JP2020010314A - アンテナ基板および通信モジュール - Google Patents

アンテナ基板および通信モジュール Download PDF

Info

Publication number
JP2020010314A
JP2020010314A JP2019055759A JP2019055759A JP2020010314A JP 2020010314 A JP2020010314 A JP 2020010314A JP 2019055759 A JP2019055759 A JP 2019055759A JP 2019055759 A JP2019055759 A JP 2019055759A JP 2020010314 A JP2020010314 A JP 2020010314A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conductor
antenna
antenna element
surface conductor
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019055759A
Other languages
English (en)
Inventor
長谷川 健
Takeshi Hasegawa
健 長谷川
勇斗 舟井
Yuto Funai
勇斗 舟井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Publication of JP2020010314A publication Critical patent/JP2020010314A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Aerials With Secondary Devices (AREA)
  • Variable-Direction Aerials And Aerial Arrays (AREA)
  • Waveguide Aerials (AREA)

Abstract

【課題】アンテナ特性が向上したアンテナ基板を提供する。【解決手段】アンテナ基板100は、複数の誘電体層1aが積層されてなり、第1の面11および第2の面12を有する誘電体基板1と、誘電体基板1の第1の面11に設けられ、高周波信号を送信または受信するための開口2aを有する表面導体2、長さ方向が第1の方向であるスロット3aを有する接地導体3及び長さ方向が第1の方向と直交する第2の方向である給電線路導体4が、この順で、間に誘電体層1aを挟んで互いに対向して配置されており、開口2aに沿って周状に所定の間隔を空けて設けられ、誘電体層1aを貫通している複数の貫通導体5によって、表面導体2と接地導体3とが電気的に接続されているアンテナ素子領域110と、誘電体基板1の第1の面11に表面導体2との間に間隔を空けて設けられている帯状の第2表面導体6とを備えている。【選択図】図1

Description

本開示は、例えばマイクロ波、ミリ波等の高周波信号を送受信するアンテナ基板、および通信モジュールに関するものである。
近年、無線PAN(Personal Area Network)や車載レーダーなどに、マイクロ波また
はミリ波等の高周波信号を送受信するアンテナ素子が用いられるようになっている。このようなアンテナ素子としては、誘電体共振器アンテナが知られており、ゲインを向上させる目的で、このようなアンテナ素子が1つの誘電体基板に平面方向に複数配列されたアンテナ基板が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2を参照。)。
特開平11−239017号公報 特開2012−44484号公報
しかしながら、アンテナ基板にはさらなるゲインあるいは指向性の向上などのアンテナ特性のさらなる向上が要求されている。
本開示のアンテナ基板は、複数の誘電体層が積層されてなり、第1の面および第2の面を有する誘電体基板と、該誘電体基板の第1の面に設けられ、高周波信号を送信または受信するための開口を有する表面導体、長さ方向が第1の方向であるスロットを有する接地導体、および長さ方向が前記第1の方向と直交する第2の方向である給電線路導体が、この順で、間に前記誘電体層を挟んで互いに対向して配置されており、前記開口に沿って周状に所定の間隔を空けて設けられ、前記誘電体層を貫通している複数の貫通導体によって、前記表面導体と前記接地導体とが電気的に接続されているアンテナ素子領域と、前記誘電体基板の前記第1の面に前記表面導体との間に間隔を空けて外側に設けられている帯状の第2表面導体とを備えている。
本開示の通信モジュールは、前記誘電体基板の前記第1の面とは反対側の第2の面に半導体素子の搭載部を有しているアンテナ基板の前記搭載部に半導体素子が搭載されている。
本開示の1つの態様のアンテナ基板によれば、表面導体の外側に第2表面導体を備えていることから、高周波信号を放射したい方向である、第1の面に対する鉛直方向(天頂方向)に対して90度方向のサイドローブが小さくなり、指向性およびゲインの高いアンテナになる。すなわち、アンテナ特性が向上したアンテナ基板となる。
本開示の通信モジュールによれば、外部回路基板に半導体素子とアンテナ基板を搭載して通信モジュールとする場合に比較して、損失が小さく高周波信号の送信および受信の効率の良いものとなるとともに、小型の通信モジュールとすることができる。
アンテナ基板の一例を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のB−B線における断面図である。 図1に示すアンテナ基板の分解斜視図である。 アンテナ基板の他の一例を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のB−B線における断面図である。 図3に示すアンテナ基板の分解斜視図である。 アンテナ基板の他の一例を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のB−B線における断面図である。 図5に示すアンテナ基板の分解斜視図である。 アンテナ基板の他の一例を示す平面図である。 図7に示すアンテナ基板の分解斜視図である。 (a)は図7のA部を拡大して示す平面図であり、(b)および(c)はアンテナ基板の他の例の要部を拡大して示す平面図である。 通信モジュールの一例を示し、(a)は第1の面側からの斜視図であり、(b)は(a)のB−B線における断面図であり、(c)は第2の面側からの斜視図である。 図10の通信モジュールにおけるアンテナ基板の一部を分解して示す分解斜視図である。 通信モジュールの他の一例を示し、(a)は第1の面側からの斜視図であり、(b)は(a)のB−B線における断面図であり、(c)は第2の面側からの斜視図である。 図12の通信モジュールにおけるアンテナ基板の一部を分解して示す分解斜視図である。 アンテナ基板の他の一例を示す平面図である。 アンテナ基板の他の一例を示す平面図である。 アンテナ基板の他の一例を示す平面図である。 アンテナ基板の他の一例を示す平面図である。 アンテナ基板の他の一例を示す平面図である。 アンテナ基板の他の一例を示す平面図である。 比較例のアンテナ特性を示すグラフである。 実施例1のアンテナ特性を示すグラフである。 実施例2のアンテナ特性を示すグラフである。 実施例3のアンテナ特性を示すグラフである。 実施例4のアンテナ特性を示すグラフである。 実施例5のアンテナ特性を示すグラフである。 実施例6のアンテナ特性を示すグラフである。 実施例7のアンテナ特性を示すグラフである。 実施例8のアンテナ特性を示すグラフである。 実施例9のアンテナ特性を示すグラフである。 実施例10のアンテナ特性を示すグラフである。 実施例11のアンテナ特性を示すグラフである。 実施例12のアンテナ特性を示すグラフである。 比較例、実施例7および実施例13〜実施例17のアンテナ特性を示すグラフである。
アンテナ基板について、添付の図面を参照して説明する。各図面には、説明の便宜上、xyz直交座標を付しており、以下、z方向の正側を上方として上面等の語を用いて説明する場合がある。なお、以下の説明における上下の区別は便宜的なものであり、実際にアンテナ基板が使用されるときの上下を限定するものではない。図1はアンテナ基板の一例
を示し、図1(a)は平面図であり、図1(b)は図1(a)のB−B線における断面図である。図2は図1に示すアンテナ基板の分解斜視図である。図3はアンテナ基板の他の一例を示し、図3(a)は平面図であり、図3(b)は図3(a)のB−B線における断面図である。図4は図3に示すアンテナ基板の分解斜視図である。図5はアンテナ基板の他の一例を示し、図5(a)は平面図であり、図5(b)は図5(a)のB−B線における断面図である。図6は図5に示すアンテナ基板の分解斜視図である。図7はアンテナ基板の他の一例を示す平面図である。図8は図7に示すアンテナ基板の分解斜視図である。図9(a)は図7のA部を拡大して示す平面図であり、図9(b)および図9(c)はアンテナ基板の他の例の要部を拡大して示す平面図である。図10は通信モジュールの一例を示し、図10(a)は第1の面側からの斜視図であり、図10(b)は図10(a)のB−B線における断面図であり、図10(c)は第2の面側からの斜視図である。図11は図10の通信モジュールにおけるアンテナ基板の一部を分解して示す分解斜視図である。図12は通信モジュールの他の一例を示し、図12(a)はアンテナ基板の第1の面側からの斜視図であり、図12(b)は図12(a)のB−B線における断面図であり、図12(c)はアンテナ基板の第2の面側からの斜視図である。図13は図12の通信モジュールにおけるアンテナ基板の一部を分解して示す分解斜視図である。
アンテナ基板100は、図1〜図8および図10〜図13に示す例のように、第1の面11および第2の面12を有する誘電体基板1に、アンテナ素子領域110が設けられたものである。誘電体基板1は、図1に示す例のように、複数の誘電体層1aが積層されてなるものである。図1〜図4および図8に示す例では誘電体基板1は3層の誘電体層1aを有している。図5および図6に示す例では誘電体基板1は4層の誘電体層1aを有している。図10および図12に示す例では誘電体基板1は7層の誘電体層1aを有している。
アンテナ素子領域110は、図1、図3、図5、図7、図10および図12に示す例のように、誘電体基板1の第1の面11に設けられ、高周波信号を送信または受信するための開口2aを有する表面導体2と、長さ方向が第1の方向であるスロット3aを有する接地導体3と、長さ方向が第1の方向と直交する第2の方向である給電線路導体4と、貫通導体5とを有している。第2の方向は送受信する高周波信号の電界方向である。各図面おいては、第1の方向はy方向であり、第2の方向はx方向である。各アンテナ素子領域110において、表面導体2、接地導体3および給電線路導体4が、この順で、間に誘電体層1aを挟んで互いに対向して配置されている。表面導体2と接地導体3とは、開口2aに沿って周状に所定の間隔を空けて設けられ、誘電体層1aを貫通している複数の貫通導体5によって電気的に接続されている。表面導体2と接地導体3との距離は、アンテナ基板100内で伝送される信号、給電線路導体4を伝送する信号の実効波長(λg)の1/4(λg/4)である。また、開口2aの第2の方向の寸法は、送受信する高周波信号の自由空間波長λの1/4〜3/4である。貫通導体5は、開口2aに沿って周状に所定の間隔を空けて設けられる。貫通導体5の間隔は、共振する高周波信号が漏れないように、共振する高周波信号の実効波長(λg)の1/2未満とし、好ましくは実効波長(λg)の1/4以下とする。このような構成により、アンテナ素子領域110には誘電体共振器アンテナが構成されている。
なお、図2以外の分解斜視図では貫通導体5を省略して見やすくしている。また、図1〜図8および図10〜図13に示す例では、表面導体2と接地導体3との間に2層の誘電体層1aが介在しており、この2層の誘電体層1aの層間には層間導体5aが設けられている。この層間導体5aは必ずしも必要ではないが、表面導体2と接地導体3との間に複数層の誘電体層1aを設ける場合には、層間導体5aを設けることで各誘電体層1aを貫通する貫通導体5同士の接続性を向上させることができる。
図1および図2に示す例のアンテナ基板100はアンテナ素子領域110を1つ備えている。これに対して、アンテナ素子領域110を複数個備えるアンテナ基板100とすることができる。このとき、アンテナ素子領域110は、第1の方向および第2の方向のうち少なくとも一方に複数個接して配列されてアレイ部120を構成する。図3および図4に示すアンテナ基板100は、第2の方向(x方向)のみに4つのアンテナ素子領域110が接して配列されたアレイ部120を1つ備えている。図5および図6に示すアンテナ基板100は、第1の方向(y方向)に4つ、第2の方向(x方向)に2つのアンテナ素子領域110が配列されたアレイ部120を1つ備えている。図7および図8に示す例のアンテナ基板100は、第1の方向(y方向)に2つ、第2の方向(x方向)に4つのアンテナ素子領域110が配列されたアレイ部120を1つ備えている。また、図10および図11に示す例のアンテナ基板100は、第1の方向(y方向)に2つ、第2の方向(x方向)に8つのアンテナ素子領域110が配列されたアレイ部120を2つ備えており、アレイ部120は第1の方向(y方向)に配列されている。図12および図13に示す例のアンテナ基板100は、第1の方向(y方向)に8つ、第2の方向(x方向)に2つのアンテナ素子領域110が配列されたアレイ部120を2つ備えており、アレイ部120は第2の方向(x方向)に配列されている。なお、これらの図において、1つのアレイ部120は二点鎖線で囲んで示しており、アンテナ素子領域110の外縁を長破線で示している。1つのアレイ部120において、複数のアンテナ素子領域110は接して配列されている。そのため、誘電体基板1の第1の面11において1つの表面導体2に複数の開口2aが設けられているように見える。
そして、本開示のアンテナ基板100は、誘電体基板1の第1の面11に設けられ、表面導体2との間に間隔を空けて設けられている帯状の第2表面導体6を備えている。このような第2表面導体6を備えていると、高周波信号を放射したい方向である、第1の面11に対する鉛直方向(天頂方向)に対して90度方向のサイドローブが小さくなり、指向性およびゲインの高いアンテナになる。すなわち、アンテナ特性が向上したアンテナ基板100となる。
アンテナ基板100において高周波信号を放射したい方向は、誘電体基板1の第1の面11に対して鉛直方向(天頂方向、図面におけるz方向)である。この方向に対して90度方向(第1の面11の面方向、xy面方向)への放射(サイドローブ)が大きいと、指向性が低くなるので、例えばアンテナ基板100をビームフォーミング式のレーダーに用いた場合には、この放射によって不要な物を検知しやすくなってしてしまう可能性がある。また、天頂方向への放射が小さく、ゲインの小さいアンテナ基板100となる。第2表面導体6は表面導体2が設けられている第1の面11において表面導体2を取り囲んでいるので、第1の面11の面方向に放射された信号は第2表面導体6において反射される。90度方向の放射は、この第2表面導体6での反射波によって打ち消されて低減される。そのため、指向性およびゲインが高いアンテナ基板100となる。
このとき、高周波信号の自由空間波長をλとしたとき、第1の方向および第2の方向におけるアンテナ素子領域110の中心から第2表面導体6の内端までの距離(図に示すD)はλ/4の奇数倍であるアンテナ基板100とすることができる。アンテナ素子領域110の中心から第2表面導体6の内端までの距離Dがλ/4の奇数倍であると、第2表面導体6の内端において反射した反射波はアンテナ素子領域110から90度方向へ放射された信号と位相が逆になる。そのため、90度方向へ放射された信号の反射波による低減がより効果的に行なわれ、より指向性およびゲインの高いアンテナ基板100となる。この距離Dがλ/4の奇数倍であれば上記のような効果を奏するので、第1の方向と第2の方向とで距離Dが異なっていてもよい。また、距離Dがλ/4(λ/4の1倍)であると、表面導体2と接してしまうので、距離Dが自由空間波長λの奇数倍であるときの奇数は3以上である。アンテナ基板100を小型化するためには、距離Dを3λ
/4(λ/4の3倍)とすることができる。
第2表面導体6の内端の位置である、アンテナ素子領域110の中心から第1の方向へ距離Dの位置は、互いに反対方向の2か所にある。すなわち、図1におけるアンテナ素子領域110の中心からy方向の正方向(+方向)へ距離Dの位置と負方向(−方向)へ距離Dの位置である。第2の方向についても同様であり、図1におけるアンテナ素子領域110の中心からx方向の正方向(+方向)へ距離Dの位置と負方向(−方向)へ距離Dの位置である。そのため、平面視において第2表面導体6はアンテナ素子領域110を取り囲んでおり、誘電体基板1の第1の面11において表面導体2との間に間隔を設けて取り囲んでいる。この間隔は、通常、表面導体2の中心はアンテナ素子領域110の中心と一致するので、表面導体2の中心から第1の方向または第2の方向への長さを距離Dから差し引いた長さとなる。図1に示す例では、アンテナ素子領域110の中心を通り第2の方向に伸びる第2中心線CL2から第1の方向へ距離Dの位置に第2の方向に伸びる第2表面導体6の内端が位置している。また、アンテナ素子領域110の中心を通り第1の方向に伸びる第1中心線CL1から第2の方向へ距離Dの位置に第1の方向に伸びる第2表面導体6の内端が位置している。そのため第2表面導体6の内端は表面導体2の外縁に沿って伸びており、第2表面導体6の内縁形状は表面導体2の外縁形状と相似形になっており、表面導体2と第2表面導体6との距離は一定である。
また、第2表面導体6の幅(図に示すW)がλ/4の奇数倍であるアンテナ基板100とすることができる。この場合には、アンテナ素子領域110から90度方向へ放射されて第2表面導体6内を伝送し、第2表面導体6の外周端で反射した反射波もまたアンテナ素子領域110から90度方向へ放射された信号と位相が逆になる。そのため、90度方向へ放射された信号の低減がさらにより効果的に行なわれ、より指向性およびゲインの高いアンテナ基板100となる。この幅Wがλ/4の奇数倍であれば上記のような効果を奏するので、第1の方向と第2の方向とで第2表面導体6の幅Wが異なっていてもよい。また、アンテナ基板100を小型化するためには、第2表面導体6の幅Wをλ/4(λ/4の1倍)とすることができる。また、第2表面導体6内を伝送する際に信号は減衰され、反射波においても同様である。そのため、反射波の位相を逆位相にするとともに第2表面導体6内での減衰を小さくして、反射波によるサイドローブの低減効果を高めるためにも第2表面導体6の幅Wをλ/4(λ/4の1倍)とすることができる。
アンテナ素子領域110が、図3〜図8および図10〜図13に示す例のように、第1の方向および第2の方向のうち少なくとも一方に複数個接して配列されてアレイ部120を構成しているときには、第2表面導体6はアレイ部120(の複数の開口2aを有する表面導体2)を取り囲んで配置されている。例えば、図3に示す例では、4つのアンテナ素子領域110は第2の方向(x方向)に接して配列されており、4つのアンテナ素子領域110のうち両端の2つのアンテナ素子領域110の中心から第2の方向へ距離Dの位置に第2表面導体6の内端が位置している。図3において、4つのアンテナ素子領域110のうち、最も左側(x方向の+側)のアンテナ素子領域110の中心から第2の方向の1つである左側(x方向の+側)へ距離Dの位置に第2表面導体6の内端が位置している。また、最も右側(x方向の−側)のアンテナ素子領域110の中心から第2の方向の他の1つである右側(x方向の−側)へ距離Dの位置に第2表面導体6の内端が位置している。すなわち、アンテナ素子領域110が複数個接して第2の方向に配列されている場合には、配列方向(第2の方向)の両端に位置しているアンテナ素子領域の中心から、配列方向(第2の方向)における、外側に距離D離れた位置に第2表面導体6の内端が位置している。これは、図5および図7に示す例のように、アンテナ素子領域110が第1の方向に配列されている場合においても同様である。
例えば、図8に示す例のアンテナ基板100においては、その厚み方向における中心よ
り上側(z方向の+側)と下側(z方向の−側)とで導体の量が異なっている。具体的には、アンテナ基板100の下側にはベタ状の大きな接地導体3があり、上側の表面導体2、層間導体5aおよび第2表面導体6を合わせても接地導体3の面積よりも小さい。このような導体の量の差があると、アンテナ基板100に反りが生じる場合がある。そのため、第2表面導体6の幅Wを大きくすることで導体量のバランスを調整することができる。また、第2表面導体6の外側にさらに導体を設けて導体量のバランスを調整することができる。図8に示す例では、層間導体5aを取り囲む、第2表面導体6と同様の形状の導体を設けている。アンテナ素子領域110(誘電体共振器アンテナ)の外側にこのような導体を設けることでアンテナ特性へほとんど影響を与えることなく導体量のバランスを調整してアンテナ基板100の反りを調整することができる。
図10〜図13に示す例のように複数のアレイ部120を備えている場合には、複数のアレイ部120のそれぞれを取り囲む、複数の第2表面導体6を備えることができる。2つの第2表面導体6の互いに隣接する部分を接続しても第2表面導体6による信号の反射は起こるので、一体化することもできる。しかしながら、例えば、2つのアレイ部120のうちの1つを送信用として他の1つを受信用とする場合などは、2つのアレイ部120間における干渉を低減するために、2つのアレイ部120のそれぞれに対して第2表面導体6を設け、互いに離間させて配置することができる。
図3〜図8および図10〜図13に示す例のような、複数のアンテナ素子領域110有するアレイアンテナは、同じ構造および寸法のアンテナを複数近接して配列することで、ゲインを高めるものである。アンテナ素子領域110が第1の方向および第2の方向のうち少なくとも一方に複数個接して配列されてアレイ部120を構成しており、第2表面導体6がアレイ部120を取り囲んで配置されているアンテナ基板100は、よりゲインの高いものとなる。
アレイアンテナにおいては複数のアンテナ素子領域110で送受信する高周波信号はその特性のばらつきが小さいことが望まれる。そのためには、各アンテナ素子領域110の給電線路導体4へ高周波信号を伝送する給電配線導体8の伝送ばらつきが小さい必要がある。この伝送ばらつきは、各アンテナ素子領域110の給電線路導体4までの給電配線導体8の伝送損失のばらつきが小さければ小さいものとなる。伝送損失のばらつきは伝送線路の長さおよび形状を同等にすることで小さくすることができる。
図5および図6に示す例のアンテナ基板100では、第1の方向に隣接する一対の給電線路導体4のそれぞれの給電端4a同士が給電配線導体8で接続されている。第1の方向に隣接する、給電配線導体8で接続された一対の給電線路導体4同士もまた給電配線導体8で接続されている。これにより、第1の方向に配列されている4つの給電線路導体4は、給電配線導体8によって並列に接続されている。また、同様に給電配線導体8によって並列に接続された別の4つの給電線路導体とも給電配線導体8によって並列に接続されている。給電配線導体8の給電点8aから各給電線路導体4までの長さおよび形状を同等にするために、給電配線導体8の形状はトーナメント表のような形になっている。
図3および図4に示す例のアンテナ基板100では、各アンテナ素子領域110における給電線路導体4は第2の方向に配列されている複数のアンテナ素子領域110間で直列に接続されている。そのため、アレイ部120において、第2の方向に配列された複数のアンテナ素子領域110で構成される一列に対して第2の方向に伸びる1つの給電線路導体4が設けられている。このように、第2の方向に配列された複数のアンテナ素子領域110に対して、分岐のない1つの直線状の給電線路導体4による直列給電であるため分岐による給電信号の損失がないので、アンテナのゲインが高いものとなる。また、給電線路導体4を設けるためのスペースが小さくて済むので、アンテナ基板100を小型化するこ
とができる。これは、図7および図8に示す例のようにアンテナ素子領域110が第1の方向にも複数配置されているアレイ部120の場合にも同様である。第1の方向に配列された2列(121,122)に対してそれぞれ1つの給電線路導体4が設けられている。2つの給電線路導体4の給電端4aは給電配線導体8で接続されており、給電配線導体8は、その長さ方向の中央部に給電配線導体8の給電点8aを有している。
図3および図4に示す例では、給電線路導体4の右側(x方向の−側)の端部は外部から信号が入力される(給電される)給電端4aであり、平面透視でアレイ部120の外側(右側)に位置している。給電端4aとは反対側に位置する左側(x方向の+側)の端部(先端4b)は最も左側のアンテナ素子領域110のスロット3aより左側に位置している。この先端4bとスロット3aの幅方向(第2の方向)の中心との距離は実効波長λgの1/4(λg/4)とすることができる。このようにすると、給電線路導体4を伝送してきた信号と、先端4bで反射した反射信号とが打ち消し合うので、先端4bでの反射による放射特性の劣化を低減することができる。
アンテナ基板100では各アンテナ素子領域110の開口2aから高周波信号を送信または受信するが、この高周波信号の自由空間波長をλとしたとき、アンテナ素子領域110の第1の方向の配列ピッチ(図5および図7に示すPa1)はλ/2の奇数倍とすることができる。アンテナ素子領域110の第2の方向の配列ピッチ(図3、図5および図7に示すPa2)もまたλ/2の奇数倍とすることができる。アンテナ素子領域110の配列ピッチPa1およびPa2がλ/2の奇数倍であるので、第1の方向および第2の方向に隣り合うアンテナ素子領域110から放射される電波の位相差が180°になり、第1の方向および第2の方向に放射する電波が相殺されアレイアンテナ全体のサイドローブが低減される。このとき、アンテナ基板100を小型化するためにはアンテナ素子領域110の第1の方向の配列ピッチPa1もより小さい方がよく、アンテナ素子領域110の第1の方向の配列ピッチPa1をλ/2(λ/2の1倍)とするとよい。
一方、直列給電する場合の各アンテナ素子領域110のスロット3aの第2の方向の配列ピッチ(図3および図7に示すPs)は給電線路導体4を伝送する信号の実効波長(λg)の整数倍である。スロット3aの配列ピッチPsが実効波長(λg)の整数倍であるので、給電線路導体4から各スロット3aへ伝送される信号の位相差がないものとなる。言い換えれば、各スロット3aで同じタイミングで信号が最大振幅となり、各スロット3aでの共振のタイミングがそろうので、サイドローブが小さい、指向性が高いアレイアンテナになる。このようなことから、アンテナ基板100は小型でアンテナ特性が向上したものとなる。ここで、スロット3aの配列ピッチPsが実効波長λgの整数倍であるとは、例えば厳密な1.0倍でなく、0.9倍〜1.1倍のように厳密な整数倍に対して10%の幅を持っているものである。例えば、実効波長λgが1.84mmである場合には、スロット3aの配列ピッチPsは1.66mm〜2.02mmとすることができる。信号の波長に対して振幅が大きくなく波形が急峻ではないので、この程度の幅の範囲であれば、各スロット3aにおいて最大振幅と同程度の振幅となってサイドローブの小さい、指向性の高いアレイアンテナとなる。
図3および図7に示す例において、スロット3aの配列ピッチPsはアンテナ素子領域110の配列ピッチPa2よりも小さい。上述したように、表面導体2と接地導体3との距離は、これらの間における実効波長λg1の1/4(λg1/4)である。アンテナ基板100を薄型のものとするには、この実効波長λg1を小さくすればよい。実効波長λg1は誘電体層1aの比誘電率が大きいほど小さくなる。このとき、給電線路導体4の周りの誘電体層1aの比誘電率も同時に大きくなり、給電線路導体4を伝送する信号の実効波長λgもまた小さくなる。また、アンテナ素子領域110の配列ピッチPa2がλ/2の奇数倍であればよいが、小型化のためにはアンテナ素子領域110の配列ピッチPa
2はより小さい方がよく、アンテナ素子領域110の配列ピッチPa2をλ/2(λ/2の1倍)とするとよい。そのため、給電線路導体4が図1および図2に示す例のようなマイクロストリップ線路である場合には、誘電体層1aの比誘電率が概ね5以上であるとスロット3aの配列ピッチPsがアンテナ素子領域110の配列ピッチPa2よりも小さくなる。スロット3aの配列ピッチPsとアンテナ素子領域110の配列ピッチPa2とが異なるため、各アンテナ素子領域110におけるスロット3aの位置は互いに異なるものとなる。
図3に示す例においては、第2の方向に配列されている4つのアンテナ素子領域110のうち一番右側、言い換えれば給電線路導体4の給電端4aに最も近い位置のアンテナ素子領域110(111)においてはスロット3aがアンテナ素子領域110における第2の方向の中心に位置している。ここで、第2の方向に配列されている4つのアンテナ素子領域110のうち、スロット3aがアンテナ素子領域110における第2の方向の中心に位置しているものを第1アンテナ素子領域111と呼ぶ。
平面透視でスロット3aが、アンテナ素子領域110の中心、言い換えれば開口2aの中心と重なる位置にあると、誘電体基板1の第1の面11に対して鉛直方向(天頂方向、図面におけるz方向)に強い信号が放射されやすい。言い換えれば指向性が高いものとなるので、通常は、スロット3aはアンテナ素子領域110の中心に配置される。しかしながら、スロット3aの配列ピッチPsとアンテナ素子領域110の配列ピッチPa2が異なると、一列に配列された複数のアンテナ素子領域110のうちの1つしかスロット3aが中心に位置している第1アンテナ素子領域111とすることができない。
また、上述したように、直線状の給電線路導体4で複数のアンテナ素子領域110に給電すると、並列給電に比較して分岐がないので全体として損失が小さく、ゲインの高いアレイアンテナを得ることができる。しかしながら、給電線路導体4の給電端4aから各アンテナ素子領域110(のスロット3a)までの距離が異なり、距離が長いほど損失が大きくなる。逆に給電端4aに近いほど損失が小さいので、給電端4aに近いアンテナ素子領域110ほどゲインが大きくなる。指向性の高い第1アンテナ素子領域111を給電端4aに最も近い位置に配置すると、指向性の高い第1アンテナ素子領域111のゲインが最も大きくなるので、アレイ全体としての指向性が高くなる。すなわち、図3に示す例のように、より指向性の高いものとするために、第1アンテナ素子領域111が第2の方向において給電線路導体4の給電端4aに最も近い位置にあるアンテナ基板100とすることができる。
図7および図8に示す例のアンテナ基板100は、第2の方向に4つ、第1の方向に2つ(2列)のアンテナ素子領域110が配列されたアレイ部120を1つ備えている。給電線路導体4は、第2の方向に配列された4つのアンテナ素子領域110で構成される2列の群に対してそれぞれ1つずつ、計2つ配置されている。また、2つの第1アンテナ素子領域111のうちの一方は給電端4aに最も近い位置に配置され、他方は給電端4aから最も離れた位置に配置されている。
第1アンテナ素子領域111が給電端4aから最も離れた位置に配置される場合、第1アンテナ素子領域111が給電端4aに最も近い位置に配置される場合のいずれもわずかではある第2の方向(x方向)に指向性を有する放射特性となり、この第2の方向(x方向)指向性は互いに逆向きとなる。また、上述したように、第1アンテナ素子領域111が給電端4aから最も離れた位置に配置される場合に対して、第1アンテナ素子領域111が給電端4aに最も近い位置に配置される場合の方が、サイドローブが低減されて指向性が高められる。これは1つのアレイ部120においてアンテナ素子領域110を第1の方向に複数列設ける場合でも同様である。
しかしながら、第1の方向に複数列のアンテナ素子領域110を配列すると、第2の方向(x方向)への放射、すなわち放射したい鉛直方向(天頂方向)に対して90度方向のサイドローブも増加してしまう場合がある。第1アンテナ素子領域111が給電端4aに最も近い位置に配置される場合は、給電端4aとは反対側(x方向の+側)への放射が増加し、第1アンテナ素子領域111が給電端4aから最も離れた位置に配置される場合は、給電端4a側(x方向の−側)への放射が増加する。第2の方向(x方向)への放射が増加すると、例えばアンテナ基板100をビームフォーミング式のレーダーに用いた場合には、この放射によって不要な物を検知しやすくなってしてしまう可能性がある。これに対して、図7に示す例のように、第1アンテナ素子領域111が給電端4aから最も離れた位置に配置されている列と、第1アンテナ素子領域111が給電端4aに最も近い位置に配置される列とを備えていると、第2の方向の指向性が互いに逆のものが隣接していることで全体としては第2の方向への放射が小さいものとなる。
このように、全体の指向性を高めるとともに第2の方向への放射を抑えるために、1つのアレイ部120が、アンテナ素子領域110が第1の方向に複数個接して配列された複数列で構成されており、スロット3aがアンテナ素子領域110における第2の方向の中心に位置している第1アンテナ素子領域111が給電線路導体4の給電端4aに最も近い第1の列121と、第1アンテナ素子領域111が給電線路導体4の給電端4aから最も遠い第2の列122とが第1の方向に互いに隣り合って配置されているアンテナ基板100とすることができる。
図7および図8に示す例では、第1の方向に2列配列されたアレイ部120であり、第1アンテナ素子領域111が給電線路導体4の給電端4aに最も近い第1の列121と、第1アンテナ素子領域111が給電線路導体4の給電端4aから最も遠い第2の列122とをそれぞれ1つずつ備えている。これに対して、アレイ部120が第1の方向に3列配列されている場合には、2つの第1アンテナ素子領域111が給電線路導体4の給電端4aに最も近い第1の列121で、1つの第1アンテナ素子領域111が給電線路導体4の給電端4aから最も遠い第2の列122を挟んで配列されているアンテナ基板100とすることができる。言い換えれば、第1の列121と第2の列122とが第1の方向に交互に配置されているアンテナ基板100とすることができる。これとは逆に、2つの第2の列122で、1つの第1の列121を挟んで配列することもできるが、第1の列が多い方がより指向性の高いものとなる。
表面導体2の開口2aの大きさが大きいほどゲインを大きくすることができる。例えば、アンテナ基板100を小型化するためにアンテナ素子領域110の第1の方向の配列ピッチPa1および第2の方向の配列ピッチPa2をλ/2とすると、表面導体2の開口2aは一辺の長さがλ/2未満でλ/2にできるだけ近い寸法の正方形状となる。
図9(a)〜図9(c)に、表面導体2の開口2aの形状が正方形状である例を示す。図9(b)および図9(c)は正方形である。図9(b)および図9(c)に示す例の貫通導体5は、平面視で表面導体2の開口2aより外側に位置しており、開口2aの外側で表面導体2に接続している。これに対して図9(a)に示す例では、貫通導体5は、平面視で半分が開口2a内に位置して半分が開口2aの外側に位置している。貫通導体5と表面導体2との接続性を高めるために、開口2aの形状は、正方形の辺の一部が内側に突出した形状となっている。開口2aの形状が正方形状であるとは、正方形だけでなくこのような形状を含んでいることを表している。
隣接する2つのアンテナ素子領域110の境界(図中の長破線)上に1列に貫通導体5を配列して、隣接する2つのアンテナ素子領域110間で共通の貫通導体5とすることも
できる。これに対して、図9(a)〜図9(c)に示す例のように、隣接する2つのアンテナ素子領域110の境界部、すなわち隣接する2つの開口2aの間において、貫通導体5は、隣接するアンテナ素子領域110のそれぞれの開口2aに沿って設けられて、平面透視で2列にすることができる。貫通導体5を隣接するアンテナ素子領域110のそれぞれの開口2aに沿って2列に設けることで、隣接する2つのアンテナ素子領域110間のアイソレーションを向上でき、アレイアンテナの動作性能を向上させることができる。
図9(a)および図9(b)に示す例においては、2列に配列された貫通導体5は、第1の方向における位置が同じである。言い換えれば、2列に配列された貫通導体5は、第2の方向に側面視した場合に、互いに重なる位置にある。これに対して、図9(c)に示す例では、2列に配列された貫通導体5は、第2の方向における位置が異なっており、第1の方向に側面視した場合に、互いに重なる位置にある。言い換えれば、貫通導体5は、隣接する2つのアンテナ素子領域110の境界部において平面透視で千鳥状配列とすることができる。
ゲインを大きくするために開口2aをできるだけ大きくしようとすると、隣接するアンテナ素子領域110の開口2a間に配置された2列の貫通導体5の間の間隔が小さくなる。間隔が小さくなると隣接するアンテナ素子領域間のアイソレーションが劣化したり、誘電体基板の貫通導体5間にクラックが発生したりする場合がある。千鳥配列にすることで間隔を大きくすることができるので、隣接するアンテナ素子領域間のアイソレーションを維持でき、誘電体基板の貫通導体5間にクラックの発生する可能性を低減することができる。
開口2aは、第2の方向に伸びる帯状導体と第1の方向に伸びる接続導体とによって規定されている。より詳細には、開口2aを第1の方向に挟んで位置する一対の帯状導体と、開口2aを第2の方向に挟んで位置しており、一対の帯状導体の近接する端部同士を接続する一対の接続導体とによって開口2aが規定されている。
表面導体2における第2の方向で開口2aに挟まれている部分の幅(第2の方向の長さ)は、アンテナ素子領域110の第2の方向の配列ピッチPa2から開口2aの第2の方向の長さを差し引いた長さとなる。また、表面導体2における第1の方向で開口2aに挟まれている部分の幅(第1の方向の長さ)もまた同様で、アンテナ素子領域110の第1の方向の配列ピッチPa1から開口2aの第1の方向の長さを差し引いた長さとなる。
この表面導体2における開口2aに挟まれている部分は、開口2aを大きくするためには小さくする必要があるが、表面導体2における外縁部、すなわち第1の方向の両端に位置する帯状導体および第2の方向の両端に位置する接続導体についてはその幅を大きくすることができる。図10および図11は、いずれもアレイ部120における第1の方向の両端に位置する帯状導体の幅を大きくした例である。アンテナ素子領域110は、図10および図11に示す例では第1の方向に2列配列されている。図3および図4に示す例では第1の方向には1列のみであり、第1の方向において開口2aに挟まれている帯状導体はなく、両端の帯状導体のみを備えるものである。
図10および図11に示す例のように、直列給電のアンテナ基板100において、開口2aを第1の方向に挟んで位置する帯状導体のうち、アレイ部120における第1の方向の両端に位置する帯状導体の第1の方向の幅は、高周波信号の自由空間波長をλとしたときλ/4〜λ/2であるアンテナ基板100とすることができる。第1の方向の両端に位置する帯状導体の第1の方向の幅がλ/4以上と大きいことによって第1の方向(y方向)と天頂方向(z方向)によるyz面内のサイドローブを低くすることができるとともに、帯状導体の第1の方向の幅がλ/2以下であることによってゲインの低下を
抑えることができる。このとき、アレイ部102における第2の方向の両端に位置する接続導体の第2の方向の幅についてはλ/8以下とすることができる。接続導体の幅が広いことによるゲインの低下と、サイドローブの増加を抑えることができる。
図12および図13に示す例では、アレイ部120における第2の方向の両端に位置する接続導体の幅を大きくした例である。並列給電のアンテナ基板100のアレイ部120における、第2の方向の両端の接続導体の第2の方向の幅がλ/8〜3λ/8であり、第1の方向の両端に位置する帯状導体の第1の方向の幅がλ/8以下であるアンテナ基板100とすることができる。接続導体の第2の方向の幅がλ/8以上と広いことによって第2の方向(x方向)と天頂方向(z方向)によるxz面内のサイドローブを低くすることができるとともに、接続導体の第2の方向の幅が3λ/8以下であることによってゲインの低下を抑えることができる。また、アレイ部120における第1の方向の両端に位置する帯状導体の第1の方向の幅はλ/8以下であるので帯状導体の幅が広いことによるゲインの低下と、サイドローブの増加を抑えることができる。
図6、図8、図13に示す例のように、各アンテナ素子領域110の給電線路導体4(の給電端4a)には給電配線導体8が接続されている。各アンテナ素子領域110が電波を送信する場合は、たとえば高周波用半導体素子から出力された高周波信号が、給電配線導体8により各給電線路導体4に伝送される。給電線路導体4に伝送された高周波信号は、給電線路導体4と電磁気的に結合されている接地導体3のスロット3aを介して、表面導体2、貫通導体5、接地導体3で囲まれた共振領域を伝送して表面導体2の開口2aから放射される。なお、電波を受信する場合は、表面導体2の開口2aで電波を受信し、送信の場合とは逆の流れで高周波信号が給電線路導体4に到達する。
以上のようなアンテナ基板100は、例えば図10〜図13に示す例のように、誘電体基板1の第1の面11とは反対側の第2の面12に設けられた電極7を備えており、この電極を介して外部回路に接続される。電極7は誘電体基板1に設けられた配線導体を介して接地導体3および給電線路導体4に電気的に接続されている。これにより外部回路、例えば外部回路基板に搭載された高周波用半導体素子とアンテナ素子領域110の給電線路導体4とが電気的に接続され、高周波信号が伝送される。
図1〜図13に示す例のアンテナ基板100は、枠状の第2表面導体6を備えているが、第2表面導体6の形状はこれに限られるものではない。すなわち、表面導体2を全周にわたって取り囲んでいなくてもよく、例えば、図14〜図19に示す例のように、第1の面11に表面導体2との間に間隔を空けて、表面導体2の外側に設けられているものであれば、第1の面11の面方向に放射された信号を反射することができる。
図14に示す例のアンテナ基板100は、第2表面導体6を、図1に示す例の正方形枠状の第2表面導体6における辺の中心部分だけとした形態である。アンテナ素子領域110の中心から第1の方向(±y方向)および第2の方向(±x方向)に距離Dの位置に、長さLで幅Wの長方形帯状の第2表面導体6が配置されている。すなわち、第2表面導体6は、第1の方向および第2の方向の両方向において表面導体2を挟むように配置されている4つの長方形帯状の導体で構成されている。この例の第2表面導体6の長さL方向の中心はアンテナ素子領域110の第1の方向の中心または第2の方向の中心と一致している。アンテナ素子領域110の第1の方向の中心を通り第2の方向に伸びる第2中心線CL2、およびアンテナ素子領域110の第2の方向の中心を通り第1の方向に伸びる第1中心線CL1が第2表面導体6の長さ方向の中心を通っている。第2表面導体6の長さLは、第1中心線CL1,第2中心線CL2と直交する方向の長さである。
図15に示す例は、図14に示す例とは逆に、図1に示す例の正方形枠状の第2表面導
体6における4つの角部だけを第2表面導体6とした形態である。4つの鉤型(L字型)の導体で第2表面導体6が構成されている。図15に示す例では隣り合う第2表面導体6間の距離D2は正方形枠状の表面導体2の辺の長さと同じであるので、表面導体2およびスロット3aの第1の方向および第2の方向の外側には第2表面導体6が存在していない。また、第2表面導体6は第1中心線CL1および第2中心線CL2と直交していない。
図16に示す例のアンテナ基板100においては、第2表面導体6を2つ備えている。2つの第2表面導体6は、表面導体2を第1の方向に挟むように配置されている。平面透視でスロット3aの長さ方向である第1の方向にスロット3aを挟む位置に第2表面導体6が配置されている。第2表面導体6はスロット3aの長さ方向に対して直交する第2の方向に伸び、第2の方向が長さ方向である長方形帯状である。第1中心線CL1が第2表面導体6の長さ方向の中心を通って第2表面導体6と直交している。
図17に示す例のアンテナ基板100においても、図16に示す例と同様に2つの第2表面導体6を備えているが、表面導体2およびスロット3aに対する位置が異なっている。2つの第2表面導体6は、表面導体2を第2の方向に挟むように配置されている。平面透視でスロット3aをスロット3aの長さ方向に直交する方向である第2の方向に挟む位置に第2表面導体6が配置されている。第2表面導体6はスロット3aの長さ方向である第1の方向に伸び、第1の方向が長さ方向である長方形帯状である。第2中心線CL2が第2表面導体6の長さ方向の中心を通って第2表面導体6と直交している。
図18に示す例のアンテナ基板100は、図14に示す例と同様に、第2表面導体6は、第1の方向および第2の方向の両方向において表面導体2を挟むように配置されている4つの帯状の導体で構成されているが、第1中心線CL1および第2中心線CL2は第2表面導体6の長さ方向の中心を通っていない。第1中心線CL1および第2中心線CL2は第2表面導体6の端を通っている。第2表面導体6は、第1中心線CL1から直交する第2の方向へあるいは第2中心線CL2から第1の方向へ伸びている長さLの長方形帯状である。
図19に示す例のアンテナ基板100は、図18に示す例と同様に、第1中心線CL1および第2中心線CL2は第2表面導体6の長さL方向の中心を通っていない。具体的には、第2表面導体6は、第1中心線CL1から直交する第2の方向へあるいは第2中心線CL2から第1の方向へ伸びている長さLの長方形帯状であり、第1中心線CL1および第2中心線CL2は、各第2表面導体6の端からL/3(2L/3)の位置を通っている。図18に示す例における第2表面導体6の第1中心線CL1または第2中心線CL2が通っている端から反対側へも伸びた形状ということもできる。
図14〜図19に示す例においても、アンテナ素子領域110の中心から第2表面導体6の内端までの距離Dがλ/4の奇数倍であると、より指向性およびゲインの高いアンテナ基板100となる。また、第2表面導体6の幅Wがλ/4の奇数倍である場合にも、より指向性およびゲインの高いアンテナ基板100となる。
サイドローブはスロット3aの長さ方向すなわち第1の方向に大きくなりやすい。そのため、アンテナ素子領域110の中心から第2表面導体6の内端までの距離Dがλ/4の奇数倍である位置に、第1中心線CL1と直交する第2表面導体6があると、サイドローブを低減する効果が大きい。また、第2表面導体6の幅Wがλ/4の奇数倍であると、サイドローブをより低減することができる。
このとき、アンテナ素子領域110から90度方向(第1の面11の面方向)へ放射された信号は、第2表面導体6内を幅W方向へ伝送して第2表面導体6の外周端で反射する
。これと同様に、第2表面導体6に入射した信号は、第2表面導体6内を長さL方向へ伝送して長さ方向の端でも反射し、アンテナ素子領域110への反射波が発生する。この反射波もまたアンテナ素子領域110から90度方向へ放射された信号と逆位相となるようにするとよい。すなわち、第2表面導体6が、アンテナ素子領域110の中心を通り第1の方向に伸びる第1中心線CL1と直交し、第1中心線CL1から第2表面導体6の端までの長さがλ/4の奇数倍であるアンテナ基板100とすることができる。第2表面導体6の中心から端までの長さがλ/4の奇数倍であると、第2表面導体6の長さ方向の端において反射した反射波もまたアンテナ素子領域110から90度方向へ放射された信号と位相が逆になる。そのため、90度方向へ放射された信号の反射波による低減がより効果的に行なわれ、指向性およびゲインがより高いアンテナ基板100となる。また、反射波の位相を逆位相にするとともに第2表面導体6内での減衰を小さくして、反射波によるサイドローブの低減効果を高めるためにも第2表面導体6の中心から端までの長さをλ/4(λ/4の1倍)、第2表面導体6の長さLをλ/2とすることができる。
第1の方向だけでなく第2の方向のサイドローブも低減することで、指向性およびゲインをより高められる。そのため、図16に示す例のように第1中心線CL1と直交する第2表面導体6だけでなく、図14に示す例のように、第2中心線CL2と直交する第2表面導体6も設けることができる。そして、第2中心線CL2と直交する第2表面導体6は、アンテナ素子領域110の中心から第2表面導体6の内端までの距離Dがλ/4の奇数倍である位置にあり、幅Wがλ/4の奇数倍で、第2中心線CL2から端までの長さがλ/4の奇数倍であると、上記と同様にさらに効果的である。また、上記と同様に反射波の位相を逆位相にするとともに第2表面導体6内での減衰を小さくして、反射波によるサイドローブの低減効果を高めるためにも第2表面導体6の中心から端までの長さをλ/4(λ/4の1倍)、第2表面導体6の長さLをλ/2とすることができる。
以上の表面導体2を全周にわたって取り囲んでいない第2表面導体6は、アレイアンテナにも適用することができ、各アンテナ素子領域110の中心を通り第1の方向に伸びる第1中心線CL1、第2の方向に伸びる第2中心線CL2と直交するものとすることができる。
以上のようなアンテナ基板100は、通信モジュールに用いることができ、その場合には半導体素子200が搭載されるものとすることができる。例えば、図10〜図13に示す例のアンテナ基板100のように、誘電体基板1の第1の面11とは反対側の第2の面12に半導体素子200の搭載部130を有しているアンテナ基板100とすることができる。そして、このようなアンテナ基板100の搭載部130に半導体素子を搭載することで通信モジュール300とすることができる。外部回路基板に半導体素子200とアンテナ基板を搭載して通信モジュールとする場合に比較して、半導体素子200とアンテナ素子領域110(の給電線路導体)との間の配線長が短くなるので、損失が小さく高周波信号の送信および受信の効率の良いものとなる。また、アンテナ基板100と半導体素子200とが重なって配置されるので、小型の通信モジュール300となる。図10〜図13に示す例の通信モジュール300のアンテナ基板100はアレイ部120を2つ備えているので、例えば、1つのアレイ部120を送信用とし、他の1つのアレイ部120を受信用とすることができる。このような通信モジュール300は、例えば車間測定用の車載レーダー装置に用いることができる。
図10〜図13に示す例のアンテナ基板100における搭載部130は、誘電体基板1の第2の面12の中央部に設けられた凹部であり、凹部の底面に設けられた接続パッド(不図示)と半導体素子200の電極(不図示)とが電気的に接続される。誘電体基板1の第2の面12における凹部の周囲には電極7がある。電極7は誘電体基板1に設けられた配線導体(不図示)を介して接地導体3および接続パッドに電気的に接続されている。接
続パッドはまた、誘電体基板1の内部に設けられた配線導体を介して給電線路導体4に接続されている。図10に示す例のアンテナ素子領域110の構成を示す分解斜視図である図11においては、接続パッドと給電線路導体4とが給電配線導体8を介して接続されている例を示している。給電配線導体8は1つのアレイ部120に対して1つ配置されている。図12に示す例では、接続パッドに接続された配線導体と給電配線導体8とが貫通導体で接続されている。貫通導体は給電配線導体8の給電点8aに接続されており、給電点から各給電線路導体4までの間の伝送損失のばらつきを小さくするために、給電配線導体8の給電点8aから1つのアレイ部120の2つの給電線路導体4のそれぞれに対して等長となっている。
図1〜図4および図8に示す例のアンテナ基板100においては、給電線路導体4はマイクロストリップ線路であるが、高周波信号を伝送することができるものであればよく、図5および図6に示す例のアンテナ基板100においては、給電線路導体4は誘電体層1aを介して対向する第2接地導体9とともに構成されているストリップ線路である。マイクロストリップ線路の場合は誘電体基板1の第2の面12に給電線路導体4が設けられるが、ストリップ線路の場合は、給電線路導体4は誘電体基板1内に配置され、給電線路導体4から第2の面12にかけて配線導体を形成することができ、図10および図12に示す例のような通信モジュール300を構成するのが容易なアンテナ基板100とすることができる。
上述したアンテナ基板100においては、表面導体2と接地導体3とを接続する貫通導体5のみを備えているが、例えば図5および図6に示す例のような第2接地導体9を有するアンテナ基板100において、平面透視で給電線路導体4および給電配線導体8を囲むように配列され、第2接地導体9と接地導体3とを電気的に接続する貫通導体を備えるものとすることもできる。この貫通導体が電磁界シールドとなり、給電線路導体4のアイソレーション特性が向上し、給電線路導体4による高周波信号の伝送特性が向上する。また、この貫通導体はスロット3aを取り囲むように接地導体3に接続されていてもよい。この場合にはスロット3aに給電された信号が表面導体2へ効率よく伝送される。
誘電体基板1は凹部を有していない平板状であってもよいが、凹部を有していると半導体素子200がアンテナ基板100(誘電体基板1の第2の面12)から突出していないので、半導体素子の保護が容易であり、また電極7と外部回路基板との接続が容易である。アンテナ基板100における搭載部130が誘電体基板1の第2の面12に設けられた凹部である場合は、凹部内に封止樹脂を充填して半導体素子200を封止することもできる。
半導体素子200は、信号処理、増幅、送受切換、位相切換、周波数切換等をするための回路を備えており、この回路によりアンテナ基板100で送受信する信号が制御される。
誘電体基板1は、アンテナ基板100の基本的な構造部分であり、アンテナ基板100としての機械的な強度の確保、および複数の表面導体2と接地導体3との間等の導体間の絶縁性の確保等の機能を有している。誘電体基板1は、例えば上から見たときに(平面視において)正方形状または長方形状等の四角形状で、平板状である。誘電体基板1の寸法は、例えば、四角形の一辺の長さが3mm〜100mmで、厚みが0.3mm〜3mmとすることができる。
誘電体基板1は、例えば酸化アルミニウム質焼結体、ガラスセラミック焼結体、ムライト質焼結体または窒化アルミニウム質焼結体等のセラミック材料から成る誘電体材料からなる複数の誘電体層1aが積層されて形成されている。誘電体層1aの層数は、上述した
例に限られるものではない。
誘電体基板1は、例えばガラスセラミック焼結体からなる場合であれば、次のようにして製作することができる。まず、ガラス成分となる酸化ケイ素、酸化ホウ素およびフィラー成分となる酸化アルミニウム等の粉末を主成分とする原料粉末を、有機溶剤、バインダと混練してスラリーとするとともに、このスラリーをドクターブレード法またはリップコータ法等の成形方法でシート状に成形して誘電体基板1の誘電体層1aとなるセラミックグリーンシート(以下、グリーンシートともいう)を作製する。次に、複数のグリーンシートを積層して積層体を作製する。その後、この積層体を約900〜1000℃程度の温度で焼
成することによって誘電体基板1を製作することができる。
誘電体基板1を含むアンテナ基板100は、このようなアンテナ基板100となる複数の基板領域が母基板に配列された多数個取り基板として製作することもできる。複数の基板領域を含む母基板を、基板領域毎に分割して複数のアンテナ基板100をより効率よく製作することもできる。この場合には、母基板のうち基板領域の境界に沿って分割用の溝が設けられていてもよい。
表面導体2、接地導体3、給電線路導体4、層間導体5a、第2接地導体9、電極7および給電配線導体8を含む配線導体は、例えば、タングステン、モリブデン、マンガン、銅、銀、パラジウム、金、白金、ニッケルまたはコバルト等の金属、またはこれらの金属を含む合金の金属材料を導体材料として主に含むものである。このような金属材料は、メタライズ層またはめっき層等の金属層として誘電体基板1の表面に設けられている。この金属層は、1層でもよく、複数層でもよい。また、このような金属材料は、メタライズ層の金属層として誘電体基板1の内部に設けられている。
配線導体は、例えば、銅のメタライズ層である場合には、銅の粉末を有機溶剤および有機バインダと混合して作製した金属ペーストを誘電体層1aとなるグリーンシートの所定位置にスクリーン印刷法等の方法で印刷してグリーンシートとともに焼成する方法で形成することができる。また、貫通導体5は、上記の金属ペーストの印刷に先駆けてグリーンシートの所定の位置に貫通孔を設け、上記と同様の金属ペーストをこの貫通孔に充填しておくことで形成することができる。
また、誘電体基板1の表面に設けられる表面導体2および電極7の露出表面には、電解めっき法または無電解めっき法等のめっき法でニッケルおよび金等のめっき層がさらに被着されていてもよい。この場合、前述したように多数個取り基板の形態でアンテナ基板100を製作する際に、複数の基板領域の配線導体を互いに電気的に接続させておけば、複数のアンテナ基板100の配線導体に一括してめっき層を被着させることもできる。
接地導体3の大きさは、アンテナ基板100に求められるアンテナ特性に応じて、また、誘電体層1aの比誘電率および厚みによって、適宜設定することができる。また、接地導体3に設けられるスロット3aおよび給電線路導体4の寸法についても同様である。1つのアレイ部120内における各アンテナ素子領域110の構成および寸法は同じものであるが、異なるアレイ部120間では、各部の寸法等が異なり、アンテナ特性が異なるものとすることができる。
アレイ部120間の間隔は、アンテナ素子の特性により、要求されるアイソレーションが確保できる間隔とすればよいが、例えば、1mm〜10mmとすることができる。
本実施形態のアンテナ基板100のアンテナ特性については、シミュレーションにより
得られた放射パターンに基づいて評価した。シミュレーションに用いたアンテナ基板100のモデルは、以下の通りである。
実施例1〜実施例6のアンテナ基板100は、図1および図2に示す例のような構成のアンテナ素子領域110を1つ有するものである。アンテナ素子領域110における表面導体2の開口2aから送信または受信する高周波信号の周波数は、ミリ波レーダーに使用される79GHzを用いた。79GHzにおける自由空間波長λは4mmであるので、表面導体2は、1辺の長さが2mm(λ/2)の正方形で中央に1辺の長さが1.8mmの正方形である開口2aを有するものとした。誘電体基板1は、誘電体層1aの材質をいわゆるガラスセラミックス等の低温焼成セラミックスを想定し、比誘電率を5.8とした。表面導体2と接地導体3との間の距離は0.4mmで、接地導体3と給電線路導体4との間の距離は0.1mmである。給電線路導体4は、誘電体基板1の第2の面12に設けられた、幅が0.145mmで厚さが0.1mmのマイクロストリップ線路とした。このとき、給電線路導体4で伝送される信号の実効波長λgは1.84mmである。1.66mm〜2.02mmであれば実効波長λgの1倍の長さということができるので、表面導体2と接地導体3との間の距離はλg/4である。
第2表面導体6は幅が一定の正方形枠状である。実施例1〜実施例3は、第2表面導体6の幅が0.5mmで内寸(および外寸)が異なるものである。すなわち、アンテナ素子領域110の中心から第2表面導体6の内端までの距離Dが異なるものである。内端までの距離Dは、実施例1では2.0mm、実施例2では3.0mm、実施例3では3.5mmである。比較例のアンテナ基板は、アンテナ素子領域は同じであるが第2表面導体6を有さないものである。比較例の放射パターンを図20に、実施例1〜実施例3の放射パターンをそれぞれ図21〜図23に示す。図20〜図23に示すグラフにおいて、0度方向は天頂方向、±90度方向は天頂方向に対して90度の方向である水平方向を示している。この水平方向のうち、スロット3aの長さ方向でありサイドローブが大きくなりやすい、第1の方向の放射パターンを示している。
図20によれば、第2表面導体6を有さない比較例の天頂方向のゲインは5.52dBiであるが、約±90度方向に約7.2dBの大きいサイドローブが生じている。このようなサイドローブが生じるとレーダーの方向検知の際に、意図しない方向の物体を検知する可能性がある。
これに対して、第2表面導体6を設けた実施例1〜実施例3の放射パターンを示す図21〜図23によれば、±90度方向のサイドローブは大きく減少しており、ゲインは比較例の5.52dBiに対して7.68dBi,8.49dBi,8.10dBiといずれも大きいものとなっている。そして、内端までの距離Dが3.0mm、すなわちλ/4の3倍である実施例2のゲインが最も大きいものとなっている。
また、実施例4〜実施例6は、アンテナ素子領域110の中心から第2表面導体6の内端までの距離Dが3mmで第2表面導体6の幅Wが異なるものである。すなわち、内端までの距離Dは実施例2と同様の3mmであり、第2表面導体6の幅Wは、実施例4では0.2mm、実施例5では1.0mmm、実施例6では1.5mmである。実施例4〜実施例6の第1の方向の放射パターンをそれぞれ図24〜図26に示す。
図24〜図26によれば、実施例4〜実施例6においても、比較例に対して±90度方向のサイドローブは大きく減少しており、ゲインは比較例の5.52dBiに対して6.53dBi,9.67dBi,9.47dBiといずれも大きいものとなっている。そして、第2表面導体6の幅Wが1.0mm、すなわちλ/4の1倍である実施例5のゲインが最も大きいものとなっている。
次に、第2表面導体6が表面導体2を全周にわたって取り囲む枠状でない場合のアンテナ特性について説明する。実施例7のアンテナ基板100の第2表面導体6は図14に示す例のような形態、実施例8のアンテナ基板100の第2表面導体6は図15に示す例のような形態、実施例のアンテナ基板100の第2表面導体6は図16に示す例のような形態、実施例10のアンテナ基板100の第2表面導体6は図17に示す例のような形態、実施例11のアンテナ基板100の第2表面導体6は図18に示す例のような形態、実施例12のアンテナ基板100の第2表面導体6は図19に示す例のような形態である。アンテナ素子領域110の中心から第2表面導体6までの第1の方向および第2の方向の距離Dは3.0mmで、第2表面導体6の幅Wは1.0mmである。第2表面導体6の長さLは、実施例7および実施例9〜実施例11では2.0mm、実施例12では3.0mm(中心線CL1,CL2から一方端まで2.0mm、他方端まで1.0mm)である。実施例8では図15における隣り合う第2表面導体6間の距離D2が2mmである。これ以外の部分については、実施例5と同じである。実施例7〜実施例12の放射パターンをそれぞれ図27〜図32に同様のグラフで示す。
実施例7〜実施例12の放射パターンを示す図27〜図32によれば、±90度方向のサイドローブは大きく減少しており、ゲインは比較例の5.52dBiに対して実施例7は9.86dBi,実施例8は7.61dBi,実施例9は8.56dBi,実施例10は7.34dBi,実施例11は7.28dBi,実施例12は8.92dBiといずれも大きいものとなっている。このように、第2表面導体6は、第1の面11に表面導体2との間に間隔を空けて表面導体2の外側に設けられているものであれば、表面導体2を全周にわたって取り囲んでいなくてもゲインの高いアンテナ基板100となることがわかる。また、第2表面導体6は、アンテナ素子領域110の中心を通り第1の方向に伸びる第1中心線CL1と直交するものであるとゲインが高くなることがわかる。そして、第1中心線CL1と直交する第2表面導体6だけでなく、第2中心線CL2と直交する第2表面導体6も有していると、さらにゲインが高くなることがわかる。
実施例7の第2表面導体6の長さL=2mmに対して実施例13はL=1mm、実施例14はL=1.5mm、実施例15はL=3mm、実施例16はL=4mm、実施例17はL=5.99mmとした以外は同じであるアンテナ基板100とした。比較例、実施例7および実施例13〜実施例17のアンテナ基板100のゲインについて、ゲインと第2表面導体6の長さLについてまとめたグラフを図33に示す。第2表面導体6の長さL=0mmは第2表面導体6を有していない比較例である。
図33によれば、第2表面導体6の長さL=2.0mmである実施例7のゲインが最も高く、第2表面導体6の長さLが2.0mmより大きくても、小さくてもゲインは低下する。実施例7の第2表面導体6は、長さ方向の中心で中心線CL1,CL2と直交し、中心線CL1,CL2から端までの長さL/2=1.0mmでλ/4である。また、第2表面導体6の長さLが2.0mmより大きくなるとゲインは低下するが、L=4mmの実施例16のゲインよりもL=、5.99≒6.0mmの実施例17のゲインの方が高い。実施例17の第2表面導体6は中心線CL1,CL2から端までの長さL/2=3.0mmで3λ/4であり、λ/4の3倍の長さである。第2表面導体6の中心線CL1,CL2から端までの長さがλ/4の奇数倍であるとゲインが高くなることがわかる。実施例7(L/2=λ/4)よりも実施例17(L/2=3λ/4)の方が低いゲインとなったのは、第2表面導体6中を転送する際の損失によって反射波が弱まったためと思われる。例えば、アンテナ基板100の反りの調整のために第2表面導体6の長さを長くしたい場合に、ゲインの低下を抑えるのに有効である。
以上のことから、表面導体2の外側に第2表面導体6を設けることで、指向性が高く、
ゲインの大きいアンテナ基板100を得ることができるといえる。
1・・・誘電体基板
1a・・・誘電体層
11・・・第1の面
12・・・第2の面
2・・・表面導体
2a・・・開口
3・・・接地導体
3a・・・スロット
4・・・給電線路導体
4a・・・給電端
4b・・・先端
5・・・貫通導体
5a・・・層間導体
6・・・第2表面導体
7・・・電極
8・・・給電配線導体
8a・・・給電点
9・・・第2接地導体
100・・・アンテナ基板
110・・・アンテナ素子領域
111・・・第1アンテナ素子領域
120・・・アレイ部
121・・・第1の列
122・・・第2の列
130・・・搭載部
200・・・半導体素子
300・・・ミリ波通信モジュール

Claims (7)

  1. 複数の誘電体層が積層されてなり、第1の面および第2の面を有する誘電体基板と、
    該誘電体基板の第1の面に設けられ、高周波信号を送信または受信するための開口を有する表面導体、長さ方向が第1の方向であるスロットを有する接地導体、および長さ方向が前記第1の方向と直交する第2の方向である給電線路導体が、この順で、間に前記誘電体層を挟んで互いに対向して配置されており、前記開口に沿って周状に所定の間隔を空けて設けられ、前記誘電体層を貫通している複数の貫通導体によって、前記表面導体と前記接地導体とが電気的に接続されているアンテナ素子領域と、
    前記誘電体基板の前記第1の面に前記表面導体との間に間隔を空けて外側に設けられている帯状の第2表面導体とを備えているアンテナ基板。
  2. 前記高周波信号の自由空間波長をλとしたとき、前記第1の方向および前記第2の方向における前記アンテナ素子領域の中心から前記第2表面導体の内端までの距離はλ/4の奇数倍である請求項1に記載のアンテナ基板。
  3. 前記第2表面導体の幅はλ/4の奇数倍である請求項2に記載のアンテナ基板。
  4. 前記2表面導体は、前記アンテナ素子領域の中心を通り前記第1の方向に伸びる第1中心線と直交し、該第1中心線から前記第2表面導体の端までの長さがλ/4の奇数倍である請求項2または請求項3に記載のアンテナ基板。
  5. 前記アンテナ素子領域が、前記第1の方向および前記第2の方向のうち少なくとも一方に複数個接して配列されてアレイ部を構成しており、
    前記第2表面導体は前記アレイ部を取り囲んで配置されている請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のアンテナ基板。
  6. 前記誘電体基板の前記第1の面とは反対側の第2の面に半導体素子の搭載部を有している請求項5に記載のアンテナ基板。
  7. 請求項6に記載のアンテナ基板の前記搭載部に半導体素子が搭載されている通信モジュール。
JP2019055759A 2018-06-27 2019-03-23 アンテナ基板および通信モジュール Pending JP2020010314A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018122145 2018-06-27
JP2018122145 2018-06-27

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020010314A true JP2020010314A (ja) 2020-01-16

Family

ID=69152434

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019055759A Pending JP2020010314A (ja) 2018-06-27 2019-03-23 アンテナ基板および通信モジュール

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020010314A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113140892A (zh) * 2020-01-17 2021-07-20 深圳富泰宏精密工业有限公司 天线结构及具有该天线结构的无线通信装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113140892A (zh) * 2020-01-17 2021-07-20 深圳富泰宏精密工业有限公司 天线结构及具有该天线结构的无线通信装置
CN113140892B (zh) * 2020-01-17 2024-04-26 深圳富泰宏精密工业有限公司 天线结构及具有该天线结构的无线通信装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2021082988A1 (zh) 天线模组及电子设备
US6995710B2 (en) Dielectric antenna for high frequency wireless communication apparatus
US9190732B2 (en) Antenna device
CN109742525B (zh) 一种滤波天线
EP2899807A1 (en) Dual-polarized antenna
EP3664221A1 (en) Multiaxial antenna, wireless communication module, and wireless communication device
US20200106194A1 (en) Planar array antenna and wireless communication module
JP7417448B2 (ja) アンテナ基板およびアンテナモジュール
CN109004344B (zh) 应用于5g移动端的宽带天线
JP7067641B2 (ja) 平面アンテナ、平面アレイアンテナ、多軸アレイアンテナ、無線通信モジュールおよび無線通信装置
CN111987422B (zh) 一种超低剖面多频宽带天线及通信设备
JP5557652B2 (ja) アンテナ構造体およびアレイアンテナ
JP2005012554A (ja) アンテナ基板およびアンテナ装置
US9472857B2 (en) Antenna device
JP6949640B2 (ja) アレイアンテナ基板
CN113659325B (zh) 集成基片间隙波导阵列天线
JP7002406B2 (ja) アレイアンテナ基板および通信モジュール
WO2020198992A1 (zh) 一种假天线结构以及毫米波天线阵列
JP6867274B2 (ja) アレイアンテナ基板および通信モジュール
CN111478033B (zh) 一种齿轮型缝隙常规isgw漏波天线阵列
JP2020010314A (ja) アンテナ基板および通信モジュール
CN101227028A (zh) 基片集成波导的双频缝隙天线
TW202027337A (zh) 混合式多頻天線陣列
JP7382854B2 (ja) アンテナ素子及びアレイアンテナ
CN219350693U (zh) 毫米波多层介质基板背腔波蝶形天线