響を考慮しない比較例の制御の場合には再転写ムラによって3%の濃度ムラが発生することがあった。一方、再転写の影響を考慮した本実施例の制御の場合は、再転写ムラによる濃度ムラは0.1%未満に抑制することができた。
このように、本実施例では、実施例1と同様に、複数の分割領域ごとに、上流側の画像形成部が形成するトナー像の第1のトナー量と相関する第1の指標値、下流側の画像形成部が形成するトナー像の第2のトナー量と相関する第2の指標値が取得される。そして、本実施例では、制御部50は、複数の分割領域のそれぞれが下流側の画像形成部の転写部を通過している際の転写バイアスを決定するにあたり、次のような制御を行う。つまり、第1及び第2の指標値が示す上記転写部における第1及び第2のトナー量の総和が閾値以下の分割領域が所定の数以上連続している場合に、その分割領域について転写バイアスを第1の値V1とする。また、第1及び第2の指標値が示す転写部における第1及び第2のトナー量の総和が上記閾値以下の分割領域が上記所定の数以上連続していない場合には、その分割領域について転写バイアスを第2の値V2とする。実施例1で説明したのと同様、斯かる制御は、より詳細には、次のように上記転写バイアスを制御することに対応する。つまり、第1のトナー量が第1所定量以下かつ第2のトナー量が第2所定量以下の分割領域が所定の数以上連続している場合に、その分割領域について転写バイアスを第1の値V1とする。また、第1のトナー量が第1所定量以下かつ第2のトナー量が第2所定量以下の分割領域が上記所定の数以上連続していない場合には、その分割領域について転写バイアスを第2の値V2とする。
以上説明したように、1次転写バイアスの切り換えに比較的時間がかかる構成においても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
上述の実施例では、中間転写方式を採用したタンデム型の画像形成装置を例に説明したが、本発明は直接転写方式の画像形成装置にも適用できるものである。直接転写方式の画像形成装置は、当業者には周知のとおり、概略、上述の実施例の画像形成装置における中間転写体に代えて、無端状のベルトなどで構成された記録材担持体を有する。そして、各画像形成部の各像担持体に形成されたトナー像は、上述の実施例における1次転写手段に対応する転写手段(転写ローラ)などの作用により、記録材担持体に担持されて搬送される記録材に直接転写される。その後、記録材は記録材担持体から分離されて、トナー像が定着された後に画像形成装置の外部に排出される。このような直接転写方式の画像形成装置においても、転写部における放電により像担持体が摩耗して劣化することを抑制するためには、転写するトナー像のトナー量に応じて転写バイアス(転写電圧)を調整することが有効である。しかし、直接転写方式の画像形成装置においても、中間転写方式の画像形成装置の場合と同様、再転写の影響により画像濃度ムラなどの画像不良が発生する可能性がある。したがって、直接転写方式の画像形成装置における転写バイアスに関して本発明を適用することによって、上述の実施例と同様の効果を得ることができる。
上述の実施例では、転写バイアスをV1とV2との2段階に変更したが、各転写部における各分割領域のトナー量に応じて、3段階以上に変更してもよい。その場合、各転写部における各分割領域のトナー量と比較する複数の異なる値の閾値を設定すればよい。また、上述の実施例では、各転写部における各分割領域のトナー量と比較する閾値は0(mg/cm)であったが、この閾値は0(mg/cm)より大きい値であってもよい。また、上述の実施例では、転写バイアスを0Vではない複数の値(上述の実施例ではV1とV2)に変更したが、複数の転写バイアスの設定のうち1つは0Vであってもよい。さらに、複数の画像形成部のうち少なくとも2個以上(全てであってもよい)の間で、複数の転写バイアスの設定のうち少なくとも1つ(例えば上述の実施例におけるV2)が異なる値とされていてもよい。上述の第1及び第2所定量(上述の実施例では0(mg/cm))についても同様である。
1 感光ドラム
5 1次転写ローラ
7 中間転写ベルト
50 制御部
51 CPU(ビデオカウント部)
100 画像形成装置

Claims (10)

  1. 被転写体の移動方向に沿って配置され、それぞれが被転写体の画像形成領域にトナー像を形成する第1及び第2の画像形成部であって、前記移動方向において前記第1の画像形成部は前記第2の画像形成部よりも上流に配置されており、前記第2の画像形成部はトナー像を担持する像担持体と、転写部で前記像担持体から被転写体にトナー像を転写させる転写手段と、を有する第1及び第2の画像形成部と、
    前記転写手段に前記転写のための転写バイアスを印加する印加手段と、
    前記画像形成領域を前記移動方向に複数に分割した複数の分割領域ごとに、前記第1の画像形成部が形成するトナー像のトナー量である第1のトナー量と相関する第1の指標値と、前記第2の画像形成部が形成するトナー像のトナー量である第2のトナー量と相関する第2の指標値と、を取得する取得部と、
    前記複数の分割領域のそれぞれが前記転写部を通過している際の前記転写バイアスを前記第1及び第2の指標値に基づいて決定する制御部と、
    を有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記制御部は、前記複数の分割領域のそれぞれについて、
    前記第1のトナー量が第1所定量以下かつ前記第2のトナー量が第2所定量以下の場合に、前記転写バイアスを第1の値とし、
    前記第1のトナー量が前記第1所定量以下かつ前記第2のトナー量が前記第2所定量より大きい場合に、前記転写バイアスを前記第1の値よりも絶対値が大きい第2の値とし、
    前記第1のトナー量が前記第1所定量より大きくかつ前記第2のトナー量が前記第2所定量以下の場合に、前記転写バイアスを前記第1の値よりも絶対値が大きい第3の値とし、
    前記第1のトナー量が前記第1所定量より大きくかつ前記第2のトナー量が前記第2所定量より大きい場合に、前記転写バイアスを前記第2の値とする、
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記制御部は、前記第1のトナー量が前記第1所定量以下かつ前記第2のトナー量が前記第2所定量以下の前記分割領域が所定の数以上連続している場合に、その前記分割領域について前記転写バイアスを前記第1の値とし、前記第1のトナー量が前記第1所定量以下かつ前記第2のトナー量が前記第2所定量以下の前記分割領域が前記所定の数以上連続していない場合には、その前記分割領域について前記転写バイアスを前記第2の値とすることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記第1及び第2所定量は0(mg/cm)であることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
  5. 前記制御部は、前記複数の分割領域のそれぞれについて、
    前記第1及び第2の指標値が示す前記転写部における前記第1及び第2のトナー量の総和が所定の閾値以下の場合に、前記転写バイアスを第1の値とし、
    前記第1及び第2の指標値が示す前記転写部における前記第1及び第2のトナー量の総和が前記閾値よりも大きい場合に、前記転写バイアスを前記第1の値よりも絶対値が大きい第2の値とする、
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  6. 前記制御部は、前記第1及び第2の指標値が示す前記転写部における前記第1及び第2のトナー量の総和が前記閾値以下の前記分割領域が所定の数以上連続している場合に、その前記分割領域について前記転写バイアスを前記第1の値とし、前記第1及び第2の指標値が示す前記転写部における前記第1及び第2のトナー量の総和が前記閾値以下の前記分割領域が前記所定の数以上連続していない場合には、その前記分割領域について前記転写バイアスを前記第2の値とすることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
  7. 前記閾値は0(mg/cm)であることを特徴とする請求項5又は6に記載の画像形成装置
  8. 前記取得部は、前記画像形成領域を前記移動方向に複数に分割した領域ごとに、前記第1及び第2の画像形成部がそれぞれ形成するトナー像の画像濃度又は印字率と相関するビデオカウント値をカウントして、前記第1及び第2の指標値を取得することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  9. 被転写体は、前記第1及び第2の画像形成部によって形成されたトナー像を記録材に転写するために搬送する中間転写体であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  10. 被転写体としての記録材を担持して搬送する記録材担持体を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
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