JP2020008111A - アクチュエータ装置 - Google Patents

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優佳 森川
Yuka Morikawa
優佳 森川
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Abstract

【課題】装置の部材点数を増大させることなく、装置の駆動時に移動させる作用点を、移動途中で非直線的に移動させることができるアクチュエータ装置を提供する。【解決手段】アクチュエータ装置11は、駆動回転するスプロケット14と、駆動時の作用点18が設定されると共にスプロケットと噛合可能な所定長さの第1噛合部37が連続形成された第1ユニット35と、直列に配置される第1ユニットに連結軸29Aを介して回動自在に連結されると共に所定長さの第2噛合部38が第1噛合部と連なるように連続形成された第2ユニット36と、を備え、第1ユニットと第2ユニットとは、スプロケットが位置する側への屈曲が許容されており、第1ユニットは、第1噛合部のスプロケットの歯部との噛合箇所が第1ユニットの長さ方向において連結軸が位置する端部側へと変位する途中で外力により連結軸を支点にスプロケットが位置する側へ揺動する。【選択図】図6

Description

本発明は、アクチュエータ装置に関する。
従来から、回転運動を進退運動に変換可能なアクチュエータ装置の一種として、例えば特許文献1に記載の車両のスライドドアの開閉駆動装置が知られている。この装置では、車両のスライドドアにプッシュプルチェーンの一端を連結すると共に、そのプッシュプルチェーンの長さ方向の一部をモーターからの駆動力で回転するスプロケットに噛合させている。そして、モーターからの駆動力に基づくスプロケットの駆動回転により、プッシュプルチェーンをスプロケットの接線方向に移動させることで、車両のスライドドアを開き位置と閉じ位置との間で一方向に往復移動させている。
特開2011−94426号公報
特許文献1では、アクチュエータ装置の一例である開閉駆動装置の駆動により動作する動作対象が開き位置と閉じ位置との間で一方向に往復移動する車両のスライドドアであるため、駆動時にスライドドアに対して作用点となるプッシュプルチェーンの一端を、スプロケットの接線方向に沿う一方向において直線的に移動させている。しかしながら、動作対象によっては、アクチュエータ装置において駆動時に移動させる作用点をその移動途中で非直線的に移動させたい場合もある。この場合、その作用点の移動方向をガイド機構によりガイドさせる構成にすると、ガイド機構の分だけ装置の部材点数を増大させてしまうという問題がある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置の部材点数を増大させることなく、装置の駆動時に移動させる作用点を移動途中で非直線的に移動させることができるアクチュエータ装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するアクチュエータ装置は、駆動源からの駆動力に基づき駆動回転するスプロケットと、駆動時の作用点が設定されると共に前記スプロケットの歯部と噛合可能な所定長さの第1噛合部が一方向に連続形成された第1ユニットと、前記第1ユニットに対して直列に配置され且つ当該第1ユニットに対して直列方向で隣り合う端部同士が連結軸を介して回動自在に連結されると共に前記スプロケットの歯部と噛合可能な所定長さの第2噛合部が前記第1噛合部と連なるように一方向に連続形成された第2ユニットと、を備え、前記第1ユニットと前記第2ユニットとは、前記連結軸を支点にして、前記スプロケットが位置する側への屈曲が許容されており、前記第1ユニットは、駆動時に前記第1噛合部における前記スプロケットの前記歯部と噛合した噛合箇所が前記第1噛合部の長さ方向において前記連結軸が位置する側へと変位する途中で、外力により前記連結軸を支点にして前記スプロケットが位置する側へ揺動するように構成されている。
この構成によれば、スプロケットの歯部に第1噛合部を噛合させた状態で第1ユニット及び第2ユニットをスプロケットの駆動回転に伴い第1ユニットが先行する方向へ移動させると、第1噛合部におけるスプロケットの歯部との噛合箇所が第1噛合部の長さ方向において連結軸が位置する側へと変位する。そして、そのように噛合箇所が第1噛合部の長さ方向において連結軸が位置する側へと変位する途中で、第1ユニットは、外力を受けて第1ユニットと第2ユニットとの屈曲を許容されたスプロケットが位置する側に揺動する。その際、第1ユニットの揺動角度は、第1噛合部におけるスプロケットの歯部との噛合箇所が第1噛合部の長さ方向で連結軸が位置する側に近づくほど大きくなる。したがって、第1ユニットは、その揺動角度を増大させながら湾曲形状を描くように移動することになり、その第1ユニットに設定された作用点の移動態様を移動途中に非直線的な移動態様にすることが可能となる。
上記アクチュエータ装置において、前記スプロケットは、前記駆動回転の途中で、その回転を停止可能に構成されていることが好ましい。
この構成によれば、スプロケットの駆動回転で当該スプロケットの歯部に第1噛合部を噛合させた第1ユニットが揺動し始めた時点で、そのスプロケットの駆動回転の停止タイミングを任意に変化させることにより、第1ユニットの揺動角度を任意に調整できる。したがって、第1ユニットに設定される作用点の移動位置も任意に調整できる。
上記アクチュエータ装置において、前記外力は重力であり、前記スプロケットは重力の方向と交差する方向に延びる軸線を中心にして回転するように構成されていることが好ましい。
この構成によれば、重力を外力として利用するため、作用点が設定された第1ユニットを、簡単な構成で移動途中に揺動させることができる。
上記アクチュエータ装置において、前記外力は付勢部材の付勢力であり、前記第1ユニットと前記第2ユニットとは、前記付勢部材によって前記連結軸を支点にして前記スプロケットが位置する側へと屈曲するように付勢されていることが好ましい。
この構成によれば、スプロケットの回転中心となる軸線の方向と付勢部材による付勢力が作用する方向を調整することにより、第1ユニットが揺動する方向を重力方向以外の方向に設計することが可能となる。
上記アクチュエータ装置において、前記スプロケットの駆動回転に伴い前記第1ユニットと前記第2ユニットとが前記第1ユニットを先行させて移動する側とは前記スプロケットを基準として反対側となる位置には、直列に連結された前記第1ユニットと前記第2ユニットとを前記スプロケットの接線方向に沿って摺動可能にガイドするガイド部材が配置されていることが好ましい。
この構成によれば、スプロケットの駆動回転に伴って第1ユニット及び第2ユニットを第1ユニットが先行するように移動させるときに、第1ユニットと第2ユニットとが不用意に屈曲する等の不審な挙動をすることをガイド部材により抑制できる。
本発明によれば、装置の部材点数を増大させることなく、装置の駆動時に移動させる作用点を移動途中で非直線的に移動させることができる。
アクチュエータ装置の一実施形態について、その全体概要を示す斜視図。 第1ユニットの一部を分解して示す斜視図。 スプロケットと第1ガイド部材の位置関係を拡大して示す正面図。 アクチュエータ装置の駆動直前状態を示す正面図。 アクチュエータ装置の駆動途中状態を示す正面図。 図4の状態よりも後のアクチュエータ装置の駆動途中状態を示す正面図。 図5の状態よりも後のアクチュエータ装置の駆動途中状態を示す正面図。 第1変形例のアクチュエータ装置の全体概要を示す正面図。 第2変形例のアクチュエータ装置の全体概要を示す正面図。 第3変形例のアクチュエータ装置の全体概要を示す正面図。 第4変形例のアクチュエータ装置の全体概要を示す正面図。
以下、アクチュエータ装置の一実施形態について、図を参照して説明する。
図1に示すように、アクチュエータ装置11は、駆動源の一例であるモーター12と、モーター12の出力軸13に固定されたスプロケット14と、スプロケット14の駆動回転に伴い長さ方向に進退移動する長尺状の移動ユニット15と、を備えている。モーター12は、その回転中心となる出力軸13の軸線Pが水平方向に延びるように配置されている。そして、このモーター12は、その駆動回転の途中で当該回転を適宜のタイミングで停止制御可能とされている。スプロケット14は、モーター12の出力軸13と一体的に回転可能であり、その外周には周方向の全体に亘って等間隔で連続する複数の歯部16を有している。
移動ユニット15は、その長さ方向の一端(図1では右端)にアクチュエータ装置11の駆動により動作させる動作対象17に対する作用点18が設定されている。すなわち、このアクチュエータ装置11は、モーター12の駆動力に基づくスプロケット14の駆動回転に伴い所定長さの移動ユニット15が長さ方向に進退移動することで、移動ユニット15の一端に設定した作用点18が移動し、動作対象17に作用点18の移動態様に応じた動作をさせるように構成されている。なお、図1には、作用点18の移動態様に応じた動作を行う動作対象17の一例として、水平姿勢のままで作用点18と共に変位動作する可動シャフトを二点鎖線で示しているが、動作対象17としては、可動シャフト以外に、可動扉やロボットアームなど様々な可動部材が適用可能である。
図1に示すように、本実施形態の移動ユニット15は、所定長さのチェーン19と、チェーン19に対してその長さ方向に沿うようにして固定される第1アタッチメント20と第2アタッチメント21を備えている。第1アタッチメント20と第2アタッチメント21は両者の合計長さがチェーン19の全長と略同じの定形性を有する所定長さの角柱部材である。チェーン19の長さ方向の一端側に、第1アタッチメント20が固定されると共に、チェーン19の長さ方向の他端側に、第2アタッチメント21が第1アタッチメント20と直列配置となるように固定されている。
図2に示すように、チェーン19は、その幅方向Yにおいて対向する2つの内リンクプレート22を含んで構成される内リンク23と、同じく対向する2つの外リンクプレート24,24Aを含んで構成される外リンク25とを備えている。内リンク23は対向する2つの内リンクプレート22間の間隔が外リンク25よりも相対的に狭いリンクであり、外リンク25は対向する2つの外リンクプレート24,24A間の間隔が内リンク23よりも相対的に広いリンクである。そして、チェーン19は、これらの内リンク23と外リンク25が交互に配置され、その直列方向Xで隣り合う互いの端部同士が回動自在に順次に連結されることで、所定長さに形成されている。
内リンクプレート22の両端部には、それぞれ円形のブシュ挿入孔26が内リンクプレート22の厚さ方向ともなる幅方向Yに貫通するように形成されている。内リンク23において対向する2つの内リンクプレート22間には、内リンクプレート22間の距離を保つように、円筒状のブシュ27がそれぞれ組み付けられる。各ブシュ27は、対向する2つの内リンクプレート22間を橋架するように、両端部が各内リンクプレート22のブシュ挿入孔26に対してそれぞれ挿嵌されている。各ブシュ27は、円筒状のローラー28に挿通されており、各ローラー28を回転可能に支持している。すなわち、各ブシュ27は、各ローラー28に遊嵌されている。
外リンクプレート24,24Aの両端部には、それぞれブシュ27の内径よりも若干小さい外径を有する円柱状のピン29を挿嵌可能な円形のピン挿入孔30が外リンクプレート24,24Aの厚さ方向ともなる幅方向Yに貫通するように形成されている。そして、外リンク25の外リンクプレート24,24Aは、ブシュ27が2つの内リンクプレート22間に組み付けられて形成された内リンク23における内リンクプレート22の外側から円柱状のピン29を介して内リンク23の内リンクプレート22に回動自在に連結される。
チェーン19において、外リンク25を構成する2つの外リンクプレート24,24Aのうちで幅方向Yの一方側(図1及び図2では手前側)の外リンクプレート24Aは、他方側(図1及び図2では奧側)の外リンクプレート24とは、その外形が異なっている。すなわち、この一方側(手前側)の外リンクプレート24Aは、直列方向Xで隣り合う他の外リンクプレート24Aと対向する側縁部31が、直列方向Xともピン29の軸方向とも直交する方向(図1及び図2では上方向)へ直線的に延びた形状をしている。
さらに、この外リンクプレート24Aにおけるピン29が偏って位置する側とは反対側(図1及び図2では上方側)の辺には孔32を有する突片部33が設けられている。
一方、第1アタッチメント20及び第2アタッチメント21には外リンクプレート24Aの孔32に対応する孔34が各々形成されており、第1アタッチメント20及び第2アタッチメント21は、互いに位置合わせされた孔32,34に図示しない取付ピンが挿嵌されることで、チェーン19に固定される。因みに、本実施形態では、角柱状の第1アタッチメント20及び第2アタッチメント21は、その幅方向Yの寸法がチェーン19における内リンク23の幅方向Yの寸法と略同じとされているが、必ずしも略同じである必要はない。例えば、内リンク23よりも幅広なアタッチメントに溝や凸部を設け、それらの溝や凸部を利用してアタッチメントを固定するようにしてもよい。
図1及び図2に示すように、チェーン19の長さ方向の一端側に第1アタッチメント20が固定されることにより、チェーン19における一端側の所定長さの部分と第1アタッチメント20とで、一定の長さを有し且つその長さ方向の一端側に駆動時の作用点18を設定した第1ユニット35が構成されている。因みに、本実施形態では、チェーン19の長さ方向の一端に先端リンクとして位置する1つの内リンク23により作用点18が構成されている。また、チェーン19の長さ方向の他端側に第2アタッチメント21が固定されることにより、チェーン19における他端側の所定長さの部分と第2アタッチメント21とで、一定の長さを有し且つその長さ方向の一端が第1ユニット35の他端に対して回動自在に連結される第2ユニット36が構成されている。
第1ユニット35と第2ユニット36とは、チェーン19において長さ方向に交互に並ぶ複数の内リンク23及び外リンク25のうち、第1ユニット35において長さ方向の他端に位置する1つの外リンク25と第2ユニット36において長さ方向の一端に位置する内リンク23とがピン状の連結軸29Aを介して回動自在に連結されている。すなわち、第1ユニット35と第2ユニット36とは、連結軸29Aを支点にして長さ方向と交差する方向でスプロケット14が位置する側に屈曲可能とされている。そして、このように直列に配置された状態で、連結軸29Aを介して回動自在に連結された第1ユニット35と第2ユニット36とにより、1つの長尺状の移動ユニット15が構成される。
この場合、チェーン19のうち、第1ユニット35において第1アタッチメント20が固定される所定長さ部分において長さ方向に一定間隔おきに位置する複数のローラー28により、第1ユニット35の長さ方向の他端から一端側に向けて連続形成され、スプロケット14の歯部16と噛合可能とされる第1噛合部37が構成されている。同様に、チェーン19のうち、第2ユニット36において第2アタッチメント21が固定される所定長さ部分において長さ方向に一定間隔おきに位置する複数のローラー28により、第2ユニット36の長さ方向の一端から他端側に向けて連続形成され、スプロケット14の歯部16と噛合可能とされる第2噛合部38が構成されている。
図1に示すように、スプロケット14の駆動回転に伴い第1ユニット35と第2ユニット36とが第1ユニット35を先行させて作用点18を押し出すように移動する側(図1では右端側)とは反対側となる位置には、所定長さの第1ガイド部材39と第2ガイド部材40が平行に配置されている。第1ガイド部材39と第2ガイド部材40は、移動ユニット15において直列に連結された第1ユニット35と第2ユニット36とに長さ方向と直交する方向(図1では上下方向)の両側から接触することで、第1ユニット35と第2ユニット36とをスプロケット14の接線方向に沿って摺動可能にガイドする。
すなわち、図1において第1ユニット35及び第2ユニット36を長さ方向と直交する方向から挟んでスプロケット14とは反対側の上側に位置する第1ガイド部材39の下縁には、その長さ方向に沿って下側に凸となる第1凸条部41が形成されている。そして、この第1ガイド部材39の第1凸条部41と対応するように、第1ユニット35における第1アタッチメント20の上縁部には、その長さ方向に沿って長溝状の第1凹条部42が形成され、第2ユニット36における第2アタッチメント21の上縁部には、その長さ方向に沿って長溝状の第2凹条部43が形成されている。一方、図1において第1ユニット35及び第2ユニット36を長さ方向と直交する方向から挟んでスプロケット14が位置する側となる下側に位置する第2ガイド部材40の上縁には、その長さ方向に沿って上側に凸となる第2凸条部44が形成されている。
第1凸条部41の厚さは、第1凹条部42及び第2凹条部43の溝幅と略同じであり、第1ユニット35と第2ユニット36は、第1ガイド部材39により移動方向にガイドされるとき、第1凹条部42及び第2凹条部43に第1凸条部41が挿入された状態で摺動する。また、第2凸条部44の厚さは、チェーン19における内リンク23の対向する内リンクプレート22同士の間隔と略同じであり、第1ユニット35と第2ユニット36は、第2ガイド部材40により移動方向にガイドされるとき、チェーン19における内リンク23の対向する内リンクプレート22同士の間に第2凸条部44が挿入された状態で摺動する。
図3に示すように、スプロケット14の駆動回転に伴い第1ユニット35及び第2ユニット36が第1ユニット35を先行させて移動する方向を前方とした場合、スプロケット14の軸線Pの方向から見て、第1ガイド部材39の一端(この場合、右端)は、同図に一点鎖線で示すスプロケット14の軸線Pの位置よりも、前方に位置している。ここで、スプロケット14の歯部16に第1噛合部37及び第2噛合部38を噛合させて第1ユニット35及び第2ユニット36がスプロケット14の駆動回転に伴い前方に移動するときには、第1ユニット35及び第2ユニット36は、それらの第1噛合部37及び第2噛合部38がスプロケット14の歯部16に押されて上方に逃げようとする。そのため、そのような上方への逃げを抑制するために、本実施形態では、図3に示すように、第1ガイド部材39の一端をスプロケット14の軸線Pの位置よりも前方に位置させている。
次に、上記のように構成されたアクチュエータ装置11の作用について説明する。
さて、図4に示すように、アクチュエータ装置11の駆動停止状態では、第1ユニット35と第2ユニット36が、スプロケット14の接線方向における水平方向に沿って直線状の連なった状態で、第1ガイド部材39と第2ガイド部材40とに長さ方向と直交する方向の両側から挟持される。そのため、下側に位置する第2ガイド部材40により下方に垂れるのを抑制された状態で、第1ユニット35及び第2ユニット36は、第1ユニット35の第1噛合部37をスプロケット14の歯部16に噛合させた状態で駆動開始を待機する。
そして、その状態からモーター12の駆動力に基づきスプロケット14が駆動時の回転方向(図4では時計方向)に駆動回転すると、そのスプロケット14の歯部16に第1噛合部37を噛合させている第1ユニット35が、作用点18の設定されたその長さ方向の一端側に向けて移動する。そのため、第1ユニット35及び第2ユニット36は、直線状に連なった状態のままでスプロケット14の接線方向における水平方向に沿って、先行する第1ユニット35の作用点18を押し出すように長さ方向の一端側へと移動する。すると、第1ユニット35の第1噛合部37においては、回転するスプロケット14の歯部16との噛合箇所が長さ方向の一端側から連結軸29Aが位置する他端側(図4等では、右端側から左端側)へと変位する。
そして、図5に示すように、第1ユニット35の第1噛合部37におけるスプロケット14の歯部16との噛合箇所が第1ユニット35の長さ方向の他端近くまで変位すると、第1ユニット35は、上側の第1ガイド部材39とは長さ方向の他端近くの僅かな長さで接触状態を維持しているものの、下側の第2ガイド部材40との接触状態は解消される。そして、この状態においては、連結軸29Aを支点として第1ユニット35の長さ方向の一端側(作用点18が設定された側)に重力によるモーメントが働くようになる。
そして、図6に示すように、スプロケット14がさらに駆動回転すると、第1ユニット35の第1噛合部37におけるスプロケット14の歯部16との噛合箇所が第1ユニット35の長さ方向の他端(連結軸29Aの位置)まで至り、その時点で、第1ユニット35は、上側の第1ガイド部材39との接触状態も解消される。そして、その時点では、スプロケット14が駆動時の回転方向にさらに回転しているため、第1ユニット35の第1噛合部37に噛合している歯部16の位置もスプロケット14の周方向で回転方向前側(この場合は時計方向前側)に変位し、第1ユニット35は、作用点18が設定された長さ方向の一端側がモーメントの働きで揺動する。
そして、図7に示すように、スプロケット14がさらに駆動回転すると、スプロケット14の歯部16は、第2ユニット36の第2噛合部38にも噛合するようになる。なお、第2ユニット36は、このときも上側の第1ガイド部材39と下側の第2ガイド部材40とに両側から挟持された状態にあるため、第1ユニット35とは異なり、その長さ方向の一端側が揺動することはない。その一方で、第1ユニット35は、第1噛合部37におけるスプロケット14の歯部16との噛合箇所がスプロケット14の周方向で回転方向前側(この場合は時計方向前側)にさらに変位するため、その長さ方向の一端側の揺動角度をさらに大きくして揺動する。
以上のように、第1ユニット35は、その長さ方向の一端側が外力の一例としての重力を受けて第1ユニット35と第2ユニット36との屈曲を許容された方向(スプロケット14と噛合する方向)に揺動する。そして、その際において、第1ユニット35の一端側の揺動角度は、図5〜図7に示されるように、第1噛合部37におけるスプロケット14の歯部16との噛合箇所が第1ユニット35の長さ方向の他端(この場合、連結軸29Aが位置する左端)に近づくほど大きくなる。
換言すると、第1ユニット35は、スプロケット14の駆動回転に伴い、その長さ方向の一端側の揺動角度を増大させながら湾曲形状を描くように移動する。そのため、図7において二点鎖線で示すように、第1ユニット35の一端側に設定した駆動時の作用点18は、その移動態様を、駆動開始に伴う移動当初の直線的な移動態様から移動途中に下方へ湾曲する非直線的な移動態様に変化させる。したがって、例えば図7に示すように、アクチュエータ装置11における作用点18の移動方向の前方に障害となる壁面45が存在し、第1ユニット35及び第2ユニット36が直線状に連なったまま直線的に最後まで移動すると壁面45に突き当たってしまう虞がある場合でも、移動軌跡を途中から非直線的にすることで、そのような虞を回避できる。
上記の実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1ユニット35は、その長さ方向の一端側の揺動角度を増大させながら湾曲形状を描くように移動する。そのため、その長さ方向の一端側に設定した作用点18の移動態様を、部材点数の増大となるガイド機構を設けなくても、移動途中に非直線的な移動態様にすることができる。
(2)スプロケット14の駆動回転時にスプロケット14の歯部16に第1噛合部37を噛合させた第1ユニット35の長さ方向の一端側が揺動し始めた時点で、スプロケット14の駆動回転の停止タイミングを任意に変化させることで、第1ユニット35の揺動角度を任意に調整できる。したがって、スプロケット14の回転角度の調整により第1ユニット35の揺動角度を調整し、そのような第1ユニット35に設定される作用点18の移動位置も任意に調整できる。
(3)このアクチュエータ装置11では、第1ユニット35を揺動させるときに重力を外力として利用するため、作用点18が設定された第1ユニット35を簡単な構成で移動途中に揺動させることができる。
(4)スプロケット14の駆動回転に伴って第1ユニット35及び第2ユニット36を長さ方向に沿って移動させるときに、第1ユニット35と第2ユニット36とが不用意に屈曲する等の不審な挙動をすることを第1ガイド部材39と第2ガイド部材40とで抑制できる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。また、以下の変更例は、適宜組み合わせてもよい。
・図8に示す第1変形例のように、第1ユニット35と第2ユニット36を連結軸29Aで回動自在に連結された第1ラック部材46と第2ラック部材47とで構成してもよい。この場合、第1ラック部材46の歯部により第1噛合部37が構成され、第2ラック部材47の歯部により第2噛合部38が構成される。また、第1ラック部材46と第2ラック部材47とは、連結軸29Aを支点として、スプロケット14と噛合する側に屈曲可能である。このように構成した場合でも、実施形態における上記(1)〜(4)とほぼ同様の効果を得ることができる。
・図9に示す第2変形例のように、第1ユニット35と第2ユニット36、及び、第1ガイド部材39と第2ガイド部材40を、円弧状に形成してもよい。この場合、第1ユニット35及び第2ユニット36における第1アタッチメント20及び第2アタッチメント21も同様に円弧状に形成される。このように構成した場合には、駆動停止状態時における第1ユニット35と第2ユニット36の収納スペースを、直線状の収納スペース以外の円弧状の収納スペースで構成することができると共に、駆動開始当初から作用点18の移動態様を非直線的な移動態様にできる。
・図10に示す第3変形例のように、第1ユニット35における第1アタッチメント20の少なくとも一端側の部分をゴム材等の弾性変形可能な材質にしてもよい。このように構成した場合には、図10に示すように壁面45に設けられたタッチスイッチ48を第1アタッチメント20の先端を弾性変形させることによりソフトなタッチで押すことができる。また、この場合、第1アタッチメント20の弾性変形に追従して、チェーン19は変形可能であるため、円滑にアクチュエータ装置11を駆動できる。
・図11に示す第4変形例のように、第1ユニット35の他端部と第2ユニット36の一端部との間に連結軸29Aに巻き掛けた捩りコイルバネ等からなる付勢部材49を設け、この付勢部材49の付勢力で第1ユニット35と第2ユニット36とを連結軸29Aを支点にしてスプロケット14と噛合する一方側に屈曲するように付勢してもよい。このように構成した場合には、重力を外力とするのではなく、付勢部材49の付勢力を外力として利用するため、スプロケット14の回転中心となる軸線の方向と付勢部材49による付勢力が作用する方向を調整することにより、第1ユニット35の一端側が揺動する方向を重力方向以外の方向に設計することが可能となる。
・第1ユニット35に設定される作用点18は、チェーン19の最先端の内リンク23で構成する以外に、チェーン19における他の内リンク23や外リンク25、第1アタッチメント20の一部又はその全体、第1アタッチメント20に取り付けられる別部材、など様々な態様で構成することも可能である。
・第1アタッチメント20と第2アタッチメント21が直列配置で固定されるチェーン部材は、実施形態のチェーン19に限らず、例えば外リンク25も内リンク23と同様に幅方向で対向するリンクプレート同士が同一形状で長さ方向と直交する方向の両方向に屈曲可能な汎用のローラーチェーンであってもよい。この場合も、スプロケット14の駆動回転に伴い第1ユニット35は揺動角度を増大させながら湾曲形状を描くように移動できるため、その移動途中に作用点18を非直線的に移動させることができる。
・第1ユニット35を揺動させる際の外力を重力とする場合、スプロケット14の軸線Pは、重力の方向以外の方向に沿っているならば、水平方向以外の方向に沿っていてもよい。このようにした場合、スプロケット14の駆動回転に伴い、第1ユニット35と第2ユニット36を移動当初において水平方向以外の斜め方向に移動させることも可能とされる。
・第1ガイド部材39及び第2ガイド部材40は、スプロケット14の接線方向に所定間隔をおいて並ぶ複数のローラーで構成してもよい。なお、その場合も複数のローラーのうち最も前方に位置するローラーの中心は、スプロケット14の軸線Pよりも前方に位置していることが好ましい。
・図11の第4変形例において設けた付勢部材49を、図1〜図7に記載の実施形態のアクチュエータ装置11に追加してもよい。このようにすれば、第1ユニット35の一端側を揺動させるための外力が重力に加えて付勢部材49の付勢力も加わるため、強い力で揺動運動をさせることができる。
・図11の第4変形例において、スプロケット14が水平方向以外の例えば上下方向に沿う軸線を中心にして駆動回転するようにしてもよい。
・第1ユニット35の一端側を揺動させる外力として磁力を利用してもよい。
・第1ガイド部材39及び第2ガイド部材40における長さ方向の一端側と他端側との両方の位置にスプロケット14を配置し、移動ユニット15を構成する第1ユニット35と第2ユニット36の前進移動と後退移動とで異なる方向に、両端に設けた作用点18を移動させるようにしてもよい。
・移動ユニット15は、第1ユニット35及び第2ユニット36に第3ユニットを更に加えて二箇所で屈曲するようにしてもよい。
11…アクチュエータ装置、12…モーター(駆動源)、14…スプロケット、16…歯部、18…作用点、29A…連結軸、35…第1ユニット、36…第2ユニット、37…第1噛合部、38…第2噛合部、49…付勢部材、P…軸線。

Claims (5)

  1. 駆動源からの駆動力に基づき駆動回転するスプロケットと、
    駆動時の作用点が設定されると共に前記スプロケットの歯部と噛合可能な所定長さの第1噛合部が一方向に連続形成された第1ユニットと、
    前記第1ユニットに対して直列に配置され且つ当該第1ユニットに対して直列方向で隣り合う端部同士が連結軸を介して回動自在に連結されると共に前記スプロケットの歯部と噛合可能な所定長さの第2噛合部が前記第1噛合部と連なるように一方向に連続形成された第2ユニットと、
    を備え、
    前記第1ユニットと前記第2ユニットとは、前記連結軸を支点にして、前記スプロケットが位置する側への屈曲が許容されており、
    前記第1ユニットは、駆動時に前記第1噛合部における前記スプロケットの前記歯部と噛合した噛合箇所が前記第1噛合部の長さ方向において前記連結軸が位置する側へと変位する途中で、外力により前記連結軸を支点にして前記スプロケットが位置する側へ揺動するように構成されていることを特徴とするアクチュエータ装置。
  2. 前記スプロケットは、前記駆動回転の途中で、その回転を停止可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ装置。
  3. 前記外力は重力であり、前記スプロケットは重力の方向と交差する方向に延びる軸線を中心にして回転するように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアクチュエータ装置。
  4. 前記外力は付勢部材の付勢力であり、前記第1ユニットと前記第2ユニットとは、前記付勢部材によって前記連結軸を支点にして前記スプロケットが位置する側へと屈曲するように付勢されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアクチュエータ装置。
  5. 前記スプロケットの駆動回転に伴い前記第1ユニットと前記第2ユニットとが前記第1ユニットを先行させて移動する側とは前記スプロケットを基準として反対側となる位置には、直列に連結された前記第1ユニットと前記第2ユニットとを前記スプロケットの接線方向に沿って摺動可能にガイドするガイド部材が配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載のアクチュエータ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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