JP2020013254A - Rfidタグ固定構造およびその製造方法 - Google Patents

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啓道 田中
Hiromichi Tanaka
啓道 田中
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Abstract

【課題】低コストにて、リーダとの通信に際して金属の影響を受けにくく、RFIDタグの確実な固定と容易な交換とを実現できるようにする。【解決手段】本発明は、金属Mの表面から内方に窪む凹部Hに非金属対応のRFIDタグ15を固定するRFIDタグ固定構造1であって、RFIDタグ15と、RFIDタグ15の周囲を部分的若しくは完全に覆うシリコーン系エラストマーのシート10と、を備え、凹部Hの内壁面からシート10を隔ててRFIDタグ15を固定しているRFIDタグ固定構造1およびその製造方法に関する。【選択図】図2

Description

本発明は、RFIDタグ固定構造およびその製造方法に関する。
RFIDタグは、近距離無線通信によってタグ内に格納される情報を認識するための部品であって、近年では、例えば、物流における商品等のトレーサビリティ、農産物の生産者情報の記録あるいは図書館等における書籍の管理などにも利用されている。RFIDタグは、通常、アンテナとメモリとを備え、さらに電池を内蔵して自力で通信可能なアクティブタグ、電池を内蔵せずに外部リーダからの電波を受けて通信可能なパッシブタグ、およびそれら両方の機能を兼ね備えたセミアクティブタグに分けられる。これらのタグの内、パッシブタグは、電池を備えない簡易な構成を有することから、安価で、また小型化も容易なタグとして多用されてきている。
ところで、RFIDタグを金属から容易に脱落しないようにするために、RFIDタグを金属の凹部に固定する方法が考えられる。しかし、RFIDタグを凹部に配置すると、凹部の内面にうず電流が生じる結果、当該内面から反射波が放出され、RFIDタグからの情報を受信することが難しくなるという問題がある。このような問題を解決するため、従来から様々な金属対応RFIDタグが開発されている。
例えば、RFIDタグと金属面との間に磁性体を挟み、金属面から放出される磁束を磁性体に引き込み、その結果、金属の影響を低減させる技術が知られている(特許文献1を参照)。
特開2007−233824
しかし、上述した従来から公知の金属対応RFIDタグは、磁性体という構成要素を追加することを要し、RFIDタグの高価格化を招く虞がある。また、RFIDタグの固定を確実にすると共にRFIDタグの交換を容易にする要望がある。
本発明は、金属対応RFIDの使用による高価格化を招くことのないように金属非対応のRFIDタグの使用を前提とし、リーダとの通信に際して金属の影響を受けにくく、RFIDタグの確実な固定と容易な交換とを実現できるようにすることを目的とする。
(1)上記目的を達成するため、本発明の一実施形態に係るRFIDタグ固定構造は、金属の表面から内方に窪む凹部に非金属対応のRFIDタグを固定するRFIDタグ固定構造であって、前記RFIDタグと、前記RFIDタグの周囲を部分的若しくは完全に覆うシリコーン系エラストマーのシートと、を備え、前記凹部の内壁面から前記シートを隔てて前記RFIDタグを固定している。
(2)別の実施形態に係るRFIDタグ固定構造において、好ましくは、前記シートは、前記凹部の内部から外部に突出して備えられ、前記RFIDタグ内のコイル若しくはアンテナの少なくとも一部が前記凹部の外部に突出する前記シート内に位置する。
(3)別の実施形態に係るRFIDタグ固定構造において、好ましくは、前記RFIDタグ内のコイル若しくはアンテナは、前記シートの前記凹部から外部に突出する突出部において、前記金属の表面から前記シートを隔てて、前記金属の表面に沿うように配置されている。
(4)別の実施形態に係るRFIDタグ固定構造において、好ましくは、前記シリコーン系エラストマーは、湿気硬化シリコーン系エラストマーである。
(5)別の実施形態に係るRFIDタグ固定構造において、好ましくは、前記RFIDタグは、電磁誘導方式または電波方式にて外部と通信可能なタグである。
(6)本発明の一実施形態に係るRFIDタグ固定構造の製造方法は、上述のいずれかのRFIDタグ固定構造を製造する方法であって、非金属対応のRFIDタグの周囲を硬化性シリコーン系接着層にて部分的若しくは完全に覆う接着層被覆工程と、前記RFIDタグを前記硬化性シリコーン系接着層にて被覆した被覆体を、金属の表面から内方に窪む凹部に配置する被覆体配置工程と、前記硬化性シリコーン系接着層を硬化させてシリコーン系エラストマーのシートを形成する硬化工程と、を含む。
(7)別の実施形態に係るRFIDタグ固定構造の製造方法において、好ましくは、前記被覆体配置工程は、前記金属の前記凹部より体積の大きな前記被覆体を押し込んで前記被覆体を変形させるように行われる。
本発明によれば、低コストにて、リーダとの通信に際して金属の影響を受けにくく、RFIDタグの確実な固定と容易な交換とを実現できる。
図1は、本発明の第1実施形態に係るRFIDタグ固定構造の斜視図を示す。 図2は、図1のRFIDタグ固定構造を凹部の深さ方向に沿って切断した際の縦断面図(2A)および図1のRFIDタグの概略透過平面図(2B)をそれぞれ示す。 図3は、本発明の第2実施形態に係るRFIDタグ固定構造の図2(2A)と同視の断面図(3A)および第2実施形態の変形例の同様の断面図(3B)をそれぞれ示す。 図4は、本発明の好適な実施形態に係るRFIDタグ固定構造の製造方法のフローチャート(4A)、第1実施形態に係るRFIDタグ固定構造の製造過程の断面図(4B)をそれぞれ示す。
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、各実施形態の中で説明されている諸要素およびその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。各実施形態においては、基本的な構成および特徴が同じ構成要素については、実施形態をまたぎ同じ符号を使用し、説明を省略する場合がある。
1.RFIDタグ固定構造
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るRFIDタグ固定構造の斜視図を示す。図2は、図1のRFIDタグ固定構造を凹部の深さ方向に沿って切断した際の縦断面図(2A)および図1のRFIDタグの概略透過平面図(2B)をそれぞれ示す。
第1実施形態に係るRFIDタグ固定構造1は、金属Mの表面から内方に窪む凹部Hに非金属対応のRFIDタグ(以後、単に、「RFIDタグ」とも称する。)15を固定するRFIDタグ固定構造1である。RFIDタグ固定構造1は、RFIDタグ15と、RFIDタグ15の周囲を部分的若しくは完全に覆うシリコーン系エラストマーのシート10と、を備え、凹部Hの内壁面からシート10を隔ててRFIDタグ15を固定している。RFIDタグ固定構造1は、金属M、少なくとも凹部Hをも構成要素に含む。RFIDタグ15は、凹部15の内底面および内側面に直接接触しないように、内底面および内側面との間にシート10を介在させて、凹部H内に配置されている。図1では、RFIDタグ15は、凹部Hの開口面に露出しておらず、シート10内に完全に被覆された状態で凹部Hの開口面から下方に埋設されている。しかし、RFIDタグ15は、凹部Hの開口面に、その一部を露出させて凹部Hに配置されていても良い。以下、シート10およびRFIDタグ15について詳述する。
1.1 シート
シート10は、シリコーン系エラストマーから成る。図1では、シート10は、立方体の形状を有するが、その形状に制約はない。シート10は、硬化性シリコーン系接着層(以後、適宜、単に「接着層」あるいは「接着剤」と称することもある。)を硬化した部材である。シート10は、自己接着シリコーンゴムの硬化体と称することもできる。接着層は、無溶剤のシリコーン系接着剤の一種であり、高い接着力を有するとともに、硬化後には熱安定性、耐候性、良好な耐水性、優れた可撓性を有するシート10となる。接着層は、自立した形状を保持でき、かつ、押圧力に従って変形可能な可塑性を有する固形物である。このため、接着層は、配置する場所の凹凸や曲面に応じて変形させ、配置する場所に密着させることが可能である。
シート10の硬化前の状態にある接着層は、25℃におけるウイリアムス可塑度が50〜500の範囲内にあることが好ましい。なお、ウイリアムス可塑度は、平行板可塑度計(ウイリアムスプラストメーター)を使用し、JIS K 6249「未硬化および硬化シリコーンゴムの試験方法」に規定の測定方法に準じて測定されるものである。接着層は、縮合反応型の硬化性シリコーンゴム組成物であり、好ましくは常温で放置することにより空気中の水分と反応させるという手軽な手段によって硬化可能である。接着層を硬化して成るシリコーン系エラストマーは、好ましくは、湿気硬化シリコーン系エラストマーである。なお、接着層は、付加反応型の硬化性シリコーンゴム組成物であって、加熱により硬化する層であっても良い。その場合には、シート10は、加熱硬化シリコーン系エラストマーから成る。以下、接着層となる縮合反応型の硬化性シリコーンゴム組成物および付加反応型の硬化性シリコーンゴム組成物について詳述する。
(1)縮合反応型の硬化性シリコーンゴム組成物
縮合反応型の硬化性シリコーンゴム組成物は、主に以下の成分から構成される。
(1−1)オルガノポリシロキサン
オルガノポリシロキサンは、縮合反応型の硬化性シリコーンゴム組成物の主剤成分であり、好ましくは、下記の化学式(1)または化学式(2)により表されるジオルガノポリシロキサンである。
上記の化学式(1),(2)において、Rは一価の炭化水素基である。Rとしては、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−エチルブチル基、オクチル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、アルケニル基(ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基、アリル基等)、アリール基(フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ジフェニル基等)、アラルキル基(ベンジル基、フェニルエチル基等)、および、上記炭化水素基の炭素原子に結合している水素原子の少なくとも一部をハロゲンやシアノ基等で置換したもの(クロロメチル基、トリフルオロプロピル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基等)から選択される一または複数の炭化水素基を挙げることができる。Rの炭素数としては、1〜12であることが好ましく、1〜10であることが一層好ましい。上記の化学式(1),(2)においては、Aは酸素原子または−(CH−(mは1〜8)で表されるポリメチレン基(メチレン基を含む)である。Aは、酸素原子またはエチレン基であることが好ましい。
上記の化学式(1),(2)において、nは(1−1)成分の25℃における動粘度を100〜1000000cm/sの範囲内とする任意の数である。当該動粘度は、500〜500000cm/sの範囲内とすることが一層好ましい。
上記の化学式(1),(2)において、Bは加水分解性基である。Bとしては、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、ケトオキシム基(ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基等)、アルケニルオキシ基(イソプロペニルオキシ基、イソブテニルオキシ基等)を挙げることができる。なお、上記の化学式(1),(2)におけるxは2または3である。
上記(1−1)成分は、公知の方法(例えば、環状シロキサンまたは線状オリゴマーと酸触媒または塩基触媒とを用いた平衡反応による方法)により製造することができる。
なお、(1−1)成分であるジオルガノポリシロキサンに分岐構造を導入する場合には、常法として、重合中にSiO3/2単位およびSiO4/2単位のうち少なくとも一方を含むシランまたはシロキサンをジオルガノポリシロキサンがゲル化しない程度に添加する方法を用いることができる。(1−1)成分については、汚れを低減するため、洗浄等により低分子シロキサンを除去してから用いることが好ましい。
(1−2)架橋剤
架橋剤としては、加水分解性基を1分子中に2個以上、好ましくは3個以上有するシラン、または、当該シランの部分加水分解縮合物を用いる。加水分解性基の例としては、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)、ケトオキシム基(ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基等)、アルケニルオキシ基(イソプロペニルオキシ基、イソブテニルオキシ基等)、アミノ基(N−ブチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基等)、アミド基(N−メチルアセトアミド基等)を挙げることができる。これらの中では、アルコキシ基、ケトオキシム基、アシルオキシ基、アルケニルオキシ基を用いることが好ましい。架橋剤の配合量は、(1−1)成分100質量部に対して1〜50質量部の範囲内にあることが好ましく、2〜30質量部の範囲内にあることが一層好ましく、5〜20質量部の範囲内にあることがより一層好ましい。
(1−3)硬化触媒
硬化触媒は必須ではないが、硬化触媒を用いることにより、硬化性シリコーンゴム組成物の硬化を促進することができる。硬化触媒の例としては、アルキル錫エステル化合物(ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート等)、チタン酸エステルまたはチタンキレート化合物(テトライソプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、ジプロポキシビス(アセチルアセトナ)チタン、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコール等)、その他の適切な有機金属化合物(ナフテン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、亜鉛−2−エチルオクトエート、鉄−2−エチルヘキソエート、コバルト−2−エチルヘキソエート、マンガン−2−エチルヘキソエート、ナフテン酸コバルト、アルコキシアルミニウム化合物等)、アミノアルキル基置換アルコキシシラン(3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等)、アミン化合物またはその塩(ヘキシルアミン、リン酸ドデシルアミン等)、第4級アンモニウム塩(ベンジルトリエチルアンモニウムアセテート等)、アルカリ金属の低級脂肪酸塩(酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、シュウ酸リチウム等)、のアルカリ金属の低級脂肪酸塩、ジアルキルヒドロキシルアミン(ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等)、グアニジル基を有するシランまたはシロキサン(テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルメチルジメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等)を挙げることができる。これらは、1種のみで用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。硬化触媒の配合量は、(1−1)成分100質量部に対して0〜20質量部の範囲内にあることが好ましく、0.001〜10質量部の範囲内にあることが一層好ましく、0.01〜5質量部の範囲内にあることがより一層好ましい。
(1−4)充填剤
充填剤は、必須ではないが、補強等の目的で好適に用いることができる。充填剤の例としては、補強剤(ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、これらのシリカの表面を有機珪素化合物で疎水化処理したシリカ、石英粉末、タルク、ゼオライト、ベントナイト等)、繊維質充填剤(アスベスト、ガラス繊維、有機繊維等)、塩基性充填剤(炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、セライト等)を挙げることができる。これらの中では、シリカ、炭酸カルシウムおよびゼオライトを用いることが好ましく、表面を疎水化処理したヒュームドシリカおよび炭酸カルシウムを用いることが一層好ましい。上記充填剤の配合量は、目的や充填剤の種類により選択することができるが、(1−1)成分に対して1〜90体積%の範囲内にあり、5〜60体積%の範囲内にあることが好ましい。
(1−5)接着性付与成分
接着性付与成分は必須ではないが好適に用いられる。接着性付与成分の例としては、アミノ基含有オルガノアルコキシシラン(γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等)、エポキシ基含有オルガノアルコキシシラン(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等)、メルカプト含有オルガノアルコキシシラン(γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等)、アミノ基含有オルガノアルコキシシランとエポキシ基含有オルガノアルコキシシランとの反応混合物を挙げることができる。接着性付与成分の配合量は、(1−1)成分100質量部に対して0.1〜5質量部の範囲内にあることが好ましい。
(2)付加硬化型の硬化性シリコーンゴム組成物
シート10を付加硬化型の硬化性シリコーンゴム組成物を硬化して得る場合、その付加硬化型の硬化性シリコーンゴム組成物は、主に以下の成分から構成される。
(2−1)オルガノポリシロキサン
オルガノポリシロキサンは、付加硬化型の硬化性シリコーンゴム組成物の主剤であり、一分子中に平均2個以上のアルケニル基を有する。アルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基およびヘプテニル基を挙げることができる。これらの中では、ビニル基を用いることが好ましい。また、本成分中、アルケニル基以外のケイ素原子に結合する有機基の例としては、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、アリール基(フェニル基、トリル基、キシリル基等)、ハロゲン化アルキル基(3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等)を挙げることができる。これらの中では、メチル基を用いることが好ましい。本成分の分子構造の例としては、直鎖状、一部分枝を有する直鎖状、分枝鎖状、網状、樹枝状を挙げることができる。本成分の25℃における粘度は100000mPa・s以上であることが好ましく、1000000mPa・s以上であることが一層好ましい。
本成分のオルガノポリシロキサンとしては、例えば、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、(CHSiO1/2で示されるシロキサン単位と(CH(CH=CH)SiO1/2で示されるシロキサン単位とSiO4/2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノポリシロキサン、これらのオルガノポリシロキサンのメチル基の少なくとも一部をアルキル基(エチル基、プロピル基等)、アリール基(フェニル基、トリル基等)、ハロゲン化アルキル基(3,3,3−トリフルオロプロピル基等)から選ばれる置換基で置換したオルガノポリシロキサン、これらのオルガノポリシロキサンのビニル基の少なくとも一部をアルケニル基(アリル基、プロペニル基等)で置換したオルガノポリシロキサン、および、これらのオルガノポリシロキサンの2種以上の混合物を用いることができる。
(2−2)水素化オルガノポリシロキサン
水素化オルガノポリシロキサンは、付加硬化型の硬化性シリコーンゴム組成物の硬化剤として作用するものであり、1分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素を有する。本成分中のケイ素に結合する有機基の例としては、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、アリール基(フェニル基、トリル基、キシリル基等)、ハロゲン化アルキル基(3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等)を挙げることができる。上記の中では、メチル基を用いることが好ましい。本成分の分子構造の例としては、直鎖状、一部分枝を有する直鎖状、分枝鎖状、網状、樹枝状を挙げることができる。本成分の25℃における粘度は限定されないが、1〜1000000mPa・sの範囲内にあることが好ましく、1〜10000mPa・sの範囲内にあることが一層好ましい。
本成分の水素化オルガノポリシロキサンとしては、例えば、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ポリメチルハイドロジェンシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、環状ポリメチルハイドロジェンシロキサン、(CHHSiO1/2で示されるシロキサン単位とSiO4/2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノポリシロキサン、これらのオルガノポリシロキサンのメチル基の少なくとも一部をアルキル基(エチル基、プロピル基等)、アリール基(フェニル基、トリル基等)、ハロゲン化アルキル基(3,3,3−トリフルオロプロピル基等)で置換したオルガノポリシロキサン、および、これらのオルガノポリシロキサンの2種以上の混合物を用いることができる。これらの中では、得られる硬化物の機械的特性(特に伸び)が向上することから、分子鎖両末端にのみケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンと分子鎖側鎖にケイ素原子結合を有するオルガノポリシロキサンとの混合物を用いることが好ましい。
付加硬化型の硬化性シリコーンゴム組成物における本成分の含有量は、(2−1)成分中のアルケニル基に対する本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.01〜20の範囲内となる量であり、0.1〜10の範囲内となる量であることが好ましく、0.1〜5の範囲内となる量であることが一層好ましい。上記のような範囲としたのは、本成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、自己接着シリコーンゴムが十分に硬化しやすくなる傾向があるからであり、一方、上記範囲の上限以下では、硬化したシート10の機械的特性がより高くなる傾向があるからである。また、本成分として、分子鎖両末端にのみケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンと分子鎖側鎖にケイ素原子結合を有するオルガノポリシロキサンとの混合物を用いる場合には、前者のオルガノポリシロキサンの含有量は、(2−1)成分中のアルケニル基に対する本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.01〜10の範囲内となる量であることが好ましく、0.1〜10の範囲内となる量であることが一層好ましく、0.1〜5の範囲内となる量であることがより一層好ましい。また、後者のオルガノポリシロキサンの含有量は、(2−1)成分中のアルケニル基に対する本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.5〜20の範囲内となる量であることが好ましく、0.5〜10の範囲内となる量であることが一層好ましく、0.5〜5の範囲内となる量であることが一層好ましい。
(2−3)硬化触媒
硬化触媒は必須ではないが、好ましい例としてヒドロシリル化反応用白金系触媒を挙げることができる。ヒドロシリル化反応用白金系触媒の例としては、白金微粉末、白金黒、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、白金とジケトンの錯体、塩化白金酸とオレフィン類の錯体、塩化白金酸とアルケニルシロキサンとの錯体、および、これらを担体(アルミナ、シリカ、カーボンブラック等)に担持させたものを挙げることができる。これらの中では、触媒活性の高さから、塩化白金酸とアルケニルシロキサンとの錯体を用いることが好ましい。また、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体を用いることが一層好ましい。本成分の配合量は、(2−1)成分100万質量部に対して、白金金属原子として1〜1000質量部の範囲内にあることが好ましく、1〜100質量部の範囲内にあることが一層好ましい。
(2−4)充填剤
充填剤は、付加硬化型の硬化性シリコーンゴム組成物の機械的強度を向上させるために添加する方が好ましいものであり、通常、シリコーンゴムの配合に用いられる公知の化合物を用いることができる。本成分としては、例えば、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、焼成シリカ、粉砕石英、および、これらのシリカの粉末を有機ケイ素化合物(オルガノアルコキシシラン、オルガノハロシラン、オルガノシラザン等)で表面処理した粉末を挙げることができる。特に、硬化したシート10の機械的強度を十分に向上させるためには、本成分としてBET比表面積が50m/g以上であるシリカ粉末を用いることが好ましい。
付加硬化型の硬化性シリコーンゴム組成物において、本成分の添加は任意であるが、硬化した自己接着シリコーンゴムの機械的強度を向上させるためには、本成分の配合量が(2−1)成分100質量部に対して1〜1000質量部の範囲内にあることが好ましく、1〜400質量部の範囲内にあることが一層好ましい。また、付加硬化型の硬化性シリコーンゴム組成物は、その他任意の成分として、例えば、ヒュームド酸化チタン、ケイ藻土、酸化鉄、酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム等の無機質充填剤および有機充填剤を含有していてもよい。付加硬化型の硬化性シリコーンゴム組成物は、これらの充填剤の表面を前記の有機ケイ素化合物で処理した充填剤を含有していても良い。充填剤の配合量は、目的や充填剤の種類により選択することができるが、(2−1)成分に対して1〜90体積%の範囲内にあり、5〜60体積%の範囲内にあることが好ましい。
(2−5)接着性付与成分
本成分は、必須ではないが、付加硬化型の硬化性シリコーンゴム組成物を接着剤として機能させるためにその接着性を付与、向上させるために好適に用いることができるものである。本成分の例として、シランカップリング剤およびこれらの部分加水分解物(メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン等)、「エポキシ基、酸無水物基、αシアノアクリル基」を有する有機化合物、「エポキシ基、酸無水物基、αシアノアクリル基」を有するシロキサン化合物、「エポキシ基、酸無水物基、αシアノアクリル基」とアルコキシシリル基とを併有する有機化合物またはシロキサン化合物、チタン化合物(テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンエチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート等)、アルミニウム化合物(エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)等)、ジルコニウム化合物(ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムビスアセチルアセトネート、ジルコニウムエチルアセトアセテート等)を挙げることができる。なお、上記のシロキサン化合物としては、アルケニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の低級脂肪族不飽和基またはこれらとヒドロシリル基とを併有するものが接着性向上について効果的な寄与を期待できる。上記接着性付与成分の含有量は、特に限定されないが、(2−1)成分100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲内にあることが好ましい。
さらに、付加硬化型の硬化性シリコーンゴム組成物には、その硬化性を調整するために、アセチレン系化合物(3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−フェニル−1−ブチン−3−オール等)、エンイン化合物(3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等)、1分子中にビニル基を5質量%以上持つオルガノシロキサン化合物(1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等)、その他の硬化抑制剤(ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、フォスフィン類、メルカプタン類、ヒドラジン類等)を含有することが好ましい。これらの含有量は限定されないが、(2−1)成分100質量部に対して0.001〜5質量部の範囲内にあることが好ましい。
付加硬化型の硬化性シリコーンゴム組成物を調製する方法は限定されず、必要に応じてその他任意の成分を混合することにより調製することができるが、予め(2−1)成分と(2−3)成分とを加熱混合して調製したベースコンパウンドに、残余の成分を添加することが好ましい。なお、その他任意の成分を添加する場合、ベースコンパウンドを調製する際に添加してもよく、また、その他任意の成分が加熱混合により変質する場合には、(2−2)成分や(2−4)成分を添加する際に添加してもよい。また、ベースコンパウンドを調製する際、前記の有機ケイ素化合物を添加して、(2−3)成分の表面をin−situ処理してもよい。
1.2 RFIDタグ
RFIDタグ15は、金属非対応(「非金属対応」と称しても良い。)のRFIDタグである。RFIDタグ15は、図2(2A)に示すように、金属Mの凹部Hの内底面から深さt1だけ浮いた位置になるように、シート10の上面から凹部Hの内部に埋め込まれている。シート10の厚さt1の領域は、RFIDタグ15を、凹部15の金属製の内底面から遠ざける役割を有する。これによって、RFIDタグ15からの電波が金属Mに渦電流を生じさせて、金属Mから電波が発せられる結果、RFIDタグ15からの電波が相対的に弱められる状況を低減できる。また、RFIDタグ15は、凹部Hの開口面からt0だけ凹部Hの内方に沈んだ位置に配置されている。このため、外部からの衝撃あるいは風雨がRFIDタグ15に直接付与されるのを有効に防止できる。なお、t1>t0の大小関係になるように、RFIDタグ15を凹部Hの内部に配置される方が好ましい。これによって、RFIDタグ15と凹部Hの内底面とを十分に遠ざけることができる。
RFIDタグ15は、それ自体に電池を内蔵して自力で通信可能なアクティブタグ、電池を内蔵せずに外部リーダからの電波を受けて通信可能なパッシブタグ、およびそれら両方の機能を兼ね備えたセミアクティブタグのいずれのタイプのタグであっても良い。RFIDタグ15は、好ましくは、図2(2B)に示す構造のパッシブタグである。RFIDタグ15の構成が単純であり、小型化と低コスト化を実現しやすいからである。
RFIDタグ15は、パッシブタグの形態を持つ場合、基板16と、基板16に形成されるコイル(アンテナ)17と、コイル17と電気的に接続されるメモリ(ICチップ)18と、を備える。RFIDタグ15は、この実施形態では、好ましくは、RFIDタグ15のコイル17と外部リーダ(リーダ/ライタ、リーダライタとも称する)のアンテナコイルとを磁束結合させて信号を伝達させる電磁誘導方式のタグであるが、RFIDタグ15のアンテナ17と外部リーダのアンテナとの間で電波を送受信する電波方式のタグであっても良い。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るRFIDタグ固定構造について説明する。第2実施形態において、第1実施形態と共通する部分については、適宜、その説明を省略する。
図3は、本発明の第2実施形態に係るRFIDタグ固定構造の図2(2A)と同視の断面図(3A)および第2実施形態の変形例の同様の断面図(3B)をそれぞれ示す。
第2実施形態に係るRFIDタグ固定構造1aは、凹部Hの内部から外部に突出して備えられるシート10aを備える。すなわち、シート10aは、凹部Hの内部に埋設されると共に外部に突出する突出部を有する。シート10aは、上記形状以外については、第1実施形態において説明したシート10と同様である。RFIDタグ15aは、RFIDタグ15aの周囲を部分的若しくは完全にシート10aによって被覆されている。RFIDタグ15aは、第1実施形態におけるRFIDタグ15と同様に、凹部Hの内壁面からシート10aを隔てて凹部Hに固定されている。
RFIDタグ15aは、図3(3A)の断面視にて略L字状のタグである。RFIDタグ15aは、凹部Hの開口面から立設する立設部を備える。立設部は、その外面をシート10aで被覆されている。また、立設部は、その内部にアンテナ17aを備える。このように、RFIDタグ15a内のアンテナ17aの少なくとも一部(全部でも良い)は、凹部Hの外部に突出するシート10a内に位置する。アンテナ17aは、例えば、ダイポールアンテナ、ループアンテナ等を例示できるが、その形態に制約は無い。アンテナ17aは、RFIDタグ15aに備えられ、かつ凹部Hの外部に配置されているため、外部との通信に際し、金属Mの影響を受けにくい。なお、アンテナ17aは、ここでは、電波方式のRFIDタグ15aから外部に向かって電波Wを送信可能な構成要素であるが、電磁誘導方式のRFIDタグ15aの場合には、アンテナ17aに代えて、コイルを備えても良い。
第2実施形態の変形例に係るRFIDタグ固定構造1bは、先に説明したRFIDタグ固定構造1aと同様、凹部Hの内部から外部に突出して備えられるシート10bを備える。すなわち、シート10bは、凹部Hの内部に埋設されると共に外部に突出する突出部を有する。ここでは、シート10bは、クランク形状を有しており、クランク形状の下部を凹部Hの内部に、クランク形状の上部を凹部Hの外部に露出している。シート10bは、上記形状以外については、第1実施形態において説明したシート10と同様である。
RFIDタグ15bは、好ましくは、シート10bと同様、クランク形状を有している。RFIDタグ15bは、RFIDタグ15bの周囲を部分的若しくは完全にシート10bによって被覆されている。RFIDタグ15b内のコイル17bの少なくとも一部は凹部Hの外部に突出するシート10b内に位置する。
RFIDタグ固定構造1bにおいて、RFIDタグ15b内のコイル17bは、シート10bの凹部Hから外部に突出する突出部において、金属Mの表面からシート10bを隔てて、金属Mの表面に沿うように(より好ましくは、金属Mの表面と略平行に)配置されている。RFIDタグ15bのコイル17bを備える平板部分は、図3(3B)に示すように、金属Mの表面から厚さt1だけ離れた位置になるように、凹部Hの外部に延出するシート10b内に備えられている。シート10bの厚さt1の領域は、RFIDタグ15のコイル17bを、金属Mの表面から遠ざける役割を有する。これによって、金属Mから電波が発せられ、RFIDタグ15bからの電波が相対的に弱められる状況を低減できる。また、コイル10bを備えたRFIDタグ15bの一部は、その表面を、厚さt0のシート10bにて被覆されている。このため、外部からの衝撃あるいは風雨がRFIDタグ15bに直接付与されるのを有効に防止できる。なお、t1>t0の大小関係になるように、RFIDタグ15bを凹部Hに配置される方が好ましい。これによって、RFIDタグ15bと金属Mの表面とを十分に遠ざけることができる。
コイル17bは、RFIDタグ15bに備えられ、かつ凹部Hの外部に配置されているため、外部との通信に際し、金属Mの影響を受けにくい。なお、コイル17bは、ここでは、電磁誘導方式のRFIDタグ15bから外部に向かって磁束Φを生じ可能な構成要素であるが、電波方式のRFIDタグ15bの場合には、コイル17bに代えて、アンテナを備えても良い。
2.RFIDタグ固定構造の製造方法
図4は、本発明の好適な実施形態に係るRFIDタグ固定構造の製造方法のフローチャート(4A)、第1実施形態に係るRFIDタグ固定構造の製造過程の断面図(4B)をそれぞれ示す。
この実施形態に係るRFIDタグ固定構造の製造方法は、接着層被覆工程(S110)と、被覆体配置工程(S120)と、硬化工程(S1320)と、を含む。以下、各工程について説明する。
2.1 接着層被覆工程(S110)
接着層被覆工程は、RFIDタグ15の周囲を接着層20にて部分的若しくは完全に覆う工程である(b1を参照)。
2.2 被覆体配置工程(S120)
被覆体配置工程は、RFIDタグ15を接着層20にて被覆した被覆体を、金属Mの凹部Hに配置する工程である(b2からb3を参照)。この工程は、好ましくは、被覆体を構成する接着層20の硬化前に、金属Mの凹部Hより体積の大きな被覆体を押し込んで、被覆体を変形させるように行われる。被覆体は、硬化前に柔軟性を有している。凹部Hより大きな被覆体を、凹部Hに押し込むと、最終的にシート10と凹部Hとの隙間が生じにくい。
2.3 硬化工程(S130)
硬化工程は、接着層20を硬化させてシート10を形成する工程である(b4を参照)。
第2実施形態およびその変形例に係るRFIDタグ固定構造1a,1bは、第1実施形態に係るRFIDタグ固定構造1と同様の製造工程にて製造できる。
RFIDタグ固定構造1aを製造する方法は、RFIDタグ15aの周囲を接着層20にて部分的若しくは完全に覆う接着層被覆工程(S110)と、RFIDタグ15aを接着層20にて被覆した被覆体を、金属Mの凹部Hに配置する被覆体配置工程(S120)と、接着層20を硬化させてシート10aを形成する硬化工程(S130)と、を含む。
また、RFIDタグ固定構造1bを製造する方法は、RFIDタグ15bの周囲を接着層20にて部分的若しくは完全に覆う接着層被覆工程(S110)と、RFIDタグ15bを接着層20にて被覆した被覆体を、金属Mの凹部Hに配置する被覆体配置工程(S120)と、接着層20を硬化させてシート10bを形成する硬化工程(S130)と、を含む。
3.各実施形態の作用・効果
上述の各実施形態に係るRFIDタグ固定構造1,1a,1bは、金属Mの表面から内方に窪む凹部Hに非金属対応のRFIDタグ15,15a,15bを固定するRFIDタグ固定構造であって、RFIDタグ15,15a,15bと、RFIDタグ15,15a,15bの周囲を部分的若しくは完全に覆うシリコーン系エラストマーのシート10,10a,10bと、を備え、凹部Hの内壁面からシート10,10a,10bを隔ててRFIDタグ15,15a,15bを固定している。このような構成のRFIDタグ固定構造1,1a,1bによれば、金属対応RFIDタグを用いる場合と比べて低価格にて構成でき、さらにはリーダとの通信に際して金属Mの影響を受けにくく、かつRFIDタグ15,15a,15bの確実な固定と容易な交換とを実現できる。シート10,10a,10bは、柔らかいシリコーンゴムにて構成されているので、ナイフ等の刃物を使って容易に剥がすことができ、また風雨に晒されても容易には消耗しないからである。
また、第2実施形態およびその変形例に係るRFIDタグ固定構造1a,1bでは、シート10a,10bは、凹部Hの内部から外部に突出して備えられ、RFIDタグ15a,15b内のコイル17b若しくはアンテナ17aの少なくとも一部が凹部Hの外部に突出するシート10a,10b内に位置する。このような構成のRFIDタグ固定構造1a,1bによれば、アンテナ17aあるいはコイル17bが凹部Hの外に存在するので、送受信の感度低下のリスクを低減できる。また、RFIDタグ15a,15bの凹部Hから突出した部分にシート10a,10bを被覆することにより、外部からの衝撃や風雨からのアンテナ17aあるいはコイル17bの保護も可能である。
また、第2実施形態の変形例に係るRFIDタグ固定構造1bでは、RFIDタグ15b内のコイル15b(若しくはアンテナ17a)は、シート10bの凹部Hから外部に突出する突出部において、金属Mの表面からシート10bを隔てて、金属Mの表面に沿うように配置されている。このような構成のRFIDタグ固定構造1bによれば、外部のリーダライタとの無線通信の感度をより高められる。
また、各実施形態に係るRFIDタグ固定構造1,1a,1bは、シリコーン系エラストマーとして、湿気硬化シリコーン系エラストマーを用いている。これによって、接着層20を空気中に放置するだけで容易に硬化できる。したがって、金属Mの凹部HにRFIDタグ15,15a,15bを配置したRFIDタグ固定構造1,1a,1bを容易に形成できる。
また、各実施形態に係るRFIDタグ固定構造1,1a,1bでは、RFIDタグ15,15a,15bは、電磁誘導方式または電波方式にて外部と通信可能なタグである。これによって、安価で、小型の無線通信構造を実現しやすくなる。
上述の実施形態に係るRFIDタグ固定構造の製造方法は、RFIDタグ固定構造1,1a,1bを製造する方法であって、非金属対応のRFIDタグ15,15a,15bの周囲を硬化性シリコーン系接着層20にて部分的若しくは完全に覆う接着層被覆工程(S110)と、RFIDタグ15,15a,15bを硬化性シリコーン系接着層20にて被覆した被覆体を、金属Mの表面から内方に窪む凹部Hに配置する被覆体配置工程(S120)と、硬化性シリコーン系接着層20を硬化させてシリコーン系エラストマーのシート10,10a,10bを形成する硬化工程(S130)と、を含む。このような製造方法を採用すると、液状の接着剤を凹部に入れてRFIDタグ15,15a,15bを接着剤の中に入れて硬化させる場合と比べて、RFIDタグ15,15a,15bを凹部Hの内底部に沈めてしまうリスク、凹部Hの表面に浮いてしまうリスク、あるいは凹部H内で傾いてしまうリスクを低減あるいは解消できる。RFIDタグ15,15a,15bを凹部Hにおいて確実に位置決めできると、外部との無線通信の安定化を図ることができる。
また、被覆体配置工程(S120)では、金属Mの凹部Hより体積の大きな被覆体を押し込んで被覆体を変形させるように行われても良い。その場合には、凹部Hの内壁面とシート10,10a,10bとの間に隙間ができてしまうリスクを低減できる。したがって、RFIDタグ15,15a,15bを凹部Hにより確実に固定できる。
4.その他実施形態
以上、本発明の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
例えば、RFIDタグ固定構造1bは、シート10を挟んで金属Mの表面に固定される部分を有する限り、当該部分が金属Mの平らな面のみならず、金属Mの曲面に固定されても良い。RFIDタグ15,15a,15bは、シート10,10a,10bに完全に被覆されていなくとも良く、一部を外部に露出していても良い。
上述の各実施形態の各構成要素は、互いに組み合わせられても良い。一例を挙げるなら、RFIDタグ固定構造の第2実施形態とその変形例とを組み合わせて、金属Mの表面にシート10bを拡げ、その拡げた領域にて、コイル17bを金属Mの表面に対して立設させても良い。
本発明は、金属に非金属対応のRFIDタグを設置する産業において利用可能である。
1,1a,1b・・・RFIDタグ固定構造、10,10a,10b・・・シート(シリコーン系エラストマーのシート)、15,15a,15b・・・RFIDタグ(非金属対応のRFIDタグ)、17・・・コイル、17a・・・アンテナ、17b・・・コイル、20・・・接着層(硬化性シリコーン系接着層)、H・・・凹部、金属・・・M。

Claims (7)

  1. 金属の表面から内方に窪む凹部に非金属対応のRFIDタグを固定するRFIDタグ固定構造であって、
    前記RFIDタグと、
    前記RFIDタグの周囲を部分的若しくは完全に覆うシリコーン系エラストマーのシートと、
    を備え、
    前記凹部の内壁面から前記シートを隔てて前記RFIDタグを固定しているRFIDタグ固定構造。
  2. 前記シートは、前記凹部の内部から外部に突出して備えられ、
    前記RFIDタグ内のコイル若しくはアンテナの少なくとも一部が前記凹部の外部に突出する前記シート内に位置する請求項1に記載のRFIDタグ固定構造。
  3. 前記RFIDタグ内のコイル若しくはアンテナは、前記シートの前記凹部から外部に突出する突出部において、前記金属の表面から前記シートを隔てて、前記金属の表面に沿うように配置されている請求項2に記載のRFIDタグ固定構造。
  4. 前記シリコーン系エラストマーは、湿気硬化シリコーン系エラストマーである請求項1から3のいずれか1項に記載のRFIDタグ固定構造。
  5. 前記RFIDタグは、電磁誘導方式または電波方式にて外部と通信可能なタグである請求項1から4のいずれか1項に記載のRFIDタグ固定構造。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載のRFIDタグ固定構造を製造する方法であって、
    非金属対応のRFIDタグの周囲を硬化性シリコーン系接着層にて部分的若しくは完全に覆う接着層被覆工程と、
    前記RFIDタグを前記硬化性シリコーン系接着層にて被覆した被覆体を、金属の表面から内方に窪む凹部に配置する被覆体配置工程と、
    前記硬化性シリコーン系接着層を硬化させてシリコーン系エラストマーのシートを形成する硬化工程と、
    を含むRFIDタグ固定構造の製造方法。
  7. 前記被覆体配置工程は、前記金属の前記凹部より体積の大きな前記被覆体を押し込んで前記被覆体を変形させるように行われる請求項6に記載のRFIDタグ固定構造の製造方法。
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