JP2020016528A - 熱中症センサおよび熱中症監視システム - Google Patents

熱中症センサおよび熱中症監視システム Download PDF

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祐朗 梶川
Sukeaki Kajikawa
祐朗 梶川
真一郎 高家
Shinichiro Koge
真一郎 高家
幸成 松岡
Yukinari Matsuoka
幸成 松岡
宏紀 貞光
Hiroki Sadamitsu
宏紀 貞光
孝雄 上杉
Takao Uesugi
孝雄 上杉
長谷川 博
Hiroshi Hasegawa
博 長谷川
友大 池邊
Tomohiro IKEBE
友大 池邊
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Abstract

【課題】対象者の熱中症リスクを適切に判定する熱中症センサおよび熱中症監視システムを提供する。
【解決手段】第1WBGTセンサ100は、対象者に着用され着用物の外側に設けられて少なくとも気温と湿度を測定する。第2WBGTセンサ200は、着用物の内側に設けられて少なくとも気温と湿度を測定する。演算処理部60は、第1WBGTセンサの測定結果に基づいて着用物の外側におけるWBGT値である第1WBGT値を求め、第2WBGTセンサの測定結果に基づいて着用物の内側におけるWBGT値である第2WBGT値を求め、第1WBGT値と第2WBGT値とに基づいて対象者の熱中症リスクを判定する。
【選択図】図2

Description

この発明は、熱中症センサおよび熱中症監視システムに関する。
WBGT(WetBulb Globe Temperature)に基づいて熱中症リスクを判定することが知られている。例えば、特許文献1には、見守り対象者の居室内の室温および湿度の測定結果からWBGT値を演算し、その結果から熱中症のおそれの有無を判断して熱中症アラートを出力する見守りシステムが開示されている。
特開2017−168098号公報
特許文献1のシステムでは、居室内に設けられたセンサ類(温度センサおよび湿度センサ)の測定結果からWBGT値が演算されている。なお、WBGT値は、場所によって異なる。例えば、室内では、エアコンの有無,風の有無,WBGT計(WBGT値を計測するための装置)の高さ,部屋の向き,日当たりなどにより、WBGT値がばらつく。室外では、日照,風,地面の材質,日照時間の相違などにより、WBGT値のばらつきが顕著となる。そのため、定位置に設けられたWBGT計の指示値だけでは、熱中症リスクを適切に判定することが困難である。
そこで、WBGT計を対象者に装着することが考えられる。しかしながら、対象者の状況によって、熱中症リスクは大きく異なる。例えば、対象者の衣服の材質,色,日差しを遮る帽子,日傘等,対象者の服装等によって、熱中症リスクは大きく異なる。また、暑い場所に長時間滞在すると、熱中症リスクが変わってくる。したがって、対象者に装着したWBGT計の指示値を取得するだけでは、熱中症リスクを適切に判定することが困難である。
そこで、この発明は、対象者の熱中症リスクを適切に判定することが可能な熱中症センサおよび熱中症監視システムを提供することを目的とする。
この発明は、熱中症センサに関し、この熱中症センサは、対象者に着用される着用物の外側に設けられて少なくとも気温と湿度を測定する第1WBGTセンサと、前記着用物の内側に設けられて少なくとも気温と湿度を測定する第2WBGTセンサと、前記第1WBGTセンサの測定結果に基づいて前記着用物の外側におけるWBGT値である第1WBGT値を求め、前記第2WBGTセンサの測定結果に基づいて前記着用物の内側におけるWBGT値である第2WBGT値を求め、前記第1WBGT値と前記第2WBGT値とに基づいて前記対象者の熱中症リスクを判定する演算処理部とを備えている。
前記熱中症センサでは、対象者に着用される着用物の外側に設けられた第1WBGTセンサの測定結果に基づいて、対象者の周囲の環境に応じた第1WBGT値を求めることができる。また、対象者に着用される着用物の内側に設けられた第2WBGTセンサの測定結果に基づいて、対象者の周囲の環境から着用物の内側に伝達される熱と対象者の体内から放出される熱と対象者の発汗による冷却作用とに応じた第2WBGT値を求めることができる。そして、対象者の周囲の環境に応じた第1WBGT値と、対象者の周囲の環境から着用物の内側に伝達される熱と対象者の体内から放出される熱と対象者の発汗による冷却作用とに応じた第2WBGT値とに基づいて、対象者の熱中症リスクを判定することにより、対象者の熱中症リスクを適切に判定することができる。
なお、前記第1WBGTセンサは、前記気温と前記湿度と黒球温度とを測定するように構成されていてもよい。前記第2WBGTセンサは、前記気温と前記湿度と黒球温度とを測定するように構成されていてもよい。そして、前記演算処理部は、前記第1WBGTセンサにより測定された気温と湿度と黒球温度に基づいて前記第1WBGT値を求め、前記第2WBGTセンサにより測定された気温と湿度と黒球温度に基づいて前記第2WBGT値を求めるように構成されていてもよい。
また、前記演算処理部は、前記第1WBGTセンサにより測定された気温および湿度に基づいて湿球温度を計算して該湿球温度と該第1WBGTセンサにより測定された黒球温度とに基づいて前記第1WBGT値を計算し、前記第2WBGTセンサにより測定された気温および湿度に基づいて湿球温度を計算して該湿球温度と該第2WBGTセンサにより測定された黒球温度とに基づいて前記第2WBGT値を計算するように構成されていてもよい。
また、前記熱中症センサは、前記第1WBGTセンサの周囲を覆う第1保護カバーと、前記第2WBGTセンサの周囲を覆う第2保護カバーとを備えていてもよい。
前記熱中症センサでは、第1保護カバーによって第1WBGTセンサの周囲を囲うことにより、雨や露などにより第1WBGTセンサが故障する可能性を低減することができる。また、第2保護カバーによって第2WBGTセンサの周囲を囲うことにより、対象者の汗により第2WBGTセンサが故障する可能性を低減することができる。
また、前記着用物は、ヘルメットまたは衣服であってもよい。
また、前記演算処理部は、前記対象者の熱中症リスクの判定結果を示す情報である判定結果情報を定期的に出力するように構成されていてもよい。
前記熱中症センサでは、演算処理部により判定結果情報(対象者の熱中症リスクの判定結果を示す情報)が定期的に出力されることにより、判定結果情報に基づいて対象者の熱中症リスクの状況を定期的に管理することができる。
また、前記演算処理部は、前記対象者の熱中症リスクのレベルが予め定められたリスクレベル閾値よりも高い場合に、前記対象者の熱中症リスクが高くなっていることを通知するための情報である高リスク通知情報を出力するように構成されていてもよい。
前記熱中症センサでは、対象者の熱中症リスクのレベルがリスクレベル閾値よりも高い場合に高リスク通知情報(対象者の熱中症リスクが高くなっていることを通知するための情報)が出力されることにより、対象者の熱中症リスクが高くなっていることを通知することができる。
また、この発明は、熱中症監視システムに関し、この熱中症監視システムは、前記熱中症センサと、前記熱中症センサにより出力された高リスク通知情報を受信すると、前記対象者の熱中症リスクが高くなっていることを通知する端末とを備えている。
前記熱中症監視システムでは、熱中症センサにより出力された高リスク通知情報に応答して端末による通知(対象者の熱中症リスクが高くなっていることの通知)が行われることにより、対象者の熱中症リスクが高くなっていることを端末の操作者に確認させることができる。
以上のように、この発明によれば、対象者の熱中症リスクを適切に判定することができる。
実施形態による熱中症監視システムの構成を例示する概略図である。 熱中症センサの構成を例示するブロック図である。 保護カバーの構成を例示する概略図である。 低レベルWBGT環境条件下における第1WBGT値と第2WBGT値の時間的変化を例示するグラフであり、第2WBGT値が振動している場合を例示している。 中レベルWBGT環境条件下における第1WBGT値と第2WBGT値の時間的変化を例示するグラフであり、第2WBGT値が振動している場合を例示している。 中レベルWBGT環境条件下における第1WBGT値と第2WBGT値の時間的変化を例示するグラフであり、第1WBGT値に対して第2WBGT値が一定である場合を例示している。 中WBGT環境条件下における第1WBGT値と第2WBGT値の時間的変化を例示するグラフであり、第1WBGT値に対して第2WBGT値が上昇している場合を例示している。 高レベルWBGT環境条件下における第1WBGT値と第2WBGT値の時間的変化を例示するグラフであり、第1WBGT値に対して第2WBGT値が上昇している場合を例示している。 第1WBGT値および第2WBGT値と対象者の熱中症リスクの判定結果との対応関係を例示する表である。 熱中症センサの設定について説明するためのフロー図である。 演算処理部の処理について説明するためのフロー図である。 端末の処理について説明するためのフロー図である。
以下、実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
(熱中症監視システム)
図1は、実施形態による熱中症監視システム10を例示している。この熱中症監視システム10は、複数(この例では3人)の対象者の熱中症リスクを監視するために利用されるシステムであり、複数の対象者にそれぞれ対応する複数(この例では3つ)の熱中症センサ11と、端末12とを備えている。例えば、熱中症監視システム10は、工事現場などの屋外に設けられ、その屋外に滞在する対象者(例えば工事現場の作業員)の熱中症リスクを監視するために利用される。
〔熱中症センサ〕
図2は、熱中症センサ11の構成を例示している。この熱中症センサ11は、第1WBGTセンサ100と、第2WBGTセンサ200と、第1保護カバー41と、第2保護カバー42と、時計部51と、記憶部52と、通信部53と、演算処理部60とを備えている。
〈第1WBGTセンサ〉
第1WBGTセンサ100は、対象者に着用される着用物20の外側(すなわち対象者から遠い側)に設けられる。この例では、第1WBGTセンサ100は、対象者に着用される衣服22の外側に取り付けられている。
そして、第1WBGTセンサ100は、少なくとも気温と湿度(具体的には相対湿度)を測定する。この例では、第1WBGTセンサ100は、気温と湿度と黒球温度を測定するように構成されている。具体的には、第1WBGTセンサ100は、着用物20の外側における気温および湿度を測定する第1温湿度センサ31と、着用物20の外側における黒球温度を測定する第1黒球温度センサ32とを有している。例えば、第1黒球温度センサ32は、黒色の中空の球体と、球体の内部に挿入されて球体の内部の温度を測定する温度センサとによって構成されている。
〈第2WBGTセンサ〉
第2WBGTセンサ200は、対象者に着用される着用物20の内側(すなわち対象者に近い側)に設けられる。この例では、第2WBGTセンサ200は、対象者に着用される衣服22の内側に取り付けられている。
そして、第2WBGTセンサ200は、少なくとも気温と湿度(具体的には相対湿度)を測定する。この例では、第2WBGTセンサ200は、気温と湿度と黒球温度を測定するように構成されている。具体的には、第2WBGTセンサ200は、着用物20の内側における気温および湿度を測定する第2温湿度センサ33と、着用物20の内側における黒球温度を測定する第2黒球温度センサ34とを有している。例えば、第2黒球温度センサ34の構成は、第1黒球温度センサ32の構成と同様となっている。
〈第1保護カバー〉
第1保護カバー41は、第1WBGTセンサ100の周囲を覆っている。例えば、図3に示すように、第1保護カバー41は、筒状のメッシュ部材により構成され、その内部に第1WBGTセンサ100(この例では第1温湿度センサ31と第1黒球温度センサ32)が挿入されている。
〈第2保護カバー〉
第2保護カバー42は、第2WBGTセンサ200(この例では第2温湿度センサ33と第2黒球温度センサ34)の周囲を覆っている。例えば、第2保護カバー42の構成は、第1保護カバー41の構成と同様となっている。
〈時計部〉
時計部51は、時刻を計測するために設けられている。なお、時計部51は、カレンダー機能(日付を計測する機能)を備えていてもよい。
〈記憶部〉
記憶部52は、情報を記憶する。記憶部52には、演算処理部60を制御するために用いられる情報(例えば後述するサンプリング周期やリスクレベル閾値などの設定値)や、対象者の熱中症リスクを判定するために用いられる情報(例えば時計部51により計測された時刻や熱中症センサ11に搭載されたセンサ類により測定された測定値や演算処理部60により計算された計算値など)や、対象者の熱中症リスクの判定結果などが記憶される。
〈通信部〉
通信部53は、演算処理部60と端末12との間において通信(具体的には無線通信)を行うために設けられている。
〈演算処理部〉
演算処理部60は、熱中症センサ11の各部(具体的には第1WBGTセンサ100,第2WBGTセンサ200,時計部51,記憶部52,通信部53)と電気的に接続されて熱中症センサ11の各部との間において信号を伝送可能となっている。また、演算処理部60は、通信部53を経由して端末12(または他の機器)と通信可能となっている。そして、演算処理部60は、熱中症センサ11の各部や端末12から送られてきた信号や情報に基づいて熱中症センサ11の各部を制御して熱中症センサ11を制御する。例えば、演算処理部60は、プロセッサと、プロセッサに実行されるプログラムや情報を記憶するメモリとによって構成されている。
また、演算処理部60は、第1WBGTセンサ100の測定結果に基づいて、着用物20の外側におけるWBGT値である第1WBGT値を求め、第2WBGTセンサ200の測定結果に基づいて、着用物20の内側におけるWBGT値である第2WBGT値を求め、第1WBGT値と第2WBGT値とに基づいて対象者の熱中症リスクを判定する。
この例では、演算処理部60は、第1WBGTセンサ100により測定された気温と湿度と黒球温度に基づいて第1WBGT値を求める。具体的には、演算処理部60は、第1WBGTセンサ100(第1温湿度センサ31)により測定された気温および湿度に基づいて湿球温度を計算し、その計算された湿球温度と第1WBGTセンサ100(第1黒球温度センサ32)により測定された黒球温度とに基づいて第1WBGT値を計算する。 また、この例では、演算処理部60は、第2WBGTセンサ200により測定された気温と湿度と黒球温度に基づいて第2WBGT値を求める。具体的には、演算処理部60は、第2WBGTセンサ200(第2温湿度センサ33)により測定された気温および湿度に基づいて湿球温度を計算し、その計算された湿球温度と第2WBGTセンサ200(第2黒球温度センサ34)により測定された黒球温度とに基づいて第2WBGT値を計算する。
なお、演算処理部60による湿球温度の計算およびWBGT値の計算と演算処理部60による熱中症リスクの判定については、後で詳しく説明する。
また、演算処理部60は、対象者の熱中症リスクの判定結果を示す情報である判定結果情報を定期的に出力する。さらに、演算処理部60は、対象者の熱中症リスクのレベルが予め定められたリスクレベル閾値よりも高い場合に、対象者の熱中症リスクが高くなっていることを通知するための情報である高リスク通知情報を出力する。演算処理部60により出力された情報(判定結果情報および高リスク通知情報)は、通信部53を経由して端末12に送信される。
〔端末〕
端末12は、複数の熱中症センサ11を管理するための端末であり、複数の熱中症センサ11を通じて複数の対象者(熱中症センサ11が設けられた着用物20を着用する対象者)の熱中症リスクを監視するために利用される。端末12は、複数の熱中症センサ11との間で通信を行うように構成されている。また、端末12は、操作者(例えば作業現場の管理者)による操作に応答して種々の処理を行うように構成されている。具体的には、端末12は、操作者により操作される操作部や、情報を表示する表示部や、情報を記憶する記憶部や、他の装置との間で通信を行うために設けられる通信部や、これらの部品(端末12を構成する部品)を制御する制御部などを有している。この例では、端末12は、ノートパソコンによって構成されている。なお、端末12は、スマートフォンやタブレットなどの携帯情報端末によって構成されていてもよい。
この例では、端末12は、熱中症センサ11と通信接続して熱中症センサ11の設定を行う。なお、端末12による熱中症センサ11の設定については、後で詳しく説明する。
また、端末12は、熱中症センサ11により定期的に送信される判定結果情報に基づいて対象者の熱中症リスクの状況を管理する。例えば、端末12は、熱中症センサ11により定期的に送信される判定結果情報を端末12の記憶部に記憶し、端末12に記憶された判定結果情報に基づいて、対象者の熱中症リスクの判定結果を示す画像を端末12の表示部に表示させる。
また、端末12は、熱中症センサ11から送信された高リスク通知情報を受信すると、対象者(具体的には高リスク通知情報を送信した熱中症センサ11に対応する対象者)の熱中症リスクが高くなっていることを通知する。例えば、端末12の記憶部には、熱中症センサ11と対象者(熱中症センサ11が設けられた着用物20を着用する対象者)とが対応付けられたリストである対象者リストが記憶されており、端末12は、対象者リストの中から熱中症センサ11(高リスク通知情報を送信した熱中症センサ11)に対応する対象者を検出し、その対象者の熱中症リスクが高くなっていることを通知するための画像を端末12の表示部に表示させる。
〔湿球温度の計算〕
次に、演算処理部60による湿球温度の計算について説明する。以下の説明において、“T”は、気温であり、その単位は“℃”である。“H”は、湿度(相対湿度)であり、その単位は“%”である。“t”は、湿球温度であり、単位は“℃”である。“e(T)”は、気温Tにおける飽和水蒸気圧であり、その単位は“hpa”である。“E”は、水蒸気圧である。“A”は、乾球計係数であり、この例では“0,00062”としている。“P”は、大気圧であり、この例では“1013.25hpa”としている。
気温Tにおける飽和水蒸気圧e(T)は、近似的に次の式1(いわゆるテテンの式)で表される。
Figure 2020016528
湿球が氷結していない場合、水蒸気圧Eと湿球温度tとの間において次の式2(いわゆるスプルングの公式)が成立する。
Figure 2020016528
湿度Hは、次の式3で表される。
Figure 2020016528
上記の式1,式2,式3より、次の式4が導出される。なお、式4の“e(t)”は、湿球温度tにおける飽和水蒸気圧である。
Figure 2020016528
式4においてF(t)=0の解(湿球温度tについての解)を求めることにより、湿球温度tを求めることができる。ただし、上記の式4は、数学的に厳密解を得ることができないので、数値計算によって近似値(すなわち湿球温度tの近似値)を計算する。この例では、ニュートン法を用いて数値計算を行う。
まず、式4を微分すると次の式5が導出される。
Figure 2020016528
第1回目の演算(ニュートン法に基づく演算)における暫定解を“a0”として第1回目の近似解を“a1”とすると、近似解a1は、次の式6で表される。なお、式6の暫定解a0には、気温Tが代入される。
Figure 2020016528
そして、式6により求められた第1回目の近似解a1を第2回目の演算における暫定解とする。これにより、第2回目の演算における近似解a2は、次の式7で表される。
Figure 2020016528
以上のような演算を繰り返すことにより、厳密解に近い近似解を求めることが可能となる。この例では、第5回目の演算(ニュートン法に基づく演算)における近似解を湿球温度tとしている。すなわち、第4回目の演算における近似解(すなわち第5回目の演算における暫定解)を“a4”とし、第5回目の演算における近似解を“a5”とすると、湿球温度tは、次の式8で表される。
Figure 2020016528
この実施形態では、演算処理部60は、第1WBGTセンサ100(具体的には第1温湿度センサ31)により測定された気温および湿度を、式4における気温Tおよび湿度Hにそれぞれ代入し、上記のニュートン法に基づく演算(5回の演算)を行うことで、着用物20の外側における湿球温度を計算する。これと同様に、演算処理部60は、第2WBGTセンサ200(具体的には第2温湿度センサ33)により測定された気温および湿度を、式4における気温Tおよび湿度Hにそれぞれ代入し、上記のニュートン法に基づく演算(5回の演算)を行うことで、着用物20の内側における湿球温度を計算する。
〔WBGT値の計算〕
次に、演算処理部60によるWBGT値の計算について説明する。WBGT値の計算式は、日射の有無により異なっている。以下の説明において、“K”は、黒球温度であり、単位は“℃”である。なお、上述のとおり、“t”は、湿球温度であり、“T”は、気温である。
日射がある場合のWBGT値は、次の式9で表される。
Figure 2020016528
一方、日射がない場合のWBGT値は、次の式10で表される。
Figure 2020016528
この実施形態では、演算処理部60は、日射がある場合には、式9に基づいて第1WBGT値(着用物20の外側におけるWBGT値)と第2WBGT値(着用物20の内側におけるWBGT値)を計算し、日射がない場合には、式10に基づいて第1WBGT値と第2WBGT値を計算する。
具体的には、日射がある場合、演算処理部60は、第1WBGTセンサ100(第1温湿度センサ31)により測定された気温および湿度に基づいて計算された湿球温度(着用物20の外側における湿球温度)と、第1WBGTセンサ100(第1黒球温度センサ32)により測定された黒球温度と、第1WBGTセンサ100(第1温湿度センサ31)により測定された気温とを、式9の湿球温度tと黒球温度Kと気温Tにそれぞれ代入することで第1WBGT値を計算する。これと同様に、日射がある場合、演算処理部60は、第2WBGTセンサ200(第2温湿度センサ33)により測定された気温および湿度に基づいて計算された湿球温度(着用物20の内側における湿球温度)と、第2WBGTセンサ200(第2黒球温度センサ34)により測定された黒球温度と、第2WBGTセンサ200(第2温湿度センサ33)により測定された気温とを、式9の湿球温度tと黒球温度Kと気温Tにそれぞれ代入することで第2WBGT値を計算する。
一方、日射がない場合、演算処理部60は、第1WBGTセンサ100(第1温湿度センサ31)により測定された気温および湿度に基づいて計算された湿球温度tと第1WBGTセンサ100(第1黒球温度センサ32)により測定された黒球温度Kを式10に代入することで第1WBGT値を計算する。これと同様に、演算処理部60は、第2WBGTセンサ200(第2温湿度センサ33)により測定された気温および湿度に基づいて計算された湿球温度tと第2WBGTセンサ200(第2黒球温度センサ34)により測定された黒球温度Kを式10に代入することで第2WBGT値を計算する。
さらに、屋内など明らかに日射がない場合には、第1黒球温度センサ32および第2黒球温度センサ34を省略してもよい。この場合には、第1WBGTセンサ100(第1温湿度センサ31)により測定された気温Tを式10の黒球温度Kに代入し、気温Tと湿度に基づいて計算された湿球温度tを式10へ代入して第1WBGT値を計算する。同様に、第2WBGTセンサ200(第2温湿度センサ33)により測定された気温Tを式10の黒球温度Kに代入し、気温Tと湿度に基づいて計算された湿球温度tを式10へ代入して第2WBGT値を計算する。
〔実証実験〕
次に、WBGT値(第1WBGT値と第2WBGT値)と熱中症リスクとの関係を調べるために本願発明者らが実施した実証実験について説明する。
本願発明者らは、熱中症センサ11が設けられた着用物20を被験者に着用させ、被験者の周囲の環境(気温や湿度など)を一定に保持することができる環境試験室において、トレッドミルなどの運動負荷装置によって被験者に一定の運動負荷を課すことで、熱中症リスクに関する実証実験を実施した。なお、運動負荷は、被験者の全出力の33%とし、第1WBGT値は、23℃、28℃、31℃の3段階として実証実験を実施した。
図4〜図8は、上記の実証実験の代表的な結果を示している。以下では、第1WBGT値が23℃(低レベル)である条件下を「低レベルWBGT環境条件」とし、第1WBGT値が28℃(中レベル)である条件下を「中レベルWBGT環境条件」とし、第1WBGT値が31℃(高レベル)である条件下を「高レベルWBGT環境条件」としている。
〈低レベルWBGT環境条件(振動)〉
図4は、低レベルWBGT環境条件における第1WBGT値および第2WBGT値の時間的変化を例示している。図4の例では、第2WBGT値が振動している。着用物20の内側における気温が上昇すると、被験者の汗の気化熱により着用物20内気温が低下し、着用物20内気温が低下すると、被験者の発汗量が減少して着用物20内気温が上昇するというサイクルが繰り返し行われていることが原因であると考えられる。第2WBGT値が振動している状態では、被験者の発汗作用などの体温調節機能により被験者の体温がコントロールされているので、被験者の熱中症リスクは低いと考えられる。
〈中レベルWBGT環境条件(共鳴)〉
図5は、中レベルWBGT環境条件における第1WBGT値および第2WBGT値の時間的変化を例示している。図5の例では、第2WBGT値が振動している。また、図5の例では、第2WBGT値が上下する周期は、図4の例よりも長くなっている。これは、被験者の発汗作用などの体温調節機能により被験者の体温が一定以上に上昇しないようにコントロールされているが、すでに着用物20内部の湿度が高く、被験者の発汗による冷却作用の効果が低下しているために冷却期間が長くなり、第2WBGT値のグラフが周期の長い波になると考えられる。この状態は、被験者の体温がコントロールされてはいるが、体温調節機能の限界が近づいており、図4の場合ほど楽観できる状態ではない。しかし、すぐに熱中症を発症する状態ではないので、この段階では被験者の熱中症リスクは低いと考えられる。
〈中レベルWBGT環境条件(熱平衡)〉
図6は、中レベルWBGT環境条件における第1WBGT値および第2WBGT値の時間的変化を例示している。図6の例では、第2WBGT値が第1WBGT値に対して一定となっている。これは、被験者の汗の気化熱と運動で生成される熱とが熱平衡に達していることが原因であると考えられる。このような状態では、対象者の周囲の環境から伝達される熱が増加すると、被験者の熱中症リスクが高くなる(すなわち熱中症リスクの警戒が必要となる)と考えられる。
〈中レベルWBGT環境条件(破綻)〉
図7は、中レベルWBGT環境条件における第1WBGT値および第2WBGT値の時間的変化を例示している。図7の例では、第2WBGT値が第1WBGT値に対して上昇している。これは、被験者の汗の気化熱と被験者の体内から放出される熱と外部から供給される熱との熱平衡が崩れ、被験者の体温が上昇を始めたことが原因であると考えられる。このような状態が続くと、被験者が熱中症にかかる可能性が高くなる、即ち熱中症リスクが高い状態であると考えられる。
なお、図7の結果が得られた実証実験では、第2WBGT値が34.6℃以上となったときに、被験者が主観的温熱感として「非常に暑い(最高レベル)」を申告した。このとき、被験者の顔が紅潮しており、熱中症I度の症状を呈していた。
〈高レベルWBGT環境条件(危険)〉
図8は、高レベルWBGT環境条件における第1WBGT値および第2WBGT値の時間的変化を例示している。図8の例では、第2WBGT値が第1WBGT値に対して上昇している。これは、被験者が運動を開始する前から熱平衡(被験者から放出される汗の気化熱と被験者の体内から放出される熱との熱平衡)が崩れており、被験者の発汗作用だけでは冷却能力が足りない状態で運動が開始されたことが原因であると考えられる。このような状態では、図7の例と同様、被験者の熱中症リスクが高くなっていると考えられる。
なお、図8の結果が得られた実証実験では、第2WBGT値が34.6℃以上となったときに、被験者が主観的温熱感として「非常に暑い(最高レベル)」を申告するとともに頭痛を訴えた。そして、実証実験の終了時には、熱中症II度の症状を呈していた。
〔WBGT値と熱中症リスクとの関係〕
以上の実証実験より、本願発明者らは、着用物内外のWBGT値に注目して、第1WBGT値および第2WBGT値と対象者の熱中症リスクとの間に関係があることを見出した。本願発明者らは、第1WBGTに対して第2WBGT値が振動している場合と、第2WBGT値が第1WBGT値に対して一定となっている場合と、第2WBGT値が第1WBGT値に対して上昇している場合の3段階で熱中症リスクが高くなる傾向があることを見出した。
次に、本願発明者らは、着用物内のWBGT値(第2WBGT値)に注目して、被験者が「非常に暑い」と感じるときの第2WBGT値が34.6℃であることを実験的に突き止めた。
〔熱中症リスクの数値化〕
以上の知見に基づき、本願発明者らは、熱中症リスクのレベルを3段階で評価することを見出した。
リスクレベル1:熱中症に至るリスクは低い
ほぼ安全(放置して良い)な状態
リスクレベル2:気温上昇や運動強度の変化などで熱中症に至る可能性がある
監視が必要な状態
リスクレベル3:放置すると熱中症に至る可能性が高い
休息が必要な状態
〔熱中症リスクを判定するパラメータ〕
以上の知見に基づき、本願発明者らは、熱中症リスクを判定するための3つのパラメータを見出した。
第1WBGT値:対象者の環境のWBGT値(対象者の着用物の外部のWBGT値)
第2WBGT値:対象者の着用物の内部のWBGT値
第1WBGT値と第2WBGT値の比較
第1WBGT値は、日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針Ver.3」に準拠して以下のように評価する。
31℃以上:危険
28〜31℃:厳重警戒
25〜28℃:警戒
25℃未満:注意
第2WBGT値は、実証実験の知見から以下のように評価する。
34.6℃以上:危険
34.6℃未満:監視継続
第1WBGT値と第2WBGT値の比較については、実証実験の知見から以下のように評価する。
第2WBGT値が第1WBGT値に対して振動:体温調節機能が正常に稼働中
第2WBGT値が第1WBGT値に対して一定:体温調節機能と熱生産が熱平衡
第2WBGT値が第1WBGT値に対して上昇:体温調節機能破綻
本願発明者らは3つのパラメータを組み合わせて全ての場合(4×2×3=24とおり)を検討し、対象者の熱中症リスクのレベルを評価することを見出した。その一例を図9に示す。なお、図9では、熱中症リスクが明らかに低い場合を省略している。
例えば、図9の例の第1段目は、所定期間内における第1WBGT値が「28℃未満」であり、所定期間内における第2WBGT値が「34.6℃未満」であり、所定期間内において第2WBGT値が振動している場合(すなわち図4の例の場合)に、対象者の熱中症リスクが「リスクレベル1」であると判定されることを示している。
また、図9の例の第6段目は、所定期間内における第1WBGT値が「28℃以上で31℃未満」であり、所定期間内における第2WBGT値が「34.6℃未満」であり、所定期間内において第2WBGT値が第1WBGT値に対して一定となっている場合(すなわち図6の例の場合)に、対象者の熱中症リスクが「リスクレベル2」であると判定されることを示している。
また、図9の例の第11段目は、所定期間内における第1WBGT値が「31℃以上」であり、所定期間内における第2WBGT値が「34.6℃未満」であり、所定期間内において第2WBGT値が第1WBGT値に対して上昇している場合(すなわち図8の例の場合)に、対象者の熱中症リスクが「リスクレベル3」であると判定されることを示している。
なお、図9の例において第2WBGT値に対して定められている「34.6℃」という閾値(リスク温度閾値)は、実証実験の知見によるものである。即ち、対象者が非常に暑いと感じているときの第2WBGT温度が34.6℃であるだけでなく、この状態で実験を続けた結果、被験者は熱中症を発症した。今後の実験により、より精確なリスク温度閾値が得られる可能性がある。
34.6℃でリスクレベルを3に設定するのは、本願発明者らの考えもある程度反映されている。本願発明者らは、作業員が「耐え難いほど暑い」と感じているにも関わらず、運動や作業の継続を命じることは作業効率の低下を招くだけでなく、人道的にも問題であると考えてリスクレベルを3に設定した。リスクレベル3の警報が管理者の端末に届けば、作業者は休息を取ることができる。このようにリスク温度閾値は、管理者の考えである程度変更を加えてもよい。この場合、制限値以上に設定できないリミッターを設けてもよい。また、日照の有無で、表の構成を変更してもよい。
この実施形態では、図9に例示された第1WBGT値および第2WBGT値と対象者の熱中症リスクの判定結果との対応関係を示す情報テーブルである熱中症リスク判定テーブルが記憶部52に記憶されており、演算処理部60は、その熱中症リスク判定テーブルの中から、所定期間内における第1WBGT値と第2WBGT値と第2WBGT値の変化とに対応する判定結果を検出することにより、対象者の熱中症リスクを判定する。
この実施形態では、熱中症リスク判定テーブルは、記憶部52に記憶されているが、端末12に記憶されていてもよい。
〔熱中症センサの設定〕
次に、図10を参照して、熱中症センサ11の設定について説明する。
〈ステップS11〉
まず、端末12は、複数の熱中症センサ11の中から未設定の熱中症センサ11を検索し、その検索により検出された熱中症センサ11と通信接続する。
〈ステップS12〉
次に、端末12は、熱中症センサ11に対し端末12の時刻を通知し、熱中症センサ11の時刻(具体的には時計部51により計測される時刻)を設定する命令を送信する。熱中症センサ11は,命令を受け取ると時計部51の時刻を設定し直す。
〈ステップS13〉
次に、端末12は、熱中症センサ11に対し、サンプリング周期を設定する命令を送信する。熱中症センサ11は,命令を受け取るとサンプリング周期を設定し直す。
〈ステップS14〉
次に、端末12は、熱中症センサ11に対し、テストを行う命令を送信する。熱中症センサ11は、テスト信号(テスト処理の実施を指示するための信号)を受信すると、計測や時刻の測定などを行い、テスト結果を返信する。
〈ステップS15〉
次に、端末12は、ステップS14において熱中症センサ11から送信されたテスト結果を受信すると、エラーコードに基づいて熱中症センサ11が正常であるか否かを判定する。熱中症センサ11が正常である場合には、ステップS16へ進み、そうでない場合には、ステップS17へ進む。
〈ステップS16〉
ステップS14においてテストされた熱中症センサ11が正常である場合、端末12は、その熱中症センサ11を監視対象として登録する。具体的には、端末12の記憶部には、正常である熱中症センサ11を管理するためのリストである正常センサリストが記憶されており、端末12は、正常であると判定された熱中症センサ11を正常センサリストに登録する。
〈ステップS17〉
次に、端末12は、複数の熱中症センサ11の中に未設定の熱中症センサ11が残存しているか否か(すなわち次に設定すべき熱中症センサ11があるか否か)を判定する。未設定の熱中症センサ11が残存している場合には、ステップS11へ進み、そうでない場合には、熱中症センサ11の設定処理を終了する。
〔演算処理部の処理〕
次に、図11を参照して、演算処理部60の処理について説明する。
〈ステップS21〉
演算処理部60は、第1WBGTセンサ100(第1温湿度センサ31)により測定される気温および湿度(以下「第1気温」および「第2湿度」と記載)と、第1WBGTセンサ100(第1黒球温度センサ32)により測定される黒球温度(以下「第1黒球温度」と記載)と、第2WBGTセンサ200(第2温湿度センサ33)により測定される気温および湿度(以下「第2気温」および「第2湿度」と記載)と、第2WBGTセンサ200(第2黒球温度センサ34)により測定される黒球温度(以下「第2黒球温度」と記載)とを定期的に取得する。
〈ステップS22〉
次に、演算処理部60は、ステップS21において第1WBGTセンサ100(第1温湿度センサ31)から取得された第1気温と第1湿度に基づいて、着用物20の外側における湿球温度(以下「第1湿球温度」と記載)を計算する。また、演算処理部60は、ステップS21において第2WBGTセンサ200(第2温湿度センサ33)から取得された第2気温と第2湿度に基づいて、着用物20の内側における湿球温度(以下「第2湿球温度」と記載)を計算する。
〈ステップS23〉
次に、演算処理部60は、ステップS22において計算された第1湿球温度と、ステップS21において第1WBGTセンサ100(第1黒球温度センサ32)から取得された第1黒球温度とに基づいて、第1WBGT値を計算する。また、演算処理部60は、ステップS22において計算された第2湿球温度と、ステップS21において第2WBGTセンサ200(第2黒球温度センサ34)から取得された第2黒球温度とに基づいて、第2WBGT値を計算する。
そして、演算処理部60は、ステップS21において取得されたセンサ類の測定値(具体的には第1気温,第1湿度,第1黒球温度,第2気温,第2湿度,第2黒球温度)と、ステップS22,S23において計算された計算値(具体的には第1湿球温度,第1WBGT値,第2湿球温度,第2WBGT値)と、ステップS21においてセンサ類から測定値が取得された時刻(時計部51により計測された時刻)とを対応付けて記憶部52に記憶する。
〈ステップS24〉
次に、演算処理部60は、第1WBGT値と第2WBGT値とに基づいて対象者の熱中症リスクを判定する。具体的には、演算処理部60は、記憶部52に記憶されている第1WBGT値と第2WBGT値とに基づいて、所定期間内における第1WBGT値と第2WBGT値と第2WBGT値の変化を求める。そして、演算処理部60は、記憶部52に記憶されている熱中症リスク判定テーブル(図9参照)の中から、それらの求められた第1WBGT値と第2WBGT値と第2WBGT値の変化に対応する判定結果を検出する。
〈ステップS25〉
また、演算処理部60は、対象者の熱中症リスクの判定結果を示す判定結果情報と測定結果(センサ類の測定値とその測定値が取得された時刻)とを出力する。すなわち、この例では、対象者の熱中症リスクの判定が定期的に行われ、対象者の熱中症リスクの判定が完了する毎に判定結果情報と測定結果が出力される。演算処理部60により出力された判定結果情報と測定結果は、通信部53により端末12に送信される。
〈ステップS26〉
次に、演算処理部60は、ステップS25において判定された対象者の熱中症リスクのレベルが予め定められたリスクレベル閾値よりも高くなっているか否かを判定する。対象者の熱中症リスクのレベルがリスクレベル閾値(例えばレベルリスク2)よりも高くなっている場合には、ステップS27へ進み、そうでない場合には、ステップS21へ進む。
〈ステップS27〉
対象者の熱中症リスクのレベルがリスクレベル閾値よりも高くなっている場合、演算処理部60は、対象者の熱中症リスクが高くなっていることを通知するための情報(高リスク通知情報)を出力する。演算処理部60により出力された高リスク通知情報は、通信部53により端末12に送信される。そして、端末12は、高リスク通知情報を受信すると、対象者の熱中症リスクが高くなっていることを通知する。
〔端末の処理〕
次に、図12を参照して、端末12の処理について説明する。
〈ステップS31〉
端末12は、熱中症センサ11から送信された判定結果情報と測定結果を定期的に受信する。
〈ステップS32〉
次に、端末12は、熱中症センサ11から送信された判定結果情報と測定結果を受信すると、その判定結果情報と測定結果を表示する。
〈ステップS33〉
次に、端末12は、端末12から送信された高リスク通知情報を受信したか否かを判定する。端末12から送信された高リスク通知情報を受信している場合には、ステップS34へ進み、そうでない場合には、ステップS31へ進む。
〈ステップS34〉
端末12から送信された高リスク通知情報を受信すると、端末12は、対象者(具体的には高リスク通知情報を送信した熱中症センサ11に対応する対象者)の熱中症リスクが高くなっていることを通知する。次に、ステップS31へ進む。
〔実施形態と比較例との対比〕
なお、第1WBGT値のみに基づいて対象者の熱中症リスクを判定する構成(比較例)が考えられる。しかしながら、第1WBGT値のみに基づいて対象者の熱中症リスクを判定する場合は、対象者の体内で生成される熱と、対象者の発汗による冷却作用を考慮することができない。例えば、春のうららかな日に、第1WBGT値=25℃のような環境下でフルマラソンを行った場合に、どのような激しい走りをしても、第1WBGT値だけでは熱中症の兆候を捕らえることはできない。第1WBGT値のみに基づいて対象者の熱中症リスクを判定したとしても、対象者の熱中症リスクを適切に判定することは困難である。
一方、第1WBGT値と第2WBGT値を用いると、対象者の周囲の環境から伝達される熱と、対象者の体内から放出される熱と、対象者の発汗による冷却作用による熱収支を客観的・定量的にとらえることができ、周囲の環境と着用物内の環境と体温調節機能の可動状態の3者の間の関係を考慮して、対象者の熱中症リスクを判定することができる。そのため、第1WBGT値のみに基づいて対象者の熱中症リスクを判定する場合よりも、対象者の熱中症リスクを適切に判定することができる。
例えば、春のうららかな日に第1WBGT値=25℃の環境下でフルマラソンを行った場合に、どのような激しい走りをしても、第1WBGTセンサ100だけでは熱中症の兆候を捕らえることはできない。しかし、ユニフォームの下に第2WBGTセンサ200を設けていれば、走者の体温上昇や熱平衡の状況を的確に捉えることができる。
〔実施形態による効果〕
以上のように、実施形態による熱中症センサ11では、対象者に着用される着用物20の外側に設けられた第1WBGTセンサ100の測定結果に基づいて、対象者の周囲の環境に応じた第1WBGT値を求めることができる。また、対象者に着用される着用物20の内側に設けられた第2WBGTセンサ200の測定結果に基づいて、対象者の周囲の環境から着用物20の内側に伝達される熱と対象者の体内から放出される熱と対象者の発汗による冷却作用とに応じた第2WBGT値を求めることができる。そして、対象者の周囲の環境に応じた第1WBGT値と、対象者の周囲の環境から着用物20の内側に伝達される熱と対象者の体内から放出される熱と対象者の発汗による冷却作用とに応じた第2WBGT値とに基づいて、対象者の熱中症リスクを判定することにより、対象者の熱中症リスクを適切に判定することができる。
また、第1保護カバー41によって第1WBGTセンサ100(この例では第1温湿度センサ31と第1黒球温度センサ32)の周囲を囲うことにより、雨や露などにより第1WBGTセンサ100が故障する可能性を低減することができる。また、第2保護カバー42によって第2WBGTセンサ200(この例では第2温湿度センサ33と第2黒球温度センサ34)の周囲を囲うことにより、対象者の汗により第2WBGTセンサ200が故障する可能性を低減することができる。
また、演算処理部60により判定結果情報(対象者の熱中症リスクの判定結果を示す情報)と測定結果(測定データ)が定期的に出力されることにより、対象者の状況を常時監視することができる。この機能を電気工事や土木工事などの作業現場で使用することにより、現場作業における熱中症対策を適切に実施できる。また、学校の運動会などで適切にサンプリングした学校生徒に熱中症センサ11を取り付けてモニタリングすることで、集団発生する熱中症をある程度防止できる。
また、対象者の熱中症リスクのレベルがリスクレベル閾値よりも高い場合に高リスク通知情報(対象者の熱中症リスクが高くなっていることを通知するための情報)が出力されることにより、対象者の熱中症リスクが高くなっていることを通知することができる。
また、熱中症センサ11により出力(送信)された高リスク通知情報に応答して端末12による通知(対象者の熱中症リスクが高くなっていることの通知)が行われることにより、対象者の熱中症リスクが高くなっていることを端末12の操作者(例えば作業現場の管理者)に確認させることができる。
(その他の実施形態)
なお、以上の説明では、対象者に着用される着用物20として衣服22を例に挙げたが、これに限らず、例えば、着用物20は、ヘルメット21であってもよい。すなわち、第1WBGTセンサ100(具体的には第1温湿度センサ31および第1黒球温度センサ32)は、対象者に着用されるヘルメット21の外側に取り付けられていてもよいし、第2WBGTセンサ(具体的には第2温湿度センサ33および第2黒球温度センサ34)は、対象者に着用されるヘルメット21の内側に取り付けられていてもよい。
また、以上の説明では、演算処理部60が第1WBGTセンサ100(または第2WBGTセンサ200)により測定された気温および湿度に基づいて湿球温度を計算する場合を例に挙げたが、これに限らず、例えば、演算処理部60は、気温および湿度と湿球温度との対応関係を示す情報テーブルの中から第1WBGTセンサ100(または第2WBGTセンサ200)により測定された気温および湿度に対応する湿球温度を検出するように構成されていてもよい。
また、以上の説明では、演算処理部60が湿球温度と第1WBGTセンサ100(または第2WBGTセンサ200)により測定された黒球温度とに基づいて第1WBGT値(または第2WBGT値)を計算する場合を例に挙げたが、これに限らず、例えば、演算処理部60は、湿球温度および黒球温度とWBGT値との対応関係を示す情報テーブルの中から湿球温度および第1WBGTセンサ100(または第2WBGTセンサ200)により測定された黒球温度に対応するWBGT値を検出するように構成されていてもよい。または、演算処理部60は、気温および湿度とWBGT値との対応関係を示す情報テーブルの中から第1WBGTセンサ100(または第2WBGTセンサ200)により測定された気温および湿度に対応するWBGT値を検出するように構成されていてもよい。
また、以上の説明では、図9に示した第1WBGT値および第2WBGT値と対象者の熱中症リスクの判定結果との対応関係に基づいて対象者の熱中症リスクが3段階のレベルで評価される場合を例に挙げたが、これに限らず、対象者の熱中症リスクは、4段階以上のレベルで評価されてもよい。また、図9に示した第1WBGT値および第2WBGT値と対象者の熱中症リスクの判定結果との対応関係は、あくまで一例であり、図9の例とは異なる第1WBGT値および第2WBGT値と対象者の熱中症リスクの判定結果との対応関係に基づいて対象者の熱中症リスクが評価(判定)されるようになっていてもよい。
また、以上の説明では、熱中症監視システム10および熱中症センサ11が屋外に滞在する対象者の熱中症リスクを監視するための利用される場合を例に挙げたが、熱中症監視システム10および熱中症センサ11は、スポーツジムなどの屋内に滞在する対象者の熱中症リスクを監視するために利用されるものであってもよい。
また、以上の説明では、第1WBGTセンサ100が第1黒球温度センサ32を有している場合(すなわち第1WBGTセンサ100が黒球温度を測定する場合)を例に挙げたが、第1WBGTセンサ100は、第1黒球温度センサ32を有していなくてもよい。これと同様に、第2WBGTセンサ200は、第2黒球温度センサ34を有していなくてもよい。このような場合、演算処理部60は、日照がない場合と同様に、式10に基づいて第1WBGT値と第2WBGT値を計算するように構成されていてもよい。
なお、熱中症リスクの判定には、人工知能(AI)が利用されてもよい。
また、以上の実施形態および変形例を適宜組み合わせて実施してもよい。以上の実施形態および変形例は、本質的に好ましい例示であって、この発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、この発明は、熱中症センサおよび熱中症監視システムとして有用である。
10 熱中症監視システム
11 熱中症センサ
12 端末
20 着用物
21 ヘルメット
22 衣服
100 第1WBGTセンサ
200 第2WBGTセンサ
31 第1温湿度センサ
32 第1黒球温度センサ
33 第2温湿度センサ
34 第2黒球温度センサ
41 第1保護カバー
42 第2保護カバー
51 時計部
52 記憶部
53 通信部
60 演算処理部

Claims (8)

  1. 対象者に着用される着用物の外側に設けられて少なくとも気温と湿度を測定する第1WBGTセンサと、
    前記着用物の内側に設けられて少なくとも気温と湿度を測定する第2WBGTセンサと、
    前記第1WBGTセンサの測定結果に基づいて前記着用物の外側におけるWBGT値である第1WBGT値を求め、前記第2WBGTセンサの測定結果に基づいて前記着用物の内側におけるWBGT値である第2WBGT値を求め、前記第1WBGT値と前記第2WBGT値とに基づいて前記対象者の熱中症リスクを判定する演算処理部とを備えている
    ことを特徴とする熱中症センサ。
  2. 請求項1において、
    前記第1WBGTセンサは、前記気温と前記湿度と黒球温度とを測定し、
    前記第2WBGTセンサは、前記気温と前記湿度と黒球温度とを測定し、
    前記演算処理部は、前記第1WBGTセンサにより測定された気温と湿度と黒球温度に基づいて前記第1WBGT値を求め、前記第2WBGTセンサにより測定された気温と湿度と黒球温度に基づいて前記第2WBGT値を求める
    ことを特徴とする熱中症センサ。
  3. 請求項2において、
    前記演算処理部は、前記第1WBGTセンサにより測定された気温および湿度に基づいて湿球温度を計算して該湿球温度と該第1WBGTセンサにより測定された黒球温度とに基づいて前記第1WBGT値を計算し、前記第2WBGTセンサにより測定された気温および湿度に基づいて湿球温度を計算して該湿球温度と該第2WBGTセンサにより測定された黒球温度とに基づいて前記第2WBGT値を計算する
    ことを特徴とする熱中症センサ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、
    前記第1WBGTセンサの周囲を覆う第1保護カバーと、
    前記第2WBGTセンサの周囲を覆う第2保護カバーとを備えている
    ことを特徴とする熱中症センサ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において、
    前記着用物は、ヘルメットまたは衣服である
    ことを特徴とする熱中症センサ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項において、
    前記演算処理部は、前記対象者の熱中症リスクの判定結果を示す情報である判定結果情報を定期的に出力する
    ことを特徴とする熱中症センサ。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項において、
    前記演算処理部は、前記対象者の熱中症リスクのレベルが予め定められたリスクレベル閾値よりも高い場合に、前記対象者の熱中症リスクが高くなっていることを通知するための情報である高リスク通知情報を出力する
    ことを特徴とする熱中症センサ。
  8. 請求項7に記載の熱中症センサと、
    前記熱中症センサにより出力された高リスク通知情報を受信すると、前記対象者の熱中症リスクが高くなっていることを通知する端末とを備えている
    ことを特徴とする熱中症監視システム。
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