JP2020010426A - モータ - Google Patents

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Masahito Kamikawabata
正仁 上川畑
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Abstract

【課題】 ロータとステータとが接触することを抑制しつつ、ロータおよびステータ間の磁束量を増大させることができるモータを提供する。【解決手段】 永久磁石112a〜112jの外周側の表面と、ロータコア111の外周面と、ステータ120のティースの先端面とが、略平行になり、且つ、軸方向の中央部に近づくほど、ロータ110の外径が大きくなるように、これらの面が全体として湾曲して見えるようにする。【選択図】 図2

Description

本発明は、モータに関し、特に、永久磁石を有するロータを備えるモータに用いて好適なものである。
近年、モータの小型化の要望が一段と増しており、モータの出力密度(コアの大きさ(外径寸法)に対するモータの出力の比)を大きくすることが求められている。モータの出力密度を向上させることは、モータのトルク特性を改善することと等価である。ステータ(固定子)およびロータ(回転子)間のエアギャップ部分の磁束量の増大によって、モータのトルク特性を改善することが期待できる。そこで、ステータおよびロータ間のエアギャップ部分の磁束量を増大させるために、エアギャップ長(ステータおよびロータ間の間隔)を短縮することが考えられる。エアギャップ長を短縮すると、磁気抵抗が低下するため、エアギャップ部分の磁束量が増大するからである。
特開2013−258848号公報
しかしながら、エアギャップ長を短縮した場合、例えば、モータ(ロータ)の回転軸が偏芯した際に、ロータとステータとが接触し易くなる課題がある。また、特許文献1に記載のような埋め込み型永久磁石モータでは、遠心力により、永久磁石よりも外周側にあるコアが変位することにより、ロータの外径が膨らむ虞がある。このことによっても、ロータとステータとが接触し易くなる。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、ロータとステータとが接触することを抑制しつつ、ロータおよびステータ間の磁束量を増大させることができるモータを提供することを目的とする。
本発明のモータは、周方向に間隔を有して配置される複数の永久磁石を有するロータと、周方向に間隔を有して配置される複数のティースを有するステータと、を備えるモータであって、前記モータの回転軸に沿って切った場合の断面において、前記永久磁石の対向面および前記ティースの先端面は、略平行であり、前記モータの回転軸に沿って切った場合の断面において、前記ティースの長手方向の長さが異なっている部分があり、前記永久磁石の対向面は、前記永久磁石の表面のうち、前記ステータ側を向く面であることを特徴とする。
本発明によれば、ロータとステータとが接触することを抑制しつつ、ロータおよびステータ間の磁束量を増大させることができるモータを提供することができる。
実施形態に係るモータをその上側から見た様子の一例と、軸方向の中心の位置でモータをその回転軸に垂直に切った場合の断面の一例を示す図である。 実施形態に係るモータをその回転軸に沿って切った場合の断面の一例を示す図である。 実施形態に係る永久磁石の外観の一例を示す図である。 実施形態に係る永久磁石を、その正面から見た様子の一例を示す図である。 第1の変形例に係るモータをその回転軸に沿って切った場合の断面の一例を示す図である。 第1の変形例に係る永久磁石の外観の一例を示す図である。 第2の変形例に係るモータをその上側から見た様子の一例と、軸方向の中心の位置でモータをその回転軸に垂直に切った場合の断面の一例を示す図である。 第2の変形例に係る永久磁石の外観の一例を示す図である。 第2の変形例に係る永久磁石を、その正面から見た様子の一例を示す図である。 第1の比較例および第2の比較例に係るモータをその回転軸に沿って切った場合の断面を示す図である。 第3の比較例に係るモータをその回転軸に沿って切った場合の断面を示す図である。 第3の変形例に係る永久磁石の外観の一例を示す図である。 第4の比較例に係るモータをその回転軸に沿って切った場合の断面を示す図である。 モータにかかるトルクと時間との関係の計算例を示す図である。
(実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。尚、各図において、説明および表記の都合上、構成を簡略化または省略する。また、各図に示すX−Y−Z座標は、各図における向きの関係を示すものである。○の中に×が付されているものは、紙面の手前側から奥側に向かう向きを示し、○の中に●が付されているものは、紙面の奥側から手前側に向かう向きを示す。
図1および図2は、モータ100の構成の一例を示す図である。図2は、モータ100をその回転軸Oに沿って(回転軸Oを通るように)切った場合の断面の一例を示す図(図1のI−I断面図)である。図1の上図は、モータ100をその上側から見た様子(図2の白抜きの矢印線からモータを見た様子)の一例を示す図である。尚、モータをその下側から見た様子も図1の上図と同じである。図1の下図は、モータ100の回転軸Oに平行な方向(高さ方向)の中心の位置でモータ100をその回転軸Oに垂直に切った場合の断面の一例を示す図(図2のII−II断面図)である。尚、図1および図2に示す例では、モータ100の回転軸Oに平行な方向(高さ方向)は、Z軸方向である。また、図1および図2では、回転中のモータ100の或るタイミングにおけるモータ100の様子を示す。即ち、回転角度に応じてモータ100の様子(ステータ120に対するロータ110の位置関係)は変わる。
以下の説明では、モータ100の回転軸Oを、必要に応じて、回転軸Oと略称し、モータ100の回転軸Oに平行な方向(高さ方向)を、必要に応じて、軸方向と略称する。また、モータ100の径方向(回転軸Oから回転軸Oに垂直に放射状に延びる方向)を、必要に応じて、径方向と略称する。また、モータ100の周方向(回転軸O回りの方向)を、必要に応じて、周方向と略称する。また、モータ100の外周側(回転軸Oから遠い側)、内周側(回転軸Oに近い側)を、それぞれ、必要に応じて、外周側、内周側と略称する。
図1および図2において、モータ100は、ロータ110とステータ120とを有する。ロータ110は、ステータ120の内側に配置される。ロータ110とステータ120は、ロータ110とステータ120との間に、所定長のエアギャップが存在するように、回転軸Oと略同軸の位置に配置される。このように本実施形態では、モータ100が、インナーロータ型のモータである場合を例に挙げて示す。
ステータ120は、ステータコア121を有する。ステータコア121は、例えば、電磁鋼板等の磁性体板を複数積層することにより構成される。ステータコア121は、ヨークと、複数のティースとを有する。ヨークは、周方向に延在し、概ね中空円筒形状を有する。複数のティースは、ヨークの内周面から回転軸Oに向かって延在する。複数のティースは、周方向において略等間隔に配置される。複数のティースは、同じ構成である。また、ヨークと複数のティースは、一体となっている(即ち、分離可能でない)。尚、ティースに対して、コイルが巻き回されるが、ここでは、表記の都合上、コイルの図示を省略する。また、ティースの数は、図1に示す数(12個)に限定されない。
ロータ110は、ロータコア111と、複数の永久磁石112a〜112jとを有する。ロータコア111は、例えば、電磁鋼板等の磁性体板を複数積層することにより構成される。ロータコア111は、概ね中空の樽型の形状を有する。この中空の部分(ロータコア111を構成する磁性体板の中央部の円形の穴)には、回転シャフト等が挿入される。ロータコア111は、回転シャフトの回転に伴って回転するように、回転シャフトに取り付けられる。
また、ロータコア111の外周側の領域(ロータコア111を構成する磁性体板の外周側の領域)には、周方向において略等間隔に複数の穴が形成される。これら複数の穴の1つには、複数の永久磁石112a〜112jのうちの1つが挿入される。従って、これら複数の穴のそれぞれは、複数の永久磁石112a〜112jの1つを挿入することができる形状および大きさを有する。以下の説明では、これら複数の穴を、必要に応じて磁石挿入用穴と称する。図1に示す例では、複数の永久磁石112a〜112jの数は10個であるので、磁石挿入用穴の数も10個になる。尚、永久磁石の数は10個に限定されない。磁石挿入用穴の数は、永久磁石の数に応じて定まる。このように本実施形態では、モータ100が、埋め込み磁石型のモータ(IPM(Interior Permanent Magnet))モータ)である場合を例に挙げて示す。また、複数の永久磁石112a〜112jの構成は略同じである。従って、複数の磁石挿入用穴の形状および大きさは略同じになる。
ロータとステータとの間のエアギャップ部の磁束量は、当該エアギャップ部に生じる磁束密度と、エアギャップ長の間隔を有して対向する面の面積とに比例する。そこで、本発明者らは、エアギャップ長の間隔を有して対向する面の面積を大きくすることにより、ロータとステータとの間のエアギャップ部の磁束量を大きくすることに想到した。このようにするために、本実施形態では、前述したように、ロータコア111を概ね中空の樽型の形状とする。即ち、図2に示すように、ロータコア111の外径(回転軸Oからロータコア111の外周面までの径方向の距離)が軸方向の中央部に近づくほど大きくなり、且つ、ロータコア111を回転軸Oに沿って切った場合の断面において、ロータコア111の外周面の形状が全体として湾曲して見えるように、ロータコア111を構成する。
尚、図2では、ロータコア111を構成する各磁性体板の、ステータコア121と対向する領域(板厚部分)が斜めに切断されて、ロータコア111を回転軸Oに沿って切った場合の断面において、ロータコア111の外周面の形状が完全に湾曲状になるようにしている。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、ロータコア111を構成する各磁性体板の、ステータコア121と対向する領域は、このように切断されず、回転軸Oに平行な向きになるようにしてもよい。この場合、ロータコア111を回転軸Oに沿って切った場合の断面において、ロータコア111を構成する各磁性体板の、ステータコア121と対向する領域は、階段状になる。このように、ロータコア111を回転軸Oに沿って切った場合の断面において、ロータコア111を構成する各磁性体板の、ステータコア121と対向する領域が、階段状になるようにして、ロータコア111の外周面の形状が全体として見た場合に湾曲状に見えるようになっているようにしてもよい(即ち、略湾曲状であればよい)。
更に、本実施形態では、モータ100を回転軸Oに沿って切った場合の断面において、ロータコア111の外周面とステータ120のティースの先端面との間隔(エアギャップ長)が、軸方向において、略同じ長さになるようにする。そこで、図2に示すように、モータ100を回転軸Oに沿って切った場合の断面において、ロータコア111の外周面と、ステータ120のティースの先端面とが、略平行になるようにする。尚、前述したように、ロータコア111を構成する各磁性体板の、ステータコア121と対向する領域と、ステータコア121を構成する各磁性体板の、ロータコア111と対向する領域とが、回転軸Oに平行な向きであるようにしてもよい。このようにする場合、ロータコア111を構成する磁性体板と、ステータコア121を構成する磁性体板との2つの磁性体板であって、軸方向の位置が略同じ位置にある2つの磁性体板の互いに対向する領域は、何れも回転軸Oに略平行な向きになり、略平行になる。従って、このようにした場合も、モータ100を回転軸Oに沿って切った場合の断面において、ロータコア111の外周面と、ステータ120のティースの先端面とが、略平行になる。
本実施形態では、モータ100を回転軸Oに沿って切った場合の断面において、ステータ120のティースの先端面と、ロータコア111の外周面とが、全体として湾曲しているように見えるようにする。このとき、回転軸Oからステータ120のティースの先端面までの径方向の距離は、軸方向の中央部に近づくほど長くなるようにする。このようにすると、軸方向の中央部において、ステータ120のティースの径方向の長さが短くなる。図1に示す例では、上図に示す、軸方向の端におけるティースの先端面の径方向の長さは、下図に示す、軸方向の中央におけるティースの先端面の径方向の長さに比べて、距離L2だけ短い。そこで、軸方向の中央部においても所望のコイルを巻き回すことができるように、軸方向の中央部におけるステータ120のティースの径方向の長さを定める。
以上のように、モータ100を回転軸Oに沿って切った場合の断面において、ロータコア111の外周面およびステータ120のティースの先端面の曲率を大きくすれば(大きく湾曲させれば)、ロータコア111の外周面と対向するティースの先端面の面積を大きくすることができる。ただし、ロータコア111の外周面およびステータ120のティースの先端面の曲率を大きくし過ぎると、軸方向の中央部において、ステータ120のティースの径方向の長さが短くなる。このため、軸方向の中央部において、当該ティースに対して所望のコイルを巻き回すことができなくなる虞がある。例えば、このような観点から、ロータコア111の外周面およびステータ120のティースの先端面の曲率(湾曲のさせ方)を決定することができる。尚、前述したように、ロータコア111を構成する各磁性体板の、ステータコア121と対向する領域が、回転軸Oに平行な向きである場合、前述した曲率は、例えば、モータ100を回転軸Oに沿って切った場合の断面において、ロータコア111を構成する各磁性体板の、ステータコア121と対向する領域の中心を単一の曲率(>0)で結んだ曲線の曲率とすることができる。同様に、ステータコア121を構成する各磁性体板の、ロータコア111と対向する領域が、回転軸Oに平行な向きである場合、前述した曲率は、例えば、モータ100を回転軸Oに沿って切った場合の断面において、ステータコア121を構成する各磁性体板の、ロータコア111と対向する領域の中心を単一の曲率(>0)で結んだ曲線の曲率とすることができる。
軸方向の各位置で、永久磁石と、ロータコアの外周面およびステータのティースの先端面との距離が大きく異なると、軸方向において磁束の分布が大きくなる。そこで、本実施形態では、図2に示すように、モータ100を回転軸Oに沿って切った場合の断面において、永久磁石112a〜112jの外周側の表面と、ロータコア111の外周面およびステータ120のティースの先端面とが、略平行になるようにする。本実施形態では、モータ100を回転軸Oに沿って切った場合の断面において、永久磁石112a〜112jの外周側の表面が、ロータコア111の外周面およびステータ120のティースの先端面と略同じ曲率で湾曲するようにする。従って、モータ100を回転軸Oに沿って切った場合の断面において、永久磁石112a〜112jの外周側の表面は、ロータコア111の外周面およびステータ120のティースの先端面と略平行になり、これらの面の曲率は略同じになる。尚、図1に示す例では、上図において、軸方向の端における、永久磁石112a〜112jの外周側の表面の真ん中の位置と、ロータコア111の外周面との径方向の距離がL3であり、下図において、軸方向の中央における、永久磁石112a〜112jの外周側の表面の真ん中の位置と、ロータコア111の外周面との径方向の距離も、L3であることを示す。
以上のようにして永久磁石の外周側の表面が全体として湾曲して見えるようにする場合に、軸方向の各位置で、当該永久磁石の周方向の長さが同じであると、軸方向の中央部の位置においては、ティースの先端面と対向する永久磁石の外周側の表面の面積が、軸方向の端部に比べて小さくなる。このため、軸方向において磁束の分布が大きくなる。そこで、本実施形態では、永久磁石112a〜112jのうち、周方向において間隔を有して相互に隣り合う2つの永久磁石(例えば、永久磁石112a、112b)の周方向における間隔L1が、軸方向の各位置で略同じになるように、永久磁石112a〜112jの周方向の長さを定める。図1に示す例では、上図に示すL1と下図に示すL1とが全て同じ長さであることを示す。従って、図1の上図と下図に示すように、永久磁石112a〜112jの周方向の長さは、軸方向の中央部に近づくほど長くなる。
図3は、永久磁石112a〜112jの外観の一例を示す図である。永久磁石112a〜112jは、図3に示す状態で、ロータコア111の内部に配置される。図4は、永久磁石112aを、その正面から見た様子の一例を示す図(正面図)である。尚、永久磁石112a〜112jは、同じ構成を有するので、永久磁石112b〜112jを、その正面から見た様子も、図4に示すようになる。
図4に示すように、永久磁石112a〜112jを、その正面から見た場合の形状は、同一の2つの等脚台形を、相互に平行な2つの辺のうち長い方の辺同士が重なり合うように組み合わせることにより得られる六角形となる。当該等脚台形の相互に平行な2つの辺のうち短い方の辺401、402は、永久磁石112a〜112jの軸方向の端部に対応する。当該等脚台形の斜辺403〜404、405〜406と、当該等脚台形の相互に平行な2つの辺のうち短い方の辺401、402とのなす角度は、永久磁石112a〜112jのうち、周方向において間隔を有して相互に隣り合う2つの永久磁石の周方向における間隔L1が、軸方向の各位置で略同じになるように定められる。
ここで、永久磁石112a〜112jのうち、周方向において間隔を有して相互に隣り合う2つの永久磁石の周方向における間隔L1は、径方向の各位置で略同じになるようにしてもしなくてもよい。図1および図3に示すように、本実施形態では、永久磁石112a〜112jを、回転軸Oに垂直な方向に切った場合の断面の形状を長方形としている。従って、図1および図3に示すように、永久磁石112a〜112jのうち、周方向において間隔を有して相互に隣り合う2つの永久磁石の周方向における間隔は、内周側の方が外周側よりも短くなる。
以上のような形状を有する永久磁石112a〜112jを磁石挿入用穴に挿入することができるようにするために、本実施形態では、永久磁石112a〜112jのそれぞれを以下のように構成する。永久磁石112a〜112jは、それぞれ、第1の磁石部分1121a〜1121jと、第2の磁石部分1122a〜1122jとを有する。第1の磁石部分1121a〜1121jと、第2の磁石部分1122a〜1122jは、同じ構成である。第1の磁石部分1121a〜1121jは、それぞれ、永久磁石112a〜112jを、その軸方向の中央部の位置で、回転軸Oに垂直な方向な方向で切ってできる2つの部分のうちの1つであり、第2の磁石部分1122a〜1122jは、当該2つの部分の他の1つである。
ここで、第1の磁石部分1121a〜1121jおよび第2の磁石部分1122a〜1122jを用いてロータコア111に永久磁石112a〜112jを埋め込む方法の一例を説明する。
まず、前述した構成のロータコア111が形成されるように複数の磁性体板を加工する。そして、ロータコア111の軸方向の片側半分の領域が構成されるように、ロータコア111を構成するために必要な枚数の半分の磁性体板を積層し、磁石挿入用穴の軸方向の片側半分の領域が形成されるようにする。第1の磁石部分1121aの軸方向の両端のうち、周方向の長さが短い方の端部から、当該磁石挿入用穴の軸方向の片側半分の領域に第1の磁石部分1121aを挿入する。このとき、第1の磁石部分1121aの軸方向の両端のうち、周方向の長さが短い方の端部と、ロータコア111の軸方向の端部とが略面一になるように、第1の磁石部分1121aを挿入する。その後、第1の磁石部分1121b〜1121jも同様に、当該磁石挿入用穴の軸方向の片側半分の領域に挿入する。
また、ロータコア111を構成するために必要な枚数の半分の磁性体板を積層して、磁石挿入用穴の軸方向の片側半分の領域を形成し、第2の磁石部分1122aの軸方向の両端のうち、周方向の長さが短い方の端部から、当該磁石挿入用穴の軸方向の片側半分の領域に第2の磁石部分1122aを挿入する。このとき、第2の磁石部分1122aの軸方向の両端のうち、周方向の長さが短い方の端部と、ロータコア111の軸方向の端部とが略面一になるように、第2の磁石部分1122aを挿入する。その後、第2の磁石部分1122b〜1122jも同様に、当該磁石挿入用穴の軸方向の片側半分の領域に挿入する。
以上のようにして第1の磁石部分1121a〜1121jが挿入された複数の磁性体板と、第2の磁石部分1122a〜1122jが挿入された複数の磁性体板とを組み合わせることにより、ロータコア111を構成する。
このとき、磁石挿入用穴の大きさを、第1の磁石部分1121aおよび第2の磁石部分1122b〜1122jの大きさよりも大きめにし、第1の磁石部分1121aおよび第2の磁石部分1122b〜1122jを挿入し易くすることができる。第1の磁石部分1121aおよび第2の磁石部分1122b〜1122jと磁性体板との間に隙間ができる場合には、当該隙間に磁性体材等を挿入し、第1の磁石部分1121aおよび第2の磁石部分1122b〜1122jを固定することができる。
また、以上のようにせずに、例えば、ボンド磁石を用いて磁石挿入用穴内で射出成形を行うにより、永久磁石112a〜112jを形成してもよい。
以上のように本実施形態では、永久磁石112a〜112jの外周側の表面と、ロータコア111の外周面と、ステータ120のティースの先端面とが、略平行になり、且つ、軸方向の中央部に近づくほど、ロータ110の外径が大きくなるように、これらの面が全体として湾曲しているように見えるようにする。従って、これらの面を軸方向と平行にした場合に比べ、モータ100を回転させたときに、永久磁石112a〜112jの外周側の表面と、ティースの先端面とが間隔を有した状態で対向する面積を大きくすることができる。よって、ロータ110とステータ120とが接触することを抑制しつつ、ロータ110およびステータ120間のエアギャップ部における磁束量を増大させることができるモータを提供することができる。これにより、モータにかけられるトルクを大きくすることができ、所望のトルク特性を満足するモータを小型化することができる。また、永久磁石112a〜112jとロータコア111の外周面との間隔と、エアギャップ長とを、軸方向の各位置において略同じにすることができる。従って、軸方向における磁束の分布が大きくなることを抑制することができる。また、軸方向の中央に近づくほど、ロータ110の外径を大きくするので、軸方向の中央におけるトルクが低下することを抑制することができる。
(変形例)
以下、本実施形態の変形例を説明する。各比較例の説明において、本実施形態と同じ部分については詳細な説明を省略する。
<第1の変形例>
図5は、第1の変形例のモータ500をその回転軸Oに沿って切った場合の断面を示す図である。図5は、図1に対応する図である。図6は、永久磁石512a〜512jの外観の一例を示す図である。図6は、図3に対応する図である。
尚、モータ500をその上側から見た様子、軸方向の中心部でモータ500をその回転軸Oに垂直に切った場合の断面(図5のII−II断面図)、永久磁石512a〜512jをその正面から見た様子(正面図)は、それぞれ、図1の上図、図1の下図、図4と同じであるので、これらの図示を省略する。
本実施形態では、永久磁石112a〜112jの外周側の表面と、ロータコア111の外周面と、ステータ120のティースの先端面とを、軸方向の中央に近づくほど、ロータ110の外径が大きくなるように全体として湾曲して見えるようにする場合を例に挙げて説明した。しかしながら、永久磁石の外周側の表面と、ロータコアの外周面と、ステータのティースの先端面とが、略平行になるようにしていれば、これらの面を必ずしも湾曲して見えるようにする必要はない。
図5および図6では、永久磁石512a〜512jの外周側の表面と、ロータコア511の外周面と、ステータ520のティースの先端面とを、平面(屈曲面)とし、軸方向の中央に近づくほど、ロータ510の外径が大きくなるようにする場合を例に挙げて示す。従って、図5に示すように、モータ500を回転軸Oに沿って切った場合の断面において、永久磁石512a〜512jの外周側の表面と、ロータコア511の外周面と、ステータ520のティースの先端面は、軸方向の中央部の位置を屈曲点とする屈曲線状となる。これらの屈曲線の屈曲点は、当該屈曲線の両端よりも外周側に位置する。また、これらの屈曲線は、略平行である。
尚、図5では、表記の都合上、ロータコア511を構成する各磁性体板の、ステータコア521と対向する領域(板厚部分)が斜めに切断されることにより、ロータコア511を回転軸Oに沿って切った場合の断面において、ロータコア511の外周面が完全に、軸方向の中央部の位置を屈曲点とする屈曲線状になるようにしている。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、ロータコア511を構成する各磁性体板の、ステータコア521と対向する領域は、このように切断されず、回転軸Oに平行な向きになるようにしてもよい。この場合、ロータコア511を回転軸Oに沿って切った場合の断面において、ロータコア511を構成する各磁性体板の、ステータコア521と対向する領域は、階段状になる。このように、ロータコア511を回転軸Oに沿って切った場合の断面において、ロータコア511を構成する各磁性体板の、ステータコア521と対向する領域が、階段状になるようにして、ロータコア511の外周面の形状が全体として見た場合に、軸方向の中央部の位置を屈曲点とする屈曲線状に見えるようになっているようにしてもよい。
尚、例えば、ロータコアを回転軸Oに沿って切った場合の断面において、ロータコアを構成する各磁性体板の、ステータコアと対向する領域の中心を単一の曲率(>0)で結んだ曲線を描ける場合、ロータコアの外周面の形状が全体として見た場合に湾曲状に見えるようになるとすることができる。一方、ロータコアを回転軸Oに沿って切った場合の断面において、ロータコアを構成する各磁性体板の、ステータコアと対向する領域の中心を結んだ場合に、軸方向の中央部の位置の屈曲点以外の部分で曲率が0となる場合、ロータコアの外周面の形状が全体として見た場合に、軸方向の中央部の位置を屈曲点とする屈曲線状に見えるようになるとすることができる。以上のことは、ステータコアの形状についても同じである。
図5および図6では、永久磁石512a〜512jが、それぞれ、第1の磁石部分5121a〜5121jと、第2の磁石部分5122a〜5122jとを有する場合を例に挙げて示す。第1の磁石部分5121a〜5121jと、第2の磁石部分5122a〜5122jは、同じ構成である。第1の磁石部分5121a〜5121jは、それぞれ、永久磁石512a〜512jを、その軸方向の中央部の位置で、回転軸Oに垂直な方向な方向で切ってできる2つの部分のうちの1つであり、第2の磁石部分5122a〜5122jは、当該2つの部分の他の1つである。第1の磁石部分5121a〜5121j、第2の磁石部分5122a〜5122jは、それぞれ、第1の磁石部分1121a〜1121j、第2の磁石部分1122a〜1122jに対応する。ロータコア511に永久磁石512a〜512jを埋め込む方法は、第1の実施形態と同様の方法で実現することができる。
<第2の変形例>
図7は、第2の変形例のモータ700の構成の一例を示す図である。図7の上図は、モータ700をその上側から見た様子を示す図である。図7の下図は、軸方向の中心の位置でモータ700をその回転軸Oに垂直に切った場合の断面を示す図である。図7は、図1に対応する図である。図8は、永久磁石712a〜712jの外観の一例を示す図である。図8は、図3に対応する図である。図9は、永久磁石712aを、その正面から見た様子(正面図)である。図9は、図4に対応する図である。尚、モータ700をその回転軸Oに沿って切った場合の断面を示す図(図7のI−I断面図)は、図2と同じであるので、その図示を省略する。
本実施形態のように、永久磁石112a〜112jのうち、周方向において間隔を有して相互に隣り合う2つの永久磁石の周方向における間隔L1が、軸方向の各位置で略同じになるようにするのが好ましい。モータ100の回転に伴いティースの先端面と間隔を有した状態で対向する永久磁石112a〜112jの外周側の表面の面積の大きさを、軸方向の各位置において略同じにすることができるため、軸方向において磁束の分布が大きくなることを抑制することができるからである。しかしながら、周方向において間隔を有して相互に隣り合う2つの永久磁石の周方向における間隔は、軸方向の各位置で略同じでなくてもよい。
図9に示すように、永久磁石712a〜712jを、その正面から見た場合の形状は、長方形となる。即ち、軸方向の各位置において、永久磁石712a〜712jの周方向の長さ(幅)は、略同じである。従って、永久磁石712a〜712jのうち、周方向において間隔を有して相互に隣り合う2つの永久磁石(例えば、永久磁石712a、712b)の周方向における間隔は、軸方向の中央に近づくほど長くなる。図7に示す例では、上図に示すL1よりも下図に示すL5の方が長いことを示す。図7の上図と下図に示すように、軸方向に垂直に切った場合の永久磁石712a〜712jの断面の形状および大きさは、軸方向の位置に関わらず略同じになる。ただし、本実施形態と同様に、第2の変形例においても、ロータコア711の外径が軸方向の中央部に近づくほど大きくなり、且つ、ロータコア711を回転軸Oに沿って切った場合の断面において、ロータコア711の外周面の形状が全体として湾曲して見えるように、ロータコア711を構成する。従って、永久磁石712a〜712jの位置は、軸方向の中央に近づくほど外周側に位置する(例えば、図7の上図に示す永久磁石712aの位置よりも、図7の下図に示す永久磁石712aの位置の方が外周側になる)。
図7〜図9では、永久磁石712a〜712jが、それぞれ、第1の磁石部分7121a〜7121jと、第2の磁石部分7122a〜7122jとを有する場合を例に挙げて示す。第1の磁石部分7121a〜7121jと、第2の磁石部分7122a〜7122jは、同じ構成を有する。第1の磁石部分7121a〜7121jは、それぞれ、永久磁石712a〜712jを、その軸方向の中央の位置で、回転軸Oに垂直な方向な方向で切ってできる2つの部分のうちの1つであり、第2の磁石部分7122a〜7122jは、当該2つの部分の他の1つである。第1の磁石部分7121a〜7121j、第2の磁石部分7122a〜7122jは、それぞれ、第1の磁石部分1121a〜1121j、第2の磁石部分1122a〜1122jに対応する。ロータコア711に永久磁石712a〜712jを埋め込む方法は、第1の実施形態と同様の方法で実現することができる。
<その他の変形例>
本実施形態、第1の変形例、および第2の変形例では、永久磁石112a〜112j、512a〜512j、712a〜712jの内周側の表面も、ロータコア111、511、711の外周面、および、ステータ120、520のティースの先端面と略平行になるようにした。しかしながら、永久磁石の内周側の表面は、ロータコア111、511、711の外周面、および、ステータ120、520のティースの先端面と略平行でなくてもよい。例えば、永久磁石の内周側の表面を、回転軸Oと平行にしてもよい。このようにすれば、永久磁石の使用量が多くなるが、永久磁石からの磁束量は大きくなる。
また、本実施形態、第1の変形例、および第2の変形例では、インナーロータ型のIPMモータを例に挙げて説明した。しかしながら、モータの回転軸に沿って切った場合の断面において、永久磁石の表面のうちティースの先端面に最も近い位置にある面と、ティースの先端面とが、略平行であり、モータの回転軸に沿って切った場合の断面において、ティースの長手方向の長さが異なっている部分があれば、必ずしもインナーロータ型のIPMモータである必要はない。例えば、表面磁石型のモータ(SPM(Surface Permanent Magnet)モータ)であってもよい。この場合、永久磁石と、ステータコアとがエアギャップを有して相互に対向する。従って、ロータコアの外周面の形状は特に限定されない。
また、アウターロータ型のモータであってもよい。アウターロータ型のIPMモータとする場合、ロータコアの内周面が、ステータコアのティースの先端面とエアギャップを介して相互に対向する。また、永久磁石は、ロータコアの内周側の領域に配置される。よって、モータを、その回転軸に沿って切った場合の断面において、永久磁石の内周側の表面と、ロータコアの内周面と、ステータのティースの先端面とが、略平行になるようにする。
また、ラジアルギャップ型のモータに限らず、アキシャルギャップ型のモータであってもよい。本実施形態、第1の変形例、第2の変形例に示すように、ラジアルギャップ型のモータでは、永久磁石と、ステータのティースの先端面とが、径方向において間隔を有して相互に対向する。これに対し、アキシャルギャップ型のモータでは、永久磁石と、ステータのティースの先端面とが、軸方向において間隔を有して相互に対向する。アキシャルギャップ型のモータは、ラジアルギャップ型のモータに比べ、軸方向における磁束の分布が生じづらい。
従って、モータの回転軸に沿って切った場合の断面において、永久磁石の表面のうちティースの先端面に最も近い位置にある面と、ティースの先端面とが、略平行であり、モータの回転軸に沿って切った場合の断面において、ティースの長手方向の長さが異なっている部分があれば、永久磁石の表面のうちティースの先端面に最も近い位置にある面や、ティースの先端面や、ロータコアのティースの先端面と対向する面の向きは、図1、図2、図5、図7に示す向きに限定されない。
(比較例)
後述する計算例において、本実施形態および変形例で示したモータ100、500、700に対する比較例となるモータについて説明する。第1の比較例〜第3の比較例では、モータを、その回転軸に沿って切った場合の断面において、永久磁石の外周側の表面と、ロータコアの外周面と、ステータのティースの先端面とを略平行にしない。第4の比較例では、これらの面を略平行にするが、これらの面が軸方向と平行になるように配置される。以下、各比較例について説明する。尚、以下の比較例においては、本実施形態、第1の変形例、および第2の変形例と異なる部分を説明し、同じ部分についての詳細な説明を省略する。
<第1、第2の比較例>
図10は、第1の比較例および第2の比較例のモータ1000をその回転軸Oに沿って切った場合の断面を示す図である。図10は、図2、図5に対応する図である。
図10において、ステータ120およびステータコア121は、本実施形態で示したものと同じである(図2等を参照)。ロータ1010は、ロータコア1011と、複数の永久磁石とを有する。第1の比較例および第2の比較例においても、本実施形態と同様に10個の永久磁石を有するものとする。図10では、これら10個の永久磁石のうちの2個の永久磁石(永久磁石1012a、1012f)を示す。
本実施形態と同様に、ロータコア1011は、その外径が軸方向の中央部に近づくほど大きくなり、且つ、回転軸Oに沿って切った場合の断面において、外周面の形状が全体として湾曲して見えるように構成される。また、ロータコア1011の外周面と、ステータ120のティースの先端面とが略平行になるようにする。
第1の比較例および第2の比較例では、図10に示すように、永久磁石の外周側の表面を、軸方向の中央部で内周側に屈曲する屈曲面とする。この屈曲面は、平面である。また、この屈曲面の屈曲点は、当該屈曲面の両端よりも外周側に位置する。従って、モータ1000を回転軸Oに沿って切った場合の断面において、永久磁石の外周側の表面は、軸方向の中央の位置を屈曲点とする屈曲線となる。尚、永久磁石は、第1の変形例で説明した永久磁石512a〜512jと同じもので実現することができる。従って、ロータコア1011は、本実施形態のロータコア111と、磁石挿入用穴が異なるものになる。
以上のようにしてロータコア1011および永久磁石を構成することにより、第1の比較例および第2の比較例では、図10に示すように、永久磁石1012a、1012fの外周側の表面と、ロータコア1011の外周面、および、ステータ120のティースの先端面とは略平行ではなくなる。
第1の比較例では、本実施形態で説明したように、10個の永久磁石のうち、周方向において間隔を有して相互に隣り合う2つの永久磁石の周方向における間隔が、軸方向の各位置で略同じになるようになるようにする(このことは、図1の上図に示すL1と下図に示すL1とが全て同じ長さであることに対応する)。
第2の比較例では、第2の変形例で説明したように、10個の永久磁石のうち、周方向において間隔を有して相互に隣り合う2つの永久磁石の周方向における間隔が、軸方向の各位置で略同じでなく、軸方向の中央部に近づくほど長くなるようにする(このことは、図7の上図に示すL1よりも図7の下図に示すL5の方が長いことに対応する)。この場合、第2の変形例で説明したように、軸方向の各位置において、永久磁石の周方向の長さ(幅)は、略同じになる。
<第3の比較例>
図11は、第3の比較例のモータ1100をその回転軸Oに沿って切った場合の断面を示す図である。図11は、図2、図5、図10に対応する図である。図12は、永久磁石1112a〜1112jの外観の一例を示す図である。図12は、図3、図6、図8に対応する図である。
図11において、ステータ120およびステータコア121は、本実施形態で示したものと同じである(図2等を参照)。ロータ1110は、ロータコア1111と、複数の永久磁石1112a〜1112jとを有する。
本実施形態と同様に、ロータコア1111は、その外径が軸方向の中央部に近づくほど大きくなり、且つ、回転軸Oに沿って切った場合の断面において、外周面の形状が全体として湾曲して見えるように構成される。また、ロータコア1111の外周面と、ステータ120のティースの先端面とが略平行になるようにする。
第3の比較例では、図11および図12に示すように、永久磁石1112a〜1112jは、薄板状(薄厚の直方体形状)である。永久磁石1112a〜1112jは、その板面が回転軸Oと略平行になるように配置される。従って、図11に示すように、永久磁石1112a、1112fの外周側の表面と、ロータコア1111の外周面、および、ステータ120のティースの先端面とは略平行ではなくなる。
第3の比較例では、第2の変形例で説明したように、10個の永久磁石1112a〜1112jのうち、周方向において間隔を有して相互に隣り合う2つの永久磁石の周方向における間隔が、軸方向の各位置で略同じでなく、軸方向の中央部に近づくほど長くなるようにする(このことは、図7の上図に示すL1よりも図7の下図に示すL5の方が長いことに対応する)。この場合、第2の変形例で説明したように、軸方向の各位置において、永久磁石1112a〜1112jの周方向の長さ(幅)は、略同じになる。
尚、第3の比較例では、永久磁石1112a〜1112jを薄板状にしている。従って、本実施形態、第1の変形例、第2の変形例、第1の比較例、および第2の比較例のように、第1の磁石部分および第2の磁石部分に分けなくても、永久磁石1112a〜1112jを、ロータコア1111を構成する磁性体板に形成する磁石挿入用穴に挿入することができる。ロータコア1111を構成する磁性体板に形成する磁石挿入用穴は、永久磁石1112a〜1112jの形状および大きさに合うように形成されることは勿論である。
<第4の比較例>
図13は、第4の比較例のモータ1300をその回転軸Oに沿って切った場合の断面を示す図である。図13は、図2、図5、図11に対応する図である。第4の比較例は、特許文献1に記載のような一般的なモータの形状である。
図13において、モータ1300は、ロータ1310とステータ1320とを有する。
ロータ1310は、ロータコア1311と、複数の永久磁石1112a〜1112jとを有する。永久磁石1112a〜1112jは、第3の比較例で示したものと同じものである(図12を参照)。従って、図13に示すように、永久磁石1112a〜1112jは、その板面が回転軸Oと略平行になるように配置される。
図13に示すように、ロータコア1011は、軸方向の各位置において、その外径が、略同じになるように構成される。図13に示すように、ロータコア1011を、回転軸Oに沿って切った場合の断面の形状は、概ね、回転軸Oを対称軸として線対称となる位置に配置される2つの長方形となる。また、この2つの長方形の中に、長方形の永久磁石1112a、1112fが現れる。
また、ステータコア1321は、軸方向の各位置において、回転軸Oからステータ1320のティースの先端面までの径方向の距離が、略同じになるように構成される。図13に示すように、ステータコア1321を、回転軸Oに沿って切った場合の断面の形状は、概ね、回転軸Oを対称軸として線対称となる位置に配置される2つの長方形となる。
以上のように、第4の比較例では、永久磁石1112a、1112fの外周側の表面と、ロータコア1311の外周面と、ステータ1320のティースの先端面とは略平行ではあるが、何れも回転軸Oに平行になるように配置される。
(計算例)
以下に、本実施形態、第1の変形例、第2の変形例、第1の比較例、第2の比較例、第3の比較例、および第4の比較例のモータのそれぞれについて、同一の条件で運転させた場合のトルクを数値解析により導出した。本実施形態、第1の変形例、第2の変形例、第1の比較例、第2の比較例、および第3の比較例では、軸方向の両端(上端下端)におけるロータの外径は40mm、軸方向の中央部の位置におけるロータの外径は45mmとした。第4の比較例では、ロータの外径は、軸方向の位置によらず40mmとした。本実施形態、第2の変形例、第1の比較例、第2の比較例、および第3の比較例では、第4の比較例に対し、ロータコアとエアギャップを介して対向するティースの先端面の面積が0.6%程度増加する。ステータコアの外径と、ステータコイルの巻き数および巻き方は、全ての場合で同じである。各部を構成する材料(材質)も、全ての場合で同じである。
図14は、モータにかかるトルクと時間との関係の計算結果を示す図(グラフ)である。図14では、トルクの値を相対値で示す(図14の縦軸に示すトルクの値は無次元量である)。図14において、グラフ1401は、本実施形態のモータにかかるトルクを示し、グラフ1402は、第1の変形例のモータにかかるトルクを示し、グラフ1403は、第2の変形例のモータにかかるトルクを示し、グラフ1404、1405、1406、1407は、それぞれ、第1の比較例、第2の比較例、第3の比較例、第4の比較例のモータにかかるトルクを示す。
また、表1は、それぞれの場合のモータにかかるトルクの時間平均値を、第4の比較例にかかるトルクの時間平均値で割った値であるトルク変化率を示す。
Figure 2020010426
表1において、樽型とは、軸方向の中央部に近づくほどロータコアの外径が大きくなるように、ロータコアの外周面の形状が湾曲して見えるようにしたことを示す(実施形態、第2の変形例、第1〜第3の比較例(図2を参照))。このとき、モータを、その回転軸に沿って切った場合の断面において、ロータコアの外周面が、前述した階段状になるようして、ロータコアの外周面の形状が全体として湾曲して見えるようにした(ロータコアを構成する磁性体板の、ロータコアの外周面に位置する部分のそれぞれは、軸方向に平行になるようにした)。軸方向の中央部に近づくほどロータコアの外径が大きくなるように、ロータコアの外周面の形状が、軸方向の中央部で屈曲した屈曲面状に見えるようにしたことを示す(第1の変形例(図5を参照))。このとき、モータを、その回転軸に沿って切った場合の断面において、ロータコアの外周面が、前述した階段状になるようして、ロータコアの外周面の形状が、全体として軸方向の中央部の位置で屈曲する屈曲面状に見えるようにした(ロータコアを構成する磁性体板の、ロータコアの外周面に位置する部分のそれぞれは、軸方向に平行になるようにした)。円筒型とは、軸方向の各位置においてロータコアの外径が略同じになるようにしたことを示す(第4の比較例(図13を参照))。円弧磁石とは、ロータコアの外周面と略平行になるように永久磁石の外周側の表面の形状が湾曲して見えるようにしたことを示す(実施形態、第2の変形例(図2、図3等を参照))。斜め磁石とは、永久磁石の外周側の表面を、軸方向の中央部で内周側に屈曲する屈曲面としたことを示す(第1の変形例、第1の比較例、第2の比較例(図6、図10を参照))。直立磁石とは、永久磁石を薄板状にしたことを示す(第3の比較例、第4の比較例(図11〜図13を参照))。磁石間距離一定とは、周方向において間隔を有して相互に隣り合う2つの永久磁石の周方向における間隔を、軸方向の各位置で略同じにしたことを示す(実施形態、第1の変形例、第1の比較例(図1を参照))。磁石幅一定とは、軸方向の各位置において、永久磁石の周方向の長さ(幅)を、略同じにしたことを示す(第2の変形例、第2の比較例、第3の比較例、第4の比較例(図7を参照))。
表1に示すように、モータを、その回転軸に沿って切った場合の断面において、永久磁石の外周側の表面と、ロータコアの外周面と、ステータのティースの先端面とが、略平行になり、且つ、軸方向の中央部に近づくほど、ロータの外径が大きくなるようにする(樽型と円弧磁石とを採用するか、または、斜め平面樽型と斜め磁石とを採用する)ことにより、第4の比較例で示す一般的なモータよりも大きなトルクをかけられることが分かる(表1の本実施形態、第1の変形例、および第2の変形例の欄、および、図14のグラフ1401、1402、1403を参照)。
これに対し、モータを、その回転軸に沿って切った場合の断面において、軸方向の中央部に近づくほど、ロータの外径が大きくなるようにしても、永久磁石の外周側の表面と、ロータコアの外周面と、ステータのティースの先端面とが、略平行でないと(樽型としても円弧磁石を採用しないと)、モータにかけられるトルクが、第4の比較例で示す一般的なモータにかけられるトルクよりも小さくなることが分かる(表1の第1〜第3の比較例の欄、および、図14のグラフ1404〜1406を参照)。
また、モータを、その回転軸に沿って切った場合の断面において、永久磁石の外周側の表面と、ロータコアの外周面と、ステータのティースの先端面とが、略平行になり、且つ、軸方向の中央部に近づくほど、ロータの外径が大きくなるようにするだけでなく、更に、周方向において間隔を有して相互に隣り合う2つの永久磁石の周方向における間隔を、軸方向の各位置で略同じにすることにより(磁極間距離一定とすることにより)、このようにしない場合に比べ(磁極幅一定とする場合に比べ)、モータにかけられるトルクをより一層大きくすることができることが分かる(表1の本実施形態および第1の変形例の欄と第2の変形例の欄、並びに、図14のグラフ1401、1402とグラフ1403を参照)。
尚、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
(請求項との関係)
以下に、以上の説明において、請求項との関係の一例を説明する。尚、請求項の記載が明細書の記載に限定されないことは、前述した通りである。
<請求項1>
永久磁石の表面のうち、ステータ側を向く面は、図1に示す例では、永久磁石112a〜112jを示す長方形の2つの長辺のうち、ティースの先端面に近い方の長辺(外側にある長辺)の位置の面である。このように、ラジアルギャップ型のモータでは、永久磁石の表面のうち、ステータ側を向く面は、永久磁石の表面のうち、ロータの外周側に位置する面になる。アキシャルギャップ型のモータでは、永久磁石の表面のうち、モータの軸方向の端に位置する面になる。このように、ステータ側を向く面は、例えば、ロータおよびスタータが対向する方向(ラジアルギャップ型のモータでは径方向、アキシャルギャップ型のモータでは軸方向)において対向する永久磁石の表面のうち、ティースの先端面に近い方の位置にある面である。
前記モータの回転軸に沿って切った場合の断面において、前記永久磁石の対向面および前記ティースの先端面は、略平行であることは、例えば、図2、図5に示すように、永久磁石112a〜112j、512a〜512jの外周側の表面と、ステータ120、520のティースの先端面とが、略平行であることに対応する。
前記モータの回転軸に沿って切った場合の断面において、前記ティースの長手方向の長さが異なっている部分があることは、例えば、図2、図5において、ステータ120、520のティースのX軸方向の長さが異なっている部分があることに対応する。
<請求項2>
前記永久磁石の対向面および前記ティースの先端面が、全体として湾曲状に見えるようになっていることは、例えば、図2に示すように、モータ100を回転軸Oに沿って切った場合の断面において、永久磁石112a、112fの外周側の表面、および、ステータ120のティースの先端面が、全体として湾曲して見えるようになっていることに対応する。前記永久磁石の対向面および前記ティースの先端面が、全体として1つの屈曲点で屈曲した屈曲線状に見えるようになっていることは、例えば、図5に示すように、モータ500を回転軸Oに沿って切った場合の断面において、永久磁石512a、512fの外周側の表面、および、ステータ520のティースの先端面が、全体として軸方向の中央部の位置を屈曲点とする屈曲線状に見えるようになっていることに対応する。
このようにしなくてもよいことは、第1の変形例で説明した通りである。
<請求項3>
前記永久磁石の対向面および前記ティースの先端面は、前記ロータの回転に伴い、前記モータの径方向において間隔を有した状態で相互に対向することは、例えば、図1、図5、図7に示すように、永久磁石112a〜112j、512a〜512j、712a〜712jの外周側の表面と、ステータ120、520のティースの先端面とが、径方向において間隔を有した状態で相互に対向すること(ラジアルギャップ型のモータとすること)に対応する。
前記ティースの、前記モータの径方向における長さは、前記回転軸に平行な方向の中央部に近い位置であるほど、短いことは、例えば、図2、図5に示すように、ステータ120、520のティースの先端面が、軸方向の中央部に近い位置であるほど、モータ100、500の外周側に位置することに対応する(図2、図5において、径方向は、X軸方向である)。
以上のようにしなくてもよいことは、<その他の変形例>の項で説明した通りである。
<請求項4>
前記ロータは、前記ステータよりも、前記モータの回転軸に近い位置にあることは、例えば、図1、図5、図7に示すように、ロータ110、510、710が、ステータ120、520、720よりも回転軸Oに近い位置にあること(インナーロータ型のモータとすること)に対応する。
前記モータの回転軸に沿って切った場合の断面において、前記永久磁石の対向面は、前記回転軸に平行な方向の中央部に近い位置であるほど、前記モータの外周側に位置することは、例えば、図2、図5に示すように、永久磁石112a〜112j、512a〜512jの外周側の表面が、軸方向の中央部に近い位置であるほど、モータ100、500の外周側に位置することに対応する。
以上のようにしなくてもよいことは、<その他の変形例>の項で説明した通りである。
<請求項5>
前記永久磁石の、前記モータの周方向における長さは、前記回転軸に平行な方向の中央部に近いほど大きいことは、例えば、図4に示すように、永久磁石112a〜112jを、その正面から見た場合の形状が、軸方向の中央部に近づくほど幅広の六角形(同一の2つの等脚台形を、相互に平行な2つの辺のうち長い方の辺同士が重なり合うように組み合わせることにより得られる六角形)であることに対応する。
前記モータの周方向において相互に隣り合う位置にある2つの前記永久磁石の間隔は、前記回転軸に平行な方向において、略同じであることは、例えば、永久磁石112a〜112jのうち、周方向において間隔を有して相互に隣り合う2つの永久磁石の周方向における間隔L1が、軸方向の各位置で略同じである(図1の上図に示すL1と下図に示すL1とが全て同じ長さである)ことに対応する。
以上のようにしなくてもよいことは、第2の変形例で説明した通りである。
<請求項6>
ロータコアは、例えば、図1、図5、図7に示すロータコア111、511、711に対応する。
ロータコアの対向面は、例えば、図1、図5、図7に示すロータコア111、511、711の外周側の表面に対応する。
前記モータの回転軸に沿って切った場合の断面において、前記ティースの長手方向において、前記ロータコアの長さが異なっている部分があることは、例えば、図2、図5において、ロータコア111、511のX軸方向の長さが異なっている部分があることに対応する。
以上のようにしなくてもよいことは、<その他の変形例>の項で説明した通りである。
100・500・700:モータ、110・510・710:ロータ、111・511・711:ロータコア、112a〜112j・512a〜512j・712a〜712j:永久磁石、120・520:ステータ、121・521:ステータコア

Claims (6)

  1. 周方向に間隔を有して配置される複数の永久磁石を有するロータと、周方向に間隔を有して配置される複数のティースを有するステータと、を備えるモータであって、
    前記モータの回転軸に沿って切った場合の断面において、前記永久磁石の対向面および前記ティースの先端面は、略平行であり、
    前記モータの回転軸に沿って切った場合の断面において、前記ティースの長手方向の長さが異なっている部分があり、
    前記永久磁石の対向面は、前記永久磁石の表面のうち、前記ステータ側を向く面であることを特徴とするモータ。
  2. 前記モータの回転軸に沿って切った場合の断面において、前記永久磁石の対向面および前記ティースの先端面が、全体として湾曲状または1つの屈曲点で屈曲した屈曲線状に見えるようになっていることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
  3. 前記永久磁石の対向面および前記ティースの先端面は、前記ロータの回転に伴い、前記モータの径方向において間隔を有した状態で相互に対向し、
    前記ティースの、前記モータの径方向における長さは、前記回転軸に平行な方向の中央部に近い位置であるほど、短いことを特徴とする請求項1または2に記載のモータ。
  4. 前記ロータは、前記ステータよりも、前記モータの回転軸に近い位置にあり、
    前記モータの回転軸に沿って切った場合の断面において、前記永久磁石の対向面は、前記回転軸に平行な方向の中央部に近い位置であるほど、前記モータの外周側に位置することを特徴とする請求項3に記載のモータ。
  5. 前記永久磁石の、前記モータの周方向における長さは、前記回転軸に平行な方向の中央部に近いほど大きく、
    前記モータの周方向において相互に隣り合う位置にある2つの前記永久磁石の間隔は、前記回転軸に平行な方向において、略同じであることを特徴とする請求項3または4に記載のモータ。
  6. 前記ロータは、前記複数の永久磁石が埋め込まれたコアであるロータコアを有し、
    前記モータの回転軸に沿って切った場合の断面において、前記永久磁石の対向面、前記ティースの先端面、および前記ロータコアの対向面は、略平行であり、
    前記ロータコアの対向面は、前記ロータコアの表面のうち、前記ティースの先端面とエアギャップを有して対向する面であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のモータ。
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