JP2020012023A - 表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法と表面被覆近赤外線遮蔽微粒子 - Google Patents

表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法と表面被覆近赤外線遮蔽微粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】水蒸気や紫外線照射等に起因した劣化現象を抑制できる表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法と表面被覆近赤外線遮蔽微粒子を提供する。【解決手段】平均粒径10〜500nmの近赤外線遮蔽微粒子(複合タングステン酸化物微粒子またはホウ化物微粒子)30と、Al2O3、SiO2、SiOAl、SiC、SiOC、SiCNから選択されかつ上記微粒子表面を被覆する1種以上の原子層から成る被覆層31とで構成される表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法であって、第1反応ガス吸着工程と排気工程および第2反応ガス反応工程と排気工程から成る1サイクルで1原子層が形成される原子層堆積(ALD)法を用いた原子層堆積装置により該1原子層を4層以上成膜して被覆層31を形成することを特徴とする。上記被覆層31はピンホールのない原子層で構成されているため水蒸気や紫外線照射等に起因した劣化現象が抑制される。【選択図】図2

Description

本発明は、可視波長領域に高い透過特性を有しかつ近赤外線波長領域に高い吸収特性を有する近赤外線遮蔽微粒子に係り、特に、原子層堆積(ALD)法を用いた原子層堆積(ALD)装置により近赤外線遮蔽微粒子表面にピンホールのない被覆層を形成してその耐候性を高めた表面被覆近赤外線遮蔽微粒子とその製造方法に関するものである。
太陽光線のうち、長波長領域の近赤外線(熱線)は、熱エネルギーとして人体に感じる波長領域の光であり、室内、車内の温度上昇の原因ともなる。一方、短波長領域の紫外線は、日焼け、しみ、そばかす、発癌、視力障害等人体に悪影響を及ぼし、物品に係る機械的強度の低下、色褪せ等の外観劣化、食品の劣化、印刷物に係る色調の低下等を引き起こすものである。
これ等の不要な近赤外線(熱線)や有害な紫外線のうち、近赤外線(熱線)を遮蔽するために、近赤外線を遮蔽する日射遮蔽膜を基材上に形成して日射遮蔽機能を持たせたガラス基板、プラスチック板、フィルム等の透明基材が使用されている。そして、従来、上記日射遮蔽膜として、伝導電子を多量に持つ金、銀、銅、アルミニウム等の薄膜を日射遮蔽材料とした日射遮蔽膜が用いられてきた。
一方、日射遮蔽材料を含有する塗布液を透明基材上に塗布して日射遮蔽膜を形成し、日射遮蔽機能を持たせた透明基材を簡便かつ低コストで製造する方法も提案されている。
例えば、特許文献1には、六ホウ化物が自由電子を多量に保有していること、当該六ホウ化物を微粒子化し高度に分散させることによって可視光領域に透過率の極大を持つと共に、可視光領域に近い近赤外領域に強いプラズマ反射を発現して透過率の極小を持つようになることが開示されている。
また、特許文献2は、樹脂若しくはガラス等の固体媒質中に六ホウ化物微粒子を分散させた分散体が、厚さ0.1μm〜50mmのフィルム若しくはボードを構成している六ホウ化物粒子分散体を開示している。
しかし、六ホウ化物微粒子は、空気中の水蒸気や水によって表面が分解劣化(酸化物や水酸化物に変化)することが知られており、特に微細粒子であるほど劣化による日射遮蔽効果の損失割合は大きい。日射遮蔽材料は、その特質から基本的には屋外で使用され、高い耐候性が要求される場合も少なくない。そして、六ホウ化物微粒子を含有する一部の光学部材(フィルム、樹脂シート等)においては、空気中の水蒸気や水分がマトリクス中に徐々に浸透し、六ホウ化物粒子表面を分解することで200〜2600nm領域の透過率が経時的に上昇してしまい、日射遮蔽性能が徐々に劣化する問題があった。
この問題に対し、上記特許文献2は、アルコキシシラン等の表面処理剤を用いて六ホウ化物粒子表面を被覆し、六ホウ化物粒子の耐水性を改善する方法を提案している。
また、特許文献3は、加水分解性シラン化合物を用いて六ホウ化物粒子表面にシリカの被覆層を形成する表面被覆六ホウ化物粒子の製造方法を提案している。すなわち、この製造方法は、六ホウ化物粒子が有機溶媒中に分散された分散液に、有機金属化合物(この化合物は六ホウ化物粒子の分散機能と下記加水分解性シラン化合物の重合促進機能を有する)を添加し、該有機金属化合物を六ホウ化物粒子表面に吸着させた後、水と上記加水分解性シラン化合物を添加して有機金属化合物が吸着された六ホウ化物粒子表面を加水分解性シラン化合物で被覆する。次いで、加水分解性シラン化合物で被覆された六ホウ化物粒子の分散液から溶媒を除去した後、有機金属化合物の分解温度以上の条件で六ホウ化物粒子を加熱焼成し、更に、得られた粉状体を粉砕してシリカの被覆層が形成された表面被覆六ホウ化物粒子を製造する方法であった。
しかし、アルコキシシラン等の表面処理剤を用いた上記特許文献2の方法は、六ホウ化物粒子の平均一次粒子径が200nm以下と微細になった場合、六ホウ化物微粒子と共にアルコキシシラン等の濃度が高くなると、加水分解・重縮合反応過程において六ホウ化物微粒子同士が凝集し易くなり、表面処理は、六ホウ化物微粒子同士が凝集した凝集体上になされる状態になる。このため、表面処理後において媒体攪拌ミル等の機械的な分散処理が必要となり、該分散処理を経た場合、シリカ成分を介しクラスター構造を形成していた微粒子同士が解離する際にシリカ被覆層を有しない面が露出した六ホウ化物微粒子ができてしまい、各種基材に対して十分な透明性と耐水性を付与させることは困難であった。また、シリカの被覆層を形成する上記特許文献3の方法は、特許文献2に較べ改善はされているものの上記課題を解消するまでには至っていなかった。
一方、特許文献4は、日射遮蔽機能を有するタングステン酸化物微粒子や複合タングステン酸化物微粒子が適用された日射遮蔽用合わせ構造体を提案している。
すなわち、特許文献4で提案された上記構造体は、日射遮蔽機能を有する微粒子を含む中間層を、板ガラス、プラスチック、日射遮蔽機能を有する微粒子を含むプラスチックから選ばれた2枚の合わせ板間に介在させて成る日射遮蔽用合わせ構造体であって、
日射遮蔽機能を有する微粒子が、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.0<z/y<3.0)で表されるタングステン酸化物微粒子、および/または、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Reの内から選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.0<z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子で構成されることを特徴とするものである。
しかし、非特許文献1に記載されているように、上記複合タングステン酸化物微粒子には、以下の劣化現象を有することが知られている。
(1)紫外線の照射によって複合タングステン酸化物微粒子周囲の樹脂等からH+が複合タングステン酸化物微粒子に入り込んで着色するカラーリング現象
(2)複合タングステン酸化物微粒子(Cs0.33WO3)周囲の水分が複合タングステン酸化物微粒子表面のCsプラズモン吸収を弱める酸化現象
そこで、複合タングステン酸化物微粒子の上記劣化現象を抑制するため、特許文献5は、特許文献3と同様、有機溶媒に分散された複合タングステン酸化物微粒子の分散液に、上述した有機金属化合物を添加して混合液とした後、該混合液を攪拌しながらシラン化合物を添加し、該シラン化合物および有機金属化合物を複合タングステン微粒子表面に被覆した後、該混合液を乾固し、該固化物を解砕処理してシラン化合物または/および有機金属化合物で被覆されている赤外線遮蔽微粒子を提案している。
しかし、特許文献3と同様、上記課題(複合タングステン酸化物微粒子の劣化現象)は改善されるものの、解消するまでには至っていなかった。
このように、日射遮蔽機能を有するホウ化物微粒子および複合タングステン酸化物微粒子では、空気中の水蒸気等に起因した分解劣化、紫外線照射に起因する特性劣化現象等が知見されており、これ等の劣化現象を効果的に抑制できる方法が望まれていた。
特開2000−072484号公報(段落0024−0025参照) 特開2003−277045号公報(請求項11、段落0005−0006参照) 特開2007−308341号公報(請求項1参照) WO2005/087680 A1公報(請求項1参照) 特開2008−291109号公報(請求項4参照) 特開2002−314072号公報
Kenji Adachi et al, J. Appl. Phys., 114, 194304(2013) Riikka L. Puurunen, J.Appl.Phys., 97,121301 (2005)
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、ホウ化物微粒子若しくは複合タングステン酸化物微粒子から選択される近赤外線遮蔽微粒子の表面にピンホールのない被覆層を形成し、該被覆層により水蒸気や紫外線照射に起因した劣化現象を抑制できる表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法を提供し、合わせてこの製造方法により得られる表面被覆近赤外線遮蔽微粒子を提供することにある。
そこで、上記課題を解決するため、本発明者は、非特許文献2に記載された原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法に注目すると共に、ピンホールのない上記被覆層の形成にALD法の採用を試みた。すなわち、ALD法は、原子層(分子層)を構成する元素が含まれる原料ガスを真空装置内に交互に導入し、真空装置内に収容された被成膜体である微粒子の最表面に吸着された分子と、次に導入される原料ガスとの反応により単原子(単分子)層ずつ堆積させる方法で、被覆層の膜厚を原子層レベルで制御することができる方法である。そして、近赤外線遮蔽微粒子における被覆層の形成にALD法を適用したところ、スパッタリング法に較べ成膜速度は遅いが、原料ガスが細部にまで行き渡るためピンホールのない薄膜を形成でき、しかも被成膜体表面の凹凸に影響されずに微細な隙間へも薄膜を形成できることが確認された。本発明はこのような技術的検討と分析に基づき完成されたものである。
すなわち、本発明に係る第1の発明は、
近赤外線遮蔽微粒子と、該近赤外線遮蔽微粒子表面を被覆する被覆層とで構成される表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法において、
複合タングステン酸化物微粒子、ホウ化物微粒子から選択される1種以上の平均粒径10〜500nmの近赤外線遮蔽微粒子と、Al23、SiO2、SiOAl、SiC、SiOC、SiCNから選択されかつ近赤外線遮蔽微粒子表面を被覆する1種以上の原子層から成る被覆層とで上記表面被覆近赤外線遮蔽微粒子が構成され、
第1反応ガス吸着工程と排気工程および第2反応ガス反応工程と排気工程から成る1サイクルで1原子層が形成される原子層堆積(ALD)法を用いた原子層堆積(ALD)装置により該1原子層を4層以上成膜して1種以上の原子層から成る被覆層を形成することを特徴とし、
また、本発明に係る第2の発明は、
近赤外線遮蔽微粒子と、該近赤外線遮蔽微粒子表面を被覆する被覆層とで構成された表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法において、
複合タングステン酸化物微粒子、ホウ化物微粒子から選択される1種以上の平均粒径10〜500nmの近赤外線遮蔽微粒子と、Al23、SiO2、SiOAl、SiC、SiOC、SiCNから選択されかつ近赤外線遮蔽微粒子表面を被覆する1種以上の原子層から成る第一被覆層と、Al23、SiO2から選択されかつ第一被覆層表面を被覆する1種以上の原子層から成る第二被覆層とで上記表面被覆近赤外線遮蔽微粒子が構成され、
第1反応ガス吸着工程と排気工程および第2反応ガス反応工程と排気工程から成る1サイクルで1原子層が形成される原子層堆積(ALD)法を用いた原子層堆積(ALD)装置により該1原子層を4層以上成膜して1種以上の原子層から成る第一被覆層を形成すると共に、
上記原子層堆積(ALD)法を用いた原子層堆積(ALD)装置により該1原子層を1層以上成膜して1種以上の原子層から成る第二被覆層を形成することを特徴とするものである。
次に、本発明に係る第3の発明は、
第1の発明または第2の発明に記載の表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法において、
排気機構を有する複数の真空チャンバが近赤外線遮蔽微粒子の移動を制御する微粒子移動用開閉バルブを介して鉛直方向に連通して配置され、かつ、上記第1反応ガス吸着工程と第2反応ガス反応工程を行う少なくとも一対の真空チャンバに反応ガス導入機構が設けられた原子層堆積(ALD)装置を用いて上記被覆層または上記第一被覆層と第二被覆層を形成することを特徴とし、
第4の発明は、
第3の発明に記載の表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法において、
上記複数の真空チャンバが、一定量の近赤外線遮蔽微粒子が導入される第1真空チャンバと、微粒子移動用開閉バルブを介し第1真空チャンバから導入される上記微粒子の表面に第1反応ガスを化学吸着させる第2真空チャンバと、微粒子移動用開閉バルブを介し第2真空チャンバから第1反応ガスを化学吸着した上記微粒子が導入されかつ第2真空チャンバから流れ込んだ過剰な第1反応ガスと副生成物を排気する第3真空チャンバと、微粒子移動用開閉バルブを介し第3真空チャンバから導入される上記微粒子の該表面に化学吸着された第1反応ガスと第2反応ガスを反応させて1原子層を形成する第4真空チャンバと、微粒子移動用開閉バルブを介し第4真空チャンバから1原子層を形成した上記微粒子が導入されかつ第4真空チャンバから流れ込んだ過剰な第2反応ガスと副生成物を排気する第5真空チャンバとで構成され、かつ、最上部の第1真空チャンバには一定量の近赤外線遮蔽微粒子を導入する微粒子導入用開閉バルブが設けられると共に、最下部の第5真空チャンバには原子層が形成された近赤外線遮蔽微粒子を排出する微粒子排出用開閉バルブが設けられた原子層堆積(ALD)装置により第3の発明に記載された上記原子層堆積(ALD)装置が構成されていることを特徴とし、
また、第5の発明は、
第3の発明または第4の発明に記載の表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法において、
原子層が形成された近赤外線遮蔽微粒子を排出する微粒子排出用開閉バルブを具備する最下部の真空チャンバに該微粒子排出用開閉バルブを介し搬送用真空チャンバが連通して設けられ、かつ、上記搬送用真空チャンバは最上部の真空チャンバにその微粒子導入用開閉バルブを介し連通して設けられていると共に、搬送用真空チャンバ内の搬送機構により原子層が形成された近赤外線遮蔽微粒子を搬送して最上部の真空チャンバ内に導入する原子層堆積(ALD)装置により第4の発明に記載された上記原子層堆積(ALD)装置が構成されていることを特徴とするものである。
更に、本発明に係る第6の発明は、
第1の発明または第2の発明に記載の表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法において、
上記複合タングステン酸化物微粒子が、一般式MxWyOz(Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、BiおよびIから成る群から選択される少なくとも1種の元素を表し、x、y、zは、0.01≦x≦1、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0を満たす)で表される複合タングステン酸化物微粒子で構成され、
上記ホウ化物微粒子が、一般式XBm(但し、Xは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Caから成る群から選択される少なくとも1種以上の金属元素、mは上記一般式におけるホウ素量を示す数字であり、4.0≦m≦6.2を満たす)で表されるホウ化物微粒子で構成されることを特徴とし、
第7の発明は、
近赤外線遮蔽微粒子と、該近赤外線遮蔽微粒子表面を被覆する被覆層とで構成される表面被覆近赤外線遮蔽微粒子において、
第1の発明〜第6の発明のいずれかに記載の表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法で得られることを特徴とするものである。
本発明に係る第1の発明方法によれば、第1反応ガス吸着工程と排気工程および第2反応ガス反応工程と排気工程から成る1サイクルで1原子層が形成される原子層堆積(ALD)法を用いた原子層堆積(ALD)装置により、近赤外線遮蔽微粒子(複合タングステン酸化物微粒子および/またはホウ化物微粒子)表面に、Al23、SiO2、SiOAl、SiC、SiOC、SiCNから選択された1種以上の原子層から成る被覆層を形成し、
また、本発明に係る第2の発明方法によれば、第1反応ガス吸着工程と排気工程および第2反応ガス反応工程と排気工程から成る1サイクルで1原子層が形成される原子層堆積(ALD)法を用いた原子層堆積(ALD)装置により、近赤外線遮蔽微粒子(複合タングステン酸化物微粒子および/またはホウ化物微粒子)表面に、Al23、SiO2、SiOAl、SiC、SiOC、SiCNから選択された1種以上の原子層から成る第一被覆層を形成すると共に、上記原子層堆積(ALD)法を用いた原子層堆積(ALD)装置により、第一被覆層表面にAl23、SiO2から選択された1種以上の原子層から成る第二被覆層を形成して表面被覆近赤外線遮蔽微粒子を製造している。
そして、原子層堆積(ALD)装置により形成される上記被覆層若しくは第一被覆層と第二被覆層はピンホールのない原子層でそれぞれ構成されているため、従来、水蒸気や紫外線照射等に起因してホウ化物微粒子や複合タングステン酸化物微粒子において発生していた分解劣化や特性劣化現象を効果的に抑制できる効果を有する。
複合タングステン酸化物微粒子の結晶構造の模式図。 近赤外線遮蔽微粒子30と、該微粒子30表面を被覆する1種の原子層(4層以上)から成る被覆層31とで構成される本発明に係る表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の構成断面図。 近赤外線遮蔽微粒子40と、該微粒子40表面を被覆する1種の原子層(4層以上)から成る第一被覆層41と、該第一被覆層41表面を被覆する1種の原子層(1層以上)から成る第二被覆層42とで構成される本発明に係る表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の構成断面図。 近赤外線遮蔽微粒子50と、該微粒子50表面を被覆する2種の原子層51a、51b(原子層51aの原子層数と原子層51bの原子層数との合計が4層以上)から成る第一被覆層51と、該第一被覆層表面を被覆する1種の原子層(1層以上)から成る第二被覆層52とで構成される本発明に係る表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の構成断面図。 微粒子移動用開閉バルブを介し第1真空チャンバ〜第5真空チャンバが鉛直方向に連通して配置された本発明方法で使用される原子層堆積(ALD)装置の構成を示す説明図で、図5(a)は第1真空チャンバ、第3真空チャンバ、および、第5真空チャンバ内に近赤外線遮蔽微粒子が存在する状態を示し、図5(b)は第2真空チャンバ、および、第4真空チャンバ内に近赤外線遮蔽微粒子が存在する状態を示す。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明は、近赤外線遮蔽微粒子と該近赤外線遮蔽微粒子表面を被覆する被覆層とで構成される表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法に関するものである。
そして、本発明の第一実施形態に係る表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法は、
複合タングステン酸化物微粒子、ホウ化物微粒子から選択される1種以上の平均粒径10〜500nmの近赤外線遮蔽微粒子と、Al23、SiO2、SiOAl、SiC、SiOC、SiCNから選択されかつ近赤外線遮蔽微粒子表面を被覆する1種以上の原子層から成る被覆層とで表面被覆近赤外線遮蔽微粒子が構成され、
第1反応ガス吸着工程と排気工程および第2反応ガス反応工程と排気工程から成る1サイクルで1原子層が形成される原子層堆積(ALD)法を用いた原子層堆積(ALD)装置により該1原子層を4層以上成膜して1種以上の原子層から成る被覆層を形成することを特徴とし、
本発明の第二実施形態に係る表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法は、
複合タングステン酸化物微粒子、ホウ化物微粒子から選択される1種以上の平均粒径10〜500nmの近赤外線遮蔽微粒子と、Al23、SiO2、SiOAl、SiC、SiOC、SiCNから選択されかつ近赤外線遮蔽微粒子表面を被覆する1種以上の原子層から成る第一被覆層と、Al23、SiO2から選択されかつ第一被覆層表面を被覆する1種以上の原子層から成る第二被覆層とで表面被覆近赤外線遮蔽微粒子が構成され、
第1反応ガス吸着工程と排気工程および第2反応ガス反応工程と排気工程から成る1サイクルで1原子層が形成される原子層堆積(ALD)法を用いた原子層堆積(ALD)装置により該1原子層を4層以上成膜して1種以上の原子層から成る第一被覆層を形成すると共に、
上記原子層堆積(ALD)法を用いた原子層堆積(ALD)装置により該1原子層を1層以上成膜して1種以上の原子層から成る第二被覆層を形成することを特徴とするものである。
以下、1.被成膜体となる近赤外線遮蔽微粒子、2.原子層堆積法で得られる被覆膜(膜種)とその膜材料(反応ガス)、3.被覆層の構造、4.原子層堆積装置(1)原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法、(2)本発明方法で使用される原子層堆積(ALD)装置、および、(3)原子層堆積(ALD)装置を用いた表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法について順に説明する。
1.被成膜体となる近赤外線遮蔽微粒子
本発明の表面被覆近赤外線遮蔽微粒子を構成する「近赤外線遮蔽微粒子」には、複合タングステン酸化物微粒子、ホウ化物微粒子が用いられる。
尚、複合タングステン酸化物微粒子とホウ化物微粒子は、それぞれを混合して適用してもよいし、あるいは、混合せずに個々に適用してもよく任意である。
(1)複合タングステン酸化物微粒子
複合タングステン酸化物微粒子は、一般式MxWyOz(Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、BiおよびIからなる群から選択される少なくとも1種の元素を表し、x、y、zは、0.01≦x≦1、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0を満たす)で表される複合タングステン酸化物微粒子で構成され、その平均粒径が10nm〜500nmであることを特徴としている。
一般に、自由電子を含む材料は、プラズマ振動によって波長200nm〜2600nmの太陽光線における領域周辺の電磁波に反射吸収応答を示すことが知られている。このような物質の粉末を光の波長より小さい粒径の微粒子とすると、可視光領域(380nm〜780nm)の幾何学散乱が低減されて可視光領域の透明性が得られることが知られている。尚、本明細書において、「透明性」とは、可視光領域の光に対して散乱が少なく透過性が高いという意味で用いている。
一般に、WO3中には有効な自由電子が存在しないため、近赤外線領域の吸収反射特性が少なく、赤外線遮蔽材料としては有効ではない。
一方、酸素欠損を持つWO3や、WO3にNa等の陽性元素を添加した、所謂タングステンブロンズは、導電性材料であり、自由電子を持つ材料であることが知られている。そして、これ等の自由電子を持つ材料の単結晶等の分析により、赤外線領域の光に対する自由電子の応答が示唆されている。
当該タングステンと酸素との組成範囲の特定部分において、赤外線遮蔽材料として特に有効な範囲があることが見出されており、可視光領域においては透明で、近赤外線領域においては吸収を持つタングステン酸化物、または/および、複合タングステン酸化物微粒子を媒体に分散させた赤外線遮蔽材料微粒子分散体が作製されている。
酸素量の制御と、自由電子を生成する元素の添加とを併用した赤外線遮蔽材料として、上記した一般式MxWyOz(但し、Mは、前記M元素、Wはタングステン、Oは酸素)で記載したとき、0.01≦x≦1、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0の関係を満たす赤外線遮蔽材料が望ましい。
まず、元素Mの添加量を示すx/yの値について説明する。
x/yの値が0.001より大きければ、十分な量の自由電子が生成され目的とする赤外線遮蔽効果を得ることができる。そして、元素Mの添加量が多いほど、自由電子の供給量が増加し、赤外線遮蔽効率も上昇するが、x/yの値が1程度で当該効果も飽和する。また、x/yの値が1より小さければ、当該赤外線遮蔽材料中に不純物相が生成されるのを回避できるので好ましい。
また、元素Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上であることが好ましい。
ここで、元素Mが添加された当該MxWyOzにおける、安定性の観点からは、元素Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Reのうちのうちから選択される1種類以上の元素であることがより好ましく、赤外線遮蔽材料としての光学特性、耐候性を向上させる観点からは、上記元素Mにおいてアルカリ土類金属元素、遷移金属元素、4B族元素、5B族元素に属するものが、更に好ましい。
次に、酸素量の制御を示すz/yの値について説明する。z/yの値については、MxWyOzで表記される赤外線遮蔽材料においても、上記特許文献4のWyOzで表記される赤外線遮蔽材料と同様の機構が働くことに加え、z/y=3.0においても、上述した元素Mの添加量による自由電子の供給があるため、2.2≦z/y≦3.0が好ましく、更に好ましくは2.45≦z/y≦3.0である。
更に、上記複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を有する場合、当該微粒子の可視光領域の透過が向上し、近赤外領域の吸収が向上する。この六方晶の結晶構造の模式的な平面図である図1を参照しながら説明する。図1において、符号1で示すWO6単位にて形成される8面体が、6個集合して六角形の空隙が構成され、当該空隙中に、符号2で示す元素Mが配置して1箇の単位を構成し、この1箇の単位が多数集合して六方晶の結晶構造を構成する。
可視光領域の透過を向上させ、近赤外領域の吸収を向上させる効果を得るためには、複合タングステン酸化物微粒子中に、図1で説明した単位構造(WO6単位で形成される8面体が6個集合して六角形の空隙が構成され、当該空隙中に元素Mが配置した構造)が含まれていれば良く、当該複合タングステン酸化物微粒子が、結晶質であっても非晶質であっても構わない。
この六角形の空隙に元素Mの陽イオンが添加されて存在するとき、可視光領域の透過が向上し、近赤外領域の吸収が向上する。ここで、一般的には、イオン半径の大きな元素Mを添加したとき当該六方晶が形成され、具体的には、Cs、K、Rb、Tl、In、Ba、Snを添加したとき六方晶が形成されやすい。勿論これ等以外の元素でも、WO6単位で形成される六角形の空隙に上述した元素Mが存在すれば良く、上記元素に限定される訳ではない。
六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物微粒子が均一な結晶構造を有するとき、添加元素Mの添加量は、x/yの値で0.2以上0.5以下が好ましく、更に好ましくは0.33である。x/yの値が0.33となることで、上述した元素Mが六角形の空隙の全てに配置されると考えられる。
また、六方晶以外で、正方晶、立方晶のタングステンブロンズも赤外線遮蔽材料として有効である。結晶構造によって、近赤外線領域の吸収位置が変化する傾向があり、立方晶<正方晶<六方晶の順に、吸収位置が長波長側に移動する傾向がある。また、それに付随して可視光線領域の吸収が少ないのは、六方晶、正方晶、立方晶の順であり、よって、より可視光領域の光を透過して、より赤外線領域の光を遮蔽する用途には、六方晶のタングステンブロンズを用いることが好ましい。但し、ここで述べた光学特性の傾向は、あくまで大まかな傾向であり、添加元素の種類や、添加量、酸素量によって変化するものであり、本発明がこれに限定されるわけではない。
複合タングステン酸化物微粒子を含有する赤外線遮蔽材料は、近赤外線領域、特に1000nm付近の光を大きく吸収するため、その透過色調は青色系から緑色系となる物が多い。
また、近赤外線遮蔽微粒子の平均粒径は10nm〜500nmであることを要し、使用目的によって上記範囲から適宜選定することができる。まず、透明性を保持した応用に使用する場合は、500nm以下の粒子径を有していることが好ましい。これは、500nmよりも小さい粒子は、散乱により光を完全に遮蔽することが無く、可視光線領域の視認性を保持し、同時に効率良く透明性を保持することができるからである。特に可視光領域の透明性を重視する場合は、更に粒子による散乱を考慮することが好ましい。
この粒子による散乱の低減を重視するとき、粒子径は200nm以下、好ましくは100nm以下が良い。この理由は、粒子の粒子径が小さければ、幾何学散乱若しくはミー散乱による、400nm〜780nmの可視光線領域の光の散乱が低減される結果、赤外線遮蔽材料が曇りガラスのようになり、鮮明な透明性が得られなくなるのを回避できるからである。すなわち、粒子径が200nm以下になると、上記幾何学散乱若しくはミー散乱が低減し、レイリー散乱領域になる。レイリー散乱領域では、散乱光強度は粒子径の6乗に比例するため、粒子径の減少に伴い散乱が低減し透明性が向上するからである。更に粒子径が100nm以下になると、散乱光は非常に少なくなり好ましい。光の散乱を回避する観点からは、粒子径が小さい方が好ましい。
(2)ホウ化物微粒子
次に、ホウ化物微粒子は、一般式XBm(但し、Xは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Caから成る群から選択される少なくとも1種類以上の金属元素、mは上記一般式におけるホウ素量を示す数字であり、4.0≦m≦6.2を満たす)で表されるホウ化物微粒子で構成され、上記微粒子の平均粒径が10nm〜500nmであることを特徴としている。
近赤外線遮蔽微粒子としては、上述した一般式XBmにおいて、4.0≦m≦6.2であることが好ましい。すなわち、ホウ化物微粒子としては、通常の場合、ホウ化物微粒子を含む粉体は、実際には、XB4、XB6、XB12等の混合物である。例えば、代表的なホウ化物微粒子である6ホウ化物の場合において、X線回折の結果から単一相であると判断されても、実際には5.8<m<6.2となり、微量に他相を含んでいると考えられる。ここで、m≧4となる場合は、XB、XB2等の生成が抑制されており、理由は不明であるが、赤外線吸収特性が向上する。一方、m<6.2となる場合は、ホウ化物微粒子以外に酸化ホウ素粒子が発生することが抑制される。酸化ホウ素粒子は吸湿性があるため、ホウ化物粉体中に酸化ホウ素粒子が混入すると、ホウ化物粉体の耐湿性が低下し、近赤外線吸収特性の経時劣化が大きくなってしまう。そこで、m<6.2として、酸化ホウ素粒子の発生を抑制することが好ましい。
上記ホウ化物の内、XB4、XB6が主体となっていることが好ましく、更に一部XB12を含んでいても良い。ここで、mとは、得られたホウ化物微粒子を含む粉体を化学分析し、X元素の1原子に対するBの原子数比を示すものである。
以下の説明においては、ホウ化物としてm=6の場合の6ホウ化物を例として説明する。
本発明に使用される6ホウ化物には、LaB6、CeB6、PrB6、NdB6、SmB6、EuB6、GdB6、TbB6、DyB6、HoB6、ErB6、TmB6、YbB6、LuB6、SrB6、CaB6およびYB6が挙げられる。
本発明に使用される6ホウ化物微粒子は、その表面が酸化していないことが好ましいが、通常は僅かに酸化していることが多く、また微粒子の分散工程で表面の酸化が起こることはある程度避けられない。しかしその場合でも近赤外線吸収効果を発現する有効性に変わりはない。またこれ等の微粒子は、結晶としての完全性が高いほど大きい近赤外線吸収効果が得られるが、結晶性が低くX線回折でブロードな回折ピークを生じるようなものであっても、微粒子内部の基本的な結合が立方晶CaB6タイプの構造を有するものであるならば近赤外線吸収効果を発現する。加えて、6ホウ化物微粒子は無機物質のため耐候性にも優れている。
これ等の6ホウ化物微粒子は、暗い青紫色や緑色等の粉末であるが、可視光波長に比べて粒径を十分小さくし、この小さな粒径を有する微粒子を繊維の表面および/または内部に分散して含有させた状態においては、可視光透過性が生じるが、赤外線吸収能は十分強く保持できる。これは、6ホウ化物微粒子中の自由電子の量が多く、当該微粒子内部および表面の自由電子によるプラズモン吸収およびバンド間間接遷移の吸収エネルギーが、ちょうど可視から近赤外光の付近にあるために、この波長領域の熱線が選択的に反射・吸収されるためであると考えられる。実験によれば、これ等6ホウ化物微粒子を十分細かく且つ均一に分散した膜では、透過率が波長400〜700nmの間に極大値をもち、かつ、波長700〜1800nmの間に極小値をもつことが判明した。そこで、当該6ホウ化物微粒子を透明基材の表面および/または内部に含有した分散体においても、同様の透過率の波長特性を得ることができる。
ここで、人間の可視光波長が380〜780nmであり、視感度が550nm付近をピークとする釣鐘型であることを考慮すると、このような6ホウ化物微粒子を含有した分散体では可視光を有効に透過し、それ以外の熱線を有効に反射・吸収することが理解される。
また、6ホウ化物微粒子の単位重量あたりの赤外線吸収能力は非常に高く、ITOやATOと比較して、40〜100分の1以下の使用量でその効果を発揮することができる。従って、所望の透明基材への微粒子の添加量が少なくても充分な赤外線吸収能を確保することができるので、基材の物性を損なうことが無いという利点を有する。勿論、所望により大量に添加することも可能であり、透明基材の表面および/または内部での6ホウ化物微粒子の含有量は、透明基材の固形分に対して、0.001重量%〜30重量%の範囲で選択することができる。更に、6ホウ化物微粒子添加後の透明基材の重量や原料コストを考慮した観点からは、好ましくは0.005重量%〜15重量%の範囲、更に好ましくは0.005重量%〜10重量%の範囲で選択すると良い。添加量が0.001重量%以上であれば、基材が厚くても十分な赤外線吸収効果を得ることができ、30重量%未満であれば分散体作製への悪影響も無い。10重量%未満であれば更に好ましい。
また、6ホウ化物微粒子と共に、遠赤外線を放射する能力を有する物質の微粒子を基材表面および/または内部に含有させるのも好ましい構成である。当該遠赤外線放射物質の微粒子として、例えばZrO2、SiO2、TiO2、Al23、MnO2、MgO、Fe23、CuO等の金属酸化物、ZrC、SiC、TiC等の炭化物、ZrN、Si34、AlN等の窒化物等を挙げることができる。
6ホウ化物微粒子は、波長0.3〜2μmの太陽光等の光エネルギーを吸収する性質を持っており、特に波長1μm付近の近赤外領域の光を選択的に吸収して、再輻射するか、若しくは熱に変換する。上述した遠赤外線放射物質の微粒子は、6ホウ化物微粒子が吸収したエネルギーを受け取って、中・遠赤外線波長の熱エネルギーに転換し、放射する能力を有している。例えば、ZrO2微粒子は、6ホウ化物微粒子によって吸収された熱を、波長2〜20μmの熱エネルギーに転換し放射する。従って、吸収したエネルギーを微粒子間で交換し効率良く放射するため、より効果的な保温がなされる。
次に、6ホウ化物微粒子の好ましい粒径について説明する。
上述したように6ホウ化物微粒子の平均粒径が10nm〜500nmであることを要し、使用目的によって上記範囲から適宜選定することができる。まず、透明性を保持した応用に使用する場合は、500nm以下の粒子径を有していることが好ましい。これは、500nmよりも小さい粒子は、散乱により光を完全に遮蔽することが無く、可視光線領域の視認性を保持し、同時に効率良く透明性を保持することができるからである。特に可視光領域の透明性を重視する場合は、更に粒子による散乱を考慮することが好ましい。
更に、意匠性の観点からは、透明性を保持したまま近赤外線の効率良い遮蔽を行なうことが求められる。ところが、6ホウ化物微粒子の粒子径が大きいと、幾何学散乱若しくは回折散乱によって400〜780nmの可視光領域の光を散乱して曇りガラスのようになり、鮮明な透明性が得にくくなる。そこで、6ホウ化物微粒子の粒子径を500nmよりも小さくした場合、可視光を遮蔽しないので、可視光領域の透明性を保持したまま効率良く近赤外線を遮蔽することができる。
更に、6ホウ化物微粒子径が200nm以下になると、上記散乱が低減してミー散乱若しくはレイリー散乱領域になる。特に、レイリー散乱領域まで粒子径が減少すると、散乱光強度は分散粒子径の6乗に比例するため、粒子径の減少に伴い散乱が低減し透明性が向上する。更に100nm以下になると散乱光は非常に少なくなり好ましい。そこで、特に可視光領域の透明性を重視する場合には、6ホウ化物微粒子径は200nm以下がよく、更に好ましくは100nm以下がよい。
2.原子層堆積法で得られる被覆膜(膜種)とその膜材料(反応ガス)
ALD法で被覆膜(被覆層)を形成する反応ガスは各社から販売されている。本発明で採用した被覆膜の代表的な反応ガスを以下の表1に示す。
これ等の代表的な膜材料(反応ガス)を表1にまとめるが、ここに示した膜材料(反応ガス)に限定されるものではない。また、これ等の膜材料から成る酸化膜に加え、類似する炭化膜、窒化膜あるいはこれ等の合成膜であってもよい。
Figure 2020012023
3.被覆層の構造
近赤外線遮蔽微粒子(複合タングステン酸化物微粒子および/またはホウ化物微粒子)表面に形成される被覆層(被覆膜)の構造としては、第1反応ガス吸着工程と排気工程および第2反応ガス反応工程と排気工程から成る1サイクルで1原子層が形成される原子層堆積(ALD)法を用いた原子層堆積(ALD)装置により、該1原子層が4層以上成膜されて1種以上の原子層から成る被覆層(被覆膜)が少なくとも1種以上形成されていればよく、被覆膜の総数、膜の順番、組合せ、膜厚等が限定されるものではない。
例えば、第1反応ガス吸着工程と排気工程および第2反応ガス反応工程と排気工程から成る1サイクルで1原子層が形成される原子層堆積(ALD)法を用いた原子層堆積(ALD)装置により、図2に示す近赤外線遮蔽微粒子(複合タングステン酸化物微粒子および/またはホウ化物微粒子)30の表面を、Al23、SiO2、SiOAl、SiC、SiOC、SiCNから選択された1種の原子層が4層以上成膜されて成る被覆層31で被覆する構造が挙げられる。
また、上記原子層堆積(ALD)法を用いた原子層堆積(ALD)装置により、図3に示す近赤外線遮蔽微粒子(複合タングステン酸化物微粒子および/またはホウ化物微粒子)40の表面を、Al23、SiO2、SiOAl、SiC、SiOC、SiCNから選択された1種の原子層が4層以上成膜されて成る第一被覆層41で被覆し、該第一被覆層41の表面を、Al23、SiO2から選択された1種の原子層が1層以上成膜されて成る第二被覆層42で被覆する構造が挙げられる。Al23、SiO2から選択された1種から成る被覆層は、両者とも酸素透過性、水蒸気透過性が低く、1種の原子層が1層以上成膜されていれば被覆層として効果が現れる。
更に、上記原子層堆積(ALD)法を用いた原子層堆積(ALD)装置により、図4に示す近赤外線遮蔽微粒子(複合タングステン酸化物微粒子および/またはホウ化物微粒子)50の表面を、Al23、SiO2、SiOAl、SiC、SiOC、SiCNから選択された2種の原子層51a、51b(原子層51aの原子層数と原子層51bの原子層数との合計が4層以上)から成る第一被覆層51で被覆し、該第一被覆層の表面を、Al23、SiO2から選択された1種の原子層(1層以上)から成る第二被覆層52で被覆する構造が挙げられる。
4.原子層堆積装置
(1)原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法
原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD、上記したようにALDと略記する場合がある)は、原子層(分子層)を構成する元素が含まれる原料ガスを真空装置内に交互に導入し、真空装置内に配置された被成膜体の最表面に吸着された分子と、次に導入される原料ガスとの反応により単原子(単分子)層ずつ堆積させる方法で、被覆膜の膜厚を原子層レベルで制御できる方法である(非特許文献2参照)。
そして、ALD法は、被成膜体側から単原子(単分子)層ずつ堆積しながら成膜が始まる方法であるため、被成膜体(例えば耐熱性樹脂フィルム)に対しピンホールのない金属膜を形成することが可能となる。更に、ALD法においては原料がガスであるため、スパッタリング法や真空蒸着法で多発するスプラッシュ現象(膜原料が固まりのまま被成膜体に飛来する現象)の発生もない。従って、スプラッシュが成膜中の膜に付着し、それが脱落してピンホールになるような現象もない。一方、真空成膜法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタリング法等)においては、金属クラスターが被成膜体上に飛来して被成膜体表面に付着し、金属クラスターが結合して膜を形成していくため、潜在的に金属クラスター間にピンホールを作ってしまう可能性があり、ALD法とは大きく異なっている。
また、直進性が高いスパッタリング法や真空蒸着法においては均一な成膜が困難である表面に凹凸を有する被成膜体面上にも、ALD法では均一な成膜が可能であり、高アスペクト比の形状構成においても均一な成膜が可能である。また、ALD法で用いられる真空装置においては、PVD法やCVD法で用いられる真空装置に必要であった高価な電源ユニット等を必要としないため、従来の成膜方法と比較して成膜コストの低減も図れる。更に、ALD法においては、一般的な平行平板型プラズマCVD法等で得られる膜と比較して、低温でも緻密な膜が得られることが分かってきている。
これ等の特徴に着目して、ALD法は、有機ELの硫化亜鉛薄膜や化合物半導体であるガリウムヒ素薄膜の形成手法として研究開発がなされており、最近では、ALD法により形成されたHfO2/Al23膜がDRAMキャパシタ膜として提案されている(特許文献6参照)。
このALD法においては、上記原子層(分子層)を構成する元素のそれぞれが含まれる第1反応ガス(原料ガス)と第2反応ガス(原料ガス)を、真空装置(反応室)内に交互に導入する下記A〜H工程で1サイクルが構成され、サイクル数により膜厚の調整が行なわれる。
A:真空装置(反応室)に第1反応ガス(原料ガス)を導入する工程、
B:被成膜体の最表面に第1反応ガスが化学吸着する工程、
C:被成膜体の最表面が第1反応ガスで飽和する工程、
D:真空装置(反応室)から過剰な第1反応ガスと副生成物を排気する工程、
E:真空装置(反応室)に第2反応ガス(原料ガス)を導入する工程、
F:被成膜体の最表面に吸着している第1反応ガスと第2反応ガスが反応する工程、
G:被成膜体の最表面が第2反応ガスで飽和する工程、
H:真空装置(反応室)から過剰な第2反応ガスと副生成物を排気する工程。
そして、ALD法では、第1反応ガスと第2反応ガスを選択することにより、SiO2、Al25、ZrO2、HfO2、Ta25、TiO2等の酸化物膜、AlN、TaN、TiN、TaSiN、TiSiN等の窒化物膜、Cu、Ru、Ir、Ni、Pt等の金属膜、CaF2、SrF2、MgF2等のフッ化物膜、GaAs、InP、GaP等の化合物膜の成膜が可能である。
例えば、ALD法で最も多く成膜が行われているAl23の単原子(単分子)層を形成する場合、下記4工程で1サイクルが完成する。
(i)第1反応ガスである水分子を導入して被成膜体の最表面にOH基を吸着させる。
(最初の反応)
2O → 被成膜体表面:O−H + (1/2)H2
(1層目以降の反応)
:O−Al(CH3)2 +2H2O → :O−Al(OH)2+2CH4
(ii)過剰水分子と副生成物CH4をパージ排気する。
(iii)Al23膜の原料ガスとなる第2反応ガスTMA[Trimethyl Aluminum:Al(CH3)3]ガスを導入する。TMA分子がOH基と反応してCH4ガスが発生する。
(1層目の反応)
:O−H + Al(CH3)3 → :O−Al(CH3)2 +CH4
Figure 2020012023
(iv)過剰なTMAガスと副生成物CH4ガスをパージ排気する。
この4工程で約0.1nmのAl23膜が形成されるので、要求する膜厚に到達するまで上記4工程のサイクルを繰り返して膜厚を増加させる。
尚、上記(iii)工程における(1層目の反応)の後、(iv)工程を経て、2サイクル目の(i)工程に入った場合は(1層目以降の反応)となる。また、上述したA〜H工程において、A〜C工程は上記(i)工程に対応し、D工程は上記(ii)工程に対応し、また、E〜G工程は上記(iii)工程に対応し、H工程は上記(iv)工程に対応している。
また、反応を促進させるため、ALD法は、被成膜体を加熱(100〜300℃)し、あるいは、第1反応ガスと第2反応ガスとの反応の際に直接プラズマを印加する方式や、反応室外でプラズマを使用し活性化された反応基を反応室に導入する方式等のプラズマALD法を行うことができる。
ALD法は、例示したAl23層以外の膜種においても、反応ガスが異なるだけで、基本的には、「第1反応ガスの導入」、「パージ」、「第2反応ガスの導入」、「パージ」の4工程で1層の成膜が可能である。また、ALD法による成膜は不純物が取り込まれることが少なく、精製作用があるため、純度の低い反応ガスを使用しても高純度の膜を得ることができる。
(2)本発明方法で使用される原子層堆積(ALD)装置
本発明方法で用いられる原子層堆積(ALD)装置について、第1反応ガス吸着工程と排気工程および第2反応ガス反応工程と排気工程から成る「1サイクルの工程」が半連続的に行える原子層堆積(ALD)装置を例に挙げて説明する。
この原子層堆積装置は、図5に示すように一定量の近赤外線遮蔽微粒子が導入される第1真空チャンバ331と、微粒子移動用開閉バルブ312を介し第1真空チャンバ331から導入される微粒子336の表面に第1反応ガスを化学吸着させる第2真空チャンバ332と、微粒子移動用開閉バルブ313を介し第2真空チャンバ332から第1反応ガスを化学吸着した微粒子337が導入されかつ第2真空チャンバ332から流れ込んだ過剰な第1反応ガスと副生成物を排気する第3真空チャンバ333と、微粒子移動用開閉バルブ314を介し第3真空チャンバ333から導入される微粒子337の該表面に化学吸着された第1反応ガスと第2反応ガスを反応させて原子層を形成する第4真空チャンバ334と、微粒子移動用開閉バルブ315を介し第4真空チャンバ334から原子層を形成した微粒子338が導入されかつ第4真空チャンバ334から流れ込んだ過剰な第2反応ガスと副生成物を排気する第5真空チャンバ335とで構成され、
最上部の第1真空チャンバ331には一定量の近赤外線遮蔽微粒子を導入する微粒子導入用開閉バルブ311が設けられると共に、最下部の第5真空チャンバ335には原子層が形成された微粒子338を排出する粒子排出用開閉バルブ316が設けられており、
各真空チャンバの上記排気機構が、排気メインバルブ302を介し真空ポンプ301に接続された共通排気管303と、各真空チャンバに付設された排気バルブ304、305、306、307、308を介し上記共通排気管303に接続された個別排気管とで構成され、個別排気管の真空チャンバ側には微粒子の吸い込みを防止する吸い込み防止フィルタ324、325、326、327、328がそれぞれ設けられていると共に、
上記第1反応ガスの吸着工程を行う第2真空チャンバ332と第2反応ガスの反応工程を行う第4真空チャンバ334に設けられる反応ガス導入機構が、反応ガスの供給源(図示せず)に接続されかつガス流量計(MFC:マスフローコントローラ)317、318が付設された反応ガス導入管と、各反応ガス導入管に付設されたガス導入バルブ309、310とで構成されている。
尚、微粒子の導入、移動、排出に係る各バルブの開閉制御、真空チャンバの上記排気機構に係る制御、および、真空チャンバの上記反応ガス導入機構に係る制御は、原子層堆積装置に付設された一般的な制御手段(図示せず)によりなされる。
以下、上記原子層堆積装置について具体的に説明する。
5基の真空チャンバ(第1真空チャンバ331、第2真空チャンバ332、第3真空チャンバ333、第4真空チャンバ334、および、第5真空チャンバ335)の機能を以下に記載するが、第1真空チャンバ331〜第5真空チャンバ335がALD法で1層の原子層(分子層)が形成される1サイクルの4工程に相当する。
第1真空チャンバ331:排気室
第2真空チャンバ332:微粒子の最表面に成膜するための第1反応ガスが供給される化学吸着室
第3真空チャンバ333:過剰な第1反応ガスと副生成物を排気する排気室
第4真空チャンバ334:微粒子の最表面に成膜するための第2反応ガスが供給される化学反応室
第5真空チャンバ335:過剰な第2反応ガスと副生成物を排気する排気室
この原子層堆積装置において、第1真空チャンバ331(排気室)、第2真空チャンバ332(化学吸着室)、第3真空チャンバ333(排気室)、第4真空チャンバ334(化学反応室)、および、第5真空チャンバ335(排気室)には、上述したように排気バルブ304、305、306、307、308がそれぞれ付設されており、各排気バルブを経由して共通排気管303に接続されている。
上記共通排気管303には、排気メインバルブ302を経由して真空ポンプ(ドライポンプ)301が接続されており、各真空チャンバの個別排気管には微粒子を吸い込まないように上述の吸い込み防止フィルタ324、325、326、327、328が取り付けられている。
また、この原子層堆積装置においては、ガス流量計(MFC:マスフローコントローラ)317、318により第1反応ガスと第2反応ガスの流量が制御され、化学吸着室と化学反応室である各真空チャンバ(第2真空チャンバ332と第4真空チャンバ334)に設けられた吹き込みパイプから各真空チャンバ内に第1反応ガスと第2反応ガスが導入される。尚、符号329と330は、吹き込みパイプの先端に設けられたフィルタを示している。
また、この原子層堆積装置においては、反応を促進させるため、各真空チャンバの外周面に加熱用線状部材319、320、321、322、323が巻回されている。
また、この原子層堆積装置において、最上部の真空チャンバ331における上流側と最下部の真空チャンバ335における下流側が、真空槽(図示せず)に接続されている場合、真空が確保されることを条件に真空チャンバ331(排気室)と真空チャンバ335(排気室)を省略して上記真空槽に機能を兼ねさせることも可能である。
また、この原子層堆積装置においては、微粒子表面を被覆する被覆層を構成する1層の原子層(分子層)を形成する1サイクルの工程が第1真空チャンバ331〜第5真空チャンバ335で半連続的になされ、1層の原子層(分子層)が形成された微粒子から成る粉体を最下部の真空チャンバ335に設けられた微粒子排出用開閉バルブ316を開閉して排出させることができる。
また、1サイクルの工程を実施して1層の原子層(分子層)が形成された表面被覆近赤外線遮蔽微粒子に対し、更に1層の原子層(分子層)を形成する1サイクル工程を繰り返して原子層(分子層)形成のサイクル数を増やし、該原子層を4層以上成膜して被覆層を形成するとともに、該被覆層の膜厚を増加させることができる。
尚、1サイクル工程を追加するには、最下部の第5真空チャンバ335に原子層(分子層)が形成された微粒子を排出する微粒子排出用開閉バルブ316を介し搬送用真空チャンバ(図示せず)を連通して設け、かつ、この搬送用真空チャンバを、最上部の第1真空チャンバ331にその微粒子導入用開閉バルブ311を介し連通して設けると共に、搬送用真空チャンバ内に設けられた図示外の搬送機構により上記原子層(分子層)が形成された微粒子から成る粉体を搬送して第1真空チャンバ331内に導入することで可能となる。
(2)上記原子層堆積装置を用いた表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法
(a)1つの真空チャンバのみに近赤外線遮蔽微粒子が配置される場合
まず、5基の真空チャンバの内、1つの真空チャンバのみに上記微粒子が配置される場合について、微粒子の移動を基準にして説明する。
(a-1)図5(a)に示す微粒子導入用開閉バルブ311、微粒子移動用開閉バルブ312、313、314、315、および、微粒子排出用開閉バルブ316の全てを閉止する。
(a-2)真空ポンプ(ドライポンプ)301を起動させてから排気メインバルブ302を開放し、かつ、第1真空チャンバ331(排気室)の排気バルブ304、第2真空チャンバ332(化学吸着室)の排気バルブ305、第3真空チャンバ333(排気室)の排気バルブ306、第4真空チャンバ334(化学反応室)の排気バルブ307、および、第5真空チャンバ335(排気室)の排気バルブ308を開放して排気する。
(a-3)第1〜第5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308を閉止した後、第1真空チャンバ331(排気室)の微粒子導入用開閉バルブ311のみを開放し、第1真空チャンバ331(排気室)内に一定量の微粒子336を落下導入させ、然る後、上記微粒子導入用開閉バルブ311を閉止する。次いで、第1〜第5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308を開放して排気する。
(a-4)排気した後、第1〜第5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308を閉止し、然る後、第1真空チャンバ331と第2真空チャンバ332間の微粒子移動用開閉バルブ312を開放し、第2真空チャンバ332(化学吸着室)内に上記微粒子336を落下導入させた後、微粒子移動用開閉バルブ312を閉止する。次いで、第1〜第5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308を開放して排気する。
(a-5)第1〜第5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308が開放された状態で第2真空チャンバ332(化学吸着室)のガス導入バルブ309を開放し、かつ、ガス流量計(MFC)317によりガス流量を設定した後、フィルタ329が先端に設けられた吹き込みパイプから、設定した導入時間、第1反応ガスを第2真空チャンバ332(化学吸着室)内に導入し、その後、ガス導入バルブ309を閉止する。
(a-6)第1〜第5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308を閉止した後、第2真空チャンバ332と第3真空チャンバ333間の微粒子移動用開閉バルブ313を開放し、第1反応ガスが表面に化学吸着された微粒子337を第3真空チャンバ333(排気室)内に落下導入させ、かつ、上記微粒子移動用開閉バルブ313を閉止した後、第1〜第5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308を開放して排気し、更に、排気バルブ306より第2真空チャンバ332から第3真空チャンバ333内に流れ込んだ過剰な第1反応ガスと副生成物も排気する。
(a-7)第1〜第5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308を閉止した後、第3真空チャンバ333と第4真空チャンバ334間の微粒子移動用開閉バルブ314を開放し、第1反応ガスが表面に化学吸着された微粒子337を第4真空チャンバ334(化学反応室)内に落下導入させ、然る後、上記微粒子移動用開閉バルブ314を閉止する。次いで、第1〜第5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308を開放して排気する。
(a-8)第1〜第5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308が開放された状態で第4真空チャンバ334(化学反応室)のガス導入バルブ310を開放し、かつ、ガス流量計(MFC)318によりガス流量を設定した後、フィルタ330が先端に設けられた吹き込みパイプから、設定した導入時間、第2反応ガスを第4真空チャンバ334(化学反応室)内に導入し、その後、ガス導入バルブ310を閉止する。
(a-9)第1〜第5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308を閉止した後、第4真空チャンバ334(化学反応室)と第5真空チャンバ335(排気室)間の微粒子移動用開閉バルブ315を開放し、第1反応ガスと第2反応ガスとの反応により1層の原子層(分子層)が形成された微粒子338を第5真空チャンバ335(排気室)内に落下導入させ、かつ、上記微粒子移動用開閉バルブ315を閉止した後、第1〜第5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308を開放して排気し、更に、排気バルブ308より第4真空チャンバ334から第5真空チャンバ335内に流れ込んだ過剰な第2反応ガスと副生成物も排気する。
(a-10)第1〜第5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308を閉止した後、第5真空チャンバ335(排気室)の微粒子排出用開閉バルブ316を開放し、上記微粒子338を落下排出させた後、上記微粒子排出用開閉バルブ316を閉止する。
上記操作(a-1)〜操作(a-10)により微粒子表面に1層の原子層(分子層)が形成された近赤外線遮蔽微粒子を製造することができる。
尚、1サイクル工程を追加するため、最下部の第5真空チャンバ335(排気室)の微粒子排出用開閉バルブ316と最上部の第1真空チャンバ331(排気室)の微粒子導入用開閉バルブ311間に、搬送機構を内部に有する上記搬送用真空チャンバ(図示せず)が連通して設けられている場合には、以下の操作(a-11)が追加される。
(a-11)上記微粒子排出用開閉バルブ316を介し図示外の搬送用真空チャンバ内に落下導入された微粒子338を、当該搬送用真空チャンバ内の搬送機構により最上部に位置する第1真空チャンバ331(排気室)の微粒子導入用開閉バルブ311前部に搬送し、1サイクル工程を追加するための上記操作(a-1)〜操作(a-10)が繰り返される。
(b)全ての真空チャンバ内に近赤外線遮蔽微粒子が配置される場合
次に、5基の全真空チャンバ内に上記微粒子が配置される場合について、微粒子の移動を基準にして説明する。
尚、5基の全真空チャンバ内に微粒子が配置される場合とは、第1真空チャンバ331(排気室)内に未処理の微粒子若しくは原子層が形成された微粒子が導入され、この微粒子が第2真空チャンバ332内に落下導入された後、上記「1つの真空チャンバのみに近赤外線遮蔽微粒子が配置される場合」と異なり、上記微粒子が排出されて空状態の第1真空チャンバ331(排気室)内に、再度、未処理の微粒子若しくは原子層が形成された微粒子が落下導入される。そして、最初に導入された微粒子に対し第2真空チャンバ332内において第1反応ガスの化学吸着が終了した後、第1反応ガスが表面に化学吸着された微粒子を第3真空チャンバ333内に落下導入すると共に、第1真空チャンバ331(排気室)内に2番目に導入された微粒子を第2真空チャンバ332内に落下導入し、2番目に導入された微粒子が排出されて空状態の第1真空チャンバ331(排気室)内に、再度、3番目の微粒子が落下導入される。これ等の工程が半連続的に行われることで全ての真空チャンバ内に近赤外線遮蔽微粒子が配置されることになる場合を意味する。
(b-1)上記工程を経て、第1〜第5の各真空チャンバでそれぞれの処理操作が行われ、第1真空チャンバ331、第2真空チャンバ332、第3真空チャンバ333、第4真空チャンバ334、および、第5真空チャンバ335の全真空チャンバ内に定量の微粒子が配置された状態となる。
(b-2)各真空チャンバにおける処理操作が終了した後、第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を閉止し、然る後、第5真空チャンバ335の微粒子排出用開閉バルブ316のみを開放して原子層が形成された微粒子338を排出する。
(b-3)上記微粒子排出用開閉バルブ316を閉止した後、第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を開放して排気し、然る後、第1〜5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308を閉止する。次いで、第5真空チャンバ335と第4真空チャンバ334間の微粒子移動用開閉バルブ315のみを開放して第4真空チャンバ334から処理済の微粒子を第5真空チャンバ335内に導入する。
(b-4)第5真空チャンバ335と第4真空チャンバ334間の上記微粒子移動用開閉バルブ315を閉止した後、第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を開放して排気し、然る後、第1〜第5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308を閉止する。次いで、第4真空チャンバ334と第3真空チャンバ333間の微粒子移動用開閉バルブ314のみを開放して第3真空チャンバ333から処理済の微粒子337を第4真空チャンバ334内に導入する。
(b-5)第4真空チャンバ334と第3真空チャンバ333間の上記微粒子移動用開閉バルブ314を閉止した後、第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を開放して排気し、然る後、第1〜5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308を閉止する。次いで、第3真空チャンバ333と第2真空チャンバ332間の微粒子移動用開閉バルブ313のみを開放して第2真空チャンバ332から処理済の粉体を第3真空チャンバ333内に導入する。
(b-6)第3真空チャンバ333と第2真空チャンバ332間の上記微粒子移動用開閉バルブ313を閉止した後、第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を開放して排気し、然る後、第1〜5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308を閉止する。次いで、第2真空チャンバ332と第1真空チャンバ331間の微粒子移動用開閉バルブ312のみを開放して第1真空チャンバから処理済の微粒子336を第2真空チャンバ332内に導入する。
(b-7)第2真空チャンバ332と第1真空チャンバ331間の上記微粒子移動用開閉バルブ312を閉止した後、第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を開放して排気し、然る後、第1〜5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308を閉止する。次いで、第1真空チャンバ331の微粒子導入用開閉バルブ311のみを開放して第1真空チャンバ331内に未処理の微粒子若しくは原子層が形成された微粒子を導入し、微粒子の導入が完了してから微粒子導入用開閉バルブ311を閉止する。
上記操作(b-7)が終了すると、5基の各真空チャンバにおいて、上段側から下段側の真空チャンバ内に微粒子が移動配置された状態となるため、各真空チャンバにおける処理操作を行う。そして、各真空チャンバにおける処理操作が終了した後、上記操作(b-1)〜操作(b-7)を行うことにより上段側から下段側の真空チャンバ内に微粒子が移動配置された状態となるため、各真空チャンバにおける処理操作を行う。
この工程を繰り返し行うことにより、微粒子表面に1層の原子層(分子層)が形成された近赤外線遮蔽微粒子を半連続的に製造することができる。
このように全ての真空チャンバ(排気室、化学吸着室、化学反応室)に微粒子が存在していても、下流側の真空チャンバから順番に微粒子排出用開閉バルブ316、微粒子移動用開閉バルブ315、314、313、312、および、微粒子導入用開閉バルブ311を操作することで、微粒子移動用開閉バルブを開放したときに反応ガスが混合されることはない。
(c)真空チャンバの隔室(チャンバ一つおき)に微粒子が配置される場合
次に、真空チャンバ5基の内、空の真空チャンバを介しチャンバ一つおきに微粒子が配置される場合について、微粒子の移動を基準にして説明する。
尚、チャンバ一つおきに微粒子が配置される場合とは、第1真空チャンバ331(排気室)内に未処理の微粒子若しくは原子層が形成された微粒子が導入され、この微粒子が第2真空チャンバ332内に落下導入された後、上記「全ての真空チャンバ内に近赤外線遮蔽微粒子が配置される場合」と異なり、第1真空チャンバ331(排気室)内に微粒子を導入せずに空状態のままとする。そして、第2真空チャンバ332内に導入された微粒子に対し第1反応ガスの化学吸着が終了した後、第1反応ガスが表面に化学吸着された微粒子を第3真空チャンバ333内に落下導入し、かつ、第1真空チャンバ331(排気室)内に2番目の微粒子を導入することで第2真空チャンバ332内が空状態となる。次いで、第2真空チャンバ332から第3真空チャンバ333内に流れ込んだ過剰な第1反応ガスと副生成物を排気した後、第1反応ガスが表面に化学吸着された微粒子を第3真空チャンバ333から第4真空チャンバ334内に落下導入し、かつ、第1真空チャンバ331から2番目の微粒子も第2真空チャンバ332内に落下導入するが、第1真空チャンバ331(排気室)内に微粒子を導入せずに空状態のままとする。これ等の工程が半連続的に行われることでチャンバ一つおきに微粒子が配置されることになる場合を意味する。
(c-1)上記工程を経て、第1〜第5の各真空チャンバでそれぞれの処理操作が行われて、図5(a)に示すように第1真空チャンバ331、第3真空チャンバ333および第5真空チャンバ335内に定量の微粒子が配置された状態となる。
(c-2)各真空チャンバにおける処理操作が終了した後、第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を閉止する。その後、第1真空チャンバ331と第2真空チャンバ332間、第3真空チャンバ333と第4真空チャンバ334間の各微粒子移動用開閉バルブ312、314を開放し、図5(b)に示すように上段側真空チャンバから処理済の微粒子を第2真空チャンバ332と第4真空チャンバ334内にそれぞれ導入し、かつ、第5真空チャンバ335の微粒子排出用開閉バルブ316も開放して原子層が形成された微粒子338を排出する。
(c-3)第1真空チャンバ331と第2真空チャンバ332間、第3真空チャンバ333と第4真空チャンバ334間の各微粒子移動用開閉バルブ312、314、および、上記微粒子排出用開閉バルブ316を閉止した後、第2真空チャンバ332および第4真空チャンバ334内に定量の微粒子が存在する状態で、第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を開放して排気する。
(c-4)第2真空チャンバ332と第4真空チャンバ334の各真空チャンバにおける排気処理操作が終了した後、第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を閉止する。次いで、第2真空チャンバ332と第3真空チャンバ333間、第4真空チャンバ334と第5真空チャンバ335間の各微粒子移動用開閉バルブ313、315を開放して上段側真空チャンバから処理済の微粒子を第3真空チャンバ333と第5真空チャンバ335内にそれぞれ導入すると共に、第1真空チャンバ331の微粒子導入用開閉バルブ311を開放して第1真空チャンバ331内に未処理の微粒子若しくは原子層が形成された微粒子を導入し、第1真空チャンバ331内への微粒子導入が完了してから第2真空チャンバ332と第3真空チャンバ333間、第4真空チャンバ334と第5真空チャンバ335間の各微粒子移動用開閉バルブ313、315、および、上記微粒子導入用開閉バルブ311を閉止する。その後、第1〜5真空チャンバの排気バルブ304〜308を開放して排気する。
操作(c-4)が終了すると、図5(a)に示す第1真空チャンバ331、第3真空チャンバ333および第5真空チャンバ335内に定量の微粒子が移動配置された状態となるため、各真空チャンバにおける処理操作を行う。各真空チャンバにおける処理操作が終了した後、操作(c-1)〜操作(c-4)を行って上段側から下段側の真空チャンバに微粒子を移動配置し、各真空チャンバにおける処理操作を行う。この工程を繰り返して微粒子表面に1層の原子層(分子層)が形成された近赤外線遮蔽微粒子を半連続的に製造することができる。
上記(c-1)〜(c-4)のように操作することで、微粒子移動用開閉バルブ312、314と微粒子排出用開閉バルブ316を同時に開放[すなわち、操作(c-2)]しても第1反応ガスと第2反応ガスが混合されることはなく、また、微粒子移動用開閉バルブ313、315と微粒子導入用開閉バルブ311を同時に開放[すなわち、操作(c-4)]しても第1反応ガスと第2反応ガスが混合されることはない。
以下、本発明に係る参考例と実施例について具体的に説明する。
[参考例1]
図5に示した原子層堆積装置を適用し、近赤外線遮蔽微粒子である平均粒径50nmの複合タングステン酸化物微粒子Cs0.33WO3(住友金属鉱山株式会社製、以下、CWO微粒子と略記する場合がある)の表面に1原子層から成るAl23膜を形成した。
尚、上記原子層堆積装置では、最下部の第5真空チャンバ335に、その微粒子排出用開閉バルブ316を介して搬送用真空チャンバ(図示せず)が連通して設けられ、かつ、最上部の第1真空チャンバ331に、その微粒子導入用開閉バルブ311を介して上記搬送用真空チャンバが連通して設けられており、搬送用真空チャンバ内に設けられた図示外の搬送機構により原子層が形成された微粒子を搬送して第1真空チャンバ331内に導入できるようになっている。このため、1サイクルの工程を実施して1層の原子層が形成された近赤外線遮蔽微粒子に対し、更に1サイクル工程を繰り返して原子層形成のサイクル数が増やせるようになっている。
以下、CWO微粒子表面に被覆層の一部を構成するAl23膜(1原子層)が形成された表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造手順について説明する。
(1-1)図5(a)に示す微粒子導入用開閉バルブ311、微粒子移動用開閉バルブ312、313、314、315、および、微粒子排出用開閉バルブ316を全て閉止した。
(1-2)真空ポンプ(ドライポンプ)301を起動させてから排気メインバルブ302を開放し、第1真空チャンバ331(排気室)の排気バルブ304、第2真空チャンバ332(化学吸着室)の排気バルブ305、第3真空チャンバ333(排気室)の排気バルブ306、第4真空チャンバ334(化学反応室)の排気バルブ307、および、第5真空チャンバ335(排気室)の排気バルブ308を開放して排気した。
(1-3)第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を閉止した後、第1真空チャンバ331(排気室)の微粒子導入用開閉バルブ311のみを開放し、第1真空チャンバ331(排気室)内に5gのCWO微粒子(複合タングステン酸化物微粒子)336を落下導入させ、然る後、上記粒子導入用開閉バルブ311を閉止した。次いで、第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を開放して排気した。
(1-4)排気した後、第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を閉止し、然る後、第1真空チャンバ331と第2真空チャンバ332間の微粒子移動用開閉バルブ312を開放し、第2真空チャンバ332(化学吸着室)内に上記CWO微粒子336を落下導入させた後、微粒子移動用開閉バルブ312を閉止した。次いで、第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を開放して排気した。
(1-5)第1〜第5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308が開放された状態で第2真空チャンバ332(化学吸着室)のガス導入バルブ309を開放し、ガス流量計(MFC)317により第1反応ガスである水蒸気の流量を30sccmに設定し、かつ、導入時間を5分間に設定して吹き込みパイプ(パイプ先端にフィルタ329を有する)から第2真空チャンバ332(化学吸着室)内に第1反応ガス(水蒸気)を5分間導入し、その後、ガス導入バルブ309を閉止した。
(1-6)第1〜第5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308を閉止した後、第2真空チャンバ332と第3真空チャンバ333間の微粒子移動用開閉バルブ313を開放し、第1反応ガス(水蒸気)が表面に化学吸着されたCWO微粒子337を第3真空チャンバ333(排気室)内に落下導入させ、かつ、微粒子移動用開閉バルブ313を閉止した後、第1〜第5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308を開放して排気し、更に、排気バルブ306より第2真空チャンバ332から第3真空チャンバ333内に流れ込んだ過剰な第1反応ガスと副生成物を5分間排気した。
(1-7)第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を閉止した後、第3真空チャンバ333と第4真空チャンバ334間の微粒子移動用開閉バルブ314を開放し、第1反応ガスが表面に化学吸着されたCWO微粒子337を第4真空チャンバ334(化学反応室)内に落下導入させ、然る後、上記微粒子移動用開閉バルブ314を閉止した。次いで、第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を開放して排気した。
(1-8)第1〜第5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308が開放された状態で第4真空チャンバ334(化学反応室)のガス導入バルブ310を開放し、ガス流量計(MFC)318により第2反応ガスであるTMA(Trimethyl Aluminum)の流量を30sccmに設定し、かつ、導入時間を5分間に設定して吹き込みパイプ(パイプ先端にフィルタ330を有する)から第4真空チャンバ334(化学反応室)内に第2反応ガス(TMA)を5分間導入し、その後、ガス導入バルブ310を閉止した。
(1-9)第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を閉止した後、第4真空チャンバ334(化学反応室)と第5真空チャンバ335(排気室)間の微粒子移動用開閉バルブ315を開放して第1反応ガス(水蒸気)と第2反応ガス(TMA)との反応により1層の原子層が形成されたCWO微粒子338を第5真空チャンバ335(排気室)内に落下導入させ、次いで、上記微粒子移動用開閉バルブ315を閉止した後、第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を開放して排気し、該排気バルブ308より第4真空チャンバ334から第5真空チャンバ335内に流れ込んだ過剰な第2反応ガスと副生成物を5分間排気した。
(1-10)第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を閉止した後、第5真空チャンバ335(排気室)の微粒子排出用開閉バルブ316を開放し、上記1層の原子層が形成されたCWO微粒子338を落下排出させた後、上記微粒子排出用開閉バルブ316を閉止した。
上記操作(1-1)〜操作(1-10)によりCWO微粒子の表面にAl23膜(原子層)が1層形成された参考例1に係る表面被覆近赤外線遮蔽微粒子を製造した。
[実施例1、参考例2]
上記参考例1において、1サイクル工程でAl23膜(原子層)を1層形成した後、最下部の第5真空チャンバ335(排気室)から、上述した搬送用真空チャンバを経て、最上部の第1真空チャンバ331(排気室)へCWO微粒子を搬送する搬送機構を用いて原子層形成の1サイクル工程を繰り返し、Al23膜(原子層)の形成を複数回(原子層数2〜16層)行った。
すなわち、被覆層を構成する原子層数が2層である参考例2に係る表面被覆近赤外線遮蔽微粒子、被覆層を構成する原子層数が4層、8層および16層である実施例1に係る表面被覆近赤外線遮蔽微粒子を製造した。
[参考例3]
図5に示した上記原子層堆積装置を適用し、近赤外線遮蔽微粒子である平均粒径50nmの複合タングステン酸化物微粒子Cs0.33WO3(CWO微粒子と略記する場合がある)の表面に1原子層から成るSiO2膜を形成した。
以下、CWO微粒子表面に被覆層の一部を構成するSiO2膜(1原子層)が形成された表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造手順について説明する。
(3-1)図5(a)に示す微粒子導入用開閉バルブ311、微粒子移動用開閉バルブ312、313、314、315、および、微粒子排出用開閉バルブ316を全て閉止した。
(3-2)真空ポンプ(ドライポンプ)301を起動させてから排気メインバルブ302を開放し、第1真空チャンバ331(排気室)の排気バルブ304、第2真空チャンバ332(化学吸着室)の排気バルブ305、第3真空チャンバ333(排気室)の排気バルブ306、第4真空チャンバ334(化学反応室)の排気バルブ307、および、第5真空チャンバ335(排気室)の排気バルブ308を開放して排気した。
(3-3)第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を閉止した後、第1真空チャンバ331(排気室)の微粒子導入用開閉バルブ311のみを開放し、第1真空チャンバ331(排気室)内に5gのCWO微粒子(複合タングステン酸化物微粒子)336を落下導入させ、然る後、上記微粒子導入用開閉バルブ311を閉止した。次いで、第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を開放して排気した。
(3-4)排気した後、第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を閉止し、然る後、第1真空チャンバ331と第2真空チャンバ332間の微粒子移動用開閉バルブ312を開放し、第2真空チャンバ332(化学吸着室)内に上記CWO微粒子336を落下導入させた後、微粒子移動用開閉バルブ312を閉止した。次いで、第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を開放して排気した。
(3-5)第1〜第5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308が開放された状態で第2真空チャンバ332(化学吸着室)のガス導入バルブ309を開放し、ガス流量計(MFC)317により第1反応ガスである水蒸気の流量を30sccmに設定し、かつ、導入時間を5分間に設定して吹き込みパイプ(パイプ先端にフィルタ329を有する)から第2真空チャンバ332(化学吸着室)内に第1反応ガス(水蒸気)を5分間導入し、その後、ガス導入バルブ309を閉止した。
(3-6)第1〜第5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308を閉止した後、第2真空チャンバ332と第3真空チャンバ333間の微粒子移動用開閉バルブ313を開放し、第1反応ガス(水蒸気)が表面に化学吸着されたCWO微粒子337を第3真空チャンバ333(排気室)内に落下導入させ、かつ、微粒子移動用開閉バルブ313を閉止した後、第1〜第5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308を開放して排気し、更に、排気バルブ306より第2真空チャンバ332から第3真空チャンバ333内に流れ込んだ過剰な第1反応ガスと副生成物を5分間排気した。
(3-7)第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を閉止した後、第3真空チャンバ333と第4真空チャンバ334間の微粒子移動用開閉バルブ314を開放し、第1反応ガスが表面に化学吸着されたCWO微粒子337を第4真空チャンバ334(化学反応室)内に落下導入させ、然る後、上記微粒子移動用開閉バルブ314を閉止した。次いで、第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を開放して排気した。
(3-8)第1〜第5真空チャンバの上記排気バルブ304〜308が開放された状態で第4真空チャンバ334(化学反応室)のガス導入バルブ310を開放し、ガス流量計(MFC)318により第2反応ガスであるTDMASの流量を30sccmに設定し、かつ、導入時間を5分間に設定して吹き込みパイプ(パイプ先端にフィルタ330を有する)から第4真空チャンバ334(化学反応室)内に第2反応ガス(TDMAS)を5分間導入し、その後、ガス導入バルブ310を閉止した。
(3-9)第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を閉止した後、第4真空チャンバ334(化学反応室)と第5真空チャンバ335(排気室)間の微粒子移動用開閉バルブ315を開放して第1反応ガス(水蒸気)と第2反応ガス(TDMAS)との反応により1層の原子層が形成されたCWO微粒子338を第5真空チャンバ335(排気室)内に落下導入させ、次いで、上記微粒子移動用開閉バルブ315を閉止した後、第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を開放して排気し、該排気バルブ308より第4真空チャンバ334から第5真空チャンバ335内に流れ込んだ過剰な第2反応ガスと副生成物を5分間排気した。
(3-10)第1〜第5真空チャンバの排気バルブ304〜308を閉止した後、第5真空チャンバ335(排気室)の微粒子排出用開閉バルブ316を開放し、上記1層の原子層が形成されたCWO微粒子338を落下排出させた後、上記微粒子排出用開閉バルブ316を閉止した。
上記操作(3-1)〜操作(3-10)によりCWO微粒子の表面にSiO2膜(原子層)が1層形成された参考例3に係る近赤外線遮蔽微粒子を製造した。
[実施例2、参考例4]
上記参考例3において、1サイクル工程でSiO2膜(原子層)を1層形成した後、最下部の第5真空チャンバ335(排気室)から、上述した搬送用真空チャンバを経て、最上部の第1真空チャンバ331(排気室)へCWO微粒子を搬送する搬送機構を用いて原子層形成の1サイクル工程を繰り返し、SiO2膜(原子層)の形成を複数回(原子層数2〜16層)行った。
すなわち、被覆層を構成する原子層数が2層である参考例4に係る表面被覆近赤外線遮蔽微粒子、被覆層を構成する原子層数が4層、8層および16層である実施例2に係る表面被覆近赤外線遮蔽微粒子を製造した。
[実施例3]
図5に示した上記原子層堆積装置を適用し、実施例1と同様にして、1サイクル工程でAl23膜(原子層)を1層形成した後、最下部の第5真空チャンバ335(排気室)から、上述した搬送用真空チャンバを経て、最上部の第1真空チャンバ331(排気室)へCWO微粒子を搬送する搬送機構を用いて原子層形成の1サイクル工程を繰り返し、4原子層のAl23膜(原子層)から成る第一被覆層を形成した。
次に、第4真空チャンバ334(化学反応室)内に導入する第2反応ガスをTMAからTDMASに変更した後、参考例3と同様にして、4原子層のAl23膜(原子層)から成る第一被覆層表面に1原子層のSiO2膜(原子層)から成る第二被覆層を形成した。
すなわち、平均粒径50nmの複合タングステン酸化物微粒子(CWO微粒子)と、該微粒子表面を被覆する4原子層のAl23膜(原子層)から成る第一被覆層と、該第一被覆層表面を被覆する1原子層のSiO2膜(原子層)から成る第二被覆層とで構成される実施例3に係る表面被覆近赤外線遮蔽微粒子を製造した。
[耐環境、耐湿熱性試験]
参考例1〜4および実施例1〜3で得られた表面被覆近赤外線遮蔽微粒子を8重量部、トルエン84重量部、分散剤8重量部を混合し、ビーズミルにより分散処理を行い、分散液を作製した。
得られた分散液10重量部とハードコート用紫外線硬化樹脂(固形分100%)5重量部とを混合して遮蔽膜形成用塗液を調製し、バーコーターを用いて石英ガラス基板上に塗布して被膜を形成した。
形成された被膜を60℃で30秒間乾燥し、溶剤を蒸発させた後、高圧水銀ランプの光で硬化させて近赤外線遮蔽膜を得た。
得られた近赤外線遮蔽膜に対し、下記「紫外線照射テスト」を実施し、分光光度計により可視波長領域(500nm付近)の最大透過率の変化を測定した。
また、下記「高温高湿環境テスト」を実施し、分光光度計により赤外線波長領域(820nm付近)の透過率の変化を測定した。
<1>紫外線照射テスト
アイUVテスター(岩崎電気製)を用いて「紫外線照射テスト」を行った。
暴露条件として、メタルハライドランプ強度は100mW/cm2で、暴露時間は1時間、暴露面は試料の膜面から行った。
<2>高温高湿環境テスト
得られた近赤外線遮蔽膜試験サンプルを、85℃、95%RH環境下に3日間暴露し、当該高温高湿環境試験前後における赤外線域最大透過率の変化を測定した。
<3>得られた試験結果を表2と表3に示す。
尚、比較例として、被覆層が形成されていない(すなわち原子層数が0)複合タングステン酸化物粉末を用いて得られた試験サンプルの結果を表2に示した。
Figure 2020012023
Figure 2020012023
[評 価]
(1)複合タングステン酸化物微粒子(CWO微粒子)表面にALD法で被覆層を形成した場合、被覆層を構成する原子層数が2層以上で効果が現れるが、紫外線照射テスト、高温高湿環境テストにおいて僅かながら劣化が認められることが確認される(参考例2および参考例4参照)。
(2)但し、被覆層を構成する原子層数が1層の場合には、比較例(原子層数が0)と差異がないことも確認される(参考例1および参考例3参照)。
(3)他方、被覆層を構成する原子層数が4層以上(実施例1および実施例2)の場合、および、第一被覆層を構成する原子層数が4層でかつ第二被覆層が1層(実施例3)の場合は、紫外線照射によっても、高温高湿環境によっても、複合タングステン酸化物微粒子(CWO微粒子)における赤外線遮蔽性能の劣化は認められないことが確認される。
本発明方法により得られる表面被覆近赤外線遮蔽微粒子は、水蒸気や紫外線照射等に起因した分解劣化や特性劣化現象を抑制できるため、塗布膜、各種樹脂練り込み基材、合わせガラス等に添加される日射遮蔽材料として利用される産業上の利用可能性を有している。
1 WO6単位
2 元素M
30 近赤外線遮蔽微粒子
31 被覆層
40 近赤外線遮蔽微粒子
41 第一被覆層
42 第二被覆層
50 近赤外線遮蔽微粒子
51 第一被覆層
51a 原子層
51b 原子層(51aとは種類の異なる原子層)
52 第二被覆層
301 真空ポンプ
302 排気メインバルブ
303 共通排気管
304、305、306、307、308 排気バルブ
309、310 ガス導入バルブ
311 微粒子導入用開閉バルブ
312、313、314、315 微粒子移動用開閉バルブ
316 微粒子排出用開閉バルブ
317、318 ガス流量計(MFC:マスフローコントローラ)
319、320、321、322、323 加熱用線状部材
324、325、326、327、328 吸い込み防止フィルタ
329、330 フィルタ
331 第1真空チャンバ(排気室)
332 第2真空チャンバ(化学吸着室)
333 第3真空チャンバ(排気室)
334 第4真空チャンバ(化学反応室)
335 第5真空チャンバ(排気室)
336、337、338 微粒子

Claims (7)

  1. 近赤外線遮蔽微粒子と、該近赤外線遮蔽微粒子表面を被覆する被覆層とで構成される表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法において、
    複合タングステン酸化物微粒子、ホウ化物微粒子から選択される1種以上の平均粒径10〜500nmの近赤外線遮蔽微粒子と、Al23、SiO2、SiOAl、SiC、SiOC、SiCNから選択されかつ近赤外線遮蔽微粒子表面を被覆する1種以上の原子層から成る被覆層とで上記表面被覆近赤外線遮蔽微粒子が構成され、
    第1反応ガス吸着工程と排気工程および第2反応ガス反応工程と排気工程から成る1サイクルで1原子層が形成される原子層堆積(ALD)法を用いた原子層堆積(ALD)装置により該1原子層を4層以上成膜して1種以上の原子層から成る被覆層を形成することを特徴とする表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法。
  2. 近赤外線遮蔽微粒子と、該近赤外線遮蔽微粒子表面を被覆する被覆層とで構成された表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法において、
    複合タングステン酸化物微粒子、ホウ化物微粒子から選択される1種以上の平均粒径10〜500nmの近赤外線遮蔽微粒子と、Al23、SiO2、SiOAl、SiC、SiOC、SiCNから選択されかつ近赤外線遮蔽微粒子表面を被覆する1種以上の原子層から成る第一被覆層と、Al23、SiO2から選択されかつ第一被覆層表面を被覆する1種以上の原子層から成る第二被覆層とで上記表面被覆近赤外線遮蔽微粒子が構成され、
    第1反応ガス吸着工程と排気工程および第2反応ガス反応工程と排気工程から成る1サイクルで1原子層が形成される原子層堆積(ALD)法を用いた原子層堆積(ALD)装置により該1原子層を4層以上成膜して1種以上の原子層から成る第一被覆層を形成すると共に、
    上記原子層堆積(ALD)法を用いた原子層堆積(ALD)装置により該1原子層を1層以上成膜して1種以上の原子層から成る第二被覆層を形成することを特徴とする表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法。
  3. 排気機構を有する複数の真空チャンバが近赤外線遮蔽微粒子の移動を制御する微粒子移動用開閉バルブを介して鉛直方向に連通して配置され、かつ、上記第1反応ガス吸着工程と第2反応ガス反応工程を行う少なくとも一対の真空チャンバに反応ガス導入機構が設けられた原子層堆積(ALD)装置を用いて上記被覆層または上記第一被覆層と第二被覆層を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法。
  4. 上記複数の真空チャンバが、一定量の近赤外線遮蔽微粒子が導入される第1真空チャンバと、微粒子移動用開閉バルブを介し第1真空チャンバから導入される上記微粒子の表面に第1反応ガスを化学吸着させる第2真空チャンバと、微粒子移動用開閉バルブを介し第2真空チャンバから第1反応ガスを化学吸着した上記微粒子が導入されかつ第2真空チャンバから流れ込んだ過剰な第1反応ガスと副生成物を排気する第3真空チャンバと、微粒子移動用開閉バルブを介し第3真空チャンバから導入される上記微粒子の該表面に化学吸着された第1反応ガスと第2反応ガスを反応させて1原子層を形成する第4真空チャンバと、微粒子移動用開閉バルブを介し第4真空チャンバから1原子層を形成した上記微粒子が導入されかつ第4真空チャンバから流れ込んだ過剰な第2反応ガスと副生成物を排気する第5真空チャンバとで構成され、かつ、最上部の第1真空チャンバには一定量の近赤外線遮蔽微粒子を導入する微粒子導入用開閉バルブが設けられると共に、最下部の第5真空チャンバには原子層が形成された近赤外線遮蔽微粒子を排出する微粒子排出用開閉バルブが設けられた原子層堆積(ALD)装置により請求項3に記載された上記原子層堆積(ALD)装置が構成されていることを特徴とする請求項3に記載の表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法。
  5. 原子層が形成された近赤外線遮蔽微粒子を排出する微粒子排出用開閉バルブを具備する最下部の真空チャンバに該微粒子排出用開閉バルブを介し搬送用真空チャンバが連通して設けられ、かつ、上記搬送用真空チャンバは最上部の真空チャンバにその微粒子導入用開閉バルブを介し連通して設けられていると共に、搬送用真空チャンバ内の搬送機構により原子層が形成された近赤外線遮蔽微粒子を搬送して最上部の真空チャンバ内に導入する原子層堆積(ALD)装置により請求項4に記載された上記原子層堆積(ALD)装置が構成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法。
  6. 上記複合タングステン酸化物微粒子が、一般式MxWyOz(Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、BiおよびIから成る群から選択される少なくとも1種の元素を表し、x、y、zは、0.01≦x≦1、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0を満たす)で表される複合タングステン酸化物微粒子で構成され、
    上記ホウ化物微粒子が、一般式XBm(但し、Xは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Caから成る群から選択される少なくとも1種以上の金属元素、mは上記一般式におけるホウ素量を示す数字であり、4.0≦m≦6.2を満たす)で表されるホウ化物微粒子で構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法。
  7. 近赤外線遮蔽微粒子と、該近赤外線遮蔽微粒子表面を被覆する被覆層とで構成される表面被覆近赤外線遮蔽微粒子において、
    請求項1〜6のいずれかに記載の表面被覆近赤外線遮蔽微粒子の製造方法で得られることを特徴とする表面被覆近赤外線遮蔽微粒子。
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