以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態)
図1は、本実施形態のステアリング装置の模式図である。図2は、本実施形態のステアリング装置の斜視図である。図1に示すように、ステアリング装置80は、ステアリングホイール81と、第1ステアリングシャフト82と、操舵力アシスト機構83と、第1ユニバーサルジョイント84と、第2ステアリングシャフト85と、第2ユニバーサルジョイント86と、を備え、第3ステアリングシャフト87に接合されている。以下の説明においては、ステアリング装置80が搭載された車両における前方は単に前方と記載され、車両における後方は単に後方と記載される。
図1に示すように、第1ステアリングシャフト82は、入力軸82aと、出力軸82bとを備える。入力軸82aの一方の端部がステアリングホイール81に連結され、入力軸82aの他方の端部が出力軸82bに連結される。また、出力軸82bの一方の端部が入力軸82aに連結され、出力軸82bの他方の端部が第1ユニバーサルジョイント84に連結される。
図1に示すように、第2ステアリングシャフト85は、第1ユニバーサルジョイント84と第2ユニバーサルジョイント86とを連結している。第2ステアリングシャフト85の一方の端部が第1ユニバーサルジョイント84に連結され、他方の端部が第2ユニバーサルジョイント86に連結される。第3ステアリングシャフト87の一方の端部が第2ユニバーサルジョイント86に連結され、第3ステアリングシャフト87の他方の端部がステアリングギヤ88に連結される。図2に示すように、第2ステアリングシャフト85は、ダッシュパネル10を貫通している。ダッシュパネル10は、車室とエンジンルームとを隔てる仕切り板である。
図1に示すように、ステアリングギヤ88は、ピニオン88aと、ラック88bとを備える。ピニオン88aは、第3ステアリングシャフト87に連結される。ラック88bは、ピニオン88aに噛み合う。ステアリングギヤ88は、ピニオン88aに伝達された回転運動をラック88bで直進運動に変換する。ラック88bは、タイロッド89に連結される。ラック88bが移動することで車輪の角度が変化する。
図1に示すように、操舵力アシスト機構83は、減速装置92と、電動モータ93とを備える。減速装置92は、例えばウォーム減速装置である。電動モータ93で生じたトルクは、減速装置92の内部のウォームを介してウォームホイールに伝達され、ウォームホイールを回転させる。減速装置92は、ウォーム及びウォームホイールによって、電動モータ93で生じたトルクを増加させる。そして、減速装置92は、出力軸82bに補助操舵トルクを与える。すなわち、ステアリング装置80はコラムアシスト方式である。
図1に示すように、ステアリング装置80は、ECU(Electronic Control Unit)90と、トルクセンサ94と、車速センサ95と、を備える。電動モータ93、トルクセンサ94及び車速センサ95は、ECU90と電気的に接続される。トルクセンサ94は、入力軸82aに伝達された操舵トルクをCAN(Controller Area Network)通信によりECU90に出力する。車速センサ95は、ステアリング装置80が搭載される車体の走行速度(車速)を検出する。車速センサ95は、車体に備えられ、車速をCAN通信によりECU90に出力する。
ECU90は、電動モータ93の動作を制御する。ECU90は、トルクセンサ94及び車速センサ95のそれぞれから信号を取得する。ECU90には、イグニッションスイッチ98がオンの状態で、電源装置99(例えば車載のバッテリ)から電力が供給される。ECU90は、操舵トルク及び車速に基づいて補助操舵指令値を算出する。ECU90は、補助操舵指令値に基づいて電動モータ93へ供給する電力値を調節する。ECU90は、電動モータ93から誘起電圧の情報又は電動モータ93に設けられたレゾルバ等から出力される情報を取得する。ECU90が電動モータ93を制御することで、ステアリングホイール81の操作に要する力が小さくなる。
図3は、車両に取り付けられたダストカバーの断面図である。図4は、図3における取付部材の周辺の拡大図である。図5は、本実施形態のバンドの斜視図である。図6は、本実施形態のダストカバーの正面図である。図7は、図6におけるA-A断面図である。図8は、ブッシュに取り付けられる前のベローズの断面図である。図9は、金型から取り出された直後のベローズの断面図である。図10は、図8におけるB-B断面図である。図11は、本実施形態のブッシュの断面図である。図12は、図11におけるC-C断面図である。
以下の説明において、第2ステアリングシャフト85の回転軸Zに沿う方向は軸方向と記載され、軸方向に対する直交方向は径方向と記載され、回転軸Zを中心とした円に沿う方向は周方向と記載される。また、図3において右側が車室側であり、左側がエンジンルーム側である。
図3に示すように、ダッシュパネル10は、筒状部材101を備える。筒状部材101の内周面は、第2ステアリングシャフト85の外周面と対向する。第2ステアリングシャフト85は、ステアリングホイール81の位置の調整又は走行中の振動等に伴って移動することがある。このため、筒状部材101の内周面と第2ステアリングシャフト85の外周面との間には環状の隙間が設けられている。この隙間を塞ぐために、ステアリング装置80は、ダストカバー1を備える。
ダストカバー1は、筒状部材101の内周面に嵌められている。筒状部材101の外周面に取り付けられたバンド7によって、ダストカバー1が筒状部材101に固定されている。筒状部材101は、バンド7で締め付けられることで変形する。例えば、筒状部材101は金属で形成されている。筒状部材101が金属である場合、筒状部材101は図3に示すように軸方向に沿ったスリット102を有することが好ましい。筒状部材101がスリット102を有することで、筒状部材101がバンド7で締め付けられた時に容易に変形する。
図5に示すように、バンド7は、内側部材71と、外側部材72と、を備える。内側部材71及び外側部材72は、例えば金属で形成されている。外側部材72が内側部材71の外周面に重なっている。内側部材71は、外周面から突出する爪715と、把持部711と、を備える。外側部材72は、長穴720と、把持部721と、を備える。爪715は、長穴720の内側に位置する。把持部711及び把持部721に互いに近付く方向の力が加えられると、内側部材71の内径が小さくなっていく。内側部材71の内径が所定の大きさになると、爪715が長穴720の端部に接する。これにより、内側部材71の内径が所定の大きさ以下にならない。内側部材71の内径が所定の大きさになると、例えば長穴720の内壁からストッパーが突出することで爪715が位置決めされる。これにより、内側部材71及び外側部材72が相対的に移動しなくなるので、バンド7が筒状部材101を締め付けた状態が保たれる。
図7に示すように、ダストカバー1は、ベローズ2と、ブッシュ5と、シールリップ11と、シールリップ12と、取付部材6と、を備える。ベローズ2、ブッシュ5、シールリップ11、シールリップ12及び取付部材6は、それぞれ環状に形成されている。ベローズ2は、例えばゴムで形成されている。図7に示すように、ベローズ2は、ブッシュ嵌合部20と、第1嵌合部22と、第1可撓部21と、第2嵌合部26と、第2可撓部25と、を備える。
ブッシュ嵌合部20は、ベローズ2のうちの径方向内側の端部に位置している。ブッシュ嵌合部20は、ブッシュ5に嵌まる。図8及び図10に示すように、ブッシュ嵌合部20は、第3突起28と、第3突起29と、凸部201と、を備える。第3突起28は、ブッシュ嵌合部20からエンジンルーム側に突出している。第3突起29は、ブッシュ嵌合部20から車室側に突出している。ブッシュ嵌合部20がブッシュ5に嵌まっている状態では、第3突起28及び第3突起29は、ブッシュ5に押されて変形している。凸部201は、ブッシュ嵌合部20の内周面に設けられている。例えば、4つの凸部201が周方向に等間隔で並んでいる。
第1嵌合部22は、取付部材6に嵌まる。第1可撓部21は、ブッシュ嵌合部20と第1嵌合部22とを連結している。図7に示すように、回転軸Zを含む断面において第1可撓部21は略U字状である。第2嵌合部26は、取付部材6に嵌まる。第2可撓部25は、ブッシュ嵌合部20と第2嵌合部26とを連結している。図7に示すように、回転軸Zを含む断面において第2可撓部25は略U字状である。第1可撓部21及び第2可撓部25は、ブッシュ嵌合部20により連結されている。
ゴムであるベローズ2は、例えば金型を用いて成形される。図9に示すように、金型から取り出されたベローズ2における第1可撓部21の形状は、ブッシュ5に取り付けられた後のベローズ2における第1可撓部21の形状とは異なる。ベローズ2を金型から抜きやすくするため、図9に示すように第1可撓部21が屈曲部211を有している。屈曲部211は、第2可撓部25とは反対側に向かって凸である。このため、回転軸Zを含む断面において第1可撓部21が略S字状である。屈曲部211は、ベローズ2がブッシュ5に取り付けられるまでに裏返される。すなわち、屈曲部211が第2可撓部25に向かって押し込まれる。これにより、ベローズ2は、図8に示すような形状となる。屈曲部211が裏返されることで、第2嵌合部26が第2嵌合部26に近付く。このため、第2嵌合部26を取付部材6に嵌める作業が容易になる。
ブッシュ5は、第2ステアリングシャフト85を回転可能に支持する軸受である。ブッシュ5は、例えばナイロンで形成されている。図11に示すようにブッシュ5は、基部50と、外側フランジ51と、内側フランジ52と、複数の潤滑剤溝59とを備える。
基部50は、第2ステアリングシャフト85に接している。基部50は、外周面に凹部501を備える。例えば、凹部501の数は4つである。4つの凹部501が周方向に等間隔に配置されている。図10に示す凸部201が、凹部501に嵌まる。これにより、ブッシュ嵌合部20が基部50に対して回転しなくなる。これにより、ベローズ2及びブッシュ5の相対的な回転が規制される。
外側フランジ51は、基部50のエンジンルーム側の端部から径方向外側に突出している。内側フランジ52は、基部50の車室側の端部から径方向外側に突出している。基部50、外側フランジ51及び内側フランジ52で形成される空間に、ベローズ2のブッシュ嵌合部20が嵌まる。潤滑剤溝59は、基部50の内周面に設けられた溝であって、例えば軸方向に沿っている。潤滑剤溝59は、ブッシュ5の軸方向の全長に亘っている。例えば複数の潤滑剤溝59が周方向で等間隔に配置されている。潤滑剤溝59には、潤滑剤としてのグリースが充填されている。これにより、ブッシュ5と第2ステアリングシャフト85との間の摩擦が低減される。
図11に示すように、外側フランジ51から内側フランジ52までの軸方向の距離W50は、図8に示す幅W20よりも小さい。幅W20は、第3突起28及び第3突起29を含めたブッシュ嵌合部20の軸方向の全長である。ブッシュ嵌合部20が外側フランジ51と内側フランジ52との間に配置されると、第3突起28及び第3突起29が外側フランジ51及び内側フランジ52によって圧縮される。すなわち、第3突起28及び第3突起29が軸方向に変形する。第3突起28及び第3突起29がブッシュ5に密着するので、ブッシュ嵌合部20とブッシュ5との間の隙間が密封される。さらに、振動等によりブッシュ嵌合部20に軸方向の荷重が加わった場合、変形していた第3突起28又は第3突起29が復元する。このため、第3突起28又は第3突起29がブッシュ5に接する状態が維持される。ブッシュ嵌合部20に荷重が加わった場合でも、ブッシュ嵌合部20とブッシュ5との間の隙間の密封性が保たれる。
また、図10に示すブッシュ嵌合部20の内径D20は、図12に示す基部50の外径D50よりも小さい。ブッシュ嵌合部20が基部50に取り付けられると、ブッシュ嵌合部20が径方向に変形する。このため、ブッシュ嵌合部20がブッシュ5に密着する。このため、ブッシュ嵌合部20とブッシュ5との間の隙間が密封される。
シールリップ11は、第2ステアリングシャフト85及びブッシュ5の間の隙間とエンジンルームとを隔てる密封部材である。シールリップ11は、例えばニトリルゴム(NBR)であり、加硫接着によりブッシュ5と一体となっている。図11に示すように、シールリップ11は、ブッシュ5の端面からエンジンルーム側に突出している。第2ステアリングシャフト85に接する前におけるシールリップ11の最小内径は、第2ステアリングシャフト85の外径より小さい。このため、シールリップ11が第2ステアリングシャフト85に接すると、シールリップ11が変形する。シールリップ11の弾性により、シールリップ11と第2ステアリングシャフト85との間の隙間が生じにくくなっている。このため、シールリップ11は、エンジンルームからブッシュ5の内側への異物の侵入を防ぐことができると共に、ブッシュ5の内側からエンジンルームへのグリースの漏洩を防ぐことができる。また、シールリップ11は、エンジンルームで生じる音の車室への漏洩を抑制することができる。
シールリップ12は、第2ステアリングシャフト85及びブッシュ5の間の隙間と車室とを隔てる密封部材である。シールリップ12は、例えばニトリルゴム(NBR)であり、加硫接着によりブッシュ5と一体となっている。図11に示すように、シールリップ12は、ブッシュ5の端面から車室側に突出している。第2ステアリングシャフト85に接する前におけるシールリップ12の最小内径は、第2ステアリングシャフト85の外径より小さい。このため、シールリップ12が第2ステアリングシャフト85に接すると、シールリップ12が変形する。シールリップ12の弾性により、シールリップ12と第2ステアリングシャフト85との間の隙間が生じにくくなっている。このため、シールリップ12は、ブッシュ5の内側から車室へのグリースの漏洩を防ぐことができる。また、シールリップ12は、エンジンルームで生じる音の車室への漏洩を抑制することができる。
取付部材6は、ベローズ2を図3に示す筒状部材101に押し付ける部材である。取付部材6は、例えばアルミニウム合金で形成される。取付部材6は、合成樹脂で形成されていてもよい。図4に示すように、取付部材6は、本体部61と、フランジ部62と、を備える。本体部61は、円筒状であって、外周面に環状の第1溝611を備える。第1溝611には、ベローズ2の第1嵌合部22が嵌まる。フランジ部62は、本体部61から径方向外側に向かって突出する。図4に示すように、フランジ部62が筒状部材101に接することで、取付部材6が位置決めされる。フランジ部62と第1嵌合部22との間の隙間には、第2嵌合部26が嵌まる。第2可撓部25の一部は、第1嵌合部22と筒状部材101とに挟まれている。また、第1可撓部21の一部は、第2可撓部25と取付部材6とに挟まれている。
ベローズ2が取付部材6に取り付けられる前における第1嵌合部22の内径D22(図8参照)は、本体部61の外径D61(図7参照)よりも小さい。このため、ベローズ2は、径方向に伸ばされながら取付部材6に嵌められる。ベローズ2が取付部材6を締め付けるので、ベローズ2が取付部材6から離脱しにくい。このため、ダストカバー1が車両に搭載される前でも、ベローズ2が取付部材6に嵌まった状態が保たれる。したがって、ダストカバー1を車両に取り付ける作業が容易となる。
バンド7により筒状部材101が締め付けられるので、ベローズ2のうち筒状部材101と取付部材6との間にある部分が圧縮される。すなわち、第1嵌合部22、第1可撓部21、第2嵌合部26及び第2可撓部25が圧縮される。これにより、筒状部材101と取付部材6との間の隙間が密封される。また、第1嵌合部22が第1溝611の内壁に引っ掛かり且つ第2嵌合部26が第1嵌合部22に引っ掛かる。このため、ベローズ2が取付部材6から離脱しなくなる。
図4に示すように、第1溝611は、径方向においてバンド7に重なっている。例えば、軸方向における第1溝611の長さL611は、軸方向におけるバンド7の長さL7よりも小さい。径方向において、第1溝611の軸方向の両端が、バンド7に重なっている。これにより、第1嵌合部22が第1溝611の内壁に押し付けられやすくなる。その結果、筒状部材101と取付部材6との間の隙間がより密封されやすくなる。
なお、バンド7は、必ずしも上述した構造を有していなくてもよい。バンド7は、筒状部材101を締め付けることができればよく、特に限定されない。バンド7は、結束バンド又はホースバンドと呼ばれることもある。
なお、筒状部材101は、必ずしも金属でなくてもよい。例えば、筒状部材101は、合成樹脂又はゴムで形成されていてもよい。筒状部材101が合成樹脂又はゴムである場合、筒状部材101は図3に示すスリット102を有していなくてもよい。
なお、ベローズ2の製造工程において、必ずしも図9に示す屈曲部211が裏返されなくてもよい。すなわち、ベローズ2が、金型から取り出された時点で図8に示す形状を有していてもよい。また、ベローズ2は、必ずしもゴムでなくてもよく、例えばエラストマー等であってもよい。
なお、必ずしも、図10に示すようにブッシュ嵌合部20が凸部201を備え、図12に示すようにブッシュ5が凹部501を備えていなくてもよい。ブッシュ嵌合部20が凸部201に代えて凹部を備え、ブッシュ5が凹部501に代えて凸部を備えていてもよい。
以上で説明したように、ダストカバー1は、ブッシュ5と、ベローズ2と、取付部材6と、を備える。ブッシュ5は、ダッシュパネル10の筒状部材101を貫通する第2ステアリングシャフト85の外周面に取り付けられる。ベローズ2は、筒状部材101とブッシュ5との間の隙間を塞ぐ環状の部材である。取付部材6は、ベローズ2を筒状部材101に押し付ける筒状の部材である。取付部材6は、環状の溝である第1溝611を外周面に備える。ベローズ2は、ブッシュ嵌合部20と、第1嵌合部22と、第1可撓部21と、第2嵌合部26と、第2可撓部25と、を備える。ブッシュ嵌合部20は、ブッシュ5の外周面に接する。第1嵌合部22は、第1溝611に嵌まる。第1可撓部21は、ブッシュ嵌合部20及び第1嵌合部22を連結する。第2嵌合部26は、第1嵌合部22に対して第1可撓部21とは反対側に位置し且つ取付部材6に接する。第2可撓部25は、ブッシュ嵌合部20と第2嵌合部26を連結し且つ筒状部材101及び第1嵌合部22に挟まれる。
これにより、バンド7によって筒状部材101が締め付けられると、ベローズ2のうち筒状部材101と取付部材6との間にある部分が圧縮される。筒状部材101と取付部材6との間においては、第1嵌合部22及び第2可撓部25が重なっている。このため、第1嵌合部22及び第2可撓部25の変形が大きくなりやすい。車両の振動等によって第1嵌合部22及び第2可撓部25が径方向に移動した場合でも、第1嵌合部22及び第2可撓部25の変形が復元する。これにより、筒状部材101と取付部材6との間の隙間の密封が保たれる。したがって、ダストカバー1は、ステアリングシャフトとダッシュパネル10との間の隙間の密封性を高めることができる。
またダストカバー1においては、第1溝611は、径方向において、筒状部材101に取り付けられる環状のバンド7に重なる。これにより、第1嵌合部22が第1溝611の内壁に押し付けられやすくなる。その結果、筒状部材101と取付部材6との間の隙間がより密封されやすくなる。
またダストカバー1においては、軸方向における第1溝611の両端が、径方向でバンド7に重なる。これにより、第1嵌合部22が第1溝611の内壁に押し付けられやすくなる。その結果、筒状部材101と取付部材6との間の隙間がより密封されやすくなる。
またダストカバー1においては、取付部材6は、第1溝611が設けられる本体部61と、本体部61から径方向の外側に向かって突出するフランジ部62と、を備える。これにより、フランジ部62を筒状部材101に接触させることが可能となるので、ダストカバー1の位置決めが容易になる。
またダストカバー1においては、取付部材6は、合成樹脂又はアルミニウム合金である。これにより、ダストカバー1が軽量化する。
またダストカバー1は、第2ステアリングシャフト85とブッシュ5との間の隙間を塞ぐシールリップ11及びシールリップ12を備える。シールリップ11及びシールリップ12は、ブッシュ5と一体である。これにより、シールリップ11及びシールリップ12がエンジンルームで生じる音の車室への漏洩を抑制する。さらに、シールリップ11及びシールリップ12をブッシュ5に固定するための部材が不要なので、ダストカバー1が軽量化する。
またダストカバー1においては、ブッシュ嵌合部20は、ブッシュ5からの反力によって変形する第3突起28及び第3突起29を備える。これにより、ブッシュ嵌合部20がブッシュ5に対して移動した場合、変形していた第3突起28及び第3突起29が復元する。第3突起28又は第3突起29がブッシュ5に接する状態が維持されるので、ブッシュ嵌合部20とブッシュ5との間の隙間の密封性が保たれる。
またダストカバー1においては、ブッシュ5の外周面及びブッシュ嵌合部20の内周面の一方には凹部501が設けられ、他方には凹部501に嵌まる凸部201が設けられる。これにより、ブッシュ5及びブッシュ嵌合部20の相対的な回転が抑制される。その結果、ブッシュ5とブッシュ嵌合部20との間の隙間の密封性が向上する。
(第1変形例)
図13は、第1変形例における取付部材の周辺の断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図13に示すように、第1変形例の取付部材6Aにおいては、本体部61Aが第2溝612及び第1壁部615を備える。第2溝612は、本体部61Aの外周面に設けられた環状の溝である。第2溝612は、第1溝611よりも車室側に位置する。第1壁部615は、第1溝611と第2溝612との間に位置する。第1壁部615は、第1溝611及び第2溝612を隔てる。第2溝612には、第2嵌合部26が嵌まる。
図13に示すように、第1溝611及び第2溝612は、径方向においてバンド7Aに重なっている。例えば、軸方向における第1溝611の長さL611と第1壁部615の長さL615との和は、軸方向におけるバンド7Aの長さL7Aよりも小さい。径方向において、第1溝611の軸方向の両端が、バンド7Aに重なっている。このため、第1嵌合部22が第1溝611の内壁に押し付けられやすくなる。また、径方向において、第2溝612の軸方向の一端がバンド7Aに重なっている。このため、第2嵌合部26が第2溝612の内壁に押し付けられやすくなる。その結果、筒状部材101と取付部材6Aとの間の隙間がより密封されやすくなる。
上述したように、取付部材6Aは、第2嵌合部26が嵌まる環状の溝である第2溝612を外周面に備える。これにより、第1嵌合部22が第1溝611の内壁に引っ掛かり且つ第2嵌合部26が第2溝612の内壁に引っ掛かる。したがって、ベローズ2が取付部材6Aから離脱しなくなる。
(第2変形例)
図14は、第2変形例における取付部材の周辺の断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図14に示すように、第2変形例のベローズ2Bは、第1突起23を備える。第1突起23は、第1嵌合部22から第2嵌合部26に向かって突出する。
図14に示すように、第2変形例の取付部材6Bにおいては、本体部61Bが第2溝613及び第1壁部616を備える。第2溝613は、本体部61Bの外周面に設けられた環状の溝である。第2溝613は、第1溝611よりも車室側に位置する。第1壁部616は、第1溝611と第2溝613との間に位置する。第1壁部616は、第1溝611及び第2溝613を隔てる。第2溝613には、第2嵌合部26が嵌まる。第1突起23は、第1壁部616に押し付けられる。
図14に示すように、第1溝611及び第2溝613は、径方向においてバンド7Bに重なっている。例えば、軸方向における第1溝611の長さL611と第1壁部616の長さL616との和は、軸方向におけるバンド7Bの長さL7Bよりも小さい。径方向において、第1溝611の軸方向の両端が、バンド7Bに重なっている。このため、第1嵌合部22が第1溝611の内壁に押し付けられやすくなる。また、径方向において、第2溝613の軸方向の一端がバンド7Bに重なっている。このため、第2嵌合部26が第2溝613の内壁に押し付けられやすくなる。その結果、筒状部材101と取付部材6Bとの間の隙間がより密封されやすくなる。
なお、第2変形例において、取付部材6Bは第2溝613を備えていなくてもよい。この場合、第2嵌合部26は、第1突起23とフランジ部62との間の隙間に嵌まることになる。すなわち、第2嵌合部26の内周面の位置が、第1突起23の内周面の位置と同じとなる。
上述したように、ベローズ2Bは、第1嵌合部22から第2嵌合部26に向かって突出する第1突起23を備える。これにより、第1嵌合部22と共に第1突起23が取付部材6Bに押し付けられる。このため、筒状部材101と取付部材6Bとの間の隙間がより密封されやすくなる。
(第3変形例)
図15は、第3変形例における取付部材の周辺の断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図15に示すように、第3変形例のベローズ2Cは、第2突起27を備える。第2突起27は、第2嵌合部26から第1嵌合部22とは反対側に向かって突出する。すなわち、第2突起27は、第2嵌合部26からフランジ部62側に向かって突出する。なお、ベローズ2Cは、第2変形例で示した第1突起23を備えていてもよい。
図15に示すように、第3変形例の取付部材6Cにおいては、本体部61Cが第2壁部618を備える。第2壁部618は、第2溝612とフランジ部62との間に位置する。第2壁部618は、第2溝612及びフランジ部62を隔てる。
図15に示すように、第1溝611及び第2溝612は、径方向においてバンド7Cに重なっている。例えば、軸方向における第1溝611の長さL611と、第1壁部615の長さL615と、第2溝612の長さL612との和は、軸方向におけるバンド7Cの長さL7Cよりも小さい。径方向において、第1溝611の軸方向の両端が、バンド7Cに重なっている。このため、第1嵌合部22が第1溝611の内壁に押し付けられやすくなる。また、径方向において、第2溝612の軸方向の両端がバンド7Cに重なっている。このため、第2嵌合部26が第2溝612の内壁に押し付けられやすくなる。その結果、筒状部材101と取付部材6Cとの間の隙間がより密封されやすくなる。
上述したように、取付部材6Cは、第2嵌合部26から第1嵌合部22とは反対側に向かって突出する第2突起27を備える。これにより、第2嵌合部26と共に第2突起27が取付部材6Cに押し付けられる。このため、筒状部材101と取付部材6Cとの間の隙間がより密封されやすくなる。