JP2020006608A - 成形品取出装置、および成形品取出方法、および成形品取出治具 - Google Patents

成形品取出装置、および成形品取出方法、および成形品取出治具 Download PDF

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Abstract

【課題】成形品の生産性の向上を図る。【解決手段】成形後のドアトリム15を成形金型から取り出す際に用いられる取出治具20は、ドアトリム15を吸着可能な複数の吸着ロッド30を有している。それら吸着ロッド30の吸着パット33には負圧が供給されている。そして、吸着パット33にドアトリム15を吸着させることによって取出治具20にドアトリム15を支持させた状態で、ドアトリム15の成形金型からの取り出しを行う。ドアトリム15の取り出しを行うときに、複数の吸着パット33の一部がドアトリム15に吸着した状態になるとともに、複数の吸着パット33の残りの他部がドアトリム15に吸着しない状態になる。【選択図】図6

Description

本発明は、成形金型から成形品を取り出すための成形品取出治具を備えた成形品取出装置、および成形品取出治具を用いて成形金型から成形品を取り出す成形品取出方法、および成形品取出治具に関するものである。
従来、特許文献1に記載の装置のように、成形金型から成形品を取り出す際に、専用の取出治具を用いることが提案されている。特許文献1の装置では、負圧を利用して成形品を吸着する吸着部が取出治具に複数設けられており、同取出治具がロボットアームに取り付けられている。そして、この装置では、成形金型による成形品の成形が完了すると先ず、ロボットアームの操作を通じて取出治具が成形品に対向する位置まで移動される。その後、取出治具の各吸着部に成形品を吸着させることによって同成形品が取出治具に支持される。そして、その状態でロボットアームが操作されて、成形品が成形金型の内部から外部に移動される。上記装置では、このようにして成形品が成形金型から取り出される。
特開2001−30313号公報 特許第6103318号公報
上記装置では、取出治具によって成形品をバランス良く支持するために、吸着部がそれぞれ、支持対象の成形品に適した位置および取付角度になるように設けられる。
ここで、形状の異なる成形品では、成形品に適した吸着部の位置および取付角度も異なる。そのため、上記取出治具は成形品毎に用意される。このことから、成形装置によって成形する成形品を変更するべく成形金型を交換する際には、これに合わせて取出治具も交換しなくてはならなくなる。そして、これは成形品の生産性の低下を招く一因になってしまう。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、成形品の生産性の向上を図ることのできる成形品取出装置および成形品取出方法、および同成形品取出装置や成形品取出方法に用いて好適な成形品取出治具を提供することにある。
上記課題を解決するための成形品取出装置は、成形金型によって成形された成形品を吸着可能な複数の吸着部と前記複数の吸着部に吸着のための負圧を供給する負圧供給部とを有する取出治具を備え、前記吸着部に前記成形品を吸着させることによって前記取出治具に前記成形品を支持させた状態で前記成形品の前記成形金型からの取り出しを行う成形品取出装置において、前記取り出しを行うときに、前記複数の吸着部の一部が前記成形品に吸着した状態になるとともに、前記複数の吸着部の残りの他部が前記成形品に吸着しない状態になる。
上記構成によれば、同一の成形装置によって複数種の成形品を成形する場合において、第1成形金型によって第1成形品を成形する場合と第2成形金型によって第2成形品を成形する場合とで、共通の取出治具を用いて成形金型からの成形品の取り出しを行うことが可能になる。すなわち、第1成形金型から第1成形品を取り出す場合には、第1の組み合わせパターンで定められた吸着部を第1成形品に吸着させるとともに、それ以外の吸着部を第1成形品に吸着させないようにすることができる。その一方で、第2成形金型から第2成形品を取り出す場合には、第2の組み合わせパターンで定められた吸着部を第2成形品に吸着させるとともに、それ以外の吸着部を第2成形品に吸着させないようにすることができる。このようにして同一の取出治具に設けられた複数の吸着部の一部を選択的に用いることにより、成形品毎に、その成形品に適した位置および角度で吸着部を吸着させて同成形品を支持することが可能になる。このように上記構成によれば、成形装置によって成形する成形品を変更する場合に、取出治具を交換しなくてもよくなるため、その分だけ成形品の生産性の向上を図ることができるようになる。
前記課題を解決するための成形品取出方法は、複数種の成形金型を交換しつつ用いて複数種の成形品を成形する際に、前記成形品を吸着可能な複数の吸着部と前記複数の吸着部に吸着のための負圧を供給する負圧供給部とを有する取出治具に、前記吸着部を前記成形品に吸着させることによって前記成形品を支持させた状態で、前記成形品の前記成形金型からの取り出しを行う成形品取出方法であって、前記複数種の成形品のうちの第1成形品についての前記取り出しを行う際には、前記複数の吸着部のうちの第1の組み合わせパターンで定められた前記吸着部を前記第1成形品に吸着させるとともに、残りの前記吸着部を前記第1成形品に吸着させない状態にする一方で、前記複数種の成形品のうちの第2成形品についての前記取り出しを行う際には、前記複数の吸着部のうちの前記第1の組み合わせパターンと異なる第2の組み合わせパターンで定められた前記吸着部を前記第2成形品に吸着させるとともに、残りの前記吸着部を前記第2成形品に吸着させない状態にする。
上記成形品取出方法によれば、同一の取出治具に設けられた複数の吸着部の一部を選択的に用いることにより、成形品毎に、その成形品に適した位置および角度で吸着部を吸着させて同成形品を支持することが可能になる。したがって、成形する成形品を変更するべく成形金型を交換する場合であっても、取出治具は交換しなくてよくなるため、その分だけ成形品の生産性の向上を図ることができるようになる。
前記課題を解決するための成形品取出治具は、成形金型によって成形された成形品を吸着可能な複数の吸着部と前記複数の吸着部に吸着のための負圧を供給する負圧供給部とを有し、前記成形金型からの前記成形品の取り出しを行うときに、前記吸着部に前記成形品を吸着させることによって前記成形品を支持する成形品取出治具において、前記負圧供給部は、異なる前記吸着部に負圧を供給するものであり、且つ供給圧力の干渉しない別系統のものである複数の負圧供給部からなる。
複数の吸着部に対して共用の負圧ポンプから負圧が直接供給される構造の取出治具を採用した場合には、それら吸着部のうちの1つでも成形品に吸着させることのできない状態のものがあると、その吸着部から負圧が抜けてしまうため、それ以外の吸着部に適正な負圧を供給することができない状態(いわゆる真空破壊状態)になってしまう。この場合には、取出治具に成形品を支持させることができないため、成形金型からの成形品の取り出しを行うこともできない。
上記構成によれば、成形品を吸着させる吸着部に負圧を供給する負圧供給部と成形品を吸着させない吸着部に負圧を供給する負圧供給部とを、供給圧力が干渉しない別系統にすることができる。そのため、複数の吸着部のうちの一部を敢えて成形品に吸着させない場合に、成形品に吸着させない吸着部に対応する負圧供給部とは別系統の負圧供給部、すなわち成形品を吸着させる吸着部に対応する負圧供給部によって同吸着部に負圧を供給することができる。これにより、同一の取出治具に設けられた複数の吸着部の一部を選択的に用いて、成形品を取出治具に支持させることができるようになる。
本発明によれば、成形品の生産性の向上を図ることができる。
一実施形態の成形品取出装置が適用される射出成形装置の概略構成を示す略図。 同成形品取出装置の圧力制御装置の概略構成を示す略図。 成形品取出治具の(a)は側面図であり、(b)は(a)の3b矢視図。 (a)および(b)吸着ロッドの吸着パットが傾いた状態を示す側面図。 (a)および(b)吸着ロッドのロッド部の移動態様を示す説明図。 (a)〜(d)成形品取出治具に支持された状態の各ドアトリムの側面図。 成形品取出治具の(a)は初期状態を示す概念図であり、(b)はセット状態の一例を示す概念図であり、(c)はセット状態の他の例を示す概念図。 ドアトリムの成形にかかる作業の実行手順を示すフローチャート。 他の実施形態の成形品取出装置の圧力制御装置の概略構成を示す略図。
以下、成形品取出装置、成形品取出方法、および成形品取出治具の一実施形態について説明する。
図1に示すように、射出成形装置10は、成形品としてのドアトリム15を成形するための成形金型11と、溶融樹脂を射出するための射出ユニット12を備えている。成形金型11は固定型13と移動型14とを有しており、同固定型13には上記射出ユニット12が接続されている。そして、この射出成形装置10では、成形金型11を型締めした状態で同成形金型11の内部に射出ユニット12から溶融樹脂を射出することにより、ドアトリム15が成形される。
本実施形態の射出成形装置10は、複数種の成形金型11を交換しつつ用いることによって、複数種のドアトリムを成形するものである。射出成形装置10は、詳しくは、自動車の右側のフロントサイドドアに設けられるドアトリム(FR)、左側のフロントサイドドアに設けられるドアトリム(FL)、右側のリヤサイドドアに設けられるドアトリム(RR)、および左側のリヤサイドドアに設けられるドアトリム(RL)の成形に用いられる。なお、これら4種類のドアトリムFR,FL,RR,RLは、同一車種のものである。そして、ドアトリムFRの形状とドアトリムFLの形状とは面対称の関係にあり、ドアトリムRRの形状とドアトリムRLの形状とは面対称の関係にある。本実施形態では、ドアトリムFRが第1成形品に相当し、ドアトリムFLが第2成形品に相当する。
射出成形装置10は、成形後のドアトリム15を成形金型11から取り出すための成形品取出装置16を有している。この成形品取出装置16は、成形品取出治具(以下、取出治具20)や、圧力制御装置40、移動装置50、電子制御装置60を有している。
取出治具20は、成形後のドアトリム15を成形金型11から取り出す際に、同ドアトリム15を吸着して支持するためのものである。この取出治具20は複数(本実施形態では、5つ)の吸着ロッド30を有しており、各吸着ロッド30には負圧(標準気圧よりも低い圧力)が供給されている。そして、これら吸着ロッド30によってドアトリム15を吸着することによって、同ドアトリム15が取出治具20に支持されるようになっている。
圧力制御装置40は、各吸着ロッド30を作動させるために、それら吸着ロッド30に供給される圧力を制御するものである。この圧力制御装置40については後に詳述する。
移動装置50は、予め定められたパターンで取出治具20を移動させるためのものである。移動装置50は、取出治具20に連結された移動機構51や、同移動機構51を作動させるためのアクチュエータ52を有している。このアクチュエータ52の作動制御を通じて移動機構51が作動するようになっている。アクチュエータ52の作動制御を通じて、取出治具20は、型開き状態(図1に示す状態)の成形金型11の内部においてドアトリム15を吸着することの可能な移動位置(P1)と、成形後のドアトリム15が成形金型11の外部に取り出されるようになる移動位置(P2)との間を所定のパターンで移動する。なお本実施形態では、取出治具20の移動パターンは、成形されるドアトリム15の種類によることなく同一である。移動機構51としては、3軸移動機構やロボットアームなどを採用することができる。
電子制御装置60は、圧力制御装置40および移動装置50の作動を制御するためのものである。この電子制御装置60は圧力制御装置40や移動装置50に接続されている。また、電子制御装置60には、作業者によって操作される操作盤61が接続されている。そして、電子制御装置60は、操作盤61の操作状態に応じて、圧力制御装置40の作動制御や移動装置50の作動制御を実行する。
以下、取出治具20および圧力制御装置40について詳しく説明する。
図2および図3に示すように、取出治具20は複数の吸着ロッド30を有している。吸着ロッド30は、外面が円柱状をなすロッド部31を有している。ロッド部31の一端には円柱状のベース部32が固定されている。ベース部32には、吸着ロッド30の内部に負圧を導入するための負圧導入部32Aが設けられている。また、ロッド部31における上記ベース部32側と反対側の端部には、丸皿状の吸着パット33が設けられている。吸着パット33の内部とベース部32の負圧導入部32Aとはロッド部31内部の負圧通路(図示略)を介して連通されている。吸着ロッド30は、負圧導入部32Aに負圧を供給することにより、同負圧がロッド部31内の負圧通路を介して吸着パット33に供給される構造になっている。
ロッド部31の軸方向における中間部分にはフランジ部34が設けられている。フランジ部34は円筒状をなしており、ロッド部31が挿通された状態で同ロッド部31に固定されている。フランジ部34と上記吸着パット33との間には、圧縮状態のコイルスプリング35が取り付けられている。コイルスプリング35は、ロッド部31に挿通された状態で設けられている。このコイルスプリング35の付勢力によって、吸着パット33はフランジ部34から離間する方向に常時付勢されている。
図4(a)および図4(b)に示すように、吸着ロッド30は、吸着パット33の中心L1とロッド部31の中心L2とが所定角度(本実施形態では、22度)になる状態まで、吸着パット33をロッド部31に対して傾けることの可能な構造になっている。なお、吸着パット33は、上記ロッド部31の中心L1の周りの全周に渡って傾けることが可能になっている。
吸着パット33にドアトリム15が押し付けられていない場合には、上記コイルスプリング35の付勢力によって、吸着パット33はその中心L1とロッド部31の中心L2とが略一致する状態(図3(a)および図3(b)に示す状態)になる。一方、吸着パット33にドアトリム15が押し付けられた状態になると、コイルスプリング35の付勢力に抗して吸着パット33が傾いて、吸着パット33の吸着部分がドアトリム15の外面に沿った状態(例えば図4(a)に示す状態)になる。
図2および図3に示すように、吸着ロッド30は固定部36を有している。この固定部36は取出治具20(詳しくは、治具ベース21(図3(b)))に固定される部分である。固定部36は、略円筒形状をなして、ロッド部31の軸方向に移動可能な状態で同ロッド部31に挿通されている。固定部36は上記フランジ部34よりもベース部32側(図2の下方側)に設けられている。
ロッド部31に相対移動可能な固定部36と同ロッド部31に一体のフランジ部34との間には、圧縮状態のコイルスプリング37が取り付けられている。コイルスプリング37は、ロッド部31に挿通された状態で設けられている。このコイルスプリング37の付勢力によって、固定部36はフランジ部34から離間する方向に常時付勢されている。
固定部36の内部におけるロッド部31の外面と対向する部分には、位置決め機構(図示略)が設けられている。また固定部36には、上記位置決め機構に正圧(標準気圧よりも高い圧力)を供給するための正圧導入部36Aが設けられている。なお、上記位置決め機構としては特許文献2に記載のものが採用されている。以下では、位置決め機構の構造についての詳細な説明を割愛し、位置決め機構の動作態様について詳細に説明する。こうした位置決め機構を有する吸着ロッドとしては、株式会社タツタ製のミニバロックシステムBS205を好適に採用することができる。
位置決め機構は、正圧導入部36Aへの正圧の供給状況に応じて、以下のように作動する。
位置決め機構は、正圧導入部36Aに正圧が供給されていないときには、固定部36に吸着パット33が近づく方向(押し込み方向)へのロッド部31の相対移動を許容する状態になる一方、固定部36から吸着パット33が離間する方向(伸張方向)へのロッド部31の相対移動を規制する状態になる。
図5(a)および図5(b)に示すように、このとき吸着パット33が押し込み方向(図5の上方向)に押圧されると、コイルスプリング37の付勢力に抗して、ロッド部31が固定部36に対して押し込み方向に移動するようになる。これにより吸着ロッド30は、例えば図5(a)に示す状態から図5(b)に示す状態になる。その後に、吸着パット33の押し込み方向への押圧が解除されても、上記位置決め機構の機能によって、ロッド部31の相対位置は保持される。
その一方で、位置決め機構は、正圧導入部36Aに正圧が供給されているときには、固定部36に対する押し込み方向および伸張方向(図5の下方向)へのロッド部31の相対移動を共に許容する状態になる。そのため、このとき吸着パット33にドアトリム15が当接していなければ、コイルスプリング37の付勢力によって、ロッド部31に一体のベース部32に固定部36が当接する位置まで同ロッド部31は伸張方向に相対移動するようになる。これにより吸着ロッド30は、例えば図5(b)に示す状態から図5(a)に示す状態になる。
このように吸着ロッド30の正圧導入部36Aに正圧を供給することにより、同吸着ロッド30を、ベース部32と固定部36とが当接する位置まで同ロッド部31を伸張方向に相対移動させた状態(図5(a)に示す状態)にすることができる。
図2に示すように、圧力制御装置40は、負圧ポンプ41を有している。この負圧ポンプ41は、負圧通路42を通じて、複数の吸着ロッド30の一部(3つの吸着ロッド30C)の負圧導入部32Aに接続されている。負圧通路42は、各吸着ロッド30Cに接続される分岐路42Aと、それら分岐路42Aが合流するとともに負圧ポンプ41に接続される合流路42Bとを有している。負圧通路42における合流路42Bには開閉制御弁42Cが設けられている。この開閉制御弁42Cの閉弁時には各吸着ロッド30Cの負圧導入部32Aに負圧が供給されない状態になる一方で、開閉制御弁42Cの開弁時には各吸着ロッド30Cの負圧導入部32Aに負圧が供給される状態になる。本実施形態では、負圧通路42の一部(取出治具20と一体の部分)が、吸着ロッド30Cの吸着パット33に吸着のための負圧を供給する負圧供給部に相当する。
また圧力制御装置40は、正圧ポンプ43を有している。正圧ポンプ43は、正圧通路44およびエジェクタ45Aを介して、複数の吸着ロッド30のうちの1つ(吸着ロッド30UA)の負圧導入部32Aに接続されている。また正圧ポンプ43は、正圧通路44およびエジェクタ45Bを介して、複数の吸着ロッド30のうちの1つ(吸着ロッド30UB)の負圧導入部32Aに接続されている。本実施形態では、正圧通路44の一部(取出治具20と一体の部分)およびエジェクタ45Aが吸着ロッド30UAの吸着パット33に吸着のための負圧を供給する負圧供給部に相当し、正圧通路44の一部およびエジェクタ45Bが吸着ロッド30UBの吸着パット33に吸着のための負圧を供給する負圧供給部に相当する。
正圧通路44は、上記エジェクタ45Aおよび吸着ロッド30UAに接続される分岐路44Aと、上記エジェクタ45Bおよび吸着ロッド30UBに接続される分岐路44Bと、それら分岐路44A,44Bが合流するとともに正圧ポンプ43に接続される合流路44Cとを有している。正圧通路44の合流路44Cには開閉制御弁44Dが設けられている。
この開閉制御弁44Dの閉弁時には、エジェクタ45A,45Bに正圧が供給されない状態になるため、エジェクタ45A,45Bから各吸着ロッド30UA,30UBの負圧導入部32Aに負圧が供給されない状態になる。その一方で、開閉制御弁44Dの開弁時には、エジェクタ45A,45Bに正圧(圧縮空気)が供給される状態になるため、同エジェクタ45A,45Bから各吸着ロッド30UA,30UBの負圧導入部32Aに負圧が供給される状態になる。
また正圧ポンプ43は、リセット通路46を介して、全ての吸着ロッド30の正圧導入部36Aに接続されている。このリセット通路46は、各吸着ロッド30に接続される分岐路46Aと、それら分岐路46Aが合流するとともに正圧ポンプ43に接続される合流路46Bとを有している。リセット通路46の合流路46Bには、開閉制御弁46Cが設けられている。そして、開閉制御弁46Cの閉弁時には各吸着ロッド30の正圧導入部36Aに正圧が供給されない状態になる一方で、開閉制御弁46Cの開弁時には各吸着ロッド30の正圧導入部36Aに正圧が供給される状態になる。
負圧通路42の開閉制御弁42C、正圧通路44の開閉制御弁44D、およびリセット通路46の開閉制御弁46Cは、それぞれ電子制御装置60に接続されている。電子制御装置60は、それら開閉制御弁42C,44D,46Cの作動制御を実行する。
図3(a)および図3(b)に示すように、取出治具20は治具ベース21を有している。治具ベース21は金属製の角パイプ材によって格子状をなすように形成されている。治具ベース21にはL字状のブラケット22を介して複数の吸着ロッド30が固定されている。各吸着ロッド30は、その中心L1と上記治具ベース21の延設方向とが直交する状態で取り付けられている。
取出治具20にはツールチェンジャー23が固定されている。ツールチェンジャー23は、内部に前述した負圧通路42、正圧通路44、およびリセット通路46の一部が形成されている。このツールチェンジャー23には、各通路42,44,46のうちの取出治具20の一部をなす(内蔵部分)と、取出治具20に外部から接続される部分(外部機器部分)とが接続される。このツールチェンジャー23を介して、各通路42,44,46の内蔵部分と外部機器部分とが接続される。なお、各通路42,44,46の内蔵部分はビニールチューブによって構成されている。図3(a)および図3(b)では、各通路42,44,46の内蔵部分を省略して示している。これら通路42,44,46は、実際には、ツールチェンジャー23と各吸着ロッド30とを接続する態様で設けられるとともに、治具ベース21にタイバンドなどによって固定されている。
5本の吸着ロッド30は、取出治具20によってドアトリム15を吸着する方向において同取出治具20を見た場合(図3(a)に示すように見た場合)に線対称の位置になる態様で配置されている。具体的には、各吸着ロッド30のロッド部31の中心L1を直線で繋いだ場合にW字状になる態様で、各吸着ロッド30は配置されている。
本実施形態では、5本の吸着ロッド30のうちの上記W字状における左上に配置されるものが前記吸着ロッド30UAになっており、右上に配置されるものが前記吸着ロッド30UBになっている。治具ベース21における吸着ロッド30UAの近傍には前記エジェクタ45Aが取り付けられており、治具ベース21における吸着ロッド30UBの近傍には前記エジェクタ45Bが取り付けられている。また、5本の吸着ロッド30のうちの上記W字状における中央に配置されるものや、右下に配置されるもの、左下に配置されるものが前記吸着ロッド30Cになっている。
図6(a)〜図6(d)は、取出治具20によって各ドアトリム15(FF,FR,RR,RL)を支持した状態を示している。なお図6(a)〜図6(d)では、取出治具20とドアトリム15との相対位置の理解を容易にするために取出治具20を簡略化して示している。また図6(a)はドアトリム15(FR)を支持した状態を示し、図6(b)はドアトリム15(FL)を支持した状態を示し、図6(c)はドアトリム15(RR)を支持した状態を示し、図6(d)はドアトリム15(RL)を支持した状態を示す。
図6(a)に示すように、取出治具20によってドアトリム15(FR)を支持する場合には、吸着ロッド30UAがドアトリム15(FR)を吸着しない状態になり、吸着ロッド30C,30UBがドアトリム15(FR)を吸着する状態になる。
図6(b)に示すように、取出治具20によってドアトリム15(FL)を支持する場合には、吸着ロッド30UBがドアトリム15(FL)を吸着しない状態になり、吸着ロッド30C,30UAがドアトリム15(FL)を吸着する状態になる。
図6(c)に示すように、取出治具20によってドアトリム15(RR)を支持する場合には、吸着ロッド30UA,30UBがドアトリム15(RR)を吸着しない状態になり、吸着ロッド30Cがドアトリム15(RR)を吸着する状態になる。
図6(d)に示すように、取出治具20によってドアトリム15(RL)を支持する場合には、吸着ロッド30UA,30UBがドアトリム15(RL)を吸着しない状態になり、吸着ロッド30Cがドアトリム15(RL)を吸着する状態になる。
図6(a)〜図6(d)に示すように、いずれのドアトリム15(FR,FL,RR,RL)を取出治具20によって支持する場合においても、吸着ロッド30(詳しくは、吸着パッド)の線対称配置における対称軸LSとドアトリム15の重心とが略一致するように、各吸着ロッド30は配置されている。なお本実施形態では、吸着ロッド30Cの吸着パット33が複数種のドアトリム15(FR,FL,RR,RL)の全てに吸着する必須吸着部に相当し、吸着ロッド30UA,30UBの吸着パット33が複数種のドアトリム15(FR,FL,RR,RL)の一部に吸着しない非必須吸着部に相当する。
ここで図6(a)〜図6(d)から明らかなように、複数種のドアトリム15(FR,FL,RR,RL)は平面形状が大きく異なる上に、外面が異なる態様で起伏している。そのため、共通の取出治具20によって、各ドアトリム15(FR,FL,RR,RL)を支持するためには、ドアトリム15毎に、各吸着ロッド30(詳しくは、その吸着パット33)の位置を設定する必要がある。
この点をふまえて本実施形態では、各吸着パット33の位置設定が以下のように行われる。
図8に示すように、上記位置設定では先ず、取出治具20の各吸着ロッド30の状態が初期状態にされる(ステップS1)。
具体的には、圧力制御装置40におけるリセット通路46の開閉制御弁46Cが開操作されて、各吸着ロッド30の正圧導入部36Aに正圧が供給される。これにより、図7(a)に示すように、各吸着ロッド30は、ベース部32と固定部36とが当接した状態(上記初期状態)になる。その後、開閉制御弁46Cが閉操作されて、各吸着ロッド30の正圧導入部36Aへの正圧の供給が停止される。これにより、各吸着ロッド30は、固定部36に対するロッド部31の押し込み方向(図7(a)の上方向)への相対移動が可能な状態になるとともに、同ロッド部31の伸張方向(図7(a)の下方向)への移動が不能な状態になる。
次に、各吸着ロッド30の状態が、以後において成形金型11によって成形されるドアトリム15、すなわち支持対象のドアトリム15に見合う状態(セット状態)にされる(図8のステップS2)。
具体的には、支持対象のドアトリム15に対して、各吸着パット33が接触するとともに押し付けられる態様で取出治具20が押し付けられる。これにより、図7(b)に示すように、各吸着パット33がドアトリム15の外面に接触して傾くことによって、それら吸着パット33の吸着部分がドアトリム15の外面に沿った角度になる。しかも、この状態で、吸着パット33ともども各吸着ロッド30のロッド部31がドアトリム15の外面によって押圧されることによって、それらロッド部31が治具ベース21に対して押し込み方向に相対移動するようになる。
その結果、図7(b)に示すように、各吸着ロッド30の状態が、それら吸着ロッド30の吸着パット33によって支持対象のドアトリム15の外面を吸着することの可能な状態になる。なお、このとき各吸着ロッド30の正圧導入部36Aに正圧が供給されていないため、この状態で取出治具20をドアトリム15から離しても、吸着ロッド30のロッド部31は伸張方向に相対移動しない。このようにして、各吸着ロッド30の状態が支持対象のドアトリム15に見合う状態(セット状態)にされる。
その後、射出成形装置10によるドアトリム15の成形が開始される(図8のステップS3)。具体的には、成形金型11によるドアトリム15の成形と、上記取出治具20を用いたドアトリム15の取り出しとが自動的に行われる。
なお、各吸着パット33の位置設定(図8のステップS1,S2)は、成形金型11が交換される度に、すなわち射出成形装置10によって成形されるドアトリム15の種類が変わる度に行われる。これにより、図7(c)に一例を示すように、各吸着ロッド30が、その吸着パット33によってドアトリム15の外面を好適に吸着することの可能な状態になる。
ドアトリム15の成形金型11(図1)の内部からの取り出しは以下の手順で行われる。
成形金型11によるドアトリム15の成形が完了すると、同成形金型11が型開き状態(図1に示す状態)にされる。その後、取出治具20が、成形金型11の内部におけるドアトリム15を吸着することの可能な移動位置P1に移動される。このとき開閉制御弁42C,44D(図2)が開操作されており、各吸着ロッド30の負圧導入部32Aに負圧が供給されているため、それら吸着パット33によってドアトリム15が吸着されて取出治具20に支持されるようになる。
そして、その状態で取出治具20が移動位置P2(図1)に移動される。その後、移動位置P2において開閉制御弁42C,44D(図2)が閉操作されて各吸着ロッド30の負圧導入部32Aへの負圧供給が停止される。これにより、取出治具20によるドアトリム15の支持が解除される。
以下、上記射出成形装置10による作用について説明する。
射出成形装置10では、複数種の成形金型11を交換しつつ用いて複数種のドアトリム15が成形される。
射出成形装置10(第1成形金型)によってドアトリム15(FR)が成形される場合には、成形後におけるドアトリム15(FR)の成形金型11からの取り出しに際して、ドアトリム15(FR)に吸着ロッド30C,30UBが吸着するとともに吸着ロッド30UAが吸着しない状態(図6(a)に示す状態)にされる。これにより、ドアトリム15(FR)に適した位置および角度で各吸着ロッド30(詳しくは、吸着パット33)を吸着させて、同ドアトリム15(FR)を取出治具20に支持させることができる。
一方、射出成形装置10(第2成形金型)によってドアトリム15(FL)が成形される場合には、成形後におけるドアトリム15(FL)の成形金型11からの取り出しに際して、ドアトリム15(FL)に吸着ロッド30C,30UAが吸着するとともに吸着ロッド30UBが吸着しない状態(図6(b)に示す状態)にされる。これにより、ドアトリム15(FL)に適した位置および角度で各吸着ロッド30を吸着させて、同ドアトリム15(FL)を取出治具20に支持させることができる。
他方、射出成形装置10(第3成形金型)によってドアトリム15(RR)が成形される場合には、成形後におけるドアトリム15(RR)の成形金型11からの取り出しに際して、ドアトリム15(RR)に吸着ロッド30Cが吸着するとともに吸着ロッド30UA,30UBが吸着しない状態(図6(c)に示す状態)にされる。また、射出成形装置10(第4成形金型)によってドアトリム15(RL)が成形される場合には、成形後におけるドアトリム15(RL)の成形金型11からの取り出しに際して、ドアトリム15(RL)に吸着ロッド30Cが吸着するとともに吸着ロッド30UA,30UBが吸着しない状態(図6(d)に示す状態)にされる。これにより、ドアトリム15(RR,RL)に適した位置および角度で各吸着ロッド30を吸着させて、同ドアトリム15(RR,RL)を取出治具20に支持させることができる。
このように本実施形態によれば、同一の取出治具20に設けられた複数の吸着ロッド30の一部を選択的に用いることにより、射出成形装置10によっていずれのドアトリム15(FR,FL,RR,RL)が成形される場合であっても、共通の取出治具20を用いてドアトリム15を支持することができる。そのため、射出成形装置10によって成形するドアトリム15の種類を変更する場合に、取出治具20を交換しなくてもよくなるため、その分だけドアトリム15の生産性を向上させることができる。
本実施形態では、ドアトリム15(FR)の形状とドアトリム15(FL)の形状とが面対称の関係になっている。そして、取出治具20は、ドアトリム15を吸着する方向において同取出治具20を見た場合(図3(a)に示すように見た場合)に線対称の位置になる態様で、5本の吸着ロッド30が配置された構造になっている。
そして、形状が面対称の一対のドアトリム15(FR,FL)の一方(ドアトリム15(FR))を取り出す場合には、線対称の位置に配置される一対の吸着ロッド30UA,30UBのうちの一方(吸着ロッド30UB)を吸着させない状態にする。また、形状が面対称の一対のドアトリム15(FR,FL)の他方(ドアトリム15(FR))を取り出す場合には、線対称の位置に配置される一対の吸着ロッド30UA,30UBのうちの他方(吸着ロッド30UB)を吸着させない状態にする。このようにすることにより、同一の取出治具20を用いて、一対のドアトリム15(FR,FL)を同一の態様で支持することができるため、それらドアトリム15(FR,FL)を共にバランス良く支持することができる。
また本実施形態では、ドアトリム15(RR)の形状とドアトリム15(RL)の形状とが面対称の関係になっている。そして、それらドアトリム15(RR,RL)のいずれを取り出す場合にも、線対称の位置に配置される3つの吸着ロッド30Cを吸着させた状態にするとともに、それ以外の吸着ロッド30UA,30UBを吸着させない状態にする。このようにすることにより、同一の取出治具20を用いて、形状が面対称の一対のドアトリム15(RR,RL)を同一の態様で支持することができるため、それらドアトリム15(FR,FL)を共にバランス良く支持することができる。
ここで仮に、複数の吸着ロッド30(詳しくは、その負圧導入部32A)に対して共用の負圧ポンプから負圧が直接供給される構造の取出治具を採用すると、それら吸着ロッド30のうちの1つでもドアトリム15に吸着させることのできない状態のものがあると、その吸着パット33から負圧が抜けてしまう。そのため、それ以外の吸着ロッド30の吸着パット33に適正な負圧を供給することができない状態(いわゆる真空破壊状態)になってしまう。この場合には、取出治具20にドアトリム15を支持させることができないために、成形金型11からのドアトリム15の取り出しを行うこともできない。
この点、本実施形態では、全種類のドアトリム15(FR,FL,RR,RL)に吸着する必須吸着部としての吸着ロッド30Cの吸着パット33には、負圧通路42を介して負圧ポンプ41から負圧が供給されるようになっている。また、ドアトリム15(FL)のみに吸着する非必須吸着部としての吸着ロッド30UAの吸着パット33には、エジェクタ45Aから負圧が供給されるようになっている。さらには、ドアトリム15(FR)のみに吸着する非必須吸着部としての吸着ロッド30UBの吸着パット33には、エジェクタ45Bから負圧が供給されるようになっている。なお本実施形態では、負圧ポンプ41に接続された負圧通路42が必須吸着部に負圧を供給する必須供給部に相当し、正圧ポンプ43に接続された正圧通路44およびエジェクタ45A,45Bが非必須吸着部に負圧を供給する非必須供給部に相当する。
このように本実施形態では、吸着ロッド30Cの吸着パット33に負圧を供給する供給系(負圧ポンプ41および負圧通路42)と、吸着ロッド30UAの吸着パット33に負圧を供給する供給系(正圧ポンプ43、正圧通路44、およびエジェクタ45A)と、吸着ロッド30UBの吸着パット33に負圧を供給する供給系(正圧ポンプ43、正圧通路44、およびエジェクタ45B)とが供給圧力の干渉しない別系統のものになっている。
そのため、ドアトリム15(FR)の取り出しを行う際には、これを吸着させる吸着ロッド30C,30UBに負圧を供給する供給系(負圧ポンプ41、エジェクタ45Bなど)と、ドアトリム15(FR)を吸着させない吸着ロッド30UAに負圧を供給する供給系(エジェクタ45Aなど)とを、供給圧力の干渉しない別系統にすることができる。したがって、吸着ロッド30UAがドアトリム15(FR)に吸着しないとはいえ、ドアトリム15(FR)に吸着する吸着ロッド30C,30UBには吸着のための負圧を供給することができる。
また、ドアトリム15(FL)の取り出しを行う際には、これを吸着させる吸着ロッド30C,30UAに負圧を供給する供給系(負圧ポンプ41、エジェクタ45Aなど)と、ドアトリム15(FL)を吸着させない吸着ロッド30UBに負圧を供給する供給系(エジェクタ45Bなど)とを、供給圧力の干渉しない別系統にすることができる。したがって、吸着ロッド30UBがドアトリム15(FL)に吸着しないとはいえ、ドアトリム15(FL)に吸着する吸着ロッド30C,30UAには吸着のための負圧を供給することができる。
さらに、ドアトリム15(RR,RL)の取り出しを行う際には、これらを吸着させる吸着ロッド30Cに負圧を供給する供給系(負圧ポンプ41など)と、ドアトリム15(RR,RL)を吸着させない吸着ロッド30UA,30UBに負圧を供給する供給系(エジェクタ45A,45Bなど)とを、供給圧力の干渉しない別系統にすることができる。したがって、吸着ロッド30UA,30UBがドアトリム15(RR,RL)に吸着しないとはいえ、ドアトリム15(RR,RL)に吸着する吸着ロッド30Cには吸着のための負圧を供給することができる。
このように本実施形態によれば、複数の吸着ロッド30のうちの一部を敢えてドアトリム15に吸着させない場合に、同ドアトリム15に吸着させない吸着ロッド30に対応する供給系とは別系統の供給系、すなわちドアトリム15を吸着させる吸着ロッド30に対応する供給系によって同吸着ロッド30に負圧を供給することができる。これにより、同一の取出治具20に設けられた複数の吸着ロッド30の一部を選択的に用いて、ドアトリム15を取出治具20に支持させることができるようになる。
エジェクタ45A,45Bは、内部を圧縮空気が通過する際に負圧が発生する構造のものである。そして、エジェクタ45A,45Bから負圧が供給される吸着ロッド30がドアトリム15に吸着する場合、およびドアトリム15に吸着しない場合のいずれにおいても、同エジェクタ45A,45Bの作動状態は殆ど変わらない。そのため、エジェクタ45A,45Bが作動している状態で、同エジェクタ45A,45Bから負圧が供給される吸着ロッド30がドアトリム15に吸着しない場合であっても、これが他の吸着ロッド30に供給される負圧に悪影響を与えることはないと云える。
本実施形態では、こうしたエジェクタ45A,45Bが、ドアトリム15に吸着させない吸着ロッド30(吸着ロッド30UAや吸着ロッド30UB)の負圧導入部32Aに負圧を供給する負圧供給部として用いられている。これにより、ドアトリム15に吸着させない吸着ロッド30に対応する供給系とは別系統の供給系、すなわちドアトリム15を吸着させる吸着ロッド30に対応する供給系によって同吸着ロッド30に負圧を供給することができるようになる。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)ドアトリム15の取り出しを行うときに、複数の吸着ロッド30の一部がドアトリム15に吸着した状態になるとともに、複数の吸着ロッド30の残りの他部がドアトリム15に吸着しない状態になるようにした。そのため、同一の取出治具20に設けられた複数の吸着ロッド30の一部を選択的に用いることにより、射出成形装置10によっていずれのドアトリム15(FR,FL,RR,RL)が成形される場合であっても、共通の取出治具20を用いてドアトリム15を支持することができる。そのため、射出成形装置10によって成形するドアトリム15を変更するべく成形金型11を交換する場合に、取出治具20を交換しなくてもよくなるため、その分だけドアトリム15の生産性を向上させることができる。
(2)ドアトリム15(FR)の形状とドアトリム15(FL)の形状とが面対称の関係になっている。そして、取出治具20において複数の吸着ロッド30を、ドアトリム15を吸着する方向において取出治具20を見た場合に線対称の位置になる態様で配置した。これにより、同一の取出治具20を用いて、一対のドアトリム15(FR,FL)を同一の態様で支持することができるため、それらドアトリム15(FR,FL)を共にバランス良く支持することができる。
(3)全種類のドアトリム15(FR,FL,RR,RL)に吸着する吸着ロッド30Cの吸着パット33には、負圧通路42を介して負圧ポンプ41から負圧を供給するようにした。また、ドアトリム15(FL)のみに吸着する吸着ロッド30UAの吸着パット33には、正圧ポンプ43に接続されたエジェクタ45Aから負圧を供給するようにした。さらには、ドアトリム15(FR)のみに吸着する吸着ロッド30UBの吸着パット33には、正圧ポンプ43に接続されたエジェクタ45Bから負圧を供給するようにした。これにより、複数の吸着ロッド30のうちの一部を敢えてドアトリム15に吸着させない場合に、同ドアトリム15に吸着させない吸着ロッド30に対応する供給系とは別系統の供給系、すなわちドアトリム15を吸着させる吸着ロッド30に対応する供給系によって同吸着ロッド30に負圧を供給することができる。そのため、同一の取出治具20に設けられた複数の吸着ロッド30の一部を選択的に用いて、ドアトリム15を取出治具20に支持させることができるようになる。
(4)ドアトリム15に吸着させない吸着ロッド30UA,30UBの負圧導入部32Aに負圧を供給する負圧供給部として、エジェクタ45A,45Bを用いるようにした。これにより、ドアトリム15に吸着させない吸着ロッド30に対応する供給系とは別系統の供給系、すなわちドアトリム15を吸着させる吸着ロッド30に対応する供給系によって同吸着ロッド30に負圧を供給することができる。
(変形例)
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・図9に示すように、吸着ロッド30UAに負圧を供給する供給系として、負圧ポンプ41および吸着ロッド30UAと連通する負圧通路71と、同負圧通路71に設けられた開閉制御弁71Aとを有するものを設けるようにしてもよい。また、吸着ロッド30UBに負圧を供給する供給系として、負圧ポンプ41および吸着ロッド30UBと連通する負圧通路72と、同負圧通路72に設けられた開閉制御弁72Aとを有するものを設けるようにしてもよい。こうした構成では、取出治具にドアトリム15(FR)を支持させる際には開閉制御弁71Aを閉弁させるとともに開閉制御弁72Aを開弁させればよく、取出治具にドアトリム15(FL)を支持させる際には、開閉制御弁71Aを開弁させるとともに開閉制御弁72Aを閉弁させればよい。また、取出治具にドアトリム15(RR,RL)を支持させる際には、開閉制御弁71A,72Aを共に閉弁させればよい。
・複数の吸着ロッド30に負圧を供給する供給系として、吸着ロッド30毎に、負圧ポンプ41および吸着ロッド30を連通する負圧通路と同負圧通路に設けられる開閉制御弁とを設定するようにしてもよい。こうした構成では、成形金型11からのドアトリム15の取り出しを行う際に、ドアトリム15に吸着する吸着ロッド30に対応する開閉制御弁を開弁させるとともに、ドアトリム15に吸着しない吸着ロッド30に対応する開閉制御弁を閉弁させるようにすればよい。これにより、同一の取出治具を用いて、複数種のドアトリム15を吸着して支持することができる。
・取出治具20における複数の吸着パット33の配置は、線対称の位置になるように配置することに限らず、任意に変更可能である。要は、同一の取出治具によって全種類のドアトリム15を支持するうえで適した位置になるように、各吸着パット33の位置を定めればよい。
・上記実施形態の成形品取出装置、成形品取出方法、および成形品取出治具は、形状が面対称の関係になる一対のドアトリム15に適用することに限らず、任意の形状のドアトリム15に適用することができる。
・ドアトリム15以外の自動車の内装部品(例えばドアアッパートリム、ドアポケットトリム、ピラートリム)にも、上記実施形態の成形品取出装置、成形品取出方法、および成形品取出治具は適用することができる。また、そうした自動車の内装部品以外の樹脂成形品にも、上記実施形態の成形品取出装置、成形品取出方法、および成形品取出治具は適用可能である。
・上記実施形態の成形品取出装置、成形品取出方法、および成形品取出治具は、射出成型装置以外の成形装置(例えばプレス成形装置)の内部から成形品を取り出す成形品取出装置や成形品取出方法、成形品取出治具にも適用可能である。
10…射出成形装置、11…成形金型、12…射出ユニット、13…固定型、14…移動型、15…ドアトリム、16…成形品取出装置、20…取出治具、21…治具ベース、22…ブラケット、23…ツールチェンジャー、30,30C,30UA,30UB…吸着ロッド、31…ロッド部、32…ベース部、32A…負圧導入部、33…吸着パット、34…フランジ部、35…コイルスプリング、36…固定部、36A…正圧導入部、37…コイルスプリング、40…圧力制御装置、41…負圧ポンプ、42…負圧通路、42A…分岐路、42B…合流路、42C…開閉制御弁、43…正圧ポンプ、44…正圧通路、44A,44B…分岐路、44C…合流路、44D…開閉制御弁、45A,45B…エジェクタ、46…リセット通路、46A…分岐路、46B…合流路、46C…開閉制御弁、50…移動装置、51…移動機構、52…アクチュエータ、60…電子制御装置、61…操作盤、71…負圧通路、71A…開閉制御弁、72…負圧通路、72A…開閉制御弁。

Claims (10)

  1. 成形金型によって成形された成形品を吸着可能な複数の吸着部と前記複数の吸着部に吸着のための負圧を供給する負圧供給部とを有する取出治具を備え、前記吸着部に前記成形品を吸着させることによって前記取出治具に前記成形品を支持させた状態で前記成形品の前記成形金型からの取り出しを行う成形品取出装置において、
    前記取り出しを行うときに、前記複数の吸着部の一部が前記成形品に吸着した状態になるとともに、前記複数の吸着部の残りの他部が前記成形品に吸着しない状態になる
    ことを特徴とする成形品取出装置。
  2. 前記複数の吸着部は、前記取出治具によって前記成形品を吸着する方向において同取出治具を見た場合に線対称の位置になる態様で配置されている
    請求項1に記載の成形品取出装置。
  3. 前記負圧供給部は、前記複数の吸着部の一部に負圧を供給する負圧供給部と前記複数の吸着部の残りの他部に負圧を供給する負圧供給部とが、供給圧力の干渉しない別系統のものになっている
    請求項1または2に記載の成形品取出装置。
  4. 前記複数の吸着部の残りの他部には、圧縮空気をもとに負圧を発生するエジェクタを介して、圧縮空気が供給される正圧通路が接続されており、
    前記複数の吸着部の残りの他部に負圧を供給する負圧供給部は、前記エジェクタである
    請求項3に記載の成形品取出装置。
  5. 複数種の成形金型を交換しつつ用いて複数種の成形品を成形する際に、前記成形品を吸着可能な複数の吸着部と前記複数の吸着部に吸着のための負圧を供給する負圧供給部とを有する取出治具に、前記吸着部を前記成形品に吸着させることによって前記成形品を支持させた状態で、前記成形品の前記成形金型からの取り出しを行う成形品取出方法であって、
    前記複数種の成形品のうちの第1成形品についての前記取り出しを行う際には、前記複数の吸着部のうちの第1の組み合わせパターンで定められた前記吸着部を前記第1成形品に吸着させるとともに、残りの前記吸着部を前記第1成形品に吸着させない状態にする一方で、
    前記複数種の成形品のうちの第2成形品についての前記取り出しを行う際には、前記複数の吸着部のうちの前記第1の組み合わせパターンと異なる第2の組み合わせパターンで定められた前記吸着部を前記第2成形品に吸着させるとともに、残りの前記吸着部を前記第2成形品に吸着させない状態にする
    成形品取出方法。
  6. 前記第1成形品および前記第2成形品は、形状が面対称の関係になるものであり、
    前記取出治具としては、前記吸着される方向から前記取出治具を見た場合において前記複数の吸着部が線対称になる態様で配置されたものを用いる
    請求項5に記載の成形品取出方法。
  7. 前記取出治具として、
    前記吸着部が、前記複数種の成形品の全てに吸着する必須吸着部と前記複数種の成形品の一部には吸着しない非必須吸着部とを有するものであり、且つ
    前記負圧供給部が、前記必須吸着部に負圧を供給する必須供給部と前記非必須吸着部に負圧を供給する非必須供給部とが供給圧力の干渉しない別系統になっているものを用いる
    請求項5または6に記載の成形品取出方法。
  8. 前記取出治具としては、圧縮空気をもとに負圧を発生する前記非必須供給部としてのエジェクタを介して、圧縮空気が供給される正圧通路が前記非必須吸着部に接続されたものを用いる
    請求項7に記載の成形品取出方法。
  9. 成形金型によって成形された成形品を吸着可能な複数の吸着部と前記複数の吸着部に吸着のための負圧を供給する負圧供給部とを有し、前記成形金型からの前記成形品の取り出しを行うときに、前記吸着部に前記成形品を吸着させることによって前記成形品を支持する成形品取出治具において、
    前記負圧供給部は、異なる前記吸着部に負圧を供給するものであり、且つ供給圧力の干渉しない別系統のものである複数の負圧供給部からなる
    ことを特徴とする成形品取出治具。
  10. 前記複数の吸着部は、前記成形品取出治具によって前記成形品を吸着する方向において同成形品取出治具を見た場合に線対称になる態様で配置されている
    請求項9に記載の成形品取出治具。
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