JP2020016707A - 配光制御デバイス - Google Patents

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Takuma Shirai
拓磨 白井
太田 益幸
Masuyuki Ota
益幸 太田
旬臣 芝田
Masaomi Shibata
旬臣 芝田
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Abstract

【課題】窓に利用された場合に、太陽の位置によらずに光を効率良く屋内に採り入れる。【解決手段】配光制御デバイス1は、光透過性を有する第1基板10と、第1基板10に設けられた、光透過性を有する第1電極層40と、第1電極層40上に設けられた、第1方向に延在する複数の第1凸部34を有する第1凹凸構造層31と、第1基板10に対向して設けられた、光透過性を有する第2基板20と、第2基板20に設けられた、第1電極層40に対向する第2電極層50と、第2電極層50上に設けられた、第2方向に延在する複数の第2凸部36を有する第2凹凸構造層32と、第1電極層40と第2電極層50との間において複数の第1凸部34間及び複数の第2凸部36間の各々を充填するように設けられた屈折率可変層33とを備える。第1基板10を平面視した場合、第1方向と第2方向とがなす角度は、20°以上80°以下である。【選択図】図7

Description

本発明は、配光制御デバイスに関する。
特許文献1には、第1透明電極層及び傾斜断面構造の積層構造と、第2透明電極層とで、液晶層を挟んだ構成を有する液晶光学素子が開示されている。特許文献1に開示された液晶光学素子では、傾斜断面構造と液晶層との界面での屈折率差によって、入射光を曲げることができる。
特開2015−41006号公報
しかしながら、上記従来の液晶光学素子は、窓に利用された場合に、左右の斜め方向から入射する光を効率良く屋内に採り入れることができないという問題がある。例えば、太陽光は、太陽の位置によって入射方向が異なるので、太陽の位置によっては、太陽光を効率良く屋内に採り入れることができない。
そこで、本発明は、窓に利用された場合に、太陽の位置によらずに効率良く光を屋内に採り入れることができる配光制御デバイスを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る配光制御デバイスは、光透過性を有する第1基板と、前記第1基板に設けられた、光透過性を有する第1電極層と、前記第1電極層上に設けられた、第1方向に延在する複数の第1凸部を有する第1凹凸構造層と、前記第1基板に対向して設けられた、光透過性を有する第2基板と、前記第2基板に設けられた、前記第1電極層に対向する第2電極層と、前記第2電極層上に設けられた、第2方向に延在する複数の第2凸部を有する第2凹凸構造層と、前記第1電極層と前記第2電極層との間において前記複数の第1凸部間及び前記複数の第2凸部間の各々を充填するように設けられた屈折率可変層とを備え、前記第1基板を平面視した場合、前記第1方向と前記第2方向とがなす角度は、20°以上80°以下である。
本発明に係る配光制御デバイスによれば、窓に利用された場合に、太陽の位置によらずに効率良く光を屋内に採り入れることができる。
図1は、実施の形態1に係る配光制御デバイスの断面図である。 図2は、図1の領域IIを拡大して示す拡大断面図である。 図3Aは、実施の形態1に係る配光制御デバイスの第1凹凸構造層の正面図である。 図3Bは、実施の形態1に係る配光制御デバイスの第2凹凸構造層の背面図である。 図4は、実施の形態1に係る配光制御デバイスの第1凹凸構造層及び第2凹凸構造層を重ねて示す平面図である。 図5は、実施の形態1に係る配光制御デバイスの無印加モード(透明状態)を説明するための断面図である。 図6は、実施の形態1に係る配光制御デバイスの電圧印加モード(配光状態)を説明するための断面図である。 図7は、実施の形態1に係る配光制御デバイスが南向きの窓に設置された場合に、東西方向からの光の配光を説明するための模式図である。 図8は、実施の形態1に係る配光制御デバイスの東西方向への配光を説明するための模式図である。 図9は、実施の形態1に係る配光制御デバイスの凹凸構造層の傾斜角と配光率との関係を示す図である。 図10は、実施の形態1に係る配光制御デバイスの水平方向における光の入射角と配光率との関係を示す図である。 図11は、実施の形態1に係る配光制御デバイスの第1凹凸構造層の凸部の上側の底角と配光率との関係を示す図である。 図12は、実施の形態1に係る配光制御デバイスの第2凹凸構造層の凸部の下側の底角と配光率との関係を示す図である。 図13は、実施の形態2に係る配光制御デバイスの拡大断面図である。 図14は、実施の形態2に係る配光制御デバイスの無印加モード(配光状態)を説明するための断面図である。 図15は、実施の形態2に係る配光制御デバイスの電圧印加モード(透明状態)を説明するための断面図である。 図16は、実施の形態2に係る配光制御デバイスの凹凸構造層の傾斜角と配光率との関係を示す図である。 図17は、実施の形態2に係る配光制御デバイスの水平方向における光の入射角と配光率との関係を示す図である。 図18は、実施の形態2に係る配光制御デバイスの第1凹凸構造層の凸部の上側の底角と配光率との関係を示す図である。 図19は、実施の形態2に係る配光制御デバイスの第2凹凸構造層の凸部の下側の底角と配光率との関係を示す図である。 図20は、実施の形態3に係る配光制御デバイスの断面図である。
以下では、本発明の実施の形態に係る配光制御デバイスについて、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
また、本明細書において、平行又は垂直などの要素間の関係性を示す用語、及び、矩形又は台形などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
また、本明細書及び図面において、x軸、y軸及びz軸は、三次元直交座標系の三軸を示している。各実施の形態では、z軸方向を鉛直方向とし、z軸に垂直な方向(xy平面に平行な方向)を水平方向としている。なお、z軸の正方向を鉛直上方としている。また、本明細書において、「厚み方向」とは、配光制御デバイスの厚み方向を意味し、第1基板及び第2基板の主面に垂直な方向のことであり、「平面視」とは、第1基板又は第2基板の主面に対して垂直な方向から見たときのことをいう。具体的には、「平面視」は、y軸に沿った方向に見たときのことをいう。
(実施の形態1)
[概要]
まず、実施の形態1に係る配光制御デバイスの概要について、図1及び図2を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係る配光制御デバイス1の断面図である。図1は、配光制御デバイス1の第1基板10に垂直な断面を示している。図2は、図1の領域IIを拡大して示す拡大断面図である。
配光制御デバイス1は、配光制御デバイス1に入射する光の出射方向を制御する。具体的には、配光制御デバイス1は、配光制御デバイス1に入射する光の進行方向を変更して、つまり、配光して出射させることができる配光素子である。
図1に示されるように、配光制御デバイス1は、第1基板10と、第2基板20と、配光層30と、第1電極層40と、第2電極層50とを備える。配光制御デバイス1は、対をなす第1基板10と第2基板20との間に、第1電極層40、配光層30及び第2電極層50がこの順で厚み方向に沿って配置された構成である。第1基板10と第2基板20との間の距離を保つために、粒子状の複数のスペーサが面内に分散されていてもよく、柱状の構造が形成されてもよい。
なお、第1電極層40の配光層30側の面には、第1電極層40と配光層30の第1凹凸構造層31とを密着させるための密着層が設けられていてもよい。同様に、第2電極層50の配光層30側の面には、第2電極層50と配光層30の第2凹凸構造層32とを密着させるための密着層が設けられていてもよい。密着層は、例えば、透光性の接着シート、又は、一般的にプライマーと称される樹脂材料などである。
配光制御デバイス1は、例えば、建物の窓に設置することで、配光機能付き窓として実現することができる。配光制御デバイス1は、例えば、粘着層を介して既存の窓ガラスなどの透明基材に貼り付けられて使用される。あるいは、配光制御デバイス1は、建物の窓そのものとして利用されてもよい。配光制御デバイス1は、例えば、第1基板10が屋外側で、第2基板20が屋内側になり、かつ、図2に示される第1凸部34の第1面34aが上側(天井側)に面し、第2面34bが下側(床側)に面するように配置されている。
配光制御デバイス1では、第1電極層40及び第2電極層50間に印加される電圧によって、配光層30の屈折率可変層33の屈折率が変化する。これにより、第1凹凸構造層31と屈折率可変層33との界面、及び、第2凹凸構造層32と屈折率可変層33との界面に屈折率の差が生じ、当該界面による光の屈折及び反射(全反射)を利用して光が配光される。例えば、斜め下方に向けて入射する光の少なくとも一部は、第1凸部34及び第2凸部36によって斜め上方に向けて出射される。
第1電極層40及び第2電極層50間に印加される電圧の大きさに応じて、配光制御デバイス1は、透明状態及び配光状態が切り替わる。また、配光制御デバイス1は、第1電極層40及び第2電極層50間に印加される電圧の大きさに応じて、配光状態における光の配光方向(進行方向)が変化する。
以下、配光制御デバイス1の各構成部材について、図1及び図2を参照して詳細に説明する。
[第1基板及び第2基板]
第1基板10及び第2基板20は、透光性を有する基材である。第1基板10及び第2基板20としては、例えばガラス基板又は樹脂基板を用いることができる。
ガラス基板の材料としては、ソーダガラス、無アルカリガラス又は高屈折率ガラスなどが挙げられる。樹脂基板の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、アクリル(PMMA)又はエポキシなどの樹脂材料が挙げられる。ガラス基板は、光透過率が高く、かつ、水分の透過性が低いという利点がある。一方、樹脂基板は、破壊時の飛散が少ないという利点がある。
第1基板10と第2基板20とは、同じ材料で構成されていてもよく、あるいは、異なる材料で構成されていてもよい。また、第1基板10及び第2基板20は、リジッド基板に限るものではなく、可撓性を有するフレキシブル基板でもよい。本実施の形態において、第1基板10及び第2基板20は、PET樹脂からなる透明樹脂基板である。
第2基板20は、第1基板10に対向する対向基板であり、第1基板10に対向する位置に配置される。第1基板10と第2基板20とは、例えば、1μm〜1000μmなどの所定距離を空けて平行に配置されている。第1基板10と第2基板20とは、互いの端部外周に額縁状に形成された接着剤などのシール樹脂によって接着されている。
なお、第1基板10及び第2基板20の平面視形状は、例えば、正方形又は長方形などの矩形状であるが、これに限るものではなく、円形又は四角形以外の多角形であってもよく、任意の形状が採用され得る。
[配光層]
図1及び図2に示されるように、配光層30は、第1電極層40と第2電極層50との間に配置される。配光層30は、透光性を有しており、入射した光を透過させる。また、配光層30は、入射した光を配光する。つまり、配光層30は、配光層30を光が通過する際に、その光の進行方向を変更する。
配光層30は、第1凹凸構造層31と、第2凹凸構造層32と、屈折率可変層33とを有する。本実施の形態では、第1凹凸構造層31と屈折率可変層33との界面、及び、第2凹凸構造層32と屈折率可変層33との界面で光が反射されることにより、配光制御デバイス1を透過する光の進行方向が曲げられる。
[第1凹凸構造層]
第1凹凸構造層31は、屈折率可変層33の第1電極層40側の表面(界面)を凹凸にするために設けられた微細形状層である。第1凹凸構造層31は、図2に示されるように、複数の第1凸部34と、複数の第1凹部35とを有する。
具体的には、第1凹凸構造層31は、マイクロオーダーサイズの複数の第1凸部34によって構成された凹凸構造体である。複数の第1凸部34の間が、複数の第1凹部35である。すなわち、隣り合う2つの第1凸部34の間が、1つの第1凹部35である。図2に示される例では、複数の第1凸部34が個々に分離された例を示しているが、これに限らない。複数の第1凸部34は、根元(第1電極層40)側で互いに連結されていてもよい。また、例えば、複数の第1凸部34の根元には、複数の第1凸部34を支持する基台層が設けられていてもよい。当該基台層は、例えば、複数の第1凸部34の成型の際に残膜として残った部分である。
複数の第1凸部34は、第1基板10の主面(第1電極層40が設けられた面)に平行なz軸方向に並んで配置された複数の凸部である。すなわち、本実施の形態では、z軸方向は、複数の第1凸部34の並び方向である。
本実施の形態では、複数の第1凸部34は、その並び方向に交差する方向に延在する長尺の凸状である。図3Aは、本実施の形態に係る配光制御デバイス1の第1凹凸構造層31の正面図である。具体的には、図3Aは、第1凹凸構造層31を第2基板20側から見た場合、すなわち、複数の第1凸部34の先端側から見た場合の平面形状及び配置を模式的に示している。図3Aでは、複数の第1凸部34に模式的にドットの網掛けを付している。
図3Aに示されるように、複数の第1凸部34は、x軸方向に対して所定の傾斜角θaで傾斜した第1方向に延びたストライプ状に形成されている。なお、図3Aには、第1方向に平行な仮想的な直線34cを図示している。複数の第1凸部34は、仮想的な直線34cに沿って延びている。本実施の形態では、y軸の正側からxz面を見た場合に、複数の第1凸部34は、右肩下がりに傾斜している。つまり、第1凸部34は、x軸の負方向に進むにつれて、z軸方向の負側に変位するように設けられている。
複数の第1凸部34の各々は、直線34cに沿って直線状に延びている。例えば、複数の第1凸部34の各々は、第1電極層40に対して横倒しに配置された直線形状の四角柱である。なお、第1凸部34の各々は、蛇行形状の四角柱でもよく、直線34cに沿って蛇行しながら延びていてもよい。例えば、複数の第1凸部34は、蛇行形状の四角柱が所望の間隔で配置された波線のストライプ状に形成されていてもよい。また、直線形状の四角柱と蛇行形状の四角柱とが組み合わされて設けられていてもよい。
図2に示されるように、複数の第1凸部34の各々は、根元から先端にかけて先細る形状を有する。具体的には、複数の第1凸部34の各々の断面形状は、第1基板10から第2基板20に向かう方向に沿って先細りのテーパ形状である。本実施の形態では、第1凸部34のyz断面における断面形状は、配光制御デバイス1の厚み方向に沿って先細る台形であるが、これに限らない。第1凸部34の断面形状は、三角形でもよく、その他の多角形、又は、カーブを含む多角形などでもよい。複数の第1凸部34の形状は、互いに同じであるが、異なっていてもよい。
なお、台形又は三角形には、頂点が丸みを帯びた台形又は三角形も含まれる。また、台形又は三角形には、各辺が完全に直線ではない場合、例えば、各辺の長さの数%程度の変位で僅かに屈曲している場合、又は、微小な凹凸が含まれる場合も含まれる。
本実施の形態では、図2に示されるように、複数の第1凸部34の各々は、第1面34a及び第2面34bを有する。第1面34a及び第2面34bは、z軸方向に交差する面である。第1面34a及び第2面34bの各々は、y軸方向に対して所定の傾斜角で傾斜する傾斜面である。第1面34a及び第2面34bの間隔、すなわち、第1凸部34の幅は、第1基板10から第2基板20に向かって漸次小さくなっている。
第1面34aは、例えば、z軸が鉛直方向に一致するように配光制御デバイス1を配置した場合に、第1凸部34を構成する複数の側面のうち、鉛直上方側に面する側面である。第1面34aは、入射光を反射させる反射面である。ここでの反射は、全反射であり、第1面34aは、全反射面として機能する。
第2面34bは、例えば、z軸が鉛直方向に一致するように配光制御デバイス1を配置した場合に、第1凸部34を構成する複数の側面のうち、鉛直下方側に面する側面である。第2面34bは、入射光を屈折させる屈折面である。
本実施の形態では、第1面34a及び第2面34bは、配光層30に入射する光の少なくとも一部を屈折及び反射させる。これにより、配光層30を通過する光の少なくとも一部が上下に曲げられる。
本実施の形態では、複数の第1凸部34の各々は、底角αup及び底角αdownを有する。底角αup及び底角αdownはいずれも、yz断面における第1凸部34の底角である。なお、yz断面は、第1凸部34の延びる第1方向(図3Aの直線34c)と第2凸部36の延びる第2方向(後述する図3Bの直線36c)とがなす鋭角の二等分線に直交する断面である。
底角αupは、第1凸部34の第1底角の一例であり、配光制御デバイス1を鉛直方向に沿って立てて配置した場合における上側の底角である。具体的には、底角αupは、図2に示されるように、第1面34aと第1電極層40の面(具体的には、xz面)とがなす角度である。底角αupは、例えば、70°より大きく85°より小さい。
底角αdownは、第1凸部34の第2底角の一例であり、配光制御デバイス1を鉛直方向に沿って立てて配置した場合における下側の底角である。具体的には、底角αdownは、図2に示されるように、第2面34bと第1電極層40の面(具体的には、xz面)とがなす角度である。底角αdownは、例えば、65°以上90°未満である。
複数の第1凸部34の幅(z軸方向の長さ)は、例えば1μm〜20μmであり、好ましくは10μm以下であるが、これに限らない。また、隣り合う2つの第1凸部34の間隔は、例えば、0μm〜100μmであるが、これに限らない。
第1凹凸構造層31の材料としては、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂などの光透過性を有する樹脂材料を用いることができる。第1凹凸構造層31は、例えば、紫外線硬化樹脂材料から形成され、モールド成形又はナノインプリントなどによって形成することができる。第1凹凸構造層31は、例えば、緑色光に対する屈折率が1.5のアクリル樹脂を用いて断面が台形の凹凸構造を、モールド型押しにより形成することができる。
[第2凹凸構造層]
第2凹凸構造層32は、屈折率可変層33の第2電極層50側の表面(界面)を凹凸にするために設けられた微細形状層である。第2凹凸構造層32は、図2に示されるように、複数の第2凸部36と、複数の第2凹部37とを有する。
具体的には、第2凹凸構造層32は、マイクロオーダーサイズの複数の第2凸部36によって構成された凹凸構造体である。複数の第2凸部36の間が、複数の第2凹部37である。すなわち、隣り合う2つの第2凸部36の間が、1つの第2凹部37である。図2に示される例では、複数の第2凸部36が個々に分離された例を示しているが、これに限らない。複数の第2凸部36は、根元(第2電極層50)側で互いに連結されていてもよく、第2凹部37の底に平坦面が設けられていなくてもよい。また、例えば、複数の第2凸部36の根元には、複数の第2凸部36を支持する基台層が設けられていてもよい。当該基台層は、例えば、複数の第2凸部36の成型の際に残膜として残った部分である。
複数の第2凸部36は、第2基板20の主面(第2電極層50が設けられた面)に平行なz軸方向に並んで配置された複数の凸部である。すなわち、本実施の形態では、z軸方向は、複数の第2凸部36の並び方向である。
本実施の形態では、複数の第2凸部36は、その並び方向に交差する方向に延在する長尺の凸状である。図3Bは、本実施の形態に係る配光制御デバイス1の第2凹凸構造層32の背面図である。具体的には、図3Bは、第2凹凸構造層32を第2基板20側から見た場合、すなわち、複数の第2凸部36の根元側から見た場合の平面形状及び配置を模式的に示している。図3Bでは、複数の第2凸部36に模式的にドットの網掛けを付している。
図3Bに示されるように、複数の第2凸部36は、x軸方向に対して所定の傾斜角θbで傾斜した第2方向に延びたストライプ状に形成されている。なお、図3Bには、第2方向に平行な仮想的な直線36cを図示している。複数の第2凸部36は、仮想的な直線36cに沿って延びている。本実施の形態では、y軸の正側からxz面を見た場合に、複数の第2凸部36は、右肩上がりに傾斜している。つまり、第2凸部36は、x軸の負方向に進むにつれて、z軸方向の正側に変位するように設けられている。
複数の第2凸部36の各々は、直線36cに沿って直線状に延びている。例えば、複数の第2凸部36の各々は、第2電極層50に対して横倒しに配置された直線形状の四角柱である。なお、第2凸部36の各々は、蛇行形状の四角柱でもよく、直線36cに沿って蛇行しながら延びていてもよい。例えば、複数の第2凸部36は、蛇行形状の四角柱が所望の間隔では位置された波線のストライプ状に形成されていてもよい。また、直線形状の四角柱と蛇行形状の四角柱とが組み合わされて設けられていてもよい。
図2に示されるように、複数の第2凸部36の各々は、根元から先端にかけて先細る形状を有する。具体的には、複数の第2凸部36の各々の断面形状は、第2基板20から第1基板10に向かう方向に沿って先細りのテーパ形状である。本実施の形態では、第2凸部36のyz断面における断面形状は、配光制御デバイス1の厚み方向に沿って先細る台形であるが、これに限らない。第2凸部36の断面形状は、三角形でもよく、その他の多角形、又は、カーブを含む多角形などでもよい。複数の第2凸部36の形状は、互いに同じであるが、異なっていてもよい。
本実施の形態では、図2に示されるように、複数の第2凸部36の各々は、第3面36a及び第4面36bを有する。第3面36a及び第4面36bは、z軸方向に交差する面である。第3面36a及び第4面36bの各々は、y軸方向に対して所定の傾斜角で傾斜する傾斜面である。第3面36a及び第4面36bの間隔、すなわち、第2凸部36の幅は、第2基板20から第1基板10に向かって漸次小さくなっている。
第3面36aは、例えば、z軸が鉛直方向に一致するように配光制御デバイス1を配置した場合に、第2凸部36を構成する複数の側面のうち、鉛直上方側に面する側面である。第3面36aは、入射光を屈折させる屈折面である。
第4面36bは、例えば、z軸が鉛直方向に一致するように配光制御デバイス1を配置した場合に、第2凸部36を構成する複数の側面のうち、鉛直下方側に面する側面である。第4面36bは、入射光を反射させる反射面である。ここでの反射は、全反射であり、第4面36bは、全反射面として機能する。
本実施の形態では、第3面36a及び第4面36bは、配光層30に入射する光の少なくとも一部を屈折及び反射させる。これにより、配光層30を通過する光の少なくとも一部が上下に曲げられる。
本実施の形態では、複数の第2凸部36の各々は、底角βup及び底角βdownを有する。底角βup及び底角βdownはいずれも、yz断面における第2凸部36の底角である。
底角βupは、第2凸部36の第3底角の一例であり、配光制御デバイス1を鉛直方向に沿って立てて配置した場合における上側の底角である。具体的には、底角βupは、図2に示されるように、第3面36aと第2電極層50の面(具体的には、xz面)とがなす角度である。底角βupは、例えば、65°以上90°未満である。
底角βdownは、第2凸部36の第4底角の一例であり、配光制御デバイス1を鉛直方向に沿って立てて配置した場合における下側の底角である。具体的には、底角βdownは、図2に示されるように、第4面36bと第2電極層50の面(具体的には、xz面)とがなす角度である。底角βdownは、例えば、75°より小さい。
複数の第2凸部36の幅(z軸方向の長さ)は、例えば1μm〜20μmであり、好ましくは10μm以下であるが、これに限らない。また、隣り合う2つの第2凸部36の間隔は、例えば、0μm〜100μmであるが、これに限らない。
第2凹凸構造層32の材料としては、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂などの光透過性を有する樹脂材料を用いることができる。第2凹凸構造層32は、例えば、紫外線硬化樹脂材料から形成され、モールド成形又はナノインプリントなどによって形成することができる。第2凹凸構造層32は、例えば、緑色光に対する屈折率が1.5のアクリル樹脂を用いて断面が台形の凹凸構造を、モールド型押しにより形成することができる。
[第1凸部と第2凸部との交差角]
ここで、第1凹凸構造層31の第1凸部34と、第2凹凸構造層32の第2凸部36との交差角について、図4を用いて説明する。図4は、本実施の形態に係る配光制御デバイス1の第1凹凸構造層31及び第2凹凸構造層32を重ねて示す平面図である。
第1凸部34と第2凸部36との交差角θは、具体的には、第1凸部34が延びる第1方向と、第2凸部36が延びる第2方向とがなす角度θのことであり、第1凸部34が延びる第1方向と、第2凸部36が延びる第2方向とがなす鋭角(≦90°)である。つまり、図4に示されるように、交差角θは、第1方向に延びる直線34cと第2方向に延びる直線36cとがなす鋭角である。交差角θは、図3Aに示される傾斜角θaと図3Bに示される傾斜角θbとの和である。本実施の形態では、交差角θは、20°以上80°以下である。
傾斜角θa及び傾斜角θbは、交差角θが20°以上80°以下の範囲を満たすように定められている。傾斜角θaは、例えば、0°以上45°以下である。傾斜角θbは、例えば0°以上45°以下である。図3A及び図3Bに示される例では、傾斜角θaは、傾斜角θbに等しい。具体的には、複数の第1凸部34と複数の第2凸部36とは、z軸方向に平行な基準軸に対して線対称に配置されている。なお、傾斜角θaと傾斜角θbとは、互いに異なっていてもよい。傾斜角θa及びθbは、例えば、配光制御デバイス1の設置方向及び設置姿勢に基づいて適宜調整されてもよい。
[屈折率可変層]
屈折率可変層33は、複数の第1凸部34の間(すなわち、第1凹部35)及び複数の第2凸部36の間(すなわち、第2凹部37)を充填するように設けられている。具体的には、屈折率可変層33は、第1電極層40と第2電極層50との間に形成される隙間を埋めるように配置されている。
屈折率可変層33は、第1電極層40及び第2電極層50間に印加される電圧に応じて屈折率が変化する。具体的には、屈折率可変層33は、電極層間に電圧が与えられることによって可視光帯域での屈折率が調整可能な屈折率調整層として機能する。例えば、制御部及び電源(図示せず)によって、第1電極層40と第2電極層50との間には直流電圧が印加される。
図2に示されるように、屈折率可変層33は、絶縁性液体38と、絶縁性液体38に含まれるナノ粒子39とを有する。屈折率可変層33は、無数のナノ粒子39が絶縁性液体38に分散されたナノ粒子分散層である。絶縁性液体38は、第1電極層40と第2電極層50との間に充填されている。
本実施の形態では、屈折率可変層33は、単層構造である。つまり、絶縁性液体38及び複数のナノ粒子39は、他の基板などに遮られることなく、第1電極層40及び第2電極層50間を流動可能である。
絶縁性液体38は、絶縁性を有する透明な液体であり、分散質としてナノ粒子39が分散される分散媒となる溶媒である。絶縁性液体38としては、例えば、屈折率(溶媒屈折率)が約1.3〜約1.6の材料を用いることができる。本実施の形態では、屈折率が約1.4の絶縁性液体38を用いている。
なお、絶縁性液体38の動粘度は、100mm/s程度であるとよい。また、絶縁性液体38は、低誘電率(例えば、第1凹凸構造層31及び第2凹凸構造層32の誘電率以下)で、非引火性(例えば、引火点が250℃以上の高引火点)及び低揮発性を有してもよい。具体的には、絶縁性液体38は、脂肪族炭化水素、ナフサ、及びその他の石油系溶剤などの炭化水素、低分子量ハロゲン含有ポリマー、又は、これらの混合物などである。一例として、絶縁性液体38は、フッ化炭化水素などのハロゲン化炭化水素である。なお、絶縁性液体38としては、シリコーンオイルなどを用いることもできる。
ナノ粒子39は、絶縁性液体38に複数分散されている。ナノ粒子39は、粒径がナノオーダーサイズの微粒子である。具体的には、入射光の波長をλとすると、ナノ粒子39の粒径は、λ/4以下であるとよい。ナノ粒子39の粒径をλ/4以下にすることで、ナノ粒子39による光散乱を少なくして、ナノ粒子39と絶縁性液体38との平均的な屈折率を得ることができる。ナノ粒子39の粒径は、小さい程よく、好ましくは100nm以下、より好ましくは、数nm〜数十nmである。
ナノ粒子39は、例えば、高屈折率材料によって構成されている。具体的には、ナノ粒子39の屈折率は、絶縁性液体38の屈折率よりも高い。本実施の形態において、ナノ粒子39の屈折率は、第1凹凸構造層31及び第2凹凸構造層32の屈折率よりも高い。
ナノ粒子39としては、例えば、金属酸化物微粒子を用いることができる。また、ナノ粒子39は、透過率が高い材料で構成されていてもよい。本実施の形態では、ナノ粒子39として、酸化ジルコニウム(ZrO)によって構成された屈折率が2.1の透明なジルコニア粒子を用いている。なお、ナノ粒子39は、酸化ジルコニウムに限らず、酸化チタン(TiO:屈折率2.5)などによって構成されていてもよい。
また、ナノ粒子39は、帯電している荷電粒子である。例えば、ナノ粒子39の表面を修飾することで、ナノ粒子39を正(プラス)又は負(マイナス)に帯電させることができる。本実施の形態において、ナノ粒子39は、正(プラス)に帯電している。
このように構成された屈折率可変層33では、帯電したナノ粒子39が絶縁性液体38の全体に分散されている。本実施の形態では、一例として、ナノ粒子39として屈折率が2.1のジルコニア粒子を用いて、溶媒屈折率が約1.4の絶縁性液体38に分散させたものを屈折率可変層33としている。
また、屈折率可変層33の全体の屈折率(平均屈折率)は、ナノ粒子39が絶縁性液体38内に均一に分散された状態において、第1凹凸構造層31及び第2凹凸構造層32の屈折率と略同一に設定されており、本実施の形態では、約1.5である。なお、屈折率可変層33の全体の屈折率は、絶縁性液体38に分散するナノ粒子39の濃度(量)を調整することによって変えることができる。ナノ粒子39の量は、例えば、第1凹凸構造層31の第1凹部35に埋まる程度である。この場合、絶縁性液体38に対するナノ粒子39の濃度は、約10%〜約30%である。
絶縁性液体38中に分散するナノ粒子39は帯電しているので、第1電極層40及び第2電極層50間に電圧が印加された場合、ナノ粒子39は、ナノ粒子39が帯びた極性とは異なる極性の電極層に引き寄せられるように絶縁性液体38中を泳動し、絶縁性液体38内で偏在する。本実施の形態では、ナノ粒子39は、プラスに帯電しているので、第1電極層40及び第2電極層50のうち負極側の電極層に引き寄せられる。
これにより、屈折率可変層33内のナノ粒子39の粒子分布が変化して屈折率可変層33内にナノ粒子39の濃度分布を持たせることができるので、屈折率可変層33内の屈折率分布が変化する。つまり、屈折率可変層33の屈折率が部分的に変化する。このように、屈折率可変層33は、主に可視光帯域の光に対する屈折率を調整することができる屈折率調整層として機能する。
[第1電極層及び第2電極層]
図1及び図2に示されるように、第1電極層40及び第2電極層50は、電気的に対となっている。第1電極層40と第2電極層50とは、電気的だけではなく配置的にも対になっており、第1基板10と第2基板20との間に、互いに対向するように配置されている。具体的には、第1電極層40及び第2電極層50は、配光層30を挟むように配置されている。
第1電極層40及び第2電極層50は、透光性を有し、入射した光を透過する。第1電極層40及び第2電極層50は、例えば透明導電層である。透明導電層の材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)若しくはIZO(Indium Zinc Oxide)などの透明金属酸化物、銀ナノワイヤ若しくは導電性粒子などの導電体を含有する樹脂からなる導電体含有樹脂、又は、銀薄膜などの金属薄膜などを用いることができる。なお、第1電極層40及び第2電極層50は、これらの単層構造でよく、これらの積層構造(例えば透明金属酸化物と金属薄膜との積層構造)でもよい。本実施の形態では、第1電極層40及び第2電極層50はそれぞれ、厚さ100nmのITOである。
第1電極層40は、第1基板10と第1凹凸構造層31との間に配置されている。具体的には、第1電極層40は、第1基板10の配光層30側の面に形成されている。
一方、第2電極層50は、第2凹凸構造層32と第2基板20との間に配置されている。具体的には、第2電極層50は、第2基板20の配光層30側の面に形成されている。
なお、第1電極層40及び第2電極層50は、例えば、外部電源との電気接続が可能となるように構成されている。例えば、外部電源に接続するための電極パッドなどが、第1電極層40及び第2電極層50の各々から封止部材の外側に引き出されて第1基板10及び第2基板20に形成されていてもよい。
第1電極層40及び第2電極層50はそれぞれ、例えば、蒸着、スパッタリングなどにより、ITOなどの導電膜を成膜することで形成される。
[配光制御デバイスの動作及び光学状態]
続いて、配光制御デバイス1の動作及び光学状態について説明する。
<無印加モード(透明状態)>
図5は、本実施の形態に係る配光制御デバイス1の無印加モード(透明状態)を説明するための断面図である。また、図5には、配光制御デバイス1に対して斜めに入射する光Lの経路を矢印で示している。光Lは、配光制御デバイス1が窓に利用された場合に、屋外から屋内に斜め下方に向けて入射する太陽光に相当する。
本実施の形態では、無印加モードは、複数のナノ粒子39が絶縁性液体38内で分散配置された第1動作モードの一例である。図5において、第1電極層40及び第2電極層50間には電圧が印加されていない。このとき、第1電極層40と第2電極層50とは、互いに等電位となっている。つまり、第1電極層40と第2電極層50との間の電位差は、0である。この場合、ナノ粒子39は、いずれの電極層にも引き寄せられないので、絶縁性液体38の全体に亘って分散された状態となる。
本実施の形態では、ナノ粒子39が絶縁性液体38の全体に分散された状態の屈折率可変層33の屈折率は、上述したように約1.5である。また、第1凹凸構造層31の第1凸部34の屈折率、及び、第2凹凸構造層32の第2凸部36の屈折率は、約1.5である。つまり、複数の第1凸部34と複数の第2凸部36と屈折率可変層33とは、屈折率が同等になる。したがって、配光層30の全体で屈折率が均一になる。
このため、図5に示されるように、斜め上方から斜め下方に向けて光Lが入射した場合、屈折率可変層33と第1凹凸構造層31及び第2凹凸構造層32の各々との界面には屈折率差がないので、光Lが真っ直ぐに進行する。つまり、yz断面において、光Lの入射角と出射角とは、実質的に同じになる。
このように、配光制御デバイス1は、入射した光を実質的にそのまま(進行方向を変えることなく)透過させる透明状態になる。配光制御デバイス1が透明状態であるので、屋内に居る人が配光制御デバイス1を介して屋外を見た場合、屋外の景色をクリアに見ることができる。
なお、光Lは、実際には、第1基板10に入射するとき、第2基板20から出射するとき、第1基板10と第1電極層40との界面を通過するとき、及び、第2電極層50と第2基板20との界面を通過するとき、などの通過する媒体が変化するときに屈折するが、図5には図示していない。後述する図6においても同様である。
<電圧印加モード(配光状態)>
図6は、本実施の形態に係る配光制御デバイス1の電圧印加モード(配光状態)を説明するための拡大断面図である。図7は、本実施の形態に係る配光制御デバイス1が南向きの窓に設置された場合に、東西方向からの光の配光を説明するための模式図である。なお、図7では、位置関係が分かりやすくなるように、第1凹凸構造層31及び第2凹凸構造層32のみを僅かにずらして示している。
図7に示されるように、ここでは、配光制御デバイス1の第1基板10が真南を正面に向けて、かつ、鉛直方向に平行になるように立てた状態で配光制御デバイス1が設置された場合を示している。光L1は、東寄りに位置する太陽S1からの太陽光である。光L2は、西寄りに位置する太陽S2からの太陽光である。また、図6には、図7に示される光L1及び光L2の経路をyz断面に投影して示している。
本実施の形態では、配光モードは、第1電極層40及び第2電極層50間に電位差が与えられることで、複数のナノ粒子39が第1電極層40側に偏在した第2動作モードの一例である。第1電極層40及び第2電極層50間に所定の電圧が印加されている。例えば、第1電極層40と第2電極層50とには、数十V程度の電位差の電圧が印加されている。これにより、屈折率可変層33では、帯電したナノ粒子39が、ナノ粒子39が帯びた極性とは異なる極性の電極層に引き寄せられるように絶縁性液体38内を泳動する。つまり、ナノ粒子39は、絶縁性液体38内を電気泳動する。
図6に示される例では、第1電極層40は、第2電極層50よりも低電位になっている。このため、プラスに帯電したナノ粒子39は、低電位側の第1電極層40に向かって泳動し、第1凹凸構造層31の第1凹部35に入り込んで集積していく。
このように、ナノ粒子39が屈折率可変層33内の第1凹凸構造層31側、すなわち、第1電極層40側に偏在することで、ナノ粒子39の粒子分布が変化し、屈折率可変層33内の屈折率分布が一様ではなくなる。具体的には、図6に示されるように、屈折率可変層33内でナノ粒子39の濃度分布が形成される。
例えば、第1凹凸構造層31側の領域(具体的には、第1凹部35内の領域)では、ナノ粒子39の濃度が高くなり、第2電極層50側の領域では、ナノ粒子39の濃度が低くなる。したがって、屈折率可変層33内では、第1電極層40側の領域と第2電極層50側の領域とには、屈折率差が生じる。
本実施の形態では、ナノ粒子39の屈折率が絶縁性液体38の屈折率よりも高い。このため、ナノ粒子39の濃度が高い第1電極層40側の領域の屈折率は、ナノ粒子39の濃度が低い、すなわち、絶縁性液体38の割合が多い第2電極層50側の領域の屈折率よりも高くなる。例えば、第1電極層40側の領域の屈折率は、ナノ粒子39の濃度に応じて約1.5より大きい値〜約1.8になる。第2電極層50側の領域の屈折率は、ナノ粒子39の濃度に応じて約1.4〜約1.5より小さい値になる。一例として、図6に示されるように、第1電極層40側では屈折率が1.8になり、第2電極層50側では屈折率が1.5になる。
複数の第1凸部34の屈折率が約1.5であるので、第1電極層40と第2電極層50との間に電位差が与えられている場合、第1凸部34と屈折率可変層33の第1電極層40側の領域との間には、約0.3の屈折率差が生じる。また、複数の第2凸部36の屈折率も約1.5であるので、第1電極層40と第2電極層50との間に電位差が与えられている場合、第2凸部36と屈折率可変層33の第2電極層50側の領域との間には、約0.1の屈折率差が生じる。このため、図6に示されるように、斜め方向から光L1及びL2が入射した場合、入射した光L1及びL2は、屈折率差に応じて屈折及び全反射される。
例えば、光L1は、第1凸部34の第2面34bで屈折された後、第2凸部36の第3面36aでさらに屈折され、第2凸部36内を透過して、第4面36bで全反射される。全反射された光L1は、第2凸部36内を透過し、第2基板20から出射される。
図7に示されるように、光L1を全反射する第4面36bは、水平方向(x軸方向)に対して傾斜している。具体的には、第4面36bは、東寄りに位置する太陽S1に対して向かい合うように傾斜している。
図8は、本実施の形態に係る配光制御デバイス1の東西(水平)方向への配光を説明するための模式図である。図8は、z軸の正側から、すなわち、鉛直上側から配光制御デバイス1を見たときの光L1及びL2の経路を矢印で示している。なお、配光制御デバイス1は、x軸方向に延びる直線で模式的に表している。
図8に示されるように、太陽S1からの光L1は、角度φ1inで入射し、角度φ1outで出射される。角度φ1in及び角度φ1outはそれぞれ、水平方向(左右方向)における光L1の入射角及び出射角である。本実施の形態では、全反射面として機能する第2凸部36の第4面36bが水平方向に対して傾斜していることで、φ1outがφ1inよりも小さくなる。このため、光L1は、第2基板20の正面方向に近い方向に向けて全反射される。なお、図8に示される破線が、第1基板10及び第2基板20の正面方向に相当する。
光L1は、第2基板20の正面に近い方向、すなわち、屋内の中心方向に向けて出射されるので、屋内をより明るくすることができる。つまり、斜め入射光に対する採光効率を高めることができる。
また、図6に示されるように、光L2は、第1凸部34の第2面34bで屈折された後、第1面34aで全反射される。全反射された光L2は、屈折率可変層33内を透過し、第2基板20から出射される。なお、図6に示されるように、光L2は、第2凸部36の第4面36bでさらに屈折されてもよい。
図7に示されるように、光L2を全反射する第1面34aは、水平方向(x軸方向)に対して傾斜している。具体的には、第1面34aは、西寄りに位置する太陽S2に対して向かい合うように傾斜している。
図8に示されるように、太陽S2からの光L2は、角度φ2inで入射し、角度φ2outで出射される。角度φ2in及び角度φ2outはそれぞれ、水平方向(左右方向)における光L2の入射角及び出射角である。本実施の形態では、全反射面として機能する第1凸部34の第1面34aが水平方向に対して傾斜していることで、φ2outがφ2inよりも小さくなる。このため、光L2は、第2基板20の正面方向に近い方向に向けて全反射される。
また、図6に示されるように、垂直断面においては、光L1及びL2のいずれも入射角と出射角とが異なる。例えば、斜め上方から斜め下方に向けて入射した光L1及びL2はいずれも、斜め上方に向けて配光制御デバイス1から出射される。
このように、第1電極層40と第2電極層50との間に電位差が与えられた場合に、複数の第1凸部34の各々と屈折率可変層33との界面、及び、複数の第2凸部36の各々と屈折率可変層33との界面に屈折率差が発生し、配光層30に入射する光の進行方向が曲げられる。つまり、配光制御デバイス1は、入射した光を、その進行方向を曲げて透過させる配光状態になる。
また、与える電位差の大きさによってナノ粒子39の凝集の程度を変化させることができる。ナノ粒子39の凝集の程度によって屈折率可変層33の屈折率が変化する。このため、第1凸部34の第1面34a及び第2面34b(界面)における屈折率の差、並びに、第2凸部36の第3面36a及び第4面36bにける屈折率の差を変化させることで、配光方向を変化させることも可能である。
[配光制御デバイスの配光率]
次に、配光制御デバイス1の配光率について説明する。
本実施の形態において、配光率は、全ての入射光の強度に対する配光の強度の割合を示している。具体的には、配光とは、配光制御デバイス1から出射される光のうち、上下方向における出射角θoutが3.6°以上80°以下の範囲であり、かつ、水平方向における出射角φoutが−20°以上20°以下の範囲に入る光である。
配光の上下方向における出射角θoutの範囲は、床面からの高さが1.5m以上2.7m以下の範囲内に配光制御デバイス1が設けられている場合を想定して定められている。具体的には、配光の範囲の下限値である3.6°は、配光制御デバイス1から1.6m離れた地点に立つ人であって、視線の高さが1.6mである人の目に、配光制御デバイス1の下端(すなわち、床面からの高さが1.5mの位置)で配光された光が入射するときと入射しないときとの境界に相当する値である。具体的には、下限値は、tan−1{(1.6−1.5)/1.6}で求められる。
また、配光の水平方向における出射角φoutは、第2基板20の正面方向(すなわち、法線方向)を0°として、正面に対して左側(又は右側)を負の値、右側(又は左側)を正の値で表している。−20°以上20°以下の範囲は、例えば室内の正面方向とみなせる範囲として定められた値である。
本願発明者らは、配光制御デバイス1の配光率を高めるための、凹凸構造の交差角θ及び凸部の底角の適切な範囲を定めるためにシミュレーションを行った。以下では、シミュレーション結果について説明する。
なお、以下のシミュレーションでは、第1凸部34の傾斜角θa及び第2凸部36の傾斜角θb、第1凸部34の底角αup及びαdown、第2凸部36の底角βup及びβdown、並びに、光の水平方向に対する入射角φinの各々に対して、所定の範囲内で複数の候補値を用意し、各値を変化させながら配光率を算出した。具体的には、第1凸部34の傾斜角θaと第2凸部36の傾斜角θbとは等しいとみなした上で、傾斜角θa及びθbの候補値は、10°、20°、30°、40°、50°である。底角αup、αdown、βup及びβdownの各々の候補値はそれぞれ、85°、80°、75°、70°である。光の入射角φinの候補値は、−60°、−40°、−20°、0°、20°、40°、60°である。
なお、光の上下方向に対する入射角θinは、40°で定数とした。また、第1凸部34及び第2凸部36の各々の高さは30μmで定数とした。第1凸部34の先端部の幅、第2凸部36の先端部の幅、隣り合う第1凸部34の根元間の隙間、及び、隣り合う第2凸部36の根元間の隙間は、2μmで定数とした。また、第1凸部34及び第2凸部36の各々の屈折率は1.6、屈折率可変層33の第1凸部34側の領域の屈折率は1.8、屈折率可変層33の第2凸部36側の領域の屈折率は1.5で、それぞれ定数とした。
[配光率と交差角]
まず、配光制御デバイス1の配光率と交差角θとの関係について、図9を用いて説明する。なお、交差角θは、上述したように、傾斜角θaと傾斜角θbとの和である。
図9は、本実施の形態に係る配光制御デバイス1の凹凸構造層の傾斜角と配光率との関係を示す図である。図9において、横軸は傾斜角θa(=θb)[°]を表し、縦軸は配光率[%]を表している。図9に示される配光率は、傾斜角θa(=θb)の候補値毎に、傾斜角θa(=θb)以外の各パラメータを変化させたときの平均値を表している。
図9には、第1凹凸構造層31と第2凹凸構造層32との両方の傾斜角が0°の場合を比較例(“傾斜なし”)として示している。つまり、比較例では、傾斜角θaと傾斜角θbとが等しく、交差角θが0°である。比較例において、配光率は、約12%であった。
図9に示されるように、傾斜角θa(=θb)が10°の場合、配光率が約12%となり、比較例と同等である。一方で、傾斜角θa(=θb)が20°、30°、40°の場合には、配光率が12%より高くなっている。例えば、傾斜角θaが30°の場合に、配光率は最大値として14%になる。傾斜角θaが50°の場合には、配光率が10%になり、比較例よりも低くなった。
以上のことから、傾斜角θaが10°より大きく40°以下の範囲において、配光制御デバイス1の配光率が、傾斜各θaが0°の場合よりも高くなることが分かる。したがって、交差角θが20°より大きく80°以下である場合、配光制御デバイス1の配光率が高くなり、効率良く光を採り入れることができる。
[配光率と水平方向における入射角]
次に、配光制御デバイス1の配光率と水平方向における光の入射角φinとの関係について、図10を用いて説明する。
図10は、本実施の形態に係る配光制御デバイス1の水平方向における光の入射角と配光率との関係を示す図である。図10において、横軸は水平方向の光の入射角φin[°]を表し、縦軸は配光率[%]を表している。図10に示される配光率は、入射角φinの候補値毎に、入射角φin並びに傾斜角θa及びθb以外の各パラメータを変化させたときの平均値を表している。
なお、図10において、“傾斜なし”は、傾斜角θa及びθbが0°である場合を表している。“傾斜あり”は、傾斜角θa及びθbがいずれも30°である場合を表している。このことは、後述する図11及び図12においても同様である。
図10に示されるように、比較例では、入射角φinが0°、すなわち、第1基板10の正面から光が入射する場合には、配光率が約38%となり、高い配光率が得られていることが分かる。しかしながら、入射角φinの絶対値が40°以上の場合には、配光率が2%以下しかなく、極端に低くなっていることが分かる。
これに対して、傾斜がある場合、入射角φinの絶対値が40°以上の場合においても、配光率が約10%又は10%より高い値になり、高い配光率が得られていることが分かる。つまり、太陽の位置によらず、光が左右斜め方向から入射する場合であっても高い配光率を維持することができ、効率良く光を屋内に採り入れることができる。
[配光率と第1凸部の底角]
次に、配光制御デバイス1の配光率と第1凸部34の底角αupとの関係について、図11を用いて説明する。
図11は、本実施の形態に係る配光制御デバイス1の第1凸部34の上側の底角αupと配光率との関係を示す図である。図11において、横軸は90°−αup[°]を表し、縦軸は配光率[%]を表している。図11に示される配光率は、底角αupの候補値毎に、底角αup並びに傾斜角θa及びθb以外の各パラメータを変化させたときの平均値を表している。なお、横軸は、水平面に対する第1面34aの傾斜角度に相当している。
図11に示されるように、90°−αupが5°及び20°(すなわち、αupが85°及び70°)の場合、配光率が12%よりも低くなっている。一方で、90°−αupが10°及び15°(すなわち、αupが80°及び75°)の場合、配光率はそれぞれ、16%及び15%となり、比較例(“傾斜なし”)よりも高くなっている。
以上のように、第1凸部34の底角αupは、70°より大きく85°より小さい場合に、配光制御デバイス1の配光率を高めることができる。
[配光率と第2凸部の底角]
次に、配光制御デバイス1の配光率と第2凸部36の底角βdownとの関係について、図12を用いて説明する。
図12は、本実施の形態に係る配光制御デバイス1の第2凸部36の下側の底角βdownと配光率との関係を示す図である。図12において、横軸は90°−βdown[°]を表し、縦軸は配光率[%]を表している。図12に示される配光率は、底角βdownの候補値毎に、底角βdown並びに傾斜角θa及びθb以外の各パラメータを変化させたときの平均値を表している。なお。横軸は、水平面に対する第4面36bの傾斜角度に相当している。
図12に示されるように、90°−βdownが5°及び10°(すなわち、βdownが85°及び80°)の場合、配光率が12%よりも低くなっている。一方で、90°−βdownが15°及び20°(すなわち、βdownが75°及び70°)の場合、配光率は12%より高くなっている。
以上のように、第2凸部36の底角βdownは、75°以下である場合に、配光制御デバイス1の配光率を高めることができる。
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る配光制御デバイス1は、光透過性を有する第1基板10と、第1基板10に設けられた、光透過性を有する第1電極層40と、第1電極層40上に設けられた、第1方向に延在する複数の第1凸部34を有する第1凹凸構造層31と、第1基板10に対向して設けられた、光透過性を有する第2基板20と、第2基板20に設けられた、第1電極層40に対向する第2電極層50と、第2電極層50上に設けられた、第2方向に延在する複数の第2凸部36を有する第2凹凸構造層32と、第1電極層40と第2電極層50との間において複数の第1凸部34間及び複数の第2凸部36間の各々を充填するように設けられた屈折率可変層33とを備える。第1基板10を平面視した場合、第1方向と第2方向とがなす角度は、20°以上80°以下である。
これにより、窓に利用された場合に、太陽の位置によらずに効率良く光を屋内に採り入れることができる。
また、例えば、屈折率可変層33は、単層構造であり、第1電極層40及び第2電極層50間に印加される電圧に応じて屈折率が変化する。
これにより、屈折率可変層33が単層構造であるので、配光制御デバイス1の薄型化が実現される。また、第1電極層40と第2電極層50との間に印加する電圧を調整するだけでよく、配光制御デバイス1の光学状態を容易に制御することができる。
また、例えば、屈折率可変層33は、絶縁性液体38と、絶縁性液体38とは屈折率が異なり、絶縁性液体38内に分散された帯電する複数のナノ粒子39とを有する。複数の第1凸部34の各々は、底角αupと底角αdownとを有する。複数の第2凸部36の各々は、底角βupと底角βdownとを有する。複数の第2凸部36の並び方向において、底角βupは底角αupと同じ側に位置し、底角βdownは底角αdownと同じ側に位置する。底角αupは、70°より大きく85°より小さい。底角βdownは、75°より小さい。
これにより、絶縁性液体38に分散された帯電するナノ粒子39の凝集の程度に応じて、配光状態において配光される光の方向が変化する。ナノ粒子39の凝集の程度は、第1電極層40及び第2電極層50の間に印加される電圧に応じて容易に変更することができる。したがって、透明状態及び配光状態を容易に変更することができる。また、配光状態においては、P偏光及びS偏光のいずれの光にも屈折率差の影響を与えることができるので、配光性及び透明性を高めることができる。
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2について説明する。
実施の形態2に係る配光制御デバイスは、実施の形態1に係る配光制御デバイス1と比較して、屈折率可変層33を構成する材料が相違する。以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通点の説明を適宜省略又は簡略化する。
[構成]
まず、本実施の形態に係る配光制御デバイスの構造について、図13を用いて説明する。図13は、本実施の形態に係る配光制御デバイス101の拡大断面図である。
図13に示されるように、配光制御デバイス101は、実施の形態1に係る配光制御デバイス1と比較して、配光層30の代わりに配光層130を備える。配光層130は、第1凹凸構造層31と、第2凹凸構造層32と、屈折率可変層133とを有する。なお、第1凹凸構造層31及び第2凹凸構造層32は、実施の形態1と同じである。
屈折率可変層133は、第1凹凸構造層31の複数の第1凸部34の間(すなわち、第1凹部35)及び複数の第2凸部36の間を充填するように配置されている。具体的には、屈折率可変層133は、第1電極層40と第2電極層50との間に形成される隙間を充填するように配置されている。
屈折率可変層133は、第1電極層40及び第2電極層50の間に印加される電圧に応じて屈折率が変化する。具体的には、屈折率可変層133は、電界が与えられることによって可視光帯域での屈折率が調整可能な屈折率調整層として機能する。例えば、屈折率可変層133は、電界応答性を有する液晶分子139を有する液晶によって構成されているので、電界が与えられることで液晶分子139の配向状態が変化して屈折率可変層133の屈折率が変化する。
屈折率可変層133の複屈折材料は、例えば、複屈折性を有する液晶分子139を含む液晶である。このような液晶としては、例えば、液晶分子139が棒状分子からなるネマティック液晶、スメクティック液晶又はコレステリック液晶などを用いることができる。例えば、第1凸部34の屈折率が1.5である場合、屈折率可変層133の材料としては、常光屈折率(no)が1.5で、異常光屈折率(ne)が1.7のポジ型の液晶を用いることができる。
液晶分子139は、屈折率可変層133に電界が与えられていない場合、図13に示されるように、x軸方向に長軸が一致するように配向されている。第1電極層40及び第2電極層50間に電圧が印加された場合に、液晶分子139は、配光制御デバイス101の厚み方向(すなわち、y軸方向)に長軸が一致するように配向される(後述する図15を参照)。
なお、屈折率可変層133には、交流電力によって電界が与えられてもよく、直流電力によって電界が与えられてもよい。交流電力の場合には、電圧波形は、正弦波でもよく、矩形波でもよい。
屈折率可変層133は、例えば、第1電極層40及び第1凹凸構造層31が形成された第1基板10と、第2電極層50及び第2凹凸構造層32が形成された第2基板20との各々の端部外周をシール樹脂で封止した状態で、液晶材料を真空注入法で注入することで形成される。あるいは、屈折率可変層133は、第1基板10の第1電極層40及び第1凹凸構造層31上に液晶材料を滴下した後に第2基板20を貼り合わせることで形成されてもよい。
[配光制御デバイスの動作及び光学状態]
続いて、配光制御デバイス101の動作及び光学状態について説明する。
配光制御デバイス101では、配光層130に与えられる電界に応じて、屈折率可変層133に含まれる液晶分子139の配向が変化する。なお、液晶分子139は、複屈折性を有する棒状の液晶分子であるので、入射する光の偏光状態に応じて、当該光が受ける屈折率が異なる。ここでは、例えば、第1凸部34及び第2凸部36の各々の屈折率が1.5であり、液晶分子139としては、常光屈折率(no)が1.5で、異常光屈折率(ne)が1.7のポジ型の液晶分子である場合を例に挙げて説明する。
配光制御デバイス101に入射する太陽光などの光は、P偏光(P偏光成分)とS偏光(S偏光成分)とを含んでいる。P偏光は、電圧を印加した場合と印加しない場合とのいずれにおいても、その振動方向が液晶分子139の短軸に対して略平行になる。このため、P偏光についての液晶分子139の屈折率は、電圧の印加状態に依存せず、常光屈折率(no)であって、具体的には1.5である。このため、P偏光についての屈折率は、動作モードに依存せず、配光層130内で略一定になるので、P偏光は、配光層130をそのまま直進する。
一方で、S偏光についての液晶分子139の屈折率は、電圧の印加状態(すなわち、動作モード)に応じて変化する。以下では、図14及び図15を用いて、入射光に含まれるS偏光が受ける光学作用について説明する。
<無印加モード(配光状態)>
図14は、本実施の形態に係る配光制御デバイス101の無印加モード(配光状態)を説明するための断面図である。図14には、図7に示される光L1及び光L2の経路をyz断面に投影して示している。なお、水平方向(東西方向)に対しては、光L1及びL2は、実施の形態1と同様に、図8に示されるように、第2基板20の正面に近い方向に出射される。
図14において、第1電極層40及び第2電極層50間には電圧が印加されていない。具体的には、第1電極層40と第2電極層50とは、互いに等電位となっている。このため、配光層130には電界が与えられない。この場合、光L(S偏光)が受ける屈折率は、第1凸部34及び第2凸部36の各々が1.5であるのに対して、屈折率可変層133が1.7になる。
つまり、第1凸部34及び第2凸部36の各々と屈折率可変層133との間には、約0.2の屈折率差が生じる。このため、図14に示されるように、斜め方向から光L1及びL2が入射した場合、入射した光L1及びL2は、屈折率差に応じて屈折及び全反射される。
例えば、光L1は、第1凸部34の第2面34bで屈折された後、第2凸部36の第3面36aで全反射される。全反射された光L1は、第2凸部36の第4面36bでさらに屈折されて、第2基板20から出射される。本実施の形態では、第2凸部36の第3面36aが全反射面として機能する。
また、例えば、光L2は、第1凸部34の第2面34bで屈折された後、第1凸部34の第1面34aで全反射される。全反射された光L2は、屈折率可変層133内を透過し、第2基板20から出射される。
このように、第1電極層40と第2電極層50との間に電位差が等しい場合に、複数の第1凸部34の各々と屈折率可変層133との界面、及び、複数の第2凸部36の各々と屈折率可変層133との界面に屈折率差が発生し、配光層30に入射する光の進行方向が曲げられる。つまり、配光制御デバイス101は、入射した光を、その進行方向を曲げて透過させる配光状態になる。具体的には、斜め上方から斜め下方に向けて入射した光L1及びL2はいずれも、斜め上方に向けて配光制御デバイス101から出射される。
<電圧印加モード(透明状態)>
図15は、本実施の形態に係る配光制御デバイス101の電圧印加モード(透明状態)を説明するための断面図である。図15には、配光制御デバイス101に対して斜めに入射する光Lの経路を矢印で示している。光Lは、配光制御デバイス101が窓に利用された場合に、屋外から屋内に斜め下方に向けて入射する太陽光に相当する。
図15において、第1電極層40及び第2電極層50間には所定の電圧が印加されている。例えば、第1電極層40及び第2電極層50間において面内で均一な電圧を印加することで、配光層130には均一な電界が与えられる。これにより、液晶分子139の長軸がy軸方向に沿って配向される。この場合、光L(S偏光)が受ける屈折率は、第1凸部34、第2凸部36及び屈折率可変層133のいずれも1.5となる。
このため、図15に示されるように、斜め上方から斜め下方に向けて光Lが入射した場合、屈折率可変層133と第1凹凸構造層31との界面、及び、屈折率可変層133と第2凹凸構造層32との界面の各々には屈折率差がないので、光が真っ直ぐに進行する。つまり、垂直断面において、光Lの入射角と出射角とは、実質的に同じになる。
このように、配光制御デバイス101は、入射した光を実質的に直進させる透明状態、すなわち、そのまま(進行方向を変えることなく)透過させる透明状態になる。
[配光制御デバイスの配光率]
次に、配光制御デバイス101の配光率について説明する。
本願発明者らは、実施の形態1と同様に、配光制御デバイス101の配光率を高めるための、凹凸構造の交差角及び凸部の底角の適切な範囲を定めるためにシミュレーションを行った。以下では、シミュレーション結果について説明する。なお、具体的なシミュレーションの条件は、実施の形態1と同様である。
[配光率と交差角]
まず、配光制御デバイス101の配光率と交差角θとの関係について、図16を用いて説明する。なお、交差角θは、上述したように、傾斜角θaと傾斜角θbとの和である。
図16は、本実施の形態に係る配光制御デバイス101の凹凸構造層の傾斜角と配光率との関係を示す図である。図16において、横軸は傾斜角θa(=θb)[°]を表し、縦軸は配光率[%]を表している。図16に示される配光率は、傾斜角θa(=θb)の候補値毎に、傾斜角θa(=θb)以外の各パラメータを変化させたときの平均値を表している。
図16には、第1凹凸構造層31と第2凹凸構造層32との両方の傾斜角が0°の場合を比較例(“傾斜なし”)として示している。つまり、比較例では、傾斜角θaと傾斜角θbとが等しく、交差角θが0°である。比較例において、配光率は、約4.1%であった。
図16に示されるように、傾斜角θa(=θb)が10°の場合、配光率が約4.2%となり、比較例に比べて高くなっている。一方で、傾斜角θa(=θb)が20°、30°、40°の場合には、配光率が4.5%よりも高くなっている。例えば、傾斜角θaが30°の場合に、配光率は最大値として4.7%になる。傾斜角θaが50°の場合には、配光率が3.1%になり、比較例よりも低くなった。
以上のことから、傾斜角θaが10°以上40°以下の範囲において、配光制御デバイス101の配光率が、傾斜各θaが0°の場合よりも高くなることが分かる。したがって、交差角θが20°以上80°以下である場合、配光制御デバイス101の配光率が高くなり、効率良く光を採り入れることができる。
[配光率と水平方向における入射角]
次に、配光制御デバイス101の配光率と水平方向における光の入射角φinとの関係について、図17を用いて説明する。
図17は、本実施の形態に係る配光制御デバイス101の水平方向における光の入射角と配光率との関係を示す図である。図17において、横軸は水平方向の光の入射角φin[°]を表し、縦軸は配光率[%]を表している。図17に示される配光率は、入射角φinの候補値毎に、入射角φin並びに傾斜角θa及びθb以外の各パラメータを変化させたときの平均値を表している。
なお、図17において、“傾斜なし”は、傾斜角θa及びθbが0°である場合を表している。“傾斜あり”は、傾斜角θa及びθbがいずれも30°である場合を表している。このことは、後述する図18及び図19においても同様である。
図17に示されるように、比較例では、入射角φinが0°、すなわち、第1基板10の正面から光が入射する場合には、配光率が約13%となり、高い配光率が得られていることが分かる。しかしながら、入射角φinの絶対値が40°以上の場合には、配光率が1%より低く、極端に低くなっていることが分かる。
これに対して、傾斜がある場合、入射角φinが40°以上の場合においても、配光率が約5%より大きい値になり、高い配光率が得られていることが分かる。また、入射角φinが−40°の場合でも比較例に比べて高い配光率が得られている。つまり、太陽の位置によらず、光が左右斜め方向から入射する場合であっても高い配光率を維持することができ、効率良く光を屋内に採り入れることができる。
[配光率と第1凸部の底角]
次に、配光制御デバイス101の配光率と第1凸部34の底角αupとの関係について、図18を用いて説明する。
図18は、本実施の形態に係る配光制御デバイス101の第1凸部34の上側の底角αupと配光率との関係を示す図である。図18において、横軸は90°−αup[°]を表し、縦軸は配光率[%]を表している。図18に示される配光率は、底角αupの候補値毎に、底角αup並びに傾斜角θa及びθb以外の各パラメータを変化させたときの平均値を表している。なお、横軸は、水平面に対する第1面34aの傾斜角度に相当している。
図18に示されるように、90°−αupが5°及び20°(すなわち、αupが85°及び70°)の場合、配光率が4.1%よりも低くなっている。一方で、90°−αupが10°及び15°(すなわち、αupが80°及び75°)の場合、配光率はそれぞれ、5%を超えており、比較例(“傾斜なし”)よりも高くなっている。
以上のように、第1凸部34の底角αupは、70°より大きく85°より小さい場合に、配光制御デバイス101の配光率を高めることができる。
[配光率と第2凸部の底角]
次に、配光制御デバイス101の配光率と第2凸部36の底角βdownとの関係について、図19を用いて説明する。
図19は、本実施の形態に係る配光制御デバイス101の第2凸部36の下側の底角βdownと配光率との関係を示す図である。図19において、横軸は90°−βdown[°]を表し、縦軸は配光率[%]を表している。図19に示される配光率は、底角βdownの候補値毎に、底角βdown並びに傾斜角θa及びθb以外の各パラメータを変化させたときの平均値を表している。なお。横軸は、水平面に対する第4面36bの傾斜角度に相当している。
図19に示されるように、90°−βdownが15°及び20°(すなわち、βdownが75°及び70°)の場合、配光率が4.1%よりも低くなっている。一方で、90°−βdownが5°及び10°(すなわち、βdownが85°及び80°)の場合、配光率は4.1%より高くなっている。
以上のように、第2凸部36の底角βdownは、75°以上である場合に、配光制御デバイス101の配光率を高めることができる。
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る配光制御デバイス101は、例えば、屈折率可変層133は、複屈折性を有する複数の液晶分子を含む液晶層である。複数の第1凸部34の各々は、底角αupと底角αdownとを有する。複数の第2凸部36の各々は、底角βupと底角βdownとを有する。複数の第2凸部36の並び方向において、底角βupは底角αupと同じ側に位置し、底角βdownは底角αdownと同じ側に位置する。底角αupは、70°より大きく85°より小さい。底角βdownは、75°より大きい。
これにより、実施の形態1の場合と同様に、配光制御デバイス101は、窓に利用された場合に、太陽の位置によらずに効率良く光を屋内に採り入れることができる。また、本実施の形態では、太陽光に含まれるP偏光成分には屈折率差の影響が与えられない。このため、配光制御デバイス101が配光状態である場合であっても、P偏光成分はそのまま配光制御デバイス101を透過する。したがって、例えば、屋内に居る人は、配光制御デバイス101を介して外側(例えば、窓の外の景色)を見ることができる。
(実施の形態3)
続いて、実施の形態3について説明する。
実施の形態3に係る配光制御デバイスは、実施の形態1に係る配光制御デバイス1と比較して、屈折率可変層33が二層に分離されている点が相違する。以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通点の説明を適宜省略又は簡略化する。
図20は、本実施の形態に係る配光制御デバイス201の断面図である。図20に示されるように、配光制御デバイス201は、実施の形態1に係る配光制御デバイス1と比較して、配光層30の代わりに配光層230を備える。さらに、配光制御デバイス201は、新たに、第3電極層240と、第4電極層250と、第3基板260とを備える。配光層230は、第1凹凸構造層31と、第2凹凸構造層32と、屈折率可変層233とを有する。なお、第1凹凸構造層31及び第2凹凸構造層32は、実施の形態1又は2と同じである。
屈折率可変層233は、実施の形態1又は2に係る屈折率可変層33又は133が二層に分離された構成を有する。具体的には、屈折率可変層233は、図20に示されるように、第1屈折率可変層233aと、第2屈折率可変層233bとを備える。第1屈折率可変層233aと第2屈折率可変層233bとは、第3基板260によって二層に分離されている。
第1屈折率可変層233aは、第1凹凸構造層31の複数の第1凸部34間を充填するように設けられている。具体的には、第1屈折率可変層233aは、第1電極層40と第3電極層240との間に形成される隙間を充填するように設けられている。
第1屈折率可変層233aは、第1電極層40及び第3電極層240間に印加される電圧に応じて屈折率が変化する。具体的には、第1屈折率可変層233aは、電極層間に電圧が与えられることによって可視光帯域での屈折率が調整可能な屈折率調整層として機能する。例えば、制御部及び電源(図示せず)によって、第1電極層40と第3電極層240との間には直流電圧が印加される。
第2屈折率可変層233bは、第2凹凸構造層32の複数の第2凸部36間を充填するように設けられている。具体的には、第2屈折率可変層233bは、第2電極層50と第4電極層250との間に形成される隙間を充填するように設けられている。
第2屈折率可変層233bは、第2電極層50及び第4電極層250間に印加される電圧に応じて屈折率が変化する。具体的には、第2屈折率可変層233bは、電極層間に電圧が与えられることによって可視光帯域での屈折率が調整可能な屈折率調整層として機能する。例えば、制御部及び電源(図示せず)によって、第2電極層50と第4電極層250との間には直流電圧が印加される。
第1屈折率可変層233a及び第2屈折率可変層233bはそれぞれ、実施の形態1と同様に、電気泳動材料を用いて形成されている。あるいは、第1屈折率可変層233a及び第2屈折率可変層233bの少なくとも一方は、実施の形態2と同様に、液晶材料を用いて形成されていてもよい。
第3電極層240は、第3基板260の第1屈折率可変層233a側の面に設けられている。第3電極層240は、第1電極層40と電気的に対となっている。第3電極層240は、第1電極層40に対向するように配置されている。具体的には、第1電極層40と第3電極層240とは、第1凹凸構造層31と第1屈折率可変層233aとを挟むように配置されている。
第4電極層250は、第3基板260の第2屈折率可変層233b側の面に設けられている。第4電極層250は、第2電極層50と電気的に対となっている。第4電極層250は、第2電極層50に対向するように配置されている。具体的には、第2電極層50と第4電極層250とは、第2凹凸構造層32と第2屈折率可変層233bとを挟むように配置されている。
第3電極層240及び第4電極層250は、透光性を有し、入射した光を透過する。第3電極層240及び第4電極層250は、例えば透明導電層である。透明導電層の材料としては、ITO若しくはIZOなどの透明金属酸化物、銀ナノワイヤ若しくは導電性粒子などの導電体を含有する樹脂からなる導電体含有樹脂、又は、銀薄膜などの金属薄膜などを用いることができる。なお、第3電極層240及び第4電極層250は、これらの単層構造でよく、これらの積層構造(例えば透明金属酸化物と金属薄膜との積層構造)でもよい。本実施の形態では、第3電極層240及び第4電極層250はそれぞれ、厚さ100nmのITOである。
なお、第3電極層240及び第4電極層250は、例えば、外部電源との電気接続が可能となるように構成されている。例えば、外部電源に接続するための電極パッドなどが、第3電極層240及び第4電極層250の各々から封止部材の外側に引き出されて第3基板260に形成されていてもよい。
第3電極層240及び第4電極層250はそれぞれ、例えば、蒸着、スパッタリングなどにより、ITOなどの導電膜を成膜することで形成される。
第3基板260は、透光性を有する基材である。第3基板260としては、例えばガラス基板又は樹脂基板を用いることができる。本実施の形態において、第3基板260は、PET樹脂からなる透明樹脂基板である。
第3基板260は、第1屈折率可変層233aと第2屈折率可変層233bとの間に設けられている。第3基板260は、第1基板10に対向し、かつ、第2基板20に対向する位置に配置される。第1基板10と第3基板260とは、例えば、1μm〜1000μmなどの所定距離を空けて平行に配置されている。第1基板10と第3基板260とは、互いの端部外周に額縁状に形成された接着剤などのシール樹脂によって接着されている。第2基板20と第3基板260とも同様である。
なお、第3基板260の平面視形状は、例えば、正方形又は長方形などの矩形状であるが、これに限るものではなく、円形又は四角形以外の多角形であってもよく、任意の形状が採用され得る。
以上のように、本実施の形態に係る配光制御デバイス201は、例えば、屈折率可変層233は、複数の第1凸部34間を充填するように設けられた第1屈折率可変層233aと、複数の第2凸部36間を充填するように設けられた第2屈折率可変層233bとを備える。配光制御デバイス201は、さらに、第1屈折率可変層233aと第2屈折率可変層233bとの間に設けられた第3基板260と、第3基板260の第1屈折率可変層233a側の面に設けられた第3電極層240と、第3基板260の第2屈折率可変層233b側の面に設けられた第4電極層250とを備える。第1屈折率可変層233aは、第1電極層40及び第3電極層240間に印加される電圧に応じて屈折率が変化する。第2屈折率可変層233bは、第2電極層50及び第4電極層250間に印加される電圧に応じて屈折率が変化する。
これにより、第1屈折率可変層233aと第2屈折率可変層233bとを、実施の形態1又は2と同様に制御することで、配光率を高めることができる。このため、配光制御デバイス201は、窓に利用された場合に、太陽の位置によらずに効率良く光を屋内に採り入れることができる。
また、第1屈折率可変層233aと第2屈折率可変層233bとを、互いに独立して制御することもできる。例えば、入射光の角度などに応じて第1屈折率可変層233a及び第2屈折率可変層233bの各々の屈折率を独立して調整することができるので、配光率を高めることができる。
なお、本実施の形態では、第3基板260の両面にそれぞれ、第3電極層240と第4電極層250とが設けられているが、これに限らない。例えば、第3基板260は、第3電極層240が設けられた基板と、第4電極層250が設けられた基板とを有してもよい。つまり、第3基板260は、複数の基板に分離されてもよい。例えば、配光制御デバイス201は、第1電極層40、第3電極層240、第1凹凸構造層31及び第1屈折率可変層233aを含む第1デバイスと、第2電極層50、第4電極層250、第2凹凸構造層32及び第2屈折率可変層233bを含む第2デバイスとを備えてもよい。第1デバイスと第2デバイスとは、透光性を有する接着層などを介して接着されていてもよい。
(その他)
以上、本発明に係る配光制御デバイスについて、上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
また、例えば、複数の第1凸部34及び複数の第2凸部36は、x軸方向において複数に分割されていてもよい。例えば、複数の第1凸部34及び複数の第2凸部36は、マトリクス状などに点在するように配置されていてもよい。つまり、複数の第1凸部34及び複数の第2凸部36を、ドット状に点在するように配置してもよい。
また、例えば、上記の実施の形態において、ナノ粒子39の屈折率が絶縁性液体38の屈折率より低くてもよい。ナノ粒子39の屈折率などに応じて印加する電圧を適宜調整することで、透明状態及び配光状態を実現することができる。例えば、第1電極層40及び第2電極層50間に電圧が印加されていない場合に配光状態が実現され、電圧が印加された場合に透明状態が実現されてもよい。
また、例えば、上記の実施の形態において、ナノ粒子39はプラスに帯電させたが、これに限らない。つまり、ナノ粒子39をマイナスに帯電させてもよい。この場合、第1電極層40にはプラス電位を印加し、第2電極層50にはマイナス電位を印加することで、第1電極層40と第2電極層50との間に直流電圧を印加してもよい。
また、複数のナノ粒子39には、光学特性の異なる複数種類のナノ粒子が含まれてもよい。例えば、プラスに帯電させた透明の第1ナノ粒子と、マイナスに帯電させた不透明(黒色など)の第2ナノ粒子とを含んでもよい。例えば、第2ナノ粒子を凝集させて偏在させることで、配光制御デバイス1に遮光機能を持たせてもよい。
また、例えば、複数のナノ粒子39が分散配置された状態で、複数の第1凸部34及び複数の第2凸部36の各々の屈折率と屈折率可変層33の屈折率とが異なっていてもよい。例えば、電極間に電圧が印加されずに無印加状態で、配光制御デバイス1が配光状態になってもよい。また、複数のナノ粒子39が第1電極層40側に偏在した状態で、複数の第1凸部34の屈折率と屈折率可変層33の屈折率とが同じであってもよい。つまり、例えば、電極間に所定の電圧が印加された状態で、配光制御デバイス1が透明状態になってもよい。
また、例えば、上記の実施の形態では、屈折率可変層133がポジ型液晶分子を含む液晶材料から形成される例について示したが、ネガ型液晶分子を含む液晶材料から形成されてもよい。
また、上記の実施の形態では、配光制御デバイス1に入射する光として太陽光を例示したが、これに限らない。例えば、配光制御デバイス1に入射する光は、照明装置などの発光装置が発する光であってもよい。
また、例えば、配光制御デバイス1は、建物の窓に設置する場合に限るものではなく、例えば車の窓などに設置してもよい。また、配光制御デバイス1は、例えば、照明器具の透光カバーなどの配光制御部材などに利用することもできる。あるいは、配光制御デバイス1は、凹凸構造の界面での光の散乱を利用した目隠し部材としても利用することができる。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
1、101、201 配光制御デバイス
10 第1基板
20 第2基板
31 第1凹凸構造層
32 第2凹凸構造層
33、133、233 屈折率可変層
34 第1凸部
34c 直線(第1方向)
36 第2凸部
36c 直線(第2方向)
38 絶縁性液体
39 ナノ粒子
40 第1電極層
50 第2電極層
139 液晶分子
233a 第1屈折率可変層
233b 第2屈折率可変層
240 第3電極層
250 第4電極層
260 第3基板

Claims (5)

  1. 光透過性を有する第1基板と、
    前記第1基板に設けられた、光透過性を有する第1電極層と、
    前記第1電極層上に設けられた、第1方向に延在する複数の第1凸部を有する第1凹凸構造層と、
    前記第1基板に対向して設けられた、光透過性を有する第2基板と、
    前記第2基板に設けられた、前記第1電極層に対向する第2電極層と、
    前記第2電極層上に設けられた、第2方向に延在する複数の第2凸部を有する第2凹凸構造層と、
    前記第1電極層と前記第2電極層との間において前記複数の第1凸部間及び前記複数の第2凸部間の各々を充填するように設けられた屈折率可変層とを備え、
    前記第1基板を平面視した場合、前記第1方向と前記第2方向とがなす角度は、20°以上80°以下である
    配光制御デバイス。
  2. 前記屈折率可変層は、単層構造であり、前記第1電極層及び前記第2電極層間に印加される電圧に応じて屈折率が変化する
    請求項1に記載の配光制御デバイス。
  3. 前記屈折率可変層は、
    前記複数の第1凸部間を充填するように設けられた第1屈折率可変層と、
    前記複数の第2凸部間を充填するように設けられた第2屈折率可変層とを備え、
    前記配光制御デバイスは、さらに、
    前記第1屈折率可変層と前記第2屈折率可変層との間に設けられた第3基板と、
    前記第3基板の前記第1屈折率可変層側の面に設けられた第3電極層と、
    前記第3基板の前記第2屈折率可変層側の面に設けられた第4電極層とを備え、
    前記第1屈折率可変層は、前記第1電極層及び前記第3電極層間に印加される電圧に応じて屈折率が変化し、
    前記第2屈折率可変層は、前記第2電極層及び前記第4電極層間に印加される電圧に応じて屈折率が変化する
    請求項1に記載の配光制御デバイス。
  4. 前記屈折率可変層は、
    絶縁性液体と、
    前記絶縁性液体とは屈折率が異なり、前記絶縁性液体内に分散された帯電する複数のナノ粒子とを有し、
    前記複数の第1凸部の各々は、第1底角と第2底角とを有し、
    前記複数の第2凸部の各々は、第3底角と第4底角とを有し、
    前記複数の第2凸部の並び方向において、前記第3底角は前記第1底角と同じ側に位置し、前記第4底角は前記第2底角と同じ側に位置し、
    前記第1底角は、70°より大きく85°より小さく、
    前記第4底角は、75°より小さい
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の配光制御デバイス。
  5. 前記屈折率可変層は、複屈折性を有する複数の液晶分子を含む液晶層であり、
    前記複数の第1凸部の各々は、第1底角と第2底角とを有し、
    前記複数の第2凸部の各々は、第3底角と第4底角とを有し、
    前記複数の第2凸部の並び方向において、前記第3底角は前記第1底角と同じ側に位置し、前記第4底角は前記第2底角と同じ側に位置し、
    前記第1底角は、70°より大きく85°より小さく、
    前記第4底角は、75°より大きい
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の配光制御デバイス。
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