JP2020006354A - 液状樹脂組成物用撹拌具、液状樹脂組成物の撹拌方法、及び用時混合液の調製方法 - Google Patents

液状樹脂組成物用撹拌具、液状樹脂組成物の撹拌方法、及び用時混合液の調製方法 Download PDF

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Tadashi Inagaki
直史 稲垣
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Abstract

【課題】短時間に液状樹脂組成物を効率よく、且つ、均一に撹拌することができる撹拌具、撹拌方法等を提供する。【解決手段】厚み方向に貫通する1又は2以上の貫通孔が形成されている板状の撹拌機能部を有する液状樹脂組成物用撹拌具。前記液状樹脂組成物用撹拌具は、ヘラ状の前記撹拌機能部を1つ有することが好ましい。前記ヘラ状の前記撹拌機能部の基端部に把持部を有する液状樹脂組成物用撹拌具であることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、液状樹脂組成物用撹拌具、液状樹脂組成物の撹拌方法、及び用時混合液の調製方法に関する。
内装工事、塗装工事、防水・防食の現場施工、その他建設現場では、種々の液状樹脂組成物(例えば、パテ類、接着剤、塗料など)が用いられている。一般に液状樹脂組成物は、使用前に所定の時間、所望の量を、用時撹拌(用時混合)して用いられる。
従来、液状樹脂組成物が少量の場合には、図6で示されるようなヘラ状の撹拌具を用いて手動で撹拌されることが一般的である。
また、スタティックガンやミキシングガンと呼ばれる混合装置を用いる場合もある。例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの2液硬化型(混合型)樹脂組成物を使用する場合、主剤と硬化剤とを個別のカートリッジに充填し、カートリッジを手動式ガン又は空気圧式ガン(スタティックガンやミキシングガンとも呼ばれる)に装着し、カートリッジ先端又はガン先端の供給口に細長筒状の混合ノズルを取付け、カートリッジから主剤と硬化剤とをノズル内に押し出し、ノズル内を移動する過程で両剤を混合した後、ノズル先端から接着面に吐出することが行われている。このような装置で1回に混合可能な量は、せいぜい300〜500g程度である。
また、液状樹脂組成物が一定量以上(例えば、18L程度)の場合には、電動の撹拌装置が用いられる。例えば、特許文献1では、電動の撹拌装置が開示されている。特許文献1の撹拌羽根を有する装置は、内装工事などで用いるペースト状糊(通常、業務用の単位は18kg)と水を混合するために用いられることが記載されている。
また、特許文献2では、電動の撹拌機が開示されている。特許文献2の撹拌機は、電動機を内蔵する本体に電動機動式によって回転される軸を延出し、この軸の先端に羽根を取り付けたものである。一斗缶(18L)などの容器にハンドルを利用して設置し、溶剤などを撹拌できることが記載されている。
近年、防水・防食の現場施工に使用されているポリウレア樹脂(ポリウレア形成組成物)は、金属触媒を含まず、硬化塗膜からの抽出物がないため、環境に安全なライニング塗膜材として知られている。一般に、ポリウレア樹脂を構成する主剤としてのポリイソシアネートプレポリマーと、硬化剤としてのポリアミンの反応とは、極めて反応速度が速い。このため塗工直前に用時撹拌して用いられている。例えば、専用機械で加温して主剤・硬化剤とも100mPa・s以下になるまで粘度を低下させ、10MPa程度の圧力でホースにて圧送し、吐出装置先端で、主剤と硬化剤とを衝突混合させ、ミスト状にして吹付け施工されている。
特開2007−69139号公報 特開平5−184898号公報
従来のヘラ状の撹拌具では、材料の粘度が高い場合、一定時間(例えば、2〜3分間)連続して撹拌運動を行うことは、作業者の肉体的負担が大きい。殊に、1日に複数回の撹拌作業が必要な現場においては、作業者の上腕部の筋肉疲労を招いていた。
また、撹拌時の抵抗を軽減するため、撹拌具の辺縁部分を用いて、材料を切るように撹拌される。しかし、この撹拌方法では、ざっくりと大まかに撹拌することは容易であっても、材料全てをムラなく均一に、可使時間(作業可能時間、又はゲルタイムとも称する場合がある)内に撹拌することは困難を伴う。このためしばしば混ぜムラが発生し、硬化不良の発生を招いていた。
また、スタティックガンは装置自体が高価である上、混合ノズルは通常1回限りの使い捨てである。加えて、一回に混合できる量は比較的少量であるため、使用機会が限られている。
また、特許文献1や2に開示された従来の電動式の撹拌装置は、いずれも、20kg程度以上の材料を撹拌するのに適したものである。例えば、1〜5kg程度の少量の材料を撹拌する場合、上記文献に開示された撹拌装置や撹拌機は大きすぎることから使用には適さない。また電源も必須となる。また作業スペースが限られている場合(例えば、貯水槽内で行う防水・防食工事など)、据付スペースを要する大型の撹拌装置を持ち込むことは困難である。加えて、1つの現場で内装、防水・防食など複数の工事を同時に実施する場合、各現場毎に撹拌装置を要するため、複数台の撹拌装置を準備する必要がある。これらの装置の調達や維持にはコストがかさむ。
また、従来の電動式の撹拌装置は、均一に混合するために回転数を上げると、材料が熱を帯びるため好ましくない。また、多くの場合、高速回転に伴って、空気を巻き込み、材料中に気泡が発生する。気泡が材料中に多く含まれていると、気泡部位の撹拌不良(混合不良)や硬化不良を招くことになる。逆に気泡混入を防ぐため、回転数を落としても、撹拌翼付近の液状樹脂組成物しか混合されず、撹拌不良を招く。
低粘度の液体組成物であれば、仮に撹拌が不十分であっても時間とともに均一になるため問題は少ない。しかし、高粘度の液状樹脂組成物の場合、撹拌具又は撹拌翼付近の材料は十分に撹拌されても、容器の隅まで十分に撹拌されず混ぜムラが生じやすい。このような混ぜムラは、未硬化部分となる。特に、防水・防食工事に用いる材料の場合、未硬化部分から雨水が侵入する恐れがある。また、貯水槽など防水用途に用いられる材料などの場合、未硬化箇所から水が漏出する恐れもある。このように撹拌不良は、現場施工の品質を低下させる要因となる。
また、ポリウレア樹脂のように極めて硬化が早い樹脂組成物は、大型の専用装置を用いて吹付施工せざるを得ず、このため複数の作業員が必要となるなど、取扱いが極めて面倒である。また、硬化速度が極めて早いため、従来の撹拌具を用いて、均質に手動で撹拌することは非常な困難を伴う。また大型の混合塗布装置を用いるため、狭い部位や小面積の現場施工には適応し難い、と言った問題点もある。
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、短時間に液状樹脂組成物を効率よく、且つ、均一に撹拌することができる撹拌具を提供することである。
また本発明の別の目的は、上記撹拌具を用いて、液状樹脂組成物を撹拌する、液状樹脂組成物の撹拌方法を提供することである。
また本発明の別の目的は、上記撹拌具を用いて、多液混合型樹脂組成物を1液に調製する用時混合液の調製方法を提供することである。
また本発明の別の目的は、上記撹拌具を用いて、液状の樹脂原料を固体状のフィラーもしくは顔料と混合する、フィラーもしくは顔料入りの液状樹脂組成物の調製方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、厚み方向に貫通する1又は2以上の貫通孔が形成されている板状の撹拌機能部を有する液状樹脂組成物用撹拌具によれば、短時間に液状樹脂組成物を効率よく、且つ、均一に撹拌することができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち本発明は、厚み方向に貫通する1又は2以上の貫通孔が形成されている板状の撹拌機能部を有する液状樹脂組成物用撹拌具を提供する。
本発明の液状樹脂組成物用撹拌具は、ヘラ状の上記撹拌機能部を1つ有していてもよい。
本発明の液状樹脂組成物用撹拌具は、ヘラ状の上記撹拌機能部の基端部に把持部を有していてもよい。
本発明の液状樹脂組成物用撹拌具は、羽根状の上記撹拌機能部を2以上有する撹拌翼を備えていてもよい。
本発明の液状樹脂組成物用撹拌具は、多液混合型樹脂組成物の用時混合用、又はフィラーもしくは顔料入り液状樹脂組成物調製用であってもよい。
また本発明は、上記の液状樹脂組成物用撹拌具を用いて、液状樹脂組成物を撹拌する液状樹脂組成物の撹拌方法を提供する。
また本発明は、上記の液状樹脂組成物用撹拌具を用いて、多液混合型樹脂組成物を1液に調製する用時混合液の調製方法を提供する。
また本発明は、上記の液状樹脂組成物用撹拌具を用いて、液状の樹脂原料を固体状のフィラーもしくは顔料と混合する、フィラーもしくは顔料入り液状樹脂組成物の調製方法を提供する。
本発明の液状樹脂組成物用撹拌具によれば、厚み方向に貫通する1又は2以上の貫通孔が形成されている板状の撹拌機能部を有することにより、撹拌動作時における液状樹脂組成物に対する撹拌機能部の抵抗が小さくなる。このため、従来の撹拌具と比較して同じ時間手動で撹拌してもより疲れにくく、適度な力で撹拌できるため、作業者の負担が軽減される。
また、本発明の液状樹脂組成物用撹拌具によれば、液状樹脂組成物が貫通孔を通過することにより、後方では貫通孔面積よりも広範囲に広がる流れが生まれるとともに、撹拌機能部の動き方向後方には反転流が形成される。このように異なる流れが同時多発的に発生し、互いに衝突することにより、液状樹脂組成物は混じり合い、撹拌が促進される。このため短時間で混合効果が発揮される。また撹拌動作を繰り返すことにより、撹拌された液状樹脂組成物の流れが互いに衝突する回数が増えるため、容器中の全ての液状樹脂組成物が均一に撹拌される。このため容器の隅に存在する材料までも均一に混合され、撹拌不良を起こしにくい。
また、本発明の液状樹脂組成物用撹拌具によれば、撹拌時の抵抗が小さいため、液状樹脂組成物に対して撹拌機能部を略垂直に押し当てるように撹拌することが可能となる。このため、従来の撹拌具のように、あえて切るような動作で撹拌する必要がない。これにより、撹拌時の空気の巻き込みがより少なくなるため、気泡の発生がより抑えられる。このため気泡部の撹拌不良や硬化不良が生じにくくなる。なお本明細書において「略垂直」とは、垂直に近い角度であって、少なくとも70〜110°程度の範囲を含む角度をいうものとする。
また、本発明の液状樹脂組成物用撹拌具1によれば、上記のメカニズムにより多液混合型樹脂組成物を短時間で効率的に、1液に調製できる。また、フィラーもしくは顔料入りの液状樹脂組成物を調製するに際しても短時間で効率的に調製可能となる。一般にフィラーや顔料は無機粒子や有機粒子などから構成されるところ、液状樹脂組成物中ではこれらの粒子は通常沈降している。本発明の液状樹脂組成物用撹拌具1を用いて、液状樹脂組成物を撹拌することにより、沈降した粒子が巻き上げられ、巻き上げられた粒子は貫通孔を通過することにより、後方では貫通孔面積よりも広範囲に広がる流れに乗るととともに、撹拌機能部の動き方向後方では反転流に乗る。このように異なる流れが同時多発的に発生し、互いに衝突することにより、フィラーや顔料を配合した液状樹脂組成物は均質に混じり合い、撹拌が促進される。またダイラタンシー性を有する液状樹脂組成物であっても、上記メカニズムにより短時間で効率的に撹拌できる。
また、極めて硬化時間が短い特殊な液状樹脂組成物(例えば、ポリウレア樹脂など)であっても、用時撹拌することが可能となる。このため建物屋上のクラック部位の補修、建物屋上の飲料水槽のシーリングや風呂の改修工事など、特に小規模な現場や、小面積の塗装、防水・防食が必要な現場作業に適した撹拌具であると言える。さらに本発明の液状樹脂組成物用撹拌具を用いた液状樹脂組成物の撹拌方法や、多液混合型樹脂組成物を1液に調製する用時混合液の調製方法、フィラーもしくは顔料入り液状樹脂組成物の調製方法によれば、短時間に効率よく、且つ、均一に撹拌することができるため、用時必要量の調製が求められる現場施工において有効な方法と言える。
本発明の一実施形態を示す平面図である。 本発明の他の一実施形態を示す平面図である。 本発明の他の一実施形態を示す平面図である。 本発明の他の一実施形態を示す平面図である。 本発明の他の一実施形態を示す平面図である。 従来の撹拌具の平面図である。
以下に、本発明の実施の形態を、必要に応じて図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す平面図である。図2〜5は本発明の他の一実施形態を示す平面図である。図6は、従来の撹拌具の平面図である。
1、2は本発明の液状樹脂組成物用撹拌具である。厚み方向に貫通する1又は2以上の貫通孔16、25が形成されている板状の撹拌機能部13、22を有する。板状の撹拌機能部は、基端部14、23と他端部15、24を有する。ヘラ状の撹拌機能部13の基端部14に把持部11を有する。前記把持部11は、ビス12によって撹拌機能部13に組み付けられている。羽根状の撹拌機能部22を2つ以上有する撹拌翼を備える場合、ハブ部21を介して回転動力源(図示せず)に接続して用いられる。3は従来の撹拌具である。以下、本発明の液状樹脂組成物用撹拌具1又は2を総称して「本発明の液状樹脂組成物用撹拌具」と称する場合がある。
(本発明の液状樹脂組成物用撹拌具)
図1において、本発明の液状樹脂組成物用撹拌具1は、把持部11と1つの板状の撹拌機能部13とで構成されている。撹拌機能部13は、把持部11との接続部位である基端部14から先端延長方向に次第に広がって他端部15に至る平面視略台形状の板状部材である。上記撹拌機能部13は、厚み方向に貫通する18個の略円形の貫通孔16を備えている。本発明の液状樹脂組成物用撹拌具1によれば、厚み方向に貫通する1又は2以上の貫通孔16が形成されている板状の撹拌機能部13を有することにより、撹拌動作時における撹拌機能部13の液状樹脂組成物に対する抵抗が小さくなる。このため、図6に示す従来の撹拌具と比べて、同じ時間手動で撹拌してもより疲れにくく、適度な力で撹拌できるため、作業者の肉体的負担が軽減される。
また、本発明の液状樹脂組成物用撹拌具1によれば、液状樹脂組成物が貫通孔16を通過することにより、後方では貫通孔面積よりも広範囲に広がる流れが生まれるとともに、撹拌機能部13の動き方向後方には反転流が形成される。このように異なる流れが同時多発的に発生し、互いに衝突することにより、液状樹脂組成物は混じり合い、撹拌が促進される。このため短時間で混合効果が発揮される。また撹拌動作を繰り返すことにより、撹拌された液状樹脂組成物の流れが互いに衝突する回数が増えるため、容器中の全ての液状樹脂組成物が均一に撹拌される。このため容器の隅に存在する材料までも均一に混合され、撹拌不良を起こしにくい。
また、本発明の液状樹脂組成物用撹拌具1によれば、撹拌時の抵抗が小さいため、液状樹脂組成物に対して撹拌機能部13を略垂直に押し当てるように撹拌することが可能となる。このため、図6の従来の撹拌具を用いる場合のように、あえて切るような動作で撹拌する必要がない。これにより撹拌時の空気の巻き込みがより少なくなるため、気泡の発生がより抑えられる。このため気泡部の撹拌不良や硬化不良が生じにくくなる。
また、本発明の液状樹脂組成物用撹拌具1によれば、上記のメカニズムにより多液混合型樹脂組成物を1液に短時間で効率的に調製できる。また、フィラーもしくは顔料入りの液状樹脂組成物を調製するに際しても短時間で効率的に調製可能となる。一般にフィラーや顔料は無機粒子や有機粒子などから構成されるところ、液状樹脂組成物中ではこれらの粒子は通常沈降している。本発明の液状樹脂組成物用撹拌具1で液状樹脂組成物を撹拌することにより、沈降した粒子が巻き上げられ、巻き上げられた粒子は貫通孔16を通過することにより、後方では貫通孔面積よりも広範囲に広がる流れに乗るととともに、撹拌機能部13の動き方向後方では反転流に乗る。このように異なる流れが同時多発的に発生し、互いに衝突することにより、フィラーや顔料を配合した液状樹脂組成物は均質に混じり合い、撹拌が促進される。また、例えば、大きな応力が働くと粘度が急激に増大するダイラタンシー性を有する液状樹脂組成物であっても、上記メカニズムにより短時間で効率的に撹拌できる。
また、極めて硬化時間が短い特殊な液状樹脂組成物(例えば、ポリウレア樹脂など)であっても、用時撹拌することが可能となる。このため、建物屋上のクラック部位の補修、建物屋上の飲料水槽のシーリングや風呂の改修工事など、特に小規模な現場や、小面積の塗装、防水・防食が必要な現場作業に適した撹拌具として有効である。また、本発明の液状樹脂組成物用撹拌具1は、液状樹脂組成物の撹拌方法、多液混合型樹脂組成物を1液に調製する用時混合液などの調製方法、液状の樹脂原料を固体状のフィラーもしくは顔料を混合する、フィラーもしくは顔料入り液状樹脂組成物の調製方法に好適に用いることができる。
(把持部)
上記把持部11の材質は特に限定されず、例えば、樹脂材料、金属、木材、竹材などが挙げられ、これらからなる群より選択された少なくとも1以上の材料で構成されていることが好ましい。本発明の液状樹脂組成物用撹拌具1が手動である場合、把持部11は使用者の手が触れる部分であり、例えばシリコーン樹脂や発泡ウレタン樹脂など、柔軟性を有する樹脂によって成形されていてもよい。また上記把持部11の形状は、特に限定されないが、液状樹脂組成物を撹拌しても滑らず、力をかけやすいよう、手で把持しやすい形状に成形されていてもよい。
上記把持部11の長さは特に限定されず、例えば、5〜25cmであり、好ましくは、5〜20cmであり、より好ましくは7〜15cmである。
上記把持部11の幅(最大幅部の距離)は特に限定されず、例えば、1〜5cmであり、好ましくは、2〜4cmであり、より好ましくは2.5〜3.5cmである。
上記把持部11の厚み(最大厚み)は特に限定されず、例えば、0.2〜5cm、好ましくは、0.5〜4cm、より好ましくは0.7〜3cmである。
(板状の撹拌機能部)
上記板状の撹拌機能部13、22の材質は特に限定されず、例えば、プラスチックなどの樹脂材料、金属、木材、竹材などが挙げられる。これらの材質は、液状樹脂組成物の種類や粘度、施工場所、使用目的などによって適宜選択される。なお、粘度が高い材料を撹拌する場合は、撹拌機能部13、22がしなると撹拌効率が低下するため、しなりが生じない硬性の材質(例えば硬質の樹脂材料や金属など)であることが好ましい。把持部11と撹拌機能部13、ハブ部21と撹拌機能部22は同一の材質であってもよく、異なる材質であってもよい。また撹拌機能部13、22の表面は、使用性、耐久性や清掃性の観点から、フッ素樹脂コーティング、フッ素樹脂含浸処理、金属粉末の溶射処理などの表面処理が施されていてもよい。
上記板状の撹拌機能部13、22の長さ(基端部14、23から他端部15、24までの距離)は特に限定されず、液状樹脂組成物の種類や粘度、撹拌機能部の材質や強度、施工場所、使用目的などによって適宜選択される。例えば、2〜30cmであり、好ましくは、3〜25cmであり、より好ましくは3.5〜23cmである。
上記板状の撹拌機能部13、22の幅(最大幅部の距離)は特に限定されず、液状樹脂組成物の種類や粘度、撹拌機能部の材質や強度、施工場所、使用目的などによって適宜選択される。例えば、1.5〜20cmであり、好ましくは、2〜18cmであり、より好ましくは3〜15cmである。
上記板状の撹拌機能部13、22の厚み(最大厚み)は特に限定されず、液状樹脂組成物の種類や粘度、撹拌機能部の材質や強度、施工場所、使用目的などによって適宜選択される。例えば、0.05〜2cm、好ましくは、0.1〜1.8cm、より好ましくは0.15〜1.5cmである。なお基端部14、23と他端部15、24の厚みは同一であってもよく、基端部14、23から他端部15、24に向かって、漸次薄くなっていてもよいし、この逆の方向に漸次薄くなっていてもよい。なお、粘度が高い材料を撹拌する場合は、撹拌機能部13、22が破折したり、しなったりすると撹拌効率が低下するため、破折やしなりが生じない程度の十分な厚みを有することが好ましい。
上記板状の撹拌機能部13、22の形状は、厚み方向に貫通する1又は2以上の貫通孔16、25が形成されている板状であれば、容器の形状に応じて適宜設定されてよい。本明細書において「板状」とは、厚み方向が他の方向より薄い形状のものを指し、おおよそ平板な形状であればよく、湾曲していてもよく、また各面に凹凸があってもよい。
上記板状の撹拌機能部13、22の他端部15、24の一方の角部は略直角(例えば、70〜110°)に形成され、他の一方の角部はR面取り形状に形成されていることが好ましい。これにより、液状樹脂組成物を収容した容器(例えば、バケツ、ボウルなど)の底部が曲面状であっても、隅に角部を有する形状であっても、上記板状の撹拌機能部13の他端部15、24のいずれかの角部が容器壁面や底部に接触するため、液状樹脂組成物を均一に撹拌することが可能となる。
上記板状の撹拌機能部13、22の表裏2面のうち一方の表面の面積(貫通孔の開孔部面積を含む)は特に限定されず、後述する貫通孔16、25の数や表面積、液状樹脂組成物の種類、粘度や量、使用目的などによって適宜選択される。例えば、50〜2000cm2であり、好ましくは60〜1800cm2であり、より好ましくは、100〜1500cm2である。
(ヘラ状の撹拌機能部)
本発明の液状樹脂組成物用撹拌具1は、ヘラ状の前記撹拌機能部13を有することが好ましい。本発明の液状樹脂組成物用撹拌具1は、厚み方向に貫通する1又は2以上の貫通孔を備えたヘラ状の撹拌機能部13を、1つのみ有することがより好ましい。図1〜3は、ヘラ状の撹拌機能部13を1つ有する例を示す。ヘラ状の前記撹拌機能部13の形状は、把持部11に接続される基端部14と、該基端部から先端延長方向に次第に広がった先端に設けられた他端部15を有する略台形状である。この広がりは、段階的であってもよい。例えば、基端部14から先端延長方向に最初は30〜50°の角度で広がり、途中から上記角度より、やや小さい角度で広がっていてもよい。上記の「広がり」が段階的である場合、台形の脚(一組の対辺)は角部(鈍角部)を有する。なお本明細書において「略台形」とは、厳密な台形である必要はなく、台形の上辺が極端に短く略三角形に近いものや、略方形に近いものも含まれるものとする。
ヘラ状の前記撹拌機能部13と前記把持部11は、一体として成型されたものであってもよく、別々に製造され、適宜組み付けられたものであってもよい。
(羽根状の撹拌機能部)
本発明の液状樹脂組成物用撹拌具2は、羽根状の撹拌機能部22を2つ以上有する撹拌翼を備えることが好ましい。図4〜5は、羽根状の撹拌機能部22を4つ有する撹拌翼を備える例を示す。羽根状の撹拌機能部22の数は、2つ以上の複数であれば、特に限定されないが、空気の巻き込みが少なく、効率的に撹拌を行う観点から、例えば、2〜15の間で適宜設定される。好ましい態様において、羽根状の撹拌機能部22の数は、例えば2〜9、好ましくは3〜7、より好ましくは3〜5の範囲である。なお本明細書において、「羽根状」とは、1枚の鳥の羽根のような細長い板状を指す。
前記撹拌機能部22は、略円柱状のハブ部21の外周に固定されている。前記撹拌機能部22の傾斜角度としては、空気の巻き込みが少なく、良好な撹拌が行われる観点から、例えば、水平面に対して0°〜70°の間で適宜選択される。前記撹拌機能部22を有する撹拌翼を回転動力源(図示せず)にハブ部21を介して接続することにより回転駆動させる。
(貫通孔)
上記貫通孔16、25の表面形状(平面視形状:開孔部の形状)は、特に限定されず、例えば、略円形、略楕円形、略長円形、略矩形、五角形以上の略多角形、星形などの種々の形状とすることができる。撹拌性の観点から、好ましくは、略円形、略楕円形、略長円形、略方形などが好ましく、より好ましくは、略円形もしくは略矩形のいずれかの形状、又はこれらの形状の2以上の組み合わせからなる形状である。
上記貫通孔16、25の個数と間隔は、特に限定されず、液状樹脂組成物の種類や粘度、撹拌機能部13、22の材質や強度、貫通孔の平面視形状などの観点から、適宜設定されてよい。個数としては、例えば、2〜100個、好ましくは3〜70個、より好ましくは5〜50個である。間隔としては、例えば、0.2〜5cm、好ましくは0.5〜3cm、より好ましくは0.5〜2.5cmである。
上記貫通孔16、25の1つあたりの面積(撹拌機能部13、22の表面における開孔部面積)は、形状によって異なるが、例えば、0.05〜25cm2、好ましくは0.1〜20cm2、より好ましくは0.12〜15cm2である。
上記撹拌機能部13、22の表裏2面のうち、一方の表面において、貫通孔16の開孔部総面積の、撹拌機能部13、22の表面の面積(貫通孔16、25の開孔部面積を含む)に対する割合は、特に限定されず、液状樹脂組成物の種類や粘度、撹拌機能部13、22の強度などを考慮して、適宜設定されてよい。撹拌効率と強度の両立の観点から、撹拌機能部13、22の表面の面積(貫通孔16の開孔部面積を含む)を100%とした場合における貫通孔16、25の開孔部総面積(以下「開孔部面積率」と称する場合がある)(%)は、10〜60%が好ましく、より好ましくは15〜50%であり、さらに好ましくは20〜45%である。上記開孔部面積率が10%以上であることにより、一層効率が良く、均質な撹拌が可能となる。上記開孔部面積率が60%以下であることにより、撹拌機能部13、22の強度を一層高めることができる。
上記貫通孔16、25の形成領域は、特に限定されず、液状樹脂組成物の種類や粘度、撹拌機能部13、22の強度などを考慮して、適宜設定されてよい。撹拌効率と強度の両立の観点から、撹拌機能部13、22の他端部15、24から基端部14、23方向に向かって略3/4を上限として形成することが好ましく、より好ましくは略2/3である。貫通孔16、25の形成領域が、撹拌機能部13、22の他端部15、24から基端部14方向に向かって略3/4までの領域とすることにより、一層効率が良く、均質な撹拌が可能となる。
(液状樹脂組成物)
液状樹脂組成物とは、少なくとも樹脂を含有する溶液又はスラリー状の組成物を指す。また液状樹脂組成物には、多液混合型樹脂組成物を1液化した用時混合液や、液状の樹脂原料と固体状のフィラーもしくは顔料とを含有する、フィラーもしくは顔料入り液状樹脂組成物が含まれるものとする。
液状樹脂組成物の構成成分としては、特に限定されず、例えば、内装工事、塗装工事、その他建設現場で用いられる各種の樹脂材料(接着剤を含む)、塗料、溶剤などが挙げられる。これら樹脂材料の具体例としては、酢酸ビニル樹脂、合成ゴム、SBRラテックス、アクリルマスチック、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレア樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。なかでも、好ましい液状樹脂組成物の例としては、多液混合型樹脂組成物が挙げられる。一般的には、主剤と硬化剤との2剤からなり、これらが所定の割合で混合されることにより硬化を開始する樹脂である。好ましい多液混合型樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、又はポリウレア樹脂が挙げられる。なお、本明細書において「多液」とは、2液以上の液状樹脂組成物を指す。
液状樹脂組成物が、1液型の場合は、通常主剤を溶剤などで希釈して、用時撹拌して用いられる。また液状樹脂組成物が多液混合型である場合、通常主剤と硬化剤、必要に応じてその他の添加剤を用時混合し、撹拌して用いられる。液状樹脂の種類により、主剤と硬化剤は異なる樹脂成分から構成される。主剤と硬化剤を混合することで重合反応が開始され、硬化物が得られる。例えば、エポキシ系樹脂の場合、主剤はエポキシ樹脂、硬化剤はポリアミド樹脂やポリチオール樹脂などが一般的である。また、例えば、ポリウレア樹脂の場合、主剤はポリイソシアネートプレポリマー、硬化剤としてはポリアミンが一般的である。
液状樹脂組成物が、液状樹脂と固体状のフィラーもしくは顔料の混合液とは、接着剤やシーリング材、コーキング材、ペンキなどの塗料などが例示される。
液状樹脂組成物の主剤の粘度は、特に限定されず、使用目的などに応じて種々の粘度の材料を撹拌することができる。例えば50〜20,000mPa・sであり、好ましくは100〜15,000mPa・sであり、より好ましくは300〜10,000mPa・sである。なお本発明における粘度は、B型回転粘度計を用いて測定した25℃における値である。
液状樹脂組成物の硬化剤の粘度は、特に限定されず、使用目的などに応じて種々の粘度の材料を撹拌することができる。例えば50〜20,000mPa・sであり、好ましくは100〜15,000mPa・sであり、より好ましくは300〜10,000mPa・sである。
液状樹脂組成物の主剤と硬化剤を撹拌した直後の粘度は、特に限定されないが、例えば、50〜20,000mPa・sであり、好ましくは100〜15,000mPa・sであり、より好ましくは300〜10,000mPa・sである。
上記主剤と硬化剤の配合比(容積比)としては、特に限定されず、用いる樹脂の種類に応じて適宜設定できる。ポリウレア樹脂の場合、主剤と硬化剤の配合比(容積比)は、例えば1:10〜10:1であり、好ましくは1:5〜5:1であり、より好ましくは3:1〜1:3であり、さらに好ましくは2:1〜1:2である。
液状樹脂組成物は、温度23℃かつ相対湿度50%の条件下で、主剤と硬化剤を混合後、塗布(塗工)が可能な可使時間は、例えば10分以上、好ましくは15分以上、より好ましくは20分以上である。可使時間は、液状樹脂組成物の種類により異なるが、現場での作業時間を確保する観点から、通常長いほうが好ましい。可使時間以内に均一に混合しないと、主剤と硬化剤の分布にムラが生じる。主剤と硬化剤が反応せず未重合の部分は硬化しないため、硬化不良の原因となる。
本発明の液状樹脂組成物用撹拌具1を用いて手動で撹拌する場合の撹拌時間は、特に限定されないが、作業者の疲労の観点から、例えば5分以内、好ましくは3分以内、より好ましくは2分30秒以内である。例えば、図1の液状樹脂組成物用撹拌具1を用いて、ポリウレア樹脂を撹拌した場合(主剤:硬化剤の配合比(容積比)は1:1、主剤の粘度7,900mPa・s(25℃)、硬化剤の粘度:5,700mPa・s(25℃))、2分で均一に撹拌できる。一方、図6に示す従来の撹拌具では、5分撹拌しても混ぜムラが生じる。
液状樹脂硬化物が、完全に硬化するまでの時間は、例えば7時間以内、好ましくは5時間以内、より好ましくは3時間以内である。液状樹脂硬化物が完全に硬化するまでの時間は、現場での施工作業をより短期に終えることができる観点から、通常短いほうが好ましい。
液状樹脂組成物は、その他添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、特に限定されないが、例えば、溶剤;無機充填材;チキソトロピー付与材;粘度調整剤;希釈剤などの溶剤;可塑剤;消泡剤;有色若しくは無色の顔料;老化防止剤;湿潤分散剤;反応触媒;などが挙げられる。
上記溶剤としては、特に限定されないが、例えば、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤などが挙げられる。上記溶剤は、粘度調整剤、希釈剤などとしても使用される。
上記フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナ、カオリン、ゼオライト、珪藻土などの無機充填材が挙げられる。
上記チキソトロピー付与材としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル系重合物、ポリアミドなどのポリマー系液状チキソトロピー付与材;ポリアミド粒子などの有機微粒子チキソトロピー付与材;ポリエーテルリン酸エステル、ポリエーテルエステルなどの液状チキソトロピー付与材;水添ひまし油;火炎法シリカ(ヒュームドシリカ)、セピオライトなどの無機微粒子チキソトロピー付与材;などが挙げられる。
上記のその他の添加剤は、主剤と硬化剤とを合計した全体に対して、例えば、次の範囲で含有されていてもよい。無機充填剤、顔料は、それぞれ、例えば、0質量%〜40質量%であり、好ましくは20質量%〜30質量%である。溶剤は、例えば、0質量%〜5質量%であり、好ましくは1質量%〜3質量%である。可塑剤は、例えば、0質量%〜10質量%であり、好ましくは3質量%〜5質量%である。消泡剤、老化防止剤、湿潤分散剤、反応触媒、増粘剤は、それぞれ、例えば、0質量%〜2質量%であり、好ましくは0.1質量%〜1.0質量%である。
撹拌される液状樹脂組成物の量は特に限定されないが、1回の撹拌量としては通常1〜5kg程度である。1kg未満であると、従来の撹拌具を用いても撹拌抵抗がさほど大きくないためである。
本発明の液状樹脂組成物用撹拌具1は、上記構成を備えることにより、短時間で液状樹脂組成物を効率よく、且つ、均一に撹拌することができる。このため、例えば、多液混合型樹脂組成物のように可使時間が、数分と非常に短い材料であっても、可使時間内に効率よく、且つ、均一に撹拌することが可能となる。以下、本発明の液状樹脂組成物用撹拌具について、具体的な実施形態の態様に基づいてについて説明する。
(第1の実施形態の態様)
図1に示す、第1の実施形態の態様は、
厚み方向に貫通する18個の貫通孔16が形成されている板状の撹拌機能部13を有する液状樹脂組成物用撹拌具1である。
貫通孔16の表面形状(平面視形状:開孔部の形状)は、略円形である。貫通孔の間隔は0.6cm、貫通孔16の1つあたりの面積(撹拌機能部13の表面における開孔部面積)は1.1cm2、開孔部面積率は20%である。貫通孔16は、撹拌機能部13の他端部15から基端部14方向に向かって略2/3までの領域に、各貫通孔16がおよそ均等に配置されるように形成されている。撹拌機能部13の角は面取り加工されている。
第1の実施形態の態様では、ヘラ状の上記撹拌機能部13を1つ有する。また、ヘラ状の上記撹拌機能部13の基端部14に把持部11を有する。
撹拌機能部13は、金属(ステンレス)製である。長さ(基端部14から他端部15までの距離)は、17cm、幅(最大幅部の距離)は、8cm、最大厚みは0.15cmである。略台形状の形状を有する。把持部11は樹脂製の略矩形状であり、ビス12で、撹拌機能部13に組み付けられている。把持部の長さは、13cm、幅は3cm、最大厚みは3cmである。
(第2の実施形態の態様)
図2に示す、第2の実施形態の態様は、
厚み方向に貫通する4個の貫通孔16が形成されている板状の撹拌機能部13を有する液状樹脂組成物用撹拌具1である。
貫通孔16の表面形状(平面視形状:開孔部の形状)は、略矩形である。4個の略矩形の貫通孔16は、略矩形の長辺が基端部14及び他端部15に対して略平行となるように形成されている。貫通孔の間隔は2cm、貫通孔16の1つあたりの面積(撹拌機能部13の表面における開孔部面積)は面積は5〜7cm2、開孔部面積率は24%である。貫通孔16は、撹拌機能部13の他端部15から基端部14方向に向かって略3/4までの領域に、各貫通孔16がおよそ均等に配置されるように形成されている。撹拌機能部13の角は面取り加工されている。
第2の実施形態の態様では、ヘラ状の上記撹拌機能部13を1つ有する。また、ヘラ状の上記撹拌機能部13の基端部14に把持部11を有する。
撹拌機能部13は、金属(ステンレス)製である。長さ(基端部14から他端部15までの距離)は、17cm、幅(最大幅部の距離)は、8cm、最大厚みは0.15cmである。略台形状の形状を有する。把持部11は樹脂製の略矩形状であり、ビス12で、撹拌機能部13に組み付けられている。把持部の長さは、13cm、幅は3cm、最大厚みは3cmである。
(第3の実施形態の態様)
図3に示す、第3の実施形態の態様は、
厚み方向に貫通する3個の貫通孔16が形成されている板状の撹拌機能部13を有する液状樹脂組成物用撹拌具1である。
貫通孔16の表面形状(平面視形状:開孔部の形状)は、略矩形である。貫通孔の間隔は0.5〜1.2cm(5〜12mm)、貫通孔16の1つあたりの面積(撹拌機能部13の表面における開孔部面積)は面積は8.5〜13.5cm2、開孔部面積率は34%である。貫通孔16は、撹拌機能部13の他端部15から基端部14方向に向かって略3/4までの領域に、各貫通孔16がおよそ均等に配置され、ヘラ状の撹拌機能部13の長さ方向に沿って、3つの筋状に形成されている。撹拌機能部13の角は面取り加工されている。
第3の実施形態の態様では、ヘラ状の上記撹拌機能部13を1つ有する。また、ヘラ状の上記撹拌機能部13の基端部14に把持部11を有する。
撹拌機能部13は、金属(ステンレス)製である。長さ(基端部14から他端部15までの距離)は、17cm、幅(最大幅部の距離)は、8cm、最大厚みは0.15cmである。略台形状の形状を有する。把持部11は樹脂製の略矩形状であり、ビス12で、撹拌機能部13に組み付けられている。把持部の長さは、13cm、幅は3cm、最大厚みは3cmである。
(第4の実施形態の態様)
図4に示す、第4の実施形態の態様は、
4枚の羽根状の撹拌機能部22と、これらを固定するハブ部21を有する撹拌翼からなる液状樹脂組成物用撹拌具2である。
貫通孔25の表面形状(平面視形状:開孔部の形状)は、略円形である。貫通孔の間隔は0.3〜0.6cm、貫通孔25の1つあたりの面積(撹拌機能部22の表面における開孔部面積)は面積は0.13cm2、開孔部面積率は12%である。貫通孔25は、撹拌機能部22の他端部24から基端部23方向に向かって略3/4までの領域に、各貫通
各貫通孔25がおよそ均等に配置されるように形成されている。
第4の実施形態の態様では、4枚の羽根状の撹拌機能部22と、これらを固定するハブ部21を有する、液状樹脂組成物用撹拌具2である。液状樹脂組成物用撹拌具2は、上記ハブ部21を介して回転動力源(図示せず)に固定される。羽根状の撹拌機能部22の1つあたりの貫通孔25の数は、6個である。
撹拌機能部22は、金属製である。長さ(基端部23から他端部24までの距離)は、3.7cm、幅(最大幅部の距離)は、2.4cm、最大厚みは0.15cmである。通常の撹拌羽根の形状であればよい。ハブ部21は金属製の略円柱状であり、直径1cmである。前記撹拌機能部22は、略円柱状のハブ部21の外周に固定されている。
(第5の実施形態の態様)
図5に示す、第5の実施形態の態様は、
4枚の羽根状の撹拌機能部22と、これらを固定するハブ部21を有する撹拌翼からなる液状樹脂組成物用撹拌具2である。
貫通孔25の表面形状(平面視形状:開孔部の形状)は、略矩形である。貫通孔の間隔は0.4cm、貫通孔25の1つあたりの面積(撹拌機能部22の表面における開孔部面積)は面積は0.8cm2、開孔部面積率は25%である。貫通孔25は、撹拌機能部22の他端部24から基端部23方向に向かって略3/4までの領域に、羽根状の撹拌機能部22の長さ方向に略平行に各貫通孔25がおよそ均等に配置されるように形成されている。
第5の実施形態の態様では、羽根状の撹拌機能部22を4つ有する撹拌翼を備えている。液状樹脂組成物用撹拌具2は、ハブ部21を介して回転動力源(図示せず)に固定される。羽根状の撹拌機能部22の1つあたりの貫通孔25の数は、2個である。
撹拌機能部22は、金属製である。長さ(基端部23から他端部24までの距離)は、3.7cm、幅(最大幅部の距離)は、2.4cm、最大厚みは0.15cmである。通常の撹拌羽根の形状であればよい。ハブ部21は金属製の略円柱状であり、直径1cmである。前記撹拌機能部22は、略円柱状のハブ部21の外周に固定されている。
第1〜第3の実施形態の態様の液状樹脂組成物用撹拌具1によれば、撹拌動作時における液状樹脂組成物に対する撹拌機能部13の抵抗が小さくなる。このため、従来の撹拌具と比較して同じ時間手動で撹拌してもより疲れにくく、適度な力で撹拌できるため、作業者の肉体的負担が一層軽減される。また、液状樹脂組成物が貫通孔16を通過することにより、後方では貫通孔面積よりも広範囲に広がる流れが生まれるとともに、撹拌機能部13の動き方向後方には反転流が形成される。このように異なる流れが同時多発的に発生し、互いに衝突することにより、液状樹脂組成物は混じり合い、撹拌が促進される。このため短時間で混合効果が発揮される。また撹拌動作を繰り返すことにより、撹拌された液状樹脂組成物の流れが互いに衝突する回数が増えるため、容器中の全ての液状樹脂組成物が均一に撹拌される。このため容器の隅に存在する材料までも均一に混合され、撹拌不良を起こしにくい。
第4〜第5の実施形態の態様の液状樹脂組成物用撹拌具2によれば、上記構成により撹拌動作時における液状樹脂組成物に対する撹拌機能部22の抵抗が小さくなる。撹拌機能部22を有する撹拌翼を回転動力源(図示せず)にハブ部21を介して接続し、液状樹脂組成物を収容した容器内に、上記撹拌翼を挿入し、回転駆動させる。撹拌機能部22を有する撹拌翼の回転に伴って、液状樹脂組成物は容器内において旋回流を生ずる。そして、液状樹脂組成物が貫通孔25を通過することにより、後方では貫通孔面積よりも広範囲に広がる流れが生まれるとともに、撹拌機能部22の動き方向後方には反転流が形成される。このように異なる流れが、旋回流の流れの中で同時多発的に発生し、互いに衝突することにより、液状樹脂組成物は混じり合い、撹拌が促進される。このため短時間で混合効果が発揮される。撹拌翼を回転させることで、容器内において、撹拌された液状樹脂組成物の流れが互いに衝突する回数が増えるため、撹拌混合が促進され、容器中の全ての液状樹脂組成物が均一に撹拌される。
(液状樹脂組成物の撹拌方法)
本発明の液状樹脂組成物用撹拌具1又は2を用いる液状樹脂組成物の撹拌方法(以下、「本発明の撹拌方法」と称することがある)によると、本発明の液状樹脂組成物用撹拌具が上記した構成を有することによって、短時間で液状樹脂組成物を効率よく、且つ、均一に撹拌することができる。このため例えば、可使時間が、数分と非常に短い材料であっても、可使時間内に効率よく、且つ、均一に撹拌することが可能となる。これにより、現場施工の作業時間にゆとりが生まれ、より品質の高い作業を行うことが可能となる。また、作業時間を確保するために、溶剤を含む硬化遅延剤を添加して撹拌する機会自体が減少するため、溶剤の揮発を伴わない作業環境が実現することになり、ひいては現場の作業環境の改善にもつながる。以下、手動で撹拌する場合と、回転動力源を用いて撹拌する場合、とに分けて具体的に説明する。
(手動の場合)
本発明の液状樹脂組成物用撹拌具1を用いる本発明の撹拌方法によれば、撹拌動作時における撹拌機能部13の液状樹脂組成物に対する抵抗が小さくなる。このため、図6の従来の撹拌具を用いる場合と比較して、同じ時間手動で撹拌してもより疲れにくく、適度な力で撹拌できるため、作業者の肉体的負担が軽減される。
また、極めて硬化時間が短い特殊な液状樹脂組成物(例えば、ポリウレア樹脂など)であっても、手動で用時撹拌することが可能となる。
本発明の撹拌方法を手動で行うに際しての具体的手技は、特に限定されず、液状樹脂組成物の量や粘度、硬化時間、所望する混合物の粘度、作業時の温度などにより、適宜調節して十分に撹拌されるよう実施すればよい。好ましい態様では、液状樹脂組成物を収容した容器底面に対し、上記板状の撹拌機能部13を略垂直に保持しつつ直進もしくは回転させて液状樹脂組成物を撹拌する。
上記の好ましい態様によれば、撹拌時の抵抗が小さいことにより、上記板状の撹拌機能部13を略垂直に保持しつつ直進もしくは回転させて液状樹脂組成物を撹拌することが可能となる。このため、図6の従来の撹拌具を用いる場合のように、あえて切るような動作で撹拌する必要がない。これにより撹拌時の空気の巻き込みがより少なくなるため、気泡の発生がより抑えられる。このため気泡部の撹拌不良や硬化不良が生じにくくなる。
また、上記の好ましい態様によれば、容器底面に対し上記板状の撹拌機能部13を略垂直に保持しつつ直進もしくは回転させて液状樹脂組成物を撹拌するため、液状樹脂組成物が貫通孔16を通過することにより、後方では貫通孔面積よりも広範囲に広がる流れが生まれるとともに、撹拌機能部13の動き方向後方には反転流が形成される。このように異なる流れが同時多発的に発生し、互いに衝突することにより、液状樹脂組成物は混じり合い、撹拌が促進される。このため短時間で混合効果が発揮される。また、直進もしくは回転させるという撹拌動作を繰り返すことにより、撹拌された液状樹脂組成物の流れが互いに衝突する回数が増えるため、容器中の全ての液状樹脂組成物が均一に撹拌される。このため容器の隅に存在する材料までも均一に混合され、撹拌不良を起こしにくい。このため短時間で液状樹脂組成物を効率よく、且つ、均一に撹拌することができる。このため例えば、可使時間が、数分と非常に短い材料であっても、可使時間内に効率よく、且つ、均一に撹拌することが可能となる。
(回転動力源を用いる場合)
本発明の液状樹脂組成物用撹拌具2を用いる、本発明の撹拌方法の、具体的手技は、特に限定されないが、例えば、撹拌機能部22を有する撹拌翼を回転動力源(図示せず)にハブ部21を介して接続し、液状樹脂組成物を収容した容器内に、上記撹拌翼を挿入し、回転駆動させる。上記回転動力源の回転数は特に限定されないが、例えば、300〜500回転/毎分程度の低速域で回転させると、液状樹脂組成物が熱を帯びることがない。撹拌機能部22を有する撹拌翼の回転に伴って、液状樹脂組成物は容器内において旋回流を生ずる。そして、液状樹脂組成物が貫通孔25を通過することにより、後方では貫通孔面積よりも広範囲に広がる流れが生まれるとともに、撹拌機能部22の動き方向後方には反転流が形成される。このように異なる流れが、旋回流の流れの中で同時多発的に発生し、互いに衝突することにより、液状樹脂組成物は混じり合い、撹拌が促進される。このため短時間で混合効果が発揮される。本発明の液状樹脂組成物用撹拌具2を回転させることで、容器内において、撹拌された液状樹脂組成物の流れが互いに衝突する回数が増えるため、撹拌混合が促進され、容器中の全ての液状樹脂組成物が均一に撹拌される。
また、回転動力源を用いるため、撹拌を手動で行う場合と比べ、攪拌作業時の作業者の負担が一層軽減される。また、手動よりも一層短時間に撹拌を完了することができる。このため、特に現場施工時の作業効率が一層高まるという効果が得られる。
(多液混合型樹脂組成物を1液に調製する用時混合液の調製方法)
本発明の液状樹脂組成物用撹拌具1又は2を用いる、多液混合型樹脂組成物を1液に調製する用時混合液の調製方法(以下、「本発明の用時混合液の調製方法」と称することがある)では、本発明の液状樹脂組成物用撹拌具1又は2が、上記構成を有することにより、撹拌動作時における撹拌機能部13又は22の、主剤と硬化剤のそれぞれに対する抵抗が小さくなる。このため短時間で効率的に、多液混合型樹脂組成物を1液に調製した用時混合液を得ることができる。このため例えば、可使時間が、数分と非常に短い材料であっても、可使時間内に効率よく、且つ、均一に撹拌することが可能となる。これにより、現場施工の作業時間にゆとりが生まれ、より品質の高い作業を行うことが可能となる。また、作業時間を確保するために、溶剤を含む硬化遅延剤を添加して撹拌する機会自体が減少するため、溶剤の揮発を伴わない作業環境が実現することになり、ひいては現場の作業環境の改善にもつながる。以下、手動で撹拌する場合と、回転動力源を用いて撹拌する場合、とに分けて具体的に説明する。
(手動の場合)
本発明の液状樹脂組成物用撹拌具1を用いる、本発明の用時混合液の調製方法によれば、撹拌動作時における撹拌機能部13の主剤と硬化剤に対する抵抗が小さくなる。このため、図6の従来の撹拌具を用いる場合と比べ、同じ時間手動で撹拌してもより疲れにくく、適度な力で撹拌できるため、作業者の肉体的負担が軽減される。
また、極めて硬化時間が短い特殊な多液混合型樹脂組成物(例えば、ポリウレア樹脂など)であっても、手動で用時撹拌することが可能となる。
本発明の用時混合液の調製方法を手動で行うに際しての具体的手技は、特に限定されず、多液混合型樹脂組成物を構成する主剤と硬化剤の量や粘度、硬化時間、所望する混合物の粘度、作業時の温度などにより、適宜調節して十分に撹拌されるよう実施すればよい。好ましい態様では、主剤と硬化剤とを収容した容器底面に対し、上記板状の撹拌機能部13を略垂直に保持しつつ直進もしくは回転させて主剤と硬化剤とを撹拌する。
上記の好ましい態様によれば、撹拌時の抵抗が小さいことにより、上記板状の撹拌機能部13を略垂直に保持しつつ直進もしくは回転させて、主剤と硬化剤を撹拌することが可能となる。このため、図6の従来の撹拌具を用いる場合のように、あえて切るような動作で撹拌する必要がない。これにより撹拌時の空気の巻き込みがより少なくなるため、気泡の発生がより抑えられる。このため気泡部の撹拌不良や硬化不良が生じにくくなる。
また、上記の好ましい態様によれば、容器底面に対し上記板状の撹拌機能部13を略垂直に保持しつつ直進もしくは回転させて主剤と硬化剤を撹拌するため、混じり合った主剤と硬化剤とが貫通孔16を通過することにより、後方では貫通孔面積よりも広範囲に広がる流れが生まれるとともに、撹拌機能部13の動き方向後方には反転流が形成される。このように異なる流れが同時多発的に発生し、互いに衝突することにより、主剤と硬化剤は一層混じり合い、撹拌が促進される。このため短時間で混合効果が発揮される。また、直進もしくは回転させるという撹拌動作を繰り返すことにより、混じり合った主剤と硬化剤の流れが互いに衝突する回数が増えるため、容器中の全ての主剤と硬化剤が均一に撹拌される。このため容器の隅に存在する材料までも均一に混合され、未反応の材料に起因する硬化不良部の発生を起こしにくい。このため短時間で効率的に、多液混合型樹脂組成物を1液に調製した用時混合液を得ることができる。例えば、可使時間が、数分と非常に短い多液混合型樹脂組成物(ポリウレア樹脂など)であっても、可使時間内に効率よく、且つ、均一に1液に調製した用事混合液を得ることができる。
(回転動力源を用いる場合)
本発明の液状樹脂組成物用撹拌具2を用いる、本発明の用時混合液の調製方法の具体的手技は、特に限定されないが、例えば、回転動力源(図示せず)に、撹拌機能部22を有する撹拌翼をハブ部21を介して接続し、主剤と硬化剤を収容した容器内に、上記撹拌翼を挿入して、回転駆動させる。回転数は特に限定されないが、例えば、300〜500回転/毎分程度の低速域で回転させると、容器内の材料が熱を帯びることがない。撹拌機能部22を有する撹拌翼の回転に伴って、主剤と硬化剤は互いに混じり合い容器内において旋回流を生ずる。そして、混じり合った主剤と硬化剤が貫通孔25を通過することにより、後方では貫通孔面積よりも広範囲に広がる流れが生まれるとともに、撹拌機能部22の動き方向後方には反転流が形成される。このように異なる流れが、旋回流の流れの中で同時多発的に発生し、互いに衝突することにより、主剤と硬化剤は一層均一に混じり合い、撹拌が促進される。このため短時間で混合効果が発揮される。本発明の液状樹脂組成物用撹拌具2を回転させることで、容器内において、主剤と硬化剤の混合物の流れが互いに衝突する回数が増えるため、撹拌混合が促進され、容器中の全ての主剤と硬化剤は撹拌ムラを来すことなく均一に撹拌される。未反応の材料に起因する未硬化部分の発生も抑えられる。したがって短時間で効率的に、多液混合型樹脂組成物を1液に調製した用時混合液を得ることができる。
また、回転動力源を用いるため、撹拌を手動で行う場合と比べ、攪拌作業時の作業者の負担が一層軽減される。また、手動よりも一層短時間に撹拌を完了することができる。このため、特に現場施工時の作業効率が一層高まるという効果が得られる。
(液状の樹脂原料を固体状のフィラーもしくは顔料と混合する、フィラーもしくは顔料入り液状樹脂組成物の調製方法)
本発明の液状樹脂組成物用撹拌具1又は2を用いる、液状の樹脂原料を固体状のフィラーもしくは顔料と混合する、フィラーもしくは顔料入り液状樹脂組成物の調製方法(以下、「本発明の調製方法」と称することがある)は、本発明の液状樹脂組成物用撹拌具が上記した構成を有することによって、フィラーもしくは顔料入りの液状樹脂組成物を調製するに際しても短時間で効率的に調製可能となる。一般にフィラーや顔料を構成する粒子は、液状樹脂組成物中で沈降している。本発明の液状樹脂組成物用撹拌具1又は2を用いて、撹拌することにより、沈降した粒子が巻き上げられ、巻き上げられた粒子は貫通孔16又は25を通過することにより、後方では貫通孔面積よりも広範囲に広がる流れに乗るととともに、撹拌機能部13又は22の動き方向後方では反転流に乗る。このように異なる流れが同時多発的に発生し、互いに衝突することにより、フィラーや顔料を配合した液状樹脂組成物は均質に混じり合い、撹拌が促進される。またダイラタンシー性を有する液状樹脂組成物であっても、上記メカニズムにより短時間で効率的に撹拌できる。このため例えば、可使時間が、数分と非常に短い液状樹脂組成物であっても、可使時間内に効率よく、且つ、均一に撹拌することが可能となる。
従来、ペンキに代表される塗料一般は、塗布時には、シンナーなどの溶剤で希釈して、一旦粘度を低下させてから被塗布物に塗布し、その後、溶剤を揮発乾燥させるという工程で用いられる。本発明の調製方法によれば、溶剤で希釈せずとも、あるいは溶剤の添加量を少量としても撹拌可能となり、溶剤の使用量を低減できる。このため環境保護や、作業環境を改善する観点からも好ましい。さらに、例えば、飲料水槽(例えば、縦3m×横4m×高さ2m)内の防水工事など、気密性が高い小規模の現場において、溶剤の使用量を低減できることは作業者の労働衛生や安全性の観点からも好ましい。
以下、手動で撹拌する場合と、回転動力源を用いて撹拌する場合、とに分けて具体的に説明する。
(手動の場合)
本発明の液状樹脂組成物用撹拌具1を用いる、本発明の調製方法によれば、撹拌動作時における撹拌機能部13は、液状の樹脂原料を、フィラーや顔料を構成する固体粒子と混合するに際しての抵抗が小さい。このため、図6の従来の撹拌具と比べて、同じ時間手動で撹拌しても、より疲れにくく、適度な力で撹拌できるため、作業者の肉体的負担が軽減される。
また、極めて硬化時間が短い特殊な、フィラーもしくは顔料入り液状樹脂組成物であっても、手動で用時撹拌することが可能となる。
本発明の調製方法を手動で行うに際しての具体的手技は、特に限定されず、液状の樹脂原料、固体状のフィラーもしくは顔料の量や粘度、硬化時間、所望する混合物の粘度、作業時の温度などにより、適宜調節して十分に撹拌されるよう実施すればよい。好ましい態様では、液状の樹脂原料、固体状のフィラーもしくは顔料を収容した容器底面に対し、上記板状の撹拌機能部13を略垂直に保持しつつ直進もしくは回転させて撹拌する。
上記の好ましい態様によれば、撹拌時の抵抗が小さいことにより、上記板状の撹拌機能部13を略垂直に保持しつつ直進もしくは回転させて、液状の樹脂原料と固体状のフィラーもしくは顔料を撹拌することが可能となる。このため、図6の従来の撹拌具のように、あえて切るような動作で撹拌する必要がない。これにより撹拌時の空気の巻き込みがより少なくなるため、気泡の発生がより抑えられる。このため気泡部の撹拌不良や硬化不良が生じにくくなる。
また、上記の好ましい態様によれば、容器底面に対し上記板状の撹拌機能部13を略垂直に保持しつつ直進もしくは回転させて撹拌するため、混じり合った液状の樹脂原料と固体状のフィラーもしくは顔料とが貫通孔16を通過することにより、後方では貫通孔面積よりも広範囲に広がる流れが生まれるとともに、撹拌機能部13の動き方向後方には反転流が形成される。このように異なる流れが同時多発的に発生し、互いに衝突することにより、液状の樹脂原料と固体状のフィラーもしくは顔料は一層混じり合い、撹拌が促進される。このため短時間で混合効果が発揮される。また、直進もしくは回転させるという撹拌動作を繰り返すことにより、混合物の流れが互いに衝突する回数が増えるため、容器中の全ての液状の樹脂原料と固体状のフィラーもしくは顔料は均一に撹拌される。このため容器の隅に存在する材料までも均一に混合され、未反応の材料に起因する硬化不良部の発生を起こしにくい。このため短時間で効率的に、フィラーもしくは顔料入り液状樹脂組成物を調製することができる。例えば、可使時間が、数分と非常に短い液状樹脂組成物(ポリウレア樹脂など)であっても、可使時間内に効率よく、且つ、均一に1液に調製したフィラーもしくは顔料入り液状樹脂組成物を得ることができる。
(回転動力源を用いる場合)
本発明の液状樹脂組成物用撹拌具2を用いる、本発明の調製方法の具体的手技は、特に限定されないが、例えば、回転動力源(図示せず)に、撹拌機能部22を有する撹拌翼をハブ部21を介して接続し、液状の樹脂原料と固体状のフィラーもしくは顔料とを収容した容器内に、上記撹拌翼を挿入して、回転駆動させる。回転数は特に限定されないが、例えば、300〜500回転/毎分程度の低速域で回転させると、容器内の材料が熱を帯びることがない。撹拌機能部22を有する撹拌翼の回転に伴って、液状の樹脂原料と固体状のフィラーもしくは顔料は互いに混じり合い容器内において旋回流を生ずる。そして、混じり合った液状の樹脂原料と固体状のフィラーもしくは顔料が貫通孔25を通過することにより、後方では貫通孔面積よりも広範囲に広がる流れが生まれるとともに、撹拌機能部22の動き方向後方には反転流が形成される。このように異なる流れが、旋回流の流れの中で同時多発的に発生し、互いに衝突することにより、一層均一に混じり合い、撹拌が促進される。このため短時間で混合効果が発揮される。本発明の液状樹脂組成物用撹拌具2を回転させることで、容器内において、混合物の流れが互いに衝突する回数が増えるため、撹拌混合が促進され、容器中の全ての液状の樹脂原料と固体状のフィラーもしくは顔料は撹拌ムラを来すことなく均一に撹拌される。未反応の材料に起因する未硬化部分の発生も抑えられる。したがって短時間で効率的に、フィラーもしくは顔料入り液状樹脂組成物を調製することができる。
また、回転動力源を用いるため、撹拌を手動で行う場合と比べ、攪拌作業時の作業者の負担が一層軽減される。また、手動よりも一層短時間に撹拌を完了することができる。このため、特に現場施工時の作業効率が一層高まるという効果が得られる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
試験1:撹拌性能の評価
実施例1〜3
ポリウレア樹脂の主剤(商品名:メルホーコートHU(ウレア系ライニング剤)25℃の粘度7,900mPa・s、有限会社こうすい製)と硬化剤(商品名:メルホーコートHU硬化剤(ポリアミン系硬化剤)、25℃の粘度5,700mPa・s、有限会社こうすい製)を用意し、温度25℃、相対湿度50%の環境下において、作業者が手動で主剤:硬化剤=1:1(容積比)の割合で撹拌した。実施例1では計1kg、実施例2では計2kg、実施例3では計3kgを撹拌した。なお、上記樹脂の可使時間は、約2分である。実施例で用いた液状樹脂組成物用撹拌具は、図2に示す第2の実施形態に係るものである。厚み方向に貫通する4個の貫通孔が形成されている板状の撹拌機能部を有する。撹拌機能部の形状は、把持部に接続された基端部と、該基端部から先端延長方向に次第に広がった先端に設けられた他端部を有する略台形状である。撹拌機能部の長さは17cm、最大幅は8cm、厚みは0.15cm、表裏2面のうち一方の表面の面積(貫通孔の開孔部面積を含む)は103cm2、貫通孔の表面形状(平面視形状:開孔部の形状)は略台形、個数は4個、1つあたりの面積は5〜7cm2、開孔部面積率は24%、貫通孔の形成位置は、撹拌機能部の他端部から基端部方向に向かって略3/4の位置である。
比較例1〜3
撹拌には貫通孔を備えない従来の撹拌具(図6)を用いた以外は、実施例1〜3と同様の試験を実施した。比較例で用いた撹拌具は、撹拌機能部の形状は、把持部に接続された基端部と、該基端部から先端延長方向に次第に広がった先端に設けられた他端部を有する略台形状である。撹拌機能部の長さは17cm、最大幅は8cm、厚みは0.15cm、表裏2面のうち一方の表面の面積表面積は103cm2であり、貫通孔は設けられていない。
試験1の結果は、以下の評価基準に従って判定した。評価結果は表1に示す。
<撹拌性能の評価方法>
〇:可使時間内に余裕をもって十分に撹拌できた。
△:可使時間内に撹拌できたが、作業に余裕がない状態であった。
×:可使時間内に撹拌を完了できなかった。
試験2:撹拌動作の容易さの評価
上記試験1を実施した作業者が、撹拌動作の容易さを次の評価基準で判定した。結果は表1に示す。
<撹拌動作の容易さの評価方法>
〇:撹拌動作が容易である。
△:撹拌動作に多少の労力を要するが、支障はない。
×:撹拌動作に労力を要し、十分に混合しがたい。
Figure 2020006354
<試験結果の考察>
実施例と比較例との対比から、本発明の液状樹脂組成物用撹拌具は、撹拌性能と撹拌動作の容易さのいずれも良好であり、作業性が顕著に向上していることが分かる。
特に、被撹拌材料の量が2kg以上の実施例2〜3では、撹拌機能部が貫通孔を有する効果が一層発揮され、1kg撹拌時(実施例1)と同等の撹拌性能と、撹拌動作の容易さが維持されることが分かる。これらより、本発明の液状樹脂組成物用撹拌具を用いて撹拌動作を繰り返すことにより、可使時間が短い(2分)、高粘度の材料であっても、均一な混合物が、容易に得られることが分かる。これに対し、比較例2は、可使時間内に撹拌を完了できたものの、作業にゆとりが無く、撹拌動作に多少の労力を要する結果となった。また、比較例3は、可使時間内に撹拌を完了できなかったばかりか、撹拌動作に労力を要し、十分に混合しがたい結果となった。
以上より、(1)撹拌機能部に貫通孔を有することで、液状樹脂組成物に対する抵抗が小さくなり、従来の撹拌具を用いる場合と比較して、同じ時間手動で撹拌してもより疲れにくく、適度な力で撹拌できるため、作業者の肉体的負担が軽減されること、(2)液状樹脂組成物が貫通孔を通過することにより、容器内では、液状樹脂組成物の異なる方向の流れが同時多発的に発生し、互いに衝突することにより、液状樹脂組成物は混じり合い、短時間で撹拌が促進されることが確認された。よって、本発明の液状樹脂組成物用撹拌具によれば、可使時間内にゆとりをもって撹拌作業を完了できる。
本発明の液状樹脂組成物用撹拌具によれば、厚み方向に貫通する1又は2以上の貫通孔が形成されている板状の撹拌機能部を有するため、撹拌抵抗値が低く、作業者の疲労がより抑えられる。また極めて硬化時間が短い液状樹脂組成物(例えば、ポリウレア樹脂など)であっても、用時撹拌することが可能となる。このため、建物屋上のクラック部位の補修、建物屋上の飲料水槽のシーリングや風呂の改修工事など、特に小規模な現場や、小面積の塗装、防水・防食が必要な現場作業に適した撹拌具、撹拌方法、用時混合液などの調製方法として広く利用されるものである。
1 本発明の液状樹脂組成物用撹拌具(手動の場合)
11 把持部
12 ビス
13 撹拌機能部
14 基端部
15 他端部
16 貫通孔
2 本発明の液状樹脂組成物用撹拌具(回転動力源を用いる場合)
21 ハブ部
22 撹拌機能部
23 基端部
24 他端部
25 貫通孔
3 従来の撹拌具

Claims (8)

  1. 厚み方向に貫通する1又は2以上の貫通孔が形成されている板状の撹拌機能部を有する液状樹脂組成物用撹拌具。
  2. ヘラ状の前記撹拌機能部を1つ有する請求項1記載の液状樹脂組成物用撹拌具。
  3. ヘラ状の前記撹拌機能部の基端部に把持部を有する請求項1又は2記載の液状樹脂組成物用撹拌具。
  4. 羽根状の前記撹拌機能部を2以上有する撹拌翼を備えた請求項1記載の液状樹脂組成物用撹拌具。
  5. 多液混合型樹脂組成物の用時混合用、又はフィラーもしくは顔料入り液状樹脂組成物調製用である請求項1〜4のいずれか1項に記載の液状樹脂組成物用撹拌具。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の撹拌具を用いて、液状樹脂組成物を撹拌する液状樹脂組成物の撹拌方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の撹拌具を用いて、多液混合型樹脂組成物を1液に調製する用時混合液の調製方法。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の撹拌具を用いて、液状の樹脂原料を固体状のフィラーもしくは顔料と混合する、フィラーもしくは顔料入り液状樹脂組成物の調製方法。
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