JP2020007572A - 潤滑油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気自動車やハイブリッド車等の電動モーター駆動車両において電動モーターの冷却および潤滑に好ましく用いることのできる、向上した冷却性および耐熱性を有する潤滑油組成物を提供する。【解決手段】(A)一種以上の鉱油および/または合成油からなり、100℃における動粘度が1.0〜3.0mm2/sである潤滑油基油と、(B1)ホウ素含有コハク酸イミド系無灰分散剤を、組成物全量基準でホウ素量として0.015〜0.05質量%かつ窒素量として0.01〜0.2質量%と、(C)ポリメタクリレート系粘度指数向上剤を組成物全量基準で5質量%以下とを含み、40℃における動粘度が19mm2/s以下であり、100℃における動粘度が5.0mm2/s以下であり、電動モーター駆動車両において該車両を駆動する電動モーターの冷却および潤滑に用いられる、潤滑油組成物。【選択図】なし

Description

本発明は潤滑油組成物に関し、より詳しくは、電気自動車またはハイブリッド車等の電動モーター駆動車両において電動モーター、バッテリー、インバーター等の冷却に用いられる潤滑油組成物に関する。
近年の技術開発により、電気自動車やハイブリッド自動車等の電動モーター駆動車両において車両の駆動に用いられる電動モーターの出力は向上している。これに伴い、車両を駆動する電動モーターから発生する熱も増大しており、従来の空冷方式では十分な冷却を行うことが難しくなりつつある。
電動モーターの冷却方式としては、空冷方式の他に、水冷方式および油冷方式が知られている。これらは液体を用いた冷却方式であるため、空冷方式よりも高い冷却能力を有している。中でも、油は絶縁性を持たせることが可能であるので、油冷方式によれば、電動モーターの内部に油を流通させ、モーターコイルや磁石等の熱で劣化しやすい部材に油を直接接触させて熱交換を行うことが可能であり、したがって高い冷却能力が期待できる。
最近では、電気自動車やハイブリッド自動車等の電動モーター駆動車両においては、変速機と電動モーターとをパッケージ化することにより小型軽量化することが求められている。そこで、電気自動車やハイブリッド車等の電動モーター駆動車両において、変速機と電動モーターの潤滑システムを統合し、電動モーターの冷却および潤滑と変速機の潤滑とを同一の潤滑油で行うことも提案されている(特許文献1〜5)。
特開2008−285682号公報 特開2009−161604号公報 特開2009−242547号公報 特開2011−063734号公報 特開2012−207083号公報
しかしながら、過酷な走行条件下においてはモーターコイル温度が高温に達することから、電動モーターの冷却および潤滑に用いられる潤滑油には冷却性だけでなく、高温清浄性が要求されるようになってきた。潤滑油の高温清浄性が不十分である場合には、モーターコイルやステーター等の表面に、潤滑油に起因するデポジットや、ラッカー等の劣化物被膜が形成し、冷却効率を低下させる事態が懸念される。
本発明は、電気自動車やハイブリッド車等の電動モーター駆動車両において電動モーターの冷却および潤滑に好ましく用いることのできる、向上した冷却性および耐熱性を有する潤滑油組成物を提供することを課題とする。
本発明の第1の態様は、(A)一種以上の鉱油および/または合成油からなり、100℃における動粘度が1.0〜3.0mm/sである潤滑油基油と、(B1)ホウ素含有コハク酸イミド系無灰分散剤を、組成物全量基準でホウ素量として0.01〜0.1質量%かつ窒素量として0.01〜0.2質量%と、(C)ポリメタクリレート系粘度指数向上剤を組成物全量基準で5質量%以下とを含み、40℃における動粘度が19mm/s以下であり、100℃における動粘度が5.0mm/s以下であり、電動モーター駆動車両において該車両を駆動する電動モーターの冷却および潤滑に用いられることを特徴とする、潤滑油組成物である。
一の実施形態において、本発明の第1の態様に係る潤滑油組成物は、さらに(B2)ホウ素非含有コハク酸イミド系無灰分散剤を含有し、(B1)成分および(B2)成分に由来する合計の窒素量が組成物全量基準で0.01〜0.2質量%であり、かつ、(B1)成分および(B2)成分に由来する合計の窒素量(N)に対する、(B1)成分に由来するホウ素量(B)の質量比(B/N)が0.15〜1.0である。
一の実施形態において、本発明の第1の態様に係る潤滑油組成物は、(B2)ホウ素非含有コハク酸イミド系無灰分散剤を含有しない。
一の好ましい実施形態において、本発明の第1の態様に係る潤滑油組成物は、エステル系基油を含有しない。
一の好ましい実施形態において、(A)潤滑油基油の100℃における動粘度は、2.5mm/s以下であり、より好ましくは2.3mm/s以下、さらに好ましくは2.0mm/s以下である。
本発明の第1の態様に係る潤滑油組成物は、電動モーター駆動車両において、該車両を駆動する電動モーターの冷却および潤滑と、変速機の潤滑との兼用油として好ましく用いることができる。
本発明の第1の態様に係る潤滑油組成物は、一の潤滑システムで変速機および車両を駆動する電動モーターの両方を潤滑する統合型潤滑システムを有する電動モーター駆動車両において、該統合型潤滑システムの潤滑油として好ましく用いることができる。
本発明の第2の態様は、(a)本発明の第1の態様に係る潤滑油組成物を、車両を駆動する電動モーターに供給する工程と、(b)該潤滑油組成物を、電動モーターのコイル及び/又は磁石に接触させる工程と、(c)該潤滑油組成物を冷却する工程とを有することを特徴とする、電動モーター駆動車両の電動モーターの冷却および潤滑方法である。
一の好ましい実施形態において、本発明の第2の態様に係る方法は、(d)上記潤滑油組成物を変速機に供給する工程をさらに有し、工程(a)〜(c)および工程(d)において共通の潤滑油組成物が用いられる、電動モーター駆動車両の電動モーターおよび変速機の冷却および潤滑方法とすることができる。
本発明の第1の態様に係る潤滑油組成物は、向上した冷却性および耐熱性を有するので、電気自動車やハイブリッド車等の電動モーター駆動車両において、電動モーターの冷却および潤滑に好ましく用いることができる。また、電動モーターの冷却および潤滑と変速機の潤滑との兼用油としても好ましく用いることができる。
本発明の第2の態様に係る電動モーターの冷却および潤滑方法によれば、本発明の第1の態様に係る潤滑油組成物が向上した冷却性および耐熱性を有するので、向上した冷却能力をより長期間にわたって発揮することができる。
実施例および比較例において熱伝達係数の測定に用いた装置を模式的に説明する断面図である。
以下、本発明について詳述する。なお、特に断らない限り、数値A及びBについて「A〜B」という表記は「A以上B以下」を意味するものとする。かかる表記において数値Bのみに単位を付した場合には、当該単位が数値Aにも適用されるものとする。また「又は」及び「若しくは」の語は、特に断りのない限り論理和を意味するものとする。
<(A)潤滑油基油>
潤滑油基油としては、一種以上の鉱油および/または合成油からなり、100℃における動粘度が1.0〜3.0mm/sである潤滑油基油を、特に制限なく用いることができる。潤滑油基油は鉱油系基油であってもよく、合成系基油であってもよく、鉱油系基油と合成系基油との混合基油であってもよい。
鉱油系基油としては例えば、原油を常圧蒸留および/または減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理から選ばれる1種以上の処理により精製した基油や、ワックス異性化鉱油、フィッシャートロプシュプロセス等により製造されるGTL WAX(ガス・トゥ・リキッド・ワックス)を異性化する手法で製造される基油等を例示できる。
合成系基油としては、具体的には、ポリブテンまたはその水素化物;1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等のポリα−オレフィンまたはその水素化物;マレイン酸ジブチル等のジカルボン酸類と炭素数2〜30のα−オレフィンとの共重合体;アルキルナフタレン、アルキルベンゼン、芳香族エステル等の芳香族系合成油またはこれらの混合物等が挙げられる。中でも、ポリブテンまたはその水素化物;1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等のポリα−オレフィンまたはその水素化物が好ましく用いられる。
合成系基油としてはエステル系基油も知られているが、エステル系基油は酸化安定性が悪いため好ましくない。したがって合成系基油はエステル系基油以外の合成系基油であることが好ましい。
潤滑油基油の100℃における動粘度は、1.0〜3.0mm/sであり、冷却性の観点から好ましくは2.5mm/s以下、より好ましくは2.3mm/s以下、さらに好ましくは2.0mm/s以下である。下限は1.5mm/s以上であってもよい。潤滑油基油の100℃における動粘度が大きすぎる場合には、低温粘度特性が悪化し、また、十分な冷却性能が得られないおそれがある。逆に、潤滑油基油の100℃における動粘度が小さすぎる場合には、潤滑箇所での油膜形成が不十分となるため潤滑性に劣り、また潤滑油基油の蒸発損失が大きくなるおそれがある。
潤滑油基油の40℃における動粘度は、特に制限されるものではないが、好ましくは12mm/s以下であり、より好ましくは10mm/s以下である。また好ましくは5.0mm/s以上であり、より好ましくは7.0mm/s以上である。潤滑油基油の40℃における動粘度が高すぎると、低温粘度特性が悪化し、十分な冷却性能が得られない虞がある。逆に、潤滑油基油の40℃における動粘度が低すぎると、潤滑箇所での油膜形成が不十分となるため潤滑性に劣り、また潤滑油基油の蒸発損失が大きくなるおそれがある。
潤滑油基油の粘度指数は特に制限されるものではないが、低温から高温まで優れた粘度特性を得る観点からは、粘度指数の値は80以上であることが好ましく、90以上であることがより好ましい。粘度指数の上限については特に制限はない。
潤滑油基油のヨウ素価は、好ましくは1以下であり、より好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.3以下、特に好ましくは0.15以下である。また、下限は特に限定されず、0.01未満であってもよいが、それに見合うだけの効果が小さい点および経済性との関係から、潤滑油基油のヨウ素価は、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.05以上である。潤滑油基油のヨウ素価を1以下とすることで、熱・酸化安定性が飛躍的に向上し、さらに冷却性能や絶縁性能を向上させることができる。なお、本出願においてヨウ素価とは、JIS K 0070「化学製品の酸価、ケン化価、ヨウ素価、水酸基価および不ケン化価」の指示薬滴定法により測定したヨウ素価を意味する。
潤滑油基油の80℃における誘電率は、好ましくは2.3以上であり、より好ましくは2.5以上であり、さらに好ましくは3.0以上である。また好ましくは30以下であり、より好ましくは15以下であり、さらに好ましくは10以下である。80℃における誘電率が大きすぎる場合には、絶縁性能の低下をもたらすおそれがある。逆に、80℃における誘電率が小さすぎる場合には、冷却性能の低下を招くおそれがある。なお本出願において誘電率の測定はJIS C 2101 23に準拠して行うものとする。
潤滑油基油の80℃における体積抵抗率は、好ましくは0.01×1012Ω・cm以上であり、より好ましくは0.02×1012Ω・cm以上、さらに好ましくは0.05×1012Ω・cm以上である。80℃における体積抵抗率が小さすぎる場合には、絶縁性の低下を招くおそれがある。なお本出願において体積抵抗率の測定はJIS C 2101 24に準拠して行うものとする。
潤滑油基油における芳香族分の含有量は、特に制限されるものではないが、潤滑油基油全量を基準(100質量%)として、好ましくは0〜10質量%であり、より好ましくは0〜5質量%であり、さらに好ましくは0〜2質量%であり、特に好ましくは0〜1質量%である。基油の芳香族分が多すぎる場合は、潤滑油組成物の酸化安定性が低下する。なお本出願において芳香族分とは、ASTM D2549に準拠して測定した芳香族留分(aromatic fraction)含有量を意味する。通常この芳香族留分には、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンの他、アントラセン、フェナントレン、これらのアルキル化物、ベンゼン環が四環以上縮合した化合物、およびピリジン類、キノリン類、フェノール類、ナフトール類等のヘテロ芳香族を有する化合物等が含まれる。
潤滑油基油における硫黄分は、特に制限されるものではないが、潤滑油基油全量を基準(100質量%)として、0〜0.1質量%であることが好ましく、より好ましくは0〜0.01質量%、さらに好ましくは0〜0.001質量%、特に好ましくは0〜0.0005質量%である。
潤滑油基油のアニリン点は、特に制限されるものではないが、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは120℃以下、特に好ましくは115℃以下であり、また好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは110℃以上である。潤滑油基油のアニリン点が高すぎると、添加剤の溶解性が低下し、また、ゴム材への膨潤性が低下するため、油漏れの原因となる。アニリン点が低すぎると、粘度温度特性が悪化すると共に、十分な冷却性能が得られない虞がある。
潤滑油基油の流動点は、好ましくは−15℃以下、より好ましくは−20℃以下、さらに好ましくは−25℃以下、最も好ましくは−30℃以下である。流動点が高すぎると、その潤滑油基油を用いた組成物全体の低温流動性が低下するおそれがある。なお、本出願において流動点とは、JIS K 2269−1987に準拠して測定された流動点を意味する。
<(B1)ホウ素含有コハク酸イミド系無灰分散剤>
本発明の潤滑油組成物は、無灰分散剤として(B1)ホウ素含有コハク酸イミド系無灰分散剤(以下において単に「(B1)成分」ということがある。)を含有する。ホウ素含有コハク酸イミド系無灰分散剤としては、例えば、炭素数40〜400のアルキル基またはアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するコハク酸イミド系無灰分散剤を、ホウ素化合物(例えばホウ酸等。)と反応させることにより得られる化合物を挙げることができる。
上記コハク酸イミド系無灰分散剤のより具体的な例としては、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(2)で表される化合物から選ばれる1種以上のコハク酸イミド化合物を挙げることができる。
[式(1)中、Rは炭素数40〜400、好ましくは60〜350のアルキル基又はアルケニル基を表し、iは1〜5、好ましくは2〜4の整数を表す。]
[式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数40〜400、好ましくは60〜350のアルキル基又はアルケニル基を表し、jは0〜4、好ましくは1〜3の整数を表す。]
本発明の潤滑油組成物における(B1)ホウ素含有コハク酸イミド系無灰分散剤のホウ素量としての含有量は、組成物全量基準で0.01〜0.1質量%であり、好ましくは0.015質量%以上であり、また好ましくは0.05質量%以下である。
また、本発明の潤滑油組成物における(B1)ホウ素含有コハク酸イミド系無灰分散剤の窒素量としての含有量は、組成物全量基準で0.01〜0.2質量%であり、好ましくは0.04質量%以上であり、また好ましくは0.15質量%以下である。
<(B2)ホウ素非含有コハク酸イミド系無灰分散剤>
本発明の潤滑油組成物は、上記(B1)ホウ素含有コハク酸イミド系無灰分散剤に加えて、さらに(B2)ホウ素非含有コハク酸イミド系無灰分散剤(以下において単に「(B2)成分」ということがある。)を含有してもよく、含有しなくてもよい。(B2)ホウ素非含有コハク酸イミド系無灰分散剤としては、例えば、炭素数40〜400のアルキル基またはアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するコハク酸イミド系無灰分散剤を挙げることができる。ホウ素非含有コハク酸イミド系無灰分散剤のより具体的な例としては、上記一般式(1)で表される化合物、及び上記一般式(2)で表される化合物から選ばれる1種以上のコハク酸イミド化合物を挙げることができる。
本発明の潤滑油組成物が(B2)ホウ素非含有コハク酸イミド系無灰分散剤を含む場合、その含有量は、(B1)成分および(B2)成分に由来する合計の窒素量が組成物全量基準で0.01〜0.2質量%となり、かつ、(B1)成分および(B2)成分に由来する合計の窒素量(N)に対する、(B1)成分に由来するホウ素量(B)の質量比(B/N)が0.15〜1.0となる量である。
本発明の潤滑油組成物が(B2)ホウ素非含有コハク酸イミド系無灰分散剤を含む場合において、(B1)成分および(B2)成分に由来する合計の窒素量は、組成物全量基準で、0.01質量%以上であり、好ましくは0.04質量%以上であり、また0.2質量%以下であり、好ましくは0.15質量%以下である。
本発明の潤滑油組成物が(B2)ホウ素非含有コハク酸イミド系無灰分散剤を含む場合において、(B1)成分および(B2)成分に由来する合計の窒素量(N)に対する、(B1)成分に由来するホウ素量(B)の質量比(B/N)は、0.15以上であり、好ましくは0.18以上であり、また1.0以下であり、好ましくは0.80以下である。
<(C)ポリメタクリレート系粘度指数向上剤>
本発明の潤滑油組成物は、(C)ポリメタクリレート系粘度指数向上剤(以下において単に「(C)成分」ということがある。)を含有する。本発明の潤滑油組成物における(C)ポリメタクリレート系粘度指数向上剤は、分散型のポリメタクリレート系粘度指数向上剤であっても良いし、非分散型のポリメタクリレート系粘度指数向上剤であっても良い。
本発明の潤滑油組成物における(C)ポリメタクリレート系粘度指数向上剤は、ポリマー中の全単量体単位に占める下記一般式(3)で表される構造単位の割合が10〜90モル%であるポリメタクリレート系粘度指数向上剤であることが好ましい。
[式(3)中、Rは炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状の炭化水素基を示す。]
ポリマー中の一般式(3)で表される構造単位の割合は、好ましくは10〜90モル%であり、より好ましくは80モル%以下であり、さらに好ましくは70モル%以下である。また、より好ましくは20モル%以上であり、さらに好ましくは30モル%以上であり、特に好ましくは40モル%以上である。ポリマー中の全単量体単位に占める一般式(3)で表される構造単位の割合が90モル%を超える場合は、基油への溶解性や粘度温度特性の向上効果や低温粘度特性に劣るおそれがあり、20モル%を下回る場合は粘度温度特性の向上効果に劣るおそれがある。
本発明の潤滑油組成物における(C)ポリメタクリレート系粘度指数向上剤は、一般式(3)で表される構造単位に加えて、他の(メタ)アクリレート構造単位を有する共重合体であってもよい。本出願において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。このような共重合体は、下記一般式(4)で表されるモノマー(以下、「モノマー(M−1)」という。)の1種または2種以上と、モノマー(M−1)以外のモノマーとを共重合させることによって得ることができる。
[上記一般式(4)中、Rは炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状の炭化水素基を示す。]
モノマー(M−1)と組み合わせるモノマーは特に制限されないが、好ましいものとしては例えば下記一般式(5)で表されるモノマー(以下、「モノマー(M−2)」という。)を挙げることができる。モノマー(M−1)とモノマー(M−2)との共重合体は、いわゆる非分散型ポリメタクリレート系粘度指数向上剤である。
[上記一般式(5)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数7以上の直鎖状又は分枝状の炭化水素基を示す。]
式(5)で示す構造単位中のRは、上述の通り炭素数7以上の直鎖状又は分枝状の炭化水素基であり、好ましくは炭素数10以上の直鎖状又は分枝状の炭化水素であり、さらに好ましくは炭素数15以上の直鎖状又は分枝状の炭化水素であり、より好ましくは炭素数18以上の分枝状炭化水素基である。また、Rで表される炭化水素基の炭素数の上限は特に制限されないが、好ましくは炭素数500以下の直鎖状又は分枝状の炭化水素基であり、より好ましくは100以下の直鎖状又は分枝状の炭化水素基であり、特に好ましくは50以下の分枝状の炭化水素基であり、最も好ましくは25以下の分枝状の炭化水素基である。
本実施形態に係る粘度指数向上剤において、ポリマー中の一般式(5)で表される構造単位は1種のみであってもよく、2種以上の組み合わせであっても良い。ポリマー中の全単量体単位に占める一般式(5)で表される構造単位の割合は、0.5〜70モル%であることが好ましく、より好ましくは60モル%以下であり、さらに好ましくは50モル%以下であり、特に好ましくは40モル%以下であり、最も好ましくは30モル%以下である。また、好ましくは1モル%以上であり、より好ましくは3モル%以上であり、さらに好ましくは5モル%以上であり、特に好ましくは10モル%以上である。ポリマー中の全単量体単位に占める一般式(5)で表される構造単位の割合が70モル%を超える場合は粘度温度特性の向上効果や低温粘度特性に劣るおそれがあり、0.5モル%を下回る場合は粘度温度特性の向上効果に劣るおそれがある。
モノマー(M−1)と組み合わせるその他のモノマーとしては、下記一般式(6)で表されるモノマー(以下、「モノマー(M−3)」という。)及び下記一般式(7)で表されるモノマー(以下、「モノマー(M−4)」という)から選ばれる1種又は2種以上が好適である。モノマー(M−1)とモノマー(M−3)及び/又は(M−4)との共重合体は、いわゆる分散型ポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤である。なお、当該分散型ポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤は、構成モノマーとしてモノマー(M−2)をさらに含んでいてもよい。
[上記一般式(6)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜18のアルキレン基を示し、Eは窒素原子を1〜2個、酸素原子を0〜2個含有するアミン残基又は複素環残基を示し、aは0又は1を示す。]
で表される炭素数1〜18のアルキレン基としては、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、及びオクタデシレン基(これらアルキレン基は直鎖状でも分枝状でもよい。)等を例示できる。
で表される基としては、具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、アニリノ基、トルイジノ基、キシリジノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、モルホリノ基、ピロリル基、ピロリノ基、ピリジル基、メチルピリジル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、キノニル基、ピロリドニル基、ピロリドノ基、イミダゾリノ基、及びピラジノ基等を例示できる。
[上記一般式(7)中、R10は水素原子又は炭化水素基を示し、Eは炭化水素基または窒素原子を1〜2個、酸素原子を0〜2個含有するアミン残基または複素環残基を示す。]
で表される基としては、具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、アニリノ基、トルイジノ基、キシリジノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、モルホリノ基、ピロリル基、ピロリノ基、ピリジル基、メチルピリジル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、キノニル基、ピロリドニル基、ピロリドノ基、イミダゾリノ基、及びピラジノ基等を例示できる。
モノマー(M−3)および(M−4)の好ましい例としては、具体的には、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−メチル−5−ビニルピリジン、モルホリノメチルメタクリレート、モルホリノエチルメタクリレート、N−ビニルピロリドン及びこれらの混合物等を例示できる。
モノマー(M−1)とモノマー(M−2)〜(M−4)との共重合体の共重合モル比については特に制限はないが、モノマー(M−1):モノマー(M−2)〜(M−4)=20:80〜90:10程度が好ましく、より好ましくは30:70〜80:20、さらに好ましくは40:60〜70:30である。
このようなポリメタクリレート系粘度指数向上剤は、例えば、ベンゾイルパーオキシド等の重合開始剤の存在下で、モノマー(M−1)及び/又は(M−2)と、モノマー(M−3)〜(M−4)から選ばれる1種以上とをラジカル溶液重合させることにより容易に得ることができる。
(C)ポリメタクリレート系粘度指数向上剤の重量平均分子量は特に制限されるものではないが、通常800〜1,000,000、好ましくは1,000〜800,000、より好ましくは5,000〜500,000、特に好ましくは10,000〜300,000である。重量平均分子量が小さすぎる場合には潤滑油基油に溶解させたときの粘度指数向上効果が小さく低温粘度特性に劣るだけでなく、コストが上昇するおそれがある。また、重量平均分子量が大きすぎる場合には、粘度増加効果が大きくなりすぎ、省燃費性や低温粘度特性に劣るだけでなく、せん断安定性や潤滑油基油への溶解性、貯蔵安定性が悪くなる。
本発明の潤滑油組成物における(C)ポリメタクリレート系粘度指数向上剤の含有量は、組成物全量基準で、5質量%以下であり、好ましくは4.5質量%以下である。下限は特に制限されるものではないが、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上である。含有量が少なすぎる場合には省燃費性が悪化するとともに、低温特性が不十分となるおそれがあり、また含有量が多すぎる場合には組成物の省燃費性が悪化するとともに、せん断安定性が悪化するおそれがある。
<その他の添加剤>
本発明の潤滑油組成物は、その性能を大きく損なわない限りにおいて、必要に応じて各種添加剤を含有することができる。具体的な添加剤としては、金属系清浄剤、酸化防止剤、極圧剤、摩耗防止剤、摩擦調整剤、流動点降下剤、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、シール膨潤剤、消泡剤等を挙げることができる。これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
金属系清浄剤としては、例えば、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属サリシレート等が挙げられる。アルカリ土類金属としてはマグネシウム、カルシウムが好ましく、カルシウムが特に好ましい。また、これらの金属系清浄剤としては、全塩基価がそれぞれ0〜500mgKOH/g、好ましくは0〜400mgKOH/gのものを適宜選択し、必要に応じて混合使用することができる。なお、金属系清浄剤は組成物の体積抵抗率を著しく下げるため、組成物の体積抵抗率が5×10Ω・mを下回らない範囲で用いることが好ましい。例えば、基油として80℃における体積抵抗率が1×1011Ω・m程度のものを用いる場合、他の添加剤の含有量にもよるが、組成物全量基準で1質量%以下、好ましくは0.1質量%以下の含有量で用いることができる。
酸化防止剤としては、フェノール系化合物やアミン系化合物等、潤滑油に一般的に使用されているものを特に制限なく用いることができる。具体的には、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等のアルキルフェノール類、メチレン−4,4−ビスフェノール(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)等のビスフェノール類、フェニル−α−ナフチルアミン等のナフチルアミン類、ジアルキルジフェニルアミン類、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)脂肪酸(プロピオン酸等)あるいは(3−メチル−5−tertブチル−4−ヒドロキシフェニル)脂肪酸(プロピオン酸等)とアルコール(例えばメタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール等。)とのエステル等を例示できる。
本発明の潤滑油組成物に酸化防止剤を含有させる場合、その含有量は、組成物全量基準で通常0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%である。
摩擦調整剤としては、例えば脂肪酸エステル系、脂肪族アミン系、脂肪酸アミド系等の無灰摩擦調整剤や、モリブデンジチオカーバメート、モリブデンジチオホスフェート等の金属系摩擦調整剤等、潤滑油用の摩擦調整剤として通常用いられる化合物を特に制限なく採用可能である。例えば、炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニル基、特に炭素数6〜30の直鎖アルキル基又は直鎖アルケニル基を分子中に少なくとも1個有する、アミン化合物、イミド化合物、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩等を好ましく用いることができる。
本発明の潤滑油組成物に摩擦調整剤を含有させる場合、その含有量は、組成物全量基準で通常0.01〜5.0質量%、好ましくは0.03〜3.0質量%である。
極圧剤、摩耗防止剤としては、潤滑油に通常用いられる極圧剤、摩耗防止剤を特に制限なく採用できる。例えば、硫黄系、リン系、硫黄−リン系の極圧剤等が使用でき、具体的には、亜リン酸エステル類、チオ亜リン酸エステル類、ジチオ亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸エステル類、リン酸エステル類、チオリン酸エステル類、ジチオリン酸エステル類、トリチオリン酸エステル類、これらのアミン塩、これらの金属塩、これらの誘導体、ジチオカーバメート、亜鉛ジチオカーバメート、モリブデンジチオカーバメート、ジサルファイド類、ポリサルファイド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類等が挙げられる。
流動点降下剤としては、使用する潤滑油基油に適合する公知の流動点硬化剤を特に制限なく用いることができる。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、またはイミダゾール系化合物等が挙げられる。
金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾールまたはその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、β−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、または多価アルコールエステル等が挙げられる。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、またはポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、25℃における動粘度が0.1〜100mm/s未満のシリコーンオイル、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸のエステル、メチルサリチレート、o−ヒドロキシベンジルアルコール等が挙げられる。
シール膨潤剤としては、潤滑油用のシール膨潤剤として通常用いられる化合物を特に制限なく採用可能であり、例えば、エステル系、硫黄系、芳香族系等のシール膨潤剤が挙げられる。
これらの添加剤を本発明の潤滑油組成物に含有させる場合には、その含有量は通常、組成物全量基準で、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤ではそれぞれ0.005〜5質量%、流動点降下剤、金属不活性化剤では0.005〜2質量%、シール膨潤剤では0.01〜5質量%、消泡剤では0.0005〜1質量%である。
<潤滑油組成物の物性>
本発明の潤滑油組成物の40℃における動粘度は、19mm/s以下であり、好ましくは18mm/s以下、より好ましくは17mm/s以下であり、また好ましくは5.0mm/s以上、より好ましくは7.0mm/s以上である。潤滑油組成物の40℃における動粘度が小さすぎる場合は、潤滑部位の油膜保持性および蒸発性に問題を生ずるおそれがあり、逆に大きすぎる場合は、冷却性の不足をもたらすおそれがある。
本発明の潤滑油組成物の100℃における動粘度は、5.0mm/s以下であり、好ましくは4.5mm/s以下である。また好ましくは1.5mm/s以上、より好ましくは2.0mm/s以上である。潤滑油組成物の100℃における動粘度が小さすぎる場合は、潤滑部位の油膜保持性および蒸発性に問題を生ずるおそれがあり、逆に大きすぎる場合は、冷却性の不足をもたらすおそれがある。
本発明の潤滑油組成物の粘度指数は、好ましくは100以上であり、より好ましくは120以上である。粘度指数の上限は特に制限されるものではないが、通常180以下である。
<冷却および潤滑方法>
本発明の第2の態様に係る冷却および潤滑方法は、(a)本発明の潤滑油組成物を、車両を駆動する電動モーターに供給する工程と、(b)該潤滑油組成物を、電動モーターのコイル及び/又は磁石に接触させる工程と、(c)該潤滑油組成物を冷却する工程とを有する。これらの工程は公知の潤滑システムを用いて行うことができる。
一の実施形態において、本発明の冷却および潤滑方法は、(d)本発明の潤滑油組成物を変速機に供給する工程をさらに有し、工程(a)〜(c)および工程(d)において共通の潤滑油組成物が用いられる、電動モーター駆動車両の電動モーターおよび変速機の冷却および潤滑方法とすることができる。これらの工程は、一の潤滑システムで変速機および電動モーターの両方を潤滑する公知の統合型潤滑システムを用いて行うことができる。
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1〜7及び比較例1〜5>
表1に示すように、本発明の潤滑油組成物(実施例1〜7)、および比較用の潤滑油組成物(比較例1〜5)をそれぞれ調製した。表1中、「inmass%」とは、基油全量基準での質量%を意味し、「mass%」とは、潤滑油組成物全量基準での質量%を意味する。得られた組成物について、耐熱性および冷却性の評価を行った。
(耐熱性の評価)
各潤滑油組成物について、酸化試験(ISOT、165.5℃、72時間)を行い、酸化試験後の劣化油に対してホットチューブ試験(250℃、16時間)を行った。試験後のガラスチューブ(内径2mm、長さ120mm)内面に付着したデポジットの量(単位:mg)を計測することにより、潤滑油組成物の耐熱性を評価した。結果を表1中に合わせて示している。デポジットの量が少ないほど、その潤滑油組成物の耐熱性が良好であることを意味する。
(冷却性の評価:熱伝達係数の測定)
各潤滑油組成物について、所定の条件で熱伝達係数を測定することにより、冷却性の評価を行った。図1は、熱伝達係数の測定に用いた装置を模式的に説明する断面図である。図1の装置は、試料油(2.0L)が入れられた、平らな底面と円筒状の側壁面とを有するステンレス製容器(容積3.5L)と;容器の側部外周面に貼り付けられ、試料油を加熱するシリコーンラバーヒーター(寸法10cm×50cm、発熱量250W)と;容器およびシリコーンラバーヒーターの周囲を覆う断熱材と;試料油と接触するように容器内部に挿入された鋼管製の冷却管と;容器内部に配置された、試料油を十分に撹拌可能な大きさの磁気撹拌子(外径10mm×長さ70mmの円柱状)と;断熱材を挟んで容器の直下に配置され、該磁気撹拌子を用いて試料油を十分に撹拌可能なマグネチックスターラーと;冷却管の冷却水入口および冷却管の冷却水出口に冷却水温度を測定可能に設けられた一組の水温測定用熱電対と;冷却管の容器内壁面に最も近い部位(容器底面からの高さ1cm)から、容器内壁面に向かって水平に1cm離れ、容器内壁面からは水平に4.5cm離れた位置に配置された第1の油温測定用熱電対と;冷却管の容器内壁面に最も近い部位から、容器内壁面に向かって水平に4.5cm離れ、容器内壁面からは水平に1cm離れた位置に配置された第2の油温測定用熱電対とを有している。
冷却管の両端は容器外部に配置されている。容器中の試料油の量が2.0Lであるとき、冷却管と試料油との熱交換面積Aは57cmである。冷却水としては水道水(水温20℃)をそのまま用いた。冷却管入口における水温は一定である。また容器中の試料油の量が2.0Lであるとき、液面は容器の底部から10cmの高さにある。
ヒーター発熱量を250Wで、冷却水流量を1000mL/minで、撹拌速度(磁気撹拌子の回転速度)を300rpmで一定とし、試料油温度および冷却水の出口温度を平衡に到達させた。このときの潤滑油温度T(単位:℃)、冷却水温度T(単位:℃)、移動熱量q(単位:W)、熱交換面積A(=57cm)から、次の式により潤滑油と冷却水との間の熱伝達係数h(単位:W/m・K)を算出した。
h=q/A(T−T
ここで、潤滑油温度Tは、第1及び第2の油温測定用熱電対における測定値の平均値である。冷却水温度Tcは、冷却管出口における水温である。移動熱量qは、冷却管の入口から出口までの冷却水の温度上昇と、水の比熱との積により算出した値である。
結果を表1中に合わせて示している。熱伝達係数の測定値が大きいほど、その潤滑油組成物の冷却性が良好であることを意味する。
実施例1〜7の潤滑油組成物は、耐熱性および冷却性の両方に優れていた。(C)成分の含有量が5質量%を超える比較例1の潤滑油組成物は、耐熱性と冷却性の両方に劣っていた。潤滑油基油の100℃における動粘度が3.0mm/sを超えていた比較例2の潤滑油組成物は、冷却性に劣っていた。(B2)成分を含有するが、(B1)成分および(C)成分を含有しない比較例3の組成物は、耐熱性に劣っていた。(B1)成分の窒素量としての含有量が0.2質量%を超え、(C)成分を含有しない比較例4の潤滑油組成物は、冷却性に劣っていた。(B1)(B2)及び(C)成分を含有するが、B/N質量比が0.15を下回る比較例5の潤滑油組成物は、耐熱性に劣っていた。
以上の結果から、本発明の潤滑油組成物は、向上した冷却性および耐熱性を有することが示された。
本発明の潤滑油組成物は、電気自動車やハイブリッド車等の電動モーター駆動車両において、電動モーターの冷却および潤滑に好ましく用いることができる。また、電動モーターの冷却および潤滑と変速機の潤滑との兼用油としても好ましく用いることができ、一の潤滑システムで変速機および電動モーターの両方を潤滑する装置用の潤滑油としても好ましく用いることができる。さらには、電動モーター駆動車両において、電動モーターの冷却および潤滑と、インバーターやバッテリー等の、可動部は有しないが電力を扱い発熱する部材の冷却との兼用油としても好ましく用いることができ、電動モーターの冷却および潤滑と、変速機の潤滑と、インバーターやバッテリー等の冷却との兼用油としても好ましく用いることができる。

Claims (10)

  1. (A)一種以上の鉱油および/または合成油からなり、100℃における動粘度が1.0〜3.0mm/sである潤滑油基油と、
    (B1)ホウ素含有コハク酸イミド系無灰分散剤を、組成物全量基準でホウ素量として0.0150.05質量%かつ窒素量として0.01〜0.2質量%と
    (C)ポリメタクリレート系粘度指数向上剤を組成物全量基準で5質量%以下と
    を含み、
    40℃における動粘度が19mm/s以下であり、
    100℃における動粘度が5.0mm/s以下であり
    電動モーター駆動車両において該車両を駆動する電動モーターの冷却および潤滑に用いられることを特徴とする、潤滑油組成物。
  2. さらに(B2)ホウ素非含有コハク酸イミド系無灰分散剤を含有し、
    前記(B1)成分および前記(B2)成分に由来する合計の窒素量が組成物全量基準で0.01〜0.2質量%であり、かつ、
    前記(B1)成分および前記(B2)成分に由来する合計の窒素量(N)に対する、前記(B1)成分に由来するホウ素量(B)の質量比(B/N)が0.15〜1.0である、
    請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. (B2)ホウ素非含有コハク酸イミド系無灰分散剤を含有しない、
    請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
  4. 前記(A)潤滑油基油が、エステル系基油を含有しない、
    請求項1〜3のいずれかに記載の潤滑油組成物。
  5. 前記(A)潤滑油基油の100℃における動粘度が1.0〜2.5mm/sである、
    請求項1〜4のいずれかに記載の潤滑油組成物。
  6. 前記(A)潤滑油基油の100℃における動粘度が1.0〜2.0mm/sである、
    請求項1〜のいずれかに記載の潤滑油組成物。
  7. 電動モーター駆動車両において、該車両を駆動する電動モーターの冷却および潤滑と、変速機の潤滑との兼用油として用いられる、
    請求項1〜のいずれかに記載の潤滑油組成物。
  8. 前記電動モーター駆動車両は、一の潤滑システムで変速機および前記車両を駆動する電動モーターの両方を潤滑する統合型潤滑システムを有し、
    前記潤滑油組成物は、前記統合型潤滑システムの潤滑油として用いられる、
    請求項1〜のいずれかに記載の潤滑油組成物。
  9. (a)請求項1〜のいずれかに記載の潤滑油組成物を、車両を駆動する電動モーターに供給する工程と、
    (b)前記潤滑油組成物を、前記電動モーターのコイル及び/又は磁石に接触させる工程と、
    (c)前記潤滑油組成物を冷却する工程と
    を有することを特徴とする、電動モーター駆動車両の電動モーターの冷却および潤滑方法。
  10. 請求項に記載の方法において、
    (d)前記潤滑油組成物を変速機に供給する工程
    をさらに有し、
    前記工程(a)〜(c)および前記工程(d)において共通の前記潤滑油組成物が用いられることを特徴とする、電動モーター駆動車両の電動モーターおよび変速機の冷却および潤滑方法。
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