以下、実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態における航行支援システム1の構成を示すブロック図である。本実施形態における航行支援システム1は、鉄道事業者が土地を所有する鉄道線路が敷設された範囲を利用して、無人飛行体(以下、ドローン14と称する)を航行させる飛行経路(航行計画)を管理装置10において作成する。
ドローン14の飛行は、空港等の周辺の上空の領域、人口集中地区の上空、150m以上の高さの空域については、安全性を確保し、地方航空局長の許可を受けた場合に飛行可能とされている。また、飛行させる場所にかかわらず、ドローン14を飛行させる場合には、人(第三者)または物件(第三者の建物)から30m以上離れること、民家、畑、山林などの上空を飛行させる場合には、土地所有者の許可を得ること、などのルールが定められている。
本実施形態における航行支援システム1では、ドローン14を飛行させる範囲を鉄道線路が敷設された範囲に限定する。鉄道線路とは、枕木をのせてレールを取り付けた軌道を含む鉄道線路の全体に相当するものとする。そして、鉄道線路の軌道(レール)と、軌道上方に架設された電線(例えば、き電線、架線(トロリー線))の少なくとも何れか一方を追尾してドローン14を飛行させることで、鉄道線路が敷設された範囲を外れずに、また低い高度でドローン14を飛行させることができる。さらに、鉄道線路が敷設された鉄道施設の範囲のみで飛行するように、ドローン14にジオフェンス機能を設けることで、軌道と電線の追尾が外れたとしても、鉄道線路が敷設された鉄道施設の範囲を外れず、予め定められた高度より高く飛行しないようにして安全を確保する。また、運航管理システム4から提供される鉄道を走行する車両の運行予定を含む鉄道運行情報(列車ダイヤ、列車のリアルタイムの走行状況)をもとに、鉄道線路を走行する列車(車両)がない時間にドローン14を飛行させることで、安全かつ効率的にドローン14を鉄道線路において航行させることができる。
こうして、ドローン14の飛行について安全性を確保した上で、土地を所有する鉄道事業者に許可を得ることで、鉄道施設の範囲におけるドローン14の飛行が可能となる。鉄道線路が敷設された鉄道施設の範囲を示す鉄道線路情報が既知の情報であるため、この情報を利用することでドローン14を鉄道線路において安全に航行させるための航行計画を容易に作成することができる。
図1に示すように、航行支援システム1は、管理装置10、ネットワーク12、及びドローン14(14−1,…,14−m)を含む。
管理装置10は、1つの装置として実現することができる。また、管理装置10は、クラウドコンピューティングにより実現されるものとし、ネットワーク12(インターネット)を介して接続された1台のサーバ、あるいは複数のサーバが協働して動作することで実現されても良い。
管理装置10は、ドローン14の航行の管理/制御、ドローン14から取得される取得データ(画像データ(動画像、静止画像)、位置データ等を含む)の整理/管理などの処理を実行する。管理装置10は、鉄道線路を列車が走行しない時間にドローン14(無人飛行体)を自律的に航行させるための航行計画を作成する。管理装置10は、航行計画に応じたドローン14を制御するための飛行制御データを、ネットワーク12を通じてドローン14に送信する。
管理装置10は、複数のドローン14−1,…,14−mのそれぞれに対応する航行計画を作成し、それぞれに対応する飛行制御データを、ネットワーク12を通じてドローン14に送信することができる。複数のドローン14−1,…,14−mは、例えば、それぞれ異なる駅、荷物集積所などに配置しておくことができる。
ネットワーク12は、無線あるいは有線によるWAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、インターネット、携帯電話網、公衆電話網、鉄道用通信ネットワークなどを含む。携帯電話網には、多数の基地局が収容されている。鉄道線路が敷設された鉄道施設は、大部分が基地局による通信可能範囲に含まれている。従って、鉄道線路を航行するドローン14は、携帯電話網を通じて、飛行中であっても管理装置10と通信することができる。
また、鉄道用通信ネットワークは、例えば鉄道線路に沿って配置された基地局、あるいは鉄道線路に沿って配線されたケーブルを通じて、移動体と通信するシステムが存在する。従って、鉄道線路を航行するドローン14は、鉄道用通信ネットワークを通じて、飛行中であっても管理装置10と通信することができる。
ドローン14は、管理装置10により生成される航行計画に対応する飛行制御データ(フライトプラン)をもとに、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System))を利用して生成される位置データ、例えばGPS(Global Positioning System)衛星16から受信されるGPS信号から生成する位置/時刻データ、及び鉄道線路の軌道(レール)と、軌道上方に架設された電線(例えば、き電線、架線(トロリー線))の少なくとも何れか一方の位置等を利用して、鉄道線路の指定された飛行区間において自律飛行する。また、ドローン14は、自律飛行のためにGPS信号から生成する位置データを用いるだけで無く、撮影された画像をもとに周囲に存在する物体までの距離を検出して、飛行制御に用いることもできる。
ドローン14は、例えば荷物や郵便物などの物品を搬送する物流業務、鉄道線路における被点検物(レール、電線(き電線、架線(トロリー線))、電柱、周辺機器、地形など)についての点検業務、災害発生時における被害調査/復旧活動に利用することができる。
物流業務では、例えば、物品の配送元とする出発地点とする駅と、物品の配送先とする目的地点とする駅を指定することで、出発地点と目的地点の駅間を飛行区間として物品が搭載されたドローン14を自律飛行させる。
点検業務あるいは被害調査/復旧活動では、例えば点検対象する出発地点と目的地点とを指定することで、出発地点と目的地点の間を飛行区間としてドローン14を自律飛行させながら、鉄道線路周辺の画像を撮影して画像データ(静止画、動画)を記憶する。特に、被点検物を指定することで、被点検物についての画像の記録、異常診断をすることができる。
運航管理システム4は、列車の運行を管理するためのシステムであり、例えば列車追跡機能、自動進路制御機能、列車ダイヤ作成機能、列車ダイヤ管理機能、運転整理機能などが設けられている。本実施形態の管理装置10は、運航管理システム4からドローン14の航行計画の作成に利用可能な情報を、ネットワーク12を通じて入力する。例えば、管理装置10は、運航管理システム4から鉄道を走行する車両の運行予定を含む鉄道運行情報を入力する。鉄道運行情報には、各路線において、何れの時間に列車が走行しているかを示す情報(列車ダイヤ、列車のリアルタイムの走行状況)が含まれる。
給電システム6は、鉄道線路が敷設された鉄道施設の範囲に設けられるもので、ドローン14に対して給電するためのシステムである。ドローン14は、例えば、目的地点への航行途中で、給電システム6から受電することで航続距離を延ばすことができる。給電システム6は、例えばドローン14が飛行状態のままで非接触給電することができる構成、あるいは鉄道施設の範囲に設けられたドローンポートなどに着陸させた状態で非接触給電あるいは接触給電することができる構成とすることができる。給電システム6は、例えば管理装置10からの給電のための動作を制御するためのデータを受信し、このデータに応じて給電動作を実行してドローン14に対して給電することができる。
図2は、本実施形態における管理装置10の構成を示すブロック図である。管理装置10は、例えばコンピュータによって実現される。管理装置10は、プロセッサ10a、メモリ10b、記憶装置10c、入出力インタフェース(I/F)10d、表示装置10e、入力装置10f、通信装置10gを有する。
プロセッサ10aは、メモリ10bに記憶された基本プログラム(OS)やアプリケーションプログラムを実行して、各種の機能を実現するための回路である。例えば、プロセッサ10aは、航行支援プログラムを実行することで、ドローン14を鉄道線路において自律的に航行させるための航行計画を作成し、航行計画に応じた飛行制御データをドローン14に送信する飛行制御データ生成処理をする。
飛行制御データ生成処理では、プロセッサ10aは、航行支援プログラムに基づいて、鉄道を走行する車両の運行予定を含む鉄道運行情報を入力する入力機能と、鉄道線路が敷設された鉄道施設の範囲を示す鉄道線路情報を記憶する記憶機能と、鉄道線路において無人飛行体を航行させる際の出発地点と目的地点とを示す飛行区間情報を入力する入力機能と、飛行区間情報に対応する、鉄道線路情報及び鉄道運行情報をもとに、飛行区間情報が示す区間内で、車両が走行しない時間にドローン14を自律的に航行させるための航行計画を作成する作成機能を実現する。
また、プロセッサ10aは、航行支援プログラムを実行することで、飛行制御データ変更処理をする。飛行制御データ変更処理では、プロセッサ10aは、航行支援プログラムに基づいて、鉄道運行情報とは異なる車両の運行予定に影響を与える状況情報を入力する入力機能を実現し、新規の状況情報が入力された場合に、状況情報、鉄道線路情報及び鉄道運行情報をもとに、航行計画を作成する。
さらに、プロセッサ10aは、点検業務においてドローン14を使用する場合に、画像診断処理プログラムを実行し、ドローン14により撮影された画像データをもとに、被点検物に生じた異常箇所を検出する。また、プロセッサ10aは、異常箇所の検出結果をもとに点検結果をまとめる処理を実行する。
メモリ10bは、プロセッサ10aにより実行されるプログラムや一時的なデータ等を記憶する。
記憶装置10cは、各種のプログラムや各種データが記憶される。記憶装置10cに記憶されるプログラムには、OS、航行支援プログラムを含む各種アプリケーションプログラムがある。また、記憶装置10cに記憶されるデータには、ドローン14の航行計画を作成するために利用される各種情報、航行計画に応じて作成されるドローン14の航行を制御するための飛行制御データ、ドローン14から受信される取得データ(画像データ、位置データ)、異常箇所の画像データ、点検結果をまとめた巡視点検データなどがある。
航行計画を作成するために利用される各種情報には、鉄道を走行する車両の運行予定(列車ダイヤ、列車のリアルタイムの走行状況など)を含む鉄道運行情報、鉄道線路が敷設された鉄道施設の範囲を示す鉄道線路情報、定常の運行予定を示す鉄道運行情報とは異なる車両の運行予定に影響を与える状況情報などがある。
鉄道線路情報には、ドローン14の飛行が許可される鉄道施設の範囲の境界線を示す境界線データが含まれる。鉄道施設の範囲には、レールが敷設された鉄道線路だけでなく、駅舎、鉄道線路と隣接して設けられたドローンポートあるいは待避エリア、ドローン14を物流業務で使用する場合にドローン14を離発着させるための物品集積エリアなどが含まれる。鉄道線路情報には、ドローン14の航行中に飛行制御の切り替えなどが必要となる、例えば踏切、鉄橋、トンネル、立体交差地点など障害物の種類と位置を示す障害物情報を含む。状況情報には、例えば雨量や風速などのドローン14の飛行に影響する気象情報や高さの情報を含む地図情報などを含む環境情報、鉄道施設に対する工事/保守の対象箇所と実施時間などを含む工事計画/保守計画情報、鉄道線路やその周辺などに発生した事故などの発生場所などを示す障害情報など、各種の情報が含まれる。
鉄道線路情報は、既知の情報であり、例えば通信装置10g、入出力I/F10dあるいは入力装置10fを通じて入力し、予め記憶装置10cに記憶される。状況情報は、変化する情報であり、例えば状況の変化に応じて、通信装置10g、入出力I/F10dあるいは入力装置10fを通じて入力し、予め記憶装置10cに記憶される。
さらに、障害物情報が示す障害物、工事/保守計画情報が示す工事/保守の対象箇所、障害情報が示す事故発生箇所などの警告対象場所をドローン14に飛行させる場合のドローン14の制御内容が設定された飛行管理情報とアラーム管理情報が記憶される。
図3は、飛行管理情報とアラーム管理情報の一例を示す図である。
飛行管理情報では、例えば警告対象場所(位置情報)と対応づけて、警告対象場所の通過時に高度を調整するか否かを示す高度調整要否情報、高度を調整する場合の調整値、ドローン14を警告対象場所の通過時に飛行させる鉄道線路における経路(後述する第1経路または第2経路)などが設定される。
アラーム管理情報では、例えば警告対象場所(位置情報)と対応づけて、警告対象場所の通過時にアラームを出力するか否かを示すアラーム要否情報、アラームの種類(スピーカ音声、ライト)、アラームの種類に応じたアラーム内容などが設定される。例えば、スピーカ音声によるアラーム出力「要」が設定されている場合に、アラーム内容としてスピーカ音声「ピピピ…頭上をドローンが通過中です。ご注意願います。ピピピ…」が設定される。さらに、ライトによるアラーム出力「要」が設定されている場合に、ライトの点灯あるいは点滅が設定される。これにより、例えば夜間に軌道の保守工事が実行されている場合に、保守工事をしている場所をドローン14が飛行する際に、保守工事の担当者に対して、スピーカ音声とライトの点灯によってドローン14に対する注意を促すことができる。
飛行管理情報とアラーム管理情報は、例えば入力装置10fの操作により管理者などが任意に設定することができる。
入出力I/F10dは、外部機器とデータを送受信するためのインタフェースである。入出力I/F10dは、例えば可搬型のメモリ媒体を介してデータを入出力することができる。
表示装置10eは、LCD(Liquid Crystal Display)などであり、プロセッサ10aの処理に応じた画面を表示させる。入力装置10fは、キーボードやポインティングデバイスなどであり、作業員等により操作される。
通信装置10gは、ネットワーク12を通じた通信を制御するもので、例えばドローン14、運航管理システム4、給電システム6、その他の電子機器(各種情報を提供するWebサーバなどを含む)との通信を制御する。
図4は、本実施形態におけるドローン14の外観の一例を示す図である。
図4に示すドローン14は、制御ユニット等を内部に収納するドローン本体14aと、ドローン本体14aから上方に向けて対称に設けられた4つのローター14bと、ドローン本体14aの下方に撮影方向を可変にして設けられたカメラ14cと、荷物を収納可能な収納部14eを有している。ローター14bは、回転によって上向きの揚力を発生させる回転翼であり、制御ユニットにより回転が制御され、ドローン14を垂直方向及び水平方向へ移動させることができる。また、ほぼ同じ位置で飛行を継続するホバリングをさせることもできる。カメラ14cは、静止画または動画像を撮影するデジタルカメラ、ビデオカメラ等である。
また、ドローン14には、例えば図4に示す例では、収納部14eの前面側に電力受信部14fが設けられる。図4に示す例は、例えば給電システム6により、ドローン14が飛行状態のままで受電するためのものである。なお、給電システム6による給電方法に応じた電力受信部14fが設けられるものとする。
例えば、給電システム6が電力をレーザービームに変換して照射する構成の場合、ドローン14には電力受信部14fとして給電システム6からのレーザービームを受光するための受光ユニットが設けられる(図13、図14参照)。同様に、給電システム6が電力を高周波帯(例えばUHF帯)の電波に変換してアンテナから照射する構成の場合、ドローン14には電力受信部14fとして給電システム6からの電波を受信するための受信アンテナが設けられる。レーザービームあるいは高周波帯の電波を利用して給電する場合には、ドローン14の前方に電力受信部14fを設けることで、ドローン14が前方に飛行中のままで給電することができる。本実施形態では、飛行可能範囲が限定された鉄道線路においてドローン14を航行させる。従って、鉄道線路に沿って長い距離の範囲で、ドローン14が飛行する経路に向けて給電用のレーザービームあるいは高周波帯の電波を連続して出力する構成を設けることができる。これにより、前方に飛行中のドローン14に対して長時間の給電が可能となる。
また、ドローンポートなどに着陸させた状態で非接触給電あるいは接触給電する場合には、図4に示す収納部14eの底面に電力受信部14fが設けられる。例えば、給電システム6が磁気共振結合により給電する構成の場合、ドローンポートに給電コイルを配設し、収納部14eの底面に電力受信部14fとして受電コイルを配設する。ドローン14は、受電コイル(電力受信部14f)が給電コイルと相対する位置に着陸(あるいはホバリング)することで受電することができる。
また、給電システム6がドローン14とケーブルを介して給電する構成の場合、ドローン14の電力受信部14fとして受電用ケーブルが設ける。ドローン14は、例えば受電用ケーブルを巻き取り/引き出しが可能な機構を設けて、受電時に受電用ケーブルを引き出して給電システム6と接続する。これにより、ドローン14は、受電用ケーブルを通じて、給電システム6ら受電することができる。
さらに、ドローン14に着脱可能な少なくとも2つのバッテリを設けて、消費された1つのバッテリを充電済みのバッテリと交換することで給電する構成とすることも可能である。なお、前述した給電方法は、一例であって、他の給電方法を用いることも可能である。
図5は、本実施形態におけるドローン14の主要な構成を示すブロック図である。ドローン14のドローン本体14aには、制御ユニット30a(取得データ生成部30a1、撮影制御部30a2、飛行制御部30a3、警告制御部30a4)、記憶装置30b、スピーカユニット30c、ライトユニット30d、センサ群30e、レーザー部30f、GPSデータ受信部30g、無線通信部30h、カメラユニット30k、モータコントローラ30m、プロペラモータ30n、電源制御部30p、電力受信部30r、バッテリ30sが設けられる。
制御ユニット30aは、ドローン14の全体の制御を司るフライトコントローラであって、専用のコントローラとして構成されても良いし、プロセッサとメモリを含む汎用のユニットであっても良い。制御ユニット30aは、自律飛行プログラムを含む各制御プログラムを実行することにより実現される、取得データ生成部30a1、撮影制御部30a2、飛行制御部30a3、警告制御部30a4の各機能モジュールを有する。
取得データ生成部30a1は、管理装置10に提供する取得データを生成する。取得データ生成部30a1は、例えば取得データとして、カメラ14cにより撮影された画像(動画像あるいは静止画像)の画像データ、GPSデータ受信部30gにより生成されるドローン14の位置を示す位置データ(緯度、経度、高度)、あるいは線路に沿って間隔を設けて配置されたビーコン送信機から受信されるビーコンデータ(例えば、ビーコン送信機毎の識別データ(ID)など)を生成する。
撮影制御部30a2は、飛行制御部30a3の制御によりドローン14が飛行する間に、カメラ14cにより画像を撮影するための制御をする。撮影制御部30a2は、例えばカメラ14cのレンズ、シャッター、絞り、フォーカス機構、ズーム機構等の制御、撮影方向(レンズ方向)を調整する機能を有している。撮影方向を調整する機能としては、カメラユニット30kを駆動してカメラ14cのレンズ方向をドローン本体14aに対して水平方向又は垂直方向に回動させて撮影方向を変更させても良いし、飛行制御部30a3を通じてモータコントローラ30mの駆動を制御し、ドローン14を傾斜させてカメラ14cの撮影方向を変更させても良い。カメラ14cでは、ドローン14の下方向の画像だけでなく、横方向あるいは上方向の画像を撮影できるようにする。
飛行制御部30a3は、管理装置10から受信される航行計画に応じた飛行制御データ、GPSデータ受信部30gにより生成されるドローン14の現在位置を示す位置データ、レーザー部30fあるいはセンサ群30eなどにより検出される軌道(レール)、軌道上方に架設された電線、障害物、被点検物等の位置等に基づいて自律飛行を制御する。飛行制御部30a3は、軌道(レール)あるいは軌道上方に架設された電線の少なくとも何れか一方を追尾して飛行するように、モータコントローラ30mによりプロペラモータ30nを駆動させる。また、飛行制御部30a3は、飛行制御データがトンネル区間の飛行を示す場合には、トンネルの内面位置までの距離に基づいて、自律飛行を制御することもできる。さらに、飛行制御部30a3は、ドローン14の飛行が許可された鉄道線路が敷設された鉄道施設の範囲を示す境界線データをもとに、ジオフェンス機能を実現する。すなわち、飛行制御部30a3は、軌道(レール)あるいは軌道上方に架設された電線の追尾が外れたとしても、境界線データが示す範囲外に移動しないように飛行を制御する。
なお、飛行制御部30a3は、レーザー部30fあるいはセンサ群30eだけでなく、撮影制御部30a2の制御によりカメラユニット30kに撮影された画像データをもとに飛行制御することもできる。すなわち、飛行制御部30a3は、画像データに対する画像処理によりレールと電線の位置を検出して飛行経路の制御に用いたり、飛行経路に存在する障害物を検出して障害物に対して所定範囲の距離を保って飛行する制御、あるいは障害物に衝突しないように飛行するなどの飛行制御に用いたりすることが可能である。
飛行制御部30a3は、レーザー部30f、センサ群30e、カメラ14cを少なくとも何れか1つを利用して飛行制御することができる。複数の検出結果を利用することで、より安全、かつ正確に飛行制御することができる。
警告制御部30a4は、警告を出力させる特定の場所が設定された航行計画を示す飛行制御データに基づいて、飛行制御部30a3の制御による飛行位置が特定の場所に到達したと判別される場合に、警告出力ユニット(スピーカユニット30c、ライトユニット30d)により警告を出力させる。
記憶装置30bは、各種データが記憶されるもので、例えば管理装置10から受信される飛行制御データ、取得データ生成部30a1により生成された取得データなどが記憶される。また、記憶装置30bは、ドローン14の飛行が許可された鉄道線路が敷設された鉄道施設の範囲を示す境界線データが記憶される。境界線データは、飛行対象区間についてのデータが飛行制御データの一部として受信されても良いし、飛行対象区間以外の範囲を含めて予め記憶されていても良い。なお、記憶装置30bは、例えば脱着可能な可搬型に構成されたメモリ媒体とすることができ、管理装置10に取得データを提供する場合に、ドローン14から取り外して管理装置10にデータを読み取らせることもできる。
スピーカユニット30cは、警告制御部30a4の制御により、警告音、警告音声メッセージなどを出力する。
ライトユニット30dは、例えば複数のLED(Light Emitting Diode)が実装され、警告制御部30a4の制御により、点灯/点滅、表示色の変化などする。
センサ群30eは、例えば位置、高度、速度及び方向などの各種情報を取得するもので、例えば物体の加速度を計測する3軸加速度計、物体の角度や角速度を検出するジャイロスコープ、3軸磁気センサ等を含む。また、センサ群30eには、障害物や被点検物を検知するために、対象物までの距離を計測するさまざまな方式を含んでいる。例えば、障害物カメラを設けることができる。障害物カメラは、例えば複数(例えば4台)を設けることで、飛行制御部30a3において障害物や被点検物の画像を3次元処理して、障害物や被点検物の位置を3次元空間で認識できるようにすることができる。これにより、障害物や被点検物との接触/衝突を回避する、被点検物に対して所定の距離を保って飛行するといった飛行制御を可能にする。
レーザー部30fは、レーザー光を照射して反射波の受信時間から周囲に存在する物体からの距離を検出すもので、例えばLiDAR(Light Detection and Ranging)の技術を利用することができる。レーザー部30fは、例えばドローン14の飛行中にレール、軌道上方に架設された電線(架線、き電線など)、トンネルの内壁などを検出して、飛行制御部30a3による飛行制御に提供する。レーザー部30fは、例えばドローン14の上下左右の各方向を物体の検出対象方向として実装されるものとする。
GPSデータ受信部30gは、GPS衛星からのGPS信号を受信し、GPS信号をもとにドローン14の現在位置を位置データ(緯度、経度、高度)及び時刻データを生成する。GPSデータ受信部30gにより生成された位置データは、飛行制御部30a3による自律飛行制御や取得データの生成に利用される。
無線通信部30hは、管理装置10との間、他のドローン14との間、あるいは携帯電話網に収容された基地局などのネットワーク12との間の無線通信を制御する。無線通信部30hは、制御ユニット30aの制御により、ドローン14の飛行中に取得データ生成部30a1により生成された取得データをリアルタイムで、ネットワーク12(携帯電話網など)を通じて管理装置10に送信することもできる。管理装置10に送信する取得データには、カメラ14cにより撮影した画像データ、線路に沿って間隔を設けて配置されたビーコン送信機から受信されるビーコンデータ(例えば、ビーコン送信機毎の識別データ(ID)、GPSデータ受信部30gにより検出される位置/時刻データなどがある。リアルタイムで管理装置10に対して送信されるデータは、管理装置10においてドローン14の現在の飛行位置や飛行状況を管理するために利用することができる。また、無線通信部30hは、例えば自律飛行中において、無線通信が可能な距離範囲にある他のドローン14との間で無線通信することができる。
カメラユニット30kは、ドローン本体14aの下部においてカメラ14cを支持し、撮影制御部30a2の制御により駆動されてカメラ14cによる撮影方向を調整する。
モータコントローラ30mは、飛行制御部30a3の制御に応じて、プロペラモータ30nを駆動し、複数のローター14bをそれぞれ個別に回転させる。複数のローター14bを個別に回転制御することで、ドローン14を垂直方向や水平方向へ移動や、ホバリングやドローン本体14aを傾斜させたりするなどの姿勢調整が可能となる。
電源制御部30pは、バッテリ30sに対する充電制御、バッテリ30sから各ユニットに対する電源供給を制御する。電源制御部30pは、電力受信部30rにより受電された電力をバッテリ30sに充電させる。また、電源制御部30pは、バッテリ30sの残量を管理しており、残量値を制御ユニット30aに通知する。
電力受信部30rは、給電システム6から供給される電力を受信する。電力受信部30rは、給電システム6による給電方法に応じた構成が実装される。例えば、電力受信部30rは、レーザービームを受光するための受光ユニット、高周波帯の電波を受信するアンテナ、磁気共振結合により受電するための受電コイル、受電用ケーブルなどがある。
図6は、ドローン14を飛行可能とする鉄道線路が敷設された鉄道施設の範囲40を概念的に示す図である。
図6に示す鉄道施設の範囲40には、鉄道線路が敷設される領域の他に、例えば駅のホームや駅舎などを含む駅エリア40a,40b、踏切が設置された踏切エリア40c、トンネルが設けられたトンネルエリア40dなどがある。さらに、鉄道施設の範囲40には、鉄道線路と隣接して設けられた物品集積エリア40e、ドローン14の充電や待避のためのドローンポート40fなどがある。
ドローン14は、ジオフェンス機能により鉄道施設の範囲40を越えて飛行しないように自律飛行を制御する。ドローン14を物流業務に使用する場合には、出発地点の駅と目的地点の駅を指定することで、例えば出発地点の駅エリア40aから目的地点の駅エリア40bまでの航行計画が管理装置10により作成される。ドローン14は、航行計画に応じた飛行制御データをもとに鉄道施設の範囲40内の鉄道線路に沿って航行する。目的地点までの経路に、例えば踏切エリア40cに存在する踏切、トンネルエリア40dのトンネルなど障害物がある場合には、飛行制御データでは、障害物を回避する飛行制御、あるいは踏切エリア40cを通過する際の警告出力などの制御内容が設定される。
図7及び図8は、鉄道線路をドローン14が航行する様子を示す図である。
図7は、例えば2本の軌道が敷設された鉄道線路の例を示す図である。例えば、図7に示す左側が上り線の軌道、右側が下り線の軌道とする。
上り線の軌道には、2本のレール50−1が敷設されている。また、軌道に沿って所定の間隔で電柱51−1が立てられている。電柱51−1には、軌道の上方の横方向に伸びる2本の腕金52−1,54−1が異なる高さにおいて設けられている。
高い位置の腕金52−1には、碍子(図示せず)を介して、き電線(高電圧電線)53−1が架設される。低い位置の腕金54−1には、碍子(図示せず)を介して、ちょう架線56−1が架設される。ちょう架線56−1には、ハンガ57−1を介して、架線(トロリー線)55−1が吊り下げられる。き電線53−1と架線55−1は、き電分岐線(図示せず)によって接続される。ちょう架線56−1は、列車のパンタグラフが接触されることで、列車に電力を供給する。
下り線の軌道には、2本のレール50−2が敷設されている。また、軌道に沿って所定の間隔で電柱51−2が立てられている。電柱51−2には、軌道の上方の横方向に伸びる2本の腕金52−2,54−2が異なる高さにおいて設けられている。
高い位置の腕金52−2には、碍子(図示せず)を介して、き電線(高電圧電線)53−2が架設される。低い位置の腕金54−2には、碍子(図示せず)を介して、ちょう架線56−2が架設される。ちょう架線56−2には、ハンガ57−2を介して、架線(トロリー線)55−2が吊り下げられる。き電線53−2と架線55−2は、き電分岐線(図示せず)によって接続される。ちょう架線56−2は、列車のパンタグラフが接触されることで、列車に電力を供給する。
図6及び図7に示すように、ドローン14は、鉄道線路において、軌道(レール50)と軌道上方に架設された電線(例えば、架線55)との間の第1経路と、電線(例えば、き電線53)の上方の第2経路において航行させることができるものとする。なお、鉄道線路において、き電線53よりも高い位置に架設された他の電線(あるいは他のケーブル)が架設されている場合には、最も高い位置に架設された電線の上方を第2経路とすることができる。
図6及び図7では、ドローン14−1がレール50と架線55との間の第1経路を航行し、ドローン14−2が、き電線53の上方の第2経路を航行している状態を示している。
また、図6に示すように、例えば左側の上り線の軌道では、列車の進行方向と同じように、ドローン14を上り方向に航行させ(図中の奥方向)、右側の下り線の軌道では、同様にして、列車の進行方向と同じように、ドローン14を下り方向に航行させている(図中の手前方向)。これにより、列車ダイヤに基づいて、列車が走行していない間にドローン14を航行させる航行計画を設定し易くなる。
また、3線以上の鉄道線路が敷設されている場合には、それぞれの鉄道線路を効率的に利用してドローン14を航行させる航行計画を設定することができる。また、単線の鉄道線路の場合には、例えば第1経路を上り方向に航行させるドローン14のために使用し、第2経路を下り方向に航行させるドローン14のために使用するなど(逆でも良い)、使い分けをしても良い。これにより、鉄道線路を効率的に使用してドローン14を航行させることができる。
図9は、ドローン14が第1経路を飛行する際のレール50と架線55の追尾を説明するための図である。
図9に示すように、第1経路を飛行する場合には、ドローン14は、例えばレーザー部30fにより上方向の架線55を追尾し、また下方向のレール50を追尾する。これにより、ドローン14は、架線55とレール50の位置に基づいて、進行方向と上下方向の位置(飛行する高さ)の制御をすることができる。
また、ドローン14は、図9に示すように、飛行方向(前方)を撮影範囲としたカメラ14cにより撮影された画像データをもとに飛行を制御することができる。
図10は、ドローン14により撮影された画像データに対する画像処理の結果を示す図である。図10に示すように、画像データに対する画像処理により、例えば、レール画像70L,7OR、電線画像72,74、電柱画像76を抽出する。レール画像70L,7ORは、並行に存在する連続する線状のパターンを有する。電線画像72,74は、架線55、ちょう架線56あるいはき電線53に相当するもので、連続する線状のパターンを有し、レール画像70L,7ORの上方に存在する。電柱画像76は、垂直の直線状のパターンであり、レール画像70L,7ORの横に存在する。画像処理では、画像の形状の特徴と位置関係に基づいて、それぞれ、レール画像70L,7OR、電線画像72,74、電柱画像76を抽出することができる。
ドローン14は、画像処理によって検出されたレール画像70L,7OR、電線画像72,74の位置に基づいて、飛行を制御することができる。また、電柱画像76を障害物として認識して、電柱画像76を回避するように飛行を制御することができる。
図11及び図12は、鉄道線路におけるドローン14の飛行経路の設定を説明するための図である。図11は、図7のように2本の軌道が設けられた例を示している。図12は、鉄道線路がトンネル内にある場合を示している。
図11に示すように、鉄道線路において通常の航行で使用される範囲は、例えば列車が通過する範囲S1−S2とする。すなわち、鉄道線路において障害物が存在しないことが保証された範囲である。以下、図11に示す左側の軌道(上り線の軌道)を対象として説明する。なお、図11に示す右側の軌道(下り線の軌道)についても、上り線の軌道と同様に飛行経路が設定されるものとして詳細な説明を省略する。
ドローン14は、第1経路を航行する場合、レール50−1の位置(高さ)H1と架線55−1の位置(高さ)H2を検出して、軌道の幅方向の範囲S1−S3(S3は範囲S1−S2の中央位置)と、高さ方向の範囲H1−H2からなる範囲AR21を、ドローン14により飛行可能な範囲として判別する。
さらに、ドローン14は、レール50−1からの距離DH11、架線55−1までの距離DH21、位置S1までの距離DW11が確保された範囲AR11を、周囲の障害物から十分な距離が確保された安全に飛行可能な経路として判別する。ドローン14は、レール50−1と架線55−1を追尾しながら、基本的に範囲AR11で飛行するように制御する。
第1経路では、上下左右方向に飛行可能な範囲が制限されるが、レール50−1と架線55−1を追尾しながら飛行できるので安定した飛行制御が可能となる。また、レール50−1は、2本存在するので、2本のレール50−1の位置をもとに(例えば2本のレール50−1の中央となるように)制御することで、軌道の幅方向の位置調整が容易となる。また、レール50−1と架線55−1との間は、列車に合わせてほぼ一定の間隔で設けられている。従って、レール50−1と架線55−1の位置(高さ)を基準とした範囲AR11を飛行することで、上下方向の変動が少なくなる。従って、飛行制御を容易にして、電力の消費を低減できる。
一方、ドローン14は、第2経路を航行する場合、き電線53−1の位置(高さ)H3を検出して、軌道の幅方向の範囲S1−S3において、き電線53−1までの距離DH31を確保した範囲AR31を、ドローン14により飛行可能な範囲として判別する。第2経路では、き電線53−1のみを追尾して飛行するため、第1経路を飛行する場合よりも飛行の変動が大きくなる可能性がある。しかし、範囲AR31の周囲には障害物がないため、第2経路では第1経路よりも高速飛行が容易になる。
なお、図11では、上り線と下り線の軌道において、それぞれ個別にドローン14を飛行させるものとして説明しているが、例えば、第1経路については、上り線の軌道の範囲AR21と下り線の軌道の範囲AR22とを合わせた範囲において、軌道の幅方向の位置を変化させながらドローン14を飛行させることも可能である。第2経路についても、同様に、上り線の軌道の範囲AR31と下り線の軌道の範囲AR32とを合わせた範囲において、ドローン14を飛行させることも可能である。
図12に示すように、鉄道線路がトンネル内にある場合、ドローン14は、第1経路のみにおいて飛行が可能となる。ドローン14は、上下方向について、レール50−1の位置(高さ)H1と架線55−1の位置(高さ)H2を検出して、軌道の幅方向のトンネルの内壁と2つの軌道の中央位置S4と、高さ方向の範囲H1−H2からなる範囲を、ドローン14により飛行可能な範囲として判別する。
さらに、ドローン14は、レール50−1からの距離DH11、架線55−1までの距離DH21、トンネルの内壁までの距離DW21が確保された範囲AR41を、安全にトンネル内の鉄道線路を飛行可能な経路として判別する。ドローン14は、レール50−1と架線55−1を追尾しながら、基本的に範囲AR41で飛行するように制御する。
なお、図12に示す右側の軌道(下り線の軌道)についても、上り線の軌道と同様に飛行経路が設定されるものとして詳細な説明を省略する。
トンネル内では、横方向にトンネルの内壁位置を検出し、レール50−1と架線55−1だけでなくトンネルの内壁位置を追尾して飛行制御することができる。これにより、範囲AR41における安定した飛行制御が可能となる。
次に、本実施形態における給電システム6について説明する。
図13は、本実施形態における給電システム6の構成の一例を示すブロック図である。図13に示す給電システム6は、電力をレーザービームに変換して照射することで、ドローン14に給電する構成とする。
給電システム6は、制御ユニット60、通信ユニット62、電源供給部64、レーザーパワー供給部66、複数のレーザー生成部67−1,67−2,…、複数のビーム照射部68−1,68−2,…を含む。
制御ユニット60は、給電システム6の全体を制御する。制御ユニット60は、通信ユニット62により、管理装置10から給電のための動作を制御するためのデータが受信された場合に、このデータに応じて給電動作を実行する。例えば、制御ユニット60は、ビーム照射部68−1,68−2,…が配置された鉄道線路の範囲をドローン14が通過予定であることが通知された場合に、ドローン14の通過予定時刻に合わせて電力供給動作を開始する。
通信ユニット62は、ネットワーク12を通じた通信を制御する。
電源供給部64は、レーザービームの生成に要する電力をレーザーパワー供給部66に供給する。
レーザーパワー供給部66は、電源供給部64から供給された電力をもとに、レーザー生成のためのレーザーパワーを、複数のレーザー生成部67−1,67−2,…のそれぞれに供給する。
レーザー生成部67−1,67−2,…は、レーザーパワー供給部66から供給されるレーザーパワーをもとに、電力供給のためのレーザービームを生成して、それぞれに対応するビーム照射部68−1,68−2,…に出力する。
ビーム照射部68−1,68−2,…は、それぞれに対応するレーザー生成部67−1,67−2,…から入力されるレーザービームを照射する。複数のビーム照射部68−1,68−2,…は、ドローン14が航行する鉄道施設の範囲40の飛行経路に沿って、間隔を設けて連続して配置される。ビーム照射部68−1,68−2,…は、それぞれのレーザービームの照射範囲が、ドローン14の飛行経路(第1経路あるいは第2経路)と一致する範囲が広くなるように設置される。
すなわち、図13に示すように、ビーム照射部68−1,68−2,…によるレーザービームの照射方向を、ドローン14の飛行経路とほぼ同じ方向とすることで、レーザービームの照射範囲と飛行経路とが一致する範囲を広くすることができる。レーザービームの照射範囲と飛行経路とが一致する範囲を広くすることにより、ドローン14の飛行中において、レーザービームをドローン14の電力受信部14f(30r)に対して照射可能な時間を長くすることができる。すなわち、前方へ飛行するドローン14に対して給電できる電力量を増大させることができる。
図14は、給電システム6のビーム照射部68とドローン14の電源部の構成を示すブロック図である。
図14に示す例では、ビーム照射部68にドローン14を追従するためのトラッキングセンサ69を設けている。また、ビーム照射部68は、レーザービームの照射方向を制限範囲内で変更可能とする機構を設ける。
トラッキングセンサ69は、飛行するドローン14を検出するためのものである。ビーム照射部68は、トラッキングセンサ69によるドローン14の検出方向に応じて、レーザービームの照射方向をドローン14に向ける。これにより、飛行中のドローン14に対して、より効率的にレーザービームを照射して電力を供給することができる。
なお、図13及び図14に示す例では、電力をレーザービームに変換して照射することで、ドローン14に給電する構成を対象としているが、電力を高周波帯の電波に変換してアンテナから照射する構成の場合についても、図13と同様に構成することが可能である。
次に、本実施形態における管理装置10の飛行制御データ生成処理について説明する。
図15は、本実施形態における管理装置10の飛行制御データ生成処理を示すフローチャートである。まず、ドローン14を物流業務に使用して、物品(荷物)を目的地点まで搬送する場合を想定して説明する。
まず、管理装置10では、荷物の搬送先に応じて、出発地点から目的地点までドローン14を航行させるための航行計画(フライトプラン)の設定を行う。管理装置10のプロセッサ10aは、例えば航行計画を設定するための設定画面を表示装置10eに表示させて、作業員等によりドローン14の航行に使用する線路、出発地点と目的地点(飛行区間)を入力装置10fに対する操作により入力させる(ステップA1)。出発地点と目的地点は、例えば、駅が指定されるものとする。この場合、駅間で荷物をドローン14により搬送させる。
プロセッサ10aは、指定された線路と飛行区間に対応する鉄道運行情報を記憶装置10cから入力し、ドローン14が飛行可能な時間を判別する(ステップA2)。ドローン14が飛行可能な時間としては、基本的には列車が走行しない終電時刻から始発時刻までの間、列車の運行本数が少ない路線であれば、飛行区間において列車が走行しない時間が、ドローン14が飛行可能な時間として判別される。さらに、列車が走行する時間帯であっても、飛行区間に待避所(あるいはドローンポート)が設けられており、列車の通過時に待避所に移動して通過待ちが可能であれば飛行可能な時間帯として判別することもできる。この場合、待避所(あるいはドローンポート)に移動して、列車が通過するまで待避する飛行制御の内容が航行計画に設定される。
また、プロセッサ10aは、ドローン14の飛行に影響を与える、指定された線路と飛行区間に対応する環境情報、工事計画/保守計画情報、障害情報などを入力する(ステップA3,A4)。
プロセッサ10aは、作業員等により荷物の配送予定時刻、荷物の重量などの荷物情報を入力装置10fの操作により入力させる(ステップA5,A6)。
プロセッサ10aは、入力された各情報をもとに、出発地点から目的地点までドローン14を航行させるための航行計画を作成する(ステップA7)。航行計画では、例えば荷物の重量などからドローン14の飛行可能な速度を算出し、この飛行速度をもとにして配送予定時刻までに搬送可能な飛行可能な時間を特定する。すなわち、出発地点の駅から目的地点の駅までのドローン14の飛行予定時間(障害回避など想定した時間を含む)に、出発前と到着後に確保する余裕時間を加えた時間を確保できる列車が走行しない時間帯を抽出する。なお、環境情報の気象情報において、ドローン14の飛行に影響を与える風速が予想されている場合には、風速を考慮した目的地までの航行時間(飛行速度)を算出することができる。
さらに、プロセッサ10aは、航行予定の鉄道線路における障害物情報が示す障害物(踏切、鉄橋、トンネル、立体交差など)、工事計画/保守計画情報が示す工事/保守箇所や保守用車両の走行予定、障害情報などに基づいて、飛行制御の切り替えが必要な箇所を航行計画に設定する。また、プロセッサ10aは、飛行管理情報とアラーム管理情報に基づいて、障害物や工事/保守箇所などを通過する際の飛行制御(高度調整)、警告出力の内容等を設定する。
また、プロセッサ10aは、他のドローン14についての航行計画が先に作成されている場合には、他のドローン14の航行計画を参照して、相互に障害が発生しないように航行計画を作成する。例えば、先に作成された航行計画において、同じ区間/時間帯でドローン14を航行させる予定の場合、先に作成された航行計画において第1経路の航行が設定されている場合には、第2経路を設定することで、他のドローン14と干渉しないようにできる。また、出発時刻をずらすなどの調整をすることもできる。
なお、前述した各情報をもとにした航行計画の作成では、AI(Artificial Intelligence)技術を用いることも可能である。
プロセッサ10aは、ドローン14に対する航行計画を作成すると、この航行計画に対応する飛行制御データを生成し(ステップA8)、対象とするドローン14に対して、ネットワーク12を通じて送信する(ステップA9)。
また、プロセッサ10aは、ドローン14が航行する鉄道線路に給電システム6が配置されている場合に、飛行制御データをもとに、ドローン14が通過する時間に合わせて動作することを指示するデータを給電システム6に送信する(ステップA10)。
ドローン14は、管理装置10から送信される飛行制御データを受信して記憶する。ドローン14は、飛行制御データが示す出発時刻まで待機し、出発時刻になった時に動作を開始して、飛行制御データに従う自律飛行制御により目的地点までの航行を開始する。
ドローン14の出発時刻前には、作業員等の操作によって収納部14eに荷物が収納されているものとする。また、ドローン14は、荷物が収納された後に作業員等の操作によって収納完了が指示された場合に、飛行制御データに基づく制御を開始するようにしても良い。
なお、ドローン14を点検業務に使用する場合には、航行計画において被点検物の設定が行われる。被点検物の設定では、被点検物の位置、被点検物について記録が必要なデータの内容(動画、静止画、撮影方向(周囲、上/下方向など))が設定されるものとする。
次に、本実施形態における管理装置10の飛行制御データ変更処理について説明する。
図16は、本実施形態における管理装置10の飛行制御データ変更処理を示すフローチャートである。飛行制御データ変更処理では、航行計画の作成に用いる情報に変更があった場合に、新規の情報をもとにリアルタイムで航行計画を変更してドローン14の自律飛行制御に反映させる。
プロセッサ10aは、航行計画の作成に使用する情報について新規の情報の追加(情報の変更を含む)があるかを監視している。例えば、プロセッサ10aは、通信装置10gを通じて外部のシステムや電子機器から新規の情報を受信したか、あるいは入力装置10fを通じて作業員等による操作により情報の追加があるかを判別する。
ここで、新規の情報の入力があった場合(ステップB1、Yes)、プロセッサ10aは、新規の情報と関係する航行計画が既に設定されたドローン14があるかを判別する(ステップB2)。ここで該当するドローン14がある場合(ステップB3、Yes)、新規の情報を含む各情報をもとに、前述した飛行制御データ生成処理と同様にして航行計画を作成し(ステップB4)、この航行計画に応じた飛行制御データを生成する(ステップB5)。
プロセッサ10aは、新規の情報をもとに作成した航行計画に対応する飛行制御データを、対象とするドローン14に対して、ネットワーク12を通じて送信する(ステップB6)。この時、ドローン14は、飛行開始前の待機中に限らず、自律飛行中においても受信して、新たに受信した飛行制御データをもとに飛行制御の切り替えが可能とする。これにより、ドローン14は、例えば、急速に変化した気象情報や、鉄道線路周辺に発生した事故などを示す障害情報をもとに、現在の状況に対応した自律飛行制御を可能にして、適切に障害回避や運行調整をすることができる。
次に、本実施形態におけるドローン14による動作について説明する。
図17は、本実施形態におけるドローン14を物流業務に使用する際の搬送処理を示すフローチャートである。
ドローン14の制御ユニット30aは、管理装置10から送信された飛行制御データを無線通信部30hを通じて受信し、記憶装置30bに記憶させる。制御ユニット30aは、飛行制御データが示す出発時刻まで待機し、出発時刻になった時に動作を開始する。飛行制御部30a3は、モータコントローラ30mを駆動して、飛行制御データに従う自律飛行制御処理により目的地点までの航行を開始する(ステップC1)。
制御ユニット30aの飛行制御部30a3は、飛行制御処理により、飛行制御データが示す経路に従い、GPSデータ受信部30g、レーザー部30f及びセンサ群30eから入力される各データ、カメラ14cにより撮影された画像データに対する画像処理結果などをもとに、鉄道線路を飛行経路とした自律飛行を制御する(ステップC2)。なお、飛行制御処理の詳細については後述する(図19参照)。
飛行制御部30a3は、飛行経路において障害物が検出された場合には(ステップC3、Yes)、障害物を回避するように飛行制御する。ドローン14は、予め航行計画において設定された踏切や鉄橋等、工事/保守箇所などを障害物として検出する他、予め想定されていない障害物(事前に通知されていない工事車両、保守員、一般人、樹木など)を含めて検出する。
飛行制御部30a3は、検出した障害物に応じて、障害物を回避して通過するために回避飛行制御を行う(ステップC4)。ここで、制御ユニット30aは、航行計画において設定された踏切等の障害物については、飛行管理情報とアラーム管理情報をもとに設定された飛行制御、警告出力制御をする。
すなわち、飛行制御部30a3は、飛行管理情報において設定された該当する障害物(位置情報が一致する情報)について設定された高度調整要否について「要」が設定され、調整値の指定(飛行高度の変更)あるいは飛行経路の設定(第1経路または第2経路)がされていれば、設定された内容に応じて回避飛行制御を行う。
一方、警告制御部30a4は、該当する障害物について、アラーム要否について「要」が設定されているかを判別する。ここで、アラーム「要」が設定されている場合(ステップC5、Yes)、アラーム内容に応じてアラームを出力する(ステップC6)。例えば、警告制御部30a4は、スピーカユニット30cによるアラーム内容として設定されたアラーム音声や警告音の出力、ライトユニット30dによるライト(LED)の点灯/点滅を実行させる。これにより、障害物を回避するための回避飛行中にアラームを出力して、周囲にドローン14が飛行中であることを認識させることができる。
なお、予め想定されていない障害物が検出された場合には、警告制御部30a4は、回避飛行制御が実行される場合に、予め設定されたアラーム出力を無条件に出力するようにしても良い。
次に、ドローン14は、自律飛行中に他のドローン14と近接したことを検出した場合(ステップC7、Yes)、ドローン間調整飛行処理を実行する(ステップC8)。ドローン間調整飛行処理では、複数のドローン14が相互に自律飛行制御による航行を継続できるように連携して飛行制御を行うものである。ドローン間調整飛行処理の詳細については後述する(図20〜図22参照)。
また、制御ユニット30aは、航行中に電源制御部30pから通知されるバッテリ30sの残量値をもとに、バッテリ30sの充電が必要かを判別する。すなわち、現在のバッテリ30sの残量によって目的地点までの飛行が継続可能であるか判別する。ここで、バッテリ30sの充電が必要と判別される場合(ステップC9、Yes)、制御ユニット30aは、給電システム6において給電を受けるためのバッテリ充電設定を記憶装置30bに記憶させる(ステップC10)。バッテリ充電設定がされた場合、飛行制御部30a3は、目的地点までの鉄道線路に存在する給電システム6(ドローンポート)に到達した場合に、給電システム6から受電するための飛行制御処理を実行する。
例えば、図13及び図14に示す構成による給電システム6の場合、ドローン14は、飛行したまま受電することができるが、ビーム照射部68が配置された期間において、充電時間を長くするために飛行速度を下げるといった飛行制御が可能である。
また、ドローンポートに給電システム6が設けられている場合には、ドローン14は、鉄道線路からドローンポートの給電を受けるための位置に移動して、給電のための動作(例えば、給電位置への着陸あるいはホバリング、受電用ケーブルの接続動作など)を実行する。
このように、目的地点までの航行中にドローン14に対して給電することができるので、目的地点までの距離が長くても、継続した自律飛行制御により荷物の搬送が可能となる。
ドローン14は、飛行制御データに従う航行中に、前述したステップC2〜C10における処理を実行しながら目的地点に向けて航行する。
飛行制御部30a3は、ドローン14が目的地まで到達すると(ステップC11、Yes)、所定の場所に着陸するための着陸飛行制御を実行する(ステップC12)。着陸が完了すると制御ユニット30aは搬送処理を終了する。
このようにして、ドローン14は、管理装置10により各種情報に基づいて作成された航行計画に対応する飛行制御データに従って、鉄道線路に沿って荷物を搬送することができる。ドローン14は、鉄道線路が敷設された鉄道施設の範囲のみを航行するので、鉄道線路に敷設されたレールや電線に追従することで容易かつ安全に自律飛行制御することができる。
次にドローン14を点検業務に使用する場合について説明する。
図18は、本実施形態におけるドローン14を点検業務に使用する際の点検処理を示すフローチャートである。
ドローン14の飛行制御部30a3は、管理装置10から受信した飛行制御データを記憶した後、出発時刻になった時に動作を開始して、飛行制御データに従う自律飛行制御処理により点検対象とする範囲を飛行させる飛行制御を開始する(ステップD1)。
また、制御ユニット30aは、取得データ生成部30a1により取得データの生成と、取得データの記憶を開始させる。すなわち、取得データ生成部30a1は、被点検物毎の撮影をした期間(あるい開始タイミング)を示す巡回/点検対象データの記憶(ステップD2)、カメラ14cにより撮影される画像データ(ここでは、例えば動画像データ)の記録、GPSデータ受信部30gにより生成される位置データの記憶を開始する(ステップD2,D3,D4)。
取得データ生成部30a1は、カメラ14cにより撮影された動画像データ、GPSデータ受信部30gにより生成される位置データ(図12(C))、及び巡回/点検対象データとを対応づけて記憶装置30bに記憶させる。
巡回/点検データを記憶しておくことで、ドローン14による撮影が終了した後、巡回/点検データをもとに、動画像データに含まれる被点検物別の記録範囲を容易に検索することができる。例えば、特定の被点検物を示す巡回/点検対象データをもとに、特定の被点検物が撮影された動画像データの範囲を検索することができる。また、動画像データと位置データとが対応づけて記憶されるため、例えば動画像データの範囲に異常箇所が撮影されている場合に、異常箇所が撮影された時のドローン14の位置を示す位置データをもとに、被点検物に生じている異常箇所の位置(緯度、経度、高度)を把握することができる。
なお、前述した説明では、取得データをドローン14(例えば記憶装置30b)に記憶させるとしているが、リアルタイムで管理装置10に対して無線通信により送信することも可能である(ステップD5)。
取得データ生成部30a1は、被点検物に対応する範囲の飛行が完了すると(ステップD6、Yes)、全ての被点検物に対応する範囲の飛行が完了していなければ(ステップD7、No)、次の被点検物に点検対象が移った時点で新たな巡回/点検対象データを記憶させる(ステップD2)。以下、同様にして、次の被点検物について撮影した動画像データと位置データとを記憶させる(ステップD3、D4)。
以下同様にして、取得データの記録を継続し、全ての被点検物に対応する範囲の飛行が完了すると(ステップD7、Yes)、飛行制御部30a3は、所定の場所に着陸するための着陸飛行制御を実行する(ステップC11)。着陸が完了すると制御ユニット30aは点検処理を終了する。
このようにして、ドローン14は、管理装置10により各種情報に基づいて作成された被点検物を含む鉄道線路を点検するための飛行制御データに従って、鉄道線路に沿って飛行しながら画像を記録することで画像をもとに被点検物について異常検出することができる。ドローン14は、鉄道線路が敷設された鉄道施設の範囲のみを航行するので、鉄道線路に敷設されたレールや電線に追従することで容易かつ安全に自律飛行制御しながら点検業務を実行することができる。
なお、前述した搬送処理において、点検処理を並行して実行することも可能である。すなわち、ドローン14は、荷物を搬送するための航行中に、被点検物についての画像の撮影を実行するようにしても良い。
次に、ドローン14による飛行制御処理について説明する。
図19は、ドローン14による飛行制御処理を示すフローチャートである。
ドローン14は、管理装置10から受信した飛行制御データにおいて、鉄道線路を航行する時の経路が指定される。例えば、飛行制御データにおいて、第1経路(軌道(レール50)と軌道上方に架設された電線(例えば、架線55)との間)が設定されている場合(ステップE1、Yes)、制御ユニット30aは、図9に示すように、例えばレーザー部30fにより上方向の架線55と下方向のレール50を追尾しながら飛行制御する(ステップE2)。なお、カメラ14cにより撮影された画像データをもとに検出されるレールと電線の位置をもとにした飛行制御を併用することもできる(図10参照)。また、ドローン14、図11に示す範囲AR11,AR12において飛行するように制御する。
また、飛行制御データにおいて、第2経路(電線(き電線53)の上方)が設定されている場合(ステップE3、Yes)、制御ユニット30aは、例えばレーザー部30fにより下方向のき電線53を追尾しながら飛行制御する(ステップE4)。なお、制御ユニット30aは、1本の電線(き電線53)を追尾するのではなく、複数の電線の位置をそれぞれ検出して、総合的に電線の位置をもとにした第2経路を判別するようにしても良い。また、カメラ14cにより撮影された画像データをもとに検出される電線の位置をもとにした飛行制御を併用することもできる。また、ドローン14、図11に示す範囲AR31,AR32において飛行するように制御する。
なお、ドローン14が航行する範囲の全体において、第1経路あるいは第2経路の何れかが設定される必要はなく、任意の区間毎に第1経路あるいは第2経路の何れかに飛行経路が切り替えられるように航行計画(飛行制御データ)を設定することができる。
また、飛行制御データにおいて、トンネル(トンネルエリア40d)の飛行が設定されている場合(ステップE5、Yes)、制御ユニット30aは、例えばレーザー部30fにより上方向の架線55、下方向のレール50、さらに横方向のトンネルの内壁位置を追尾しながら飛行制御する(ステップE6)。
こうして、ドローン14の飛行制御処理では、それぞれの飛行経路に応じて、鉄道線路に存在する電線、レール、トンネルの内壁の位置を検出して飛行制御することで、安定した飛行を実現することができる。
次に、ドローン14によるドローン間調整飛行処理について説明する。
鉄道線路において複数のドローン14を鉄道線路において同時に航行させる場合、航行中に他のドローン14と近接する可能性がある。ドローン14は、近接した他のドローン14と連携することで、相互に自律飛行制御による航行を継続できるように飛行制御をする。
図20は、ドローン間調整飛行処理を示すフローチャートである。図21及び図22は、複数のドローン14による連携を説明するための図である。
ドローン間調整飛行処理では、例えば飛行速度の速い方のドローン14Bを先行させるための追い越し制御、追い越し制御のための飛行可能空間が十分ではない場合に実行するドローン連結処理がある。
ドローン14の制御ユニット30aは、他のドローン14と近接した場合(予め設定された距離内、あるいは無線通信部30hにより相互に通信可能な距離内)、現在の飛行区間において追い越し制御が可能であるか判別する。すなわち、速度の速い方のドローン14を先行させるために、飛行経路を変更可能な空間が十分にあるかを判別する。
ここで、追い越し制御が可能であると判別される場合(ステップF1、Yes)、制御ユニット30aは、追い越し制御による飛行制御を実行する。
例えば、図21(A)に示すように、先行して飛行する速度(F1)の低いドローン14Aが範囲AR11の経路で飛行しているものとする。ドローン14Aは、別のドローン14Bに追いつかれたことを判別すると、飛行位置(飛行経路)を変更するものと判別し(ステップF2、Yes)、例えば範囲AR21内の別の経路で飛行するように飛行制御する(ステップF3)。
一方、ドローン14Aよりも速い速度(F2)で飛行するドローン14Bは、先行するドローン14Aに追いついたことを判別すると、範囲AR11の経路で飛行している場合に、そのまま飛行位置(飛行経路)を変更しないものと判別する(ステップF2、No)。
この結果、図21(B)に示すように、ドローン14Aは、ドローン14Bを範囲AR11の経路で飛行したままで先行させることができる。
ドローン14Aは、ドローン14Bにより追い越しが完了したことを検出すると(ステップF4、Yes)、元の飛行位置(範囲AR11の経路に飛行位置を戻して自律飛行を継続する(ステップF5)。
なお、前述した追い越し制御では、一方の軌道における第1経路において追い越しをする例について説明しているが、例えばドローン14Aを隣の軌道の第1経路に飛行位置を変更する、あるいは同じ軌道の第2経路に変更するなど、他の飛行位置に変更することで追い越しさせるようにしても良い。また、先行するドローン14Aに追いついたドローン14Bの方が飛行位置を変更して追い越しするようにしても良い。
一方、図22(A)に示すように、速度(F1)で飛行するドローン14Aにドローン14Aよりも速い速度(F2)で飛行するドローン14Bが追いついた場合、ドローン14A,14Bは、ドローン連結処理を実行すると判別された場合(ステップF6、Yes)、連結飛行制御を行う(ステップF7)。
例えば、速度が遅いドローン14Aに追いついたドローン14Bは、図22(B)に示すように、ドローン14Aと予め決められた距離D(間隔)を設けて、ドローン14Aに追従して速度(F1)により飛行を継続する。同様にして、速度(F1)よりも速い速度(F3)で飛行するドローン14Cが、ドローン14Bに追いついた場合、ドローン14Cは、ドローン14Bと距離Dを設けて速度(F1)により飛行を継続する。
連結飛行制御をする複数のドローン14A,14B,14Cは、目的地点に到達するなど、連結飛行から離脱する場合には(ステップF8、Yes)、連結を解除して目的の位置へ移動する飛行制御に移行する(ステップF9)。
なお、連結飛行からの離脱は、追い越し制御が可能な飛行区域に到達した場合なども含む。この場合、先頭のドローン14Aは、前述したように飛行位置を変更(連結飛行から離脱)して、後続するドローン14B,14Cを先行させることができる。
なお、図21及び図22では、ドローン14が第1経路を航行している場合を例にしているが、第2経路を航行している場合にも同様に適用することができる。第2経路は、第1経路よりも飛行可能な範囲が広いため、第1経路よりも容易に飛行位置を変更できる。従って、追い越し制御を短時間で実施することができる。
このようにして、複数のドローン14が連携して追い越し制御あるいはドローン連結処理を実行することで、鉄道線路の限られた範囲で同時に複数のドローン14を航行させる場合であっても、効率的かつ安全にドローン14による自律飛行を継続させることができる。
なお、上記の各実施形態に記載した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、光磁気ディスク(MO)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することもできる。また、記憶媒体としては、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であっても良い。
また、記憶媒体からコンピュータにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、ネットワークソフト等のMW(ミドルウェア)等が上記実施形態を実現するための各処理の一部を実行しても良い。
さらに、各実施形態における記憶媒体は、コンピュータと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝送されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
また、記憶媒体は1つに限らず、複数の媒体から上記の各実施形態における処理が実行される場合も本発明における記憶媒体に含まれ、媒体構成は何れの構成であっても良い。
なお、各実施形態におけるコンピュータは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、上記の各実施形態における各処理を実行するものであって、パーソナルコンピュータ等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であっても良い。
また、各実施形態におけるコンピュータとは、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
実施形態によれば、管理装置は、第1入力手段、記憶手段、第2入力手段、作成手段を有する。第1入力手段は、鉄道を走行する車両の運行予定を含む鉄道運行情報を入力する。記憶手段は、鉄道線路が敷設された鉄道施設の範囲を示す鉄道線路情報を記憶する。第2入力手段は、鉄道線路において無人飛行体を航行させる際の出発地点と目的地点とを示す飛行区間情報を入力する。作成手段は、前記飛行区間情報に対応する、前記鉄道線路情報及び前記鉄道運行情報をもとに、前記飛行区間情報が示す区間内の鉄道施設の範囲内において、前記無人飛行体を、軌道と前記軌道の上方に架設された電線との間の第1経路と、前記電線の上方の第2経路の何れかに航行経路を切り替えて自律的に航行させるための航行計画を作成する。