JP2020016162A - 内燃機関の燃料制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高価なセンサを追加することなく気筒間の燃焼ばらつきを判定し、熱効率を悪化させることなく気筒間の燃焼ばらつきを抑えることができる内燃機関の燃料制御装置を提供すること。【解決手段】エンジン2のノッキング振動の大きさに応じたノック信号を出力するノックセンサ45と、三元触媒26に導入される排気における空燃比を検知するA/Fセンサ46と、複数の気筒それぞれに設けられ、該気筒に燃料を噴射するインジェクタ12と、ノックセンサ45とA/Fセンサ46により気筒の燃焼状態を検出し、該燃焼状態に応じてインジェクタ12を制御するECU3と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関の燃料制御装置に関する。
特許文献1には、多気筒の予混合圧縮自着火式内燃機関における、気筒間の燃焼ばらつきを抑制するために、イオン電流センサ、筒内圧センサ、ノックセンサなどのセンサを用いて、各気筒の燃焼状態を検知することによって気筒間の燃焼ばらつきを検出し、バルブタイミング、燃料供給量、点火時期のうちの少なくともいずれか一つを変更することが記載されている。
しかしながら、燃焼状態を検知するセンサのうち、イオン電流センサ、筒内圧センサなどの燃焼サイクル内の筒内圧変化を検知することが可能なセンサは、燃焼状態を詳細に検知することが可能なため、気筒間の燃焼ばらつきを精度良く検知することができるが、高価なため内燃機関のコストが増加する。
また、気筒内残留ガスを用いた予混合圧縮自着火燃焼では、燃焼状態が不安定な燃焼サイクルの次の燃焼サイクルでノッキングが発生するが、燃焼状態を検知するセンサとしてノックセンサのみを用いる場合、燃焼状態が不安定かどうかを検知することは難しく、気筒間の燃焼ばらつきを精度良く検出することができない。
さらに、気筒間の燃焼ばらつきの抑制を、バルブタイミング等の全気筒で共通の制御パラメータを変更して抑制させる場合、激しい燃焼状態にある気筒の燃焼を抑制させると、安定した燃焼状態にある他の気筒の燃焼も抑制されるため、熱効率が悪化する。
また、燃焼状態が不安定な気筒の燃焼を促進させると、安定した燃焼状態にある他の気筒の燃焼も促進されるため、過促進で熱効率が悪化する。
さらに、点火時期を変更して気筒間の燃焼ばらつきを抑制させる場合、予混合圧縮自着火燃焼では筒内混合気が均質でリーンであるため、燃焼を促進させる効果は低い。
そこで、本発明は、高価なセンサを追加することなく気筒間の燃焼ばらつきを判定し、熱効率を悪化させることなく気筒間の燃焼ばらつきを抑えることができる内燃機関の燃料制御装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため本発明は、火花点火燃焼と予混合圧縮自着火燃焼とが切り替え可能に構成された複数の気筒を有する内燃機関の燃料制御装置であって、前記内燃機関のノッキング振動を検出するノックセンサと、前記内燃機関の排気中の酸素濃度を検出するA/Fセンサと、前記複数の気筒それぞれに設けられ、該気筒に燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記ノックセンサと前記A/Fセンサにより前記気筒の燃焼状態を検出し、該燃焼状態に応じて前記燃料噴射弁を制御する制御部と、を備えるものである。
このように、本発明によれば、高価なセンサを追加することなく気筒間の燃焼ばらつきを判定し、熱効率を悪化させることなく気筒間の燃焼ばらつきを抑えることができる。
本発明の一実施の形態に係る内燃機関の燃料制御装置は、火花点火燃焼と予混合圧縮自着火燃焼とが切り替え可能に構成された複数の気筒を有する内燃機関の燃料制御装置であって、内燃機関のノッキング振動を検出するノックセンサと、内燃機関の排気中の酸素濃度を検出するA/Fセンサと、複数の気筒それぞれに設けられ、気筒に燃料を噴射する燃料噴射弁と、ノックセンサとA/Fセンサにより気筒の燃焼状態を検出し、該燃焼状態に応じて燃料噴射弁を制御する制御部と、を備えるよう構成されている。
これにより、本発明の一実施の形態に係る内燃機関の燃料制御装置は、高価なセンサを追加することなく気筒間の燃焼ばらつきを判定し、熱効率を悪化させることなく気筒間の燃焼ばらつきを抑えることができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係る内燃機関の燃料制御装置について詳細に説明する。
図1において、本発明の一実施例に係る内燃機関の燃料制御装置を搭載した車両1は、内燃機関型のエンジン2と、制御部としてのECU(Engine Control Unit)3とを含んで構成されている。
エンジン2は、少なくとも1つ以上、例えば4つの気筒を有する直列4気筒で構成されている。なお、エンジン2は、直列4気筒に限らず、例えばV型エンジン等であってもよいし、気筒数も特に4つに限定されるものではない。
エンジン2は、図示しないピストン、シリンダ、コネクティングロッド等を備え、ピストンが気筒を2往復する間に吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程からなる一連の4行程を行なう4サイクルのエンジンによって構成されている。
シリンダに収納されたピストンは、コネクティングロッドを介してクランクシャフトに連結されている。コネクティングロッドは、ピストンの往復運動をクランクシャフトの回転運動に変換するようになっている。
シリンダヘッドには、図示しない点火プラグと、吸気ポート11と、排気ポート21とが設けられている。点火プラグは、燃焼室内に電極を突出させた状態でシリンダヘッドに配設され、ECU3によってその点火時期が調整される。
エンジン2の各気筒には、インジェクタ12が設けられている。インジェクタ12は、図示しない燃料タンクから燃料ポンプによって供給された燃料を燃焼室内に噴射する、いわゆる筒内噴射式の燃料噴射弁である。
吸気ポート11には、空気を燃焼室に導入するためのインテークマニホールド14が設けられている。インテークマニホールド14は、外気を吸入するための吸気管15に接続されている。この吸気管15の内部には、吸気ポート11と連通する吸気通路15aが形成されている。
排気ポート21には、燃焼室のなかで混合気の燃焼によって発生した各気筒の排気を集合させるエキゾーストマニホールド24が設けられている。エキゾーストマニホールド24は、排気管25に接続されている。この排気管25の内部には、排気ポート21と連通する排気通路25aが形成されている。
この排気管25には、三元触媒26が設けられている。三元触媒26は、エンジン2の燃焼室から排出された排気、すなわち既燃ガスを浄化するようになっている。
ECU3は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、フラッシュメモリと、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
このコンピュータユニットのROMには、各種制御定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットをECU3として機能させるためのプログラムが記憶されている。すなわち、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータユニットは、ECU3として機能する。
ECU3の入力ポートには、ノックセンサ45、A/Fセンサ46等の各種センサ類が接続されている。
ノックセンサ45は、エンジン2のノッキング振動を検出し、ノッキング振動の大きさに応じたノック信号を出力する。A/Fセンサ46は、三元触媒26に導入される排気における空燃比(A/F)を検知するセンサである。A/Fセンサ46は、空燃比に対してリニアな出力特性を有する酸素センサである。
一方、ECU3の出力ポートには、上述のインジェクタ12、点火プラグ等の各種制御対象類が接続されている。
ECU3は、運転者の操作によるアクセル開度に基づきエンジン2の要求負荷を算出し、その要求負荷に応じてエンジン2の吸入空気量や燃料噴射量や点火時期を算出する。そして、ECU3は、算出した吸入空気量や燃料噴射量や点火時期になるように図示しないスロットルバルブやインジェクタ12、点火プラグを制御してエンジン2の運転状態を制御する。
ECU3は、エンジン2の運転状態に応じてSI(Spark Ignition)燃焼とHCCI(Homogeneous Charge Compression Ignition)燃焼とを切り替えるようになっている。ECU3は、例えば、エンジン回転数とエンジン負荷とをパラメータとする燃焼領域マップを参照することにより、エンジン2の運転領域がSI燃焼領域およびHCCI燃焼領域のいずれにあるかを判断し、この判断に基づきSI燃焼を行なうかHCCI燃焼を行なうかを選択するようになっている。
ECU3は、例えば、エンジン回転数とアクセル開度からエンジン負荷が決まるマップによりエンジン負荷を求めるようになっている。エンジン負荷のマップは、予め実験的に求められ、ECU3のROMに記憶されている。
ECU3は、例えば、図2に示すような燃焼領域マップによりSI燃焼を行なうかHCCI燃焼を行なうかを選択する。図2において、ECU3は、四角で囲まれた領域ではHCCI燃焼を行ない、それ以外の領域ではSI燃焼を行なう。
ECU3は、例えば、図2に示すように、HCCI燃焼領域において、燃料噴射の回数を1回とする1回噴射領域と、燃料噴射の回数を複数回とする多段噴射領域と、に分けてインジェクタ12による燃料噴射の回数を変える。
HCCI燃焼領域における噴射回数は、ノッキングが発生しにくい低負荷では1回が主で、ノッキングが発生しやすい高負荷側では2回、3回以上の多段噴射を行なっている。エンジン回転数では、高回転ほど燃焼が不安定になることと、ノッキングが発生しにくくなるため、高回転での1回噴射の領域は広くし、低回転側ほど多段噴射の領域を広くしている。
ECU3は、ノックセンサ45とA/Fセンサ46の検出結果に基づいて、各気筒の燃焼状態を判定する。
ECU3は、図3に示すように、ノックセンサ45の出力値により算出された、ある気筒のノック強度がトレースノック閾値より大きく、かつ、A/Fセンサ46の出力値が車両1の運転状態に応じて予め設定された失火判定の閾値より大きい(リーン側にある)場合、その気筒は不安定な燃焼状態にあり、気筒間の燃焼ばらつきが発生していると判定する(図中Aの領域)。この場合、ECU3は、不安定な燃焼の抑制を行なう。
ECU3は、ノックセンサ45の出力値により算出された、ある気筒のノック強度がトレースノック閾値より大きく、かつ、A/Fセンサ46の出力値が車両1の運転状態に応じて予め設定された失火判定の閾値以下である(リッチ側にある)場合、その気筒は激しい燃焼状態(圧力上昇率が大きい、燃焼が進角している等)にあり、気筒間の燃焼ばらつきが発生していると判定する(図中Bの領域)。この場合、ECU3は、激しい燃焼の抑制を行なう。
ECU3は、ノックセンサ45の出力値により算出された、ある気筒のノック強度がトレースノック閾値以下で、かつ、A/Fセンサ46の出力値が車両1の運転状態に応じて予め設定された失火判定の閾値以下である(リッチ側にある)場合、その気筒は安定した燃焼状態にあり、気筒間の燃焼ばらつきは発生していないと判定し(図中Cの領域)、燃焼の抑制は行なわない。
ECU3は、ノックセンサ45の出力値により算出された、ある気筒のノック強度がトレースノック閾値以下で、かつ、A/Fセンサ46の出力値が車両1の運転状態に応じて予め設定された失火判定の閾値より大きい(リーン側にある)場合、その気筒は失火状態にあると判定し(図中Dの領域)、通常の失火制御を行なう。
ECU3は、不安定な燃焼の抑制として、燃料噴射回数が1回の場合、その気筒の次の燃焼サイクルから、燃焼サイクルごとに燃料噴射タイミングを所定の第1設定条件まで段階的に進角させ、気筒間の燃焼ばらつきが収まるか否かを判定する。ECU3は、第1設定条件となっても気筒間の燃焼ばらつきが収まらないと判定した場合、その気筒の次の燃焼サイクルから、燃焼サイクルごとに燃料噴射量を段階的に増やす。
第1設定条件としては、例えば、燃料噴射開始時期が吸気ATDC(After Top Dead Center)であること、が設定される。これは、噴射タイミングの進角は燃焼促進に効果はあるが、過進角は燃料のピストンへの付着や混合気形成の悪化等により不安定な燃焼となるため、噴射タイミングの進角に制限を設けている。
ECU3は、不安定な燃焼の抑制として、燃料噴射回数が2回以上の場合、その気筒の次の燃焼サイクルの燃料噴射回数を1回として、気筒間の燃焼ばらつきが収まるか否かを判定する。ECU3は、燃料噴射回数を1回としても気筒間の燃焼ばらつきが収まらないと判定した場合、上述の燃料噴射回数が1回の場合の制御と同様の制御を行なう。
ECU3は、激しい燃焼の抑制として、燃料噴射回数が1回の場合、その気筒の次の燃焼サイクルから、燃焼サイクルごとに燃料噴射タイミングを所定の第2設定条件まで段階的に遅角させ、気筒間の燃焼ばらつきが収まるか否かを判定する。ECU3は、第2設定条件となっても気筒間の燃焼ばらつきが収まらないと判定した場合、その気筒の次の燃焼サイクルの燃料噴射回数を2回にして、気筒間の燃焼ばらつきが収まるか否かを判定する。
第2設定条件としては、例えば、燃料噴射終了時期が120deg.CA圧縮ATDCであること、が設定される。これは、噴射タイミングの遅角は燃焼抑制に効果はあるが、過遅角は混合気形成の悪化等により不安定な燃焼となるため、噴射タイミングの遅角に制限を設けている。
ECU3は、燃料噴射回数を2回にしても気筒間の燃焼ばらつきが収まらないと判定した場合、予め設定された最大噴射回数まで燃焼サイクルごとに段階的に燃料噴射回数を増やし、気筒間の燃焼ばらつきが収まるか否かを判定する。
ECU3は、燃料噴射回数を最大噴射回数にしても気筒間の燃焼ばらつきが収まらないと判定した場合、その気筒の次の燃焼サイクルから、燃焼サイクルごとに1回目の燃料噴射タイミングを第2設定条件まで段階的に遅角させ、気筒間の燃焼ばらつきが収まるか否かを判定する。ECU3は、第2設定条件となっても気筒間の燃焼ばらつきが収まらないと判定した場合、予め設定された最大噴射回数まで燃焼サイクルごとに段階的に燃料噴射回数を増やし、気筒間の燃焼ばらつきが収まるか否かを判定する。ECU3は、燃料噴射回数を最大噴射回数にしても気筒間の燃焼ばらつきが収まらないと判定した場合、その気筒の次の燃焼サイクルから、燃焼サイクルごとに燃料噴射量を段階的に減らす。
ECU3は、激しい燃焼の抑制として、燃料噴射回数が2回以上の場合、その気筒の次の燃焼サイクルから、燃焼サイクルごとに1回目の燃料噴射タイミングを第2設定条件まで段階的に遅角させ、気筒間の燃焼ばらつきが収まるか否かを判定する。ECU3は、第2設定条件となっても気筒間の燃焼ばらつきが収まらないと判定した場合、予め設定された最大噴射回数まで燃焼サイクルごとに段階的に燃料噴射回数を増やし、気筒間の燃焼ばらつきが収まるか否かを判定する。ECU3は、燃料噴射回数を最大噴射回数にしても気筒間の燃焼ばらつきが収まらないと判定した場合、その気筒の次の燃焼サイクルから、燃焼サイクルごとに燃料噴射量を段階的に減らす。
以上のように構成された本実施例に係る内燃機関の燃料制御装置による燃焼状態判定処理について、図4を参照して説明する。なお、以下に説明する燃焼状態判定処理は、各気筒の燃焼サイクルごとに実行される。
ステップS1において、ECU3は、対象となる気筒のノック強度がトレースノック閾値より大きいか否かを判定する。対象となる気筒のノック強度がトレースノック閾値より大きいと判定した場合、ステップS2において、ECU3は、A/Fセンサ46の出力値が失火判定閾値より大きいか否かを判定する。
A/Fセンサ46の出力値が失火判定閾値より大きいと判定した場合、ステップS3において、ECU3は、気筒間の燃焼ばらつきが発生しており、その気筒は不安定な燃焼状態にある(図3のA領域にある)と判定し、処理を終了する。
ステップS2においてA/Fセンサ46の出力値が失火判定閾値より大きくないと判定した場合、ステップS4において、ECU3は、気筒間の燃焼ばらつきが発生しており、その気筒は激しい燃焼状態にある(図3のB領域にある)と判定し、処理を終了する。
ステップS1において対象となる気筒のノック強度がトレースノック閾値より大きくないと判定した場合、ステップS5において、ECU3は、A/Fセンサ46の出力値が失火判定閾値より大きいか否かを判定する。
A/Fセンサ46の出力値が失火判定閾値より大きいと判定した場合、ステップS6において、ECU3は、その気筒は失火状態にある(図3のD領域にある)と判定し、処理を終了する。
ステップS5においてA/Fセンサ46の出力値が失火判定閾値より大きくないと判定した場合、ステップS7において、ECU3は、その気筒は安定燃焼状態にある(図3のC領域にある)と判定し、処理を終了する。
本実施例に係る内燃機関の燃料制御装置による不安定な燃焼の抑制処理について、図5を参照して説明する。なお、以下に説明する不安定な燃焼の抑制処理は、不安定な燃焼による気筒間の燃焼ばらつきが発生していることが検出されると開始される。
ステップS11において、ECU3は、不安定な燃焼が検出された気筒の燃料噴射回数が単段噴射であるか否かを判定する。単段噴射でないと判定した場合、ステップS12において、ECU3は、その気筒の次の燃焼サイクルの燃料噴射回数を単段噴射にする。
ステップS13において、ECU3は、次の燃焼サイクルにおいて不安定な燃焼による気筒間の燃焼ばらつきが抑制されたか否かを判定する。気筒間の燃焼ばらつきが抑制されたと判定した場合、ECU3は、処理を終了する。
ステップS11において単段噴射であると判定した場合、または、ステップS13において気筒間の燃焼ばらつきが抑制されていないと判定した場合、ステップS14において、ECU3は、不安定な燃焼が検出された気筒の燃料の噴射タイミングが第1設定条件を満たしているか否かを判定する。
燃料の噴射タイミングが第1設定条件を満たしていないと判定した場合、ステップS15において、ECU3は、その気筒の次の燃焼サイクルの燃料の噴射タイミングを所定角進角させる。
ステップS16において、ECU3は、次の燃焼サイクルにおいて不安定な燃焼による気筒間の燃焼ばらつきが抑制されたか否かを判定する。気筒間の燃焼ばらつきが抑制されたと判定した場合、ECU3は、処理を終了する。
ステップS16において気筒間の燃焼ばらつきが抑制されていないと判定した場合、ECU3は、ステップS14に処理を戻して処理を繰り返す。
ステップS14において燃料の噴射タイミングが第1設定条件を満たしていると判定した場合、ステップS17において、ECU3は、不安定な燃焼が検出された気筒の次の燃焼サイクルから、燃焼サイクルごとに燃料噴射量を段階的に増やして気筒間の燃焼ばらつきを抑制させる。
本実施例に係る内燃機関の燃料制御装置による激しい燃焼の抑制処理について、図6を参照して説明する。なお、以下に説明する激しい燃焼の抑制処理は、激しい燃焼状態による気筒間の燃焼ばらつきが発生していることが検出されると開始される。
ステップS21において、ECU3は、激しい燃焼が検出された気筒の燃料噴射回数が単段噴射であるか否かを判定する。単段噴射であると判定した場合、ステップS22において、ECU3は、その気筒の燃料の噴射タイミングが第2設定条件を満たしているか否かを判定する。
燃料の噴射タイミングが第2設定条件を満たしていないと判定した場合、ステップS23において、ECU3は、その気筒の次の燃焼サイクルの燃料の噴射タイミングを所定角遅角させる。
ステップS24において、ECU3は、次の燃焼サイクルにおいて激しい燃焼による気筒間の燃焼ばらつきが抑制されたか否かを判定する。気筒間の燃焼ばらつきが抑制されたと判定した場合、ECU3は、処理を終了する。
ステップS24において気筒間の燃焼ばらつきが抑制されていないと判定した場合、ECU3は、ステップS22に処理を戻して処理を繰り返す。
ステップS22において燃料の噴射タイミングが第2設定条件を満たしていると判定した場合、ステップS25において、ECU3は、激しい燃焼が検出された気筒の次の燃焼サイクルの燃料噴射回数を2段階噴射にする。
ステップS26において、ECU3は、次の燃焼サイクルにおいて激しい燃焼による気筒間の燃焼ばらつきが抑制されたか否かを判定する。気筒間の燃焼ばらつきが抑制されたと判定した場合、ECU3は、処理を終了する。
ステップS26において気筒間の燃焼ばらつきが抑制されていないと判定した場合、ステップS27において、ECU3は、激しい燃焼が検出された気筒の次の燃焼サイクルから、燃焼サイクルごとに燃料噴射回数を最大噴射回数まで段階的に増やす。
ステップS28において、ECU3は、燃料噴射回数を増やした燃焼サイクルごとに激しい燃焼による気筒間の燃焼ばらつきが抑制されたか否かを判定する。気筒間の燃焼ばらつきが抑制されたと判定した場合、ECU3は、処理を終了する。
ステップS21において単段噴射でないと判定した場合、または、ステップS28において最大噴射回数まで燃料噴射回数を増やしても気筒間の燃焼ばらつきが抑制されていないと判定した場合、ステップS29において、ECU3は、激しい燃焼が検出された気筒の1回目の燃料の噴射タイミングが第2設定条件を満たしているか否かを判定する。
1回目の燃料の噴射タイミングが第2設定条件を満たしていないと判定した場合、ステップS30において、ECU3は、その気筒の次の燃焼サイクルの、1回目の燃料の噴射タイミングを所定角遅角させる。
ステップS31において、ECU3は、次の燃焼サイクルにおいて激しい燃焼による気筒間の燃焼ばらつきが抑制されたか否かを判定する。気筒間の燃焼ばらつきが抑制されたと判定した場合、ECU3は、処理を終了する。
ステップS31において気筒間の燃焼ばらつきが抑制されていないと判定した場合、ECU3は、ステップS29に処理を戻して処理を繰り返す。
ステップS29において1回目の燃料の噴射タイミングが第2設定条件を満たしていると判定した場合、ステップS32において、ECU3は、激しい燃焼が検出された気筒の次の燃焼サイクルから、燃焼サイクルごとに燃料噴射回数を最大噴射回数まで段階的に増やす。
ステップS33において、ECU3は、燃料噴射回数を増やした燃焼サイクルごとに激しい燃焼による気筒間の燃焼ばらつきが抑制されたか否かを判定する。気筒間の燃焼ばらつきが抑制されたと判定した場合、ECU3は、処理を終了する。
ステップS33において最大噴射回数まで燃料噴射回数を増やしても気筒間の燃焼ばらつきが抑制されていないと判定した場合、ステップS34において、ECU3は、激しい燃焼が検出された気筒の次の燃焼サイクルから燃焼サイクルごとに燃料噴射量を段階的に減らして気筒間の燃焼ばらつきを抑制させる。
このように、上述の実施例では、ノックセンサ45の出力値により算出した各気筒のノック強度に加えて、A/Fセンサ46の出力値を燃焼状態の判定に用いることで、気筒間の燃焼ばらつきが、不安定な燃焼状態によるものか、激しい燃焼状態によるものかを区別して、気筒間の燃焼ばらつきを適切に抑制することができる。
多気筒ガソリンエンジンの気筒内残留ガスを用いた予混合圧縮自着火燃焼では、熱効率悪化の原因となる気筒間の燃焼ばらつきが発生しやすい。本実施例の構成によれば、高価なセンサを追加することなく、気筒間の燃焼ばらつきを判定し、気筒間に燃焼ばらつきが発生している場合は、インジェクタ12の燃料噴射パラメータを制御することにより、熱効率を悪化させることなく、気筒間のトルク差を最小限に抑えながら、気筒間の燃焼ばらつきを抑えることができる。
また、気筒間の燃焼ばらつきを抑制する際に、インジェクタ12の燃料噴射パラメータを変更して、燃焼の安定していない気筒のみを制御することにより、熱効率悪化や運転領域縮小を防ぐことができる。
さらに、燃料噴射パラメータを、燃料噴射回数、燃料噴射タイミング、燃料噴射量の順に変更して、各気筒に噴射する燃料量をできるだけ揃えることにより、気筒間のトルク差を最小限に抑えることができる。
なお、不安定な燃焼状態にある場合、排気に含まれる高温の燃焼ガスが減少し、排気圧が減少するため、A/Fセンサ46の出力値に加えて、排気圧センサの出力値を使用することにより、激しい燃焼状態と不安定な燃焼状態の判定精度を向上させることができる。
本実施例では、各種センサ情報に基づきECU3が各種の判定や算出を行なう例について説明したが、これに限らず、車両1が外部サーバ等の車外装置と通信可能な通信部を備え、該通信部から送信された各種センサの検出情報に基づき車外装置によって各種の判定や算出が行なわれ、その判定結果や算出結果を通信部で受信して、その受信した判定結果や算出結果を用いて各種制御を行なってもよい。
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
1 車両
2 エンジン(内燃機関)
3 ECU(制御部)
12 インジェクタ(燃料噴射弁)
45 ノックセンサ
46 A/Fセンサ
2 エンジン(内燃機関)
3 ECU(制御部)
12 インジェクタ(燃料噴射弁)
45 ノックセンサ
46 A/Fセンサ
Claims (6)
- 火花点火燃焼と予混合圧縮自着火燃焼とが切り替え可能に構成された複数の気筒を有する内燃機関の燃料制御装置であって、
前記内燃機関のノッキング振動を検出するノックセンサと、
前記内燃機関の排気中の酸素濃度を検出するA/Fセンサと、
前記複数の気筒それぞれに設けられ、該気筒に燃料を噴射する燃料噴射弁と、
前記ノックセンサと前記A/Fセンサにより前記気筒の燃焼状態を検出し、該燃焼状態に応じて前記燃料噴射弁を制御する制御部と、を備える内燃機関の燃料制御装置。 - 前記制御部は、予混合圧縮自着火燃焼領域において、前記ノックセンサの検出結果により燃焼ばらつきが発生しているか否かを検出し、燃焼ばらつきが発生している場合、前記A/Fセンサの検出結果により、激しい燃焼が発生しているか、または、不安定燃焼が発生しているかを検出し、該検出結果に基づいて前記燃料噴射弁を制御する請求項1に記載の内燃機関の燃料制御装置。
- 前記制御部は、燃焼ばらつきが発生している場合、燃料噴射回数、燃料噴射タイミング、燃料噴射量の少なくとも1つを制御する請求項2に記載の内燃機関の燃料制御装置。
- 前記制御部は、燃焼ばらつきが発生している場合、燃料噴射回数、燃料噴射タイミング、燃料噴射量の順に優先制御する請求項3に記載の内燃機関の燃料制御装置。
- 前記制御部は、燃焼ばらつきが発生し、不安定燃焼が発生している場合、燃料噴射タイミングの燃料噴射開始時期を所定値まで進角制御する請求項4に記載の内燃機関の燃料制御装置。
- 前記制御部は、燃焼ばらつきが発生し、激しい燃焼が発生している場合、燃料噴射タイミングの燃料噴射開始時期を所定値まで遅角制御する請求項4に記載の内燃機関の燃料制御装置。
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