JP2020008102A - ステアリング装置 - Google Patents
ステアリング装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2020008102A JP2020008102A JP2018130478A JP2018130478A JP2020008102A JP 2020008102 A JP2020008102 A JP 2020008102A JP 2018130478 A JP2018130478 A JP 2018130478A JP 2018130478 A JP2018130478 A JP 2018130478A JP 2020008102 A JP2020008102 A JP 2020008102A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- tie rod
- housing
- side bellows
- ball joint
- boot
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Sealing Devices (AREA)
- Diaphragms And Bellows (AREA)
- Pivots And Pivotal Connections (AREA)
Abstract
【課題】ブーツの摩耗を抑制すること。【解決手段】ブーツ5は、ラック88bの中立位置において、ハウジング10からボールジョイント3の端まで凸部53Aaと凹部53Abが交互に連なるハウジング側蛇腹部53Aと、ボールジョイント3の端からタイロッド89側に向けて凸部53B2a,53B1aと凹部53B2b,53B1bが交互に連なるタイロッド側蛇腹部53Bと、で構成されており、タイロッド側蛇腹部53Bが、ハウジング側蛇腹部53Aよりも肉厚TBが薄く形成されている。【選択図】図3
Description
本発明は、ステアリング装置に関する。
車両は、運転する操作者のステアリングホイールに対する操作を車輪に伝えるための装置としてステアリング装置が設けられている。ラックアンドピニオン式のステアリング装置においては、ステアリングホイールの回転が伝達されるステアリング軸にピニオンが接続され、このピニオンにラックが噛み合っている。ラックは、車両の左右方向に延在し、ピニオンと共にハウジングに支持されており、各端部がハウジングを貫通するように設けられて左右の車輪に連結されている。そして、ラックは、ステアリングホイールの回転に伴うピニオンの回転に従って車両の左右方向に移動することで、車輪の向きを変化させる。ラックは、各端部にそれぞれボールジョイントが取り付けられ、各ボールジョイントを介してタイロッドが車両の左右方向にそれぞれ延在して車輪に連結するように設けられている。ボールジョイントは、ブーツで覆われている。ブーツは、蛇腹形状により、ラックの移動に伴って伸縮が可能で、かつボールジョイントを介したタイロッドの揺動に伴って湾曲が可能に構成されている。一般的に使用されるブーツの材料としては、エチレンプロピレンゴムやオレフィン系エラストマーが採用されている。
このような、ラックアンドピニオン式のステアリング装置のブーツは、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に示されるブーツは、蛇腹部と、この蛇腹部の一端に形成されて、ハウジングの外周面に固定される第一取付部と、蛇腹部の他端に形成されて、タイロッドの外周面に固定される第二取付部とを備え、蛇腹部が、ステアリングラックとタイロッドの結合部であるボールジョイントの外周側となる部分で他の部分よりも相対的に薄肉である。
特許文献1に記載のブーツでは、蛇腹部は、ボールジョイントの外周側の肉厚が最も薄くなっている部分において大きく屈曲し、この部分の圧縮側の内周が、ボールジョイントのソケットの外周面に近接または当接する。このため、ブーツの内周面とボールジョイントとの間で摩擦が生じ、長期間に亘って使用された場合、ブーツの摩耗する可能性がある。
また、ブーツは、タイロッドが揺動することによってタイロッドの揺動方向に沿って湾曲するが、ボールジョイントからハウジング側では、タイロッドの揺動方向の反対側がボールジョイントに近づくように凹んで変形し、ブーツ全体としてS字形状に湾曲することがある。この場合、ブーツの内周面とボールジョイントとの間の摩擦が生じ易くなる。
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、ブーツの摩耗を抑制することのできるステアリング装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本開示の一態様のステアリング装置は、筒状のハウジングと、前記ハウジングを貫通して延在する軸方向に移動可能に設けられるラックと、前記ラックの端部に配置されるボールジョイントと、前記ボールジョイントを介して前記ラックに対し揺動可能に設けられるタイロッドと、前記ボールジョイントを覆うブーツと、を備え、前記ブーツは、前記ラックの中立位置において、前記ハウジングから前記ボールジョイントの端まで凸部と凹部が交互に連なるハウジング側蛇腹部と、前記ボールジョイントの端から前記タイロッド側に向けて凸部と凹部が交互に連なるタイロッド側蛇腹部と、で構成されており、前記タイロッド側蛇腹部が、前記ハウジング側蛇腹部よりも肉厚が薄く形成されている。
これにより、ラックの中立位置において、タイロッドがラックの軸方向に対して径方向に傾くように揺動した場合に、ハウジング側蛇腹部よりもタイロッド側蛇腹部が大きく変形し、ボールジョイントの変曲点よりもタイロッド寄りで曲がるため、ブーツがボールジョイントの外周面に摺接する事態を低減することができる。タイロッドの揺動が無いまたは極めて小さい場合では、ハウジング側蛇腹部が変形し難いことから、車両の走行時の振動によりブーツ全体の位置が大きく変化することが抑制されるため、ブーツがボールジョイントの外周面に摺接する事態を低減することができる。ラックが中立位置よりもタイロッド側に伸長した場合では、ハウジング側蛇腹部が変形し難く、タイロッド側蛇腹部が大きく変形することで、ボールジョイントの変曲点がタイロッド側蛇腹部を超えることはない。このため、この状態でタイロッドが揺動したとしても、ブーツは、ハウジング側蛇腹部よりもタイロッド側蛇腹部が大きく変形して、ボールジョイントの変曲点よりもタイロッド寄りで曲がるため、ブーツがボールジョイントの外周面に摺接する事態を低減することができる。ラックが中立位置よりもハウジング側に縮小した場合では、ボールジョイントがハウジング側蛇腹部の範囲で移動する。このため、この状態でタイロッドが揺動したとしても、ブーツは、ハウジング側蛇腹部よりもタイロッド側蛇腹部が大きく変形して、ボールジョイントの変曲点よりもタイロッド寄りで曲がるため、ブーツがボールジョイントの外周面に摺接する事態を低減することができる。また、ハウジング側蛇腹部が変形し難いことから、ラックが中立位置よりもハウジング側に縮小した時に、ブーツがボールジョイントとハウジングとによって挟み込まれることが抑制される。この結果、ステアリング装置は、ブーツの摩耗を抑制できる。
上記のステアリング装置の望ましい態様として、前記タイロッド側蛇腹部は、前記タイロッドから前記ボールジョイント側に連なる第一タイロッド側蛇腹部と、前記第一タイロッド側蛇腹部と接続するように前記ボールジョイントの端から前記タイロッド側に向けて連なる第二タイロッド側蛇腹部とを有し、前記第二タイロッド側蛇腹部が、前記ハウジング側蛇腹部よりも肉厚が薄く形成されている。
これにより、ラックの中立位置において、タイロッドがラックの軸方向に対して径方向に傾くように揺動した場合に、ハウジング側蛇腹部よりも第二タイロッド側蛇腹部が大きく変形し、ボールジョイントの変曲点よりもタイロッド寄りであって、ボールジョイントの端の近傍で曲がるため、ブーツがボールジョイントの外周面に摺接する事態をより低減することができる。タイロッドの揺動が無いまたは極めて小さい場合では、ハウジング側蛇腹部が変形し難いことから、車両の走行時の振動によりブーツ全体の位置が大きく変化することが抑制されるため、ブーツがボールジョイントの外周面に摺接する事態を低減することができる。ラックが中立位置よりもタイロッド側に伸長した場合では、ハウジング側蛇腹部が変形し難く、第二タイロッド側蛇腹部が大きく変形することで、ボールジョイントの変曲点が第二タイロッド側蛇腹部を超えることはない。このため、この状態でタイロッドが揺動したとしても、ブーツは、ハウジング側蛇腹部よりも第二タイロッド側蛇腹部が大きく変形して、ボールジョイントの変曲点よりもタイロッド寄りであって、ボールジョイントの端の近傍で曲がるため、ブーツがボールジョイントの外周面に摺接する事態をより低減することができる。ラックが中立位置よりもハウジング側に縮小した場合では、ボールジョイントがハウジング側蛇腹部の範囲で移動する。このため、この状態でタイロッドが揺動したとしても、ブーツは、ハウジング側蛇腹部よりも第二タイロッド側蛇腹部が大きく変形して、ボールジョイントの変曲点よりもタイロッド寄りであって、ボールジョイントの端の近傍で曲がるため、ブーツがボールジョイントの外周面に摺接する事態をより低減することができる。また、ハウジング側蛇腹部が変形し難いことから、ラックが中立位置よりもハウジング側に縮小した時に、ブーツがボールジョイントとハウジングとによって挟み込まれることが抑制される。この結果、ステアリング装置は、ブーツの摩耗を抑制できる。
上記のステアリング装置の望ましい態様として、前記第二タイロッド側蛇腹部が、前記第一タイロッド側蛇腹部よりも肉厚が薄く形成されている。
これにより、ラックの中立位置において、タイロッドがラックの軸方向に対して径方向に傾くように揺動した場合に、ハウジング側蛇腹部及び第一タイロッド側蛇腹部よりも第二タイロッド側蛇腹部が大きく変形し、ボールジョイントの変曲点よりもタイロッド寄りであって、ボールジョイントの端の近傍で積極的に曲がるため、ブーツがボールジョイントの外周面に摺接する事態をより低減することができる。タイロッドの揺動が無いまたは極めて小さい場合では、ハウジング側蛇腹部及び第一タイロッド側蛇腹部が変形し難いことから、車両の走行時の振動によりブーツ全体の位置が大きく変化することが抑制されるため、ブーツがボールジョイントの外周面に摺接する事態を低減することができる。ラックが中立位置よりもタイロッド側に伸長した場合では、ハウジング側蛇腹部及び第一タイロッド側蛇腹部が変形し難く、第二タイロッド側蛇腹部が大きく変形することで、ボールジョイントの変曲点が第二タイロッド側蛇腹部を超えることはない。このため、この状態でタイロッドが揺動したとしても、ブーツは、ハウジング側蛇腹部及び第一タイロッド側蛇腹部よりも第二タイロッド側蛇腹部が大きく変形して、ボールジョイントの変曲点よりもタイロッド寄りであって、ボールジョイントの端の近傍で積極的に曲がるため、ブーツがボールジョイントの外周面に摺接する事態をより低減することができる。ラックが中立位置よりもハウジング側に縮小した場合では、ボールジョイントがハウジング側蛇腹部の範囲で移動する。このため、この状態でタイロッドが揺動したとしても、ブーツは、ハウジング側蛇腹部及び第一タイロッド側蛇腹部よりも第二タイロッド側蛇腹部が大きく変形して、ボールジョイントの変曲点よりもタイロッド寄りであって、ボールジョイントの端の近傍で曲がるため、ブーツがボールジョイントの外周面に摺接する事態をより低減することができる。また、ハウジング側蛇腹部が変形し難いことから、ラックが中立位置よりもハウジング側に縮小した時に、ブーツがボールジョイントとハウジングとによって挟み込まれることが抑制される。この結果、ステアリング装置は、ブーツの摩耗を抑制できる。
上記のステアリング装置の望ましい態様として、肉厚が薄く形成されている部分の内径が、前記ハウジング側蛇腹部の内径以上に形成されている。
これにより、肉厚が薄く形成されている部分が大きく変形しても、当該部分の内周面がハウジング側蛇腹部よりもボールジョイントから遠ざかるように形成されているため、当該部分がボールジョイントに摺接する事態を低減することができる。この結果、ステアリング装置は、ブーツの摩耗を抑制することができる。
上記のステアリング装置の望ましい態様として、肉厚が薄く形成されている部分の内周面に低摩擦材の皮膜が設けられている。
これにより、万一、肉厚が薄く形成されている部分がボールジョイントに接触することがあっても、ボールジョイントが皮膜に接するので、ボールジョイントとブーツとの間の摩擦が低減される。この結果、ステアリング装置は、ブーツの摩耗を抑制できる。
本開示のステアリング装置によれば、ブーツの摩耗を抑制できる。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態)
図1は、本実施形態のステアリング装置の模式図である。図1に示すように、ステアリング装置80は、ステアリングホイール81と、ステアリングシャフト82と、ユニバーサルジョイント84と、中間シャフト85と、ユニバーサルジョイント86と、ピニオンシャフト87と、ピニオン88aと、ラック88bと、タイロッド89と、を備える。ステアリング装置80は、ステアリングホイール81、ステアリングシャフト82、ユニバーサルジョイント84、中間シャフト85、ユニバーサルジョイント86、ピニオンシャフト87、ピニオン88a、ラック88b、タイロッド89の順で連結される。
図1は、本実施形態のステアリング装置の模式図である。図1に示すように、ステアリング装置80は、ステアリングホイール81と、ステアリングシャフト82と、ユニバーサルジョイント84と、中間シャフト85と、ユニバーサルジョイント86と、ピニオンシャフト87と、ピニオン88aと、ラック88bと、タイロッド89と、を備える。ステアリング装置80は、ステアリングホイール81、ステアリングシャフト82、ユニバーサルジョイント84、中間シャフト85、ユニバーサルジョイント86、ピニオンシャフト87、ピニオン88a、ラック88b、タイロッド89の順で連結される。
図1に示すように、ステアリングホイール81は、ステアリングシャフト82の一端に連結される。ステアリングシャフト82は、他端がユニバーサルジョイント84に連結される。ユニバーサルジョイント84は、中間シャフト85の一端に連結される。中間シャフト85は、他端がユニバーサルジョイント86に連結される。ユニバーサルジョイント86は、ピニオンシャフト87の一端に連結される。ピニオンシャフト87は、他端がピニオン88aに連結される。ピニオン88aは、ラック88bと噛み合う。ラック88bは、タイロッド89に連結される。タイロッド89は、図示しないリンク機構を介して車輪に連結されている。従って、車両を運転する操作者によってステアリングホイール81が回転操作されると、この回転運動がステアリングシャフト82、ユニバーサルジョイント84、中間シャフト85、ユニバーサルジョイント86、ピニオンシャフト87、ピニオン88aの順に伝達される。
ピニオン88aは、ピニオンシャフト87から伝達される回転運動をラック88bに伝達する。ラック88bは、その延在方向である軸方向が車幅方向に沿って配置され、車幅方向に移動可能に設けられており、ピニオン88aとの噛み合いにより車幅方向に移動することでピニオン88aの回転運動を直進運動に変換する。従って、ラック88bが軸方向に移動することによってタイロッド89が移動し、図示しないリンク機構を介して車輪の角度、すなわち向きが変化する。
以下の説明において、ラック88bの軸方向は、単に軸方向と記載される。また、軸方向に対して直交する方向は径方向と記載される。ラック88bの軸は、回転軸と記載され、回転軸を中心とした円周に沿う方向は周方向と記載される。
図1に示すように、ステアリング装置80は、さらに、電動モータ93と、トルクセンサ94と、車速センサ95と、ECU(Electronic Control Unit)90と、を備える。電動モータ93、トルクセンサ94及び車速センサ95は、ECU90と電気的に接続される。
電動モータ93は、例えばブラシレスモータである。電動モータ93は、ブラシ(摺動子)及びコンミテータ(整流子)を備えるモータであってもよい。電動モータ93は、例えば後述するハウジング10に固定される。電動モータ93の動力は、ラック88bに伝達され、軸方向にラック88bを移動させる。電動モータ93で生じたトルクにより、操作者がラック88bを移動させるために要する力が小さくなる。すなわち、本実施形態のステアリング装置80は、ラックアシスト式が採用されている。
トルクセンサ94は、例えばピニオン88aに取り付けられている。トルクセンサ94は、ピニオン88aに伝達された操舵トルクをCAN(Controller Area Network)通信によりECU90に出力する。車速センサ95は、ステアリング装置80が搭載される車体の走行速度(車速)を検出する。車速センサ95は、車体に備えられ、車速をCAN通信によりECU90に出力する。
ECU90は、電動モータ93の動作を制御する。ECU90は、トルクセンサ94及び車速センサ95のそれぞれから信号を取得する。ECU90には、イグニッションスイッチ98がオンの状態で、電源装置99(例えば車載のバッテリ)から電力が供給される。ECU90は、操舵トルク及び車速に基づいて補助操舵指令値を算出する。ECU90は、補助操舵指令値に基づいて電動モータ93へ供給する電力値を調節する。ECU90は、電動モータ93から誘起電圧の情報又は電動モータ93に設けられたレゾルバ等から出力される情報を取得する。ECU90が電動モータ93を制御することで、ステアリングホイール81の操作に要する力が小さくなる。
なお、ステアリング装置80は、必ずしも電動モータ93を備えていなくてもよい。すなわち、ステアリング装置80は、電動パワーステアリング装置でなくてもよい。
図2は、本実施形態のステアリングギアボックスの断面図である。図3及び図5は、本実施形態のステアリングギアボックスの一端を拡大した断面図である。図4及び図6は、本実施形態のブーツの一部を拡大した断面図である。図4及び図6は、図3における一点鎖線で囲む範囲αの拡大図である。なお、図2において、電動モータ93及び電動モータ93に付随する部材は省略されている。
図2及び図3に示すように、ステアリング装置80は、ステアリングギアボックスを構成するハウジング10と、ボールジョイント3と、ブーツ5と、を備える。
ハウジング10は、筒状、詳しくは円筒状の部材である。ハウジング10は、ピニオン88aが回転可能に支持されている。また、ハウジング10は、ラック88bが軸方向に移動可能に支持されている。ラック88bは、ハウジング10を貫通して軸方向に延在して設けられている。ラック88bは、ステアリングホイール81の回転操作に伴う軸方向への移動に際し、各端部がハウジング10の各端に没入または突出する。
ボールジョイント3は、ラック88bとタイロッド89とを連結する。ボールジョイント3は、ソケット31と、ボール32と、を備える。ソケット31は、ラック88bの各端部に固定して接続される。ボール32は、タイロッド89の一端部に固定して接続される。タイロッド89の他端部は、上述した図示しないリンク機構に接続される。ボール32は、ソケット31に保持される。ボール32は、ソケット31に対して転動できるように支持される。従って、タイロッド89は、ソケット31に対するボール32の転動によりボールジョイント3を介して、ラック88bの軸方向に対し全ての径方向に傾くように揺動することが可能に設けられる。
図3に示すように、ブーツ5は、ボールジョイント3を覆う筒状の部材である。ブーツ5の材料は、例えばエチレンプロピレンゴムやオレフィン系エラストマーである。ブーツ5の伸び率は、例えば200%である。伸び率とは、材料の引張り試験において、試験片の当初の標点間距離をL0、破断時の標点間距離をLとした場合に、{(L−L0)/L0}×100で算出される値である。
図3に示すように、ブーツ5は、第一固定部51と、第二固定部52と、蛇腹部53と、を備える。
第一固定部51は、円筒状に形成されてブーツ5の基端部をなし、径方向でハウジング10の端部と重なる。第一固定部51は、径方向外側に締付部材11が設けられる。締付部材11は、例えば金属で形成された環状部材であって、第一固定部51に巻き付けられる。従って、締付部材11によって第一固定部51がハウジング10に取り付けられ、ブーツ5がハウジング10に接続される。
第二固定部52は、円筒状に形成されてブーツ5の先端部をなし、径方向でタイロッド89の途中部と重なる。第二固定部52は、径方向外側に締付部材12が設けられる。締付部材12は、例えば金属で形成された環状部材であって、第二固定部52に巻き付けられる。従って、締付部材12によって第二固定部52がタイロッド89に取り付けられ、ブーツ5がタイロッド89に接続される。
蛇腹部53は、ハウジング側蛇腹部53Aと、タイロッド側蛇腹部53Bと、を有する。
ハウジング側蛇腹部53Aは、ラック88bの中立位置において、ハウジング10に取り付けられる第一固定部51に対して一体に繋がり、ハウジング10から軸方向に連なってボールジョイント3の端まで配置されている。ハウジング側蛇腹部53Aは、径方向外側に径が徐々に大きくなる凸部53Aaと、径方向内側に径が徐々に小さくなる凹部53Abとが軸方向に交互に複数連なることで径方向の内外に蛇行する断面形状の壁が周方向に連続して筒状に形成されている。従って、ハウジング側蛇腹部53Aは、凸部53Aa及び凹部53Abの蛇腹形状によって軸方向や径方向に変形することが可能に形成されている。
また、本実施形態において、ハウジング側蛇腹部53Aは、凸部53Aa間の径方向寸法である外径DaAが軸方向で一定に形成されている。また、ハウジング側蛇腹部53Aは、凹部53Ab間の径方向寸法である内径DbAが軸方向で一定に形成されている。そして、ハウジング側蛇腹部53Aは、凸部53Aaと凹部53Abとの間の振幅SAが軸方向で一定に形成されている。
ここで、ラック88bの中立位置について説明する。ラック88bは、上述したようにハウジング10を貫通して軸方向に延在して設けられ、ステアリングホイール81の回転操作に伴う軸方向への移動に際し、各端部がハウジング10の各端に没入または突出する。このラック88bは、軸方向に連続して延在する構成であり、ステアリングホイール81の回転操作において、一端部がハウジング10の端から突出する一方で、他端部がハウジング10の端に没入する。ラック88bは、一端部がハウジング10の端から最も突出した形態で、他端部がハウジング10の端に最も没入する。そして、ラック88bの一端部がハウジング10の端から最も突出し、他端部がハウジング10の端に最も没入した形態は、ステアリングホイール81の回転操作において最大回転位置に相当する。これに対し、ステアリングホイール81の回転操作において中立の回転位置では、ラック88bの各端部がハウジング10の各端から同じく突出する。このラック88bの各端部がハウジング10の各端から同じく突出する位置がラック88bの中立位置である。ラック88bの中立位置は、ステアリングホイール81の回転操作において中立の回転位置であって、車両が直進するように車輪が真っ直ぐになる。本実施形態では、各図において、ラック88bを中立位置で示している。なお、ラック88bは、端部がハウジング10の端に没入した形態においては、ハウジング10の筒内に固定された受部13に対してラック88bの外周に固定されたストッパ14が当接することで他端部の没入が規制され、これにより一端部の突出も規制される。
また、ボールジョイント3の端とは、ボールジョイント3におけるソケット31のタイロッド89側に向く先端31aである。
よって、ハウジング側蛇腹部53Aは、ラック88bの中立位置において、ハウジング10に取り付けられる第一固定部51からボールジョイント3におけるソケット31の先端31aまでの間となる軸方向の寸法LAの範囲に配置されている。
タイロッド側蛇腹部53Bは、ラック88bの中立位置において、タイロッド89に取り付けられる第二固定部52に対して一体に繋がり、タイロッド89から軸方向に連なってボールジョイント3の端まで配置されている。よって、タイロッド側蛇腹部53Bは、ラック88bの中立位置において、タイロッド89に取り付けられる第二固定部52からボールジョイント3におけるソケット31の先端31aまでの間となる軸方向の寸法LBの範囲に配置されている。タイロッド側蛇腹部53Bは、第一タイロッド側蛇腹部53B1と、第二タイロッド側蛇腹部53B2と、を有する。
第一タイロッド側蛇腹部53B1は、ラック88bの中立位置において、タイロッド89に取り付けられる第二固定部52に対して一体に繋がり、タイロッド89からボールジョイント3側に向けて配置されている。第一タイロッド側蛇腹部53B1は、タイロッド89からボールジョイント3の端であるソケット31の先端31aまでは至らない。第一タイロッド側蛇腹部53B1は、径方向外側に径が徐々に大きくなる凸部53B1aと、径方向内側に径が徐々に小さくなる凹部53B1bとが軸方向に交互に複数連なることで径方向の内外に蛇行する断面形状の壁が周方向に連続して筒状に形成されている。従って、第一タイロッド側蛇腹部53B1は、凸部53B1a及び凹部53B1bの蛇腹形状によって軸方向や径方向に変形することが可能に形成されている。よって、第一タイロッド側蛇腹部53B1は、ラック88bの中立位置において、タイロッド89に取り付けられる第二固定部52からタイロッド89のボールジョイント3側の途中までの間となる軸方向の寸法LB1の範囲に配置されている。
また、本実施形態において、第一タイロッド側蛇腹部53B1は、凸部53B1a間の径方向寸法である外径DaB1がタイロッド89側に向かって軸方向で漸次縮径して形成されている。また、第一タイロッド側蛇腹部53B1は、凹部53B1b間の径方向寸法である内径DbB1がタイロッド89側に向かって軸方向で漸次縮径して形成されている。そして、第一タイロッド側蛇腹部53B1は、凸部53B1aと凹部53B1bとの間の振幅SB1が軸方向で一定に形成されている。
第二タイロッド側蛇腹部53B2は、ラック88bの中立位置において、ハウジング側蛇腹部53Aと第一タイロッド側蛇腹部53B1とを接続するようにハウジング側蛇腹部53A及び第一タイロッド側蛇腹部53B1に対して一体に繋がり、ボールジョイント3の端であるソケット31の先端31aからタイロッド89側に向けて配置されている。第二タイロッド側蛇腹部53B2は、径方向外側に径が徐々に大きくなる凸部53B2aと、径方向内側に径が徐々に小さくなる凹部53B2bとが軸方向に交互に複数連なることで径方向の内外に蛇行する断面形状の壁が周方向に連続して筒状に形成されている。従って、第二タイロッド側蛇腹部53B2は、凸部53B2a及び凹部53B2bの蛇腹形状によって軸方向や径方向に変形することが可能に形成されている。よって、第二タイロッド側蛇腹部53B2は、ハウジング側蛇腹部53Aと一体に繋がってボールジョイント3の端であるソケット31の先端31aからタイロッド89側に向け、第一タイロッド側蛇腹部53B1と一体に繋がってタイロッド89の途中までの間となる軸方向の寸法LB2の範囲に配置されている。
また、本実施形態において、第二タイロッド側蛇腹部53B2は、凸部53B2a間の径方向寸法である外径DaB2が軸方向で一定に形成されている。また、第二タイロッド側蛇腹部53B2は、凹部53B2b間の径方向寸法である内径DbB2が軸方向で一定に形成されている。そして、第二タイロッド側蛇腹部53B2は、凸部53B2aと凹部53B2bとの間の振幅SB2が軸方向で一定に形成されている。
このように、ブーツ5は、ハウジング側蛇腹部53A、及びタイロッド側蛇腹部53B(第一タイロッド側蛇腹部53B1及び第二タイロッド側蛇腹部53B2)が、ハウジング10に取り付けられる第一固定部51からタイロッド89に取り付けられる第二固定部52の間の軸方向の寸法Lの範囲において、ハウジング側蛇腹部53A、第二タイロッド側蛇腹部53B2、第一タイロッド側蛇腹部53B1の順で配置されて蛇腹部53を構成する。
また、本実施形態のブーツ5は、ハウジング側蛇腹部53Aにおいて軸方向で隣り合う凸部53Aaと凹部53Abの間隔であるピッチPAと、第一タイロッド側蛇腹部53B1において軸方向で隣り合う凸部53B1aと凹部53B1bの間隔であるピッチPB1と、第二タイロッド側蛇腹部53B2において軸方向で隣り合う凸部53B2aと凹部53B2bの間隔であるピッチPB2とが、それぞれ同等で均一に形成されている。
また、本実施形態のブーツ5は、図4に示すように、タイロッド側蛇腹部53Bの肉厚TBが、ハウジング側蛇腹部53Aの肉厚TAに対して薄く形成されてTB<TAの関係を満たす。さらに、本実施形態のブーツ5は、第二タイロッド側蛇腹部53B2の肉厚TB2が、ハウジング側蛇腹部53Aの肉厚TAに対して薄く形成されてTB2<TAの関係を満たすことが好ましい。さらに、本実施形態のブーツ5は、第二タイロッド側蛇腹部53B2の肉厚TB2が、第一タイロッド側蛇腹部53B1の肉厚TB1に対して薄く形成されてTB2<TB1の関係を満たすことが好ましい。TB2<TB1の関係を満たす場合、第一タイロッド側蛇腹部53B1の肉厚TB1とハウジング側蛇腹部53Aの肉厚TAとは同等でありTA=TB1の関係を満たす。第二タイロッド側蛇腹部53B2とハウジング側蛇腹部53Aとの境や、第二タイロッド側蛇腹部53B2と第一タイロッド側蛇腹部53B1との境は、肉厚が徐々に変化して連なる。
以上説明したように、本実施形態のステアリング装置80は、ブーツ5が、ラック88bの中立位置において、ハウジング10からボールジョイント3の端まで連なるハウジング側蛇腹部53Aと、ボールジョイント3の端からタイロッド89側に向けて連なるタイロッド側蛇腹部53Bと、で構成されており、タイロッド側蛇腹部53Bの肉厚TBが、ハウジング側蛇腹部53Aの肉厚TAよりも薄く形成されている。この構成により、ブーツ5全体として、タイロッド側蛇腹部53Bが柔軟に変形し易くなり、ハウジング側蛇腹部53Aが変形し難くなる。
これにより、ブーツ5は、図5に示すように、ラック88bの中立位置において、タイロッド89がラック88bの軸方向に対して径方向に傾くように揺動した場合に、ハウジング側蛇腹部53Aよりもタイロッド側蛇腹部53Bが大きく変形し、ボールジョイント3の変曲点(ボール32の中心点に相当)よりもタイロッド89寄りで曲がる。この結果、ステアリング装置80は、ブーツ5がボールジョイント3の外周面に摺接する事態を低減することができ、ブーツ5の摩耗を抑制することができる。
タイロッド89の揺動が無いまたは極めて小さい場合では、ハウジング側蛇腹部53Aが変形し難いことから、車両の走行時の振動によりブーツ5全体の位置が大きく変化することが抑制される。この結果、ステアリング装置80は、ブーツ5がボールジョイント3の外周面に摺接する事態を低減することができ、ブーツ5の摩耗を抑制することができる。
ラック88bが中立位置よりもタイロッド89側に伸長した場合では、ハウジング側蛇腹部53Aが変形し難く、タイロッド側蛇腹部53Bが大きく変形することで、ボールジョイント3の変曲点がタイロッド側蛇腹部53Bを超えることはない。このため、この状態でタイロッド89が揺動したとしても、ブーツ5は、ハウジング側蛇腹部53Aよりもタイロッド側蛇腹部53Bが大きく変形して、ボールジョイント3の変曲点よりもタイロッド89寄りで曲がる。この結果、ステアリング装置80は、ブーツ5がボールジョイント3の外周面に摺接する事態を低減することができ、ブーツ5の摩耗を抑制することができる。
ラック88bが中立位置よりもハウジング10側に縮小した場合では、ボールジョイント3がハウジング側蛇腹部53Aの範囲で移動する。このため、この状態でタイロッド89が揺動したとしても、ブーツ5は、ハウジング側蛇腹部53Aよりもタイロッド側蛇腹部53Bが大きく変形して、ボールジョイント3の変曲点よりもタイロッド89寄りで曲がる。この結果、ブーツ5がボールジョイント3の外周面に摺接する事態を低減することができ、ブーツ5の摩耗を抑制することができる。また、ハウジング側蛇腹部53Aが変形し難いことから、ラック88bが中立位置よりもハウジング10側に縮小した時に、ブーツ5がボールジョイント3とハウジング10とによって挟み込まれることが抑制される。この結果、ステアリング装置80は、ブーツ5の摩耗を抑制できる。
また、本実施形態のステアリング装置80では、第二タイロッド側蛇腹部53B2の肉厚TB2が、ハウジング側蛇腹部53Aの肉厚TAよりも薄く形成されていることが好ましい。
これにより、ブーツ5は、図5に示すように、ラック88bの中立位置において、タイロッド89がラック88bの軸方向に対して径方向に傾くように揺動した場合に、ハウジング側蛇腹部53Aよりも第二タイロッド側蛇腹部53B2が大きく変形し、ボールジョイント3の変曲点(ボール32の中心点に相当)よりもタイロッド89寄りであって、ボールジョイント3の端の近傍で曲がる。この結果、ステアリング装置80は、ブーツ5がボールジョイント3の外周面に摺接する事態をより低減することができ、ブーツ5の摩耗をより抑制することができる。
タイロッド89の揺動が無いまたは極めて小さい場合では、ハウジング側蛇腹部53Aが変形し難いことから、車両の走行時の振動によりブーツ5全体の位置が大きく変化することが抑制される。この結果、ステアリング装置80は、ブーツ5がボールジョイント3の外周面に摺接する事態を低減することができ、ブーツ5の摩耗を抑制することができる。
ラック88bが中立位置よりもタイロッド89側に伸長した場合では、ハウジング側蛇腹部53Aが変形し難く、第二タイロッド側蛇腹部53B2が大きく変形することで、ボールジョイント3の変曲点が第二タイロッド側蛇腹部53B2を超えることはない。このため、この状態でタイロッド89が揺動したとしても、ブーツ5は、ハウジング側蛇腹部53Aよりも第二タイロッド側蛇腹部53B2が大きく変形して、ボールジョイント3の変曲点よりもタイロッド89寄りであって、ボールジョイント3の端の近傍で曲がる。この結果、ステアリング装置80は、ブーツ5がボールジョイント3の外周面に摺接する事態をより低減することができ、ブーツ5の摩耗をより抑制することができる。
ラック88bが中立位置よりもハウジング10側に縮小した場合では、ボールジョイント3がハウジング側蛇腹部53Aの範囲で移動する。このため、この状態でタイロッド89が揺動したとしても、ブーツ5は、ハウジング側蛇腹部53Aよりも第二タイロッド側蛇腹部53B2が大きく変形して、ボールジョイント3の変曲点よりもタイロッド89寄りであって、ボールジョイント3の端の近傍で曲がる。この結果、ブーツ5がボールジョイント3の外周面に摺接する事態をより低減することができ、ブーツ5の摩耗をより抑制することができる。また、ハウジング側蛇腹部53Aが変形し難いことから、ラック88bが中立位置よりもハウジング10側に縮小した時に、ブーツ5がボールジョイント3とハウジング10とによって挟み込まれることが抑制される。この結果、ステアリング装置80は、ブーツ5の摩耗を抑制できる。
また、本実施形態のステアリング装置80では、第二タイロッド側蛇腹部53B2の肉厚TB2が、第一タイロッド側蛇腹部53B1の肉厚TB1よりも薄く形成されていることが好ましい。
これにより、ブーツ5は、図5に示すように、ラック88bの中立位置において、タイロッド89がラック88bの軸方向に対して径方向に傾くように揺動した場合に、ハウジング側蛇腹部53A及び第一タイロッド側蛇腹部53B1よりも第二タイロッド側蛇腹部53B2が大きく変形し、ボールジョイント3の変曲点(ボール32の中心点に相当)よりもタイロッド89寄りであって、ボールジョイント3の端の近傍で積極的に曲がる。この結果、ステアリング装置80は、ブーツ5がボールジョイント3の外周面に摺接する事態をより低減することができ、ブーツ5の摩耗をより抑制することができる。
タイロッド89の揺動が無いまたは極めて小さい場合では、ハウジング側蛇腹部53A及び第一タイロッド側蛇腹部53B1が変形し難いことから、車両の走行時の振動によりブーツ5全体の位置が大きく変化することが抑制される。この結果、ステアリング装置80は、ブーツ5がボールジョイント3の外周面に摺接する事態を低減することができ、ブーツ5の摩耗を抑制することができる。
ラック88bが中立位置よりもタイロッド89側に伸長した場合では、ハウジング側蛇腹部53A及び第一タイロッド側蛇腹部53B1が変形し難く、第二タイロッド側蛇腹部53B2が大きく変形することで、ボールジョイント3の変曲点が第二タイロッド側蛇腹部53B2を超えることはない。このため、この状態でタイロッド89が揺動したとしても、ブーツ5は、ハウジング側蛇腹部53A及び第一タイロッド側蛇腹部53B1よりも第二タイロッド側蛇腹部53B2が大きく変形して、ボールジョイント3の変曲点よりもタイロッド89寄りであって、ボールジョイント3の端の近傍で積極的に曲がる。この結果、ステアリング装置80は、ブーツ5がボールジョイント3の外周面に摺接する事態をより低減することができ、ブーツ5の摩耗をより抑制することができる。
ラック88bが中立位置よりもハウジング10側に縮小した場合では、ボールジョイント3がハウジング側蛇腹部53Aの範囲で移動する。このため、この状態でタイロッド89が揺動したとしても、ブーツ5は、ハウジング側蛇腹部53A及び第一タイロッド側蛇腹部53B1よりも第二タイロッド側蛇腹部53B2が大きく変形して、ボールジョイント3の変曲点よりもタイロッド89寄りであって、ボールジョイント3の端の近傍で曲がる。この結果、ブーツ5がボールジョイント3の外周面に摺接する事態をより低減することができ、ブーツ5の摩耗をより抑制することができる。また、ハウジング側蛇腹部53Aが変形し難いことから、ラック88bが中立位置よりもハウジング10側に縮小した時に、ブーツ5がボールジョイント3とハウジング10とによって挟み込まれることが抑制される。この結果、ステアリング装置80は、ブーツ5の摩耗を抑制できる。
また、本実施形態のステアリング装置80では、図6に示すように、肉厚が薄く形成されている部分の内周面に低摩擦材の皮膜54が設けられている。図6では、ハウジング側蛇腹部53Aの肉厚TA及び第一タイロッド側蛇腹部53B1の肉厚TB1よりも、第二タイロッド側蛇腹部53B2の肉厚TB2が薄く形成されている形態であり、第二タイロッド側蛇腹部53B2の内周側に低摩擦材の皮膜54が設けられている。
皮膜54は、蛇腹部53の内周面にコーティングされる。皮膜54は、摩擦を低減するものである。ボールジョイント3と皮膜54との摩擦係数は、ボールジョイント3と蛇腹部53との摩擦係数よりも小さい。例えば、皮膜54は、フッ素を含む。または、皮膜54は、二硫化モリブデンを含む。皮膜54は、弾性を有する。皮膜54の伸び率は、ブーツ5の伸び率以上である。皮膜54は、蛇腹部53の内周面に塗布された塗料で形成される。塗料は、合成樹脂を含む。塗料は、例えば弾性塗料である。皮膜54の材料は、上述した材料に限られない。少なくとも、皮膜54とボールジョイント3と摩擦係数が、蛇腹部53とボールジョイント3との摩擦係数よりも小さければよい。
これにより、万一、肉厚が薄く形成されている部分がボールジョイント3に接触することがあっても、ボールジョイント3が皮膜54に接するので、ボールジョイント3とブーツ5との間の摩擦が低減される。この結果、ステアリング装置80は、ブーツ5の摩耗を抑制できる。
なお、図には明示しないが,皮膜54は、第二タイロッド側蛇腹部53B2の内周面のみでなく、ハウジング側蛇腹部53A及び第一タイロッド側蛇腹部53B1の内周面にも設けられていてもよい。これにより、万一、ハウジング側蛇腹部53A及び第一タイロッド側蛇腹部53B1がボールジョイント3に接触することがあっても、ボールジョイント3が皮膜54に接するので、ボールジョイント3とブーツ5との間の摩擦が低減される。この結果、ステアリング装置80は、ブーツ5の摩耗を抑制できる。
また、本実施形態のステアリング装置80では、第二タイロッド側蛇腹部53B2の肉厚TB2が、ハウジング側蛇腹部53Aの肉厚TA及び第一タイロッド側蛇腹部53B1の肉厚TB1よりも薄く形成されている場合、第一タイロッド側蛇腹部53B1は、第二タイロッド側蛇腹部53B2との接続位置からタイロッド89に向けて内径DbB1及び外径DaB1が漸次縮径して形成されていることが好ましい。
これにより、第一タイロッド側蛇腹部53B1は、より変形し難くなり、これに対して第二タイロッド側蛇腹部53B2が大きく変形することから、上述した作用効果を顕著に得ることができる。この結果、ステアリング装置80は、ブーツ5の摩耗をより抑制できる。しかも、第一タイロッド側蛇腹部53B1がタイロッド89に向けて内径DbB1及び外径DaB1が漸次縮径して形成されていると、ブーツ5のタイロッド89側の外形が小さくなるため、ブーツ5の外側の他の部品との干渉を防ぐことができる。この結果、ステアリング装置80は、ブーツ5の摩耗を抑制することができる。
(変形例)
図7及び図8は、変形例のステアリングギアボックスの一端を拡大した断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図7及び図8は、変形例のステアリングギアボックスの一端を拡大した断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図7に示すように、肉厚が薄く形成されている部分である第二タイロッド側蛇腹部53B2は、内径DbB2が、ハウジング側蛇腹部53Aの内径DbA以上に形成されている。なお、図には明示しないが、第一タイロッド側蛇腹部53B1を含むタイロッド側蛇腹部53Bが肉厚が薄く形成されている部分である場合、その内径DbB1,DbB2がハウジング側蛇腹部53Aの内径DbA以上に形成されている。なお、内径DbB1,DbB2がハウジング側蛇腹部53Aの内径DbA以上に形成されている場合、振幅SA,SB1,SB2やピッチPA,PB1,PB2は、上述した実施形態と同様の構成である。
これにより、肉厚が薄く形成されている部分が大きく変形しても、当該部分の内周面がハウジング側蛇腹部53Aよりもボールジョイント3から遠ざかるように形成されているため、当該部分がボールジョイント3に摺接する事態を低減することができる。この結果、ステアリング装置80は、ブーツ5の摩耗をより抑制することができる。
また、変形例のステアリング装置80においても、肉厚が薄く形成されている部分の内周面に低摩擦材の皮膜54が設けられていることが好ましい。
3 ボールジョイント
5 ブーツ
10 ハウジング
11 締付部材
12 締付部材
13 受部
14 ストッパ
31 ソケット
31a 先端
32 ボール
51 第一固定部
52 第二固定部
53 蛇腹部
53A ハウジング側蛇腹部
53Aa 凸部
53Ab 凹部
53B タイロッド側蛇腹部
53B1 第一タイロッド側蛇腹部
53B1a 凸部
53B1b 凹部
53B2 第二タイロッド側蛇腹部
53B2a 凸部
53B2b 凹部
54 皮膜
80 ステアリング装置
81 ステアリングホイール
82 ステアリングシャフト
84 ユニバーサルジョイント
85 中間シャフト
86 ユニバーサルジョイント
87 ピニオンシャフト
88a ピニオン
88b ラック
89 タイロッド
93 電動モータ
94 トルクセンサ
95 車速センサ
98 イグニッションスイッチ
99 電源装置
DaA ハウジング側蛇腹部の外径
DbA ハウジング側蛇腹部の内径
DaB1 第一タイロッド側蛇腹部の外径
DbB1 第一タイロッド側蛇腹部の内径
DaB2 第二タイロッド側蛇腹部の外径
DbB2 第二タイロッド側蛇腹部の内径
L 蛇腹部の軸方向の寸法
LA ハウジング側蛇腹部の軸方向の寸法
LB タイロッド側蛇腹部の軸方向の寸法
LB1 第一タイロッド側蛇腹部の軸方向の寸法
LB2 第二タイロッド側蛇腹部の軸方向の寸法
PA ハウジング側蛇腹部のピッチ
PB1 第一タイロッド側蛇腹部のピッチ
PB2 第二タイロッド側蛇腹部のピッチ
SA ハウジング側蛇腹部の振幅
SB1 第一タイロッド側蛇腹部の振幅
SB2 第二タイロッド側蛇腹部の振幅
TA ハウジング側蛇腹部の肉厚
TB タイロッド側蛇腹部の肉厚
TB1 第一タイロッド側蛇腹部の肉厚
TB2 第二タイロッド側蛇腹部の肉厚
5 ブーツ
10 ハウジング
11 締付部材
12 締付部材
13 受部
14 ストッパ
31 ソケット
31a 先端
32 ボール
51 第一固定部
52 第二固定部
53 蛇腹部
53A ハウジング側蛇腹部
53Aa 凸部
53Ab 凹部
53B タイロッド側蛇腹部
53B1 第一タイロッド側蛇腹部
53B1a 凸部
53B1b 凹部
53B2 第二タイロッド側蛇腹部
53B2a 凸部
53B2b 凹部
54 皮膜
80 ステアリング装置
81 ステアリングホイール
82 ステアリングシャフト
84 ユニバーサルジョイント
85 中間シャフト
86 ユニバーサルジョイント
87 ピニオンシャフト
88a ピニオン
88b ラック
89 タイロッド
93 電動モータ
94 トルクセンサ
95 車速センサ
98 イグニッションスイッチ
99 電源装置
DaA ハウジング側蛇腹部の外径
DbA ハウジング側蛇腹部の内径
DaB1 第一タイロッド側蛇腹部の外径
DbB1 第一タイロッド側蛇腹部の内径
DaB2 第二タイロッド側蛇腹部の外径
DbB2 第二タイロッド側蛇腹部の内径
L 蛇腹部の軸方向の寸法
LA ハウジング側蛇腹部の軸方向の寸法
LB タイロッド側蛇腹部の軸方向の寸法
LB1 第一タイロッド側蛇腹部の軸方向の寸法
LB2 第二タイロッド側蛇腹部の軸方向の寸法
PA ハウジング側蛇腹部のピッチ
PB1 第一タイロッド側蛇腹部のピッチ
PB2 第二タイロッド側蛇腹部のピッチ
SA ハウジング側蛇腹部の振幅
SB1 第一タイロッド側蛇腹部の振幅
SB2 第二タイロッド側蛇腹部の振幅
TA ハウジング側蛇腹部の肉厚
TB タイロッド側蛇腹部の肉厚
TB1 第一タイロッド側蛇腹部の肉厚
TB2 第二タイロッド側蛇腹部の肉厚
Claims (5)
- 筒状のハウジングと、
前記ハウジングを貫通して延在する軸方向に移動可能に設けられるラックと、
前記ラックの端部に配置されるボールジョイントと、
前記ボールジョイントを介して前記ラックに対し揺動可能に設けられるタイロッドと、
前記ボールジョイントを覆うブーツと、
を備え、
前記ブーツは、前記ラックの中立位置において、前記ハウジングから前記ボールジョイントの端まで凸部と凹部が交互に連なるハウジング側蛇腹部と、前記ボールジョイントの端から前記タイロッド側に向けて凸部と凹部が交互に連なるタイロッド側蛇腹部と、で構成されており、前記タイロッド側蛇腹部が、前記ハウジング側蛇腹部よりも肉厚が薄く形成されている
ステアリング装置。 - 前記タイロッド側蛇腹部は、前記タイロッドから前記ボールジョイント側に連なる第一タイロッド側蛇腹部と、前記第一タイロッド側蛇腹部と接続するように前記ボールジョイントの端から前記タイロッド側に向けて連なる第二タイロッド側蛇腹部とを有し、
前記第二タイロッド側蛇腹部が、前記ハウジング側蛇腹部よりも肉厚が薄く形成されている
請求項1に記載のステアリング装置。 - 前記第二タイロッド側蛇腹部が、前記第一タイロッド側蛇腹部よりも肉厚が薄く形成されている
請求項2に記載のステアリング装置。 - 肉厚が薄く形成されている部分の内径が、前記ハウジング側蛇腹部の内径以上に形成されている
請求項1から3のいずれか1項に記載のステアリング装置。 - 肉厚が薄く形成されている部分の内周面に低摩擦材の皮膜が設けられている
請求項1から4のいずれか1項に記載のステアリング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018130478A JP2020008102A (ja) | 2018-07-10 | 2018-07-10 | ステアリング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018130478A JP2020008102A (ja) | 2018-07-10 | 2018-07-10 | ステアリング装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020008102A true JP2020008102A (ja) | 2020-01-16 |
Family
ID=69151274
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018130478A Pending JP2020008102A (ja) | 2018-07-10 | 2018-07-10 | ステアリング装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020008102A (ja) |
-
2018
- 2018-07-10 JP JP2018130478A patent/JP2020008102A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6911573B2 (ja) | ダストカバー | |
JP2019027575A (ja) | 軸受およびステアリング機構 | |
JP2009006955A (ja) | 衝撃吸収式車両用操舵装置 | |
JP7200561B2 (ja) | ダストカバー | |
JP2020008102A (ja) | ステアリング装置 | |
JP2020006843A (ja) | ステアリング装置 | |
JPH11115773A (ja) | ラックピニオン式ステアリング装置 | |
JP7056378B2 (ja) | ステアリング装置 | |
JP2020006928A (ja) | ステアリング装置 | |
JP2018016152A (ja) | ダストカバー | |
KR101818275B1 (ko) | 전동식 동력 보조 조향장치의 감속기 | |
JP7200556B2 (ja) | ラックアンドピニオン式ステアリング装置 | |
JP7351192B2 (ja) | ダストカバー | |
JP5001799B2 (ja) | ロボット関節のワイヤハーネス配線構造 | |
JP2009247109A (ja) | 伸縮アクチュエータ | |
JP7052787B2 (ja) | ダストカバー | |
JP2019085072A (ja) | ステアリング装置 | |
JP2019090455A (ja) | ダストカバーの製造方法 | |
JP2020050320A (ja) | ラックアンドピニオン式ステアリング装置 | |
JP2020051602A (ja) | ボールジョイント用ブーツ そのボールジョイント用ブーツを用いたラックアンドピニオン式ステアリング装置 | |
JP2005147297A (ja) | ブーツ | |
JP2007064407A (ja) | 等速自在継手用ブーツ | |
WO2019058796A1 (ja) | ボールジョイント及びダストカバー | |
JPH1182737A (ja) | ブーツシール | |
JP2015009632A (ja) | 車輪操舵装置 |