JP2020011796A - 移動式クレーン - Google Patents

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伸広 ▲高▼松
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鉄兵 前藤
Teppei Maefuji
鉄兵 前藤
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和文 百濟
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Abstract

【課題】オペレータが煩雑な入力作業を行わなくても、クレーンの組立作業及び分解作業において起伏部材を安全に起立動作及び倒伏動作させるために必要な情報を検出可能な移動式クレーンを提供する。【解決手段】クレーン10は、フレーム2と一対のクローラ走行装置3,3を含む下部走行体11と、上部旋回体12と、起伏部材と、一対のクローラ走行装置3,3の間においてフレーム2に支持される基端部を有するとともにフレーム2から前後方向の第1方向D1に延びるビーム81とビーム81の先端部に支持されるとともに前記先端部から下方に延びて地面に接する下端部85を有する脚部82とを含む支持部材80と、ビーム81に生じるひずみを検出するひずみ検出部90と、を備え、支持部材80の脚部は、クローラ走行装置3の第1ホイール4aの回転軸CBに対して第1方向D1にはずれた位置にあるように構成されている。【選択図】図8

Description

本発明は、移動式クレーンに関するものである。
従来、自走可能な下部走行体と、この下部走行体上に旋回可能に取り付けられた上部旋回体と、この上部旋回体に起伏可能に取り付けられたブームを含む起伏部材と、を備える移動式クレーンが知られている。当該移動式クレーンの吊り作業は、ブームが上部旋回体から起立した状態(起立状態)で行われる。また、当該クレーンを組み立てる組立作業においては、ブームは、地面に略平行な姿勢で倒伏された状態(倒伏状態)で上部旋回体に対して取り付けられる。そして、前記吊り作業を行う際には、地面に対するブームの傾斜角度が次第に大きくなる起立動作によってブームの姿勢が前記倒伏状態から前記起立状態に変えられる。一方、当該クレーンを分解する分解作業においては、地面に対するブームの傾斜角度が次第に小さくなる倒伏動作によってブームの姿勢が前記起立状態から前記倒伏状態に変えられる。
上記のようなクレーンにおいて、地面に対するブームの傾斜角度が変わると、ブームを含む起伏部材の重心位置が変わり、これにより、起伏部材の重量及び重心位置に起因するモーメントも変化する。このようなモーメントの変化に起因する当該クレーンの転倒を防止するために、移動式クレーンはモーメントリミッタを備えている。そして、前記吊り作業においては、ブームの傾斜角度の変化に伴ってクレーンの転倒モーメントの大きさが予め設定された閾値に達した場合、モーメントリミッタにより警報が発せられたり、クレーンの動作が停止されたりすることによって安全が確保される。
一方、前記組立作業及び分解作業は、上述したように起立状態と倒伏状態との間で大きな起伏動作を伴うため、吊り作業とは以下の点で相違する。前記モーメントリミッタは基本的に吊り作業時の安定性に関わる装置であるため、前記モーメントリミッタにおいては、吊り作業において想定される作業範囲内で吊り能力が設定されている。一方、前記組立作業及び分解作業は、吊り作業における前記作業範囲内で行われる場合だけでなく、例えば地面に対するブームの角度が小さい状態(ブームが倒伏されている状態)のように吊り作業における前記作業範囲外で行われる場合もある。このように吊り作業の前記作業範囲でない範囲に関しては、前記モーメントリミッタにおいて前記吊り能力が設定されていない。このため、前記組立作業及び分解作業においては、前記モーメントリミッタを停止させた状態、又は前記モーメントリミッタを停止させていないが前記モーメントリミッタにおいて発生するリミッタを解除した状態でブームの角度を小さくする作業が行われる。したがって、前記組立作業及び分解作業においては、クレーンのオペレータは、ブームの傾斜角度が安全な角度であるか否かについて判断するための経験と知識が要求される。このような組立作業及び分解作業における安全性を高めるために、種々の技術が提案されている。
例えば特許文献1は、クレーンの操作支援装置を開示している。当該操作支援装置を備えたクレーンでは、フロントアタッチメント(起伏部材)のブーム長さとジブ長さの組み合わせが、ブームとジブの相対角度を第一目標角度とした状態でのフロントアタッチメントの倒し操作時に安定性を得られる組み合わせである場合は、ブームに対するジブの相対角度を上記第一目標角度に保持した状態で、上記ジブの先端部が接地するようになるまでのフロントアタッチメントの倒し操作が実施される。
この特許文献1に開示された技術では、オペレータは、ブームやジブに関する情報、ブームとジブの相対角度の目標値などの種々の情報を前記操作支援装置に対して予め入力する。
特開2014−162607号公報
ところで、クレーンには様々な仕様が存在する。すなわち、特許文献1のようにブームとジブとを備えたクレーンの他、ブームを備える一方でジブを備えていないクレーン、ストラットやラチスマストを備えたクレーンなどの種々の仕様が存在する。このようにクレーンにおいては、必要とされる能力や作業の種類に応じて、起伏部材の種類が選択され、ブームの長さやジブの長さが調節される。
上述の特許文献1に開示された技術では、これらの全ての仕様についてのブームやジブに関する情報の入力と、各仕様に対応する前記目標値の入力とが必要となるが、オペレータが全ての仕様についての前記情報と前記目標値を把握し、これらを前記装置に入力する作業は繁雑であり、オペレータによる入力ミスが生じる可能性もある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、オペレータが煩雑な入力作業を行わなくても、クレーンの組立作業及び分解作業において起伏部材を安全に起立動作及び倒伏動作させるために必要な情報を検出可能な移動式クレーンを提供することを目的とする。
(1)本発明の移動式クレーンは、下部走行体と、上部旋回体と、起伏部材と、支持部材と、ひずみ検出部と、を備える。前記下部走行体は、フレームと、前記フレームにおける左右方向の両端部にそれぞれ支持されるとともに前後方向にそれぞれ延びる一対のクローラ走行装置と、を含む。前記上部旋回体は、前記下部走行体上に旋回可能に支持されている。前記起伏部材は、前記上部旋回体に起伏可能に支持されたブームを含む。前記支持部材は、ビームと、脚部とを含む。前記ビームは、前記一対のクローラ走行装置の間において前記フレームに支持される基端部を有するとともに前記フレームから前後方向の一方の方向である第1方向又は当該第1方向に対して傾斜する方向に延びている。前記脚部は、前記ビームの先端部に支持されるとともに前記先端部から下方に延びて下端部が地面に接するように構成されている。前記ひずみ検出部は、前記ビームに生じるひずみを検出する。各クローラ走行装置は、前後方向にそれぞれ延びるクローラフレームと、前記クローラフレームの前記前後方向の両端部のうち前記前後方向の一方の方向である第1方向に位置する端部において回転可能に支持される第1ホイール及び前記両端部のうち前記第1方向とは反対方向である第2方向に位置する端部において回転可能に支持される第2ホイールと、前記第1ホイール及び前記第2ホイールに無端状に支持されて周回移動可能なクローラと、を有する。前記支持部材の前記脚部は、前記第1ホイールの回転軸に対して前記第1方向にはずれた位置にあるように構成されている。
本発明は、クレーンの組立作業及び分解作業においてクレーンが前後方向の第1方向に倒れようとする方向のモーメントに起因して生じる部材のひずみに着目してなされたものであり、当該ひずみを感度よく検出することによってクレーンの組立作業及び分解作業における安全動作を可能にするものである。具体的には以下の通りである。
本発明の移動式クレーンにおいて、前記前後方向において前記ブームの先端部が前記ブームの基端部よりも前記第1方向にはずれた位置に配置された状態、具体的には、例えば、ブームが上部旋回体から前記前後方向のうちの第1方向に延びた姿勢で配置された状態では、移動式クレーンが第1方向に倒れようとする方向のモーメントが発生し、当該モーメントに起因して前記支持部材の脚部の下端部は地面から上向きの反力を受ける。これにより、前記支持部材の前記ビームには曲げモーメント(曲げ応力)が生じ、その結果、当該ビームには前記反力に対応したひずみが生じる。また、起伏部材が前記起立動作及び前記倒伏動作をするときには、起伏部材の重心位置が前後方向において変動するので、前記モーメントが増減し、これにより、前記ビームに生じる前記ひずみも増減する。そして、本発明の移動式クレーンでは、前記ビームの先端部に支持された脚部は、前記第1ホイールの回転軸に対して前記第1方向にはずれた位置にあるように構成されているので、当該脚部と上部旋回体の旋回中心との距離を大きくすることができ、これにより、前記脚部の下端部が地面から受ける前記反力が大きくなる。その結果、前記脚部を支持するビームにも大きな曲げモーメントが作用するので、当該ビームを大きくひずませることができる。よって、ひずみ検出部は当該ビームに生じるひずみを感度よく検出することができる。
しかも、前記ひずみ検出部によって検出されるひずみは、起伏部材の前記起立動作又は前記倒伏動作の結果生じるモーメントに対応する値である。したがって、前記ビームにおいて検出されるひずみは、クレーンの前後のバランスがとれて安定した安定状態、第1方向への転倒に近づいている不安定状態などのクレーンの状態を判定する(推測する)ための指標になり、当該判定にはブーム長さとジブ長さの組み合わせに関する情報は不要である。したがって、本発明の移動式クレーンでは、上述した特許文献1の前記操作支援装置のようにブーム長さとジブ長さの組み合わせに関する情報やブームとジブの相対角度の目標値に関する情報をオペレータが入力するといった煩雑な作業が不要になる。
よって、本発明の移動式クレーンでは、オペレータが煩雑な入力作業を行わなくても、クレーンの組立作業及び分解作業において起伏部材を安全に起立動作及び倒伏動作させるために必要なクレーンの状態に関する情報を検出することができる。そして、検出された当該情報は、クレーンが安全に起立動作及び倒伏動作するために利用される。
(2)前記移動式クレーンにおいて、前記脚部は、前記ビームの先端部に支持されるとともに前記先端部から下方に延びるシリンダ本体と、前記シリンダ本体に対して上下方向にスライド移動可能なロッドとを含んでいるのが好ましい。
この態様では、一対のクローラ走行装置が接している地面と、支持部材の脚部の下端部が接している地面との間に高低差がある場合でも、シリンダ本体に対するロッドの位置を調節することにより、脚部の下端部を確実に接地させるとともに、支持部材のビームの姿勢を、ひずみを検出する上で適正な状態にすることができる。
(3)前記移動式クレーンにおいて、前記ひずみ検出部は、前記ビームの前記基端部又は前記先端部に生じるひずみを検出可能に構成されているのが好ましい。
この態様では、前記ビームのうち、ひずみが生じやすい部位であるビームの基端部又は先端部に生じるひずみを検出することができるので、前記モーメントに起因して生じるビームのひずみをさらに感度よく検出することができる。
(4)前記移動式クレーンにおいて、前記ひずみ検出部は、前記ビームの上部に生じるひずみを検出する第1デバイスと、前記ビームの下部に生じるひずみを検出する第2デバイスと、を含んでいるのが好ましい。
起伏部材が上部旋回体から前記前後方向の第1方向に延びた姿勢で配置されているときには、前記ビームは前記モーメントに起因して上下方向の曲げ荷重を受ける。かかる場合、ビームの中立面からの距離が大きいビームの上部と下部にはより大きなひずみが生じる。したがって、本態様では、ビームの上部と下部に生じるひずみを検出可能な第1デバイスと第2デバイスによってビームに生じるひずみをさらに感度よく検出することができる。
(5)前記移動式クレーンは、前記ひずみ検出部により出力される検出信号に基づいて前記移動式クレーンが前記第1方向に倒れようとする方向のモーメントを演算する演算部をさらに備えていてもよい。
この態様では、ひずみ検出部による検出信号に基づいて前記モーメントが演算部によって演算され、これにより、クレーンの転倒原因となるモーメントが得られる。ひずみ検出部による検出の頻度及び演算部による演算の頻度は、特に限定されない。ひずみ検出部による検出及び演算部による演算は、例えば予め設定された時間毎に行われてもよく、連続的に(常時)行われてもよい。
(6)前記移動式クレーンにおいて、前記支持部材は前記フレームに対して着脱可能に取り付けられているのが好ましい。
この態様では、クレーンの組立作業、分解作業などの作業において必要なときにのみ支持部材をフレームに取り付け、吊り作業のように支持部材が不要なときには支持部材をフレームから取り外すことができる。これにより、前記吊り作業において、支持部材が邪魔にならず、しかも、支持部材の重量分だけクレーンの重量を軽くすることができる。
(7)前記移動式クレーンにおいて、前記支持部材は、第1支持部材であり、前記ひずみ検出部は、第1ひずみ検出部であり、前記移動式クレーンは、第2支持部材と、第2ひずみ検出部と、をさらに備え、前記第2支持部材は、前記一対のクローラ走行装置の間で且つ前記第1支持部材の前記ビームに対して前記左右方向に間隔をおいた位置において前記フレームに支持される基端部を有するとともに前記フレームから前後方向の前記第1方向又は当該第1方向に対して傾斜する方向に延びるビームと、前記第2支持部材の前記ビームの先端部に支持されるとともに当該先端部から下方に延びて地面に接する下端部を有する脚部と、を含み、前記第2支持部材の前記脚部は、前記第1ホイールの回転軸に対して前記第1方向にはずれた位置にあるように構成され、前記第2ひずみ検出部は、前記第2支持部材の前記ビームに生じるひずみを検出可能に構成されているのが好ましい。
この態様では、第1支持部材と第2支持部材が左右方向に間隔をおいて配置され、これらのビームが前記フレームにそれぞれ支持されているので、例えば、起伏部材が前記起立動作及び前記倒伏動作をするときに、クレーンの左右のバランスがとれていない場合であっても、それぞれのひずみ検出部によって左右のバランスに応じたクレーンの状態に関する情報が検出される。したがって、単一のひずみ検出部によってひずみが検出される場合に比べて、クレーンの組立作業及び分解作業において起伏部材を安全に起立動作及び倒伏動作させるために必要なクレーンの状態に関する情報をより正確に検出することができる。
(8)前記移動式は、前記ひずみ検出部により出力される検出信号に基づいた前記移動式クレーンにおける前後のバランスに関する情報を前記オペレータに対して報知するための報知装置をさらに備えていてもよい。
この態様では、オペレータは、クレーンにおける前後のバランスに関する情報を、報知装置を通じて得ることができるので、当該情報を指標としてクレーンを操縦することが可能となり、これにより、クレーンを安全に起立動作及び倒伏動作させることができる。
(9)前記移動式クレーンは、前記フレームの前部と後部に設けられた取付部に対して着脱可能に取り付けられ、前記フレームを持ち上げるためのトランスリフタをさらに備え、前記支持部材の前記ビームは、前記取付部から前記トランスリフタを取り外した状態で前記取付部に取り付けられるように構成されているのが好ましい。
この態様のように支持部材をフレームに取り付けるための取付部がトランスリフタをフレームに取り付けるための取付部と兼用されている場合には、部品の共通化、製造工程の削減などによるコスト削減を実現できる。
本発明によれば、オペレータが煩雑な入力作業を行わなくても、クレーンの組立作業及び分解作業において起伏部材を安全に起立動作及び倒伏動作させるために必要な情報を検出可能な移動式クレーンを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る移動式クレーンを示す側面図であり、吊り作業時の姿勢を示しており、起伏部材が起立状態にあるときの図である。 図1の移動式クレーンの機能的構成を示すブロック図である。 図1の移動式クレーンの下部走行体を示す平面図であり、フレームの取付部にトランスリフタが取り付けられた状態を示す図である。 図1の移動式クレーンの下部走行体を示す側面図であり、フレームの取付部にトランスリフタが取り付けられた状態を示す図である。 図1の移動式クレーンのフレームにおける取付部と当該取付部に取り付けられたトランスリフタとを示す一部破断の側面図である。 図1の移動式クレーンの下部走行体を示す平面図であり、フレームの取付部に支持部材が取り付けられた状態を示す図である。 図1の移動式クレーンの下部走行体を示す側面図であり、フレームの取付部に支持部材が取り付けられた状態を示す図である。 図1の移動式クレーンのフレームにおける取付部と当該取付部に取り付けられた支持部材とを示す一部破断の側面図である。 図8のIX−IX線における断面図である。 図1の移動式クレーンの組立作業時又は分解作業時の姿勢を概略的に示す側面図であり、起伏部材が倒伏状態にあるときの図である。 図1の移動式クレーンの組立作業時又は分解作業時の姿勢を概略的に示す側面図であり、起伏部材が起立動作又は倒伏動作をするときの図である。 図1の移動式クレーンの組立作業時又は分解作業時の姿勢を概略的に示す側面図であり、起伏部材が起立動作又は倒伏動作をするときの図である。 図1の移動式クレーンの組立作業時又は分解作業時の姿勢を概略的に示す側面図であり、モーメントのつり合い位置が転倒支点に近づいた状態を示す図である。 図1の移動式クレーンの組立作業時又は分解作業時の姿勢を概略的に示す側面図であり、起伏部材が起立動作又は倒伏動作をするときの図である。 図1の移動式クレーンの組立作業時又は分解作業時の姿勢を概略的に示す側面図であり、起伏部材が起立動作又は倒伏動作をするときの図である。 支持部材のビームにおけるひずみの計測対象の断面に生じる応力分布を模式的に示した図である。 前記実施形態の変形例を模式的に示す斜視図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る移動式クレーンについて説明する。
[移動式クレーン]
図1は、実施形態に係る移動式クレーン10を示す側面図であり、吊り作業時の姿勢を示しており、起伏部材が起立状態にあるときの図である。図2は、図1の移動式クレーン10の機能的構成を示すブロック図である。なお、図面に示される「上」、「下」、「前」、「後」、「右」、「左」などの方向は、本発明の実施形態に係る移動式クレーンの構造及び起伏方法を説明するために便宜上示すものであり、移動式クレーンの移動方向や使用態様などを限定するものではない。また、前後方向の一方の方向を第1方向D1とし、前後方向の他方の方向を第2方向D2とする(図6、図7及び図13参照)。
図1に示すように、クレーン10は、自走可能な下部走行体11と、この下部走行体11上に軸回りに旋回可能に搭載された上部旋回体12と、起伏部材と、マスト20と、上部旋回体12の後部に積載されたカウンタウエイト13と、複数のトランスリフタ70と、複数の支持部材80と、1つ又は複数のひずみ検出部90(図2参照)と、コントローラ100(図2参照)と、報知装置110(図2参照)と、を備えている。本実施形態では、前記起伏部材は、ブーム14と、ジブ17と、上部ストラット22と、下部ストラット21と、を含む。
ブーム14は、上部旋回体12に回動可能でかつ着脱可能に取り付けられている。図1に示されるブーム14は、いわゆるラチス型のブーム本体15と、基端部14Aと、先端部14Bとを有する。
ブーム本体15は、基端側部材15Aと、一又は複数(図例では2個)の中間部材15B,15Cと、先端側部材15Dとで構成される。前記基端側部材15Aは、上部旋回体12の前部に起伏方向に回動可能となるように連結される。前記中間部材15B,15Cは、その順に前記基端側部材15Aの先端に着脱可能に連結される。前記先端側部材15Dは前記中間部材15Cの先端に着脱可能に連結される。なお、中間部材15B,15Cは省略することが可能である。
ジブ17は、ブーム14の先端部に回動可能でかつ着脱可能に取り付けられている。ジブ17は、図例ではラチス型の構造を有する。ジブ17の基端部17Aは、ブーム14の先端部14Bに回動可能に連結されている。ジブ17の回動中心軸は、上部旋回体12に対するブーム本体15の回動中心軸と平行である。図1に示すように、ジブ17の先端部17Bは、当該先端部17Bが地面に接するときにジブ17を支えるとともに地面上で回転可能なローラ17Rを備えている。
上部ストラット22及び下部ストラット21は、ジブ17を回動させるために設けられている。上部ストラット22は、ブーム14の先端部14Bに回動可能に取り付けられている。下部ストラット21は、上部ストラット22の後方又は下方の位置でブーム14の先端部14Bに回動可能に取り付けられている。上部ストラット22及び下部ストラット21は、ブーム14の先端部14Bから着脱可能に構成されている。
上部旋回体12上には左右一対のバックストップ23が設けられる。これらのバックストップ23は、ブーム14が図1に示される起立姿勢まで到達した時点で当該ブーム14の基端側部材15Aの左右両側部に当接し、この当接によって、前記ブーム14が強風等で後方に煽られるのを規制する。
下部ストラット21は、ブーム14の先端部14Bからブーム起立側(図1では左側)に張り出す姿勢で保持される。この姿勢を保持する手段として、当該下部ストラット21とブーム14との間に左右一対のバックストップ25及び左右一対のストラットガイライン26が介在する。バックストップ25は、先端側部材15Dと下部ストラット21の中間部位との間に介在し、下部ストラット21を下から支える。ガイライン26は下部ストラット21の先端部21Bと基端側部材15Aとを結ぶように張設され、その張力によって下部ストラット21の位置を規制する。
上部ストラット22は、ジブ17と連動して回動するようにこのジブ17と連結される。具体的に、上部ストラット22の先端部22Bとジブ17の先端部17Bとを結ぶように左右一対のジブガイライン28が張設される。従って、この上部ストラット22の回動駆動によってジブ17も回動駆動される。
マスト20は、基端部20A及び回動端部20Bを有する。マスト20の基端部20Aが上部旋回体12に回動可能に連結される。マスト20の回動軸は、ブーム14の回動軸と平行でかつ当該ブーム14の回動軸のすぐ後方に位置している。すなわち、このマスト20はブーム14の起伏方向と同方向に回動可能である。一方、このマスト20の回動端部20Bは左右一対のブーム用ガイライン24を介してブーム14の先端部14Bに連結される。この連結は、マスト20の回動とブーム14の回動とを連携させる。
クレーン10には、各種ウインチが搭載される。具体的には、ブーム14を起伏させるためのブーム起伏用ウインチ30と、ジブ17を起伏方向に回動させるためのジブ起伏用ウインチ32と、吊り荷の巻上げ及び巻下げを行うための主巻用ウインチ34及び補巻用ウインチ36とが搭載される。
ブーム起伏用ウインチ30は、ブーム起伏用ロープ38の巻取り及び繰出しを行う。そして、この巻取り及び繰出しによりマスト20が回動するようにブーム起伏用ロープ38が配索される。具体的に、マスト20の回動端部20B及び上部旋回体12の後端部にはそれぞれ複数のシーブが幅方向に配列されたシーブブロック40,42が設けられ、ブーム起伏用ウインチ30から引き出されたブーム起伏用ロープ38がシーブブロック40,42間に掛け渡される。従って、ブーム起伏用ウインチ30がブーム起伏用ロープ38の巻取りや繰出しを行うことにより、両シーブブロック40,42間の距離が変化し、これによってマスト20さらにはこれと連動するブーム14が起伏方向に回動する。
ジブ起伏用ウインチ32は、ジブ起伏用ロープ44の巻取り及び繰出しを行う。そして、この巻取りや繰出しによって上部ストラット22が回動するようにジブ起伏用ロープ44が配索される。具体的には、下部ストラット21の長手方向中間部にはガイドシーブ46が設けられるとともに、この下部ストラット21の先端部21B及び上部ストラット22の先端部22Bにそれぞれ複数のシーブが幅方向に配列されたスプレッダ47,48(シーブブロック)が設けられる。ジブ起伏用ウインチ32から引き出されたジブ起伏用ロープ44はガイドシーブ46に掛けられ、かつ、スプレッダ47,48間に掛け渡される。従って、ジブ起伏用ウインチ32によるジブ起伏用ロープ44の巻取りや繰出しは、両スプレッダ47,48間の距離を変え、上部ストラット22さらにはこれと連動するジブ17を起伏方向に回動させる。
主巻用ウインチ34は、主巻ロープ50による吊り荷の巻上げ及び巻下げを行う。この主巻について、下部ストラット21の基端部21Aの近傍部位、上部ストラット22の基端部22Aの近傍部位及びジブ17の先端部17Bには、それぞれ主巻用ガイドシーブ52,53,54が回転可能に設けられている。さらに、主巻用ガイドシーブ54に隣接する位置(ジブ17の先端部17B)には、ジブポイントシーブ56が設けられている。主巻用ウインチ34から引き出された主巻ロープ50は、主巻用ガイドシーブ52,53,54に順に掛けられ、かつ、ジブポイントシーブ56と、吊荷用の主フック57に設けられたフックシーブ58と、の間に掛け渡される。従って、主巻用ウインチ34が主巻ロープ50の巻取りや繰出しを行うと、両シーブ56,58間の距離が変わって主フック57の巻上げ及び巻下げが行われる。
同様にして、補巻用ウインチ36は、補巻ロープ60による吊り荷の巻上げ及び巻下げを行う。この補巻については、主巻用ガイドシーブ52,53,54とそれぞれ同軸に補巻用ガイドシーブ62,63,64が回転可能に設けられている。補巻用ガイドシーブ64に隣接する位置(ジブ17の先端部17B)には、ローラ17R(補助シーブ)が回転可能に設けられている。当該補助シーブには、補巻ロープ60をかけ回される。すなわち、補巻用ウインチ36から引き出された補巻ロープ60は、補巻用ガイドシーブ62,63,64に順に掛けられ、かつ、当該補助シーブから垂下される。従って、補巻用ウインチ36が補巻ロープ60の巻取りや繰出しを行うと、補巻ロープ60の末端に連結された図略の吊荷用の補フックが巻上げられ、又は巻下げられる。
図2に示す報知装置110は、ひずみ検出部90により出力される検出信号に基づいたクレーン10における前後のバランスに関する情報をオペレータに対して報知するための装置である。報知装置110は、例えば、音を発するための発音部、光を発するための発光部及び文字、図形などを表示するための表示部の少なくとも1つを有している。報知装置110は、オペレータが認識しやすい場所、具体的には例えば上部旋回体12のキャブ12Aなどに配置される。
前記発音部は、聴覚を通じてオペレータが認識できる音を発する機能を有する。例えば、前記発音部は、図略の警報ブザー、スピーカーなどを有する。前記発光部は、視覚を通じてオペレータが認識できる光を発する機能を有する。例えば、前記発光部は、図略の表示灯、回転灯、信号灯などを有する。前記表示部は、視覚を通じてオペレータが認識できる文字、図形などを表示する機能を有する。例えば、前記表示部は、図略のディスプレイを有する。
コントローラ100は、中央処理装置(CPU)、種々の制御プログラムを記憶するROM、CPUの作業領域として使用されるRAMなどから構成される。図2に示すように、コントローラ100は、演算部101と、報知制御部102と、を機能として備える。演算部101は、ひずみ検出部90により出力される検出信号に基づいてクレーン10が第1方向D1に倒れようとする方向のモーメントを演算するためのものである。報知制御部102は、報知装置110を制御して、ひずみ検出部90により出力される検出信号に基づいたクレーン10における前後のバランスに関する情報をオペレータに報知するためのものである。
[下部走行体]
図3は、図1のクレーン10の下部走行体11を示す平面図であり、図4は、当該下部走行体11を示す側面図である。図5は、図1のクレーン10の後述するフレーム2における取付部201aと当該取付部201aに取り付けられたトランスリフタ70とを示す一部破断の側面図である。
図3及び図4に示すように、下部走行体11は、クローラ式であり、一対のクローラ走行装置3,3と、上部旋回体12が取り付けられる旋回ベアリング2aと、前記一対のクローラ走行装置3,3を連結するとともに旋回ベアリング2aを支持するフレーム2と、を備える。前記一対のクローラ走行装置3,3は、第1クローラ走行装置3と第2クローラ走行装置3とにより構成される。
フレーム2は、当該旋回ベアリング2aの下方において当該旋回ベアリング2aを支持するカーボディ2dと、カーボディ2dの前方において左右方向に延びる前部アクスル2bと、カーボディ2dの後方において左右方向に延びる後部アクスル2cと、を有する。前部アクスル2bの一端(右端)と後部アクスル2cの一端(右端)には第1クローラ走行装置3が取付けられており、前部アクスル2bの他端(左端)と後部アクスル2cの他端(左端)には第2クローラ走行装置3が取付けられている。
第1クローラ走行装置3と第2クローラ走行装置3は、複数の構成部材の配置が左右逆向きである以外は同様の構造を有する。これらのクローラ走行装置3は、前後方向にそれぞれ延びるとともに左右方向に間隔をおいて配置されている。各クローラ走行装置3は、クローラフレーム1と、ドライブタンブラ4aと、アイドラ4cと、駆動機構4bと、クローラ7と、複数の上部ローラ5と、複数の下部ローラ6とを有する。
駆動機構4bは、不図示の油圧式モータ(走行モータ)と、走行減速機とを含む。クローラ7は、多数のシューが連結されて構成されている。クローラ7は、前記一対のホイール4a,4cの間に架け渡されることにより一対のホイール4a,4cに無端状(輪状)に支持されて周回移動可能に構成された部材である。
図5に示すように、クローラフレーム1は、前後方向に延びる形状を有する。クローラフレーム1は、フレーム本体1Aと、タンブラブラケット1Bとを含む。フレーム本体1Aは、前後方向に延びる形状を有する。タンブラブラケット1Bは、フレーム本体1Aの先端部に接続された基端部と、前方の端部である先端部とを有し、当該基端部から当該先端部まで前後方向に延びている。タンブラブラケット1Bの基端部は、フレーム本体1Aの先端部に例えば溶接などの接合手段を用いて接合されている。タンブラブラケット1Bは、ドライブタンブラ4a及び駆動機構4bを支持している。
ドライブタンブラ4aは、その回転軸CB回りに回転可能に、クローラフレーム1の先端部に位置するタンブラブラケット1Bに支持されている。ドライブタンブラ4aは、前記走行モータから前記走行減速機に伝わった回転力によって回転してクローラ7を駆動するホイールである。アイドラ4cは、クローラフレーム1の基端部において回転可能に支持されている。アイドラ4cは、ドライブタンブラ4aに対して前後方向の反対側においてクローラ7を案内するホイールである。
複数の上部ローラ5は、クローラフレーム1の上部においてそれぞれ回転可能に支持されている。複数の上部ローラ5は、ドライブタンブラ4aとアイドラ4cとの間において前後方向に間隔をおいて配置されてクローラ7を案内する。
複数の下部ローラ6は、クローラフレーム1の下部においてそれぞれ回転可能に支持されている。複数の下部ローラ6は、ドライブタンブラ4aとアイドラ4cとの間において前後方向に間隔をおいて配置されてクローラ7を案内する。
本実施形態では、クレーン10は、4つのトランスリフタ70を備える。これらのトランスリフタ70は、一対のクローラ走行装置3,3を、フレーム2に取り付けるとき及びフレーム2から取り外すときに、フレーム2を地面から持ち上げるためのものである。4つのトランスリフタ70のうち2つのトランスリフタ70は、前部アクスル2bに取り付けられ、残りの2つのトランスリフタ70は、後部アクスル2cに取り付けられている。
各トランスリフタ70は、ビーム71と、脚部72とを有する。ビーム71は、フレーム2の前部アクスル2b又は後部アクスル2cに支持される基端部を有する。ビーム71の基端部は、フレーム2の前部アクスル2b又は後部アクスル2cに設けられた取付部201a,202aに取り付けられている。
本実施形態では、取付部201a,202aは、前部アクスル2b及び後部アクスル2cに設けられた貫通孔201a,202aによって構成されている。具体的に、フレーム2の各アクスルは、左右方向に延びる上板部201と、当該上板部201に対して下方に間隔をおいて配置され、左右方向に延びる下板部202と、を有する。貫通孔201aは、各アクスルの上板部201に設けられ、貫通孔202aは、下板部202に設けられている。貫通孔201aと貫通孔202aは、左右方向に間隔をおいて設けられている。
また、ビーム71の基端部にも貫通孔711a,712aが設けられている。これらの貫通孔同士の位置を合わせた状態でこれらの貫通孔にピン203が挿通される。これにより、ビーム71がフレーム2に取り付けられる。
前部アクスル2bに取り付けられるトランスリフタ70のビーム71は、前後方向のうちの第1方向D1又はこれに傾斜する方向に延びるように配置される。後部アクスル2cに取り付けられるトランスリフタ70のビーム71は、前後方向のうちの第2方向D2又はこれに傾斜する方向に延びるように配置される。トランスリフタ70は一対のクローラ走行装置3,3の取り付け又は取り外し時にフレーム2を地面から持ち上げる用途に使用されるものであるため、各ビーム71の先端部は、図3に示すように前後方向においてクローラ走行装置3の先端部よりもフレーム2側(内側)に位置している。
脚部72は、取付部材76によってビーム71の先端部に支持されるとともに先端部から下方に延びるシリンダ本体73と、シリンダ本体73に対して上下方向にスライド移動可能なロッド74とを含む油圧シリンダによって構成されている。
[支持部材]
図6は、図1の移動式クレーン10の下部走行体11を示す平面図であり、フレーム2の取付部201aに支持部材80が取り付けられた状態を示す図である。図7は、図1の移動式クレーン10の下部走行体11を示す側面図であり、フレーム2の取付部201aに支持部材80が取り付けられた状態を示す図である。図8は、図1の移動式クレーン10のフレーム2における取付部201aと当該取付部201aに取り付けられた支持部材80とを示す一部破断の側面図である。図9は、図8のIX−IX線における断面図である。
本実施形態では、クレーン10は、第1支持部材80と、第2支持部材80とを備える。各支持部材80は、ビーム81と、脚部82とを含む。ビーム81は、一対のクローラ走行装置3,3の間においてフレーム2に支持される基端部を有するとともにフレーム2から前後方向の第1方向D1に延びている。第1支持部材80のビーム81と第2支持部材80のビーム81とは、左右方向に間隔をおいて配置されている。
前記脚部82は、取付部材86によって前記ビーム81の先端部に支持されるとともに前記先端部から下方に延びている。当該脚部82の下端部85は一対のクローラ走行装置3,3よりも第1方向D1において地面GRに接するように構成されている。脚部82は、ドライブタンブラ4aの回転軸CBに対して第1方向D1にはずれた位置にあるように構成されている。本実施形態では、脚部82は油圧シリンダによって構成されている。具体的には、脚部82は、ビーム81の先端部に支持されるとともに前記先端部から下方に延びるシリンダ本体83と、シリンダ本体83に対して上下方向にスライド移動可能なロッド84とを含む。
図9に示すように、各支持部材80のビーム81は、長手方向に直交する断面が閉断面となる構造を有する。具体的には、図8及び図9に示すように、ビーム81は、ビーム81の長手方向に延びる上板部811と、当該上板部811に対して下方に間隔をおいて前記長手方向に延びる下板部812と、前記長手方向にそれぞれ延びる一対の側板部813,814と、を有する。一方の側板部813は、上板部811と下板部812の右端部同士を接続しており、他方の側板部814は、上板部811と下板部812の右端部同士を接続している。
ビーム81の基端部には、フレーム2にビーム81を取り付けるための被取付部としての貫通孔811a,812aが設けられている。具体的に、当該貫通孔811aは、上板部811の基端部に設けられ、貫通孔812aは、下板部812の基端部に設けられている。これらの貫通孔811a,812aと、上述した前部アクスル2bの上板部201と下板部202に設けられている貫通孔201a,202aとの位置を合わせた状態でこれらの貫通孔にピン203が挿通される。これにより、ビーム71がフレーム2に取り付けられる。
上記のように本実施形態では、支持部材80はフレーム2に対して着脱可能であり、また、支持部材80のビーム81は、取付部201a,202aからトランスリフタ70を取り外した状態で取付部201a,202aに取り付けられるように構成されている。すなわち、フレーム2の取付部は、トランスリフタ70のビーム71を取り付ける用途と、支持部材80のビーム81を取り付ける用途とに兼用されている。
[ひずみ検出部]
ひずみ検出部90は、クレーン10の組立作業及び分解作業においてブーム14を安全に起立動作及び倒伏動作させるために必要な情報を検出するためのものである。具体的には、ひずみ検出部90は、前記起立動作及び前記倒伏動作において支持部材80のビーム81に生じるひずみを検出するためのものである。ひずみ検出部90は、支持部材80のビーム81に生じるひずみであってクレーン10を第1方向D1に倒す向きのモーメントに対応するひずみを検出可能に構成されている。前記起立動作は、地面に対するブーム14の傾斜角度を大きくする動作であり、前記倒伏動作は、前記傾斜角度を小さくする動作である。
本実施形態では、クレーン10は、第1支持部材80に生じるひずみを検出可能なひずみ検出部90(第1ひずみ検出部90)と、第2支持部材80に生じるひずみを検出可能なひずみ検出部90(第2ひずみ検出部90)と、を備える。第1ひずみ検出部90と第2ひずみ検出部90は同じ構造を有し、対応する支持部材80に設けられる位置も同じであるため、以下では、主に一方のひずみ検出部90について説明する。
本実施形態では、図6〜図8に示すように、ひずみ検出部90は、対応する支持部材80のビーム81に設けられている。ひずみ検出部90は、支持部材80のビーム81のひずみを検出するための1つ又は複数のデバイスによって構成される。当該デバイスとしては、例えば金属ひずみゲージ、半導体ひずみゲージなどのひずみゲージを用いることができる。ひずみゲージは、支持部材80の表面に貼り付けるなどの方法により取り付けられる。ただし、ひずみ検出部90を構成するデバイスは、ひずみゲージに限られず、支持部材80のビーム81のひずみを検出できる他のデバイスを用いることもできる。前記他のデバイスとしては、例えばピン型ロードセルなどのロードセルを例示できる。
金属ひずみゲージは、例えば薄い絶縁体上にジグザグ形状にレイアウトされた金属の抵抗体(金属箔)が取り付けられた構造を有し、当該抵抗体の変形に伴う電気抵抗の変化を検出する。測定された電気抵抗の変化は支持部材80のビーム81のひずみ量に換算される。半導体ひずみゲージは、例えば半導体の電気抵抗率が応力により変化するピエゾ抵抗効果を利用したひずみゲージである。
具体的には、本実施形態では、図6及び図8に示すように、ひずみ検出部90は、対応する支持部材80のビーム81の基端部に設けられている。具体的には、ひずみ検出部90は、ビーム81の基端部のうち、前後方向の位置がフレーム2のアクスル2bの前端部(アクスル2cの後端部)に隣接する部位に設けられている。なお、ビーム81の基端部は、ビーム81のうち、ビーム81の長手方向の中央よりもフレーム2の取付部201a側の部位であり、ビーム81の先端部は、ビーム81のうち、ビーム81の長手方向の中央よりも脚部82側の部位である。
図9に示すように、ひずみ検出部90は、複数のひずみゲージ(図例では、4つのひずみゲージ90A,90B,90C,90D)によって構成されている。ひずみゲージ90A,90B(第1デバイス)は、ビーム81の基端部における上部に設けられ、第2ひずみゲージ90C,90D(第2デバイス)は、ビーム81の基端部における下部に設けられている。
より具体的には、ひずみゲージ90Aは、ビーム81の上板部811と一方の側板部813との境界部分に設けられ、ひずみゲージ90Bは、ビーム81の上板部811と他方の側板部814との境界部分に設けられ、ひずみゲージ90Cは、ビーム81の下板部812と一方の側板部813との境界部分に設けられ、ひずみゲージ90Dは、ビーム81の下板部812と他方の側板部814との境界部分に設けられている。本実施形態では、各ひずみゲージは、ビーム81の外面に取り付けられているが、ビーム81の内面に取り付けられていてもよい。
ひずみ検出部90は、クレーン10の前記起立動作及び前記倒伏動作において支持部材80のビーム81に生じるひずみを検出し、ひずみ検出部90によって検出された検出信号は、図2に示すコントローラ100に入力される。そして、演算部101は、当該検出信号に基づいてクレーン10が第1方向D1に倒れようとする方向のモーメントを演算する。報知制御部102は、演算されたモーメントに関する情報(クレーン10における前後のバランスに関する情報)が音、光、文字、図形などによりオペレータに報知されるように報知装置110を制御する。
[組立作業及び分解作業]
次に、本実施形態に係るクレーン10の組立作業及び分解作業について説明する。図10〜図15は、図1の移動式クレーンの組立作業時又は分解作業時の姿勢を概略的に示す側面図である。図10は、起伏部材が倒伏状態にあるときの図であり、図11及び図12は、ブーム14に対するジブ17の相対角度が大きい状態で起伏部材が起立動作又は倒伏動作をするときの図である。図13は、モーメントのつり合い位置が転倒支点に近づいた状態を示す図である。図14及び図15は、ブーム14に対するジブ17の相対角度が小さい状態で起伏部材が起立動作又は倒伏動作をするときの図である。なお、図10〜図15においては、クレーン10が受けるモーメントの説明をする上で必要な構成要素のみを図示し、一部の構成要素の図示を省略している。
図12及び図15に示すように、クレーン10では、旋回中心Cを基準としたときに、ブーム14及びジブ17を含む起伏部材が第1方向D1に延びており、第1方向D1とは反対の第2方向D2にカウンタウエイト13が配置されている。以下では、クレーン10に作用するモーメントについては、主として、上部旋回体12の旋回中心Cを基準として説明する。
当該クレーン10が第1方向D1に倒れようとするモーメント(以下、モーメントMtという。)は、主として起伏部材の重量と姿勢に起因して発生するモーメント(以下、第1モーメントMfという。)と、主としてカウンタウエイト13の重量と上部旋回体12の一部の重量に起因して発生するモーメント(以下、第2モーメントMbという。)と、により決まると考えることができる。すなわち、モーメントMtは、第1モーメントMfから第2モーメントMbを引くことにより得られる(Mt=Mf−Mb)。
図12及び図15に示すように、カウンタウエイト13の積載量及び旋回中心Cからの距離を変更しない場合には第2モーメントMbに係る重心位置Gbがほぼ変わらないため、第2モーメントMbはほぼ一定である。すなわち、主としてカウンタウエイト13の重量が多くの割合を占める重量(旋回中心Cより第2方向D2の部分の重量)をWbとするとき、第2モーメントMbは、重量Wbと旋回中心Cから重心位置Gbまでの距離Lbとの積により表される(Mb=Wb×Lb)。
一方、ブーム14及びジブ17を含む起伏部材の姿勢によって旋回中心Cから起伏部材の重心位置Gfまでの距離L(例えば図12に示す距離L1、図15に示す距離L2など)が変わるため、第1モーメントMfは起伏部材の姿勢に応じて変動する。当該重心位置Gfは、主に、地面に対するブーム14の傾斜角度と、ブーム14に対するジブ17の相対角度と、により決まる。すなわち、起伏部材の重量をWatとするとき、第1モーメントMfは、重量Watと旋回中心Cから重心位置Gfまでの距離L(例えば距離L1、距離L2など)との積により表される(Mf=Wat×L)。
例えば図15に示すように、地面に対するブーム14の傾斜角度が比較的大きくなるまで上部旋回体12に対してブーム14がある程度起立した状態で、かつ、ブーム14に対するジブ17の相対角度が比較的小さい状態(相対角度θ2)においては、旋回中心C周りの第1モーメントMfと第2モーメントMbがほぼ等しくなる場合がある。この略均等状態では、前記モーメントMtはほぼゼロになる。そして、クレーン10の重量は、クローラ7の前後方向の全体にわたって概ね均等に受け持たれることになる。
上記の略均等状態と比較して、例えば図12に示すように、地面に対するブーム14の傾斜角度が比較的小さくなるまで上部旋回体12に対してブーム14がある程度倒伏した状態で、かつ、ブーム14に対するジブ17の相対角度が比較的大きい状態(相対角度θ1)においては、起伏部材の重心位置Gfが第1方向D1に移動するので、旋回中心C周りの第1モーメントMfが大きくなる。このようにモーメントが第1方向D1に偏った偏り状態では、モーメントMtは、前記略均等状態よりも大きい正の値となる(Mt=Mf−Mb>0)。
ここで、モーメントを計算するためのモーメントの中心を旋回中心Cから前後方向に移動させ、その移動後の中心位置を基準として前後のモーメントを計算したときに、前後のモーメントが同じ大きさとなる位置を「モーメントのつり合い位置」と定義する。また、図12、図13及び図15に示すように、クローラフレーム1のうち、前後方向の位置がドライブタンブラ4aの回転軸CBに対応する部位S0を転倒支点S0と称し、支持部材80の脚部82の下端部85に対応する部位S1を支点S1と称する。
上述の略均等状態(例えば図15に示す状態)では、モーメントのつり合い位置P1は旋回中心Cの位置にほぼ一致する。一方、前記偏り状態(例えば図12に示す状態)では、モーメントのつり合い位置P2は旋回中心Cから第1方向D1に移動する。図12に示すようにモーメントMtが正の値となり、モーメントのつり合い位置が旋回中心Cから第1方向D1にある位置P2に移動したとしても、直ちにクレーン10が転倒するわけではない。すなわち、前記偏り状態は、モーメントMtによりクレーン10が第1方向D1に倒れようとするのを下部走行体11のクローラフレーム1が抵抗している状態である。
図12に示すような偏り状態では、モーメントのつり合い位置P2においてモーメントMtがゼロ(Mt=0)になっている。この偏り状態においてクローラフレーム1に作用する曲げモーメントは、主に、つり合い位置P2から転倒支点S0までの部分に作用する。このように偏り状態では、クローラフレーム1の全体ではなくクローラフレーム1の先端部(つり合い位置P2から転倒支点Sまでの部分)がモーメントMtに抗しており、クローラフレーム1の先端部の曲げ剛性によってクレーン10の転倒が妨げられて姿勢が維持されている。
例えば図13に示すように、起伏部材の重心位置Gfが図15に示す位置よりもさらに第1方向D1に移動してクレーン10が転倒する直前の状態では、モーメントのつり合い位置P3が転倒支点S0とほぼ一致する。この転倒直前状態では、一対のクローラフレーム1の先端部及び一対の支持部材80の脚部82のそれぞれがモーメントMtのほぼ全てを受けることになる。なお、図13中の円形の矢印Mrは、クローラフレーム1の先端部が前記モーメントMtに抗している状態を示している。
本実施形態では、転倒支点S0よりもさらに第1方向D1にある支点S1において支持部材80の脚部82の下端部85が存在する。したがって、図12に示す略均等状態、図15に示す偏り状態、図13に示す転倒直前状態などの種々の状態に応じた支持部材80のビーム81のひずみを検出し、検出されたひずみに基づいて支持部材80のビーム81が受けるモーメントを求めることができれば、クレーン10が取り得る種々の状態を判定できる。
本実施形態では、ひずみ検出部90を支持部材80のビーム81の上述した部位に設けることにより、前記偏り状態において支持部材80のビーム81に生じるひずみを効果的に検出できる。これにより、クレーン10の前後方向のバランスがどのような状態にあるかについての指標を得ることができる。
本実施形態では、上述したように、ひずみ検出部90によって検出される支持部材80のビーム81に生じるひずみに関する情報が得られるので、オペレータが煩雑な作業を行わなくても、クレーン10の組立作業及び分解作業において起伏部材を安全に起立動作及び倒伏動作させるために必要なクレーン10の状態に関する情報を検出することができる。そして、検出された当該情報は、クレーン10が安全に起立動作及び倒伏動作するために利用される。具体的には次の通りである。
クレーン10を組み立てる組立作業においては、図12に示すように、ブーム14及びジブ17は、地面GRに略平行な姿勢で倒伏された状態(倒伏状態)で上部旋回体12に対して取り付けられる。そして、前記吊り作業を行う際には、地面GRに対するブーム14の傾斜角度が次第に大きくなる起立動作によってブーム14の姿勢が前記倒伏状態から前記起立状態(図1に示す状態)に変えられる。
上記のように倒伏状態から起立状態に起伏部材を変位させる場合、まず、ジブ17の先端部17Bに設けられたローラ17Rが地面GRに接した状態でブーム14の傾斜角度を次第に大きくする。この動作においてはブーム14に対するジブ17の相対角度が次第に小さくなる。
例えば図11に示すように前記相対角度が角度θ1となった時点で、図12に示すように相対角度を角度θ1に維持した状態でブーム14の傾斜角度をさらに大きくすると、ジブ17の先端部17Bのローラ17Rは地面GRから離れるので、クレーン10には、モーメントMfが作用する。
このとき、コントローラ100の報知制御部102が報知装置110を制御することにより、ひずみ検出部90により出力される検出信号に基づいたクレーン10における前後のバランスに関する情報が報知装置110を介してオペレータに報知される。これにより、オペレータは、クレーン10における前後のバランスに関する情報を、報知装置110を通じて得ることができる。例えば図12に示すクレーン10の状態が不安定状態であることをオペレータが認識すると、オペレータは、ブーム14の傾斜角度を再び小さくして例えば図11に示すようにジブ17の先端部17Bのローラ17Rを接地させる。そして、オペレータは、ジブ17の先端部17Bに設けられたローラ17Rが地面GRに接した状態でブーム14の傾斜角度を次第に大きくする。この動作においてはブーム14に対するジブ17の相対角度が次第に小さくなる(例えば図14に示す状態)。
例えば図14に示すように前記相対角度が角度θ2となった時点で、図15に示すように相対角度を角度θ2に維持した状態でブーム14の傾斜角度をさらに大きくすると、ジブ17の先端部17Bのローラ17Rは地面GRから離れるので、クレーン10には、モーメントMfが作用する。このときのモーメントつり合い位置P1は、旋回中心Cに近い位置にあるので、クレーン10の起伏部材を安全に起立動作させることができる。
なお、クレーン10を分解する分解作業は、上述した組立作業の動作の逆の動作をさせることによって安全に行われる。
[モーメントの演算方法]
以下、支持部材80のビーム81に作用するモーメントの演算方法について具体的に説明する。
上述した図9に示すように、本実施形態では、支持部材80のビーム81は、閉断面構造を有する。
起伏部材が前記起立動作及び前記倒伏動作をするときに一対の支持部材80のビーム81が上下方向の曲げ荷重を受けて一対の支持部材80のビーム81のそれぞれに曲げ変形が生じると、各ビーム81における中立面(中立軸)よりも上部は圧縮されて縮み、中立面よりも下部は引っ張られて伸びる。
そして、支持部材80のビーム81の上部及び下部のひずみは、中立面からの距離に比例して大きくなる。上記の閉断面において上板部811及び下板部812は中立面からの距離が比較的大きい位置にあるので、上板部811及び下板部812では比較的大きなひずみ(曲げ応力)が発生する。したがって、本実施形態のように、ひずみ検出部90が支持部材80のビーム81の上部及び下部に設けられることにより、比較的大きなひずみを検出することができる。
ここで、上板部811に発生するひずみをε1とし、下板部812に発生するひずみをε2とする。また、支持部材80のビーム81における中立面からひずみゲージ90A,90Bまでの距離をr1とし、前記中立面からひずみゲージ90C,90Dまでの距離をr2とする。また、ひずみを計測する断面の断面2次モーメントをIとし、縦弾性係数をEとする。また、支持部材80のビーム81において曲げモーメントのみにより生じる応力のうち、上側の応力をσmtとし、下側の応力をσmcとする。
なお、支持部材80のビーム81における曲げ変形の中立面(中立軸)は、当該先端部において上下方向の中央に位置するとは限らない。このため、上記の上側応力σmtと下側応力σmcは異なる場合がある。かかる場合、上側応力σmtと下側応力σmcの比(σmt:σmc)は、中立面からの距離の比(r1:r2)と同じである(σmt:σmc=r1:r2)。支持部材80のビーム81は、前後方向に圧縮力σn(軸力)を受けている場合がある。以上の前提を考慮したモーメントの演算方法は次の通りである。
図16は、支持部材80のビーム81におけるひずみの計測対象の断面に生じる応力分布を模式的に示した図である。図16に示すように、当該応力分布は、曲げモーメントによる応力(σmt,σmc)と、上述した圧縮力σnとの和により得られる。
したがって、モーメントMを求めるために必要な曲げ応力σmtを求める式は次式(1)となる。
E×ε1−E×ε2=(σmt+σn)−(−σmc+σn)=σmt+σmc=σmt(1+r2/r1) ・・・(1)
上記式(1)より、次式(2)が得られる。
σmt=E(ε1−ε2)/(1+r2/r1) ・・・(2)
よって、支持部材80のビーム81に負荷されているモーメントMは、次式(3)の通りとなる。
M=E×σmt×I/r1 ・・・(3)
クレーン10は、一対の支持部材80を備えているため、転倒モーメントMtは、左右それぞれの支持部材80のビーム81のひずみから得られるモーメントをMR,MLとすると、次式(4)の通りとなる。
Mt=MR+ML ・・・(4)
以上のようにして演算されるモーメントMtは、上述したコントローラ100の演算部101がひずみ検出部90から入力される検出信号に基づいて演算する。これにより、クレーン10の転倒原因となるモーメントMtが得られる。ひずみ検出部90による検出の頻度及び演算部101による演算の頻度は、特に限定されない。ひずみ検出部90による検出及び演算部101による演算は、例えば予め設定された時間毎に行われてもよく、連続的に(常時)行われてもよい。
なお、上述した圧縮力σn(軸力)を考慮しなくてもよい場合には、モーメントMは、次式(5)の通りとなる。
M=E×I(|ε1/r1|+|ε2/r2|)/2 ・・・(5)
[変形例]
以上、本発明の実施形態に係るクレーン10について説明したが、本発明は上述の形態に限定されるものではない。
図17は、前記実施形態の変形例を模式的に示す斜視図である。図17に示す変形例では、ビーム81は、ひずみゲージ(ひずみ検出部)を取り付けるための測定支台200(変形部材)をさらに有する。測定支台200は、前後方向においてブーム14の先端部14Bがブーム14の基端部14Aよりも第1方向D1にはずれた位置に配置された状態で、ビーム81に生じるひずみを検出可能な位置に配置されている。測定支台200は、このような位置に配置されていればよいので、測定支台200を配置する部位は特に限定されない。
図8及び図9に示すように、ビーム81は、ビーム81の長手方向に直交する方向に延びるとともに前記長手方向(前方)に向いた表面を有する補強板815を有している。そして、図17に示す変形例では、測定支台200は、ビーム81の補強板815と上板部811とにまたがるように設けられている。言い換えると、測定支台200は、補強板815と上板部811とによって形成される角部に配置されている。
測定支台200は、第1面200Aと、第2面200Bと、保持面200Cと、を有する。第1面200Aは、補強板815に対向して配置されて当該補強板815に接続された面である。第2面200Bは、上板部811に対向して配置されて当該上板部811に接続された面である。保持面200Cは、第1面200Aの端縁と第2面200Bの端縁とを接続するとともに、ひずみゲージ90Aを保持する面である。図17に示す具体例では、保持面200Cは、前方に向かうにつれて上方に位置するように傾斜するとともにひずみゲージ90Aを保持する傾斜面を有する。図17に示す具体例では、当該傾斜面は、円弧状の湾曲面(凹曲面)からなるが、平面からなるものであってもよく、凸曲面からなるものであってもよい。また、図17に示す具体例では、測定支台200は略L字形状を有するが、測定支台200の形状は略L字形状に限られない。
また、測定支台200は、上記のように補強板815と上板部811とによって形成される角部に配置されるだけでなく、補強板815と下板部812とによって形成される角部にも配置されている。そして、起伏部材が前記起立動作及び前記倒伏動作をすることにより、ビーム81に曲げモーメントが付加されて当該ビーム81が曲げ変形を受ける。これにより、上側の測定支台200の保持面200Cは、引っ張られて伸びる方向にひずみを生じる。また、下側の測定支台の保持面は、圧縮されて縮む方向にひずみを生じる。よって、保持面200Cに沿ってひずみゲージを設置することで曲げモーメントを算出するためのひずみを求めることができる。保持面200Cが円弧状の湾曲面である場合、円弧の曲率半径を変えることで、ひずみの大きさを調整することができる。
例えば、前記実施形態では、ひずみ検出部90は、複数のひずみゲージによって構成されていたが、1つのひずみゲージによって構成されていてもよい。
また、前記実施形態では、起伏部材がジブ17を含んでいたが、本発明は、ジブを有していないクレーンにも適用できる。
また、前記実施形態では、前記第1方向D1は、前後方向において、クローラフレーム1の中央からタンブラブラケット1Bに向かう方向であったが、これに限られず、前後方向において、クローラフレーム1の中央からタンブラブラケット1Bとは反対側に向かう方向であってもよい。
前記実施形態では、ひずみ検出部90は、支持部材80のビーム81の基端部に設けられていたが、ビーム81の先端部に設けられていてもよい。
また、前記実施形態では、クレーン10は、一対の支持部材80を備えていたが、単一の支持部材80のみを備えていてもよい。また、クレーン10が一対の支持部材80を備える場合であっても、ひずみ検出部90は、一対の支持部材80のうち一方の支持部材80のビーム81にのみ設けられていてもよい。
前記実施形態では、支持部材80のビーム81の基端部が取り付けられるフレーム2の部位は、トランスリフタ70のビーム71の基端部が取り付けられる部位と兼用されていたが、これに限られず、トランスリフタ70のビーム71の基端部が取り付けられる部位とは異なる部位であってもよい。
前記実施形態では、支持部材80の脚部82は、油圧シリンダによって構成されていたが、他の部材によって構成されていてもよい。
前記実施形態では、支持部材80はフレーム2に対して着脱可能に構成されていたが、これに限られず、フレーム2に取り外せないように固定されていてもよい。
前記実施形態では、支持部材80のビーム81は、第1方向D1に延びていたが、当該第1方向D1に対して傾斜する方向に延びていてもよい。
前記実施形態では、支持部材80のビーム81は、例えば図9に示すように長手方向に直交する断面が閉断面となる構造を有しているが、これに限られず、例えば長手方向に直交する断面がI断面となる構造を有していてもよい。
また、前記実施形態に係るクレーン10は、当該クレーン10の組立作業及び分解作業において起伏部材を安全に起立動作及び倒伏動作させるために必要な情報を検出可能なひずみ検出部90を備えているが、当該ひずみ検出部90により検出される前記情報を、組立作業及び分解作業以外の作業である吊り作業において、起伏部材を安全に起立動作及び倒伏動作させるために用いることもできる。具体的には、ひずみ検出部90は、支持部材80のビーム81に生じるひずみを検出する。そして、検出されるビーム81のひずみは、吊り作業において、クレーン10の前後のバランスがとれた安定状態、第1方向D1への転倒に近づいている不安定状態などのクレーン10の状態を判定する(推測する)ための指標になる。したがって、吊り作業において、ひずみ検出部90によって検出されるひずみが起伏部材を起立動作及び倒伏動作させるための指標として用いられることにより、吊り作業の安全性が向上する。
D1 前後方向の第1方向
2 フレーム
3 クローラ走行装置
10 移動式クレーン
11 下部走行体
12 上部旋回体
14 ブーム
70 トランスリフタ
80 支持部材
81 支持部材のビーム
82 支持部材の脚部
83 シリンダ本体
84 ロッド
85 支持部材の下端部
90 ひずみ検出部
100 コントローラ
101 演算部
102 報知制御部
110 報知装置

Claims (9)

  1. フレームと前記フレームにおける左右方向の両端部にそれぞれ支持されるとともに前後方向にそれぞれ延びる一対のクローラ走行装置とを含む下部走行体と、
    前記下部走行体上に旋回可能に支持された上部旋回体と、
    前記上部旋回体に起伏可能に支持されたブームを含む起伏部材と、
    前記一対のクローラ走行装置の間において前記フレームに支持される基端部を有するとともに前記フレームから前後方向の一方の方向である第1方向又は当該第1方向に対して傾斜する方向に延びるビームと前記ビームの先端部に支持されるとともに前記先端部から下方に延びて下端部が地面に接するように構成された脚部とを含む支持部材と、
    前記ビームに生じるひずみを検出するひずみ検出部と、を備え、
    各クローラ走行装置は、前後方向にそれぞれ延びるクローラフレームと、前記クローラフレームの前記前後方向の両端部のうち前記前後方向の一方の方向である第1方向に位置する端部において回転可能に支持される第1ホイール及び前記両端部のうち前記第1方向とは反対方向である第2方向に位置する端部において回転可能に支持される第2ホイールと、前記第1ホイール及び前記第2ホイールに無端状に支持されて周回移動可能なクローラと、を有し、
    前記支持部材の前記脚部は、前記第1ホイールの回転軸に対して前記第1方向にはずれた位置にあるように構成されている、移動式クレーン。
  2. 前記脚部は、前記ビームの先端部に支持されるとともに前記先端部から下方に延びるシリンダ本体と、前記シリンダ本体に対して上下方向にスライド移動可能なロッドとを含む、請求項1に記載の移動式クレーン。
  3. 前記ひずみ検出部は、前記ビームの前記基端部又は前記先端部に生じるひずみを検出可能に構成されている、請求項1又は2に記載の移動式クレーン。
  4. 前記ひずみ検出部は、前記ビームの上部に生じるひずみを検出する第1デバイスと、前記ビームの下部に生じるひずみを検出する第2デバイスと、を含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の移動式クレーン。
  5. 前記ひずみ検出部により出力される検出信号に基づいて前記移動式クレーンが前記第1方向に倒れようとする方向のモーメントを演算する演算部をさらに備える、請求項1〜4の何れか1項に記載の移動式クレーン。
  6. 前記支持部材は前記フレームに対して着脱可能に取り付けられている、請求項1〜5の何れか1項に記載の移動式クレーン。
  7. 前記支持部材は、第1支持部材であり、
    前記ひずみ検出部は、第1ひずみ検出部であり、
    前記移動式クレーンは、第2支持部材と、第2ひずみ検出部と、をさらに備え、
    前記第2支持部材は、前記一対のクローラ走行装置の間で且つ前記第1支持部材の前記ビームに対して前記左右方向に間隔をおいた位置において前記フレームに支持される基端部を有するとともに前記フレームから前後方向の前記第1方向又は当該第1方向に対して傾斜する方向に延びるビームと、前記第2支持部材の前記ビームの先端部に支持されるとともに当該先端部から下方に延びて地面に接する下端部を有する脚部と、を含み、
    前記第2支持部材の前記脚部は、前記第1ホイールの回転軸に対して前記第1方向にはずれた位置にあるように構成され、
    前記第2ひずみ検出部は、前記第2支持部材の前記ビームに生じるひずみを検出可能に構成されている、請求項1〜6の何れか1項に記載の移動式クレーン。
  8. 前記ひずみ検出部により出力される検出信号に基づいた前記移動式クレーンにおける前後のバランスに関する情報を前記オペレータに対して報知するための報知装置をさらに備える、請求項1〜7の何れか1項に記載の移動式クレーン。
  9. 前記フレームの前部と後部に設けられた取付部に対して着脱可能に取り付けられ、前記フレームを持ち上げるためのトランスリフタをさらに備え、
    前記支持部材の前記ビームは、前記取付部から前記トランスリフタを取り外した状態で前記取付部に取り付けられるように構成されている、請求項1〜8の何れか1項に記載の移動式クレーン。
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