以下、図面を参照しながら一実施の形態について説明する。以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
また、以下の実施の形態において、「X方向」とは、運搬用台車の長手方向に平行かつ運搬用台車が配置される床面に平行な方向であり、「Y方向」とは、X方向に垂直かつ運搬用台車が配置される床面に平行な方向である。「Z方向」とは、鉛直方向に平行な方向である。また、「正面」とは、床面に垂直な面であって、ネスティングする際に他の運搬用台車が進入してくる方向を向く面をいい、「背面」とは、床面に垂直な面であって、正面に対向する面をいう。「天面」とは、床面に平行な面であって、運搬用台車の上方側の面をいい、「底面」とは、床面に平行な面であって、運搬用台車の下方側の面をいう。「側面」とは、床面に垂直な面であって、運搬用台車の長手方向端部側の面をいう。
(運搬用台車の構成)
本実施の形態による運搬用台車の構成について、図1乃至図5を用いて説明する。図1は、本実施の形態による運搬用台車の各パネルを外している状態を示す分解斜視図である。図2は、本実施の形態による運搬用台車が展開状態となっている斜視図である。図3は、本実施の形態による運搬用台車が折り畳み状態となっている斜視図である。図4は、台車の斜視図である。図5は、台車の部分拡大正面図である。
図1に示すように、本実施の形態による運搬用台車10は、台車(台車本体)50と、台車50に対してそれぞれ展開および折り畳み自在に設けられた複数(この場合は6枚)のパネル11〜16とを備えている。このうち複数のパネル11〜16は、展開して箱状に組立てられた展開状態(図2参照)と、複数のパネル11〜16を折り畳むことにより他の運搬用台車とネスティング可能となる折り畳み状態(図3参照)をとることができる。
運搬用台車10は、例えば店舗、工場、物流過程等において、保冷または保温が必要な積載物を保管したり搬送したりする際に使用される。このような運搬用台車10は、積載物を収納することが可能な収容空間20(後述)が6つのパネル11〜16によって取り囲まれていることにより、運搬用台車10の内部の温度変化が極力抑制されるように構成されている。一方、運搬用台車10を使用しない場合には、他の同一の運搬用台車10とネスティングする(入れ子状に重ねる)ことにより、2台の運搬用台車10をコンパクトに収納しておくことが可能である。
次に、図4を参照して、台車50の構成について説明する。図4は、台車50を示す斜視図である。図4に示すように、台車50は、第1側枠51と、第2側枠52と、第1側枠51と第2側枠52とを互いに連結する連結部材53とを有している。この場合、台車50は、6輪の車輪61〜66を有し、車輪61〜66は、それぞれ連結部材53から下方に向けて取り付けられている。
第1側枠51は、台車50の長手方向一端部(X方向マイナス側端部)に設けられており、連結部材53から上方(Z方向プラス側)に向かって突設されている。第1側枠51は、連結部材53に連結される下方支持部54と、下方支持部54に連結された環状(長方形状)の周縁枠55と、周縁枠55の内側でそれぞれ水平方向(Y方向)に延びる複数の横桟56とを有している。複数の横桟56は、上下方向(Z方向)に沿って互いに等しい間隔を空けて配置されている。第1側枠51の下方には、2輪の車輪61、62が設けられている。なお、周縁枠55の正面側又は背面側(Y方向マイナス側又はY方向プラス側)の一方の下部に湾曲部が形成されていても良い。また、周縁枠55の正面側又は背面側(Y方向プラス側又はY方向マイナス側)の他方の下端を延長し、車輪取付フレーム67に連結しても良い。
第2側枠52は、台車50の長手方向他端部(X方向プラス側端部)に設けられており、連結部材53から上方(Z方向プラス側)に向かって突設されている。第2側枠52の構成は、上述した第1側枠51の構成と略同一である。第2側枠52の下方には、2輪の車輪65、66が設けられている。
連結部材53は、平面視略王字状(2つの「E」の字を背中合わせにした形状)であり、台車50の長手方向(X方向)に延びる中央フレーム57と、中央フレーム57にそれぞれ連結された3つの車輪取付フレーム67〜69とを有している。
中央フレーム57は、台車50の幅方向(Y方向)略中央部に位置している。この中央フレーム57は、運搬用台車10およびその積載物の荷重を保持するのに十分な強度を有する一方、運搬用台車10同士をネスティングする際の妨げにならない程度の細い幅を有している。具体的には、中央フレーム57の幅Wa(Y方向の長さ)は、台車50の最大幅Wb(Y方向の長さ)の5%以上33%以下としても良い。また、間隔Pa、Pbは、台車50の最大幅Wbにもよるが、例えば20mm以上200mm以下としても良い。
3つの車輪取付フレーム67〜69は、それぞれ中央フレーム57に直交する方向(Y方向)に延びている。この車輪取付フレーム67〜69は、第1側枠51側に位置する第1車輪取付フレーム67と、第1側枠51と第2側枠52との間に位置する第2車輪取付フレーム68と、第2側枠52側に位置する第3車輪取付フレーム69とからなる。車輪取付フレーム67〜69は、それぞれ中央フレーム57の下面(Z方向マイナス側の面)に固定されており、これにより、他の運搬用台車10とネスティングする際、車輪取付フレーム67〜69が他の運搬用台車10の中央フレーム57と干渉しないようになっている。
第1車輪取付フレーム67と第2車輪取付フレーム68とは、台車50の長手方向(X方向)に間隔Paを空けて配置されている。第2車輪取付フレーム68と第3車輪取付フレーム69とは、台車50の長手方向(X方向)に間隔Pbを空けて配置されている。この場合、第1車輪取付フレーム67と第2車輪取付フレーム68との間隔Paは、第2車輪取付フレーム68と第3車輪取付フレーム69との間隔Pbと等しくても良く(Pa=Pb)、間隔Pbとは異なっていても良い。
第1車輪取付フレーム67は、中央フレーム57の長手方向一端部(X方向マイナス側端部)に設けられている。第1車輪取付フレーム67の長手方向両端部(Y方向両端部)には、それぞれ第1車輪61および第2車輪62が取り付けられている。
第2車輪取付フレーム68は、中央フレーム57の長手方向中央部(X方向中央部)に設けられている。第2車輪取付フレーム68の長手方向両端部(Y方向両端部)には、それぞれ第3車輪63および第4車輪64が取り付けられている。第2車輪取付フレーム68の幅(X方向の長さ)Wcは、運搬用台車10同士をネスティングする際の妨げにならない程度に細くなっている。具体的には、第2車輪取付フレーム68の幅Wcは、台車50の最大長さ(X方向の長さ)Laの3.7%以上12.6%以下としても良い。また、幅Wcは、台車50の最大長さLaにもよるが、例えば5mm以上150mm以下としても良い。
第3車輪取付フレーム69は、中央フレーム57の長手方向他端部(X方向プラス側端部)に設けられている。第3車輪取付フレーム69の長手方向両端部(Y方向両端部)には、それぞれ第5車輪65および第6車輪66が取り付けられている。
車輪61〜66は、上述したように、第1車輪61、第2車輪62、第3車輪63、第4車輪64、第5車輪65および第6車輪66から構成されている。このうち第1車輪61、第2車輪62、第5車輪65および第6車輪66は、自在輪となっており、それぞれ水平な車軸に沿って回転するとともに、鉛直方向(Z方向)に延びる旋回軸によって旋回可能となっている。一方、第3車輪63および第4車輪64は、固定輪となっており、それぞれ水平な車軸に沿って回転する一方、鉛直方向(Z方向)軸周りには旋回不可能となっている。
なお、車輪61〜66は、運搬用台車10に積載物を載せて走行する際には、安定して直進走行できるように、中央の固定輪(第3車輪63および第4車輪64)と前後いずれか一方の自在輪(第1車輪61と第2車輪62、または、第5車輪65と第6車輪66)の2輪を組み合わせて、接地するようにしても良い。また、運搬用台車10に積載物を載せない場合には、切り回しやネスティングをしやすくし、小回りが利きやすくするため、中央の固定輪(第3車輪63および第4車輪64)を接地させずに、前後両方の自在輪(第1車輪61、第2車輪62、第5車輪65および第6車輪66)のみを接地させるようにしても良い。なお、これに限らず、台車50は、4輪の車輪61、62、65、66を有し、第2車輪取付フレーム68を有していなくても良い。
また、連結部材53上には、折り畳み可能な底板58が設けられている。この底板58は、略直方体状であり、長手方向(X方向)において第1側枠51と第2側枠52との間に延び、短手方向(Y方向)において第1側枠51および第2側枠52と略同一の長さを有している。また、底板58は、運搬用台車10の積載物の荷重を保持するのに十分な強度を有しており、その厚みTaは、例えば1cm以上20cm以下、好ましくは3cm以上15cm以下としても良い。
底板58は、連結部材53に対して移動可能であり、連結部材53上に配置される展開状態(図2および図4参照)と、連結部材53に対して持ち上げられて第2側枠52の周囲に折り畳まれた折り畳み状態(図3参照)とをとることができる。すなわち、パネル11〜16が展開して箱状に組立てられた展開状態(図2および図4参照)をとる場合、底板58は、水平な展開状態に配置される。一方、複数のパネル11〜16を折り畳んで折り畳み状態(図3参照)をとる場合、底板58は、垂直に持ち上げられて折り畳み状態に配置される。
図5に示すように、底板58は、下方支持部54の内側(X方向マイナス側)に設けられた支点部58aを中心として回動自在となっている。この支点部58aは、底面パネル16(後述)よりも下方(Z方向マイナス側)に位置している。この場合、底板58と下方支持部54とを連結する連結部(支点部58a)の全体が、パネル11〜16の外方に位置している。これにより、後述するように周囲が断熱材で囲まれている場合は、連結部が収容空間20(後述)と外気とに跨がって配置されることがなく、連結部がヒートブリッジとなって収容空間20の断熱性が低下してしまうことを防止することができる。また、底板58を折り畳み状態と展開状態との間で移動する間に、連結部(支点部58a)がパネル11〜16に干渉してしまうおそれもない。
(パネルの構成)
次に、図1乃至図3を参照して、パネル11〜16の構成について説明する。
パネル11〜16は、全体として台車50に対して展開および折り畳み自在に設けられており、上述したように、展開して箱状に組立てられた展開状態(図2)と、ネスティング可能となる折り畳み状態(図3)とをとることができる。
図2は、パネル11〜16が展開状態にある場合を示している。図2に示すように、パネル11〜16は、展開状態において略直方体形状となるものであり、天面パネル11と、正面パネル12と、背面パネル13と、第1側面パネル14と、第2側面パネル15と、底面パネル16とを含んでいる。天面パネル11と、第1側面パネル14と、第2側面パネル15と、背面パネル13と、正面パネル12と、底面パネル16とは、その主たる面(各パネルを構成する6つの面のうち、最も広い互いに対向する一対の面)がそれぞれ略長方形形状となっている。また、正面パネル12と背面パネル13とは、その主たる面が互いに略同一の大きさを有しており、第1側面パネル14と第2側面パネル15とは、その主たる面が互いに略同一の大きさを有している。各パネル11〜16は、それぞれ剛性をもつ板状の部材からなり、使用時に柔軟に変形しないようになっている。
展開状態において、6つのパネル11〜16に取り囲まれることにより、積載物を収容する収容空間20を形成することが可能である。これら各パネル11〜16を展開状態にすると、各パネル11〜16の間に略直方体形状の収容空間20が形成される。収容空間20は、後述するように周囲が断熱材で囲まれている場合は、外部との熱の流入や流出が制限され、断熱性を維持することができる。また、6つのパネル11〜16の少なくとも一部は、それぞれ隣接する他のパネル11〜16に対して移動可能に設けられている。これにより、運搬用台車10は、収容空間20が形成されている展開状態から、収容空間20が形成されない折り畳み状態に変更すること、および折り畳み状態から展開状態に変更することが可能である。このため、運搬用台車10を使用しない場合には、パネル11〜16を折り畳み状態とすることにより、他の運搬用台車10とネスティングすることが可能となる。また展開状態において、6つのパネル11〜16は、それぞれその周縁が他のいずれかのパネル11〜16と密着するようになっており、これにより収容空間20の密閉性が確保されている。
6つのパネル11〜16は、後述するように、それぞれ真空断熱材41を含む断熱部40を有する断熱パネルを含んでいる(図6参照)。なお、本実施の形態では、6つのパネル11〜16は、それぞれ真空断熱材41を含んでいるが、これに限定されるものではない。一部または全部のパネル11〜16は、例えば発泡断熱材等の断熱材を含んでいてもよい。
次に、各パネル11〜16それぞれの構成について更に説明する。なお、以下において、「パネル11〜16(部分パネル)が所定の面に対して平行(垂直)である」とは、「パネル11〜16(部分パネル)の主たる面が所定の面に対して平行(垂直)である」ことを意味する。
(天面パネル)
天面パネル11は、展開状態(図2)において、天面側(Z方向プラス側)に位置するパネルであり、水平面(XY平面)に対して平行に配置される。また、展開状態において、天面パネル11は、台車50の第1側枠51および第2側枠52と、第1側面パネル14と、第2側面パネル15と、背面パネル13と、正面パネル12との上方に配置される。
この天面パネル11は、部分的に開閉可能かつ折り畳み可能な構造であり、第1側枠51側に位置する第1天面部分パネル11aと、第1側枠51と第2側枠52との間に位置する第2天面部分パネル11bと、第2側枠52側に位置する第3天面部分パネル11cとを有している。このうち第2天面部分パネル11bは、天面ヒンジ部材21a(図14(b)参照)を介して第3天面部分パネル11cに対して折り畳み自在に取り付けられている。また、第2天面部分パネル11bは、面ファスナー(着脱部材)21b(図14(b)参照)を介して第1天面部分パネル11aに着脱自在に取り付けられており、面ファスナー21bを取り外した場合、第2天面部分パネル11bは第1天面部分パネル11aから分離するように構成されている。
第1天面部分パネル11aと第2天面部分パネル11bと第3天面部分パネル11cとは、展開状態(図2)において、ともに水平(XY平面に平行)に配置される。一方、折り畳み状態(図3)においては、第1天面部分パネル11aおよび第3天面部分パネル11cは、引き続き水平に配置される。これに対して、第2天面部分パネル11bは、第1天面部分パネル11aから取り外されることにより、下方に向けて折り畳まれ、第3天面部分パネル11cから垂れ下がるように配置される。このとき、第2天面部分パネル11bは、第2側枠52の内側周囲であって、折り畳まれた底板58に対して内側(X方向マイナス側)に配置され、YZ平面に平行となる。
(正面パネル)
正面パネル12は、展開状態(図2)において、正面側(Y方向マイナス側)に位置するパネルであり、水平面(XY平面)に対して垂直(ZX平面に平行)に配置される。また、展開状態において、正面パネル12は、台車50の第1側枠51と第2側枠52との間に配置される。
この正面パネル12は、開閉可能かつ折り畳み可能な構造であり、第1側枠51側に位置する第1正面部分パネル12aと、第1側枠51と第2側枠52との略中間に位置する第2正面部分パネル12bと、第2側枠52側に位置する第3正面部分パネル12cとを有している。このうち第1正面部分パネル12aは、第1正面ヒンジ部材22a(図9(a)、図10(a)−(c)参照)を介して第1側面パネル14に折り畳み自在に取り付けられている。また、第2正面部分パネル12bは、第2正面ヒンジ部材22b(図9(a)、図10(a)−(c)参照)を介して第1正面部分パネル12aに対して折り畳み自在に取り付けられている。さらに、第3正面部分パネル12cは、第3正面ヒンジ部材22c(図9(a)、図10(a)−(c)参照)を介して第2正面部分パネル12bに折り畳み自在に取り付けられている。なお、第3正面部分パネル12cと第2側面パネル15とは、互いに分離しており、例えば図示しない面ファスナー(着脱部材)を介して、互いに着脱自在に取り付けられても良い。
第1正面部分パネル12aと第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとは、展開状態(図2)において、ともに水平面(XY平面)に対して垂直(ZX平面に平行)に配置される。一方、折り畳み状態(図3)においては、第1正面部分パネル12aと第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとが、互いに重なるように屏風状に折り畳まれ、さらに鉛直軸(Z方向軸)周りに回転して、第1側面パネル14の外側(X方向マイナス側)に配置される。このとき、第1正面部分パネル12aと第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとは、折り重なって第1側枠51の外側周囲に配置され、YZ平面に平行となる。
このように、第1正面部分パネル12a、第2正面部分パネル12bおよび第3正面部分パネル12cを第1側枠51よりも外側に配置することにより、積載物を収容する収容空間20を広く確保することができる。また、底板58を第2側枠52側に持ち上げる際に、第1正面部分パネル12a、第2正面部分パネル12bおよび第3正面部分パネル12cが移動中の底板58に干渉することを防止している。なお、第1正面部分パネル12a、第2正面部分パネル12bおよび第3正面部分パネル12cの幅(折り畳み状態におけるY方向の長さ)は、互いに略同一としても良い。また、第1正面部分パネル12a、第2正面部分パネル12bおよび第3正面部分パネル12cの幅は、第1側枠51の幅(Y方向の長さ)と略同一、あるいは第1側枠51の幅よりも長くなっている。
(背面パネル)
背面パネル13は、展開状態(図2)および折り畳み状態(図3)の両方において、背面側(Y方向プラス側)に位置するパネルであり、水平面(XY平面)に対して垂直(ZX平面に平行)に配置される。また、展開状態および折り畳み状態の両方において、背面パネル13は、台車50の第1側枠51と第2側枠52との間に延びている。
この背面パネル13は、開閉不可能かつ折り畳み不可能な構造であり、一枚の板状の部材から構成されている。背面パネル13は、展開状態(図2)および折り畳み状態(図3)の両方において、移動することなく、台車50の第1側枠51および第2側枠52に対して開閉できないように固定されている。背面パネル13は、図示しない連結手段により第1側枠51および第2側枠52に直接固定されているが、これに限らず、第1側面パネル14、第2側面パネル15および/または連結部材53を介して、間接的に第1側枠51および第2側枠52に固定されていても良い。
(第1側面パネル)
第1側面パネル14は、展開状態(図2)および折り畳み状態(図3)の両方において第1側枠51側(X方向マイナス側)に位置するパネルであり、水平面(XY平面)に対して垂直(YZ平面に平行)に配置される。この第1側面パネル14は、開閉不可能かつ折り畳み不可能な構造であり、一枚の板状の部材から構成される。また、第1側面パネル14は、展開状態(図2)および折り畳み状態(図3)の両方において、移動することなく、台車50の第1側枠51の外側周囲に配置され、YZ平面に平行となっている。第1側面パネル14は、第1側枠51の外側全体を覆う程度の大きさとなっており、図示しない連結手段により第1側枠51に対して開閉できないように固定されている。
(第2側面パネル)
第2側面パネル15は、展開状態(図2)および折り畳み状態(図3)の両方において第2側枠52側(X方向プラス側)に位置するパネルであり、水平面(XY平面)に対して垂直(YZ平面に平行)に配置される。この第2側面パネル15は、開閉不可能かつ折り畳み不可能な構造であり、一枚の板状の部材から構成される。また、第2側面パネル15は、展開状態(図2)および折り畳み状態(図3)の両方において、移動することなく、台車50の第2側枠52の外側周囲に配置され、YZ平面に平行となっている。第2側面パネル15は、第2側枠52の外側全体を覆う程度の大きさとなっており、図示しない連結手段により第2側枠52に対して開閉できないように固定されている。
(底面パネル)
底面パネル16は、展開状態(図2)において、底面側(Z方向マイナス側)に位置するパネルであり、水平面(XY平面)に対して平行に配置される。また、展開状態において、底面パネル16は、台車50の底板58上であって、第1側枠51と第2側枠52との間に配置される。底面パネル16は、一枚の板状の部材から構成され、持ち上げることにより開閉可能かつ折り畳み可能な構造を有する。この底面パネル16は、底面ヒンジ部材26a(図12(b)参照)を介して第1側枠51に対して折り畳み自在に取り付けられている。
底面パネル16は、展開状態(図2)において、水平面(XY平面)に対して平行に配置される。一方、折り畳み状態(図3)において、底面パネル16は、第1側枠51の内側(X方向プラス側)に重なるように折り畳まれ、第1側枠51の内側周囲に位置する。すなわち折り畳み状態において、底面パネル16は、水平面(XY平面)に対して垂直(YZ平面に平行)に配置される。このとき、底面パネル16は、例えば面ファスナー(着脱部材)26b(図12(b)参照)を介して第1側枠51に着脱可能に取り付けられる。この場合、面ファスナー26bにより、底面パネル16を第1側枠51に取り付けたり、底面パネル16を第1側枠51から取り外したりする作業を容易に行うことができる。また、面ファスナー26bは一定の面積を持つため、底面パネル16を第1側枠51に対して厳密に位置合わせしなくても、底面パネル16を第1側枠51に取り付けることが可能となる。さらに、底面パネル16の面方向の位置ずれや寸法誤差を吸収することができ、底面パネル16の第1側枠51に対する取付位置を微調整することも容易である。
なお、上述した天面ヒンジ部材21a、第1正面ヒンジ部材22a、第2正面ヒンジ部材22b、第3正面ヒンジ部材22c、および底面ヒンジ部材26aは、それぞれ例えば折曲自在な接続布(接続部材)から構成されても良い。このように、各ヒンジ部材21a、22a、22b、22c、26aを接続布から構成することにより、各パネル(部分パネル)を容易に展開したり折り畳んだりすることができる。
図3は、上述したように、パネル11〜16が折り畳み状態にある場合を示している。図3に示すように、折り畳み状態において、各パネル11〜16の一部(天面パネル11、正面パネル12、第1側面パネル14、第2側面パネル15および底面パネル16)がそれぞれ第1側枠51または第2側枠52の周囲に折り畳まれている。
すなわち、第1側枠51の周囲には、外側(X方向マイナス側)から順に、第3正面部分パネル12cと、第2正面部分パネル12bと、第1正面部分パネル12aと、第1側面パネル14と、底面パネル16とが重なっている。なお、第1側枠51は、第1側面パネル14と底面パネル16との間に位置する。また、第2側枠52の周囲には、外側(X方向プラス側)から順に、第2側面パネル15と、底板58と、第2天面部分パネル11bとが重なっている。なお、第2側枠52は、第2側面パネル15と底板58との間に位置する。
この場合、第1側枠51および第2側枠52の周囲には、それぞれ第1パネル群G1および第2パネル群G2が形成されている。このうち第1パネル群G1は、第3正面部分パネル12cと、第2正面部分パネル12bと、第1正面部分パネル12aと、第1側面パネル14と、第1側枠51と、底面パネル16とによって構成される。また、第2パネル群G2は、第2側面パネル15と、第2側枠52と、底板58と、第2天面部分パネル11bとによって構成される。なお、本実施の形態において、第1パネル群G1(第2パネル群G2)には、各パネル11〜16の全部または一部だけでなく、第1側枠51(第2側枠52)や底板58も含まれる。
各パネル11〜16の厚みは、それぞれ例えば5mm以上50mm以下とすることが好ましい。本実施の形態において、各パネル11〜16の厚みが互いに同一である場合を例にとって説明するが、各パネル11〜16の厚みが互いに異なっていても良い。また、第1側枠51および第2側枠52の厚み(X方向の長さ)は、例えば10mm以上50mm以下である。
(パネルの内部構造)
次に、各パネル11〜16の構造について説明する。図6は、各パネル11〜16の断熱部40を示す断面図である。図7(a)(b)は、断熱部40に含まれる真空断熱材41を示す断面図である。
図6に示すように、各パネル11〜16の断熱部40は、真空断熱材41と、発泡断熱材42と、断熱外囲部43と、断熱材保護部材44と、遮熱シート45とを有している。
このうち真空断熱材41は、発泡断熱材42に取り付けられている。この真空断熱材41は、芯材41aと、芯材41aの周囲に設けられた外装材41bとから構成されている。真空断熱材41の収容空間20側(図6の下方側)には、発泡断熱材42が配置されている。これにより、収容空間20に入れた積載物がぶつかったときに真空断熱材41が破損する危険性を低減することができる。
発泡断熱材42は、真空断熱材41の少なくとも収容空間20側に隣接して配置することができる。発泡断熱材42には、公知の発泡性の断熱材を用いることができ、例えばポリウレタン発泡体、ポリスチレン発泡体、ポリオレフィン発泡体、フェノール樹脂発泡体等であってもよい。
断熱外囲部43は、真空断熱材41を取り囲むように形成されている。この断熱外囲部43は、発泡断熱材42上に配置されており、発泡断熱材42に固定されている。断熱外囲部43が真空断熱材41を取り囲むように配置されていることにより、断熱外囲部43が配置されていない場合と比べて、断熱性能が向上する。また、真空断熱材41を発泡断熱材42と略同一面積とし、断熱外囲部43を用いないパネル構成も可能である。この場合、より断熱性能の向上が図れるが、断熱外囲部43が無い分、脇からの鋭利なものの侵入による真空断熱材41の破袋に対しては弱くなる恐れはある。なお、断熱外囲部43と真空断熱材41との間には若干の隙間が形成されており、真空断熱材41の大きさが多少変化した場合であっても、真空断熱材41を断熱外囲部43内に収容できるようになっている。
また、断熱材保護部材44は、断熱外囲部43上に設けられており、主として真空断熱材41を保護する役割を果たす。この断熱材保護部材44としては、例えば有機高分子製の保護材を用いることができる。
遮熱シート45は、真空断熱材41、発泡断熱材42、断熱外囲部43および断熱材保護部材44の外周全体を包むように配置されている。この遮熱シート45は、真空断熱材41と発泡断熱材42との全体を覆って配置することができる。遮熱シート45としては、例えば金属箔を含む多層シートや、樹脂シートの片面に蒸着層が形成された蒸着シート等があげられる。
次に、真空断熱材41について更に説明する。図7(a)に示すように、真空断熱材41は、芯材41aと、ガスバリア性を有する外装材41bとから構成されており、外装材41b内を減圧して得られる断熱材である。図7(b)は、真空断熱材41の他の一例である。図7(a)では、真空断熱材41の内部の両端に空隙が形成されているが、図7(b)では、空隙が形成されていない。空隙は、真空断熱材41の製造方法の違いにより形成されたり形成されなかったりする。
芯材41aは、従来から使用される公知の真空断熱材の芯材に用いられる材料を使用することができ、例えば、シリカ等の粉体、ウレタンポリマー等の発泡体、グラスウール等の繊維体等の多孔質体を使用してもよい。
外装材41bは、芯材41aの外周を覆う部材であり、芯材から熱溶着層、ガスバリア層が順に積層された可撓性を有するシートを使用してもよい。ガスバリア層は、金属箔、樹脂シートの片面に蒸着層が形成された蒸着シート等を使用してもよい。金属箔は、例えばアルミニウムを使用することができる。蒸着層は、例えば、アルミニウム、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物を使用することができる。
(運搬用台車の分解および組立て)
次に、運搬用台車10を分解および組立てする際の作用について説明する。
(運搬用台車の分解)
図8乃至図14は、運搬用台車10を順番に分解する場合の各々の工程を説明する図である。なお、図8(a)、図9(a)、図10(a)−(c)、図11(a)、図12(a)、図13(a)、図14(a)は、それぞれ運搬用台車10の平面図であり、天面パネル11の表示を省略している。また、図8(b)、図9(b)、図11(b)、図12(b)、図13(b)、図14(b)は、運搬用台車10を示す正面図である。
まず、図8(a)(b)に示すように、運搬用台車10の6つのパネル11〜16が、展開して箱状に組立てられ、展開状態となっている場合を想定する。このとき、各パネル11〜16の間には、略直方体形状の収容空間20が形成されている。なお、図示しないが、収容空間20内には、食品等の積載物が収納されていても良い。
次に、図9(a)(b)に示すように、正面パネル12を折り畳むことにより、正面パネル12が開放され、展開状態から折り畳み状態に移行する。
この間、まず図10(a)に示すように、第1正面部分パネル12aと第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとが、屏風状に折り畳まれる。具体的には、第1正面部分パネル12aが、第1正面ヒンジ部材22aを中心として第1側面パネル14に対して平面視で時計回りに回転する。また、第2正面部分パネル12bは、第2正面ヒンジ部材22bを中心として第1正面部分パネル12aに対して平面視で反時計回りに回転する。さらに、第3正面部分パネル12cは、第3正面ヒンジ部材22cを中心として第2正面部分パネル12bに対して平面視で時計回りに回転する。
続いて、図10(b)に示すように、第1正面部分パネル12aと第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとが互いに重なり、この状態で、第1正面ヒンジ部材22aを中心として第1側面パネル14に対して平面視で時計回りに回転する。
その後、図10(c)に示すように、互いに重なった第1正面部分パネル12aと第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとが、第1側枠51の外側周囲に移動する。これにより、図11(a)(b)に示すように、正面パネル12が折り畳み状態となり、運搬用台車10の正面側が水平方向(X方向)に完全に開放される。なお、収容空間20内に積載物が収納されている場合には、この状態で正面側から積載物を外部に取り出しても良い。
次に、図12(a)(b)に示すように、底面パネル16を折り畳むことにより、底面パネル16が開放され、展開状態から折り畳み状態となる。この間、底面パネル16は、底面ヒンジ部材26aを中心として第1側枠51に対して正面視で反時計回りに回転する。これにより、底面パネル16は、第1側枠51の内側(X方向プラス側)に重なるように折り畳まれ、第1側枠51の内側周囲に位置する。すなわち底面パネル16は、水平面(XY平面)に対して垂直(YZ平面に平行)に配置される。この場合、底面パネル16は、面ファスナー(着脱部材)26bを介して第1側枠51に取り付けられる。
次いで、図13(a)(b)に示すように、底板58を折り畳むことにより、底板58が開放され、展開状態から折り畳み状態となる。この間、底板58は、第2側枠52に対して正面視で時計回りに回転し、第2側枠52の内側(X方向マイナス側)に重なるように折り畳まれて、第2側枠52の内側周囲に位置する。すなわち底板58は、水平面(XY平面)に対して垂直(YZ平面に平行)に配置される。この場合、底板58は、図示しない固定手段により第2側枠52に取り付けられる。
続いて、図14(a)(b)に示すように、天面パネル11を折り畳むことにより、天面パネル11が開放され、展開状態から折り畳み状態となる。この間、面ファスナー21bが取り外されることにより、第2天面部分パネル11bは、第1天面部分パネル11aから分離し、天面ヒンジ部材21aを中心として第3天面部分パネル11cに対して正面視で反時計回りに回転する。これにより、第2天面部分パネル11bは、下方に向けて折り畳まれ、第3天面部分パネル11cから垂れ下がるように配置される。このとき、第2天面部分パネル11bは、第2側枠52の内側周囲であって、底板58に対して内側(X方向マイナス側)に配置される。
このようにして、運搬用台車10の6つのパネル11〜16が、全体として折り畳み状態となる。この際、第1側枠51および第2側枠52の周囲には、それぞれ第1パネル群G1および第2パネル群G2が形成される。なお、背面パネル13、第1側面パネル14および第2側面パネル15は、開放されることなく、第1側枠51および/または第2側枠52に固定された状態を維持する。
以上のように、運搬用台車10を使用しない場合には、パネル11〜16を折り畳み、できる限り全体の体積を小さくして保管、輸送することができる。
(運搬用台車の組立)
運搬用台車10の組立方法は、上述した分解方法の逆の順に行うことによってできる。すなわち、まず、図14(a)(b)の逆作業として、天面パネル11を折り畳み状態から展開状態とし、次に、図13(a)(b)の逆作業として、底板58を折り畳み状態から展開状態とする。続いて、図12(a)(b)の逆作業として、底面パネル16を折り畳み状態から展開状態とし、最後に、図9乃至図11の逆作業として、正面パネル12を折り畳み状態から展開状態とすることにより、組立作業が完了する。
(運搬用台車のネスティング)
次に、運搬用台車10をネスティングする際の作用について説明する。図15(a)(b)は、運搬用台車10をネスティングする場合の作用を説明する平面図である。なお、図15(a)(b)において、第1天面部分パネル11aおよび第3天面部分パネル11cの表示は省略している。
まず、図15(a)に示すように、6つのパネル11〜16が全て折り畳み状態となった運搬用台車10(第1の運搬用台車10)を準備する。
次に、図15(b)に示すように、折り畳み状態となった他の運搬用台車10A(第2の運搬用台車10A)を準備する。この第2の運搬用台車10Aは、第1の運搬用台車10と同一の構成をもつ。次いで、第1の運搬用台車10と第2の運搬用台車10Aの開放側(すなわち展開状態で正面パネル12が位置する側)同士を向かい合わせる。続いて、第2の運搬用台車10Aを第1の運搬用台車10の正面側(Y方向マイナス側)から第1の運搬用台車10に接近させ、第1の運搬用台車10と重ね合わせる。このとき、第2の運搬用台車10Aの第2パネル群G2が、第1の運搬用台車10の第1パネル群G1に接近し、第1の運搬用台車10の第2パネル群G2が、第2の運搬用台車10Aの第1パネル群G1に接近する。このとき、第1の運搬用台車10(第2の運搬用台車10A)の車輪取付フレーム67〜69は、第2の運搬用台車10A(第1の運搬用台車10)の中央フレーム57の下方に進入する。
このように、2台の運搬用台車10、10Aを互いに対向するようにネスティングし、これらの運搬用台車10、10Aを一体として搬送したり、コンパクトに収容したりすることが可能となる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、複数のパネル11〜16は、展開して箱状に組立てられた展開状態と、他の運搬用台車10とネスティング可能となる折り畳み状態とをとることができる。これにより、パネル11〜16を展開状態にすることにより、パネル11〜16の内部に積載物を収納可能かつ気密性の高い収容空間20を形成することができる。一方、運搬用台車10を使用しない場合には、パネル11〜16を折り畳み状態にすることにより、他の同一の運搬用台車10とネスティングして、これらの運搬用台車10をコンパクトに保管しておくことができる。
また本実施の形態によれば、天面パネル11、正面パネル12および底面パネル16は、それぞれ開閉可能であり、第1側面パネル14は、開閉できないように第1側枠51に固定されている。また、第2側面パネル15は、開閉できないように第2側枠52に固定されている。さらに、背面パネル13は、開閉できないように台車50の第1側枠51および第2側枠52に固定されている。これにより、運搬用台車10を折り畳み状態としたとき、台車50の第1パネル群G1と背面パネル13と第2パネル群G2とが、平面視(上方から見た状態)でコの字状に配置される。この状態で、使用していない2台の運搬用台車10を向かい合わせにして、重ね合わせて収納することができる。このため、パネル11〜16の組み立てと折り畳みを短時間で行うことができる。
また本実施の形態によれば、背面パネル13は、第1側面パネル14および第2側面パネル15とともに、台車50に固定されたままの状態で運搬用台車10をネスティングすることができる。これにより、運搬用台車10の構造を簡単にするとともに、運搬用台車10の気密性および断熱性を向上させることができる。さらに、運搬用台車10を組み立てたり分解したりする作業を短時間で行うことができる。また、ネスティングされた2台の運搬用台車10は、平面視で互いに点対称に配置される。このため、2台の運搬用台車10を水平方向の外力に対して安定させることができ、転倒しにくくすることができる。
また本実施の形態によれば、各パネル11〜16の少なくとも一部がそれぞれ第1側枠51または第2側枠52の周囲に折り畳まれることにより、第1側枠51を含む第1パネル群G1と、第2側枠52を含む第2パネル群G2とが形成される。これにより、パネル11〜16を容易に折り畳むとともに、第1側枠51および第2側枠52の周囲に複数のパネル11〜16をコンパクトにまとめて配置することができる。
また本実施の形態によれば、台車50は、6輪の車輪61〜66を有するので、運搬用台車10に重い積載物や体積の大きい積載物を搭載することが可能となる。また、このような6輪の細長い運搬用台車10において、パネル11〜16を選択的に展開状態にしたり、折り畳み状態にしたりすることができる。
また本実施の形態によれば、各パネル11〜16は、それぞれ断熱パネルを含み、断熱パネルは、真空断熱材41または発泡断熱材を含む。真空断熱材41または発泡断熱材は厚さが薄くても断熱性能が良好なので、パネル11〜16内の収容空間20の断熱性を高め、積載物を保冷または保温した状態で保管することができる。また、真空断熱材41または発泡断熱材を使用することによって、パネル11〜16を軽量化することができ、展開状態の運搬用台車10の収納容積を増やすことができ、折り畳み状態の運搬用台車10をコンパクト化することができる。
また本実施の形態によれば、複数のパネル11〜16は、天面パネル11と、正面パネル12と、背面パネル13と、第1側面パネル14と、第2側面パネル15と、底面パネル16とを有する。これにより、パネル11〜16によって収容空間20が全方向から覆われるので、収容空間20内の積載物を全方向から保護することができる。
また本実施の形態によれば、正面パネル12は、折り畳み自在な複数の正面部分パネル12a、12b、12cを含む。これにより、正面部分パネル12a、12b、12cを折り畳むことにより、運搬用台車10の正面側が開放され、積載物を収容空間20から取出したり収容空間20に収容したりすることが容易となる。また、正面部分パネル12a、12b、12cをコンパクトにまとめて、第1側枠51の外側周囲に配置することができる。この場合、正面部分パネル12a、12b、12cの幅方向(折り畳み状態におけるY方向)の長さが抑えられ、運搬用台車10が細い通路を通過する際に正面部分パネル12a、12b、12cが通路周囲の物に干渉することが防止される。
また本実施の形態によれば、台車50は、折り畳み可能な底板58を更に有し、底板58は、第2側枠52の周囲に折り畳まれることにより、第2パネル群G2を構成する。これにより、展開状態では、底板58によって積載物の荷重を支持することができ、折り畳み状態では、底板58を持ち上げて第2側枠52の周囲に配置することにより、運搬用台車10をネスティング可能な状態にすることができる。
なお、上記実施の形態においては、6つのパネル11〜16が断熱パネルを含む場合を例にとって説明したが、これに限らず、パネル11〜16は必ずしも断熱性を有していなくても良い。例えば、各パネル11〜16を透明または不透明な薄板から構成することにより、収容空間20に収容された積載物の落下を防止することができる。また、各パネル11〜16を不透明な薄板とすることにより、収容空間20に収容された積載物を外部から視認できないように目隠しすることができる。
また、上記実施の形態においては、底面パネル16が設けられる場合を例にとって説明したが、これに限らず、底面パネル16を設けなくても良い。この場合、天面パネル11と、正面パネル12と、背面パネル13と、第1側面パネル14と、第2側面パネル15と、底板58とによって収容空間20を形成しても良い。また、底面パネル16を設けることなく、例えば底板58に断熱材を吹き付けることにより、底板58に断熱性をもたせても良い。この場合、底面パネル16を移動する作業が不要となるので、パネル11〜15を折り畳み状態にしたり展開状態にしたりする作業の作業性が向上する。
(変形例)
次に、図16乃至図46を参照して、本実施の形態の各種変形例について説明する。図16乃至図46は、それぞれ変形例による運搬用台車を示す図である。図16乃至図46において、図1乃至図15に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
(変形例1)
図16乃至図19は、変形例1による運搬用台車10を示している。図16乃至図19において、天面パネル11は、台車50の長手方向(X方向)に沿う軸A1を中心として折り畳み可能な一対の天面部分パネル11d、11eを有している。一対の天面部分パネル11d、11eは、正面側に位置する第4天面部分パネル11dと、背面側に位置する第5天面部分パネル11eとから構成されている。この場合、第4天面部分パネル11dが、軸A1を中心として背面側(Y方向プラス側)に回動し、第5天面部分パネル11e上に重ね合わされる。第5天面部分パネル11eは、背面パネル13の上端に回動自在に連結されているが、これに限らず、背面パネル13に対して回動しないように固定されていても良い。一対の天面部分パネル11d、11eの平面形状は、長方形であって互いに略同一である。また軸A1は、天面パネル11の短手方向(Y方向)の略中心に位置している。なお、天面パネル11は、台車50の長手方向に沿う軸を中心として折り畳み可能な3つ以上の天面部分パネルから構成されていても良い。
図16(a)(b)は、天面パネル11が展開状態にある場合を示している。このとき、天面部分パネル11d、11eは、いずれも水平面(XY平面)に対して平行に配置される。
図17(a)(b)は、天面パネル11が折り畳み状態にある場合を示している。このとき、第4天面部分パネル11dは、軸A1を中心として折り畳まれ、第5天面部分パネル11e上に載置される。
図18(a)(b)に示すように、一対の天面部分パネル11d、11eは、一体となって背面パネル13の上端を中心に回動可能となっている。これにより、ネスティング時に、各運搬用台車10の第1側面パネル14および第2側面パネル15を天面パネル11の下方に容易に進入させることができる。すなわち、ネスティング時に、一対の天面部分パネル11d、11eを背面パネル13に対して回動させ、持ち上げることができる。これにより、一方の運搬用台車10の第1側面パネル14および第2側面パネル15の上端が他方の運搬用台車10の天面パネル11に衝突することを回避することができ、パネル11、14、15の変形や損傷を防止することができる。この結果、2台の運搬用台車10をネスティングする作業の作業性が向上する。
図19(a)(b)は、運搬用台車10をネスティングする際の作用を示している。すなわち折り畳み状態となった2台の運搬用台車10を向かい合わせた状態で重ね合わせ、ネスティングすることができる。この場合、天面パネル11は、台車50の幅方向(Y方向)の略半分で折り返され、第4天面部分パネル11dが第5天面部分パネル11e上に載置されているので、ネスティングされた2台の運搬用台車10の天面パネル11同士が干渉することがない。また、天面パネル11を第1側面パネル14側または第2側面パネル15側まで折り畳む必要がないので、運搬用台車10の構造が単純化され、耐久性を向上させることができる。さらに、運搬用台車10の背面と天面と側面とのコーナー部における収容空間20の気密性や断熱性を向上させることができる。
(変形例2)
図20乃至図23は、変形例2による運搬用台車10を示している。図20乃至図23において、図16乃至図19(変形例1)と同様に、天面パネル11は、台車50の長手方向(X方向)に沿う軸A1を中心として折り畳み可能な一対の天面部分パネル11d、11eを有している。また、正面パネル12は、天面パネル11に回動可能に連結され、背面パネル13側に折り返し可能となっている。すなわち、正面パネル12は、3つの正面部分パネル12d、12e、12fを有している。3つの正面部分パネル12d、12e、12fは、底面側に位置する第4正面部分パネル12dと、第4正面部分パネル12dよりも上方に位置する第5正面部分パネル12eと、第5正面部分パネル12eよりも上方に位置する第6正面部分パネル12fとから構成されている。3つの正面部分パネル12d、12e、12fの平面形状は互いに略同一である。この場合、第4正面部分パネル12dが、台車50の長手方向(X方向)に沿う軸A2を中心として第5正面部分パネル12eに対して回動可能となっている。また、第5正面部分パネル12eが、台車50の長手方向(X方向)に沿う軸A3を中心として第6正面部分パネル12fに対して回動可能となっている。さらに、第6正面部分パネル12fが、台車50の長手方向(X方向)に沿う軸A4を中心として第4天面部分パネル11dに対して回動可能となっている。これにより、第4天面部分パネル11dを第5天面部分パネル11e上に重ね合わせたとき、3つの正面部分パネル12d、12e、12fが背面パネル13よりも背面側(Y方向プラス側)に折り込まれるようになっている。なお、正面パネル12は、台車50の長手方向に沿う軸を中心として折り畳み可能な2つまたは4つ以上の正面部分パネルから構成されていても良い。
図20(a)(b)は、正面パネル12が展開状態にある場合を示している。このとき、正面部分パネル12d、12e、12fは、いずれも垂直面(ZX平面)に対して平行に配置される。
図21(a)(b)は、正面パネル12が折り畳み状態にある場合を示している。このとき、天面パネル11の第4天面部分パネル11dは第5天面部分パネル11e上に載置される。また、正面部分パネル12d、12e、12fは、背面パネル13よりも背面側(Y方向プラス側)に折り返されている。
図22(a)(b)に示すように、一対の天面部分パネル11d、11eが、一体となって背面パネル13の上端を中心に回動可能となっている。これにより、後述するネスティング時に、各運搬用台車10の第1パネル群G1および第2パネル群G2が天面パネル11の下方に容易に進入することができる。
図23(a)(b)は、運搬用台車10をネスティングする際の作用を示している。すなわち折り畳み状態となった2台の運搬用台車10を向かい合わせた状態で重ね合わせ、ネスティングすることができる。この場合、天面パネル11の第4天面部分パネル11dが第5天面部分パネル11e上に載置されているので、ネスティングされた2台の運搬用台車10の天面パネル11同士が干渉することがない。また、正面パネル12を背面パネル13側に折り返すことにより、第1側枠51および第2側枠52の周囲でパネルが占める体積を減らせるので、折り畳み状態としたときの運搬用台車10の長手方向の長さを短くすることができ、ネスティングする際に運搬用台車10をコンパクトに重ねることができる。
(変形例3)
図24乃至図27は、変形例3による運搬用台車10を示している。図24乃至図27において、天面パネル11は、台車50の幅方向(Y方向)に沿う軸A5を中心として折り畳み可能な一対の天面部分パネル11f、11gを有している。一対の天面部分パネル11f、11gは、第2側枠52側に位置する第6天面部分パネル11fと、第1側枠51側に位置する第7天面部分パネル11gとから構成されている。この場合、第6天面部分パネル11fが、軸A5を中心として第1側枠51側(X方向マイナス側)に回動し、第7天面部分パネル11g上に重ね合わされる。また、第7天面部分パネル11gは、第1側面パネル14の上端に回動しないように固定されているが、これに限らず、第1側面パネル14に対して回動自在に連結されていても良い。一対の天面部分パネル11f、11gの平面形状は互いに略同一である。また軸A5は、天面パネル11の長手方向(X方向)の略中心に位置している。なお、天面パネル11は、台車50の幅方向(Y方向)に沿う軸を中心として折り畳み可能な3つ以上の天面部分パネルから構成されていても良い。
図24(a)(b)は、天面パネル11が展開状態にある場合を示している。このとき、天面部分パネル11f、11gは、いずれも水平面(XY平面)に対して平行に配置される。
図25(a)(b)および図26は、天面パネル11が折り畳み状態にある場合を示している。このとき、第6天面部分パネル11fは、軸A5を中心として折り畳まれ、第7天面部分パネル11g上に載置される。
図27(a)(b)は、運搬用台車10をネスティングする際の作用を示している。すなわち折り畳み状態となった2台の運搬用台車10を向かい合わせた状態で重ね合わせ、ネスティングすることができる。この場合、天面パネル11は、台車50の長手方向(X方向)の略半分で折り返され、第6天面部分パネル11fが第7天面部分パネル11g上に載置されている。このため、ネスティングされた2台の運搬用台車10の天面パネル11同士が干渉することがない。また、天面パネル11を第1側面パネル14または第2側面パネル15側まで折り畳む必要がないので、運搬用台車10の構造が単純化され、耐久性を向上させることができる。さらに、運搬用台車10の背面と天面と側面(第1側面パネル14側)とのコーナー部における収容空間20の気密性や断熱性を向上させることができる。
(変形例4)
図28乃至図30は、変形例4による運搬用台車10を示している。図28に示すように、連結部材53の中央フレーム57は、台車50の幅方向(Y方向)の中心軸CLよりも背面側(Y方向プラス側)に位置している。すなわち、中央フレーム57は、その全体が中心軸CLよりも背面側にずれて位置している。これにより、ネスティングした際、2台の運搬用台車10の幅方向(Y方向)の寸法を小さくすることができる(図29および図30参照)。したがって、2台の運搬用台車10をコンパクトに重ね合わせることができる。
図29に示すように、ネスティングされた2台の運搬用台車10の、互いに当接又は接近する中央フレーム57同士を連結部材75によって連結しても良い。連結部材75は、一方又は両方の運搬用台車10の中央フレーム57の長手方向(X方向)略中央に設けられていても良い。このような連結部材75としては、中央フレーム57同士を連結可能なものであれば良く、嵌合構造や係合構造等の着脱可能な手段を含むものであっても良い。
また、図30に示すように、ネスティングされた2台の運搬用台車10の、互いに当接又は接近する天面パネル11同士を連結部材76によって連結しても良い。連結部材76は、一方又は両方の運搬用台車10の天面パネル11の長手方向(X方向)略中央に設けられていても良い。図30において、連結部材76は、第4天面部分パネル11dと第5天面部分パネル11eとの連結部に設けられている。このような連結部材76としては、天面パネル11同士を連結可能なものであれば良く、面ファスナー等の着脱可能な手段を含むものであっても良い。
(変形例5)
図31乃至図33は、変形例5による運搬用台車10を示している。図31に示すように、正面パネル12の第1正面部分パネル12aは、第1側面パネル14に対して折り畳み自在に取り付けられ、第2正面部分パネル12bは、第1正面部分パネル12aに対して折り畳み自在に取り付けられ、第3正面部分パネル12cは、第2正面部分パネル12bに対して折り畳み自在に取り付けられている。この場合、第1正面部分パネル12aの幅(パネルの主たる面上でZ方向に対して垂直な方向の距離)は、第2正面部分パネル12bの幅および第3正面部分パネル12cの幅よりも狭い。また、第2正面部分パネル12bの幅と第3正面部分パネル12cの幅とは互いに同一となっている。
この場合、図32に示すように、通常のネスティング時には、第1正面部分パネル12aと第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとを、第1側面パネル14に重ね合わせ、第1側枠51側に収納することができる。この場合、ネスティングした2台の運搬用台車10の幅方向(Y方向)の寸法を小さくすることができ、2台の運搬用台車10をコンパクトに重ね合わせることができる。
一方、図33に示すように、ネスティング時に、各運搬用台車10の正面パネル12を第1側枠51側に収納せず、当該運搬用台車10の正面側(他の運搬用台車10の背面パネル13と重なる位置)に配置するようにしても良い。これにより、2台の運搬用台車10を重ねたときの運搬用台車10の長手方向(X方向)の寸法を小さくすることができる。この結果、2台の運搬用台車10をコンパクトに重ね合わせることができる。さらに、正面パネル12の内面側が外側に向かないため、衛生的である。また、正面パネル12が他の運搬用台車10の背面パネル13と重なるので、正面パネル12と背面パネル13とを重ねた面の強度が向上する。また特に、正面パネル12の内面は硬度の低い(柔らかい)材質で形成されていることが多いため、正面パネル12の内面側を外側に向けないことにより、正面パネル12の内面に傷や損傷が生じることを抑制することができる。
(変形例6)
図34乃至図38は、変形例6による運搬用台車10を示している。図34乃至図38において、図16乃至図19(変形例1)と同様に、天面パネル11は、台車50の長手方向(X方向)に沿う軸A1を中心として折り畳み可能な一対の天面部分パネル11d、11eを有している。また、第1側面パネル14および第2側面パネル15は、それぞれ背面側(Y方向プラス側)から正面側(Y方向マイナス側)に向けて高さ(Z方向の位置)が低くなるように傾斜した傾斜上端部14a、15aを有している。天面パネル11は、第1側面パネル14および第2側面パネル15の各傾斜上端部14a、15aに沿って配置されている。したがって、天面パネル11は、背面側から正面側に向けて高さが低くなるように傾斜して配置されている。
図34および図35は、天面パネル11が折り畳み状態にある場合を示している。このとき、第4天面部分パネル11dおよび第5天面部分パネル11eは、それぞれ背面側から正面側に向けて高さが低くなるように傾斜して配置されている。
図36(a)(b)に示すように、第4天面部分パネル11dは、軸A1を中心として折り畳まれ、第5天面部分パネル11e上に載置される。この場合、第5天面部分パネル11eは、第1側面パネル14および第2側面パネル15に対して回動しないように固定されていても良い。この場合、第5天面部分パネル11eと背面パネル13とを第1側面パネル14および第2側面パネル15に固定することができるので、収容空間20の密閉性や断熱性を高めることができる。また、各パネルの開閉箇所を少なくすることができ、開閉を短時間で行うことができるとともに、運搬用台車10の耐久性を向上することができる。
図37(a)(b)および図38は、運搬用台車10をネスティングする際の作用を示している。すなわち折り畳み状態となった2台の運搬用台車10を向かい合わせた状態で重ね合わせ、ネスティングすることができる。この場合、天面パネル11の第4天面部分パネル11dが第5天面部分パネル11e上に載置されるので、ネスティングされた2台の運搬用台車10の天面パネル11同士が干渉することがない。また、ネスティング時に、一方の運搬用台車10の傾斜上端部14a、15aは、他方の運搬用台車10の天面パネル11よりも低い位置から他方の運搬用台車10に進入する(図37(a)(b)参照)。このため、ネスティング時に、一方の運搬用台車10の傾斜上端部14a、15aが他方の運搬用台車10の天面パネル11に衝突することを回避するでき、各パネル11、14、15の変形や損傷を防止することができる。この結果、2台の運搬用台車10をネスティングする作業の作業性が向上する。
(変形例7)
図39乃至図43は、変形例7による運搬用台車10を示している。図39乃至図43において、図16乃至図19(変形例1)と同様に、天面パネル11は、台車50の長手方向(X方向)に沿う軸A1を中心として折り畳み可能な一対の天面部分パネル11d、11eを有している。また、天面パネル11は、面方向(XY平面方向)内側に位置する薄肉部77と、薄肉部77の周縁に形成され、薄肉部77よりも下方(Z方向マイナス側)に向けて突出する土手部78とを有している。すなわち天面パネル11の外周の総厚みが、薄肉部77より厚くなっている。展開状態において、土手部78は、正面パネル12、背面パネル13、第1側面パネル14および第2側面パネル15の上に配置される。このとき、天面パネル11の台車50の幅方向に垂直な断面と、台車50の長手方向に垂直な断面とは、それぞれ下向きに開放された略コの字形状を有する(図41参照)。
図39乃至図41は、天面パネル11が折り畳み状態にある場合を示している。この場合、正面方向から見て(図40)、第5天面部分パネル11eは、下向きに開いた略コの字形状を有する。
図42(a)(b)に示すように、第4天面部分パネル11dは、軸A1を中心として折り畳まれ、第5天面部分パネル11e上に載置される。この場合、第5天面部分パネル11eは、第1側面パネル14および第2側面パネル15に対して回動しないように固定されていても良い。
図43に示すように、ネスティング時に、一方の運搬用台車10の第1側面パネル14および第2側面パネル15は、他方の運搬用台車10の天面パネル11の薄肉部77の下方を通過して他方の運搬用台車10に進入する。この際、一方の運搬用台車10の第1側面パネル14および第2側面パネル15と、他方の運搬用台車10の天面パネル11の薄肉部77との間には隙間が確保される。このため、ネスティング時に、一方の運搬用台車10の第1側面パネル14および第2側面パネル15が他方の運搬用台車10の天面パネル11に衝突することを回避することができ、各パネル11、14、15の変形や損傷を防止することができる。この結果、2台の運搬用台車10をネスティングする作業の作業性が向上する。
(変形例8)
図44(a)(b)は、変形例8による運搬用台車10を示している。図44(a)(b)において、図16乃至図19(変形例1)と同様に、天面パネル11は、台車50の長手方向(X方向)に沿う軸A1を中心として折り畳み可能な一対の天面部分パネル11d、11eを有している。また、図44(a)(b)において、天面パネル11に、天面パネル11を上方に持ち上げる持ち上げ機構81が設けられている。この場合、持ち上げ機構81は、第5天面部分パネル11eと第1側枠51(第2側枠52)との間に位置しているが、これに限らず、第5天面部分パネル11eと第1側面パネル14(第2側面パネル15)との間に位置していても良い。持ち上げ機構81は、例えば圧縮バネ等の弾性体や、磁石の反発を利用した機構であっても良い。なお、第4天面部分パネル11dと第5天面部分パネル11eとの間には、山折り防止のヒンジ構造を設け、持ち上げ機構81によって天面部分パネル11d、11eの間が山状に持ち上がらないようにすることが好ましい。
さらに、天面パネル11には、持ち上げ機構81の力に抗して天面パネル11を正面パネル12側に保持する保持部材82が設けられている。この場合、保持部材82は、第4天面部分パネル11dと第1側枠51(第2側枠52)との間に位置しているが、これに限らず、第4天面部分パネル11dと正面パネル12との間に位置していても良い。保持部材82は、例えばおもりからなっている。あるいは、保持部材82は、磁石の引き合いを利用した機構であっても良い。
図44(b)に示すように、第4天面部分パネル11dを第5天面部分パネル11eに対して折り曲げたとき、保持部材82(おもり)を設けた天面パネル11の重量バランスが崩れ、持ち上げ機構81によって第5天面部分パネル11eが持ち上がる。これにより、一対の天面部分パネル11d、11eの正面側を浮かせることができる。ネスティング時には、一方の運搬用台車10の第1側面パネル14および第2側面パネル15は、他方の運搬用台車10の浮き上がった天面パネル11の下方を通過して他方の運搬用台車10に進入する。このため、ネスティング時に、一方の運搬用台車10の第1側面パネル14および第2側面パネル15が他方の運搬用台車10の天面パネル11に衝突することを回避することができ、各パネル11、14、15の変形や損傷を防止することができる。この結果、2台の運搬用台車10をネスティングする作業の作業性が向上する。
(変形例9)
図45(a)(b)および図46(a)(b)は、変形例9による運搬用台車10を示している。図45(a)(b)および図46(a)(b)において、図16乃至図19(変形例1)と同様に、天面パネル11は、台車50の長手方向(X方向)に沿う軸A1を中心として折り畳み可能な一対の天面部分パネル11d、11eを有している。また、図45(a)(b)および図46(a)(b)において、台車50のうち背面側の部分には、背面枠部材71が設けられている。背面枠部材71は、第1側枠51と第2側枠52との間に延びている。このように、台車50の背面側に背面枠部材71が設けられていることにより、背面パネル13が背面枠部材71に支持され、背面パネル13が破損することを防ぐことができる。この場合、背面枠部材71は、第1側枠51と第2側枠52とに固定されているが、これに限らず、連結部材53や車輪取付フレーム67〜69に固定されていても構わない。また、背面パネル13は背面枠部材71に固定されていても、固定されていなくても構わないが、背面パネル13が固定されていた場合、より耐久性を高めることができる。
背面枠部材71は、1つ設けられていても良く(図45(a)(b)参照)、複数設けられていても良い(図46(a)(b)参照)。また、底面パネル16は、第1側枠51側に折り畳み可能となっていても良く、底板58は、第2側枠52側に折り畳み可能となっていても良い(図45(a)(b)参照)。この場合、底面パネル16は、折り畳み可能な一対の底面部分パネル16a、16bを有していても良い。あるいは、底面パネル16および底板58は、それぞれ背面パネル13側に折り畳み可能となっていても良い(図46(a)(b)参照)。
上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。