JP2020015566A - 線状体引出し装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】運転途中において、線状体の張力の調整が可能であり、線状体が絡まったり、切断されたりすることを容易に抑制でき、安価に実現できる線状体引出し装置を提供する。【解決手段】線状体引出し装置100は、電線81が巻回される巻芯を有するボビン80が載置される載置台2と、ボビン80の中心軸13aを中心として回転自在であり、電線81をボビン80から引き出すフライヤーアーム11と、フライヤーアーム11と一体で回転する回転板14と、回転板14に外周面が接触して配置され、回転板14の回転に合わせて回転するローラ32aおよびローラ32bと、ローラ32aおよびローラ32bを回転板14に押圧する押圧部34と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、巻回された電線等の線状体を引き出す線状体引出し装置に関する。
従来から、ボビンに巻回された線状体を引き出すために、ボビンの周囲を周回自在に設けられたフライヤーを有し、このフライヤーにより線状体をボビンの径方向外方へと引き出す線状体引出し装置が提案されている。
ところで、ボビンには線状体が何重にも巻回されていることから、線状体を引き出す前の線状体の巻径は、線状体が引き出されることにより徐々に減少していき、ボビンの巻芯の径に近づいていくこととなる。このように、巻径が変化することから、線状体を一定のペースで引き出している場合は、線状体が引き出されることに伴い線状体の張力が変化する。具体的には、線状体が引き出されることに伴い巻量が少なくなると、張力が徐々に強くなっていく。ここで、張力が変化することにより引き出される線状体が引き伸びする可能性がある。そして、線状体が引き伸びすることで、切断される等の不具合が生じることがあった。また、線状体の張力が弱すぎても、線状体が弛むことにより線状体が切断される等の不具合が生じることがあった。特に線状体が金属の電線である場合は、電線の張力が強すぎると電線が伸びてしまい線径不良となり、いずれは切断されることとなるとの問題があった。
このような不具合に対して、例えば、線状体の弛み又は張力を検知して、引出し強さを調整しながら運転を継続することが考えられる。しかし、このような検知及び調整を操作者が行う場合は、線状体引出し装置を運転している間中は操作者が監視しておく必要があり、線状体引出し装置の運転時間を考慮すると、実際には困難である。また、このような動作を自動で行うこととするには、センサ等の部材を新たに追加する必要や新たな制御を行う必要があり、線状体引出し装置の製造コストが高くなりすぎるとの問題があり、実現は困難である。
そこで、現状では、フライヤーの回転に対して摩擦が生じるようにして抵抗を加え、線状体の引き出し開始から、線状体の引出し終了までの間において、線状体の張力が強すぎて切断されたり、線状体に弛みが生じて線状体が絡まったり切断されたりすることがないように、フライヤーの回転速度を予め調整することが行われている。例えば、フライヤーと一体となって回転し、かつ、固定された部材に接触するゴム等の抵抗部材を設け、固定された部材と抵抗部材との接触面積等を調整することで摩擦力を調整し、フライヤーの回転速度を調整している。これにより、線状体の張力は好ましい範囲となり、線状体が絡まったり切断されたりするとの不具合を防止できる。また、フライヤーの回転軸に摩擦力をかけることによりフライヤーの回転速度を調整しているものもある。具体的には、スプリング等を用いてフライヤーの回転軸に取り付けたフェルトやベークライト等の抵抗部材を回転軸に押圧することにより、摩擦力を調整してフライヤーの回転速度を調整する。
しかし、これらの方法では、抵抗部材の材料の選択や、摩擦力の調整具合等は、操作者の経験により行われることとなるため、限られた操作者でなければ調整を行うことができない。また、一旦、線状体引出し装置の運転を開始すると、運転中には抵抗部材の調整を行うことができず、最初の調整がうまくいっていなかった場合は、運転途中で線状体に弛みが生じて、線状体が絡まったり、切断されたりすることがあった。そのため、結局は、操作者が、線状体引出し装置の運転を定期的に確認する必要があり、操作者の負担が大きいとの問題があった。特に、生産性を向上させるために、ボビンに巻回される線状体の量が増加する傾向にあることから、線状体の引き出し開始から引出し終了までの時間が長くなっている。例えば、線状体引出し装置の運転が20時間以上継続する場合もあることから、長時間にわたって運転状態を監視することとなり、操作者の負担が大きい。
ここで、例えば、特許文献1には、フライヤーの回転を停止保持させるブレーキ手段を有し、下流側工程において引出しが停止された場合等の不具合が生じた場合には、ブレーキ手段によりフライヤーを停止させて、線状体が絡まったり、切断されたりするといった問題が生じることを抑制することができる解舒装置が開示されている。
特開2013−20349号公報
しかし、特許文献1に記載された解舒装置は、フライヤーの回転速度を調整するのではなく、停止させるものであることから、継続した運転を可能とするものではない。したがって、上記問題を解決するものではない。また、このブレーキ手段は、磁石や磁性体により構成されるものであり、構造が複雑であり、製造コストが高いとの問題もあった。さらに、このようなブレーキ手段はメンテナンスコストも高くなるとの問題もある。
本発明は、上述の問題点に鑑みなされたものであり、運転途中において、線状体が絡まったり、切断されたりすることを抑制でき、安価に実現できる線状体引出し装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る線状体引出し装置は、線状体が巻回される巻芯を有する巻回体が載置される載置台と、前記巻回体に対して回転自在であり、前記線状体を前記巻回体から引き出す線状体ガイドと、前記線状体ガイドと一体で回転する回転体と、前記回転体に外周面が接触して配置され、前記回転体の回転に合わせて回転するローラ体と、前記ローラ体を前記回転体に押圧する押圧部と、を備えることを特徴とする。
このように、線状体ガイドと一体で回転する回転体にローラ体を接触させて押圧することにより、ローラ体により回転体の回転に抵抗を加えて、回転体の回転速度を容易に調整することができる。これにより、回転体と一体で回転する線状体ガイドの回転速度を容易に調整することが可能であり、線状体にかかる張力を調整できる。このため、運転途中において線状体が絡まったり、切断されたりすることを抑制できる。また、構成が簡単なことから安価に実現できるうえ、メンテナンスコストが高くなることもない。さらに、ローラ体は回転しながら回転体に接触していることから、ローラ体及び回転体の摩耗が少なく、劣化しにくい。
また、上記線状体引出し装置において、前記押圧部は、前記ローラ体に前記回転体を押圧する押圧力を調整可能であることとしてもよい。
これにより、押圧力を調整することにより回転体の回転速度の調整を容易に行うことができる。したがって、線状体ガイドの回転速度を容易に調整することが可能であり、運転途中において線状体が絡まったり、切断されたりすることを抑制できる。また、構成が簡単なことから安価に実現できる。さらに、回転体を停止させることなく回転速度を調整することができる。
また、上記線状体引出し装置において、前記回転体は平板状であり、回転方向は主面と略平行であって、前記ローラ体は一対であって、前記各ローラ体は、前記回転体の両主面にそれぞれ接触して、前記回転体を挟むように配置されていることとしてもよい。
これにより、回転体は、ローラ体により両主面が挟まれて押圧される。したがって、回転体の片側方向にのみ力が加えられるわけではないので、回転体の回転方向にぶれが生じることがない。
また、上記線状体引出し装置において、前記回転体は円柱状であり、中心軸を回転軸として回転し、前記ローラ体は前記回転体の外周面は、前記回転体の側面に接触して配置されることとしてもよい。
これにより、ローラ体で回転体をはさむ必要がないので、ローラ体の点数を減らすことができ、コストダウンが可能である。
また、上記線状体引出し装置において、前記回転体は、前記載置台の下方に配置されていることとしてもよい。
このように、有効に利用されていない載置台の下方に回転体が配置されることにより、線状体引出し装置が大型化することを防ぐことができる。また、載置台の下方に回転体が設置されることにより、線状体ガイドによる線状体の引き出し動作を邪魔することなく、押圧部を設けることができる。
また、上記線状体引出し装置において、前記載置台は底面に車輪を有し、前記車輪が接する設置面に対して移動可能であり、前記回転体は、前記載置台の底面と前記設置面との間に位置することとしてもよい。
これにより、巻回体を載置台に載置した状態で、容易に移動させることが可能であり、巻回体を容易に運搬することができる。また、車輪により形成された載置台と設置面との間の空間に回転体が位置することから、この空間を無駄にせず有効に利用することができ、線状体引出し装置が大型化することを防ぐことができる。
本発明によれば、運転途中において、線状体が絡まったり、切断されたりすることを抑制でき、安価に実現できる線状体引出し装置を提供できるという効果を奏する。
本発明の実施形態1に係る線状体引出し装置の構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態1に係る線状体引出し装置のボビンが設置された状態の構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態1に係る線状体引出し装置であって、ボビンが設置された状態の構成を示す側面図である。 本発明の実施形態1に係る線状体引出し装置の載置台の裏側の構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態1に係る線状体引出し装置の押圧部の構成を示す拡大側面図である。 本発明の実施形態1に係る線状体引出し装置の押圧部の動作を説明するための概略図である。 本発明の実施形態2に係る線状体引出し装置の回転体とローラの構成を示す拡大側面図である。
本発明の実施形態に係る線状体引出し装置について、図面を用いて以下に説明する。本発明の実施形態に係る線状体引出し装置は、フライヤーアームの回転と一体に回転する回転板(回転体)に接触するローラを回転板に押圧することにより回転板の回転に抵抗を加えて、回転板の回転を制御するものである。
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係る線状体引出し装置の構成について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る線状体引出し装置の構成を示す斜視図である。図2は、本発明の実施形態1に係る線状体引出し装置のボビンが設置された状態の構成を示す斜視図である。図3は、本発明の実施形態1に係る線状体引出し装置であって、ボビンが設置された状態の構成を示す側面図である。図4は、本発明の実施形態1に係る線状体引出し装置の載置台の裏側の構成を示す斜視図である。
図1は、線状体引出し装置100においてボビン80が載置されていない状態を示した図であり、ボビン80については二点鎖線で示している。また、図2および図3は、ボビン80が載置された線状体引出し装置100を示した図である。また、図4は、線状体引出し装置100の載置台2を裏側(底側)から見た図である。
図1〜図4に示すように、線状体引出し装置100は、電線81が巻き付けられたボビン80が載置される載置台2と、載置台2に対して略垂直方向に伸びる回転軸13と、回転軸13に対して略垂直に交わるように回転軸13に設置されたフライヤーアーム11と、略矩形の載置台2の裏面に角ごとに設けられた4つの車輪21と、載置台2と設置面(地面)との間に位置して回転軸13に接続された回転板14と、回転板14に対して外周面が接触するように配置されたローラ32aおよびローラ32bと、回転板14にローラ32aおよびローラ32bを押しつけて押圧する押圧部34と、押圧部34による押圧力を操作者が調整するための調整グリップ35と、を備えている。
上述したように、載置台2の裏面には4つの車輪21が設けられていることから、載置台2上にボビン80を載せた状態でも線状体引出し装置100は容易に移動することが可能である。なお、車輪21の少なくとも一つにブレーキを取り付けて車輪21の回転を制限できるようにしておくことが好ましい。これにより、線状体引出し装置100が設置場所から勝手に移動するとの不具合を防ぐことができる。なお、車輪21の数は4つに限定されるわけではなく、4つ以外の数でもかまわない。
回転軸13は、載置台2を貫通して設けられ、かつ、載置台2に対して回転自在に設置されている。なお、回転軸13の回転方向は載置台2に平行な面に沿った方向である。つまり、回転軸13はその中心軸13aを回転の中心として回転可能である。また、ボビン80はその中心軸が回転軸13の中心軸13aと略同一となるように載置台2に載置される。
回転軸13の上端にはガイドローラ12aが設置されている。ガイドローラ12aには、図2および図3に示すように、電線81が引掛けられている。電線81がガイドローラ12aに引掛けられていることにより、ボビン80から引き出された電線81は円滑に搬送されていく。
回転軸13の下端には、図3および図4に示すように、回転板14が設置されている。回転板14は、回転軸13と一体である。回転板14は、回転軸13が回転すると回転軸13を中心軸として回転する。回転板14は載置台2と設置面との間に位置している。つまり、車輪21により載置台2と設置面との間に形成された空間に配置されている。これにより、回転板14は設置面及び載置台2と干渉することなく回転することが可能である。また、回転板14を上面側および下面側から挟むようにローラ32aおよびローラ32bが配置され、これらローラ32aおよびローラ32bが押圧部34により回転板14に押し当てられている。また、ローラ32aおよびローラ32bは、回転板14が回転することに合わせて回転するように配置されている。また、回転板14は載置台2と設置面との間に位置していることから、後述する押圧部34の動作においてボビン80から電線81を引き出すことを邪魔することがない。また、載置台2と設置面との間に形成される空間に回転板14が配置されることから、回転板14を配置する場所を新たに設ける必要がなく、線状体引出し装置100が大型化することも抑制できる。
フライヤーアーム11は、回転軸13に対して略垂直に配置されて回転軸13に固着されている。フライヤーアーム11の一端側は略垂直に屈曲されてフライヤーアーム11の先端部は下方へと向かっている。フライヤーアーム11の先端部は高さ方向においてボビン80の中央付近あるいはそれより上方位置に配置される。また、フライヤーアーム11の他端側にはウェイト11aが設置されている。回転軸13が回転した場合に、フライヤーアーム11も回転軸13と一体となって回転するが、ウェイト11aが設置されていることでフライヤーアーム11がバランスよく回転することができ回転軸13の回転がぶれるといった不具合を防止できる。
フライヤーアーム11の一端の先端およびフライヤーアーム11が屈曲している個所にそれぞれガイドローラ12cおよびガイドローラ12bが設置されていて、ガイドローラ12bおよびガイドローラ12cには電線81が引掛けられている。ボビン80から引き出された電線81はガイドローラ12c、ガイドローラ12b、ガイドローラ12a、の順に経由して搬送される。電線81がガイドローラ12a、ガイドローラ12bおよびガイドローラ12cに引掛けられていることにより、ボビン80から引き出された電線81は円滑に搬送される。
ボビン80に巻き付けられた電線81は引っ張られることによりボビン80から解けて引き出されていく。具体的には、電線81は引っ張られて搬送されることにより、フライヤーアーム11がボビン80から電線81を解く方向に回転することとなり、フライヤーアーム11の一端の先端がボビン80の周りを回転することとなり、円滑に電線81が解かれていく。なお、フライヤーアーム11が回転することにともない回転軸13および回転板14も回転する。なお、上述したように、フライヤーアーム11の先端部(ガイドローラ12c)は、高さ方向においてボビン80の中央付近あるいはそれより上方位置に配置されているが、電線81が円滑に解かれる位置であればよく、この位置に限定されるわけではない。
押圧部34の構成について図面を用いて説明する。図5は、本発明の実施形態1に係る線状体引出し装置の押圧部の構成を示す拡大側面図である。図6は、本発明の実施形態1に係る線状体引出し装置の押圧部の構成を概略的に示す図である。
図5に示すように、押圧部34は、自転車等に用いられるいわゆるキャリパーブレーキと同様の仕組みにより、ローラ32aおよびローラ32bを回転板14に押圧する。押圧部34は、Cアーム34aと、Yアーム34bと、Cアーム34aおよびYアーム34bを互いに回動自在に連結する連結部34dと、インナーワイヤW1およびインナーワイヤW1の外側を覆う中空のケーブルであるアウターワイヤW2を有するワイヤWと、Cアーム34aにインナーワイヤW1を締結する締結部34cと、Yアーム34bに固定されアウターワイヤW2に係止される固定具34eと、を備えている。なお、ワイヤWは、自転車等に用いられるいわゆるブレーキワイヤと同じ構成である。
そして、Cアーム34aおよびYアーム34bのそれぞれの先端部にローラ32aおよびローラ32bが接続されている。ローラ32aおよびローラ32bはそれぞれ回転板14の両主面に接触しており、回転板14が回転する際に摩擦力によりローラ32aおよびローラ32bも回転する。ここで、回転板14が回転する際の進行方向は、図5において紙面に対して垂直方向であり、ローラ32aおよびローラ32bの回転板14に接触している個所の進行方向も同様に、図5において紙面に対して垂直方向である。
ここで、押圧部34の動作について説明する。ワイヤWのうちインナーワイヤW1が方向D1に向かって引っ張られると、その反力でアウターワイヤW2が方向D1の反対方向である方向D2に向かって固定具34eを押すこととなる。これにより、ローラ32aおよびローラ32bはそれぞれ回転板14の両主面に押圧されることとなる。具体的には、ローラ32aおよびローラ32bにより回転板14が挟まれており、さらに強い力で挟まれることとなる。この状態から、インナーワイヤW1が引っ張られることがなくなると、ローラ32aおよびローラ32bにより回転板14を挟む力は弱くなる。
ここで、ローラ32aおよびローラ32bによる回転板14を挟む力が強くなると、ローラ32aおよびローラ32bはより強く回転板14に押しつけられることとなり、回転板14の回転に対する抵抗が強くなり、回転板14の回転が阻害されることとなる。つまり、回転板14を回転させるためにはより強い力が必要となり、同じ力で回転させられるのであれば、回転速度が低下することとなる。このように、ローラ32aおよびローラ32bによる回転板14を挟む力を調整することにより、回転板14の回転速度を制御することができる。なお、回転板14は回転軸13の回転に連動しており、さらにフライヤーアーム11の回転とも連動していることから、ローラ32aおよびローラ32bによる回転板14を挟む力を調整することにより、回転軸13およびフライヤーアーム11の回転を制御することが可能である。ローラ32aおよびローラ32bは、例えば、ゴム等により構成されていればよい。
上述したように、ローラ32aおよびローラ32bが回転板14に押圧される押圧力を制御することにより、フライヤーアーム11の回転を制御することが可能である。ただし、回転している回転板14に押圧されるのは、ローラ32aおよびローラ32bであり、回転板14の回転に合わせてローラ32aおよびローラ32bも回転していることから、回転している回転板14の回転が停止されることはない。したがって、回転しているフライヤーアーム11の回転を減速させる等、回転速度が制御されるが、フライヤーアーム11の回転が停止させられることはない。また、ローラ32aおよびローラ32bは、回転しながら回転板14と接触していることから、回転しない部材を回転板14に接触させることに比べて、摩耗することが抑制されることから、劣化しにくい。
このような押圧部34を動作させるための仕組みについて図6を用いて説明する。具体的には、インナーワイヤW1を引っ張る仕組みについて説明する。図6に示すように、調整グリップ35の内部には、外周に複数の溝35bが並んで形成されている回転部材35aと、この溝35bに嵌まり込む凸部35cと、凸部35cを回転部材35a側に付勢するバネ35dが設けられている。また、回転部材35aは調整グリップ35と一体で回転する。さらに、溝35b間の仕切部35は曲面状である。これにより、操作者が調整グリップ35を回転させることにより、回転部材35aも連動して回転し、溝35b間の仕切部分の形状にならって凸部35cが回転部材35aとは反対側に押し戻され、回転部材35aがさらに回転させられることにより、凸部35cは隣の溝35bに嵌まり込むこととなる。
このような構成により、凸部35cが溝35bに嵌まり込んでいる状態では、操作者が調整グリップ35を回転させない限り、回転部材35aが回転することはない。したがって、調整グリップ35は、隣接する溝35b間の距離だけ段階的に回転させることが可能である。つまり、操作者は、調整グリップ35(回転部材35a)を決まった回転量だけ段階的に回転させることができる。回転部材35aにはインナーワイヤW1が巻き付けられており、調整グリップ35がインナーワイヤW1を巻き取るように左回転させられた場合は、インナーワイヤW1が回転部材35aに巻き付く量が増加する。これにより、インナーワイヤW1の引っ張られる量が増加し、押圧部34によりローラ32aおよびローラ32bを回転板14に押圧する力が強くなる。
また、調整グリップ35が右回転させられることにより、インナーワイヤW1が回転部材35aに巻き付いている量が減少する。これにより、インナーワイヤW1の引っ張られる量が減少し、押圧部34によりローラ32aおよびローラ32bを回転板14に押圧する力が弱くなる。
また、凸部35cが溝35bに嵌まった状態では操作者が調整グリップ35を回転させない限り、回転部材35aが回転することはないことから、操作者は、インナーワイヤW1を引っ張る量を段階的に調整することができる。さらに、操作者が異なっても、インナーワイヤW1を段階的に引っ張る量は、操作者が異なっても一定となる。
したがって、操作者は調整グリップ35を回転させることにより、押圧部34を動作させることができ、ローラ32aおよびローラ32bによる回転板14を挟む力を調整することができる。つまり、ローラ32aおよびローラ32bによる回転板14への押圧力を調整して、回転板14の回転速度を調整することができる。そして、操作者によらず、段階的に一定の押圧力とすることが可能である。なお、図示はしていないが、凸部35cが嵌まり込んでいる溝35bごとに対応する数字を表示する構成とすることにより、押圧力の程度が視覚により認識することができることから、操作者が代わっても、ローラ32aおよびローラ32bによる回転板14への押圧力を決まった値とすることが可能である。
本実施形態1に係る線状体引出し装置100の動作について説明する。線状体引出し装置100の載置台2上に電線81が何重にも巻き付けられたボビン80を載置し、ボビン80から出ている電線81をガイドローラ12c、ガイドローラ12b、ガイドローラ12aの順に引掛けて、電線81を搬送する。
電線81が搬送されることによりフライヤーアーム11が回転して、ボビン80の周りを回りながら、電線81をボビン80から解かれて引き出されていく。この際に、回転板14の両主面にはローラ32aおよびローラ32bが接触し、押圧部34によりローラ32aおよびローラ32bが回転板14に押圧されることから、フライヤーアーム11の回転に抵抗が加えられ、回転速度が制御される。
電線81が引き出されていくにしたがい、ボビン80に巻かれた電線81の巻径が減少していき、巻径がボビン80の巻芯の径に近づいていくこととなる。電線81の搬送ペースは一定であるのに対して、電線81巻径が変化することから、電線81の張力が変化することとなる。具体的には、張力が徐々に強くなっていく。ここで、張力が強すぎると電線81が引き伸びして、切断される等の不具合が生じることがある。そこで、電線81の引き出しを開始した際の電線81の張力が弱くなるように、フライヤーアーム11の回転を予め調整しておき、巻径がボビン80の巻芯の径に近づいた場合でも電線81が引き伸びして切断されない程度の張力となるようにしておけばよい。なお、電線81の張力が弱すぎても電線81が弛むことにより絡まって切断される等の不具合が生じることがあるため、フライヤーアーム11の回転の調整はこの点も考慮して行われる。
本実施形態1に係る線状体引出し装置100は、フライヤーアーム11の回転の調整を、調整グリップ35を回すことにより、段階的に容易に行うことができる。また、調整グリップ35により段階的に調整できることから、調整度合いが操作者により変化することがなく、誰が調整しても同様にフライヤーアーム11の回転を調整することができる。
上述したように、フライヤーアーム11の回転の調整は、回転板14に接触して回転板14と共に回転するローラ32aおよびローラ32bによる回転板14に対する押圧力を調整することにより行う。このため、回転している回転板14を停止させることはなく、回転板14の回転速度を制御することができる。また、調整グリップ35は線状体引出し装置100の下方に位置しており、調整グリップ35を操作する際にフライヤーアーム11の回転を邪魔することがない。また、ローラ32aおよびローラ32bは回転していることから、回転しない部材を回転板14に接触させて回転板14の回転を制御することに比べて、摩耗しにくい。同様に、回転板14についても摩耗しにくい。したがって、ローラ32a、ローラ32bおよび回転板14は劣化しにくく、線状体引出し装置100の劣化も抑制される。
また、電線81を解いている最中のフライヤーアーム11の回転を調整することができることから、搬送される電線81の状態を確認しながら、フライヤーアーム11の回転を好ましい状態に制御することができる。
また、線状体引出し装置100は、車輪21を有することから、ボビン80を載置した状態で容易に移動でき、ボビン80の運搬を容易に行うことができる
以上、本実施形態1に係る線状体引出し装置100について説明したが、上述以外の構成であってもよい。例えば、ローラ32aおよびローラ32bの2つのローラを用いずに、1つのローラにより回転板14の一方の主面のみを押圧する構成としてもよい。また、2つよりも多い数のローラにより回転板14を押圧する構成としてもよい。また、押圧部34の構成は、ローラ32aおよびローラ32bを回転板14に押圧できる構成であればよく、上述の構成に限定されるわけではない。また、押圧力を調整する仕組みについても、上述のものに限定されるわけではない。
また、ローラ32aおよびローラ32bが回転板14の中心付近に接触している場合と、回転板14の外周付近に接触している場合とでは、同じ押圧力であっても回転板14に係る摩擦力が異なることとなる。そこで、回転板14におけるローラ32aおよびローラ32bの接触する位置を変更可能とすれば、回転板14の回転制御の自由度が高くなる。これにより、電線81の張力調整の自由度も増加させることができる。
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係る線状体引出し装置の構成について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施形態1に係る線状体引出し装置100と同様の構成および同様の動作については説明を省略する。図7は、本発明の実施形態2に係る線状体引出し装置の回転体とローラの構成を示す拡大側面図である。
本実施形態2に係る線状体引出し装置は、本実施形態1に係る線状体引出し装置100と異なり、回転板14の代わりに円柱状の回転体15を備えている。また、2つのローラであるローラ32aおよびローラ32bの代わりに1つのローラであるローラ32cを備えている。
図7に示すように、回転軸13の下端に回転体15が設置されており、回転体15は回転軸13と一体である。回転体15は、回転軸13が回転すると回転軸13を中心軸として回転する。また、回転体15は、回転板14と同様に、載置台2と設置面との間に位置している。ローラ32cは、この回転体15の側面に対しての外周面が接触するように設置されている。また、ローラ32cは、回転体15の回転に合わせて回転するように設置されている。そして、図示はしていないが、押圧部によりローラ32cは回転体15に押し当てられ、ローラ32cによる回転体15への押圧力は段階的に調整できるように構成されている。なお、押圧部の構成および押圧部の押圧力を調整する機構ついては公知のものを使用すればよく、説明を省略する。
本実施形態2に係る線状体引出し装置において、上述以外の構成については、本実施形態1に係る線状体引出し装置100と同一の構成とすればよい。本実施形態2に係る線状体引出し装置によれば、ローラ32cによる回転体15への押圧力を調整することにより、フライヤーアーム11の回転の調整行うことができる。このため、回転している回転体15を停止させることはなく、回転体15の回転速度を制御することができる。これにより、フライヤーアーム11の回転を制御することができる。また、ローラ32cは回転していることから、回転しない部材を回転体15に接触させて回転体15の回転を制御することに比べて、摩耗しにくい。同様に、回転体15についても摩耗しにくい。これにより、これらは劣化しにくく、線状体引出し装置の劣化も抑制される。
また、本実施形態2に係る線状体引出し装置によれば、1つのローラであるローラ32cにより回転体15を押圧する構成であることから、ローラの数が少なくてもよく、線状体引出し装置のコストダウンが可能である。
なお、ローラ32cは複数設置されていてもよく、回転体15に押圧されればよいことから、例えば、回転体15の側面を挟むように一対のローラが配置されることしてもよい。
以上、説明した本実施形態1、2に係る線状体引出し装置100によれば、操作者のカンやコツに頼らずに、電線81の張力の調整を誰でもが容易に行うことができる。また、調整の程度を数値化することも可能である。これにより、線状体が絡まったり、切断されたりすることを容易に抑制することができる。さらに、この調整は、線状体引出し装置100を停止させずに運転状態において行うことができる。また、線状体引出し装置100は簡易な構造であり、低コストで実現することが可能である。また、メンテナンスコストも抑えることができる。
上述の説明において、本実施形態1、2に係る線状体引出し装置100は、電線81を搬送するにあたり、ボビン80から電線81を解いて引き出すこととしているが、電線以外の線状体が巻かれたボビンからその線状体を引き出すものとしてもよい。例えば、糸が巻かれたボビンから、糸を引き出すものとしてもよい。
以上、本発明に係る線状体引出し装置について具体例を用いて説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではない。本発明の各部の構成等は、本発明の趣旨に沿って適宜変更可能である。
本発明は、電線等の線状体が巻かれたボビンから線状体を引き出す装置として利用可能である。
2 載置台
11 フライヤーアーム(線状体ガイド)
11a ウェイト
12a、12b、12c ガイドローラ
13 回転軸
13a 中心軸
14 回転板(回転体)
15 回転体
21 車輪
32a、32b、32c ローラ(ローラ体)
34 押圧部
34a Cアーム
34b Yアーム
34c 締結部
34d 連結部
34e 固定具
35 調整グリップ
35a 回転部材
35b 溝
35c 凸部
35d バネ
80 ボビン(巻回体)
81 電線(線状体)
100 線状体引出し装置
D1、D2 方向
W ワイヤ
W1 インナーワイヤ
W2 アウターワイヤ
本発明の一態様に係る線状体引出し装置は、線状体が巻回される巻芯を有する巻回体が載置される載置台と、前記巻回体に対して回転自在であり、前記線状体を前記巻回体から引き出す線状体ガイドと、前記線状体ガイドと一体で回転する回転体と、前記回転体に外周面が接触して配置され、前記回転体の回転に合わせて回転するローラ体と、前記ローラ体を前記回転体に押圧する押圧部と、を備え、前記ローラ体は一対であって、前記各ローラ体は、前記回転体を挟むように配置されていることを特徴とする。
また、上記線状体引出し装置において、前記回転体は平板状であり、回転方向は主面と略平行であって、前記各ローラ体は、前記回転体の両主面にそれぞれ接触していることとしてもよい。
また、上記線状体引出し装置において、前記回転体は円柱状であり、中心軸を回転軸として回転し、前記ローラ体は、前記回転体の側面にそれぞれ接触してることとしてもよい。

Claims (6)

  1. 線状体が巻回される巻芯を有する巻回体が載置される載置台と、
    前記巻回体に対して回転自在であり、前記線状体を前記巻回体から引き出す線状体ガイドと、
    前記線状体ガイドと一体で回転する回転体と、
    前記回転体に外周面が接触して配置され、前記回転体の回転に合わせて回転するローラ体と、
    前記ローラ体を前記回転体に押圧する押圧部と、を備える、線状体引出し装置。
  2. 前記押圧部は、前記ローラ体に前記回転体を押圧する押圧力を調整可能である、請求項1記載の線状体引出し装置。
  3. 前記回転体は平板状であり、回転方向は主面と略平行であって、
    前記ローラ体は一対であって、前記各ローラ体は、前記回転体の両主面にそれぞれ接触して、前記回転体を挟むように配置されている、請求項1または請求項2記載の線状体引出し装置。
  4. 前記回転体は円柱状であり、中心軸を回転軸として回転し、
    前記ローラ体は前記回転体の外周面は、前記回転体の側面に接触して配置される、請求項1または請求項2記載の線状体引出し装置。
  5. 前記回転体は、前記載置台の下方に配置されている、請求項1〜請求項4のいずれか記載の線状体引出し装置。
  6. 前記載置台は底面に車輪を有し、前記車輪が接する設置面に対して移動可能であり、
    前記回転体は、前記載置台の底面と前記設置面との間に位置する、請求項1〜請求項5のいずれか記載の線状体引出し装置。
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