以下、本発明の複数の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について図1〜図7を参照して説明する。
図1に示す負荷駆動装置1は、車両に搭載される複数の電子制御装置、つまり複数のECUのうちの1つである。負荷駆動装置1は、図示しない制御部から与えられる駆動信号に従い、車両に搭載される負荷2に対する通断電、つまり負荷2の駆動を制御する。また、負荷駆動装置1は、負荷2を接続するための接続端子である端子P1の電圧Vaに基づいて、負荷2側の短絡および負荷2側の断線の検出を行う故障検出機能を有する。
負荷2は、図示しない車載バッテリから出力されるバッテリ電圧VBが供給される電源線Lbと端子P1との間に接続されている。この場合、車載バッテリが直流電源に相当する。負荷2は、種々のものが適用可能で、抵抗負荷、容量性負荷、誘導性負荷などいずれのものでもよい。なお、以下では、バッテリ電圧VBのことを電圧VBと省略する。
負荷駆動装置1は、スイッチング素子3、ゲートドライバ4、コンデンサ5、天絡検出部6、地絡検出部7、断線検出部8、電圧印加部9および異常判定部10を備えている。スイッチング素子3は、Nチャネル型のMOSFETであり、そのドレインは端子P1に接続されている。
スイッチング素子3のソースは、端子P2を介して回路の基準電位が与えられるグランドに接続されている。なお、この場合、基準電位は、例えば0Vとなっている。つまり、スイッチング素子3は、直流電源から負荷2へと至る給電経路に直列に介在するように設けられている。また、この場合、スイッチング素子3は、負荷2の下流側に設けられている。したがって、負荷駆動装置1は、負荷2の下流側に設けられたスイッチング素子3により負荷2を駆動するローサイド駆動の構成となっている。なお、以下では、グランドの電位をGNDとも称する。
ゲートドライバ4は、駆動信号を入力し、それに応じたゲート駆動信号Sgをスイッチング素子3のゲートなどへ出力する。スイッチング素子3は、ゲート駆動信号Sgにより駆動される。具体的には、スイッチング素子3は、ゲート駆動信号Sgがハイレベル(例えば5V)のときにオン駆動され、ゲート駆動信号Sgがローレベル(例えば0V)のときにオフ駆動される。
コンデンサ5は、端子P1と端子P2との間に接続されている。このようなコンデンサ5が設けられることにより、端子P1に接続される負荷駆動装置1の内部回路を静電気から保護することができる。なお、上記内部回路とは、スイッチング素子3、天絡検出部6、地絡検出部7、断線検出部8、電圧印加部9などのことである。
天絡検出部6は、端子P1の電圧Vaに基づいて負荷2側の短絡を検出するもので、短絡検出部に相当する。天絡検出部6は、スイッチング素子3がオンされるドライバオン期間に端子P1の電圧Vaが電圧VBに近い電圧となっているか否かに基づいて、端子P1が電源にショートする短絡、つまり天絡を検出する。
具体的には、天絡検出部6は、ドライバオン期間に電圧Vaが電圧Vth_SCBを超える場合に天絡を検出する。なお、電圧Vth_SCBは、天絡判定電圧に相当するもので、GNDより高く且つ電圧VBより低い任意の電圧に設定される。また、以下では、このような天絡のことをVBショートとも称する。
天絡検出部6は、コンパレータ11、AND回路12およびフィルタ13を備えている。コンパレータ11の非反転入力端子には、電圧Vaが与えられている。コンパレータ11の反転入力端子には、電圧Vth_SCBが与えられている。コンパレータ11の出力信号は、AND回路12の一方の入力端子に与えられている。
AND回路12の他方の入力端子には、ゲート駆動信号Sgが与えられている。AND回路12の出力信号は、フィルタ13を介して異常判定部10に与えられている。フィルタ13は、誤検出防止などを目的として、AND回路12の出力信号を所定の遅延時間tscbだけ遅延させるものであり、低域通過フィルタなどから構成されている。
地絡検出部7は、端子P1の電圧Vaに基づいて負荷2側の短絡を検出するもので、短絡検出部に相当する。地絡検出部7は、スイッチング素子3がオフされるドライバオフ期間に電圧VaがGNDに近い電圧となっているか否かに基づいて、端子P1がグランドにショートする短絡、つまり地絡を検出するようになっている。
具体的には、地絡検出部7は、ドライバオフ期間に電圧Vaが電圧Vth_SCG未満となる場合に地絡を検出する。なお、電圧Vth_SCGは、地絡判定電圧に相当するもので、GNDより高く且つ電圧VBより低い任意の電圧に設定される。また、以下では、このような地絡のことをGNDショートとも称する。
地絡検出部7は、コンパレータ14、AND回路15およびフィルタ16を備えている。コンパレータ14の反転入力端子には、電圧Vaが与えられている。コンパレータ14の非反転入力端子には、電圧Vth_SCGが与えられている。コンパレータ14の出力信号は、AND回路15の非反転入力端子に与えられている。
AND回路15の反転入力端子には、ゲート駆動信号Sgが与えられている。AND回路15の出力信号は、フィルタ16を介して異常判定部10に与えられている。フィルタ16は、誤検出防止などを目的として、AND回路15の出力信号を所定の遅延時間tscgだけ遅延させるものであり、低域通過フィルタなどから構成されている。
断線検出部8は、端子P1の電圧Vaに基づいて負荷2側の断線を検出する。断線検出部8は、ドライバオフ期間に電圧Vaが電圧Vth_SCGを超えるとともに電圧Vth_OLより低い場合に、端子P1がオープン状態となる断線を検出する。なお、電圧Vth_OLは、電圧Vth_SCGおよび後述する電圧VOLより高く且つ電圧VBより低い任意の電圧に設定される。
断線検出部8は、コンパレータ17、AND回路18、19およびフィルタ20を備えている。コンパレータ17の反転入力端子には、電圧Vaが与えられている。コンパレータ17の非反転入力端子には、電圧Vth_OLが与えられている。コンパレータ17の出力信号は、AND回路18の非反転入力端子に与えられている。
AND回路18の反転入力端子には、地絡検出部7のコンパレータ14の出力信号が与えられている。AND回路18の出力信号は、AND回路19の非反転入力端子に与えられている。AND回路19の反転入力端子には、ゲート駆動信号Sgが与えられている。AND回路19の出力信号は、フィルタ20を介して異常判定部10に与えられている。フィルタ20は、誤検出防止などを目的として、AND回路19の出力信号を所定の遅延時間tolだけ遅延させるものであり、低域通過フィルタなどから構成されている。
電圧印加部9は、端子P1に電圧VOLを印加することができる構成となっている。なお、電圧VOLは、断線を検出するための断線検出電圧に相当するもので、電圧Vth_SCGより高く且つ電圧Vth_OLより低い任意の電圧に設定される。すなわち、本実施形態では、電圧Vth_SCG、電圧Vth_OLおよび電圧VOLは、下記(1)式の関係を満たすような電圧値に設定されている。
GND<Vth_SCG<VOL<Vth_OL<VB …(1)
電圧印加部9は、OPアンプ21、スイッチ22および開閉制御部23を備えている。OPアンプ21は、断線検出電圧を出力する電圧出力部に相当する。OPアンプ21は、その反転入力端子と出力端子が接続されており、ボルテージフォロアとして機能する。OPアンプ21の非反転入力端子には、電圧VOLが与えられている。OPアンプ21の出力電圧は、スイッチ22を介して端子P1に与えられる。
スイッチ22は、OPアンプ21の出力端子と端子P1との間を開閉するもので、開閉部に相当する。スイッチ22は、開閉制御部23から与えられる切替信号Saに基づいてオンまたはオフされる。具体的には、スイッチ22は、切替信号Saがハイレベルであるときオンされるとともに、切替信号Saがローレベルであるときにオフされる。
開閉制御部23は、スイッチ22の動作を制御するものであり、AND回路24およびフィルタ25を備えている。AND回路24の反転入力端子には、ゲート駆動信号Sgが与えられている。AND回路24の非反転入力端子には、断線検出部8のコンパレータ17の出力信号が与えられている。
AND回路24の出力信号は、フィルタ25に入力されている。フィルタ25は、誤検出防止などを目的として、AND回路24の出力信号を所定の遅延時間tswだけ遅延させるものであり、低域通過フィルタなどから構成されている。フィルタ25の出力信号は、スイッチ22のオンオフを制御する切替信号Saとして、スイッチ22に与えられる。
上記構成によれば、ドライバオフ期間に端子P1の電圧Vaが電圧Vth_OL以下である状態がフィルタ25による遅延時間tswだけ継続すると、切替信号Saがハイレベルとなってスイッチ22がオンされる。つまり、電圧印加部9は、ドライバオフ期間に端子P1の電圧Vaが電圧Vth_OL以下である状態が遅延時間tswだけ継続すると、電圧VOLの印加を行う。
言い換えると、電圧印加部9は、ドライバオフ期間に端子P1の電圧Vaがドライバオフ期間における正常値に向けて変化せずに正常値に到達しない状態が遅延時間tswだけ継続すると、電圧VOLの印加を行うこととなる。本実施形態のようにローサイド駆動構成の負荷駆動装置1では、上記正常値は電圧VBの電圧値となる。また、この場合、電圧Vth_OLが第1閾値電圧に相当し、遅延時間tswが判定時間に相当する。なお、遅延時間tswは、図4に示すように、地絡検出部7のフィルタ16による遅延時間tscg、つまり地絡検出部7がGNDショートを検出するのに要する時間よりも短い時間となっている。
電圧印加部9の電流供給能力は、電圧VOLの印加を開始した時点から電圧Vaが電圧VOLに達する時点までの所要時間が、非常に短い所定時間となるよう、比較的高い供給能力とされている。これにより、電圧印加部9による電圧VOLの印加が開始されると、コンデンサ5の静電容量の大きさに関わらず、電圧Vaが直ちに電圧VOLに達する。
異常判定部10には、天絡検出部6のフィルタ13の出力信号Sb、地絡検出部7のフィルタ16の出力信号Scおよび断線検出部8のフィルタ20の出力信号Sdが与えられている。異常判定部10は、出力信号Sbのレベルに基づいてVBショートの有無を判定する。具体的には、異常判定部10は、出力信号SbがローレベルであるときにVBショートが生じていないと判定するとともに、出力信号SbがハイレベルであるときにVBショートが生じていると判定する。
異常判定部10は、出力信号Scのレベルに基づいてGNDショートの有無を判定する。具体的には、異常判定部10は、出力信号ScがローレベルであるときにGNDショートが生じていないと判定するとともに、出力信号ScがハイレベルであるときにGNDショートが生じていると判定する。異常判定部10は、出力信号Sdのレベルに基づいて断線の有無を判定する。具体的には、異常判定部10は、出力信号Sdがローレベルであるときに断線が生じていないと判定するとともに、出力信号Sdがハイレベルであるときに地絡が生じていると判定する。
次に、上記構成の作用について説明する。
[1]正常時の動作
端子P1に負荷2が正常に接続されている正常時における負荷駆動装置1の動作について、図2を参照して説明する。時刻t1以前の期間および時刻t4以降の期間は、ゲート駆動信号Sgがハイレベルであるドライバオン期間である。このような正常時のドライバオン期間には、端子P1の電圧VaはGNDに固定される。そのため、正常時、天絡検出部6の出力信号Sbがローレベルに維持されることになり、異常判定部10によりVBショートが生じていない、つまり正常であると判定される。
時刻t1から時刻t4の期間は、ゲート駆動信号Sgがローレベルであるドライバオフ期間である。正常時、ドライバオン期間からドライバオフ期間へと遷移すると、電圧Vaは、速やかに電圧VBに向けて上昇し、時刻t1から遅延時間tswが経過した時刻t3より前の時刻t2で電圧VBに到達し、その後はドライバオフ期間が終了する時刻t4まで電圧VBに固定される。
なお、時刻t1から時刻t2までの時間は、遅延時間tscgなどに比べて十分に短い時間となる。そのため、正常時、地絡検出部7の出力信号Scおよび断線検出部8の出力信号Sdがローレベルに維持されることになり、異常判定部10によりGNDショートおよび断線が生じていない、つまり正常であると判定される。
また、正常時のドライバオフ期間には、電圧Vaが電圧Vth_OL以下である状態が遅延時間tswだけ継続する期間は存在しない。したがって、正常時のドライバオフ期間、電圧印加部9のスイッチ22はオフされたままであり、電圧VOLの印加は行われない。なお、図2などでは、スイッチ22の状態として、オンされた状態を「ON」と表わし、オフされた状態を「OFF」と表わしている。
[2]断線時の動作
断線が生じている断線時における負荷駆動装置1の動作について、図3を参照して説明する。時刻t1以前の期間は、ドライバオン期間である。このドライバオン期間では、正常時のドライバオン期間と同様、電圧VaはGNDに固定されるため、異常判定部10により正常であると判定されている。
しかし、断線時、ドライバオン期間からドライバオフ期間へと遷移しても、電圧Vaは、電圧VBに向けて上昇することなく、GNDに維持される。このように電圧VaがGNDに維持された状態が遅延時間tswだけ継続した時点、つまり時刻t1から遅延時間tswが経過した時点である時刻t2において、スイッチ22がオフからオンに転じ、電圧印加部9による電圧VOLの印加が開始される。
すると、電圧Vaは、速やかに上昇して直ちに電圧VOLに到達し、その後はドライバオフ期間が終了する時刻t5まで電圧VOLに固定される。なお、時刻t1から電圧Vaが電圧Vth_SCGに達する時刻t3までの時間は、遅延時間tscgに比べて十分に短い時間となる。そのため、断線時、地絡検出部7の出力信号Scがローレベルに維持される。ただし、電圧Vaが電圧Vth_SCGに達した時刻t3から遅延時間tolだけ経過した時刻t4において、断線検出部8の出力信号Sdがローレベルからハイレベルに転じ、これにより、断線が検出される。異常判定部10は、このような出力信号Sdの変化に基づいて、断線という異常が発生したと判定する。
[3]GNDショート時の動作
GNDショートが生じているGNDショート時における負荷駆動装置1の動作について、図4を参照して説明する。時刻t1以前の期間は、ドライバオン期間である。このドライバオン期間では、正常時のドライバオン期間と同様、電圧VaはGNDに固定されるため、異常判定部10により正常であると判定されている。
しかし、GNDショート時、ドライバオン期間からドライバオフ期間へと遷移しても、電圧Vaは、電圧VBに向けて上昇することなく、GNDに維持される。このように電圧VaがGNDに維持された状態が遅延時間tswだけ継続した時点、つまり時刻t1から遅延時間tswが経過した時点である時刻t2において、スイッチ22がオフからオンに転じ、電圧印加部9による電圧VOLの印加が開始される。
しかし、この場合、端子P1がグランドにショートしていることから、電圧Vaは、電圧VOLに向けて上昇することなく、GNDに維持される。そのため、GNDショート時、断線検出部8の出力信号Sdがローレベルに維持される。ただし、この場合、時刻t1から遅延時間tscgだけ経過した時刻t3において、地絡検出部7の出力信号Scがローレベルからハイレベルに転じ、これにより、GNDショートが検出される。異常判定部10は、このような出力信号Scの変化に基づいて、GNDショートという異常が発生したと判定する。
[4]VBショート時の動作
VBショートが生じているVBショート時における負荷駆動装置1の動作は、次のようなものとなる。すなわち、VBショート時、ドライバオフ期間からドライバオン期間に遷移しても、電圧Vaは、GNDに向けて低下することなく、電圧VBに維持される。そのため、VBショート時、ドライバオン期間の開始時点から遅延時間tscbだけ経過した時点において、天絡検出部6の出力信号Sbがローレベルからハイレベルに転じ、これにより、VBショートが検出される。異常判定部10は、このような出力信号Sbの変化に基づいて、VBショートという異常が発生したと判定する。
[5]正常から断線へと遷移した場合の動作
正常から断線へと遷移した場合、より具体的にはドライバオフ期間の途中で断線が発生した場合における負荷駆動装置1の動作について、図5を参照して説明する。この場合、時刻t3までの動作は、正常時の動作と同様である。ここで、時刻t4において断線が発生すると、電圧Vaが電圧VBからGNDに向けて低下する。
そして、電圧Vaが電圧Vth_OLに達した時刻t5から遅延時間tswが経過した時点、言い換えると、電圧Vaが電圧Vth_OL以下である状態が遅延時間tswだけ継続した時点である時刻t6において、スイッチ22がオフからオンに転じ、電圧印加部9による電圧VOLの印加が開始される。すると、電圧Vaは、速やかに上昇して直ちに電圧VOLに到達し、その後はドライバオフ期間が終了する時刻t9まで電圧VOLに固定される。
そのため、地絡検出部7の出力信号Scがローレベルに維持されるとともに、電圧Vaが電圧Vth_SCGに達した時刻t7から遅延時間tolだけ経過した時刻t8において、断線検出部8の出力信号Sdがローレベルからハイレベルに転じ、これにより、断線が検出される。異常判定部10は、このような出力信号Sdの変化に基づいて、断線という異常が発生したと判定する。
以上説明した本実施形態の負荷駆動装置1は、ローサイド駆動の構成であり、断線検出および短絡検出の精度を高めるための工夫が施されている。以下、このような工夫が施された本実施形態により得られる効果について、同工夫が施されていない従来の構成(以下、第1比較例と呼ぶ)と対比して説明する。図6に示すように、第1比較例の負荷駆動装置101は、負荷駆動装置1に対し、電圧印加部9に代えて電圧印加部102を備えている点が異なる。
電圧印加部102は、電圧印加部9に対し、スイッチ22に代えて抵抗103を備えている点、開閉制御部23が削除されている点が異なる。この場合、電圧印加部102は、常時、端子P1に対して電圧VOLを印加する構成となっている。また、この場合、OPアンプ21の出力端子と端子P1との間に、抵抗103が直列に介在している。
これにより、電圧印加部102の電流供給能力は、電圧印加部9の電流供給能力よりも低くなっている。具体的には、電圧印加部102の電流供給能力は、正常時のドライバオフ期間に負荷2の端子間電圧がほぼ0Vとなる程度に、つまり正常時のドライバオフ期間に意図しない電流が負荷2に流れない程度に、低く抑えられている。
このような第1比較例の負荷駆動装置101では、断線およびGNDショートを切り分けて検出することができないおそれがある。以下、このような第1比較例における問題について、図7を参照して説明する。図7において、時刻t1以前の期間はドライバオン期間であり、時刻t1から時刻t3の期間はドライバオフ期間である。
この場合、電圧印加部102による端子P1への電圧VOLの印加が常時行われているため、ドライバオフ期間の開始時点である時刻t1から電圧Vaが電圧VOLに向けて上昇し始める。しかし、この場合、前述した理由から電圧印加部102の電流供給能力が低く抑えられているとともに、端子P1に静電気保護用のコンデンサ5が接続されていることから、電圧Vaの変化、つまり電圧Vaの持ち上がりは非常に緩やかなものとなる。
そのため、時刻t1から遅延時間tscgだけ経過した時刻t2において、電圧Vaは未だ電圧Vth_SCG未満の電圧となる。その結果、時刻t2において、地絡検出部7の出力信号Scがローレベルからハイレベルに転じ、これにより、GNDショートが検出される。異常判定部10は、このような出力信号Scの変化に基づいて、実際には断線が生じているにもかかわらず、GNDショートという異常が発生したと誤判定してしまう。このように、第1比較例の構成では、断線検出および短絡検出を精度良く行うことができない場合がある。
そこで、本実施形態の負荷駆動装置1が備える電圧印加部9は、ドライバオフ期間に端子P1の電圧Vaがドライバオフ期間における正常値である電圧VBに到達しない状態が遅延時間tswだけ継続すると電圧VOLの印加を行う構成となっている。そして、本実施形態の構成では、正常時のドライバオフ期間、端子P1の電圧Vaは、電圧VBに向けて変化し、電圧VBに到達する。
また、本実施形態の構成では、断線またはGNDショートが生じているときのドライバオフ期間、端子P1の電圧Vaは、電圧VBに向けて変化せず、電圧VBに到達しない。このようなことから、電圧印加部9は、断線またはGNDショートが生じているときのドライバオフ期間に電圧VOLの印加を行うものの、正常時のドライバオフ期間には電圧VOLの印加を行うことはない。
これにより、本実施形態の構成では、正常時のドライバオフ期間には、電圧印加部9の電流供給能力に関係なく、負荷2に意図しない電流が流れるおそれがない。つまり、本実施形態の構成によれば、正常時に電圧印加部9が負荷2の駆動に対して影響を及ぼすことがなくなる。そのため、本実施形態の構成によれば、第1比較例に比べ、電圧印加部9の電流供給能力を大きくすることができる。
その結果、本実施形態の構成のように静電気保護用のコンデンサ5が端子P1に接続される場合でも、断線およびGNDショートを切り分けて検出することができる。したがって、本実施形態によれば、断線検出および短絡検出を精度良く行うことができるという優れた効果が得られる。また、本実施形態によれば、電圧印加部9の電流供給能力を大きくすることにより、断線時に電圧Vaが高速に立ち上がることになるため、その断線の検出を速やかに行うことができる。
電圧印加部9は、OPアンプ21と、OPアンプ21の出力端子と端子P1との間を開閉するスイッチ22と、スイッチ22の動作を制御するためのAND回路24およびフィルタ25と、から構成される。このようにすれば、従来の構成である第1比較例の構成に対し、スイッチ22などの若干の回路素子を追加するだけで、つまり回路規模の大幅な増加を招くことなく、前述したような効果を得ることができる。
電圧印加部9は、ドライバオフ期間に端子P1の電圧Vaが電圧Vth_OL以下である状態が遅延時間tswだけ継続すると電圧VOLの印加を行うようになっている。このようにすれば、電圧VOLの印加の実行および停止について、前述した通りの動作を確実に実現することができる。すなわち、上記構成によれば、ドライバオフ期間に電圧Vaが電圧VBに到達しない状態が遅延時間tswだけ継続した場合、つまり断線またはGNDショートが発生したと考えられる場合にだけ、端子P1に対して電圧VOLを印加することができる。
電圧印加部9は、断線検出部8のコンパレータ17の出力信号に基づいて電圧Vaが電圧VBに到達するか否か、つまり電圧Vaが第1閾値電圧以下であるか否かを判断する構成となっている。すなわち、電圧印加部9は、元々設けられている断線検出部8の構成の一部を共用化することにより、上記判断を行う構成となっている。したがって、本実施形態によれば、電圧印加部9において上記判断を行うための閾値電圧を生成するための電圧源、その閾値電圧と電圧Vaとを比較するコンパレータなどを設ける必要がなくなる分だけ、回路規模を小さく抑えることができる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について図8を参照して説明する。
第2実施形態の負荷駆動装置31は、第1実施形態の負荷駆動装置1に対し、電圧印加部9に代えて電圧印加部32を備えている点などが異なる。電圧印加部32は、電圧印加部9と同様の構成を備えている。ただし、この場合、AND回路24の非反転入力端子には、地絡検出部7のコンパレータ14の出力信号が与えられている。
上記構成によれば、ドライバオフ期間に端子P1の電圧Vaが電圧Vth_SCG以下である状態が遅延時間tswだけ継続するとスイッチ22がオンされる。つまり、電圧印加部32は、ドライバオフ期間に電圧Vaが電圧Vth_SCG以下である状態が遅延時間tswだけ継続すると、電圧VOLの印加を行う。すなわち、本実施形態では、第1閾値電圧は、地絡判定電圧である電圧Vth_SCGと同一の電圧となる。
このような本実施形態によっても、電圧VOLの印加の実行および停止について、第1実施形態と同様の動作を確実に実現することができるため、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、この場合、電圧印加部32は、元々設けられている地絡検出部7の構成の一部を共用化することにより、上記判断を行う構成となっている。したがって、本実施形態によっても、第1実施形態と同様、回路規模を小さく抑えることができるという効果が得られる。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について図9〜図15を参照して説明する。
第3実施形態の負荷駆動装置41は、負荷駆動装置1に対し、負荷2の駆動構成が変更されている点、天絡検出部6、地絡検出部7および断線検出部8に代えて天絡検出部42、地絡検出部43および断線検出部44を備えている点などが異なる。
この場合、負荷2は、端子P1と端子P2との間に接続されている。また、スイッチング素子3のドレインは、端子P3を介して電源線Lbに接続され、そのソースは、端子P1に接続されている。つまり、この場合、スイッチング素子3は、負荷2の上流側に設けられている。したがって、負荷駆動装置41は、負荷2の上流側に設けられたスイッチング素子3により負荷2を駆動するハイサイド駆動の構成となっている。
天絡検出部42は、天絡検出部6に対し、AND回路12に代えてAND回路45を備えている点などが異なる。AND回路45の非反転入力端子には、コンパレータ11の出力信号が与えられ、その反転入力端子には、ゲート駆動信号Sgが与えられている。このような構成の天絡検出部42は、ドライバオフ期間に電圧Vaが電圧VBに近い電圧となっているか否かに基づいて、VBショートを検出する。具体的には、天絡検出部42は、ドライバオフ期間に電圧Vaが電圧Vth_SCBを超える場合にVBショートを検出する。
地絡検出部43は、地絡検出部7に対し、AND回路15に代えてAND回路46を備えている点などが異なる。AND回路46の一方の入力端子には、コンパレータ14の出力信号が与えられ、その他方の入力端子には、ゲート駆動信号Sgが与えられている。このような構成の地絡検出部43は、ドライバオン期間に電圧VaがGNDに近い電圧となっているか否かに基づいて、GNDショートを検出する。具体的には、地絡検出部43は、ドライバオン期間に電圧Vaが電圧Vth_SCG未満となる場合にGNDショートを検出する。
断線検出部44は、断線検出部8と同様の構成を備えている。ただし、この場合、コンパレータ17の反転入力端子には、電圧Vth_OLが与えられ、その非反転入力端子には、電圧Vaが与えられている。また、この場合、AND回路18の反転入力端子には、天絡検出部42のコンパレータ11の出力信号が与えられている。このような構成の断線検出部44は、ドライバオフ期間に電圧Vaが電圧Vth_SCBを下回るとともに電圧Vth_OLより高い場合に断線を検出する。
本実施形態では、電圧Vth_SCB、電圧Vth_OLおよび電圧VOLは、下記(2)式の関係を満たすような電圧値に設定されている。
GND<Vth_OL<VOL<Vth_SCB<VB …(2)
上記構成によれば、ドライバオフ期間に電圧Vaが電圧Vth_OL以上である状態が遅延時間tswだけ継続すると、切替信号Saがハイレベルとなってスイッチ22がオンされる。つまり、電圧印加部9は、ドライバオフ期間に電圧Vaが電圧Vth_OL以上である状態が遅延時間tswだけ継続すると、電圧VOLの印加を行う。
言い換えると、電圧印加部9は、ドライバオフ期間に電圧Vaがドライバオフ期間における正常値に向けて変化せずに正常値に到達しない状態が遅延時間tswだけ継続すると、電圧VOLの印加を行うこととなる。本実施形態のようにハイサイド駆動構成の負荷駆動装置41では、上記正常値はGNDの電圧値となる。また、この場合、電圧Vth_OLが第2閾値電圧に相当する。なお、遅延時間tswは、図12に示すように、天絡検出部6のフィルタ13による遅延時間tscb、つまり天絡検出部6がVBショートを検出するのに要する時間よりも短い時間となっている。
次に、上記構成の作用について説明する。
[1]正常時の動作
端子P1に負荷2が正常に接続されている正常時における負荷駆動装置41の動作について、図10を参照して説明する。時刻t1以前の期間および時刻t4以降の期間は、ゲート駆動信号Sgがハイレベルであるドライバオン期間である。このような正常時のドライバオン期間には、端子P1の電圧Vaは電圧VBに固定される。そのため、正常時、地絡検出部43の出力信号Scがローレベルに維持されることになり、異常判定部10によりGNDショートが生じていない、つまり正常であると判定される。
時刻t1から時刻t4の期間は、ゲート駆動信号Sgがローレベルであるドライバオフ期間である。正常時、ドライバオン期間からドライバオフ期間へと遷移すると、電圧Vaは、速やかにGNDに向けて低下し、時刻t1から遅延時間tswが経過した時刻t3より前の時刻t2でGNDに到達し、その後はドライバオフ期間が終了する時刻t4までGNDに固定される。
なお、時刻t1から時刻t2までの時間は、遅延時間tscbなどに比べて十分に短い時間となる。そのため、正常時、天絡検出部42の出力信号Sbおよび断線検出部44の出力信号Sdがローレベルに維持されることになり、異常判定部10によりVBショートおよび断線が生じていない、つまり正常であると判定される。また、正常時のドライバオフ期間には、電圧Vaが電圧Vth_OL以上である状態が遅延時間tswだけ継続する期間は存在しない。したがって、正常時のドライバオフ期間、電圧印加部9のスイッチ22はオフされたままであり、電圧VOLの印加は行われない。
[2]断線時の動作
断線が生じている断線時における負荷駆動装置41の動作について、図11を参照して説明する。時刻t1以前の期間は、ドライバオン期間である。このドライバオン期間では、正常時のドライバオン期間と同様、電圧Vaは電圧VBに固定されるため、異常判定部10により正常であると判定されている。
しかし、断線時、ドライバオン期間からドライバオフ期間へと遷移しても、電圧Vaは、GNDに向けて低下することなく、電圧VBに維持される。このように電圧Vaが電圧VBに維持された状態が遅延時間tswだけ継続した時点、つまり時刻t1から遅延時間tswが経過した時点である時刻t2において、スイッチ22がオフからオンに転じ、電圧印加部9による電圧VOLの印加が開始される。
すると、電圧Vaは、速やかに低下して直ちに電圧VOLに到達し、その後はドライバオフ期間が終了する時刻t5まで電圧VOLに固定される。なお、時刻t1から電圧Vaが電圧Vth_SCBに達する時刻t3までの時間は、遅延時間tscbに比べて十分に短い時間となる。そのため、断線時、天絡検出部42の出力信号Sbがローレベルに維持される。ただし、電圧Vaが電圧Vth_SCBに達した時刻t3から遅延時間tolだけ経過した時刻t4において、断線検出部44の出力信号Sdがローレベルからハイレベルに転じ、これにより、断線が検出される。異常判定部10は、このような出力信号Sdの変化に基づいて、断線という異常が発生したと判定する。
[3]VBショート時の動作
VBショートが生じているVBショート時における負荷駆動装置41の動作について、図12を参照して説明する。時刻t1以前の期間は、ドライバオン期間である。このドライバオン期間では、正常時のドライバオン期間と同様、電圧Vaは電圧VBに固定されるため、異常判定部10により正常であると判定されている。
しかし、VBショート時、ドライバオン期間からドライバオフ期間へと遷移しても、電圧Vaは、GNDに向けて低下することなく、電圧VBに維持される。このように電圧Vaが電圧VBに維持された状態が遅延時間tswだけ継続した時点、つまり時刻t1から遅延時間tswが経過した時点である時刻t2において、スイッチ22がオフからオンに転じ、電圧印加部9による電圧VOLの印加が開始される。
しかし、この場合、端子P1が電源線Lbにショートしていることから、電圧Vaは、電圧VOLに向けて低下することなく、電圧VBに維持される。そのため、VBショート時、断線検出部44の出力信号Sdがローレベルに維持される。ただし、この場合、時刻t1から遅延時間tscbだけ経過した時刻t3において、天絡検出部42の出力信号Sbがローレベルからハイレベルに転じ、これにより、VBショートが検出される。異常判定部10は、このような出力信号Sbの変化に基づいて、VBショートという異常が発生したと判定する。
[4]GNDショート時の動作
GNDショートが生じているGNDショート時における負荷駆動装置41の動作は、次のようなものとなる。すなわち、GNDショート時、ドライバオフ期間からドライバオン期間に遷移しても、電圧Vaは、電圧VBに向けて上昇することなく、GNDに維持される。そのため、GNDショート時、ドライバオン期間の開始時点から遅延時間tscgだけ経過した時点において、地絡検出部43の出力信号Scがローレベルからハイレベルに転じ、これにより、GNDショートが検出される。異常判定部10は、このような出力信号Scの変化に基づいて、GNDショートという異常が発生したと判定する。
[5]正常から断線へと遷移した場合の動作
正常から断線へと遷移した場合、より具体的にはドライバオフ期間の途中で断線が発生した場合における負荷駆動装置41の動作について、図13を参照して説明する。この場合、時刻t3までの動作は、正常時の動作と同様である。ここで、時刻t4において断線が発生すると、電圧VaがGNDから電圧VBに向けて上昇する。
そして、電圧Vaが電圧Vth_OLに達した時刻t5から遅延時間tswが経過した時点、言い換えると、電圧Vaが電圧Vth_OL以上である状態が遅延時間tswだけ継続した時点である時刻t6において、スイッチ22がオフからオンに転じ、電圧印加部9による電圧VOLの印加が開始される。すると、電圧Vaは、速やかに低下して直ちに電圧VOLに到達し、その後はドライバオフ期間が終了する時刻t9まで電圧VOLに固定される。
そのため、天絡検出部42の出力信号Sbがローレベルに維持されるとともに、電圧Vaが電圧Vth_SCBに達した時刻t7から遅延時間tolだけ経過した時刻t8において、断線検出部44の出力信号Sdがローレベルからハイレベルに転じ、これにより、断線が検出される。異常判定部10は、このような出力信号Sdの変化に基づいて、断線という異常が発生したと判定する。
以上説明した本実施形態の負荷駆動装置41は、ハイサイド駆動の構成であり、断線検出および短絡検出の精度を高めるための工夫が施されている。以下、このような工夫が施された本実施形態により得られる効果について、同工夫が施されていない従来の構成(以下、第2比較例と呼ぶ)と対比して説明する。図14に示すように、第2比較例の負荷駆動装置201は、負荷駆動装置41に対し、電圧印加部9に代えて、図6に示した第1比較例と同様の電圧印加部102を備えている点が異なる。
このような第2比較例の負荷駆動装置201では、断線およびVBショートを切り分けて検出することができないおそれがある。以下、このような第2比較例における問題について、図15を参照して説明する。図15において、時刻t1以前の期間はドライバオン期間であり、時刻t1から時刻t3の期間はドライバオフ期間である。
この場合、電圧印加部102による端子P1への電圧VOLの印加が常時行われているため、ドライバオフ期間の開始時点である時刻t1から電圧Vaが電圧VOLに向けて低下し始める。しかし、この場合、前述した理由から電圧印加部102の電流供給能力が低く抑えられているとともに、端子P1に静電気保護用のコンデンサ5が接続されていることから、電圧Vaの変化は非常に緩やかなものとなる。
そのため、時刻t1から遅延時間tscbだけ経過した時刻t2において、電圧Vaは未だ電圧Vth_SCBを超える電圧となる。その結果、時刻t2において、天絡検出部42の出力信号Sbがローレベルからハイレベルに転じ、これにより、VBショートが検出される。異常判定部10は、このような出力信号Sbの変化に基づいて、実際には断線が生じているにもかかわらず、VBショートという異常が発生したと誤判定してしまう。このように、第2比較例の構成では、断線検出および短絡検出を精度良く行うことができない場合がある。
そこで、本実施形態の負荷駆動装置41が備える電圧印加部9は、ドライバオフ期間に端子P1の電圧Vaがドライバオフ期間における正常値であるGNDに到達しない状態が遅延時間tswだけ継続すると電圧VOLの印加を行う構成となっている。そして、本実施形態の構成では、正常時のドライバオフ期間、端子P1の電圧Vaは、GNDに向けて変化し、GNDに到達する。
また、本実施形態の構成では、断線またはVBショートが生じているときのドライバオフ期間、端子P1の電圧Vaは、GNDに向けて変化せず、GNDに到達しない。このようなことから、電圧印加部9は、断線またはVBショートが生じているときのドライバオフ期間に電圧VOLの印加を行うものの、正常時のドライバオフ期間には電圧VOLの印加を行うことはない。
これにより、本実施形態の構成では、正常時のドライバオフ期間には、電圧印加部9の電流供給能力に関係なく、負荷2に意図しない電流が流れるおそれがない。つまり、本実施形態の構成によれば、正常時に電圧印加部9が負荷2の駆動に対して影響を及ぼすことがなくなる。そのため、本実施形態の構成によれば、第2比較例に比べ、電圧印加部9の電流供給能力を大きくすることができる。
その結果、本実施形態の構成のように静電気保護用のコンデンサ5が端子P1に接続される場合でも、断線およびGNDショートを切り分けて検出することができる。したがって、本実施形態によれば、断線検出および短絡検出を精度良く行うことができるという優れた効果が得られる。また、本実施形態によれば、電圧印加部9の電流供給能力を大きくすることにより、断線時に電圧Vaが高速に立ち上がることになるため、その断線の検出を速やかに行うことができる。
電圧印加部9は、ドライバオフ期間に端子P1の電圧Vaが電圧Vth_OL以上である状態が遅延時間tswだけ継続すると電圧VOLの印加を行うようになっている。このようにすれば、電圧VOLの印加の実行および停止について、前述した通りの動作を確実に実現することができる。すなわち、上記構成によれば、ドライバオフ期間に電圧VaがGNDに向けて到達しない状態が遅延時間tswだけ継続した場合、つまり断線またはVBショートが発生したと考えられる場合にだけ、端子P1に対して電圧VOLを印加することができる。
電圧印加部9は、断線検出部44のコンパレータ17の出力信号に基づいて電圧VaがGNDに到達するか否か、つまり電圧Vaが第2閾値電圧以上であるか否かを判断する構成となっている。すなわち、電圧印加部9は、元々設けられている断線検出部44の構成の一部を共用化することにより、上記判断を行う構成となっている。したがって、本実施形態によれば、電圧印加部9において上記判断を行うための閾値電圧を生成するための電圧源、その閾値電圧と電圧Vaとを比較するコンパレータなどを設ける必要がなくなる分だけ、回路規模を小さく抑えることができる。
(第4実施形態)
以下、第4実施形態について図16を参照して説明する。
第2実施形態の負荷駆動装置51は、第1実施形態の負荷駆動装置1に対し、電圧印加部9に代えて電圧印加部52を備えている点などが異なる。電圧印加部52は、電圧印加部9と同様の構成を備えている。ただし、この場合、AND回路24の非反転入力端子には、天絡検出部42のコンパレータ11の出力信号が与えられている。
上記構成によれば、ドライバオフ期間に端子P1の電圧Vaが電圧Vth_SCB以上である状態が遅延時間tswだけ継続するとスイッチ22がオンされる。つまり、電圧印加部52は、ドライバオフ期間に電圧Vaが電圧Vth_SCB以上である状態が遅延時間tswだけ継続すると、電圧VOLの印加を行う。すなわち、本実施形態では、第2閾値電圧は、天絡判定電圧である電圧Vth_SCBと同一の電圧となる。
このような本実施形態によっても、電圧VOLの印加の実行および停止について、第3実施形態と同様の動作を確実に実現することができるため、第3実施形態と同様の効果が得られる。また、この場合、電圧印加部52は、元々設けられている天絡検出部42の構成の一部を共用化することにより、上記判断を行う構成となっている。したがって、本実施形態によっても、第3実施形態と同様、回路規模を小さく抑えることができるという効果が得られる。
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で任意に変形、組み合わせ、あるいは拡張することができる。
上記各実施形態で示した数値などは例示であり、それに限定されるものではない。
本発明は、車両に搭載される負荷2を駆動するものに限らず、スイッチング素子により負荷を駆動する負荷駆動装置全般に適用することができる。
スイッチング素子としては、Nチャネル型のMOSFETに限らずともよく、バイポーラトランジスタ、IGBTなど、様々な種類のスイッチング素子を用いることができる。
電圧印加部9、32、52は、端子P1に断線を検出するための断線検出電圧を印加することができるものであればよく、その具体的な構成は適宜変更可能である。天絡検出部6、42および地絡検出部7、43は、端子P1の電圧に基づいて負荷2側の短絡を検出するものであればよく、その具体的な構成は適宜変更可能である。断線検出部8、44は、端子P1の電圧に基づいて負荷2側の断線を検出するものであればよく、その具体的な構成は適宜変更可能である。
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。